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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184237
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】煙感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20231221BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20231221BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G01N21/01 B
G01N21/53 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098277
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 貴明
(72)【発明者】
【氏名】上津 智宏
【テーマコード(参考)】
2G059
5C085
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB01
2G059CC19
2G059EE17
2G059KK01
2G059MM05
2G059PP03
5C085AA03
5C085AB01
5C085BA33
5C085CA08
5C085CA15
5C085CA16
5C085FA08
5C085FA12
(57)【要約】
【課題】異物に起因して誤検知する可能性を低減できる煙感知器を提供すること。
【解決手段】煙感知器100は、筐体1と、検知部20と、仕切り部3と、基板41と、有底筒形状の検知カバー21と、抑制部5と、を備える。筐体1は、外部から煙を流入可能な開口部101を有する。検知部20は、筐体1の内部にある検知空間Sp1の煙を検知する。仕切り部3は、筐体1の内部を仕切る。基板41は、検知部20が配置される。検知カバー21は、検知部20を収容する。抑制部5は、検知カバー21の端部の周縁に設けられ、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。検知空間Sp1は、基板41及び検知カバー21で形成される空間である。抑制部5は、基板41と仕切り部3との間に配置される。抑制部5の少なくとも一部は、基板41に接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から煙を流入可能な開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部にある検知空間の煙を検知する検知部と、
前記筐体の内部を仕切る仕切り部と、
前記検知部が配置される基板と、
前記検知部を収容する有底筒形状の検知カバーと、
前記検知カバーの端部の周縁に設けられ、前記外部から前記検知空間に異物が侵入することを抑制する抑制部と、を備え、
前記検知空間は、前記基板及び前記検知カバーで形成される空間であり、
前記抑制部は、前記基板と前記仕切り部との間に配置され、
前記抑制部の少なくとも一部は、前記基板に接触する、
煙感知器。
【請求項2】
前記検知カバーは、
前記煙が流入可能な窓孔と、
前記窓孔を覆う防虫網と、を具備する、
請求項1に記載の煙感知器。
【請求項3】
前記検知カバーは、
前記検知カバーの前記端部の前記周縁から、前記基板の厚さ方向において前記仕切り部と前記基板との間に突出する鍔部を更に具備し、
前記抑制部は、前記鍔部を含む、
請求項1又は請求項2に記載の煙感知器。
【請求項4】
前記鍔部は、外側に向かって突出する、
請求項3に記載の煙感知器。
【請求項5】
前記鍔部は、前記厚さ方向に沿って対向する第1面及び第2面を有し、
前記第1面は、前記基板に接触する、
請求項3に記載の煙感知器。
【請求項6】
前記鍔部は、前記厚さ方向に沿って対向する第1面及び第2面を有し、
前記第1面は、前記基板に接触する、
請求項4に記載の煙感知器。
【請求項7】
前記鍔部は、前記第1面の少なくとも一部を前記基板に押し付ける弾性力を有する、
請求項5に記載の煙感知器。
【請求項8】
前記鍔部は、前記第1面の少なくとも一部を前記基板に押し付ける弾性力を有する、
請求項6に記載の煙感知器。
【請求項9】
前記第1面の少なくとも一部に、凹凸部が設けられる、
請求項5に記載の煙感知器。
【請求項10】
前記第1面の少なくとも一部に、凹凸部が設けられる、
請求項6に記載の煙感知器。
【請求項11】
前記第1面の少なくとも一部に、凹凸部が設けられる、
請求項7に記載の煙感知器。
【請求項12】
前記第1面の少なくとも一部に、凹凸部が設けられる、
請求項8に記載の煙感知器。
【請求項13】
前記抑制部は、
前記鍔部と前記基板との両方に接触するように配置される樹脂を更に含む、
請求項3に記載の煙感知器。
【請求項14】
前記抑制部は、
前記鍔部と前記基板との両方に接触するように配置される樹脂を更に含む、
請求項4に記載の煙感知器。
【請求項15】
前記鍔部において、前記樹脂と接触する面は、粗面である、
請求項13に記載の煙感知器。
【請求項16】
前記鍔部において、前記樹脂と接触する面は、粗面である、
請求項14に記載の煙感知器。
【請求項17】
前記抑制部は、
前記鍔部と前記基板との間の隙間を遮る遮蔽部を更に含み、
前記遮蔽部は、前記基板に接触する、
請求項3に記載の煙感知器。
【請求項18】
前記抑制部は、
前記鍔部と前記基板との間の隙間を遮る遮蔽部を更に含み、
前記遮蔽部は、前記基板に接触する、
請求項4に記載の煙感知器。
【請求項19】
前記遮蔽部は、パッキン部材、ブラシ状部材、及び粘着テープの少なくとも1つを含む、
請求項17に記載の煙感知器。
【請求項20】
前記遮蔽部は、パッキン部材、ブラシ状部材、及び粘着テープの少なくとも1つを含む、
請求項18に記載の煙感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、煙感知器に関する。より詳細には、本開示は、煙を検知する煙感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、煙感知器が開示されている。この煙感知器は、発光部及び受光部を用いて光学的に煙を検知する煙感知部を備えている。煙感知部は、発光部及び受光部が収納される光学基台を備えている。光学基台は、防虫網で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-257258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の煙感知器では、光学基台(基板)と防虫網が設けられる検知カバーとの間から異物が煙感知部の内部(検知空間)に侵入することが考えられる。このため、この煙感知器では、侵入した異物に起因して誤検知する、という問題が生じる可能性があった。
【0005】
本開示は、異物に起因して誤検知する可能性を低減できる煙感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る煙感知器は、筐体と、検知部と、仕切り部と、基板と、有底筒形状の検知カバーと、抑制部と、を備える。前記筐体は、外部から煙を流入可能な開口部を有する。前記検知部は、前記筐体の内部にある検知空間の煙を検知する。前記仕切り部は、前記筐体の内部を仕切る。前記基板は、前記検知部が配置される。前記検知カバーは、前記検知部を収容する。前記抑制部は、前記検知カバーの端部の周縁に設けられ、前記外部から前記検知空間に異物が侵入することを抑制する。前記検知空間は、前記基板及び前記検知カバーで形成される空間である。前記抑制部は、前記基板と前記仕切り部との間に配置される。前記抑制部の少なくとも一部は、前記基板に接触する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異物に起因して誤検知する可能性を低減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る煙感知器の上方から見た外観斜視図である。
図2図2は、同上の煙感知器の要部断面図である。
図3図3は、同上の煙感知器の上方から見た分解斜視図である。
図4図4は、同上の本体部の下方から見た外観斜視図である。
図5図5は、同上の煙感知器の断面の一部を拡大した概略拡大図である。
図6図6は、同上の第1変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。
図7図7Aは、同上の第2変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。図7Bは、同上の第2変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。
図8図8Aは、同上の第3変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。図8Bは、同上の第3変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。図8Cは、同上の第3変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。
図9図9Aは、実施形態2の煙感知器における要部の概略断面図である。図9Bは、同上の変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。
図10図10Aは、実施形態3の煙感知器における要部の概略断面図である。図10Bは、同上の変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。図10Cは、同上の変形例の煙感知器における要部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態の煙感知器について、図面を用いて説明する。下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(1)実施形態1
(1-1)概要
以下、実施形態1に係る煙感知器100の概要について、図1図3を参照して説明する。
【0011】
実施形態1に係る煙感知器100(図1参照)は、火災等によって発生する煙を感知した場合に、発報を行う防災機器である。つまり、火災等の災害の発生時において煙が発生すると、煙感知器100は、この煙を感知し、一例として、警報音の出力又は通信機能による他の機器との連動等によって発報を行う。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。
【0012】
煙感知器100は、施設に設置されて使用される。本実施形態では、煙感知器100が、例えば、ホテル、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院又は工場等の非住宅の施設に用いられる場合を例示する。もちろん、この例に限らず、煙感知器100は、集合住宅又は戸建住宅等の施設に用いられてもよい。煙感知器100は、例えば、施設の居室、廊下又は階段等において、天井又は壁等に取り付けられた状態で施設に設置される。
【0013】
煙感知器100は、図1図3に示すように、筐体1と、検知部20と、仕切り部3と、基板41と、検知カバー21と、抑制部5と、を備える。
【0014】
筐体1は、外部から煙を流入可能な開口部101を有する。つまり、火災等によって煙が発生した場合、発生した煙は、開口部101を通して筐体1の内部へ流入することになる。
【0015】
検知部20は、筐体1の内部にある検知空間Sp1(図2参照)の煙を検知する。仕切り部3は、筐体1の内部を仕切る。基板41には、検知部20が配置される。検知カバー21は、検知部20を収容する。検知カバー21は、有底筒状である。抑制部5は、検知カバー21の端部の周縁に設けられ、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。検知空間Sp1は、基板41及び検知カバー21で形成される空間である。抑制部5は、図2に示すように、基板41と仕切り部3との間に配置される。抑制部5の少なくとも一部は、基板41に接触する。
【0016】
本開示でいう「異物」は、例えば、虫、又は粉塵であり、煙粒子よりも大きい移動体である。すなわち、「異物」は、煙粒子よりも大きく、自ら移動する生き物、又は気流等によって浮遊し移動する物体である。異物が虫である場合を例に説明すると、虫は、自ら飛翔する、這って移動する、又は風に乗って運ばれることで、煙感知器100の設置されている天井若しくは壁に張り付く、又は開口部101を通して筐体1の内部へと侵入する可能性がある。そして、煙感知器が抑制部を備えていない場合、虫が天井、壁、又は筐体の内壁を這って移動することにより、検知カバーと基板の隙間から検知空間へと侵入する可能性がある。感知空間へ虫が侵入した場合、検知空間に煙が存在しないにも関わらず、検知部が誤検知する可能性がある。
【0017】
一方、実施形態1の煙感知器100では、検知カバー21の端部の周縁に設けられた抑制部5を備え、抑制部5の少なくとも一部は、基板41に接触する。このため、抑制部5によって、検知カバー21と基板41の隙間から異物が検知空間Sp1へ侵入する可能性を低減できるという効果を奏する。したがって、実施形態1では、異物に起因して誤検知する可能性を低減できる、という利点がある。
【0018】
(1-2)詳細な構成
(1-2-1)全体
以下に、実施形態1の煙感知器100の詳細な構成について、図1図5を参照して説明する。
【0019】
一例として、煙感知器100が施設の天井面A1(図2参照)に取り付けられていることとして説明する。以下、煙感知器100が天井面A1に取り付けられた状態において、天井面A1に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、煙感知器100から天井面A1に向かう向きを「上方」、その逆を「下方」として説明する。図面中の「上下方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。ただし、これらの方向は煙感知器100の使用方向(取付方向)を限定する趣旨ではない。
【0020】
煙感知器100は、図1及び図3に示すように、筐体1と、検知ブロック2と、仕切り部3と、回路ブロック4と、抑制部5と、複数(ここでは3つ)の第1ねじ91と、第2ねじ92と、防虫網93と、音出力部94と、を備える。また、実施形態1では、煙感知器100は、電池B1を更に備える。電池B1が煙感知器100の構成要素に含まれることは必須ではなく、煙感知器100の構成要素に電池B1が含まれていなくてもよい。
【0021】
(1-2-2)筐体
筐体1は、検知ブロック2と、回路ブロック4と、抑制部5と、防虫網93と、音出力部94と、を収容する。筐体1は、平面視において円形状となる円盤状である。筐体1は、合成樹脂製の成形品である。
【0022】
筐体1は、図1に示すように、本体10と、第1カバー11と、第2カバー12と、を有する。筐体1は、本体10に第1カバー11及び第2カバー12を組み合わせることで構成される。筐体1は、施工面(ここでは、天井面A1(図2参照))に固定される。ただし、厳密には、筐体1は施工面に直接的に固定されるわけではなく、施工面に固定されている取付ベース(図示なし)に固定されることによって、施工面に対して間接的に固定される。
【0023】
図3及び図4に示すように、本体10は、円筒状である。本体10の内面には、仕切り部3が設けられている。本体10は、仕切り部3の上面の周縁から上方に向かって径を広げるように突出する壁と、仕切り部3の下面の周縁から下方に向かって径を広げるように突出する壁と、で構成されている。本体10には、周方向にわたって複数の開口部101が設けられている。複数の開口部101の各々は、本体10の周方向に長い矩形状であって、本体10の厚さ方向(径方向)に貫通している。複数の開口部101の各々は、筐体1の内部を筐体1の外部とつないでいる。このため、筐体1の内部には、複数の開口部101のそれぞれを通して筐体1の外部から煙が流入可能となっている。実施形態1では、複数の開口部101の各々は、図2に示すように、本体10において、仕切り部3の上方に設けられている。
【0024】
仕切り部3は、筐体1の内部を上下方向に仕切る。より詳細には、図2に示すように、仕切り部3は、上下方向において、筐体1の内部を、第1カバー11と仕切り部3とに挟まれた空間と、第2カバー12と仕切り部3とに挟まれた空間と、に仕切る。仕切り部3は、図3及び図4に示すように、第1通孔31と、第2通孔32と、複数(ここでは3つ)の第1挿入孔33と、第2挿入孔34と、凸部35と、が設けられた本体部30を有する。本体部30は、円板状の部材である。
【0025】
第1通孔31は、本体部30を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において検知ブロック2の後述する検知カバー21の外形と同じ略円形状である。第1通孔31には、検知ブロック2の検知カバー21が下方から挿入される。第2通孔32は、本体部30を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において第1カバー11の後述する電池ケース114の外形と同じ略円形状である。第2通孔32には、第1カバー11の電池ケース114が下方から挿入される。
【0026】
複数の第1挿入孔33の各々、及び第2挿入孔34は、本体部30を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において円形状である。複数の第1挿入孔33の各々は、本体10に第1カバー11及び第2カバー12を組み合わせた状態において、対応する第1カバー11の第1ボス111(後述する)と、対応する第2カバー12のねじ穴121(後述する)と、に対向する。一方、第2挿入孔34は、本体10に第1カバー11及び第2カバー12を組み合わせた状態において、第1カバー11の後述する第2ボス112と、基板41の後述する通孔42と、に対向する。
【0027】
凸部35は、図4に示すように、本体部30の下面から下方向に突出している。凸部35は、第1通孔31の周縁に沿って設けられる。一例として、凸部35の上下方向の寸法は、1.2mmである。なお、凸部35の上下方向の寸法は、厳密に1.2mmである必要はなく、±0.05mmの誤差は許容される。
【0028】
第1カバー11は、図3に示すように、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状が本体10と同一である。第1カバー11は、複数(ここでは、3つ)の第1ボス111と、第2ボス112と、音響ケース113と、電池ケース114と、を有している。また、第1カバー11において、複数の第1ボス111の各々、及び第2ボス112に囲まれた領域には、基板41が配置される。
【0029】
複数の第1ボス111の各々は、円筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。複数の第1ボス111の各々には、3つの第1ねじ91のうち対応する第1ねじ91が締め付けられるねじ穴が形成されている。第2ボス112は、平面視において円形状となる筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。第2ボス112には、第2ねじ92が締め付けられるねじ穴が形成されている。
【0030】
音響ケース113は、円筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。音響ケース113には、音出力部94が収容される。また、音響ケース113の底面には、第1カバー11を厚さ方向(上下方向)に貫通する音孔が形成されている。この音孔を通して、音出力部94から音が出力される。なお、音孔は、第1カバー11の下面に設けられた化粧プレートにより覆われている。
【0031】
電池ケース114は、矩形体形状の箱体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。電池ケース114には、煙感知器100の動作用の電源として機能する電池B1が収容される。電池B1は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
【0032】
第2カバー12は、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状が本体10と同一である。第2カバー12は、複数(ここでは、3つ)のねじ穴121を有している。複数のねじ穴121の各々は、平面視において円形状であって、第2カバー12を厚さ方向(上下方向)に貫通する。複数のねじ穴121の各々には、3つの第1ねじ91のうち対応する第1ねじ91が第2カバー12の上方から挿入される。
【0033】
筐体1は、以下のようにして組み立てられる。まず、本体10の上側の開口を塞ぐように、第1カバー11を本体10に組み合わせる。次に、本体10の下側の開口を塞ぐように、第2カバー12を本体10に組み合わせる。そして、仕切り部3の複数の第1挿入孔33と、第1カバー11の対応する複数の第1ボス111と、第2カバー12の対応する複数のねじ穴121とを互いに重ね合わせる。この状態で、第2カバー12の上方から複数の第1ねじ91の各々を対応するねじ穴121に挿入して締め付けることにより、本体10、第1カバー11、及び第2カバー12が互いに結合される。
【0034】
(1-2-3)検知ブロック
検知ブロック2は、図3に示すように、検知部20と、検知カバー21と、を有する。
【0035】
検知カバー21は、検知部20を収容する。検知カバー21は、有底筒形状であり、底壁211及び周壁212を有する。底壁211は、平面視において略円形状となる板部材である。すなわち、検知カバー21は、有底円筒形状である。周壁212は、底壁211の周縁から下方向に突出している。
【0036】
検知空間Sp1は、図2に示すように、筐体1の内部において、基板41と検知カバー21とで形成される空間である。言い換えれば、検知空間Sp1は、筐体1の内部において、基板41と検知カバー21とに囲まれた空間である。
【0037】
検知部20は、検知空間Sp1の煙を検知する。検知部20は、発光部201及び受光部202で構成されており、光電式である。本開示でいう「光電式」とは、発光部201及び受光部202を用いて、検知空間Sp1内の煙で反射された光、又は検知空間Sp1を透過する光の光量の変化に基づいて煙を感知する方式を意味する。実施形態1では、発光部201は、検知空間Sp1に向けて光を出力する。受光部202は、発光部201からの直接光が入射せず、かつ検知空間Sp1内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。これにより、検知空間Sp1に煙が存在しない状態では、受光部202は、発光部201から出力された光を受光せず、検知空間Sp1に煙が存在する状態では、受光部202は、発光部201から出力され煙で散乱された光(散乱光)を受光する。したがって、煙感知器100は、受光部202での受光状態によって、検知空間Sp1に存在する煙を感知することができる。また、受光部202での受光量は、例えば、検知空間Sp1の煙の濃度、及び煙の種類(白煙及び黒煙等)によって変化する。受光部202は、受光量に対応する出力信号を回路ブロック4に出力する。
【0038】
検知カバー21は、図2に示すように、検知カバー21の端部の周縁から、基板41の厚さ方向D1(上下方向)において仕切り部3と基板41との間に突出する鍔部22を具備する。より詳細には、検知カバー21は、図5に示すように、検知カバー21の端部の周縁から、基板41の厚さ方向D1において、仕切り部3の凸部35と、基板41と、の間に突出する鍔部22を具備する。図5は、図2に示す断面の一部を拡大した概略拡大図である。ここでいう「検知カバー21の端部」は、周壁212の上下方向の端部のうち底壁211に接続していない端部、つまり、周壁212の下端である。鍔部22は、周壁212の下端の全周縁にわたって設けられる。すなわち、鍔部22は、平面視において略円環状である。実施形態1では、鍔部22の上下方向の断面は、矩形状である。実施形態1の鍔部22は、検知カバー21の端部の周縁から、外側に突出する。具体的には、実施形態1の鍔部22は、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から、外側に突出する。ここでいう「外側に突出する」は、周壁212の厚さ方向(径方向)において、底壁211から離れる側に突出する、つまり本体10(図2参照)に近づく側に突出することである。すなわち、実施形態1では、平面視において、鍔部22及び底壁211は重なり合わない。言い換えれば、鍔部22は、底壁211の上下方向の投影面内に収まらない。この構成によると、仕切り部3が鍔部22を押さえやすいという利点がある。
【0039】
鍔部22は、図5に示すように、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221及び第2面222を有する。実施形態1では、第1面221は鍔部22の下面であり、第2面222は鍔部22の上面である。第1面221は、基板41に接触する。より詳細には、第1面221は、基板41の上面に密着する。一方、第2面222は、仕切り部3に接触する。より詳細には、仕切り部3の凸部35の下面は、第2面222に密着する。
【0040】
検知カバー21は、図3に示すように、周壁212において、検知カバー21の内部(つまり、検知空間Sp1)に煙が流入可能な複数の窓孔213を具備する。したがって、検知カバー21の外部から複数の窓孔213を通して、検知空間Sp1に煙が流入可能となっている。複数の窓孔213の各々は、正面視において矩形状であって、周壁212の厚さ方向(径方向)に貫通する。
【0041】
また、検知カバー21は、図2及び図3に示すように、複数の窓孔213の各々を覆う複数の防虫網93を更に具備する。防虫網93は、正面視において矩形状である。防虫網93は、検知カバー21の内部において、複数の窓孔213を覆うように周壁212に貼り付けられている。本実施形態では、複数(ここでは、2つ)の防虫網93により、全ての窓孔213が覆われている。防虫網93は、図3に示すように、多数の矩形状の網目を有している。
【0042】
実施形態1では、検知カバー21の内部には、図2に示すように、ラビリンス構造23が設けられている。ラビリンス構造23は、検知カバー21の内部において、検知カバー21の周方向にわたって検知空間Sp1を囲むように円環状に並ぶ複数の小片の集合体である。ラビリンス構造23は、検知カバー21の外部から複数の小片の隙間を通して煙を検知空間Sp1に取り込むことが可能である。ラビリンス構造23は、図5に示すように、基板41に設けられる挿通孔411に挿通される挿通部231を有する。ラビリンス構造23は、挿通部231が挿通孔411に挿通されることで、基板41に固定される。
【0043】
(1-2-4)回路ブロック
回路ブロック4は、基板41と、スイッチを含む複数の電子部品と、を有している。複数の電子部品は、基板41に実装される。基板41の導体部には、検知ブロック2の検知部20が電気的に接続される。また、基板41の導体部には、音出力部94及び電池B1が更に電気的に接続される。
【0044】
基板41は、図2に示すように、検知ブロック2の下方、つまり検知ブロック2と第1カバー11との間に配置されている。検知ブロック2は、基板41の厚さ方向D1の一面(上面)上に配置される。すなわち、基板41の厚さ方向D1の一面には、検知部20及び検知カバー21が配置される。言い換えれば、基板41の厚さ方向D1の一面には、検知部20及び検知カバー21が取り付けられる。
【0045】
基板41には、図3に示すように、通孔42が設けられている。通孔42は、基板41を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において円形状である。通孔42には、第1カバー11の第2ボス112の上端が挿入される。この状態で、仕切り部3の第2挿入孔34と第1カバー11の第2ボス112とを重ね合せ、第2ねじ92を第2挿入孔34に上方から挿入して締め付けることにより、基板41は仕切り部3及び第1カバー11に挟持される。より詳細には、基板41は、基板41と仕切り部3との間に検知カバー21の鍔部22が配置された状態において、仕切り部3及び第1カバー11に挟持される。その結果、仕切り部3は、基板41に向かって鍔部22を押さえ付けている。
【0046】
実施形態1の通孔42には、第1カバー11の第2ボス112の上端が挿入された状態で、上方からアンテナ43の一端を軸部に通した第2ねじ92が挿入され、締め付けられる。これにより、アンテナ43が基板41の導体部に電気的に接続された状態で固定されている。アンテナ43は、基板41に搭載された、他の機器(例えば、他の煙感知器等)との間で無線通信を行う通信モジュールの一部である。
【0047】
ここで、回路ブロック4は、複数の電子部品にて構成される制御回路を含んでいる。制御回路は、発光部201、受光部202、及び音出力部94等の制御を行う回路であって、少なくとも発光部201を駆動し、かつ受光部202の出力信号について信号処理を実行する。信号処理においては、回路ブロック4は、受光部202の受光量(出力信号の大きさ)を閾値と比較することにより、検知空間Sp1における煙の有無を判断する。回路ブロック4は、受光部202の受光量が閾値以上である場合に、一定以上の濃度の煙が検知空間Sp1に存在すると判断する。回路ブロック4は、一定以上の濃度の煙が検知空間Sp1に存在すると判断すると、音出力部94を駆動するための電気信号を音出力部94に出力する。
【0048】
音出力部94は、回路ブロック4からの電気信号を受けて音(音波)を出力する。すなわち、煙感知器100は、受光部202の受光量が閾値以上である場合に、音出力部94から音を出力する。音出力部94は、電気信号を音に変換するスピーカ又はブザー等により実現される。音出力部94は、平面視において円形状となる円盤状である。
【0049】
(1-3)利点
実施形態1の鍔部22は、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から、基板41の厚さ方向D1(上下方向)において仕切り部3の凸部35と基板41との間に突出する。また、鍔部22の第1面221は基板41に接触し、第2面222は仕切り部3に接触する。
【0050】
この構成によると、鍔部22は、仕切り部3により基板41に向かって押され、検知カバー21の凸部35と基板41との間に隙間が生じることを抑制することができる。その結果、鍔部22は、検知カバー21と基板41の隙間から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。すなわち、実施形態1の抑制部5は、鍔部22を含む。より詳細には、実施形態1の抑制部5は、鍔部22である。この構成によると、煙感知器100の内部構造を複雑にすることなく、外部から検知空間Sp1に異物が侵入する可能性を低減できるという効果を奏する。したがって、煙感知器100の内部構造を複雑にすることなく、異物に起因して誤検知する可能性を低減できるという利点がある。
【0051】
また、凸部35は、図4に示すように、本体10の下面から下方向に突出している。
【0052】
この構成によると、仕切り部3は、検知カバー21の鍔部22を基板41に向かってより強く押すことができる。このため、鍔部22は、検知カバー21と基板41との間に隙間が生じることをより抑制することができる。その結果、鍔部22は、検知カバー21と基板41の隙間から検知空間Sp1に異物が侵入する可能性をより低減できるという効果を奏する。したがって、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できる、という利点がある。
【0053】
(1-4)実施形態1の変形例
上述の実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0054】
(1-4-1)第1変形例
第1変形例の煙感知器100aの要部の概略断面図を図6に示す。
【0055】
煙感知器100aは、煙感知器100と同様に、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から、基板41の厚さ方向D1(上下方向)において仕切り部3の凸部35と基板41との間に突出する鍔部22aを具備する。鍔部22aは、周壁212の下端の周縁から、下方に向かって湾曲しながら、外側に突出する。ここでいう「外側」とは、周壁212の厚さ方向(径方向)において、底壁211から離れる側である。鍔部22aは、突出方向に沿って対向する一対の端部として、第1端部223a及び第2端部224aを有し、第1端部223aよりも第2端部224aが基板41側(下側)になるように、下方に向かって湾曲しながら、外側に突出する。ここでいう「第1端部223a」は、突出方向に沿って対向する一対の端部のうち、検知カバー21の周壁212の下側の端部に接続する端部であり、「第2端部224a」は、突出方向に沿って対向する一対の端部のうち、第1端部223aとは異なる端部、つまり、鍔部22aの先端部である。
【0056】
鍔部22aは、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221a及び第2面222aを有する。第1変形例では、鍔部22aが湾曲しているため、第1面221aの一部が、基板41に接触する。より詳細には、図6に示すように、第1端部223a側の第1面221aは基板41に密着せず、第2端部224a側の第1面221aは基板41に密着する。一方、第2面222aは、仕切り部3に接触する。すなわち、仕切り部3の凸部35の下面は、第2端部224a側の第2面222aに密着する。
【0057】
検知カバー21は、下方に押し付けられながら基板41に取り付けられるため、湾曲している鍔部22aは撓む。その結果、鍔部22aは、第1面221aの少なくとも一部を基板41に押し付ける弾性力を有する。より具体的には、鍔部22aは、第2端部224a側の第1面221aを基板41に押し付ける弾性力を有する。この構成によると、鍔部22aは、仕切り部3により基板41に向かって押さえられるのに加え、弾性力によって鍔部22aと基板41との密着性を高めることができ、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することをより抑制することができるという効果を奏する。したがって、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。
【0058】
(1-4-2)第2変形例
第2変形例の煙感知器100bの要部の概略断面図を図7Aに示す。
【0059】
煙感知器100bは、煙感知器100と同様に、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から、基板41の厚さ方向D1(上下方向)において仕切り部3の凸部35と基板41との間に突出する鍔部22bを具備する。鍔部22bは、平面視において略円環状であり、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221b及び第2面222を有する。
【0060】
煙感知器100bの鍔部22bでは、第1面221bの全体に凹凸部24が設けられる。凹凸部24は、例えば、第1面221bから下方に突出し、鍔部22bの径方向に沿って略等間隔で設けられる円環形状の複数の凸所241を有する。複数の凸所241の上下方向に沿う断面は、逆三角形状である。また、凹凸部24は、第1面221bから下方に突出し、鍔部22bの周方向及び径方向に沿って略等間隔で設けられる円錐形状の凸部を有していてもよい。
【0061】
この構成によると、第1面221bの凹凸部24の凸所241が基板41に向かって押し潰されることで、鍔部22bと基板41との密着性を高めることができる。そのため、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することをより抑制することができるという効果を奏する。したがって、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。また、この構成によると、鍔部22bから基板41へ加わる外力を分散することができるため、基板41に生じる応力を緩和することができるという利点もある。
【0062】
なお、鍔部22bでは、第1面221bの全体に凹凸部24が設けられるが、第1面221bの一部に凹凸部24が設けられていてもよい。すなわち、第1面221bの少なくとも一部に、凹凸部24が設けられていればよい。
【0063】
また、図7Bに示す煙感知器100cのように、鍔部22cの第2面222cに凹凸部24が設けられていてもよい。この構成によると、煙感知器100cでは、仕切り部3の凸部35から鍔部22cへ加わる外力を分散することができるため、鍔部22bから基板41へ加わる外力も分散することができる。その結果、基板41に生じる応力を緩和することができるという利点もある。
【0064】
(1-4-3)第3変形例
第3変形例の煙感知器100dの要部の概略断面図を図8Aに示す。
【0065】
煙感知器100dは、煙感知器100と同様に、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から、基板41の厚さ方向D1(上下方向)において仕切り部3の凸部35と基板41との間に突出する鍔部22dを具備する。鍔部22dは、平面視において略円環状であり、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221及び第2面222dを有する。
【0066】
煙感知器100dは、干渉部材6として、樹脂61を備える。樹脂61は、鍔部22dの第2面222dと仕切り部3との間に配置される。仕切り部3は、干渉部材6(樹脂61)を介して、基板41に向かって鍔部22dを押さえ付けている。すなわち、鍔部22dの第2面222dは、仕切り部3に直接接触せず、干渉部材6を介して仕切り部3に接触する。この構成によると、干渉部材6によって仕切り部3から鍔部22dに加わる外力を緩和することができるため、鍔部22dから基板41に加わる外力も緩和することが可能である。その結果、基板41に生じる応力を軽減することができるという利点もある。
【0067】
樹脂61は、例えば、シリコン、又はウレタンである。また、樹脂61は、UVフォトンレジン等の光硬化樹脂であってもよい。しかし、樹脂61は、鍔部22dの第2面222dと仕切り部3との間に配置できるものであればよく、樹脂61の材質は限定されない。
【0068】
鍔部22dと樹脂61との密着性を向上させるため、鍔部22dにおいて、樹脂61と接触する第2面222dは、粗面である。ここでいう「粗面」とは、例えば、凸凹が設けられている表面、又は、プラズマ処理等によって表面状態が変化した表面である。この構成によると、樹脂61が接触する表面積が増加し、物理的な接着効果を得ることができる。すなわち、仕切り部3と樹脂61との密着性が向上するという利点がある。
【0069】
なお、図7Bに示すように、煙感知器100eは、干渉部材6として、パッキン部材62を備えていてもよい。例えば、パッキン部材62は、フッ素ゴム、又はシリコンゴム等のゴム材料によって形成されている。しかし、パッキン部材62は、鍔部22dの第2面222dと仕切り部3との間を埋めることができるものであればよく、パッキン部材62の材料は限定されない。
【0070】
同様に、図7Cに示すように、煙感知器100fは、干渉部材6として、ブラシ状部材63を備えていてもよい。ブラシ状部材63は、鍔部22dの第2面222dから上方に向かって生えている毛の集合体である。例えば、ブラシ状部材63は、ポリプロピレン、又はナイロン等の合成繊維によって形成されている。また、ブラシ状部材63は、植物性繊維、動物性繊維、又は金属製繊維によって形成されていてもよい。しかし、ブラシ状部材63は、鍔部22dの第2面222dと仕切り部3との間を埋めることができるものであればよく、ブラシ状部材63の材料は限定されない。
【0071】
(1-4-4)その他の変形例
以下、上述の実施形態1の変形例を列挙する。
【0072】
上述の実施形態1では、鍔部22は、検知カバー21が有する周壁212の下端の周縁から外側に突出するが、内側に突出してもよい。ここでいう「内側に突出」とは、周壁212の厚さ方向(径方向)において、本体10から離れる側に突出することである。すなわち、平面視において、鍔部22及び底壁211は重なり合っていてもよい。言い換えれば、鍔部22は、底壁211の上下方向の投影面内に収まっていてもよい。
【0073】
上述の実施形態1の本体10には、周方向にわたって複数の開口部101が設けられているが、少なくとも1つの開口部101が設けられていればよい。すなわち、1つの開口部101が、周方向にわたって本体10に設けられていてもよい。
【0074】
上述の実施形態1の仕切り部3は、凸部35を有するが、有していなくてもよい。
【0075】
上述の実施形態1では、検知カバー21の底壁211は、平面視において略円形状となる板部材であるが、平面視において多角形となる板部材であってもよい。すなわち、検知カバー21は、平面視において多角形となる有底筒形状であってもよい。
【0076】
また、上述の実施形態1の検知カバー21は、周壁212において複数の窓孔213を具備するが、少なくとも一つの窓孔213を具備していればよい。すなわち、検知カバー21は、周壁212において1つの窓孔213を具備していてもよい。
【0077】
(2)実施形態2
(2-1)概要
以下、実施形態2に係る煙感知器100gについて、図9Aを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
実施形態2の煙感知器100gは、樹脂7を備えるという点で実施形態1の煙感知器100と異なる。また、実施形態2の煙感知器100gでは、抑制部5aは鍔部22g及び樹脂7を含むという点で実施形態1の煙感知器100と異なる。
【0079】
(2-2)詳細な構成
実施形態2では、煙感知器100gの検知カバー21は、実施形態1と同様に、鍔部22gを有する。鍔部22gは、検知カバー21の端部の全周縁から、外側に突出する。鍔部22gは、図9Aに示すように、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221g及び第2面222を有する。第1面221gは鍔部22gの下面であり、第2面222は鍔部22gの上面である。実施形態2の第1面221gは、実施形態1の第1面221と異なり、基板41に接触しない。より詳細には、実施形態2では、基板41の厚さ方向D1において、鍔部22gの第1面221gと、基板41の上面と、の間には、空間がある。一方、実施形態2の第2面222は、実施形態1の第2面222と同様に、仕切り部3に接触する。より詳細には、仕切り部3の凸部35の下面は、第2面222に密着する。
【0080】
実施形態2の煙感知器100gは、樹脂7を備える。樹脂7は、鍔部22gと基板41との両方に接触するように配置される。より詳細には、樹脂7は、鍔部22gの端面225gと、基板41の上面と、に接触する。ここでいう「鍔部22gの端面225g」は、鍔部22gの突出方向に沿って対向する一対の端面のうち、検知カバー21(周壁212)に接続されている端面とは異なる端面である。つまり、「鍔部22gの端面225g」は、鍔部22gの先端面である。すなわち、鍔部22g及び樹脂7は、検知カバー21と基板41の隙間を塞いでいる。
【0081】
上記の構成により、実施形態2では、鍔部22g及び樹脂7は、検知カバー21と基板41の隙間から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。すなわち、実施形態2の抑制部5aは、鍔部22g及び樹脂7を含む。言い換えれば、実施形態2の抑制部5aは、鍔部22gに加えて、樹脂7を更に含む。より詳細には、実施形態2の抑制部5aは、鍔部22g及び樹脂7で構成されている。この構成によると、鍔部22gと基板41との間に隙間が生じることをより抑制することができる。その結果、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することをより抑制することができるという効果を奏する。したがって、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。また、樹脂7によって鍔部22gから基板41に加わる外力を緩和することができ、基板41に生じる応力を軽減することができるという利点もある。
【0082】
樹脂7は、例えば、シリコン、又はウレタンである。また、樹脂7は、UVフォトンレジン等の光硬化樹脂であってもよい。しかし、樹脂7は、鍔部22gと基板41との両方に接触するように配置できるものであればよく、樹脂7の材質は限定されない。
【0083】
鍔部22gにおいて、樹脂7と接触する面である端面225gは、粗面である。ここでいう「粗面」は、例えば、凸凹が設けられている表面、又は、プラズマ処理等によって表面状態が変化した表面である。この構成によると、樹脂7と接触する表面積が増加し、物理的な接着効果を得ることができる。すなわち、鍔部22gと樹脂7との密着性が向上するという利点がある。
【0084】
(2-3)実施形態2の変形例
上述の実施形態2は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態2は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0085】
上述の実施形態2の煙感知器100gでは、樹脂7は、鍔部22gの端面225gと、基板41の上面と、に接触する。しかし、図9Bに示すように、煙感知器100hの樹脂7aは、鍔部22hの第1面221hと、基板41の上面と、に接触してもよい。すなわち、鍔部22h及び樹脂7aは、検知カバー21と基板41の隙間を塞いでいればよい。煙感知器100hでは、第1面221hの一部が樹脂7aと接触する。なお、第1面221hの全面が樹脂7aと接触してもよい。
【0086】
また、鍔部22hでは、樹脂7aと接触する面である第1面221hは、粗面である。より詳細には、鍔部22hでは、第1面221hの全体(樹脂7aと接触しない箇所も含む)が粗面である。なお、第1面221hのうち樹脂7aと接触する箇所の少なくとも一部が粗面であればよい。
【0087】
(3)実施形態3
(3-1)概要
以下、実施形態3に係る煙感知器100iについて、図10Aを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
実施形態3の煙感知器100iは、遮蔽部8を備えるという点で実施形態1の煙感知器100と異なる。また、実施形態3の煙感知器100iでは、抑制部5cは鍔部22g及び遮蔽部8を含むという点で実施形態1の煙感知器100と異なる。
【0089】
(3-2)詳細な構成
実施形態3では、煙感知器100iの検知カバー21は、実施形態1と同様に、鍔部22iを有する。鍔部22iは、検知カバー21の端部の全周縁から、外側に突出する。鍔部22iは、図10Aに示すように、基板41の厚さ方向D1に沿って対向する第1面221i及び第2面222を有する。第1面221iは鍔部22gの下面であり、第2面222は鍔部22gの上面である。実施形態2の第1面221iは、実施形態1の第1面221と異なり、基板41に接触しない。より詳細には、実施形態2では、基板41の厚さ方向D1において、鍔部22iの第1面221iと、基板41の上面と、の間には、空間がある。一方、実施形態2の第2面222は、実施形態1の第2面222と同様に、仕切り部3に接触する。より詳細には、仕切り部3の凸部35の下面は、第2面222に密着する。
【0090】
実施形態2の煙感知器100iは、遮蔽部8を備える。遮蔽部8は、鍔部22iと基板41との隙間を遮る。より詳細には、遮蔽部8は、鍔部22iの第1面221iと、基板41の上面と、の隙間を遮るように配置される。実施形態2の遮蔽部8は、鍔部22iの第1面221iに設けられるパッキン部材81である。鍔部22iは、平面視において略円環状であるため、パッキン部材81は、平面視において略円環状の部材である。パッキン部材81の断面形状は略逆三角形状であり、パッキン部材81の下端が基板41に押し潰されることによって、鍔部22iと基板41との隙間をより密閉性高く埋めることができる。例えば、パッキン部材81は、フッ素ゴム、又はシリコンゴム等のゴム材料によって形成されている。しかし、パッキン部材81は、鍔部22iと基板41との隙間を遮ることができるものであればよく、パッキン部材81の材料は限定されない。
【0091】
上記の構成により、実施形態3では、鍔部22i及び遮蔽部8(パッキン部材81)は、検知カバー21と基板41の隙間から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。すなわち、実施形態3の抑制部5cは、鍔部22i及び遮蔽部8を含む。言い換えれば、実施形態3の抑制部5cは、鍔部22iに加えて、遮蔽部8を更に含む。この構成によると、遮蔽部8によって鍔部22iから基板41に加わる外力を軽減することができる。そのため、基板41に生じる応力をより軽減しつつ、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することをより抑制することができるという効果を奏する。したがって、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。
【0092】
(3-3)実施形態3の変形例
上述の実施形態3は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態3は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0093】
実施形態3の遮蔽部8は、パッキン部材81であるが、図10Bに示すように、ブラシ状部材82であってもよい。ブラシ状部材82は、鍔部22jの第1面221jに設けられる。より詳細には、ブラシ状部材82は、鍔部22jの第1面221jから下方に向かって生えている毛の集合体である。例えば、ブラシ状部材82は、ポリプロピレン、又はナイロン等の合成繊維によって形成されている。また、ブラシ状部材82は、植物性繊維、動物性繊維、又は金属製繊維によって形成されていてもよい。しかし、ブラシ状部材82は、鍔部22jと基板41との隙間を遮ることができるものであればよく、ブラシ状部材82の材料は限定されない。
【0094】
図10Bに示す煙感知器100jでは、鍔部22i及びブラシ状部材82は、外部から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。すなわち、図10Bに示す構成の抑制部5dは、鍔部22i及びブラシ状部材82を含む。言い換えれば、抑制部5dは、鍔部22iに加えて、ブラシ状部材82を更に含む。
【0095】
また、遮蔽部8は、図10Cに示すように、粘着テープ83であってもよい。粘着テープ83は、基板41の上面に張り付けられる。より詳細には、粘着テープ83は、基板41の上面において、平面視において略円環状に張り付けられる。粘着テープ83及び鍔部22kは、平面視において重なり合う。言い換えれば、粘着テープ83は、鍔部22kの上下方向の投影面内に収まる。粘着テープ83の上面は粘着性を有しているため、粘着テープ83は、鍔部22kと粘着テープ83との隙間を通過しようとする異物を上面で捕らえることができる。
【0096】
図10Cに示す煙感知器100kでは、鍔部22k及び粘着テープ83は、検知カバー21と基板41の隙間から検知空間Sp1に異物が侵入することを抑制する。すなわち、図10Bに示す構成の抑制部5eは、鍔部22k及び粘着テープ83を含む。言い換えれば、抑制部5eは、鍔部22kに加えて、粘着テープ83を更に含む。
【0097】
以上より、実施形態3の遮蔽部8は、パッキン部材81、ブラシ状部材82、及び粘着テープ83の少なくとも1つを含んでいればよい。この構成によると、遮蔽部8によって鍔部22iから基板41に加わる外力を緩和することができ、基板41に生じる応力を軽減することができるという利点がある。
【0098】
(まとめ)
実施形態に係る第1の態様の煙感知器(100、100a~100k)は、筐体(1)と、検知部(20)と、仕切り部(3)と、基板(41)と、有底筒形状の検知カバー(21)と、抑制部(5、5a~5e)と、を備える。筐体(1)は、外部から煙を流入可能な開口部(101)を有する。検知部(20)は、筐体(1)の内部にある検知空間(Sp1)の煙を検知する。仕切り部(3)は、筐体(1)の内部を仕切る。基板(41)は、検知部(20)が配置される。検知カバー(21)は、検知部(20)を収容する。抑制部(5、5a~5e)は、検知カバー(21)の端部の周縁に設けられ、外部から検知空間(Sp1)に異物が侵入することを抑制する。検知空間(Sp1)は、基板(41)及び検知カバー(21)で形成される空間である。抑制部(5、5a~5e)は、基板(41)と仕切り部(3)との間に配置される。抑制部(5、5a~5e)の少なくとも一部は、基板(41)に接触する。
【0099】
この態様によれば、異物に起因して誤検知する可能性を低減できるという利点がある。
【0100】
実施形態に係る第2の態様の煙感知器(100、100a~100k)では、第1の態様において、検知カバー(21)は、煙が流入可能な窓孔(213)と、窓孔(213)を覆う防虫網(93)と、を具備する。
【0101】
この態様によれば、効率的に煙を感知できるという利点がある。
【0102】
実施形態に係る第3の態様の煙感知器(100、100a~100k)では、第1又は第2の態様において、検知カバー(21)は、鍔部(22、22a~22k)を更に具備する。鍔部(22、22a~22k)は、検知カバー(21)の端部の周縁から、基板(41)の厚さ方向(D1)において仕切り部(3)と基板(41)との間に突出する。抑制部(5、5a~5e)は、鍔部(22、22a~22k)を含む。
【0103】
この態様によれば、異物に起因して誤検知する可能性を低減できるという利点がある。
【0104】
実施形態に係る第4の態様の煙感知器(100、100a~100k)では、第3の態様において、鍔部(22、22a~22k)は、外側に向かって突出する。
【0105】
この態様によれば、仕切り部(3)が鍔部(22、22a~22k)を押さえやすいという利点がある。
【0106】
実施形態に係る第5の態様の煙感知器(100、100a~100f)では、第3又は第4の態様において、鍔部(22、22a~22f)は、厚さ方向(D1)に沿って対向する第1面(221、221a、221b)及び第2面(222)を有する。第1面(221、221a、221b)は、基板(41)に接触する。
【0107】
この態様によれば、煙感知器(100、100a~100f)の内部構造を複雑にすることなく、異物に起因して誤検知する可能性を低減できるという利点がある。
【0108】
実施形態に係る第6の態様の煙感知器(100a)では、第5の態様において、鍔部(22a)は、第1面(221a)の少なくとも一部を基板(41)に押し付ける弾性力を有する。
【0109】
この態様によれば、鍔部(22a)と(基板41)との密着性を高めることができ、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。
【0110】
実施形態に係る第7の態様の煙感知器(100b)は、第5又は第6の態様において、第1面(221b)の少なくとも一部に、凹凸部(24)が設けられる。
【0111】
この態様によれば、鍔部(22b)と(基板41)との密着性を高めることができ、異物に起因して誤検知する可能性をより低減できるという利点がある。また、基板(41)に生じる応力を緩和することができるという利点もある。
【0112】
実施形態に係る第8の態様の煙感知器(100g、100h)では、第3又は第4の態様において、抑制部(5a、5b)は、樹脂(7、7a)を更に含む。樹脂は、鍔部(22g、22h)と基板(41)との両方に接触するように配置される。
【0113】
この態様によれば、外部から検知空間(Sp1)に異物が侵入することをより抑制することができるという利点がある。また、基板(41)に生じる応力を緩和することができるという利点もある。
【0114】
実施形態に係る第9の態様の煙感知器(100g、100h)では、第8の態様において、鍔部(22g、22h)において、樹脂(7、7a)と接触する面は、粗面である。
【0115】
この態様によれば、鍔部(22g、22h)と樹脂(7、7a)との密着性が向上するという利点がある。
【0116】
実施形態に係る第10の態様の煙感知器(100i~100k)では、第3又は第4の態様において、抑制部(5c~5e)は、遮蔽部(8)を更に含み、遮蔽部(8)は、鍔部(22i~22k)と基板(41)との間の隙間を遮る。遮蔽部(8)は、基板(41)に接触する。
【0117】
この態様によれば、基板(41)に生じる応力を軽減しつつ、外部から検知空間(Sp1)に異物が侵入することを抑制することができるという利点がある。
【0118】
実施形態に係る第11の態様の煙感知器(100i~100k)では、第10の態様において、遮蔽部(8)は、パッキン部材(81)、ブラシ状部材(82)、及び粘着テープ(83)の少なくとも1つを含む。
【0119】
この態様によれば、基板(41)に生じる応力を軽減しつつ、外部から検知空間(Sp1)に異物が侵入することをより抑制することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0120】
100、100a~100k 煙感知器
1 筐体
101 開口部
20 検知部
21 検知カバー
213 窓孔
22、22a~22k 鍔部
221、221a、221b 第1面
222 第2面
24 凹凸部
3 仕切り部
41 基板
5、5a~5e 抑制部
7、7a 樹脂
8 遮蔽部
81 パッキン部材
82 ブラシ状部材
83 粘着テープ
93 防虫網
D1 厚さ方向
Sp1 検知空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10