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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184420
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】移送車両及び移送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231221BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028508
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074198
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュンイル チョ
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022JJ08
3F022MM51
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA00
5F131CA09
5F131CA70
5F131DA02
5F131DA23
5F131DA24
5F131DA43
5F131DC06
(57)【要約】
【課題】移送車両及び移送装置を提供する。
【解決手段】移送車両は、前方ホイール、前方ホイールに駆動力を伝達する前方駆動軸及び前方振動低減装置を含む前方走行装置;及び後方ホイール、後方ホイールに駆動力を伝達する後方駆動軸及び後方振動低減装置を含む後方走行装置;を含み、移送車両が直線区間を移動するとき、前方振動低減装置及び後方振動低減装置は、結合され、かつ移送車両がコーナー区間を移動するとき、前方振動低減装置及び後方振動低減装置は分離される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を把持するように構成されたホイスト装置と、
前記ホイスト装置に結合され、前記ホイスト装置を移送するように構成された移送車両と、を含むが、
前記移送車両は、
前方ホイール、前記前方ホイールに駆動力を伝達する前方駆動軸及び前方振動低減装置を含む前方走行装置と、
後方ホイール、前記後方ホイールに駆動力を伝達する後方駆動軸及び後方振動低減装置を含む後方走行装置と、を含み、
前記移送車両が直線区間を移動するとき、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、結合され、
前記移送車両がコーナー区間を移動するとき、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、分離されることを特徴とする移送装置。
【請求項2】
前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、電磁気的に結合されることを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記前方振動低減装置は、前記前方走行装置の水平中心線上にあり、
前記後方振動低減装置は、前記後方走行装置の水平中心線上にあることを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項4】
前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、垂直に重畳されることを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項5】
前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置のうち、少なくともいずれか1つは、電磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項6】
前記移送車両は、前記移送車両の位置に基づいて前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置を制御するように構成された制御器をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の移送装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置のうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を供給するか、遮断するための信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の移送装置。
【請求項8】
前記前方振動低減装置は、永久磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項9】
前記前方走行装置は、前記前方振動低減装置と前記後方振動低減装置との電磁気的結合を遮断するように構成された前方連結遮断装置をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の移送装置。
【請求項10】
前記前方連結遮断装置は、電磁石を含むことを特徴とする請求項9に記載の移送装置。
【請求項11】
前記前方連結遮断装置は、前記前方振動低減装置によって生成された磁界を相殺するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の移送装置。
【請求項12】
前記移送車両は、前記移送車両の位置に基づいて前記前方振動低減装置の磁界を相殺するための電力を前記前方連結遮断装置に供給するか、遮断するための信号を生成するように構成された制御器を含むことを特徴とする請求項9に記載の移送装置。
【請求項13】
ホイスト装置を移送するように構成された移送車両であって、前記移送車両は、
前方ホイール、前記前方ホイールに駆動力を伝達する前方駆動軸、第1前方振動低減装置及び第2前方振動低減装置を含む前方走行装置と、
後方ホイール、前記後方ホイールに駆動力を伝達する後方駆動軸及び第1後方振動低減装置及び第2後方振動低減装置を含む後方走行装置と、を含み、
前記移送車両が直線区間を移動するとき、前記第1前方振動低減装置と前記第1後方振動低減装置は、互いに電磁気的に結合されるように構成され、前記第2前方振動低減装置及び前記第2後方振動低減装置は、互いに電磁気的に結合されるように構成されることを特徴とする移送車両。
【請求項14】
前記移送車両がコーナー区間を移動するとき、前記第1前方振動低減装置及び前記第1後方振動低減装置の間の電磁気的結合及び前記第2前方振動低減装置及び前記第2後方振動低減装置の間の電磁気的結合のうち、いずれか1つだけが形成されることを特徴とする請求項13に記載の移送車両。
【請求項15】
前記コーナー区間が前記移送車両の走行方向に対して右側に曲がっている場合、前記第2前方振動低減装置と前記第2後方振動低減装置との間に電磁気的結合が形成されることを特徴とする請求項14に記載の移送車両。
【請求項16】
前記コーナー区間が前記移送車両の走行方向に対して左に曲がっている場合、前記第1前方振動低減装置と前記第1後方振動低減装置との間に電磁気的結合が形成されることを特徴とする請求項14に記載の移送車両。
【請求項17】
材料を把持するように構成されたホイスト装置と、
前記ホイスト装置に結合され、前記ホイスト装置を移送するように構成された移送車両と、を含むが、
前記移送車両は、
前記ホイスト装置に連結された前方ボディー、前記前方ボディーに対して回転可能に構成された前方回転軸、前記前方回転軸に連結された前方駆動軸、前記前方駆動軸に連結された前方ホイールを含む前方走行装置と、
前記ホイスト装置に連結された後方ボディー、前記後方ボディーに対して回転可能に構成された後方回転軸、前記後方回転軸に連結された後方駆動軸、前記後方駆動軸に連結された後方ホイールを含む後方走行装置と、
前記前方走行装置及び後方走行装置それぞれに連結された振動低減装置と、を含むことを特徴とする移送装置。
【請求項18】
前記振動低減装置の長さは、可変的であることを特徴とする請求項17に記載の移送装置。
【請求項19】
前記移送車両がコーナー区間にあるとき、前記振動低減装置の長さは、前記移送車両が直線区間にあるとき、前記振動低減装置の長さよりさらに長いことを特徴とする請求項17に記載の移送装置。
【請求項20】
前記振動低減装置は、コイルバネであることを特徴とする請求項17に記載の移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送車両及び移送装置に係り、さらに具体的に、半導体素子及びディスプレイ素子の製造のための材料を移送するための移送車両及び移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子及びディスプレイ素子の製造工程において、半導体ウェーハ、半導体ストリップ、ガラス基板、ディスプレイパネルのような材料は、OHT(Overhead Hoist Transport)装置、RGV(Rail Guided Vehicle)装置、AGV(Automatic Guided Vehicle)のような無人運搬システムを通じて移送されうる。
【0003】
ここで、OHT装置は、クリーンルームの天井に設けられた走行レールに沿って移動可能に構成された移送車両を含む。走行レール上に配置された複数の移送車両は、走行レールに沿って移動して走行レール上の一部位置から他の位置に材料を移送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、走行安定性が向上した移送車両及び移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的課題を達成するための例示的な実施形態によれば、材料を把持するように構成されたホイスト装置、及び前記ホイスト装置に結合され、前記ホイスト装置を移送するように構成された移送車両を含む移送装置が提供される。
【0006】
前記移送車両は、前方ホイール、前記前方ホイールに駆動力を伝達する前方駆動軸及び前方振動低減装置を含む前方走行装置;及び後方ホイール、前記後方ホイールに駆動力を伝達する後方駆動軸及び後方振動低減装置を含む後方走行装置を含む。
【0007】
前記移送車両が直線区間を移動するとき、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、結合され、及び前記移送車両がコーナー区間を移動するとき、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置は、分離される。
【0008】
例示的な実施形態によれば、移送車両が提供される。前記移送車両は、前方ホイール、前記前方ホイールに駆動力を伝達する前方駆動軸及び前方振動低減装置を含む前方走行装置;及び後方ホイール、前記後方ホイールに駆動力を伝達する後方駆動軸及び後方振動低減装置を含む後方走行装置;及び前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置を制御するように構成された制御器を含むが、前記移送車両が直線区間を移動するとき、前記制御器は、前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置が電磁気的に結合されるように前記前方振動低減装置及び前記後方振動低減装置を制御するように構成される。
【0009】
例示的な実施例によれば、材料を把持するように構成されたホイスト装置、及び前記ホイスト装置に結合され、前記ホイスト装置を移送するように構成された移送車両を含む移送装置が提供される。
【0010】
前記移送車両は、前記ホイスト装置に連結された前方ボディー、前記ボディーに対して回転可能に構成された前方回転軸、前記前方回転軸に連結された前方駆動軸、前記前方駆動軸に連結された前方ホイールを含む前方走行装置;前記ホイスト装置に連結された後方ボディー、前記後方ボディーに対して回転可能に構成された後方回転軸、前記後方回転軸に連結された後方駆動軸、前記後方駆動軸に連結された後方ホイールを含む後方走行装置;及び前記前方走行装置及び後方走行装置それぞれに連結された振動低減装置;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による移送装置を説明するための概略的な側面図である。
図2A図1の前方走行装置と後方走行装置の動作を説明するための平面図である。
図2B図1の前方走行装置と後方走行装置の動作を説明するための平面図である。
図3A】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図3B】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図3C】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図4A】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図4B】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図5A】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
図5B】他の例示的な実施形態による移送車両を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図面上の同じ構成要素については、同じ参照符号を付し、これらについての重複説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による移送装置100を説明するための概略的な側面図である。
【0014】
図1を参照すれば、移送装置100は、半導体装置またはディスプレイ装置の製造工程で材料を移送するように構成されうる。材料10の一例は、複数のウェーハが収納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)を含む。
【0015】
移送装置100は、クリーンルームのように半導体装置またはディスプレイ装置の製造工程が遂行される設備の天井に装着された走行レール102を含む。走行レール102は、クリーンルーム内部の設定された移送経路に沿って延びうる。走行レール102は、レースウェイ構造物によってクリーンルームの天井に固定されうる。
【0016】
移送装置100は、走行レール102に沿って移動するように構成された移送車両110及び材料10を昇降させ、固定するホイスト装置140を含む。
【0017】
移送車両110は、前方走行装置120及び後方走行装置130を含む。前方走行装置120及び後方走行装置130は、走行レール102上に配置されうる。
【0018】
前方走行装置120は、前方ホイール121、前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124及び前方振動低減装置125を含む。
【0019】
前方ボディー124は、ホイスト装置140と連結されうる。
【0020】
前方回転軸123は、前方ボディー124と前方駆動軸122とを連結する。前方回転軸123によって前方駆動軸122は、前方ボディー124に対して回転可能である。
【0021】
前方駆動軸122は、前方回転軸123及び前方ホイール121に連結されうる。前方駆動軸122は、前方ホイール121に駆動力を伝達するように構成されうる。前方駆動軸122は、前方ボディー124に対して回転可能である。前方駆動軸122の回転によって前方ホイール121の指向する方向が転換されうる。これにより、前方走行装置120は、走行レール102のコーナー区間及び直線区間に沿って移動する。
【0022】
前方ホイール121は、走行レール102上に配置されうる。前方ホイール121は、前方駆動軸122を介して伝達された駆動力に基づいて走行レール102上で移動することができる。
【0023】
前方振動低減装置125は、前方ボディー124の水平中心線上に配置されうる。
【0024】
前方走行装置120は、前方駆動軸122を介して伝達される駆動力を生成するように構成された前方駆動モータをさらに含みうる。
【0025】
後方走行装置130は、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133、後方ボディー134及び後方振動低減装置135を含む。
【0026】
後方ボディー134は、ホイスト装置140と連結されうる。
【0027】
後方回転軸133は、後方ボディー134と後方駆動軸123とを連結する。後方回転軸133によって後方駆動軸132は、後方ボディー134に対して回転可能である。
【0028】
後方駆動軸132は、後方回転軸133及び後方ホイール131に連結されうる。後方駆動軸132は、後方ホイール131に駆動力を伝達するように構成されうる。後方駆動軸132は、後方ボディー134に対して回転可能である。後方駆動軸132の回転によって後方ホイール131の指向する方向が転換されうる。これにより、後方走行装置130は、走行レール102のコーナー区間及び直線区間に沿って移動することができる。
【0029】
後方ホイール131は、走行レール102上に配置されうる。後方ホイール131は、後方駆動軸132を介して伝達された駆動力に基づいて走行レール102上で移動することができる。
【0030】
後方振動低減装置135は、後方ボディー134の水平中心線上に配置されうる。
【0031】
後方走行装置130は、後方駆動軸132を介して伝達される駆動力を生成するように構成された後方駆動モータをさらに含む。
【0032】
前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、前方走行装置120及び後方走行装置120の移動中に発生する振動を緩和させうる。これにより、前方走行装置120及び後方走行装置120の走行安定性及び制振性能が向上しうる。
【0033】
前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、互いに上下に配列されうる。すなわち、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、垂直に重畳されうる。前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、垂直に離隔されうる。ここで、垂直方向は、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135が設けられた空間(例えば、半導体素子製造ファブ)の底面に垂直な方向である。
【0034】
本例示において、前方振動低減装置125が後方振動低減装置135上に配置されていると図示されたが、逆に、後方振動低減装置が前方振動低減装置上に配置されうる。
【0035】
移送車両110は、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135を制御するための制御器をさらに含む。
【0036】
ホイスト装置140は、前方走行装置120及び後方走行装置130に連結されうる。
【0037】
ホイスト装置140は、材料10を把持するためのグリッパを含むハンドリング装置142と、昇降ベルトを用いてハンドリング装置142を昇降させるための昇降装置144を含みうる。
【0038】
図2A及び図2Bは、図1の前方走行装置120と後方走行装置130の動作を説明するための平面図である。
【0039】
図1及び図2Aを参照すれば、移送車両110が走行レール102の直線区間に沿って走行するとき、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、互いに電磁気的に結合されうる。すなわち、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135の間に電磁気的結合(EMC)が形成されうる。電磁気的結合(EMC)は、磁気力(Magnetic force)による結合または静電気力(Electro static force)による結合のうち、いずれか1つでもある。
【0040】
前述したように、移送車両110が走行レール102のコーナー区間に沿って移動するために、前方走行装置120の前方駆動軸122及び後方走行装置130の後方駆動軸132それぞれは、前方ボディー124及び後方ボディー134に対して回転可能に構成されうる。これにより、移送車両110の直線走行時にも、前方駆動軸122及び後方駆動軸132がそれぞれ前方ボディー124及び後方ボディー134に対して固定されず、移送車両110及び材料10に振動が発生しうる。移送車両110及び材料10の振動は、移送車両110の走行に不安定性及び材料10の損傷を誘発してしまう。
【0041】
非制限的な例示として、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、いずれか1つは、電磁石を含む。一例として、前方振動低減装置125は、電磁石を含み、後方振動低減装置135は、永久磁石を含む。他の例として、前方振動低減装置125は、永久磁石を含み、後方振動低減装置135は、電磁石を含む。他の例として、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135は、電磁石を含む。他の例として、前方振動低減装置125は、電磁石を含み、後方振動低減装置135は、強磁性体を含む。他の例として、前方振動低減装置125は、強磁性体を含み、後方振動低減装置135は、電磁石を含むことができる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、移送車両110が走行レール102の直線区間を移動するとき、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、いずれか1つは、電磁気的結合(EMC)を生成することができる。例えば、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、電磁石である1つ(One of the front vibration reduction device 125 and the rear vibration reduction device 135, which is an electromagnet)に磁界(Magnetic field)を形成するための電力が提供されうる。
【0043】
例示的な実施形態によれば、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)によって移送車両110及び材料10に発生する振動が減少しうる。実験例によれば、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)によって、前方走行装置120、後方走行装置130、及び材料10に伝達される振動が約20%以上減少したことが確認された。
【0044】
制御器は、移送車両110の走行レール102上の位置を認識する。制御器は、移送車両110の走行レール102上の位置に基づいて前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)の形成を制御する。移送車両110の制御器は、移送車両110が走行レール102の直線区間を移動する間に、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)が形成されるように、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、少なくともいずれか1つを制御することができる。
【0045】
前記制御器は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合わせによって具現されうる。例えば、前記制御器は、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなどのコンピュータ装置を含む。前記制御器は、単純コントローラ、マイクロプロセッサー、CPU、GPUのような複雑なプロセッサ、ソフトウェアによって構成されたプロセッサ、専用ハードウェアまたはファームウェアを含むこともできる。前記制御器は、例えば、汎用コンピュータまたはDSP(Digital Signal Process), FPGA(Field Programmable Gate Array)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなアプリケーションの特定ハードウェアによって具現されうる。
【0046】
前記制御器について説明した動作、または以下で説明する任意の動作を遂行するためのファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令語がさらに構成されうる。例えば、前記制御器は、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)が形成されるように、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、いずれか1つに磁界形成電力を提供するための信号を生成するように構成されうる。
【0047】
図1及び図2Bを参照すれば、移送車両110が走行レール102のコーナー区間に沿って走行するとき、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC、図2A参照)が形成されない場合もある。例えば、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、電磁石である1つに磁界を形成するための電力が遮断されうる。
【0048】
これにより、前方駆動軸122及び後方駆動軸123それぞれが前方ボディー124及び後方ボディー134に対して自由に回転し、移送車両110が走行レール102のコーナー区間に沿って移動しうる。
【0049】
移送車両110の制御器は、移送車両110が走行レール102のコーナー区間を移動する間に、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)が形成されないように、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、少なくともいずれか1つを制御することができる。例えば、前記制御器は、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC)が形成されないように、前方振動低減装置125及び後方振動低減装置135のうち、いずれか1つに磁界形成電力を遮断するための信号を生成するように構成されうる。
【0050】
図3Aないし図3Cは、他の例示的な実施形態による移送車両110aを説明するための平面図である。
【0051】
図3Aを参照すれば、移送車両110aは、前方走行装置120a及び後方走行装置130aを含む。前方走行装置120a及び後方走行装置130aは、走行レール102(図1参照)上に配置されうる。
【0052】
前方走行装置120aは、前方ホイール121、前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124、第1前方振動低減装置125a及び第2前方振動低減装置125bを含む。
【0053】
後方走行装置130aは、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133、後方ボディー124、第1後方振動低減装置135a及び第2後方振動低減装置135bを含む。
【0054】
前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133及び後方ボディー124は、図1ないし図2Bを参照して説明したところと実質的に同一なので、これらについての重複説明は省略する。
【0055】
第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aのうち、いずれか1つは、電磁石を含む。一例として、第1前方振動低減装置125aは、電磁石を含み、第1後方振動低減装置135aは、永久磁石を含みうる。他の例として、第1前方振動低減装置125aは、永久磁石を含み、第1後方振動低減装置135aは、電磁石を含みうる。他の例として、第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aは、電磁石を含む。他の例として、第1前方振動低減装置125aは、電磁石を含み、第1後方振動低減装置135aは、強磁性体を含む。他の例として、第1前方振動低減装置125aは、強磁性体を含み、第1後方振動低減装置135aは、電磁石を含みうる。
【0056】
第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bのうち、いずれか1つは、電磁石を含む。一例として、第2前方振動低減装置125bは、電磁石を含み、第2後方振動低減装置135bは、永久磁石を含む。他の例として、第2前方振動低減装置125bは、永久磁石を含み、第2後方振動低減装置135bは、電磁石を含む。他の例として、第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bは、電磁石を含む。他の例として、第2前方振動低減装置125bは、電磁石を含み、第2後方振動低減装置135bは、強磁性体を含みうる。他の例として、第2前方振動低減装置125bは、強磁性体を含み、第2後方振動低減装置135bは、電磁石を含みうる。
【0057】
例示的な実施形態によれば、移送車両110が走行レール102(図1参照)の直線区間を移動するとき、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMCa)が生成され、第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)が生成されうる。例えば、第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aのうち、電磁石である1つに磁界を形成するための電力が提供され、第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bのうち、電磁石である1つに磁界を形成するための電力が提供されうる。
【0058】
例示的な実施形態によれば、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMCa)、及び第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)によって移送車両110a及び材料10に発生する振動が減少しうる。
【0059】
図3B及び図3Cを参照すれば、移送車両110が走行レール102(図1参照)のコーナー区間に沿っての走行時、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)及び第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)のうち、いずれか1つだけが形成されうる。
【0060】
移送車両110が走行レール102(図1参照)のコーナー区間に沿って走行するとき、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)、及び第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)のうち、走行レール102(図1参照)のコーナー区間の曲がっている方向にあるいずれか1つだけが形成されうる。
【0061】
以下、後方走行装置130aから前方走行装置120aに向かう方向を走行方向と定義する。図3Bのように、走行レール102(図1参照)のコーナー区間が走行方向に対して右側に曲がっている場合、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)は形成されない場合もあり、第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)は形成されうる。
【0062】
図3Cのように、走行レール102(図1参照)のコーナー区間が走行方向に対して左に曲がっている場合、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)は形成され、第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)は形成されない。
【0063】
移送車両110の制御器は、図3Aのように、走行レール102(図1参照)の直線区間を移動する場合、第1及び第2前方振動低減装置125a、125bと第1及び第2後方振動低減装置135a、135bとの電磁気的結合(EMCa、EMCb)が形成されるように、第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aのうち、少なくともいずれか1つ、及び第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bのうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を供給するための信号を生成するように構成されうる。
【0064】
移送車両110の制御器は、図3Bでのように、右側に曲がっている走行レール102(図1参照)のコーナー区間を移動する場合、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)が形成されず、第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)が形成されるように、第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aのうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を遮断し、第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bのうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を供給するための信号を生成するように構成されうる。
【0065】
移送車両110の制御器は、図3Cのように、左側に曲がっている走行レール102(図1参照)のコーナー区間を移動する場合、第1前方振動低減装置125aと第1後方振動低減装置135aとの電磁気的結合(EMCa)が形成され、第2前方振動低減装置125bと第2後方振動低減装置135bとの電磁気的結合(EMCb)が形成されないように、第1前方振動低減装置125a及び第1後方振動低減装置135aのうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を供給し、第2前方振動低減装置125b及び第2後方振動低減装置135bのうち、少なくともいずれか1つに磁界を形成するための電力を遮断するための信号を生成するように構成されうる。
【0066】
図4A及び図4Bは、他の例示的な実施形態による移送車両110bを説明するための平面図である。
【0067】
図4Aを参照すれば、移送車両110bは、前方走行装置120b及び後方走行装置130bを含む。前方走行装置120b及び後方走行装置130bは、走行レール102(図1参照)上に配置されうる。
【0068】
前方走行装置120bは、前方ホイール121、前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124、前方振動低減装置126及び前方連結遮断装置127を含む。
【0069】
後方走行装置130bは、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133、後方ボディー124、後方振動低減装置136及び後方連結遮断装置137を含む。
【0070】
前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133及び後方ボディー124は、図1ないし図2Bを参照して説明したところと実質的に同一なので、これらについての重複説明は省略する。
【0071】
前方振動低減装置126及び後方振動低減装置136それぞれは、永久磁石を含む。これにより、移送車両110bが走行レール102(図1参照)の直線区間を移動する間、移送車両110bに発生する振動を緩和させうる。さらに、例示的な実施形態によれば、移送車両110bは、走行レール102(図1参照)の直線区間を走行する間に外部電力の供給なしに電磁気的結合(EMC)を保持することができるところ、移送車両110bのエネルギー効率が向上しうる。
【0072】
図4Bを参照すれば、移送車両110bが走行レール102(図1参照)のコーナー区間に沿って走行するとき、前方振動低減装置126及び後方振動低減装置136の間に電磁気的結合(EMC、図4A参照)が形成されない。
【0073】
前方連結遮断装置127及び後方連結遮断装置137は、電磁石を含む。移送車両110bが走行レール102(図1参照)のコーナー区間に沿って走行するとき、前方連結遮断装置127は、前方振動低減装置126の磁界を相殺する磁界を生成するように構成され、後方連結遮断装置137は、後方振動低減装置136の磁界を相殺する磁界を生成するように構成されうる。
【0074】
これにより、前方駆動軸122及び後方駆動軸123それぞれが前方ボディー124及び後方ボディー134に対して自由に回転し、移送車両110bが走行レール102のコーナー区間に沿って移動しうる。
【0075】
移送車両110bの制御器は、移送車両110bが走行レール102のコーナー区間を移動する間、前方振動低減装置125と後方振動低減装置135との電磁気的結合(EMC、図4A参照)が形成されないように、前方連結遮断装置127及び後方連結遮断装置137のうち、少なくともいずれか1つを制御することができる。例えば、前記制御器は、前方振動低減装置126及び後方振動低減装置136の磁界を相殺するように、前方連結遮断装置127及び後方連結遮断装置137それぞれに磁界形成電力を供給するための信号を生成するように構成されうる。
【0076】
図5A及び図5Bは、他の例示的な実施形態による移送車両110cを説明するための平面図である。
【0077】
図5Aを参照すれば、移送車両110cは、前方走行装置120c、後方走行装置130c及び振動低減装置128を含む。
【0078】
前方走行装置120c及び後方走行装置130cは、走行レール102(図1参照)上に配置されうる。
【0079】
前方走行装置120cは、前方ホイール121、前方駆動軸122、前方回転軸123及び前方ボディー124を含む。
【0080】
後方走行装置130aは、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133及び後方ボディー124を含む。
【0081】
前方駆動軸122、前方回転軸123、前方ボディー124、後方ホイール131、後方駆動軸132、後方回転軸133及び後方ボディー124は、図1ないし図2Bを参照して説明したところと実質的に同一なので、これらについての重複説明は省略する。
【0082】
振動低減装置128は、前方走行装置120c及び後方走行装置130cそれぞれに連結されうる。振動低減装置128は、前方走行装置120c及び後方走行装置130cに物理的(または、機械的)結合を提供することができる。
【0083】
例示的な実施形態によれば、振動低減装置128は、直列または並列連結された弾性要素及びダンピング要素を含みうる。例示的な実施形態によれば、振動低減装置128は、コイルバネを含みうる。
【0084】
例示的な実施形態によれば、振動低減装置128は、可変長を有することができる。図5Aでのように、移送車両110cが走行レール102(図1参照)の直線区間にあるときの振動低減装置128の長さである第1長さは、図5Bのように、移送車両110cが走行レール102(図1参照)のコーナー区間にあるときの振動低減装置128の長さである第2長さと異なってもいる。図5Aでのように、第2長さは、第1長さよりさらに長くもある。
【0085】
例示的な実施形態によれば、前方走行装置120c及び後方走行装置130cが振動低減装置128によって結合されるところ、移送車両110cが走行レール102(図1参照)の直線区間を移動する間、移送車両110bに発生する振動は緩和されうる。
【0086】
また、図5Bでのように、移送車両110cが走行レール102(図1参照)のコーナー区間に沿って走行するとき、振動低減装置128の長さが増加するところ、前方駆動軸122及び後方駆動軸123それぞれが前方ボディー124及び後方ボディー134に対して自由に回転し、移送車両110cが走行レール102のコーナー区間に沿って移動することができる。
【0087】
前述したように図面と明細書において例示的な実施形態が開示された。本明細書において特定の用語を使用して実施形態を説明したが、これは、単に本開示の技術的思想を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を制限するために使用されたものではない。したがって、当該技術分野の通常の知識を有する者であれば、これらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【符号の説明】
【0088】
10 材料
100 移送装置
102 走行レール
110 移送車両
120 前方走行装置
121 前方ホイール
122 前方駆動軸
123 前方回転軸
124 前方ボディー
125 前方振動低減装置
130 後方走行装置
131 後方ホイール
132 後方駆動軸
133 後方回転軸
134 後方ボディー
135 後方振動低減装置
140 ホイスト装置
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B