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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184235
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】販売データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20231221BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20231221BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
G07G1/12 361D
G07G1/00 311D
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098274
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕史
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142CA19
3E142CA20
3E142DA04
3E142EA02
3E142EA04
3E142FA36
3E142GA03
3E142GA35
3E142JA01
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】免税条件から外れた取引を容易に確認することが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の販売データ処理装置は、免税取引又は前記免税取引で決済された商品の取り消し指示を受け付け、前記取り消し指示に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行し、前記取り消し処理により、免税制度の条件から外れる他の免税取引が存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の販売データ処理装置の各々で行われた免税取引の内訳を示す取引データと、免税取引を識別可能な取引識別情報と、免税取引を行ったユーザを識別可能なユーザ識別情報とを関連付けて記憶するサーバ装置に、ネットワークを介して接続される販売データ処理装置であって、
商品を識別可能な商品識別情報を取得する第1取得手段と、
ユーザを識別可能なユーザ識別情報を取得する第2取得手段と、
免税取引の宣言を行う免税宣言手段と、
前記免税宣言手段による免税取引の宣言があった場合に、前記第1取得手段が取得した前記商品識別情報の各々に対応する商品の合計額と、前記サーバ装置に記憶された、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報に係る他の免税取引の合計額とに基づき、当該免税取引が税金を免除する免税制度の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、税金を免除した税抜き価格又は税金を含んだ税込み価格で、前記商品識別情報の各々に対応する商品の決済処理を実行する決済手段と、
前記決済手段で決済された免税取引の取引データを、当該免税取引の取引識別情報と、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶する記憶手段と、
前記免税取引又は前記免税取引で決済された商品の取り消し指示を受け付け、前記取り消し指示に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する取消手段と、
前記取消手段が実行する前記取り消し処理により、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引が前記サーバ装置に存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する第1出力制御手段と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記第1出力制御手段は、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引に関する情報として、当該他の免税取引の取引識別情報を出力する、請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記第1出力制御手段は、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引に関する情報として、当該他の免税取引の取引データに含まれる商品の合計額を出力する、請求項2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記サーバ装置は、免税取引の内訳を示す前記取引データを、当該免税取引が行われた前記販売データ処理装置を識別可能な装置識別情報と関連付けて記憶し、
前記第1出力制御手段は、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引に関する情報として、当該他の免税取引が行われた前記販売データ処理装置の装置識別情報を出力する、請求項2又は3に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記決済手段が実行する前記決済処理により、前記免税制度の条件が成立する他の免税取引が前記サーバ装置に存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する第2出力制御手段を更に備える、請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
複数の販売データ処理装置の各々で行われた免税取引の内訳を示す取引データと、免税取引を識別可能な取引識別情報と、免税取引を行ったユーザを識別可能なユーザ識別情報とを関連付けて記憶するサーバ装置に、ネットワークを介して接続される販売データ処理装置のコンピュータを、
商品を識別可能な商品識別情報を取得する第1取得手段と、
ユーザを識別可能なユーザ識別情報を取得する第2取得手段と、
免税取引の宣言を行う免税宣言手段と、
前記免税宣言手段による免税取引の宣言があった場合に、前記第1取得手段が取得した前記商品識別情報の各々に対応する商品の合計額と、前記サーバ装置に記憶された、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報に係る他の免税取引の合計額とに基づき、当該免税取引が税金を免除する免税制度の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、税金を免除した税抜き価格又は税金を含んだ税込み価格で、前記商品識別情報の各々に対応する商品の決済処理を実行する決済手段と、
前記決済手段で決済された免税取引の取引データを、当該免税取引の取引識別情報と、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶する記憶手段と、
前記免税取引又は前記免税取引で決済された商品の取り消し指示を受け付け、前記取り消し指示に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する取消手段と、
前記取消手段が実行する前記取り消し処理により、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引が前記サーバ装置に存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する第1出力制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸出物品販売場(免税店)を経営する事業者が外国人旅行者等の非居住者に対して商品や役務等の販売対象を販売する場合に、販売対象に係る消費税等の税金を免除するいわゆる免税制度が存在する。免税は、同一日に同一店舗で同一の非居住者が購入する商品が対象となる。免税の対象は、一般物品及び消耗品の何れか一方又は両方の合計額が5000円以上となることを条件としている。
【0003】
免税に係る取引は、免税電子化機能が導入されたPOS端末等の販売データ処理装置で行われており、取引の内訳を示す取引データが販売データ処理装置に保持される。また、販売データ処理装置では、取引の取り消しや商品の返品を行うことも可能となっており、処理内容に応じて取引データの削除やレジマイナス等の取り消し処理が行われる。
【0004】
また、免税店によっては、販売データ処理装置を複数備える免税店も存在する。この場合、販売データ処理装置の各々は、自機の販売データ処理装置で行われた免税に係る取引の取引データをローカルに記憶するとともに、ネットワーク接続されたサーバに記憶することも行われている。係る構成では、販売データ処理装置の各々は、免税に係る取引を行う場合に、当該取引の合計額と、サーバに記憶された同一の非居住者に係る他の取引の合計額とに基づき、当該取引が免税条件を満たすか否かを判定することができる。
【0005】
ところで、免税に係る取引の取り消しや商品の返品等が行われた場合には、合計額も変化することになる。例えば、同一の非居住者が同一店舗の異なる販売データ処理装置で行った複数の取引のうち、一の取引の取り消しにより合計額が5000円未満となった場合、他の取引は免税条件から外れることになる。
【0006】
この場合、オペレータは、免税条件から外れた他の取引の取引データを免税対象から外す等の操作を行う必要があるが、取り消し処理を行う販売データ処理装置では、免税条件から外れた他の取引を容易に確認することができず、利便性の上で更なる改善の余地がある。
【0007】
例えば、販売データ処理装置で行われた取り消し処理により、他の販売データ処理装置に記憶された他の取引の取引データが免税条件から外れた場合、その取引データを操作することになるが、オペレータは免税条件から外れた取引を容易に確認できず、対応が遅れる可能性がある。そのため、販売データ処理装置に記憶された取引データと、サーバに記憶された取引データとの間で取引内容に差異が発生する可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、免税条件から外れた取引を容易に確認することが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の販売データ処理装置は、複数の販売データ処理装置の各々で行われた免税取引の内訳を示す取引データと、免税取引を識別可能な取引識別情報と、免税取引を行ったユーザを識別可能なユーザ識別情報とを関連付けて記憶するサーバ装置に、ネットワークを介して接続される販売データ処理装置であって、商品を識別可能な商品識別情報を取得する第1取得手段と、ユーザを識別可能なユーザ識別情報を取得する第2取得手段と、免税取引の宣言を行う免税宣言手段と、前記免税宣言手段による免税取引の宣言があった場合に、前記第1取得手段が取得した前記商品識別情報の各々に対応する商品の合計額と、前記サーバ装置に記憶された、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報に係る他の免税取引の合計額とに基づき、当該免税取引が税金を免除する免税制度の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じて、税金を免除した税抜き価格又は税金を含んだ税込み価格で、前記商品識別情報の各々に対応する商品の決済処理を実行する決済手段と、前記決済手段で決済された免税取引の取引データを、当該免税取引の取引識別情報と、前記第2取得手段が取得した前記ユーザ識別情報と関連付けて前記サーバ装置に記憶する記憶手段と、前記免税取引又は前記免税取引で決済された商品の取り消し指示を受け付け、前記取り消し指示に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する取消手段と、前記取消手段が実行する前記取り消し処理により、前記免税制度の条件から外れる他の免税取引が前記サーバ装置に存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する第1出力制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るPOSシステムの概略構成図である。
図2図2は、実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る免税区分ファイルのデータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る免税条件ファイルのデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る免税取引管理ファイルのデータ構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るPOS端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る商品マスタファイルのデータ構成の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る取引管理ファイルのデータ構成の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るPOS端末及びサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態のPOSシステムを用いた取引の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態に係る店員用レシートの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態のPOS端末が行う販売データ処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態のPOS端末2が行う取消処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、販売データ処理装置及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態では、係る販売データ処理装置及びプログラムを、輸出物品販売場(免税店)の店舗に設置されたPOS(Point Of Sales)端末へ適用した例を示す。また、実施形態では、販売対象として「商品」を例に説明するが、販売対象を商品に限定するものではない。販売対象を「役務」としてもよい。
【0012】
図1は、実施形態に係るPOSシステム1の概略構成図である。POSシステム1は、図1に示すように、複数台のPOS端末2と、サーバ装置4とを備える。POS端末2とサーバ装置4とはLAN(Local Area Network)等のネットワーク3により接続される。
【0013】
図2は、サーバ装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置4は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43等で構成されるコンピュータ構成の制御部400を備える。
【0014】
制御部400は、バス49を介して通信I/F(インタフェース)50に接続されている。サーバ装置4は、通信I/F50及びネットワーク3(図1参照)を介して複数台のPOS端末2と通信を行う。また、制御部400にはバス49を介してコントローラ44が接続されている。コントローラ44には、キーボード45、表示部46、プリンタ47が接続されている。また制御部400には、バス49を介してHDD(Hard Disk Drive)48が接続されている。
【0015】
HDD48は、サーバ装置4に所定の動作を行わせる各種のプログラムを格納している。また、HDD48は、免税区分ファイル481、免税条件ファイル482及び免税取引管理ファイル483等のデータファイルを格納している。
【0016】
図3は、免税区分ファイル481のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、免税区分ファイル481は、免税区分コードと免税区分名称とのデータ項目を有する。免税区分名称には、「一般物品」、「消耗品」、「免税対象外」を示すデータが設定されている。ここで「消耗品」は、食料品、飲料類、薬品類、化粧品類等の消耗品に係る免税対象品の区分を示すデータである。「一般物品」は、消耗品以外の通常生活の用に供する免税対象品の区分を示すデータである。「免税対象外」は免税非対象品の区分を示すデータである。図3の例では、「一般物品」に対応する免税区分コードには“01”が設定されている。「消耗品」に対応する免税区分コードには“02”が設定されている。「免税対象外」に対応する免税区分コードには“03”が設定されている。
【0017】
図4は、免税条件ファイル482のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、免税条件ファイル482は、免税区分コードと、免税条件とのデータ項目を有する。免税条件は、免税対象品が実際に免税の扱いになるための条件である。
【0018】
図4に示す例で、免税区分コード“01”の免税条件、つまり一般物品の免税条件は、同一店舗における1日の合計額(税抜)が5000円以上となっている。また、免税区分コード“02”の免税条件、つまり消耗品の免税条件は、同一店舗における1日の合計額(税抜)が5000円以上、500000円以下となっている。また、一般物品と消耗品のそれぞれの金額が5000円未満であったとしても、その合計額が5000円以上となる場合には、その一般物品を消耗品として取り扱うことで、免税区分コード“02”の免税条件を適用することが規定されているものとする。
【0019】
図5は、免税取引管理ファイル483のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、免税取引管理ファイル483は、レジ番号、ユーザID、取引番号、取引内容、免税フラグ等のデータ項目を有する。
【0020】
レジ番号は、取引を行ったPOS端末2を識別可能な装置識別情報の一例である。本実施形態では、POS端末2の各々に固有のレジ番号が予め割り当てられているものとする。なお、POS端末2の識別情報はこれに限らず、例えば製造番号やIPアドレス等であってもよい。
【0021】
ユーザIDは、取引を行ったユーザを識別可能なユーザ識別情報の一例である。ユーザIDは、ユーザとなる非居住者が所持するパスポートに記載された旅券番号や氏名等である。
【0022】
取引番号は、レジ番号に対応するPOS端末2で行われた各取引を識別することが可能な取引識別情報の一例である。取引番号は、例えば、取引を行うPOS端末2によって発行される。なお、本実施形態では、取引番号はPOS端末2の各々で重複しない固有の番号とするが、これに限らず、同一レジ番号のPOS端末2内で重複しない固有の番号としてもよい。
【0023】
取引内容には、取引番号の取引で購入された商品の内訳を示す情報が格納される。例えば、取引内容には、ユーザが購入する商品の商品情報(商品コード、商品名、価格、免税区分コード等)や決済情報(合計額、預かり金額、釣銭額等)等の他、取引が行われた日時を示す日時情報等が含まれる。免税フラグは、取引番号に対応する取引が、免税条件を満たす取引か否かを識別するための2値情報である。免税フラグは、免税条件を満たす場合に有効(例えば“1”)に設定され、免税条件を満たさない場合に無効(例えば“0”)に設定される。
【0024】
以下では、レジ番号、ユーザID、取引番号、取引内容、及び免税フラグの組を「免税取引データ」ともいう。また、免税取引データのうち、レジ番号及びユーザIDを除いた残りのデータの組を「取引データ」ともいう。
【0025】
サーバ装置4の制御部400は、免税条件ファイル482に基づいて、POS端末2で行われる取引が免税条件を満たすか否かを判定し、その判定結果をPOS端末2に返信する。また、サーバ装置4の制御部400は、POS端末2の各々で行われる免税に係る取引(以下、免税取引とも、単に取引ともいう)の取引データを、免税取引データとして免税取引管理ファイル483に記憶し管理する。なお、本実施形態において免税取引は、免税条件を満たすか否かに関わらず、後述する免税宣言キー211が入力された取引を意味する。
【0026】
次に、POS端末2について説明する。POS端末2は、ユニークなレジ番号を割り振られて精算場所に配置されている。オペレータがPOS端末2を操作することで、POS端末2は、販売される商品の登録処理及び決済処理を実行する。
【0027】
登録処理は、販売される商品に付されたバーコード等のコードシンボルを光学的に読み取って商品コードに複合化し、その商品コードの商品名や価格等の商品情報を表示するとともに、商品コードを含む商品情報をRAM33等に記憶する処理をいう。決済処理は、登録処理に伴いRAM33等に記憶された商品情報に基づいて、合計額の表示、客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、釣銭の排出を釣銭機に指示する処理、商品情報や決済情報を印字したレシートを発行する処理等をいう。
【0028】
図6は、POS端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示すように、POS端末2は、CPU31、ROM32、RAM33等で構成されるコンピュータ構成の制御部300を備える。CPU31は、各種演算処理を実行し各部を制御する。ROM32は、固定データを固定的に記憶保存する。RAM33は、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用される。RAM33には、例えば商品から読み取った商品コードの商品情報を記憶する登録テーブルT等が形成される。CPU31とROM32とRAM33は、バス34を介して接続されている。
【0029】
制御部300は、バス34及びコントローラ35を介して、キーボード21、表示部22、プリンタ23、カードリーダ/ライタ(R/W)24、スキャナ25、パスポートリーダ27等と接続されている。
【0030】
キーボード21は、各種のキーをブロック毎に配列している。各種のキーは、例えば、商品コードや金額等を入力するための置数キーや、各種商品を指定するためのPLUキーや、置数キーによる置数入力を確定する確定キーや、クリアキー等である。また、キーボード21は、免税宣言キー211と、小計キー212と、締めキー213と、取消キー214を備える。
【0031】
免税宣言キー211は、免税取引の宣言を行うためのキーである。小計キー212は、合計額の算出を宣言するためのキーである。締めキー213は、販売処理において現金による締めを宣言するためのキーである。取消キー214は、登録した商品を取り消し、又は取引の取り消しを宣言するためのキーである。
【0032】
表示部22は、表示面上にタッチパネルが設けられた液晶ディスプレイ装置である。
スキャナ25は、商品に付されたバーコードや二次元コード等のコードシンボルを光学的に読み取る装置である。
【0033】
パスポートリーダ27は、パスポート(旅券)が保持する情報を読み取るリーダ装置である。例えば、パスポートリーダ27は、パスポートに記載された旅券番号等の文字列を光学的に読み取る光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)機能を有するものである。
【0034】
また、制御部300には、バス34を介してストレージデバイスであるメモリ部26が接続されている。メモリ部26は、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を保持する。メモリ部26には、CPU31が実行可能な各種のプログラムや、設定情報が記憶されている。また、メモリ部26には、商品マスタファイル261や、取引管理ファイル262等のデータファイルが記憶されている。
【0035】
図7は、商品マスタファイル261のデータ構成の一例を示す図である。図7に示すように、商品マスタファイル261は、商品コード、商品名、価格、免税区分コード等のデータ項目を有する。ここで、商品コードは、商品の各々を識別することが可能な商品識別情報の一例である。商品コードには、その商品の種類や属性等を示す商品情報として、商品名、価格、免税区分コード等のデータが対応付けられている。商品名は、商品コードに対応する商品の名称を示すものである。価格は、商品コードに対応する商品の税抜価格を示すものである。免税区分コードは、図3で説明した免税区分コードに対応し、商品コードに対応する商品が、一般物品、消耗品及び免税対象外の何れに属するかを示すものである。
【0036】
図8は、取引管理ファイル262のデータ構成の一例を示す図である。図8に示すように、取引管理ファイル262は、取引番号、取引内容、免税フラグ、及び免税宣言キーフラグ等のデータ項目を有する。ここで、取引番号、取引内容及び免税フラグの組は、取引データに対応する。
【0037】
取引番号は、自己のPOS端末2で行われた取引の各々を識別可能な取引識別情報の一例である。取引内容には、取引番号に対応する取引で購入された商品の内訳を示す商品情報、決済情報等が格納される。免税フラグは、取引番号に対応する取引が免税条件を満たす取引であるか否かを識別するための2値情報である。
【0038】
免税宣言キーフラグは、免税宣言キーフラグが入力されたか否かを識別するための2値情報である。免税宣言キーフラグは、免税宣言キーフラグが入力された場合に有効(例えば“1”)に設定され、免税宣言キーフラグが入力された場合に無効(例えば“0”)に設定される。つまり、免税条件を満たす取引では、免税フラグ及び免税宣言キーフラグが有効に設定される。また、免税宣言キーが入力されたにも関わらず、免税条件を満たさない取引には、免税フラグが無効に設定され、免税宣言キーフラグが有効に設定される。また、通常の取引の場合には、免税フラグ及び免税宣言キーフラグが無効に設定される。
【0039】
なお、免税取引の場合、POS端末2は、ユーザのパスポートからユーザIDを取得することになるが、取得したユーザIDを、該当する取引番号に関連付けて取引管理ファイル262に記憶してもよい。
【0040】
図6に戻り、さらに、制御部300には、バス34を介して、通信インタフェース(I/F)28が接続されている。通信インタフェース28は、ネットワーク3を介して上位装置であるサーバ装置4とデータ通信を行う。
【0041】
以上の構成により、制御部300はメモリ部26に記憶されたプログラムを実行することにより、キーボード21、表示部22、プリンタ23、カードリーダ/ライタ24、スキャナ25、メモリ部26、パスポートリーダ27、通信I/F28等の各部を制御し、所定の処理を行う。
【0042】
次に、POS端末2及びサーバ装置4の機能構成について説明する。図9は、POS端末2及びサーバ装置4の機能構成の一例を示す図である。
【0043】
図9に示すように、POS端末2は、登録部301と、免税処理部302と、決済処理部303と、取消処理部304と、表示出力部305と、印字出力部306とを備える。
【0044】
POS端末2が備える機能構成の一部又は全ては、POS端末2のプロセッサ(例えばCPU31)とメモリ(例えばROM32、メモリ部26)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、POS端末2が備える機能構成の一部又は全ては、POS端末2に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0045】
登録部301は、第1取得手段の一例である。登録部301は、販売対象の商品の商品コードや商品情報等を登録する。具体的に、登録部301は、コントローラ35を介してスキャナ25を駆動し、スキャナ25が読み取った商品コードを取得する。また、登録部301は、商品コードを基に商品マスタファイル261から商品情報を取得し、取得した商品情報をRAM33の登録テーブルTに登録する。
【0046】
免税処理部302は、第2取得手段、免税宣言手段、及び判定手段の一例である。免税処理部302は、免税宣言キー211の入力に応じて免税取引の宣言を行い、免税に係る処理を行う。具体的には、免税処理部302は、コントローラ35を介してパスポートリーダ27を駆動し、パスポートリーダ27が読み取った旅券番号等のユーザIDを取得する。また、免税処理部302は、ユーザIDと、登録テーブルTに登録された商品情報に基づく情報とを含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信し、免税条件が成立するか否かの判定結果をサーバ装置4から取得する。免税処理部302は、サーバ装置4から取得した判定結果に基づき、自機のPOS端末2で行われる免税取引が、免税条件を満たすか否かを判定する。
【0047】
免税条件が成立する場合、免税処理部302は、決済処理部303と協働することで、消費税等を免除した税引き価格で決済処理(以下、免税処理ともいう)を実行する。具体的には、免税処理部302は、登録テーブルTに登録された商品情報のうち、免税条件が成立すると判定された、免税区分コードが“01”、“02”を含む商品情報について免税処理を実行させる。また、免税条件が不成立の場合、免税処理部302は、消費税等を含めた税込み価格で決済処理を行わせる。
【0048】
なお、免税処理部302は、登録テーブルTに登録された商品情報のうち、免税区分コードが“01”、“02”の商品情報を条件判定要求として送信してもよい。また、免税処理部302は、登録テーブルTに登録された商品情報のうち、免税区分コードが“01”、“02”の商品情報に基づき、一般物品と消耗品とのそれぞれで集計した商品の合計額を条件判定要求として送信してもよい。
【0049】
決済処理部303は、決済手段及び記憶手段の一例である。決済処理部303は、締めキー213の入力に応じて、登録テーブルTに登録された商品情報に基づき、当該商品の決済処理を行う。また、決済処理部303は、決済処理が完了すると、その決済処理に係る取引の取引データを、取引管理ファイル262に記憶する。
【0050】
また、決済処理部303は、免税処理部302と協働することで、消費税等を免除した税抜き価格で決済処理(免税処理)を行う。この場合、決済処理部303は、免税フラグ及び免税宣言キーフラグを有効に設定した取引データを取引管理ファイル262に記憶する。また、決済処理部303は、免税宣言キー211が入力された場合であっても、税込み価格で決済処理を行った場合には、免税フラグを無効に設定し、免税宣言キーフラグを有効に設定した取引データを取引管理ファイル262に記憶する。なお、決済処理部303は、通常の取引で決済処理を行った場合には、免税フラグ及び免税宣言キーフラグを無効に設定した取引データを取引管理ファイル262に記憶する。
【0051】
また、決済処理部303は、免税宣言キーフラグを有効に設定した場合、その取引の取引データをサーバ装置4に記憶するため、当該取引データを、自機のPOS端末2のレジ番号、及び取引を行ったユーザのユーザID等とともにサーバ装置4に送信する。
【0052】
取消処理部304は、取消手段及び第1出力制御手段の一例である。取消処理部304は、取消キー214が入力された場合に、別途入力される取り消し内容を指示する操作に応じて、取引の取り消しや、商品の返品等の取り消し処理を実行する。具体的には、取消処理部304は、処理対象の取引に係る取引番号が入力されると、当該取引番号に対応する取引データを取引管理ファイル262から特定する。次いで、取消処理部304は、特定した取引データに基づき、取り消し内容に応じた取り消し処理を実行する。例えば、取消処理部304は、取引自体を取り消す場合、処理対象となる取引データを取引管理ファイル262から消去したり、別の管理ファイルに移動させたりする。また、例えば、取消処理部304は、商品の取り消し(返品)を行う場合、処理対象となる取引データから取り消し対象の商品の商品コードを削除するレジマイナス処理を実行する。
【0053】
また、取消処理部304は、取引管理ファイル262から特定した取引データが免税取引の場合、その取引データの取引番号と取り消し内容とを含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する。そして、取消処理部304は、取り消し処理後に免税条件が成立するか否かの判定結果をサーバ装置4から取得し、当該判定結果に基づいて、取り消し処理後に免税条件が成立するか否か判定する。
【0054】
例えば、取引自体を取り消す場合、取消処理部304は、取り消し対象の取引番号と取引の取り消しとを指示した条件判定要求をサーバ装置4に送信する。また、例えば、特定の取引で購入された特定の商品の返品処理を行う場合、取消処理部304は、当該取引の取引番号と、返品対象の商品の商品コード又は商品情報と、商品の取り消しとを指示した条件判定要求をサーバ装置4に送信する。
【0055】
ここで、取り消し処理後も免税条件が成立する場合、取消処理部304は、特定した取引データに取り消し処理を実行する。そして、取消処理部304は、取り消し内容の実行を指示した指示情報をサーバ装置4に送信する。
【0056】
また、取り消し処理後に免税条件が不成立となる場合、取消処理部304は、免税条件が不成立となることを報知する確認画面を表示部22に表示させる。確認画面を表示した後、取り消し処理の実行が指示された場合には、特定した取引データに基づき、取り消し処理を実行する。
【0057】
さらに、取消処理部304は、免税条件の不成立に伴い、免税条件から外れる他の取引が存在するか否かを判定し、存在する場合には、免税条件から外れる他の取引に関する情報を表示出力部305や印字出力部306を介して出力する。ここで、他の取引に関する情報は、該当する取引の取引番号や、当該取引を行ったPOS端末2のレジ番号、取引の合計額等、免税条件から外れる他の取引を特定可能な情報とすることが好ましい。なお、本実施形態では、取消処理部304は、サーバ装置4から免税条件不成立の判定結果とともに送信される他の取引に関する情報を基に、免税条件から外れる他の取引が存在するか否かを判定する。
【0058】
表示出力部305は、表示部22の表示出力を制御する。例えば、表示出力部305は、POS端末2の操作を支援するための操作画面を表示部22に表示させる。また、表示出力部305は、登録テーブルTに登録されたデータに基づき、登録された各商品に関する情報を表示部22に表示させる。また、表示出力部305は、免税処理部302と協働することで、免税条件の判定結果を表示部22に表示させたり、免税条件から外れた取引に関する情報を表示部22に表示させたりする。
【0059】
印字出力部306は、プリンタ23の印字出力を制御する。例えば、印字出力部306は、決済処理部303と協働することで、取引内容を示す情報をプリンタ23に出力し、レシートの発行を指示する。また、印字出力部306は、免税処理部302と協働することで、免税条件から外れた取引に関する情報をプリンタ23に出力し、レシートの発行を指示する。以下では、取引内容を印字した客用のレシートと区別するため、免税条件から外れた取引に関する情報を印字したレシートを「店員用レシート」ともいう。
【0060】
一方、サーバ装置4は、免税条件判定部401と、データ管理部402とを備える。
【0061】
サーバ装置4が備える機能構成の一部又は全ては、サーバ装置4のプロセッサ(例えばCPU41)とメモリ(例えばROM42、HDD48)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、サーバ装置4が備える機能構成の一部又は全ては、サーバ装置4に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0062】
免税条件判定部401は、免税条件ファイル482に基づき、POS端末2の各々で行われる免税取引が免税条件を満たすか否かを判定する。具体的には、免税条件判定部401は、POS端末2から送信される条件判定要求に応じて、当該条件判定要求で示された取引の内容が免税条件を満たすか否かを判定し、その判定結果をPOS端末2に返信する。
【0063】
例えば、免税条件判定部401は、条件判定要求に商品情報が含まれる場合、当該商品情報に含まれた免税区分コード“01”、“02”の商品の合計額を算出し、当該合計額が免税条件ファイル482の免税条件を満たすか否かを判定する。また、免税条件判定部401は、条件判定要求に含まれたユーザIDに基づいて、当該ユーザIDを含む免税取引データを免税取引管理ファイル483から検索する。そして、免税条件判定部401は、検索した免税取引データの合計額と、条件判定要求に含まれた商品情報の合計額との総和が、免税条件ファイル482の免税条件を満たすか否かを判定する。なお、免税条件判定部401は、条件判定要求を受信した日付と同日の取引日時の免税取引データを検索対象とする。
【0064】
免税条件判定部401は、免税条件を満たすと判定した場合、免税条件の成立を通知する情報をPOS端末2に送信する。また、免税条件を満たさないと判定した場合、免税条件判定部401は、免税条件の不成立を通知する情報をPOS端末2に送信する。
【0065】
また、例えば、免税条件判定部401は、条件判定要求に取り消し内容が含まれた場合、取り消し内容で指示された取引や商品の金額を減算した合計額に基づき、当該合計額が免税条件ファイル482の免税条件を満たすか否かを判定する。
【0066】
具体的には、免税条件判定部401は、取り消し内容で指示された取引番号に対応する免税取引データを免税取引管理ファイル483から特定すると、当該免税取引データに基づいて、取り消し処理後の合計額を算出する。例えば、取引自体を取り消す場合、免税条件判定部401は、特定した免税取引データの合計額をゼロとする。また、例えば、特定の商品を取り消す場合、免税条件判定部401は、取り消し対象の商品の金額を減算した合計額を算出する。
【0067】
さらに、免税条件判定部401は、特定した免税取引データに含まれるユーザIDに基づき、当該ユーザIDを含む他の免税取引データを検索する。そして、免税条件判定部401は、取り消し処理後の免税取引データの合計額と、検索した他の免税取引データの合計額との総和が、免税条件ファイル482の免税条件を満たすか否かを判定する。
【0068】
ここで、免税条件判定部401は、免税条件を満たすと判定した場合、免税条件の成立を通知する情報をPOS端末2に送信する。また、免税条件を満たさないと判定した場合、免税条件判定部401は、免税条件の不成立を通知する情報をPOS端末2に送信する。また、免税条件判定部401は、取り消し処理に伴い免税条件が不成立となった他の免税取引データが存在する場合、当該他の免税取引データに含まれるレジ番号、取引番号、合計額等の情報を、免税条件の不成立を通知する情報とともにPOS端末2に送信する。
【0069】
データ管理部402は、免税取引管理ファイル483のデータ管理を行う。例えば、データ管理部402は、POS端末2から送信される取引データを免税取引管理ファイル483に記憶する。具体的には、データ管理部402は、POS端末2から、レジ番号、ユーザID、及び取引データの組が送信されると、当該組を免税取引データとして免税取引管理ファイル483に記憶する。
【0070】
また、データ管理部402は、POS端末2から送信される取り消し指示に応じて、処理対象の免税取引データに取り消し処理を実行する。例えば、取引番号を指定した取引の取り消し指示を受け付けた場合、データ管理部402は、該当する取引番号の免税取引データを免税取引管理ファイル483から削除したり、他の管理ファイルに移動させたりする。また、例えば、取引番号及び商品コードを指定した商品の取り消し指示を受け付けた場合、データ管理部402は、該当する取引番号の免税取引データから、指定された商品の商品コードを削除するレジマイナス処理を実行する。なお、取り消し処理に伴い、免税条件が不成立となる免税取引データが存在する場合には、データ管理部402は、免税条件判定部401と協働することで、免税条件が不成立となった免税取引データの免税フラグを無効に設定する。
【0071】
次に、図10及び図11を用いて、POS端末2及びサーバ装置4の動作例について説明する。
【0072】
図10は、POSシステム1を用いた取引の一例を模式的に示す図である。まず、図10(a)に示すように、レジ番号”01”のPOS端末2において、取引番号”0001”の取引を行ったとする。この取引では、ユーザが合計額5000円の商品(一般商品又は消耗品)を購入する。ここで、取引の際に免税宣言キー211が入力され、ユーザIDの取得が行われたとすると、レジ番号”01”のPOS端末2の免税処理部302は、登録された商品の商品情報、ユーザID等を含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する。この場合、条件判定要求に含まれる商品情報の合計額は5000円以上となり、免税条件ファイル482の免税条件を満たすことになる。そのため、サーバ装置4の免税条件判定部401は、免税条件が成立すると判定し、その判定結果をレジ番号”01”のPOS端末2に送信する。
【0073】
レジ番号”01”のPOS端末2では、サーバ装置4から判定結果を受け付けると、免税処理部302が決済処理部303と協働することで、5000円分の免税処理を成立させる。そして、レジ番号”01”のPOS端末2の決済処理部303は、自機のレジ番号”01”及び取引を行ったユーザのユーザIDとともに、当該取引の取引データをサーバ装置4に送信する。サーバ装置4のデータ管理部402は、レジ番号”01”のPOS端末2から送信された取引データ等を免税取引データとして免税取引管理ファイル483に記憶する。
【0074】
続く、図10(b)では、図10(a)と同一のユーザが、レジ番号”02”のPOS端末2において、取引番号”0006”の取引を行ったとする。この取引では、ユーザが合計額100円の商品(一般商品又は消耗品)を購入する。ここで、取引の際に免税宣言キー211が入力され、ユーザIDの取得が行われたとすると、レジ番号”02”のPOS端末2の免税処理部302は、登録された商品の商品情報、ユーザID等を含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する。この場合、図10(a)の取引に係る免税取引データの合計額と、条件判定要求に含まれた商品情報の合計額との総和は5000円以上となり、免税条件ファイル482の免税条件を満たすことになる。そのため、サーバ装置4の免税条件判定部401は、免税条件が成立すると判定し、その判定結果をレジ番号”02”のPOS端末2に送信する。
【0075】
レジ番号”02”のPOS端末2では、サーバ装置4から判定結果を受け付けると、免税処理部302が決済処理部303と協働することで、100円分の免税処理を成立させる。そして、レジ番号”02”のPOS端末2の決済処理部303は、自機のレジ番号”02”及び取引を行ったユーザのユーザIDとともに、当該取引の取引データをサーバ装置4に送信する。サーバ装置4のデータ管理部402は、レジ番号”02”のPOS端末2から送信された取引データ等を免税取引データとして免税取引管理ファイル483に記憶する。
【0076】
続く、図10(c)では、図10(a)、(b)の取引と同一のユーザが、レジ番号”03”のPOS端末2において、取引番号”0015”の取引を行ったとする。この取引では、ユーザが合計額200円の商品(一般商品又は消耗品)を購入する。ここで、取引の際に免税宣言キー211が入力され、ユーザIDの取得が行われたとすると、レジ番号”03”のPOS端末2の免税処理部302は、登録された商品の商品情報、ユーザID等を含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する。この場合、図10(a)、(b)の取引に係る免税取引データの合計額と、条件判定要求に含まれた商品情報の合計額との総和は5000円以上となり、免税条件ファイル482の免税条件を満たすことになる。そのため、サーバ装置4の免税条件判定部401は、免税条件が成立すると判定し、その判定結果をレジ番号”03”のPOS端末2に送信する。
【0077】
サーバ装置4から判定結果を受けたレジ番号”03”のPOS端末2では、免税処理部302が決済処理部303と協働することで、200円の免税処理を成立させる。そして、レジ番号”03”のPOS端末2の決済処理部303は、自機のレジ番号”03”及び取引を行ったユーザのユーザIDとともに、当該取引の取引データをサーバ装置4に送信する。サーバ装置4のデータ管理部402は、レジ番号”03”のPOS端末2から送信された取引データ等を免税取引データとして免税取引管理ファイル483に記憶する。
【0078】
続く、図10(d)では、図10(a)~(c)の取引と同一のユーザが、レジ番号”01”のPOS端末2において、図10(a)の取引(取引番号“0001”)で購入した商品の返品を行ったとする。この場合、レジ番号”01”のPOS端末2のオペレータは、取消キー214を入力した後、客用レシート等に記載された取り消し対象の取引の取引番号を入力する。
【0079】
レジ番号“01”のPOS端末2の取り消し処理部は、入力された取引番号と当該取引番号の取引を取り消すことを指示した条件判定要求をサーバ装置4に送信する。この場合、図10(a)~(c)の各取引に係る免税取引データの合計額“5300円”から、図10(a)の取引に係る免税取引データの合計額“5000円”を減算した値は“300円”となり、免税条件ファイル482の免税条件を満たさないことになる。そのため、サーバ装置4の免税条件判定部401は、免税条件が不成立と判定し、その判定結果をレジ番号”03”のPOS端末2に送信する。
【0080】
また、この場合、図10(b)、(c)の取引が免税条件から外れるため、サーバ装置4の免税条件判定部401は、図10(b)、(c)の取引に係る取引データから取引番号やレジ番号、合計額等を読み出し、判定結果とともにレジ番号“01”のPOS端末2に送信する。
【0081】
レジ番号”01”のPOS端末2では、サーバ装置4から判定結果を受け付けると、取消処理部304が判定結果の内容を表示部22に表示する。例えば、取消処理部304は、判定結果が免税条件の不成立を示す場合、取り消し処理を継続するか否を確認するための画面を表示部22に表示させる。取り消し処理を継続することが指示された場合、取消処理部304は、取引管理ファイル262に記憶された該当する取引の取引データを削除等することで、取り消し処理を実行する。また、オペレータは、返品された商品の金額“5000円”から、免税条件から外れた図10(b)、(c)の取引に係る税金分を差し引いた金額を、ユーザに返金することで返品が成立する。
【0082】
また、取消処理部304は、取り消し処理を実行すると、処理対象の取引番号と取り消し内容とを指示した取り消し指示をサーバ装置4に送信する。サーバ装置4のデータ管理部402は、取り消し指示を受け付けると、指示された内容に基づき該当する取引データを削除等することで、取り消し処理を実行する。なお、サーバ装置4のデータ管理部402は、取り消し処理に伴い、免税条件から外れた免税取引データの免税フラグを無効に設定する。例えば、取引番号“0006”及び“0015”の免税取引データが免税条件から外れた場合には、これらの免税取引データに対応付けられた免税フラグを無効に設定する。
【0083】
さらに、取消処理部304は、取り消し処理の実行に伴い、免税条件から外れた他の取引が存在する場合、印字出力部306と協働することで、免税条件から外れた他の取引に関する情報を店員用レシートとして印字出力する。具体的には、図10の例の場合、取消処理部304は、図10(b)、(c)の取引に関する情報を店員用レシートとして印字出力する。
【0084】
図11は、店員用レシートの一例を示す図である。図11に示すように、店員用レシートには、免税条件から外れた取引に関する情報として、例えば、当該取引が行われたPOS端末2のレジ番号、取引番号、取引額(合計額)とが印字される。係る情報は、サーバ装置4から通知される情報に基づき印字することができる。
【0085】
店員用レシートを確認したオペレータは、店員用レシートに記載されたレジ番号のPOS端末2において、店員用レシートに記載された取引番号を入力し、例えば免税フラグを無効にするための操作を行う。例えば、図11の店員用シートの場合、オペレータは、レジ番号“02”のPOS端末2において、取引番号“0006”の取引データの免税フラグを無効にするための操作を行う。また、例えば、オペレータは、レジ番号“03”のPOS端末2において、取引番号“0015”の取引データの免税フラグを無効にするための操作を行う。
【0086】
これにより、サーバ装置4に記憶された取引データ(免税取引データ)と、POS端末2の各々に記憶される取引データとの状態を一致させることができ、データの整合を図ることができる。
【0087】
以下、図12及び図13を参照して、POS端末2が行う処理の一例について説明する。
【0088】
図12は、POS端末2が行う販売データ処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御部300は、商品を特定する商品コードが入力されたか否かを判定する(ステップS11)。商品コードが入力された場合(ステップS11;Yes)、登録部301は、入力された商品コードに基づいて、当該商品コードに対応する商品の商品情報を商品マスタファイル261から取得する(ステップS12)。次いで、登録部301は、取得した商品情報を登録テーブルTに登録し、ステップS11に処理を戻す。
【0089】
商品コードが入力されていないと判定した場合(ステップS11;No)、制御部300は、免税宣言キー211が入力されたか否かを判定する(ステップS13)。免税宣言キーが入力された場合(ステップS13;Yes)、免税処理部302は、パスポートリーダ27を介してユーザを特定するユーザIDを読み取る(ステップS14)。次いで、免税処理部302は、読み取ったユーザIDをRAM33等に記憶し、ステップS11に処理を戻す。
【0090】
免税宣言キー211が入力されていないと判定した場合(ステップS13;No)、制御部300は、締めキー213等の操作により決済の実行が指示されたか否かを判定する(ステップS15)。ここで、決済の実行が指示されない場合には(ステップS15;No)、制御部300は、ステップS11に処理を戻す。
【0091】
決済の実行が指示された場合(ステップS15;Yes)、決済処理部303は、免税宣言キー211が入力済か否かを判定する(ステップS16)。例えば、決済処理部303は、RAM33にユーザIDが記憶されているか否かに基づき、免税宣言キー211が入力済か否かを判定する。なお、免税宣言キー211の入力は、決済の実行指示の後に行われてもよい。
【0092】
免税宣言キー211が未入力の場合(ステップS16;No)、決済処理部303は、登録テーブルTに登録された商品の商品情報に基づいて、当該商品の決済処理を税込み価格で実行する(ステップS17)。そして、決済処理部303は、当該取引を識別する取引番号に関連付けて、当該取引の取引データを取引管理ファイル262に記憶し(ステップS18)、本処理を終了する。なお、ステップS18において、取引データは、免税フラグ及び免税宣言キーフラグが無効に設定された状態で記憶される。
【0093】
一方、免税宣言キー211が入力済の場合(ステップS16;Yes)、免税処理部302は、登録テーブルTに登録された商品情報及びRAM33に保持されたユーザID等を含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する(ステップS19)。
【0094】
サーバ装置4では条件判定要求を受信すると、免税条件判定部401は、商品情報に基づき算出した合計額と、ユーザIDに関連付けて記憶された他の取引の合計額とから、免税条件が成立するか否かを判定し、その判定結果を要求元のPOS端末2に送信する。そして、免税処理部302は、サーバ装置4から送信される判定結果に基づき、免税条件が成立するか否かを判定する(ステップS20)。
【0095】
免税条件が不成立の場合(ステップS20;No)、決済処理部303は、登録テーブルTに登録された商品の商品情報に基づいて、当該商品の決済処理を税込み価格で実行する(ステップS21)。そして、決済処理部303は、当該取引の取引データを記憶するため、ステップS23に移行する。
【0096】
また、免税条件が成立した場合(ステップS20;Yes)、決済処理部303は、免税処理部302と協働し、登録テーブルTに登録された商品の商品情報に基づいて、当該商品の決済処理を税抜き価格で実行し(ステップS22)、ステップS23に移行する。
【0097】
ステップS23において、決済処理部303は、当該取引を識別する取引番号に関連付けて、当該取引の取引データを取引管理ファイル262に記憶する(ステップS23)。ステップS23において、ステップS21で決済処理された取引データは、免税フラグが無効に設定され免税宣言キーフラグが有効に設定された状態で記憶される。また、ステップS22で決済処理(免税処理)された取引データは、免税フラグ及び免税宣言キーフラグが有効に設定された状態で記憶される。
【0098】
なお、免税条件が不成立の場合であってもサーバ装置4に取引データ(免税取引データ)を送信するのは、同一のユーザが今後行う他の取引との合算により、免税条件が成立する場合があるためである。これにより、POS端末2の何れで取引が行われた場合であっても、サーバ装置4に記憶された過去の免税取引データを参照することで、他のPOS端末2で行われた取引との合計額に基づいた免税条件の適否判定を行うことができる。
【0099】
図13は、POS端末2が行う取消処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御部300は、取消キー214が入力されるまで待機する(ステップS31;No)。取消キー214が入力されると(ステップS31;Yes)、取消処理部304は、取り消し処理の処理対象となる取引の取引番号が入力されるまで待機する(ステップS32;No)。取引番号が入力されると(ステップS32;Yes)、取消処理部304は、入力された取引番号に該当する取引データが、取引管理ファイル262に存在するか否かを判定する(ステップS33)。
【0100】
入力された取引番号に該当する取引データが存在しない場合(ステップS33;No)、取消処理部304は、ステップS31に処理を戻す。つまり、本実施形態では、取り消しの対象となる取引が行われたPOS端末2において、当該取引の取り消しを行うことが可能となっている。なお、取引番号に該当する取引データが存在しない場合、取消処理部304は、自機のPOS端末2に取り消し対象の取引データが存在しないことを報知する表示出力を行ってよい。
【0101】
入力された取引番号に該当する取引データが存在する場合(ステップS33;Yes)、取消処理部304は、取引データに対応付けられた免税宣言キーフラグが有効か否かを判定する(ステップS34)。免税宣言キーフラグが無効の場合(ステップS34;No)、取消処理部304は、通常の取引と判断し、別途入力された取り消し内容に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行し(ステップS35)、本処理を終了する。
【0102】
また、免税宣言キーフラグが有効の場合(ステップS34;Yes)、取消処理部304は、免税フラグが有効か否かを判定する(ステップS36)。
【0103】
ここで、免税フラグが無効の場合(ステップS36;No)、取消処理部304は、別途入力された取り消し内容に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する(ステップS37)。次いで、取消処理部304は、ステップS37で実行した取り消し処理を、サーバ装置4に記憶された対応する取引データ(免税取引データ)に反映するため、取引番号及び取り消し内容等を含んだ取り消し指示をサーバ装置4に送信し(ステップS38)、本処理を終了する。
【0104】
これにより、サーバ装置4のデータ管理部402は、POS端末2から送信される取り消し指示に応じて、対象となる免税取引データ(取引データ)に、指示された内容の取り消し処理を実行する。
【0105】
一方、免税フラグが有効の場合(ステップS36;Yes)、取消処理部304は、取引番号及び取り消し内容等を含んだ条件判定要求をサーバ装置4に送信する(ステップS39)。サーバ装置4では条件判定要求を受信すると、免税条件判定部401が、指定された取引番号に対応する取引の取引データに基づき、取り消し内容で指示された取り消し処理を行った場合での当該取引の合計額を算出する。また、免税条件判定部401、算出した合計額と、指定された取引番号に対応するユーザIDを含んだ他の取引の合計額とを合算し、その合算額に基づき免税条件が成立するか否かを判定する。そして、免税条件判定部401は、その判定結果を要求元のPOS端末2に送信する。なお、取り消し処理を行うことで、他の取引の免税条件が不成立となるような場合には、免税条件判定部401は、判定結果とともに、免税条件が不成立となる他の取引に関する情報(取引番号、レジ番号、合計額等)を要求元のPOS端末2に送信する。
【0106】
続いて、取消処理部304は、サーバ装置4から送信される判定結果に基づき、免税条件が成立するか否かを判定する(ステップS40)。ここで、免税条件が成立する場合(ステップS40;Yes)、取消処理部304は、ステップS37に移行し、取り消し内容に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する。
【0107】
一方、免税条件が不成立の場合(ステップS40;No)、取消処理部304は、免税条件から外れることを確認するメッセージを表示部22に表示させ(ステップS41)、オペレータからの入力を待機する。ここで、取り消し処理の中止を指示する操作が入力された場合(ステップS42;No)、取消処理部304は、本処理を終了する。
【0108】
また、取り消し処理の実行を指示する操作が入力された場合(ステップS42;Yes)、取消処理部304は、取り消し内容に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する(ステップS43)。次いで、取消処理部304は、ステップS43で実行した取り消し処理を、サーバ装置4に記憶された対応する取引データ(免税取引データ)に反映するため、取引番号及び取り消し内容等を含んだ取り消し指示をサーバ装置4に送信する(ステップS44)。
【0109】
続いて、取消処理部304は、サーバ装置4の判定結果に基づき、免税条件から外れる取引が存在するか否かを判定する(ステップS45)。ここで、免税条件から外れる取引が存在しない場合(ステップS45;No)、取消処理部304は、本処理を終了する。
【0110】
免税条件から外れる取引が存在する場合には(ステップS45;Yes)、取消処理部304は、免税条件から外れる取引に関する情報を印字した店員用レシートを出力し(ステップS46)、本処理を終了する。
【0111】
以上により、本実施形態のPOS端末2の各々は、免税宣言キー211の操作により自機で免税取引を行う場合に、当該免税取引の合計額と、サーバ装置4に記憶された同一のユーザに係る他の免税取引の合計額とに基づき、当該免税取引が免税条件を満たすか否かを判定する。そして、POS端末2の各々は、その判定結果に応じて税金を免除した税抜き価格又は税金を含んだ税込み価格で、登録された商品の決済処理を実行する。そして、POS端末2は、決済処理で決済された免税取引の取引データを、取引番号と、ユーザIDと関連付けてサーバ装置4に記憶する。
【0112】
また、本実施形態のPOS端末2の各々は、取消キー214の操作により免税取引又は免税取引で決済された商品の取り消し指示を受け付けた場合、取り消し指示に応じた取り消し処理を、処理対象の取引データに実行する。そして、POS端末2は、自機で実行した取り消し処理により、免税条件から外れる他の免税取引がサーバ装置4に存在する場合に、当該他の免税取引に関する情報を出力する。例えば、POS端末2は、免税条件から外れる免税取引の取引番号や当該免税取引が行われたPOS端末2のレジ番号、合計額等を出力する。
【0113】
これにより、POS端末2のオペレータは、免税条件から外れた他の取引を容易に確認することができるため、該当する取引データの特定や、取引が行われたPOS端末2の特定を容易に行うことができる。このように、本実施形態のPOS端末2では、例えば自機で実行した取り消し処理により、他のPOS端末2に記憶された他の取引の取引データが免税条件から外れた場合、その取引データの特定や操作を容易に行うことができる。したがって、本実施形態では、販売データ処理装置に記憶される取引データと、サーバ装置4に記憶される取引データとの整合を図ることができる。
【0114】
なお、上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0115】
(変形例1)
上述の実施形態では、取り消し処理に伴い免税条件から外れる取引が存在する場合に、当該取引に関する情報を出力する形態を説明した。一方で、新たに行われた決済処理に伴い、免税条件を満たすことになる既存の取引も存在する。例えば、図10で説明した図(a)~(c)の取引のうち、同一のユーザが(b)、(c)の取引を先に行い、(a)の取引を最後に行ったとする。この場合、(b)、(c)の取引では免税条件不成立となり、(a)の取引を行うことで(a)~(c)の全てが免税条件成立となる。この場合、(a)の取引を行うPOS端末2では、免税条件が成立した(b)、(c)の取引を容易に確認することができない。
【0116】
そこで、新たに行う決済処理により、免税条件が成立する他の取引が存在するような場合、上述した実施形態と同様に、当該他の取引に関する情報を出力する構成としてもよい。
【0117】
具体的には、サーバ装置4の免税条件判定部401は、上述の実施形態と同様に、免税処理部302から送信される条件判定要求に応じて免税条件が成立するか否かを判定する。免税条件判定部401は、成立すると判定した場合、これまで免税条件が不成立であった同一のユーザの他の取引が、免税条件の成立に転じたか否かを判定し、成立に転じた場合には、当該他の取引に関する情報を判定結果とともに、要求元のPOS端末2に送信する。
【0118】
一方、POS端末2の免税処理部302は、決済処理部303と協働することで、決済処理(免税処理)を行った場合、サーバ装置4から送信された情報に基づき、免税条件が成立した他の取引が存在するか否かを判定する。そして、免税処理部302は、免税条件が成立した他の取引に関する情報を表示出力又は店員用レシートとして印字出力する。つまり、免税処理部302は、第2出力制御手段の一例として機能する。
【0119】
これにより、POS端末2のオペレータは、免税条件が成立した他の取引を容易に確認することができるため、該当する取引データの特定や、取引が行われたPOS端末2の特定を容易に行うことができる。このように、本変形例のPOS端末2では、例えば自機で実行した免税処理により、他のPOS端末2に記憶された他の取引の取引データが免税条件に該当した場合、その取引データの特定や操作を容易に行うことができる。したがって、本実施形態では、販売データ処理装置に記憶される取引データと、サーバ装置4に記憶される取引データとの整合を図ることができる。
【0120】
(変形例2)
上述の実施形態では、サーバ装置4が備える免税条件判定部401により、サーバ装置4に記憶された免税取引データに基づく免税条件の判定を行う形態と説明したが、これに限定されるものではない。例えば、POS端末2の各々が免税条件判定部401と同様の機能部を備えることで、POS端末2の各々が、サーバ装置4に記憶された免税取引データに基づく免税条件の判定を個別に行う構成としてもよい。
【0121】
この場合、サーバ装置4は、例えば、免税取引データの記憶と管理を行うデータベースサーバとして機能し、POS端末2の各々が備える免税条件判定部401は、サーバ装置4に記憶された免税取引データ等を参照して、自機で行われる取引が免税条件を満たすか否かを判定する。なお、この場合、POS端末2の免税条件判定部401は、判定手段の一例として機能する。
【0122】
この場合、サーバ装置4は、例えば、免税取引データの記憶と管理を行うデータベースサーバとして機能し、POS端末2の各々が備える免税条件判定部401は、サーバ装置4に記憶された免税取引データ等を参照して、自機で行われる取引が免税条件を満たすか否かを判定する。なお、この場合、POS端末2の免税条件判定部401は、判定手段の一例として機能する。
【0123】
(変形例3)
上述の実施形態では、POS端末2の各々では、自機のPOS端末2に記憶された取引データの取り消し処理を行うことを可能としたが、これに限らず、他のPOS端末2に記憶された取引データを取り扱うことが可能な構成としてもよい。
【0124】
例えば、取消処理部304は、取り消し処理の実行により他のPOS端末2で実行された他の取引が免税条件から外れた場合、サーバ装置4から通知されたレジ番号に基づいて当該他のPOS端末2にアクセスする。そして、取消処理部304は、アクセスしたPOS端末2の取引管理ファイル262に記憶されている取引データのうち、免税条件から外れた取引番号の取引データの免税フラグを無効に設定する。
【0125】
これにより、POS端末2では、取り消し処理の実行により他のPOS端末2で実行された他の取引が免税条件から外れた場合、当該他の取引に係る取引データを自動で操作することができるため、利便性の向上を図ることができる。なお、取消処理部304は、取引データの操作に際し、オペレータの確認を促すための画面を表示部22に表示し、操作が指示された場合に、他の取引に係る取引データを操作する形態としてもよい。
【0126】
本実施形態及びその変形の販売データ処理装置で使用する各種プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供し、販売データ処理装置のHDDやフラッシュROM等に読み込ませて実行してもよい。
【0127】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0128】
以上の各実施形態及びその変形において、販売データ処理装置及びプログラムについての構成を説明したが、実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態及び変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 POSシステム
2 POS端末
3 ネットワーク
4 サーバ装置
301 登録部
302 免税処理部
303 決済処理部
304 取消処理部
305 表示出力部
306 印字出力部
401 免税条件判定部
402 データ管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2016-91214号公報
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