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特開2023-184372ズームレンズ系の設計方法、設計プログラム
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  • 特開-ズームレンズ系の設計方法、設計プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184372
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ズームレンズ系の設計方法、設計プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/16 20060101AFI20231221BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20231221BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G02B15/16
G06F30/20
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098496
(22)【出願日】2022-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】507109675
【氏名又は名称】矢部 輝
(74)【代理人】
【識別番号】100148895
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】矢部 輝
【テーマコード(参考)】
2H087
5B146
【Fターム(参考)】
2H087KA00
5B146AA09
5B146DC04
(57)【要約】
【課題】複数のレンズ群から構成され、各レンズ群の間隔が変化するズームレンズ系の設計において、各レンズ群の最適なレンズ枚数を自動的に決定する方法を提供すること。
【解決手段】
少なくとも1つ以上のレンズを有する、複数のレンズ群から成り、各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系の設計方法であって、ズームレンズ系の複数の構成要素を独立変数として設定するステップと、ズームレンズ系が所望の特性となるように、独立変数の値を局所的に変更し、独立変数の値がズームレンズ系全体として最適な設計値へ接近していることを評価するメリット関数の極小値を求めるステップと、を含み、独立変数は、ズームレンズ系の各レンズ群を区切るための、群区切りレンズ番号を実数値として含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のレンズを有する、複数のレンズ群から成り、前記各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系の設計方法であって、
前記ズームレンズ系の複数の構成要素を独立変数として設定するステップと、
前記ズームレンズ系が所望の特性となるように、前記独立変数の値を局所的に変更し、前記独立変数の値が前記ズームレンズ系全体として最適な設計値へ接近していることを評価するメリット関数の極小値を求めるステップと、
を含み、
前記独立変数は、前記ズームレンズ系の各レンズ群を区切るための、群区切りレンズ番号を実数値として含む、ことを特徴とするズームレンズ系の設計方法。
【請求項2】
物体側から順に1番目からN-1番目(Nは自然数)の群区切りレンズ番号を定義したときに、i番目の群区切りに対する前記群区切りレンズ番号をL(i)とし、該群区切りレンズ番号L(i)の整数部分をKとし、小数部分をaとしたとき、函数F(a)を、
F(0)=0、F(1)=1、F(a)+F(1-a)=1
を満たす連続な単調増加函数と定義し、
前記ズーミングの広角端の無限物点を基準システムWとし、該基準システムWでのレンズ番号Kの直後の空気間隔をD(W,K)とし、該基準システムWでの該レンズ番号K+1の直後の空気間隔をD(W,K+1)とし、該基準システムW以外での結像倍率と物点距離の組を派生システムSとし、該派生システムSでのi番目の群区切りでの群間隔の変化量をC(S,i)としたときに、該派生システムSでのレンズ番号Kの直後の空気間隔D(S,K)と、レンズ番号K+1の直後の空気間隔D(S,K+1)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のズームレンズ系の設計方法。
D(S,K)=D(W,K)+F(1-a)*C(S,i) ・・・(1)
D(S,K+1)=D(W,K+1)+F(a)*C(S,i) ・・・(2)
【請求項3】
前記函数F(a)において、F(a)=a とすることを特徴とする、請求項2に記載のズームレンズ系の設計方法。
【請求項4】
前記独立変数は、前記各レンズの各面の中心曲率、面間隔、屈折率、アッベ数及び群間隔の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のズームレンズ系の設計方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のズームレンズ系の設計方法をコンピュータに実行させるための設計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ群から成り、各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系の設計方法、およびそれをコンピュータに実行させるための設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像光学系において、複数のレンズ群から構成され、各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系が使用されている。また、近年、光学系への要求性能の高まりに伴って、多くのレンズ群の移動を行う光学系が必要とされてきている。
【0003】
従来、このようなズームレンズ系の設計方法として、コンピュータを使用した、最急降下法(Steepest Decent Method)、共役勾配法(Conjugate Gradient Method)、最小自乗法(LeastSquares Method)、減衰最小自乗法(Damped LeastSquares Method、以下「DLS法」という)等による、最適化手法が採用されている。
【0004】
このような最適化手法の大きな特徴は、連続量としての独立変数を対象にしていることである。最適化では独立変数の作る多次元空間の中で光学性能を評価して、光学性能が改善する方向に空間の中で移動を行う。移動する方向は、空間中の現在地の近傍での光学性能の変化を評価して決める。光学性能の変化の評価を行うためには独立変数が連続量である必要がある。
【0005】
代表的な独立変数としては、球面の曲率半径と面間隔がある。レンズ媒質は数百種の光学ガラスの中から選ぶので本来は離散値であるが、実数としての独立変数に含めるために、仮想ガラスモデルを利用する。これは、d線での屈折率Ndとアッベ数Vdの函数として、設計波長域での実在ガラスの屈折率を近似するモデルを用意して、連続値としての屈折率Ndとアッベ数Vdを最適化の独立変数に含めて最適な屈折率Ndとアッベ数Vdを求め、この解の近傍の屈折率Ndとアッベ数Vdを持つ実在ガラスに置き換えるという手順をとる。このように、通常のレンズ設計では、面の曲率半径と面間隔、レンズ媒質の屈折率Ndとアッベ数Vdを独立変数として最適化手法を適用している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-223769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているように、ズームレンズの設計では、性能を制御する結像倍率の範囲と物点距離の範囲の中で、いくつかの結像倍率と物点距離の組を代表として選び、それぞれの光学系の性能評価を行い、サンプル全体の性能の最適化を行う。
しかしながら、特許文献1の方法においては、結像倍率や物点距離の違いに応じて変化させる空気間隔を光学系のどの空気間隔にするかは固定されている。
つまり、特許文献1の構成は、各レンズ群の設定が光学系の中で固定されたものであり、各レンズ群へのレンズ枚数の配分の別の組み合わせによって、より良い性能の解が得られる可能性が考慮されていない。つまり、各レンズ群のレンズ枚数をどう配分するのが最適であるのかは依然として不明である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各レンズ群のレンズ枚数の最適な配分を最適化プログラムによって自動的に決定できるズームレンズの設計方法、およびそれをコンピュータに実行させるための設計プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のズームレンズ系の設計方法は、少なくとも1つ以上のレンズを有する、複数のレンズ群から成り、各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系の設計方法であって、ズームレンズ系の複数の構成要素を独立変数として設定するステップと、ズームレンズ系が所望の特性となるように、独立変数の値を局所的に変更し、独立変数の値が前記ズームレンズ系全体として最適な設計値へ接近していることを評価するメリット関数の極小値を求めるステップと、を含み、独立変数は、ズームレンズ系の各レンズ群を区切るための、群区切りレンズ番号を実数値として含む、ことを特徴とする。
【0010】
このような方法によれば、群区切りレンズ番号が実数値として独立変数に含まれるため、各レンズ群のレンズ枚数を最適に配分することが可能となる。
【0011】
また、物体側から順に1番目からN-1番目(Nは自然数)の群区切りレンズ番号を定義したときに、i番目の群区切りに対する群区切りレンズ番号をL(i)とし、該群区切りレンズ番号L(i)の整数部分をKとし、小数部分をaとしたとき、函数F(a)を、
F(0)=0、F(1)=1、F(a)+F(1-a)=1
を満たす連続な単調増加函数と定義し、
ズーミングの広角端の無限物点を基準システムWとし、該基準システムWでのレンズ番号Kの直後の空気間隔をD(W,K)とし、該基準システムWでの該レンズ番号K+1の直後の空気間隔をD(W,K+1)とし、該基準システムW以外での結像倍率と物点距離の組を派生システムSとし、該派生システムSでのi番目の群区切りでの群間隔の変化量をC(S,i)としたときに、該派生システムSでのレンズ番号Kの直後の空気間隔D(S,K)と、レンズ番号K+1の直後の空気間隔D(S,K+1)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たすことが望ましい。
D(S,K)=D(W,K)+F(1-a)*C(S,i) ・・・(1)
D(S,K+1)=D(W,K+1)+F(a)*C(S,i) ・・・(2)
【0012】
また、函数F(a)において、F(a)=a とすることができる。
【0013】
また、独立変数は、各レンズの各面の中心曲率、面間隔、屈折率、アッベ数及び群間隔の少なくとも1つをさらに含むことが望ましい。
【0014】
また、別の観点からは、本発明の設計プログラムは、上記いずれかのズームレンズ系の設計方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のズームレンズの設計方法によれば、各レンズ群のレンズ枚数の最適な配分を最適化プログラムによって自動的に決定できるズームレンズ系の設計方法が実現される。また、このようなズームレンズ系の設計方法をコンピュータに実行させるための設計プログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係るズームレンズ系の設計方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施形態に係るズームレンズ系の設計方法の群区切りレンズ番号の定義方法を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るズームレンズ系の設計方法の変形例の、群単位の3次収差係数の定義方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るズームレンズ系の設計方法のフローチャートである。図1に示すように、本実施形態のズームレンズ系の設計方法は、複数のレンズ群から成り、各レンズ群の間隔がズーミング又はフォーカシングで変化するズームレンズ系の設計方法であり、具体的には、ステップ100~ステップ500を含む、プログラムで実行されるものである。
【0019】
(ステップ100)
ステップ100は、レンズ枚数と群数を決め、制御の対象としてサンプルする結像倍率と物点位置の組を決めるステップである。
【0020】
ズームレンズの設計においては、広角端から望遠端の間の有限個の結像倍率を制御の対象としてサンプルする必要がある。有限個の結像倍率は、これらの結像倍率で性能が良好であれば、これらの間の結像倍率でも性能が良好であるように選ばれる。さらに、サンプルされたそれぞれの結像倍率に対して、無限物点から最近接距離の間の物点距離を制御の対象としてサンプルする。有限個の物点距離は、これらの物点距離で性能が良好であれば、これらの間の物点距離でも性能が良好であるように選ばれる。
なお、本明細書においては、広角端の無限物点を基準システムWと呼び、その他の結像倍率と物点距離の組を派生システムSと呼ぶ。
また、本明細書においては、ズーミングに際して値の変化する間隔を群区切りと呼ぶ。
【0021】
(ステップ200)
ステップ200は、ズームレンズの構成要素である、各面の曲率半径、基準システムでの面間隔、各レンズ媒質のd線屈折率とアッベ数を独立変数として設定すると共に、群区切りレンズ番号と群区切り直後の空気間隔の基準システムに対する変化量を独立変数として設定するステップである。
このように、本実施形態においては、群区切りレンズ番号が最適化プログラムの独立変数に含まれている点で従来の方法とは異なっている。
【0022】
群区切りレンズ番号は、各群の最後のレンズ番号として定義される。たとえば3つの群からなる光学系で各群のレンズ枚数が前側から2枚、3枚、2枚である場合、群区切りレンズ番号は2と5である。また、各群のレンズ枚数が前側から2枚、4枚、1枚である場合には、群区切りレンズ番号は2と6である。第2の群区切りレンズ番号は5と6という異なる値であるが、本実施形態においては、群区切りレンズ番号を連続な変数として扱うために(つまり、群区切りレンズ番号が整数でない実数値の場合にも、性能の評価ができるように)、5と6の間の実数値として定義する。
【0023】
より具体的には、派生システムSでのレンズ番号Kの直後の空気間隔の値をD(S,K)とし、基準システムWでの空気間隔を、他の結像倍率と物点距離での空気間隔の基準としてD(W,K)とし、光学系の中の複数の群区切り位置をi番目(iは自然数)とし、派生システムSでのi番目の群区切りの直後の空気間隔の基準システムに対する変化量をC(S,i)とすると、i番目の群区切りレンズ番号L(i)がKの場合、
D(S,K)=D(W,K)+C(S,i)
と表すことができ、
同じC(S,i)の値で群区切りレンズ番号L(i)がK+1の場合、
D(S,K+1)=D(W,K+1)+C(S,i)
と表すことができる。
そして、群区切りレンズ番号L(i)がKまたはK+1の場合の、D(S,K)およびD(S,K+1)の値は、
L(i)=K、D(S,K)=D(W,K)+C(S,i)、D(S,K+1)=D(W,K+1)、
L(i)=K+1、D(S,K)=D(W,K)、D(S,K+1)=D(W,K+1)+C(S,i)、
となる。
【0024】
群区切りレンズ番号L(i)がKとK+1の場合の補間として、群区切りレンズ番号L(i)の整数部分がK、小数部分がa、の場合の空気間隔は、以下のように定義できる。
D(S,K)=D(W,K)+F(1-a)*C(S,i), D(S,K+1)=D(W,K+1)+F(a)*C(S,i)
ここで、F(a)は、0<a<1で定義された連続な単調増加函数で、
F(0)=0、F(1)=1、F(a)+F(1-a)=1
を満たす。
【0025】
図2は、群区切りレンズ番号L(i)がK、K+1、K+1/2の場合の空気間隔の例を示している。このように定義すれば、実数値としての群区切りレンズ番号が整数値をとる場合に、通常の意味の群区切りレンズ番号を持った光学系に一致する。派生システムSのすべての空気間隔が定まれば光学系が確定し、派生システムSでの光線追跡に基づく性能評価を行うことが可能となる。
【0026】
(ステップ300)
ステップ300では、サンプルされたシステムごとに、追跡を行うサンプル光線を設定し、サンプル光線の収差の目標値と、その重要度を示す重みを設定する。
標準的なメリット函数は、全サンプル光線の収差と目標値の差に重みを乗じたものの自乗和として設定される。
【0027】
(ステップ400)
ステップ400では、独立変数の初期値を設定し最適化プログラムを起動する。
最適化プログラムは、ステップ200によって設定された独立変数(各面の曲率半径、基準システムでの面間隔、各レンズ媒質のd線屈折率とアッベ数、群区切りレンズ番号、群区切り直後の空気間隔の基準システムに対する変化量)の値を局所的に変更して、所望の特性となるように目標値(最適値)へ近づけることにより、最適なレンズ設計値を得るものであり、所定のメリット関数が極小値を有する時の各変数(パラメータ)の組み合わせを求めるものである。
本実施形態においては、従来の最適化プログラムと異なり、実数値としての群区切りレンズ番号L(i)と、派生システムSでの群区切りの直後の空気間隔の基準システムに対する変化量C(S,i)を独立変数に加えているため、群区切りレンズ番号L(i)の最適値が自動的に求められ、各レンズ群のレンズ枚数が群区切りレンズ番号の差として求められる。
【0028】
このように、従来の設計方法(最適化プログラム)と本発明との主な違いは、群区切りレンズ番号を実数値としたことである。
従って、本実施形態においては、実数値としての群区切りレンズ番号に対応して、従来の最適化プログラムに以下の処理を追加している。
【0029】
具体的には、派生システムSの性能評価をする準備として、以下のように、すべての空気間隔に基準システムWの空気間隔を代入する。
D(S,J)=D(W,J), J=1,M-1
ここでMはレンズ枚数である。
【0030】
次に、1からN-1(Nは自然数)までの群区切り番号iのそれぞれに対して、群区切りレンズ番号L(i)の整数部分をK、実数部分をaとして、空気間隔D(S,K)と、D(S,K+1)に対して以下の演算を行う。
D(S,K)=D(S,K)+(1-a)*C(S,i)
D(S,K+1)=D(S,K+1)+a*C(S,i)
ただし、C(S,i)は、派生システムSの群区切り番号iでの空気間隔の、基準システムWに対する変化量であり、ここでは連続な単調増加函数として、F(a)=aを使用している。
【0031】
ステップ400では、このようにして定まった空気間隔を用いて派生システムSでの性能評価を行い、群区切りレンズ番号L(i)の最適値が自動的に求められ、各レンズ群のレンズ枚数が群区切りレンズ番号の差として求められる。
【0032】
(ステップ500)
ステップ500では、最適解として得られた群区切りレンズ番号に一番近い整数値を
実際の群区切りレンズ番号として選ぶ。
【0033】
このように、本実施形態の方法によれば、ステップ100~500が実行されることにより、ステップ200によって設定された独立変数(各面の曲率半径、基準システムでの面間隔、各レンズ媒質のd線屈折率とアッベ数、群区切りレンズ番号、群区切り直後の空気間隔の基準システムに対する変化量)の最適解が得られる。
最適解は、最適化プログラムの能力にも依存するが、本発明の、実数値としての群区切りレンズ番号による設計手法は、高度な最適化プログラムと組み合わせることによって、従来別々に最適化する必要のあった群区切りレンズ番号の種々の組み合わせを、1回の最適化で同時に扱うことができる点で有効である。
【0034】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0035】
(変形例)
例えば、従来技術(特開平11-223769号)のように、レンズ群単位の3次収差係数の制御を扱う場合、レンズ群単位の3次収差係数は、レンズ群に含まれる各レンズごとの3次収差係数の和となる。
そこで、前後の群区切り番号が実数値の場合、図3に示すように、群区切り前後のレンズが「群に含まれる割合」を、
・前側群区切り番号K1+a1の場合、レンズ番号K1+1が群に含まれる割合をF(1-a1)とし、
・後側群区切り番号K2+a2の場合、レンズ番号K2+1が群に含まれる割合をF(a2)とし、
レンズ番号K1+1とレンズ番号K2+1については、3次収差係数にこれらの割合を乗じた値を群単位の和に含める。
【0036】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
C :変化量
D :空気間隔
F :函数
K :レンズ番号
K1 :前側群区切り番号
K2 :後側群区切り番号
L :群区切りレンズ番号
Nd :屈折率
S :派生システム
Vd :アッベ数
W :基準システム
i :群区切り番号
図1
図2
図3