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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184304
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 25/00 20060101AFI20231221BHJP
   D06F 33/50 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
D06F25/00 A
D06F33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098374
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】田口 智之
(72)【発明者】
【氏名】寺井 謙治
(72)【発明者】
【氏名】竹川 正訓
(72)【発明者】
【氏名】谷口 光徳
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA05
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE04
3B165AE07
3B165BA57
3B165BA83
3B165CA01
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB02
3B165CB12
3B165CB24
3B165CB31
3B165CC02
3B165EW01
3B165EW03
3B165EW05
3B165FA01
3B165GA12
3B167AA02
3B167AA05
3B167AB24
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA57
3B167BA83
3B167JA01
3B167JA11
3B167JA31
3B167JA41
3B167JA53
3B167LA08
3B167LA23
3B167LA38
3B167LC02
3B167LC14
(57)【要約】
【課題】簡易的な構造で乾燥機能を実現し、コストが減少した洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、内部空間に連通する筐体開口を有する筐体と、内部空間に設けられた水槽と、水槽に、回転軸の周りで回転可能に設けられた回転ドラムと、内部空間に連通して設けられ、乾燥用空気が取り入れられる吸気口と、吸気口から、水槽に設けられた吸気接続口へ、乾燥用空気を供給する吸気風路と、吸気風路に配置されたヒータと、筐体に形成され、乾燥用空気が排気される排気口と、水槽の外周に沿って設けられた排気接続口から、乾燥用空気を排気口へ、供給する排気風路と、を備え、筐体開口が開口する向きと、吸気口が開口する向きと、は異なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に連通する筐体開口を有する筐体と、
前記内部空間に設けられた水槽と、
前記水槽に、回転軸の周りで回転可能に設けられた回転ドラムと、
前記内部空間に連通して設けられ、乾燥用空気が取り入れられる吸気口と、
前記吸気口から、前記水槽に設けられた吸気接続口へ、前記乾燥用空気を供給する吸気風路と、
前記吸気風路に配置されたヒータと、
前記筐体に形成され、前記乾燥用空気が排気される排気口と、
前記水槽の外周に沿って設けられた排気接続口から、前記乾燥用空気を前記排気口へ、供給する排気風路と、を備え、
前記筐体開口が開口する向きと、前記吸気口が開口する向きと、は異なる、洗濯機。
【請求項2】
前記吸気口は、前記水槽の上方に形成され、
前記ヒータは、前記水槽の上方に配置される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記筐体は、前面に衣類投入用の投入口を有し、
前記筐体開口は、前記前面において前記投入口の上方に形成され、
前記吸気口は、後側に向かって開口している、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記吸気風路は、前記吸気口から前記吸気接続口に向かって、前側に延びる、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記ヒータは、前記吸気口に面している、請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記筐体は、前面に衣類投入用の投入口を有し、
前記筐体開口は、前記前面において前記投入口の上方に形成され、
前記投入口には、開閉可能な扉が設けられ、
前記扉は、前記投入口の外周に密着する扉パッキン部材を有し、
前記扉パッキン部材は、前記筐体開口と面して、前記筐体の外部と前記筐体開口とを連通させる通風路を形成する、請求項1記載の洗濯機。
【請求項7】
前記通風路は、湾曲している、請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記通風路は、前記筐体の外部に面した入口と、反対側の出口との間で延びて、
前記入口は、横方向に開口し、前記出口は、上方向に開口し、
前記筐体開口は、横方向に開口する、請求項7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記ヒータは、非絶縁タイプである、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記吸気風路または前記排気風路に配置される送風機構を有しない、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記回転ドラムの回転によって、前記吸気風路または前記排気風路に前記乾燥用空気の流れが発生する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項12】
脱水工程と、乾燥工程とを実行する制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記乾燥工程において、前記回転ドラムを第1回転方向に回転させて、前記脱水工程において、前記回転ドラムを前記第1回転方向と逆向きの第2回転方向に回転させる、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記制御部は、前記乾燥工程として、第1乾燥ステップと第2乾燥ステップとを実行し、
前記第1乾燥ステップと前記第2乾燥ステップとの間に、前記回転ドラムを前記第2回転方向に回転させるほぐしステップを有する、請求項12に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記回転軸の延在方向から見た正面視において、前記排気接続口は、前記回転軸を含む水平面より上方に、かつ前記第1回転方向から見て前記水槽の頂点より上流に形成され、
前記排気風路は、上方に延びる、請求項12に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記回転軸は、略水平に延びる、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項16】
前記吸気風路には、第1弁が設けられ、
前記排気風路には、前記第1弁と異なるタイプの第2弁が設けられ、
前記第1弁は逆止弁であって、前記第2弁はボール弁である、請求項1から15のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項17】
前記排気接続口は、前記回転軸に沿った第1辺と第2辺とを有し、
脱水工程の回転方向から見て、前記第1辺は前記第2辺の下流に設けられ、
前記第1辺から前記第2辺に向かって突出するリブを有する、請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、洗濯物を収容する洗濯槽と、ヒートポンプ装置と、送風ファンとを有する洗濯乾燥機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、ヒートポンプ装置と送風ファンとによって乾燥機能を実現する。洗濯槽とヒートポンプ装置とは循環風路によって接続される。ヒートポンプ装置によって加熱された空気は、送風ファンによって水槽とヒートポンプ装置との間を循環して洗濯物を乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-136075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乾燥機能を実現するためにヒートポンプ装置や送風ファンを設けることによって、洗濯機の構造が複雑になり、洗濯機のコストが上昇する。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、簡易的な構造で乾燥機能を実現し、洗濯機のコストを減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、内部空間に連通する筐体開口を有する筐体と、内部空間に設けられた水槽と、水槽に、回転軸の周りで回転可能に設けられた回転ドラムと、内部空間に連通して設けられ、乾燥用空気が取り入れられる吸気口と、吸気口から、水槽に設けられた吸気接続口へ、乾燥用空気を供給する吸気風路と、吸気風路に配置されたヒータと、筐体に形成され、乾燥用空気が排気される排気口と、水槽の外周に沿って設けられた排気接続口から、乾燥用空気を排気口へ、供給する排気風路と、を備え、筐体開口が開口する向きと、吸気口が開口する向きと、は異なる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡易的な構造で乾燥機能を実現し、コストが減少した洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示に係る実施の形態1の洗濯機の斜視図
図1B】本開示に係る実施の形態1の洗濯機の斜視図
図1C】洗濯機の上面図
図1D】洗濯機の断面図
図2】洗濯機の一部の斜視図
図3】幅方向から見た洗濯機の一部の断面図
図4】前側から見た洗濯機の一部の断面図
図5】吸気風路の斜視図
図6】吸気風路の断面図
図7】排気風路の斜視図
図8】排気風路の断面図
図9A】排気風路と水槽との接続を示す図
図9B】排気風路と水槽との接続を示す図
図10A】洗濯機の前面構造の分解図
図10B】洗濯機の前面構造の分解図
図11A】扉パッキン部材の拡大図
図11B】扉パッキン部材の拡大図
図12A】筐体の拡大図
図12B】筐体の拡大図
図13A】扉及び筐体の拡大断面図
図13B】通風路の拡大断面図
図14】洗濯機の乾燥工程のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機1について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1A及び図1Bは、本開示に係る実施の形態1の洗濯機1の斜視図である。図1Aは、閉鎖状態における洗濯機1の斜視図であって、図1Bは、開放状態における洗濯機1の斜視図である。図1Cは、洗濯機1の上面図である。図1Dは、洗濯機1の断面図である。図2は、洗濯機1の一部の斜視図である。
【0012】
図1Aから図1Dに示すように、洗濯機1は、筐体2と、水槽3(図1D)と、洗濯槽4(図1D)と、洗濯剤供給ユニット5と、乾燥風路6と、ヒータ11(図1C)と、制御部Cとを備える。
【0013】
<筐体>
図1A及び図1Bに示すように、筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。図1C及び図1Dに示すように、筐体2は、内部空間26を規定する。内部空間26には、水槽3と、洗濯槽4と、洗濯剤供給ユニット5と、乾燥風路6とが収容される。
【0014】
図1Bに示すように、筐体2の前面2Aには、水槽3に連通する開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0015】
<水槽>
図1Dに示すように、水槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜めるように一端が閉じた大略円筒状の部材である。水槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。水槽3は、開口20に面する位置に、底部36と対向する開口31を有する。水槽3は外槽と称されてもよい。
【0016】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、水槽3の内側において回転軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4は、例えば、モータによって回転駆動される。洗濯槽4は、開口20に面する位置に、洗濯物を投入するための開口41を有する。洗濯槽4は回転ドラムまたは内槽と称されてもよい。
【0017】
また、洗濯槽4には、水槽3に連通する多数の貫通孔(図示せず)が形成される。貫通孔は、水槽3と洗濯槽4との間で空気、水及び洗濯剤の移動を可能にする。
【0018】
回転軸V0は、略水平に延びる。本明細書において、「略水平に延びる」とは、水平から5°以内の傾斜を有する方向に延びることを意味する。回転軸V0に沿った水平方向を前後方向Mとして、回転軸V0に直交する水平方向を幅方向Kとする。前後方向Mは、開口41に向かう前側M1と開口41から離れる後側M2を有する。
【0019】
<洗濯剤供給ユニット>
図1C及び図1Dに示すように、洗濯剤供給ユニット5は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤等の洗濯処理剤を供給するユニットである。液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられる液剤である。液剤は、洗剤、柔軟剤、中性洗剤を含んでもよい。
【0020】
<乾燥風路>
図1C及び図2に示すように、乾燥風路6は、筐体2の内部空間26に設けられ、乾燥用空気を水槽3及び洗濯槽4に流すためのダクトである。乾燥風路6は、内部に乾燥用空気が通過する流路を形成する。乾燥風路6を通じて、乾燥用空気は筐体2の内部空間26から水槽3及び洗濯槽4に導入され、水槽3及び洗濯槽4から筐体2の外部に排出される(図2の矢印A)。
【0021】
乾燥風路6は、吸気風路7と排気風路8とに分割される。吸気風路7と排気風路8とは、水槽3及び洗濯槽4を介して互いに接続され、乾燥用空気は、順に吸気風路7、水槽3及び洗濯槽4、排気風路8を通過する。吸気風路7は筐体2の内部空間26と水槽3とを連通させて、水槽3に乾燥用空気を供給する。排気風路8は水槽3と筐体2の外部とを連通させて、水槽3から乾燥用空気を排出する。
【0022】
<ヒータ>
ヒータ11(図1C)は、吸気風路7の内部に設けられ、吸気風路7に流入する乾燥用空気を加熱する加熱手段である。実施の形態において、ヒータ11は、非絶縁タイプのヒータである。ヒータ11は、発熱部や発熱部を電源に電気的に接続する接続部を覆う絶縁カバーを有せず、簡単な構造を有する。ヒータ11は、例えば、ニクロム線ヒータである。
【0023】
<制御部>
図1A及び図1Bに示すように、制御部Cは、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部Cは、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0024】
ここで、筐体2の構造についてより詳細に説明する。図1Bに示すように、開口20の上部における筐体2の前面2Aには、筐体開口23が形成される。図1Dに示すように、筐体開口23は、筐体2の外部空間25と内部空間26とを連通させる。筐体開口23は、前側M1に向かって開口している。
【0025】
図1A図1B及び図1Dに示すように、扉21は、筐体開口23に面する位置に通風路24を形成する。通風路24は、扉21を貫通し、扉21を通じた空気の通過を可能にする。扉21が閉じた状態において、通風路24は筐体開口23と連通し、外部空間25からの空気は通風路24と筐体開口23とを順に通過して筐体2内に流入する。
【0026】
一方で、扉21が開いた状態において、通風路24と筐体開口23とは分離している。
【0027】
筐体2内に流入した空気の流れについて、図2及び図3を参照しながら説明する。図3は、幅方向Kから見た洗濯機1の一部の断面図である。
【0028】
図2に示すように、筐体2内に流入した乾燥用空気は、順に内部空間26、吸気風路7、水槽3、洗濯槽4、排気風路8を通過して、筐体2の外部空間25に排気される。乾燥用空気は筐体2を1つのパスで通過し、空気が筐体2を循環する場合と異なる。
【0029】
より具体的には、乾燥用空気は、筐体2の外部空間25から筐体開口23を通じて、水槽3の上方の内部空間26に流入する。内部空間26に流入した空気は、後側M2に流れてから、折り返すように曲がって吸気風路7に流入する。本明細書にて、「曲がった」とは、曲がる前の進行方向と曲がった後の進行方向とが少なくとも45°の角度を有して交差することを意味する。本実施の形態において、内部空間26に流入した空気は、180°曲がって吸気風路7に流入する。
【0030】
図3に示すように、吸気風路7における乾燥用空気は、ヒータ11によって加熱され、加熱された乾燥用空気は、吸気風路7から水槽3及び洗濯槽4に流入する。洗濯槽4において、乾燥用空気は、濡れた洗濯物と触れて洗濯物を乾燥する。
【0031】
洗濯槽4における乾燥用空気は、洗濯物から水分を奪った後、排気風路8を介して筐体2の外部空間25に排出される。
【0032】
ここで、乾燥用空気が通過する水槽3の構造についてより詳細に説明する。
【0033】
図3に示すように、水槽3の筒部34は、洗濯槽4を収容する収容部32と、収容部32の前側M1に位置する狭窄部33とを有する。狭窄部33は、開口31を形成し、開口31に向かって絞った形状を有する。そのため、狭窄部33は、収容部32より小さい半径を有する。
【0034】
収容部32には、外周に沿った排気接続口38が形成される。排気接続口38は、水槽3に排気風路8を連通させるための開口である。乾燥用空気は、水槽3から排気接続口38を介して排気風路8に流入する。
【0035】
狭窄部33には、外周に沿った吸気接続口37が形成される。吸気接続口37は、水槽3に吸気風路7を連通させるための開口である。乾燥用空気は、吸気風路7から吸気接続口37を介して水槽3に流入する。吸気接続口37は、排気接続口38より前側M1に形成される。
【0036】
このような構造によって、吸気接続口37と排気接続口38とは前後方向Mに離れている。そのため、水槽3(即ち洗濯槽4)を通過する乾燥用空気の経路を長くすることができ、乾燥用空気をより多くの洗濯物に当てやすくなる。
【0037】
加えて、吸気接続口37は排気接続口38より回転軸V0の近くに形成される。
【0038】
ここで、乾燥工程において空気の流れが発生する原理について、図4を参照しながら説明する。図4は、前側M1から見た洗濯機1の一部の断面図である。
【0039】
図4に示すように、洗濯槽4は、乾燥工程において、回転軸V0の周りで第1回転方向R1に回転する。
【0040】
洗濯槽4の回転数が所定値以上、例えば、550rpm以上であると、洗濯槽4内に第1回転方向R1に沿った旋回流が生じる。旋回流は、強制渦であってもよい。強制渦によって、洗濯槽4内に空気の速度分布が形成される。具体的には、回転軸V0から離れるほど、空気の速度が大きくなる。
【0041】
洗濯機1において、排気接続口38が吸気接続口37より回転軸V0から離れた位置に形成されているため、排気接続口38付近の空気は吸気接続口37付近の空気より高い速度を有する。そのため、空気が排気接続口38を通じて流出しやすい。
【0042】
空気が排気接続口38を通じて流出すると、洗濯槽4内が負圧の状態となる。負圧によって、空気が吸気接続口37を通じて洗濯槽4内に吸い込まれる。
【0043】
このような原理によって、ファンを有さない洗濯機1においても、洗濯槽4の回転によって強制渦を生じさせることで、乾燥風路6において圧力差が形成され、空気の流れが発生する。
【0044】
水槽3を正面から見ると、排気風路8は、水槽3の外周の右上部分から上方に延びる。排気風路8の下端は、排気接続口38に接続される。そのため、排気接続口38も水槽3の外周の右上部分に形成される。言い換えれば、排気接続口38は、乾燥工程における第1回転方向R1から見て、水槽3の頂点より上流における右上の扇形に形成される。
【0045】
排気接続口38の付近における空気の流れ(矢印C1)は、排気風路8が延びる向き(上方)と同じ向きの速度成分を有する。一方で、水槽3の左上の扇形における空気の流れ(矢印C2)は、排気風路8が延びる向きと逆向きの速度成分を有する。排気接続口38を右側に形成することによって、左側に形成する場合と比較して、洗濯槽4による遠心力を活かして、空気の流出を促進できる。
【0046】
続いて、図3図5及び図6を参照して、吸気風路7の構造について説明する。図5は、吸気風路7の斜視図である。図6は、吸気風路7の断面図である。
【0047】
図3に示すように、吸気風路7は、水槽3の外周に沿って斜め下方に延びる。
【0048】
図5に示すように、吸気風路7は、吸気口71から吸気出口79まで延びる。吸気口71は、水槽3の上方における内部空間26に形成され、吸気風路7に乾燥用空気を流入させるための開口である。吸気出口79は、吸気接続口37と連通する開口である。
【0049】
吸気口71は後側M2に向かって開口して、吸気風路7は吸気口71から前側M1に延びる。そのため、吸気風路7において、乾燥用空気は前側M1に流れる。図3に示すように、吸気口71を通過する方向(前向きM1)と、乾燥用空気が筐体開口23を通過する方向(後向きM2)とは逆向きである。また、吸気口71と筐体開口23とは互いから離隔している。そのため、乾燥用空気が吸気口71に流入するためには、乾燥用空気が筐体開口23と吸気口71との間の内部空間26において略180°曲がることを要する。
【0050】
吸気に関する開口の配置関係をまとめると、筐体開口23は吸気口71の前側M1に形成され、吸気口71は吸気出口79及び吸気接続口37の後側M2に形成される。
【0051】
図3及び図6に示すように、吸気風路7によって形成される流路には、ヒータ11が収容される。吸気口71が後側M2に向かって開口しているため、扉21を通過するように噴射された水や泡等の液体がヒータ11に当たることを抑制できる。さらに、筐体開口23を通過するリントやほこりもヒータ11に到達しにくくなる。そのため、吸気口71とヒータ11との間にフィルタを設けない場合においても、リントがヒータ11に付着することを抑制できる。
【0052】
ヒータ11は吸気口71に面して吸気風路7に収容される。この配置によって、ヒータ11を吸気接続口37から離すことができて、水槽3から逆流する泡及び水がヒータ11にかかりにくくなる。さらに、吸気口71が水槽3の上方に形成されるため、水槽3から水漏れが発生した異常状態においても水がヒータ11にかかりにくくなる。
【0053】
図6に示すように、吸気風路7によって形成される流路には、ヒータ11の下流に逆止弁75が設けられている。逆止弁75は、吸気風路7を通じた空気の流れを一方向に制限する構造である。逆止弁75は、吸気口71から吸気出口79に向かう空気の流れによって開放され、吸気出口79から吸気口71に向かう空気の流れによって閉じられる。このような構造によって、逆止弁75は、水槽3から吸気風路7を通じた水及び泡の逆流を抑制することができる。
【0054】
続いて、図3図7から図9Bを参照して、排気風路8の構造について説明する。図7は、排気風路8の斜視図である。図8は、排気風路8の断面図である。図9A及び図9Bは、排気風路8と水槽3との接続を示す図である。
【0055】
図3に示すように、排気風路8は水槽3から上方に延びる。
【0056】
図7に示すように、排気風路8は、屈曲した形状を有する。より具体的には、排気風路8は、水槽3(図3)から離れる順に接続部88と、第1屈曲部82と、蛇腹部84と、第2屈曲部83とを有する。接続部88は、水槽3に接続される部材であって、上方に延びる。第1屈曲部82は、排気風路8を上方向から横方向に曲げて、第2屈曲部83は、排気風路8を横方向から上方向に曲げる。蛇腹部84は、第1屈曲部82と第2屈曲部83とを横方向に接続する部材であって、振動を緩和する蛇腹構造である。屈曲部82、83によって、排気風路8を上方に延ばして、かつ空気の出口(後述の排気口81)を後側M2に配置することができる。蛇腹部84によって、水槽3の振動が筐体2に伝達することを抑制できる。
【0057】
排気風路8は、排気入口89から排気口81まで延びる。排気入口89は、排気接続口38と連通する開口である。排気口81は、筐体2から後側M2突出した状態で設けられ(図1C)、排気風路8から乾燥用空気を排出するための開口である。
【0058】
排気口81は上向きに開口している。そのため、乾燥用空気は、筐体2から上方に排出される。排出される空気は、ヒータ11によって加熱され、衣類から水分を奪っているため加湿された空気である。このような空気を上方に排出することによって、洗濯機1の周りの壁や他の設備に空気が当たることを抑制できる。
【0059】
排気口81は、幅方向K(図1C)に長い形状を有する。このような構造によって、洗濯機1の前後方向Mの寸法を小さくしつつ、より大きい排気量を確保できる。
【0060】
図8に示すように、排気風路8によって形成される流路には、弁85が収容される。弁85は、排気口81に向かう空気の通過を可能にしつつ、泡の通過を規制する構造である。
【0061】
弁85は、例えば、上下方向に移動可能なボール弁である。この場合、排気風路8は、弁85の上流において流路断面が狭くなった狭窄部85Aを形成する。弁85は、狭窄部85Aから離れた開放位置と、狭窄部85Aを塞ぐ閉鎖位置との間で昇降可能である。弁85は、通常、重力に応じて、開放位置に位置する。排気風路8に空気が流れる場合においては、空気の力が弁85を持ち上げるために必要な浮力より小さいため、弁85は開放位置に留まる。一方で、排気風路8に泡が進入した場合においては、泡が弁85を持ち上げて、弁85は閉鎖位置に上昇する。したがって、泡が排気口81に到達することを抑制できる。
【0062】
排気風路8においては、泡や水等の阻止したい流体の流れと、乾燥用空気の流れとが同じ向きである。吸気風路7において、泡や水等の阻止したい流体の流れと、乾燥用空気の流れとが逆向きである。そのため、弁85は、逆止弁75と異なるタイプの弁である。本実施の形態において、弁85はボール弁であって、逆止弁75はスイング式の逆止弁である。
【0063】
図9Aに示すように、洗濯槽4は乾燥工程において第1回転方向R1に回転する。
【0064】
図9A及び図9Bに示すように排気接続口38には、リブ86が形成される。リブ86は排気入口89の一部を塞ぐように、排気接続口38の一方の辺38Aから他方の辺38Bに向かって突出する。リブ86が突出する方向は第1回転方向R1と逆向きの第2回転方向R2である。リブ86の端部は、弁85の中央付近の下方に位置する。
【0065】
図9Aに示すように、リブ86によって、排気入口89を通過して上昇した泡Bが弁85のどこに当たるかを制限することができる。
【0066】
洗濯槽4が回転すると、泡Bは、第1回転方向R1に沿って移動する。そこで、リブ86が形成されていない場合、第1回転方向R1に沿って移動する泡Bの一部は、辺38Aに当たって、辺38Aから延びる排気風路8の側面に沿って上昇する。この場合、泡Bは、弁85の端に当たるため、弁85を充分に持ち上げられず、排気風路8の側面と弁85との間を抜けて、排気口81に到達するおそれがある。
【0067】
一方で、排気接続口38にリブ86が形成されている場合、泡Bは、リブ86に当たって、弁85の中央付近の下側から上昇し、弁85の中央に当たる。この場合、泡Bが弁85の外周付近に当たる場合と比較して、弁85が持ち上がりやすく、排気風路8が封止されやすい。したがって、泡Bが排気口81に到達することを抑制できる。
【0068】
排気風路8をこのように構成することによって、第1回転方向R1の回転によって空気が排気風路8に流入しやすい構造を採用しつつ、空気以外の流体の進入を抑制することができる。
【0069】
続いて、図10Aから図13Bを参照して、扉21の通風路24と筐体開口23との構造について説明する。図10A及び図10Bは洗濯機1の前面構造の分解図である。図11A及び図11Bは扉21の拡大図である。図12A及び図12Bは筐体2の拡大図である。図13Aは、扉21及び筐体2の拡大断面図である。図13Bは、通風路24の拡大断面図である。
【0070】
図10A及び図10Bに示すように、扉21は、扉本体27と扉パッキン部材28とを有する。扉本体27は、筐体2の開口20より大きく、全面にわたって開口20を覆う円盤状の部材である。扉パッキン部材28は、開口20の外周部にあたる前面2Aに、扉本体27を密着させる部材である。扉パッキン部材28は、樹脂で形成される。そのため、扉21の密封性を確保しつつ、洗濯機1の審美性を向上できる。
【0071】
扉本体27の上部には開口27Aが形成され、扉パッキン部材28の上部には通風路24が形成される。開口27Aは、通風路24を突出させるための開口である。通風路24は、扉パッキン部材28を貫通して、外部空間25の空気を筐体2の内部に導入するための流路を形成する。
【0072】
図11Aに示すように、扉パッキン部材28の前側M1の面(図10A)には通風路24の入口24Aが形成される。入口24Aは、前側M1に突出して、前後方向Mに開口している。
【0073】
図11Bに示すように、扉パッキン部材28の後側M2の面(図10B)には通風路24の出口24Bが形成される。出口24Bは、上向きに開口している。そのため、通風路24に流入する流体は、曲がって通風路24から流出する。
【0074】
出口24Bの周囲には、扉パッキン部材28の面から後側M2に突出する爪部24Cが形成される。爪部24Cは筐体2と係合する部材である。
【0075】
図10A及び図10Bに戻ると、筐体2の前面2Aには、通風路24と面する位置に筐体開口23が形成される。筐体開口23は横方向に開口している。
【0076】
図12A及び図12Bに示すように、筐体開口23の周囲には、複数の開口24Dが形成される。開口24Dは、筐体開口23とあわせて、爪部24Cと係合するための開口である。爪部24Cが開口24D及び筐体開口23と係合することによって、筐体2に対する扉21の位置決めをより確実に行い、筐体開口23と通風路24とを連通させることができる。
【0077】
図13Aに示すように、扉21が筐体2に係合されると、通風路24と筐体開口23とが連通する。筐体2の外部空間25の空気は、内部空間26における負圧によって、通風路24及び筐体開口23を通過して、内部空間26に流入する。図13Bに示すように、空気は、後側M2に流れて入口24Aを通過して(矢印A1)、曲がって上方向に流れて出口24Bを通過して(矢印A2)、さらに曲がって後側M2に流れて筐体開口23を通過する(矢印A3)。言い換えれば、通風路24と筐体開口23とはラビリンス構造を形成する。
【0078】
ラビリンス構造によって、空気の通過を可能にしつつ、水が扉21を通過することを抑制できる。具体的には、水が入口24Aを通過した場合においても、通風路24において曲がれず、水が筐体開口23に到達しにくくなっている。
【0079】
また、出口24B及び筐体開口23は入口24Aより高い位置に形成される。このような構造によって、水等の重い流体が入口24Aを通過した場合においても、上方の出口24B及び筐体開口23に到達しにくくなる。そのため、水は筐体開口23を通じて、ヒータ11にかかることを抑制できる。したがって、ヒータ11として、簡単な構造を有する非絶縁タイプのヒータを採用できる。
【0080】
(動作)
以上のような構成において、図14を参照しながら、洗濯機1の動作の一例について説明する。図14は洗濯機1の乾燥工程のシーケンス図である。
【0081】
洗濯機1の動作は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程とを備える。制御部Cは、各工程を逐次制御する。
【0082】
洗い工程では、洗濯槽4に洗濯物を入れて、洗濯槽4に水及び洗濯剤を供給して洗濯物を洗浄する。すすぎ工程では、洗濯槽4に給水し洗濯物をすすぐ。脱水工程では、水を水槽3から排出して、洗濯槽4を高速で回転させて洗濯物の脱水を行う。
【0083】
脱水工程における洗濯槽4の回転方向は一定であって、図9Aに示す第1回転方向R1と逆向きの第2回転方向R2である。即ち、脱水工程における洗濯槽4の回転方向は、流体が排気風路8に流入しにくい方向である。回転数は、400rpm以上1000rpm以下であってよく、望ましくは550rpmである。
【0084】
乾燥工程では、洗濯槽4を回転させながら、脱水された洗濯物に乾燥用空気を当てて乾燥させる。乾燥工程は、1つまたは複数の乾燥ステップと、ほぐしステップとを含む。
【0085】
<乾燥ステップ>
図14に示すように、制御部Cは、ユーザが選択したコースに応じた乾燥時間T1を取得する(S10)。乾燥時間T1は、例えば、30分、1時間、2時間のいずれかである。
【0086】
制御部Cは、洗濯槽4の回転を開始する(S11)。回転方向は第1回転方向R1である。
【0087】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の回転数を取得する(S12)。
【0088】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の回転数が既定値、例えば、550rpm以上か否かを判断する(S13)。回転数が550rpmを超えると、洗濯槽4において、乾燥用空気の流れが発生し、洗濯物の乾燥が可能な状況になる。
【0089】
回転数が550rpm以上の場合(S13でYes)、制御部Cは、ヒータ11をONにして、回転数を一定に維持する(S14)。これによって、吸気風路7に流入する乾燥用空気の加熱が可能になり、洗濯槽4の回転数のさらなる上昇を抑制する。
【0090】
回転数が550rpm未満の場合(S13でNo)、制御部Cは、ステップ12に戻る。
【0091】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4が回転しヒータがONの状態で、30分の待ち時間T2を開始する(S15)。
【0092】
待ち時間T2が経過すると、制御部Cは、ヒータ11をOFFにする(S16)。
【0093】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の回転を停止する(S17)。
【0094】
<ほぐしステップ>
続いて、制御部Cは、洗濯物のほぐしステップを実行する(S18)。待ち時間T2における回転によって、洗濯物は洗濯槽4の内壁に貼り付いている。そこで、洗濯槽4を逆方向に、即ち第2回転方向R2に回転させることで、洗濯物を内壁から剥がしてほぐすことができる。ほぐし工程における回転数は、乾燥ステップにおける回転数より低く、例えば、50rpmである。
【0095】
続いて制御部Cは、時間Tが乾燥時間T1より長いか否か判断する(S19)。時間Tが乾燥時間T1より長い場合(S19でYes)、制御部Cは乾燥工程を終了する。時間Tが乾燥時間T1より短い場合(S19でNo)、制御部Cはステップ11に戻って第2乾燥ステップを実行する。
【0096】
(まとめ)
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0097】
本実施の形態に係る洗濯機1は、乾燥用空気の循環風路を有する代わりに、外部空間25から連続的に空気を取り入れて排気する。そのため、外部空間25と吸気風路7とを連通させるように、筐体2に筐体開口23が設けられている。
【0098】
洗濯機1においては、吸気風路7の吸気口71と筐体開口23とが分離されて、それぞれを通過する空気の向きが逆になるように配置される。このような構成によって、筐体開口23と吸気口71との間で乾燥用空気が折り返すことを要する。このような構造によって、水がヒータ11に到達しにくくなる。ヒータ11が非絶縁タイプであっても、筐体開口23を通じて噴射された水や泡による感電のリスクが小さくなる。したがって、洗濯機1の安全性を確保しつつ、ヒータ11として非絶縁タイプのものを採用することができて、洗濯機1のコストを安くできる。
【0099】
また、洗濯機1の動作において、ステップ11で洗濯槽4を回転させることによって、洗濯槽4に旋回流を生じさせることができる。旋回流によって、乾燥風路6に乾燥用空気を流すことができる。そのため、洗濯機1の構成からファンを省略することができる。したがって、洗濯機1の構造を簡単にして、洗濯機1のコストをさらに安くできる。
【0100】
(効果)
実施形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0101】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、筐体2と、水槽3と、洗濯槽4(回転ドラム)と、吸気口71と、吸気風路7と、ヒータ11と、排気口81と、排気風路8と、を備える。筐体2と、内部空間26に連通する筐体開口23を有する。水槽3と、内部空間26に設けられる。洗濯槽4は、水槽3に、回転軸V0の周りで回転可能に設けられる。吸気口71は、内部空間26に連通して設けられ、乾燥用空気を取り入れる。吸気風路7は、吸気口71から、水槽3に設けられた吸気接続口37へ、乾燥用空気を供給する。ヒータ11は、吸気風路7に配置される。排気口81は、筐体2に形成され、乾燥用空気が排気される。排気風路8は、水槽3の外周に沿って設けられた排気接続口38から、乾燥用空気を排気口81へ、供給する。筐体開口23が開口する向き(前側M1)と、吸気口71が開口する向き(後側M2)と、は異なる。
【0102】
このような構成によって、筐体開口23を通過した水がヒータ11に届きにくくなる。非絶縁タイプであるヒータ11に対して、筐体開口23を通じて噴射された水や泡による感電のリスクが小さくなる。筐体開口23と吸気口71とが離隔されているため、筐体開口23から流入したリントがヒータ11に到達しにくくなる。そのため、吸気口71とヒータ11との間にフィルタを設けない場合においても、リントがヒータ11に付着することを抑制できる。さらに、フィルタを設けないことによって、乾燥風路6における乾燥用空気の圧力損失を抑制し、乾燥性能が向上する。
【0103】
また、本実施形態の洗濯機1において、吸気口71は、水槽3の上方に形成され、ヒータ11は、水槽3の上方に配置される。
【0104】
このような構成によって、水槽3からの水がヒータ11にかかりにくくなる。
【0105】
また、本実施形態の洗濯機1において、筐体2、は前面2Aに衣類投入用の開口20(投入口)を有し、筐体開口23は、前面2Aにおいて開口20の上方に形成される。吸気口71は、後側M2に向かって開口している。
【0106】
このような構成によって、乾燥用空気は筐体開口23を後側M2に通過して、吸気口71を前側M1に通過する。即ち、乾燥用空気は筐体開口23と吸気口71とを逆向きに通過する。そのため、筐体開口23を通過した乾燥用空気は折り返すように曲がって吸気口71に流入する。したがって、筐体開口23を通過した水がさらにヒータ11に届きにくくなる。
【0107】
また、本実施形態の洗濯機1において、吸気風路7は、吸気口71から吸気接続口37に向かって、前側M1に延びる。
【0108】
このような構成によって、排気接続口38を後側M2に設けることで、吸気接続口37を排気接続口38から離した構成が可能になる。洗濯槽4において、乾燥用空気の経路を長くすることで、乾燥効率を向上させることができる。
【0109】
また、本実施形態の洗濯機1において、ヒータ11は、吸気口71に面している。
【0110】
このような構成によって、前側M1に延びる吸気風路7において、ヒータ11を筐体開口23から離すことができる。
【0111】
また、本実施形態の洗濯機1において、筐体2は、前面2Aに衣類投入用の開口20を有する。筐体開口23は、前面2Aにおいて開口20の上方に形成される。開口20には、開閉可能な扉21が設けられている。扉21は、開口20の外周に密着する扉パッキン部材28を有する。扉パッキン部材28は、筐体開口23と面して、筐体2の外部と筐体開口23とを連通させる通風路24を形成する。
【0112】
このような構成によって、乾燥用空気が内部空間26に流入できる。また、開口20が扉パッキン部材28によってシールされているため、洗濯槽4の水が、開口20から流出して扉パッキン部材28の上部に設けられた通風路24に流入しにくくなっている。
【0113】
また、本実施形態の洗濯機1において、通風路24は、湾曲している。
【0114】
このような構成によって、乾燥用空気の流入を確保しつつ、水が通風路24を通過して内部空間26に進入することを抑制できる。
【0115】
また、本実施形態の洗濯機1において、通風路24は、筐体2の外部に面した入口24Aと、反対側の出口24Bとの間で延びて、入口24Aは横方向に開口し、出口24Bは上方向に開口する。筐体開口23は、横方向に開口する。
【0116】
このような構成によって、通風路24と筐体開口23とによって、ラビリンス構造を形成できる。そのため、水が通風路24を通過して内部空間26に進入することをさらに抑制できる。
【0117】
また、本実施形態の洗濯機1において、ヒータ11は、非絶縁タイプである。
【0118】
このような構成によって、安価なヒータを採用して、安価な洗濯機1を提供できる。
【0119】
また、本実施形態の洗濯機1において、吸気風路7または排気風路8に配置される送風機構を有しない。
【0120】
このような構成によって、ファン等の送風機構を省略して、安価な洗濯機1を提供できる。
【0121】
また、本実施形態の洗濯機1において、洗濯槽4の回転によって、吸気風路7または排気風路8に乾燥用空気の流れが発生する。
【0122】
このような構成によって、ファン等の送風機構を省略した洗濯機1においても、乾燥機能を確保できる。
【0123】
また、本実施形態の洗濯機1は、脱水工程と、乾燥工程とを実行する制御部Cをさらに有する。制御部Cは、乾燥工程において、洗濯槽4を第1回転方向R1に回転させて、脱水工程において、洗濯槽4を第1回転方向R1と逆向きの第2回転方向R2に回転させる。
【0124】
このような構成によって、乾燥工程において排気風路8からの排気を確保しつつ、脱水工程において排気風路8を通じた泡や水の流出を抑制できる。
【0125】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部Cは、乾燥工程として、第1乾燥ステップと第2乾燥ステップとを実行する。洗濯機1は、第1乾燥ステップと第2乾燥ステップとの間に、洗濯槽4を第2回転方向R2に回転させるほぐしステップを有する。
【0126】
このような構成によって、乾燥工程の途中で洗濯物をほぐすことができる。洗濯物においてシワの形成を抑制できる。
【0127】
また、本実施形態の洗濯機1において、回転軸V0の延在方向から見た正面視において、排気接続口38は、回転軸V0を含む水平面より上方に、かつ第1回転方向R1から見て水槽3の頂点より上流に形成される。排気風路8は、上方に延びる。
【0128】
このような構成によって、乾燥工程における洗濯槽4の回転によって生じる乾燥用空気の流れが、排気風路8に流入しやすくなる。また、脱水工程において生じる泡が、排気風路8に流入しにくくなる。
【0129】
また、本実施形態の洗濯機1において、回転軸V0は、略水平に延びる。
【0130】
このような構成によって、洗濯槽4を傾斜させた構造と比較して、筐体2の内部空間26において、洗濯槽4の上方のスペースが確保しやすくなる。そのため、洗濯槽4の上方のスペースを有効活用して、洗濯機1の省スペース化を実現できる。
【0131】
また、本実施形態の洗濯機1において、吸気風路7には、逆止弁75(第1弁)が設けられ、排気風路8には、逆止弁75と異なるタイプの弁85(第2弁)が設けられる。弁85はボール弁である。
【0132】
このような構成によって、逆止弁75は、空気の流れに対して逆流する泡を規制することができて、弁85は、空気と同じ方向に流れる泡を規制することができる。
【0133】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0134】
なお、実施の形態においては、脱水工程と乾燥工程との回転方向が逆である例について説明したが、これに限定されない。例えば、脱水工程と乾燥工程との回転方向が第1回転方向R1であってもよい。この場合、リブ86は、第1回転方向R1から見て、下流側の辺38A(第1辺)から上流側の辺38B(第2辺)に向かって突出する。また、脱水工程と乾燥工程との回転方向が第2回転方向R2であってもよい。この場合、リブ86は、第2回転方向R2から見て、下流側の辺38Bから上流側の辺38Aに向かって突出する。
【0135】
第1の態様における洗濯機は、内部空間に連通する筐体開口を有する筐体と、内部空間に設けられた水槽と、水槽に、回転軸の周りで回転可能に設けられた回転ドラムと、内部空間に連通して設けられ、乾燥用空気が取り入れられる吸気口と、吸気口から、水槽に設けられた吸気接続口へ、乾燥用空気を供給する吸気風路と、吸気風路に配置されたヒータと、筐体に形成され、乾燥用空気が排気される排気口と、水槽の外周に沿って設けられた排気接続口から、乾燥用空気を排気口へ、供給する排気風路と、を備え、筐体開口が開口する向きと、吸気口が開口する向きと、は異なる。
【0136】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、吸気口は、水槽の上方に形成され、ヒータは、水槽の上方に配置される。
【0137】
第3の態様における洗濯機として、第1または2の態様における洗濯機において、筐体は、前面に衣類投入用の投入口を有し、筐体開口は、前面において投入口の上方に形成され、吸気口は、後側に向かって開口している。
【0138】
第4の態様における洗濯機として、第3の態様における洗濯機において、吸気風路は、吸気口から吸気接続口に向かって、前側に延びる。
【0139】
第5の態様における洗濯機として、第4の態様における洗濯機において、ヒータは、吸気口に面している。
【0140】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、筐体は、前面に衣類投入用の投入口を有し、筐体開口は、前面において投入口の上方に形成され、投入口には、開閉可能な扉が設けられ、扉は、投入口の外周に密着する扉パッキン部材を有し、扉パッキン部材は、筐体開口と面して、筐体の外部と筐体開口とを連通させる通風路を形成する。
【0141】
第7の態様における洗濯機として、第6の態様における洗濯機において、通風路は、湾曲している。
【0142】
第8の態様における洗濯機として、第7の態様における洗濯機において、通風路は、筐体の外部に面した入口と、反対側の出口との間で延びて、入口は、横方向に開口し、出口は、上方向に開口し、筐体開口は、横方向に開口する。
【0143】
第9の態様における洗濯機として、第1から第8の態様のいずれかにおける洗濯機において、ヒータは、非絶縁タイプである。
【0144】
第10の態様における洗濯機として、第1から第9の態様のいずれかにおける洗濯機において、吸気風路または排気風路に配置される送風機構を有しない。
【0145】
第11の態様における洗濯機として、第1から第10の態様のいずれかにおける洗濯機において、回転ドラムの回転によって、吸気風路または排気風路に乾燥用空気の流れが発生する。
【0146】
第12の態様における洗濯機として、第1から第11の態様のいずれかにおける洗濯機において、脱水工程と、乾燥工程とを実行する制御部をさらに有し、制御部は、乾燥工程において、回転ドラムを第1回転方向に回転させて、脱水工程において、回転ドラムを第1回転方向と逆向きの第2回転方向に回転させる。
【0147】
第13の態様における洗濯機として、第12の態様における洗濯機において、制御部は、乾燥工程として、第1乾燥ステップと第2乾燥ステップとを実行し、第1乾燥ステップと第2乾燥ステップとの間に、回転ドラムを第2回転方向に回転させるほぐしステップを有する。
【0148】
第14の態様における洗濯機として、第12の態様における洗濯機において、回転軸の延在方向から見た正面視において、排気接続口は、回転軸を含む水平面より上方に、かつ第1回転方向から見て水槽の頂点より上流に形成され、排気風路は、上方に延びる。
【0149】
第15の態様における洗濯機として、第1から第14の態様のいずれかにおける洗濯機において、回転軸は略水平に延びる。
【0150】
第16の態様における洗濯機として、第1から第15の態様のいずれかにおける洗濯機において、吸気風路には、第1弁が設けられ、排気風路には、第1弁と異なるタイプの第2弁が設けられ、第1弁は逆止弁であって、第2弁はボール弁である。
【0151】
第17の態様における洗濯機として、第1から第16の態様のいずれかにおける洗濯機において、排気接続口は、回転軸に沿った第1辺と第2辺とを有し、脱水工程の回転方向から見て、第1辺は第2辺の下流に設けられ、第1辺から第2辺に向かって突出するリブを有する。
【0152】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本開示の洗濯機は、簡易的な構造で乾燥機能を実現できるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機または縦型洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0154】
1 洗濯機
2 筐体
3 水槽
4 洗濯槽
5 洗濯剤供給ユニット
6 乾燥風路
7 吸気風路
8 排気風路
11 ヒータ
20 開口
21 扉
23 筐体開口
24 通風路
26 内部空間
34 筒部
36 底部
37 吸気接続口
38 排気接続口
71 吸気口
75 逆止弁
81 排気口
85 弁
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14