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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184318
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】アームレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20231221BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20231221BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231221BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 C
A47C7/62 Z
B60N3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098389
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】小松 均
(72)【発明者】
【氏名】小林 紀子
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JC03
3B087DC02
3B087DC04
3B088AA03
(57)【要約】
【課題】シートバックへの負荷を低減しつつ機能性を向上させたアームレストを得る。
【解決手段】アームレスト20は、シートバック14の一部に収納される収納位置から使用位置まで、シート上下方向の下端部20Aがシート幅方向回りに回転可能とされるアームレスト本体22と、アームレスト本体22が使用位置に位置した際に、アームレスト本体22のシート前後方向の前端部からシート前方に向けて収納可能に延在される延在部30と、アームレスト本体22を直接又は間接的に支持する支持構造と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの一部に収納される収納位置から使用位置まで、シート上下方向の下端部がシート幅方向回りに回転可能とされるアームレスト本体と、
該アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート前後方向の前端部からシート前方に向けて収納可能に延在される延在部と、
前記アームレスト本体を直接又は間接的に支持する支持構造と、
を備えるアームレスト。
【請求項2】
前記延在部は、荷物を保持する保持部を備える請求項1に記載のアームレスト。
【請求項3】
シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、
前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面との間に間隙を有し、
前記支持構造が、前記アームレスト本体を間接的に支持する請求項1に記載のアームレスト。
【請求項4】
前記延在部が、プッシュ展開により前記アームレスト本体から突出される請求項3に記載のアームレスト。
【請求項5】
前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、
前記延在部が伸びた状態において、該延在部の先端部がセンタコンソールの上面に載置されることにより構成される請求項3に記載のアームレスト。
【請求項6】
前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、かつ所定位置において下側に向けてシート幅方向回りに回動可能にされており、
前記延在部が前記所定位置において下側に向けて回動された状態において、該延在部の先端部が車両床面に当接されることにより構成される請求項3に記載のアームレスト。
【請求項7】
シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、
前記支持構造が、前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面とが当接することにより、前記アームレスト本体を直接支持する請求項1に記載のアームレスト。
【請求項8】
前記延在部を2本備える請求項1に記載のアームレスト。
【請求項9】
2本の前記延在部が伸縮可能に構成されており、
2本の前記延在部が伸びた状態において、2本の該延在部の前記アームレスト本体側に荷物を載置可能なテーブルが設けられている請求項8に記載のアームレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのシートバックに設けられたアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、車両用シートのヘッドレストステーに、ゴミ投入口を開いた状態でゴミ袋を保持するゴミ袋ホルダが取り付けられた車両用シートが開示されている。また、下記特許文献2には、シートバックから引き出して前倒されたアームレストを中空体で構成し、この中空体において上面が開放した収納ボックスをスライド可能に内蔵させたアームレストが開示されている。このアームレストにおいては、収納ボックスが収納される本体部の側面に設けられた小窓から出し入れ可能なインサートボックスが組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-44629号公報
【特許文献2】実開平7-3397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のゴミ袋ホルダは、強度の観点からゴミ袋を保持する棒の長さが限られてしまう。また、ゴミ袋ホルダを使用する際のデザイン及び使用しない場合の収納場所等に改善の余地がある。また、上記特許文献2に記載のアームレストは、インサートボックスが左右何れかにのみ設定してあるため、インサートボックスは一人しか使用することができない。そこで二人で使用可能とするために、左右両方にインサートボックスを設定した場合には、開口部に対応する収納スペースが狭くなってしまうため、収納としての機能が低下してしまう。また、上記特許文献2に記載のアームレストは、略水平位まで回動させて使用されるため、アームレストとシートクッションとの間に間隙がある場合には、アームレストに荷物を保持させた場合にシートバックへの負荷が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シートバックへの負荷を低減しつつ機能性を向上させたアームレストを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のアームレストは、シートバックの一部に収納される収納位置から使用位置まで、シート上下方向の下端部がシート幅方向回りに回転可能とされるアームレスト本体と、該アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート前後方向の前端部からシート前方に向けて収納可能に延在される延在部と、前記アームレスト本体を直接又は間接的に支持する支持構造と、を備える。
【0007】
本発明の第1の態様のアームレストでは、アームレスト本体が、シートバックの一部に収納される収納位置から使用位置まで、シート上下方向の下端部がシート幅方向回りに回転可能とされている。そのため、アームレスト本体を収納位置に位置させた場合には、アームレスト本体をシートバックの一部として使用することができ、アームレスト本体を使用位置に位置させた場合には、アームレスト本体を肘掛けとして使用することができる。
【0008】
また、本発明の第1の態様のアームレストでは、延在部が収納可能に延在されるので、アームレストを肘掛けとして使用する場合等に延在部を収納することができ、アームレストの機能を保持しつつデザイン性も保持することができる。また、延在部を延在させた場合には、延在部に荷物を引っ掛けたり、荷物を載置したりすることができるので、荷物を車両床面に直付けしなくてもよく荷物が汚れるのを防止することができる。また、アームレスト本体を直接又は間接的に支持する支持構造を備えているので、延在部に荷物を保持させた場合に、アームレスト本体を介してシートバックへ掛かる負荷を低減することができる。これにより、本発明の第1の態様のアームレストでは、シートバックへの負荷を低減しつつ機能性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2の態様のアームレストは、第1の態様において、前記延在部が、荷物を保持する保持部を備える。
【0010】
本発明の第2の態様のアームレストでは、延在部が荷物を保持する保持部を備えているので、保持部により荷物を保持させることができる。
【0011】
本発明の第3の態様のアームレストは、第1の態様において、シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面との間に間隙を有し、前記支持構造が、前記アームレスト本体を間接的に支持する。
【0012】
本発明の第3の態様のアームレストでは、支持構造が、アームレスト本体を間接的に支持するので、アームレスト本体が使用位置に位置した際に、アームレスト本体のシート高さ方向の下面とシートクッションの座面との間に間隙を有している場合であっても、支持構造によりアームレスト本体を支持することができる。そのため、シートバックへ掛かる負荷を低減することができる。
【0013】
本発明の第4の態様のアームレストは、第3の態様において、前記延在部が、プッシュ展開により前記アームレスト本体から突出される。
【0014】
本発明の第4の態様のアームレストでは、延在部が、プッシュ展開によりアームレスト本体から突出されるので、延在部を簡単に延在させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様のアームレストは、第3の態様において、前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、前記延在部が伸びた状態において、該延在部の先端部がセンタコンソールの上面に載置されることにより構成される。
【0016】
本発明の第5の態様のアームレストでは、支持構造は、伸縮可能に構成された延在部が伸びた状態において、延在部の先端部がセンタコンソールの上面に載置されることにより構成されている。これにより、延在部の先端部がセンタコンソールの上面によって支持されるので、アームレスト本体は支持構造によって間接的に支持されることになり、シートバックへ掛かる負荷を低減することができる。
【0017】
本発明の第6の態様のアームレストは、第3の態様において、前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、かつ所定位置において下側に向けてシート幅方向回りに回動可能にされており、前記延在部が前記所定位置において下側に向けて回動された状態において、該延在部の先端部が車両床面に当接されることにより構成される。
【0018】
本発明の第6の態様のアームレストでは、支持構造は、伸縮可能に構成された延在部が所定位置において下側に向けて回動された状態において、延在部の先端部が車両床面に当接されることにより構成されている。これにより、延在部の先端部が車両床面によって支持されるので、アームレスト本体は支持構造によって間接的に支持されることになり、シートバックへ掛かる負荷を低減することができる。
【0019】
本発明の第7の態様のアームレストは、第1の態様において、シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、前記支持構造が、前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面とが当接することにより、前記アームレスト本体を直接支持する。
【0020】
本発明の第7の態様のアームレストでは、アームレスト本体が使用位置に位置した際に、支持構造によって、アームレスト本体のシート高さ方向の下面とシートクッションの座面とが当接することによりアームレスト本体が直接支持されるので、支持構造によりアームレスト本体を支持することができ、シートバックへ掛かる負荷を低減することができる。
【0021】
本発明の第8の態様のアームレストは、第1の態様において、前記延在部を2本備える。
【0022】
本発明の第8の態様のアームレストでは、延在部を2本備えているので、延在部が延在された状態において延在部の上面に、例えばテーブル等を載置することができる。また、延在部に一例として買い物袋を引っ掛ける場合に、買い物袋を開いた状態で引っ掛けることができる。
【0023】
本発明の第9の態様のアームレストは、第8の態様において、2本の前記延在部が伸縮可能に構成されており、2本の前記延在部が伸びた状態において、2本の該延在部の前記アームレスト本体側に荷物を載置可能なテーブルが設けられている。
【0024】
本発明の第9の態様のアームレストでは、2本の伸びた状態の延在部のアームレスト本体側に荷物を載置可能なテーブルが設けられているので、アームレストはテーブルとしての機能を備えることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上、説明したように、本発明のアームレストによれば、シートバックへの負荷を低減しつつ機能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係るアームレストが使用位置にある車両用シートを前方側やや斜め上方から見た斜視図である。
図2図1の車両用シートを側方から見た側面図である。
図3】(A)は延在部が格納されている状態を示す側面一部断面図、(B)は延在部がプッシュされた状態を示す側面一部断面図、(C)は延在部がプッシュ展開した状態を示す側面一部断面図である。
図4図1において延在部が延在された状態を示す図1に対応する斜視図である。
図5】(A)は延在された延在部においてフックが展開された状態を示す上面図、(B)は(A)の側面図である。
図6】延在部の構造を説明するための側面図である。
図7図4おいて延在部が最大限に延在された状態を示す図4に対応する斜視図である。
図8図7において延在部の先端側が下方に倒された状態を示す図7に対応する斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るアームレストが使用位置にある車両用シートを側方から見た側面図である。
図10図9において延在部が延在された車両用シートを前方側やや斜め上方から見た斜視図である。
図11図10の車両用シートを側方から見た側面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るアームレストが使用位置にあり、延在部が延在された状態を示す車両用シートを前方側やや斜め上方から見た斜視図である。
図13】本発明の第4実施形態に係るアームレストが使用位置にあり、延在部が最大限に延在された状態を示す車両用シートを前方側やや斜め上方から見た斜視図である。
図14図13において延在部の先端側が下方に倒された状態を示す図13に対応する斜視図である。
図15】本発明の第5実施形態に係るアームレストが使用位置にあり、アームレストに腕が置かれた状態を模式的に示す模式斜視図である。
図16】本発明の第4実施形態に係るアームレストが使用位置にあり、アームレストから延在した延在部を模式的に示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るアームレスト20が搭載された車両用シート10について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、各図において適宜示す矢印UP、矢印FR、矢印LH及び矢印RHは、車両に搭載された車両用シート10の上方向、前方向、左右方向(車幅方向)の左側方向及び右側方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両に搭載された車両用シート10の前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0028】
(第1実施形態)
<車両用シートの全体構成>
図1に示されるように、第1実施形態に係る車両用シート10は、ここでは車両として自動車に適用されている。詳しく説明すると、例えばセダンタイプの車両において、車両前後方向に2列のシートを備える場合、車両用シート10は前から2列目のリアシートに採用されている。また、例えばワンボックスタイプの車両において、車両前後方向に3列のシートを備える場合、車両用シート10は前から2列目のミドルシート及び前から3列目のリアシートの少なくとも一方に採用されている。
【0029】
図1に示されるように、車両用シート10は、着座した乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備えている。
【0030】
シートクッション12は、車両用シート10の座面部分を構成しており、乗員は、シートクッション12のシート上側、すなわち座面12Aに着座する。シートクッション12は、シートクッションフレーム(図示省略)、クッションパッド(図示省略)、及び表皮18Aを備えている。
【0031】
シートクッションフレーム(図示省略)は、シートクッション12の骨格を構成する。クッションパッド(図示省略)は、例えば、ポリウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)等の合成樹脂材等によって形成されている。表皮18Aは、布系、皮革、及び合成皮革等で形成されている。シートクッション12は、シートクッションフレーム(図示省略)にクッションパッド(図示省略)を取り付け、更にその表面を表皮18Aで覆うことにより構成されている。
【0032】
シートバック14は、車両用シート10の背もたれ部分を構成しており、シートクッション12に着座した乗員の背中を、シートバック14のシート前側(シート表面)で支える。シートバック14は、シートバックフレーム(図示省略)、シートバックパッド(図示省略)、及び表皮18Bを備えている。
【0033】
シートバックフレーム(図示省略)は、シートバック14の骨格を構成する。シートバックパッド(図示省略)は、例えば、ポリウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)等の合成樹脂材等によって形成されている。表皮18Bは、布系、皮革、及び合成皮革等で形成されている。シートバック14は、シートバックフレーム(図示省略)にシートバックパッド(図示省略)を取り付け、更にその表面を表皮18Bで覆うことにより構成されている。
【0034】
本実施形態の車両用シート10は、一例として、6:4分割可倒式シートとして構成されている。すなわち、車両用シート10は、車両の進行方向に向かって着座状態の乗員から見て、シート幅方向左側に配置された左側座席としての第1可倒式シート10Aと、シート幅方向右側に配置された右側座席としての第2可倒式シート10Bとを備えている。さらに、車両用シート10は、第1可倒式シート10Aと第2可倒式シート10Bとの間に、第1可倒式シート10Aのシート幅方向内側に一体的に構成された中間座席としての第3可倒式シート10Cを備えている。第1可倒式シート10A、第3可倒式シート10C、第2可倒式シート10Bのそれぞれは、シート幅方向に1列に並んで配置されており、各々ヘッドレスト16を備えている。なお、車両用シート10は、上記分割割合に限定されるものではなく、例えば5:5分割可倒式シート、4:2:4分割可倒式シート等に適用してもよい。
【0035】
第3可倒式シート10Cに対応するシートバック14には、シート前方側が開放された直方体状の収納凹部14Aが形成されており、この収納凹部14Aにアームレスト20が収納される。ここで、アームレスト20について詳細に説明する。
【0036】
<アームレストの構成>
アームレスト20は、乗員の肘や腕等が置かれる部材であり、略直方体状のアームレスト本体22と、アームレスト本体22から収納可能に延在される延在部30とを備えている。アームレスト本体22は、アームレストフレーム(図示省略)、アームレストパッド(図示省略)、及び表皮18Cを備えている。アームレストフレーム(図示省略)は、アームレスト本体22の骨格を構成する。アームレストパッド(図示省略)は、例えば、ポリウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)等の合成樹脂材等によって形成されている。表皮18Cは、布系、皮革、及び合成皮革等で形成されている。アームレスト本体22は、アームレストフレーム(図示省略)にアームレストパッド(図示省略)を取り付け、更にその表面を表皮18Cで覆うことにより構成されている。
【0037】
アームレスト20は、収納位置すなわち収納凹部14Aに収納されているとき、第3可倒式シート10Cに着座状態の乗員の背部を支持するシートバック14として使用される。また、アームレスト20は、使用位置に移動されているときに、第1可倒式シート10Aに着座状態の乗員の右肘や右腕、或いは第2可倒式シート10Bに着座状態の乗員の左肘や左腕を支持する。つまり、アームレスト20は、収納位置から使用位置まで、若しくは表現を代えて使用位置から収納位置まで回転可能な構成とされている。
【0038】
ここで、収納位置とは、アームレスト20の長手方向をシート上下方向に一致させて、シートバック14の収納凹部14A内に押し込まれて収納される位置である。収納位置において、アームレスト20のシート前方側に位置する表皮18Cを表面とし、シート後方側に位置する表皮18Cを裏面とする。一方、使用位置とは、収納位置からアームレスト20の長手方向(シート上下方向)の下端部20Aを、シート幅方向回りにシート前方側へ回転させ、アームレスト20の長手方向をシート前後方向に一致させて、シートバック14からアームレスト20をシート前方側へ突出させる位置である。使用位置では、アームレスト20の表面がシート下側に位置し、裏面がシート上側に位置する。
【0039】
また、図2に示されるように、アームレスト20は、使用位置に移動されている際には、アームレスト20すなわちアームレスト本体22の上下方向(高さ方向)の下面と、シートクッション12の座面12Aとの間に距離Dの間隙を有している。
【0040】
一方、アームレスト20を構成するアームレスト本体22の内部には、長手方向に沿って延在部30が収納される収納穴部22Aが形成されている。収納穴部22Aは、アームレスト20が使用位置に位置した際に、シート前方側に位置する側が開放された箱体により構成されており、この開放された側から延在部30が出し入れされる。本実施形態においては、延在部30は、シート前方側の端面を押圧することにより展開される、いわゆるプッシュ展開によりアームレスト本体22から突出される構造となっている。
【0041】
<延在部の構成>
延在部30は、図3の(A)に示されるように、長尺状に形成され、下方が開放した略箱状の本体部32を備えている。本体部32には、シート後方側に円柱状に形成された円柱部34が設けられており、円柱部34には、アームレスト本体22の収納穴部22Aに設けられた係合凹部22Bと係合する係合凸部34Aが形成されている。また、円柱部34のシート後方側の端面と収納穴部22Aの内面との間に円筒状のばね部材36が介在されている。
【0042】
また、本体部32のシート前方側の側面には、後述する第2延在部40の回転軸42が軸支される軸孔38Aが形成されている。また、軸孔38Aを中心にして3方に後述する第2延在部40のロック用凸部43が嵌合される第1ロック用孔部38B、38C、38Dが形成されている。第1ロック用孔部38Bと第3ロック用孔部38Dとは軸孔38Aを挟んで一直線状に形成されており、第1ロック用孔部38Bがシート前方上側に、第3ロック用孔部38Dがシート後方下側に位置するように形成されている。また、第2ロック用孔部38Cは、第1ロック用孔部38B、第3ロック用孔部38D、及び軸孔38Aを結ぶ直線と、第2ロック用孔部38C及び軸孔38Aを結ぶ直線とが略直交するように形成されている。
【0043】
また、図3の(A)に示されるように、収納穴部22Aには、シート後方側の下面に、延在部30が収納穴部22Aに収納された状態において、本体部32のシート前後方向への移動を規制するロック部材係合孔22Dが設けられている。また、収納穴部22Aには、シート前方側の下面に、延在部30が収納穴部22Aから延在された状態(図5参照)において、本体部32のシート前後方向への移動を規制するロック部材係合孔22Eが設けられている。
【0044】
このように構成された延在部30は、図3の(A)に示されるように、係合凹部22Bと係合凸部34Aとが係合されて収納穴部22Aに収納されている。このように延在部30が収納されている際には、本体部32のシート後方側に設けられた弾性を有するロック部材(図示省略)がロック部材係合孔22Dに係合する。このロック部材は、長手方向に予め定められた力よりも大きい力が負荷されると、ロック部材係合孔22Dとは反対側に向けて押し込まれて、ロック部材係合孔22Dとの係合が解除される構成となっている。
【0045】
延在部30が収納穴部22Aに収納された状態において、図3の(B)に示されるように、シート前方側の端面が矢印A方向(シート後方)に押圧されると、上記ロック部材(図示省略)とロック部材係合孔22Dとの係合が解除され、さらに係合凹部22Bと係合凸部34Aとの係合が解除されて、ばね部材36が縮む方向に押圧される。
【0046】
そして、矢印A方向(シート後方)への押圧が解除されると、図3の(c)に示されるように、延在部30は、ばね部材36の付勢力によって矢印A方向とは反対方向(シート前方)へ移動されることにより、アームレスト本体22から突出される。なお、本実施形態においては、このように、延在部30を押圧して、アームレスト本体22から突出させる動作をプッシュ展開という。
【0047】
また、逆に、図3の(c)に示されるように、延在部30が、アームレスト本体22から突出した状態において、シート前方側の端面が矢印A方向(シート後方)に押圧されると、図3の(A)に示されるように、延在部30は、係合凸部34Aが係合凹部22Bとに係合され、上記ロック部材(図示省略)もロック部材係合孔22Dに係合されて収納穴部22Aに収納される。この際に、図3の(B)に示されるように、ばね部材36を縮む方向に押圧してしまうと、延在部30はプッシュ展開してしまうので、プッシュ展開時よりも弱い力で、すなわち、ばね部材36にプッシュ展開するために必要な付勢力が付与されない程度に延在部30を押圧する。
【0048】
図3の(C)に示されるように、プッシュ展開された状態において、延在部30のアームレスト本体22(収納穴部22A)から突出した部分がシート前方向に引っ張られることにより、図4に示されるように延在部30がアームレスト本体22から延在した状態とされる。この際に、本体部32に設けられた上記ロック部材(図示省略)は、ロック部材係合孔22Eに係合される。
【0049】
本実施形態の延在部30は、図5に示されるように、シート前方側の上面に、荷物を保持する保持部としてのフック30Aを備えている。フック30Aは、一例として上下方向に延在する軸部30Bに回転可能に軸支されている。フック30Aは、点線で示されるように延在部30の長手方向に沿った第1位置と、第1位置から反時計回り(左回り)に略90度回転し、実線で示されるように先端部30A1が本体部32から突出された第2位置においてロック可能となっている。また、フック30Aは、第1位置から180度回転させた第3位置、及び第2位置から180度回転させた第4位置においてもロック可能となっている。
【0050】
フック30Aは、一例として、一端部がシート上側に延在し、他端部が一端部と略直交するL字型に形成されており、他端部が軸部30Bに軸支される。なお、フック30AはL字型に限られず凹部を有する形状であってもよい。
【0051】
軸部30Bは、本体部32内部においてシート幅方向にピン(図示省略)が挿通されており、このピンが図5の(B)に示されるように、本体部32のシート幅方向を貫通する貫通穴38Eに挿通することにより本体部32に固定されている。
【0052】
また、本実施形態の延在部30は、伸縮可能に構成されている。図6に示されるように、延在部30は、本体部32、第2延在部40、第3延在部50、及び第4延在部60を備えている。第2延在部40は、本体部32の前端部において、シート下側に向けてシート幅方向回りに回動可能にされている。具体的には、第2延在部40は、図6に二点鎖線で示されるように伸びた状態(以下、単に伸びた状態という)から、矢印K1方向に回動されて、図6に実線で示されるように下側に向けて回動された状態(以下、折れた状態という)にされる。また、第2延在部40は、さらに、矢印K1方向に回動されて、本体部32に収納された状態(以下、単に収納状態という)にされる。
【0053】
第2延在部40は、伸びた状態において、シート下方向とシート前後方向とが開放された箱状に形成されている。第2延在部40は、シート幅方向の外側の幅が本体部32の内側の幅よりも小さく形成されており、シート幅方向の外側の面から各々突出される回転軸42を備えている。この回転軸42が本体部32の軸孔38Aに軸支されることにより回転可能となっている。
【0054】
また、第2延在部40は、伸びた状態において、回転軸42の近傍に、本体部32に形成された第1ロック用孔部38Bに対応する位置にロック用凸部43を備えている。このロック用凸部43が第1ロック用孔部38Bに係合することにより、伸びた状態においてロックされる。また、ロック用凸部43は、図6に実線で示されるように折れた状態において、第2ロック用孔部38Cと係合することにより、折れた状態においてロックされる。
【0055】
また、ロック用凸部43は、収納状態において、第3ロック用孔部38Dと係合することにより、収納状態においてロックされる。なお、ロック用凸部43は、弾性を有しており、シート幅方向の両外側から内方に向かって押圧されることにより、第1ロック用孔部38B、第2ロック用孔部38C、及び第3ロック用孔部38Dとの係合が解除される構成となっている。第2延在部40は、図6の矢印J方向に回動することにより、順に、収納状態、折れた状態、伸びた状態にされる。
【0056】
また、第2延在部40は、シート前方側のシート幅方向の両側面に、後述する第2回転軸54を軸支する軸孔44が形成されている。また、第2延在部40は、シート前方側のシート幅方向の両側面に、軸孔44を挟んで一直線状に第4ロック用孔部46A及び第5ロック用孔部46Bが形成されている。伸びた状態において、第4ロック用孔部46Aがシート前方上側に、第5ロック用孔部46Bがシート後方下側に位置するように形成されている。
【0057】
第3延在部50は、伸びた状態において、シート下方向とシート前後方向とが開放された箱状に形成されており、シート後方側にはシート幅方向の外側の幅が第2延在部40の内側の幅よりも小さく形成され、第2延在部40側の端部が円形状に形成された回動部52を備えている。回動部52は、シート幅方向の外側の面から各々突出される第2回転軸54を備えている。この回転軸54が第2延在部40の軸孔44に軸支されることにより回動可能となっている。具体的には、第3延在部50は、矢印K2方向に回動されることにより伸びた状態又は収納状態にされる。
【0058】
また、回動部52は、第2回転軸54の近傍に、伸びた状態において、第2延在部40に形成された第5ロック用孔部46Bに対応する位置に第2ロック用凸部56を備えている。この第2ロック用凸部56が第5ロック用孔部46Bに係合することにより、伸びた状態においてロックされる。また、第2ロック用凸部56は、収納状態において、第4ロック用孔部46Aと係合することにより、収納状態においてロックされる。なお、第2ロック用凸部56はロック用凸部43と同様の構成を有している。
【0059】
また、第3延在部50は、伸びた状態において、第4延在部60の後述するインナーレール62がスライド可能なアウターレール(図示省略)を有している。
【0060】
第4延在部60は、伸びた状態において第3延在部50側及びシート上側が開放された略箱状に形成されており、シート幅方向の両側面には第3延在部50のアウターレールに沿ってスライド可能なインナーレール62を備えている。第4延在部60は、図6の矢印K3方向に移動可能であり、伸びた状態及び収納状態で矢印K3方向の移動を規制するロック構造(図示省略)を備えている。なお、このロック構造は公知の構造を使用することができる。
【0061】
<支持構造>
上述したように構成されたアームレスト20及び延在部30において、図7に示されるように、アームレスト20が使用位置に位置される。そして、延在部30は、本体部32から第2延在部40、第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60がそれぞれ伸びた状態とされる。そして延在部30の少なくとも第4延在部60を含むシート前方側の先端部の下面がセンタコンソール70の上面に載置された状態とされる。図7に示される状態において、支持構造は、間接的にアームレスト本体22を支持する構造であり、延在部30が伸びた状態において、延在部30の先端部がセンタコンソール70の上面に載置されることにより構成される。
【0062】
また、図8に示されるように、延在部30は、第2延在部40が折れた状態とされ、かつ第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60がそれぞれ伸びた状態とされる。そして延在部30の先端部である第4延在部60の下端が車両床面Fに当接された状態とされる。図8に示される状態において、支持構造は、間接的にアームレスト本体22を支持する構造であり、本体部32のシート前方側において、第2延在部40が下側に向けて回動された状態において、延在部30の先端部である第4延在部60の下端が車両床面Fに当接されることにより構成される。
【0063】
なお、図8においては、センタコンソール70の一部を構成する面F1に第4延在部60の下端が当接しているが、本実施形態においては、この面F1も車両床面Fの一部とする。また、第4延在部60の下端の当接する箇所は面F1以外の車両床面Fであってもよい。
【0064】
<第1実施形態の作用、効果>
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0065】
第1実施形態のアームレスト20は、アームレスト本体22が、収納凹部14Aに収納される収納位置から使用位置まで、下端部20Aをシート幅方向回りに回転可能とされている。そのため、アームレスト本体22を収納位置に位置させた場合すなわち収納凹部14Aに収納した場合には、アームレスト本体22をシートバック14の一部として使用することができ、アームレスト本体22を使用位置に位置させた場合には、アームレスト本体22を肘掛けとして使用することができる。
【0066】
また、第1実施形態のアームレスト20は、延在部30が収納可能に延在されるので、アームレスト本体22を使用位置まで回転させて使用位置に位置させた際に、アームレスト20を肘掛けとして使用する場合等に、図1に示されるように、延在部30を収納することができる。そのため、アームレスト20の機能を保持しつつデザイン性も保持することができる。
【0067】
また、図1に示されるように、アームレスト本体22が使用位置に位置する際に、延在部30をシート後方に向けて押圧することにより、プッシュ展開によりアームレスト本体22から延在部30を突出させることができる。このように、延在部30がプッシュ展開によりアームレスト本体22から突出されるので、延在部30を簡単に延在させることができる。
【0068】
また、図4に示されるように、突出された延在部30において、保持部としてのフック30Aを軸部30B回りに矢印M方向に回転させることにより、荷物を引っ掛けたり、荷物を載置したりすることができる。そのため、荷物を車両床面Fに直付けしなくてもよく荷物が汚れるのを防止することができる。
【0069】
また、第1実施形態においては、図7に示されるように、延在部30が、本体部32から第2延在部40、第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60をそれぞれ伸びた状態とすることができる。そして延在部30の少なくとも第4延在部60を含むシート前方側の先端部の下面をセンタコンソール70の上面に載置した状態とする。これにより、延在部30の先端部が、センタコンソール70の上面によって支持されるので、アームレスト本体22はこの支持構造によって間接的に支持されることになり、シートバック14へ掛かる負荷を低減することができる。
【0070】
また、第1実施形態においては、図8に示されるように、延在部30が、第2延在部40を折れた状態とし、かつ第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60がそれぞれ伸びた状態とすることができる。そして延在部30の先端部である第4延在部60の下端を車両床面Fに当接させた状態とする。これにより、延在部30の先端部である第4延在部60の下端が車両床面Fによって支持されるので、アームレスト本体22はこの支持構造によって間接的に支持されることになり、シートバックへ掛かる負荷を低減することができる。
【0071】
このように、アームレスト本体が使用位置に位置されている際に、図2に示されるように、アームレスト本体22のシート高さ方向の下面とシートクッション12の座面12Aとの間に距離Dの間隙を有している場合であっても、上記の2つの支持構造のうちのどちらかによりアームレスト本体22を支持することができるので、フック30Aに荷物を引っ掛けた場合に、アームレスト本体22を介してシートバック14へ掛かる負荷を低減することができる。以上により、第1実施形態のアームレスト20では、シートバック14への負荷を低減しつつ機能性を向上させることができる。
【0072】
なお、上記第1実施形態においては、アームレスト20は図7に示される支持構造と、図8に示される支持構造の2つの支持構造を備えているが、本発明はこれに限られず、図7に示される支持構造のみを備えていてもよい。この場合、延在部30は所定位置において下側に向けてシート幅方向回りに回動可能に構成されていなくてもよい。すなわち、延在部30は伸縮可能に構成されているだけでもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態においては、延在部30は保持部としてのフック30Aを備えているが、本発明はこれに限られずフック30Aを備えていなくてもよい。この場合、アームレスト本体22から延在された延在部30に直接荷物を引っ掛ければよい。例えば荷物が輪状の取っ手を有している場合には、先に延在部30に引っ掛けた後で、延在部30の先端部をセンタコンソール70の上面に載置したり、車両床面Fに当接させたりすることができる。
【0074】
また、上記第1実施形態においては、プッシュ展開により延在部30を引き出せるようにしたが、本発明はこれに限られず、プッシュ展開可能な構造を有していなくてもよい。この場合、一例として延在部30に、延在部30を引っ張り出すための把持部を設けておいてもよい。
【0075】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るアームレスト20-2が搭載された車両用シート10-2について説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同様の構成については同符号で示して説明を省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0076】
上述した第1実施形態の車両用シート10は、アームレスト本体22のシート高さ方向の下面とシートクッション12の座面12Aとの間に距離Dの間隙を有しているが、第2実施形態の車両用シート10-2においては、上記間隙を有していない。すなわち、図9に示されるように、アームレスト本体22が使用位置に位置した際に、アームレスト本体22のシート高さ方向の下面とシートクッションの座面12Aとが当接している。
【0077】
また、第1実施形態の延在部30は、伸縮可能に構成され、かつ所定位置において下側に向けてシート幅方向回りに回動可能に構成されているが、第2実施形態の延在部30-2は、伸縮可能及び回動可能に構成されていない。
【0078】
第2実施形態のアームレスト20-2は、アームレスト本体22のシート高さ方向の下面とシートクッションの座面12Aとが当接された状態において、図10及び図11に示されるように、本体部32がアームレスト本体22から距離Bだけ引き出される。本実施形態においては、一例として、引き出された本体部32のシート前方の前端面がシートクッション12の前端面と略一致する面に配設される。なお、アームレスト20-2は、上記第1実施形態と同様に図3に示されるように、プッシュ展開可能な構造を有しており、プッシュ展開によって延在部30を引き出すことができる。
【0079】
<第2実施形態の作用、効果>
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0080】
第2実施形態のアームレスト20-2では、アームレスト本体22が使用位置に位置する際に、延在部30-2をシート後方に向けて押圧することにより、プッシュ展開によりアームレスト本体22から延在部30-2を延出させることができる。このように、延在部30-2がプッシュ展開によりアームレスト本体22から延出されるので、延在部30-2を簡単に延在させることができる。
【0081】
また、図11に示されるように、延出された延在部30-2において、保持部としてのフック30Aを回転させることにより、先端部30A1本体部32から突出された第3位置に位置させてロックする。これにより、突出されたフック30Aの先端部30A1に荷物を引っ掛けることができる。そのため、荷物を車両床面Fに直付けしなくてもよく荷物が汚れるのを防止することができる。
【0082】
また、第2実施形態のアームレスト20-2では、図11に示されるように、アームレスト本体22が使用位置に位置した際に、アームレスト本体22のシート高さ方向の下面とシートクッション12の座面12Aとが当接した状態となる。これにより、アームレスト本体22が座面12Aにより支持されるので、アームレスト本体22はこの支持構造によって直接支持されることになり、シートバック14へ掛かる負荷を低減することができる。
【0083】
なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、プッシュ展開により延在部30-2を引き出せるようにしたが、本発明はこれに限られず、プッシュ展開可能な構造を有していなくてもよい。この場合、一例として延在部30-2に、延在部30-2を引っ張り出すための把持部を設けておいてもよい。
【0084】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係るアームレスト20-3が搭載された車両用シート10-3について説明する。なお、第3実施形態においては、第2実施形態と同様の構成については同符号で示して説明を省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0085】
上述した第2実施形態のアームレスト20-2は、延在部30-2を1本備えているのに対して、第3実施形態のアームレスト20-3は、図12に示されるように、延在部30-2を2本備えている。また、アームレスト本体22から延出された2本の延在部30-2には、荷物を載置可能なテーブル80が取り付けられている。本実施形態においては、テーブル80の下面にフック30Aの先端部30A1が係合可能な係合凹部(図示省略)が形成されており、この係合凹部にフック30Aの先端部30A1が係合されることにより、テーブル80が2本の延在部30-2に取り付けられている。
<第3実施形態の作用、効果>
次に、第3実施形態の作用及び効果について説明する。
【0086】
第3実施形態のアームレスト20-3では、上記第2実施形態のアームレスト20-2と同様の効果が得られる。また、第3実施形態のアームレスト20-3では、アームレスト本体22から延出された2本の延在部30-2に荷物を載置可能なテーブル80が設けられているので、アームレスト20-3はテーブルとしての機能を備えることができる。
【0087】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態に係るアームレスト20-4が搭載された車両用シート10-4について説明する。なお、第4実施形態においては、第1実施形態と同様の構成については同符号で示して説明を省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0088】
上述した第1実施形態のアームレスト20は、延在部30を1本備えているのに対して、第4実施形態のアームレスト20-4は、図13及び図14に示されるように、延在部30を2本備えている。また、アームレスト本体22から延出された2本の延在部30には、荷物を載置可能なテーブル80が取り付けられている。
【0089】
具体的には、図13に示されるように、アームレスト20が使用位置に位置され、延在部30が、本体部32から第2延在部40、第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60がそれぞれ伸びた状態とされる。そして延在部30の少なくとも第4延在部60を含むシート前方側の先端部の下面がセンタコンソール70の上面に載置された状態とされる。この状態において、アームレスト本体22側である本体部32と第2延在部40の上面に、テーブル80が取り付けられる。
【0090】
また、図14に示されるように、アームレスト20が使用位置に位置され、延在部30が、第2延在部40が折れた状態とされ、かつ第2延在部40から第3延在部50、第3延在部50から第4延在部60がそれぞれ伸びた状態とされる。そして延在部30の先端部である第4延在部60の下端が車両床面Fに当接された状態とされる。この状態において、アームレスト本体22側である本体部32の上面に、テーブル80が取り付けられる。
【0091】
本実施形態においては、図13及び図14に示される状態において、テーブル80の下面にフック30Aの先端部30A1が係合可能な係合凹部(図示省略)が形成されており、この係合凹部にフック30Aの先端部30A1が係合されることにより、テーブル80が2本の延在部30に取り付けられている。
<第4実施形態の作用、効果>
次に、第4実施形態の作用及び効果について説明する。
【0092】
第4実施形態のアームレスト20-4では、上記第1実施形態のアームレスト20と同様の効果が得られる。また、第4実施形態のアームレスト20-4では、アームレスト本体22から延出された2本の延在部30のアームレスト本体22側に荷物を載置可能なテーブル80が設けられているので、アームレスト20-4はテーブルとしての機能を備えることができる。
【0093】
なお、上述した第3及び第4実施形態においては、テーブル80は、テーブル80の下面に形成された係合凹部(図示省略)にフック30Aの先端部30A1が係合されることにより延在部30、30-2に取り付けたが、本発明はこれに限られない。例えば、延在部30、30-2がフック30Aを備えていない場合には、例えば伸縮性を有する紐等により取り付けてもよいし、公知の技術により取り付けることができる。
【0094】
また、上述した第3及び第4実施形態においては、テーブル80を延在部30、30-2に取り付けたが、本発明はこれに限られない。例えば、小物入れとしての箱体を取り付けてもよいし、引き出しを有する箱体を取り付けてもよい。また、このような箱体やテーブル80に、インターネット接続用ポート、充電用ポート等、更に詳しく説明すると、ユニバーサルシリアスバス(USB:Universal Serial Bus)ポート等を配設することもできる。また、これらのポートに接続される電装品が操作可能なスイッチ、具体的には車載テレビジョン、車載オーディオ、空調、リクライニング操作等の制御スイッチが配設されていてもよい。
【0095】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態に係るアームレスト20-5について説明する。なお、第5実施形態においては、第2実施形態と同様の構成については同符号で示して説明を省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0096】
上述した第2実施形態のアームレスト20-2は、延在部30-2を1本備えているのに対して、第5実施形態のアームレスト20-5は、図16に示されるように、延在部30-2を2本備えている。本実施形態においては、延在部30-2の先端に直接フック30A-2が形成されている。フック30A-2は、延在部30-2の先端部が本体部32の上面よりもシート上方に突出することにより形成されている。
【0097】
<第5実施形態の作用、効果>
次に、第5実施形態の作用及び効果について説明する。
【0098】
第5実施形態においては、図15に示されるように、アームレスト20-5を使用位置に位置された状態において、2本の延在部30-2をシート後方に向けて押圧することにより、図16に示されるように、2本の延在部30-2がプッシュ展開することにより延在される。このように延在された2本の延在部30-2の先端部にはフック30A-2が形成されているので、このフック30A-2に荷物である袋Bを引っ掛けることができる。
【0099】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態と各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0100】
<付記>
(第1の態様)
シートバックの一部に収納される収納位置から使用位置まで、シート上下方向の下端部がシート幅方向回りに回転可能とされるアームレスト本体と、
該アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート前後方向の前端部からシート前方に向けて収納可能に延在される延在部と、
前記アームレスト本体を直接又は間接的に支持する支持構造と、
を備えるアームレスト。
(第2の態様)
前記延在部は、荷物を保持する保持部を備える第1の態様に記載のアームレスト。
(第3の態様)
シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、
前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面との間に間隙を有し、
前記支持構造が、前記アームレスト本体を間接的に支持する第1の態様又は第2の態様に記載のアームレスト。
(第4の態様)
前記延在部が、プッシュ展開により前記アームレスト本体から突出される第1の態様~第3の態様の何れか1つの態様に記載のアームレスト。
(第5の態様)
前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、
前記延在部が伸びた状態において、該延在部の先端部がセンタコンソールの上面に載置されることにより構成される第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様に記載のアームレスト。
(第6の態様)
前記支持構造は、前記延在部が伸縮可能に構成され、かつ所定位置において下側に向けてシート幅方向回りに回動可能にされており、
前記延在部が前記所定位置において下側に向けて回動された状態において、該延在部の先端部が車両床面に当接されることにより構成される第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様に記載のアームレスト。
(第7の態様)
シート前後方向の後端部において前記シートバックが立設されるシートクッションを備え、
前記支持構造が、前記アームレスト本体が前記使用位置に位置した際に、前記アームレスト本体のシート高さ方向の下面と前記シートクッションの座面とが当接することにより、前記アームレスト本体を直接支持する第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様に記載のアームレスト。
(第8の態様)
前記延在部を2本備える第1の態様~第7の態様の何れか1つの態様に記載のアームレスト。
(第9の態様)
2本の前記延在部が伸縮可能に構成されており、
2本の前記延在部が伸びた状態において、2本の該延在部の前記アームレスト本体側に荷物を載置可能なテーブルが設けられている第8の態様に記載のアームレスト。
【符号の説明】
【0101】
10、10-2、10-3、10-4 車両用シート
12 シートクッション
12A 座面
14 シートバック
20、20-2、20-3、20-4、20-5 アームレスト
20A 下端部
22 アームレスト本体
30、30-2 延在部
30A フック(保持部)
70 センタコンソール
80 テーブル
F 車両床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16