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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184360
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/34 20060101AFI20231221BHJP
   G11C 16/14 20060101ALI20231221BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20231221BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20231221BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G11C16/34 103
G11C16/14
G11C16/04 170
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098481
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角 礼子
(72)【発明者】
【氏名】池上 一隆
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225BA19
5B225DC08
5B225DC10
5B225EA05
5B225FA01
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA03
5F083LA10
5F083LA16
5F083LA21
5F083NA03
5F083ZA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BD36
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に延伸する半導体層と、第2方向の一方側及び他方側から半導体層に対向する第1導電層及び第2導電層と、半導体層と第1導電層との間、及び、半導体層と第2導電層との間に設けられた部分を備える電荷蓄積層と、を備える。また、この半導体記憶装置は、消去動作と、第1書込動作と、第2書込動作と、を実行可能に構成されている。第1書込動作では、第1導電層及び第2導電層に第1プログラム電圧を供給する。第2書込動作では、第1導電層に第2プログラム電圧を、第2導電層に第2プログラム電圧よりも低い第2電圧を供給する。第2書込動作は、消去動作の実行後、第1書込動作の実行前に実行される。
【選択図】図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第1導電層及び第2導電層と、
前記半導体層と前記第1導電層との間に設けられた第1部分、及び、前記半導体層と前記第2導電層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、
前記半導体層に電気的に接続されたビット線と、
前記半導体層に電気的に接続されたソース線と
を備え、
前記ビット線及び前記ソース線の少なくとも一方に消去電圧を供給し、前記第1導電層及び前記第2導電層に前記消去電圧よりも低い第1電圧を供給する消去動作と、
前記第1導電層及び前記第2導電層に前記第1電圧よりも高い第1プログラム電圧を供給する第1書込動作と、
前記第1導電層に前記第1電圧よりも高い第2プログラム電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1電圧よりも高く前記第2プログラム電圧よりも低い第2電圧を供給する第2書込動作と
を実行可能に構成され、
前記第1書込動作は、前記消去動作の実行後に実行され、
前記第2書込動作は、前記消去動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に実行される
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2電圧は、書込パス電圧である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第2書込動作において、前記第3導電層及び前記第4導電層に、前記書込パス電圧を供給する
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第2書込動作において、前記第3導電層に前記第2プログラム電圧を供給し、前記第4導電層に、前記書込パス電圧を供給する
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1導電層に前記書込パス電圧を供給し、前記第2導電層に、前記書込パス電圧よりも高い第3プログラム電圧を供給する第3書込動作を実行可能に構成され、
前記第3書込動作は、前記第2書込動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に実行される
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第3書込動作において、前記第3導電層及び前記第4導電層に、前記書込パス電圧を供給する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第3書込動作において、前記第3導電層に前記書込パス電圧を供給し、前記第4導電層に前記第3プログラム電圧を供給する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1導電層に前記書込パス電圧よりも低い第1ベリファイ電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1電圧よりも低い第3電圧を供給する第1ベリファイ動作と、
前記第1導電層に前記第3電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1ベリファイ電圧を供給する第2ベリファイ動作と
を実行可能に構成され、
前記消去動作の実行後、前記第2書込動作の実行前に、前記第1ベリファイ動作及び前記第2ベリファイ動作が実行される
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第1ベリファイ動作において、前記第3導電層に、前記第1ベリファイ電圧よりも大きい読出パス電圧を供給し、
前記第2ベリファイ動作において、前記第4導電層に、前記読出パス電圧を供給する
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第3導電層及び第4導電層を備え、
前記第3導電層は、前記第1方向において前記第1導電層と並び、
前記第4導電層は、前記第1方向において前記第2導電層と並び、
前記第1ベリファイ動作において、前記第3導電層に前記第1ベリファイ電圧を供給し、
前記第2ベリファイ動作において、前記第4導電層に前記第1ベリファイ電圧を供給する
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記ソース線に電気的に接続された第1回路を備え、
前記第1回路は、
前記ソース線に電気的に接続された第1ノード及び第2ノードと、
前記第1ノードに接続された第1キャパシタと、
前記第2ノードに接続された第2キャパシタと、
前記第1ノードに接続された出力端子、及び、前記第2ノードに接続された入力端子を備える第1インバータと、
前記第2ノードに接続された出力端子、及び、前記第1ノードに接続された入力端子を備える第2インバータと
を備える請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1回路は、
前記ソース線と、前記第1ノードと、の間の電流経路に設けられた第1スイッチトランジスタと、
前記ソース線と、前記第2ノードと、の間の電流経路に設けられた第2スイッチトランジスタと
を備え、
前記第1ベリファイ動作において、
前記第1スイッチトランジスタのゲート電極に、前記第1スイッチトランジスタをON状態とする電圧が供給され、
前記第2スイッチトランジスタのゲート電極に、前記第2スイッチトランジスタをOFF状態とする電圧が供給され、
前記第2ベリファイ動作において、
前記第1スイッチトランジスタのゲート電極に、前記第1スイッチトランジスタをOFF状態とする電圧が供給され、
前記第2スイッチトランジスタのゲート電極に、前記第2スイッチトランジスタをON状態とする電圧が供給される
請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第2プログラム電圧の大きさを調整可能に構成されている
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第2プログラム電圧の大きさを、前記第2ベリファイ動作実行後の、前記第1ノード又は前記第2ノードの電圧の大きさに応じて調整可能に構成されている
請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記消去動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に、前記第2書込動作及び前記第1ベリファイ動作が、複数回繰り返し実行される
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
第1方向に延伸する半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第1導電層及び第2導電層と、
前記半導体層と前記第1導電層との間に設けられた第1部分、及び、前記半導体層と前記第2導電層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、
前記半導体層に電気的に接続されたビット線と、
前記半導体層に電気的に接続されたソース線と
前記ソース線に電気的に接続された第1回路と
を備え、
前記第1回路は、
前記ソース線に電気的に接続された第1ノード及び第2ノードと、
前記第1ノードに接続された第1キャパシタと、
前記第2ノードに接続された第2キャパシタと、
前記第1ノードに接続された出力端子、及び、前記第2ノードに接続された入力端子を備える第1インバータと、
前記第2ノードに接続された出力端子、及び、前記第1ノードに接続された入力端子を備える第2インバータと
を備える半導体記憶装置。
【請求項17】
第1方向に延伸する半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に並び、前記第2方向の一方側及び他方側から前記半導体層に対向する第1導電層及び第2導電層と、
前記半導体層と前記第1導電層との間に設けられた第1部分、及び、前記半導体層と前記第2導電層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、
前記半導体層に電気的に接続されたビット線と、
前記半導体層に電気的に接続されたソース線と
を備え、
前記ビット線及び前記ソース線の少なくとも一方に消去電圧を供給し、前記第1導電層及び前記第2導電層に前記消去電圧よりも低い第1電圧を供給する消去動作と、
前記第1導電層及び前記第2導電層に前記第1電圧よりも高い第1プログラム電圧を供給する第1書込動作と、
前記第1導電層に前記第1電圧よりも高い第2プログラム電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1電圧よりも高く前記第2プログラム電圧よりも低い第2電圧を供給する第2書込動作と
を実行可能に構成された半導体記憶装置の制御方法であって、
前記第1書込動作を、前記消去動作の実行後に実行し、
前記第2書込動作を、前記消去動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に実行する
半導体記憶装置の制御方法。
【請求項18】
前記第2電圧は、書込パス電圧である
請求項17記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項19】
前記半導体記憶装置は、
前記第1導電層に前記書込パス電圧を供給し、前記第2導電層に、前記書込パス電圧よりも高い第3プログラム電圧を供給する第3書込動作を実行可能に構成され、
前記第3書込動作を、前記第2書込動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に実行する
請求項18記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項20】
前記半導体記憶装置は、
前記第1導電層に前記書込パス電圧よりも低い第1ベリファイ電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1電圧よりも低い第3電圧を供給する第1ベリファイ動作と、
前記第1導電層に前記第3電圧を供給し、前記第2導電層に前記第1ベリファイ電圧を供給する第2ベリファイ動作と
を実行可能に構成され、
前記消去動作の実行後、前記第2書込動作の実行前に、前記第1ベリファイ動作及び前記第2ベリファイ動作を実行する
請求項18記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項21】
前記第2プログラム電圧の大きさを、前記第1ベリファイ動作及び前記第2ベリファイ動作の結果に応じて調整する
請求項20記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項22】
前記消去動作の実行後、前記第1書込動作の実行前に、前記第2書込動作及び前記第1ベリファイ動作を、複数回繰り返し実行する
請求項20記載の半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載された実施形態は、半導体記憶装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板と、この半導体基板の表面と交差する方向に並ぶ複数の導電層と、これら複数の導電層に対向する半導体層と、導電層及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(Si)等の絶縁性の電荷蓄積層やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積層等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-54182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に延伸する半導体層と、第1方向と交差する第2方向に並び、第2方向の一方側及び他方側から半導体層に対向する第1導電層及び第2導電層と、半導体層と第1導電層との間に設けられた第1部分、及び、半導体層と第2導電層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、半導体層に電気的に接続されたビット線と、半導体層に電気的に接続されたソース線と、を備える。また、この半導体記憶装置は、消去動作と、第1書込動作と、第2書込動作と、を実行可能に構成されている。消去動作では、ビット線及びソース線の少なくとも一方に消去電圧を供給し、第1導電層及び第2導電層に消去電圧よりも低い第1電圧を供給する。第1書込動作では、第1導電層及び第2導電層に第1電圧よりも高い第1プログラム電圧を供給する。第2書込動作では、第1導電層に第1電圧よりも高い第2プログラム電圧を供給し、第2導電層に第1電圧よりも高く第2プログラム電圧よりも低い第2電圧を供給する。第1書込動作は、消去動作の実行後に実行される。第2書込動作は、消去動作の実行後、第1書込動作の実行前に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図2】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
図3】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
図4】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
図5】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図6】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
図7】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図8】複数ビットのデータが記録されるメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
図9】読出動作について説明するための模式的な断面図である。
図10】書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図11】プログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図12】ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図13】消去動作について説明するためのフローチャートである。
図14】消去電圧供給動作について説明するための模式的な断面図である。
図15】消去ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図16】両面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図17】両面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図18】両面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図19】両面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図20】両面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図21】片面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図22】片面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図23】片面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図24】片面EP書込動作について説明するための模式的なヒストグラムである。
図25】片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図26】表面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図27】片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な波形図である。
図28】片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な等価回路図である。
図29】片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な等価回路図である。
図30】片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な等価回路図である。
図31】片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な等価回路図である。
図32】表面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図33】第2実施形態に係る片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な波形図である。
図34】第3実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図35】第4実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図36】第5実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図37】第6実施形態に係る表面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図38】第7実施形態に係る表面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0012】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶ場合がある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0014】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0015】
[第1実施形態]
[回路構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なブロック図である。図2図4は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
【0016】
図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAを制御する周辺回路PCと、を備える。
【0017】
[メモリセルアレイMCAの回路構成]
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを備える。ストリングユニットSUは、例えば図2に示す様に、複数のメモリユニットMUを備える。これら複数のメモリユニットMUは、それぞれ、2つのメモリストリングMSI,MSOを備える。これらメモリストリングMSI,MSOの一端は、それぞれドレイン側選択トランジスタSTD,STDTに接続され、これらを介して共通のビット線BLに接続される。メモリストリングMSI,MSOの他端は、共通のソース側選択トランジスタSTS,STSBに接続され、これらを介して共通のソース線SLに接続される。
【0018】
メモリストリングMSIは、直列に接続された複数のメモリセルMCIを備える。メモリストリングMSOは、直列に接続された複数のメモリセルMCOを備える。メモリセルMCI,MCOは、それぞれ、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁層は、データを記憶可能な電荷蓄積層を備える。メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、電荷蓄積層中の電荷量に応じて変化する。複数のメモリセルMCIのゲート電極は、それぞれ、複数のワード線WLIに接続されている。また、複数のメモリセルMCOのゲート電極は、それぞれ、ワード線WLOに接続されている。ワード線WLI,WLOは、それぞれ、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0019】
選択トランジスタ(STD、STDT、STS、STSB)は、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ドレイン側選択トランジスタSTDTのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDTに接続されている。ドレイン側選択ゲート線SGDTは、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDに接続されている。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSU中の全てのメモリユニットMUに接続されている。ソース側選択トランジスタSTS,STSBのゲート電極は、それぞれ、ソース側選択ゲート線SGS,SGSBに接続されている。ソース側選択ゲート線SGS,SGSBは、それぞれ、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0020】
尚、以下の説明では、メモリストリングMSIを表面のメモリストリングMSI、メモリストリングMSOを裏面のメモリストリングMSO等と呼ぶ場合がある。また、メモリセルMCIを表面のメモリセルMCI、メモリセルMCOを裏面のメモリセルMCO等と呼ぶ場合がある。
【0021】
[周辺回路PC回路構成]
周辺回路PCは、例えば図1に示す様に、メモリセルアレイMCAに接続されたロウデコーダRDと、メモリセルアレイMCAに接続されたセンスアンプモジュールSAMと、ロウデコーダRD及びセンスアンプモジュールSAMに接続された電圧生成回路VGと、を備える。また、周辺回路PCは、図示しないシーケンサ、アドレスレジスタ、ステータスレジスタ等を備える。また、周辺回路PCは、ソース線SLに接続された電流比較回路(図4)を備える。
【0022】
[ロウデコーダRDの回路構成]
ロウデコーダRD(図1)は、例えば、図示しないアドレスデコーダ中のロウアドレスに応じて、ワード線WLI,WLO、及び、選択ゲート線(SGD、SGDT、SGS、SGSB)に、動作電圧を転送する。ロウアドレスは、例えば、メモリセルアレイMCA、メモリブロックBLK、ストリングユニットSU及びワード線WLI,WLOを指定する情報を含む。
【0023】
[センスアンプモジュールSAMの回路構成]
センスアンプモジュールSAMは、例えば図3に示す様に、センスアンプユニットSAUを備える。センスアンプユニットSAUは、複数のビット線BLに対応して、複数設けられている。センスアンプユニットSAUは、それぞれ、センスアンプSAと、配線LBUSと、ラッチ回路SDL,DL0~DLn(nは自然数)と、を備える。配線LBUSには、プリチャージ用の充電トランジスタ55が接続される。配線LBUSは、スイッチトランジスタDSWを介して配線DBUSに接続される。
【0024】
センスアンプSAは、センストランジスタ41を備える。センストランジスタ41は、ビット線BLに流れる電流に応じて配線LBUSの電荷を放電する。センストランジスタ41のソース電極は接地電圧VSSが供給される電圧供給線に接続される。ドレイン電極は、スイッチトランジスタ42を介して配線LBUSに接続される。ゲート電極は、センスノードSEN、放電トランジスタ43、ノードCOM、クランプトランジスタ44及び耐圧トランジスタ45を介してビット線BLに接続される。尚、センスノードSENは、キャパシタ48を介して内部制御信号線CLKSAに接続される。
【0025】
また、センスアンプSAは、電圧転送回路を備える。電圧転送回路は、ラッチ回路SDLにラッチされたデータに応じて、ノードCOM及びセンスノードSENを、電圧VDDが供給される電圧供給線又は電圧VSRCが供給される電圧供給線と選択的に導通させる。電圧転送回路は、ノードN1と、充電トランジスタ46と、充電トランジスタ49と、充電トランジスタ47と、放電トランジスタ50と、を備える。充電トランジスタ46は、ノードN1及びセンスノードSENの間に接続される。充電トランジスタ49は、ノードN1及びノードCOMの間に接続される。充電トランジスタ47は、ノードN1及び電圧VDDが供給される電圧供給線の間に接続される。放電トランジスタ50は、ノードN1及び電圧VSRCが供給される電圧供給線の間に接続される。尚、充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極は、ラッチ回路SDLのノードINV_Sに共通に接続される。
【0026】
尚、センストランジスタ41、スイッチトランジスタ42、放電トランジスタ43、クランプトランジスタ44、充電トランジスタ46、充電トランジスタ49及び放電トランジスタ50は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。耐圧トランジスタ45は、例えば、デプレッション型のNMOSトランジスタである。充電トランジスタ47は、例えば、PMOSトランジスタである。
【0027】
また、スイッチトランジスタ42のゲート電極は、信号線STBに接続される。放電トランジスタ43のゲート電極は、信号線XXLに接続される。クランプトランジスタ44のゲート電極は、信号線BLCに接続される。耐圧トランジスタ45のゲート電極は、信号線BLSに接続される。充電トランジスタ46のゲート電極は、信号線HLLに接続される。充電トランジスタ49のゲート電極は、信号線BLXに接続される。これらの信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXは、図示しないシーケンサに接続される。
【0028】
ラッチ回路SDLは、ノードLAT_S,INV_Sと、インバータ51と、インバータ52と、スイッチトランジスタ53と、スイッチトランジスタ54と、を備える。インバータ51は、ノードLAT_Sに接続された出力端子及びノードINV_Sに接続された入力端子を備える。インバータ52は、ノードLAT_Sに接続された入力端子及びノードINV_Sに接続された出力端子を備える。スイッチトランジスタ53は、ノードLAT_S及び配線LBUSの間の電流経路に設けられる。スイッチトランジスタ54は、ノードINV_S及び配線LBUSの間の電流経路に設けられる。スイッチトランジスタ53,54は、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ53のゲート電極は、信号線STLを介して図示しないシーケンサに接続される。スイッチトランジスタ54のゲート電極は、信号線STIを介して図示しないシーケンサに接続される。
【0029】
ラッチ回路DL0~DLnは、ラッチ回路SDLとほぼ同様に構成される。ただし、上述の通り、ラッチ回路SDLのノードINV_SはセンスアンプSA中の充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極と導通している。ラッチ回路DL0~DLnは、この点においてラッチ回路SDLと異なる。
【0030】
スイッチトランジスタDSWは、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタDSWは、配線LBUS及び配線DBUSの間に接続される。スイッチトランジスタDSWのゲート電極は、信号線DBSを介して図示しないシーケンサに接続される。
【0031】
[電流比較回路の回路構成]
電流比較回路は、図4に示す様に、スイッチトランジスタ61を介してソース線SLに接続されたノードN2と、スイッチトランジスタ62を介してソース線SLに接続されたノードN3と、ノードN2,N3にそれぞれ接続されたキャパシタC,Cと、ノードN2,N3に接続されたインバータINV,INVと、を備える。
【0032】
スイッチトランジスタ61,62は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ61,62のゲート電極は、それぞれ、信号線ISO,ISOに接続される。
【0033】
インバータINVの出力端子及び入力端子は、それぞれ、ノードN2,N3に接続される。インバータINVは、トランジスタ63,64を備える。トランジスタ63は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。トランジスタ64は、例えば、PMOSトランジスタである。トランジスタ63のソース電極は、ノードN4に接続される。トランジスタ64のソース電極は、電圧VDDが供給される電圧供給線に接続される。トランジスタ63,64のドレイン電極は、ノードN2に接続される。トランジスタ63,64のゲート電極は、ノードN3に接続される。
【0034】
インバータINVの出力端子及び入力端子は、それぞれ、ノードN3,N2に接続される。インバータINVは、トランジスタ65,66を備える。トランジスタ65は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。トランジスタ66は、例えば、PMOSトランジスタである。トランジスタ65のソース電極は、ノードN4に接続される。トランジスタ66のソース電極は、電圧VDDが供給される電圧供給線に接続される。トランジスタ65,66のドレイン電極は、ノードN3に接続される。トランジスタ65,66のゲート電極は、ノードN2に接続される。
【0035】
ノードN4は、スイッチトランジスタ67を介して、接地電圧VSSが供給される電圧供給線に接続される。スイッチトランジスタ67は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ67のゲート電極は、信号線M3に接続される。
【0036】
尚、ノードN2は、スイッチトランジスタ68を介して、信号線M5に接続される。スイッチトランジスタ68は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ68のゲート電極は、信号線M4に接続される。
【0037】
[構造]
次に、図5図7を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を説明する。図5は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。図6は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。図7は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0038】
図5に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向に並ぶ2つのメモリセルアレイ領域RMCAが設けられる。メモリセルアレイ領域RMCAとX方向に並ぶ位置には、ロウデコーダ領域RRDが設けられている。また、半導体基板100のY方向の端部には、周辺回路領域RPCが設けられている。
【0039】
半導体基板100は、例えば、P型の不純物を含む単結晶シリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板の上面には、N型の不純物を含むN型ウェルと、P型の不純物を含むP型ウェルと、が設けられている。尚、半導体基板100の表面には、例えば、周辺回路PC(図1)の少なくとも一部を構成するトランジスタや配線等が設けられている。
【0040】
メモリセルアレイ領域RMCAには、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。メモリブロックBLKは、図1等を参照して説明した様に、複数のストリングユニットSUを備えている。ストリングユニットSUは、例えば図6に示す様に、Y方向に交互に並ぶ複数の積層体構造LSI,LSOと、これら複数の積層体構造LSI,LSOの間に設けられたトレンチ構造ATと、を備える。積層体構造LSIは、例えば、Z方向に積層された複数の導電層110Iを備える。積層体構造LSOは、例えば、Z方向に積層された複数の導電層110Oを備える(図6及び図7参照)。トレンチ構造ATは、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSを備える。各メモリストリング構造MSSは、Z方向に延伸する略円筒状の半導体層120と、積層体構造LSI,LSO及び半導体層120の間に設けられたゲート絶縁層130と、半導体層120の中心部分に設けられた酸化シリコン(SiO)等の絶縁層140と、を備える。また、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSの間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層150が設けられている。
【0041】
導電層110I,110Oは、X方向に延伸する略板状の導電層であり、例えば窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層膜、又は、不純物が注入された多結晶シリコン(Si)等の導電層である。Z方向に並ぶ複数の導電層110I,110Oの間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101が設けられている。
【0042】
最も下方に位置する一又は複数の導電層110I,110Oは、ソース側選択トランジスタSTSBのゲート電極及びソース側選択ゲート線SGSBとして機能する。
【0043】
これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110I,110Oは、ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極及びソース側選択ゲート線SGSとして機能する。
【0044】
これよりも上方に位置する複数の導電層110I,110Oは、それぞれ、メモリセルMCIのゲート電極及びワード線WLI、又は、メモリセルMCOのゲート電極及びワード線WLOとして機能する。
【0045】
これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110I,110Oは、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極及びドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。
【0046】
これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110I,110Oは、ドレイン側選択トランジスタSTDTのゲート電極及びドレイン側選択ゲート線SGDTとして機能する。
【0047】
半導体層120は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、上述の通り、略円筒状の形状を有する。尚、以下の説明では、半導体層120のうち、複数の導電層110Iと対向する領域を領域120I(図7)と呼び、複数の導電層110Oと対向する領域を領域120O(図7)と呼ぶ場合がある。領域120Iは、メモリストリングMSI(図2)に含まれる複数のメモリセルMCI及び選択トランジスタ(STSB、STS、STD、STDT)のチャネル領域として機能する。領域120Oは、メモリストリングMSO(図2)に含まれる複数のメモリセルMCO及び選択トランジスタ(STSB、STS、STD、STDT)のチャネル領域として機能する。
【0048】
半導体層120の下端には、半導体層121(図6)が接続されている。半導体層121は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層121は、ソース線SL(図2)として機能する。
【0049】
また、図示は省略するものの半導体層120の上端には、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の不純物層が形成されている。半導体層120は、この不純物層を介して、ビット線BL(図2)に電気的に接続されている。
【0050】
ゲート絶縁層130は、略円筒状の形状を有し、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。ゲート絶縁層130は、半導体層120側から導電層110I,110O側にかけて設けられた、酸化シリコン(SiO)等のトンネル絶縁層131と、窒化シリコン(SiN)等の電荷蓄積層132と、酸化シリコン(SiO)等のブロック絶縁層133と、を備える。
【0051】
尚、以下の説明では、電荷蓄積層132のうち、導電層110Iと半導体層120の領域120Iとの間に設けられた領域を領域132I(図7)と呼び、導電層110Oと半導体層120の領域120Oとの間に設けられた領域を領域132O(図7)と呼ぶ場合がある。同様に、以下の説明では、トンネル絶縁層131のうち、上記領域120Iと領域132Iとの間に設けられた領域を領域131I(図7)と呼び、上記領域120Oと領域132Oとの間に設けられた領域を第2領域131O(図7)と呼ぶ場合がある。
【0052】
[メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧]
次に、図8を参照して、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧について説明する。
【0053】
上述の通り、メモリセルアレイMCAは、複数のメモリセルMCI,MCOを備える。これら複数のメモリセルMCI,MCOに書込動作が実行された場合、これらメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は複数通りのステートに制御される。
【0054】
図8は、複数ビットのデータが記録されるメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLI,WLOの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCI,MCOの数を示している。
【0055】
図8には、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の分布を3つ図示している。例えば、Erステートに制御されたメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、読出遮断電圧VBBよりも大きく、読出電圧VCGARより小さい。尚、Erステートのしきい値分布は、最も小さいしきい値電圧の大きさがEPベリファイ電圧VVFYEP程度となる様に制御される。また、Erステートのしきい値分布は、最も大きいしきい値電圧の大きさが消去ベリファイ電圧VVFYEr程度となる様に制御される。また、Aステートに制御されたメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、読出電圧VCGARよりも大きく、読出電圧VCGBRよりも小さい。尚、Aステートのしきい値分布は、最も小さいしきい値電圧の大きさがベリファイ電圧VVFYA程度となる様に制御される。また、Bステートに制御されたメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、読出電圧VCGBRよりも大きい。尚、Bステートのしきい値分布は、最も小さいしきい値電圧がベリファイ電圧VVFYB程度となる様に制御される。また、全てのメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、読出パス電圧VREADよりも小さい。
【0056】
これらのしきい値分布には、それぞれ、1ビット又は複数ビットのデータが割り当てられる。
【0057】
例えばメモリセルMCI,MCOに3ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、2=8通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら8通りのしきい値分布に、“0,0,0”,“0,0,1”,“0,1,0”,“0,1,1”,“1,0,0”,“1,0,1”,“1,1,0”,“1,1,1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0058】
また、例えばメモリセルMCI,MCOに1ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧は、2=2通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら2通りのしきい値分布に、“0”,“1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0059】
[読出動作]
図9は、読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【0060】
尚、本実施形態に係る読出動作は、指定されたメモリブロックBLK中の指定されたストリングユニットSUに含まれ、且つ、指定されたワード線WLI又はワード線WLOに接続された全てのメモリセルMCI,MCOに対して一括して実行される。以下、この様な複数のメモリセルMCI,MCOを含む構成を、ページ部と呼ぶ場合がある。
【0061】
また、以下の説明では、メモリストリングMSI(図2)に対応するページ部に対して読出動作を実行する例について説明する。また、以下の説明では、ドレイン側選択ゲート線SGDのうち、選択されたメモリストリングMSI(図2)に対応するものをドレイン側選択ゲート線SGD_SELと呼び、選択されていないメモリストリングMSOに対応するものをドレイン側選択ゲート線SGD_USELと呼ぶ場合がある。
【0062】
読出動作に際しては、例えば図9に示す様に、ビット線BLに電圧VDDを供給する。また、ソース線SLに、電圧VSRCを供給する。電圧VSRCは、接地電圧VSSよりも大きい。電圧VDDは、電圧VSRCよりも大きい。
【0063】
また、ドレイン側選択ゲート線SGDT,SGD_SELに、電圧VSGを供給する。電圧VSGは、電圧VDDよりも大きい。また、電圧VSGと電圧VDDとの差分は、ドレイン側選択トランジスタSTDT,STDをNMOSトランジスタとして動作させる際のしきい値電圧よりも大きい。従って、選択されたメモリストリングMSIに対応するドレイン側選択トランジスタSTDT,STDのチャネル領域には、電子のチャネルが形成される。
【0064】
また、ドレイン側選択ゲート線SGD_USELに、電圧VDDを供給する。従って、選択されていないメモリストリングMSOに対応するドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域には、チャネルが形成されない。
【0065】
また、Z方向において選択ワード線WLIと隣り合う2つの非選択ワード線WLIに、読出パス電圧VREADkを供給する。また、それ以外の非選択ワード線WLIに、読出パス電圧VREADを供給する。読出パス電圧VREADkは、読出パス電圧VREADよりも大きい。これにより、複数の非選択メモリセルMCIのチャネル領域に、電子のチャネルが形成される。
【0066】
また、選択ワード線WLIに、読出電圧VCGRVを供給する。読出電圧VCGRVは、例えば、図8を参照して説明した読出電圧VCGAR,VCGBR…のいずれかである。これにより、選択メモリセルMCIに記録されたデータに応じて、選択メモリセルMCIのチャネル領域に電子のチャネルが形成され、又は、形成されない。
【0067】
また、選択ワード線WLIとY方向において隣り合うワード線WLO、及び、Z方向においてこのワード線WLOと隣り合う2つの非選択ワード線WLOに、読出遮断電圧VBBを供給する。また、これら3つのワード線WLOの一つ上、及び、一つ下のワード線WLOに、接地電圧VSSを供給する。従って、これらに接続されたメモリセルMCOのチャネル領域には、チャネルが形成されない。
【0068】
また、これら以外のワード線WLOに、読出パス電圧VREADを供給する。これにより、複数の非選択メモリセルMCOのチャネル領域に、電子のチャネルが形成される。
【0069】
また、ソース側選択ゲート線SGS,SGSBに、電圧VSGを供給する。これにより、ソース側選択トランジスタSTS,STSBのチャネル領域に、電子のチャネルが形成される。
【0070】
ここで、選択メモリセルMCIのチャネル領域に電子のチャネルが形成されていた場合、ビット線BLには電流が流れる。一方、選択メモリセルMCIのチャネル領域に電子のチャネルが形成されていない場合、ビット線BLには電流が流れない。読出動作においては、センスアンプモジュールSAM(図3)によってビット線BLの電流を検出することにより、選択メモリセルMCIのON/OFF状態を示すデータを取得可能である。以下、この様な動作を、「センス動作」と呼ぶ。
【0071】
センス動作の実行に際しては、予め、図3を参照して説明したセンスノードSENが、充電トランジスタ47を介して、電圧VDDまで充電される。また、充電トランジスタ55を介して、配線LBUSが充電される。
【0072】
センス動作では、例えば、ビット線BLに電圧VDDを供給している状態において、信号線HLLの信号を“L”状態としてセンスノードSENをノードN1から電気的に切り離し、且つ、信号線XXL,BLC,BLSの信号を“H”状態としてセンスノードSENをビット線BLと導通させる。また、内部制御信号線CLKSAの信号を立ち上げる。ここで、選択メモリセルMCIのチャネル領域に電子のチャネルが形成されていた場合、センスノードSENの電荷が放電され、センスノードSENの電圧は低下する。一方、選択メモリセルMCIのチャネル領域に電子のチャネルが形成されていない場合、センスノードSENの電荷は放電されず、センスノードSENの電圧は低下しない。センスノードSENを一定時間ビット線BLと導通させた後、信号線XXLの信号を“L”状態としてセンスノードSENをビット線BLから切り離す。尚、以下の説明では、センスノードSENをビット線BLと導通させる時間を、「センス時間」と呼ぶ場合がある。
【0073】
また、センス動作では、例えば、内部制御信号線CLKSAの信号を立ち下げる。ここで、センスノードSENの電荷が放電されていた場合、センスノードSENの電圧は比較的低い状態となるため、センストランジスタ41はOFF状態となる。一方、センスノードSENの電荷が放電されていなかった場合、センスノードSENの電圧は比較的高い状態に維持されるため、センストランジスタ41はON状態に維持される。
【0074】
また、センス動作では、例えば、信号線STBの信号を立ち上げて、スイッチトランジスタ42をON状態とする。ここで、センストランジスタ41がOFF状態だった場合、配線LBUS中の電荷が維持される。一方、センストランジスタ41がON状態だった場合、配線LBUS中の電荷が放電される。従って、この状態でラッチ回路SDL,DL0~DLnのいずれかによって配線LBUSの状態をラッチすることにより、選択メモリセルMCIのON/OFF状態を示すデータを取得することが可能である。
【0075】
例えば、選択メモリセルMCIが1ビットのデータを記録している場合、このON/OFF状態を示すデータが、選択メモリセルMCIに記録されているデータとして読み出される。また、選択メモリセルMCIが複数ビットのデータを記録している場合、必要に応じて、複数の読出電圧VCGRVに対応する複数のON/OFF状態を示すデータが取得され、これら複数のON/OFF状態を示すデータに対して演算処理が行われ、この演算処理の結果が選択メモリセルMCIに記録されているデータとして読み出される。
【0076】
尚、図9では、一部のワード線WLOに読出遮断電圧VBBを供給し、一部のワード線WLOに接地電圧VSSを供給し、それ以外のワード線WLOに、読出パス電圧VREADを供給している。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、全てのワード線WLOに読出遮断電圧VBBを供給しても良い。
【0077】
[書込動作]
図10は、書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0078】
尚、本明細書においては、選択ワード線WLIにプログラム電圧VPGMを供給する動作を「プログラム動作」と呼び、プログラム動作及びベリファイ動作を少なくとも1回ずつ実行する動作を「書込動作」と呼ぶ。例えば、図10の例では、フローチャート全体によって表される動作が「書込動作」であり、その中の、ステップS102の動作が「プログラム動作」である。
【0079】
以下の説明では、メモリストリングMSI(図2)に対応するページ部に対して読出動作を実行する例について説明する。
【0080】
ステップS101においては、ループ回数nが1に設定される。ループ回数nは、書込ループの回数を示す変数である。また、例えば、センスアンプユニットSAU(図3)のラッチ回路DL0~DLnに、選択メモリセルMCIに書き込まれるユーザデータがラッチされる。
【0081】
ステップS102においては、プログラム動作が実行される。プログラム動作は、選択ワード線WLIにプログラム電圧VPGMを供給して、メモリセルMCIのしきい値電圧を増大させる動作である。
【0082】
ステップS103では、ベリファイ動作を行う。ベリファイ動作は、選択ワード線WLIにベリファイ電圧を供給し、メモリセルMCIのON状態/OFF状態を示すデータを取得して、選択メモリセルMCIのしきい値電圧が目標値に達したか否かを検出するための動作である。
【0083】
ステップS104では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、図示しないカウンタ回路を参照して、メモリセルMCIのON状態/OFF状態を示すデータ中の、ON状態を示すデータの数を取得する。また、ON状態を示すデータの数が一定数以上であった場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、ON状態を示すデータの数が一定数未満であった場合等にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0084】
ステップS105では、ループ回数nが所定の回数Nに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0085】
ステップS106では、ループ回数nに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば、プログラム電圧VPGMに所定の電圧ΔVを加算する。従って、プログラム電圧VPGMは、ループ回数nの増大と共に増大する。
【0086】
ステップS107では、図示しないステータスレジスタに、書込動作が正常に終了した旨のステータスデータを格納し、書込動作を終了する。
【0087】
ステップS108では、図示しないステータスレジスタに、書込動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、書込動作を終了する。
【0088】
[プログラム動作]
図11は、プログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【0089】
プログラム動作においては、例えば、複数の選択メモリセルMCIのうちしきい値電圧の調整を行うものに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給する。また、図示は省略するものの、複数の選択メモリセルMCIのうちしきい値電圧の調整を行わないものに接続されたビット線BLに電圧VDDを供給する。例えば、一部のビット線BLに対応するラッチ回路SDL(図3)に“L”をラッチさせ、一部のビット線BLに対応するラッチ回路SDL(図3)に“H”をラッチさせる。また、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXの状態を“L,L,H,H,L,H”とする。以下、複数の選択メモリセルMCIのうちしきい値電圧の調整を行うものを「書込メモリセルMCI」と呼び、しきい値電圧の調整を行わないものを「禁止メモリセルMCI」と呼ぶ場合がある。
【0090】
また、プログラム動作においては、ドレイン側選択ゲート線SGDT,SGD_SELに、電圧VSGDが供給される。
【0091】
電圧VSGDは、電圧VSRCよりも大きい。また、電圧VSGDと電圧VSRCとの電圧差は、ドレイン側選択トランジスタSTDT,STDをNMOSトランジスタとして機能させる際のしきい値電圧よりも大きい。従って、書込メモリセルMCIに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域には電子のチャネルが形成され、電圧VSRCが転送される。
【0092】
一方、電圧VSGDと電圧VDDとの電圧差は、ドレイン側選択トランジスタSTDT,STDをNMOSトランジスタとして機能させる際のしきい値電圧よりも小さい。従って、禁止メモリセルMCIに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDはOFF状態となる。
【0093】
また、プログラム動作においては、ソース線SLに電圧VSRCが供給され、ソース側選択ゲート線SGS,SGSBに接地電圧VSSが供給される。これにより、ソース側選択トランジスタSTS,STSBはOFF状態となる。
【0094】
また、プログラム動作においては、非選択ワード線WLI及びワード線WLOに、書込パス電圧VPASSを供給する。書込パス電圧VPASSは、読出パス電圧VREADよりも大きい。また、書込パス電圧VPASSと電圧VSRCとの電圧差は、メモリセルMCIに記録されたデータに拘わらず、メモリセルMCIをNMOSトランジスタとして機能させる際のしきい値電圧よりも大きい。従って、非選択メモリセルMCI,MCOのチャネル領域には電子のチャネルが形成され、書込メモリセルMCIに、電圧VSRCが転送される。
【0095】
また、プログラム動作においては、選択ワード線WLIにプログラム電圧VPGMを供給する。プログラム電圧VPGMは、書込パス電圧VPASSよりも大きい。
【0096】
ここで、書込メモリセルMCIのチャネル領域には、電圧VSRCが供給されている。この様な半導体層120と選択ワード線WLIとの間には、比較的大きい電界が発生する。これにより、半導体層120のチャネル中の電子がトンネル絶縁層131(図6)を介して電荷蓄積層132(図6)中にトンネルする。これにより、書込メモリセルMCIのしきい値電圧は増大する。
【0097】
また、禁止メモリセルMCIのチャネル領域は、電気的にフローティング状態となっており、このチャネルの電位は非選択ワード線WLI及びワード線WLOとの容量結合によって書込パス電圧VPASS程度まで上昇している。この様な半導体層120と選択ワード線WLIとの間には、上記した電界よりも小さい電界しか発生しない。従って、半導体層120のチャネル中の電子は、電荷蓄積層132(図6)中にトンネルしない。従って、禁止メモリセルMCIのしきい値電圧は増大しない。
【0098】
[ベリファイ動作]
図12は、ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0099】
ベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。
【0100】
ただし、ベリファイ動作においては、選択ワード線WLIに、読出電圧VCGRVではなく、ベリファイ電圧VVFYXを供給する。ベリファイ電圧VVFYXは、例えば、図8を参照して説明したベリファイ電圧VVFYA,VVFYB…のいずれかである。
【0101】
また、読出動作においては、例えば、ページ部に対応する全てのビット線BLに、電圧VDDを供給する。一方、ベリファイ動作においては、例えば、ラッチ回路DL0~DLn内のデータに基づき、特定のステートに対応するメモリセルMCIに接続されたビット線BLに電圧VDDを供給し、その他のビット線BLには電圧VSRCを供給しても良い。
【0102】
[消去動作]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作について説明する。
【0103】
図13は、消去動作について説明するためのフローチャートである。
【0104】
尚、本明細書においては、ビット線BL及びソース線SLの少なくとも一方に消去電圧VERAを供給する動作を「消去電圧供給動作」と呼び、消去電圧供給動作及び消去ベリファイ動作を少なくとも1回ずつ実行する動作を「消去動作」と呼ぶ。例えば、図13の例では、フローチャート全体によって表される動作が「消去動作」であり、その中の、ステップS202の動作が「消去電圧供給動作」である。
【0105】
尚、以下の説明では、動作の対象となっているメモリブロックBLKに対して消去動作を実行する例について説明する。
【0106】
ステップS201においては、例えば図13に示す様に、ループ回数nが1に設定される。ループ回数nは、消去ループの回数を示す変数である。
【0107】
ステップS202においては、消去電圧供給動作が実行される。消去電圧供給動作は、ワード線WLI,WLOに接地電圧VSSを供給し、ソース線SL及びビット線BLの少なくとも一方に消去電圧VERAを供給してメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧を減少させる動作である。
【0108】
ステップS203では、消去ベリファイ動作を行う。消去ベリファイ動作は、ワード線WLI,WLOに消去ベリファイ電圧VVFYErを供給し、メモリセルMCI,MCOのON状態/OFF状態を示すデータを取得して、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧が目標値に達したか否かを検出するための動作である。
【0109】
ステップS204では、消去ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、図示しないカウンタ回路を参照して、メモリセルMCI,MCOのON状態/OFF状態を示すデータ中の、OFF状態を示すデータの数を取得する。また、OFF状態を示すデータの数が一定数以上であった場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS205に進む。一方、OFF状態を示すデータの数が一定数未満であった場合等にはベリファイPASSと判定し、ステップS207に進む。
【0110】
ステップS205では、ループ回数nが所定の回数Nに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS206に進む。達していた場合にはステップS208に進む。
【0111】
ステップS206では、ループ回数nに1を加算して、ステップS202に進む。また、ステップS206では、例えば、消去電圧VERAに所定の電圧ΔVを加算する。従って、消去電圧VERAは、ループ回数nの増大と共に増大する。
【0112】
ステップS207では、図示しないステータスレジスタに、消去動作が正常に終了した旨のステータスデータを格納し、消去動作を終了する。
【0113】
ステップS208では、図示しないステータスレジスタに、消去動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、消去動作を終了する。
【0114】
[消去電圧供給動作]
図14は、消去電圧供給動作について説明するための模式的な断面図である。
【0115】
消去電圧供給動作においては、ビット線BL及びソース線SLに、消去電圧VERAが供給される。消去電圧VERAは、例えば、プログラム電圧VPGMより大きくても良いし、プログラム電圧VPGMと等しくても良い。
【0116】
また、消去電圧供給動作においては、ドレイン側選択ゲート線SGDT及びソース側選択ゲート線SGSBに電圧VGIDLが供給される。電圧VGIDLは、消去電圧VERAよりも小さい。これにより、ドレイン側選択トランジスタSTDT及びソース側選択トランジスタSTSBにおいてGIDL(Gate Induced Drain Leakage)が発生し、電子-正孔対が発生する。また、電子はビット線BL側又はソース線SL側に移動し、正孔はメモリセルMCI,MCO側に移動する。
【0117】
また、消去電圧供給動作においては、ドレイン側選択ゲート線SGD及びソース側選択ゲート線SGSに電圧VSGEが供給される。電圧VSGEは、消去電圧VERAよりも小さい。また、電圧VSGEと消去電圧VERAとの電圧差は、ドレイン側選択ゲート線SGD及びソース側選択ゲート線SGSをPMOSトランジスタとして機能させる際のしきい値電圧よりも大きい。従って、ドレイン側選択ゲート線SGD及びソース側選択ゲート線SGSのチャネル領域には正孔のチャネルが形成され、ドレイン側選択ゲート線SGDT及びソース側選択ゲート線SGSBにおいて発生した正孔が転送される。
【0118】
また、消去電圧供給動作においては、ワード線WLI,WLOに接地電圧VSSが供給される。これにより、半導体層120のチャネル中の正孔がトンネル絶縁層131(図8)を介して電荷蓄積層132(図8)中にトンネルする。これにより、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧が減少する。
【0119】
図15は、消去ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0120】
消去ベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。
【0121】
ただし、消去ベリファイ動作においては、ワード線WLI,WLOに、読出電圧VCGRVでも読出パス電圧VREADでもなく、消去ベリファイ電圧VVFYErを供給する。
【0122】
[両面EP書込動作]
上述の通り、例えばメモリストリングMSI中の選択メモリセルMCIに対して読出動作、ベリファイ動作又は消去ベリファイ動作を実行する場合、ビット線BLに流れる電流の大小を検出することにより、選択メモリセルMCIのON/OFF状態を示すデータを取得する。
【0123】
ここで、図6を参照して説明した様に、本実施形態に係る半導体層120は、略円筒状の形状を備えている。また、半導体層120の導電層110Iとの対向部分はメモリストリングMSI中のメモリセルMCIとして機能する。また、半導体層120の導電層110Oとの対向部分はメモリストリングMSO中のメモリセルMCOとして機能する。
【0124】
この様な構造においては、例えば、選択メモリセルMCIと同一の半導体層120に対応し、且つ、同一の高さ位置に設けられたメモリセルMCO(以下、「裏面メモリセルMCO」と呼ぶ場合がある。)がON状態になってしまうと、選択メモリセルMCIがON状態であるかOFF状態であるかに拘わらず、裏面メモリセルMCOを介してビット線BLとソース線SLとが導通してしまい、ビット線BLに電流が流れてしまう。これにより、選択メモリセルMCIのしきい値電圧を好適に検出することが出来なくなってしまう。従って、読出動作、ベリファイ動作及び消去ベリファイ動作を実行する場合には、裏面メモリセルMCOをOFF状態とすることが望ましい。
【0125】
そこで、本実施形態においては、読出動作、ベリファイ動作及び消去ベリファイ動作において、裏面メモリセルMCOのゲート電極に読出遮断電圧VBBを供給している。
【0126】
しかしながら、例えば図16に示す様に、消去動作の実行直後においては、一部のメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧が、読出遮断電圧VBBよりも小さくなってしまう場合がある。この様な状態では、裏面メモリセルMCOをOFF状態とすることが出来ない場合がある。
【0127】
そこで、本実施形態に係る半導体記憶装置においては、消去動作を実行した後、読出動作又は書込動作を実行する前に、消去動作が実行されたメモリブロックBLKに対して両面EP書込動作を実行する。これにより、消去動作が実行されたメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧を、例えば図17に示す様に、読出遮断電圧VBBより大きく、読出電圧VCGARより小さい範囲に制御する。
【0128】
図18は、本実施形態に係る両面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0129】
尚、本明細書においては、ワード線WLI,WLOにプログラム電圧VPGMEPを供給する動作を「両面EPプログラム動作」と呼び、両面EPプログラム動作及び両面EPベリファイ動作を少なくとも1回ずつ実行する動作を「両面EP書込動作」と呼ぶ。例えば、図18の例では、フローチャート全体によって表される動作が「両面EP書込動作」であり、その中の、ステップS303の動作が「両面EPプログラム動作」である。
【0130】
両面EP書込動作は、Y方向に並ぶワード線WLI,WLOに同時に実行される。また、両面EP書込動作は、Z方向に並ぶ複数のワード線WLI,WLOに対して、順次実行される。
【0131】
ステップS301においては、ループ回数nEPが1に設定される。ループ回数nEPは、両面EP書込ループの回数を示す変数である。
【0132】
ステップS302においては、両面EPプログラム動作が実行される。両面EPプログラム動作は、選択ワード線WLI,WLOにプログラム電圧VPGMEPを供給して、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧を増大させる動作である。
【0133】
ステップS303では、両面EPベリファイ動作を行う。両面EPベリファイ動作は、選択ワード線WLI,WLOにEPベリファイ電圧VVFYEPを供給し、メモリセルMCI,MCOのON状態/OFF状態を示すデータを取得して、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧が目標値に達したか否かを検出するための動作である。尚、このデータに含まれる各ビットは、選択メモリセルMCI,MCOの少なくとも一方がON状態であるか、選択メモリセルMCI,MCOの双方がOFF状態であるかを示す。
【0134】
ステップS304では、両面EPベリファイ動作の結果を判定する。例えば、図示しないカウンタ回路を参照して、メモリセルMCI,MCOのON状態/OFF状態を示すデータ中の、ON状態を示すデータ(選択メモリセルMCI,MCOの少なくとも一方がON状態であることを示すデータ)の数を取得する。また、ON状態を示すデータの数が一定数以上であった場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS305に進む。一方、ON状態を示すデータの数が一定数未満であった場合等にはベリファイPASSと判定し、ステップS307に進む。
【0135】
ステップS305では、ループ回数nEPが所定の回数NEPに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS306に進む。達していた場合にはステップS308に進む。
【0136】
ステップS306では、ループ回数nEPに1を加算して、ステップS302に進む。また、ステップS306では、例えば、プログラム電圧VPGMEPに所定の電圧ΔVを加算する。従って、プログラム電圧VPGMEPは、ループ回数nEPの増大と共に増大する。
【0137】
ステップS307では、図示しないステータスレジスタに、両面EP書込動作が正常に終了した旨のステータスデータを格納し、両面EP書込動作を終了する。
【0138】
ステップS308では、図示しないステータスレジスタに、両面EP書込動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、両面EP書込動作を終了する。
【0139】
[両面EPプログラム動作]
図19は、両面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【0140】
両面EPプログラム動作は、基本的には、プログラム動作と同様に実行される。
【0141】
ただし、両面EPプログラム動作においては、メモリストリングMSI,MSOの双方に対応するドレイン側選択ゲート線SGDに、電圧VSGDが供給される。
【0142】
また、両面EPプログラム動作においては、選択ワード線WLI,WLOにプログラム電圧VPGMEPが供給される。プログラム電圧VPGMEPは、書込パス電圧VPASSよりも大きい。
【0143】
[両面EPベリファイ動作]
図20は、両面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0144】
両面EPベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。
【0145】
ただし、両面EPベリファイ動作においては、メモリストリングMSI,MSOの双方に対応するドレイン側選択ゲート線SGDに、電圧VSGが供給される。
【0146】
また、両面EPベリファイ動作においては、選択ワード線WLI,WLOにEPベリファイ電圧VVFYEPが供給される。
【0147】
[片面EP書込動作]
図15を参照して説明した様に、消去ベリファイ動作では、ワード線WLI,WLOの双方に消去ベリファイ電圧VVFYErを供給する。この様な方法では、各高さ位置においてメモリセルMCI,MCOの一方がON状態となれば、ビット線BLに電流が流れる。これにより、図13のステップS204において、ベリファイPASSと判定される。
【0148】
この様な方法では、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧が同時に減少する。従って、消去動作の開始前にメモリセルMCI,MCOのしきい値分布に差がある場合、消去動作が終了した時点で、例えば図21に示す様に、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布の位置がずれてしまう場合がある。例えば、図21の例では、メモリセルMCIのしきい値分布のピーク位置に対応するしきい値電圧が、メモリセルMCOのしきい値分布のピーク位置に対応するしきい値電圧よりも大きい。以下、この様な状態を、メモリセルMCIのしきい値分布の方が浅い、メモリセルMCOのしきい値電圧の方が深い、等と表現する場合がある。
【0149】
ここで、両面EP書込動作を実行すると、メモリセルMCI,MCO双方のしきい値電圧が同時に増大する。また、図示の例では、メモリセルMCOのしきい値分布は比較的深いため、メモリセルMCOに対応するしきい値分布の下裾をEPベリファイ電圧VVFYEP程度まで増大させるために、ワード線WLI,WLOに比較的大きいプログラム電圧VPGMEPを供給することとなる。これに伴い、メモリセルMCIに対応するしきい値分布の上裾も、比較的大きく増大してしまう。例えば図22に示す様に、メモリセルMCIに対応するしきい値分布の上裾が、読出電圧VCGARを超えてしまうと、誤読出が生じてしまう。
【0150】
そこで、本実施形態に係る半導体記憶装置においては、消去動作を実行した後、両面EP書込動作を実行する前に、消去動作が実行されたメモリブロックBLKに対して片面EP書込動作を実行する。これにより、例えば図23に示す様に、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布を近づけることが可能である。これにより、両面EP書込動作においてワード線WLI,WLOに供給するプログラム電圧VPGMEPを、比較的小さくすることが可能である。これにより、図24に示す様に、両面EP書込動作におけるメモリセルMCIのしきい値分布の上裾の増大を抑制して、誤読出の発生を抑制可能である。
【0151】
図25は、本実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0152】
尚、本明細書においては、選択ワード線WLIにプログラム電圧VPGMEPを供給する動作を「表面EPプログラム動作」と呼び、選択ワード線WLOにプログラム電圧VPGMEPを供給する動作を「裏面EPプログラム動作」と呼び、表面EPプログラム動作又は裏面EPプログラム動作と、表面EPベリファイ動作及び裏面EPベリファイ動作と、を少なくとも1回ずつ実行する動作を「片面EP書込動作」と呼ぶ。例えば、図25の例では、フローチャート全体によって表される動作が「片面EP書込動作」であり、その中の、ステップS404の動作が「表面EPプログラム動作」であり、ステップS405の動作が「裏面EPプログラム動作」である。
【0153】
片面EP書込動作は、Z方向に並ぶ複数のワード線WLI,WLOに対して、順次実行される。
【0154】
ステップS401においては、表面EPベリファイ動作が実行される。表面EPベリファイ動作は、選択ワード線WLIにEPベリファイ電圧VVFYEPを供給して、メモリセルMCIのしきい値分布の状態を推定する動作である。
【0155】
ステップS402においては、裏面EPベリファイ動作が実行される。裏面EPベリファイ動作は、選択ワード線WLOにEPベリファイ電圧VVFYEPを供給して、メモリセルMCOのしきい値分布の状態を推定する動作である。
【0156】
ステップS403においては、しきい値分布判定動作が実行される。しきい値分布判定動作は、ステップS401,S402において推定したメモリセルMCI,MCOのしきい値分布の状態を比較し、しきい値分布の大小関係を示すデータを取得して、どちらのしきい値分布がより深いかを判定する動作である。ステップS403において、メモリセルMCIのしきい値分布の方が深いと判定された場合には、ステップS404に進む。一方、メモリセルMCOのしきい値分布の方が深いと判定された場合には、ステップS405に進む。
【0157】
ステップS404においては、表面EPプログラム動作が実行される。表面EPプログラム動作は、選択ワード線WLIにプログラム電圧VPGMEPを供給して、メモリセルMCIのしきい値電圧を増大させる動作である。
【0158】
ステップS405においては、裏面EPプログラム動作が実行される。裏面EPプログラム動作は、選択ワード線WLOにプログラム電圧VPGMEPを供給して、メモリセルMCOのしきい値電圧を増大させる動作である。
【0159】
[しきい値分布の判定]
図26は、表面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0160】
表面EPベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。
【0161】
ただし、表面EPベリファイ動作においては、選択ワード線WLIに、読出電圧VCGRVではなく、EPベリファイ電圧VVFYEPを供給する。
【0162】
また、表面EPベリファイ動作においては、例えば、ソース線SLを、電圧供給線から電気的に切り離して、フローティング状態とする。また、図28を参照して後述する様に、ソース線SLを、電流比較回路のノードN2と導通させる。
【0163】
裏面EPベリファイ動作は、基本的には、表面EPベリファイ動作と同様に実行される。
【0164】
ただし、表面EPベリファイ動作においてワード線WLIに供給される電圧は、裏面EPベリファイ動作においてはワード線WLOに供給される。また、表面EPベリファイ動作においてワード線WLOに供給される電圧は、裏面EPベリファイ動作においてはワード線WLIに供給される。
【0165】
また、裏面EPベリファイ動作においては、図29を参照して後述する様に、ソース線SLを、電流比較回路のノードN2ではなく、電流比較回路のノードN3と導通させる。
【0166】
図27は、片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な波形図である。図28図31は、片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な等価回路図である。
【0167】
図27のタイミングt1では、表面EPベリファイ動作が開始される。タイミングt1では、図28に示す様に、信号線ISOが“H”状態となり、スイッチトランジスタ61がON状態となる。これに伴い、ビット線BLが、ソース線SLを介して、電流比較回路のノードN2と導通する。また、キャパシタCが充電される。キャパシタCは、選択されたページ部において、ON状態の選択メモリセルMCIの数が多いほど、高速に充電される。図示の例では、ノードN2が、電圧Vまで充電されている。
【0168】
図27のタイミングt2では、表面EPベリファイ動作が終了する。タイミングt2では、信号線ISOが“L”状態となり、スイッチトランジスタ61がOFF状態となる。
【0169】
図27のタイミングt3では、裏面EPベリファイ動作が開始される。タイミングt3では、図29に示す様に、信号線ISOが“H”状態となり、スイッチトランジスタ62がON状態となる。これに伴い、ビット線BLが、ソース線SLを介して、電流比較回路のノードN3と導通する。また、キャパシタCが充電される。キャパシタCは、選択されたページ部において、ON状態の選択メモリセルMCOの数が多いほど、高速に充電される。図示の例では、ノードN3が、電圧Vまで充電されている。
【0170】
図27のタイミングt4では、裏面EPベリファイ動作が終了する。タイミングt4では、信号線ISOが“L”状態となり、スイッチトランジスタ62がOFF状態となる。
【0171】
尚、タイミングt3からタイミングt4までの時間は、タイミングt1からタイミングt2までの時間と一致する。
【0172】
図27のタイミングt5では、図30に示す様に、信号線M3が“H”状態となり、スイッチトランジスタ67がON状態となる。ここで、タイミングt5におけるノードN2の電圧Vがタイミングt5におけるノードN3の電圧Vよりも小さい場合、ノードN2には接地電圧VSSが供給され、ノードN3には電圧VDDが供給される。一方、ノードN2の電圧VがノードN3の電圧Vよりも大きい場合、ノードN2には電圧VDDが供給され、ノードN3には接地電圧VSSが供給される。
【0173】
図27のタイミングt6では、信号線M3が“L”状態となり、スイッチトランジスタ67がOFF状態となる。
【0174】
図27のタイミングt7では、図31に示す様に、信号線M4が“H”状態となり、スイッチトランジスタ68がON状態となる。これに伴い、ノードN2が信号線M5と導通する。この際、信号線M5の電圧は、しきい値分布の大小関係を示すデータとして出力される。
【0175】
図27のタイミングt8では、信号線M4が“L”状態となり、スイッチトランジスタ68がOFF状態となる。
【0176】
ここで、表面のしきい値分布の方が深い場合、タイミングt1~t2においてビット線BLからソース線SLに流れる電流は、タイミングt3~t4においてビット線BLからソース線SLに流れる電流よりも大きくなる。従って、上記電圧Vは、上記電圧Vよりも大きくなる。従って、タイミングt8において、信号線M5に電圧VDDが供給されていた場合、図25を参照して説明したステップS403においては、表面のしきい値分布の方が深いと判定する。
【0177】
一方、裏面のしきい値分布の方が深い場合、タイミングt1~t2においてビット線BLからソース線SLに流れる電流は、タイミングt3~t4においてビット線BLからソース線SLに流れる電流よりも小さくなる。従って、上記電圧Vは、上記電圧Vよりも小さくなる。従って、タイミングt8において、信号線M5に接地電圧VSSが供給されていた場合、図25を参照して説明したステップS403においては、裏面のしきい値分布の方が深いと判定する。
【0178】
尚、図27の例では、タイミングt5~t6において信号線M3が“H”状態となり、ノードN2,N3の電圧差が増幅されている。また、ノードN2,N3の電圧が、接地電圧VSSまで減少し、又は、電圧VDDまで増大している。しかしながら、ノードN2,N3の電圧差を増幅せず、又は、ノードN2,N3の電圧が飽和しない程度に、ノードN2,N3の電圧差を増幅することも可能である。これにより、信号線M5の電圧に基づいて、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布の差分を示すデータを取得可能である。
【0179】
[表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作]
図32は、表面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【0180】
表面EPプログラム動作は、基本的には、図19を参照して説明した両面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0181】
ただし、表面EPプログラム動作においては、メモリストリングMSIに対応するドレイン側選択ゲート線SGDに電圧VSGDが供給され、メモリストリングMSOに対応するドレイン側選択ゲート線SGDに接地電圧VSSが供給される。
【0182】
また、表面EPプログラム動作においては、選択ワード線WLIのみにプログラム電圧VPGMEPが供給され、非選択ワード線WLI及びワード線WLOには、書込パス電圧VPASSが供給される。
【0183】
尚、プログラム電圧VPGMEP及びビット線BLの電圧の大きさ及び供給時間(パルス幅)は、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布の差分を示すデータに基づいて、調整可能である。例えば、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布の差分が比較的大きい場合には、プログラム電圧VPGMEPを比較的大きい値に設定し、又は、比較的長い時間供給することが考えられる。また、ビット線BLの電圧を比較的小さい値に設定し、又は、比較的長い時間供給することが考えられる。一方、メモリセルMCI,MCOのしきい値分布の差分が比較的小さい場合には、プログラム電圧VPGMEPを比較的小さい値に設定し、又は、比較的短い時間供給することが考えられる。また、ビット線BLの電圧を比較的大きい値に設定し、又は、比較的短い時間供給することが考えられる。
【0184】
裏面EPプログラム動作は、基本的には、表面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0185】
ただし、表面EPプログラム動作においてワード線WLIに供給される電圧は、裏面EPプログラム動作においてはワード線WLOに供給される。また、表面EPプログラム動作においてワード線WLOに供給される電圧は、裏面EPプログラム動作においてはワード線WLIに供給される。
【0186】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0187】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第2実施形態に係る半導体記憶装置においては、図4を参照して説明した電流比較回路が、ソース線SLではなく、ビット線BLに接続されている。また、電流比較回路が、各ビット線BLに対応して、複数設けられている。
【0188】
また、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に動作する。ただし、第2実施形態に係る片面EP書込動作は、第1実施形態に係る片面EP書込動作と異なる。
【0189】
図33は、第2実施形態に係る片面EP書込動作の一部について説明するための模式的な波形図である。
【0190】
図27を参照して説明した様に、第1実施形態に係る片面EP書込動作では、予め、キャパシタC,Cの電荷が放電されている。また、タイミングt1~t2にかけてキャパシタCが充電され、タイミングt3~t4にかけてキャパシタCが充電される。
【0191】
一方、図33に示す様に、第2実施形態に係る片面EP書込動作では、予め、キャパシタC,Cが充電されている。また、タイミングt1~t2にかけてキャパシタCの電荷が放電され、タイミングt3~t4にかけてキャパシタCの電荷が放電される。
【0192】
尚、タイミングt1~t2では、選択メモリセルMCIのしきい値電圧が小さいほど、キャパシタCの電荷が高速に放電される。また、タイミングt3~t4では、選択メモリセルMCOのしきい値電圧が小さいほど、キャパシタCの電荷が高速に放電される。
【0193】
また、第1実施形態に係る片面EP書込動作では、電流比較回路によって、しきい値分布の大小関係を示すデータを取得する。また、タイミングt8において、信号線M5に電圧VDDが供給されていた場合、表面のしきい値分布の方が深いと判定する。また、タイミングt8において、信号線M5に接地電圧VSSが供給されていた場合、裏面のしきい値分布の方が深いと判定する。
【0194】
一方、第2実施形態に係る片面EP書込動作では、電流比較回路によって、メモリセルMCI,MCOの、しきい値電圧の大小関係を示すデータを取得する。また、タイミングt8において、信号線M5に接地電圧VSSが供給されていた場合(信号線M5が“L”状態だった場合)、メモリセルMCIのしきい値電圧の方が小さいと判定する。また、タイミングt8において、信号線M5に電圧VDDが供給されていた場合(信号線M5が“H”状態だった場合)、メモリセルMCOのしきい値電圧の方が小さいと判定する。
【0195】
また、図25のステップS403では、図示しないカウンタ回路を参照して、しきい値電圧の大小関係を示すデータ中の、“L”状態のデータの数又は“H”状態のデータの数を取得する。また、“L”状態のデータの数の方が多かった場合には、表面のしきい値分布の方が深いと判定する。また、“H”状態のデータの数の方が多かった場合には、裏面のしきい値分布の方が深いと判定する。
【0196】
また、第2実施形態においては、電流比較回路が、各ビット線BLに対応して複数設けられているため、各ビット線BLに接続されたメモリセルMCI,MCOについて、しきい値電圧の大小関係を示すデータを取得することが可能である。従って、図25のステップS404に対応する表面EPプログラム動作を実行する場合には、メモリセルMCOのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCIのみについて、しきい値電圧を増大させることが可能である。同様に、図25のステップS405に対応する裏面EPプログラム動作を実行する場合には、メモリセルMCIのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCOのみについて、しきい値電圧を増大させることが可能である。
【0197】
例えば、第2実施形態に係る表面EPプログラム動作、及び、裏面EPプログラム動作においては、しきい値電圧を増大させるメモリセルMCI,MCOに接続されたビット線BLには電圧VSRCを供給し、しきい値電圧を増大させないメモリセルMCI,MCOに接続されたビット線BLには電圧VDDを供給する。
【0198】
この様な方法は、例えば、信号線M5のデータ、又は、その反転データを、ラッチ回路SDLにラッチさせ、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXの状態を“L,L,H,H,L,H”とすることにより、実現可能である。
【0199】
また、第2実施形態に係る表面EPプログラム動作においては、メモリセルMCOのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCIのみについて、しきい値電圧を増大させても良い。同様に、第2実施形態に係る裏面EPプログラム動作においては、メモリセルMCIのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCOのみについて、しきい値電圧を増大させても良い。
【0200】
この様な場合には、表面EPプログラム動作、及び、裏面EPプログラム動作の実行前に、図20を参照して説明した両面EPベリファイ動作を実行しても良い。これにより、選択メモリセルMCI,MCOの少なくとも一方のしきい値電圧がEPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いか否かを示すデータを取得可能である。従って、このデータと、上記しきい値電圧の大小関係を示すデータと、を組み合わせることにより、メモリセルMCOのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCIを特定可能である。同様に、メモリセルMCIのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCOを特定可能である。
【0201】
尚、ビット線BLの電圧の大きさ及び供給時間(パルス幅)は、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の差分を示すデータに基づいて、調整可能である。例えば、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の差分が比較的大きい場合には、ビット線BLの電圧を比較的小さい値に設定し、又は、比較的長い時間供給することが考えられる。一方、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の差分が比較的小さい場合には、ビット線BLの電圧を比較的大きい値に設定し、又は、比較的短い時間供給することが考えられる。
【0202】
尚、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の差分を示すデータは、図27のタイミングt5~t6においてノードN2,N3の電圧差を増幅せず、又は、ノードN2,N3の電圧が飽和しない程度に、ノードN2,N3の電圧差を増幅することによって取得可能である。
【0203】
尚、その他の点において、第2実施形態に係る片面EP書込動作は、第1実施形態に係る片面EP書込動作と同様に実行される。
【0204】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0205】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0206】
また、第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に動作する。ただし、第3実施形態に係る片面EP書込動作は、第2実施形態に係る片面EP書込動作と異なる。
【0207】
図34は、第3実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0208】
第3実施形態に係る片面EP書込動作においては、図25のステップS404に対応するしきい値分布判定動作のかわりに、ステップS413として、しきい値電圧判定動作を実行する。しきい値電圧判定動作は、基本的には、第2実施形態に係るしきい値分布判定動作と同様に実行される。ただし、しきい値電圧判定動作では、メモリセルMCI,MCOのしきい値電圧の大小関係を示すデータの取得のみを行い、表面のしきい値分布の方が深いか、裏面のしきい値分布の方が深いか、の判定を行わない。
【0209】
また、第2実施形態に係る片面EP書込動作においては、図25に示す様に、ステップS403のしきい値分布判定動作の結果に基づいて、ステップS404の表面EPプログラム動作、及び、ステップS405の裏面EPプログラム動作の一方のみを実行する。また、表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作では、しきい値電圧を増大させるべきメモリセルMCI,MCOのしきい値電圧を、選択的に増大させる。
【0210】
一方、第3実施形態に係る片面EP書込動作においては、図34に示す様に、ステップS404の表面EPプログラム動作、及び、ステップS405の裏面EPプログラム動作の双方を実行する。第3実施形態に係る表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作は、第2実施形態に係る表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0211】
例えば、第3実施形態においては、メモリセルMCOのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCIと、メモリセルMCIのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCOと、の双方のしきい値電圧を増大させても良い。
【0212】
また、例えば、第3実施形態においては、メモリセルMCOのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCIと、メモリセルMCIのしきい値電圧、及び、EPベリファイ電圧VVFYEPよりも低いしきい値電圧を有するメモリセルMCOと、の双方のしきい値電圧を増大させても良い。この様な場合には、表面EPプログラム動作、及び、裏面EPプログラム動作の実行前に、図20を参照して説明した両面EPベリファイ動作を実行しても良い。
【0213】
尚、その他の点において、第3実施形態に係る片面EP書込動作は、第2実施形態に係る片面EP書込動作と同様に実行される。
【0214】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0215】
第4実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第4実施形態に係る半導体記憶装置は、図4を参照して説明した電流比較回路を備えていない。
【0216】
第4実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に動作する。ただし、第4実施形態に係る片面EP書込動作は、第1実施形態に係る片面EP書込動作と異なる。
【0217】
図35は、第4実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0218】
ステップS501においては、ループ回数nEP0が1に設定される。ループ回数nEP0は、片面EP書込ループの回数を示す変数である。
【0219】
ステップS502においては、表面EPベリファイ動作が実行される。本実施形態に係る表面EPベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。ただし、本実施形態に係る表面EPベリファイ動作においては、選択ワード線WLIに、読出電圧VCGRVではなく、EPベリファイ電圧VVFYEPを供給する。
【0220】
ステップS503においては、裏面EPベリファイ動作が実行される。本実施形態に係る裏面EPベリファイ動作は、基本的には、読出動作と同様に実行される。ただし、本実施形態に係る裏面EPベリファイ動作においては、選択ワード線WLOに、読出電圧VCGRVではなく、EPベリファイ電圧VVFYEPを供給する。
【0221】
ステップS504においては、例えば、ステップS502においてON状態と判定された選択メモリセルMCIの数を取得する。例えば、図示しないカウンタ回路を参照して、ステップS502において取得された、選択メモリセルMCIのON/OFF状態を示すデータの、ON状態を示すデータの数を取得する。
【0222】
また、ステップS504においては、例えば、ステップS503においてON状態と判定された選択メモリセルMCOの数を取得する。例えば、図示しないカウンタ回路を参照して、ステップS503において取得された、選択メモリセルMCOのON/OFF状態を示すデータの、ON状態を示すデータの数を取得する。
【0223】
また、ステップS504においては、ステップS502においてON状態と判定された選択メモリセルMCIの数と、ステップS503においてON状態と判定された選択メモリセルMCOの数と、を比較する。前者の方が大きい場合には、メモリセルMCIのしきい値分布の方が深いと判定し、ステップS505に進む。後者の方が大きい場合には、メモリセルMCOのしきい値分布の方が深いと判定し、ステップS507に進む。
【0224】
ステップS505においては、表面EPプログラム動作を実行して、ステップS506に進む。ステップS505の表面EPプログラム動作は、例えば、図25のステップS404に対応する表面EPプログラム動作(図32参照)と同様に実行される。
【0225】
尚、ステップS505の表面EPプログラム動作では、第1実施形態と同様に、全てのビット線BLに電圧VSRCを供給しても良いし、第2実施形態又は第3実施形態と同様に、一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給し、残りのビット線BLに電圧VDDを供給しても良い。一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給する場合、例えば、ステップS502又はステップS506に対応する表面EPベリファイ動作においてON状態と判定された選択メモリセルMCIに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給し、その他のビット線BLには電圧VDDを供給しても良い。
【0226】
ステップS506においては、表面EPベリファイ動作を実行して、ステップS509に進む。ステップS506の表面EPベリファイ動作は、ステップS502に対応する表面EPベリファイ動作と同様に実行される。
【0227】
ステップS507においては、裏面EPプログラム動作を実行して、ステップS508に進む。ステップS507の裏面EPプログラム動作は、例えば、図25のステップS405に対応する裏面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0228】
尚、ステップS507の裏面EPプログラム動作では、第1実施形態と同様に、全てのビット線BLに電圧VSRCを供給しても良いし、第2実施形態又は第3実施形態と同様に、一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給し、残りのビット線BLに電圧VDDを供給しても良い。一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給する場合、例えば、ステップS503又はステップS508に対応する裏面EPベリファイ動作においてON状態と判定された選択メモリセルMCOに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給し、その他のビット線BLには電圧VDDを供給する。
【0229】
ステップS508においては、裏面EPベリファイ動作を実行して、ステップS509に進む。ステップS508の裏面EPベリファイ動作は、ステップS503に対応する裏面EPベリファイ動作と同様に実行される。
【0230】
ステップS509では、ベリファイ動作の結果を判定する。
【0231】
例えば、ステップS504において、メモリセルMCIのしきい値分布の方が深いと判定されている場合には、ステップS506においてON状態と判定された選択メモリセルMCIの数を取得する。
【0232】
また、ステップS506においてON状態と判定された選択メモリセルMCIの数と、ステップS503においてON状態と判定された選択メモリセルMCOの数と、を比較する。前者の方が大きい場合には、ベリファイFAILと判定し、ステップS510に進む。それ以外の場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS512に進む。
【0233】
また、例えば、ステップS504において、メモリセルMCOのしきい値分布の方が深いと判定されている場合には、ステップS508においてON状態と判定された選択メモリセルMCOの数を取得する。
【0234】
また、ステップS508においてON状態と判定された選択メモリセルMCOの数と、ステップS502においてON状態と判定された選択メモリセルMCIの数と、を比較する。前者の方が大きい場合には、ベリファイFAILと判定し、ステップS510に進む。それ以外の場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS512に進む。
【0235】
ステップS510では、ループ回数nEP0が所定の回数NEP0に達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS511に進む。達していた場合にはステップS513に進む。
【0236】
ステップS511では、ループ回数nEP0に1を加算する。また、ステップS511では、例えば、プログラム電圧VPGMEPに所定の電圧ΔVを加算する。従って、プログラム電圧VPGMEPは、ループ回数nEP0の増大と共に増大する。
【0237】
ステップS511の実行後、ステップS505又はステップS507に進む。例えば、ステップS504において、メモリセルMCIのしきい値分布の方が深いと判定されている場合には、ステップS505に進む。また、ステップS504において、メモリセルMCOのしきい値分布の方が深いと判定されている場合には、ステップS507に進む。
【0238】
ステップS512では、図示しないステータスレジスタに、片面EP書込動作が正常に終了した旨のステータスデータを格納し、片面EP書込動作を終了する。
【0239】
ステップS513では、図示しないステータスレジスタに、片面EP書込動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、片面EP書込動作を終了する。
【0240】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0241】
第5実施形態に係る半導体記憶装置は、第4実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0242】
第5実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第4実施形態に係る半導体記憶装置と同様に動作する。ただし、第5実施形態に係る片面EP書込動作は、第4実施形態に係る片面EP書込動作と異なる。
【0243】
図36は、第5実施形態に係る片面EP書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0244】
第5実施形態に係る片面EP書込動作は、基本的には、第4実施形態に係る片面EP書込動作と同様に実行される。
【0245】
ただし、第5実施形態に係る片面EP書込動作においては、図36に示す様に、ステップS505の表面EPプログラム動作及びステップS506の表面EPベリファイ動作、並びに、ステップS507の裏面EPプログラム動作及びステップS508の裏面EPベリファイ動作を、全て実行する。
【0246】
また、第4実施形態に係る表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作では、第1実施形態と同様に、全てのビット線BLに電圧VSRCを供給しても良いし、第2実施形態又は第3実施形態と同様に、一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給し、残りのビット線BLに電圧VDDを供給しても良い。
【0247】
一方、第5実施形態に係る表面EPプログラム動作及び裏面EPプログラム動作では、第2実施形態又は第3実施形態と同様に、一部のビット線BLのみに電圧VSRCを供給し、残りのビット線BLに電圧VDDを供給する。
【0248】
例えば、表面EPプログラム動作では、ステップS502又はステップS506に対応する表面EPベリファイ動作においてON状態と判定された選択メモリセルMCIに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給し、その他のビット線BLには電圧VDDを供給する。
【0249】
また、例えば、裏面EPプログラム動作では、ステップS503又はステップS508に対応する裏面EPベリファイ動作においてON状態と判定された選択メモリセルMCOに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給し、その他のビット線BLには電圧VDDを供給する。
【0250】
また、第5実施形態に係る片面EP書込動作では、ステップS511の実行後、ステップS504における判定結果に拘わらず、ステップS505に進む。
【0251】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0252】
第1実施形態に係る片面EP書込動作は、同一の高さ位置に設けられた一対のワード線WLI,WLOを動作の対象としている。従って、第1実施形態に係る片面EP書込動作は、Z方向に並ぶ全てのワード線WLI,WLOに対して、順次実行される。
【0253】
しかしながら、この様な方法はあくまでも例示であり、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、図25のステップS404に対応する表面EPプログラム動作では、Z方向に並ぶ全てのワード線WLIに対してプログラム電圧VPGMEPを供給しても良い。同様に、図25のステップS405に対応する裏面EPプログラム動作では、Z方向に並ぶ全てのワード線WLOに対してプログラム電圧VPGMEPを供給しても良い。
【0254】
図37は、第6実施形態に係る表面EPプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【0255】
第6実施形態に係る表面EPプログラム動作は、基本的には、図32を参照して説明した表面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0256】
ただし、第6実施形態に係る表面EPプログラム動作では、図37に示す様に、Z方向に並ぶ全てのワード線WLIに、プログラム電圧VPGMEPが供給される。
【0257】
第6実施形態に係る裏面EPプログラム動作は、基本的には、表面EPプログラム動作と同様に実行される。
【0258】
ただし、表面EPプログラム動作においてワード線WLIに供給される電圧は、裏面EPプログラム動作においてはワード線WLOに供給される。また、表面EPプログラム動作においてワード線WLOに供給される電圧は、裏面EPプログラム動作においてはワード線WLIに供給される。
【0259】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0260】
第7実施形態に係る半導体記憶装置は、第6実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0261】
また、第7実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第6実施形態に係る半導体記憶装置と同様に動作する。ただし、第7実施形態に係る片面EP書込動作は、第6実施形態に係る片面EP書込動作と異なる。
【0262】
第7実施形態に係る片面EP書込動作は、基本的には、第6実施形態に係る片面EP書込動作と同様に実行される。ただし、第7実施形態に係る表面EPベリファイ動作、及び、裏面EPベリファイ動作は、第6実施形態に係る表面EPベリファイ動作、及び、裏面EPベリファイ動作と異なる。
【0263】
図38は、第7実施形態に係る表面EPベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0264】
第7実施形態に係る表面EPベリファイ動作は、基本的には、図26を参照して説明した表面EPベリファイ動作と同様に実行される。
【0265】
ただし、第7実施形態に係る表面EPベリファイ動作では、図38に示す様に、Z方向に並ぶ全てのワード線WLIに、EPベリファイ電圧VVFYEPが供給される。
【0266】
第7実施形態に係る裏面EPベリファイ動作は、基本的には、表面EPベリファイ動作と同様に実行される。
【0267】
ただし、表面EPベリファイ動作においてワード線WLIに供給される電圧は、裏面EPベリファイ動作においてはワード線WLOに供給される。また、表面EPベリファイ動作においてワード線WLOに供給される電圧は、裏面EPベリファイ動作においてはワード線WLIに供給される。
【0268】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第7実施形態に係る半導体記憶装置について例示した。しかしながら、第1実施形態~第7実施形態において示した様な構成はあくまでも例示に過ぎず、半導体記憶装置の具体的な構成等は適宜調整可能である。また、第1実施形態~第7実施形態において示した様な動作も例示に過ぎず、電圧の大きさ、電圧を供給するタイミング等は、適宜調整可能である。
【0269】
また、以上の例では、半導体層120の上端及び下端が、N型の半導体層に接続される例について説明した。しかしながら、半導体層120の上端及び下端の少なくとも一方は、ホウ素(B)等のP型の半導体層に接続されても良い。この場合、消去電圧供給動作においては、GIDLを発生させて半導体層120に正孔を供給するのではなく、ソース線SL及びビット線BLの少なくとも一方から、P型の半導体層を介して、半導体層120に正孔を供給しても良い。
【0270】
また、第1実施形態~第7実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法は、出荷前及び出荷後の少なくとも一方において実行され得る。出荷前に実行される場合、第1実施形態~第7実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法は、ダイシング前及びダイシング後の少なくとも一方において実行され得る。ここで、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法を、ダイシング前に実行する場合には、図4を参照して説明した様な電流比較回路が、カーフ領域に設けられていても良い。
【0271】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0272】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁層、131…トンネル絶縁層、132…電荷蓄積層、133…ブロック絶縁層、140…絶縁層、150…絶縁層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38