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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184303
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】信号処理方法及び信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/526 20060101AFI20231221BHJP
   G01S 15/89 20060101ALI20231221BHJP
   G01S 7/28 20060101ALI20231221BHJP
   G01S 13/89 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01S7/526 K
G01S15/89 B
G01S7/28 220
G01S13/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098373
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤島 泰郎
(72)【発明者】
【氏名】溜島 克洋
(72)【発明者】
【氏名】筒井 信一
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳奈美
【テーマコード(参考)】
5J070
5J083
【Fターム(参考)】
5J070AA01
5J070AB01
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC11
5J070AD09
5J070AH25
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK22
5J070BE01
5J083AA02
5J083AA05
5J083AC28
5J083AD01
5J083AD04
5J083AD15
5J083AG01
5J083BA02
5J083BC01
5J083BE45
5J083CA01
5J083CA12
5J083DC05
(57)【要約】
【課題】捜索対象の位置を精度よく計測することが可能な信号処理方法及び信号処理装置を提供する。
【解決手段】信号処理方法は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の送受波素子から発生して捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象の位置を推定する信号処理方法であって、検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイに対して連続信号の到来角を推定する到来角推定ステップと、到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得するビーム信号取得ステップと、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイに対する捜索対象の角度及び距離を算出する位置算出ステップとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に含まれる前記連続信号を抽出し、前記センサアレイに対して前記連続信号の到来角を推定する到来角推定ステップと、
前記到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで前記検出信号のビーム信号を取得するビーム信号取得ステップと、
前記ビーム信号に含まれる前記推定到来角の前記エコー信号を検出し、検出結果に基づいて前記センサアレイに対する前記捜索対象の角度及び距離を算出する位置算出ステップと
を含む信号処理方法。
【請求項2】
前記到来角推定ステップでは、前記検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、当該スペクトルのピーク数に基づいて前記連続信号の抽出及び到来角の推定を行う
請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
前記到来角推定ステップでは、前記検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、前記スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成した前記画像に基づいて前記連続信号の抽出及び到来角の推定を行う
請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項4】
前記位置算出ステップでは、前記ビーム信号においてドップラー効果による周波数のずれの有無を検出し、検出結果に基づいて前記エコー信号が前記センサアレイに到来した時刻を推定し、推定結果に基づいて前記センサアレイから前記捜索対象までの距離を算出する
請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項5】
前記位置算出ステップでは、前記ビーム信号のレベルの時間変化を検出し、検出結果に基づいて前記エコー信号が前記センサアレイに到来した時刻を推定し、推定結果に基づいて前記センサアレイから前記捜索対象までの距離を算出する
請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項6】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、前記捜索対象の位置を推定する信号処理方法であって、
前記検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、前記スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成する画像生成ステップと、
生成された前記画像から前記エコー信号に対応する対応部分を抽出するエコー抽出ステップと、
前記画像における前記対応部分の座標に基づいて前記捜索対象の位置を算出する位置算出ステップと
を含む信号処理方法。
【請求項7】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に含まれる前記連続信号を抽出し、前記センサアレイに対して前記連続信号が到来する角度である到来角を推定し、
前記到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで前記検出信号のビーム信号を取得し、
前記ビーム信号に含まれる前記推定到来角の前記エコー信号を検出し、検出結果に基づいて前記センサアレイに対する前記捜索対象の角度及び距離を算出する、演算部を備える
信号処理装置。
【請求項8】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、前記スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、
生成された前記画像から前記エコー信号に対応する対応部分を抽出し、
前記画像における前記対応部分の座標に基づいて前記捜索対象の位置を算出する、演算部を備える
信号処理装置。
【請求項9】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、前記連続信号に重なる前記エコー信号を抽出し、
抽出した前記エコー信号に基づいて前記捜索対象の位置を算出する
信号処理方法。
【請求項10】
複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、前記連続信号に重なる前記エコー信号を抽出し、
抽出した前記エコー信号に基づいて前記捜索対象の位置を算出する、演算部を備える
信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号処理方法及び信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーナー、レーダー等のアクティブセンサを用いて捜索対象の距離及び角度を計測し、捜索対象の位置を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5864894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、アクティブセンサにおいて送受波素子をアレイ構成とすることで、センサアレイの指向性を制御可能となり、適応ビームフォーミング(ABF)により角度に応じて感度に差をつけることができる。しかしながら、例えば捜索対象が小さく反射強度が低い場合、送受波素子からの信号が捜索対象で反射されたエコーの信号のレベルが弱くなるため、ABFにより捜索対象の角度に対する感度を上げても、捜索対象の位置を精度よく計測できない可能性がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、捜索対象の位置を精度よく計測することが可能な信号処理方法及び信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る信号処理方法は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、前記捜索対象の位置を推定する信号処理方法であって、前記検出信号に含まれる前記連続信号を抽出し、前記センサアレイに対して前記連続信号の到来角を推定する到来角推定ステップと、前記到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで前記検出信号のビーム信号を取得するビーム信号取得ステップと、前記ビーム信号に含まれる前記推定到来角の前記エコー信号を検出し、検出結果に基づいて前記センサアレイに対する前記捜索対象の角度及び距離を算出する位置算出ステップとを含む。
【0007】
本開示に係る信号処理方法は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、前記捜索対象の位置を推定する信号処理方法であって、前記検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、前記スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成する画像生成ステップと、生成された前記画像から前記エコー信号に対応する対応部分を抽出するエコー抽出ステップと、前記画像における前記対応部分の座標に基づいて前記捜索対象の位置を算出する位置算出ステップとを含む。
【0008】
本開示に係る信号処理装置は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、前記捜索対象の位置を推定する信号処理装置であって、前記検出信号に含まれる前記連続信号を抽出し、前記センサアレイに対して前記連続信号が到来する角度である到来角を推定し、前記到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで前記検出信号のビーム信号を取得し、前記ビーム信号に含まれる前記推定到来角の前記エコー信号を検出し、検出結果に基づいて前記センサアレイに対する前記捜索対象の角度及び距離を算出する、演算部を備える。
【0009】
本開示に係る信号処理装置は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号に基づいて、前記捜索対象の位置を推定する信号処理装置であって、前記検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、前記スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成された前記画像から前記エコー信号に対応する対応部分を抽出し、前記画像における前記対応部分の座標に基づいて前記捜索対象の位置を算出する、演算部を備える。
【0010】
本開示に係る信号処理方法は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、前記連続信号に重なる前記エコー信号を抽出し、抽出した前記エコー信号に基づいて前記捜索対象の位置を算出する。
【0011】
本開示に係る信号処理装置は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象自身が発する連続信号と複数の前記送受波素子から発生して前記捜索対象から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、前記連続信号に重なる前記エコー信号を抽出し、抽出した前記エコー信号に基づいて前記捜索対象の位置を算出する、演算部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、捜索対象の位置を精度よく計測することが可能な信号処理方法及び信号処理装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る信号処理装置の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る信号処理方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、センサアレイの受信感度の制御の例を模式的に示す図である。
図4図4は、所定期間における角度スペクトルの時間変化の例を示す図である。
図5図5は、到来角推定ステップにおけるアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、各角度のピーク検出回数の例を示す図である。
図7図7は、ABS画像の一例を示す図である。
図8図8は、ABF画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、連続信号に対応する位置座標を抽出する処理の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、ビーム信号のレベルの時間変化の一例を示す図である。
図11図11は、ビーム信号のレベルの時間変化の一例を示す図である。
図12図12は、信号処理方法の他の例をフローチャートである。
図13図13は、エコー抽出ステップの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る信号処理方法及び信号処理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る信号処理装置の一例を模式的に示す図である。信号処理装置100は、センサアレイ10により検出される検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する。センサアレイ10は、複数の送受波素子11が並んだ状態で配置される。各送受波素子11は、例えば所定の信号を発信し、捜索対象40からの信号を受信する。捜索対象40からの信号は、送受波素子11から発信され捜索対象40を介したエコー信号と、捜索対象40自身が発する信号とを含む。このようなセンサアレイ10としては、例えばソーナー、レーダー等が挙げられる。本実施形態において、各送受波素子11から発信される信号、捜索対象40を介したエコー信号、及び捜索対象40自身が発する信号が音響信号である場合を例に挙げて説明する。捜索対象40自身が発する信号は、一時的な信号及び連続信号を含む。連続信号は、時間的に連続して発生する信号であり、例えばセンサアレイ10による測定期間に常時発生する信号である。
【0016】
信号処理装置100は、演算部20及び記憶部30を有する。演算部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。演算部20は、各種演算を行う。記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶部と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶部とのうち、少なくとも1つ含む。
【0017】
演算部20は、検出信号から、連続信号に重なるエコー信号を抽出し、抽出したエコー信号に基づいて捜索対象40の位置を算出する。本実施形態において、演算部20は、検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイ10に対して連続信号の到来角を推定する。なお、角度については、所定の基準方向に対する到来方向の角度とすることができる。本実施形態において、基準方向は、例えば送受波素子11が並ぶ方向に直交する方向(正面方向)とすることができる。なお、基準方向は、正面方向に限定されず、例えば横方向等、他の方向であってもよい。この場合、演算部20は、例えば検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、当該スペクトルのピーク数に基づいて連続信号の抽出及び到来角の推定を行うことができる。また、演算部20は、例えば検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、当該スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成した画像に基づいて連続信号の抽出及び到来角の推定を行うことができる。
【0018】
演算部20は、推定到来角への感度を他の角度の感度よりも高く設定してビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得する。
【0019】
演算部20は、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイ10に対する捜索対象40の角度及び距離を算出する。この場合、演算部20は、例えばビーム信号においてドップラー効果による周波数のずれの有無を検出し、検出結果に基づいてエコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定し、推定結果に基づいてセンサアレイ10から捜索対象40までの距離を算出することができる。また、演算部20は、ビーム信号のレベルの時間変化を検出し、検出結果に基づいてエコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定し、推定結果に基づいてセンサアレイ10から捜索対象40までの距離を算出することができる。
【0020】
演算部20は、記憶部30からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、上記の各処理を実行する。記憶部30は、演算部20の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶する。記憶部30は、センサアレイ10で検出した処理結果、つまり探査の結果を記憶してもよい。
【0021】
記憶部30は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される捜索対象40からの信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理プログラムであって、検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイ10に対して連続信号の到来角を推定する推定処理と、到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得する取得処理と、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイ10に対する捜索対象40の角度及び距離を算出する算出処理とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムを記憶する。
【0022】
本実施形態に係る信号処理方法では、検出信号から、連続信号に重なるエコー信号を抽出し、抽出したエコー信号に基づいて捜索対象40の位置を算出する。図2は、本実施形態に係る信号処理方法の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る信号処理方法は、到来角推定ステップS10と、ビーム信号取得ステップS20と、位置算出ステップS30とを含む。
【0023】
到来角推定ステップS10は、センサアレイ10の検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイ10に対して連続信号の到来角を推定する。
【0024】
ビーム信号取得ステップS20は、到来角推定ステップS10で推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得する。
【0025】
位置算出ステップS30は、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイ10に対する捜索対象40の角度及び距離を算出する。
【0026】
以下、本実施形態に係る信号処理方法の原理について説明する。本実施形態に係る信号処理方法では、捜索対象40自身が連続信号を発しているのであれば、いずれかの連続信号の到来方向に捜索対象40が存在するはずである、つまり、捜索対象40のエコーと捜索対象40の連続信号の到来方向は同じはずなので、連続信号を検出してその中から捜索対象40のエコー検出を試みる、という思想に基づいている。
【0027】
本実施形態において、センサアレイ10は、M個の送受波素子11を有する構成とする。各送受波素子11の複素受信信号をXm,m=1,2,…,Mとおき、それらをまとめて複素受信信号ベクトルを、
【数1】
とする。
【0028】
また、1回の送信周期内での計測におけるサンプリング周期と計測点数をそれぞれTs、Kとおくと、1回の送信周期内で計測できる受信信号ベクトルは、
【数2】
と書ける。
【0029】
以降、サンプリング周期Tsは省略し、時系列データをx(k)のように記載する。
【0030】
到来角推定ステップS10では、送受波素子11が受信した連続信号を全て検出し、各々の到来角θl,l=1,2,…,Lを推定する。ここで、Lは、連続信号の到来数の推定値である。到来角推定ステップS10の詳細については、後述する。
【0031】
ビーム信号取得ステップS20では、例えば公知技術であるMVDR(Minimum Variance Distortionless Response)を適用し、捜索対象40自身が発する連続信号の到来角θlに感度を持つ一方で、他の角度から到来する信号を抑圧するビーム信号を形成する。このビーム信号をyl(k)とおくと、MVDRでは、
【数3】
と書ける。ここで、Hはエルミート転置を表す。
【0032】
また、
【数4】
は、時刻kTsにおける標本相関行列を表す。
【0033】
相関点数をPとおくと、
【数5】
のように計算できる。
【0034】
一方、
【数6】
は、角度θに対する送受波素子11ごとの位相差を表すステアリングベクトルである。
【0035】
図3は、センサアレイ10の受信感度の制御の例を模式的に示す図である。図3では、L=3、l=2の場合の例を示している。MVDRを使用することにより、図3に示すように、θ2以外の波源からの信号にヌルを形成して抑圧できる。このため、MVDRのビーム信号yl(k)は、波源2の信号の推定値であるとみなすことができる。
【0036】
位置算出ステップS30では、角度θlから到来する信号の推定値yl(kTs)を用いて、角度θlに捜索対象40が存在するか否かを判定する。角度θlから到来する信号が捜索対象40に由来するものであった場合、ビーム信号yl(k)には、捜索対象40までの距離に対応した時刻において、捜索対象40からのエコー信号が含まれる。角度θlから到来する信号が捜索対象40に由来するものではない場合、ビーム信号yl(k)には、捜索対象40からのエコー信号が含まれない。なお、全てのビーム信号について、捜索対象40からのエコー信号が含まれない場合、捜索対象40なしと判定することができる。
【0037】
位置算出ステップS30において、センサアレイ10に対する捜索対象40の角度については、θl,l=1,2,…,Lのいずれかがそのまま出力となる。また、センサアレイ10に対する捜索対象40の距離については、エコー信号の検出時刻tDとエコー信号の伝播速度vとを用いて、0.5tDvのように計算できる。
【0038】
<到来角推定ステップの例>
到来角推定ステップS10では、同時刻に到来する複数の信号を分離できる手法であれば、任意の公知技術を用いることができる。このような技術としては、具体的には、Capon、MUSIC、圧縮センシング等の手法を適用することができる。
【0039】
図4は、所定期間における角度スペクトルの時間変化の例を示す図である。所定期間としては、例えばセンサアレイ10の1回の送信周期等とすることができる。なお、図4において、図3の場合と同様、L=3の場合について示している。図4において、スペクトルS1は連続信号のスペクトルを示し、スペクトルS2は一時的な信号のスペクトルを示している。図4において、一時的な信号の到来角(θとθの間の角度)は無視し、連続信号の到来角θ、θ、θのみを推定するようにする。
【0040】
図5は、到来角推定ステップS10におけるアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図5に示すように、到来角推定ステップS10では、所定周期の角度スペクトルを計算し(ステップS501)、スペクトルのピークを抽出し(ステップS502)、各角度のピーク検出回数を更新する(ステップS503)。ステップS501からステップS503については、例えば計測点ごとに行うことができる。各計測点についてステップS501からステップS503を行った後、ピーク検出回数に基づいて連続信号か一時的な信号かの判定を行い(ステップS504)、連続信号と判定した信号の波源の到来角を算出する(ステップS505)。
【0041】
ステップS501からステップS503を行う場合、上記したMUSIC等の公知技術により、図4に示すような角度スペクトルの時系列、
【数7】
を推定する。
【0042】
ここで、Nはスペクトルを計算する角度の数である。次に、各時刻kにおけるスペクトルのピークを抽出し、そのピークに対応した角度をθl,l=1,2,…,L´とする。ここで、L´は、その時刻において抽出したピークの数である。L´には、一時的な信号に対応したピークも含まれる。各角度について、スペクトルのピークとなった回数をカウントする。センサアレイ10の1回の送信周期内の全てのスペクトルについて、上記の処理を行う。各角度のピーク検出回数Cn,n=1,2,…,Nが得られる。
【0043】
図6は、各角度のピーク検出回数の例を示す図である。図6に示すように、直感的には、このピーク検出回数がKに近い角度が、連続信号の到来角であると推定できる。したがって、図6の結果に基づいて、検出信号が連続信号か一時的な信号か判定を行う。具体的には、
【数8】
となるようなθnを全て抽出し、抽出したθnを連続信号の到来角とする。
【0044】
この場合、抽出した角度の数が連続信号の数の推定値Lとなる。ここで、αはパラメータであり、1に近いほど厳密に連続信号のみを抽出できる。なお、各到来角が連続信号に由来するかどうかを判定するのが到来角推定ステップS10の目的であるため、必ずしも全てのサンプルk=0,1,…,K-1、についてスペクトルのピーク検出を行う必要はなく、一部のスペクトルのピーク検出を間引くことにより処理速度の向上を図ることができる。
【0045】
<到来角推定ステップの他の例>
なお、到来角推定ステップS10においては、上記手法とは異なる手法により連続信号の検出及び到来角の推定を行ってもよい。具体的には、センサアレイ10にABFを適用した結果を可視化した画像(以下、ABF画像と表記する)を用いて連続信号の検出及び到来角の推定を行うことができる。以下、ABF画像を用いる例を説明するが、この手法では、ABF画像に限定されず、圧縮センシングを適用した結果を可視化した画像を用いても同様の説明が可能である。
【0046】
図7は、ABS画像の一例を示す図である。図7では、連続信号の波源が3つ存在する場合の例を示している。図7に示すABF画像I1は、各画素の座標が波源の位置座標を示しており、各画素の画素値が連続信号の信号レベルを示している。図7では、画素値が大きいほどハッチングを細かく表記している。図7に示すように、ABF画像I1には、連続信号を示す部分R1、R2、R3及び一時的な信号を示す部分R4が含まれている。
【0047】
図8は、ABF画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、ABF画像を生成する場合、まず、センサアレイ10の検出信号に基づいて、1回の送信周期内の角度スペクトルを計算する(ステップS801)。
【0048】
次に、ABF画像の位置座標を設定する(ステップS802)。ステップS802においては、例えば正面方向と横方向とにマトリクス状に配置された複数の画素Im(画素総数をDとする)を設定することができる。
【0049】
次に、位置座標に最も近い位置の角度スペクトルを選択する(ステップS803)。ステップS803において、予め設定した位置座標を[qx,d qy,d]とした場合、時刻kTsにおいて計測した角度スペクトルSn(k),n=1,2,…,Nの位置は
【数9】
のように表される。
【0050】
よって、予め設定した位置座標[qx,d qy,d]と最も近い位置に存在する[q´x,d(k) q´y,d(k)]を探し、その位置に対応した角度スペクトルSn(k)を位置座標[qx,d qy,d]の画素値とすることができる。画措置を算出した後、位置座標の画素値に角度スペクトルを代入する(ステップS804)。ステップS802からステップS804の処理を各画素について行うことにより、ABF画像を生成することができる。
【0051】
ABF画像I1を生成した後、例えばU-Netなど公知のセマンティック・セグメンテーション技術を適用することにより、連続信号に対応する位置座標を抽出することができる。図9は、連続信号に対応する位置座標を抽出する処理の一例を模式的に示す図である。図9に示すように、ABF画像I1にセマンティック・セグメンテーション技術を適用することにより、一時的な信号が除去され、連続信号に対応した位置座標を示す抽出画像I2が生成される。したがって、生成された抽出画像I2に基づいて、連続信号の抽出及び到来角の推定を行うことができる。
【0052】
<位置算出ステップの例>
位置算出ステップS30では、まず、ビーム信号取得ステップS20で取得されたビーム信号y(k)に含まれるエコー信号を検出する。エコー信号を検出する手法として、例えばドップラー効果を利用する手法(以下、第1の手法、と表記する)を用いることができる。つまり、本来的には、ビーム信号y(k)には、角度θlから到来する信号のみが含まれる。よって、ビーム信号y(k)においてドップラー効果による周波数のズレが検出される場合、当該ズレが検出された時間帯に、捜索対象40のエコー信号が含まれていると考えることができる。
【0053】
また、他の手法として、ビーム信号y(k)のレベルの時間変化を検出する手法(以下、第2の手法、と表記する)を用いることができる。第2の手法では、ビーム信号y(k)のレベルの時間変化の検出結果に基づいて、エコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定することができる。図10及び図11は、ビーム信号のレベルの時間変化の一例を示す図である。図10に示すように、捜索対象40のエコー信号が含まれない場合、ビーム信号y(k)はエコー信号を含まないレベルで時間変化する。これに対して、図10に示すように、捜索対象40のエコー信号が含まれる場合、本来のビーム信号y(k)のレベルにエコー信号のレベルが加算される(期間TL)。したがって、ビーム信号のレベルの時間変化を検出し、検出結果に基づいてエコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定することができる。
【0054】
また、上記した第1の手法と第2の手法とを併用してもよい。この場合、第1の手法と第2の手法とのいずれか一方の結果を用いて時刻を推定してもよい。また、第1の手法及び第2の手法の両方の結果を用いて時刻を推定してもよい。両方の結果を用いる場合、例えば第1の手法の推定結果と第2の手法の推定結果との平均を推定結果としてもよいし、いずれか一方の結果を優先させて採用してもよい。
【0055】
次に、本開示に係る他の実施形態について説明する。上記実施形態では、到来角推定ステップS10、ビーム信号取得ステップS20及び位置算出ステップS30により捜索対象40の位置を算出する例を説明したが、これに限定されない。
【0056】
図12は、信号処理方法の他の例をフローチャートである。図12に示すように、他の例に係る信号処理方法は、示す本実施形態では、画像生成ステップS40と、エコー抽出ステップS50と、位置算出ステップS60とを含む。なお、本例において、センサアレイ10の構成及び信号処理装置100のハードウェアの構成については、上記実施形態で説明した構成と同様である。
【0057】
本例において、信号処理装置100の演算部20は、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成された画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出し、画像における対応部分の座標に基づいて捜索対象40の位置を算出する。また、記憶部30は、複数の送受波素子が並べられ指向性を有するセンサアレイにより検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理方法であって、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成する画像生成処理と、生成された画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出するエコー抽出処理と、画像における対応部分の座標に基づいて捜索対象40の位置を算出する位置算出処理とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムを記憶する。信号処理装置100は、演算部20及び記憶部30を用いて、以下の各ステップを実行する。
【0058】
画像生成ステップS40は、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成する。当該画像として、上記実施形態のABF画像を適用することができる。ABF画像を生成する手順については、上記説明と同様である。
【0059】
エコー抽出ステップS50は、生成された画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出する。図13は、エコー抽出ステップの一例を模式的に示す図である。図13に示すように、画像生成ステップS40で生成されるABF画像I3には、連続信号を示す部分R1、R2、R3及び一時的な信号を示す部分R4に加えて、エコー信号を示す部分(対応部分)R5が含まれている場合がある。エコー抽出ステップS50では、当該ABF画像I3に含まれる対応部分R5をセマンティック・セグメンテーション技術等の手法により抽出する。エコー抽出ステップS50により、ABF画像I3から連続信号を示す部分R1、R2、R3及び一時的な信号を示す部分R4が除去され、エコー信号を示す対応部分R5のみが残った抽出画像I4が生成される。なお、検出信号にエコー信号が含まれない場合、生成される抽出画像I4には対応部分R5が残らない状態となる。この場合、捜索対象40なしと判定することができる。
【0060】
位置算出ステップS60は、エコー抽出ステップS50で生成された画像における対応部分R5の座標に基づいて、捜索対象40の位置を算出することができる。位置算出ステップS60では、例えば対応部分R5について、位置座標の重心又は平均を計算し、計算結果に対応する位置を捜索対象40の位置として算出することができる。このように、連続信号を検出する手法とは別個に、捜索対象40を直接検出することができる。
【0061】
以上説明したように、本開示において、第1態様に係る信号処理方法は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理方法であって、検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイ10に対して連続信号の到来角を推定する到来角推定ステップと、到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得するビーム信号取得ステップと、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイ10に対する捜索対象40の角度及び距離を算出する位置算出ステップとを含む。
【0062】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号を利用して捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【0063】
第2態様に係る信号処理方法は、第1態様に係る信号処理方法において、到来角推定ステップでは、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、当該スペクトルのピーク数に基づいて連続信号の抽出及び到来角の推定を行う。したがって、連続信号の抽出及び到来角の推定を精度よく行うことができる。
【0064】
第3態様に係る信号処理方法は、第1態様に係る信号処理方法において、到来角推定ステップでは、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成した画像に基づいて連続信号の抽出及び到来角の推定を行う。したがって、連続信号の抽出及び到来角の推定を精度よく行うことができる。
【0065】
第4態様に係る信号処理方法は、第1態様から第3態様に係る信号処理方法において、位置算出ステップでは、ビーム信号においてドップラー効果による周波数のずれの有無を検出し、検出結果に基づいてエコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定し、推定結果に基づいてセンサアレイ10から捜索対象40までの距離を算出する。したがって、センサアレイ10から捜索対象40までの距離を精度よく算出することができる。
【0066】
第5態様に係る信号処理方法は、第1態様から第4態様に係る信号処理方法において、位置算出ステップでは、ビーム信号のレベルの時間変化を検出し、検出結果に基づいてエコー信号がセンサアレイ10に到来した時刻を推定し、推定結果に基づいてセンサアレイ10から捜索対象40までの距離を算出する。したがって、センサアレイ10から捜索対象40までの距離を精度よく算出することができる。
【0067】
第6態様に係る信号処理方法は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理方法であって、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成する画像生成ステップと、生成された画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出するエコー抽出ステップと、画像における対応部分の座標に基づいて捜索対象40の位置を算出する位置算出ステップとを含む。
【0068】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号に基づいて画像を生成し、生成した画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出することで捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【0069】
第7態様に係る信号処理装置は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理装置100であって、検出信号に含まれる連続信号を抽出し、センサアレイ10に対して連続信号が到来する角度である到来角を推定し、到来角推定ステップで推定された推定到来角への感度を他の角度への感度よりも高く設定して適応ビームフォーミングを行うことで検出信号のビーム信号を取得し、ビーム信号に含まれる推定到来角のエコー信号を検出し、検出結果に基づいてセンサアレイ10に対する捜索対象40の角度及び距離を算出する、演算部20を備える。
【0070】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号を利用して捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【0071】
第8態様に係る信号処理装置は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される捜索対象40からの信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生する信号のエコー信号とを含む検出信号に基づいて、捜索対象40の位置を推定する信号処理装置100であって、検出信号についての所定周期のスペクトルを角度ごとに求め、スペクトルのレベルと角度との対応を示す画像を生成し、生成された画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出し、画像における対応部分の座標に基づいて捜索対象40の位置を算出する、演算部20を備える。
【0072】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号に基づいて画像を生成し、生成した画像からエコー信号に対応する対応部分を抽出することで捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【0073】
第9態様に係る信号処理方法は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生して捜索対象40から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、連続信号に重なるエコー信号を抽出し、抽出したエコー信号に基づいて捜索対象40の位置を算出する。
【0074】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号を利用して捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【0075】
本開示に係る信号処理装置は、複数の送受波素子11が並べられ指向性を有するセンサアレイ10により検出される信号であって、捜索対象40自身が発する連続信号と複数の送受波素子11から発生して捜索対象40から反射されるエコー信号とを含む検出信号から、連続信号に重なるエコー信号を抽出し、抽出したエコー信号に基づいて捜索対象40の位置を算出する、演算部20を備える。
【0076】
したがって、捜索対象40自身が発する連続信号を利用して捜索対象40の位置を推定することができる。これにより、例えば小型の捜索対象40や反射強度の低い捜索対象40であっても、精度よく位置を計測することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 センサアレイ
11 送受波素子
20 演算部
30 記憶部
40 捜索対象
100 信号処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13