(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184308
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/36 20200101AFI20231221BHJP
【FI】
D06F58/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098378
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】郡家 伶芽
(72)【発明者】
【氏名】谷口 光徳
(72)【発明者】
【氏名】竹川 正訓
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA12
3B167AB24
3B167AB29
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA13
3B167FB01
3B167HA16
3B167HA32
3B167JA41
3B167JB03
3B167JC22
3B167JC25
3B167KA32
3B167KA52
3B167KA63
3B167KA71
3B167KB01
3B167LA05
3B167LA22
3B167LA38
3B167LC02
3B167LC14
3B167LD03
3B167LE02
3B167LF01
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】安価な構造で安定した乾燥機能を発揮する衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る衣類処理装置は、筐体と、筐体内に設けられ、洗濯物を収容する収容槽と、収容槽に流入する空気が通過する経路と、経路に設けられ、通電により発熱する加熱手段と、加熱手段に通電可能な乾燥工程を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、乾燥工程において、入力電圧値を検知し、制御手段は、乾燥工程で実行される少なくとも1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値が第1電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間に決定し、入力電圧値が第1電圧値より高い第2電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間より短い第2ON時間に決定する。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、洗濯物を収容する収容槽と、
前記収容槽に流入する空気が通過する経路と、
前記経路に設けられ、通電により発熱する加熱手段と、
前記加熱手段に通電可能な乾燥工程を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記乾燥工程において、入力電圧値を検知し、
前記制御手段は、前記乾燥工程で実行される少なくとも1回の乾燥サイクルにおいて、前記入力電圧値が第1電圧値である場合に、前記加熱手段に通電するON時間を第1ON時間に決定し、前記入力電圧値が前記第1電圧値より高い第2電圧値である場合に、前記加熱手段に通電するON時間を前記第1ON時間より短い第2ON時間に決定する、衣類処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記乾燥工程において、前記乾燥サイクルを複数回実行し、
第1乾燥サイクルのON時間を、前記第1電圧値または前記第2電圧値に対応する第1入力電圧値に応じて決定し、
第2乾燥サイクルのON時間を、前記第1電圧値または前記第2電圧値に対応し、前記第1入力電圧値と異なるタイミングで検知した第2入力電圧値に応じて決定する、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1乾燥サイクルの開始の際に、前記第1入力電圧値を検知し、前記第2乾燥サイクルの開始の際に、前記第2入力電圧値を検知する、請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記ON時間の最小値はゼロである、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、前記ON時間の後に、前記加熱手段への通電を停止することをさらに実行する、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、前記入力電圧値が前記第1電圧値である場合に、前記加熱手段への通電を停止するOFF時間を第1OFF時間に決定し、前記入力電圧値が前記第2電圧値である場合に、前記加熱手段への通電を停止するOFF時間を前記第1OFF時間より長い第2OFF時間に決定する、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、前記ON時間と前記OFF時間とを決定すると、前記ON時間と前記OFF時間とが順に実行されるサブサイクルを少なくとも2回繰り返す、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記OFF時間の最小値はゼロである、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記第1ON時間と前記第1OFF時間との合計は、前記第2ON時間と前記第2OFF時間との合計に等しい、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記収容槽を回転させるモータをさらに備え、
前記制御手段は、前記加熱手段への通電および前記モータを停止させた状態で、前記入力電圧値を検知する、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項11】
前記経路を通過する乾燥用空気の温度を検知する温度検知手段を備えない、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項12】
前記加熱手段は、固定抵抗として設けられた電熱線である、請求項1から11のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気を加熱する加熱手段を備えた衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、空気を加熱する加熱手段を有する衣類処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された衣類処理装置は、洗濯物を収容する洗濯槽と、空気を加熱する加熱手段と、加熱空気を洗濯槽内に循環させる送風手段と、加熱空気の温度を検知する温度検知手段と、加熱手段を制御する制御手段とを有する。制御手段は、温度検知手段により検知した温度に応じて、加熱手段の状態をONまたはOFFとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、安価な構成で加熱手段を制御して、安定した乾燥機能を有する衣類処理装置が一般的に求められている。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、安価な構成で安定した乾燥機能を発揮する衣類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の衣類処理装置は、筐体と、筐体内に設けられ、洗濯物を収容する収容槽と、収容槽に流入する空気が通過する経路と、経路に設けられ、通電により発熱する加熱手段と、加熱手段に通電可能な乾燥工程を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、乾燥工程において、入力電圧値を検知し、制御手段は、乾燥工程で実行される少なくとも1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値が第1電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間に決定し、入力電圧値が第1電圧値より高い第2電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間より短い第2ON時間に決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、安価な構成で安定した乾燥機能を発揮する衣類処理装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示に係る実施の形態1の洗濯機の斜視図
【
図1B】本開示に係る実施の形態1の洗濯機の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、衣類処理装置は、空気を加熱する加熱手段と、空気の温度を検知する温度検知手段と、制御手段とを備えていた。制御手段は、温度検知手段が検知した空気の温度に基づいて、加熱手段の制御を行っていた。しかし、衣類処理装置に温度検知手段を搭載することで、衣類処理装置のコストが高くなっていた。そこで、発明者らは、温度検知手段を搭載せずに加熱手段の制御を行う衣類処理装置を開発するに至った。
【0011】
また、住宅等に供給される外部電圧が不安定な地域においては、加熱手段に供給される電圧値が大きく変動する虞がある。この場合、衣類処理装置によって安定した乾燥機能を提供することが困難となる。さらに、電圧値が高いと、加熱手段に設けられている安全装置が作動する。安全装置が繰り返し作動すると、加熱手段が故障する虞がある。一方で、安全装置を省略すると、衣類処理装置の安全性の確保が困難となる。以上の課題を発明者らは発見し、これらの課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
そこで本開示は、空気の温度に代わって、入力電圧値に基づいて加熱手段を制御することで、コストアップを抑制しつつ、乾燥機能の安定性及び安全性が向上した衣類処理装置を提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態)
本開示の実施の形態に係る衣類処理装置について説明する。実施の形態では、衣類処理装置の例として、洗濯機能及び乾燥機能を有する洗濯機1について説明する。
【0016】
[全体構成]
図1A及び
図1Bは、本開示に係る実施の形態1の洗濯機1の斜視図である。
図1Aは、閉鎖状態における洗濯機1の斜視図であって、
図1Bは、開放状態における洗濯機1の斜視図である。
図1Cは、洗濯機1の上面図である。
図1Dは、洗濯機1の断面図である。
図2は、洗濯機1の一部の斜視図である。
【0017】
図1Aから
図1Dに示すように、洗濯機1は、筐体2と、水槽3(
図1D)と、洗濯槽4(
図1D)と、洗濯剤供給ユニット5と、乾燥風路6と、ヒータ11(
図1C)と、制御手段Cとを備える。
【0018】
<筐体>
図1A及び
図1Bに示すように、筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。
図1C及び
図1Dに示すように、筐体2は、内部空間26を規定する。内部空間26には、水槽3と、洗濯槽4と、洗濯剤供給ユニット5と、乾燥風路6とが収容される。
【0019】
図1Bに示すように、筐体2の前面2Aには、水槽3に連通する開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21と、操作表示部29とが設けられている。操作表示部29は、ユーザが洗濯機1を操作するための機構であって、例えば、操作用のボタンまたはスライドバーである。また、操作表示部29は、タッチパネルであってもよい。ユーザは、操作表示部29を通じて、洗濯コースや乾燥時間等を選択できる。
【0020】
<水槽>
図1Dに示すように、水槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜めるように一端が閉じた大略円筒状の部材である。水槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。水槽3は、開口20に面する位置に、底部36と対向する開口31を有する。水槽3は外槽と称されてもよい。
【0021】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、水槽3の内側において回転軸R0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4は、例えば、モータ42(
図1D)によって回転駆動される。洗濯槽4は、開口20に面する位置に、洗濯物を投入するための開口41を有する。洗濯槽4は収容槽、回転ドラムまたは内槽と称されてもよい。
【0022】
また、洗濯槽4には、水槽3に連通する多数の貫通孔(図示せず)が形成される。貫通孔は、水槽3と洗濯槽4との間で空気、水及び洗濯剤の移動を可能にする。
【0023】
回転軸R0は、略水平に延びる。本明細書において、「略水平に延びる」とは、水平から5°以内の傾斜を有する方向に延びることを意味する。回転軸R0に沿った水平方向を前後方向Mとして、回転軸R0に直交する水平方向を幅方向Kとする。前後方向Mは、開口41に向かう前側M1と開口41から離れる後側M2を有する。
【0024】
<洗濯剤供給ユニット>
図1C及び
図1Dに示すように、洗濯剤供給ユニット5は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤等の洗濯処理剤を供給するユニットである。液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられる液剤である。液剤は、洗剤、柔軟剤、中性洗剤を含んでもよい。
【0025】
<乾燥風路>
図1C及び
図2に示すように、乾燥風路6は、筐体2の内部空間26に設けられ、乾燥用空気を水槽3及び洗濯槽4に流すためのダクトである。乾燥風路6は、内部に乾燥用空気が通過する流路を形成する。乾燥風路6を通じて、乾燥用空気は筐体2の内部空間26から水槽3及び洗濯槽4に導入され、水槽3及び洗濯槽4から筐体2の外部に排出される(
図2の矢印A)。
【0026】
乾燥風路6は、吸気風路7と排気風路8とに分割される。吸気風路7と排気風路8とは、水槽3及び洗濯槽4を介して互いに接続され、乾燥用空気は、順に吸気風路7、水槽3及び洗濯槽4、排気風路8を通過する。吸気風路7は筐体2の内部空間26と水槽3とを連通させて、水槽3に乾燥用空気を供給する。排気風路8は水槽3と筐体2の外部とを連通させて、水槽3から乾燥用空気を排出する。
【0027】
<ヒータ>
ヒータ11(
図1C)は、吸気風路7の内部に設けられ、吸気風路7に流入する乾燥用空気を加熱する加熱手段である。ヒータ11は、固定抵抗として設けられている電熱線を備える。電熱線に電圧が印加されることによって、ヒータ11は発熱し、空気が加熱される。電熱線は固定抵抗であるため、入力電圧値に応じて、ヒータ11の出力パワーが変化する。後述する制御手段Cによってヒータ11への出力のON/OFFを制御して、ヒータ11への通電時間を制御することで、ヒータ11の消費電力量や加熱量を調整できる。ヒータ11は、例えば、ニクロム線ヒータである。
【0028】
さらに、ヒータ11は、非絶縁タイプのヒータである。即ち、ヒータ11は、電熱線や電源に接続するコネクタを覆う絶縁カバーを有せず、簡単な構造を有する。
【0029】
<制御手段>
図1A及び
図1Bに示すように、制御手段Cは、洗濯機1の運転を制御する部材である。
【0030】
図3は、制御手段Cと関連部品とのブロック図である。
図3に示すように、制御手段Cは、制御部10と電圧検知部12とを有する。
【0031】
制御部10は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。電圧検知部12は、洗濯機1に印加される入力電圧値を検知する回路である。具体的には、電圧検知部12は、入力電圧値を検知する機能を有するマイクロコントローラを備える。マイクロコントローラは従来から存在するものである。電圧検知部12は、検知した入力電圧値を制御部10に伝達する。
【0032】
制御手段Cは、操作表示部29と、洗濯槽4を駆動するモータ42と、ヒータ11とに電気的に接続される。制御手段Cは、操作表示部29に入力された情報や電圧検知部12によって取得された入力電圧値に応じて、モータ42及びヒータ11を制御する。
【0033】
なお、以下において、ヒータ11がONの状態とは、制御手段Cがヒータ11に通電を実行している状態を指す(制御手段Cの出力がON)。ヒータ11がOFFの状態、および、ヒータ11が停止している状態とは、制御手段Cがヒータ11に通電を停止している状態を指す(制御手段Cの出力がOFF)。制御手段Cは、出力のON/OFFを切り替える回路構成であるリレーを有する。リレーの動作を、制御手段Cの動作(出力のON/OFFの切替)として説明する。
【0034】
ここで、筐体2の構造についてより詳細に説明する。
図1Bに示すように、開口20の上部における筐体2の前面2Aには、筐体開口23が形成される。
図1Dに示すように、筐体開口23は、筐体2の外部空間25と内部空間26とを連通させる。筐体開口23は、前側M1に向かって開口している。
【0035】
図1A、
図1B及び
図1Dに示すように、扉21は、筐体開口23に面する位置に通風路24を形成する。通風路24は、扉21を貫通し、扉21を通じた空気の通過を可能にする。扉21が閉じた状態において、通風路24は筐体開口23と連通し、外部空間25からの空気は通風路24と筐体開口23とを順に通過して筐体2内に流入する。
【0036】
一方で、扉21が開いた状態において、通風路24と筐体開口23とは分離している。
【0037】
筐体2内に流入した空気の流れについて、
図2及び
図4を参照しながら説明する。
図4は、幅方向Kから見た洗濯機1の一部の断面図である。
【0038】
図2に示すように、筐体2内に流入した乾燥用空気は、順に内部空間26、吸気風路7、水槽3、洗濯槽4、排気風路8を通過して、筐体2の外部空間25に排気される。乾燥用空気は筐体2を1つのパスで通過し、空気が筐体2を循環する場合と異なる。
【0039】
より具体的には、乾燥用空気は、筐体2の外部空間25から筐体開口23を通じて、水槽3の上方の内部空間26に流入する。内部空間26に流入した空気は、後側M2に流れてから、折り返すように曲がって吸気風路7に流入する。本明細書にて、「曲がった」とは、曲がる前の進行方向と曲がった後の進行方向とが少なくとも45°の角度を有して交差することを意味する。本実施の形態において、内部空間26に流入した空気は、180°曲がって吸気風路7に流入する。
【0040】
図4に示すように、吸気風路7における乾燥用空気は、ヒータ11によって加熱され、加熱された乾燥用空気は、吸気風路7から水槽3及び洗濯槽4に流入する。洗濯槽4において、乾燥用空気は、濡れた洗濯物と触れて洗濯物を乾燥する。
【0041】
洗濯槽4における乾燥用空気は、洗濯物から水分を奪った後、排気風路8を介して筐体2の外部空間25に排出される。
【0042】
ここで、乾燥用空気が通過する水槽3の構造についてより詳細に説明する。
【0043】
図4に示すように、水槽3の筒部34は、洗濯槽4を収容する収容部32と、収容部32の前側M1に位置する狭窄部33とを有する。狭窄部33は、開口31を形成し、開口31に向かって絞った形状を有する。そのため、狭窄部33は、収容部32より小さい半径を有する。
【0044】
収容部32には、外周に沿った排気接続口38が形成される。排気接続口38は、水槽3に排気風路8を連通させるための開口である。乾燥用空気は、水槽3から排気接続口38を介して排気風路8に流入する。
【0045】
狭窄部33には、外周に沿った吸気接続口37が形成される。吸気接続口37は、水槽3に吸気風路7を連通させるための開口である。乾燥用空気は、吸気風路7から吸気接続口37を介して水槽3に流入する。吸気接続口37は、排気接続口38より前側M1に形成される。
【0046】
このような構造によって、吸気接続口37と排気接続口38とは前後方向Mに離れている。そのため、水槽3(即ち洗濯槽4)を通過する乾燥用空気の経路を長くすることができ、乾燥用空気をより多くの洗濯物に当てやすくなる。
【0047】
加えて、吸気接続口37は排気接続口38より回転軸R0の近くに形成される。
【0048】
ここで、乾燥工程において空気の流れが発生する原理について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、前側M1から見た洗濯機1の一部の断面図である。
【0049】
図5に示すように、洗濯槽4は、乾燥工程において、回転軸R0の周りで第1回転方向R1に回転する。
【0050】
洗濯槽4の回転数が所定値以上、例えば、550rpm以上であると、洗濯槽4内に第1回転方向R1に沿った旋回流が生じる。旋回流は、強制渦であってもよい。強制渦によって、洗濯槽4内に空気の速度分布が形成される。具体的には、回転軸R0から離れるほど、空気の速度が大きくなる。
【0051】
洗濯機1において、排気接続口38が吸気接続口37より回転軸R0から離れた位置に形成されているため、排気接続口38付近の空気は吸気接続口37付近の空気より高い速度を有する。そのため、空気が排気接続口38を通じて流出しやすい。
【0052】
空気が排気接続口38を通じて流出すると、洗濯槽4内が負圧の状態となる。負圧によって、空気が吸気接続口37を通じて洗濯槽4内に吸い込まれる。
【0053】
このような原理によって、ファンを有さない洗濯機1においても、洗濯槽4の回転によって強制渦を生じさせることで、乾燥風路6において圧力差が形成され、空気の流れが発生する。
【0054】
(動作)
以上のような構成において、洗濯機1の動作の一例について説明する。洗濯機1の動作の一例として、洗濯機1のユーザによって乾燥工程が選択された場合の動作について説明する。
【0055】
乾燥工程では、洗濯槽4を回転させながら、脱水された洗濯物に乾燥用空気を当てて乾燥させる。
図6Aから
図6Cを参照しながら、乾燥工程の一例についてより詳細に説明する。
図6Aから
図6Cはそれぞれ洗濯機1の乾燥工程のシーケンス図である。
【0056】
図6Aに示すように、まず、制御手段Cは、ユーザが選択したコースに応じた乾燥時間T1を取得する(S11)。乾燥時間T1は、2時間である。また、乾燥時間T1は、コースの種類に応じて、例えば、30分または1時間等の異なる時間であってもよい。
【0057】
続いて、制御部10は、乾燥サイクルを実行する(S12~S23)。乾燥時間T1が2時間である場合、制御部10は6回の乾燥サイクルを実行する。制御部10は、乾燥時間T1に応じて、1回または複数回の乾燥サイクルを実行してもよい。
【0058】
1回の乾燥サイクルは、ステップ12からステップ23を含むものであって、1回の電圧検知(S12)と、乾燥用空気を流しながらヒータ11のON/OFFを繰り返す複数回の加熱サブサイクル(S18~S20)とを含む。
【0059】
乾燥サイクルにおいて、まず、電圧検知部12は、電圧検知を行い、入力電圧値V0を取得する(S11)。
【0060】
具体的には、電圧検知部12は、スキャンタイミング(例えば、100ms)ごとに取得した電圧値の2回平均を確定電圧値として、3s間の確定電圧値の平均である検知電圧値Vdを取得する。電圧検知部12は、検知電圧値Vdを入力電圧値V0としてもよい。また、電圧検知部12は、洗濯機1の出荷時に定められた既定の補正値Vcによって検知電圧値Vdを補正して、補正後の値を入力電圧値V0としてもよい。
【0061】
電圧検知は、ヒータ11及びモータ42がOFFの状態、即ち、ヒータ11及びモータ42が停止している状態で行われる。ヒータ11やモータ42が動作すると、入力電圧値V0は数10Vの範囲で変動する。ヒータ11及びモータ42が停止している状態電圧検知を行うことで、ヒータ11やモータ42による電圧の変動を抑制して、電圧検知部12は正確な入力電圧値V0を検知できる。
【0062】
1回目の乾燥サイクルにおいては、入力電圧値V0の取得後に、制御手段Cのリレーチェックを行ってもよい。これにより、加熱開始前にリレーが正常に動作をするか確認することができる。
【0063】
続いて、制御部10は、モータ42をONにして、洗濯槽4の回転を開始する(S13)。回転方向は第1回転方向R1である。
【0064】
続いて、制御部10は、洗濯槽4の回転数を取得する(S14)。
【0065】
続いて、制御部10は、洗濯槽4の回転数が所定値以上か否かを判断する(S15)。所定値は、400rpm以上、1400rpm以下であってもよく、望ましくは550rpmである。回転数が所定値を超えると、洗濯槽4において乾燥用空気の流れが発生し、洗濯物の乾燥が可能な状況になる。
【0066】
回転数が550rpm未満の場合(S15でNo)、制御部10は、ステップ14に戻る。
【0067】
回転数が550rpm以上の場合(S15でYes)、制御部10は、ステップ16を実行する。
【0068】
図6Bに示すように、続いて、制御部10は、入力電圧値V0が属する電圧範囲VR1~VR5を決定する(S16)。
【0069】
続いて、制御部10は、入力電圧値V0が属する電圧範囲VR1~VR5に応じて、加熱サブサイクルにおけるヒータ11のON時間及びOFF時間を決定する(S171~S175)。
【0070】
ここで、ON時間とは、ヒータ11に通電してヒータ11をONにして、ヒータ11が発熱する時間である。ヒータ11が発熱することで、洗濯槽4の回転によって乾燥風路6を流れる乾燥用空気を加熱できる。OFF時間とは、ヒータ11への通電を停止してヒータ11をOFFにして、ヒータ11が冷却する時間である。加熱サブサイクル(S18~S20)では、所定時間(後続の加熱時間Th)に到達するまで、ON時間とOFF時間とを交互に繰り返して実行する。
【0071】
具体的には、入力電圧値V0が第1閾値V1以下である場合(電圧範囲VR1に属する場合)、制御部10は、ヒータ11のON時間を102s、OFF時間を0sに決定する(S171)。入力電圧値V0が第1閾値V1より大きく、第2閾値V2以下である場合(電圧範囲VR2に属する場合)、制御部10は、ヒータ11のON時間を93s、OFF時間を9sに決定する(S172)。入力電圧値V0が第2閾値V2より大きく、第3閾値V3以下である場合(電圧範囲VR3に属する場合)、制御部10は、ヒータ11のON時間を85s、OFF時間を17sに決定する(S173)。入力電圧値V0が第3閾値V3より大きく、第4閾値V4以下である場合(電圧範囲VR4に属する場合)、制御部10は、ヒータ11のON時間を70s、OFF時間を32sに決定する(S174)。入力電圧値V0が第4閾値V4より大きい場合(電圧範囲VR5に属する場合)、制御部10は、ヒータ11のON時間を0s、OFF時間を102sに決定する(S175)。
【0072】
本実施の形態においては、第1閾値V1は225V、第2閾値V2は235V、第3閾値V3は245V、第4閾値V4は265Vである。それぞれの閾値V1~V4は、洗濯機1が配置される地域によって変更されてもよい。
【0073】
ここで、ON時間とOFF時間との合計をサブサイクル時間Tcとすると、それぞれの電圧範囲VR1~VR5において、サブサイクル時間Tcは一定である。本実施の形態においては、サブサイクル時間Tcは102sである。制御部10は、入力電圧値V0に応じて、ON時間を決定して、サブサイクル時間TcからON時間を引いた時間をOFF時間と決定してもよい。
【0074】
続いて、制御部10は、ON時間の間でヒータ11に通電して、ヒータ11をONにして動作させる(S18)。ON時間が入力電圧値V0応じて決定されることで、1サイクル当たりの消費電力量を略一定に維持することができる。例えば、1回のON時間において、入力電圧値V0によらず、消費電力量は30kWs±5kWsである。このような動作によって、入力電圧値V0が変動する環境においても、洗濯機1において安定した乾燥機能を得ることができる。また、入力電圧値V0が異常に高い場合においても、ON時間をゼロにすることで、洗濯機1の安全性を向上させることができる。
【0075】
続いて、制御部10は、OFF時間の間でヒータ11への通電を停止して、ヒータ11をOFFにして、動作を停止させる(S19)。
【0076】
続いて、制御部10は、ステップ16を開始してから経過した時間が加熱時間Thより長いか否か判断する(S20)。加熱時間Thは、例えば、20分である。
【0077】
図6Cに示すように、時間が加熱時間Thより長い場合(S20でYes)、制御部10はヒータ11をOFFにする(S21)。
【0078】
時間が加熱時間Thより短い場合(S20でNo)、制御部10はステップ18に戻る。即ち、制御部10は、1回の乾燥サイクル内で、加熱時間Thに到達するまで、ヒータ11のON時間とOFF時間とを交互に繰り返して加熱サブサイクルを実行する。ヒータ11のON/OFFを繰り返すことで、ヒータ11の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0079】
続いて、制御部10は、ヒータ11をOFFにした状態で30s回転を継続した後に、モータ42をOFFにして、洗濯槽4の回転を停止する(S22)。このような動作によって、ヒータ11を冷却する時間を確保することができる。また、モータ42をヒータ11の後に停止することによって、順番が逆の場合と比較して、ヒータ11に供給される電圧が急に大きくなることを抑制し、ヒータ11の温度が上昇することを抑制できる。
【0080】
また、ステップ21とステップ22との間において、ヒータ11への通電は停止されるが、ステップ21とステップ22との間の停止時間はOFF時間と異なり、入力電圧値V0にかかわらず一定である。
【0081】
続いて、制御部10は、ステップ10を開始してから経過した時間が乾燥時間T1より長いか否か判断する(S23)。
【0082】
時間が乾燥時間T1より長い場合(S23でYes)、制御部10は乾燥工程を終了する。
【0083】
時間Tが乾燥時間T1より短い場合(S23でNo)、制御部10はステップ11に戻って第2乾燥サイクルを実行する。第1乾燥サイクルと第2乾燥サイクルとの間で、供給電圧が変動すると、第1乾燥サイクルにおける入力電圧値V0と、第2乾燥サイクルにおける入力電圧値V20とは異なる。第1乾燥サイクルのON時間、OFF時間を第1ON時間、第1OFF時間として、第2乾燥サイクルのON時間、OFF時間を第2ON時間、第2OFF時間とすると、第1ON時間と第2ON時間とは異なり、第1OFF時間と第2OFF時間とは異なる。
【0084】
制御部10は、乾燥サイクルを6回実行した後、動作を終了する。
【0085】
(まとめ)
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0086】
洗濯機1は、温度検知手段の代わりに、ヒータ11に印加される入力電圧値V0を検知する電圧検知部12を有する。制御部10は、ヒータ11への入力電圧値V0に応じて、ヒータ11をONにするON時間と、OFFにするOFF時間とを決定する。入力電圧値V0が低いと、ON時間を長く、OFF時間を短くし、ヒータ11による充分な加熱を確保する。一方で、入力電圧値V0が高いと、ON時間を短く、OFF時間を長くし、ヒータ11の温度の過度な上昇を抑制し、OFF時間でヒータ11が冷却される時間を確保する。
【0087】
温度検知手段の代わりに電圧検知部12を採用することで、まず、洗濯機1のコストを抑えることができる。また、このような構成によって、供給電圧が変動する状態においても、入力電圧値V0に応じてヒータ11のON/OFFを制御して、洗濯機1の乾燥機能を安定化させることができる。より具体的には、各乾燥サイクルの開始の際に入力電圧値V0を検知することで、1日の間で供給電圧は±10V変動する地域においても、洗濯機1の乾燥機能を安定化させることができる。さらに、供給電圧が異常に高くなった異常状態においても、ヒータ11の温度が過剰に上昇することを抑制し、洗濯機1の安全性を向上させることができる。
【0088】
(効果)
実施形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0089】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、筐体2と、筐体2内に設けられ、洗濯物を収容する洗濯槽4(収容槽)と、洗濯槽4に流入する空気が通過する乾燥風路6(経路)と、乾燥風路6に設けられるヒータ11(加熱手段)と、制御手段Cと、備える。ヒータ11は通電により発熱する。制御手段Cは、ヒータ11に通電可能な乾燥工程を制御し、乾燥工程において、入力電圧値V0を検知する。乾燥工程では、少なくとも1回の乾燥サイクルが実行される。制御手段Cは、1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値V0が第1閾値V1(第1電圧値)である場合に、ヒータ11に通電するON時間を第1ON時間に決定する。制御手段Cは、入力電圧値V0が第1閾値V1より高い第2閾値V2(第2電圧値)である場合に、ヒータ11に通電するON時間を第1ON時間より短い第2ON時間に決定する。
【0090】
このような構成によって、制御手段として、温度検知部の代わりに電圧検知部12を備えることで、洗濯機1のコストを抑えることができる。また、入力電圧値V0に応じてON時間を調整することで、入力電圧値V0が変動する場合においても、ヒータ11による加熱機能を制御できる。そのため、安定した乾燥性能を提供できる。さらに、入力電圧値V0が高い場合において、ON時間を短くすることで、ヒータ11の温度が過剰に高くなることを抑制し、ヒータ11の安全性を向上できる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御手段Cは、乾燥工程において、乾燥サイクルを複数回実行する。制御手段Cは、第1乾燥サイクルのON時間を、第1閾値V1または第2閾値V2に対応する入力電圧値V0(第1入力電圧値)に応じて決定する。制御手段Cは、第2乾燥サイクルのON時間を、第1閾値V1または第2閾値V2に対応し、第1入力電圧値と異なるタイミングで検知した入力電圧値V20(第2入力電圧値)に応じて決定する。
【0092】
このような構成によって、乾燥サイクル毎の入力電圧値V0に応じて、ヒータ11のON時間を調整することができる。そのため、電圧の変動する地域でも、ヒータ11による加熱機能を維持できる。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御手段Cは、第1乾燥サイクルの開始の際に、入力電圧値V0を検知し、第2乾燥サイクルの開始の際に、入力電圧値V20を検知する。
【0094】
このような構成によって、乾燥サイクルの開始の際の入力電圧値V0に応じて、ヒータ11のON時間を調整することができる。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1において、ON時間の最小値はゼロである。
【0096】
このような構成によって、ON時間をゼロにすることで、ヒータ11のさらなる加熱を抑制できる。そのため、高温時に動作するサーモスタットや温度ヒューズの動作を抑制できる。
【0097】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御手段Cは、1回の乾燥サイクルにおいて、ON時間の後に、ヒータ11への通電を停止することをさらに実行する。
【0098】
このような構成によって、ヒータ11への加熱を停止するステップ(S19、S21)を設けることで、ヒータ11の冷却時間を確保できる。
【0099】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御手段Cは、1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値V0が第1閾値V1である場合に、加熱手段への通電を停止するOFF時間を第1OFF時間に決定する。制御手段Cは、入力電圧値V0が第2閾値V2である場合に、加熱手段への通電を停止するOFF時間を第1OFF時間より長い第2OFF時間に決定する。
【0100】
このような構成によって、入力電圧値V0に応じてOFF時間を調整することで、入力電圧値V0が変動する場合においても、ヒータ11による加熱機能を制御できる。そのため、さらに安定した乾燥性能を提供できる。
【0101】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御手段Cは、1回の乾燥サイクルにおいて、ON時間とOFF時間とを決定すると、ON時間とOFF時間とが順に実行されるサブサイクルを少なくとも2回繰り返す。
【0102】
このような構成によって、ヒータ11のON/OFFを繰り返すことで、ヒータ11の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0103】
また、本実施形態の洗濯機1において、OFF時間の最小値はゼロである。
【0104】
このような構成によって、OFF時間がゼロにすることで、入力電圧値V0が低い場合においても、ヒータ11による充分な加熱を確保できる。
【0105】
また、本実施形態の洗濯機1において、第1ON時間と第1OFF時間との合計は、第2ON時間と第2OFF時間との合計に等しい。
【0106】
このような構成によって、ON時間とOFF時間との合計(サブサイクル時間Tc)が一定となるため、ON時間が異なる場合においても、乾燥サイクルに係る時間を一定に維持できる。また、入力電圧値V0が異なる場合においても、洗濯機1の消費電力量(電気エネルギ)を揃えて、同等の乾燥性能を維持することができる。さらに、入力電圧値V0が高い場合、ON時間を短くするとともにOFF時間を長くすることによって、ヒータ11の冷却時間を確保できる。冷却することで、次のON時間によって、ヒータ11の温度が過剰に上昇することを抑制できる。
【0107】
また、本実施形態の洗濯機1は、洗濯槽4を回転させるモータ42をさらに備える。制御手段Cは、は、ヒータ11への通電およびモータ42を停止させた状態で、入力電圧値V0を検知する。
【0108】
このような構成によって、ヒータ11やモータ42の動作によって入力電圧値V0が±数10Vの範囲で変動することを抑制できる。そのため、入力電圧値V0をより正確に検知することができる。
【0109】
また、本実施形態の洗濯機1において、乾燥風路6を通過する乾燥用空気の温度を検知する温度検知手段を備えない。
【0110】
このような構成によって、温度検知手段を有する洗濯機と比較して、安価な洗濯機1を提供することができる。また、直接的にヒータ11に印加される電圧を測定できるため、検知ラグの発生を抑制できる。
【0111】
また、本実施形態の洗濯機1において、ヒータ11は固定抵抗として設けられた電熱線である。
【0112】
このような構成によって、入力電圧値V0によってヒータ11の出力を制御することができる。具体的には、入力電圧値V0に応じてヒータ11のON時間を調整することによって、ヒータ11の消費電力量(電気エネルギ)を一定に維持することができる。
【0113】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0114】
なお、実施の形態では、衣類処理装置として洗濯機1について説明したが、これに限定されない。洗濯機能を有しない単なる衣類乾燥機等、空気を加熱する加熱手段を有するものであれば、任意の衣類処理装置であってもよい。
【0115】
なお、実施の形態では、洗濯機1が洗濯槽4の回転によって空気の流れを発生させる例について説明したが、これに限定されない。例えば、洗濯機1は乾燥ファンを設けてもよい。また、洗濯機1は、乾燥用空気を洗濯槽4とヒータ11との間で循環させる循環式の乾燥方式を採用してもよい。
【0116】
なお、実施の形態では、空気を加熱する手段としてヒータ11について説明したが、これに限定されない。洗濯機1は、ヒータ11の代わりに、入力電圧値V0によって出力を制御できる他の加熱装置を用いてもよい。例えば、ヒータ11は、シーズヒータであってもよい。
【0117】
なお、実施の形態では、制御部10と電圧検知部12とが制御手段Cに設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10と電圧検知部12とは異なる基板またはマイクロコントローラ上に搭載されてもよい。
【0118】
なお、実施の形態では、電圧検知部12が洗濯機1の印加される入力電圧値V0を検知する例について説明したが、これに限定されない。例えば、電圧検知部12は、入力電圧値V0として、電圧検知部12におけるマイクロコントローラからヒータ11への出力電圧値を検知してもよい。
【0119】
なお、実施の形態では、洗濯機1が乾燥工程のみを実行する例について説明したが、これに限定されない。例えば、洗濯機1は、洗濯乾燥運転の1つの工程として、乾燥工程を実行してもよい。より具体的に、洗濯乾燥運転における洗濯機1の動作は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程とを含んでもよい。制御手段Cは、各工程を逐次制御する。洗い工程では、洗濯槽4に洗濯物を入れて、洗濯槽4に水及び洗濯剤を供給して洗濯物を洗浄する。すすぎ工程では、洗濯槽4に給水し洗濯物をすすぐ。脱水工程では、水を水槽3から排出して、洗濯槽4を高速で回転させて洗濯物の脱水を行う。
【0120】
なお、実施の形態では、制御部10が、入力電圧値V0が属する電圧範囲VR1~VR5に応じて、ON時間及びOFF時間を決定する(S171~S175)例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10は、入力電圧値V0の値そのものに応じて、ON時間及びOFF時間を決定してもよい。
【0121】
なお、実施の形態では、サブサイクル時間Tcが102sである例について説明したが、これに限定されない。サブサイクル時間Tcは、制御手段Cの回路の性能によって変更されてもよい。例えば、サブサイクル時間Tcを充分長くすることで、制御手段Cの回路のリレーの作動回数が減少し、洗濯機1の寿命が長くなる。また、サブサイクル時間Tcが一定である場合に限定されず、異なる乾燥サイクルまたはサブサイクルの間で、サブサイクル時間Tcは変更されてもよい。
【0122】
なお、実施の形態では、ON時間、OFF時間の具体的な値について説明したが、これに限定されない。ON時間、OFF時間の値は、ヒータ11を通過する空気の流量、またはヒータ11の出力によって変更されてもよい。
【0123】
なお、制御部10は、各乾燥ステップの間において、洗濯物のほぐしステップを実行してもよい。乾燥ステップにおける回転によって、洗濯物は洗濯槽4の内壁に貼り付いている。そこで、洗濯槽4を逆方向に回転させることで、洗濯物を内壁から剥がしてほぐすことができる。ほぐし工程における回転数は、乾燥ステップにおける回転数より低く、例えば、50rpmである。
【0124】
なお、制御部10は、ステップ19の後において、ヒータ11を止めた状態で、モータ42をONにして洗濯槽4を回転させてもよい。このような動作によって、乾燥風路6を通じてヒータ11に空気を当てて、ヒータ11を冷却することができる。
【0125】
第1の態様における衣類処理装置は、筐体と、筐体内に設けられ、洗濯物を収容する収容槽と、収容槽に流入する空気が通過する経路と、経路に設けられ、通電により発熱する加熱手段と、加熱手段に通電可能な乾燥工程を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、乾燥工程において、入力電圧値を検知し、制御手段は、乾燥工程で実行される少なくとも1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値が第1電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間に決定し、入力電圧値が第1電圧値より高い第2電圧値である場合に、加熱手段に通電するON時間を第1ON時間より短い第2ON時間に決定する。
【0126】
第2の態様における衣類処理装置として、第1の態様における衣類処理装置において、制御手段は、乾燥工程において、乾燥サイクルを複数回実行し、第1乾燥サイクルのON時間を、第1電圧値または第2電圧値に対応する第1入力電圧値に応じて決定し、第2乾燥サイクルのON時間を、第1電圧値または第2電圧値に対応し、第1入力電圧値と異なるタイミングで検知した第2入力電圧値に応じて決定する。
【0127】
第3の態様における衣類処理装置として、第2の態様における衣類処理装置において、制御手段は、第1乾燥サイクルの開始の際に、第1入力電圧値を検知し、第2乾燥サイクルの開始の際に、第2入力電圧値を検知する。
【0128】
第4の態様における衣類処理装置として、第1から第3の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、ON時間の最小値はゼロである。
【0129】
第5の態様における衣類処理装置として、第1から第4の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、ON時間の後に、加熱手段への通電を停止することをさらに実行する。
【0130】
第6の態様における衣類処理装置として、第1から第5の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、入力電圧値が第1電圧値である場合に、加熱手段への通電を停止するOFF時間を第1OFF時間に決定し、入力電圧値が第2電圧値である場合に、加熱手段への通電を停止するOFF時間を第1OFF時間より長い第2OFF時間に決定する。
【0131】
第7の態様における衣類処理装置として、第6の態様における衣類処理装置において、制御手段は、1回の乾燥サイクルにおいて、ON時間とOFF時間とを決定すると、ON時間とOFF時間とが順に実行されるサブサイクルを少なくとも2回繰り返す。
【0132】
第8の態様における衣類処理装置として、第6または7の態様における衣類処理装置において、OFF時間の最小値はゼロである。
【0133】
第9の態様における衣類処理装置として、第6から第8の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、第1ON時間と第1OFF時間との合計は、第2ON時間と第2OFF時間との合計に等しい。
【0134】
第10の態様における衣類処理装置として、第1から第9の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、収容槽を回転させるモータをさらに備え、制御手段は、加熱手段への通電およびモータを停止させた状態で、入力電圧値を検知する。
【0135】
第11の態様における衣類処理装置として、第1から第10の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、経路を通過する乾燥用空気の温度を検知する温度検知手段を備えない。
【0136】
第12の態様における衣類処理装置として、第1から第11の態様のいずれかにおける衣類処理装置において、加熱手段は、固定抵抗として設けられた電熱線である。
【0137】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本開示は、衣類処理装置に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機、縦型洗濯乾燥機、ドラム式洗濯機、ドラム式洗濯乾燥機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 洗濯機
2 筐体
3 水槽
4 洗濯槽
5 洗濯剤供給ユニット
6 乾燥風路
7 吸気風路
8 排気風路
10 制御部
11 ヒータ
12 電圧検知部
20 開口
21 扉
23 筐体開口
24 通風路
26 内部空間
34 筒部
36 底部
37 吸気接続口
38 排気接続口
C 制御手段