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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184294
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】洗面器
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/04 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A47K1/04 E
A47K1/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098362
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 智明
(72)【発明者】
【氏名】豊永 晃也
(57)【要約】
【課題】焼成時の応力集中による切れなどを抑制すること。
【解決手段】実施形態に係るボウル部と、載置部と、連結部とを備える。載置部は、ボウル部よりも外側に設けられ、載置台に支持される。連結部は、ボウル部の下面側において、ボウル部の外側面と、載置部の内側面とを連結する。連結部は、第1平坦部と、第2平坦部と、接続部とを備える。第1平坦部は、載置部の内側面に連結される。第2平坦部は、平面視において湾曲するボウル部の湾曲部の外側面に連結され、第1平坦部とは上下方向の位置が異なる。接続部は、第1平坦部と第2平坦部とを接続する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部と、
前記ボウル部よりも外側に設けられ、載置台に支持される載置部と、
前記ボウル部の下面側において、前記ボウル部の外側面と、前記載置部の内側面とを連結する連結部と
を備え、
前記連結部は、
前記載置部の内側面に連結される第1平坦部と
平面視において湾曲する前記ボウル部の湾曲部の外側面に連結され、前記第1平坦部とは上下方向の位置が異なる第2平坦部と、
前記第1平坦部と前記第2平坦部とを接続する接続部と
を備える、洗面器。
【請求項2】
前記第2平坦部の上面は、前記第1平坦部の上面とは上下方向の位置が異なる、請求項1に記載の洗面器。
【請求項3】
上下方向における前記第1平坦部の厚さは、上下方向における前記第2平坦部の厚さと略同一の厚さである、請求項2に記載の洗面器。
【請求項4】
前記連結部は、前記ボウル部の非湾曲部の外側面に連結される第3平坦部を備え、
上下方向における前記第1平坦部と前記第2平坦部との距離は、上下方向における前記第1平坦部と前記第3平坦部との距離よりも長い、請求項1に記載の洗面器。
【請求項5】
前記連結部は、前記第2平坦部と前記第3平坦部とを接続する傾斜部を備える、請求項4に記載の洗面器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、洗面器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台と接する載置部とボウル部との境界に凹溝の連結部を設けて、載置部とボウル部とを連結する洗面器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-137625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記する洗面器では、ボウル部が湾曲する湾曲部の近傍の連結部において、洗面器の焼成時の収縮による切れや、洗面器の温度変化に起因するヒートショックによる割れが生じるおそれがある。すなわち、上記する洗面器は、焼成時の応力集中による切れなどの抑制について、改善の余地がある。
【0005】
実施形態の一態様は、焼成時の応力集中による切れなどを抑制する洗面器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る洗面器は、ボウル部と、載置部と、連結部とを備える。載置部は、ボウル部よりも外側に設けられ、載置台に支持される。連結部は、ボウル部の下面側において、ボウル部の外側面と、載置部の内側面とを連結する。連結部は、第1平坦部と、第2平坦部と、接続部とを備える。第1平坦部は、載置部の内側面に連結される。第2平坦部は、平面視において湾曲するボウル部の湾曲部の外側面に連結され、第1平坦部とは上下方向の位置が異なる。接続部は、第1平坦部と第2平坦部とを接続する。
【0007】
これにより、洗面器は、焼成時に連結部が収縮した場合や、ヒートショックによって連結部が収縮した場合、接続部によって、ボウル部の湾曲部と連結部との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。そのため、洗面器は、ボウル部の湾曲部と連結部との連結箇所に焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。洗面器は、ボウル部の湾曲部の外側面に連結される箇所に第2平坦部を設けることで、ボウル部のデザイン性が制約されることを抑制することができる。
【0008】
また、第1平坦部の上面は、第2平坦部の上面とは上下方向の位置が異なる。
【0009】
これにより、洗面器は、ボウル部と載置部と連結部とによって形成される内部空間の空気の膨張、または、収縮によって発生する応力を接続部によって分散させることができる。そのため、洗面器は、内部空間の空気の膨張、または、収縮による応力集中による切れなどを抑制することができる。
【0010】
また、上下方向における第1平坦部の厚さは、上下方向における第2平坦部の厚さと略同一の厚さである。
【0011】
これにより、洗面器は、焼成時に厚さの違いによって切れが発生することを抑制することができる。
【0012】
また、連結部は、第3平坦部を備える。第3平坦部は、ボウル部の非湾曲部の外側面に連結される。上下方向における第1平坦部と第2平坦部との距離は、上下方向における第1平坦部と第3平坦部との距離よりも長い。
【0013】
これにより、洗面器は、連結部の収縮が発生した場合に、湾曲部に連結する第2平坦部に接続される接続部の長さを長くし、収縮によって発生する変形を逃がすことによって、ボウル部の湾曲部と連結部との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。そのため、洗面器は、ボウル部の湾曲部と連結部との連結箇所に、焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。
【0014】
また、連結部は、傾斜部を備える。傾斜部は、第2平坦部と第3平坦部とを接続する。
【0015】
これにより、洗面器は、第2平坦部と第3平坦部とを接続する箇所において、焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
実施形態の一態様によれば、焼成時の応力集中による切れなどを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る洗面器の平面図である。
図2図2は、実施形態に係る洗面器の側面図である。
図3図3は、実施形態に係る洗面器の下面図である。
図4図4は、図3のIV-IV断面図である。
図5図5は、図5のV-V断面図である。
図6図6は、比較例に係る洗面器におけるボウル部の湾曲部付近の断面を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る洗面器において、連結部の収縮によって発生する応力を示す図である。
図8図8は、変形例に係る洗面器の第1平坦部、および、第2平坦部の位置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する洗面器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
実施形態に係る洗面器1は、図1図5を参照して説明される。図1は、実施形態に係る洗面器1の平面図である。図2は、実施形態に係る洗面器1の側面図である。図3は、実施形態に係る洗面器1の下面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、図3のV-V断面図である。
【0020】
また、図1には、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。直交座標系は、他の図においても図示している場合がある。直交座標系では、X軸正方向が右方、および、X軸負方向が左方として規定される。また、Y軸正方向が前方、および、Y軸負方向が後方として規定される。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0021】
洗面器1は、たとえば、化粧室やトイレ室などに設置される。洗面器1は、たとえば、洗面台などのカウンター40(載置台)上に設置される、いわゆる洗面ボウルである。洗面器1は、陶器製である。洗面器1は、ボウル部2と、排水部3と、周縁部4と、載置部5と、連結部6とを備える。
【0022】
ボウル部2は、水栓装置の吐水部から吐出された水を受ける部位である。ボウル部2は、たとえば、平面視において、略矩形状に形成される。ボウル部2は、底部10と、側壁部11とを有する。底部10は、たとえば、前方から後方にかけて高さが低くなるように傾斜する。底部10の前端は、周縁部4に接続される。
【0023】
側壁部11は、第1側壁部11aと、第2側壁部11bと、第3側壁部11cとを含む。第1側壁部11aは、底部10よりも後方に設けられる。第1側壁部11aは、下端よりも上端が後方側となるように傾斜する。第1側壁部11aは、上下方向と平行に延びるように設けられてもよい。すなわち、第1側壁部11aは、垂直に設けられてもよい。第1側壁部11aの上端は、周縁部4に接続される。
【0024】
第1側壁部11aと底部10との間には、ボウル部2で受けた水を排水部3に排水する排水口8が設けられる。排水口8は、左右方向の沿って延びるように設けられる。なお、排水口8は、底部10に設けられてもよい。この場合、第1側壁部11aの下端は、底部10に接続される。第1側壁部11aには、オーバーフロー孔が設けられる。
【0025】
第2側壁部11bは、底部10の右端に接続される。第2側壁部11bは、底部10から斜め上方に延びるように設けられる。第2側壁部11bは、下端よりも上端が右方側となるように傾斜する。第2側壁部11bの上端は、周縁部4に接続される。
【0026】
第3側壁部11cは、底部10の左端に接続される。第3側壁部11cは、底部10から斜め上方に延びるように設けられる。第3側壁部11cは、下端よりも上端が左方側となるように傾斜する。第3側壁部11cの上端は、周縁部4に接続される。第2側壁部11b、および、第3側壁部11cの少なくとも一方は、垂直に設けられてもよい。
【0027】
ボウル部2は、底部10、および、第1側壁部11a~第3側壁部11cによって、水を受けるように構成されるが、これに限られることはない。ボウル部2は、第1側壁部11aと向かい合う位置に第4側壁部を有してもよい。すなわち、ボウル部2は、底部10前端に接続される第4側壁部を有してもよい。
【0028】
ボウル部2は、矩形状の四隅にとなる箇所に湾曲部2a~2dを有する。湾曲部2a~2dは、平面視において、曲面となるように形成される。湾曲部2aは、第1側壁部11aと第3側壁部11cとの接続箇所に設けられる。湾曲部2bは、第1側壁部11aと第2側壁部11bとの接続箇所に設けられる。湾曲部2cは、底部10と、第2側壁部11bの前端とが接続する箇所に設けられる。湾曲部2dは、底部10と、第3側壁部11cの前端とが接続する箇所に設けられる。
【0029】
また、以下では、湾曲部2a~2dに対して、非湾曲部2eを定義して説明する。非湾曲部2eは、略矩形状のボウル部2について、平面視において平面となる部位である。非湾曲部2eは、側壁部11(第1側壁部11a~第3側壁部11c)を含む。
【0030】
排水部3は、ボウル部2の下方に設けられる。排水部3には、排水口8に流れた水が流入する。排水部3には、排水管が接続される。
【0031】
周縁部4は、ボウル部2の外周に沿って設けられる。周縁部4は、ボウル部2の全周にわたり設けられる。周縁部4は、ボウル部2の上端から外側に向けて延びるように設けられる。周縁部4の外形形状は、平面視において略矩形状である。周縁部4には、水栓装置の吐水部が取り付けられる取付穴4aが形成される。取付穴4aは、第1側壁部11aから後方に向けて延びる周縁部4に形成される。
【0032】
載置部5は、周縁部4の外周端から下方に向けて延びる。載置部5は、周縁部4の外周に沿って設けられる。載置部5は、周縁部4の全周にわたり設け螺得る。載置部5は、平面視において略矩形状の枠体である。載置部5の下面5aは、カウンター40に接する。すなわち、載置部5の下面5aは、カウンター40に接する接触面である。載置部5は、カウンター40に支持される。
【0033】
連結部6は、ボウル部2の下面側において、ボウル部2の外側面12と、載置部5の内側面5bとを連結する。連結部6は、載置部5の下面5aよりも上方に設けられる。洗面器1には、連結部6、ボウル部2、周縁部4、および、載置部5によって囲まれた内部空間9が形成される。連結部6は、第1平坦部20と、第2平坦部21と、第3平坦部22と、接続部23と、傾斜部24とを備える。
【0034】
第1平坦部20は、載置部5の内側面5bに連結される。第1平坦部20は、載置部5の内側面5bから、ボウル部2側に向けて、たとえば、水平方向に延びるように設けられる。第1平坦部20は、載置部5の内側面5bから、水平方向に対して傾斜するように設けられてもよい。
【0035】
第2平坦部21は、ボウル部2の外側面12の一部に連結される。第2平坦部21は、ボウル部2の湾曲部2a、2bの外側面12に連結される。第2平坦部21は、ボウル部2の外側面12から、載置部5側に向けて、たとえば、水平方向に延びるように設けられる。第2平坦部21は、ボウル部2の外側面12から、水平方向に対して傾斜するように設けられてもよい。第2平坦部21は、ボウル部2の湾曲部2a、2bの外側面12に連結されるように、2箇所設けられるが、これに限られない。第2平坦部21は、たとえば、ボウル部2の湾曲部2c、2dの外側面12に連結されるように、4箇所設けられてもよい。
【0036】
第2平坦部21は、第1平坦部20とは上下方向の位置が異なる。第2平坦部21は、第1平坦部20よりも上方側に設けられる。第2平坦部21の上面21aは、第1平坦部20の上面20aとは上下方向の位置が異なる。第2平坦部21の下面21bは、第1平坦部20の下面20bとは上下方向の位置が異なる。上下方向における第2平坦部21の厚さは、上下方向における第1平坦部20と略同一の厚さである。
【0037】
第3平坦部22は、ボウル部2の外側面12の一部に連結される。第3平坦部22は、ボウル部2の非湾曲部2eの外側面12に連結される。第3平坦部22は、ボウル部2の外側面12から、たとえば、水平方向に延びるように設けられる。たとえば、第3平坦部22は、第1平坦部20と同一平面となるように設けられる。第3平坦部22は、第1平坦部20とは上下方向の位置が異なるように設けられてもよい。第3平坦部22は、ボウル部2の外側面12から、水平方向に対して傾斜するように設けられてもよい。
【0038】
上下方向における第1平坦部20と第2平坦部21との距離は、上下方向における第1平坦部20と第3平坦部22との距離よりも長い。すなわち、第1平坦部20に対する第2平坦部21の突出量は、第1平坦部20に対する第3平坦部22の突出量よりも大きい。第1平坦部20と第3平坦部22とが同一平面となるように設けられている場合、第1平坦部20と第3平坦部22との距離は、ゼロである。上下方向における第3平坦部22の厚さは、上下方向における第1平坦部20と略同一の厚さである。洗面器1の泥漿などの陶器材料が型内で着肉する際に、概ね均一の速度で肉厚が形成されることで上下方向における第3平坦部22の厚さと上下方向における第1平坦部20の厚さを略同一の厚さに設けることができる。
【0039】
接続部23は、第1平坦部20と第2平坦部21とを接続する。接続部23は、第1平坦部20のボウル部2側の端部と、第2平坦部21の載置部5側の端部とを接続する。接続部23は、たとえば、上下方向に沿って延びるように設けられる。すなわち、連結部6は、第1平坦部20、接続部23、および、第2平坦部21によって、ボウル部2の湾曲部2a、2bの外側に、上下方向に突出する段部を有する。接続部23は、上下方向に対して傾斜して設けられてもよい。また、接続部23は、傾斜部24と第1平坦部20とを接続する。
【0040】
傾斜部24は、第2平坦部21と第3平坦部22とを接続する。傾斜部24は、第3平坦部22の端部と第2平坦部21の端部とを接続する。傾斜部24は、第3平坦部22から第2平坦部21にかけて斜め上方に傾斜するように設けられる。
【0041】
比較例に係る洗面器100は、たとえば、図6に示すようにボウル部101の湾曲部102の外側面102aと、載置部103の内側面103aとは、1つの平坦部104によって連結される。図6は、比較例に係る洗面器100におけるボウル部101の湾曲部102付近の断面を示す図である。比較例に係る洗面器100では、洗面器100の焼成時の収縮によって、直線状の形状である平坦部104には、発生する収縮変形を逃がす部分が無く、載置部103との間に切れが生じるおそれがある。また、比較例に係る洗面器100では、ボウル部101に熱湯が入れられた場合に、ヒートショックによって、平坦部104と載置部103との間に割れが生じるおそれがある。「切れ」や、「割れ」は、たとえば、平坦部104の収縮などによる応力が、平坦部104と載置部103との連結箇所にかかることで生じる。特に、ボウル部101の湾曲部102付近では、「切れ」や、「割れ」が生じ易い。主に「切れ」は、焼成時の収縮による伴う引っ張り破壊によって生じ、「割れ」はヒートショックによる収縮によって発生する変形で生じる曲げ破壊によって生じる。
【0042】
実施形態に係る洗面器1は、上下方向において、第1平坦部20と第2平坦部21との位置が異なり、第1平坦部20と第2平坦部21とを接続部23によって接続する。これにより、洗面器1は、図7に示すように、第1平坦部20の収縮によって発生する応力を、接続部23によって受けることができる。そのため、洗面器1は、たとえば、焼成時に、第2平坦部21とボウル部2の外側面12との連結箇所にかかる収縮を変形として逃がすことにより、応力を小さくすることができる。すなわち、洗面器1は、連結部6の収縮時に発生する応力を、接続部23によって分散させることができ、第2平坦部21とボウル部2の外側面12との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。洗面器1は、連結部6と、ボウル部2の湾曲部2a、2bの外側面12との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。図7は、実施形態に係る洗面器1において、連結部6の収縮によって発生する応力を示す図である。
【0043】
洗面器1は、ボウル部2と、載置部5と、連結部6とを備える。載置部5は、ボウル部2よりも外側に設けられ、カウンター40に支持される。連結部6は、ボウル部2の下面側において、ボウル部2の外側面12と、載置部5の内側面5bとを連結する。連結部6は、第1平坦部20と、第2平坦部21と、接続部23とを備える。第1平坦部20は、載置部5の内側面5bに連結される。第2平坦部21は、平面視において湾曲するボウル部2の湾曲部2a、2bの外側面12に連結され、第1平坦部20とは上下方向の位置が異なる。接続部23は、第1平坦部20と第2平坦部21とを接続する。
【0044】
これにより、洗面器1は、焼成時に連結部6が収縮した場合や、ヒートショックによって連結部6が収縮した場合、接続部23によって、ボウル部2の湾曲部2a、2bと連結部6との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。そのため、洗面器1は、ボウル部2の湾曲部2a、2bと連結部6との連結箇所に、焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。
【0045】
また、実施形態に係る洗面器1とは異なり、洗面器のボウル部の全周に第2平坦部が設けられた場合、ボウル部のデザイン性を制約するおそれがある。実施形態に係る洗面器1は、ボウル部2の湾曲部2a、2bの外側面12に連結される箇所に第2平坦部21を設けることで、ボウル部2のデザイン性が制約されることを抑制することができる。
【0046】
第2平坦部21の上面21aは、第1平坦部20の上面20aとは上下方向の位置が異なる。
【0047】
これにより、洗面器1は、内部空間9の空気の膨張、または、収縮によって発生する応力を接続部23によって分散させることができる。そのため、洗面器1は、内部空間9の空気の膨張、または、収縮による応力集中による切れなどを抑制することができる。
【0048】
上下方向における第1平坦部20の厚さは、上下方向における第2平坦部21の厚さと略同一の厚さである。
【0049】
これにより、洗面器1は、焼成時に厚さの違いによって切れが発生することを抑制することができる。
【0050】
連結部6は、第3平坦部22を備える。第3平坦部22は、ボウル部2の非湾曲部2eの外側面12に連結される。上下方向における第1平坦部20と第2平坦部21との距離は、上下方向における第1平坦部20と第3平坦部22との距離よりも長い。
【0051】
これにより、洗面器1は、連結部6の収縮が発生した場合に、湾曲部2a、2bに連結する第2平坦部21に接続される接続部23の長さを長くし、収縮によって発生する変形を逃がすことによって、ボウル部2の湾曲部2a、2bと連結部6との連結箇所にかかる応力を小さくすることができる。そのため、洗面器1は、ボウル部2の湾曲部2a、2bと連結部6との連結箇所に、焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。
【0052】
連結部6は、傾斜部24を備える。傾斜部24は、第2平坦部21と第3平坦部22とを接続する。
【0053】
これにより、洗面器1は、第2平坦部21と第3平坦部22とを接続する箇所において、焼成時の応力集中による切れなどが発生することを抑制することができる。
【0054】
変形例に係る洗面器1において、図8に示すように、第2平坦部21は、第1平坦部20よりも下方側に設けられる。図8は、変形例に係る洗面器1の第1平坦部20、および、第2平坦部21の位置を示す断面図である。図8は、図4に対応する変形例に係る洗面器1の断面図である。変形例に係る洗面器1は、上記実施形態と同様に、劣化を抑制することができる。また、変形例に係る洗面器1は、上記実施形態と同様に、ボウル部2のデザイン性が制約させることを抑制することができる。
【0055】
変形例に係る洗面器1は、上下方向における第3平坦部22の位置を、第1平坦部20とは異なる位置としてもよい。第3平坦部22は、上下方向において、第1平坦部20と第2平坦部21との間の位置に設けられる。
【0056】
実施形態に係る洗面器1において、ボウル部2は平面視において略矩形状であるが、これに限られることない。ボウル部2は、平面視において楕円形状、または、円形状であってもよい。上記する連結部6、すなわち、第1平坦部20、第2平坦部21、および、接続部23は、たとえば、平面視においてボウル部2が湾曲する箇所に設けられる。
【0057】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 洗面器
2 ボウル部
2a 湾曲部
2b 湾曲部
2c 湾曲部
2d 湾曲部
2e 非湾曲部
5 載置部
5a 下面
5b 内側面
6 連結部
10 底部
11 側壁部
11a 第1側壁部
11b 第2側壁部
11c 第3側壁部
12 外側面
20 第1平坦部
20a 上面
21 第2平坦部
21a 上面
22 第3平坦部
23 接続部
24 傾斜部
40 カウンター(載置台)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8