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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184245
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/08 20060101AFI20231221BHJP
   F28F 13/08 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F28D7/08
F28F13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098287
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 翔太
(72)【発明者】
【氏名】山田 将之
(72)【発明者】
【氏名】角 宗司
(72)【発明者】
【氏名】八木 義隆
(72)【発明者】
【氏名】片川 健一
(72)【発明者】
【氏名】淺村 仁志
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA36
3L103BB43
3L103CC02
(57)【要約】
【課題】熱交換効率が高く、凝縮液が円滑に排出される熱交換器を提供すること。
【解決手段】凝縮性成分を含有する高温ガスFaと低温流体Fbとの熱交換器1Aは、三重周期極小曲面に沿う伝熱壁10によって隔てられた、高温ガスFaが流れる第1流路7と、低温流体Fbが流れる第2流路8と、を有する流路構造体9からなる熱交換コア2を備える。熱交換コア2は、第1流路7における高温ガスFaの流通が下降流となるように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮性成分を含有する高温ガスと低温流体との熱交換器であって、
三重周期極小曲面に沿う伝熱壁によって隔てられた、前記高温ガスが流れる第1流路と、前記低温流体が流れる第2流路と、を有する流路構造体からなる熱交換コアを備え、
前記熱交換コアは、前記第1流路における前記高温ガスの流通が下降流となるように配置される、
熱交換器。
【請求項2】
前記第1流路は、伝熱面密度が上流側から下流側に向かって小さくなるように形成され、
前記伝熱面密度は、前記流路構造体の単位見掛け体積当たりの前記伝熱壁の表面積の合計、又は前記流路構造体の単位水平断面積当たりの前記伝熱壁の濡れ縁長さの合計として定義される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1流路は、凝縮性成分の非凝縮領域と凝縮領域とを含み、かつ前記非凝縮領域の伝熱壁及び流路空間内の一方又は両方に伝熱面積拡大要素を備える、
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1流路は、凝縮性成分の非凝縮領域と凝縮領域とを含み、
前記第2流路は、前記非凝縮領域及び前記凝縮領域の少なくとも一方に対応する熱交換領域の伝熱壁及び流路空間内の一方又は両方に伝熱面積拡大要素を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、プレート式熱交換器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-107084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍サイクルにおける冷媒ガス凝縮器や固体酸化物形燃料電池システムにおけるアノードオフガス凝縮器にプレート式熱交換器を用いる場合、伝熱プレート間の狭い流路において凝縮液が生成すると、この凝縮液が円滑に排出されず、圧力損失が増大することがある。特に、酸化性物質を含むような凝縮液が内部に滞留すると、伝熱プレートの接合部等が腐食する懸念がある。凝縮液が円滑に排出されるようにプレート式熱交換器の流路断面積を大きく設計すると、熱交換効率が低下してしまう。
【0005】
本開示は、熱交換効率が高く、凝縮液が円滑に排出される熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、凝縮性成分を含有する高温ガスと低温流体との熱交換器であって、三重周期極小曲面に沿う伝熱壁によって隔てられた、高温ガスが流れる第1流路と、低温流体が流れる第2流路と、を有する流路構造体からなる熱交換コアを備え、熱交換コアは、第1流路における高温ガスの流通が下降流となるように配置される、熱交換器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る熱交換器を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る流路構造体の一部を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る高温ガス及び低温流体の流通方向を模式的に示す図である。
図4図4は、第2実施形態に係る熱交換器を模式的に示す図である。
図5図5は、第3実施形態に係る熱交換器を模式的に示す図である。
図6図6は、第4実施形態に係る第1流路の非凝縮領域に面する伝熱壁を拡大した図である。
図7図7は、第4実施形態に係る第1流路の非凝縮領域に面する伝熱壁を拡大した図である。
図8図8は、第4実施形態に係る第1流路の非凝縮領域に面する伝熱壁を拡大した図である。
図9図9は、第4実施形態に係る伝熱面積拡大要素の設置部位を説明するための図である。
図10図10は、第5実施形態に係る熱伝達コアを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
実施形態においては、3次元直交座標系を設定し、3次元直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸に平行な方向をX軸方向とする。水平面内においてX軸と直交するY軸に平行な方向をY軸方向とする。X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸に平行な方向をZ軸方向とする。X軸方向は、前後方向である。Y軸方向は、左右方向である。Z軸方向は、上下方向である。+X方向は、前方である。-X方向は、後方である。+Y方向は、左方である。-Y方向は、右方である。+Z方向は、上方である。-Z方向は、下方である。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る熱交換器1Aを模式的に示す図である。熱交換器1Aは、凝縮性成分を含有する高温ガスFaと低温流体Fbとを熱交換する。熱交換器1Aは、例えばヒートポンプ式温水器の凝縮器として使用される。
【0012】
図1に示すように、熱交換器1Aは、熱交換コア2と、上部ヘッダ3と、下部ヘッダ4と、左部ヘッダ5と、右部ヘッダ6とを備える。
【0013】
熱交換コア2は、高温ガスFaが流れる第1流路7と、低温流体Fbが流れる第2流路8とを有する流路構造体9からなる。流路構造体9は、第1流路7と第2流路8とを隔てる伝熱壁10を有する。伝熱壁10は、三重周期極小曲面に沿うように形成される。第1流路7と第2流路8とは、三重周期極小曲面に沿う伝熱壁10によって隔てられる。第1流路7を流れる高温ガスFaと第2流路8を流れる低温流体Fbとは、伝熱壁10を介して熱交換する。
【0014】
第1流路7の流入口7Aは、流路構造体9の上端部に設けられる。第1流路7の流出口7Bは、流路構造体9の下端部に設けられる。
【0015】
第2流路8の流入口8Aは、流路構造体9の左下端部に設けられる。第2流路8の流出口8Bは、流路構造体9の右上端部に設けられる。
【0016】
上部ヘッダ3は、流路構造体9の上端部よりも上方に配置される。上部ヘッダ3に供給管11が接続される。
【0017】
下部ヘッダ4は、流路構造体9の下端部よりも下方に配置される。下部ヘッダ4に排出管12が接続される。
【0018】
左部ヘッダ5は、流路構造体9の左端部よりも左方に配置される。左部ヘッダ5に供給管13が接続される。
【0019】
右部ヘッダ6は、流路構造体9の右端部よりも右方に配置される。右部ヘッダ6に排出管14が接続される。
【0020】
高温ガスFaは、供給管11及び上部ヘッダ3を介して第1流路7の流入口7Aに供給される。流入口7Aに流入した高温ガスFaは、第1流路7を流れる。
【0021】
低温流体Fbは、供給管13及び左部ヘッダ5を介して第2流路8の流入口8Aに供給される。流入口8Aに流入した低温流体Fbは、第2流路8を流れる。
【0022】
第1流路7を流れる高温ガスFaと第2流路8を流れる低温流体Fbとは、伝熱壁10を介して熱交換する。高温ガスFaは、低温流体Fbと熱交換することにより凝縮性成分が凝縮され、凝縮液Fcに変化する。低温流体Fbは、高温ガスFaと熱交換することにより温度上昇し、高温流体Fdに変化する。
【0023】
本実施形態において、高温ガスFaは、過熱ガスであるガス冷媒である。低温流体Fbは、常温水である給水である。凝縮液Fcは、過冷却液である液冷媒である。高温流体Fdは、加熱された温水である。なお、ヒートポンプ式温水器に好適な冷媒としては、ハイドロフルオロカーボン系冷媒(R-134a、R-32等)や自然冷媒(R-744等)が例示される。
【0024】
凝縮液Fcは、第1流路7の流出口7Bから流出する。第1流路7の流出口7Bから流出した凝縮液Fcは、下部ヘッダ4及び排出管12を介して熱交換コア2の外部に排出される。
【0025】
高温流体Fdは、第2流路8の流出口8Bから流出する。第2流路8の流出口8Bから流出した高温流体Fdは、右部ヘッダ6及び排出管14を介して熱交換コア2の外部に排出される。
【0026】
図2は、本実施形態に係る流路構造体9の一部を模式的に示す図である。流路構造体9は、三重周期極小曲面に沿う伝熱壁10を有する。三重周期極小曲面とは、3次元空間に与えられた閉曲線を境界に持つ曲面のなかで面積が極小である曲面をいう。三重周期極小曲面として、シェーンのジャイロイド曲面(G曲面)、シュワルツのD曲面、又はシェーンのI-WP曲面が例示される。本実施形態において、伝熱壁10は、ジャイロイド曲面に沿うように形成される。
【0027】
ジャイロイド曲面は、異なる3つ方向に無限に連結可能であり、空間を二つの領域に分ける極小曲面である。本実施形態において、ジャイロイド曲面は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに無限に連結可能である。
【0028】
ジャイロイド曲面は、与えられた境界条件下で面積が最小となり、積分されることで曲率がゼロとなる曲面である。ジャイロイド曲面は、以下の(1)式に示す三角関数を用いた近似式により表される。
【0029】
sinx・cosy+siny・cosz+sinz・cosx=0 …(1)
【0030】
伝熱壁10は、(1)式により表される仮想的な曲面を中心とし、その曲面の法線方向における厚さが実質的に均一な壁である。流路構造体9において、第1流路7の内面(伝熱面)の総面積と第2流路8の内面(伝熱面)の総面積とは、実質的に等しい。
【0031】
第1流路7と第2流路8とは、伝熱壁10によって隔てられる。第1流路7の流入口7Aは、第1流路7の第1の開口端により構成される。第1流路7の流出口7Bは、第1流路7の第2の開口端により構成される。第2流路8の流入口8Aは、第2流路8の第1の開口端により構成される。第2流路8の流出口8Bは、第2流路8の第2の開口端により構成される。
【0032】
本実施形態において、流路構造体9の外形は、実質的に直方体である。すなわち、流路構造体9の水平断面積は、上流側から下流側に向かって実質的に一定である。
【0033】
図1に模式的に示すように、第1流路7は、伝熱面密度が上流側から下流側に向かって小さくなるように形成される。伝熱面密度は、流路構造体9の単位見掛け体積当たりの伝熱壁10の表面積の合計、又は流路構造体9の単位水平断面積当たりの伝熱壁10の濡れ縁長さの合計として定義される。伝熱面密度の単位は、[m/m]又は[m/m]である。流路構造体9の単位見掛け体積とは、流路構造体9の空隙(第1流路7及び第2流路8)と物体(伝熱壁10)との両方を含む体積をいう。流路構造体9の単位見掛け体積とは、例えば、図2の外形線Aで示す空間の体積をいう。濡れ縁長さとは、流体が固体壁面と接する断面の周囲長さをいう。
【0034】
本実施形態において、流路構造体9は、第1の伝熱面密度の第1部分9Aと、第1の伝熱面密度よりも小さい第2の伝熱面密度の第2部分9Bとを含む。第2部分9Bは、第1部分9Aよりも下方に配置される。第1部分9Aは、第1流路7の流入口7Aを含む。第2部分9Bは、第1流路7の流出口7Bを含む。第2部分9Bは、第1部分9Aよりも空隙(第1流路7及び第2流路8)が拡大されており、物体(G曲面に沿う伝熱壁10)の空間構造が粗な部分である。なお、第1流路7の伝熱面密度は、本実施形態のように2つの部分に区分けする場合に限らず、3つ以上の連続する部分に区分けしてもよい。
【0035】
第1流路7は、高温ガスFaの凝縮性成分の非凝縮領域と凝縮領域とを含む。第1流路7の非凝縮領域とは、高温ガスFaの凝縮性成分(冷媒成分)が凝縮される前の高温ガスFaが流れる領域をいう。第1流路7の凝縮領域とは、凝縮性成分が凝縮された後の高温ガスFaが流れる領域をいう。すなわち、第1流路7の非凝縮領域とは、高温ガスFaが単相で流れる領域をいう。第1流路7の凝縮領域とは、高温ガスFaと凝縮液Fcが二相で、又は凝縮液Fcが単相で流れる領域をいう。第1流路7の非凝縮領域は、第1流路7の流入口7Aを含む。第1流路7の凝縮領域は、第1流路7の流出口7Bを含む。
【0036】
本実施形態において、第1部分9Aは、第1流路7の非凝縮領域を含む。第2部分9Bは、第1流路7の凝縮領域を含む。本実施形態においては、伝熱面密度が小さい第2部分9Bにおいて高温ガスFaの凝縮性成分が凝縮するように、流路構造体9が設計される。
【0037】
図3は、本実施形態に係る高温ガスFa及び低温流体Fbの流通方向を模式的に示す図である。図3に示すように、熱交換コア2は、第1流路7における高温ガスFaの流通が下降流になるように配置される。流路構造体9の上端部の流入口7Aに流入した高温ガスFaは、下方に向かって第1流路7を流通する。第1流路7を流通することによって、高温ガスFaの全量が凝縮液Fcに変化する。凝縮液Fcは、流路構造体9の下端部の流出口7Bから流出する。
【0038】
熱交換コア2は、第2流路8における低温流体Fbの流通が上昇流になるように配置される。流路構造体9の左下端部の流入口8Aに流入した低温流体Fbは、右上方に向かって第2流路8を流通する。第2流路8を流通することによって、低温流体Fbは、高温流体Fdに変化する。高温流体Fdは、流路構造体9の右上端部の流出口8Bから流出する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、熱交換コア2が、三重周期極小曲面に沿う伝熱壁10によって隔てられた、高温ガスFaが流れる第1流路7と、低温流体Fbが流れる第2流路8とを有する流路構造体9からなる。これにより、高温ガスFaと低温流体Fbとは、それぞれが迷路のような入り組んだ流路を流通しながら熱交換するので、高い熱交換効率が実現される。また、熱交換コア2は、第1流路7における高温ガスFaの流通が下降流となるように配置される。これにより、高温ガスFaに含有される凝縮性成分が凝縮して凝縮液Fcが生成された場合、凝縮液Fcは、重力の作用により熱交換コア2から円滑に排出される。
【0040】
第1流路7は、伝熱面密度が上流側から下流側に向かって小さくなるように形成される。すなわち、流路構造体9の上流側から下流側に向かって、流路部分が占める割合が大きくなる。換言すれば、流路構造体9の上流側から下流側に向かって、空隙(第1流路7及び第2流路8)が拡大し、物体(G曲面に沿う伝熱壁10)の空間構造が粗になる。これにより、高温ガスFaに含有される凝縮性成分が凝縮して凝縮液Fcが生成された場合、凝縮液Fcは、第1流路7から円滑に排出される。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0042】
図4は、本実施形態に係る熱交換器1Bを模式的に示す図である。熱交換器1Bは、凝縮性成分を含有する高温ガスFaと低温流体Fbとを熱交換する。熱交換器1Bは、例えばヒートポンプ式空調機の凝縮器として使用される。ヒートポンプ式空調機において、暖房運転時の室内機が凝縮器を含む。
【0043】
本実施形態において、熱交換器1Bは、吸気フード15と、送気フード16と、ファン17とを有する。
【0044】
本実施形態において、第2流路8の流入口8Aは、流路構造体9の左端部に設けられる。第2流路8の流出口8Bは、流路構造体9の右端部に設けられる。
【0045】
吸気フード15は、流路構造体9の左端部よりも左方に配置される。第2流路8の流入口8Aは、吸気フード15を介して大気開放される。
【0046】
送気フード16は、流路構造体9の右端部よりも右方に配置される。第2流路8の流出口8Bは、送気フード16を介して大気開放される。
【0047】
上述の実施形態と同様、高温ガスFaは、過熱ガスであるガス冷媒である。凝縮液Fcは、過冷却液である液冷媒である。
【0048】
本実施形態において、低温流体Fbは、室内空気である。高温流体Fdは、温風である。
【0049】
ファン17は、吸気フード15の内側の空間に面するように配置される。ファン17は、吸気フード15を介して室内空気が流入口8Aに供給されるように回転する。低温流体Fbは、吸気フード15を介して第2流路8の流入口8Aに供給される。流入口8Aに流入した低温流体Fbは、第2流路8を流れる。低温流体Fbは、高温ガスFaと熱交換することにより温度上昇し、高温流体Fdに変化する。高温流体Fdは、第2流路8の流出口8Bから流出する。第2流路8の流出口8Bから流出した高温流体Fdは、送気フード16を介して熱交換コア2の外部に排出される。
【0050】
熱交換コア2は、第1流路7における高温ガスFaの流通が下降流になるように配置される。熱交換コア2は、第2流路8における低温流体Fbの流通が水平流になるように配置される。流路構造体9の左端部の流入口8Aに流入した低温流体Fbは、右方に向かって第2流路8を流通する。第2流路8を流通することによって、低温流体Fbは、高温流体Fdに変化する。高温流体Fdは、流路構造体9の右端部の流出口8Bから流出する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態においても、高温ガスFaと低温流体Fbとは、それぞれが迷路のような入り組んだ流路を流通しながら熱交換するので、高い熱交換効率が実現される。また、高温ガスFaに含有される凝縮性成分が凝縮して凝縮液Fcが生成された場合、凝縮液Fcは、重力の作用により熱交換コア2から円滑に排出される。
【0052】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0053】
図5は、本実施形態に係る熱交換器1Cを模式的に示す図である。熱交換器1Cは、凝縮性成分を含有する高温ガスFaと低温流体Fbとを熱交換する。熱交換器1Cは、例えば固体酸化物形燃料電池のアノードオフガス凝縮器として使用される。アノードオフガスは、セルスタック内部での水素と酸素の発電反応によって生成した水蒸気と未利用水素を含む。熱交換器1Cは、未利用水素を含む再生ガスの分離と炭化水素燃料の水蒸気改質に使用する凝縮水の回収とを行うことができる。
【0054】
上述の第1実施形態と同様、熱交換器1Cは、上部ヘッダ3と、下部ヘッダ4と、左部ヘッダ5と、右部ヘッダ6とを有する。
【0055】
第1流路7の流入口7Aは、流路構造体9の上端部に設けられる。第1流路7の流出口7Bは、流路構造体9の下端部に設けられる。
【0056】
第2流路8の流入口8Aは、流路構造体9の左下端部に設けられる。第2流路8の流出口8Bは、流路構造体9の右上端部に設けられる。
【0057】
高温ガスFaは、供給管11及び上部ヘッダ3を介して第1流路7の流入口7Aに供給される。流入口7Aに流入した高温ガスFaは、第1流路7を流れる。
【0058】
低温流体Fbは、供給管13及び左部ヘッダ5を介して第2流路8の流入口8Aに供給される。流入口8Aに流入した低温流体Fbは、第2流路8を流れる。
【0059】
第1流路7を流れる高温ガスFaと第2流路8を流れる低温流体Fbとは、伝熱壁10を介して熱交換する。高温ガスFaは、低温流体Fbと熱交換することにより凝縮性成分が凝縮され、凝縮液Fcに変化する。低温流体Fbは、高温ガスFaと熱交換することにより温度上昇し、高温流体Fdに変化する。
【0060】
本実施形態において、高温ガスFaは、水蒸気を含む湿りガスである。低温流体Fbは、常温水である。凝縮液Fcは、凝縮水である。高温流体Fdは、高温水である。
【0061】
凝縮液Fcは、第1流路7の流出口7Bから流出する。第1流路7の流出口7Bから流出した凝縮液Fcは、下部ヘッダ4及び排出管12を介して熱交換コア2の外部に排出される。
【0062】
高温流体Fdは、第2流路8の流出口8Bから流出する。第2流路8の流出口8Bから流出した高温流体Fdは、右部ヘッダ6及び排出管14を介して熱交換コア2の外部に排出される。
【0063】
本実施形態において、第1流路7の流出口7Bから水蒸気凝縮後の乾きガスFeが流出する。下部ヘッダ4に排気管18が接続される。第1流路7の流出口7Bから流出した乾きガスFeは、下部ヘッダ4及び排気管18を介して熱交換コア2の外側に排出される。
【0064】
上述の第1実施形態と同様、熱交換コア2は、第1流路7における高温ガスFaの流通が下降流になるように配置される。熱交換コア2は、第2流路8における低温流体Fbの流通が上昇流になるように配置される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態においても、高温ガスFaと低温流体Fbとは、それぞれが迷路のような入り組んだ流路を流通しながら熱交換するので、高い熱交換効率が実現される。また、高温ガスFaに含有される凝縮性成分が凝縮して凝縮液Fcが生成された場合、凝縮液Fcは、重力の作用により熱交換コア2から円滑に排出される。
【0066】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0067】
図6及び図7のそれぞれは、本実施形態に係る第1流路7の非凝縮領域に面する伝熱壁10を拡大した図である。図6及び図7に示すように、第1流路7は、非凝縮性領域の伝熱壁10に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。図6に示す例において、伝熱面積拡大要素19は、第1流路7の非凝縮領域に面する伝熱壁10に設けられた突起部19Aを含む。突起部19Aとしてフィンが例示される。図7に示す例において、伝熱面積拡大要素19は、第1流路7の非凝縮領域に面する伝熱壁10に設けられた凹面19Bを含む。例えば伝熱壁10の表面がディンプル加工されることにより、伝熱壁10に凹面19Bが設けられてもよい。
【0068】
図8は、本実施形態に係る第1流路7の非凝縮領域に面する伝熱壁10を拡大した図である。図8に示すように、第1流路7は、非凝縮性領域の流路空間内に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。図8に示す例において、伝熱面積拡大要素19は、第1流路7の流路空間内に配置された金属繊維物19Cを含む。金属繊維物19Cとして、スチールウールが例示される。なお、伝熱面積拡大要素19として、第1流路7の流路空間内に、三重周期極小曲面の構造物が配置されてもよい。このような態様としては、例えばジャイロイドを入れ子に組み合わせたダブルジャイロイド構造が例示される。
【0069】
第1流路7の非凝縮性領域に伝熱面積拡大要素19が設けられることにより、第1流路7を流れる高温ガスFaと第2流路8を流れる低温流体Fbとの熱交換が促進される。ガスの比熱は、液体の比熱よりも低い。すなわち、ガスは、液体よりも伝熱し難い。第1流路7の非凝縮性領域に伝熱面積拡大要素19が設けられることにより、第1流路7を流れる高温ガスFaと第2流路8を流れる低温流体Fbとの熱交換が促進される。
【0070】
なお、伝熱面積拡大要素19が第1流路7の凝縮領域に設けられた場合、凝縮液Fcによる圧力損失が増大して、凝縮液Fcが第1流路7から排出され難くなる可能性がある。そのため、伝熱面積拡大要素19は、第1流路7の凝縮領域には設けられないことが好ましい。
【0071】
伝熱面積拡大要素19は、第2流路8に面する伝熱壁10の少なくとも一部に設けられてもよい。第2流路8は、第1流路7の非凝縮領域に対応する熱交換領域の伝熱壁10に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。第2流路8は、第1流路7の凝縮領域に対応する熱交換領域の伝熱壁10に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。第2流路8は、第1流路7の非凝縮領域に対応する熱交換領域の流路空間内に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。第2流路8は、第1流路7の凝縮領域に対応する熱交換領域の流路空間内に伝熱面積拡大要素19を備えてもよい。
【0072】
第1流路7の非凝縮領域に対応する第2流路8の熱交換領域とは、伝熱壁10の一方の面が第1流路7の非凝縮領域に面する場合、その一方の面の真裏の第2流路8に面する伝熱壁10の他方の面をいう。第1流路7の凝縮領域に対応する第2流路8の熱交換領域とは、伝熱壁10の一方の面が第1流路7の凝縮領域に面する場合、その一方の面の真裏の第2流路8に面する伝熱壁10の他方の面をいう。
【0073】
図9は、本実施形態に係る伝熱面積拡大要素19の設置部位を説明するための表である。図9に示すように、第1流路7においては、非凝縮領域に伝熱面積拡大要素19を設置することができ、凝縮領域には伝熱面積拡大要素19を設置しないことが好ましい。第2流路8においては、第1流路7の非凝縮領域に対応する熱交換領域に伝熱面積拡大要素19を設置することができ、第1流路7の凝縮領域に対応する熱交換領域に伝熱面積拡大要素19を設置することができる。
【0074】
なお、伝熱面積拡大要素19の表面積又は濡れ縁長さは、伝熱面密度の計算において、伝熱壁10の表面積や濡れ縁長さに含まれない。
【0075】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0076】
図10は、本実施形態に係る熱交換コア20を模式的に示す図である。上述の実施形態において、流路構造体9の外形は、実質的に直方体であることとした。すなわち、流路構造体9の水平断面積は、上流側から下流側に向かって実質的に一定であることとした。図10に示すように、熱交換コア20の流路構造体9の外形は、上流側から下流側に向かって末広がり状でもよい。すなわち、流路構造体9の水平断面積が、上流側から下流側に向かって徐々に拡大してもよい。流路構造体9の外形は、円錐台、四角推台、又は六角推台のような推台状でもよい。図10に示す例において、上述の実施形態と同様、第1流路7は、伝熱面密度が上流側(上側)から下流側(下側)に向かって小さくなるように形成される。
【0077】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、熱交換コア2は、流入口7Aが設けられた流路構造体9の第1流入面、流入口8Aが設けられた流路構造体9の第2流入面、流出口7Bが設けられた流路構造体9の第1流出面、及び流出口8Bが設けられた流路構造体9の第2流出面の少なくとも一つが箱体内部に開放されたシェル構造でもよい。
【0078】
上述の実施形態において、熱交換コア2は、流出口7Bが設けられた流路構造体9の第1流出面が開放された状態で、気液分離タンクの気相部に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1A…熱交換器、1B…熱交換器、1C…熱交換器、2…熱交換コア、3…上部ヘッダ、4…下部ヘッダ、5…左部ヘッダ、6…右部ヘッダ、7…第1流路、7A…流入口、7B…流出口、8…第2流路、8A…流入口、8B…流出口、9…流路構造体、9A…第1部分、9B…第2部分、10…伝熱壁、11…供給管、12…排出管、13…供給管、14…排出管、15…吸気フード、16…送気フード、17…ファン、18…排気管、19…伝熱面積拡大要素、19A…突起部、19B…凹面、19C…金属繊維物、20…熱交換コア、A…外形線、Fa…高温ガス、Fb…低温流体、Fc…凝縮液、Fd…高温流体、Fe…乾きガス。
図1
図2
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図8
図9
図10