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特開2023-184331電子部品、コイル部品、および電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184331
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電子部品、コイル部品、および電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20231221BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20231221BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F41/04 C
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098412
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】冨永 隆一朗
(72)【発明者】
【氏名】國森 敬介
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
【テーマコード(参考)】
5E043
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043EA04
5E043EB05
5E062DD01
5E062FF01
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA12
5E070CB03
5E070CB04
5E070CB13
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】絶縁層に埋設された回路パターンを備える電子部品において、回路パターンと絶縁層外の配線導体との間での接続信頼性を向上する。
【解決手段】電子部品は、絶縁層と、絶縁層に埋設された回路パターンと、絶縁層の外に形成された配線導体と、絶縁層の開口を介して、上記回路パターンの一部である回路接続部と上記配線導体とを接続する層間接続部と、を備え、回路パターンは、上記回路接続部の上記層間接続部の直下の部分の厚みが、上記回路接続部以外の部分の平均厚みより厚い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、前記絶縁層に埋設された回路パターンと、前記絶縁層の外に形成された配線導体と、前記絶縁層の開口を介して、前記回路パターンの一部である回路接続部と前記配線導体とを接続する層間接続部と、を備え、
前記回路パターンは、前記回路接続部の前記層間接続部の直下の部分の厚みが、前記回路接続部以外の部分の平均厚みより厚い、
電子部品。
【請求項2】
前記回路パターンは、前記回路接続部の幅が、前記回路接続部以外の部分の幅より広い、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記回路パターンの、前記回路パターンの延在方向に直交する面に沿った断面の形状は、前記配線導体に近い側の辺である上辺の長さが、前記上辺に対向する下辺の長さより短い台形形状であり、
前記回路パターンは、前記回路接続部における前記台形形状の前記上辺の幅が、前記回路接続部以外の部分における前記台形形状の上辺の幅よりも広い、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記回路パターンは、前記配線導体から遠い側の面である底面に、前記回路パターンに沿って延在するシードパターンを有し、
前記底面に沿って延在する前記シードパターンは、前記回路接続部における幅が、前記回路接続部以外の部分における幅よりも広い、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記絶縁層の主面に直交する方向に積み重ねられた少なくとも2つの前記回路パターンを備える、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記回路パターンは、コイルを構成する、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電子部品であるコイル部品。
【請求項7】
金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、
前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて回路パターンを形成する工程と、
を備え、
前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、
前記回路パターンを形成する前記工程では、前記電解めっきにおける電流密度を10ASD以上に設定することにより、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、
電子部品の製造方法。
【請求項8】
金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、
前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて回路パターンを形成する工程と、
を備え、
前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、かつ前記金属層上に形成された感光性樹脂の表面に対しオフフォーカスに設定された投影露光装置からの照射光によって前記感光性樹脂を露光することにより、前記回路パターンの延在方向に直交する面に沿った前記絶縁壁の断面を、前記金属層に向かって幅が減少する逆テーパ状に形成し、
前記回路パターンを形成する前記工程では、前記逆テーパ状の絶縁壁により、前記幅広の開口部よりも、それ以外の開口部において、前記開口部に流入するめっき液の循環を起こりにくくすることで、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、
電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、コイル部品、および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、めっき配線により形成されたスパイラル状の回路パターンを含む複数の配線層と、めっき配線間および配線層間に形成された絶縁層と、各配線層の回路パターンの一部を電気的に接続する層間接続部と、で形成されたコイル部を、磁性紛含有樹脂に埋め込んで構成されるコイル部品が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-136467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコイル部品では、動作時における温度上昇や環境温度の変化に伴って、層間接続部に応力が加わる。この応力は層間接続部の底面に集中し、そこを起点に接続が破断すると考えられる。このため、隣接する2つの配線層間での回路パターンの距離が広く、層間接続部が厚いと、発生する応力も大きなものとなり、層間接続部の接続信頼性が低下してしまうことが懸念される。また、一の配線層の回路パターンの上に他の配線層の回路パターンをめっき形成する場合に、厚い層間接続部の上部に他の配線層の回路パターンを連続してめっき形成すると、上記他の配線層の回路パターンの上面には、層間接続部に対応する位置に凹みが生じやすく、この凹みが、これらの配線層の間における回路パターンの接続信頼性を低下させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、絶縁層に埋設された回路パターンを備える電子部品において、回路パターンと絶縁層外の配線導体との間での接続信頼性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、絶縁層と、前記絶縁層に埋設された回路パターンと、前記絶縁層の外に形成された配線導体と、前記絶縁層の開口を介して、前記回路パターンの一部である回路接続部と前記配線導体とを接続する層間接続部と、を備え、前記回路パターンは、前記回路接続部の前記層間接続部の直下の部分の厚みが、前記回路接続部以外の部分の平均厚みより厚い、電子部品である。
本発明の他の態様は、金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて回路パターンを形成する工程と、を備え、前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、前記回路パターンを形成する前記工程では、前記電解めっきにおける電流密度を10ASD以上に設定することにより、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、電子部品の製造方法である。
本発明の他の態様は、金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて前記回路パターンを形成する工程と、を備え、前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、かつ前記金属層上に形成された感光性樹脂の表面に対しオフフォーカスに設定された投影露光装置からの照射光によって前記感光性樹脂を露光することにより、前記回路パターンの延在方向に直交する面に沿った前記絶縁壁の断面を、前記金属層に向かって幅が減少する逆テーパ状に形成し、前記回路パターンを形成する前記工程では、前記逆テーパ状の絶縁壁により、前記幅広の開口部よりも、それ以外の開口部において、前記開口部に流入するめっき液の循環を起こりにくくすることで、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、電子部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絶縁層に埋設された回路パターンを備える電子部品において、回路パターンと絶縁層外の配線導体との間での接続信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係るコイル部品の内部構造を示す模式図である。
図2図1のA部における配線層の詳細図である。
図3図1に示すコイル部品の製造工程を示す図である。
図4図1に示すコイル部品の、図3に続く製造工程を示す図である。
図5図1に示すコイル部品の、図4に続く製造工程を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るコイル部品の内部構造を示す模式図である。
図7図6のB部における配線層の詳細図である。
図8図6に示すコイル部品の製造工程を示す図である。
図9図6に示すコイル部品の、図8に続く製造工程を示す図である。
図10図6に示すコイル部品の、図9に続く製造工程を示す図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係るコイル部品の内部構造を示す模式図である。
図12図11のC部における配線層の詳細図である。
図13図11に示すコイル部品の製造工程を示す図である。
図14図11に示すコイル部品の、図13に続く製造工程を示す図である。
図15図11に示すコイル部品の、図14に続く製造工程を示す図である。
図16】本発明の第4の実施形態に係るコイル部品の内部構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
以下の実施形態では、電子部品の一例としてコイル部品を説明する。なお、図面は、一部に模式図を含む場合がある。また、模式図における寸法や比率は実際の数値と異なる場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るコイル部品1の内部構造を示す模式図である。
コイル部品1は、絶縁層11と、絶縁層11に埋設された回路パターン12と、を備える。なお、絶縁層11と回路パターン12とは、配線層10を構成する。配線層10は、図示上方から視た平面視がリング状であり、回路パターン12は、その内部において上記平面視においてスパイラル状に形成されてコイル部を形成する。ここで、図1は、回路パターン12の延在方向に直交する面に沿った断面を示している。
【0011】
絶縁層11は、絶縁性材料を主材とし、例えば絶縁性樹脂である。なお、絶縁性材料は、酸化ケイ素(SiO)や酸化アルミニウム(Al)を主材とするフィラー材を含んでいてもよい。
配線層10は、磁性粉を含む樹脂である素体2に埋設されている。素体2の主面方向と配線層10の主面方向とは略平行である。
【0012】
回路パターン12は、配線層10の主面方向に沿って上記スパイラル状に形成された一本の導体である。絶縁層11は、配線層10の主面方向に延在して回路パターン12を支持する支持層11aを含む。
【0013】
回路パターン12の端部である回路接続部12aは、絶縁層11の外に形成された配線導体である引き出し配線14を介して、素体2の一の主面に形成された外部電極15に接続されている。外部電極15が形成された素体2の主面を、電極面2aと称する。電極面2aには、外部電極15以外の部分にソルダーレジスト16が塗布されている。ここで、配線層10の主面は、その面内に凹凸を含んでもよく、主面法線を含む断面視において歪みを含んでもよい。
【0014】
図2は、図1に示すA部における配線層10の部分詳細図である。図1に示す図示右方の配線層10の部分も同様に構成されている。
本実施形態では、引き出し配線14に接続された回路パターン12の回路接続部12aの幅は、回路パターン12の他の回路部分12bの幅よりも広い。なお、「回路パターン12の幅」とは、回路パターン12の延在方向に直交する面に沿った断面における最大幅を意味する。
【0015】
そして、特に、本実施形態では、引き出し配線14にそれぞれ接続された回路パターン12の回路接続部12aの厚みt1は、回路パターン12の回路接続部12a以外の部分である回路部分12bの厚みt2より厚い。これにより、コイル部品1では、回路パターンの全体が同じ厚みで形成される従来の構成に比べて、回路パターン12の回路接続部12aと引き出し配線14との間の距離を縮めて、層間接続部13(図示点線で囲まれた部分)の厚みを薄くして、回路パターン12と引き出し配線14とを接続することができる。なお、厚みt1は、より正確には、回路接続部12aの層間接続部13直下の部分の厚みであり、厚みt2は、回路部分12bの平均厚みである。また、回路接続部12aの層間接続部13直下の部分の厚みを測定する際、回路接続部12aと層間接続部13との境界については、透過型電子顕微鏡で撮像された断面画像に表示された界面を基準にすればよい。
ただし 、厚みt1が厚みt2より厚い、というとき、それぞれの厚みを厳密かつ精細に測定する必要はない。例えば、図2のようにある断面において、厚みt1の最大値が、厚みt2より明らかに大きい場合は、厚みt1が厚みt2より厚い、と言える。また、例えば、測定された厚みt1の最大値に対して、回路部分12bの各箇所で厚みt2が当該最大値を超えることなく、かつ回路部分12bが当該最大値を下回る箇所を少しでも含んでいれば、厚みt1が厚みt2より厚い、と言える。また、例えば、回路部分12bの一部の箇所で、厚みt2が測定された厚みt1の最大値と同等となったとしても、その一部の箇所の回路部分12bにおける割合以上に厚みt2が当該最大値を下回る箇所の割合が多ければ、厚みt1が厚みt2より厚い、と言える。
【0016】
その結果、コイル部品1では、環境温度の変動等に起因して層間接続部13に加わる応力を低減して、絶縁層11に埋設された回路パターン12と引き出し配線14との接続信頼性を向上することができる。
【0017】
コイル部品1は、例えば、以下のように作製され得る。
図3図4、及び図5は、コイル部品1の製造工程を示す図である。
図3において、まず、基板3を準備し(S100)、基板3上に、絶縁層11の一部となる絶縁性樹脂である樹脂層4を形成する(S102)。次に、樹脂層4の上にシード層5aを形成する(S104)。シード層5aは、SAP(Semi Additive Process;セミアディティブ工法)によるめっき成長を行うための、銅金属から成る給電膜であり、スパッタまたは無電解めっきを用いて形成され得る金属層である。
【0018】
次に、シード層5aの上にレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路パターン12を形成するための開口部を設ける。これにより、開口部を設けられたレジスト6として、シード層5a上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する(S106)。続いて、当該絶縁壁の間であるレジスト6の開口部に沿って電解めっきにより銅金属をめっき成長して回路パターン12を形成し(S108)、レジスト6およびシード層5aを除去する(S110)。ここで、ステップS106では、回路接続部12aを形成する位置において、レジスト6の間隔をそれ以外の間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成しておく。さらに、ステップS108では、電解めっきにおける電流密度は、10ASD(Ampere per Square Decimeter)以上の高電流密度に設定することにより、幅広の開口部のめっきの成長速度をそれ以外の開口部よりも有意に高めて、幅広の開口部に形成される回路接続部12aに、それ以外の回路部分12bよりも厚みが厚い回路パターン12を形成する。
【0019】
図4を参照し、次に、回路パターン12を覆うように絶縁性樹脂をパターンニングして、絶縁層11を形成する(S112)。これにより、回路パターン12が絶縁層11に埋設された配線層10が形成される。
【0020】
次に、絶縁層11の上面にシード層5bを形成する(S114)。続いて、シード層5b上にレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路接続部12a上にレジスト6の開口を形成する(S116)。そして、レジスト6の開口部においてシード層5bを用いた電解めっきを行い、回路接続部12aの上部に引き出し配線14を形成したのち(S118)、レジスト6を除去する(S120)。
【0021】
図5を参照し、次に、配線層10および引き出し配線14を覆うように上部磁性層7を形成し、表面を研削して引き出し配線14の上面を露出させる(S122)。続いて、基板3を剥離したのち(S124)、下部磁性層8を形成する(S126)。これにより、上部磁性層7および下部磁性層8で構成される素体2に、配線層10および引き出し配線14が埋設される。
【0022】
次に、素体2の図示上側の主面に、引き出し配線14の表面を避けてソルダーレジスト16を塗布し(S128)、引き出し配線14の上部に外部電極15の導体を、たとえばめっきにより形成して(S130)、コイル部品1が完成する。
【0023】
[第2実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るコイル部品20の内部構造を示す模式図である。また、図7は、図6におけるB部の部分詳細図である。図6および図7において、図1および図2に示すコイル部品1の構成要素と同じ構成要素については、図1および図2に示す符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した図1及び図2についての説明を援用する。
【0024】
コイル部品20は、コイル部品1と同様の構成を有するが、配線層10に代えて配線層21を有する。配線層21は、配線層10と同様の構成を有するが、絶縁層11および回路パターン12に代えて、絶縁層22および回路パターン23を有する。絶縁層22は、絶縁層11の支持層11aと同様の支持層22aを有する。また、回路パターン23は、回路パターン12の回路接続部12aおよび回路部分12bと同様の、回路接続部23aおよび回路部分23bを有する。
【0025】
回路パターン23は、回路パターン12と同様の構成を有するが、回路パターン23の延在方向に直交する面に沿った断面の形状が、回路パターン12と異なる。すなわち、回路パターン23の断面形状は、配線層21の外に形成された引き出し配線14に近い側の辺である上辺の長さが当該上辺に対向する下辺の長さより短い台形形状である。また、回路パターン23は、回路接続部23aにおける上記台形形状の上辺の幅W1が、回路接続部23a以外の部分である回路部分23bにおける上記台形形状の上辺の幅W2よりも広い。
【0026】
上記の構成を有するコイル部品20では、台形断面を有する回路パターン23は、例えば、支持層21aと、支持層21a上において回路パターン23を幅方向から挟む位置に設けられる一対の絶縁壁と、が形成する台形断面形状の開口部内においてめっき成長により形成され得る。この場合、めっき成長が行われる台形断面形状の開口部の上辺の狭い開口からめっき液が流入するので(図8のステップS206、S208参照)、矩形断面の回路パターンを形成する場合に比べて、上記開口部におけるめっき液の循環が起きにくく、開口の幅の差に対するめっき成長速度の差が大きくなる。
【0027】
このため、コイル部品20では、回路部分23bに比べて、幅広の回路接続部23aの厚みをより厚く形成することができ、層間接続部13の厚みをより容易に低減することができる。その結果、回路接続部23aと引き出し配線14との間の層間接続部13の厚みを薄くして、環境温度の変動等に起因して層間接続部13に加わる応力を低減し、回路パターン23と引き出し配線14との接続信頼性を向上することができる。
【0028】
コイル部品20は、例えば、以下のように作製され得る。
図8図9、及び図10は、コイル部品20の製造工程を示す図である。
図8において、まず、基板3を準備し(S200)、基板3上に、絶縁層22の一部となる絶縁性樹脂である樹脂層4を形成する(S202)。次に、樹脂層4の上にシード層5aを形成する(S204)。シード層5aは、SAPによるめっき成長を行うための、銅金属から成る給電膜であり、スパッタまたは無電解めっきを用いて形成され得る金属層である。
【0029】
次に、シード層5aの上に感光性樹脂のレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路パターン23を形成するための開口部6a、6bを設ける(S206)。このとき、基板3上において、フォトリソグラフィに用いる投影露光装置のフォーカス位置を、例えば、ネガタイプのレジスト6の表面よりも上方向にずらして設定する。これにより、現像後においてシード層5a上に残るレジスト6は、基板3の方向に向かって幅が減少する逆テーパ形状となる。
【0030】
ここで、ステップS206において金属層であるシード層5a上に残るレジスト6は、本開示における金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁に相当する。なお、レジスト6がポジタイプである場合には、投影露光装置のフォーカス位置を、レジスト6の表面より下方向にずらすことで、同様の逆テーパ形状の断面を形成することができる。すなわち、レジスト6がネガタイプであっても、ポジタイプであっても、レジスト6の表面に対しオフフォーカスに設定された投影露光装置からの照射光によってレジスト6を露光することにより、レジスト6の断面を、逆テーパ形状に形成できる。
【0031】
続いて、レジスト6の開口部に沿って電解めっきにより銅金属をめっき成長して断面台形の回路パターン23を形成し(S208)、レジスト6およびシード層5aを除去する(S210)。ステップS206において形成されるレジスト6の壁の断面は逆テーパ状に形成されるため、これらの壁の間に形成される開口部6a、6bは、レジスト壁が矩形である場合に比べてめっき液が流入する幅が狭くなる。
【0032】
このため、レジスト6の逆テーパ状の壁の間隔が狭くなるにしたがって、めっき成長の速度は大きく低下する。このため、台形断面の回路パターン23を形成する本実施形態のコイル部品20では、上述したコイル部品1の場合(図3のステップS108)に比べてステップS208におけるめっき成長の際の電流密度をより低く設定した状態で、回路部分23bに対して回路接続部23aの厚みを、容易により厚く形成することができる。
【0033】
図9を参照し、次に、回路パターン23を覆うように絶縁性樹脂をパターンニングして、絶縁層22を形成する(S212)。これにより、回路パターン23が絶縁層22に埋設された配線層21が形成される。
【0034】
次に、絶縁層22の上面にシード層5bを形成する(S214)。続いて、シード層5b上にレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路接続部23a上にレジスト6の開口を形成する(S216)。そして、レジスト6の開口部においてシード層5bを用いた電解めっきを行って、回路接続部23aの上部に引き出し配線14を形成したのち(S218)、レジスト6を除去する(S220)。
【0035】
図10を参照し、次に、配線層21および引き出し配線14を覆うように上部磁性層7を形成し、表面を研削して引き出し配線14の上面を露出させる(S222)。続いて、基板3を剥離したのち(S224)、下部磁性層8を形成する(S226)。これにより、上部磁性層7および下部磁性層8で構成される素体2に、配線層21および引き出し配線14が埋設される。
【0036】
次に、素体2の図示上側の主面に、引き出し配線14の表面を避けてソルダーレジスト16を塗布し(S228)、引き出し配線14の上部に外部電極15の導体を、たとえばめっきにより形成して(S230)、コイル部品20が完成する。
【0037】
[第3実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係るコイル部品30の内部構造を示す模式図である。また、図12は、図11におけるC部の部分詳細図である。図11および図12において、図1および図2に示すコイル部品1の構成要素と同じ構成要素については、図1および図2に示す符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した図1及び図2についての説明を援用する。
【0038】
コイル部品30は、コイル部品1と同様の構成を有するが、配線層10に代えて配線層31を有する。配線層31は、配線層10と同様の構成を有するが、回路パターン12に代えて回路パターン33を有する。回路パターン33は、回路パターン12の回路接続部12aおよび回路部分12bと同様の回路接続部33aおよび回路部分33bを有する。回路パターン33は、回路パターン12と同様の構成を有するが、絶縁層11の一部である支持層11a上に形成されたシードパターン34を含む。シードパターン34は、SAPを用いためっき成長により回路パターン33を作製する際に用いられる。シードパターン34は、回路パターン33のうち回路接続部33aが含むシードパターン34aと、回路部分33bが含むシードパターン34bと、を含む。
【0039】
そして、本実施形態では、特に、回路部分33bが含むシードパターン34bの幅W4に対し、回路接続部33aが含むシードパターン34aの幅W3が広い。
これにより、コイル部品30では、回路パターン33の形成時における、回路接続部33aのめっき成長速度を、回路部分33bのめっき成長速度より高めて、回路部分33bに対し回路接続部33aの厚みを厚くすることができる。その結果、回路接続部33aと引き出し配線14との間の層間接続部13の厚みを薄くして、環境温度の変動等に起因して層間接続部13に加わる応力を低減し、回路パターン33と引き出し配線14との接続信頼性を向上することができる。
【0040】
コイル部品30は、例えば、以下のように作製され得る。
図13図14、及び図15は、コイル部品30の製造工程を示す図である。
図13において、まず、基板3を準備し(S300)、基板3上に、絶縁層11の一部となる絶縁性樹脂である樹脂層4を形成する(S302)。次に、樹脂層4の上にシード層5aを形成する(S304)。シード層5aは、SAPによるめっき成長を行うための、銅金属から成る給電膜であり、スパッタまたは無電解めっきを用いて形成され得る金属層である。
【0041】
次に、フォトリソグラフィによりシード層5aをパターンニングして、シードパターン34を形成する(S306)。シードパターン34は、後の工程において回路パターン33のめっき成長に用いられる。シードパターン34は、回路接続部33aのめっき成長に用いられるシードパターン34aと、回路部分33bのめっき成長に用いられるシードパターン34bと、を含む。
【0042】
次に、シード層5aの上にレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路パターン33を形成するための開口部を設ける(S308)。
【0043】
続いて、レジスト6の開口部に沿って電解めっきにより銅金属をめっき成長して回路パターン33を形成し(S310)、レジスト6およびシード層5aを除去する(S312)。
【0044】
図14を参照し、次に、回路パターン33を覆うように絶縁性樹脂をパターンニングして、絶縁層11を形成する(S314)。これにより、回路パターン33が絶縁層11に埋設された配線層31が形成される。
【0045】
次に、絶縁層11の上面にシード層5bを形成する(S316)。続いて、シード層5b上にレジスト6を塗布し、フォトリソグラフィを用いたパターンニングにより、回路接続部33a上にレジスト6の開口を形成する(S318)。そして、レジスト6の開口部においてシード層5bを用いた電解めっきを行い、回路接続部33aの上部に引き出し配線14を形成したのち(S320)、レジスト6を除去する(S322)。
【0046】
図15を参照し、次に、配線層31および引き出し配線14を覆うように上部磁性層7を形成し、表面を研削して引き出し配線14の上面を露出させる(S324)。続いて、基板3を剥離したのち(S326)、下部磁性層8を形成する(S328)。これにより、上部磁性層7および下部磁性層8で構成される素体2に、配線層31および引き出し配線14が埋設される。
【0047】
次に、素体2の図示上側の主面に、引き出し配線14の表面を避けてソルダーレジスト16を塗布し(S330)、引き出し配線14の上部に外部電極15の導体を、たとえばめっきにより形成して(S332)、コイル部品30が完成する。
【0048】
[第4実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。
図16は、本発明の第4の実施形態に係るコイル部品40の内部構造を示す模式図である。図16において、図1に示すコイル部品1の構成要素と同じ構成要素については、図1に示す符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した図1についての説明を援用する。
【0049】
コイル部品40は、素体2の主面方向に積み重ねられた2つの配線層41および42を備える。配線層41および42は、それぞれ、配線層10と同様に、絶縁層43、44に回路パターン45、46が埋設されている。
【0050】
回路パターン45は、回路パターン12と同様に、回路接続部45aと回路部分45bとを備える。回路接続部45aは、絶縁層43の開口を介して、層間接続部13により、配線層41の外に形成された配線導体である引き出し配線14と接続されている。そして、回路パターン45は、回路パターン12と同様に、回路接続部45aの厚みが、回路接続部45a以外の部分である回路部分45bの厚みより厚い。
【0051】
回路パターン46は、回路パターン12と同様に、回路接続部46aと回路部分46bとを備える。回路接続部46aは、絶縁層44の開口を介して、層間接続部47により、配線層42の外に形成された配線導体である配線層41の回路パターン45の回路部分45bと接続されている。そして、回路パターン46は、回路パターン12と同様に、回路接続部46aの厚みが、回路接続部46a以外の部分である回路部分46bの厚みより厚い。
【0052】
これにより、コイル部品40では、コイル部品1と同様に、回路パターン45の回路接続部45aと引き出し配線14との間の距離を縮めて、層間接続部13の厚みを薄くして回路パターン45と引き出し配線14とを接続することができる。同様に、コイル部品40では、回路パターン46の回路接続部46aと配線層41の回路パターン45との間の距離を縮めて、層間接続部47の厚みを薄くして回路パターン46と回路パターン45とを接続することができる。
【0053】
その結果、コイル部品40では、環境温度の変動等に起因して層間接続部13および47に加わる応力を低減して、引き出し配線14、回路パターン45、および回路パターン46の間の接続信頼性を向上することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、コイル部品40は、2つの配線層41、42を備えるものとしたが、積み重ねられた3以上の配線層を有するものとしてもよい。これらの積み重ねられる配線層のそれぞれの回路パターンは、コイル部品40の設計に応じて、それらの回路パターンの任意の場所に、それぞれの配線層の外の配線導体につながる回路接続部を設けることができる。
【0055】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、配線層を有する電子部品の一例としてコイル部品1、20、30、40を示したが、本発明が実施され得る電子部品は、その一部に配線層10、21、31、41、または42と同様の断面構造を有する配線層を一つ以上含む、コイル部品以外の任意の電子部品であり得る。そのような配線層の平面視は、リング状に限らず、電子部品における回路設計に応じて、任意の形状を有し得る。
また、上述した実施形態では、回路パターン12は、スパイラル状であったが、これに限られず、1ターン未満の周回形状や、直線状、ミアンダ状などであってもよい。
また、上述した実施形態では、外部電極15は、引き出し配線14の端面上に別途形成されていたが、これに限られず、外部電極15が、引き出し配線14の端面であってもよい。すなわち、配線導体が引き出し配線14かつ外部電極15であってもよい。外部電極15は、塗布、めっき、スパッタなどの任意の形成方法を用いて形成され、材料も銅、銀、ニッケル、錫、金など、任意のものであり得る。また、外部電極15は、異なる層を複数有する積層構造であってもよい。
また、上述した実施形態では、絶縁層11は、絶縁性樹脂であったが、ガラスやアルミナ、フェライトなどの焼結体であってもよい。また、絶縁層11は、素体2と同じ構成を有して素体2と一体化していてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態に示す特徴構成やその製造方法は、任意の電子部品において相互に組み合わせて用いることができる。例えば、一つの電子部品の中で、配線層10、21、31、41、42と同様の構成を有する任意の数の配線層を任意に組み合わせて用いてもよい。また、例えば、第2、第3、第4実施形態において、第1実施形態の高電流密度の電解めっきを組み合わせてもよいし、第1、第3および第4実施形態において、第2実施形態の逆テーパ状の絶縁壁を組み合わせてもよく、第1、第2、第4実施形態において、第3実施形態のシードパターンを組み合わせてもよい。特に、前記回路接続部の厚みを、前記回路接続部以外の部分の厚みより厚くする方法については、第1、第2、第3実施形態に例示した方法のいずれであってもよいし、これに限定されない。
【0057】
なお、上述した全ての実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形及び応用が可能である。
【0058】
また、上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【0059】
[上記実施形態がサポートする構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0060】
(構成1)絶縁層と、前記絶縁層に埋設された回路パターンと、前記絶縁層の外に形成された配線導体と、前記絶縁層の開口を介して、前記回路パターンの一部である回路接続部と前記配線導体とを接続する層間接続部と、を備え、前記回路パターンは、前記回路接続部の前記層間接続部の直下の部分の厚みが、前記回路接続部以外の部分の平均厚みより厚い、電子部品。
構成1の電子部品によれば、絶縁層に埋設された回路パターンの一部である回路接続部と配線導体との間の距離を縮めて層間接続部の厚みを薄くできるので、回路パターンと絶縁層外の配線導体との間の接続信頼性を向上することができる。
【0061】
(構成2)前記回路パターンは、前記回路接続部の幅が、前記回路接続部以外の部分の幅より広い、構成1に記載の電子部品。
構成2の電子部品によれば、回路パターンにおいて、回路接続部の厚みを、回路接続部以外の部分の厚みに対し容易に厚く形成することができる。
【0062】
(構成3)前記回路パターンの、前記回路パターンの延在方向に直交する面に沿った断面の形状は、前記配線導体に近い側の辺である上辺の長さが、前記上辺に対向する下辺の長さより短い台形形状であり、前記回路パターンは、前記回路接続部における前記台形形状の前記上辺の幅が、前記回路接続部以外の部分における前記台形形状の上辺の幅よりも広い、構成1に記載の電子部品。
構成3の電子部品によれば、回路パターンをめっき成長で形成する際に、回路パターンの幅に対するめっき成長速度の差を大きくして、回路接続部の厚みを、回路接続部以外の部分の厚みに対し容易に厚く形成することができる。
【0063】
(構成4)前記回路パターンは、前記配線導体から遠い側の面である底面に、前記回路パターンに沿って延在するシードパターンを有し、前記底面に沿って延在する前記シードパターンは、前記回路接続部における幅が、前記回路接続部以外の部分における幅よりも広い、構成1又は2に記載の電子部品。
構成4の電子部品によれば、回路接続部の厚みを、回路接続部以外の部分の厚みに対し容易に厚く形成することができる。
【0064】
(構成5)前記絶縁層の主面に直交する方向に積み重ねられた少なくとも2つの前記回路パターンを備える、構成1ないし4のいずれかに記載の電子部品。
構成5の電子部品によれば、積み重ねられた複数の回路パターン間の接続において、層間接続部の厚みを薄くして、接続の信頼性を向上することができる。
【0065】
(構成6)前記回路パターンは、コイルを構成する、構成1ないし5のいずれかに記載の電子部品であるコイル部品。
構成6のコイル部品によれば、回路パターンと他の導体との良好な接続状態を確立して、信頼性を向上することができる。
【0066】
(構成7)金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて回路パターンを形成する工程と、を備え、前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、前記回路パターンを形成する前記工程では、前記電解めっきにおける電流密度を10ASD以上に設定することにより、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、電子部品の製造方法。
構成7の電子部品の製造方法によれば、上記幅広の開口部に形成する回路パターンの厚みを、それ以外の開口部に形成する回路パターンの厚みに対し容易に厚く形成することができるので、上記幅広の開口部において回路パターンの上部に配線導体を形成する場合に、当該回路パターンと配線導体との間の接続信頼性を向上することができる。
【0067】
(構成8)金属層上に所定の間隔で配列された複数の絶縁壁を形成する工程と、前記絶縁壁の間に金属を電解めっきによりめっき成長させて前記回路パターンを形成する工程と、を備え、前記絶縁壁を形成する前記工程では、少なくとも一部の前記間隔をそれ以外の前記間隔よりも大きくした幅広の開口部を形成し、かつ前記金属層上に形成された感光性樹脂の表面に対しオフフォーカスに設定された投影露光装置からの照射光によって前記感光性樹脂を露光することにより、前記回路パターンの延在方向に直交する面に沿った前記絶縁壁の断面を、前記金属層に向かって幅が減少する逆テーパ状に形成し、前記回路パターンを形成する前記工程では、前記逆テーパ状の絶縁壁により、前記幅広の開口部よりも、それ以外の開口部において、前記開口部に流入するめっき液の循環を起こりにくくすることで、前記幅広の開口部に、それ以外の開口部よりも厚みが厚い回路パターンを形成する、電子部品の製造方法。
構成8の電子部品の製造方法によれば、上記幅広の開口部に形成する回路パターンの厚みを、それ以外の開口部に形成する回路パターンの厚みに対し容易に厚く形成することができるので、上記幅広の開口部において回路パターンの上部に配線導体を形成する場合に、当該回路パターンと配線導体との間の接続信頼性を向上することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、20、30、40…コイル部品、2…素体、3…基板、4…樹脂層、5a、5b…シード層、6…レジスト、6a、6b…開口部、7…上部磁性層、8…下部磁性層、10、21、31、41、42…配線層、11、22、43、44…絶縁層、11a、32a…支持層、12、33、45、46…回路パターン、12a、23a、45a、46a…回路接続部、12b、23b、45b、46b…回路部分、13、47…層間接続部、14…引き出し配線、15…外部電極、16…ソルダーレジスト、34、34a、34b…シードパターン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16