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特開2023-184295電子楽器、電子楽器の操作状況報知方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184295
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電子楽器、電子楽器の操作状況報知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/32 20060101AFI20231221BHJP
   G10G 1/00 20060101ALI20231221BHJP
   G10H 1/34 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G10H1/32 Z
G10G1/00
G10H1/34
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098363
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 晃
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 健
(72)【発明者】
【氏名】森谷 信一
(72)【発明者】
【氏名】梶川 知哉
(72)【発明者】
【氏名】森山 修
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182AB01
5D478CC36
5D478CC37
5D478CC38
5D478KK03
5D478KK12
(57)【要約】
【課題】操作受付内容の切り替わりをユーザが知得することができる電子楽器、電子楽器の操作状況報知方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電子楽器は、入力操作を受け付ける電源スイッチ(111)と、タッチエンコーダ(61)と、制御部と、を備える。制御部は、継続した入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、検出の継続時間が基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、継続的な入力操作が検出され始めた場合に、検出の継続時間が基準時間以上であるか否かを判別可能に、タッチエンコーダ(61)により報知させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を受け付ける操作受付部と、
報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器。
【請求項2】
前記報知部は、表示部を有し、
前記制御部は、前記検出の継続時間に応じて前記表示部により表示させる線の長さを変化させるように前記報知部により報知させる
請求項1記載の電子楽器。
【請求項3】
前記線は環状に表示される請求項2記載の電子楽器。
【請求項4】
前記報知部は、タッチエンコーダを有する請求項2又は3記載の電子楽器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の処理として、自機の動作を停止させる動作停止処理を実行する請求項1記載の電子楽器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の処理として、演奏に係る動作を停止する待機状態への移行処理を実行する
請求項1記載の電子楽器。
【請求項7】
回転操作を受け付ける回転ホイールと、
前記回転ホイールの内側に位置して当該回転ホイールの外側へ光を出射する第1発光部と、
前記操作受付部の内部又は周囲を光らせる第2発光部と、
を備え、
前記制御部は、前記待機状態において前記第2発光部の動作を停止させる
請求項6記載の電子楽器。
【請求項8】
前記第1発光部は、出射する光の色を変更可能であり、
前記制御部は、前記待機状態の間、前記第1発光部が出射する光の色を変化させていく
請求項7記載の電子楽器。
【請求項9】
前記回転ホイールは、ピッチベンダー又はモジュレーションホイールを含む請求項7記載の電子楽器。
【請求項10】
出力する音の音程を指定する入力操作を受け付ける鍵盤を備える請求項1記載の電子楽器。
【請求項11】
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器の操作状況報知方法であって、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器の操作状況報知方法。
【請求項12】
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器のコンピュータを、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行する第1実行手段、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行する第2実行手段、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる報知制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子楽器、電子楽器の操作状況報知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
演奏に係る入力操作の内容に応じた音を電子的に発生させる電子楽器がある。電子楽器では、電力の供給がなされた状態で演奏動作が行われ、動作の終了時には電力供給を遮断する。この電力供給の有無は、操作受付部への特定の入力操作により切り替えられる。
【0003】
また、電子楽器では、演奏動作だけではなく、外部機器などから取得された音声データに基づいて音声出力をさせるものがある。この音声データに基づく音声出力と、演奏動作に応じた音声出力とを重畳させて出力させることもできる。特許文献1では、楽器演奏機能と音楽再生機能とを有する電子楽器において、音声出力に係る信号処理回路の処理を、楽器演奏機能の側への電力供給の有無に応じて最適化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-81627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように複数の動作状態や機能種別などを切り替えて利用することのできる電子楽器において、切替操作を特定の操作受付デバイスが併用されて受け付けることができるような構成が考えられる。しかしながら、このような場合に、ユーザがどの状態や機能への切り替えを行おうとしているのかが分かりにくい場合があるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、操作受付内容の切り替わりをユーザが知得することができる電子楽器、電子楽器の操作状況報知方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うと、操作受付内容の切り替わりをユーザが知得することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の電子楽器である電子鍵盤楽器の平面図である。
図2】ピッチベンダー付近を拡大して示した斜視図である。
図3】電子鍵盤楽器の機能構成を示すブロック図である。
図4】電源スイッチの操作時における表示状態の変化を説明する図である。
図5】電源スイッチの操作時における表示状態の変化を説明する図である。
図6】ピッチベンダー発光部における各色LEDの輝度変化の例を示す図である。
図7】電子鍵盤楽器で実行される動作停止制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8】電子鍵盤楽器で実行されるピッチベンダー発光部の発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子楽器である電子鍵盤楽器1の平面図である。
電子鍵盤楽器1は、機能操作受付部11と、演奏受付部12と、表示部60(報知部)などを備える。
【0011】
演奏受付部12は、電子鍵盤楽器1により演奏を行うための操作を受け付ける部分であり、鍵盤121と、ピッチベンダー122(ピッチベンド)などを備える。
鍵盤121は、特には限られないが、7オクターブ強の範囲の各音を出力する操作を受け付ける白鍵及び黒鍵が並んでいる。特に設定がなされない限り、鍵盤121は、半音ごとに平均律で出力する音程を指定する操作を受け付ける。鍵盤121には、通常の指で操作するものに加えて又は代えて、足で操作するペダル鍵盤(足鍵盤)が含まれていてもよい。
【0012】
ピッチベンダー122は、略円盤形状を有し、その円盤面の法線方向が鍵盤121の並び方向(図1の左右方向)に平行に位置している。ピッチベンダー122は、電子鍵盤楽器1の上面から略円盤形状の一部角度範囲が突出して位置し、上記突出する角度範囲よりも広いある可動角度範囲内でこの円盤の中心回りに回転操作が可能な回転ホイールである。
【0013】
図2は、ピッチベンダー122付近を拡大して示した斜視図である。
ピッチベンダー122は、その回転操作により、鍵盤121では半音単位でしか出力できない音程を回転角度(基準となる中央の回転位置(基準位置)からの回転量)に応じて連続的に変化させる。ピッチベンダー122は、特には限られないが、例えば、基準位置に指をかけるための窪み122aを有する。ピッチベンダー122は、ユーザが手を離すと自動的に基準位置(回転量がゼロ)に復帰する。最大の回転角度(回転量)の状態での音程の変化量は、設定操作により変更可能(例えば、半音~1オクターブの範囲など)であってよい。ピッチベンダー122の内側には、光を発するピッチベンダー発光部31(図3参照)が位置し、当該ピッチベンダー発光部31の発した光が透過して出射される窓部Lを有する。ここでは、窓部Lは、ピッチベンダー122の側面外周(円盤の上下面の縁)に沿って略円弧状に位置している(ここでは片面のみ図示)。なお、窓部Lは、光が透過可能であればよく、内部が可視(透明)である必要はない。
【0014】
なお、電子鍵盤楽器1には、ピッチベンダー122の代わりに、又はピッチベンダー122と並んでモジュレーションホイールが位置していてもよい。モジュレーションホイールは、音のモジュレーション、例えば、ビブラートの大きさなどを調整、規定するものであり、ピッチベンダー122と同様に基準となる中央の回転位置からある角度範囲内で回転操作が可能である。一方で、モジュレーションホイールは、ユーザが手を放してもその位置で留まり、基準位置(回転量がゼロ)に自動では復帰しない。
【0015】
機能操作受付部11は、自機(電子鍵盤楽器1)への電力供給の有無、音量設定、演奏時の音色や残響の設定などの入力操作を受け付ける。機能操作受付部11は、電源スイッチ111と、音量切替部112と、設定受付部113などを有する。
【0016】
電源スイッチ111は、自機への電力供給の有無を切り替える操作を受け付ける押しボタンスイッチである。電源スイッチ111の内側には、電源スイッチ発光部32(図3参照)が位置し、電力供給がオンとされている場合に光を発する。電源スイッチ発光部32が発する光は、特には限られないが白色であってもよい。
【0017】
音量切替部112は、スピーカー72(図3参照)から音を出力する際の音量を調整する回転スイッチである。音量切替部112は、回転方向を示す標識がある範囲、例えば、300度程度の範囲で回転可能であり、例えば、時計回りに標識位置が移動するほど出力の音量が大きくなるように切り替えられる。音量切替部112は、音量を上昇させる押しボタンスイッチと音量を低下させる押しボタンスイッチの組み合わせといった、他の操作スイッチであってもよい。
【0018】
設定受付部113は、音色(周波数スペクトル(倍音)分布)、残響などのエフェクト、練習用に同時出力されるメトロノーム音、ピッチの設定などを受け付ける。設定受付部113は、特には限られないが、ここではタッチパネルであり、表示部60の表示内容と重なった位置への指などの接触操作を検出して接触位置に応じた入力操作を受け付ける。
【0019】
表示部60は、各種機能の設定状態やその内容などを表示する。例えば、機能設定の状態は、各々機能設定内容の識別に係る標識などが付された光出射ウィンドウの下方(内側)でのLEDなどの光源の点灯有無など(点滅やその速さ、パターンなども含み得る)により示される。上記のように、光出射ウィンドウは、タッチパネルと平面視で重なって位置していてもよい。また、表示部60は、液晶などによるデジタル表示画面を有し、当該デジタル表示画面に文字や標識などの表示を行わせることで、設定内容、例えば、出力音の音質の設定などを示すことができてもよい。
【0020】
表示部60及び設定受付部113には、タッチエンコーダ61が含まれる。タッチエンコーダ61は、タッチ操作や外部操作(外部操作に応じて入力される信号)に応じた簡易な処理(電子鍵盤楽器1の他の部分への処理命令の出力なども含む)を実行するモジュールである。タッチエンコーダ61は、LEDなどの発光部を有し、その上面周縁部を光らせることができる。
【0021】
図3は、電子鍵盤楽器1の機能構成を示すブロック図である。
電子鍵盤楽器1は、操作受付部10と、発光部30と、CPU40(Central Processing Unit)(制御部)と、記憶部50と、表示部60と、音声出力回路71と、スピーカー72と、通信部80などを備える。
【0022】
操作受付部10は、入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた信号を出力する。操作受付部10は、上記の演奏受付部12及び機能操作受付部11を含む。
【0023】
機能操作受付部11は、上記に加えて専用の押しボタンスイッチ、回転スイッチ、ロッカスイッチ、スライドスイッチなどのいずれか又はこれらのうち複数の組み合わせを有していてもよい。
【0024】
発光部30は、上記のピッチベンダー発光部31(第1発光部)及び電源スイッチ発光部32(第2発光部)を含む。光源は、それぞれLEDであり、電源スイッチ発光部32は、単色の白色LEDであってもよい。電源スイッチ111は、例えば、円状の光透過部材(内部が視認可能である必要はない)によるカバー部材を有し、当該カバー部材下方に位置するLEDの光が光透過部材を介して外部に出射されることで、当該電源スイッチ111(押下操作の検出部分)の内部又は周囲の少なくとも一部を光らせる。
【0025】
ピッチベンダー発光部31は、RGB各色のLEDの組を有し、カラー発光が可能である。ピッチベンダー122の内側でLEDが発した光が必要に応じて導光部材などを介してピッチベンダー122の外周付近に導かれ、光透過性の窓部Lを介して非一様性を抑えつつ(ほぼムラなく)外部に出射される。出射光は、RGB各色の輝度の組み合わせにより色を適宜切り替え変更可能とされる。また、ピッチベンダー発光部31は、ピッチベンダー122の回転方向に沿って複数方向にそれぞれ光を出射する複数組(例えば、3組)のLEDを有し、回転方向について異なる色の光を出射可能とされてもよい。
【0026】
CPU40は、演算処理を行い、電子鍵盤楽器1の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU40は、単一であっても複数のプロセッサが並列に又は処理に応じて各々独立に処理を実行するものであってもよい。また、CPU40は、汎用のプロセッサに限られず、専用の処理を行うものを含んでいてもよい。
【0027】
記憶部50は、揮発性メモリ(RAM)と、不揮発性メモリとを含む。RAMは、CPU40に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。不揮発性メモリは、動作情報や、制御用のプログラム51などを記憶する。動作情報には、予め設定された(プリセットされた)設定に対する動作の内容、例えば、音色(倍音分布)、音の立ち上がりや余韻(エコー)などの処理が含まれていてもよい。また、動作情報には、後述するピッチベンダー発光部31の発光色の変化パターンに係る発光色情報52が含まれる。プログラム51には、上記発光色情報52などを用いたピッチベンダー発光部31の発光制御プログラムが含まれる。少なくともCPU40及び記憶部50が本実施形態のコンピュータを構成する。
【0028】
表示部60は、CPU40の制御に基づいて表示動作を行う。表示部60は、上記の通り、LEDランプの点灯/消灯状態により機能設定などを示す部分と、表示画面と、をそれぞれ有している。
【0029】
音声出力回路71は、演奏受付部12の操作及び設定受付部113の操作により受け付けられている設定内容に応じた出力音をスピーカー72から出力するための駆動信号を生成してスピーカー72へ出力する。スピーカー72は、上記駆動信号に応じた音声を生成出力する。音声出力回路71及びスピーカー72は、ステレオ対応であってもよい。
【0030】
通信部80は、外部機器との間で行う通信を制御する。通信部80は、外部機器からの音声データの入力を受け付けて、リアルタイムで音声出力回路71を経てスピーカー72から音声出力させることができる。通信部80は、信号線を接続する接続端子を有していてもよいし、ネットワーク接続するためのネットワークカードなどを有していてもよい。これらに加えて又は代えて、通信部80は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信に係るアンテナ及び通信モジュールを有し、外部機器と近距離無線通信によるデータの送受信が可能であってもよい。
【0031】
次に、本実施形態の電源スイッチ111について説明する。
電子鍵盤楽器1では、電力供給を遮断(オフ)して、動作を停止する停止状態と、電力供給を受けて(オンして)、通常動作を可能とする通常動作状態と、楽器演奏に係る動作を停止する待機状態(スタンバイ)との間で切り替えが可能である。
ここで通常動作状態では、例えば、鍵盤121の操作に応じてスピーカー72から演奏音を出力するなど、電子鍵盤楽器1が有する全ての機能が実行可能である。また、停止状態では、電子鍵盤楽器1の電源スイッチ111へのオン操作が検出可能な状態であればよく、例えば、電源スイッチ111及びCPU40のうち当該電源スイッチ111へのオン操作の検出動作に必要な部分への電力供給のみがなされ、これら以外の部分には電力供給がなされていない。通常動作状態では、タッチエンコーダ61の発光部により、その上面周縁部にある輝度でサークル(環状形状)が表示されている。
【0032】
停止状態で電源スイッチ111が押下されることで(規定時間以上の連続した押下操作が必要とされてもよい)、電力供給が開始され、CPU40及び各部が起動されて通常動作へ移行する。通常動作状態では、演奏に係る操作、すなわち、鍵盤121のいずれかのキーの押下やピッチベンダー122(回転ホイール)の回転などがなされないまま基準時間(数分、例えば、6分など)が経過すると、自動的に待機状態へ移行する。また、待機状態で何らかの演奏に係る操作が検出されると、即座に通常動作状態に復帰する。
【0033】
待機状態では、演奏機能がオフされる。すなわち、電子鍵盤楽器1では、演奏に係る操作に応じた音の出力に係る処理回路などをオフし、また、表示部60による各種表示動作、電源スイッチ発光部32の発光動作、及び設定受付部113への設定操作などの受付などを中止する。一方で、電子鍵盤楽器1では、待機状態でもピッチベンダー発光部31のみは点灯状態が維持されて、電力供給が遮断されているわけではないことを示す。この状態では、通信部80を介して音声信号が入力された場合に当該音声信号に基づくスピーカー72の音声出力動作が可能である。すなわち、電子鍵盤楽器1は、待機状態では、他の電子機器に対する外部スピーカーとして動作する。
【0034】
また、通常動作状態で電源スイッチ111が押下された場合には、基準時間(例えば1秒)以上の継続的(連続的)な押下操作(すなわち長押し)が検出されたか否かにより、電力供給を遮断して停止状態へ移行する動作要求であるか、待機状態への移行要求であるか(異なる内容の動作要求)が判別されて、いずれかの要求に応じた処理がなされる。また、待機状態で電源スイッチ111が押下された場合には、待機状態であることを示す簡易表示がなされて、そのまま待機状態が維持されるが、通常動作時と同様に、基準時間以上継続して電源スイッチ111が押下された場合には、停止状態へ移行する動作要求が受け付けられたと判断してもよい。
【0035】
すなわち、電力供給に係る各切り替え動作のうち、通常動作状態から停止状態又は待機状態への移行を要求する操作は、単一の操作である電源スイッチ111の押下操作の検出継続時間を基準として併用される。したがって、電子鍵盤楽器1の動作を停止させるために電源スイッチ111を操作するユーザは、いつまで押し続ければ停止状態とするための動作要求が生じるのかが分かりづらく、誤って異なる動作要求がなされる可能性がある。
【0036】
電子鍵盤楽器1では、通常動作状態で電源スイッチ111の押下が検出された場合に、タッチエンコーダ61の発光部により、その上面周縁部に通常動作状態よりも明るいサークル(環状形状)を表示させ、押下の検出開始から当該検出が継続している間(検出されなくなるまで)又は基準時間が経過するまでの間、基準時間で当該サークル全体が消える速度で表示角度(線の長さ)を短縮していく(報知の段階を変化させていく)報知動作を行うことで、停止状態への移行までの残り時間の目途を伝える。
【0037】
図4及び図5は、電源スイッチ111の操作時における表示状態の変化を説明する図である。図4(a)に示すように、通常動作状態では、表示部60には、各種設定状態や設定の変更受付のための表示がなされている。電源スイッチ111が押下されると、タッチエンコーダ61の表示面には、サークルCが表示される。電源スイッチ111の押下状態の検出継続時間が長くなると、図4(b)に示すように、サークルCが徐々に短く、ここでは、12時方向から時計回りに順番に消去されてゆき、基準時間で1周してサークルCが全て消える。なお、サークルCの表示は、厳密に基準時間に対する残り時間の割合を厳密に示すものではなくてもよく、タッチエンコーダ61は、検出継続時間の度合の表示(報知動作)を複数段階で行うことができればよい。また、例えば、サークルCの先端(表示消去される側の端部)がある時間でフェードアウトするといった視覚効果を伴って表示されてもよい。
【0038】
押下状態の検出継続時間が基準時間に達すると、サークルCが全て消えるとともに、電力供給の遮断(停止状態への移行)に係る動作要求が受け付けられて、停止状態へ移行するための処理(動作停止処理、第1の処理)が開始される。ここでは、図5に示すように、表示部60の表示画面にある時間(例えば、1-2秒)「bye」と表示されて、全ての表示(上記のようにピッチベンダー発光部31の点灯を除く)が終了(消去)され、記憶部50のRAMの一時記憶データが消去されて(積極的に消去動作を行う必要はなく、リフレッシュ動作が停止されればよい)CPU40がオフされる。
【0039】
押下操作の開始から基準時間が経過してサークルCが全て消える前に、ユーザなどによる外部からの電源スイッチ111の押下操作が中止(終了)されると、停止状態への移行処理(動作停止処理)は行われない。この場合には、他の処理、例えば、待機状態への移行処理(第2の処理)が実行される。この待機状態への移行処理が実行されると、表示部60には、上記「bye」の代わりに、例えば、「standby:OK」のような表示が一時的になされてもよい。あるいは、この場合には、即座にタッチエンコーダ61の表示内容を変化(消去)させず、途中まで消去されたサークルCの一部の表示がある時間(例えば、1-2秒)保持されてもよい。
【0040】
ピッチベンダー122は、停止状態以外では、上記のように略円盤形状の上下面(側面)の外周に沿ってピッチベンダー発光部31の発光により所望の色で窓部Lから光を出射させる。ピッチベンダー122が回転操作された場合には、回転方向及び回転量に応じて窓部Lから出射する光の色が変化される。例えば、ピッチベンダー122を高音側に回転操作させた場合には、発光色は赤色系にシフトされ、ピッチベンダー122を低音側に回転操作させた場合には、発光色は緑色系にシフトされてもよい。
【0041】
ピッチベンダー122の回転操作がなされていない場合には、ピッチベンダー発光部31は、時間の経過に伴ってゆっくりと発光色(窓部Lからの出射光の色)が変化する。ここでは、時間変化は周期的であってもよいし、ランダムに変化させてもよい。
【0042】
図6は、ピッチベンダー発光部31におけるRGB各色のLEDの発光強度変化の例を示す図である。
例えば、RGB各色の発光強度(輝度)が6秒周期で変化している。なお、ここでは、説明を省略する他の用途のために青色系での発光に変化しないように主に赤色系及び緑色系の範囲で周期変化が定められているが、このような発光変化パターンではなくてもよい。
【0043】
図7は、本実施形態の電子鍵盤楽器1で実行される本実施形態の操作状況報知方法である動作停止制御処理のCPU40による制御手順を示すフローチャートである。この動作停止制御処理は、通常動作状態で電源スイッチ111の押下操作が検出された場合に開始される。
【0044】
CPU40は、電源スイッチ111の押下状態の検出継続時間の計数を開始する(ステップS201)。CPU40は、タッチエンコーダ61にサークルCを全周点灯させる(ステップS202)。
【0045】
CPU40は、電源スイッチ111の押下操作の検出が継続されているか否かを判別する(ステップS203)。押下操作の検出が継続されていると判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU40は、計数している検出継続時間が基準時間以上となった(基準時間経過した)か否かを判別する(ステップS204)。
【0046】
検出継続時間が基準時間以上ではないと判別された場合には(ステップS204で“NO”)、CPU40は、検出継続時間に合わせてタッチエンコーダ61の点灯範囲を変更制御する(ステップS212;報知制御手段)。それから、CPU40の処理は、ステップS203へ戻る。検出継続時間が基準時間以上であると判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU40は、電子鍵盤楽器1の動作停止処理を行う(ステップS205;第1実行手段)。上記のように、CPU40は、音声出力(演奏及び外部音声データに伴うもの)に係る処理を終了し、表示動作を終了し、CPU40自身の通常動作を終了して電子鍵盤楽器1の動作を終了させる。そして、CPU40は、動作停止制御処理を終了する。これにより、電子鍵盤楽器1が通常動作状態から停止状態へ移行する。
【0047】
ステップS203の判別処理で、押下操作の検出が継続していないと判別された場合(ここでは、基準時間以上の押下操作が検出されていない状態)には(ステップS203で“NO”)、CPU40は、待機状態への移行処理を行う(ステップS211;第2実行手段)。CPU40は、演奏に係る音声出力を行うための処理を終了し、また、ピッチベンダー発光部31の発光制御以外の表示動作を終了する。そして、CPU40は、動作停止制御処理を終了する。
【0048】
図8は、電子鍵盤楽器1で実行されるピッチベンダー発光部31の発光制御処理のCPU40による制御手順を示すフローチャートである。この発光制御処理は、電子鍵盤楽器1への電力供給が開始されると自動で開始され、電子鍵盤楽器1への電力供給が続いている間継続的に繰り返し処理を行っている。
【0049】
CPU40は、初期色で発光するようにピッチベンダー発光部31の各LEDを点灯させる(ステップS101)。CPU40は、ピッチベンダー122の回転量の情報を取得する(ステップS102)。
【0050】
CPU40は、ピッチベンダー122の回転量が前回の情報取得時から変化しているか否かを判別する(ステップS103)。ピッチベンダー122の回転量が変化していると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU40は、発光色情報52を参照して、ピッチベンダー122の回転量に応じた各LEDの輝度設定値を取得する(ステップS111)。
【0051】
CPU40は、現在の輝度値と、取得された輝度設定値との差分に基づいて、現在の輝度値から輝度設定値へ輝度を連続的に変更させるための輝度変更パターンを設定する(ステップS112)。CPU40は、設定された輝度変更パターンに従って、次の輝度値と当該輝度値への変更タイミングとを取得する(ステップS113)。
【0052】
CPU40は、変更タイミングでピッチベンダー発光部31の各LEDの輝度を変更させる(ステップS107)。それから、CPU40の処理は、ステップS102へ戻る。
【0053】
ステップS103の判別処理で、ピッチベンダー122の回転量に変化がないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU40は、ピッチベンダー122の回転量がゼロであるか否かを判別する(ステップS104)。ピッチベンダー122の回転量がゼロではないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、CPU40の処理は、ステップS113へ移行する。このような場合には、ステップS113の処理時点では、発光色が既にピッチベンダー122の回転量に応じた輝度となっている場合も含まれる。この場合には、CPU40は、輝度値を再設定する必要はなく、変更タイミングになった後に処理をステップS102に戻すだけであってもよい。
【0054】
ステップS104の判別処理で、ピッチベンダー122の回転量がゼロであると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、CPU40は、輝度値が通常の変化パターンに従って変更されている状態であるか否かを判別する(ステップS105)。輝度値が通常の変化パターンに従って変更されていないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、CPU40の処理は、ステップS113へ移行する。
【0055】
輝度値が通常の変化パターンに従って変更されていると判別された場合には(ステップS105で“YES”)、CPU40は、発光色情報52に基づき、通常の変化パターンに従って、次の輝度値を取得する(ステップS106)。それから、CPU40の処理は、ステップS107へ移行する。
【0056】
以上のように、本実施形態の電子鍵盤楽器1は、入力操作を受け付ける操作受付部10の電源スイッチ111と、報知部としてのタッチエンコーダ61と、CPU40と、を備える。CPU40は、継続した入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理として動作停止処理を実行し、検出の継続時間が基準時間未満で終了した場合に第2の処理として待機状態への移行処理を実行し、継続的な入力操作が検出され始めた場合に、検出の継続時間が基準時間以上であるか否かを判別可能に、タッチエンコーダ61の表示部により報知させる。
このように、電子楽器において入力操作の検出継続時間に応じて異なる動作要求を受け付ける場合に、必要な入力操作がなされていて、必要な継続時間操作が継続されているかが分かりづらいので、タッチエンコーダ61などにより継続時間が基準時間以上であるか否かを判別可能に報知内容が変化する報知動作を行わせることで、ユーザがより確実に必要な検出継続時間以上又は未満の入力操作を行うことができる。したがって、電子鍵盤楽器1では、より明確に操作受付内容の切り替わりをユーザが知得することができる。
【0057】
また、報知部は、表示部60を有し、CPU40は、入力操作の検出継続時間に応じて表示部60により表示させる線の長さを変化させることで報知動作の段階を変化させる。このように表示される線の長さで入力操作の検出継続時間、特に基準時間に対する入力操作の検出継続時間の度合をユーザが容易に知得可能となるので、当該ユーザは、基準時間以上入力操作を継続しているか否かを判別可能となり、入力操作を安心して基準時間以上継続させ、又は基準時間内で終了させることができる。
【0058】
また、長さを変化させながら表示させる上記の線は環状に表示される。
これにより、表示面積を大きく占めず、特に他の表示と表示エリアの重複を抑制することができる。
【0059】
また、電子鍵盤楽器1は、タッチエンコーダ61を備え、当該タッチエンコーダ61は報知部に含まれる。このようなモジュール素子を用いることで、演奏に係る処理能力以外が低い電子楽器などであっても、リアルタイム表示動作をより簡便に行うことができる。
【0060】
また、CPU40は、第1の処理として、自機の動作停止処理を実行する。このように電源オフに係る入力操作を他の入力操作と同一操作で併用しつつ、基準時間以上の継続操作を要求することで、不用意な動作停止を抑制しつつ、操作キーなどの増加も抑える。そして、実際に電源をオフしたい場合に必要な残りの操作継続時間をユーザが知得することができるので、安心して電力供給操作を行うことができる。
【0061】
また、CPU40は、第2の処理として、演奏に係る動作を停止する待機状態への移行処理を実行する。すなわち、基準時間未満の短時間操作では、通常動作状態から待機状態への移行が実行される。演奏への容易な復帰が可能な待機状態への移行は、このような手軽な操作に対応させるのが都合がよい。さらに、基準時間以上の操作を動作停止と対応付けることで、電力供給状態の切り替えを電源スイッチ111に併用させることになり、操作内容の対応付けが容易であり、ユーザにとっても使いやすい。
【0062】
また、電子鍵盤楽器1は、回転操作を受け付けるピッチベンダー122などの回転ホイールと、ピッチベンダー122の内側に位置して当該ピッチベンダー122の外側へ光を出射するピッチベンダー発光部31と、電源スイッチ111の内部又は周囲を光らせる電源スイッチ発光部32と、を備える。CPU40は、待機状態において電源スイッチ発光部32の動作を停止させる。このように待機状態では、電源スイッチ111ではなくピッチベンダー発光部31の発光を残すことで、演奏に係る機能がオフされた待機状態であることを演奏に係る操作部品からユーザが知得できるので分かりやすい。
【0063】
また、ピッチベンダー発光部31は、出射する光の色を変更可能であり、CPU40は、待機状態の間、ピッチベンダー発光部31が出射する光の色を変化させていってもよい。このような表示状態の変化を伴うことで、ユーザの目に止まりやすくなり、電力供給をオフし忘れるのを抑制することができる。
【0064】
また、回転ホイールは、ピッチベンダー122又はモジュレーションホイールを含む。電源スイッチ111のような基本機能の操作受付部ではなく、演奏に係るピッチベンダー122の発光状態を変化させることが可能になるので、ピッチベンダー122の使用時などの発光状態の変化と組み合わせて演出などにも無駄なく利用することができる。
【0065】
また、電子鍵盤楽器1は、出力する音の音程を指定する入力操作を受け付ける鍵盤121を備える。すなわち、鍵盤楽器に上記構成及び表示制御を用いることで、上向きの鍵盤と同一盤面でユーザが容易に操作状態を確認、知得することができる。
【0066】
また、入力操作を受け付ける操作受付部10(電源スイッチ111)と、タッチエンコーダ61と、を備える本実施形態の電子楽器の操作状況報知方法は、継続した入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、検出の継続時間が基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、継続的な入力操作が検出され始めた場合に、検出の継続時間が準時間以上であるか否かを判別可能に、タッチエンコーダ61により報知させる。
このように、電子楽器における操作受付部10(ここでは電源スイッチ111)への入力操作の検出継続時間に応じて異なる動作要求を受け付ける場合に、タッチエンコーダ61などにより検出継続時間が基準時間以上か否かを判別可能に異なる報知動作を行わせることで、必要な入力操作がなされているか、及び基準時間以上操作が継続されているのか否かをユーザがより確実に知得して、基準時間以上又は未満の入力操作を行うことができる。したがって、この電子楽器の操作状況報知方法によれば、より明確に電源スイッチ111の操作(長押し)中に当該操作に対する動作要求の受付内容の切り替わり状況をユーザが電子楽器から知得することができる。
【0067】
また、上記の操作状況報知方法に係るプログラム51を電子楽器のコンピュータにインストールして実行させることで、手間をかけず容易に従来構成で、より明確に電源スイッチ111の操作(長押し)中に当該操作に対する動作要求の受付内容の切り替わりをユーザが電子楽器から知得することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、押しボタンスイッチの長押し時間を判断対象として説明したが、入力操作の継続時間により判断するものであればこれに限られない。例えば、ユーザが操作をやめると自動的に基準位置に戻るスライドスイッチやレバーのようなものであってもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、通常動作状態から停止状態への移行と待機状態への移行とを同一の操作の検出継続時間に応じて切り替える場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。他の複数の機能動作の切り替えをある操作の検出継続時間で切り替える場合に当該検出継続時間に応じて上記表示動作を行うこととしてもよい。この場合、基準時間以上の継続操作で停止状態へ移行するが、基準時間未満の継続操作で実行される機能が待機状態への移行ではない他のものであってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、サークルCの表示をタッチエンコーダ61により行わせるものとして説明したが、これに限られない。表示部60の他の部位に表示されてもよい。また、サークルCの表示ではなく、楕円、多角形や角を丸めた多角形などの他の閉じた図形の表示であってもよいし、あるいは直線、曲線や折線などの両端が開いた(ただし両端位置をユーザが容易に知得可能であることが好ましい)形状の表示であってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、サークルCの線の長さを短縮していくことで、基準時間に対する操作の継続時間の割合をユーザが知得可能としたが、これに限られない。例えば、点や線などの表示を表示範囲内の上端(左端)に出現させて、これが当該表示範囲内の下端(右端)に移動していくことで、操作の継続時間が知得可能とされてもよい。また、表示色が青色から赤色に変化したり、表示点や線の発光強度が低下されていったりしてもよい。あるいは、長さや位置の他に、表示させる領域の面積を変化させてもよい。表示させる領域は、例えば、円形から扇形に表示領域を消去していってもよいし、正方形の表示を縦、横又は対角方向に消去して行ってもよい。さらに表示する図形面積を変化させる代わりに、図形のうち表示色を変更する領域の面積を変化(増加)させていくのであってもよい。
【0072】
また、このような入力操作の検出継続時間に応じた報知動作は、表示動作に限られない。例えば、ある音程から1オクターブなどの予め定められた幅で音程を低下させていく音声出力により、基準時間に対する検出継続時間の度合を知得可能な報知動作であってもよい。このような音声出力における音程変化は、音階に従ってもよいし、連続的であってもよい。
【0073】
また、報知動作は、上記のように基準時間までの検出継続時間に応じて複数段階に変化するものでなくてもよい。単純に、入力操作の検出有無と検出時における継続時間の基準時間の大小が識別可能でさえあればよい。
【0074】
また、報知動作は、検出継続時間が基準時間に達した後は、タッチエンコーダ61の発光部の発光が停止されることで(通常動作状態での点灯状態と異なる)報知動作がなされてもよい。また、この場合には特に、検出継続時間が基準時間に達しないで操作が終了した場合には、基準時間未満であった旨をある時間継続的に報知動作するのが好ましい。
【0075】
あるいは、検出継続時間が基準時間に達した時点で当該報知動作を停止しても(すなわち実質的に、報知動作は、検出継続時間が基準時間以上ではないことのみを報知する)よい。反対に、タッチエンコーダ61などの報知部は、検出継続時間が基準時間以上となったことを示す特定の動作(点灯動作や音声出力動作など)をある時間行ってもよい。この場合、動作停止処理は、特定の動作と並行して実行されてもよいし、特定の動作の終了後(ある時間の経過後)に開始されてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、回転ホイールとしてピッチベンダー及び/又はモジュレーションホイールを例に挙げて説明したが、これに限られない。他の回転可能な構成であってもよい。
【0077】
また、電力供給時かつピッチベンダー122が操作されていない場合に、ピッチベンダー発光部31による発光色(窓部Lからの出射光の色)をゆっくり変化させるものとして説明したが必ずしも継続的に変化させなくてもよい。固定色の光が窓部Lから出射されてもよいし、一時的に変化されてもよい。また、ピッチベンダー発光部31が点滅動作されたり、あるいは、色を変化させずに発光強度を変化させたりするのであってもよい。
【0078】
また、待機状態でも点灯動作が継続されるのは、ピッチベンダー発光部31でなくてもよい。電源スイッチ発光部32であってもよいし、その他の表示部分であってもよい。また、そもそもピッチベンダー発光部31や、ピッチベンダー122自体を有しない電子鍵盤楽器1であってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、待機状態ではスピーカー72による音声出力が可能であるものとして説明したが、これに限られるものではない。通常動作状態に比して一部の動作が停止、制限されて電力消費が低減される状態を待機状態と称してよい。また、制限される内容に応じて表示部60の表示の停止度合や発光部30の発光停止度合などが上記実施の形態と異なるルールで定められてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、電子楽器が鍵盤121を有する電子鍵盤楽器1であるものとして説明したが、これに限られない。弦を有するギターなどの弦楽器や吹奏楽器などであってもよい。
【0081】
また、以上の説明では、本発明の操作受付時の報知制御に係るプログラム51を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部50を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0083】
[付記]
<請求項1>
入力操作を受け付ける操作受付部と、
報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器。
<請求項2>
前記報知部は、表示部を有し、
前記制御部は、前記検出の継続時間に応じて前記表示部により表示させる線の長さを変化させるように前記報知部により報知させる
請求項1記載の電子楽器。
<請求項3>
前記線は環状に表示される請求項2記載の電子楽器。
<請求項4>
前記報知部は、タッチエンコーダを有する請求項2又は3記載の電子楽器。
<請求項5>
前記制御部は、前記第1の処理として、自機の動作を停止させる動作停止処理を実行する請求項1記載の電子楽器。
<請求項6>
前記制御部は、前記第2の処理として、演奏に係る動作を停止する待機状態への移行処理を実行する
請求項1記載の電子楽器。
<請求項7>
回転操作を受け付ける回転ホイールと、
前記回転ホイールの内側に位置して当該回転ホイールの外側へ光を出射する第1発光部と、
前記操作受付部の内部又は周囲を光らせる第2発光部と、
を備え、
前記制御部は、前記待機状態において前記第2発光部の動作を停止させる
請求項6記載の電子楽器。
<請求項8>
前記第1発光部は、出射する光の色を変更可能であり、
前記制御部は、前記待機状態の間、前記第1発光部が出射する光の色を変化させていく
請求項7記載の電子楽器。
<請求項9>
前記回転ホイールは、ピッチベンダー又はモジュレーションホイールを含む請求項7記載の電子楽器。
<請求項10>
出力する音の音程を指定する入力操作を受け付ける鍵盤を備える請求項1記載の電子楽器。
<請求項11>
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器の操作状況報知方法であって、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器の操作状況報知方法。
<請求項12>
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器のコンピュータを、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行する第1実行手段、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行する第2実行手段、
継続的な前記入力操作が検出され始めた場合に、前記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる報知制御手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0084】
1 電子鍵盤楽器
10 操作受付部
11 機能操作受付部
111 電源スイッチ
112 音量切替部
113 設定受付部
12 演奏受付部
121 鍵盤
122 ピッチベンダー
122a 窪み
30 発光部
31 ピッチベンダー発光部
32 電源スイッチ発光部
40 CPU
50 記憶部
51 プログラム
52 発光色情報
60 表示部
61 タッチエンコーダ
71 音声出力回路
72 スピーカー
80 通信部
C サークル
L 窓部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し
記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を受け付ける操作受付部と、
報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し
記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器。
【請求項2】
前記制御部は、
継続的な前記入力操作の検出に応じて、前記報知部への報知を開始させる
請求項1記載の電子楽器。
【請求項3】
前記報知部は、表示部を有し、
前記制御部は、前記検出の継続時間に応じて前記表示部により表示させる線の長さを変化させるように前記報知部により報知させる
請求項記載の電子楽器。
【請求項4】
前記線は環状に表示される請求項記載の電子楽器。
【請求項5】
前記報知部は、タッチエンコーダを有する請求項3又は4記載の電子楽器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の処理として、自機の動作を停止させる動作停止処理を実行する請求項1記載の電子楽器。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の処理として、演奏に係る動作を停止する待機状態への移行処理を実行する
請求項1記載の電子楽器。
【請求項8】
回転操作を受け付ける回転ホイールと、
前記回転ホイールの内側に位置して当該回転ホイールの外側へ光を出射する第1発光部と、
前記操作受付部の内部又は周囲を光らせる第2発光部と、
を備え、
前記制御部は、前記待機状態において前記第2発光部の動作を停止させる
請求項記載の電子楽器。
【請求項9】
前記第1発光部は、出射する光の色を変更可能であり、
前記制御部は、前記待機状態の間、前記第1発光部が出射する光の色を変化させていく
請求項記載の電子楽器。
【請求項10】
前記回転ホイールは、ピッチベンダー又はモジュレーションホイールを含む請求項記載の電子楽器。
【請求項11】
出力する音の音程を指定する入力操作を受け付ける鍵盤を備える請求項1記載の電子楽器。
【請求項12】
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器の操作状況報知方法であって、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行し、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行し
記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる
電子楽器の操作状況報知方法。
【請求項13】
入力操作を受け付ける操作受付部と、報知部と、を備える電子楽器のコンピュータを、
継続した前記入力操作の検出の継続時間が基準時間以上となった場合に第1の処理を実行する第1実行手段、
前記検出の継続時間が前記基準時間未満で終了した場合に第2の処理を実行する第2実行手段
記検出の継続時間が前記基準時間以上であるか否かを判別可能に、前記報知部により報知させる報知制御手段、
として機能させるプログラム。