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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184292
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】原料の受け渡し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 11/10 20060101AFI20231221BHJP
   B65G 65/44 20060101ALI20231221BHJP
   B07C 5/342 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
B65G11/10 A
B65G65/44 C
B65G11/10 B
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098360
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖本 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】檜和田 貫児
【テーマコード(参考)】
3F011
3F075
3F079
【Fターム(参考)】
3F011BA02
3F011BB08
3F011BC03
3F075AA09
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA02
3F075CA07
3F075CA09
3F075CB12
3F075CB16
3F075CC07
3F075DA17
3F079AC13
3F079BA06
3F079CA32
3F079CA41
3F079CB31
3F079CB34
3F079CC03
3F079DA06
(57)【要約】
【課題】原料を供給部から搬送部へ受け渡す際に、簡易かつ低コストでありながら、良好な受け渡しを実現して原料の流下状態を安定させる。
【解決手段】原料の受け渡し装置は、供給部から供給された原料を流下面102aへ案内する案内部2と、案内部2が上下方向に揺動自在となるように当該案内部2を支持する支持部3と、案内部2を上方へ付勢する付勢部4とを備えている。付勢部4による付勢力は、案内部2の上に所定量以上の原料が溜まることで案内部2を下方へ揺動させて流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成するように設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部から供給された原料を、原料の流下面を形成する搬送部に受け渡す原料の受け渡し装置であって、
前記供給部から供給された原料を前記流下面へ案内する案内部を備え、
前記案内部は、当該案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで下方に撓んで当該案内部の下流端と前記流下面との間に原料の通過可能な隙間を形成する可撓性を有していることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【請求項2】
供給部から供給された原料を、原料の流下面を形成する搬送部に受け渡す原料の受け渡し装置であって、
前記供給部から供給された原料を前記流下面へ案内する案内部と、
前記案内部が上下方向に揺動自在となるように当該案内部を支持する支持部と、
前記案内部に対して上方への付勢力を付与する付勢部とを備え、
前記付勢部による付勢力は、前記案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで前記案内部を下方へ揺動させて前記流下面との間に原料の通過可能な隙間を形成するように設定されていることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の原料の受け渡し装置において、
前記案内部の上に原料が無い状態で、前記案内部の下流端と、前記流下面との間には、原料の外径よりも小さい隙間が形成されることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の原料の受け渡し装置において、
前記案内部の上に原料が無い状態で、前記案内部に沿って前記流下面に交差するまで延長した仮想延長面と、当該仮想延長面よりも上の前記流下面とのなす角度が90度以下に設定されていることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【請求項5】
請求項1に記載の原料の受け渡し装置において、
前記案内部における撓み変形の開始起点部は、前記供給部の下流端に隣接していることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【請求項6】
請求項2に記載の原料の受け渡し装置において、
前記案内部の揺動中心は、前記供給部の下流端に隣接していることを特徴とする原料の受け渡し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給部から供給された原料を搬送部に受け渡すための原料の受け渡し装置に関し、特に供給部から供給された原料を一旦溜めた状態にしてから流下させる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば穀物等の原料を供給部から搬送部に供給する際に、供給部と搬送部との間に原料の受け渡し装置を介在させたものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、供給部に対してスライド自在とされた中間樋によって構成された受け渡し装置が開示されている。特許文献1のものでは、原料の大きさや重量等に合わせて搬送部の勾配を変更する際に、勾配を急にすると供給部と搬送部との距離が短くなることで中間樋が供給部の下方をスライドして供給部との重なり部分が大きくなる一方、勾配を緩やかにすると供給部と搬送部との距離が長くなることで中間樋が供給部の下方をスライドして供給部との重なり部分が小さくなるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、供給部と搬送部の上部との間に中継樋を設置している。特許文献2のものでは、中継樋を搬送部に対して接離させる駆動手段を設けており、原料の流量に応じて駆動手段が中継樋の位置を自動的に調整するようにしている。
【0005】
また、特許文献3には、搬送部内にゴムなどの弾性材からなる流動規制板を設けることが開示されている。特許文献3のものでは、搬送部内を流れる原料の流動が流動規制板によって規制されて原料の流れを安定させている。
【0006】
また、特許文献4には、供給部内に規制板を設けて原料の散粒を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭56-62181号公報
【特許文献2】特開2006-111434号公報
【特許文献3】特開昭55-116476号公報
【特許文献4】特開昭55-165176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば原料を光学的に選別する光学式選別機では、搬送部を流れる原料に含まれる異物などを光学機器により選別してエジェクタ装置によって排除するように構成されている。光学機器による選別精度を高めてエジェクタ装置による異物排除の誤りの頻度を低くするためには、原料を供給部から搬送部へ受け渡す際に良好な受け渡し、即ち、搬送部を流れる全ての原料が跳ねることなく、かつ、姿勢の乱れがない状態での受け渡しが好ましい。
【0009】
光学式選別機の現場への導入時には、例えば特許文献1の場合、良好な受け渡し状態となるように搬送部の勾配を調整し、その勾配に合わせて中間樋をスライドさせて運用を開始する。ところが、運用開始後、調整時とは異なる原料が供給されたり、原料は同じであってもロットが異なることで大きさや形状の異なる原料が供給されることがある。そのような場合、特許文献1では運用を停止した状態で、作業者が搬送部の勾配調整と中間樋のスライド操作を行わなければならず、作業者に負担がかかる。
【0010】
この点、特許文献2では、駆動手段が中継樋の位置を自動的に調整して原料を搬送部の同一箇所に一定速度で流下させることができるので、作業者による調整作業は不要である。しかしながら、原料の流量を検出する処理、閾値との判定処理、駆動量演算、駆動手段への動作指令処理、駆動手段の動作処理といった複数の直列的な処理が必要であるため、例えば供給部からの原料の流量が急に変化した場合にリアルタイムでの応答性が良好とはいえず、流量が変化してから中継樋の位置調整が終わるまで、良好な受け渡し状態を維持できないことが考えられる。また、センサ、制御装置、アクチュエータといった機器が必要になる分、製造コストが増大するという問題もある。
【0011】
一方、特許文献3には、搬送部内に流動規制板を設けているが、流動規制板は搬送部内の上下方向中間部に位置しているので、供給部から搬送部へ原料を受け渡す部材として作用せず、良好な受け渡しを実現できるものではない。
【0012】
また、特許文献4の規制板は、供給部内で原料の流動を規制するための部材であり、搬送部へ原料を受け渡す部材ではないので、良好な受け渡しへの寄与度は低い。
【0013】
尚、光学式選別機以外の籾摺機においても、籾摺処理を確実に行うためには、原料を供給部から搬送部へ受け渡す際に良好な受け渡しを行う必要がある。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、原料を供給部から搬送部へ受け渡す際に、簡易かつ低コストでありながら、良好な受け渡しを実現して原料の流下状態を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、第1の態様では、供給部から供給された原料を、原料の流下面を形成する搬送部に受け渡す原料の受け渡し装置を前提とする。前記受け渡し装置は、前記供給部から供給された原料を前記流下面へ案内する案内部を備えている。前記案内部は、当該案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで下方に撓んで当該案内部の下流端と前記流下面との間に原料の通過可能な隙間を形成する可撓性を有している。
【0016】
すなわち、供給部から供給された原料が案内部によって搬送部へ向けて案内されると、原料が案内部の上に一時的に溜まる。案内部の上に溜まった原料が所定量以上になると、原料の重量によって案内部が下方に撓み変形し、案内部の下流端と搬送部の流下面との間に原料の通過が可能な隙間が形成されるので、案内部の上に溜まっている原料が当該隙間を通過し、搬送部の流下面を流下する。
【0017】
ここで、案内部の下方への撓み変形を利用していることから、案内部の下流端と搬送部の流下面との隙間は、案内部の上に溜まっている原料の量が多くなればなるほど拡大する一方、少なくなればなるほど縮小する。この隙間の変化は、案内部の上に溜まっている原料の量が変化するとすぐに変化するので、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて応答速度が速い。また、案内部の可撓性を利用した隙間のコントロールであることから、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて製造コストが低くなる。
【0018】
そして、一旦溜めた原料が徐々に隙間を流れていくので、供給部から搬送部への受け渡し時における原料の姿勢が乱れにくくなるとともに、搬送部へ達したときの原料の跳ねも抑制される。よって、供給部から搬送部への受け渡しが良好になる。
【0019】
第2の態様に係る受け渡し装置は、前記案内部が上下方向に揺動自在となるように当該案内部を支持する支持部と、前記案内部に対して上方への付勢力を付与する付勢部とを備えている。前記付勢部による付勢力は、前記案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで前記案内部を下方へ揺動させて前記流下面との間に原料の通過可能な隙間を形成するように設定されている。
【0020】
この構成によれば、案内部の上に溜まった原料が所定量以上になると、案内部が付勢部の付勢力に抗して下方に揺動し、案内部と搬送部の流下面との間に原料の通過可能な隙間が形成される。この隙間は、付勢部による付勢力と、一時的に溜まった原料の重量との差によって変化するものなので、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて応答速度が速い。また、付勢部による付勢力を利用した隙間のコントロールであることから、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて製造コストが低くなる。
【0021】
前記案内部の上に原料が無い状態で、前記案内部の下流端と、前記流下面との間には、原料の外径よりも小さい隙間を形成することができる。すなわち、案内部の下流端と流下面とが予め離れていることで、両者の間に摩擦抵抗が無くなり、案内部が狙い通りに撓み変形し、また揺動する。さらに、案内部の上に溜まった原料が所定量未満の場合には、原料が隙間から流れないようにして、案内部の上に少なくとも所定量の原料を溜めることができる。一旦溜めた原料を隙間から流すことで、上述したように供給部から搬送部への受け渡しが良好になるという作用効果がより一層顕著なものになる。
【0022】
前記案内部の上に原料が無い状態で、前記案内部に沿って前記流下面に交差するまで延長した仮想延長面と、当該仮想延長面よりも上の前記流下面とのなす角度が90度以下に設定されていることで、案内部の上に所定量以上の原料が溜った時点で案内部を確実に下方へ撓ませることや揺動させることができる。
【0023】
また、第1の態様において、前記案内部における撓み変形の開始起点部を前記供給部の下流端に隣接させることにより、供給部と案内部との間の段差が小さくなる。また、第2の態様において、前記案内部の揺動中心を前記供給部の下流端に隣接させることにより、供給部と案内部との間の段差が小さくなる。したがって、供給部から供給された原料を案内部にスムーズに受け渡すことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、第1の態様では、案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで当該案内部が下方に撓み変形し、原料の通過可能な隙間を形成することができる。また、第2の態様では、案内部の上に所定量以上の原料が溜まることで当該案内部を下方へ揺動させ、原料の通過可能な隙間を形成することができる。したがって、原料を供給部から搬送部へ受け渡す際に、電気的な駆動手段を不要にして簡易かつ低コストでありながら、良好な受け渡しを実現できるとともに、原料の流下状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態1に係る原料の受け渡し装置を備えた色彩選別機の概略断面図である。
図2】原料の受け渡し装置の拡大断面図である。
図3】案内部の上に所定量未満の原料が溜まった場合を示す図2相当図である。
図4】案内部の上に所定量以上の原料が溜まった場合を示す図2相当図である。
図5】原料の流量が増加した場合を示す図2相当図である。
図6】必要な付勢力を算出する場合に使用する模式図である。
図7】実施形態1の変形例1に係る図2相当図である。
図8】実施形態1の変形例2に係る図2相当図である。
図9】実施形態1の変形例3に係る図2相当図である。
図10】本発明の実施形態2に係る図2相当図である。
図11】案内部の上に所定量未満の原料が溜まった場合を示す図10相当図である。
図12】案内部の上に所定量以上の原料が溜まった場合を示す図10相当図である。
図13】原料の流量が増加した場合を示す図10相当図である。
図14】実施形態2の変形例に係る図2相当図である。
図15】本発明の実施形態3に係る籾摺機の断面図である。
図16】実施形態1と従来例の原料飛散率を示すグラフである。
図17】実施形態2と従来例の原料飛散率を示すグラフである。
図18】大豆の飛散率を示すグラフである。
図19】飛散率と選別率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。例えば、部材の形状、部材の配置、大きさ等は本発明から逸脱しない範囲で変更することができる。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る原料の受け渡し装置1を備えた色彩選別機100の概略断面図である。色彩選別機100は、原料に含まれる異物等の不良品を選別して排除する装置である。色彩選別機100で選別対象となり得る原料は、例えば玄米、精米、大豆、小豆等の穀物であってもよいし、樹脂ペレット等の粒状物であってもよい。例えば、玄米や精米が原料である場合、害虫等による着色粒、ヤケ米等による被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒などの着色粒、及び小石などの異物をまとめて不良品として良品とは区別する。樹脂ペレットが原料である場合、混入した異物等を不良品として良品とは区別する。不良品は、色彩選別機100によって良品から排除することができる。
【0028】
以下、色彩選別機100の概略構造について説明する。色彩選別機100は、被選別物である原料を供給する供給部101、搬送部としての傾斜シュート102、光学選別部103及び排出ホッパ105を備えている。供給部101は、原料が貯留されるタンク101aと、原料を傾斜シュート102に供給する振動フィーダ101bとを備える。振動フィーダ101bを振動させることにより、タンク101a内の原料が当該振動フィーダ101bの下流側へ送られる。尚、供給部101は、フィーダに限られるものではなく、例えばカスケード・カットゲートタイプでもよい。
【0029】
傾斜シュート102は、振動フィーダ101bの幅よりも広い所定幅を有しており、振動フィーダ101bの下流側の下方位置に傾斜した状態で配置され、振動フィーダ101bから供給される原料を自然流下させる。傾斜シュート102は、原料の流下面102aを形成する平板状の傾斜板部102bと、傾斜板部102bの幅方向両側からそれぞれ立ち上がる側板部102cとを備えている。傾斜シュート102の勾配は調整可能である。尚、傾斜シュート102の代わりに、ベルト式の搬送部であってもよい。
【0030】
傾斜シュート102の流下面102aには上下方向に延びる複数の溝(図示せず)が幅方向に互いに間隔をあけて設けられていてもよい。また、傾斜板部102bの裏面(流下面102aと反対側の面)には、流下面102aに異物が付着するのを抑制するためのヒータ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0031】
光学選別部103は、傾斜シュート102の下流端から落下する原料の落下軌跡(仮想線L1で示す)の前後に配設される光学検出装置103a、103b、103c、背景部材103d、103e、103f、照明装置(図示せず)などから構成される。光学検出装置103a、103b、103cは、例えばCCDラインセンサにより構成されていて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に感度を有するR素子、G素子、B素子を備えている。光学検出装置103a、103b、103cの受光信号は、R信号、G信号、B信号に光電変換されて出力される。
【0032】
光学検出装置103a、103b、103cと演算装置110とは電気的に接続されており、光学検出装置103a、103b、103cから出力された各信号は演算装置110に入力される。演算装置110では、光学検出装置103a、103b、103cから入力された各信号に基づいて原料が不良品であるか良品であるかを判別するとともに、不良品と判別した場合にその不良品が害虫等による着色粒、ヤケ米等による被害粒、青未熟粒、籾米と、乳白粒などの着色粒及び異物のどれに該当するかも判別することができる。判別ロジックは従来から周知であるため、詳細な説明は省略するが、撮像画像に対して二値化処理を行って得られたR、G、Bの各値から、分光比R/Gと、分光比R/Bとを演算し、得られた値を比較回路(図示せず)に格納された判別式と比較し、例えば6種類の判別を行う。
【0033】
演算装置110はエジェクタ駆動装置111に電気的に接続されており、演算装置110からの出力信号がエジェクタ駆動装置111に入力される。すなわち、演算装置110による判別結果の信号が、不良品を排除するエジェクタ駆動装置111に出力される。さらに、エジェクタ駆動装置111はエジェクタ装置112に電気的に接続されており、エジェクタ装置112に排除信号を出力するよう構成されている。エジェクタ装置112は、排除信号を受信すると、不良品がちょうど正面を通過するタイミングで圧縮空気を原料の落下軌跡L1へ向けて噴射し、不良品を吹き飛ばす。この手法も従来から周知である。
【0034】
排出ホッパ105は、良品回収ホッパ105a及び不良品回収ホッパ105bを有している。エジェクタ装置112により吹き飛ばされた不良品は不良品回収ホッパ105bで回収されて機外に排出される。エジェクタ装置112により吹き飛ばされなかった良品は良品回収ホッパ105aで回収されて機外に排出される。
【0035】
上記のように構成された色彩選別機100では、光学選別部103による選別精度を高めてエジェクタ装置112による異物排除の誤りの頻度をできるだけ低くしたい。そのため、原料を供給部101の振動フィーダ101bから傾斜シュート102へ受け渡す際に良好な受け渡しを実現する必要がある。原料の良好な受け渡しとは、傾斜シュート102の流下面102aを流下する全ての原料が跳ねることなく、かつ、流下面102aを流下する全ての原料の姿勢に乱れがない状態となるような受け渡しである。
【0036】
本実施形態に係る原料の受け渡し装置1は、供給部101から供給された原料を傾斜シュート102に受け渡す際に、上述した良好な受け渡し、またはそれに極めて近い受け渡しを実現可能な装置である。具体的には、図2に示すように、原料の受け渡し装置1は、振動フィーダ101bから供給された原料を傾斜シュート102の流下面102aへ案内する案内部2と、案内部2が上下方向に揺動自在となるように当該案内部2の上流側部分を支持する支持部3と、案内部2に対して上方への付勢力を付与する付勢部4とを備えている。
【0037】
案内部2は、振動フィーダ101bの下流端から傾斜シュート102の流下面102aへ向けて下降傾斜しながら延びる樋状の部材で構成されており、底板部2aと、底板部2aの幅方向両側からそれぞれ立ち上がる側板部2bとを備えている。側板部2bは、原料が側方へ漏れるのを防止するためのものであり、必要に応じて設ければよく、一方のみ設けてもよい。側板部2bが無い場合には、案内部2は単純な板状になる。
【0038】
底板部2aは、例えばアクリル製の平板等で構成されている。案内部2を構成する材料としては、静電気の発生しない材料が好ましく、例えば金属等であってもよい。また、案内部2には、汚れ対策としてヒータ(図示せず)を設けてもよいし、汚れ防止のための表面処理を施してもよい。さらに、案内部2の底板部2aの上面には、原料の案内方向に延びる溝(図示せず)が設けられていてもよい。
【0039】
案内部2の幅は振動フィーダ101bの幅よりも僅かに狭く設定されており、案内部2の下流側部分が振動フィーダ101bの幅方向両側の側板部102cの間に配置可能になっている。
【0040】
支持部3は、案内部2の幅方向に沿って水平に延びる支軸で構成されている。支持部3は、案内部2の揺動中心を形成する部材であり、供給部101の振動フィーダ101bの下流端の下に取り付けられている。案内部2の上流端は、支持部3に対して回動可能に連結されており、これにより、案内部2は、上流端部を揺動中心として下流端が上下方向に移動するように揺動可能になる。案内部2の下流端の移動軌跡は、支持部3を中心とした円弧状となる。尚、案内部2の上流端を支持部3に固定し、支持部3を振動フィーダ101bの下流端に対して回動可能に連結してもよく、この場合も案内部2を上下方向に揺動させることができる。
【0041】
案内部2の揺動中心は供給部101の振動フィーダ101bの下流端の下に隣接している。これにより、案内部2の底板部2aと、振動フィーダ101bの下流端との間の段差が小さくなる。したがって、振動フィーダ101bから供給された原料を案内部2にスムーズに受け渡すことができる。
【0042】
付勢部4は、バネやゴム等の弾性部材で構成されており、バネ単体、ゴム単体、またはバネとゴムの組み合わせで付勢部4を構成することができる。本実施形態では、ねじりバネにより付勢部4が構成されている例について説明するが、付勢部4はねじりバネ以外のバネやゴム等で構成されていてもよい。付勢部4がねじりバネで構成されているので、付勢部4は、第1アーム4aと、第2アーム4bと、これらアーム4a、4b間で弾性力を発生する弾性力発生部4cとを有している。
【0043】
振動フィーダ101bの下流端の下方には、付勢部4の第1アーム4aが固定されるバネ固定部材5が設けられている。バネ固定部材5は、例えば原料の受け渡し装置1の一部を構成しているフレーム部材や筐体等に固定されている。付勢部4の第2アーム4bは、案内部2の底板部2aの下面に固定されている。これにより、付勢部4は、案内部2を上方へ向けて常時付勢する。
【0044】
尚、例えばコイルバネで付勢部4を構成する場合には、コイルバネの一端部をバネ固定部材5に固定しておき、コイルバネの他端部を案内部2の底板部2aの下面に固定すればよい。また、板バネで付勢部4を構成する場合には、板バネの一端部をバネ固定部材5に固定しておき、板バネの他端部を案内部2の底板部2aの下面に固定すればよい。また、引張バネやゴム等によって案内部2を上方へ引っ張ることにより、付勢力を作用させてもよい。
【0045】
付勢部4による付勢力を調整可能にしてもよい。例えば比重の高い原料の場合には付勢部4による付勢力を大きくする一方、比重の低い原料の場合には付勢部4による付勢力を小さくする。例えばバネをばね定数の異なるものに変更することにより、付勢部4による付勢力の調整が可能になる。
【0046】
原料が供給されていない状態、即ち、案内部2の上に原料が無い状態では、案内部2の下流端と、流下面102aとの間には隙間S1が形成されている。案内部2の上に原料が無い時の案内部2の位置を初期位置(無負荷位置)という。つまり、初期位置にある案内部2の下流端は、流下面102aから離れているので、案内部2が下へ揺動しようとした際に流下面102aとの間に摩擦力(摩擦抵抗)は発生しない。よって、案内部2の下方への揺動が狙い通りにスムーズに行われる。また、案内部2の下流端には、流下面102aとの干渉を確実に防止するために、例えば面取り加工等を施してもよい。
【0047】
案内部2が初期位置にあるときの隙間S1は、原料の外径よりも小さい隙間であり、この状態で数粒程度だけ原料が供給されたとしても、原料は隙間S1から下流側へは流れず、案内部2の上に留まることになる。案内部2が初期位置にあるときの隙間S1の大きさは、例えば案内部2の長さを変えることや、案内部2と傾斜シュート102との相対距離を変えることで変更可能である。
【0048】
原料が球に近い形状であれば、どの部分の外径も殆ど同じであるので、隙間S1を設定する際に測定する原料の外径はどの部分であってもよい。一方、原料が長円形や楕円形に近い断面を有する場合には、短径方向の寸法と長径方向の寸法とが異なることになるが、この場合、隙間S1を設定する際に測定する原料の外径は短径方向の外径とする。これにより、原料がどのような方向に向いていても、隙間S1を通過しなくなる。また、隙間S1を設定する際には、原料の平均径を算出し、その平均径未満となるように、隙間S1を設定してもよい。また、大きさの異なる原料が混在している場合には、小さい方の原料の外径未満となるように、隙間S1を設定してもよい。
【0049】
また、図2に示す仮想線L2は、案内部2の下流側部分に沿って傾斜シュート102の流下面102aに交差するまで延長した仮想延長面(平面)を示している。案内部2の上に原料が無い状態では、仮想延長面L2と、仮想延長面L2よりも上の流下面102aとのなす角度Aが90度以下に設定されており、本例では、角度Aが90度である。
【0050】
角度Aが90度のときが、隙間S1が最も狭くなる。すなわち、案内部2の上に原料が無い状態では、隙間S1が最も狭くなるように案内部2の傾斜角度が設定されている。案内部2の上に原料が溜まっていき、原料の重量によって案内部2が下へ押されると、案内部2は傾斜シュート102の流下面102aと干渉することなく、下へ揺動する。案内部2が下へ揺動していくと、角度Aが90度よりも小さくなるとともに、案内部2の下流側の縁部が流下面102aから離れていき、隙間S1は広くなる(図4図5に示す)。
【0051】
角度Aが90度よりも小さくなると、案内部2の勾配が急になり過ぎて、振動フィーダ101bから供給された原料が案内部2上で加速し、跳ねやすくなるおそれがあるので、角度Aは90度以下とするのが好ましい。反対に、角度Aが90度よりも大きくなると、案内部2が下へ揺動しようとした際に案内部2の下流端が傾斜シュート102の流下面102aに接して干渉してしまい、案内部2が下へ揺動しなくなる。よって、本例では、案内部2が初期位置にあるときの角度Aを90度としているが、原料が跳ねない範囲で90度より小さくすることもでき、例えば角度Aを85度から90度の範囲で設定することも可能である。
【0052】
付勢部4による付勢力により、初期位置にある案内部2が下へ揺動し始めるタイミングを決定することができる。すなわち、付勢部4による付勢力は、案内部2の上に所定量未満の原料が溜まった状態(図3に示す)では、案内部2を初期位置で保持したままにする一方、図4に示すように、案内部2の上に所定量以上の原料が溜まることで案内部2を下方へ揺動させて流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成するように設定されている。原料が流れ続けている間は、原料の通過可能な隙間S1が維持される。また、原料の流量が図4に示す場合もより多くなると、図5に示すように、案内部2が図4に示す場合よりも下へ大きく揺動して隙間S1が広くなり、原料が流れ続けている間は、この大きな隙間S1が維持される。
【0053】
案内部2の底板部2aの上面には、平滑な金属板表面よりも高い摩擦力を発生させる高摩擦材や高摩擦構造が設けられていてもよい。これにより、案内部2の底板部2aに供給された原料がすぐに流れなくなるので、原料を案内部2の上に一時的に溜めることができる。また、案内部2の底板部2aの上面に凹凸形状を設けてもよい。これにより、案内部2の底板部2aに供給された原料が凹部や凸部に引っ掛かるようになり、原料を案内部2の上に一時的に溜めることができる。
【0054】
上述した付勢部4による付勢力は、図6に示す模式図によって算出可能である。この図6では、供給部101の振動フィーダ101bと、傾斜シュート102とが向かい合わせになっている前投入を示している。図6中、a[mm]は案内部2の長さ(上流端から下流端までの長さ)であり、α[deg]は傾斜シュート102の傾斜角度であり、θ[deg]は案内部2の揺動角度変位(0≦θ≦α)であり、w[g]は案内部2の上に溜まった原料の重量であり、φ[deg]は傾斜シュート102と案内部2とのなす角度であり、kt[N・mm/deg]は付勢部4のばね定数であり、gは重力加速度である。φ[deg]は、案内部2が初期位置にあるときには90[deg]である。
【0055】
原料の流量がある流量の時、案内部2上には原料w[g]が溜まりながら流れており、案内部2の揺動角度変位がθ[deg]で定常状態となる場合のばね定数kt[N・mm/deg]を求める。
【0056】
w[g]の原料が案内部2に与える力N1は、次式(1)で示すように、案内部2の垂直方向の成分を計算することで求まる。
【0057】
N1=w・g・cos(π/2+θ-α) (1)
案内部2の揺動中心からa[mm]離れた位置での力のモーメントMは次式(2)で計算できる。
【0058】
M=N1・a=a・w・g・cos(π/2+θ-α) (2)
この力のモーメントを加えた時に、案内部2の角度変位がθ[deg]で維持されたとすると、その付勢部4のばね定数は次式(3)で表すことができる。
【0059】
kt=M/θ=a・w・g・cos(π/2+θ-α)/θ (3)
また、案内部2の角度変位θ[deg]と、隙間S1(x[mm])の関係は次式(4)で表すことができる。
【0060】
x=a・sin(θ)・tan(θ/2) (4)
上記式(3)、(4)より次式が得られる。
【0061】
kt=x・w・g・cos(π/2+θ-α)/θ・sin(θ)・tan(θ/2)
つまり、案内部2上にある原料の重量がw[g]の時、どの程度の隙間S1が必要かを決めることで、隙間S1を実現可能な付勢部4のばね定数を求めることができる。例えばaが100mm、αが60deg、wが50gであるとすると、例えば、隙間S1を20mm確保しようとすると、ばね定数は約0.52N・mm/degとなる。wは、実験等により、原料の種類に適した値を事前に求めておけばよい。隙間S1の適切な大きさとしては、原料が案内部2の上に溜まり、かつ溢れない状態を維持できる大きさである。
【0062】
(実施形態1の作用効果)
以上説明したように、実施形態1によれば、上下方向に揺動自在に支持された案内部2を付勢部4によって上方へ付勢している。そして、付勢部4による付勢力は、案内部2の上に所定量以上の原料が溜まることで案内部2を下方へ揺動させて傾斜シュート102の流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成するように設定しているので、図3に示すように、供給部101から供給された原料が案内部2によって傾斜シュート102へ向けて案内されると、原料が案内部2の上に一時的に溜まる。
【0063】
供給部101からは原料が継続して供給されているので、図4に示すように、案内部2の上に溜まった原料が所定量以上になると、原料の重量によって案内部2が下方に揺動する。案内部2の下方への揺動により、案内部2の下流端と傾斜シュート102の流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1が形成されるので、案内部2の上に溜まっている原料が当該隙間S1を通過し、流下面102aを流下する。
【0064】
図5に示すように、案内部2の下流端と傾斜シュート102の流下面102aとの隙間S1は、案内部2の上に溜まっている原料の量が多くなればなるほど拡大する。一方、図4に示すように、案内部2の上に溜まっている原料の量が少なくなればなるほど縮小する。この隙間S1の変化は、案内部2の上に溜まっている原料の量が変化するとすぐに変化するので、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて応答速度が速い。また、付勢部4の付勢力を利用した隙間S1のコントロールであることから、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて製造コストが低くなる。
【0065】
そして、一旦溜めた原料が徐々に隙間S1を流れていくので、供給部101から傾斜シュート102への受け渡し時における原料の姿勢が乱れにくくなるとともに、傾斜シュート102へ達したときの原料の跳ねも抑制される。よって、供給部から傾斜シュート102への受け渡しが良好になる。
【0066】
(実施形態1の変形例)
図7は、実施形態1の変形例1を示している。この変形例1では、案内部2の底板部2aが上へ向けて湾曲しており、これに伴って側板部2bも同様に湾曲している。底板部2aを上へ向けて湾曲させることにより、原料が案内部2の上流側部分の上には溜まり難くなるが、案内部2の下流端近傍には溜まり易くなり、一時的に溜まった原料を傾斜シュート102へ流すことができる。
【0067】
図8は、実施形態1の変形例2を示している。この変形例2では、案内部2の底板部2aが下へ向けて湾曲しており、これに伴って側板部2bも同様に湾曲している。底板部2aを下へ向けて湾曲させることにより、案内部2の上の原料を案内部2の下流端へ確実に導くことができる。
【0068】
図9は、実施形態1の変形例3を示している。この変形例3は、供給部101の振動フィーダ101bと、傾斜シュート102とが向かい合わせになっていない後投入の場合に本発明を適用した例である。すなわち、傾斜シュート102は図2等に示す前投入の場合とは反対方向に傾斜している。これに対応するように、案内部2も前投入の場合とは反対方向に傾斜している。バネ固定部材5には、案内部2を揺動自在に支持する支持部3が設けられている。バネ固定部材5に固定された付勢部4により、上述したような付勢力が案内部2に付与される。よって、前投入の場合と同様に案内部2を揺動させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、運用停止後、案内部2の上に原料が溜まったままになるが、この溜まった原料を排出するようにしてもよい。例えば運用停止後、案内部2を振動させたり、案内部2を下へ大きく揺動させたり、案内部2の上の原料を吹くエアブロー装置を設けたり、案内部2の上の原料を掻くワイパー等を設けてもよい。
【0070】
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2に係る原料の受け渡し装置1を示している。実施形態2では、案内部20が撓み変形する点で実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には、実施形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
案内部20は所望の可撓性を有している。具体的には、案内部20は、当該案内部20の上に所定量以上の原料が溜まることで下方に撓んで当該案内部20の下流端と傾斜シュート102の流下面120aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成する可撓性を有している(図12図13参照)。
【0072】
すなわち、実施形態2では、図10に示すように、案内部20の上に原料が無い時の案内部20の形状を初期形状(無負荷形状)という。初期形状の案内部20の下流端と、流下面102aとの間には、実施形態1と同じ隙間S1が形成されている。また、案内部20が初期形状の時、仮想延長面L2と、仮想延長面L2よりも上の流下面102aとのなす角度Aは、実施形態1と同様に設定されている。
【0073】
案内部20は、当該案内部20の上に所定量未満の原料が溜まった状態(図11に示す)では、初期形状が維持される一方、図12示すように、案内部20の上に所定量以上の原料が溜まることで下方へ撓んで流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成するように構成されている。原料が流れ続けている間は、案内部20が撓んだままになるので、原料の通過可能な隙間S1が維持される。また、原料の流量が図12に示す場合もより多くなると、図13に示すように、案内部20が図12に示す場合よりも下へ大きく撓んで隙間S1が広くなり、原料が流れ続けている間は、この隙間S1が維持される。
【0074】
案内部20における撓み変形の開始起点部20aは、供給部101の振動フィーダ101bの下流端に隣接している。これにより、案内部20と、振動フィーダ101bの下流端との間の段差が小さくなるので、振動フィーダ101bから供給された原料を案内部20にスムーズに受け渡すことができる。
【0075】
上述したような可撓性を有する案内部20は、例えば弾性を有する金属製の板材や樹脂製の板材、またはそれらの組み合わせによって構成することができる。また、上述した可撓性を得るためには、複数種の材料を組み合わせて案内部20を構成してもよいし、案内部20を構成する板材の厚みを調整してもよいし、案内部20の形状を工夫してもよい。また、案内部20の弾性力は、下流側部分が上流側部分に比べて小さくなるようにすることもでき、例えば案内部20の下流端に行くほど柔らかくなるように構成してもよい。また、案内部20の下流側部分の厚みを上流側部分の厚みよりも薄くしてもよいし、案内部20の下流側部分の材料を上流側部分の材料よりも低剛性にしてもよい。また、案内部20は、平板状であってもよいし、上または下に向けて湾曲していてもよい。
【0076】
(実施形態2の作用効果)
以上説明したように、実施形態2によれば、可撓性を有する案内部20を設けておき、この案内部20の上に所定量以上の原料が溜まることで案内部20を下方へ撓ませて傾斜シュート102の流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1を形成するようにしている。よって、図11に示すように、供給部101から供給された原料が案内部20によって傾斜シュート102へ向けて案内されると、原料が案内部20の上に一時的に溜まる。
【0077】
供給部101からは原料が継続して供給されているので、図12に示すように、案内部20の上に溜まった原料が所定量以上になると、原料の重量によって案内部20が下方に撓み、案内部20の下流端と傾斜シュート102の流下面102aとの間に原料の通過可能な隙間S1が形成される。これにより、案内部20の上に溜まっている原料が当該隙間S1を通過し、流下面102aを流下する。
【0078】
図13に示すように、案内部20の上に溜まっている原料の量が多くなればなるほど案内部20が大きく撓むことになるので、隙間S1が拡大していく。一方、図12に示すように、案内部20の上に溜まっている原料の量が少なくなればなるほど案内部20の撓みが小さくなるので、隙間S1が縮小する。この隙間S1の変化は、案内部20の上に溜まっている原料の量が変化するとすぐに変化するので、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて応答速度が速い。また、案内部20の可撓性を利用した隙間S1のコントロールであることから、従来の電気的な駆動手段を設ける場合に比べて製造コストが低くなる。
【0079】
(実施形態2の変形例)
図14は、実施形態2の変形例を示している。この変形例に係る原料の受け渡し装置1は、案内部20の下面を支持する支持部材21を備えている。支持部材21は、原料の受け渡し装置1の一部を構成しているフレーム部材や筐体等に固定されており、上下方向には移動しない一方、案内部20による原料の案内方向(図14の左右方向)には移動可能になっている。支持部材21を実線で示す位置に配置すると、案内部20の上流端に近い部分を下から支持することができる。一方、支持部材21を仮想線で示す位置に配置すると、案内部20における案内方向の中間部を下から支持することができ、実線で示す位置に比べて、案内部20が下方に撓みにくくなる。つまり、支持部材21を案内部20の案内方向に移動させることで、案内部20の撓みやすさ、即ち弾性力を調整できるので、原料の種類に合わせた弾性力を容易に得ることができる。尚、支持部材21は、案内部20の案内方向に無段階に位置調整可能であってもよいし、多段階に位置調整可能であってもよい。
【0080】
(実施形態3)
図15は、本発明の実施形態3に係る籾摺機200を示すものであり、この籾摺機200は、実施形態1の原料の受け渡し装置1を備えている。尚、籾摺機200は、実施形態2の原料の受け渡し装置1を備えていてもよい。
【0081】
籾摺機200は、機枠201内にゴム製の一対の脱ぷロール202、203を回転可能に配設した脱ぷ部204と、該脱ぷ部204の上方に設けられた籾ホッパ205及び流量調整用の振動フィーダ206を備え、原料としての籾を貯留しつつ適宜な繰出しを行う籾供給部207と、該籾供給部207から供給される籾を前記脱ぷ部204に案内する傾斜シュート(搬送部)209とから主要部が構成される。傾斜シュート209は、原料の流下面209aを有している。
【0082】
前記脱ぷ部204は、一対の脱ぷロール202、203の周速度を互いに異にして反対方向に回転させ、脱ぷロール202、203の間隙に籾を供給して、脱ぷロール202、203間の周速度の差により籾殻をせん断破壊して籾摺りを行う形態(ロール式籾摺機)である。符号210は、脱ぷロール203を回転させるためのモータを示しており、また、符号211は、脱ぷロール202を回転させるためのモータを示している。モータ210、211の回転力は図示しない伝動ベルト等によって脱ぷロール202、203に伝達される。
【0083】
振動フィーダ206の振動機構206aにより振動トラフ206bが振動するようになっている。籾供給部207は、籾ホッパ205に投入された籾を、振動する振動トラフ206bによって下流側へ供給する。
【0084】
振動トラフ206bの下流端から流下した籾は、受け渡し装置1の案内部2の上に供給される。実施形態1の受け渡し装置1の場合には、案内部2の上に所定量以上の原料が溜まることで、案内部2が下方へ揺動して案内部2の下流端と、流下面209aとの間に原料の通過可能な隙間を形成する。一方、実施形態2の受け渡し装置1の場合には、案内部20の上に所定量以上の原料が溜まることで、案内部20が下方へ撓んで案内部20の下流端と、流下面209aとの間に原料の通過可能な隙間を形成する。
【0085】
従って、実施形態1、2と同様に、籾を籾供給部207から傾斜シュート209へ受け渡す際に、簡易かつ低コストでありながら、良好な受け渡しを実現して原料の流下状態を安定させることができる。
【0086】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。例えば、色彩選別機100及び籾摺機200以外の機器にも、本発明を適用することができる。
【0087】
(試験例)
図16は、実施形態1と従来例の原料飛散率を示すグラフである。実施形態1は、傾斜シュート102にヒータを設けたもの(ヒータあり)と、ヒータを設けていないもの(ヒータなし)を用意した。比較例1、2は、案内部が固定されていて、傾斜シュート102との間の隙間は原料が常時通過可能になっている例であり、比較例1は、原料の流量が37.5kg/h/chの時に適した角度及び位置となるように案内部が調整されている例であり、比較例2は、原料の流量が5.2kg/h/chの時に適した角度及び位置となるように案内部が調整されている例である。比較例1、2は共に「ヒータあり」である。原料は短粒白米である。図16のグラフに示すように、実施形態1では、「ヒータあり」及び「ヒータなし」の両方で、比較例1、2に比べて原料の飛散率が低減していることが分かる。
【0088】
図17は、実施形態2と従来例の原料飛散率を示すグラフである。実施形態2は、傾斜シュート102にヒータを設けたもの(ヒータあり)と、ヒータを設けていないもの(ヒータなし)を用意した。比較例1~4は、案内部が固定されていて、傾斜シュート102との間の隙間は原料が常時通過可能になっており、比較例1、2は上記比較例1、2と同じである。比較例3は、原料の流量が37.5kg/h/chの時に適した角度及び位置となるように案内部が調整されている例であり、「ヒータなし」である。比較例4は、原料の流量が5.2kg/h/chの時に適した角度及び位置となるように案内部が調整されている例であり、「ヒータなし」である。原料は短粒白米である。図17のグラフに示すように、実施形態2では、「ヒータあり」及び「ヒータなし」の両方で、比較例2~4に比べて原料の飛散率が低減していることが分かる。
【0089】
図18は、原料が大豆である場合の飛散率を示すグラフである。実施形態1は、傾斜シュート102にヒータを設けていないもの「ヒータなし」である。比較例5は、案内部が固定されていて、傾斜シュート102との間の隙間は原料が常時通過可能になっており、原料の流量が5.2kg/h/chの時に適した角度及び位置となるように案内部が調整されている例である。図18のグラフに示すように、実施形態1では、比較例5に比べて大豆の飛散率が大幅に低減していることが分かる。
【0090】
図19は、原料の飛散率と選別率の関係を示すグラフである。選別率とは、色彩選別機100による選別率のことであり、数値が高いほど正しく選別できていることを示す。実施形態1は、傾斜シュート102にヒータを設けていないもの「ヒータなし」である。比較例1、2は、上記比較例1、2と同じである。このグラフに示すように、原料の飛散率を低減できれば、色彩選別機100による選別率が向上する傾向であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明に係る原料の受け渡し装置は、供給部から供給された各種原料を一旦溜めた状態にしてから搬送部に受け渡す場合に利用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 原料の受け渡し装置
2 案内部
3 支持部
4 付勢部
20 案内部
101 供給部
102 傾斜シュート(搬送部)
102a 流下面
L2 仮想延長面
S1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19