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特開2023-184350認証システム、車載認証システム、及び認証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184350
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】認証システム、車載認証システム、及び認証方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20231221BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231221BHJP
【FI】
H04B1/38
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098458
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】須藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 武洋
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅志
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA21
5K011GA03
5K011JA01
5K011KA12
5K011KA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な認証システム、車載認証システム、及び認証方法を提供する。
【解決手段】認証システムは、第1周波数帯で通信する第1送信部と、第2周波数帯で通信する第1送受信部とを有する第1通信装置と、前記第1周波数帯で通信する第1受信部と、前記第2周波数帯で通信する第2送受信部とを有する第2通信装置とを含み、前記第1通信装置は、前記第1送信部から前記第1周波数帯のコマンドを送信し、前記第2通信装置は、前記第1受信部で前記コマンドを受信すると、前記第2送受信部を起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含む前記第2周波数帯のレスポンス信号を前記第2通信装置から送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数帯で通信する第1送信部と、第2周波数帯で通信する第1送受信部とを有する第1通信装置と、
前記第1周波数帯で通信する第1受信部と、前記第2周波数帯で通信する第2送受信部とを有する第2通信装置と
を含み、
前記第1通信装置は、前記第1送信部から前記第1周波数帯のコマンドを送信し、
前記第2通信装置は、前記第1受信部で前記コマンドを受信すると、前記第2送受信部を起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含む前記第2周波数帯のレスポンス信号を前記第2通信装置から送信する、認証システム。
【請求項2】
前記第1通信装置は、前記第1送信部を複数有し、前記複数の第1送信部のいずれか一つから前記コマンドを送信した後に、前記複数の第1送信部から順次前記第1周波数帯の信号強度測定用信号を送信し、
前記第2通信装置は、前記第1受信部で複数の前記信号強度測定用信号を受信した際の信号強度を取得する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記レスポンス信号に含まれる前記認証鍵が有効と判定すると、前記第2通信装置のIDを含む測距信号の送信を要求する前記第2周波数帯の測距要求信号を前記第1送受信部から送信し、
前記第2通信装置は、自己のIDを含む前記測距要求信号を受信すると、前記第2送受信部から前記第2周波数帯の測距用信号を送信し、
前記第1通信装置は、前記測距要求信号と、前記測距用信号とに基づいて、前記第2通信装置との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて、前記測距用信号の送信元が、正当な前記第2通信装置であるか、又は、不正な中継装置であるかを判定する、請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記第1通信装置は、第3周波数帯で通信する第2受信部を有し、
前記第2通信装置は、前記第3周波数帯で通信する第2送信部を有し、
前記第2通信装置は、前記第2送受信部から前記測距用信号を送信した後に、前記第2送信部から前記第3周波数帯の位置判定用信号を送信し、
前記位置判定用信号は、複数の前記第1送信部から送信された複数の前記信号強度測定用信号の前記第1受信部における受信強度に基づいて、複数の前記第1送信部と前記第2通信装置との相対位置を表す信号であり、
前記第1通信装置は、前記第2受信部で前記位置判定用信号を受信すると、前記位置判定用信号が表す複数の前記第1送信部と前記第2通信装置との相対位置に基づいて、前記第2通信装置の位置を判定する、請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記第2通信装置は、前記測距用信号を送信した後で、前記位置判定用信号を送信する前に、所定時間にわたって前記第2送受信部への電力供給を抑制する、請求項4に記載の認証システム。
【請求項6】
前記第2通信装置は、主電源部を有し、
前記第2送受信部は、補助電源部と、前記主電源部から前記補助電源部への電力供給を制御する電力制御部とを有し、
前記第2通信装置は、前記電力制御部が前記所定時間にわたって前記主電源部から前記補助電源部への電力供給を制限することによって、前記所定時間にわたって前記第2送受信部への電力供給を抑制する、請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
前記第2通信装置は、前記信号強度測定用信号の信号強度から推定される前記第1通信装置との間の距離が所定距離以上であると判定すると、前記レスポンス信号を送信しない、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の認証システム。
【請求項8】
第1周波数帯で通信する第1送信部と、第2周波数帯で通信する第1送受信部とを有する車載器と、
前記第1周波数帯で通信する第1受信部と、前記第2周波数帯で通信する第2送受信部とを有する携帯機と
を含み、
前記車載器は、前記第1送信部から前記第1周波数帯のコマンドを送信し、
前記携帯機は、前記第1受信部で前記コマンドを受信すると、前記第2送受信部を起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含む前記第2周波数帯のレスポンス信号を前記携帯機から送信する、車載認証システム。
【請求項9】
第1周波数帯で通信する第1送信部と、第2周波数帯で通信する第1送受信部とを有する第1通信装置と、
前記第1周波数帯で通信する第1受信部と、前記第2周波数帯で通信する第2送受信部とを有する第2通信装置と
を含む認証システムにおける認証方法であって、
前記第1通信装置は、前記第1送信部から前記第1周波数帯のコマンドを送信し、
前記第2通信装置は、前記第1受信部で前記コマンドを受信すると、前記第2送受信部を起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含む前記第2周波数帯のレスポンス信号を前記第2通信装置から送信する、認証方法。
【請求項10】
前記第1通信装置は、前記第1送信部を複数有し、前記複数の第1送信部のいずれか一つから前記コマンドを送信した後に、前記複数の第1送信部から順次前記第1周波数帯の信号強度測定用信号を送信し、
前記第2通信装置は、前記第1受信部で複数の前記信号強度測定用信号を受信した際の信号強度を取得する、請求項9に記載の認証方法。
【請求項11】
前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記レスポンス信号に含まれる前記認証鍵が有効と判定すると、前記第2通信装置のIDを含む測距信号の送信を要求する前記第2周波数帯の測距要求信号を前記第1送受信部から送信し、
前記第2通信装置は、自己のIDを含む前記測距要求信号を受信すると、前記第2送受信部から前記第2周波数帯の測距用信号を送信し、
前記第1通信装置は、前記測距要求信号と、前記測距用信号とに基づいて、前記第2通信装置との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて、前記測距用信号の送信元が、正当な前記第2通信装置であるか、又は、不正な中継装置であるかを判定する、請求項10に記載の認証方法。
【請求項12】
前記第1通信装置は、第3周波数帯で通信する第2受信部を有し、
前記第2通信装置は、前記第3周波数帯で通信する第2送信部を有し、
前記第2通信装置は、前記第2送受信部から前記測距用信号を送信した後に、前記第2送信部から前記第3周波数帯の位置判定用信号を送信し、
前記位置判定用信号は、複数の前記第1送信部から送信された複数の前記信号強度測定用信号の前記第1受信部における受信強度に基づいて、複数の前記第1送信部と前記第2通信装置との相対位置を表す信号であり、
前記第1通信装置は、前記第2受信部で前記位置判定用信号を受信すると、前記位置判定用信号が表す複数の前記第1送信部と前記第2通信装置との相対位置に基づいて、前記第2通信装置の位置を判定する、請求項11に記載の認証方法。
【請求項13】
前記第2通信装置は、前記測距用信号を送信した後で、前記位置判定用信号を送信する前に、所定時間にわたって前記第2送受信部への電力供給を抑制する、請求項12に記載の認証方法。
【請求項14】
前記第2通信装置は、主電源部を有し、
前記第2送受信部は、補助電源部と、前記主電源部から前記補助電源部への電力供給を制御する電力制御部とを有し、
前記第2通信装置は、前記電力制御部が前記所定時間にわたって前記主電源部から前記補助電源部への電力供給を制限することによって、前記所定時間にわたって前記第2送受信部への電力供給を抑制する、請求項13に記載の認証方法。
【請求項15】
前記第2通信装置は、前記信号強度測定用信号の信号強度から推定される前記第1通信装置との間の距離が所定距離以上であると判定すると、前記レスポンス信号を送信しない、請求項10乃至14のいずれか1項に記載の認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証システム、車載認証システム、及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第2通信装置との間において送受信を行う第1通信装置がある。当該第1通信装置は、第1送受信回路と第2送受信回路とを備える。第1送受信回路は前記第2通信装置の位置の判定に用いられる判定用信号を前記第2通信装置と送受信する。前記第2送受信回路は前記第2通信装置までの距離を測定するために用いられる測距用信号を前記第2通信装置と送受信する。前記測距用信号の送信は前記判定用信号の送信以前に行われる。送信以前とは、送信と同時を含む意味である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/090507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の第1通信装置及び第2通信装置を含むシステムでは、測距用信号の送信を判定用信号の送信以前に行うことになっているが、第1通信装置がスリープ状態にある第2通信装置を起動させるWAKEUP信号(コマンド)をLF帯で送信した後に、認証鍵を含むレスポンス信号を第2通信装置が早期に第1通信装置に送信する点については何らの工夫もなされていない。このため、従来の第1通信装置及び第2通信装置を含むシステムは、ユーザの操作に対する応答時間を短縮できていない。
【0005】
そこで、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な認証システム、車載認証システム、及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の認証システムは、第1周波数帯で通信する第1送信部と、第2周波数帯で通信する第1送受信部とを有する第1通信装置と、前記第1周波数帯で通信する第1受信部と、前記第2周波数帯で通信する第2送受信部とを有する第2通信装置とを含み、前記第1通信装置は、前記第1送信部から前記第1周波数帯のコマンドを送信し、前記第2通信装置は、前記第1受信部で前記コマンドを受信すると、前記第2送受信部を起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含む前記第2周波数帯のレスポンス信号を前記第2通信装置から送信する。
【発明の効果】
【0007】
ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な認証システム、車載認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の車載認証システムを示す図である。
図2】車両におけるLF送信部、UWBアンカー、RF受信部の搭載位置の一例を示す図である。
図3】車載認証システムにおける通信装置と、2個のキーフォブとの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4】通信装置の制御装置が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
図5】キーフォブが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の認証システム、車載認証システム、及び認証方法を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の車載認証システム300を示す図である。車載認証システム300は、実施形態の認証システムを車両に適用したものであり、実施形態の認証システムの一例である。また、車載認証システム300は、実施形態の認証方法を実行する。
【0011】
<車載認証システム300の構成>
車載認証システム300は、通信装置100及びキーフォブ200を備え、車両のスマートエントリーシステムを実現する。通信装置100は第1通信装置の一例であるとともに車載器の一例であり、車両に搭載されている。キーフォブ200は第2通信装置の一例であるとともに携帯機の一例である。キーフォブ200は、実際には1つの通信装置100に対して複数存在するが、図1には1つだけ示す。
【0012】
<通信装置100の構成>
通信装置100は、車両のECU(Electronic Control Unit)であり、制御装置(Micro Controller)101と、LF(Low Frequency)アンテナ151、UWB(Ultra Wide Band)アンテナ152、及びRF(Radio Frequency)アンテナ153とを備える。制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。図1では、1つの制御装置101として示すが、物理的に分かれた複数の制御装置の集合であってもよい。
【0013】
制御装置101は、LF制御部110、UWB制御部120、及びRF制御部130を有する。LF制御部110及びLFアンテナ151は、LF送信部110Aを構成する。LF送信部110Aは、第1周波数帯の一例であるLF帯で通信する第1送信部の一例である。UWB制御部120及びUWBアンテナ152は、UWBアンカー120Aを構成する。UWBアンカー120Aは、第2周波数帯の一例であるUWB帯で通信する第1送受信部の一例である。RF制御部130及びRFアンテナ153は、RF受信部130Aを構成する。RF受信部130Aは、第3周波数帯の一例であるRF帯で通信する第2受信部の一例である。
【0014】
LF制御部110、UWB制御部120、及びRF制御部130は、それぞれ、LF送信部110A、UWBアンカー120A、及びRF受信部130Aにおける通信制御を行う。なお、LF送信部110A及びUWBアンカー120Aは、車両に複数設けられている。通信制御の詳細については図3及び図4を用いて後述する。
【0015】
LFアンテナ151、UWBアンテナ152、及びRFアンテナ153は、それぞれ、LF帯、UWB帯、及びRF帯で通信するために最適化されたアンテナである。一例として、LF帯は、20kHz~25kHzまたは120kHz~135kHzであり、ここでは一例として125kHzである。UWB帯は、2GHz~10GHzであり、ここでは一例として8GHzである。RF帯は、300MHz~3GHzであり、ここでは一例として315MHzである。
【0016】
<キーフォブ200の構成>
キーフォブ200は、車両のユーザが所持するスマートキーである。キーフォブ200は、車両とともに提供されるスマートキーであってもよいし、ユーザのスマートフォンであってもよい。
【0017】
キーフォブ200は、LFIC(Low Frequency Integrated Circuit)201、UWBIC(Ultra Wide Band Integrated Circuit)220、LFアンテナ251、UWBアンテナ252、RFアンテナ253、及びバッテリ270を備える。バッテリ270は、主電源部の一例である。
【0018】
LFIC201は、一例として、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むMCU(Micro Controller Unit)によって実現される。LFIC201は、LF制御部210及びRF制御部230を有する。LF制御部210及びLFアンテナ251は、LF受信部210Aを構成する。LF受信部210Aは、第1周波数帯の一例であるLF帯で通信する第1受信部の一例である。RF制御部230及びRFアンテナ253は、RF送信部230Aを構成する。RF送信部230Aは、第3周波数帯の一例であるRF帯で通信する第2送信部の一例である。LF制御部210及びRF制御部230は、それぞれ、LF受信部210A及びRF送信部230Aにおける通信制御を行う。通信制御の詳細については図3及び図4を用いて後述する。
【0019】
UWBIC220は、UWB制御部221、電力制御部222、及び負荷223を有する。UWB制御部221及びUWBアンテナ252は、UWB送受信部220Aを構成する。UWB送受信部220Aは、第2周波数帯の一例であるUWB帯で通信する第2送受信部の一例である。
【0020】
UWB制御部221は、UWB送受信部220Aにおける通信制御を行う。UWB制御部221は、バッテリ270から電力供給を受けるが、バッテリ270との間の電力供給路の詳細は省略する。通信制御の詳細については図3及び図4を用いて後述する。
【0021】
電力制御部222は、バッテリ270と負荷223との間に接続されており、バッテリ270から負荷223に供給される電力の量を制御する。電力制御部222の制御は、UWB制御部221によって行われる。
【0022】
負荷223は、UWBIC220の電力を消費する負荷回路である。負荷223は、UWBIC220の電力を消費する負荷回路であれば、どのようなものであってもよい。例えば、負荷223は、バッテリ270からUWBIC220に供給される電力によって充電され、UWB制御部221に電力を供給する補助電源部であってもよい。補助電源部は、バッテリ270とは別にUWB制御部221に電力を供給する補助的な電源であり、例えば、バッファコンデンサで実現可能である。なお、負荷223は、UWBIC220の外部に設けられていてもよい。この場合でも、UWBIC220が負荷223を有することとする。
【0023】
電力制御部222は、測距信号の送受信処理の完了後において、UWB制御部221がフラグ等を含むデータを通信装置100に送信してから、RF制御部230が後述する位置判定用信号を通信装置100に送信する前に、バッテリ270から負荷223に供給される電力の量を抑制して待機し、バッテリ270の電圧を早期に復帰させる。このような電力制御部222の制御は、UWB制御部221によって行われる。詳細については図3を用いて後述する。
【0024】
LFアンテナ251、UWBアンテナ252、及びRFアンテナ253は、それぞれ、LF帯、UWB帯、及びRF帯で通信するために最適化されたアンテナである。
【0025】
バッテリ270は、携帯型のキーフォブ200の電力供給源であり、一例としてリチウムイオンバッテリである。バッテリ270は、リチウムイオンバッテリ以外の蓄電池であってもよいが、充電可能な二次電池であることが好ましい。バッテリ270は、LFIC201及びUWBIC220に直流電力を供給する。
【0026】
<車載認証システム300の動作の概要>
複数のLF送信部110Aのうちの1つは、LF帯のコマンドを送信する。コマンドの送信後に、複数のLF送信部110Aは、LF帯の信号強度測定用信号を時分割的に順番に送信する。すなわち、複数のLF送信部110Aは、LF帯の信号強度測定用信号を順次送信する。コマンドは、一例として、車両10の運転席側のドアノブにユーザが触れたときに、LF送信部110Aから送信され、受信したキーフォブ200が起動する。
【0027】
キーフォブ200は、LF受信部210Aでコマンドを受信すると、UWB送受信部220Aを起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含むUWB帯のレスポンス信号をキーフォブ200から送信する。
【0028】
また、信号強度測定用信号は、各キーフォブ200の位置を判定するために、複数のLF送信部110Aが時分割的に順番に送信する搬送波である。各キーフォブ200は、複数のLF送信部110Aから受信した搬送波の信号強度(一例としてRSSI(Received Signal Strength Indicator)値)に基づいて、複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を求める。
【0029】
コマンドを受信した1又は複数のキーフォブ200は、レスポンス信号を通信装置100に送信し、レスポンス信号が最も早く通信装置100によって受信された1個のキーフォブ200が早い者勝ち形式で勝ち残り、通信装置100と認証処理を続行する。
【0030】
UWBアンカー120Aは、一例として2個ある。2個のUWBアンカー120Aは、早い者勝ち形式で勝ち残ったキーフォブ200と測距信号の送受信処理を行う際に、1回ずつ測距信号をキーフォブ200に送信する。
【0031】
RF受信部130Aは、測距信号の送受信処理の完了後に、キーフォブ200からRF帯の位置判定用信号を受信する。位置判定用信号は、複数のLF送信部110Aからキーフォブ200に送信された複数の搬送波のキーフォブ200のLF受信部210Aにおける受信強度に基づいて、複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を表す信号である。
【0032】
通信装置100は、RF受信部130Aで位置判定用信号を受信すると、位置判定用信号が表す複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置に基づいて、キーフォブ200の位置を判定する。具体的には、複数のLF送信部110AのうちのいずれのLF送信部110Aの近くにキーフォブ200があるかを特定する。
【0033】
また、キーフォブ200は、搬送波の信号強度から推定される通信装置100との間の距離が第1所定距離以上であると判定すると、レスポンス信号を送信しない。第1所定距離は、所定距離の一例である。キーフォブ200と通信装置100との間の距離が第1所定距離以上である場合には、最終的に正当なアクセスとは判定されないため、距離が遠いことが分かった時点で、通信装置100に送信されるレスポンス信号の数を減らし、車載認証システム300全体での処理速度を向上させる。なお、第1所定距離は、一例として、1mである。
【0034】
<車両における搭載位置>
図2は、車両10におけるLF送信部110A、UWBアンカー120A、RF受信部130Aの搭載位置の一例を示す図である。
【0035】
図2は、実施形態の通信装置100を搭載した車両10を示す図である。図2には、車両10の平面視における中心を原点OとしたXY座標系を示す。+X方向は前方であり、車両10が前進する方向である。+Y方向は、車両10が前進する方向における左側である。車両10は、一例として右ハンドル車であることとする。
【0036】
図2には、一例として、通信装置100が備える6個のLF送信部110A(#1~#6)と、2個のUWBアンカー120A(#1、#2)との位置を示し、制御装置101を省略する。ここでは、6個のLF送信部110Aを番号#1~#6で識別するとともに、2個のUWBアンカー120Aを番号#1A、#2Aで識別する。また、図2には、一例として2個のキーフォブ200を示す。
【0037】
#1のLF送信部110Aは、運転席側のドア(右前ドア)の近傍に配置されている。#2のLF送信部110Aは、助手席側のドア(左前ドア)の近傍に配置されている。#3のLF送信部110Aは、車両10の後部に配置され、#4のLF送信部110Aは、車両10の室内の前端部に配置されている。#5のLF送信部110Aは、車両10の室内の中央部のうちの前側に配置され、#6のLF送信部110Aは、車両10の室内の中央部のうちの後側に配置されている。
【0038】
#1AのUWBアンカー120Aは、#5のLF送信部110Aの隣りに配置され、#2AのUWBアンカー120Aは、#6のLF送信部110Aの隣りに配置されている。RF受信部130Aは、一例として、車両10の室内の中央部で、#1AのUWBアンカー120A及び#5のLF送信部110Aと、#2AのUWBアンカー120A及び#6のLF送信部110Aとの間に配置されている。
【0039】
<タイミングチャート>
図3は、車載認証システム300における通信装置100と、2個のキーフォブ200(FOB1、FOB2)との動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、一例として車載認証システム300が2個のキーフォブ200(FOB1、FOB2)を備える形態について説明するが、キーフォブ200を3個以上備える場合でも同様である。ここでは、2個のキーフォブ200を区別するために、単にFOB1又はFOB2と称す場合がある。
【0040】
時刻t1において、#1のLF送信部110Aは、チャレンジコードを含むLF帯のコマンドを送信する。#1のLF送信部110Aは、車両10の運転席側のドアノブにユーザが触れたときに、コマンドを送信する。この結果、コマンドを受信したキーフォブ200のLFIC201が起動し、チャレンジコードをUWB送受信部220AのUWB制御部221に渡す。これにより、UWBIC220が起動する。ここでは、2個のキーフォブ200(FOB1及びFOB2)がコマンドを受信したこととする。
【0041】
時刻t2において、FOB1及びFOB2のUWBIC220が起動し、鍵1及び鍵2をそれぞれ生成する。鍵1及び鍵2は、キーフォブ200が通信装置100に応答するためのレスポンス信号用の認証鍵である。
【0042】
時刻t3において、通信装置100は、#2~#6及び#1のLF送信部110Aの順番で搬送波をLF帯で時分割的に送信する。FOB1及びFOB2のLF受信部210Aは搬送波を受信し、各搬送波を受信した際の受信強度(RSSI値)を測定する。搬送波の送信は、コマンドの送信後に行われる。
【0043】
ここで、FOB1及びFOB2のLF受信部210Aが搬送波を受信している間に、並列的に、FOB1及びFOB2のUWBIC220が鍵1及び鍵2をそれぞれ生成するので、搬送波の受信処理と鍵の生成処理とを並列的に実行でき、処理時間を短縮できる。このため、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能である。
【0044】
時刻t4において、FOB1のUWBIC220は、FOB2よりも先に、鍵1を含むデータを通信装置100に送信する。このとき、FOB2のUWBIC220は、鍵2を含むデータを未だ送信しておらず、時刻t4よりも少し遅れて送信する。このため、早い者勝ちでFOB1が通信装置100と認証処理を続行することになる。
【0045】
通信装置100は、キーフォブ200から受信したレスポンス信号に含まれる鍵1が有効と判定すると、時刻t5において、測距要求信号をFOB1に送信し、FOB1は、通信装置100から測距要求信号Rを受信する。測距要求信号Rは、通信装置100がFOB1に対してID(Identifier:識別子)を含む測距信号の送信を要求する信号である。
【0046】
時刻t6において、FOB1のUWBIC220は、IDを含むUWB帯の測距信号を通信装置100に送信し、通信装置100は、FOB1から測距信号を#1AのUWBアンカー120Aで受信する。
【0047】
時刻t7において、通信装置100は、#1AのUWBアンカー120Aから測距信号をFOB1に送信し、FOB1は、測距信号を通信装置100から受信する。FOB1は、測距信号を受信したときに位相等を測定する。
【0048】
時刻t8において、通信装置100は、#2AのUWBアンカー120Aから測距信号をFOB1に送信し、FOB1は、測距信号を通信装置100から受信する。FOB1は、測距信号を受信したときに位相等を測定する。
【0049】
時刻t9において、FOB1のUWBICは、UWB帯でIDを含む測距信号を通信装置100に送信し、通信装置100は、FOB1から測距信号を受信する。FOB1が通信装置100に送信する測距信号には、#1A及び#2AのUWBアンカー120Aから測距信号を受信した際の位相等のデータが含まれる。時刻t6~t9の処理は、通信装置100とFOB1の間で行われる測距信号の送受信処理である。
【0050】
測距信号の送受信処理の完了後の時刻t10において、FOB1のUWBIC220は、UWB帯でデータを通信装置100に送信する。このデータは、FOB1のクロックに関する情報と、フラグと、FOB1のIDとを含む。フラグは、FOB1が測距信号の送受信処理が正しく行われたことを表すフラグである。
【0051】
このように、通信装置100は、測距信号の送信(2回、t7、t8)、及び、測距信号の受信(2回:t6、t9)を行い、一例としてTOF形式で、測距信号の位相等に基づいて、車両とFOB1との間の距離を測定する。
【0052】
時刻t11において、FOB1のLFIC201のUWB制御部221は、電力制御部222を制御してバッテリ270から負荷223に供給される電力の量を抑制し、バッテリ270の電圧が所定電圧に復帰するまで待機する。待機時間は、時刻t11から所定時間後の時刻t12までであり、キーフォブ200が測距信号の送受信処理を行った後にバッテリ270の電圧が所定電圧に復帰するまでに要する時間として予め実験等で測定して決めておけばよい。
【0053】
時刻t12において、FOB1のLFIC201のRF制御部230は、RF帯で位置判定用信号を通信装置100に送信する。キーフォブ200が位置判定用信号を送信するのは、測距用信号を送信した後である。通信装置100のRF受信部130Aは、キーフォブ200からRF帯の位置判定用信号を受信する。
【0054】
位置判定用信号は、複数のLF送信部110Aからキーフォブ200に送信された複数の搬送波のキーフォブ200のLF受信部210Aにおける受信強度に基づいて、複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を表す信号であり、RF通信用の認証鍵を含む。
【0055】
より具体的には、複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置は、時刻t3以後に受信した搬送波の信号強度(RSSI値)に基づいて計算したFOB1と#1~#6のLF送信部110Aとの間の距離で表される。FOB1と#1~#6のLF送信部110Aとの間の距離を用いれば、FOB1が#1~#6のLF送信部110Aのうちのいずれに最も近いかが分かる。FOB1と#1~#6のLF送信部110Aとの間の距離(6つの距離)は、FOB1が#1~#6のLF送信部110Aのうちのいずれに最も近いかを表す。
【0056】
以上のような処理を通信装置100及びFOB1及びFOB2が行うことにより、通信装置100は、早い者勝ち形式で勝ち残ったFOB1との通信内容に基づいて、測距用信号の送信元が、正当なキーフォブ200であるか、又は、キーフォブ200になりすました不正な中継装置であるかを判定する。この判定は、測距信号の送受信処理の完了後の時刻t10に受信したデータに含まれるフラグと、制御装置101が計算した通信装置100及びキーフォブ200の間の距離と、位置判定用信号に含まれるUWB通信用の認証鍵とに基づいて、通信装置100が実行する。
【0057】
通信装置100は、測距用信号の送信元が正当なキーフォブ200であると判定すると、車両10のドア等のロックを解錠(アンロック)する。
【0058】
<通信装置100が実行する処理>
図4は、通信装置100の制御装置101が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【0059】
制御装置101は、#1のLF送信部110Aにチャレンジコードを含むLF帯のコマンドを送信させ、6個のLF送信部110Aに、#2~#6及び#1の順番で搬送波をLF帯で時分割的に送信させる(ステップS1)。
【0060】
制御装置101は、測距信号の送受信処理を行ったかどうかを判定する(ステップS2)。
【0061】
制御装置101は、測距信号の送受信処理を行った(S2:YES)と判定すると、位置判定用信号を受信したかどうかを判定する(ステップS3)。
【0062】
制御装置101は、位置判定用信号を受信した(S3:YES)と判定すると、キーフォブ200がいずれのLF送信部110Aのエリア内に存在するかどうかを判定する(ステップS4)。LF送信部110Aのエリアとは、LF送信部110Aからの距離が第2所定距離以下の範囲の領域である。いずれのLF送信部110Aのエリア内にキーフォブ200が存在するかどうかの判定とは、位置判定用信号が表す、キーフォブ200と最も近いLF送信部110Aとの間の距離が第2所定距離以下であるかどうかを判定することによって、キーフォブ200が最も近いLF送信部110Aのエリア内(第2所定距離以下の範囲内)にあることを判定することである。なお、第2所定距離は、一例として2mである。
【0063】
このため、キーフォブ200と最も近いLF送信部110Aとの間の距離が、第2所定距離以下でなければ、キーフォブ200は、いずれのLF送信部110Aのエリア内にも存在しないことになる。すなわち、キーフォブ200は、すべてのLF送信部110Aのエリア外に存在することになる。ステップS4の処理により、キーフォブ200と最も近いLF送信部110Aとの相対位置が分かり、キーフォブ200が複数のLF送信部110Aのエリア内(第2所定距離以下の範囲内)に存在するかが分かる。
【0064】
制御装置101は、いずれのLF送信部110Aのエリア内にキーフォブ200が存在する(S4:YES)と判定すると、正当なアクセスであるかどうかを判定する(ステップS5)。正当なアクセスであるかどうかは、測距信号の送受信処理の完了後に受信したデータに含まれるフラグと、制御装置101が計算した通信装置100とキーフォブ200との間の距離と、位置判定用信号に含まれるRF通信用の認証鍵とに基づいて制御装置101が判定する。
【0065】
フラグについては、フラグの値が、キーフォブ200が測距信号の送受信処理のための通信を正しく行ったことを表す値になっているかを判定すればよい。制御装置101が計算した距離については、通信装置100とキーフォブ200との間の距離が第1所定距離以下であるかどうかで判定すればよい。UWB通信用の認証鍵については、認証が成立するかどうかで判定すればよい。
【0066】
制御装置101は、正当なアクセスである(S5:YES)と判定すると、ドア等のロックをアンロックする(ステップS6A)。制御装置101は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0067】
一方、制御装置101は、ステップS5において、正当なアクセスではない(S5:NO)と判定すると、ドア等のロックをアンロックしない(ステップS6B)。制御装置101は、一連の処理を終了する(エンド)。正当なアクセスではないことは、不正なアクセスであることであり、例えば、キーフォブ200になりすました不正な中継装置によって行われるリレーアタックが行われた場合が該当する。
【0068】
なお、制御装置101は、ステップS2において、測距信号の送受信処理を行っていない(S2:NO)と判定すると、ドア等のロックをアンロックしない(ステップS6B)。制御装置101は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0069】
また、制御装置101は、ステップS3において、位置判定用信号を受信していない(S3:NO)と判定すると、ドア等のロックをアンロックしない(ステップS6B)。制御装置101は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0070】
また、制御装置101は、ステップS4において、いずれのLF送信部110Aのエリア内にもキーフォブ200が存在しない(S4:NO)と判定すると、ドア等のロックをアンロックしない(ステップS6B)。制御装置101は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0071】
<キーフォブ200が実行する処理>
図5は、キーフォブ200が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は、キーフォブ200のLFIC201又はUWBIC220が実行する。
【0072】
キーフォブ200のLF受信部210Aは、コマンドを受信する(ステップS11)。LF受信部210Aがコマンドを受信することで、キーフォブ200の処理がスタートする。
【0073】
コマンドを受信することによって、LFIC201が起動する(ステップS12)。
【0074】
LFIC201は、UWBIC220を起動する(ステップS13)。ステップS13の処理は、LFIC201のLF制御部210が実行する。
【0075】
LFIC201は、受信したコマンドに含まれるチャレンジコードをUWBIC220に転送する(ステップS14)。ステップS14の処理は、LFIC201のLF制御部210が実行する。
【0076】
UWBIC220は、UWB通信用の認証鍵(図3における鍵1、2に相当)を生成する(ステップS15A)。
【0077】
LFIC201は、UWBIC220が実行するステップS15Aの処理と並列的にステップS15B1~S15B4の処理を実行する。
【0078】
具体的には、LFIC201は、RF通信用の認証鍵を生成する(ステップS15B1)。ステップS15B1の処理は、LFIC201のRF制御部230が実行する。
【0079】
LFIC201は、搬送波の信号強度から推定される通信装置100との間の距離が第1所定距離以下であるかどうかを判定する(ステップS15B2)。ステップS15B2の処理は、LFIC201のRF制御部230が実行する。
【0080】
LFIC201は、搬送波の信号強度から推定される通信装置100との間の距離が第1所定距離以下である(S15B2:YES)と判定すると、複数回にわたって搬送波を受信し、受信した搬送波の信号強度(RSSI値)に基づいて判定したLF送信部110Aとの間の距離が第2所定距離以下であるかどうかを判定する(ステップS15B3)。ステップS15B3の処理は、LFIC201のLF制御部210が実行する。
【0081】
LFIC201は、複数回にわたって搬送波を受信し、受信した搬送波の信号強度(RSSI値)に基づいて判定したLF送信部110Aとの間の距離が所定距離以下である(S15B3:YES)と判定すると、UWBIC220に第2所定距離以下であることを通知する(ステップS15B4)。
【0082】
UWBIC220は、第2所定距離以下であることの通知があったかどうかを判定する(ステップS16)。
【0083】
UWBIC220は、測距要求信号を受信したかどうかを判定する(ステップS17)。
【0084】
UWBIC220は、測距要求信号を受信した(S17:YES)と判定すると、測距信号の送受信処理が完了したかどうかを判定する(ステップS18A)。
【0085】
UWBIC220は、測距信号の送受信処理が完了した(S18A:YES)と判定すると、電力制御部222を制御して所定時間だけ待機する(ステップS18B)。待機時間は、図3に示す時刻t11から所定時間後の時刻t12までである。
【0086】
RF制御部230は、待機時間の終了後にRF帯で位置判定用信号を通信装置100に送信する(ステップS19)。LFIC201は、一連の処理を終える(エンド)。
【0087】
なお、ステップS15B2において、搬送波の信号強度から推定される通信装置100との間の距離が第1所定距離以下ではない(S15B2:NO)とLFIC201が判定すると、LFIC201及びUWBIC220は、スリープモードに入る(ステップS18C)。スリープモードとは、上述のような判定処理を行わない省エネルギモードである。スリープモードに入ると、LFIC201及びUWBIC220は、一連の処理を終える(エンド)。この結果、キーフォブ200は、レスポンス信号を送信しないことになる。
【0088】
また、ステップS15B3において、複数回にわたって搬送波を受信し、受信した搬送波の信号強度(RSSI値)に基づいて判定したLF送信部110Aとの間の距離が第2所定距離以下ではない(S15B3:NO)とLFIC201が判定すると、LFIC201及びUWBIC220は、スリープモードに入る(ステップS18C)。
【0089】
また、ステップS16において、第2所定距離以下であることの通知がない(S16:NO)とUWBIC220が判定すると、LFIC201及びUWBIC220は、スリープモードに入る(ステップS18C)。
【0090】
また、ステップS17において、測距要求信号を受信していない(S17:NO)とUWBIC220が判定すると、LFIC201及びUWBIC220は、スリープモードに入る(ステップS18C)。
【0091】
また、ステップS18において、測距信号の送受信処理が完了していない(S18A:NO)とUWBIC220が判定すると、LFIC201及びUWBIC220は、スリープモードに入る(ステップS18C)。
【0092】
<効果>
以上のように、キーフォブ200は、LF受信部210Aでコマンドを受信すると、UWB送受信部220Aを起動してレスポンス信号用の認証鍵を生成し、生成した認証鍵を含むUWB帯のレスポンス信号をキーフォブ200から送信する。このため、キーフォブ200のLF受信部210Aが搬送波を受信している間に、UWBIC220が認証鍵を生成することで、搬送波の受信処理と鍵の生成処理とを並列的に実行でき、処理時間を短縮できる。
【0093】
したがって、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。実施形態の認証システム及び認証方法は、車両10以外の装置又は施設等に実装可能である。
【0094】
また、通信装置100は、LF送信部110Aからコマンドを送信した後に、LF送信部110AからLF帯の搬送波を送信し、キーフォブ200は、LF受信部210Aで搬送波を受信した際の信号強度を取得する。このため、搬送波を受信した際の信号強度に基づいてLF送信部110Aに対するキーフォブ200の相対位置を求めることができるとともに、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0095】
また、通信装置100は、キーフォブ200から受信したレスポンス信号に含まれる認証鍵が有効と判定すると、キーフォブ200のIDを含む測距信号の送信を要求するUWB帯の測距要求信号をUWBアンカー120Aから送信する。キーフォブ200は、自己のIDを含む測距要求信号を受信すると、UWB送受信部220AからUWB帯の測距用信号を送信する。通信装置100は、測距要求信号と、測距用信号とに基づいて、キーフォブ200との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて、測距用信号の送信元が、正当なキーフォブ200であるか、又は、キーフォブ200になりすました不正な中継装置であるかを判定する。このため、リレーアタックのような不正なアクセスを効果的に排除できるとともに、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0096】
また、通信装置100は、RF帯で通信するRF受信部130Aを有し、キーフォブ200は、RF帯で通信するRF送信部230Aを有する。キーフォブ200は、UWB送受信部220Aから測距用信号を送信した後に、RF送信部230AからRF帯の位置判定用信号を送信する。位置判定用信号は、複数のLF送信部110Aから送信された複数の信号強度測定用信号のLF受信部210Aにおける受信強度に基づいて、複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を表す信号である。通信装置100は、RF受信部130Aで位置判定用信号を受信すると、位置判定用信号が表す複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置に基づいて、キーフォブ200の位置を判定する。このため、通信装置100が複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置に基づいてキーフォブ200の位置を判定可能であるとともに、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0097】
また、キーフォブ200は、測距用信号を送信した後で、位置判定用信号を送信する前に、所定時間にわたってUWB送受信部220Aへの電力供給を抑制する。これにより、位置判定用信号を送信する前にバッテリ270の電圧を早期に復帰させて、早期に位置判定用信号を送信可能にする。このため、早期に複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を判定可能であるとともに、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0098】
キーフォブ200は、バッテリ270を有し、UWB送受信部220Aは、補助電源部としての負荷223と、バッテリ270から補助電源部(負荷223)への電力供給を制御する電力制御部222とを有する。キーフォブ200は、電力制御部222が所定時間にわたってバッテリ270から補助電源部(負荷223)への電力供給を制限することによって、所定時間にわたってUWB送受信部220Aへの電力供給を抑制する。すなわち、補助電源部としての負荷223の充電を抑制することによって、バッテリ270の電圧を早期に所定電圧まで復帰させることができ、位置判定用信号を素早く通信装置100に送信できる。このため、補助電源部としての負荷223の充電を抑制することによって、早期に複数のLF送信部110Aとキーフォブ200との相対位置を判定可能であるとともに、ユーザの操作に対する応答時間を短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0099】
また、キーフォブ200は、信号強度測定用信号の信号強度から推定される通信装置100との間の距離が第1所定距離以上であると判定すると、レスポンス信号を送信しない。キーフォブ200と通信装置100との間の距離が第1所定距離以上である場合には、最終的に正当なアクセスとは判定されないため、距離が遠いことが分かった時点で、通信装置100に送信されるレスポンス信号の数を減らし、車載認証システム300全体での処理速度を向上させることができる。レスポンス信号を送信するキーフォブ200の数を減らすことで、ユーザの操作に対する応答時間をより短縮可能な車載認証システム300、認証システム、及び認証方法を提供することができる。
【0100】
以上、本開示の例示的な実施形態の認証システム、車載認証システム、及び認証方法について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 通信装置(第1通信装置の一例、車載器の一例)
101 制御装置
110 LF制御部
110A LF送信部(第1送信部の一例)
120 UWB制御部
120A UWBアンカー(第1送受信部の一例)
130 RF制御部
130A RF受信部(第2受信部の一例)
151 LFアンテナ
152 UWBアンテナ
153 RFアンテナ
200 キーフォブ(第2通信装置の一例、携帯機の一例)
201 LFIC
210 LF制御部
210A LF受信部(第1受信部の一例)
220 UWBIC
220A UWB送受信部(第2送受信部の一例)
221 UWB制御部
222 電力制御部
223 負荷
230 RF制御部
230A RF送信部(第2送信部の一例)
251 LFアンテナ
252 UWBアンテナ
253 RFアンテナ
270 バッテリ(主電源部の一例)
300 車載認証システム(認証システムの一例)
図1
図2
図3
図4
図5