(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184310
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/02 20230101AFI20231221BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20231221BHJP
C02F 1/04 20230101ALI20231221BHJP
C02F 1/10 20230101ALI20231221BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C02F1/02 B
C08J11/12
C02F1/04 D
C02F1/10
B01D53/04
B01D53/04 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098380
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D012
4D034
4F401
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB12
4D012CD10
4D012CH10
4D034AA11
4D034CA04
4D034CA18
4D034CA21
4F401CA70
(57)【要約】
【課題】より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構8を有し、前記液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させ、気化した水を液化して浄化するようにした。前記液体系廃棄物を微細化して熱分解機構8に供給するようにしてもよい。前記気化した水を活性炭により浄化するようにしてもよい。前記活性炭を熱分解機構8により再生するようにしてもよい。前記熱分解機構8に固体系廃棄物を供給するようにしてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構(8)を有し、前記液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させ、気化した水を液化して浄化するようにしたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記液体系廃棄物を微細化して熱分解機構(8)に供給するようにした請求項1記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記気化した水を活性炭により浄化するようにした請求項1又は2記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記活性炭を熱分解機構(8)により再生するようにした請求項3記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記熱分解機構(8)に固体系廃棄物を供給するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物理化学的に処理を行う排水処理方法に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、生物処理法の種類は種々あり、一般的には生物処理は高温・高圧を必要とせず、微生物の酵素による反応でBOD成分(有機成分)を分解してくれる最も合理的な方法で、このような生物処理法の代表的なものに活性汚泥法がある
活性汚泥法とは曝気槽,沈殿槽(固液分離槽),返送汚泥ラインの三条件を満たしたプロセスにより、通常、排水を好気性下で微生物処理し、浄化する方法である。
この従来提案の排水処理方法は、排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水により平準化して吸着剤槽に通す吸着濾過工程を有し、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水をフィードバックして排水原水側に混合し、自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが重複しないようにした、というものである。
これに対し、より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置に対する要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の廃棄物処理装置は、液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構を有し、前記液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させ、気化した水を液化して浄化するようにしたことを特徴とする
この廃棄物処理装置では、液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構を有し、前記液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させるようにしたので、熱分解機構で液体系廃棄物を熱処理して、含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させることができる。
【0006】
そして、液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させ、気化した水を液化して浄化するようにしたので、液体系廃棄物に含有される汚れ成分についてCODを分析しその測定量から酸化剤などの薬剤(次亜塩素酸ソーダ等)の添加量を算出するような煩瑣な工程を必要としない。
ここで、液体系廃棄物として、排水、廃水、高濃度廃液(例えばCOD 50,000ppm)などの有機成分を含むものを例示することができる。
【0007】
熱分解機構には、流動性加熱媒体を貯留することができる。例えば、液状体溶融した液状体、流動性を有する固体を貯留することができる。
このうち液状体として、溶融した低融点合金、低融点金属(例えば錫)、ソルトバス、シリコンバス、オイルバス、タールピッチを例示することができる。
低融点金属として、錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7.3g/cm3)、鉛(熱伝導率 31W/mK、融点327.5℃、沸点1,750℃、密度11g/cm3)、インジウム(熱伝導率 82W/mK、融点156℃、沸点2,072℃、密度22 g/cm3)、ガリウム(熱伝導率 88W/mK、融点29.78℃、沸点2,208℃、密度6g/cm3)、ビスマス(熱伝導率 8W/mK、融点272℃、沸点1,564℃、密度10g/cm3)などを例示することができる。
【0008】
流動性を有する固体として、シャモット粒子、活性炭粒子、セラミックビーズ、シラスパウダー、SiO2(シリカ)ビーズ又はパウダー、Si-C(炭化ケイ素)粒体ビーズ又はパウダー、(耐熱)アルミナビーズ又はパウダー、フェライト(酸化鉄)ビーズ又はパウダー、タングステンパウダー、インコネルパウダーを例示することができる。
また、液状体(溶融した低融点金属)と流動性を有する固体(シャモット粒子、活性炭粒子)とを約5:5の割合で混合することができる。
【0009】
前記熱分解機構の温度として、450~900℃を例示することができる。このうち、例えば650℃に設定することができる。熱分解機構で流動性加熱媒体を昇温する熱源として、電熱ヒーター、LNGバーナー、LPGバーナー、またこの熱分解機構で得たメタンガス、油状成分などを例示することができる。
前記熱分解機構は、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素雰囲気下などの酸素プアーな不活性な雰囲気下で、有機物からの二酸化炭素の発生をより回避して処理することができる。
【0010】
熱分解機構でできた熱分解物を肥料(廃液含有成分の熱分解後のリン酸カルシウム)、燃料(廃タイヤの揮発成分の液化物、有機物から揮発したメタンなどの炭化水素ガス)などとして利用することができる。
また、熱分解機構でできた炭化物(有機物の炭素成分)を水処理用の活性炭、カーボン・パウダー、土壌改良材、土壌湿度調整材などとして利用することができる。
【0011】
(2)前記液体系廃棄物を微細化して熱分解機構に供給するようにしてもよい。
このように、液体系廃棄物を(例えば機械的に)微細化(ミスト化)して熱分解機構に供給するようにすると、粒径が小さくなると共に表面積が拡大して、伝熱効率が増大し、熱分解効率と気化効率が向上することとなる。
【0012】
(3)前記気化した水を活性炭により浄化するようにしてもよい。
このように、気化した水を活性炭により浄化するようにすると、気化水をさらに清浄化することができる。
また、(オゾンO3共存水の)電気分解を組み合わせることにより(・Oラジカルが生成することとなり)もっと清浄化することができる。
【0013】
(4)前記活性炭を熱分解機構により再生するようにしてもよい。
このように、活性炭を熱分解機構により再生(賦活)するようにすると、新たな活性炭と交換することなく、消耗分を補充しながら処理を継続することができる。
【0014】
(5)前記熱分解機構に固体系廃棄物を供給するようにしてもよい。
このように、熱分解機構に固体系廃棄物を供給するようにすると、この廃棄物処理装置を液体系廃棄物と固体系廃棄物とで併用することができる。
【0015】
前記固体系廃棄物として、(処理により減容化、資源化の効用がある)として、廃タイヤ類、廃プラスチック類(ポリウレタン、発泡スチロールなど)、段ボール類、布切れ、医療用廃棄物(血液に汚染された衣類等)、貝殻(炭酸カルシウムであり熱処理により生石灰にできる)などを例示することができる。
固体系廃棄物の湿潤物、軟体物として、生ごみ(処理により腐敗防止、異臭防止の効用がある)、残飯、コーヒー滓、汚泥、使用済みおむつ、ぺフなどを例示することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
液体系廃棄物に含有される汚れ成分についてCODを分析しその測定量から酸化剤などの薬剤(次亜塩素酸ソーダ等)の添加量を算出するような煩瑣な工程を必要としないので、より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の廃棄物処理装置の実施形態を説明するブロック・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、この実施形態の廃棄物処理装置は、液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構8を有する。前記液体系廃棄物としてCOD約50,000ppmの高濃度廃液を処理した。
【0019】
前記熱分解機構8で熱処理する温度を約650℃に設定した。熱分解機構8を冷却するため、地下水1をくみ上げ、地下水原水槽2に貯留し、UF膜濾過装置3(濃縮水はドレン槽7へ送る)に通し、濾過水を中間槽4に送り、RO膜濾過装置5(濃縮水はドレン槽7へ送る)に通し、冷却水槽6に送り、熱交換器槽6-2(冷却水槽6との間を循環する)を介して熱分解機構(熱交換器槽6-2との間を循環する)の外周を冷却するようにした。
【0020】
液体系廃棄物は、機械的に微細化(ミスト化)して熱分解機構8に供給するようにしており(図示せず)、粒径が小さくなると共に表面積が拡大して、伝熱効率が増大し熱分解効率と気化効率が向上した。
前記熱分解機構8で、液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に、水分を気化(蒸気・排気ガス)させ、気化した水を電解スクラバー17で液化し(清浄化ガスは大気開放した)、浄化機構Cで浄化した。
【0021】
電解スクラバー17は、電解酸化装置Eとの間で循環するようにした。各電解酸化装置Eでは、オゾンO3共存水の電気分解を組み合わせることにより・Oラジカルが生成することとなりより清浄化することができた。
気化し液化した水は、浄化機構Cの活性炭貯留槽11,12,14,15の活性炭により浄化するようにしており、気化水(有機物などの汚れ成分は既に熱分解されている)をさらに清浄化することができた。活性炭貯留槽12,14間には中間槽13を設けており、電解酸化装置Eとの間で電解水を循環するようにした。そして、活性炭貯留槽15後に処理水槽16(電解酸化装置Eとの間で循環)へと送って放流するようにした。この処理水槽16には前記ドレン槽7から送られてくるようにした。
【0022】
熱分解機構8で再生した活性炭は再生済活性炭槽9に貯留し、各活性炭貯留槽11,12,14,15へと分配するようにした。各活性炭貯留槽11,12,14,15での使用済み活性炭は使用済活性炭槽10へと送り、ここから熱分解機構8へと移送するようにした。
活性炭は、熱分解機構8により賦活・再生するようにしており、新たな活性炭と交換することなく、消耗分を補充しながら処理を継続することができた。
【0023】
次に、この実施形態の廃棄物処理装置の使用状態を説明する。
この廃棄物処理装置では、液体系廃棄物を熱処理する熱分解機構8を有し、前記液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させるようにしたので、熱分解機構8で液体系廃棄物を熱処理して、含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させることができた。
【0024】
そして、液体系廃棄物に含有される汚れ成分を熱分解すると共に水分を気化させ、気化した水を液化して浄化するようにしたので、液体系廃棄物に含有される汚れ成分についてCODを分析しその測定量から酸化剤などの薬剤(次亜塩素酸ソーダ等)の添加量を算出するような煩瑣な工程を必要とせず手間がかからなかった。
【0025】
(実施形態2)
次に、実施形態2を上記実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態の廃棄物処理装置は、熱分解機構8に固体系廃棄物を供給するようにした。前記固体系廃棄物として、廃プラスチック(可燃性有機物)の粉砕片を処理した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
より手間がかからない排水その他の廃棄物処理装置を提供することができることによって、種々の廃棄物処理装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
8 熱分解機構