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特開2023-184301電動車両制御方法及び電動車両制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184301
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電動車両制御方法及び電動車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 7/26 20060101AFI20231221BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20231221BHJP
【FI】
B60L7/26
B60W30/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098371
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 崇仁
【テーマコード(参考)】
3D241
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241DA12Z
3D241DA39Z
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125CB02
5H125DD11
5H125EE41
5H125EE42
5H125EE44
5H125EE52
5H125EE61
5H125EE62
5H125EE63
5H125EE66
(57)【要約】
【課題】電動車両の、運転者の性向との不一致に起因する不必要な加減速の回数を減少させる。
【解決手段】電動モータによって駆動される電動車両を制御する電動車両制御方法において、アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、学習の結果に基づいて、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を新たに設定することによって、当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収めることを特徴とする電動車両制御方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータによって駆動される電動車両を制御する電動車両制御方法において、
アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、
前記学習の結果に基づいて、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を新たに設定することによって、当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収めることを特徴とする、電動車両制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両制御方法において、
前記アクセルペダル操作量の標準偏差に加えてブレーキ操作回数も学習し、
学習の結果に基づいて少なくとも前記アクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルオフ操作時の減速特性および前記アクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項6】
請求項2に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項7】
請求項2に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項8】
請求項2に記載の電動車両制御方法において、
前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を学習し、
当該学習の結果に基づいて、前記周辺状況毎に前記アクセルオフ操作時の減速特性及び前記アクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの前記周辺状況における当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差及び前記ブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める、電動車両制御方法。
【請求項9】
請求項3から8のいずれか一項に記載の電動車両制御方法において、
前記周辺状況には、前走車の有無、前走車との車間距離、前走車との相対車速、または前走車の停止位置の少なくとも一つが含まれる、電動車両制御方法。
【請求項10】
請求項3から8のいずれか一項に記載の電動車両制御方法において、
前記周辺状況には、前記電動車両が走行している道路の特性が含まれ、当該道路の特性には、当該道路の曲率、車線数、勾配、曲率変化率、平均速度、混雑具合、信号の有無、制限車速、一時停止の有無、または幅員の少なくとも一つが含まれる、電動車両制御方法。
【請求項11】
電動モータによって駆動される電動車両を制御する電動車両制御装置において、
アクセルペダル操作量の標準偏差を学習する学習部と、
学習の結果に基づいて、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を新たに設定することによって、当該設定後の前記アクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める設定部と、を備えることを特徴とする、電動車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両制御方法及び電動車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文献1には、電動モータだけで走行するEVモードと、エンジンと電動モータにより走行するHEVモードとを実行可能なハイブリッド車両の制御として、運転者の性向を学習して、惰行走行時に運転者の性向に応じて電動モータの回生トルクを可変調整することが開示されている。上記文献では、ブレーキペダルの作動回数と踏まれる深さ(踏力)を用いて、運転者の性向が攻撃的性向、マイルド性向、ノーマル性向の3つのパターンのいずれなのかを判断している。そして、ノーマル性向の場合は回生トルクを基本値に制御し、攻撃的性向の場合には回生トルクを基本値より増大させ、マイルド性向の場合は回生トルクを基本値より減少させている。上記文献では、この制御によって燃費向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-255411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車の電費、燃費は、加減速を繰り返すほど悪化する。これは、加速時には電動モータが力行することでエネルギを消費し、減速時には回生によりエネルギを回収するものの回生効率は100%ではないからである。したがって、不必要な加減速は行われないことが望ましい。ここでいう不必要な加減速とは、例えば、アクセルペダルから足を離して減速したが減速し過ぎたために加速する、というものである。この点、上記文献では運転者のブレーキ操作の性向に応じて回生トルクを変更しているだけなので、不必要な加減速の回数を減らすことができない。例えば、ブレーキペダルを強く踏み込んで車速が低下させ過ぎてしまい、再加速のためにアクセルペダルを踏み込むことが多い運転者については、上記文献では攻撃的性向と判断され、回生トルクが増大されてしまう。これでは、ブレーキペダルを強く踏み込んだ場合と同様に車速が低下し過ぎてしまい、再加速することになる。以上のように、上記文献の制御には電費、燃費の向上という観点で改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明では、電動車両の不必要な加減速の回数を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、電動モータによって駆動される電動車両を制御する電動車両制御方法が提供される。当該方法では、アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、学習の結果に基づいて、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を新たに設定することによって、当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、電動車両の不必要な加減速の回数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る制御を適用する車両の概略構成図の一例である。
図2図2は、本実施形態に係る制御システムの概略構成図の一例である。
図3図3は、アクセルオフ操作時の減速特性を例示する特性図の一例である。
図4図4は、アクセルオフ操作時の最大減速度とある車速帯におけるAPO偏差との関係の一例を示す図である。
図5図5は、学習フェーズの制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6図6は、通常フェーズの制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7図7は、加減速特性及びアクセルオフ操作時の減速特性を例示する特性図である。
図8A図8Aは、アクセルオフ操作時の最大減速度とある車速帯におけるAPO偏差及びブレーキ操作回数との関係の一例を示す図である。
図8B図8Bは、アクセルオフ操作時の最大減速度とある車速帯におけるAPO偏差及びブレーキ操作回数との関係の他の例を示す図である。
図9A図9Aは、周囲状況に紐づけされた学習データの第1の例である。
図9B図9Bは、周囲状況に紐づけされた学習データの第2の例である。
図9C図9Cは、周囲状況に紐づけされた学習データの第3の例である。
図9D図9Dは、周囲状況に紐づけされた学習データの第4の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る制御を適用する車両10を上方から見た概略構成図の一例である。図1において、車両10の前進時の進行方向(紙面上側)を前、後退時の進行方向(紙面下側)を後ろ、前方を向いた状態における左側を左、同右側を右とする。図2は車両10を制御する制御システムの概略構成図である。
【0011】
本実施形態では、車両10がいわゆる純電気自動車(Battery Electric Vehicle:BEV)の場合について説明するが、シリーズ式のハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)でも構わない。なお、BEV及びシリーズ式HEVをまとめて電動自動車と称することもある。
【0012】
車両10は、制動・駆動ユニット1と、駆動力演算ユニット2と、レーダ3と、前方カメラ4と、サイドカメラ5L、5Rと、ナビゲーションシステム6と、アクセルペダル開度センサ7と、を備える。
【0013】
制動・駆動ユニット1は、車両10の駆動源である電動モータと、電動モータを制御するインバータ等を含むユニットである。電動モータは図示しないバッテリからの電力供給によって作動し、図示しない駆動輪を駆動する。また、電動モータは、減速時には車両10の運動エネルギを電力として回生することで制動力を発生する。
【0014】
駆動力演算ユニット2は、後述する学習部及び設定部としての機能を果たす。なお、駆動力演算ユニット2は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。駆動力演算ユニット2を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0015】
レーダ3は、例えば車体前端付近に配置され、電波を用いて車両10の周辺にある物体との距離及びその方向を検出する。
【0016】
前方カメラ4は、例えばルームミラー付近に車両進行方向を向けて配置され、車両10の前方(図中の領域F1)を撮影する。なお、前方カメラ4を、上記の領域F1を撮影するカメラと、車両10の側方(図中の領域F2)を撮影する広角カメラと、からなるカメラユニットとしてもよい。
【0017】
サイドカメラ5L、5Rは、例えばサイドカメラ5Lが左ドアミラーに、サイドカメラ5Rが右ドアミラーに設けられ、車両10の左側方(図中の領域SL)及び右側方(図中の領域SR)を撮影する。なお、サイドカメラ5L、5Rをまとめてサイドカメラ5と称することもある。
【0018】
レーダ3が検出した情報と、前方カメラ4及びサイドカメラ5が撮影した画像情報は、駆動力演算ユニット2に読み込まれる。駆動力演算ユニット2は、これらの情報に基づいて車両10の周辺状況、例えば対象物までの距離、対象物との相対距離、対象物との相対速度等、を特定する。
【0019】
ナビゲーションシステム6は、例えば車室内に配置され、予め記憶した地図情報と人工衛星から取得した位置情報とに基づいて、運転者が設定した目的地までの走行ルートの設定及びガイド等を行う。また、ナビゲーションシステム6は、予め記憶した地図情報と人工衛星から取得した位置情報とに基づいて、車両10の周辺状況、例えば走行中の道路の属性、曲率、幅員、制限車速、交通標識の位置及び内容、及び信号の位置等、を特定する。ここでいう道路の属性とは、高速道路、渋滞路、ワインディング、人口密集地の道路、狭路、駐車場内等である。なお、走行中の道路の曲率及び幅員については、前方カメラ4及びサイドカメラ5が撮影した画像情報を用いて特定することもできる。
【0020】
なお、本実施形態の車両10は、周辺状況を特定するための装置としてレーダ3、前方カメラ4、サイドカメラ5、及びナビゲーションシステム6を備えるが、これに限られるわけではない。例えば、レーダ3、前方カメラ4及びサイドカメラ5のいずれかに替えて、又はこれらに加えて、ライダ(Laser Imaging Detection and Ranging:LIDAR)を備えてもよい。また、ナビゲーションシステム6に替えて、又は加えて、車車間通信や路車間通信等が可能な通信装置を備えてもよい。
【0021】
アクセルペダル開度センサ(以下、APOセンサともいう)7は、運転者が操作するアクセルペダルの開度を検出する。検出されたアクセルペダル開度は駆動力演算ユニット2に読み込まれる。
【0022】
駆動力演算ユニット2は、上述した車両10の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を読み込み、当該情報に基づいて制動・駆動ユニット1を制御する。当該制御を行うにあたり、駆動力演算ユニット2は、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を設定する。アクセルオフ操作時の減速特性とは、具体的には、車速毎のアクセルペダルから足を離す操作をしたときの減速度、換言すると、車速毎の最大減速度である。つまり、「アクセルオフ操作時の減速特性を設定する」とは、車速毎のアクセルオフ操作時の減速度を設定することである。以下、アクセルオフ操作時の減速特性を、最大減速度特性ともいう。
【0023】
最大減速度特性は、例えば図3の特性1、特性2のように任意に設定し得るものであるが、運転者毎に扱いやすい最大減速度特性は異なる。そして、設定した最大減速度特性が運転者の性向に合わない場合には、不必要な加減速が行われることによって加減速の回数が増加するおそれがある。例えば、前方の信号機が赤点灯になり停止するためにアクセルオフ操作をする場合を考える。この場合、アクセルオフ操作をするタイミングは運転者によってばらつくが、最大減速度特性が運転者の性向に合っていれば、停止するまで徐々に車速が低下することになるので、再加速することはない。しかし、最大減速度特性が運転者の性向に合っていないと、アクセルオフ操作後に車速が低下し過ぎて再加速したり、車速が高すぎてブレーキペダル操作をしたりすることになる。再加速すると電動モータが力行することでエネルギを消費するし、ブレーキペダル操作に応じて摩擦ブレーキが作動した場合には、運動エネルギが熱エネルギに変換されてしまい、電動モータにより回生できるエネルギが減少してしまう。このように、加減速の回数の増加は電費の悪化を招来する。
【0024】
そこで本実施形態では、以下に説明する方法により、運転者の性向に合った最大減速度特性を設定する。運転者の性向に合っているか否かは、アクセルペダル操作量の標準偏差(以下、「APO偏差」ともいう。)を用いて判断することができる。例えば、アクセルペダル操作量特性と加減速特性とが線形の関係にあり、かつ巡航走行中の場合には、APO偏差が小さいほど、最大減速度特性が運転者の性向に合っていると判断する。これは、最大減速度特性が運転者の性向に合っていれば、上述した再加速のような不必要なアクセルペダル操作が減少して、APO偏差が小さくなるからである。
【0025】
図4は、所定の車速及びアクセルペダル開度の状態からアクセルオフ操作をした時の、最大減速度とAPO偏差との関係の一例を示す図である。図4の縦軸がAPO偏差、横軸がアクセルオフ操作時の最大減速度である。横軸の右端が減速度ゼロ、つまりアクセルオフ操作をしても減速度が発生しない場合であり、図中左にいくほどアクセルオフ操作時の最大減速度が大きくなる。
【0026】
APO偏差が最小値(D1)となるときの減速度をG2とすると、減速度がG2より大きくても小さくても、APO偏差はD1より大きくなる。換言すると、アクセルオフ操作時の減速度を最大値(G1)からゼロまで変化させると、APO偏差は減速度がG2で極小値をとる。この場合、G2になる最大減速度特性が運転者の性向に最も合う最大減速度特性ということになる。
【0027】
減速度がG2より大きくなるほどAPO偏差が大きくなるのは、アクセルオフ操作をしたときに車速が運転者の意図よりも低下してしまい、運転者が再加速のためにアクセルペダルを踏み直す機会が増えるからである。また、アクセルオフ操作時の最大減速度が大きくなるということは、アクセルペダル開度を小さくする操作を行ったときの減速度もそれに比例して大きくなる。このため、速度調整のためにアクセルペダル開度を小さくしたときに、車速が運転者の意図よりも低下してしまい、上記と同様に再加速する機会が増える。
【0028】
一方、減速度がG2より小さくなるほどAPO偏差が大きくなるのは、例えば速度調整のためにアクセルペダル開度を小さくする操作を行ったときに、運転者の意図よりも車速が低下せず、ブレーキ操作をする機会が増えるためである。このとき、最大減速度特性が運転者の性向に合っていれば、アクセルペダル開度を小さくする操作(以下、アクセル戻し操作ともいう。)で済むところを、ブレーキ操作をするためにアクセルオフ操作をすることになるので、結果的にアクセルペダル操作量が大きくなり、APO偏差が大きくなる。
【0029】
そこで、図4に示す関係を駆動力演算ユニット2に学習させ、アクセルオフ操作時の最大減速度が、APO偏差が最も小さくなる減速度となる最大減速度特性を設定する。
【0030】
当該学習の方法としては、例えば次の3つがある。
【0031】
第1の方法は、車両10を納車するディーラ等においてドライブシミュレータを用いて学習し、その結果を車両10の駆動力演算ユニット2に読み込ませる方法である。減速度G1からゼロまでの間でいくつかの減速度を設定し、各減速度で運転者にシミュレーション用のコースを走行してもらう。このときのアクセルペダル操作量を記録し、記録したデータに基づいて各減速度における標準偏差を算出する。
【0032】
第2の方法は、車両10の走行中に学習する方法である。第1の方法と同様の各減速度でのアクセルペダル操作量の記録を、実際に走行しながら行う。この方法を実行する際には、学習の実行中である旨の告知、及び最大減速度特性を変更した場合には学習のために変更した旨の告知を行う。これは、最大減速度特性の変化を運転者が故障と誤解するのを防ぐためである。なお、運転者の承諾があった場合にのみ当該方法を行うようにしてもよい。
【0033】
第3の方法は、第2の方法と同様に車両10の走行中に学習する方法である。ただし、第3の方法では最大減速度特性を変更せず、かつ走行中のデータに基づいて学習する。走行中に取得した全てのデータに基づいて学習してもよいが、走行中に取得したデータから、停車するための減速及び停車状態からの加速を除いた巡航走行中のデータを抽出して学習してもよい。巡航走行中のデータは、例えば40~60km/h、60~80km/hのように車速範囲を設定し、各車速範囲でのアクセルペダル操作量に基づいて学習する。巡航走行中のデータのみに基づく学習で構わない理由は次の通りである。
【0034】
例えば、アクセルオフ操作時の最大減速度が図4のG3となる最大減速度特性であるとする。この場合、アクセルペダル開度が20°から0°に減少するアクセルオフ操作が行われるとG3の減速度が発生し、アクセルペダル開度が20°から10°に減少するアクセル戻し操作が行われると、G3の半分の減速度が発生する。つまり、アクセルオフ操作時の最大減速度が大きいほど、アクセル戻し操作時の減速度も大きくなる。このため、巡航走行中に例えば前走車との車間距離を調整するためにアクセル戻し操作をした場合に、最大減速度特性が運転者の性向に合わなければ、車速が低下し過ぎたために再加速するという事態が生じる。つまり、巡航走行中に限定しても、運転者の性向を反映したAPO偏差が得られる。
【0035】
そして、巡航走行中に得られたデータに基づいてAPO偏差を算出したら、APO偏差が最小になるアクセルオフ操作時の最大減速度を当該APO偏差に基づいて推定し、最小になる最大減速度特性を設定する。当該推定は、例えば、過去に行った複数の他の運転者のデータに基づいて作成した、アクセルオフ操作時の最大減速度とAPO偏差との関係の一般的な傾向を基に行うことができる。
【0036】
ただし、第3の方法で学習する場合には、上記の推定を用いて最大減速度特性を設定するので、APO偏差を正確に最小値にすることは難しい。そこで、第3の方法で学習する場合には、APO偏差を予め設定した目標範囲(例えば図4のD1~D2の範囲)に収めることを目的とする。例えば、巡航走行中に得られたAPO偏差が図4のD3(>D2)であった場合には、アクセルオフ操作時の最大減速度がG4になる最大減速度特性を設定する。なお、D2は任意に設定し得る値であり、電費との関係等に基づいて上述した不必要な加減速の回数が許容範囲を設定し、当該許容範囲内となる値を設定する。
【0037】
APO偏差の学習方法は上述した第1~第3の方法のいずれでも構わない。ただし、第1の方法は正確なデータが得られるものの、シミュレータ装置が必要となるためコストの増大を招来し、また、データを得るために時間を要する。
【0038】
第2の方法は学習が終了するまで最大減速度特性が数回変更されるので、学習中であることを運転者に告知したとしても、運転者に違和感を与えることになる。
【0039】
そこで本実施形態では、第3の方法で学習することとする。
【0040】
次に、上述した学習及び最大減速度特性の設定について具体的に説明する。駆動力演算ユニット2は、上述した学習及び最大減速度特性の設定を行う学習フェーズと、設定された最大減速度特性で走行する通常フェーズと、を切り替え可能である。以下、各フェーズについて具体的に説明する。
【0041】
図5は学習フェーズの制御ルーチンを示すフローチャートであり、図6は通常フェーズの制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0042】
[学習フェーズ]
まず、学習フェーズについて説明する。本実施形態では、APO偏差の学習を駆動力演算ユニット2が実行する場合について説明するが、車両10に通信装置を搭載して、ネットワーク上のクラウドサーバにて実行してもよい。
【0043】
ステップS100において、運転者が操作中であるか否かを判定し、判定結果がyesの場合はステップS110の処理を実行し、判定結果がnoの場合は判定結果がyesになるまで当該判定を繰り返す。「運転者が操作中」とは、運転者がアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール等を操作して運転している状況を意味する。換言すると、運転支援システムによるクルーズコントロール、アダプティブクルーズコントロール等が実行されていない状況のことである。
【0044】
ステップS110では、アクセルペダル操作量、車速、加速度を記録する。
【0045】
ステップS120では、記録したデータの量(記録量)が予め設定した閾値以上になったか否かを判定し、判定結果がyesの場合はステップS130の処理を実行し、判定結果がnoの場合は判定結果がyesになるまで当該判定を繰り返す。当該判定は、学習するのに十分な記録量になったか否かを判定するためのものである。当該判定では、記録開始から所定距離を走行したら、または記録開始からの走行時間が所定時間になったら、判定結果をyesにする。所定距離は例えば50km程度とし、所定時間は例えば30~60min程度とする。
【0046】
ステップS130では、上述したAPO偏差の学習を行い、学習結果に基づいて最大減速度特性を設定する。
【0047】
ステップS140では、制動・駆動ユニット1の動力特性を、ステップS130で設定した最大減速度特性に変更する。最大減速度特性の変更が終了したら、学習フェーズから通常フェーズに切り替わる。
【0048】
[通常フェーズ]
ステップS200、S210の処理は図5の学習フェーズと同様なので説明を省略する。
【0049】
ステップS220では、修正操作が多いか否かを判定し、判定結果がyesの場合は学習フェーズに移行し、判定結果がnoの場合はステップS200の処理に戻る。修正操作とは、アクセルオフ操作またはアクセル戻し操作の後に、車速調整のためにアクセルペダルを踏み直す操作である。つまり、当該判定は、現在の最大減速度特性が運転者の性向に合っているか否かを判定するものである。
【0050】
当該判定では、ステップS210で記録したデータに基づいて算出したAPO偏差が、学習フェーズで目標とした範囲(目標範囲)を超えて大きい場合にyesと判定する。なお、ステップS200~S220の処理を繰り返しているなかで、APO偏差が目標範囲より大きいという結果が出たら直ちにyesと判定するのではなく、同様の結果が所定回数出たらyesと判定するようにしてもよい。こうすることで、特殊な状況でたまたまアクセルペダル操作量が大きくなった場合に学習フェーズに戻ることを回避できる。
【0051】
上記の通り、学習フェーズで最大減速度特性を設定したら通常フェーズで走行し、通常フェーズで走行中に修正操作が多くなったら再び学習フェーズを実行する。これにより、通常フェーズの実行中に運転者が学習フェーズの際に運転していた者から他の者に替わった場合でも、新たな運転者の性向に合わせた最大減速度特性を設定することができる。
【0052】
以上のように本実施形態では、アクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、学習の結果に基づいて、少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を新たに設定することによって、当該設定後のAPO偏差を予め設定した範囲に収める。APO偏差が予め設定した範囲に収まるということは、運転者の意図通りに減速、停車することが可能になることによって減速中の不必要なアクセル操作が減少することを意味しており、これにより電費性能の向上を図ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
本実施形態を適用する車両10の構成及び車両10を制御する制御システムは、第1実施形態と同様である。本実施形態の第1実施形態との相違点は、APO偏差だけでなく、ブレーキ操作回数も学習する点と、車両10の周辺状況毎にAPO偏差及びブレーキ操作回数の学習する点と、学習結果に基づいて最大減速度特性だけでなく加減速特性も設定する点である。
【0054】
ここで、最大減速度特性の設定と加減速特性の設定について説明する。図7は、縦軸を駆動力、横軸を車速として、所定車速における加減速特性及び最大減速度特性を示したものである。
【0055】
最大減速度特性とは、上述した通りアクセルオフ操作時の減速特性である。本実施形態において最大減速度特性を設定するという場合には、アクセルオフ操作時の減速特性のみを設定することを意味する。そして、アクセルオフ操作時の減速特性は、図中の両矢印の方向に変更可能である。
【0056】
加減速特性は、アクセル開度毎に設定された加減速の特性である。つまり、「加減速特性を設定する」とは、車速毎の、アクセルペダル操作量に応じた駆動力を設定することである。例えば、図7において、アクセルペダル開度が100%(全開)のときの特性をC1、90%のときの特性をC2、80%のときの特性をC3、・・・とする。本実施形態において加減速特性を設定するという場合には、これらC1~Cnの各特性を設定することを意味する。そして、各特性C1~Cnはそれぞれ両矢印の方向に変更可能である。
【0057】
つまり、アクセルオフ操作時の減速特性を変更すると、加減速特性は変化せずにアクセルオフ操作時の減速特性のみが変化する。これに対し、加減速特性を変更すると加減速特性C1~Cnが全体的に変化する。
【0058】
図8Aは、所定の車速及びアクセルペダル開度の状態からアクセルオフ操作をした時の、最大減速度とAPO偏差及びブレーキ操作回数との関係の一例を示す図である。図8Aの左縦軸がAPO偏差、右縦軸がブレーク操作回数、横軸がアクセルオフ操作時の最大減速度である。APO偏差とアクセルオフ操作時の最大減速度との関係は図4と同様である。
【0059】
図8Aに示す通り、アクセルオフ操作時の最大減速度がゼロに近づくほど、ブレーキ操作回数は多くなる。これは、アクセルオフ操作をした場合に減速度が小さいほど、車速をより低下させるためにブレーキ操作をする機会が増えるためである。この傾向は最大減速度特性が運転者の性向に合っているか否かによらず同じだが、最大減速度が小さい場合には、同一の最大減速度で比べると、運転者の性向に合っていない場合の方が具体的なブレーキ操作回数は多くなる。また、アクセルオフ操作時の最大減速度が小さくなるほどアクセル戻し操作時の減速度も小さくなるので、巡航走行中の速度調整の際にブレーキ操作によって減速する機会が増加する。そして、ブレーキ操作により減速する際には、ペダル踏み替えのためにアクセルオフ操作をすることになる。したがって、ブレーキ操作回数が多いほどAPO偏差が大きくなる。
【0060】
そこで本実施形態では、APO偏差及びブレーキ操作回数を所定範囲に収まる最大減速度特性を設定する。例えば、APO偏差については第1実施形態と同様に目標範囲(図8AのD1~D2)を設定し、ブレーキ操作回数についても同様に目標範囲(図8AのB1~B2)を設定し、両者がともに目標範囲に収まるような最大減速度特性を設定する。図8Aに示すように、APO偏差の曲線とブレーキ操作回数の曲線との交点が、APO偏差が極小となる点より減速度小側(図中右側)の場合には、アクセルオフ操作時の最大減速度が、APO偏差が極小となるときの減速度(図8A中のG2)となる最大減速度特性を設定することがのぞましい。これにより、APO偏差をより小さく、かつブレーキ操作回数をより少なくすることができる。
【0061】
ところで、図8Bに示すように、APO偏差の曲線とブレーキ操作回数の曲線との交点が、APO偏差が極小となる点より減速度大側(図中左側)になる場合もある。なお、図8Bは所定の車速及びアクセルペダル開度の状態からアクセルオフ操作をした時の、最大減速度とAPO偏差及びブレーキ操作回数との関係の他の例を示す図である。この場合には、APO偏差を小さくすることを優先するとブレーキ操作回数は多くなり、これとは反対にブレーキ操作回数を少なくすることを優先すると、APO偏差は大きくなる。そこで、例えば、ブレーキ操作回数を少なくすることを優先して、アクセルオフ操作時の最大減速度が、APO偏差が目標範囲に収まり、かつブレーキ操作回数が最も少なくなるときの減速度(図8BのG5)となる最大減速度特性を設定する。また例えば、APO偏差とブレーキ操作回数のバランスを考慮して、アクセルオフ操作時の最大減速度がAPO偏差の曲線とブレーキ操作回数の曲線との交点の減速度(図8AのG6)となる最大減速度特性を設定してもよい。
【0062】
本実施形態の具体的な制御ルーチンは、基本的には第1実施形態の図5図6と同様であるが、図5のステップS110及びS130の処理と、図6のステップS210の処理と、が異なる。
【0063】
ステップS110、S210に相当するステップでは、アクセル操作量、車速及び加速度に加えて、ブレーキ操作回数も記録する。また、これらを周辺状況毎に記録する。なお、当該学習をクラウドサーバで行う場合には、いわゆるOTA(Over The Air)により学習結果を車両10に反映させる必要がある。また、周囲状況に関連する地図情報等もOTAにより更新できることが望ましい。
【0064】
ステップS130に相当するステップでは、記録したデータを周辺状況に紐づけて、周辺状況毎のAPO偏差及びブレーキ操作回数を学習し、学習結果に基づいて周辺状況毎にAPO偏差及びブレーキ操作回数がそれぞれ目標とする範囲に収まる最大減速度特性及び加減速特性を設定する。
【0065】
図9A~9Dは、記録したデータを周辺状況に紐づける方法の一例を示している。まず、前走車のいない状況(単独走行ともいう)か、前走車に追従している状況(追従走行ともいう)かによって場合分けし(図9A、9Bと図9C、9D)、それぞれについてAPO偏差(図9A、9C)とブレーキ操作回数(図9B、9D)とに場合分けする。そして、それぞれの場合について、x軸を加減速度、y軸をAPO偏差またはブレーキ操作回数、z軸を車速とする三次元マトリクスを検知場所や交通状況ごとに作成する。
【0066】
上記のように周辺状況に紐づけされたデータを学習し、APO偏差及びブレーキ操作回数が所定範囲に収まる最大減速度特性及び加減速特性を設定する。以下に、当該設定をする際の考え方について例を挙げて説明する。
【0067】
(例1)
ワインディング路や渋滞路でブレーキ操作を多用する運転者に対しては、当該路を走行中のアクセルオフ操作時の最大減速度が、多用しない運転者に比べて強めに設定する。これによりブレーキ操作回数を低減してエネルギ回生量を稼ぐことができる。
【0068】
(例2)
狭路を走行する際には、アクセルオフ操作時の最大減速度を市街地や郊外等の走行状況に比べて小さくする。その理由は次の通りである。アクセル操作量に対する加減速度の変化(以下、アクセル応答性ともいう。)が大きいほど運転者は車速の制御をし難くなる。このため、最大減速度特性及び加減速特性を設定する際には、アクセル開度毎の特性線(図7のC1~Cn及びアクセルオフ操作時の減速特性の線)がほぼ等間隔になるようにするのが一般的である。そうすると、アクセルオフ操作時の減速度を大きくするほど、APOが低開度(例えば10°程度)の時の駆動力は小さくなり、狭路走行時の車速(例えば20~30km/h程度)を出すためのAPOは大きくなる。つまり、狭路走行中のアクセルオフ操作時の減速度を大きくするほど、アクセルペダル操作量は大きくなり、APO偏差が増大してしまう。そこで上記の通りアクセルオフ操作時の最大減速度を小さくする。
【0069】
以上のように本実施形態では、アクセルペダル操作量の標準偏差に加えてブレーキ操作回数も学習し、学習の結果に基づいて少なくともアクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める。ブレーキ操作による減速では摩擦ブレーキが使用されるので、摩擦ブレーキで熱エネルギとして消費される分だけ回生で吸収できるエネルギが減少する。その点、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに、ブレーキ操作回数が減少するので、回生で吸収できるエネルギの減少を抑制し、ひいては電費の向上を図ることができる。
【0070】
本実施形態では、車両10の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、周辺状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎にアクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める。このように周辺状況毎に学習することで、運転者の性向をより正確に判断することが可能となるので、加減速する頻度がより減少し、電費をより向上させることができる。
【0071】
本実施形態では、車両10の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、周辺状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎にアクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める。このように周辺状況毎に学習することで、運転者の性向をより正確に判断することが可能となるので、加減速する頻度がより減少し、電費をより向上させることができる。
【0072】
本実施形態では、車両10の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、周辺状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎にアクセルオフ操作時の減速特性およびアクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差を予め設定した範囲に収める。このように、周囲状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差を学習し、かつ、アクセルオフ操作時の減速特性およびアクセルペダル操作量に対応する加減速特性の両方を設定することで、運転者の性向により合致した駆動力特性にすることができ、電費をより向上させることができる。
【0073】
本実施形態では、電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、アクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎にアクセルオフ操作時の減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める。このように、周囲状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差だけでなくブレーキ操作回数も学習することで、運転者の性向をより正確に判断可能となるので、電費をより向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、アクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎にアクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める。このように周囲状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差だけでなくブレーキ操作回数も学習することで、運転者の性向をより正確に判断可能となるので、電費をより向上させることができる。
【0075】
本実施形態では、前記電動車両の周辺状況に関する情報である周辺状況情報を取得し、周辺状況情報に基づいて、アクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を学習し、当該学習の結果に基づいて、周辺状況毎に前記アクセルオフ操作時の減速特性及びアクセルペダル操作量に対応する加減速特性を設定することによって、それぞれの周辺状況における当該設定後のアクセルペダル操作量の標準偏差及びブレーキ操作回数を予め設定した範囲に収める。このように周囲状況毎にアクセルペダル操作量の標準偏差だけでなくブレーキ操作回数も学習することで、運転者の性向をより正確に判断可能となる。また、アクセルオフ操作時の減速特性およびアクセルペダル操作量に対応する加減速特性の両方を設定することで、運転者の性向により合致した駆動力特性にすることができる。これらにより、電費をより向上させることができる。
【0076】
本実施形態における周辺状況には、前走車の有無、前走車との車間距離、前走車との相対車速、または前走車の停止位置の少なくとも一つが含まれる。また、本実施形態における周辺状況には、車両10が走行している道路の特性が含まれ、当該道路の特性には、当該道路の曲率、車線数、勾配、曲率変化率、平均速度、混雑具合、信号の有無、制限車速、一時停止の有無、または幅員の少なくとも一つが含まれる。これら周囲状況毎に学習することで、運転者の性向をより細かくかつ正確に判断し、加減速の回数を減少させて電費の向上を図ることができる。なお、検知する周囲状況が多くなるほど、加減速の回数をより減少させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1 制動・駆動ユニット、 2 駆動力演算ユニット、 3 レーダ、 4 前方カメラ、 5 サイドカメラ、 6 ナビゲーションユニット、 7 アクセルペダル開度センサ、 10 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D