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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184353
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20231221BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098474
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】安武 佑太
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA18
2H044AC01
2H044AJ01
2H044AJ04
(57)【要約】
【課題】 本発明は、レンズまたはレンズ保持枠の位置調整を、簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【解決手段】 レンズ鏡筒は、基準レンズを保持する基準レンズ保持枠と、調整レンズを保持する調整レンズ保持枠と、略円環状であり、基準レンズ保持枠と調整レンズ保持枠に挟持されるシート部材と、を備え、基準レンズ保持枠は、調整レンズ保持枠との間でシート部材を挟持する少なくとも2つの第1の挟持部を有し、調整レンズ保持枠は、基準レンズ保持枠との間でシート部材を挟持する少なくとも2つの第2の挟持部を有し、シート部材は、第1の挟持部および第2の挟持部によって挟持される第1のシート部と、第1の挟持部と第2の挟持部の間に位置する第2のシート部と、を有し、第2のシート部の径方向における幅は、第1のシート部の径方向における幅よりも狭いことを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整レンズを保持する調整レンズ保持枠を光軸と交差する方向に移動させて位置調整するレンズ鏡筒であって、
基準レンズを保持する基準レンズ保持枠と、
前記調整レンズを保持する調整レンズ保持枠と、
略円環状であり、前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズ保持枠に挟持されるシート部材と、を備え、
前記基準レンズ保持枠は、前記調整レンズ保持枠との間で前記シート部材を挟持する少なくとも2つの第1の挟持部を有し、
前記調整レンズ保持枠は、前記基準レンズ保持枠との間で前記シート部材を挟持する少なくとも2つの第2の挟持部を有し、
前記シート部材は、前記第1の挟持部および前記第2の挟持部によって挟持される第1のシート部と、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の間に位置する第2のシート部と、を有し、
前記第2のシート部の径方向における幅は、前記第1のシート部の径方向における幅よりも狭いことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズ保持枠の前記光軸方向の間隔は、前記シート部材の厚さにより調整されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
複数の前記第1の挟持部は、円周状に略均等に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
複数の前記第2の挟持部は、円周状に略均等に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記シート部材は、前記基準レンズ保持枠に前記基準レンズ保持枠の前記第1の挟持部の近傍で係合することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記調整レンズ保持枠は、前記第2の挟持部間に切り欠き部を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記基準レンズ保持枠の前記第1の挟持部は、前記基準レンズの光軸方向に突出する凸部であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記調整レンズ保持枠の前記第2の挟持部は、前記基準レンズの光軸方向に突出する凸部であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記第1の挟持部は、前記第2の挟持部と対向するように配置され、前記第1の挟持部および対向する前記第2の挟持部はそれぞれ略同等の面積であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズ保持枠は、接着剤により固定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズ保持枠は、締結部材により固定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記第2のシート部は、径方向に延在する領域を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
前記第2のシート部は、屈曲していることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項14】
調整レンズを光軸と交差する方向に移動させて位置調整するレンズ鏡筒であって、
基準レンズを保持する基準レンズ保持枠と、
略円環状であり、前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズに挟持されるシート部材と、を備え、
前記基準レンズ保持枠は、前記調整レンズとの間で前記シート部材を挟持する少なくとも2つの第1の挟持部を有し、
前記調整レンズは、前記基準レンズ保持枠との間で前記シート部材を挟持する第2の挟持部を有し、
前記シート部材は、前記第1の挟持部および前記第2の挟持部によって挟持される第1のシート部と、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の間に位置する第2のシート部と、を有し、
前記第2のシート部の径方向における幅は、前記第1のシート部の径方向における幅よりも狭いことを特徴とするレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ鏡筒に関し、特に、レンズまたはレンズ保持枠に対して複数の光学調整を行うレンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒は、製造誤差や組立ばらつきの影響を低減させ、光学性能を向上させるために、レンズまたはレンズ保持枠の位置を調整する調整機構が設けられる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、レンズ間に所定の厚みを有するスペーサを挟み込み、レンズ同士の光軸方向の間隔調整を可能とする調整機構を備えたレンズ鏡筒が開示されている。また、特許文献2には、調整対象のレンズを光軸と交差する平面に沿って平行移動させ、基準となるレンズの光軸と調整対象のレンズの光軸を一致させる偏芯調整を可能とする調整機構を備えたレンズ鏡筒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-123220号公報
【特許文献2】特開2018-021967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高解像性能のレンズ鏡筒では、レンズの位置の要求精度が高くなり、レンズまたはレンズ保持枠に対して複数の位置調整を行う場合がある。
【0006】
例えば、まず、特許文献1のように、調整対象のレンズを保持する調整レンズ保持枠と基準となるレンズを保持する基準レンズ保持枠の間にシート部材を挟み込んで間隔調整を行う。その後、特許文献2のように、基準レンズ保持枠に対して調整レンズ保持枠を光軸と交差する平面に沿って平行移動させて偏芯調整を行うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、シート部材が薄い場合、シート部材は偏芯調整時に加わる外力により変形して縒れる恐れがある。基準レンズ保持枠と調整レンズ保持枠の受け面間に位置するシート部材が縒れた場合、調整対象のレンズは、基準となるレンズに対して傾いてしまうおそれがある。これにより、レンズ鏡筒の光学性能に悪影響を及ぼしてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、レンズまたはレンズ保持枠の位置調整を、簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、調整レンズを保持する調整レンズ保持枠を光軸と交差する方向に移動させて位置調整するレンズ鏡筒であって、基準レンズを保持する基準レンズ保持枠と、前記調整レンズを保持する調整レンズ保持枠と、略円環状であり、前記基準レンズ保持枠と前記調整レンズ保持枠に挟持されるシート部材と、を備え、前記基準レンズ保持枠は、前記調整レンズ保持枠との間で前記シート部材を挟持する少なくとも2つの第1の挟持部を有し、前記調整レンズ保持枠は、前記基準レンズ保持枠との間で前記シート部材を挟持する少なくとも2つの第2の挟持部を有し、前記シート部材は、前記第1の挟持部および前記第2の挟持部によって挟持される第1のシート部と、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の間に位置する第2のシート部と、を有し、前記第2のシート部の径方向における幅は、前記第1のシート部の径方向における幅よりも狭いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズまたはレンズ保持枠の位置調整を、簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る撮像装置1の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態1に係る第2レンズ群ユニット50の分解斜視図。
図3】本発明の実施形態1に係るシート部材51の正面図。
図4】本発明の実施形態1に係る基準レンズ保持枠12bを示す図。
図5】本発明の実施形態1に係る調整レンズ保持枠12aを示す図。
図6】本発明の実施形態1に係る第2レンズ群ユニット50の偏芯調整の様子を示す図。
図7】本発明の実施形態1に係る基準レンズ保持枠12bとシート部材51の係合状態を示す図。
図8】本発明の実施形態2に係るシート部材151の正面図。
図9】本発明の実施形態3に係るシート部材251の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明される寸法、材料および構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成または様々な条件に応じて変更できる。なお、本発明に直接的な関係を有さない部品についての説明は割愛し、不図示とする。さらに、説明の都合上、部品の形状等について、簡略化して述べる場合がある。
【0013】
<第一の実施形態>
本実施形態では、本発明を適用した撮像装置の実施形態の一例について説明する。
まず、撮像装置1の構成について説明する。図1(A)および(B)は、撮像装置1の分解斜視図である。図2(A)および(B)は、第2レンズ群ユニット50の分解斜視図である。図3は、シート部材51の正面図である。図4(A)および(B)は、基準レンズ保持枠12bを示す図である。図5は、調整レンズ保持枠12aを示す図である。
【0014】
撮像装置1は、レンズ鏡筒100と、撮像素子ユニット20と、光学フィルタ保持枠18と、を備える。
【0015】
レンズ鏡筒100は、2つの固定レンズ群および3つの移動レンズ群を有する。第1レンズ群L1および第5レンズ群L5は、光軸方向に固定される。第2レンズ群L2、第3レンズ群L3および第4レンズ群L4は、光軸方向に移動可能である。ズーミングを行う際は、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3および第4レンズ群L4を光軸方向に移動させ、フォーカシングを行う際は、第4レンズ群L4を光軸方向に移動させる。
【0016】
第1レンズ保持枠11は、第1レンズ群L1を保持する。第1レンズ保持枠11は、前側固定枠16に不図示のビスにより固定される。第5レンズ保持枠15は、第5レンズ群L5を保持する。第5レンズ保持枠15は、後側固定枠17に不図示のビスにより固定される。また、前側固定枠16は、後側固定枠17に不図示のビスにより結合される。
【0017】
第2レンズ群ユニット50は、図2に示すように、第2レンズ群L2、第2レンズ保持枠12、絞りユニット35、シート部材51、ラック31を備える。第2レンズ群L2は、調整レンズ群L2aおよび基準レンズ群L2bから構成される。第2レンズ保持枠12は、調整レンズ保持枠12aおよび基準レンズ保持枠12bから構成される。
【0018】
調整レンズ群L2aは、調整レンズ保持枠12aに保持される。調整レンズ群L2aは、基準レンズ群L2bに対して調整レンズ群L2aの光軸方向における間隔調整および偏芯調整を行う必要がある。
【0019】
基準レンズ群L2bは、基準レンズ保持枠12bに保持される。基準レンズ群L2bは、調整レンズ群L2aの間隔調整および偏芯調整の基準となる。間隔調整および偏芯調整は、詳しくは後述するように、基準レンズ保持枠12bに対して調整レンズ保持枠12aの位置を調整することで行う。調整レンズ保持枠12aは、間隔調整および偏芯調整後、不図示の接着剤および締結部材としてのビス36により基準レンズ保持枠12bに固定される。
【0020】
調整レンズ保持枠12aは、調整レンズ群L2aを保持している。調整レンズ保持枠12aには、図2(A)(B)および図5に示すように、基準レンズ保持枠12bに対する受け面となる面S1、面S2、面S3、面S4、面S5、面S6が円周状に略均等に設けられる。面S1、面S2、面S3、面S4、面S5、面S6は、光軸方向に突出する凸部である。また、面S1、面S3、面S5には、ビス36のための貫通孔が形成されている。図2(B)に示すように、調整レンズ保持枠12aには、後述するシート部材51の領域U12、U23、U34、U45、U56、U61に対向する位置に切り欠き部Nが形成されている。切り欠き部Nは、後述するシート部材51が縒れた際に、シート部材51が撓んで入り込む部分である。切り欠き部Nは、面S1、面S2、面S3、面S4、面S5、面S6の間に設けられている。なお、面S1、面S2、面S3、面S4、面S5、面S6は、第2の挟持部である。すなわち、切り欠き部Nは、第2の挟持部間に設けられている。つまり、調整レンズ保持枠12aは、基準面Aから光軸方向に突出する面S1、S2、S3、S4、S5、S6と、基準面Aから光軸方向に凹むように切り欠かれている切り欠き部Nを有する。また、調整レンズ保持枠12aの周方向において、面S1、基準面A、切り欠き部N、基準面A、面S2、基準面A、切り欠き部N、基準面A、面S3という順に並んでいる。すなわち、切り欠き部Nと面S1-S6の間には、基準面Aが配置されている。しかし、基準面Aは設けず、切り欠き部Nと面S1-S6が交互に配置されていてもよい。
【0021】
基準レンズ保持枠12bは、基準レンズ群L2bを保持している。基準レンズ保持枠12bは、ガイドバー21によって、光軸方向に移動可能に支持される。ガイドバー22は、基準レンズ保持枠12bのU溝に係合し、基準レンズ保持枠12bのガイドバー22まわりの回転を規制する。基準レンズ保持枠12bには、調整レンズ保持枠12aに対する受け面となる面T1、面T2、面T3、面T4、面T5、面T6が円周状に略均等に設けられる。面T1、面T2、面T3、面T4、面T5、面T6は、基準レンズの光軸方向に突出する凸部である。面S1と面T1、面S2と面T2、面S3と面T3、面S4と面T4、面S5と面T5、面S6と面T6は、それぞれ略同等の面積に形成される。また、面T1、面T3、面T5には、ビス36のための下穴が形成される。なお、面T1、面T2、面T3、面T4、面T5、面T6は、第1の挟持部である。
【0022】
基準レンズ保持枠12bは、図4に示すように、後述するシート部材51と係合する係合部E1、E2を有する。係合部E1、E2は、基準レンズ保持枠12bの内壁であり、シート部材51の基準レンズ保持枠12bに対する位置決めを行う。係合部E1は、円周方向に沿って複数個設けられている。また、係合部E1は、径方向内側に突出している。
【0023】
ラック31は、不図示のラックばねにより光軸方向および回転方向に付勢された状態で基準レンズ保持枠12bに固定され、ステッピングモータ27のねじ部27aに係合する。基準レンズ保持枠12bは、ステッピングモータ27のねじ部27aの回転によって、ラック31を介して光軸方向に移動する。
【0024】
これにより、基準レンズ保持枠12bを備える第2レンズ保持枠12は、撮像素子20aに最も近付く第一位置と撮像素子20aから最も離れる第二位置の間で光軸方向に移動可能である。
【0025】
絞りユニット35は、レンズへの入射光量を調節する。絞りユニット35は、外部から入力される入力電流を変化させることで、不図示の絞り羽根で形成された開口部35aの開口径の大きさを自在に変化させ、入射光量を調節する。絞りユニット35には、外部から電流を入力するための絞りFPC35bが電気的に接続されており、レンズ鏡筒1の内部から後側固定枠17の外部へと引き出され、外部電源と接続される。絞りFPC35bは、第2レンズ群12が撮像素子20aから最も離れる第二位置から撮像素子20aに最も近付く第一位置まで移動するのに伴って、徐々に屈折する。絞りユニット35は、基準レンズ保持枠12bにビス37により固定される。
【0026】
シート部材51は、調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bの間隔を調整する部材である。シート部材51は、例えば、ポリエステルフィルムからなる。シート部材51は、例えば、ポリエステルフィルムの打ち抜き加工やステンレスのエッチング加工により形成される。シート部材51は、調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bの間で挟持されている。
【0027】
シート部材51は、図3に示すように、中央部が貫通する略円環状であり、領域U1、領域U2、領域U3、領域U4、領域U5、領域U6を有している。シート部材51は、さらに、領域U1と領域U2の間の領域U12、領域U2と領域U3の間の領域U23を有する。シート部材51は、さらに、領域U3と領域U4の間の領域U34、領域U4と領域U5の間の領域U45を有する。シート部材51は、さらに、領域U5と領域U6間の領域U56、領域U6と領域U1の間の領域U61を有する。領域U1、領域U3、領域U5には、ビス36のための貫通孔が形成される。また、領域U12、領域U23、領域U34、領域U45、領域U56、領域U61は、領域U1、領域U2、領域U3、領域U4、領域U5、領域U6より径方向の幅が小さくなるように形成される。すなわち、領域U12、領域U23、領域U34、領域U45、領域U56、領域U61は、領域U1、領域U2、領域U3、領域U4、領域U5、領域U6に比べて剛性が低く、外力により変形して縒れやすい。なお、領域U1、領域U3、領域U5は、径方向の幅として、ビス36のための貫通孔の大きさを差し引いたとしても、前述の関係を満たす。シート部材51の領域U12、領域U23、領域U34、領域U45、領域U56、領域U61は、調整レンズ保持枠12aの切り欠き部Nにより、調整レンズ保持枠12aと接触していない状態となっている。なお、領域U1、領域U2、領域U3、領域U4、領域U5、領域U6は、第1のシート部である。領域U12、領域U23、領域U34、領域U45、領域U56、領域U61は、第2のシート部である。
【0028】
第3レンズ保持枠13は、第3レンズ群L3を保持する。第3レンズ保持枠13は、ガイドバー23によって、光軸方向に移動可能に支持される。ガイドバー24は、第3レンズ保持枠13のU溝に係合し、第3レンズ保持枠13のガイドバー24まわりの回転を規制する。
【0029】
ラック32は、不図示のラックばねにより光軸方向および回転方向に付勢された状態で第3レンズ保持枠13に固定され、ステッピングモータ28のねじ部28aに係合する。第3レンズ保持枠13は、ステッピングモータ28のねじ部28aの回転によって、ラック32を介して光軸方向に移動する。これにより、第3レンズ保持枠13は、撮像素子20aに最も近付く第一位置と撮像素子20aから最も離れる第二位置の間で光軸方向に移動可能である。
【0030】
第4レンズ保持枠14は、第4レンズ群L4を保持する。第4レンズ保持枠14は、ガイドバー23によって、光軸方向に移動可能に支持される。ガイドバー24は、第4レンズ保持枠14のU溝に係合し、第4レンズ保持枠14のガイドバー24まわりの回転を規制する。
【0031】
ラック33は、不図示のラックばねにより光軸方向および回転方向に付勢された状態で第4レンズ保持枠14に固定され、ステッピングモータ29のねじ部29aに係合する。第4レンズ保持枠14は、ステッピングモータ29のねじ部29aの回転によって、ラック33を介して光軸方向に移動する。これにより、第4レンズ保持枠14は、撮像素子20aに最も近付く第一位置と撮像素子20aから最も離れる第二位置の間で光軸方向に移動可能である。
【0032】
ガイドバー21、ガイドバー22、ガイドバー23およびガイドバー24は、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3および第4レンズ群L4の光軸方向への移動をガイドする。ガイドバー21、ガイドバー22、ガイドバー23およびガイドバー24は、前側固定枠16および後側固定枠17に挟持されて固定される。
【0033】
レンズFPC40は、ステッピングモータ27、ステッピングモータ28、ステッピングモータ29およびステッピングモータ30に接続されており、通電によってそれぞれを起動させる。また、レンズFPC40は、絞りユニット35の絞りFPC35bに接続されており、通電によって絞りユニット35を起動させる。
【0034】
レンズFPC40には、不図示のフォトインタラプタが実装されている。ステッピングモータ27、ステッピングモータ28は、不図示のフォトインタラプタの出力に基づいて、第2レンズ保持枠12、第3レンズ保持枠13の位置を制御する。ステッピングモータ29およびステッピングモータ30は、不図示のフォトインタラプタの出力に基づいて、第4レンズ保持枠14および光学フィルタ保持枠18の位置を制御する。
【0035】
撮像素子ユニット20は、撮像素子20aを有し、撮像素子ユニット保持枠19に不図示のビスにより固定される。撮像素子ユニット19は、後側固定枠17に不図示のビスにより結合される。
【0036】
光学フィルタ保持枠18は、赤外線カットフィルタ38およびダミーガラス39を保持し、ガイドバー25によって、光軸に対して垂直方向に移動可能に支持される。ガイドバー26は、光学フィルタ保持枠18のU溝に係合し、光学フィルタ保持枠18のガイドバー26まわりの回転を規制する。ガイドバー25およびガイドバー26は、後側固定枠17および撮像素子ユニット保持枠19に挟持されて固定される。
【0037】
ラック34は、不図示のラックばねにより光軸に対して垂直方向および回転方向に付勢された状態で光学フィルタ保持枠18に固定され、ステッピングモータ30のねじ部30aに係合する。光学フィルタ保持枠18は、ステッピングモータ30のねじ部30aの回転によって、ラック34を介して光軸に対して垂直方向に移動する。これにより、光路上の光学フィルタとして、赤外線カットフィルタ38とダミーガラス39を切り替えることができる。
【0038】
赤外線カットフィルタ38が光路上に挿入され、ダミーガラス39が光路上から退避する場合、赤外光をカットしつつ、可視光を集光することができる。この状態は、デイモードと称される撮影モードであり、昼間の被写体撮影を可能とする。赤外線カットフィルタ38が光路上から退避し、ダミーガラス39が光路上に挿入される場合、可視光に加えて赤外光も集光することができる。この状態は、ナイトモードと称される撮影モードであり、夜間の被写体撮影を可能とする。
【0039】
次に、第2レンズ群ユニット50の位置の調整である光学調整について説明する。
【0040】
第2レンズ群ユニット50の光学調整は、間隔調整、偏芯調整の順に行う。間隔調整とは、第2レンズ群ユニット50の光軸方向における、調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bとの位置調整である。偏芯調整とは、第2レンズ群ユニット50の光軸と直交する方向における、基準レンズ保持枠12bに対する調整レンズ保持枠12aの位置調整である。
【0041】
間隔調整は、調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bの間にシート部材51を挟み込むことで行う。シート部材51は、異なる厚みごとに複数種類が用意され、調整レンズ群L2aと基準レンズ群L2bの間隔に応じて選択的に使用される。シート部材51の厚みは、調整レンズ群L2aと基準レンズ群L2bの間隔を直接測定して決定する。
【0042】
調整レンズ群L2aと基準レンズ群L2bの間隔を直接測定するのが困難な場合は、不図示の調整工具に基準レンズ保持枠12bを取り付ける。そして、不図示の仮位置決め機構によって基準レンズ保持枠12bに調整レンズ保持枠12aを仮固定し、収差やコントラスト等の光学性能を測定してシート部材51の厚みを決定しても良い。
【0043】
図6は、第2レンズ群ユニット50の偏芯調整の様子を示す図である。偏芯調整は、調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bの間に間隔調整で決定した厚みのシート部材51を挟み込む。この状態で、図6に示すように、不図示の調整工具が備える3つの調整ピン60により調整レンズ保持枠12aの位置を光軸と交差する平面に沿って調整することで行う。
【0044】
3つの調整ピン60は、光軸を中心とする周方向に略等間隔で配置され、調整レンズ保持枠12aの外周面に当接する。調整レンズ保持枠12aの外周面と基準レンズ保持枠12bの内周面の間には、径方向に所定の調整用クリアランスが設けられている。よって、調整レンズ保持枠12aは、基準レンズ保持枠12bに対して、当該調整用クリアランスの分だけ位置を変化させることができる。したがって、3つの調整ピン60の径方向の位置を変化させることで、調整レンズ保持枠12aの位置を光軸と交差する平面に沿って調整することができる。
【0045】
この偏心調整は、収差やコントラスト等の光学性能を測定しつつ、調整レンズ保持枠12aの最良の位置を探す方法で行う。調整レンズ保持枠12aは、偏芯調整後、最良の位置において、基準レンズ保持枠12bに接着剤により固定される。当該接着剤は、例えば、紫外線硬化型接着剤であり、基準レンズ保持枠12bの3つの接着溝Gに注入されて調整レンズ保持枠12aの外周面に付着し、紫外線を照射されることで硬化する。本実施形態では、調整レンズ保持枠12aは、基準レンズ保持枠12bに接着剤により固定された後、3本のビス36によりさらに強固に固定される。
【0046】
次に、基準レンズ保持枠12bおよびシート部材51の関係について説明する。図7は、基準レンズ保持枠12bとシート部材51の係合状態を示す図である。なお、説明のために、シート部材51は、点線で示し、基準レンズ保持枠12bの面T1、面T2、面T3、面T4、面T5、面T6には、ハッチングを施している。なお、調整レンズ保持枠12aは不図示である。
【0047】
図7に示すように、シート部材51は、基準レンズ保持枠12bの内壁である係合部E1および係合部E2で係合し、基準レンズ保持枠12bに対する位置が決められている。係合部E1は、基準レンズ保持枠12bの面T1、面T2、面T3、面T4、面T5、面T6の近傍に設けられ、シート部材51の径方向の位置を規制する。係合部E2は、面T1の近傍に設けられ、シート部材51の円周方向の回転を規制する。
【0048】
シート部材51は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに挟み込んで固定される際、領域U1が面S1と面T1の間、領域U2が面S2と面T2の間に挟み込まれる。また、シート部材51は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに挟み込んで固定される際、領域U3が面S3と面T3の間、領域U4が面S4と面T4の間、領域U5が面S5と面T5の間、領域U6が面S6と面T6の間に挟み込まれる。
【0049】
次に、偏芯調整時のシート部材51の縒れについて説明する。偏心調整時、シート部材51の上で調整レンズ保持枠12aを移動させると、シート部材51と調整レンズ保持枠12aとの間に摩擦力が生じる。例えば、図7に示すように、不図示の調整レンズ保持枠12aを矢印方向に移動すると、シート部材51には、調整レンズ保持枠12aとの間の摩擦力が矢印方向に加わる。これにより、矢印方向の領域(図中上半分)は、加わる摩擦力が係合部E1に向けた方向のため、動きが規制されて位置がずれにくい。しかしながら、矢印と反対方向の領域(図中下半分)は、加わる摩擦力が係合部E1から離れる方向のため、動きが規制されずに位置がずれる場合がある。この場合、両者の領域の境界付近には圧縮力が加わり、剛性の低い領域U23および領域U56が変形して縒れる。
【0050】
このようにシート部材51に外力が加わった際には、剛性の低い領域が縒れ、剛性の高い領域が縒れることはない。したがって、シート部材51の調整レンズ保持枠12aと基準レンズ保持枠12bの受け面間に挟み込まれる剛性の高い領域には縒れが発生せず、光学性能に影響を及ぼすことはない。
【0051】
また、当該領域の縒れが大きい場合、シート部材51の剛性の低い領域が、図2(B)に示す切り欠き部N内に位置するように縒れる。よって、調整レンズ保持枠12aが干渉することを低減できる。
【0052】
本発明によれば、間隔調整用のシート部材の縒れの発生箇所を光学性能に影響を及ぼさない箇所にコントロールすることで、レンズまたはレンズ保持枠に対して間隔調整と偏芯調整を簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することができる。
【0053】
<第二の実施形態>
本実施形態では、第一の実施形態とは異なる本発明を適用したレンズ鏡筒の実施形態の一例について説明する。本実施形態は、第一の実施形態とシート部材の剛性の低い箇所の形状のみが異なる。図8は、シート部材151の正面図である。
【0054】
本実施形態のシート部材151は、領域V1、領域V2、領域V3、領域V4、領域V5、領域V6を有する。また、シート部材151は、領域V1と領域V2の間の領域V12、領域V2と領域V3の間の領域V23を有する。また、シート部材151は、領域V3と領域V4の間の領域V34、領域V4と領域V5の間の領域V45、領域V5と領域V6間の領域V56、領域V6と領域V1の間の領域V61を有する。領域V12、V23、V34、V45、V56、V61は、略U字形状となっている。
【0055】
シート部材151は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに挟み込んで固定される際、領域V1が面S1と面T1の間、領域V2が面S2と面T2の間に挟み込まれる。また、シート部材151は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに挟み込んで固定される際、領域V3が面S3と面T3の間、領域V4が面S4と面T4の間、領域V5が面S5と面T5の間、領域V6が面S6と面T6の間に挟み込まれる。領域V1、領域V3、領域V5には、ビス36のための貫通孔が形成される。また、図8に示すように、領域V12は、領域V1、領域V2より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域V121,V122を有するように、径方向に迂曲して形成される。
【0056】
また、図8に示すように、領域V23は、領域V2、領域V3より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域V231,V232を有するように、径方向に迂曲して形成される。また、図8に示すように、領域V34は、領域V3、領域V4より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域V341,V342を有するように、径方向に迂曲して形成される。また、図8に示すように、領域V45は、領域V4、領域V5より径方向の幅が小さい領域V451,V452を有するように、かつ、径方向に延在する領域を有するように、径方向に迂曲して形成される。また、図8に示すように、領域V56は、領域V5、領域V6より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域V561、V562を有するように、径方向に迂曲して形成される。また、図8に示すように、領域V61は、領域V1、領域V6より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域V611、V612を有するように、径方向に迂曲して形成される。
【0057】
さらに、領域V12、領域V23、領域V34、領域V45、領域V56、領域V61は、延在方向に対する幅が略一定になるように形成される。領域V12、領域V23、領域V34、領域V45、領域V56、領域V61は、領域V1、領域V2、領域V3、領域V4、領域V5、領域V6に比べて剛性が低く、外力により変形して縒れやすい。なお、領域V1、領域V3、領域V5は、径方向の幅として、ビス36のための貫通孔の大きさを差し引いたとしても、前述の関係を満たす。
【0058】
このように本実施形態のシート部材は、剛性の低い領域が径方向に迂曲していることから、第一の実施形態のシート部材と比較して、偏芯調整時に摩擦力が加わった際、より変形して縒れやすい形状となっている。
【0059】
本発明によれば、間隔調整用のシート部材の縒れの発生箇所を光学性能に影響を及ぼさない箇所にコントロールすることで、レンズまたはレンズ保持枠に対して間隔調整と偏芯調整を簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することができる。
【0060】
<第三の実施形態>
本実施形態では、第一の実施形態および第二の実施形態とは異なる本発明を適用したレンズ鏡筒の実施形態の一例について説明する。本実施形態は、第一の実施形態および第二の実施形態とシート部材の剛性の低い箇所の形状のみが異なる。図9は、シート部材251の正面図である。
【0061】
本実施形態のシート部材251は、領域W1、領域W2、領域W3、領域W4、領域W5、領域W6を有する。本実施形態のシート部材251は、領域W1と領域W2の間の領域W12、領域W2と領域W3の間の領域W23、領域W3と領域W4の間の領域W34を有する。本実施形態のシート部材251は、領域W4と領域W5の間の領域W45、領域W5と領域W6間の領域W56、領域W6と領域W1の間の領域W61を有する。領域W12、W23、W34、W45、W56、W61は、2か所で曲がり、2か所の屈曲部を有する。
【0062】
本実施形態のシート部材251は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに固定される際、領域W1が面S1と面T1の間に挟み込まれる。シート部材251は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに固定される際、領域W2が面S2と面T2の間に挟み込まれる。シート部材251は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに固定される際、領域W3が面S3と面T3の間に挟み込まれる。シート部材251は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに固定される際、領域W4が面S4と面T4の間に挟み込まれる。シート部材251は、調整レンズ保持枠12aが基準レンズ保持枠12bに固定される際、領域W5が面S5と面T5の間、領域W6が面S6と面T6の間に挟み込まれる。領域W1、領域W3、領域W5には、ビス36のための貫通孔が形成される。また、図9に示すように、領域W12は、領域W1、領域W2より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W121を有するように、円周方向に迂曲して形成される。また、図9に示すように、領域W23は、領域W2、領域W3より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W231を有するように、円周方向に迂曲して形成される。また、領域W34は、領域W3、領域W4より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W341を有するように、円周方向に迂曲して形成される。また、図9に示すように、領域W45は、領域W4、領域W5より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W451を有するように、円周方向に迂曲して形成される。また、図9に示すように、領域W56は、領域W5、領域W6より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W561を有するように、円周方向に迂曲して形成される。また、図9に示すように、領域W61は、領域W1、領域W6より径方向の幅が小さい領域を有するように、かつ、径方向に延在する領域W611を有するように、円周方向に迂曲して形成される。
【0063】
さらに、領域W12、領域W23、領域W34、領域W45、領域W56、領域W61は、延在方向に対する幅が略一定になるように形成される。すなわち、領域W12、領域W23、領域W34、領域W45、領域W56、領域W61は、領域W1、領域W2、領域W3、領域W4、領域W5、領域W6に比べて剛性が低く、外力により変形して縒れやすい。なお、領域W1、領域W3、領域W5は、径方向の幅として、ビス36のための貫通孔の大きさを差し引いたとしても、前述の関係を満たす。
【0064】
このように本実施形態のシート部材は、剛性の低い箇所の領域が円周方向に迂曲していることから、第一の実施形態のシート部材と比較して、偏芯調整時に摩擦力が加わった際、より変形して縒れやすい形状となっている。
【0065】
本発明によれば、間隔調整用のシート部材の縒れの発生箇所を光学性能に影響を及ぼさない箇所にコントロールすることで、レンズまたはレンズ保持枠に対して間隔調整と偏芯調整を簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することができる。
【0066】
<実施形態4>
本実施形態では、第一の実施形態、第二の実施形態および第三の実施形態とは異なる本発明を適用したレンズ鏡筒の実施形態の一例について説明する。本実施形態は、第一の実施形態、第二の実施形態および第三の実施形態と異なり、調整レンズ保持枠を有しない。よって、偏芯調整時に、調整レンズを位置調整する。つまり、偏芯調整時には、3つの調整ピン60により調整レンズの位置を光軸と交差する平面に沿って調整する。調整レンズの位置の偏芯調整後、調整レンズは、押さえ部材によって、基準レンズ保持枠に固定される。具体的には、光軸方向から調整レンズを覆うように押さえ部材を配置し、調整レンズを押さえ部材と基準レンズ保持枠との間で挟持する。
【0067】
本発明によれば、間隔調整用のシート部材の縒れの発生箇所を光学性能に影響を及ぼさない箇所にコントロールすることで、レンズまたはレンズ保持枠に対して間隔調整と偏芯調整を簡易な構成で高精度に行うことが可能なレンズ鏡筒を提供することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、シート部材の縒れの発生するタイミングとして、偏芯調整時を例に説明している。しかし、その他にも、シート部材を介して基準レンズ保持枠12bの上に調整レンズ保持枠12aを載せるタイミングや調整レンズ保持枠12aを基準レンズ保持枠12bにビス36により固定するタイミングが考えられる。
【0069】
また、上記実施形態では、間隔調整および偏芯調整を調整レンズ群L2aと基準レンズ群L2bで行っているが、これに限られるものではない。例えば、偏芯調整を第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、第5レンズ群L5の全系で行うために、レンズ鏡筒の組立状態で調整を行っても良い。なお、組立状態で調整を行うことが困難な場合は、組立状態に即した状態を再現できる調整工具を用いても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、間隔調整に用いるシート部材を1枚としているが、複数枚であっても良い。例えば、20μmの間隔調整を行うために、10μmの厚みのシート部材を2枚用いても良い。
【0071】
また、調整レンズ保持枠12aに切り欠き部Nを設けたが、基準レンズ保持枠12bに切欠き部Nを設けてもよい。また、調整レンズ保持枠12aおよび基準レンズ保持枠12bの両方に切り欠き部を設けてもよい。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 撮像装置
L2a 調整レンズ群
L2b 基準レンズ群
12a 調整レンズ保持枠
12b 基準レンズ保持枠
50 第2レンズ群ユニット
51 シート部材
60 調整ピン
100 レンズ鏡筒
151 シート部材
251 シート部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9