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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184369
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】梁底部材および梁の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/16 20060101AFI20231221BHJP
   E04C 3/20 20060101ALI20231221BHJP
   E04B 5/32 20060101ALI20231221BHJP
   E04B 5/36 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E04B1/16 K
E04C3/20
E04B5/32 D
E04B5/36
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098491
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】390022323
【氏名又は名称】大成ユーレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】青木 卓
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】平松 道明
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FD02
2E163FD23
2E163FD44
2E163FD46
2E163FD48
(57)【要約】
【課題】施工コストを低減可能な梁底部材を提供すること。
【解決手段】梁底部材10は、梁2の底部となるプレキャストコンクリート造の部材である。この梁底部材10は、コンクリート体30と、コンクリート体30に埋設された互いに略平行な複数の下側梁主筋20と、一部がコンクリート体30に埋設された補強筋40と、を備える。補強筋40は、コンクリート体30の下側梁主筋20同士の間に埋設された下側棒状部41と、コンクリート体30の上方に配置されて下側棒状部41に略平行に延びる棒状の上側棒状部42と、下側棒状部41と上側棒状部42とを連結する連結部43と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁の底部となるプレキャストコンクリート造の梁底部材であって、
コンクリート体と、
前記コンクリート体に埋設された互いに略平行な複数の梁主筋と、
一部が前記コンクリート体に埋設された補強筋と、を備え、
前記補強筋は、前記コンクリート体の前記梁主筋同士の間に埋設された下側棒状部と、
前記コンクリート体の上方に配置されて前記下側棒状部に略平行に延びる上側棒状部と、
前記下側棒状部と前記上側棒状部とを連結する連結部と、を備えることを特徴とする梁底部材。
【請求項2】
前記コンクリート体の上面には、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梁底部材。
【請求項3】
前記コンクリート体に一部が埋設されて前記梁主筋に係止された略U字形状の第2補強筋をさらに備え、
前記第2補強筋は、前記梁主筋の下面に配置された棒状の水平部と、
前記水平部の両端から上方に延びる棒状の鉛直部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の梁底部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の梁底部材を用いて梁を構築する方法であって、
地上にて、前記梁底部材上に樹脂製のせき板を配置するとともに、前記せき板の外側面にアルミニウム製の型枠押さえを配置して、前記型枠押さえの下端部を固定金物で前記梁底部材の側端面に仮固定する工程と、
前記梁底部材を揚重して所定位置に配置する工程と、
前記梁底部材上に配筋し、コンクリートを打設する工程と、
前記固定金物を取り外して、前記型枠押さえおよび前記せき板を撤去する工程と、を備えることを特徴とする梁の構築方法。
【請求項5】
前記梁底部材を揚重して配置する工程では、前記梁底部材に隣接してプレキャストコンクリート造の床版を配置し、前記床版の下面に前記型枠押さえの上端部を仮固定する第2固定金物を取り付けることを特徴とする請求項4に記載の梁の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁の底部となるプレキャストコンクリート造の梁底部材、および、この梁底部材を用いた梁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレキャストコンクリート造の梁底部材を用いて、梁を構築する方法が提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、鉄筋コンクリート構造の梁底面を構成するプレキャスト板が示されている。このプレキャスト板内には、梁あばら筋の下端部および梁下端筋が埋設されている。
特許文献2には、建築構造物の躯体を構成するハーフプレキャスト梁が示されている。ハーフプレキャスト梁は、複数の梁主筋と、梁主筋を囲むように設けられた複数のせん断補強筋と、梁主筋およびせん断補強筋の一部をその内部に配置して形成されたプレキャストコンクリート板と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-78690号公報
【特許文献2】特開2012-241311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、梁底部材の重量が大きくなり、大型の揚重機を用いる必要があった。そのため、施工コストが増大する、という問題があった。
【0005】
本発明は、施工コストを低減可能な梁底部材、および、この梁底部材を用いた梁の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の梁底部材(例えば、後述の梁底部材10、10A)は、梁(例えば、後述の梁2)の底部となるプレキャストコンクリート造の梁底部材であって、コンクリート体(例えば、後述のコンクリート体30)と、前記コンクリート体に埋設された互いに略平行な複数の梁主筋(例えば、後述の下側梁主筋20)と、一部が前記コンクリート体に埋設された補強筋(例えば、後述の補強筋40)と、を備え、前記補強筋は、前記コンクリート体の前記梁主筋同士の間に埋設された下側棒状部(例えば、後述の下側棒状部41)と、前記コンクリート体の上方に配置されて前記下側棒状部に略平行に延びる棒状の上側棒状部(例えば、後述の上側棒状部42)と、前記下側棒状部と前記上側棒状部とを連結する連結部(例えば、後述の連結部43)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、補強筋の下側棒状部を梁底部材のコンクリート体に埋設するとともに、補強筋の上側棒状部をコンクリート体の上方に配置して、下側棒状部と上側棒状部とを連結部で連結した。このように、コンクリート体に補強筋の下側棒状部のみを埋設したので、コンクリート体の厚さを薄くできる。また、上側棒状部が下側棒状部を補強するので、下側棒状部の剛性が増大するから、コンクリート体を薄くしても、コンクリート体のひび割れを防止できる。よって、梁底部材を軽量化できるから、小型のクレーンで梁底部材を吊り上げることができ、施工コストを低減できる。
また、このように、梁底部材を軽量化しつつひび割れを防止できることで、梁底部材を揚重して所定箇所に設置した際に、この梁底部材を支持するサポートの設置間隔を広くでき、施工コストを低減できる。
また、補強筋の下側棒状部を梁底部材のコンクリート体に埋設し、補強筋の上側棒状部を後打ちで打設する梁のコンクリートに埋設するので、補強筋により梁底部材のコンクリート体と梁の後打ち躯体との一体性を確保できる。
【0008】
第2の発明の梁底部材は、前記コンクリート体の上面には、凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、梁底部材のコンクリート体の上面に凹凸を形成したので、梁底部材のコンクリート体と後打ちした梁後打ち躯体との接合面の摩擦抵抗力が向上し、梁底部材と梁後打ち躯体との一体性を向上できる。
【0010】
第3の発明の梁底部材は、前記コンクリート体に一部が埋設されて前記梁主筋に係止された略U字形状の第2補強筋(例えば、後述の第2補強筋90)をさらに備え、前記第2補強筋は、前記梁主筋の下面に配置された棒状の水平部(例えば、後述の水平部91)と、前記水平部の両端から上方に延びる棒状の鉛直部(例えば、後述の鉛直部92)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、梁底部材のコンクリート体に一部が埋設された第2補強筋を設けた。よって、第2補強筋の残りの部分を後打ちで打設する梁のコンクリートに埋設することで、第2補強筋により梁底部材のコンクリート体と梁後打ち躯体との一体性を確保できる。
また、このとき、この第2補強筋を梁主筋に係止させたので、第2補強筋の引き抜き耐力が向上し、梁底部材のコンクリート体と梁後打ち躯体との一体性がより向上する。
【0012】
第4の発明の梁の構築方法は、上述の梁底部材を用いて梁を構築する方法であって、地上にて、前記梁底部材上に合成樹脂製のせき板(例えば、後述のせき板71)を配置するとともに、前記せき板の外側面にアルミニウム製または合成樹脂製の型枠押さえ(例えば、後述の型枠押さえ72)を配置して、前記型枠押さえの下端部を固定金物(例えば、後述の固定金物73)で前記梁底部材の側端面に仮固定する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記梁底部材を揚重して所定位置に配置する工程(例えば、後述のステップS2)と、前記梁底部材上に配筋し、コンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS4、S5)と、前記固定金物を取り外して、前記型枠押さえおよび前記せき板を撤去する工程(例えば、後述のステップS6)と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、軽量化された梁底部材を用いて梁を構築したので、梁の施工コストを低減できる。
また、梁底部材に取り付けた梁の側型枠として、合成樹脂製のせき板およびアルミニウム製または合成樹脂製の型枠押さえを用いたので、梁底部材を含む梁底ユニットを軽量化でき、より施工コストを低減できる。
また、合成樹脂製のせき板は、軽量で剥離性に優れているため、作業効率が向上する。また、型枠押さえを軽量なアルミニウム製としたので、型枠押さえの取り扱いが容易となり、作業効率が向上する。
また、合成樹脂製のせき板およびアルミニウム製の型枠押さえは、転用可能であり、施工コストを低減できる。
【0014】
第5の発明の梁の構築方法は、前記梁底部材を揚重して配置する工程では、前記梁底部材に隣接してプレキャストコンクリート造の床版(例えば、後述の床版50)を配置し、前記床版の下面に前記型枠押さえの上端部を仮固定する第2固定金物(例えば、後述の第2固定金物80)を取り付けることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第2固定金物により型枠押さえの上端部を床版に仮固定したので、梁のコンクリートを打設した際に、せき板や型枠押さえがずれるのを防止して、梁を高精度で構築できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、施工コストを低減可能な梁底部材、および、この梁底部材を用いた梁の構築方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る梁底部材を用いて構築された建物の梁部分の縦断面図である。
図2】第1実施形態に係る梁底部材の平面図である。
図3】第1実施形態に係る梁底部材のA-A断面図である。
図4】第1実施形態に係る梁底部材を用いて建物の梁部分を構築する手順のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る梁底部材を用いた梁底ユニットの縦断面図である。
図6】第1実施形態に係る梁底部材を用いた梁底ユニットの側面図である。
図7】梁の構築手順の説明図である(その1、梁底ユニットを配置した状態)。
図8】梁の構築手順の説明図である(その2、床版を配置した状態)。
図9】本発明の第2実施形態に係る梁底部材を用いて構築された建物の梁部分の縦断面図である。
図10】本発明の第1の変形例に係る梁底部材を用いて構築された建物の梁部分の縦断面図である。
図11】本発明の第2の変形例に係る梁底部材を用いて構築された建物の梁部分の縦断面図である。
図12】本発明の第3の変形例に係る梁底部材を用いて構築された建物の梁部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る梁底部材10を用いて構築された建物1の梁部分の縦断面図である。
建物1は、鉄筋コンクリート造の梁2と、梁2の両側に設けられた鉄筋コンクリート造の床スラブ3と、を備える。
梁2は、プレキャストコンクリート造の梁底部材10と、梁底部材10の上に配筋した後にコンクリートを打設して構築された梁後打ち躯体11と、を備える。
【0019】
この梁2には、互いに略平行な4本の下側梁主筋20と、下側梁主筋20の上方に配置されて互いに略平行な4本の上側梁主筋21と、これら梁主筋20、21の長さ方向に沿って所定間隔おきに設けられた矩形枠状のあばら筋22と、あばら筋22の中間高さに設けられた腹筋23と、腹筋23同士の間に設けられた幅止め筋24と、が配筋されている。あばら筋22は、上側が開放された略コの字形状のあばら筋本体25と、あばら筋本体25に上から被せられたキャップ26と、で構成されている。略コの字形状のあばら筋本体25の両端側には、フックが設けられており、このあばら筋本体25のフックは、上側梁主筋21に係止されている。キャップ26の一端側には、フックが設けられており、このキャップ26のフックは、上側梁主筋21に係止されている。
【0020】
図2は、梁底部材10の平面図である。図3は、梁底部材10のA-A断面図である。ここで、図2(a)は、建物1の長手方向に配置される梁底部材10であり、図2(b)は、建物1の短手方向に配置される梁底部材10である。
梁底部材10は、厚さtの平板状のコンクリート体30と、コンクリート体30に埋設された上述の下側梁主筋20と、コンクリート体30に下端部が埋設された上述のあばら筋本体25と、一部がコンクリート体30に埋設された補強筋40と、を備える。
補強筋40は、コンクリート体30内の下側梁主筋20同士の間に埋設された一対の略平行な下側棒状部41と、コンクリート体30の上方に配置されて一対の下側棒状部41に略平行に延びる上側棒状部42と、一対の下側棒状部41と上側棒状部42とを連結する連結部43と、を備える。
また、コンクリート体30のコンクリートを打設した際、打設したコンクリート上面に刷毛引きを行うことにより、コンクリート体30の上面には、全面に亘って凹凸面31が形成されている。
【0021】
図1に戻って、床スラブ3は、プレキャストコンクリート造の床版50と、床版50の上に配筋した後にコンクリートを打設して構築された床後打ち躯体51と、を備える。
床版50には、床補強筋60の下端部が埋設されている。この床スラブ3には、床版50上に配置された格子状の下側スラブ筋61と、床補強筋60上に配置された格子状の上側スラブ筋62と、が配筋されている。
【0022】
以下、梁底部材10を用いて建物1の梁部分を構築する手順について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、地上にて、図5および図6に示すように、地表面4上にて梁底部材10を用いて梁底ユニット70を組み立てる。
具体的には、地表面4上に架台5を設置し、この架台5上に梁底部材10を載置する。
次に、梁底部材10上に合成樹脂製のせき板71を配置するとともに、せき板71の外側面にアルミニウム製の型枠押さえ72を配置して、型枠押さえ72の下端部を固定金物73で梁底部材10のコンクリート体30の側端面に仮固定する。この固定金物73は、梁底部材10のコンクリート体30に埋設されたセパレータ74およびPコン75と、このPコン75に螺合されるナット76と、で構成される。
また、梁底部材10のあばら筋本体25に腹筋23および幅止め筋24を配筋し、この幅止め筋24上に上側梁主筋21を載せて仮固定しておく。
【0023】
ステップS2では、図7に示すように、図示しない小型の揚重機で梁底ユニット70を揚重して柱6同士の間に架設し、サポート7で所定間隔おきに支持する。なお、図7では、せき板71および型枠押さえ72の表示を省略している。
ステップS3では、図8に示すように、プレキャストコンクリート造の床版50を揚重して、梁底ユニット70に隣接して配置し、図示しないサポートで支持する。次に、床版50の下面に型枠押さえ72の上端部を仮固定する第2固定金物80を取り付ける。この第2固定金物80は、床版50に埋設されたインサート81と、このインサート81に螺合されるナット82と、インサート81とナット82とで挟持されて型枠押さえ72の上端部を押さえる押さえプレート83と、を備える。
【0024】
ステップS4では、図8に示すように、梁底ユニット70上および床版50上で配筋を行う。具体的には、幅止め筋24上に仮固定した上側梁主筋21を持ち上げて配筋し、あばら筋本体25の上にキャップ26を取り付ける。また、床版50上に、下側スラブ筋61および上側スラブ筋62を配筋する。
ステップS5では、梁底ユニット70上および床版50上にコンクリートを打設して、梁後打ち躯体11および床後打ち躯体51を構築し、梁2および床スラブ3を完成させる。
ステップS6では、固定金物73のナット76および第2固定金物80のナット82を取り外して、押さえプレート83、型枠押さえ72、およびせき板71を撤去する。
【0025】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)補強筋40の下側棒状部41を梁底部材10のコンクリート体30に埋設するとともに、補強筋40の上側棒状部42をコンクリート体30の上方に配置して、下側棒状部41と上側棒状部42とを連結部43で連結した。このように、コンクリート体30に補強筋40の下側棒状部41のみを埋設したので、コンクリート体30の厚さtを薄くできる。また、上側棒状部42が下側棒状部41を補強するので、下側棒状部41の剛性が増大するから、コンクリート体30を薄くしても、コンクリート体30のひび割れを防止できる。よって、梁底部材10を軽量化できるから、小型のクレーンで梁底部材10を吊り上げることができ、施工コストを低減できる。
また、このように、梁底部材10のコンクリート体30を軽量化しつつひび割れを防止できることで、梁底部材10を揚重して所定箇所に設置した際に、この梁底部材10を支持するサポート7の設置間隔を広くでき、施工コストを低減できる。
また、補強筋40の下側棒状部41を梁底部材10のコンクリート体30に埋設し、補強筋40の上側棒状部42を後打ちで打設する梁2のコンクリートに埋設するので、補強筋40により、梁底部材10のコンクリート体30と梁後打ち躯体11との一体性を確保できる。
【0026】
(2)梁底部材10のコンクリート体30の上面に凹凸面31を形成したので、梁底部材10のコンクリート体30と後打ちした梁の後打ち躯体11との接合面の摩擦抵抗力が向上し、梁底部材10と梁後打ち躯体11との一体性を向上できる。
(3)軽量化された梁底部材10を用いて梁2を構築したので、梁2の施工コストを低減できる。
また、梁底部材10に取り付けた梁の側型枠として、合成樹脂製のせき板71およびアルミニウム製の型枠押さえ72を用いたので、梁底ユニット70を軽量化でき、より施工コストを低減できる。
また、合成樹脂製のせき板71は、軽量で剥離性に優れているため、作業効率が向上する。また、型枠押さえ72を軽量なアルミニウム製としたので、型枠押さえ72の取り扱いが容易となり、作業効率が向上する。
また、合成樹脂製のせき板71およびアルミニウム製の型枠押さえ72は、繰り返し転用可能であるため、施工コストを低減できる。
(4)第2固定金物80により型枠押さえ72の上端部を床版50に仮固定したので、梁2のコンクリートを打設した際に、せき板71や型枠押さえ72がずれるのを防止して、梁2を高精度で構築できる。
【0027】
〔第2実施形態〕
図9は、本発明の第2実施形態に係る梁底部材10Aを用いて構築された建物1の梁部分の縦断面図である。
本実施形態では、コンクリート体30の長さ方向両端部に、一部がコンクリート体30に埋設された第2補強筋90を設けた点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、第2補強筋90は、略U字形状であり、2本の下側梁主筋20に係止される。この第2補強筋90は、下側梁主筋20の下面に配置された棒状の水平部91と、水平部91の両端から上方に延びる棒状の鉛直部92と、を備える。
本実施形態によれば、上述の(1)~(4)の効果に加えて、以下の効果がある。
【0028】
(5)梁底部材10のコンクリート体30に下部が埋設された第2補強筋90を設けた。よって、第2補強筋90の上部を後打ちで打設する梁2のコンクリートに埋設することで、第2補強筋90により梁底部材10のコンクリート体30と梁後打ち躯体11との一体性を確保できる。
また、このとき、この第2補強筋90を下側梁主筋20に係止させたので、第2補強筋90の引き抜き耐力が向上し、梁底部材10のコンクリート体30と梁後打ち躯体11との一体性がより向上する。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、コンクリート体30のコンクリートを打設した際、打設したコンクリート上面に刷毛引きを行うことにより、コンクリート体30の上面に凹凸面31を形成したが、これに限らず、コンクリート体30のコンクリートを打設した際、打設しコンクリート上面に気泡シートを貼り付けることにより、コンクリート体30の上面に凹凸面31を形成してもよい。あるいは、コンクリート体30のコンクリートを打設した際、コンクリート上面を金鏝で均して、コンクリート体30の上面を平滑な面としてもよい。
また、上述の各実施形態では、コンクリート体30上面に全面に亘って凹凸面31を形成したが、これに限らず、コンクリート体30上面の一部のみに凹凸を設け、残りの部分を平滑な面としてもよい。
【0030】
また、上述の各実施形態では、補強筋40の下側棒状部41を2本としたが、これに限らず、図10に示すように、補強筋40の下側棒状部41を一本としてもよい。
また、上述の第2実施形態では、第2補強筋90を略U字形状とし、2本の下側梁主筋20に係止させたが、これに限らず、図11に示すように、第2補強筋93を両端フック形状とし、第2補強筋93の下側のフックを1本の下側梁主筋に係止させてもよい。
また、上述の第1実施形態では、梁2の下側主筋20および上側梁主筋21を、それぞれ1段としたが、これに限らず、図12に示すように、梁2の下側主筋20および上側梁主筋21を、それぞれ、上下二段としてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…建物 2…梁 3…床スラブ 4…地表面
5…架台 6…柱 7…サポート
10、10A…梁底部材 11…梁後打ち躯体
20…下側梁主筋 21…上側梁主筋 22…あばら筋 23…腹筋
24…幅止め筋 25…あばら筋本体 26…キャップ
30…コンクリート体 31…凹凸面
40…補強筋 41…下側棒状部 42…上側棒状部 43…連結部
50…床版 51…床後打ち躯体
60…床補強筋 61…下側スラブ筋 62…上側スラブ筋
70…梁底ユニット 71…せき板 72…型枠押さえ 73…固定金物
74…セパレータ 75…Pコン 76…ナット
80…第2固定金物 81…インサート 82…ナット 83…押さえプレート
90、93…第2補強筋 91…水平部 92…鉛直部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12