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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184410
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231221BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014614
(22)【出願日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074301
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518162784
【氏名又は名称】セメス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キム,クァン リュル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン サン
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084CC12
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD24
2G084DD38
2G084FF14
2G084FF39
5F004AA16
5F004BB03
5F004BB26
5F004CA04
5F004CA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板がプラズマ処理される適正温度に到達するように、基板を短時間内に加熱する基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る基板処理装置は、基板支持部400に安着された基板Sがプラズマ処理される処理空間を有する工程チャンバ100と、基板がプラズマ処理される温度に到達するように、基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して前記基板Sを加熱するレーザ照射部200と、を含む。レーザ照射部200は、基板に連続波レーザを射出する第1照射ユニット210と、基板Sにパルスレーザを照射する第2照射ユニット220と、を含む。レーザ照射部200のレーザは、工程チャンバ100の上側に配置された透明窓100aを介して基板Sの上面に照射される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板がプラズマ処理される処理空間を有する工程チャンバと、
前記基板がプラズマ処理される温度に到達するように、前記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して前記基板を加熱するレーザ照射部と、
を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記レーザ照射部は、互いに異なるパルス幅の複数個の前記レーザが一定時間重なって照射されるように作動制御される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記レーザ照射部は、互いに異なるパルス幅の複数個の前記レーザが順次照射されるように作動制御される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記レーザ照射部は、
前記基板にCW(continuous wave)レーザを照射して前記基板をプレヒーティングする第1照射ユニットと、
前記基板にパルスレーザを照射する第2照射ユニットと、
を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1照射ユニットと前記第2照射ユニットは、前記CWレーザと前記パルスレーザとが一定時間重なって照射されるように作動制御される、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1照射ユニットと前記第2照射ユニットは、前記CWレーザと前記パルスレーザとが順次照射されるように作動制御される、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1照射ユニットは、レーザダイオード又はファイバ(Fiber)レーザ発振器であり、前記第2照射ユニットはグリーンレーザ発振器である、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバの外部に配置され、前記工程チャンバは、前記レーザ照射部から照射される前記レーザが通過するように透明窓を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバの上側及び下側にそれぞれ配置されて前記レーザを前記基板の上面及び下面に照射し、
前記工程チャンバは、前記レーザ照射部から照射される前記レーザが通過するように上部及び下部のそれぞれが前記透明窓からなり、
前記工程チャンバの下部の前記透明窓と前記基板との間に配置された基板支持部は、前記透明窓を通過した前記レーザが通過するように透明材質からなる、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記工程チャンバに設置され、前記処理空間にプラズマを発生させるプラズマ発生ユニットをさらに含み、
前記プラズマ発生ユニットは、
前記工程チャンバ内に配置され、前記工程チャンバに処理ガスを供給し、プラズマ生成用電極として機能するガス供給部と、
前記工程チャンバ内に配置され、前記基板を支持し、プラズマ生成用電極として機能する基板支持部と、
を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板がプラズマ処理される処理空間を有する工程チャンバと、
前記工程チャンバ内に配置され、前記工程チャンバに処理ガスを供給し、プラズマ生成用電極として機能するガス供給部と、
前記工程チャンバ又は前記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、
前記工程チャンバ内に配置され、前記基板を支持し、プラズマ生成用電極として機能する基板支持部と、
前記基板がプラズマ処理される温度に到達するように、前記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して前記基板を加熱するレーザ照射部と、
を含む、基板処理装置。
【請求項12】
前記レーザ照射部は、
前記基板にCW(continuous wave)レーザを照射して前記基板をプレヒーティングする第1照射ユニットと、
前記基板にパルスレーザを照射する第2照射ユニットと、
を含む、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1照射ユニットと前記第2照射ユニットは、前記CWレーザと前記パルスレーザとが一定時間重なって照射されるように作動制御される、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1照射ユニットと前記第2照射ユニットは、前記CWレーザと前記パルスレーザとが順次照射されるように作動制御される、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第1照射ユニットはレーザダイオード又はファイバ(Fiber)レーザ発振器であり、前記第2照射ユニットはグリーンレーザ発振器である、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバの上側に配置されて前記レーザを前記基板の上面に照射し、
前記工程チャンバは、前記レーザ照射部から照射される前記レーザが通過するように上部が透明窓からなり、
前記透明窓と前記基板との間に配置された前記ガス供給部は、前記透明窓を通過した前記レーザが通過するように透明材質からなる、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項17】
基板がプラズマ処理される温度に到達するように、前記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して前記基板を加熱する基板加熱段階と、
前記基板をプラズマ処理する基板処理段階と、
を含む、基板処理方法。
【請求項18】
前記基板加熱段階において、互いに異なるパルス幅の複数個の前記レーザを一定時間重ねて照射する、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板加熱段階において、互いに異なるパルス幅の複数個の前記レーザを順次照射する、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記基板加熱段階は、
前記基板にCW(Continuous Wave)レーザを照射して前記基板をプレヒーティングする第1照射段階と、
前記基板にパルスレーザを照射する第2照射段階と、
を含む、請求項17に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程のうち、エッチング工程は、所望の構造を作るために標的物質を選択的に除去する工程である。
【0003】
原子層エッチング(Atomic Layer Etching、ALE)は、標的物質を目標量(厚さ)だけ除去するために研究されてきた。このような原子層エッチング工程は、標的物質の表面を改質する段階及び改質された表面を除去する段階を設定されたサイクルで繰り返す工程である。さらに、原子層エッチング工程は目標物質を除去する上で、原子レベルの制御が可能であるため、ますます微細化する半導体装置の製造工程において活発に応用されている。
【0004】
一方、原子層エッチング工程は、基板を高温に加熱した状態を維持しながら改質段階及び除去段階を行うが、基板を高温に加熱するのに相当な時間がかかるという限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1702869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたものであって、基板がプラズマ処理される適正温度に到達するように、基板を短時間内に加熱する基板処理装置及び基板処理方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明に係る基板処理装置は、基板がプラズマ処理される処理空間を有する工程チャンバと、上記基板がプラズマ処理される温度に到達するように、上記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して上記基板を加熱するレーザ照射部と、を含む。
【0008】
上記レーザ照射部は、一例として、互いに異なるパルス幅の複数個の上記レーザが一定時間重なって照射されるように作動制御されることができる。
【0009】
上記レーザ照射部は、他の一例として、互いに異なるパルス幅の複数個の上記レーザが順次照射されるように作動制御されることができる。
【0010】
上記レーザ照射部は、上記基板にCW(continuous wave)レーザを照射して基板をプレヒーティングする第1照射ユニットと、上記基板にパルスレーザを照射する第2照射ユニットと、を含むことができる。
【0011】
上記第1照射ユニットと上記第2照射ユニットは、一例として、上記CWレーザと上記パルスレーザとが一定時間重なって照射されるように作動制御されることができる。
【0012】
上記第1照射ユニットと上記第2照射ユニットは、他の一例として、上記CWレーザと上記パルスレーザとが順次照射されるように作動制御されることができる。
【0013】
上記第1照射ユニットは、レーザダイオード又はファイバ(Fiber)レーザ発振器であり、上記第2照射ユニットは、グリーンレーザ発振器であることができる。
【0014】
上記レーザ照射部は、上記工程チャンバの外部に配置され、上記工程チャンバは、上記レーザ照射部から照射される上記レーザが通過するように透明窓を含むことができる。
【0015】
上記レーザ照射部は、一例として、上記工程チャンバの上側及び下側にそれぞれ配置されて上記レーザを上記基板の上面及び下面に照射し、上記工程チャンバは、上記レーザ照射部から照射される上記レーザが通過するように上部及び下部のそれぞれが透明窓からなり、上記工程チャンバの下部の上記透明窓と上記基板との間に配置された上記基板支持部は、上記透明窓を通過した上記レーザが通過するように透明材質からなることができる。
【0016】
本発明は、上記工程チャンバに設置され、上記処理空間にプラズマを発生させるプラズマ発生ユニットをさらに含み、上記プラズマ発生ユニットは、上記工程チャンバ内に配置され、上記工程チャンバに処理ガスを供給し、プラズマ生成用電極として機能するガス供給部と、上記工程チャンバ内に配置され、上記基板を支持し、プラズマ生成用電極として機能する基板支持部と、を含むことができる。
【0017】
一方、本発明の他の態様によると、基板がプラズマ処理される処理空間を有する工程チャンバと、上記工程チャンバ内に配置され、上記工程チャンバに処理ガスを供給し、プラズマ生成用電極として機能するガス供給部と、上記工程チャンバ又は上記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、上記工程チャンバ内に配置され、上記基板を支持し、プラズマ生成用電極として機能する基板支持部と、上記基板がプラズマ処理される温度に到達するように、上記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して上記基板を加熱するレーザ照射部と、を含む基板処理装置が提供されることができる。
【0018】
ここで、上記レーザ照射部は、上記工程チャンバの上側に配置されて上記レーザを上記基板の上面に照射し、上記工程チャンバは、上記レーザ照射部から照射される上記レーザが通過するように上部が透明窓からなり、上記透明窓と上記基板との間に配置された上記ガス供給部は、上記透明窓を通過した上記レーザが通過するように透明材質からなることができる。
【0019】
一方、本発明のさらに他の態様によると、基板がプラズマ処理される温度に到達するように、上記基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して上記基板を加熱する基板加熱段階と、上記基板をプラズマ処理する基板処理段階と、を含む基板処理方法が提供されることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、基板がプラズマ処理される温度に到達するように、基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して基板を加熱するように構成されることにより、プラズマ処理工程の適正温度に基板の全面積を短時間内に高めることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パルスレーザの照射による基板の温度変化を示すグラフである。
図2】パルスレーザの照射による基板の温度変化を示すグラフである。
図3】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
図4】本発明において、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザに対するエネルギーを示すグラフである。
図5】本発明において、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザによって加熱される基板の温度を示すグラフである。
図6】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る基板処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように好ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するに当たり、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、類似の機能及び作用をする部分については、図面全体にわたって同じ符号を用いる。なお、本明細書において、「上」、「上部」、「上面」、「下」、「下部」、「下面」、「側面」等の用語は図面を基準としたものであり、実際には構成要素が配置される方向によって異なり得る。
【0023】
さらに、明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されていると言うとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の構成要素を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0024】
エッチング工程は、基板において露光により描かれた回路パターンや蒸着により載置された薄膜を削り取る工程である。ところが、基板の回路パターンの微細化に伴い、これに対応するように精密なエッチングが必要となり、原子層エッチング(Atomic Layer Etching;ALE)工程が活用されている。
【0025】
原子層エッチング(Atomic Layer Etching;ALE)工程は、基板のエッチングが原子層単位で行われる工程である。このような原子層エッチング工程では、エッチング率を高めるために基板を高温に加熱した状態で改質段階及び除去段階を行って工程を進める。改質段階は、ソースガスがシリコン材質の基板表面に吸着して反応することによって表面の特性が変化する段階である。除去段階は、イオン状態の不活性ガス(プラズマイオン)が基板表面に物理的衝撃を加えて表面の原子層が除去される段階である。
【0026】
図1及び図2は、パルスレーザの照射による基板の温度変化を示すグラフである。
【0027】
原子層エッチング(ALE)としては、熱原子層エッチング(Thermal ALE)とPE ALE(Plasma-Enhanced ALE)がある。熱原子層エッチング(Thermal ALE)は、工程チャンバの内部の熱を用いてソースガスと基板の表面原子との反応を誘導する熱吸着方式で行われる。
【0028】
このような熱原子層エッチング工程は、基板を加熱するためにパルスレーザ(Pulsed Laser)を急速熱源(Rapid Thermal Source)として使用する。このように熱原子層エッチング工程において、急速熱源を使用することにより、工程時間を短縮し、機器のダメージ(Device Damage)を最小化することができる。
【0029】
ところが、従来の循環工程(Cyclic Process)に適当な約500nm波長のパルスレーザは、パルス幅が短いため、基板を高い処理温度まで急速に加熱することができない。具体的に、パルスレーザは、レーザ発振器から照射する際にパルス幅が非常に短く、基板に繰り返し出射する。このようなパルスレーザは、図1及び図2に示すように、パルス照射(短いパルス幅で照射)された後、次のパルスが照射されるまでの間にインターバルがある。このため、パルスレーザの照射が行われないその時間間隔の間に基板の冷却(Cooling)が発生し、短時間内に、すなわち、一定時間のミリ秒(~ms)、マイクロ秒(~μs)内に基板を適正温度まで加熱することができない。
【0030】
一方、これを改善するために、パルスレーザのパルス照射と次のパルス照射までの間に、他のパルスレーザソース(パルスレーザ発振器)でパルスレーザをパルス照射することにより、連続的にパルスレーザをパルス照射する方法が提案されている。しかし、このような方法もパルスレーザのパルスエネルギーが非常に高くないと(~1000J)、循環工程(Cyclic Process)に適した短時間内に、工程の適正温度である400℃以上に基板を急速に昇温することは困難であるという限界がある。すなわち、2つ以上のパルスレーザソースからパルスレーザを連続的に照射しても、レーザの種類は全てパルス幅が長くなく、短いパルスレーザであるため、基板に対する速い昇温を実現することができない。
【0031】
図3は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
【0032】
本発明は、上述の限界点を克服するために、基板Sが処理される温度に到達するように、基板Sに互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを照射するように構成される。
【0033】
具体的に、本発明は、図3に示すように、工程チャンバ100と、レーザ照射部200とを含む。
【0034】
上記工程チャンバ100は、基板Sがプラズマ処理される処理空間を有するチャンバである。代表的な一例として、工程チャンバ100は、基板Sがプラズマエッチングされるプラズマエッチング工程において活用することができる。さらに、工程チャンバ100は、本発明によって限定されず、プラズマ蒸着工程のように基板Sの高温状態を必要とし、且つプラズマ処理が含まれた工程において活用することができる。具体的に、工程チャンバ100は、CCP(Capacitively Coupled Plasma)チャンバにおいて活用されることができ、このようなCCP(Capacitively Coupled Plasma)チャンバは熱原子層エッチング(Thermal ALE)に適用することができる。
【0035】
このような工程チャンバ100は、レーザ照射部200から照射される上記レーザが通過するように透明窓100aを含むことができる。レーザ照射部200が工程チャンバ100の外部に配置されると、レーザ照射部200から照射されるレーザが工程チャンバ100を透過するように、工程チャンバ100の一部が透明窓100aに代替されることができる。
【0036】
上記レーザ照射部200は、基板支持部400に安着された基板Sに互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを照射して基板Sを加熱する。一例として、レーザ照射部200は、第1照射ユニット210と第2照射ユニット220とを含むことができる。
【0037】
第1照射ユニット210は、基板SにCW(continuous wave)レーザを照射する。CWレーザは、レーザが連続的に出射される連続波レーザである。すなわち、CWレーザは、パルスレーザとは互いに異なるパルス幅を有するが、具体的に、第1照射ユニット210から出射されるパルス幅がパルスレーザより相対的に長いレーザである。
【0038】
第2照射ユニット220は、基板Sにパルスレーザを照射する。パルスレーザは、パルスの幅が極端に短いレーザであって、パルス幅が非常に短い超短光レーザである。すなわち、パルスレーザはCWレーザとは互いに異なるパルス幅を有するが、具体的に、第2照射ユニット220から出射されるパルス幅がCWレーザより相対的に短いレーザである。
【0039】
図4は、本発明において、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザに対するエネルギーを示すグラフである。
【0040】
具体的に、第1照射ユニット210には、CWレーザを照射するレーザダイオード又はファイバ(Fiber)レーザ発振器が活用されることができる。第2照射ユニット220には、パルスレーザを照射するグリーンレーザ発振器が活用されることができる。
【0041】
図面を参照すると、第1照射ユニット210には、比較的低いコストで最大のパルスエネルギーが得られる約808nm~980nmの波長のレーザを照射するレーザダイオード(Laser Diode、LD)が活用されることができる。あるいは、第1照射ユニット210には、約1070nmの波長のレーザを照射するファイバレーザ発振器が活用されることができる。
【0042】
そして、第2照射ユニット220には、約500nmの波長のレーザを照射するグリーンレーザ発振器が活用されることができる。
【0043】
図5は、本発明において、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザによって加熱される基板の温度を示すグラフである。
【0044】
図面を参照すると、第1照射ユニット210のCWレーザは、基板Sを工程の適正温度である400℃以上の状態に到達させるために予熱する、すなわち、プレヒーティング(Pre-heating)する役割を果たす。また、第2照射ユニット220のパルスレーザは、第1照射ユニット210のCWレーザによりプレヒーティングされているか、又はプレヒーティングされた基板Sの温度をピーク温度(400℃以上)に上げる役割を果たす。これにより、パルスレーザのみを使用した従来よりも、図面に示すように、非常に短時間内に(~ms)400℃以上に基板Sの全面積ヒーティングを行うことができる。
【0045】
ここで、レーザ照射部200は、一例として、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザが一定時間重なって照射されるように作動制御されることができる。 具体的に、第1照射ユニット210と第2照射ユニット220は、CWレーザとパルスレーザとが一定時間重なって照射されるように作動制御されることができる。
【0046】
そして、レーザ照射部200は、他の一例として、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザが順次照射されるように作動制御されることができる。具体的に、第1照射ユニット210と第2照射ユニット220は、CWレーザとパルスレーザとが順次照射されるように作動制御されることができる。
【0047】
図6は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
【0048】
図面を参照すると、第2実施形態に係る基板処理装置は、上述した第1実施形態に係る基板処理装置と比較して、レーザ照射部200がさらに工程チャンバ100の下側に配置されてもよい。
【0049】
具体的に、レーザ照射部200は、工程チャンバ100の上側及び下側にそれぞれ配置されることができる。工程チャンバ100の上側に配置されたレーザ照射部200は、基板Sの上面にレーザを照射する。工程チャンバ100の下側に配置されたレーザ照射部200は、基板Sの下面にレーザを照射する。これにより、基板Sの温度をより短時間で工程の適正温度まで上げることができる。
【0050】
工程チャンバ100は、レーザ照射部200から照射されるレーザが通過するように、上部及び下部のそれぞれが透明窓100aからなることができる。すなわち、工程チャンバ100の上部に一つの透明窓100aが形成され、工程チャンバ100の上側に配置されたレーザ照射部200のレーザが透明窓100aを介して基板Sの上面に照射される。そして、工程チャンバ100の下部にさらに一つの透明窓100aが形成され、工程チャンバ100の下側に配置されたレーザ照射部200のレーザが透明窓100aを介して基板Sの下面に照射される。
【0051】
このとき、工程チャンバ100の下部の透明窓100aと基板Sとの間に配置された基板支持部400は、透明窓100aを通過したレーザが通過するように透明材質からなることができる。
【0052】
一方、レーザ照射部200は、基板Sに互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを照射して基板Sを加熱する。このようなレーザ照射部200は、一例として、第1照射ユニット210と第2照射ユニット220とを含むことができるが、これに対する具体的な説明は、上述した第1実施形態で行ったため省略する。
【0053】
図7は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
【0054】
図面を参照すると、第3実施形態に係る基板処理装置は、熱原子層エッチング(Thermal ALE)に適用することができる。
【0055】
具体的に、本発明は、工程チャンバ100、ガス供給部300、ガス排出部、基板支持部400、及びレーザ照射部200を含む。
【0056】
上記工程チャンバ100は、基板Sがプラズマ処理される処理空間を有するチャンバである。一例として、工程チャンバ100は、CCP(Capacitively Coupled Plasma)チャンバにおいて活用されることができる。このようなCCP(Capacitively Coupled Plasma)チャンバは、熱原子層エッチング(Thermal ALE)に適用することができる。
【0057】
ガス供給部300は、工程チャンバ100内に配置され、工程チャンバ100に処理ガスを供給する。一例として、ガス供給部300は、原子層エッチングのために工程チャンバ100にソースガス(前駆体)、エッチングガス及びパージガスを供給することができる。ガス排出部は、図面には示されていないが、ガス供給部300によって供給された処理ガスを排出するために、工程チャンバ100又はガス供給部300の一側部に形成されることができる。
【0058】
上記基板支持部400は工程チャンバ100内に配置され、基板Sを支持する。
【0059】
本発明のプラズマ発生ユニットは、上述したガス供給部300と基板支持部400とを含む。ガス供給部300と基板支持部400のそれぞれは、プラズマ生成用電極として機能することができる。すなわち、ガス供給部300と基板支持部400は、工程チャンバ100の内部に供給された処理ガスをプラズマ状態にするために、電極として活用される。基板支持部400に連結された電源線LにはRF電源Vが設置されることができる。さらに、RF電源V側の電極である基板支持部400側に直流磁気バイアス(Self DC Bias)を形成させるように、電源線LにはRF電源Vの上にキャパシタ(図示せず)が設置されてもよい。キャパシタ、すなわち、ブロッキングキャパシタ(Blocking Capacitor)が、通過する電子を捕捉(蓄積)して陰電圧になることによって、プラズマのカチオンを基板Sに加速させてエッチング率を向上させる。
【0060】
そして、レーザ照射部200は、基板Sが処理される温度に到達するように、基板Sに互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを照射して基板Sを加熱する。 このようなレーザ照射部200は、一例として、第1照射ユニット210と第2照射ユニット220とを含むことができるが、これに対する具体的な説明は上述した第1実施形態で行ったため省略する。
【0061】
一方、レーザ照射部200は、工程チャンバ100の上側に配置されてレーザを基板Sの上面に照射し、工程チャンバ100は、レーザ照射部200から照射されるレーザが通過するように上部が透明窓100aからなることができる。
【0062】
また、工程チャンバ100の上部の透明窓100aと基板Sとの間に配置されたガス供給部300は、透明窓100aを通過したレーザが通過するように透明材質からなることができる。
【0063】
図8は、本発明の一実施形態に係る基板処理方法を示す図である。
【0064】
図面を参照すると、本発明に係る基板処理方法は、基板加熱段階S100と基板処理段階S200とを含む。
【0065】
上記基板加熱段階S100は、基板がプラズマ処理される温度に到達するように、基板に互いに異なるパルス幅を有する複数個のレーザを照射して基板を加熱する段階である。
【0066】
一例として、基板加熱段階S100は、第1照射段階S110と第2照射段階S120とを含むことができる。第1照射段階S110は、基板にCW(Continuous Wave)レーザを照射して基板をプレヒーティングする段階である。第2照射段階S120は、基板にパルスレーザを照射する段階である。
【0067】
CWレーザはレーザが連続的に出射される連続波レーザであり、パルスレーザはパルスの幅が極端に短いレーザであって、パルス幅が非常に短い超短光レーザである。CWレーザは、基板をプラズマ処理工程の適正温度である400℃以上の状態に到達させるために予熱する、すなわち、プレヒーティング(Pre-heating)する役割を果たす。パルスレーザは、第1照射ユニットのCWレーザによってプレヒーティングされているか、又はプレヒーティングされた基板の温度をピーク温度(400℃以上)に上げる役割を果たす。 これにより、パルスレーザのみを使用して基板を加熱する従来よりも、非常に短時間内に(~ms)400℃以上に基板の全面積ヒーティングを行うことができる。
【0068】
このような基板加熱段階S100において、一例として、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを一定時間重ねて照射することができる。基板加熱段階S100において、他の一例として、互いに異なるパルス幅の複数個のレーザを順次照射することができる。
【0069】
次に、基板処理段階S200が行われる。基板処理段階S200は、基板をプラズマ処理する段階である。代表的な一例として、基板処理段階S200は、基板をプラズマエッチングする段階である。さらに、基板処理段階S200は、本発明によって限定されず、プラズマ蒸着のように基板Sの高温状態を必要としながらプラズマ処理が含まれた工程を含むことができる。
【0070】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。よって、上述した実施形態は全ての点で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0071】
100:工程チャンバ
100a:透明窓
200:レーザ照射部
210:第1照射ユニット
220:第2照射ユニット
300:ガス供給部
400:基板支持部
S:基板
L:電源線
V:RF電源
S100:基板加熱段階
S110:第1照射段階
S120:第2照射段階
S200:基板処理段階


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8