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特開2023-18443空気調和機のファームウェアの更新方法、ファームウェアの更新方法を搭載した空気調和機、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018443
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】空気調和機のファームウェアの更新方法、ファームウェアの更新方法を搭載した空気調和機、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/50 20180101AFI20230201BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20230201BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20230201BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20230201BHJP
   F24F 11/59 20180101ALI20230201BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230201BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20230201BHJP
【FI】
F24F11/50
F24F11/49
F24F11/54
F24F11/58
F24F11/59
F24F11/64
F24F11/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122582
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】大岸 聖史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 淳
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA31
3L260BA57
3L260BA64
3L260CB61
3L260CB70
3L260EA07
3L260EA30
3L260GA17
3L260HA06
3L260JA08
3L260JA11
(57)【要約】
【課題】更新されたファームウェアによる障害が起こっても、空気調和機は運転できる可能性があるような、空気調和機のファームウェアの更新方法およびその空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、少なくとも1つのファームウェアを記憶しており、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。更新方法は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得するステップと、第2ファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に第2ファームウェアで動作させるステップと、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、空気調和機が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機のファームウェアの更新方法であって、前記空気調和機は、少なくとも1つのファームウェアを記憶しており、前記少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作し、
当該更新方法は、
前記第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得するステップと、
前記第2ファームウェアを適用し、前記空気調和機を再起動し、前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させるステップと、
ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、前記空気調和機が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、前記空気調和機を再起動し、前記空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるステップと、
を含む、
空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項2】
前記第2ファームウェアを取得するステップは、
前記空気調和機と関連するサーバに前記第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを問い合わせるステップと、
新しいバージョンのファームウェアがあるとの応答を受信したとき、当該新しいバージョンのファームウェアを第2ファームウェアとして前記サーバからダウンロードするステップと、
ダウンロードした第2ファームウェアに対してエラーチェックを行うステップと、
を含む、
請求項1に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項3】
前記第2ファームウェアを取得するステップにおいては、
現在が一年の中の所定時期であると判断した場合、前記第2ファームウェアを取得し、
一年の中に前記所定時期以外の時期において前記空気調和機の運転頻度と比べると、前記所定時期において前記空気調和機の運転頻度が低い、
請求項1または2に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項4】
現在が所定時期であるか否かの判断は、現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つに基づいて行われる、
請求項3に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項5】
前記空気調和機は、2つのファームウェアを記憶しており、
前記空気調和機が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアは、前記第1ファームウェアである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項6】
前記空気調和機は、3つ以上のファームウェアを記憶しており、
前記空気調和機が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアは、前記第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も新しいファームウェアである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項7】
前記ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、前記第2ファームウェアを削除するステップ
をさらに含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項8】
所定時間内に前記ウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき、前記第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も古いファームウェアを、前記空気調和機から削除するステップ
をさらに含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項9】
前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させるステップの前に、
前記空気調和機と関連する端末装置に、前記第2ファームウェアに更新するかを問い合わせるステップと、
をさらに含み、
前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させるステップは、前記端末装置から更新承認指令を受信したときに実行される、
請求項1~8のいずれか1項に記載の空気調和機のファームウェアの更新方法。
【請求項10】
空気調和機であって、
少なくとも1つのファームウェアを記憶する第1記憶部であって、前記空気調和機は前記少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する、前記第1記憶部と、
前記第1制御部であって、
前記第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得し、前記第2ファームウェアを前記第1記憶部に記憶させ、
前記第2ファームウェアを適用し、前記空気調和機を再起動し、前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させ、
ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、前記第1記憶部が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、前記空気調和機を再起動し、前記空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させる
ように構成された前記第1制御部と、
を含む、
空気調和機。
【請求項11】
前記空気調和機は、
前記空気調和機と関連するサーバに通信可能である空調通信部をさらに含み、
前記第1制御部は、前記第2ファームウェアを取得するときに、
前記空調通信部を介して、前記サーバに前記第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを問い合わせ、
前記空調通信部を介して新しいバージョンのファームウェアがあるとの応答を受信したとき、当該新しいバージョンのファームウェアを第2ファームウェアとして前記サーバからダウンロードし、
ダウンロードした第2ファームウェアに対してエラーチェックを行う
ようにさらに構成されている、
請求項10に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記第1制御部は、前記第2ファームウェアを取得するときに、
現在が一年の中の所定時期であると判断した場合、前記第2ファームウェアをから取得する
ようにさらに構成されており、
一年の中に前記所定時期以外の時期において前記空気調和機の運転頻度と比べると、前記所定時期において前記空気調和機の運転頻度が低い、
請求項10または11に記載の空気調和機。
【請求項13】
現在が所定時期であるか否かの判断は、現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つに基づいて行われる、
請求項12に記載の空気調和機。
【請求項14】
前記第1記憶部は、2つのファームウェアを記憶しており、
前記第1記憶部が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアは、前記第1ファームウェアである、
請求項10~13のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項15】
前記第1記憶部は、3つ以上のファームウェアを記憶しており、
前記第1記憶部が記憶している、かつ前記第2ファームウェアと異なるファームウェアは、前記第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も新しいファームウェアである、
請求項10~13のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項16】
前記第1制御部は、
前記ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、前記第2ファームウェアを削除する
ようにさらに構成されている、
請求項10~15のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項17】
前記第1制御部は、
所定時間内に前記ウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき、前記第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も古いファームウェアを、前記第1記憶部から削除する
ようにさらに構成されている、
請求項10~16のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項18】
前記空気調和機は、
前記空気調和機と関連する端末装置に通信可能である空調通信部をさらに含み、
前記第1制御部は、
前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させる前に、前記空調通信部を介して、前記端末装置に前記第2ファームウェアに更新するかを問い合わせ、
前記空調通信部を介して前記端末装置から更新承認指令を受信したとき、前記空気調和機に前記第2ファームウェアで動作させる
ようにさらに構成されている、
請求項10~17のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項19】
前記空気調和機は第2記憶部および第2制御部をさらに含み、
前記第2制御部は、前記通信部を介して前記第2ファームウェアを取得して前記第2記憶部に記憶させて、前記第2ファームウェアを前記第1記憶部に記憶させるために前記第2ファームウェアを前記第1制御部に送信するように構成されており、
前記第1記憶部および前記第1制御部は、前記第2記憶部および前記第2制御部から独立している、
請求項10~18のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項20】
請求項1~9のいずれか1つに記載の空気調和機のファームウェアの更新方法を空気調和機に実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、特には、空気調和機のファームウェア(firmware、FW)の更新方法、空気調和機、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は暖房モードや冷房モードなどの複数の運転モードで運転することができる。空気調和機は、室内温度を制御することにより、人間の活動に適した快適な環境を作ることができる。室内温度が著しく低下するまたは上昇する冬季または夏季には、空気調和機を運転させないと、ユーザの健康に害が生じることすらある。特に極寒地方や極暑地方では、空気調和機の稼働はユーザが過酷な環境を乗越えることに貢献する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、インターネットを介して空気調和機の制御のためのソフトウェア、および、インターネットを介して空気調和機のファームウェアを更新する技術がある。特許文献1には、ユーザは自身の好みの時刻にファームウェア等の制御プログラムを更新させる空気調和システムが開示されている。
【0005】
引用文献1の空気調和システムのファームウェア等の制御プログラムの更新は、空気調和機が停止している状態で行われる。しかしながら、例えば、更新されたファームウェアに不備がある場合、空気調和機が正常に動作できなくなってしまう場合がある。従来の空気調和機は、このような状況に対して対処する術がないため、ユーザが業者を呼んで修理が完了するまで運転できない。この状況は、例えば、高温環境時または低温環境時に発生すると、ユーザの健康に害が生じる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、更新されたファームウェアによって空気調和機が正常に動作しない状況が生じることを抑制する空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するために、本発明は、空気調和機のファームウェアの更新方法、および空気調和機を提供するものである。
【0008】
本発明に係る一態様の空気調和機のファームウェアの更新方法が適用される空気調和機は、少なくとも1つのファームウェアを記憶しており、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得するステップと、第2ファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に第2ファームウェアで動作させるステップと、ウォッチドッグタイマ(Watchdog timer、WDT)によって異常を検出したとき、空気調和機が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるステップと、を含む。
【0009】
また、本発明に係る他の態様の空気調和機は、第1記憶部と、第1制御部とを含む。第1記憶部は、少なくとも1つのファームウェアを記憶する。空気調和機は、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。第1制御部は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得し、第2ファームウェアを第1記憶部に記憶させ、第2ファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に第2ファームウェアで動作させ、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第1記憶部が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるように構成されている。
【0010】
また、本発明に係る他の態様プログラムは、空気調和機のファームウェアの更新方法を空気調和機に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、更新されたファームウェアによって空気調和機が正常に動作しない状況が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図
図2】実施の形態1における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャート
図3】実施の形態2におけるステップS110の一例のフローチャート
図4A】実施の形態3における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図
図4B】実施の形態3における空気調和機の概略構成の別例を示すブロック図
図5】実施の形態4における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャート
図6】実施の形態4における端末装置に表示されるユーザインタフェースの一例
図7】実施の形態5における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャート
図8】実施の形態6における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャート
図9】実施の形態7における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず始めに、空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムの各種態様について説明する。
【0014】
本発明に係る第1の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法が適用される空気調和機、少なくとも1つのファームウェアを記憶しており、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得するステップと、第2ファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に第2ファームウェアで動作させるステップと、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、空気調和機が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるステップと、を含む。
【0015】
本発明に係る第2の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1の態様において、第2ファームウェアを取得するステップは、空気調和機と関連するサーバに第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを問い合わせるステップと、新しいバージョンのファームウェアがあるとの応答を受信したとき、当該新しいバージョンのファームウェアを第2ファームウェアとしてサーバからダウンロードするステップと、ダウンロードした第2ファームウェアに対してエラーチェックを行うステップと、を含んでもよい。
【0016】
本発明に係る第3の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1の態様または第2の態様において、第2ファームウェアを取得するステップでは、現在が一年の中の所定時期であると判断した場合、第2ファームウェアを取得してもよい。一年の中に所定時期以外の時期において空気調和機の運転頻度と比べると、所定時期において空気調和機の運転頻度が低くてもよい。すなわち、空気調和機の運転頻度が低い場合、第2ファームウェアを取得してもよい。
【0017】
本発明に係る第4の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第3の態様において、現在が所定時期であるか否かの判断は、現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つに基づいて行われ得る。
【0018】
本発明に係る第5の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、空気調和機は、2つのファームウェアを記憶していてもよい。空気調和機が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアは、第1ファームウェアであってもよい。
【0019】
本発明に係る第6の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、空気調和機は、3つ以上のファームウェアを記憶していてもよい。空気調和機が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアは、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も新しいファームウェアであってもよい。
【0020】
本発明に係る第7の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第2ファームウェアを削除するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
本発明に係る第8の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、所定時間内にウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も古いファームウェアを、空気調和機から削除するステップをさらに含んでもよい。
【0022】
本発明に係る第9の態様の空気調和機のファームウェアの更新方法は、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、空気調和機に第2ファームウェアで動作させるステップの前に、空気調和機と関連する端末装置に、第2ファームウェアに更新するかを問い合わせるステップと、をさらに含んでもよい。空気調和機に第2ファームウェアで動作させるステップは、端末装置から更新承認指令を受信したときに実行され得る。
【0023】
本発明に係る第10の態様の空気調和機は、第1記憶部と、第1制御部とを含む。第1記憶部は、少なくとも1つのファームウェアを記憶する。空気調和機は、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。第1制御部は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得し、第2ファームウェアを第1記憶部に記憶させ、第2ファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に第2ファームウェアで動作させ、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第1記憶部が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機を再起動し、空気調和機に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させるように構成されている。
【0024】
本発明に係る第11の態様の空気調和機は、第10の態様において、空気調和機は、空気調和機と関連するサーバに通信可能である空調通信部をさらに含んでもよい。第1制御部は、第2ファームウェアを取得するときに、空調通信部を介して、サーバに第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを問い合わせ、空調通信部を介して新しいバージョンのファームウェアがあるとの応答を受信したとき、当該新しいバージョンのファームウェアを第2ファームウェアとしてサーバからダウンロードし、ダウンロードした第2ファームウェアに対してエラーチェックを行うようにさらに構成され得る。
【0025】
本発明に係る第12の態様の空気調和機は、第10の態様または11の態様において、第1制御部は、第2ファームウェアを取得するときに、現在が一年の中の所定時期であると判断した場合、第2ファームウェアを取得するようにさらに構成され得る。一年の中に所定時期以外の時期において空気調和機の運転頻度と比べると、所定時期において空気調和機の運転頻度が低くてもよい。
【0026】
本発明に係る第13の態様の空気調和機は、第12の態様において、現在が所定時期であるか否かの判断は、現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つに基づいて行われ得る。
【0027】
本発明に係る第14の態様の空気調和機は、第10~13の態様のいずれか1つにおいて、第1記憶部は、2つのファームウェアを記憶してもよい。第1記憶部が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアは、第1ファームウェアであってもよい。
【0028】
本発明に係る第15の態様の空気調和機は、第10~13の態様のいずれか1つにおいて、第1記憶部は、3つ以上のファームウェアを記憶してもよい。第1記憶部が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアは、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も新しいファームウェアであってもよい。
【0029】
本発明に係る第16の態様の空気調和機は、第10~15の態様のいずれか1つにおいて、第1制御部は、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第2ファームウェアを削除するようにさらに構成され得る。
【0030】
本発明に係る第17の態様の空気調和機は、第10~16の態様のいずれか1つにおいて、第1制御部は、所定時間内にウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も古いファームウェアを削除するようにさらに構成され得る。
【0031】
本発明に係る第18の態様の空気調和機は、第10~17の態様のいずれか1つにおいて、空気調和機は、空気調和機と関連する端末装置に通信可能である空調通信部をさらに含んでもよい。第1制御部は、空気調和機に第2ファームウェアで動作させる前に、空調通信部を介して、端末装置に第2ファームウェアに更新するかを問い合わせ、空調通信部を介して端末装置から更新承認指令を受信したとき、空気調和機に第2ファームウェアで動作させるようにさらに構成され得る。
【0032】
本発明に係る第19の態様の空気調和機は、第10~18の態様のいずれか1つにおいて、空気調和機は第2記憶部および第2制御部をさらに含んでもよい。第2制御部は、通信部を介して第2ファームウェアを取得して第2記憶部に記憶させて、第2ファームウェアを第1記憶部に記憶させるために第2ファームウェアを第1制御部に送信するように構成され得る。第1記憶部および第1制御部は、第2記憶部および第2制御部から独立したものであってもよい。
【0033】
本発明に係る第20の態様のプログラムは、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおける空気調和機のファームウェアの更新方法を空気調和機に実行させる。
【0034】
《技術的概念》
本発明に係る空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムの具体的な実施の形態を説明する前に、まず、一例を用いて、本開示に記載の技術的概念を説明する。この例において、空気調和機は、第1ファームウェアで動作する第1記憶部および第1制御部を含む。ファームウェアを更新するために、第1制御部は、新しい第2ファームウェアを取得して、第2ファームウェアを適用する。適用後の所定期間内に、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第1制御部は第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用する。このようにすれば、更新されたファームウェアによって空気調和機が正常に動作しない状況が生じることを抑制することができる。
【0035】
《実施の形態1》
以下、本発明に係る空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムの実施の形態1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
以下で説明する実施の形態1は、本発明の一例を示すものである。以下の実施の形態1において示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態1における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
以下に述べる実施の形態1において、特定の要素に関しては変形例を示す場合があり、その他の要素に関しては任意の構成を適宜組み合わせることを含むものであり、組み合わされた構成においてはそれぞれの効果を奏するものである。実施の形態1において、それぞれの変形例の構成をそれぞれ組み合わせることにより、それぞれの変形例における効果を奏するものとなる。
【0038】
以下の詳細な説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0039】
図1は、実施の形態1における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。空気調和機20は、空気調和機のファームウェアの更新方法を実行し、自身に適したファームウェアによって動作する。以下、各構成要素の概略を説明する。
【0040】
<空気調和機20>
空気調和機20は、例えば、家庭やオフィスにおける部屋の内部空間を空調制御の対象とする制御空間とし、当該制御空間の壁面または天井に設けられた室内機と、屋外、制御空間以外の中央空調室等に設けられた室外機とを有する。空気調和機20は、例えば、冷房機能、暖房機能、除湿機能、および/または空気洗浄機能を有し、これらの機能・運転モードが自由に組み合わせられ得る(例えば、冷房除湿機能)。
【0041】
図1の実施例において、空気調和機20は、第1記憶部21と、第1制御部22と、空調通信部23とを含む。空気調和機20はさらに、機能を発揮するために様々なセンサ24を少なくとも1つ含んでもよい。空気調和機20は、視覚的な情報をユーザに表示するためのディスプレイを含んでもよい。
【0042】
第1記憶部21および第1制御部22は、冷房モードまたは暖房モードを運転するように構成されている。そして、本開示の空気調和機のファームウェアの更新方法によって更新されるファームウェアは、第1記憶部21および第1制御部22の基本動作を制御するためのプログラムである。
【0043】
1つの実施例において、空気調和機20が室内機と室外機とを有する分離型であり、第1制御部22は室内機の制御部であり、本開示の更新対象となるファームウェアは当該室内機の第1制御部22に適用されるプログラムである。別の実施例において、空気調和機20が室内機と室外機とを有する分離型であり、第1制御部22は室内機の制御部と室外機の制御部とを含む。この実施例において、本開示の更新対象となるファームウェアは室内機の制御部に適用されるプログラムと室外機の制御部の制御部に適用されるプログラムとを含む。さらに別の実施例において、空気調和機20が一体型であり、第1制御部22は空気調和機20全体を制御し、本開示の更新対象となるファームウェアは当該空気調和機20全体の第1制御部22に適用されるプログラムである。
【0044】
<第1記憶部21>
第1記憶部21は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、第1制御部22の作業領域として機能するメモリであってもよい。第1記憶部21は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
【0045】
第1記憶部21は、第1記憶部21および第1制御部22のための少なくとも1つのファームウェアを記憶する。1つの実施例において、第1記憶部21は、ファームウェアを記憶するための2つの記憶空間、すなわち、第1記憶空間212と第2記憶空間213とを有する。第1記憶空間212および第2記憶空間213は、第1記憶部21の「A面」および「B面」と呼ばれることがある。他の実施例において、第1記憶部21は、ファームウェアを記憶するための3つ以上の記憶空間を有し、例えば、第1記憶空間212と第2記憶空間213と第3記憶空間214とを有する。
【0046】
第1記憶空間212~第3記憶空間214は、メモリ管理上に論理的にまたは物理的に分割された、第1記憶部21内にデータを記憶可能な空間である。1つの実施例において、第1記憶部21は書き換え可能なROMであり、第1記憶空間212~第3記憶空間214は、ROM内のバンク(bank)である。1つのバンク(第1記憶空間212~第3記憶空間214)は、1つのファームウェアを記憶することができ、1つのファームウェアのファイルサイズ以上の容量を有する。
【0047】
本開示において、第1記憶部21に記憶された少なくとも1つのファームウェアのうちの1つは、空気調和機20が稼働するときに第1記憶部21および第1制御部22を動作させる(または動作させている)。当該ファームウェアが記憶された記憶空間は、「動作記憶空間」または「動作面」と呼ばれる。
【0048】
図1の実施例において、第1記憶部21は、「動作記憶空間」を指定するためのインディケータ211を有する。例えば、第1制御部22は、「動作記憶空間」である第1記憶空間212~第3記憶空間214の名称または識別子をインディケータ211に記憶することによって、「動作記憶空間」を指定してもよい。インディケータ211は、動作中のファームウェアを表し、例えば、フラグ、パラメータ、レジスタ、または特定のメモリアドレスで示されたデータで実施され得る。空気調和機20は、起動されるとき、インディケータ211が指定する「動作記憶空間」内のファームウェアを読み込み、当該ファームウェアによって動作する。
【0049】
<第1制御部22>
第1制御部22は、空気調和機20の少なくとも一部の機能の制御を司るコントローラである。第1制御部22は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、MCU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。第1制御部22は、第1記憶部21に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、空気調和機20における各種の制御を実現することができる。また、第1制御部22は第1記憶部21と協働して、第1記憶部21に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。第1制御部22および第2制御部26は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0050】
第1制御部22は、空調通信部23を介して、サーバ10と通信することができる。同様に、第1制御部22は、空調通信部23を介して、ユーザによる様々な指令および設定値(例えば、空気調和機20の起動指令、温度設定指令、更新承認指令)を端末装置30から受信することができる。第1制御部22は、これらの設定値および様々なセンサ24から受信した検出値(例えば、室内温度、ユーザの所在位置)などに基づいて、空気調和機20の冷房機能や暖房機能を発揮するように空気調和機20の各部品を制御する。また、第1制御部22は、後述する空気調和機のファームウェアの更新方法に基づいて、空気調和機20のファームウェアの更新を行う。
【0051】
<空調通信部23>
空調通信部23は、サーバ10やユーザの端末装置30等と通信することもでき、例えば、インターネットパケットを送受信することもできる。上述したように、第1制御部22は、空調通信部23を介してサーバ10および/または端末装置30と協働してもよい。
【0052】
<センサ24>
センサ24は、空気調和機20の機能を発揮するために空気調和機20の外部から様々な情報を取得するためのものである。例えば、センサ24は、空気調和機の設けられた部屋内部の温度を検出する室内温度センサ、当該部屋の外の温度を検出する室外温度センサ、当該部屋内にユーザの存在および所在位置を検出する人感センサなどであってもよい。センサ24にて検出された情報は、第1記憶部21に入力されて記憶され、後に第1制御部22が利用したり、端末装置30またはサーバ10に送信されたりする。
【0053】
<ウォッチドッグタイマ機能>
空気調和機20は、第1制御部22が正常に動作しているか否かを監視するウォッチドッグタイマ機能(本開示では、「ウォッチドッグタイマ」に略称することがある)を有する。ウォッチドッグタイマは、第1制御部22が誤動作などの異常な状態に陥ってしまうときに、異常を検出し、検出した結果を第1制御部22に通知する。ウォッチドッグタイマは、異常を引き起こした問題のデバッグに役立つ追加情報(例えば、異常発生時の第1制御部21の状態、圧縮機に関するパラメータ、ファンに関するパラメータ、センサ24の検出値など)を、異常の検出とともに第1制御部22に通知してもよい。ウォッチドッグタイマは、異常の検出および関連する情報を媒体に保存してもよい。
【0054】
ウォッチドッグタイマ機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって実行され得ることは周知である。例えば、独立した回路、または第1制御部22に組み込まれた回路として実行され得る。そのため、本開示ではウォッチドッグタイマ機能の実行手段について詳細に記載しないが、いかなる実施手段が本開示の範囲に含まれている。
【0055】
<端末装置30>
端末装置30は、空気調和機20に関連する装置である。端末装置30は、例えば、空気調和機20のコントローラであってもよく、複数種類の家電製品を同時に管理・制御できるコントローラであってもよい。また、端末装置30は、空気調和機20との間でデータ通信を行うことができる情報端末、例えば、専用の関連アプリケーション32が組み込まれたスマートフォン、携帯電話、モバイルフォン、タブレット、ウェアラブル装置、コンピュータなどであってもよい。サーバ10または第1制御部22は、端末装置30を介してユーザが入力した設定または指令を取得することができる。一般的には、端末装置30はグラフィックユーザインタフェース(graphical user interface、GUI)を表示するためのディスプレイを含む。ただ、音声ユーザインタフェース(voice User Interface、VUI)を介してユーザと相互作用する場合、ディスプレイの代わりに、またはディスプレイに加えて、端末装置30はスピーカとマイクとを含んでもよい。
【0056】
<サーバ10>
サーバ10は、少なくとも1つの空気調和機20に更新用のファームウェアを提供するためのサーバであるが、他の目的に用いられてもよい。例えば、サーバ10は、少なくとも1つの空気調和機20を管理するため、またはデータを収集するための空気調和機20の製造会社の管理サーバであってもよい。または、サーバ10は、アプリケーションサーバであってもよい。実施の形態1において、サーバ10は、サーバ記憶部12と、サーバ制御部14とを含む。サーバ10は、空気調和機20または端末装置30と通信するためのサーバ通信部16をさらに含んでもよい。
【0057】
<サーバ記憶部12>
サーバ記憶部12は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、サーバ制御部14の作業領域として機能するメモリであってもよい。サーバ記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、RAM、ROM、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。サーバ記憶部12は、サーバ10内部のメモリであってもよく、サーバ10と無線通信または有線通信にて接続されているストレージ装置であってもよい。
【0058】
サーバ記憶部12は、空気調和機20に提供するファームウェアを記憶する。1つの実施例において、様々な空気調和機20の機種、型番、販売地方などに対応する複数のファームウェアは、空気調和機20の製造会社または管理会社によって予め生成され、サーバ記憶部12に記憶されている。サーバ記憶部12は、最新バージョンのファームウェアの他、以前のバージョンのファームウェアの少なくとも一部を保存してもよく、ファームウェアの公開履歴も記憶してもよい。また、それぞれのファームウェアのバージョン情報、必要なメモリサイズ、識別番号、および、ファームウェアに対応する、空気調和機20の機種、型番、販売地方などの情報を記憶してもよく、サーバ制御部14はこれらの情報に基づいて情報を相互に照合できる。
【0059】
<サーバ制御部14>
サーバ10のサーバ制御部14は、サーバ10全体の制御を司るコントローラである。サーバ制御部14は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。サーバ制御部14は、サーバ記憶部12に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、サーバ10における各種の制御を実現することができる。また、サーバ制御部14は、サーバ記憶部12と協働してサーバ記憶部12に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。サーバ制御部14は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0060】
<サーバ通信部16>
サーバ通信部16は、サーバ制御部14と協働して、空気調和機20や、端末装置30とインターネットパケットを送受信する、すなわち、通信することもできる。例えば、サーバ10は、サーバ通信部16を介して端末装置30から指令を受信してもよく、空気調和機20に対して指示を送信してもよい。サーバ通信部16または空調通信部23は、サーバ10と、空気調和機20と、端末装置30との間において、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行い、データの送受信を行ってもよい。インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)と通信してもよい。
【0061】
<空気調和機のファームウェアの更新方法>
空気調和機20は、第1記憶部21および第1制御部22を用いて、空気調和機のファームウェアの更新方法を実行する。当該更新方法によれば、更新されたファームウェアによって空気調和機が正常に動作しない状況が生じることを抑制することができる。図2は、実施の形態1における空気調和機のファームウェアの更新方法のフローチャートであり、空気調和機のファームウェアの更新方法は以下のステップS110~ステップS140を含む。
【0062】
まず、第1記憶部21は、少なくとも1つのファームウェアを記憶している。空気調和機20が稼働するとき、第1制御部21は、当該少なくとも1つのファームウェアのうちの第1ファームウェアで動作する。第1ファームウェアを更新する必要があるとき、第1制御部22は、第1ファームウェアより新しいバージョンである第2ファームウェアを取得する(ステップS110)。取得した第2ファームウェアは、第1記憶部21に、例えば、第2記憶空間213に記憶される。
【0063】
1つの実施例において、第1制御部22は空調通信部23を介してサーバ10から第2ファームウェアを取得する。しかし、他の取得手段もあり得る。例えば、第1制御部22は、端末装置30とWi-Fi(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)とを介して、第2ファームウェアを取得してもよい。また、空気調和機20がUSB(Universal Serial Bus、ユニバーサルシリアルバス)装置などの特定の記憶媒体からデータを読み込めるインタフェースを有する場合、第1制御部22はこのようなインタフェースから第2ファームウェアを取得してもよい。
【0064】
次に、第1制御部22は、取得した第2ファームウェアを適用し、空気調和機20を再起動し、空気調和機20に第2ファームウェアで動作させる(ステップS120)。第1制御部22は、第2ファームウェアが記憶されている記憶空間を「動作記憶空間」として指定するように、インディケータ211を書き換える。これによって、第2ファームウェアが空気調和機20に適用される。例えば、更新する前に第1制御部22を動作させていた第1ファームウェアが記憶された第1記憶空間212から、新しく取得した第2ファームウェアが記憶された第2記憶空間213に、「動作記憶空間」として書き換える。
【0065】
一般的には、ステップS120の行う前に、空気調和機20の冷房モード等の運転を一時停止するまたは完全停止する必要がある。第1制御部22は、第2ファームウェアを適用してから空気調和機20を再起動する。空気調和機20は、再起動すると、第2ファームウェアを読み込み、第2ファームウェアによって動作する。ステップS120の実行中に空気調和機20は冷房モード等が運転できないため、その旨をユーザに知らせるように、「空気調和機はファームウェア更新中のため、今は使用できません」等のメッセージを端末装置30に表示させてもよい。
【0066】
空気調和機20が再起動して第2ファームウェアによって動作してからの所定期間内に、第1制御部22は、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したかを判断する(ステップS130)。所定期間は、例えば、10秒間、1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、1日、またはさらに長い期間であってもよい。所定期間内に、ウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき(図2のステップS130で「いいえ」)、ファームウェア更新の処理が完了する。
【0067】
ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき(図2のステップS130で「はい」)、第1制御部22の通常運転が中止され、冷房モード等が運転できなくなる。そこで、運転を中止から回復させるために、第1制御部22は、空気調和機20の第1記憶部21が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェアを適用し、空気調和機20を再起動し、空気調和機20に当該第2ファームウェアと異なるファームウェアで動作させる(ステップS140)。第2ファームウェアの適用で異常が発生したので、第1制御部22は、第2ファームウェアと異なるファームウェアの適用によって、空気調和機20の回復を図る。当該異なるファームウェアの適用後、異常を検出しておらず、空気調和機20が通常運転ができるようになれば、運転回復が成功したと見なされる。なお、第2ファームウェアの適用で異常が発生したとき、「更新失敗」と見なしてもよい。
【0068】
なお、第1制御部22のアーキテクチャおよびウォッチドッグタイマの種類によって、異常の発生のみが検出され得る場合があれば、異常の内容や程度、回数などまで検出され得る場合もある。例えば、第1制御部22は、異常発生時の第1制御部21の状態、圧縮機に関するパラメータ、ファンに関するパラメータ、センサ24の検出値などの追加情報に基づいて、異常の内容や程度を判断し得る。
【0069】
1つの実施例において、空気調和機20の第1記憶部21は、2つの記憶空間を有する。例えば、第1記憶空間212および第2記憶空間213は、第1ファームウェアおよび第2ファームウェアをそれぞれに記憶している。ファームウェアのための記憶空間は2つしかないので、ステップS110において、「動作記憶空間」でない記憶空間が、新しいファームウェア(第2ファームウェア)を記憶する空間となる(以下、「更新記憶空間」または「更新面」という)。異常が発生しない限り、ファームウェア更新する際に、第2ファームウェアは第1ファームウェアおよび第2ファームウェアに交互に書き込まれる。ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、ステップS140において、前述した「空気調和機20の第1記憶部21が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェア」は、元に利用されていた第1ファームウェアである。よって、ステップS140において、第1制御部22は、第1ファームウェアを空気調和機20に適用し、空気調和機20に第1ファームウェアで動作させる。
【0070】
他の実施例において、空気調和機20の第1記憶部21は、3つ以上の記憶空間を有する。例えば、第1記憶空間212は第1ファームウェアを記憶しており、第2記憶空間213は第2ファームウェアを記憶している。第3記憶空間214は、ファームウェアを記憶していなくてもよく、第1ファームウェアと第2ファームウェアと異なるファームウェアを記憶していてもよい。ステップS110において、第1制御部22は、第2ファームウェアを「動作記憶空間」以外の記憶空間に記憶させる。例えば、記憶空間内のデータ(ファームウェア)の書き込み時刻が最も古い記憶空間に、第2ファームウェアを記憶させてもよい。
【0071】
第1記憶部21が3つ以上のファームウェアを記憶している実施例において、ステップS140で、前述した「空気調和機20の第1記憶部21が記憶している、かつ第2ファームウェアと異なるファームウェア」は、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も新しいファームウェアであってもよい。仮に、第1記憶空間212、第2記憶空間213および第3記憶空間214のそれぞれに記憶されたファームウェアのバージョンは「1.0」、「2.0」および「3.0」であり、第2ファームウェアのバージョンが「3.0」である。第1制御部22は、バージョンが「3.0」でなく、かつ、バージョンが最も新しいファームウェア、すなわち、バージョンが「2.0」であるファームウェアを、ステップS140において空気調和機20に適用する。
【0072】
また、第1記憶部21が3つ以上のファームウェアを記憶している実施例において、空気調和機20の運転回復を図るように異常を検出したときには、順次に古いファームウェアに切り替え(適用)てもよい。例えば、バージョン「2.0」のファームウェアを適用して再起動してからもウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第1制御部22はさらにバージョン「1.0」のファームウェアを適用して空気調和機20を再起動してもよい。
【0073】
1つの実施例において、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき、第1制御部22は空調通信部23を介して異常をサーバ10にフィードバックする。異常を検出したとき、ステップS140の前または後に、第1制御部22は異常の発生および第2ファームウェアに関連する情報をサーバ10に通知してもよい。第2ファームウェアに関連する情報は、第2ファームウェアのバージョン情報、第2ファームウェアの識別情報、および/または空気調和機20の識別子を含んでもよい。ウォッチドッグタイマが、他に異常に関連する情報(例えば、エラーコード、異常発生時の第1制御部22の状態、圧縮機に関するパラメータ、ファンに関するパラメータ、センサ24の検出値など)を保存したまたは第1制御部22に通知した場合、第1制御部22はこれらの情報をサーバ10に通知してもよい。また、異常が発生してファームウェア更新が失敗すること、または空気調和機20が運転できないことを表すメッセージを端末装置30に通知して表示させてもよい。
【0074】
空気調和機20はファームウェア更新の処理は、ステップS140の実行により完了してもよく、ステップS140の実行ならびに異常をサーバ10および/または端末装置30へのフィードバックにより完了してもよい。
【0075】
また、1つの実施例において、空気調和機は、上述したような更新方法を実行するために使用されるプログラムを有する。当該プログラムは、空気調和機のファームウェアの更新方法を空気調和機に実行させる。
【0076】
従来では、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したときに、空気調和機20が運転できないままで電源を切るしかできない。しかしながら、本開示の空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、更新された第2ファームウェアによる異常・障害が起こっても、他のファームウェアに切り替えて再起動することができるため、空気調和機20は運転できる可能性がある。すなわち、更新されたファームウェアによって空気調和機が正常に動作しない状況が生じることを抑制することができる。この切り替えは空気調和機20が自動的に実行する制御のため、ユーザが特に対応しなくても、業者を呼んで修理してもらわなくても、障害に対処可能である。したがって、例えば、外気温度が32℃以上または10℃以下のときに第2ファームウェアの更新が失敗しても、ユーザの健康に害が生じる可能性を減少することができる。
【0077】
《実施の形態2》
<第2ファームウェアの取得>
実施の形態2において、空気調和機20は、空気調和機20と関連するサーバ10から第2ファームウェアを取得することができる。
【0078】
図3は、実施の形態2におけるステップS110の一例のフローチャートである。図3の例示において、第2ファームウェアを取得するステップS110は、以下のステップS111~ステップS114を含む。
【0079】
まず、空気調和機20の第1制御部22は、第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを、空調通信部23を介してサーバ10に問い合わせる(ステップS111)。第1制御部22は、定期的にサーバ10に問い合わせてもよく、例えば、1ヵ月ごとに問い合わせてもよい。
【0080】
1つの実施例において、第1制御部22は問い合わせにおいて第1ファームウェアの情報(例えば、バージョン情報または他の識別情報)でサーバ10に問い合わせる。他の実施例において、サーバ記憶部12には空気調和機20が適用している第1ファームウェアの情報を記憶しており、第1制御部22は空気調和機20の識別情報でサーバ10に問い合わせる。
【0081】
サーバ制御部14は、サーバ通信部16を介して問い合わせを受信すると、サーバ記憶部12内に記憶されたファームウェアの情報と照合することによって、第1ファームウェアより新しいバージョンのファームウェアがあるかを判断する。仮に、サーバ記憶部12はその保有するファームウェアのバージョン情報のリストを記憶している。サーバ制御部14は問い合わせから第1ファームウェアのバージョン情報を得て、当該バージョン情報をリストと照合することによって、第1ファームウェアはすでに最新のファームウェアであるか、それともより新しいバージョンが存在するかを判断する。サーバ制御部14はサーバ通信部16を介して、判断結果を空気調和機20の第1制御部22に応答する。
【0082】
第1制御部22は、新しいバージョンのファームウェアがあるとの応答を、サーバ10から受信したとき、当該新しいバージョンのファームウェアを第2ファームウェアとしてサーバ10からダウンロードする(ステップS112)。上述したように、第1記憶部21が2つの記憶空間を有する場合、ダウンロードした第2ファームウェアは「動作記憶空間」でない記憶空間に記憶される。第1記憶部21が3つ以上の記憶空間を有する場合、ダウンロードした第2ファームウェアは、記憶空間内のデータ(ファームウェア)の書き込み時刻が最も古い記憶空間に記憶され得る。なお、第1制御部22は、第1記憶部21内にファームウェアが記録されていない記憶空間があるかを判断し、ファームウェアが記録されていない記憶空間がある場合、第2ファームウェアを当該記憶空間に記憶してもよい。
【0083】
空調通信部23またはインターネットの通信回線が悪くてダウンロードが失敗する場合、ダウンロードを複数回リトライしてもよい。それでも失敗する場合、翌日やその以降に再度、ダウンロードを試してもよい。
【0084】
そして、第1制御部22は、ダウンロードした第2ファームウェアに対してエラーチェックを行う(ステップS113)。1つの実施例において、第1制御部22は、ダウンロードした第2ファームウェアの識別情報および巡回冗長検査(CRC、Cyclic Redundancy Check)についてエラーチェックを行う。識別情報は、バージョン情報の他、空気調和機20のモデルID(機種の識別子)、空気調和機20の型番、および、ファームウェアが必要なメモリサイズの少なくとも1つをさらに含んでもよい。なお、CRC以外のエラーチェック(error check、EC)またはエラー検出訂正(error check and correct、ECC)の技術もステップS113で利用可能である。
【0085】
エラーチェックを通ったファームウェアのみが第1記憶部21に記憶されて空気調和機20に適用される。エラーチェックでエラーを検出した場合、例えば、望ましくないバージョンのファームウェアをダウンロードしてしまった場合、またはダウンロードしたデータに破損があった場合、第1記憶部21は第2ファームウェアをダウンロードしなおしてもよい。エラーチェックでエラーを検出した場合、第1制御部22は、ダウンロードしたデータを破棄してもよく、サーバ10にエラーを通知してもよい。
【0086】
ステップS111で「いいえ」の場合、第1制御部22は、一定時間後に再びサーバ10に問い合わせてもよく、例えば、1ヵ月後に再び新しいバージョンについて問い合わせてもよい。
【0087】
これにより、サーバ10から第2ファームウェアを取得する処理はこれにより完了する。様々な空気調和機20の機種、型番、販売地方などに対応する複数のファームウェアをサーバ10に記憶しておき、更新の直前に空気調和機20に第2ファームウェアをダウンロードさせることによって、サーバ10では、ファームウェアを準備および更新しやすくなる。このようにすれば、ファームウェアの提供者は、ユーザ、空気調和機20、または端末装置30からのフィードバックに基づいてサーバ10に記憶しているファームウェアを更新することができ、柔軟にファームウェアを提供することができる。
【0088】
《実施の形態3》
<空気調和機20が、インターネットに関連する制御を行う独立モジュールを含む場合>
実施の形態3において、空気調和機20は独立モジュールをさらに含み、インターネットに関連する制御を当該独立モジュールに集約することができる。
【0089】
図4Aは、実施の形態3における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。空気調和機20は、第2記憶部25と第2制御部26とをさらに含み、第2記憶部25および第2制御部26は、第1記憶部21および第1制御部22から独立したものである。実施の形態3において、第1記憶部21および第1制御部22は、冷房モードまたは暖房モードを運転するように構成されている。第2記憶部25および第2制御部26は、独立モジュールを形成し、更新用のファームウェアを提供するためのサーバ10と通信し、更新用のファームウェアを取得するように構成されている。
【0090】
本開示の空気調和機のファームウェアの更新方法によって更新されるファームウェアは、第1記憶部21および第1制御部22の基本動作を制御するためのプログラムであり、第2記憶部25および第2制御部26の基本動作を制御するためのプログラムではない。言い換えると、本開示でいうファームウェアは第2記憶部25および第2制御部26に適用されない。よって、第1記憶部21および第1制御部22のためのファームウェアの更新は、第2記憶部25および第2制御部26の動作に影響しない。
【0091】
第2記憶部25は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、第2制御部26の作業領域として機能するメモリであってもよい。第2記憶部25は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
【0092】
第2制御部26は、空気調和機20においてインターネットに関連する制御を司るコントローラである。第2制御部26は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、MCU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。第2制御部26は、第2記憶部25に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、インターネットに関連する制御を実現することができる。また、第2制御部26は第2記憶部25と協働して、第2記憶部25に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。第2制御部26は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0093】
注意すべきなのは、本開示の更新対象となるファームウェアは第1制御部22に適用されるプログラムであり、第2記憶部21および第2制御部26の基本動作を制御するためのプログラムではない。言い換えると、本開示でいうファームウェアは第2記憶部25および第2制御部26に適用されない。よって、第1記憶部21および第1制御部25のためのファームウェアの更新は、第2記憶部25および第2制御部26の動作に影響しない。
【0094】
実施の形態3において、第1制御部22は、空調通信部23を介して、または、空調通信部23および第2制御部26を介して、サーバ10および/または端末装置30と通信することができる。そのため、第2制御部22は、空調通信部23およびインターネットを介して、サーバ10および/または端末装置30から受信したデータ(指令や設定値)を第1制御部22に転送してもよい。一方、第2制御部22は、第1制御部22から空気調和機20に関連するデータ(検出値や設定値)を受信し、インターネットを介して当該データをサーバ10および/または端末装置30に転送してもよい。
【0095】
1つの実施例において、第2制御部26は、更新用のファームウェアを提供するためのサーバ10と通信し、更新用のファームウェアを取得するように構成されている。
【0096】
具体的に言うと、第2制御部26は、インターネットを介してサーバ10から第2ファームウェアをダウンロードして第2記憶部25に記憶させる。第2ファームウェアのダウンロードが完了してから、第2制御部26は第2記憶部25内の第2ファームウェアを第1制御部22に転送し、第1制御部22は転送された第2ファームウェアを第1記憶部21の記憶空間のいずれかに記憶させる。
【0097】
<空調通信部23の別例>
図4Bは、実施の形態3における空気調和機の概略構成の別例を示すブロック図である。図4Bの実施例において、空調通信部23は第1通信部23aと第2通信部23bとを含む。一方、第2通信部23bは、独立モジュールに含まれて、第2制御部26と協働してインターネットに関連する通信を行う。第1通信部23aは、第1制御部22と協働してインターネットに関連しない通信を行う。例えば、端末装置30が空気調和機20のコントローラ(リモコン)である場合、第1通信部32aは、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)、有線通信等を介して、端末装置30と通信可能である。
【0098】
図4Bの実施例において、空気調和機20とサーバ10との間のインターネット通信、および、空気調和機20と端末装置30との間のインターネット通信は、第2制御部26および第2通信部23bによって行われる。
【0099】
実施の形態3の空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、インターネットに関連する制御を当該独立モジュールに集約することができる。
【0100】
《実施の形態4》
<更新についてユーザの承認を取得>
実施の形態4において、新しいバージョンの第2ファームウェアを取得しても、ユーザから更新の承認を受けてから更新を行う。
【0101】
図5は、実施の形態4における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャートである。第1制御部22は、第2ファームウェアを適用する(ステップS200)前に、空調通信部23を介して、空気調和機20と関連する端末装置30に、第2ファームウェアに更新するかを問い合わせる(ステップS116)。
【0102】
問い合わせる際に、第1制御部22は、端末装置30の関連アプリケーション32に承認を求めるユーザインタフェース表示させてもよい。図6は、実施の形態4における端末装置30に表示されるユーザインタフェースの一例である。画面40において、現在のバージョン、更新可能な新しいファームウェアが準備できたこと、およびユーザの承認を得るための「同意」ボタン41が表示されている。ユーザが「同意」ボタン41を押すと、端末装置30は、ユーザがファームウェア更新を承認することを表す更新承認指令を空気調和機20に送信する。
【0103】
第1制御部22は、問い合わせ後、空調通信部23を介して端末装置30から更新承認指令を受信したかを判断する(ステップS117)。端末装置30から更新承認指令を受信したときに、第1制御部22はステップS120を実行して、空気調和機に第2ファームウェアで動作させる。
【0104】
一方、ステップS117で「いいえ」の場合、第1制御部22はステップS120を実行しない。実施の形態4において、ユーザの承認を得た場合のみ第2ファームウェアに更新する。第1制御部22は問い合わせてから所定期間内に更新承認指令を受信していない場合、時間をおいてから再度に問い合わせてもよい。例えば、ユーザの承認を得るように翌日に再度に問い合わせてもよい。
【0105】
実施の形態4の空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、新しいファームウェア(第2ファームウェア)を取得しても、ファームウェア更新についてユーザの承認を得てから新しいファームウェアに更新する。そのため、更新が行うことについてユーザに理解してもらえて、更新の安全性を向上させることができる。
【0106】
《実施の形態5》
<更新前に現在の時期を確認>
実施の形態5において、空気調和機のファームウェアの更新方法は一年の中の所定時期のみにおいて実行される。この時期は、空気調和機20の運転頻度が低い時期であり、すなわち、極暑時期ではなく極寒時期でもない時期である。
【0107】
図7は、実施の形態5における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャートである。第1制御部22は、第2ファームウェアを取得する前に、現在が一年の中の所定時期であるかを判断する(ステップS105)。一年の中に当該所定時期以外の時期において空気調和機20の運転頻度と比べると、当該所定時期において空気調和機20の運転頻度が低い。例えば、所定時期は、熱帯地方における春季、秋季、および冬季、寒帯地方における夏季、その他の地方における春季、および秋季であってもよい。また、所定時期は外気温度の平均値(日平均気温)、最低値または最高値が所定温度範囲にある時期として定義され得る。例えば、日平均気温が28℃以下または15℃以上の時期を所定時期にしてもよい。このような所定時期は、その気温は極端的に暑いまたは寒いことでないから、「中温時期」とも呼ばれている。
【0108】
1つの実施例において、現在が所定時期であるか否かの判断は、現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つに基づいて行われ得る。第1記憶部21は、空気調和機20の設けられた場所に応じた所定時期の情報、例えば、所定時期に対応する月日範囲、室内温度閾値、室内相対湿度閾値、外気温度閾値、および/または日射量閾値を記憶してもよい。第1制御部22は、センサ24、第1記憶部21、サーバ10、端末装置30、または外部装置から現在の日付、室内温度、室内相対湿度、外気温度および日射量の少なくとも1つを取得し、対応する閾値と照合することによって、現在が所定時期であるか否かを判断してもよい。
【0109】
第1制御部22は、現在が一年の中の所定時期であると判断した場合(ステップS105で「はい」の場合)、ステップS110以降のステップを実行し、第2ファームウェアをサーバ10から取得して第2ファームウェアに更新する。上述したような所定時期において、空気調和機20の運転頻度が比較的に低いため、ファームウェア更新による運転の一時停止や完全停止がユーザに対する影響が比較的に低く、更新失敗によって運転不可が仮に発生してもユーザに対する影響が比較的に低い。
【0110】
第1制御部22は、現在が一年の中の所定時期でないと判断した場合(ステップS105で「いいえ」の場合)、ステップS110以降のステップを実行しない。図7の実施例において、第1制御部22は、現在が一年の中の所定時期であると判断するまで、第2ファームウェアを取得して第2ファームウェアに更新することを行わない。
【0111】
1つの実施例において、ステップS105は、空気調和機のファームウェアの更新方法において他のタイミングで実行される。例えば、第1制御部22は、ステップS110とステップS120との間においてステップS105を実行してもよい。
【0112】
また、実施の形態2と実施の形態5とを組み合わせた実施例において、ステップS111(図3)で「いいえ」の場合、ステップS111ではなくステップS105に戻ってもよい。実施の形態4と実施の形態5とを組み合わせた実施例において、ステップS117(図5)で「いいえ」の場合、ステップS117ではなくスステップS105に戻ってもよい。
【0113】
実施の形態5の空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、現在が空気調和機20の運転頻度の比較的に低い所定時期である場合のみ第2ファームウェアを取得して更新するため、更新による停止または更新失敗が発生しても、ユーザに対する影響を低下させることができる。
【0114】
《実施の形態6》
<ファームウェアの削除>
実施の形態6において、特定の条件が満たされたときに、第1記憶部21に記憶されたファームウェアを削除することができる。
【0115】
図8は、実施の形態6における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のフローチャートである。1つの実施例において、ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき(ステップS130で「はい」の場合)、第2ファームウェアを空気調和機20の第1記憶部21から削除する(ステップS150)。第2ファームウェアの適用後に異常が検出されることから見ると、第2ファームウェアの内容にバグなどの不備が含まれる可能性が高い。そのため、この第2ファームウェアは、後のファームウェアの切り替えには役に立ちにくいと考えられる。このような第2ファームウェアが2度と適用されないように、第1制御部22は第2ファームウェアを第1記憶部21から削除する。
【0116】
なお、図8の実施例において、ステップS150はステップS140の後で実行されるが、ステップS140の前に実行されてもよい。
【0117】
また、所定時間内にウォッチドッグタイマによって異常を検出していないとき(ステップS130で「いいえ」の場合)、空気調和機20は第2ファームウェアによって正常に稼働できると考えられるので、当該第2ファームウェアを保留する。図8の実施例において、このときに、第1記憶部21の記憶空間をリリースするために、第1制御部22は、第2ファームウェアと異なるファームウェアのうち、バージョンが最も古いファームウェアを、空気調和機20の第1記憶部21から削除する(ステップS160)。
【0118】
仮に、第1記憶空間212、第2記憶空間213および第3記憶空間214のそれぞれに記憶されたファームウェアのバージョンは「1.0」、「2.0」および「3.0」であり、第2ファームウェアのバージョンが「3.0」である。第1制御部22は、バージョンが「3.0」でなく、かつ、バージョンが最も古いファームウェア、すなわち、バージョンが「1.0」であるファームウェアを第1記憶部21から削除して、第1記憶空間212をリリースする。
【0119】
実施の形態6の空気調和機のファームウェアの更新方法、空気調和機、およびプログラムによれば、異常の原因となるファームウェアを削除することができる。よって、不適切なファームウェアの再びに適用されることが回避できる。また、利用可能性が低い古いファームウェアを削除することができるので、次の新しいファームウェアを記憶するために記憶空間をリリースしておくことができる。
【0120】
《実施の形態7》
<総合的な例示>
実施の形態7において、第1制御部22は前述した実施の形態1~6の組み合わせを総合的に実行することができる。
【0121】
図9は、実施の形態7における空気調和機のファームウェアの更新方法の一例のシーケンス図である。まず、第1制御部22は、(1)現在が所定時期であるかを判断する(図7のステップS105)。現在が所定時期であると判断したとき、第1制御部22は、(2)サーバ10に新しいファームウェアを問い合わせる(図3のステップS111)。問い合わせを受信すると、サーバ制御部14は、サーバ記憶部12内に保有するファームウェアの情報と照合し、新しいファームウェアが存在する場合、(3)あると空気調和機20に応答する。次に、第1制御部22は、(4)新しいファームウェアである第2ファームウェアをダウンロードし(図3のステップS112)、(5)第2ファームウェアに対してエラーチェックを行う(図3のステップS113)。
【0122】
第2ファームウェアがエラーチェックを通ったら、第1制御部22は、(6)端末装置30を介して更新するかをユーザに問い合わせる(図5のステップS116)。第1制御部22は、(7)端末装置30から更新承認指令を受信すると(図5のステップS117で「はい」の場合)、(8)第2ファームウェアの適用と再起動を行う(図2図5図7図8のステップS120)。第1制御部22は、(9)ウォッチドッグタイマによって異常を検出したとき(図2図5図7図8のステップS130で「はい」の場合)、(10)サーバ10に異常の発生を通知し、空気調和機20の運転回復を図るように、(11)第1ファームウェアの適用と再起動を行う(図2図5図7図8のステップS140)。その後、第1制御部22は(12)第2ファームウェアを削除する(図8のステップS150)。
【0123】
第2ファームウェアを適用してからの所定期間内に異常が検出されていない場合(図2図5図7図8のステップS130で「いいえ」の場合)、第1制御部22は古い第1ファームウェアを削除して更新を完了してもよい。
【0124】
図9の右側に示されているように、この実施例において、空気調和機20は、第2ファームウェアの適用までに、第1ファームウェアで動作する。他の実施例において、空気調和機20が第1ファームウェアによる動作は、より早い時点で終了し、例えば、第2ファームウェアがダウンロードされたとき、第2ファームウェアがエラーチェックを通ったとき、または更新承認指令が受信されたときに終了してもよい。第2ファームウェアが適用されて空気調和機20が再起動してから、空気調和機20は第2ファームウェアで動作する。空気調和機20が第2ファームウェアによる動作は、ウォッチドッグタイマによって異常が検出されたときに終了する。第1ファームウェアに切り替えるように、第1ファームウェアが適用されて空気調和機20が再起動してから、空気調和機20は再び第1ファームウェアで動作する。
【0125】
注意されたいことに、図9に示された各ステップの実行順序はあくまで1つの例示に過ぎず、他の実行順序があり得る。
【0126】
以上は本発明の具体的な実施の形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではない。本発明は図面および前述した具体的な実施の形態において前述された内容を含むが、本発明がそれらの内容に限定されるものではない。本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された様々の実施の形態または実施例を組み合わせることができる。本発明の機能および構造原理から逸脱しない変更は特許請求の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0127】
10 サーバ
12 サーバ記憶部
14 サーバ制御部
16 サーバ通信部
20 空気調和機
21 第1記憶部
211 インディケータ
212 第1記憶空間
213 第2記憶空間
214 第3記憶空間
22 第1制御部
23 空調通信部
23a 第1通信部
23b 第2通信部
24 センサ
25 第2記憶部
26 第2制御部
30 端末装置
32 関連アプリケーション
40 画面
41 ボタン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9