(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184365
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】家具類、建築物又は内装構造、建築方法又は内装工事方法
(51)【国際特許分類】
A47B 5/06 20060101AFI20231221BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20231221BHJP
A47C 9/06 20060101ALI20231221BHJP
A47B 87/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A47B5/06
A47B55/00
A47C9/06
A47B87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098487
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】722003428
【氏名又は名称】株式会社英知
(72)【発明者】
【氏名】樋口 廷之
(72)【発明者】
【氏名】緑川 修
【テーマコード(参考)】
3B053
3B067
3B095
3B260
【Fターム(参考)】
3B053NA04
3B067AB00
3B067BA01
3B067DA00
3B067EA01
3B095DA01
3B260BA02
3B260BB03
3B260BC01
3B260BD05
3B260BE00
3B260BF01
3B260BG01
3B260BG07
(57)【要約】
【課題】建築物又は内装構造における壁構造物又は床構造物の安定性に優れ、容易に壁構造物又は床構造物におけるレイアウト変更可能な家具類、建築物又は内装構造の強度向上に資する壁構造物又は床構造物に用いられる家具類、前記家具類が用いられている建築物又は内装構造、並びに産業上有利に実施可能なこれら建築物又は内装構造の建築方法又は内装工事方法を提供する。
【解決手段】家具類に建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を設け、次いで前記嵌合部を用いて前記家具類と前記壁構造物又は床構造物とを嵌合する際に、前記嵌合部を、着脱可能に構成し、かつ前記家具類の支持部材として、複数設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を含む家具類であって、前記嵌合部が、着脱可能に構成されており、かつ支持部材として、複数設けられていることを特徴とする家具類。
【請求項2】
前記嵌合部が凸状であることを特徴とする請求項1記載の家具類。
【請求項3】
前記嵌合部が複数組み合わさり、コの字状を形成していることを特徴とする請求項2記載の家具類。
【請求項4】
前記嵌合部の嵌合深さが5cm以上であることを特徴とする請求項1記載の家具類。
【請求項5】
前記嵌合部の嵌合幅が5cm以上であることを特徴とする請求項1記載の家具類。
【請求項6】
飾り棚、椅子、ダイニングテーブル、チェスト、サイドテーブル、手許タンス、サイドボード、テレビボード、茶箪笥又はベッドである請求項1~5のいずれかに記載の家具類。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の家具類が備え付けられている建築物又は内装構造。
【請求項8】
家具類に建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を設け、次いで前記嵌合部を用いて前記家具類と前記壁構造物又は床構造物とを嵌合する方法であって、前記嵌合部が、着脱可能に構成されており、かつ前記家具類の支持部材として、複数設けられていることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記嵌合部が凸状であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記嵌合部を複数組み合わせて、コの字状を形成することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記嵌合部の嵌合深さが5cm以上であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記嵌合部の嵌合幅が5cm以上であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記家具類が、飾り棚、椅子、ダイニングテーブル、チェスト、サイドテーブル、手許タンス、サイドボード、テレビボード、茶箪笥又はベッドである請求項8~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項8~13のいずれかに記載の方法を用いて建築又は内装工事された建築物。
【請求項15】
請求項8~13のいずれかに記載の方法を用いる建築方法又は内装工事方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物若しくはその内装構造、これらと共に用いられる家具類又は建築方法若しくは内装工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋内に設置可能な家具と、内壁材とをユニット化したユニット家具等が知られている。ユニット家具は、家屋に備え付けられており、安定性に優れているが、レイアウト変更などが困難である等の問題を有していた。
【0003】
近年においては、収納家具を底面から浮かせつつ家屋の壁面に対し係止する収納家具システム又は建物に固定せず、建物躯体に生じた振動の影響を受けにくく、壁や床の仕上げに傷つけにくいユニット家具等(例えば特許文献1や特許文献2等)や使用者に応じて昇降可能に構成された天板を有する天板付家具等(例えば特許文献3等)も検討されているが、デッドスペースが生じ易く、また場所もとり、安定性に乏しく、レイアウト変更も自由度が低いといった問題が多々あり、そのため、より可変化に優れ、安定性にも優れ、さらには家屋の強度向上や家具の耐震性向上に資するような方策が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6925089号
【特許文献3】特許第6749883号
【特許文献3】特許第6851792号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、建築物又は内装構造における壁構造物又は床構造物の安定性に優れ、容易に壁構造物又は床構造物におけるレイアウト変更可能な家具類、建築物又は内装構造の強度向上に資する壁構造物又は床構造物に用いられる家具類、前記家具類が用いられている建築物又は内装構造、並びに産業上有利に実施可能なこれら建築物又は内装構造の建築方法又は内装工事方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、家具類、壁構造物、床構造物、壁材パネル又は床材パネルとを組み合わせる方法であって、前記家具類の側面、床面、前記壁材パネル又は床材パネルの底面に、嵌合部を配設するステップ、及び前記壁構造物又は前記床構造物に、前記家具類の側面、床面、前記壁材パネル又は床材パネルの底面に配設された嵌合物と嵌合可能な嵌合部を複数配設するステップを含む方法によれば、建築物又は内装構造における壁構造物又は床構造物の安定性に優れ、容易に壁構造物又は床構造物におけるレイアウト変更可能な家具類、建築物又は内装構造の強度向上に資する壁構造物又は床構造物に用いられる家具類、前記家具類が用いられている建築物又は内装構造、並びに産業上有利に実施可能なこれら建築物又は内装構造の建築方法又は内装工事方法が実現できることを知見し、このような方法が上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を含む家具類であって、前記嵌合部が、着脱可能に構成されており、かつ支持部材として、複数設けられていることを特徴とする家具類。
[2] 前記嵌合部が凸状であることを特徴とする前記[1]記載の家具類。
[3] 前記嵌合部が複数組み合わさり、コの字状を形成していることを特徴とする前記[2]記載の家具類。
[4] 前記嵌合部の嵌合深さが5cm以上であることを特徴とする前記[1]記載の家具類。
[5] 前記嵌合部の嵌合幅が5cm以上であることを特徴とする前記[1]記載の家具類。
[6] 飾り棚、椅子、ダイニングテーブル、チェスト、サイドテーブル、手許タンス、サイドボード、テレビボード、茶箪笥又はベッドである前記[1]~[5]のいずれかに記載の家具類。
[7] 前記[1]~[6]のいずれかに記載の家具類が備え付けられている建築物又は内装構造。
[8] 家具類に建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を設け、次いで前記嵌合部を用いて前記家具類と前記壁構造物又は床構造物とを嵌合する方法であって、前記嵌合部が、着脱可能に構成されており、かつ前記家具類の支持部材として、複数設けられていることを特徴とする方法。
[9] 前記嵌合部が凸状であることを特徴とする前記[8]記載の方法。
[10] 前記嵌合部を複数組み合わせて、コの字状を形成することを特徴とする前記[9]記載の方法。
[11] 前記嵌合部の嵌合深さが5cm以上であることを特徴とする前記[8]記載の方法。
[12] 前記嵌合部の嵌合幅が5cm以上であることを特徴とする前記[8]記載の方法。
[13] 前記家具類が、飾り棚、椅子、ダイニングテーブル、チェスト、サイドテーブル、手許タンス、サイドボード、テレビボード、茶箪笥又はベッドである前記[8]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 前記[8]~[13]のいずれかに記載の方法を用いて建築又は内装工事された建築物。
[15] 前記[8]~[13]のいずれかに記載の方法を用いる建築方法又は内装工事方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、建築物又は内装構造における壁構造物又は床構造物の安定性に優れ、容易に壁構造物又は床構造物におけるレイアウト変更可能な家具類、建築物又は内装構造の強度向上に資する壁構造物又は床構造物に用いられる家具類、前記家具類が用いられている建築物又は内装構造、並びに産業上有利に実施可能なこれら建築物又は内装構造の建築方法又は内装工事方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に用いられる格子状の壁構造物の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明に用いられる格子状の床構造物の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明において用いられる家具類の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
【
図4】本発明において家具類、壁構造物と床構造物との好適な組合せとしての適用例の一つを模式的に示す図である。
【
図5】本発明において用いられる家具類の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本発明において家具類、壁構造物と床構造物との好適な組合せとしての適用例の一つを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の家具類は、建築物内の壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されている嵌合部を含む家具類であって、前記嵌合部が、着脱可能に構成されており、かつ支持部材として、複数設けられていることを特長とする。
【0011】
前記家具類の種類としては、特に限定されないが、例えば、家屋内に設置可能な家具類等が挙げられる。前記家具類としては、例えば、ベッド、イス、テーブル、机、棚等が挙げられる。また、前記嵌合部は、前記壁構造物又は床構造物と嵌合可能に構成されており、且つ着脱可能に構成されている嵌合部であって、支持部材として前記家具類に複数設けられていれば、特に限定されないが、本発明においては、凸状であることが好ましい。また、本発明においては、前記嵌合部が複数組み合わさり、コの字状を形成しているのが好ましい。これら好ましい範囲によれば、より安定性を向上させることができ、さらに耐久性及び着脱安定性により優れたものとすることができる。本発明においては、前記嵌合部の嵌合深さが、5cm以上であるのが好ましく、10cm以上であるのがより好ましい。また、前記嵌合部の嵌合幅が、5cm以上であるのも好ましい。また、本発明においては、前記家具類が、底面に支持部を具備しているのが好ましい。このような好ましい範囲によれば、安定性により優れ、より容易にレイアウト変更可能であり、より耐久性に優れたものとすることができる。
【0012】
なお、本発明においては、前記家具類に壁材パネル又は床材パネルも含まれる。前記壁材パネル又は床材パネルは、通常、前記嵌合部を備えている。本発明においては、前記壁材パネル又は床材パネルの好適な例としては家屋内に例えばパーテーション若しくは内壁パネル又はフロアマット若しくはフロアタイルとして用いられる壁材パネル又は床材パネル等が挙げられる。より具体的な例としては、床マットパネル、木板パネル、畳パネル、絨毯パネルなどが挙げられる。
【0013】
前記壁構造物及び前記床構造物は、家屋内に設置可能な壁構造物及び床構造物であれば特に限定されないが、本発明において、前記壁構造物は家屋内の内壁構造物であるのが好ましく、前記床構造物は家屋に用いられる床構造物であるのが好ましい。前記壁構造物及び床構造物表面には、前記家屋内に設置可能な家具類と嵌合可能な嵌合部が複数配設されているのが好ましい。
【0014】
本発明においては、前記家具類を建築物又は内装構造に備えつけるのが好ましく、このような建築物又は内装構造も本発明に含まれる。
【0015】
本発明においては、前記家具類と前記壁構造物又は床構造物とを着脱可能に嵌合するように構成することにより、建築物又は内装構造における壁構造物又は床構造物の安定性に優れ、容易に壁構造物又は床構造物におけるレイアウト変更可能な家具類、建築物又は内装構造の強度向上に資する壁構造物又は床構造物に用いられる家具類、前記家具類が用いられている建築物又は内装構造、並びに産業上有利に実施可能なこれら建築物又は内装構造の建築方法又は内装工事方法を実現することができる。
【実施例0016】
図1は、本発明において好適に用いられる格子状の壁構造物を示す。
図1の壁構造物は、支持部1、嵌合部2、梁部3及び支持部(小)4からなり、床構造物は、支持部1、嵌合部2、梁部3及び支持部(小)4及び床底5からなり、壁構造物は、表面が格子状となっている。支持部1、梁部3及び支持部(小)は、いずれも木材から構成されており、嵌合部2は空間部として凹部が形成されている。嵌合部2は、家具類、壁材パネル又は床材パネルと嵌合可能な凹部を含んでおり、また、格子床とすることにより、デザイン性もより向上させている。
【0017】
図2は、本発明において好適に用いられる格子状の床構造物を示す。
図2の床構造物は、支持部1、嵌合部2、梁部3及び支持部(小)4からなり、床構造物は、支持部1、嵌合部2、梁部3及び支持部(小)4及び床底5からなり、床構造物は、表面が格子状となっている。支持部1、梁部3及び支持部(小)は、いずれも木材から構成されており、嵌合部2は空間部として凹部が形成されている。嵌合部2は、家具類、壁材パネル又は床材パネルと嵌合可能な凹部を含んでおり、また、格子床とすることにより、デザイン性もより向上させている。
【0018】
図3は、本発明において好適に用いられる家具類(ソファ)を示す。
図2のソファは、ソファの座面11、嵌合部21、ずれ止め25及び支持部31からなり、側面又は床面に嵌合部21により、例えば
図1の格子状の壁構造物若しくは床構造物又は壁構造物と床構造物との両方と嵌合可能に構成されている。嵌合部21、ソファの座面11及び支持部31は、いずれも木材から構成されており、嵌合部21は木材により凸部を形成している。
本発明においては、安定性がより向上するので、凸部が複数あるのが好ましい。なお、ずれ止め25は、格子状の壁構造物又は壁構造物と床構造物との両方と嵌合した際のずれを防止するためのものである。
【0019】
図4は、本発明の好ましい家具類、壁構造物及び床構造物との組合せの一例を示す。
図4の組合せは、ソファ40、格子状壁50、格子状床60及び床底5からなり、ソファ40に備えつけられている嵌合部(図示せず)を用いて格子状壁50及び格子状床60の凹部と嵌合されている。このようなソファ40はレイアウトを容易に変更することができるだけでなく、安定性により優れ、さらに、耐久性や家屋の耐震性をもより向上させることができる。
【0020】
図5は、本発明において好適に用いられる家具類(ソファ)を示す。
図2のソファは、ソファの座面11、嵌合部21、ずれ止め25及び支持部31からなり、側面又は床面に嵌合部21により、例えば
図1の格子状の壁構造物若しくは床構造物又は壁構造物と床構造物との両方と嵌合可能に構成されている。嵌合部21、ソファの座面11及び支持部31は、いずれも木材から構成されており、嵌合部21は木材により凸部を形成している。本発明においては、安定性がより向上するので、凸部が複数あるのが好ましい。なお、ずれ止め25は、格子状の壁構造物又は壁構造物と床構造物との両方と嵌合した際のずれを防止するためのものである。
【0021】
図6は、本発明の好ましい家具類、壁構造物及び床構造物との組合せの一例を示す。
図6の組合せは、ソファ40、格子状壁50、格子状床60及び床底5からなり、ソファ40に備えつけられている嵌合部(図示せず)を用いて格子状壁50及び格子状床60の凹部と嵌合されている。このようなソファ40はレイアウトを容易に変更することができるだけでなく、安定性により優れ、さらに、耐久性や家屋の耐震性をもより向上させることができる。