(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184256
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231221BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 176
G03G15/08 390A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098305
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩高
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AD02
2H077AD06
2H077BA07
2H077BA08
2H077BA10
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA04
2H171FA09
2H171FA13
2H171GA04
2H171GA25
2H171JA02
2H171JA06
2H171JA14
2H171JA48
2H171KA06
2H171KA07
2H171KA12
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA26
2H171LA06
2H171LA08
2H171LA13
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA13
2H171QA24
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB38
2H171SA11
(57)【要約】
【課題】ランニングコストおよび製造コストの増大を抑制しつつ、現像剤担持体と像担持体との接離時における摩耗を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、像担持体と、現像装置と、移動機構と、駆動入力ギアと、を備える。現像装置は、現像容器と、現像剤担持体と、を有し、接触位置と、第1離間位置と、第2離間位置との間を揺動可能に支持されている。移動機構は、現像装置を接触位置と第2離間位置との間で往復移動させる。駆動入力ギアは、現像装置に現像剤担持体を回転駆動する駆動力を入力する。現像装置は、駆動入力ギアの駆動力を現像剤担持体に伝達する駆動伝達ギアを有する。駆動伝達ギアは、現像装置が接触位置及び第1離間位置にある状態で駆動入力ギアに係合し、現像装置が第1離間位置から第2離間位置に移動する間に駆動入力ギアから離間する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に静電潜像が形成される、回転可能に支持された像担持体と、
トナーを含む現像剤を内部に収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に支持され、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、を有し、前記現像剤担持体の外周面が前記像担持体の外周面に接触して前記トナーを前記像担持体の外周面に供給する接触位置と、前記現像剤担持体が前記像担持体から離間する第1離間位置と、前記現像剤担持体が前記第1離間位置よりもさらに前記像担持体から離間した第2離間位置と、の間を揺動可能に支持された現像装置と、
前記現像装置を前記接触位置と前記第2離間位置との間で往復移動させる移動機構と、
前記現像装置に前記現像剤担持体を回転駆動する駆動力を入力する駆動入力ギアと、
を備え、
前記現像装置は、前記駆動入力ギアの駆動力を前記現像剤担持体に伝達する駆動伝達ギアを有し、
前記駆動伝達ギアは、前記現像装置が前記接触位置及び前記第1離間位置にある状態で前記駆動入力ギアに係合し、前記現像装置が前記第1離間位置から前記第2離間位置に移動する間に前記駆動入力ギアから離間することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は、前記駆動伝達ギアを間に挟んで前記駆動入力ギアと反対側に設けられた揺動支点を中心に揺動し、
前記現像装置が前記接触位置にある状態で、前記駆動伝達ギアの中心軸は、前記現像装置の前記第1離間位置への揺動方向に対して、前記揺動支点と前記駆動入力ギアの中心軸とを結ぶ直線と重なる、または前記直線の下流側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記現像装置を前記接触位置から前記第2離間位置に向かって押圧する押圧方向と、前記現像装置から遠ざかる退避方向とに往復移動可能に支持されたリンク部材と、
前記リンク部材を往復移動する駆動機構と、
前記現像装置を前記接触位置に向けて付勢する付勢部材と、
を有し、
前記現像装置は、前記リンク部材が前記押圧方向へ移動することで前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1離間位置及び前記第2離間位置に移動し、
前記リンク部材が前記退避方向に移動することで前記付勢部材の付勢力によって前記接触位置に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記リンク部材は、前記押圧方向に対して前記現像装置と対向し、前記押圧状態で前記現像装置と接触して前記現像装置を前記第2離間位置に向けて押圧する押圧突起を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、前記リンク部材の移動方向に沿って複数設けられ、
前記リンク部材は、前記移動方向に沿って直線状に並ぶ第1リンク部材、第2リンク部材で構成され、
前記第1リンク部材は、前記押圧状態で複数の前記現像装置のうちの1つである第1現像装置と接触して前記第1現像装置を前記第2離間位置に向かって押圧し、
前記第2リンク部材は、前記押圧状態で複数の前記現像装置のうちの残りの複数の第2現像装置と接触して前記第2現像装置を前記第2離間位置に向かって押圧することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材を、
前記第1現像装置が前記接触位置にあり、かつ前記第2現像装置が前記第1離間位置または前記第2離間位置にある第1状態と、
前記第1現像装置および前記第2現像装置が前記第1離間位置または前記第2離間位置にある第2状態と、
前記第1現像装置および前記第2現像装置が前記接触位置にある第3状態と、に切り替え可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置(複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等)は、像担持体の外周面に形成された静電潜像を現像(静電潜像を顕在化したトナー像を形成)する。
【0003】
このような画像形成装置は、像担持体と、現像装置と、を備えている。現像装置は、現像容器と、現像剤担持体とを有する。現像容器は、トナーを含む現像剤を内部に収容している。現像剤担持体は、現像容器に回転可能に支持されている。現像剤担持体は、像担持体と対向して配置されている。接触現像方式を採用する画像形成装置では、現像剤担持体の外周面と像担持体とが接触した状態で、現像剤担持体から像担持体へトナーが供給される。
【0004】
ところで、このような画像形成装置は、現像剤の劣化を防ぐため、画像形成を行わない期間(ドラムクリーニング中の現像装置や、モノクロ印刷モード中のカラー現像用の現像装置等)は現像剤担持体の回転を停止するのが一般的である。しかし、上述した接触現像方式を採用する画像形成装置では、現像剤担持体の回転を停止したときに、像担持体が回転していると、現像剤担持体と像担持体とが擦れてしまう。すると、現像剤担持体および像担持体が摩耗して、画像不良が生じるおそれがある。
【0005】
これに対し、特許文献1の現像装置は、プロセスカートリッジ方式を採用し、カートリッジ内部に駆動伝達機構と移動機構とを設ける構成を採用している。この現像装置の現像剤担持体は、像担持体に接触する位置と、離間する位置とに移動可能に支持されている。駆動伝達機構は、複数のギアから構成されたギア列であり、像担持体に入力される駆動力を現像剤担持体に伝達する。
【0006】
具体的には、駆動伝達機構は、像担持体に駆動力を入力する駆動入力ギアと、現像剤担持体に駆動力を入力する駆動伝達ギアと、を含んで構成されている。駆動入力ギアは画像形成装置の駆動源に接続されており、駆動源の駆動力を像担持体に入力する。駆動伝達ギアは現像剤担持体に接続され、かつ駆動入力ギアと係合および離間可能に支持されている。現像剤担持体と駆動伝達ギアとは一体的に移動可能に連結しており、現像剤担持体が像担持体に当接している状態で、駆動伝達ギアと駆動入力ギアが係合するように構成されている。
【0007】
移動機構は、現像剤担持体を像担持体から離間させる。駆動伝達ギアは現像剤担持体と一体に移動するため、移動機構が現像剤担持体を像担持体から離間させると、駆動伝達ギアが駆動入力ギアから離間する。これにより、移動機構が現像剤担持体を像担持体から離間から離間させると、同時に現像剤担持体の回転が停止するため、上述したように現像剤担持体と像担持体とが摩耗するのを抑制可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置は、像担持体に駆動力を入力する駆動入力ギアに対して駆動伝達ギアを係合または離間させるため、駆動入力ギアと駆動伝達ギアを含む駆動伝達機構をカートリッジ内部に設ける必要がある。プロセスカートリッジは交換部品であってかつ高頻度に交換を行うものであるため、ランニングコストが増大するおそれがある。また、現像剤担持体と像担持体とが摩耗するのを抑制するために、上述したようなプロセスカートリッジ方式以外の方式を採用した場合、像担持体から現像剤担持体を離間させる機構と現像剤担持体の駆動を解除するための機構をそれぞれ設ける必要があり、製造コストが増大するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、ランニングコストおよび製造コストの増大を抑制しつつ、現像剤担持体と像担持体との接離時における摩耗を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、像担持体と、現像装置と、移動機構と、駆動入力ギアと、を備える画像形成装置である。像担持体は、外周面に静電潜像が形成され、回転可能に支持されている。現像装置は、トナーを含む現像剤を内部に収容する現像容器と、現像容器に回転可能に支持され、現像剤を担持する現像剤担持体と、を有し、現像剤担持体の外周面が像担持体の外周面に接触してトナーを像担持体の外周面に供給する接触位置と、現像剤担持体が像担持体から離間する第1離間位置と、現像剤担持体が第1離間位置よりもさらに像担持体から離間した第2離間位置と、の間を揺動可能に支持されている。移動機構は、現像装置を接触位置と第2離間位置との間で往復移動させる。駆動入力ギアは、現像装置に現像剤担持体を回転駆動する駆動力を入力する。現像装置は、駆動入力ギアの駆動力を現像剤担持体に伝達する駆動伝達ギアを有する。駆動伝達ギアは、現像装置が接触位置及び第1離間位置にある状態で駆動入力ギアに係合し、現像装置が第1離間位置から第2離間位置に移動する間に駆動入力ギアから離間する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、現像装置を像担持体から離間させると、現像装置が第1離間位置から第2離間位置に移動する途中で駆動伝達ギアと駆動入力ギアとが離間する。このため、現像剤担持体が像担持体から離間した後で、現像剤担持体の回転が停止する。これにより、比較的簡易な構成によって像担持体と現像剤担持体とが擦れるのを防止することができる。また、現像剤担持体が像担持体から離間した後で、駆動伝達ギアが駆動入力ギアから離間する。このため、駆動入力ギアは像担持体に直接接続されている必要が無く、プロセスカートリッジ方式以外の構成にも採用することが可能になる。これにより、現像剤担持体および像担持体に駆動源を伝達、遮断するための機構を交換部品に内蔵する必要がなくなり、ランニングコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置100の概略断面図
【
図2】現像装置3a~3dの周辺を側方から示す側面図
【
図5】接触位置P1に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図
【
図6】第1離間位置P2に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図
【
図7】第2離間位置P3に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図
【
図8】現像装置3a~3dの全てが第2離間位置P3にある状態を示す現像装置3a~3dの側面図
【
図9】現像装置3a~3cが第2離間位置P3にあり、現像装置3dのみ接触位置P1にある状態の現像装置3a~3dの側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の概略断面図である。
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターである。
【0015】
画像形成装置100の本体(以下装置本体7と称する)の内部には画像形成部Pa~Pdが、水平方向に並んで設けられている。画像形成部Pa~Pdは、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。画像形成部Pa~Pdは、各色の画像に対応して設けられている。以下、画像形成部Paについてのみ説明するが、画像形成部Pb~Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。
【0016】
画像形成部Paには、可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a(像担持体)が設けられている。画像形成部Paの上方には、露光装置5が配置されている。露光装置5は、感光体ドラム1a~1dの表面に向けて光ビームを出射して静電潜像を描画する。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(
図1の時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、摺擦ローラー23aが配置されている。帯電装置2aは、感光体ドラム1aに対向して配置され、感光体ドラム1aの表面を帯電させることができる。
【0017】
現像装置3aは、現像容器4aと、現像ローラー21a(現像剤担持体)と、供給ローラー24aと、を有する。現像容器4aには、トナーが所定量充填されている。現像容器4a~4dに充填されるトナーは、現像装置3a~3dごとにマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのいずれかとなっている。
【0018】
現像ローラー21aは、感光体ドラム1aに対向配置されている。供給ローラー24aは、現像容器4a内のトナーを現像ローラー21aの外周面に供給する。現像ローラー21aは外周面に供給されたトナーを感光体ドラム1aに供給可能となっている。現像装置3a~3dの詳細については後述する。
【0019】
感光体ドラム1a~1dの下方には、中間転写ユニット31が設けられている。中間転写ユニット31は、フレーム30と、駆動ローラー10と、テンションローラー11と、中間転写ベルト8と、一次転写ローラー6a~6dと、を備えている。
【0020】
フレーム30は、画像形成装置100の幅方向(
図1に示す左右方向)に沿って延びている。駆動ローラー10とテンションローラー11とは、フレーム30の長手方向の両端に回転可能に支持されている。
【0021】
中間転写ベルト8は無端状のベルト(好ましくは、継ぎ目を有しないシームレスベルト)である。中間転写ベルト8は、テンションローラー11から駆動ローラー10にかけて周方向に回転可能なように巻き掛けられている。
【0022】
駆動ローラー10はベルト駆動モーター(不図示)に接続されている。ベルト駆動モーターの回転駆動力によって駆動ローラー10が回転すると、摩擦力によって中間転写ベルト8に回転駆動力が伝達される。これにより、中間転写ベルト8が駆動ローラー10の回転方向と同方向に回転する。
【0023】
一次転写ローラー6a~6dは、中間転写ベルト8を間に挟んで感光体ドラム1a~1dと対向する位置に、フレーム30に回転可能に移動可能に支持されている。
【0024】
中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー10と対向するように、二次転写ローラー9が設けられている。二次転写ローラー9は中間転写ベルト8に対して圧接されて二次転写ニップNを形成する。二次転写ローラー9は、二次転写ニップNを通過するシートS上に中間転写ベルト8上に形成されたトナー像を二次転写する。
【0025】
装置本体7の下部には、シートカセット16が設けられている。シートカセット16は、装置本体7の側方から装置本体7の内部に着脱可能に装着されている。シートカセット16には、シートSを積載可能である。
【0026】
装置本体7内部には、シート搬送路20が設けられている。シート搬送路20は、主搬送路28と、両面搬送路18とを含んで構成されている。主搬送路28は、シートカセット16に接続されている。主搬送路28の中途の位置に、レジストローラー対12と、二次転写ローラー9と、定着装置13が配置されている。主搬送路28は、シートカセット16からレジストローラー対12、二次転写ニップN、定着装置13の順に通過するように、シートSを搬送する。
【0027】
レジストローラー対12は、シートSの先端(シート搬送方向に対する下流側の端部)がシート搬送方向に直交するようにシートSの搬送方向を揃え、斜め搬送(スキュー)を補正する。
【0028】
シート搬送方向に対してレジストローラー対12よりも上流側には、シート給送部25が設けられている。シート給送部25は、シートカセット16に積載されたシートSを主搬送路28へと給送する。
【0029】
シート搬送方向に対して主搬送路28の下流側端部には、画像形成装置100の外部へと通じるシート排出口15が設けられている。シート排出口15には排出ローラー対22が設けられている。排出ローラー対22は、シート排出口15に到達したシートSを、画像形成装置100の本体上面に形成された排出トレイ17に排出する。
【0030】
シート搬送方向に対して排出ローラー対22と定着装置13との間に、分岐部14が設けられている。両面搬送路18は、シート搬送方向に対して主搬送路28の分岐部14と重なる位置で主搬送路28から分岐し、主搬送路28のレジストローラー対12よりも上流の位置で、主搬送路28と再合流する。分岐部14は、定着装置13を通過したシートSを、シート排出口15または両面搬送路18へと振り分け可能である。
【0031】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始の指示が入力されると、先ず、感光体ドラム1aを回転させつつ、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって感光体ドラム1a~1dの表面に光照射し、感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0032】
そして、現像装置3a~3dの現像剤中のトナーが、現像ローラー21a~21dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、感光体ドラム1a~1d上に静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0033】
この状態で、駆動ローラー10を回転させて、中間転写ベルト8の反時計回りの回転を開始させる。すると、感光体ドラム1a~1d上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に順次一次転写される。
【0034】
その後、所定のタイミングで、シートSがシートカセット16から主搬送路28へと給送され、レジストローラー対12を通過した後、二次転写ニップNへと搬送される。すると、中間転写ベルト8上のトナー像がシートSに二次転写される。そして、シートSは定着装置13に搬送され、定着装置13の定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像がシートSの表面に定着される。
【0035】
ここで、シートSに片面印刷を行う場合、分岐部14は、定着装置13を通過したシートSをシート排出口15へと振り分ける。シート排出口15に到達したシートSは、排出ローラー対22によって排出トレイ17上に排出される。
【0036】
シートSに両面印刷を行う場合、分岐部14は、定着装置13を通過したシートSを両面搬送路18に振り分ける。両面搬送路18は、シートSを、表裏を反転させつつレジストローラー対12に再度搬送する。そして、シートSは再度二次転写ニップNおよび定着装置13を通過し、裏面にトナー像が定着された後、分岐部14によってシート排出口15へと振り分けられる。
【0037】
次に、移動機構35の詳細について説明する。
図2は、現像装置3a~3dの周辺を側方から示す側面図である。
図3は、移動機構35の構成を分解して示す斜視図である。
図1、
図2に示すように、画像形成装置100は、上述した構成に加えて、移動機構35と、揺動付勢部材67(付勢部材)と、を備えている。移動機構35は、現像装置3a~3dを、揺動方向に対して接触位置P1から第2離間位置P3(
図7参照)の間で往復移動させる。現像装置3a~3dの揺動に関する詳細は、後述する。
【0038】
図2、
図3に示すように、移動機構35は、ベース部材36と、第1リンク部材37と、第1回動アーム38a、38bと、第2リンク部材40と、第2回動アーム41a、41bと、第1付勢部材39と、第2付勢部材46と、駆動機構55と、カム機構47と、第3付勢部材59と、を含んで構成されている。
【0039】
ベース部材36は、現像装置3a~3dの下方に配置されている。ベース部材36は、現像装置3a~3dが並列する方向(ここでは水平方向)に長細く形成された板状体である。ベース部材36には、現像装置3a~3dの並列方向に沿って等間隔に並んだ軸孔42a~42dが形成されている。
【0040】
第1リンク部材37は、現像装置3a~3dが並列する方向に長細く形成された棒状体である。第1リンク部材37は、現像装置3a~3dの下方に配置されている。第1リンク部材37は、現像装置3a~3dの並列方向に対して、ベース部材36と重なる位置にある。
【0041】
第1リンク部材37は、突出部43a~43cを有し、軸孔42e、42fが形成されている。突出部42a~42cは、第1リンク部材37の上面から現像装置3a~3cに向かって突出する突起である。突出部42a~42cは、第1リンク部材37の長手方向に沿って等間隔に並んでいる。突出部42a~42cの並ぶ間隔は、現像装置3a~3cの並列間隔に略等しい。
【0042】
第1リンク部材37の長手方向に沿った側端部のうち、突出部43a~43cと反対側には、第1作用凹部51が形成されている。第1作用凹部51は、第1リンク部材37の下面に形成された、上向きに凹む凹部である。第1作用凹部51は、第1リンク部材37の長手方向に対して、第1リンク部材37の中央よりも、突出部43c側に位置している。
【0043】
軸孔42eは第1リンク部材37の長手方向の一方側の端部近傍に、軸孔42fは第1リンク部材37の長手方向の他方側の端部近傍に形成された貫通孔である。
【0044】
第1回動アーム38a、38bは、感光体ドラム1a~1dの軸方向(現像装置3a~3dの並列する方向に直交する方向、以下、単に軸方向という)に対して、ベース部材36と第1リンク部材37との間に配置されている。第1回動アーム38a、38bの長手方向の両端には、リンク側支持軸44aと、ベース側支持軸45aが形成されている。
【0045】
リンク側支持軸44aは、第1リンク部材37に向かって突出している。ベース側支持軸45aはベース部材36に向かって突出している。第1回動アーム38aのリンク側支持軸44aは、軸孔42eに挿入されている。第1回動アーム38aのベース側支持軸45aは、軸孔42aに挿入されている。第1回動アーム38bのリンク側支持軸44aは、軸孔42fに挿入されている。第1回動アーム38bのベース側支持軸45aは、軸孔42cに挿入されている。
【0046】
第1回動アーム38a、38bは、ベース部材36に対して、ベース側支持軸45aの周方向に沿って回転可能に支持されている。第1リンク部材37は、第1回動アーム38aのリンク側支持軸44aと軸孔42eとの係合、および第1回動アーム38bのリンク側支持軸44aと軸孔42fとの係合によって、ベース部材36に対し揺動可能に支持されている。
【0047】
第2リンク部材40は、現像装置3a~3dが並列する方向に長細く形成された棒状体である。第2リンク部材40は、現像装置3a~3dの下方に配置されている。第2リンク部材40は、現像装置3a~3dの並列方向に対して、ベース部材36と重なる位置にある。第2リンク部材40は、軸方向に対して間に第1リンク部材37を挟んでベース部材36と対向している。
【0048】
第2リンク部材40は、突出部43dを有し、軸孔42g、42hが形成されている。突出部43dは、現像装置3a~3dの並列方向に対して現像装置3dと重なる位置にある。突出部43dは、第2リンク部材40の上面から現像装置3dに向かって突出する突起である。
【0049】
第2リンク部材40の長手方向に沿った側端部のうち、突出部43dと反対側には、第2作用凹部54が形成されている。第2作用凹部54は、第2リンク部材40の下面に形成された、上向きに凹む凹部である。第2作用凹部54は、第2リンク部材40の長手方向に対して、第2リンク部材40の中央よりも、突出部43d側と反対側(軸孔42g側)に位置している。第2作用凹部54は、第2リンク部材40の長手方向に対して、第1作用凹部51と重なる位置にある。
【0050】
軸孔42gは第2リンク部材40の長手方向の一方側(突出部43dと反対側)の端部近傍に、軸孔42hは第2リンク部材40の長手方向の他方側(突出部43d側)の端部近傍に形成された貫通孔である。
【0051】
第2回動アーム41aは、軸方向に対して第1リンク部材37と第2リンク部材40との間に配置され、第2回動アーム41bは、軸方向に対してベース部材36と第2リンク部材40との間に配置されている。第2回動アーム41a、41bは、長手方向の一端に位置するリンク側支持軸44bと、他端に位置するベース側支持軸45bとを有する。リンク側支持軸44bは、第2リンク部材40に向かって突出している。ベース側支持軸45bは、ベース部材36に向かって突出している。
【0052】
第2回動アーム41aのリンク側支持軸44bは軸孔42gに、第2回動アーム41aのベース側支持軸45bは、軸孔42bに挿入されている。第2回動アーム41bのリンク側支持軸44bは軸孔42hに、第2回動アーム41bのベース側支持軸45bは、軸孔42dに挿入されている。
【0053】
第2回動アーム41a、41bは、ベース部材36に対して、ベース側支持軸45bの周方向に沿って回転可能に支持されている。第2リンク部材40は、第2回動アーム41aのリンク側支持軸44bと軸孔42gとの係合、および第2回動アーム41bのリンク側支持軸44bと軸孔42hとの係合によって、ベース部材36に対し揺動可能に支持されている。
【0054】
第1付勢部材39および第2付勢部材46は、周方向に沿って弾性変形するねじりコイルばねである。第1付勢部材39は、第1回動アーム38aのベース側支持軸45aに外挿されている。第1付勢部材39は、ベース側支持軸45aの周方向に沿って、第1リンク部材37を現像装置3a~3dから遠ざかる方向に付勢している。
【0055】
第2付勢部材46は、第2回動アーム41aのベース側支持軸45bに外挿されている。第2付勢部材46は、第2リンク部材40を、ベース側支持軸45bの周方向に沿って現像装置3a~3dから遠ざかる方向に付勢している。
【0056】
カム機構47は、第1カム部材48と、第2カム部材49と、カム駆動ギア65と、軸体50と、を含んで構成されている。軸体50は、第1カム部材48、第2カム部材49、およびカム駆動ギア65を貫通して、これらと一体に連結している。第1カム部材48、第2カム部材49、およびカム駆動ギア65は、軸体50の周方向に一体に回転する。
【0057】
第1カム部材48および第2カム部材49は、それぞれ作用角の異なる平面カムである。第1カム部材48は、軸方向に対して第1リンク部材37と重なる位置にある。第1カム部材48は、第1作用凹部51の内周面と接触している。第1カム部材48は、軸体50の径方向に突出する第1カムロープ52を有する。
【0058】
第2カム部材49は、軸方向に対して第2リンク部材40と重なる位置にある。第2カム部材49の外周面は、第2作用凹部54の内周面と接触している。第2カム部材49は、軸体50の径方向に突出する第2カムロープ53を有する。
【0059】
第2カム部材49の作用角(軸体50の周方向に沿った第2カムロープ53の両端縁間の角度)は、第1カム部材48の作用角(軸体50の周方向に沿った第1カムロープ52の両端縁間の角度)より小さい。第1カム部材48および第2カム部材49の回転方向(軸体50の周方向に沿って図示反時計回りの方向)に対して、第1カムロープ52の下流側端縁と、第2カムロープ53の下流側端縁は、重なる位置にある。この回転方向に対して、第1カムロープ52の上流側端縁は、第2カムロープ53の上流側端縁よりも上流側に位置している。
【0060】
第1カム部材48が所定角度回転すると、第1カムロープ52が第1作用凹部51に当接する。この状態でさらに第1カム部材48が回転すると、第1カムロープ52が第1作用凹部51に摺接しつつ第1リンク部材37を現像装置3a~3dに向かって押し上げる。すると第1リンク部材37は、ベース側支持軸45aの周方向に沿って、第1付勢部材39の付勢力に抗して回動する。さらに第1カム部材48が回転して、軸体50の周方向に対して第1カムロープ52が第1作用凹部51から離間すると、第1リンク部材37は、第1付勢部材39の付勢力によって、ベース側支持軸45bの周方向に沿って下方に揺動する。
【0061】
第2カム部材49が所定角度回転すると、第2カムロープ53が第2作用凹部54に当接する。この状態でさらに第2カム部材49が回転すると、第2カムロープ53が第2作用凹部54に摺接しつつ第2リンク部材40を現像装置3a~3dに向かって押し上げる。すると、第2リンク部材40は、ベース側支持軸45bの周方向に沿って、第2付勢部材46の付勢力に抗して回動する。さらに第2カム部材49が回転して、軸体50の周方向に対して第2カムロープ53が第2作用凹部54から離間すると、第2リンク部材40は、第2付勢部材46の付勢力によって、ベース側支持軸45bの周方向に沿って下方に回動する。
【0062】
カム駆動ギア65は、駆動機構55に連結されている。カム駆動ギア65は、駆動機構55が出力する駆動力を受けて回転する。
【0063】
図4は、駆動機構55の構成を示す斜視図である。
図2、
図4に示すように、駆動機構55は、駆動源68と、第1ギア56と、第2ギア57と、リンク駆動ギア62と、ソレノイド58と、第3付勢部材59と、を有する。駆動源68は、回転駆動力を出力するモーターである。
【0064】
第1ギア56および第2ギア57は、回転軸方向に並んで配置され、第1ギア56と第2ギア57とは一体に回転する。第1ギア56および第2ギア57は、間欠歯車である。第1ギア56は、外周面に複数のギア歯60と、第1切欠き部61と、が形成されている。ギア歯60は、第1ギア56の周方向に沿って等間隔に並んでいる。第1切欠き部61は、第1ギア56の周方向に沿って歯60を切り欠くように形成されている。換言すると、第1ギア56の外周面の第1切欠き部61には、ギア歯60は形成されていない。
【0065】
リンク駆動ギア62は、第1ギア56と径方向に対向する位置に配置されている。リンク駆動ギア62は、第1ギア56とギア歯60を介して係合可能である。第1ギア56が所定の回転角度の状態で、リンク駆動ギア62は第1切欠き部61の内側に位置し、第1ギア56とは係合していない。
【0066】
第2ギア57は、外周面に複数のギア歯63と、第2切欠き部64とが形成されている。歯63は、第2ギア57の周方向に沿って等間隔に並んでいる。第2切欠き部64は、第2ギア57の周方向に沿ってギア歯63を切り欠くように形成されている。換言すると、第2ギア57の外周面の第2切欠き部64には、ギア歯63は形成されていない。
【0067】
第2ギア57は、径方向にカム駆動ギア65と対向するように配置されている。第2ギア57は、複数のギア歯63を介してカム駆動ギア65係合可能である。第2ギア57が所定の回転角度の状態で、カム駆動ギア65は第2切欠き部64の内側に位置し、第2ギア57とは係合していない。
【0068】
ソレノイド58は、鉄芯66を有している。鉄芯66は、第1ギア56に接近または離間して往復移動可能に支持されている。鉄芯66は、第1ギア56に接近した状態で、第1ギア56に形成された係合突起69と係合する。第3付勢部材59は、第1ギア56に当接している。鉄芯66が第1ギア56と係合している状態で、第3付勢部材59は軸体50の周方向に沿って第1ギア56を付勢している。
【0069】
この状態で、第1ギア56の周方向に対して、第1切欠き部61とリンク駆動ギア62が重なる位置にある。すなわち、第1ギア56とリンク駆動ギア62とは係合しておらず、第1ギア56は回転を停止している。
【0070】
この状態から鉄芯66が第1ギア56から離間して第1ギア56との係合が解除されると、第1ギア56は第3付勢部材59の付勢力によって第1ギア56は所定角度回転する。すると、第1ギア56とリンク駆動ギア62とが係合する。そして、第1ギア56にリンク駆動ギア62を介して駆動源68の駆動力が伝達され、第1ギア56が回転する。
【0071】
第2ギア57は第1ギア56と一体に回転する。第1ギア56および第2ギア57が駆動源68の駆動力によって所定角度回転すると、第2ギア57は、カム駆動ギア65と係合する。すると、カム駆動ギア65に第1ギア56および第2ギア57を介して駆動源68の駆動力が伝達されて、カム駆動ギア65が回転する。
【0072】
この状態から第2ギア57が所定角度回転し、第2ギア57の周方向に対して第2切欠き部64がカム駆動ギア65と重なる位置に到達すると、第2ギア57とカム駆動ギア65との係合が解除される。これにより、カム駆動ギア65は回転を停止する。
【0073】
鉄芯66は、第1ギア56から離間したあと再び第1ギア56に接近する。このとき、係合突起69は第1ギア56と一体に回転しており、鉄芯66から離間している。鉄芯66が第1ギア56から離間したときから第1ギア56が周方向に1回転すると、鉄芯66と係合突起69とが再び係合し、第1ギア56の周方向に対してリンク駆動ギア62が第1切欠き部61と重なる位置に到達する。このため、第1ギア56とリンク駆動ギア62との係合が解除されて、第1ギア56の回転が停止する。
【0074】
次に、現像装置3a~3dおよび移動機構35について、詳細に説明する。なお、現像装置3a~3dは共通の構成となるため、ここでは主に現像装置3aについて説明し、現像装置3b~3dについては現像装置3aと異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図5は、接触位置P1に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図である。
図6は、第1離間位置P2に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図である。
図7は、第2離間位置P3に位置する状態の現像装置3aの周辺を示す側面図である。
【0076】
図2、
図5~
図7に示すように、現像装置3aは、揺動支点Psを中心とする周方向に沿って、接触位置P1と、第1離間位置P2と、第2離間位置P3とに揺動可能なように支持されている。揺動支点Psは、現像容器4aに設けられている。揺動支点Psは、水平方向に対して現像ローラー21aの回転軸A2と感光体ドラム1aの回転軸との間に位置している。
【0077】
図2、
図5に示すように、接触位置P1とは、現像ローラー21aの外周面が感光体ドラム1aの外周面と接触する位置である。現像装置3aが接触位置P1にある状態で、現像ローラー21aから感光体ドラム1aにトナーが供給される。
【0078】
図6、
図7に示すように、第1離間位置P2および第2離間位置P3とは、現像ローラー21aの外周面が感光体ドラム1aの外周面から離間した位置である。第2離間位置P3は、第1離間位置P2よりも、現像装置3aが感光体ドラム1aから遠ざかった位置である。第2離間位置P3にある現像装置3aの現像ローラー21aの外周面と感光体ドラム1aの外周面との間隔は、第1離間位置P2にある現像装置3aの現像ローラー21aの外周面と感光体ドラム1aの外周面との間隔よりも大きい。以下、接触位置P1側から第2離間位置P3側への現像装置3aの揺動方向を「離間方向」と称する。
【0079】
上述した揺動付勢部材67は現像装置3aの揺動方向に対して弾性変形可能なコイルばねである。揺動付勢部材67は、揺動方向に対して、現像容器4aの下流側に配置されている。揺動付勢部材67は、現像容器4aの上面に当接している。揺動付勢部材67は、水平方向に対して現像ローラー21aを間に挟んだ揺動支点Psと反対側に位置している。
【0080】
揺動付勢部材67は、現像装置3aが接触位置P1にある状態で、現像ローラー21aと感光体ドラム1aとが好適に圧接するように、現像装置3aを感光体ドラム1aに向けて付勢している。現像装置3aが接触位置P1から第2離間位置P3に向かって揺動すると、揺動付勢部材67は圧縮し、現像装置3aを接触位置P1に向けて付勢する。
【0081】
図2、
図5に示すように、現像装置3aは、上述した構成に加えて、駆動伝達ギア27を有する。駆動伝達ギア27は、現像ローラー21aの回転軸A2に沿った方向に対して現像容器4aの一端部に支持されている。駆動伝達ギア27は現像ローラー21aに連結しており、駆動伝達ギア27に入力された回転駆動力は、現像ローラー21aに伝達されて、現像ローラー21aを回転させる。
【0082】
現像容器4aは、当接突起70を有する。当接突起70は、現像容器4aの底部から第1リンク部材37に向かって突出している。第1リンク部材37の回動方向に対して、当接突起70は、突出部43aと対向している。第1リンク部材37の回動に伴って突出部43aが上方に向かって回動すると、当接突起70は突出部43aと当接する。
【0083】
水平方向に対して現像ローラー21aを間に挟んで感光体ドラム1aと反対側に、ローラー駆動ギア29(駆動入力ギア)が配置されている。ローラー駆動ギア29は、装置本体7に回転可能に支持されている。ローラー駆動ギア29は、モーター等の駆動源(不図示)に接続され、この駆動源の駆動力を受けて回転する。
【0084】
ローラー駆動ギア29は、駆動伝達ギア27と係合可能である。
図2、
図5、
図6に示すように、現像装置3aが接触位置P1および第1離間位置P2にある状態で、ローラー駆動ギア29は駆動伝達ギア27と係合する。ローラー駆動ギア29は、現像装置3aが第1離間位置P2から第2離間位置P3に揺動する途中で、駆動伝達ギア27から離間する(
図7参照)。
【0085】
ローラー駆動ギア29は、駆動伝達ギア27と係合した状態で、駆動伝達ギア27に駆動源の駆動力を入力する。このとき、駆動伝達ギア27とローラー駆動ギア29とが係合している場合(現像装置3aが接触位置P1にある状態)、現像ローラー21aは、駆動伝達ギア27を介してローラー駆動ギア29から駆動力を伝達される。現像ローラー21aはこの駆動力によって回転する。
【0086】
現像装置3aが接触位置P1に位置する状態(
図2、
図5の状態)で、駆動伝達ギア27の回転軸A2は、揺動支点Psとローラー駆動ギア29の回転軸A1とを結ぶ直線L1と重なる位置よりも離間方向の下流側に位置している。
【0087】
次に、移動機構35による現像装置3a~3dの揺動について詳細に説明する。
図8は、現像装置3a~3dの全てが第2離間位置P3にある状態を示す現像装置3a~3dの側面図である。
図9は、現像装置3a~3cが第2離間位置P3にあり、現像装置3dのみ接触位置P1にある状態の現像装置3a~3dの側面図である。
【0088】
図2に戻って、上述した通り、カム駆動ギア65に回転駆動力が入力されていない状態(カム駆動ギア65と第2ギア57とが係合していない状態)で、第1付勢部材39および第2付勢部材46の付勢力によって第1リンク部材37および第2リンク部材40が現像装置3a~3dから離間し、現像装置3a~3dのすべてが接触位置P1に配置される(
図2参照)。
【0089】
この状態から第2ギア57とカム駆動ギア65とが係合すると、上述した通り、第1カムロープ52が第1作用凹部51に摺接し、第2カムロープ53が第2作用凹部54に摺接する。すると、第1リンク部材37および第2リンク部材40が押し上げられつつ揺動し、突出部43a~43dが現像装置3a~3dの当接突起70に接近する。
【0090】
この状態からさらに第1リンク部材37および第2リンク部材40が揺動すると、突出部43a~43dが当接突起70に接触して押圧し、揺動付勢部材67の付勢力に抗して現像装置3a~3dが接触位置P1から第1離間位置P2に向かって揺動する(
図6参照)。
【0091】
現像装置3a~3dが接触位置P1から第1離間位置P2に向かう途中で、現像ローラー21a~21dは、感光体ドラム1aから離間する。現像装置3a~3dが第1離間位置P2に到達した状態で、ローラー駆動ギア29と駆動伝達ギア27とは係合したままである。
【0092】
現像装置3a~3dが第1離間位置P2から第2離間位置P3に向かう途中で、駆動伝達ギア27がローラー駆動ギア29から離間する。すると、現像ローラー21aの回転が停止する。
図8に示すように、現像装置3a~3dが第2離間位置P3に到達した状態で、第1リンク部材37および第2リンク部材40は最上位に位置している。
【0093】
この状態からさらに第1カム部材48および第2カム部材49が回転すると、先ず第2カム部材49の第2カムロープ53が第2作用凹部54から離間する。すると、第2リンク部材40は、第2付勢部材46の付勢力によって現像装置3dから遠ざかるように下方に回動する。
【0094】
ここで、上述した通り、第1カム部材48の作用角は第2カム部材49の作用角よりも大きく、第1カムロープ52の下流側端縁は第2カムロープ53の下流側端縁よりも、第1カム部材48の回転方向の下流側に位置している。このため、第2カムロープ53が第2作用凹部54から離間した時点では、第1カムロープ52と第1作用凹部51とは摺接している。従って、第2リンク部材40が第1リンク部材37に先行して下降する。すなわち、仮に、現像装置3a~3dのすべてが第2離間位置P3に位置する状態(
図8に示す状態)でカム駆動ギア65が回転すると、
図9に示すように、現像装置3d(第1現像装置)が先に第2離間位置P3から接触位置P1に揺動し、次いで現像装置3a~3c(第2現像装置)が第2離間位置P3から接触位置P1に揺動する。
【0095】
移動機構35は、この現像装置3a~3cと現像装置3dとの揺動の位相のずれによって、現像装置3a~3dの全てが接触位置P1に位置するフルカラー印刷モード(
図2に示す状態)と、現像装置3a~3dの全てが第2離間位置P3に位置する退避モード(
図8に示す状態)と、現像装置3a~3cが接触位置P1に位置し、現像装置3dのみが第2離間位置P3に位置するモノクロ印刷モード(
図9に示す状態)と、を切り換えることができる。第1カム部材48および第2カム部材49が回転している間、上記各モードは、フルカラー印刷モード、退避モード、モノクロ印刷モード、再度フルカラー印刷モード(以下省略)、の順番に進行する。
【0096】
モードの切り替わりの態様は以下の通りである。上述した通り、ソレノイド58の鉄芯66を1回往復移動させることで、第1ギア56および第2ギア57は1回転した後に停止する。このとき、第2ギア57とカム駆動ギア65とが所定期間係合する。この第2ギア57とカム駆動ギア65とが係合している間に、上述したモードが1つ進行するように、第2ギア57の歯63が配置されている。これにより、画像形成装置100は、ソレノイド58の鉄芯66の往復移動の回数を制御することで、現像装置3a~3dの揺動を制御することができる。
【0097】
上述した通り、本実施形態の画像形成装置100に係る現像装置3a~3dは、現像ローラー21a~21dが感光体ドラム1a~1dから離間するときには、駆動伝達ギア27はローラー駆動ギア29と係合して回転するものとなっている。このため、ローラー駆動ギア29の外周面上で感光体ドラム1a~1dが擦れるのを抑制できる。また、移動機構35が現像装置3a~3dを接触位置P1から第2離間位置P3まで移動する動作の中で、現像ローラー21a~21dの駆動が解除される。このため、ローラー駆動ギア29の駆動を停止させる機構と、ローラー駆動ギア29から駆動伝達ギア27を離間させる機構とを別々に設ける必要がなくなる。従って、構造や制御系統の複雑化を抑制することができる。よって、ランニングコストおよび製造コストの増大を抑制しつつ、現像剤の劣化および画像不良を抑制可能な画像形成装置100を提供することができる。
【0098】
また、上述した通り、現像装置3aが接触位置P1に位置する状態で、駆動伝達ギア27の回転軸A2は、揺動支点Psとローラー駆動ギア29の回転軸A1とを結ぶ直線L1と重なる位置より離間方向の下流側に位置している。このため、現像装置3a~3dが接触位置P1から第1離間位置P2に向かって揺動可能となる。
【0099】
また、上述した通り、現像装置3a~3dは、揺動付勢部材67によって接触位置P1に向かって付勢されている。このため、現像装置3a~3dが接触位置P1にあるときには現像ローラー21a~21dが感光体ドラム1a~1dと好適に接触し、第1リンク部材37および第2リンク部材40が下方に移動すると現像装置3a~3dが自動的に接触位置P1に移動するものとなる。このため、比較的簡易な構成により、現像装置3a~3dを接触位置P1から第2離間位置P3の間で揺動させることができる。
【0100】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は
図1に示したカラープリンターに限らず、モノクロプリンター、やカラーおよびモノクロ複合機、インクジェットプリンター、ファクシミリ等、種々の画像形成装置100に適用可能である。
【0101】
また、上記実施形態のカム駆動ギア65には、ソレノイド58、第1ギア56および第2ギア57を含む駆動機構55によって駆動力を入力する構成を採用しているが、これに限られない。例えば、所定の回転角度のみ回転させることが可能なステッピングモーターにカム駆動ギア65を接続する構成を採用することもできる。この場合、ステッピングモーターの出力制御を行うことでカム駆動ギア65の回転角度、ひいては現像装置3a~3dの揺動を制御可能になり、構造の複雑化を抑制できる。
【0102】
また、駆動機構55の駆動源68は、シートを搬送する搬送ローラー対等を駆動するモーターや他のモーター等の駆動源と共通のものとすることができる。また、ローラー駆動ギア29に接続される駆動源も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、画像形成を行わない期間に現像ローラーの回転を停止させる現像装置を備えた画像形成装置に適用可能である。本発明の利用により、ランニングコストおよび製造コストの増大を抑制しつつ、現像剤の劣化および画像不良を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
4a~4d 現像容器
21a~21d 現像ローラー(現像剤担持体)
27 駆動伝達ギア
35 移動機構
37 第1リンク部材
40 第2リンク部材
43a~43d 突出部
55 駆動機構
67 揺動付勢部材(付勢部材)
68 駆動源
100 画像形成装置
A1 回転軸
A2 回転軸
L1 直線
P1 接触位置
P2 第1離間位置
P3 第2離間位置
Pa~Pd 画像形成部
Ps 揺動支点
S シート