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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184439
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】減速機・モータ一体型機
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20231221BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20231221BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K7/06 A
F16H1/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068611
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】63/353,500
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202310047182.7
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鐘啓聞
(72)【発明者】
【氏名】林泓▲ウィ▼
(72)【発明者】
【氏名】楊富光
(72)【発明者】
【氏名】楊舒翔
(72)【発明者】
【氏名】易子民
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA19
3J027FA36
3J027GC07
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
5H607AA00
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB17
5H607CC03
5H607DD02
5H607DD19
5H607EE31
5H607EE52
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、連結軸と、モータと、減速機とを備えた減速機・モータ一体型機を提供する。
【解決手段】連結軸10は、軸方向に配置された異なる直径を有する第1セクション11及び第2セクション12を有し、軸方向に沿って連結軸の前端と後端との間を連通する収容空間13を備える。第2セクションの外面は楕円カムを形成し、第1セクションの外径は楕円カムの長軸長さよりも大きい。モータ1は、ステータ21と、ステータに空間的に対応する回転部材22と、ステータを貫通し、軸方向に沿って設置された中心軸23とを備える。第1セクションの内面は径方向に沿ってモータの回転部材に同心的に套設され、中心軸とステータは、収容空間内に収容される。減速機30は、径方向に沿って連結軸に同心的に套設され、第1ベアリング41を介して第2セクションの外面に接続される減速機出力軸31を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結軸と、モータと、減速機とを備える減速機・モータ一体型機であって、
前記連結軸は、第1セクション、第2セクション、及び収容空間を備え、前記第1セクション及び前記第2セクションは軸方向に配置され、前記収容空間は、前記軸方向に沿って前記連結軸の前端と後端との間を連通し、前記連結軸の前記第2セクションの外面は楕円カムを形成し、前記第1セクションの外径は前記楕円カムの長軸長さよりも大きく、
前記モータは、前記収容空間内に収容され、前記第1セクションの内面に接続され、
前記減速機は、前記第2セクションの外面に接続される、
減速機・モータ一体型機。
【請求項2】
前記モータは、ステータと、前記ステータに空間的に対応する回転部材と、前記ステータを貫通し、前記軸方向に沿って設置された中心軸とを備え、
前記連結軸の前記第1セクションの前記内面は、径方向に沿って前記モータの前記回転部材に同心的に套設され、前記モータのロータを一緒に形成し、前記中心軸と前記ステータは、前記収容空間内に収容される、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項3】
前記減速機は、第1ベアリングを介して前記連結軸の前記第2セクションの前記外面に接続される減速機出力軸を備え、前記径方向に沿って前記連結軸に同心的に套設される、請求項2に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項4】
前記連結軸の前記第2セクションの前記内面は、第2ベアリングを介して前記径方向に沿って前記モータの前記中心軸に同心的に套設される、請求項3に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項5】
前記減速機出力軸、前記第1ベアリング、前記連結軸の前記第2セクション、前記第2ベアリング、及び前記モータの前記中心軸は、外側から内側に向かって前記径方向に配置される、請求項4に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項6】
前記連結軸の前記前端に隣接し、前記モータの前記中心軸の一端に固定されたエンドキャップをさらに備える、請求項2に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項7】
前記モータは、前記連結軸の前記前端に空間的に対応しており、前記連結軸の回転速度及び角度の情報を測定するためのエンコーダをさらに備え、前記エンコーダは、前記エンドキャップまたは前記連結軸の前記前端に固定される、請求項6に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項8】
前記連結軸の前記前端は、第3ベアリングを介して前記エンドキャップに接続される、請求項6に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項9】
前記第1セクションの前記外径は、前記第2セクションから離れる方向に沿って一定の値まで徐々に大きくなる、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項10】
前記減速機の固定端は、前記エンドキャップに接続され、前記固定端、前記連結軸の前記第1セクション、前記モータの前記回転部材、前記ステータ、及び前記中心軸は、外側から内側に向かって前記径方向に配置される、請求項6に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項11】
前記モータの前記中心軸は、前記連結軸の前記前端を通って外側に延在し、前記モータは、前記中心軸の外周縁に固定され、前記収容空間に収容され、前記連結軸の前記前端に隣接するサーキットボードを備える、請求項2に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項12】
前記サーキットボードは、モータ引出線を介して外部に接続され、前記モータ引出線は、前記中心軸の中空部を通って外部に接続される、請求項11に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項13】
前記楕円カムは、前記長軸長さ及び短軸長さを有し、前記短軸長さは前記第2セクションの内径よりも大きく、前記第1セクションの前記外径よりも大きくない、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項14】
前記減速機におけるギヤ噛み合いは、前記第1セクションの前記外径よりも小さくないピッチ円直径を有する、請求項13に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項15】
前記ピッチ円直径には、前記長軸長さと前記短軸長さとの差に対して、18~92の範囲の設計パラメータが定義される、請求項14に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項16】
前記連結軸の前記第1セクションと前記第2セクションは一体的に形成されている、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項17】
前記連結軸は、前記連結軸の前記第1セクションの前記内面を介して前記モータの回転部材に接続されるモータ出力軸を形成し、前記モータが回転すると、前記連結軸を介して前記減速機を駆動する、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項18】
前記連結軸は、前記連結軸の前記第2セクションの前記外面及び第1ベアリングを介して前記減速機の減速機出力軸に接続される減速機入力軸を形成し、前記モータが回転すると、前記連結軸を介して前記減速機を駆動する、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項19】
前記減速機出力軸に接続されるボールスプラインをさらに備え、
前記ボールスプラインは、スプラインナット、スプラインシャフト、及び複数のボールを備え、前記スプラインシャフトは、前記軸方向に沿って前記モータの中心軸を貫通し、前記スプラインナットは、径方向に沿って前記スプラインシャフトに同心的に套設され、前記減速機の出力端に固定され、前記複数のボールを介して前記スプラインシャフトに接続される、請求項18に記載の減速機・モータ一体型機。
【請求項20】
前記減速機と前記連結軸の外周壁との間に、オイルリザーバが形成される、請求項1に記載の減速機・モータ一体型機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力駆動装置に関し、特に減速機とモータの組立構造を簡素化して、薄型化の目的を達成するとともに、高減速比の特性を維持する減速機・モータ一体型機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータと組み合わせた減速装置(motorized speed reducer)、または減速機モータ(geared motor)は、モータと減速機とを組み合わせた一体型動力駆動装置である。モータ減速機は、モータが高回転低トルクで動作している場合、減速機を介して低回転高トルクに変換できるため、比較的小さな体積で高トルク出力を提供することができる。そのため、モータと減速機とを組み合わせて動力駆動装置として使用することが、業界で一般的である。
【0003】
従来の減速機モータの構成では、通常、モータ回転軸にギアを配置して減速機を噛合駆動したり、モータ回転軸の片側に減速機を同軸に配置したりしている。しかし、モータと減速機を同軸に配置する必要がある場合、軸方向前後の両者の組み合わせの全体体積は巨大であり、特にモータ回転軸と減速機が接続される軸方向の長さ部分は、空間を取りすぎる。そのため、減速機とモータの配置構造において、どのように空間利用率を効果的に向上させ、高減速比を維持しながら、構造部品や空間体積を低減できるのが、この分野の重要な課題である。
【0004】
そこで、モータと減速機の配置を統合することにより、高減速比の特性を維持しながら、従来の同軸モータ減速機では全体体積を小さくし、薄型化を実現することが困難であるという問題点を改善して、従来技術の不足を解決するための減速機・モータ一体型機を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、モータと減速機の配置を統合することにより、高減速比の特性を維持しながら、従来の同軸モータ減速機では全体体積を小さくし、薄型化を実現することが困難であるという問題点を改善する、減速機・モータ一体型機を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、減速機・モータ一体型機を提供することである。減速機とモータは一体型連結軸により組み合わされ、連結軸は軸方向に配置された異なる直径を有する第1セクション及び第2セクションを有し、異なる収容空間を形成し、さらに、アウターロータモータ及び減速機は径方向に沿って同心的に套設して平行軸を形成し、連結軸はアウターロータモータと減速機入力軸の径方向中間に配置されることで、空間の最適化に役立つ。また、一体に形成された連結軸は、アウターロータモータの出力軸と減速機の入力軸に相当する機能を同時に提供し、大径の第1セクションは、例えばアウターロータモータの出力軸を構成し、小径の第2セクションは、例えば減速機の入力軸を構成することで、アウターロータモータの出力軸と減速機の入力軸との接続を簡素化するのに役立つ。2組のベアリングは、連結軸の第2セクションを介して径方向に沿って同心的に套設し、軸方向の長さを短縮し、薄型化を実現するのに役立つ。また、アウターロータモータ出力軸の機能を提供する第1セクションは真円であり、第1セクションの外径は、モータに必要な収容空間と、減速機におけるギヤ噛み合いのピッチ円直径(Pitch Circle Diameter、PCD)に応じて設計することができる。減速機入力軸の機能を提供する第2セクションは楕円カムであり、楕円カムの短軸長さが第2セクションの内径に接しておらず、第1セクションの外径を超えないという条件の下で、減速機におけるギヤ噛み合いのピッチ円直径には、楕円カムの長軸長さと短軸長さとの差に対して、特定の範囲内の設計パラメータが形成されている。本発明の一体型連結軸により組み合わされたモータと減速機は、高減速比の特性を維持する。
【0007】
本発明のまた別の目的は、減速機・モータ一体型機を提供することである。一体型連結軸の内外に独立した空間がそれぞれ設けられているため、連結軸の外周壁と減速機との間の空間は、例えばオイルリザーバとすることができ、連結軸の内部は、モータとエンコーダを収容する独立した領域として、減速機側の潤滑油により汚染されることがない。一方、減速機・モータ一体型機は、ボールスプラインに直接接続して軸方向に沿ってスライドすることができ、高減速比の適用が可能であり、より優れたコストメリットでより高い伝達トルクを得ることができる。ボールスプラインのスプラインシャフトはモータの中心軸を貫通でき、スプラインナットは減速機の出力端に直接固定接続して一体構造を形成することで、全体構造が簡素化・コンパクト化され、空間体積利用率を向上させるとともに、高減速比を達成し、高い伝達トルクを得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、連結軸と、モータと、減速機とを備えた減速機・モータ一体型機を提供する。連結軸は、第1セクション、第2セクション、及び収容空間を備え、第1セクション及び第2セクションは軸方向に配置され、収容空間は、軸方向に沿って連結軸の前端と後端との間を連通し、連結軸の第2セクションの外面は楕円カムを形成し、第1セクションの外径は楕円カムの長軸長さよりも大きい。モータは収容空間内に収容され、第1セクションの内面に接続される。減速機は、第2セクションの外面に接続される。
【0009】
一実施形態では、モータは、ステータと、ステータに空間的に対応する回転部材と、ステータを貫通し、軸方向に沿って設置された中心軸とを備え、連結軸の第1セクションの内面は、径方向に沿ってモータの回転部材に同心的に套設され(concentrically sleeved)、モータのロータを一緒に形成し、中心軸とステータは、収容空間内に収容される。
【0010】
一実施形態では、減速機は、第1ベアリングを介して連結軸の第2セクションの外面に接続される減速機出力軸を備え、径方向に沿って連結軸に同心的に套設される。
【0011】
一実施形態では、連結軸の第2セクションの内面は、第2ベアリングを介して径方向に沿って前記モータの前記中心軸に同心的に套設される。
【0012】
一実施形態では、減速機出力軸、第1ベアリング、連結軸の第2セクション、第2ベアリング、及びモータの中心軸は、外側から内側に向かって径方向に配置される。
【0013】
一実施形態では、減速機・モータ一体型機は、連結軸の前端に隣接し、モータの中心軸の一端に固定されたエンドキャップをさらに備える。
【0014】
一実施形態では、モータは、連結軸の前端に空間的に対応しており、連結軸の回転速度及び角度の情報を測定するためのエンコーダをさらに備え、エンコーダは、エンドキャップまたは連結軸の前端に固定される。
【0015】
一実施形態では、連結軸の前端は、第3ベアリングを介してエンドキャップに接続される。
【0016】
一実施形態では、第1セクションの直径は、第2セクションから離れる方向に沿って一定の値まで徐々に大きくなる。
【0017】
一実施形態では、減速機の固定端はエンドキャップに接続され、固定端、連結軸の第1セクション、モータの回転部材、ステータ、及び中心軸は、外側から内側に向かって径方向に配置される。
【0018】
一実施形態では、モータの中心軸は、連結軸の前端を通って外側に延在し、モータは、中心軸の外周縁に固定され、収容空間に収容され、連結軸の前端に隣接するサーキットボードを備える。
【0019】
一実施形態では、サーキットボードはモータ引出線を介して外部に接続され、モータ引出線は中心軸の中空部を通って外部に接続される。
【0020】
一実施形態では、楕円カムは長軸長さ及び短軸長さを有し、短軸長さは第2セクションの内径よりも大きく、第1セクションの外径よりも大きくない。
【0021】
一実施形態では、減速機におけるギヤ噛み合いは、第1セクションの外径よりも小さくないピッチ円直径を有する。
【0022】
一実施形態では、ピッチ円直径には、長軸長さと短軸長さとの差に対して、18~92の範囲の設計パラメータが定義される。
【0023】
一実施形態では、連結軸の第1セクションと第2セクションは一体的に形成されている。
【0024】
一実施形態では、連結軸は、連結軸の第1セクションの内面を介してモータの回転部材に接続されるモータ出力軸を形成し、モータが回転すると、連結軸を介して減速機を駆動する。
【0025】
一実施形態では、連結軸は、連結軸の第2セクションの外面及び第1ベアリングを介して減速機の減速機出力軸に接続される減速機入力軸を形成し、モータが回転すると、連結軸を介して減速機を駆動する。
【0026】
一実施形態では、減速機・モータ一体型機は、減速機出力軸に接続されるボールスプラインをさらに備え、ボールスプラインは、スプラインナット、スプラインシャフト、及び複数のボールを備え、スプラインシャフトは、モータの中心軸を軸方向に貫通し、スプラインナットは、径方向に沿ってプライン軸に同心的に套設され、減速機の出力端に固定され、複数のボールを介してスプラインシャフトに接続される。
【0027】
一実施形態では、減速機と連結軸の外周壁との間に、オイルリザーバが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機の断面図である。
図2】本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の立体構造を示す。
図3】本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の背面図である。
図4】本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の断面図である。
図5】本発明の第2の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。例えば、本開示の以下の内容において、第1特徴を第2特徴の上または上方に設置することが記述される場合、設置された上記第1特徴が上記第2特徴と直接接触している実施形態を含み、追加の特徴を上記第1特徴と上記第2特徴との間に設置することで、上記第1特徴が上記第2特徴と直接接触していない実施形態も含むことを示す。さらに、本開示の異なる実施形態において、重複する参照符号及び/または記号を使用可能である。これらの重複は簡潔化と明確化の目的で、各実施形態及び/または前記外観構造間の関係を制限するために使用されるものではない。また、図面における構成要素または特徴要素と他の(複数の)構成要素または(複数の)特徴要素との関係を簡易に記述するために、例えば、「内」、「外」、「前」、「後」、及び類似する用語などの空間関連の用語を用いることができる。図面に示される方位に加えて、空間関連の用語は、使用中または作動中の装置の異なる方位を含むために用いられる。前記装置は、別途に位置決めされ(例えば、90度回転または他の方位に位置し)てもよく、それに応じて使用される空間関連の用語の記述を解釈する。さらに、一つの構成要素が他の構成要素に「接続」または「結合」すると称する場合、他の構成要素に直接的に接続または結合することができ、または介在構成要素が存在しうる。本開示の広範な範囲の数値範囲とパラメータは近似値であるが、具体的な例においてできる限り正確に数値を記述する。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、特許請求の範囲において異なる構成要素を記述するために用いられることができるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではなく、実施形態において記述されたこれらの構成要素は異なる構成要素記号によって示されることを理解されたい。これらの用語は、異なる構成要素を区別するためのものである。例えば、第1構成要素は第2構成要素と称されることができ、同様に、第2構成要素も第1構成要素と称されることができ、実施形態の範囲から逸脱することがない。このように使用される用語「及び/または」には、一つまたは複数の列挙された項目のいずれかまたはすべての組み合わせが含まれている。作動例/作業例中以外に、または明示的に規定されない限り、本明細書で開示されるすべての数値範囲、量、値、及びパーセンテージ(例えば、角度、持続時間、温度、作動条件、量比、及び類似するもののパーセンテージなど)は、すべての実施形態において用語の「約」または「実質的に」によって修飾されるものと理解されるべきである。それに応じて、反対の指示がない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、必要に応じて変更できる近似値である。例えば、各数値パラメータは、少なくとも記述される有効桁数の数字に基づいて、通常の丸めの原則を適用することによって解釈されるべきである。本明細書において、範囲は一つのエンドポイントからもう一つのエンドポイントまで、または二つのエンドポイント間として表現することができる。本明細書に開示されるすべての範囲は、特に規定がない限り、エンドポイントを含む。
【0030】
図1は本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機の断面図である。図2は本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の立体構造を示す。図3は本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の背面図である。図4は本発明の第1の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機における連結軸の断面図である。本実施形態では、減速機・モータ一体型機(以下、単に一体型機という)1は、連結軸10、モータ20、及び減速機30を備える。モータ20と減速機30は、連結軸10を介して接続され、同時に一体型機に統合される。本実施形態では、連結軸10は、例えば金属材料で一体成形され、軸方向Jに沿って配置された異なる直径を有する第1セクション11及び第2セクション12を有する。軸方向Jは、例えば、X軸に平行であり、Y軸及びZ軸に垂直である。連結軸10の第1セクション11は、真円形の外周縁及び内周縁を有し、連結軸10の第2セクション12は、真円形の内周縁を有する。第1セクション11の外径ΦCは、第2セクション12の内径ΦAよりも大きく、第2セクション12から離れる方向に沿って一定の値まで徐々に大きくなる。連結軸10は、軸方向Jに沿って連結軸10の前端101と後端102との間を連通する収容空間13をさらに備える。連結軸10の第2セクション12の外面は、長軸長さa及び短軸長さbを有する楕円カムを形成する。本実施形態では、モータ20は、例えばウターロータ・インナーステータ型であり、ステータ21、回転部材22、及び中心軸23を備える。ステータ21は中心軸23の周縁に固定される。中心軸23はステータ21を貫通し、軸方向Jに沿って設置される。回転部材22は、例えば磁石またはマグネットであり、ステータ21に空間的に対応しており、ステータ21の外周縁に設置される。モータ20が作動すると、ステータ21は回転部材22を駆動して中心軸23を中心に回転させる。本実施形態では、連結軸10の第1セクション11の内面は、径方向に沿ってモータ20の回転部材22に同心的に套設され(concentrically sleeved)、モータ20のロータを一緒に形成し、中心軸23とステータ21は、収容空間13内に収容される。本実施形態では、減速機30は、径方向に沿って連結軸10に同心的に套設され、連結軸10を介してモータ20に接続される。減速機30は、第1ベアリング41を介して連結軸10の第2セクション12の外面に接続される減速機出力軸31を備える。これにより、モータ20と減速機30は、連結軸10を介して組み合わせて一体型駆動装置を形成することができる。軸方向に沿って配置接続された従来のモータ減速機装置に比べて、本発明の一体型機1は、部品点数を節約し、モータ20と減速機30の組立構造を簡素化し、薄型化の目的を達成するとともに、高減速比の特性を維持する。
【0031】
本実施形態では、連結軸10の第1セクション11と第2セクション12は一体的に形成されており、構造的には一体型機1の単一部品とみなすことができる。ただし、連結軸10は、モータ20と減速機30との間に接続されているため、単一部品に複数の伝達機能が統合されている。本実施形態では、連結軸10がモータ20に接続された後、連結軸10の第1セクション11の内面を介してモータ20の回転部材22に接続されるモータ出力軸を形成する。モータ20のステータ21が回転部材22を回転駆動すると、連結軸10が一体型の単一部品であるため、連結軸10はモータ20の回転部材22と同期して回転し、モータ出力軸としてモータ20で発生した運動エネルギーをさらに外部に伝達することができる。例えば、連結軸10を介して減速機30を駆動する。
【0032】
一方、本実施形態では、連結軸10が減速機30に接続された後、連結軸10の第2セクション12の外面及び第1ベアリング41を介して減速機30の減速機出力軸31に接続される減速機入力軸を形成する。連結軸10を介してモータ20の運動量を伝達し、連結軸10を回転駆動すると、連結軸10は減速機入力軸として機能することができる。減速機30の内部ギアアセンブリと協働して、連結軸10によって減速機30に導入された運動量は、減速機30によって回転速度が調整された後、減速機出力軸31を介して出力することができる。
【0033】
本実施形態では、減速機入力軸の機能を提供するために、連結軸10の第2セクション12の外面は、長軸長さa及び短軸長さbを有する楕円カムを形成し、第1セクション11の外径ΦCは長軸長さaよりも大きく、短軸長さbは第2セクション12の内径ΦAよりも大きく、すなわち、b>ΦAであり、それによって、楕円カムの短軸が第2セクション12の内径に接することを避ける。また、本実施形態では、短軸長さbは第1セクション11の外径ΦCよりも大きくなく、すなわち、b≦ΦCである。第1セクション11の外径ΦCは、モータ20に必要な収容空間13に対応し、第1セクション11の外径ΦCが大きくなるにつれて、連結軸10のモータ20を対応して収容する収容空間13も大きくなる。
【0034】
本実施形態では、減速機30におけるギヤ噛み合いは、減速機30の内部ギアパラメータに関連するピッチ円直径(Pitch Circle Diameter、PCD)ΦDを有する。減速機30が連結軸10の外面に設置され、モータ20が連結軸10の第1セクション11の内面に位置するため、ピッチ円直径(Pitch Circle Diameter、PCD)ΦDは、第1セクション11の外径ΦCよりも小さくなく、すなわち、ΦC≦ΦDである。
【0035】
また、本実施形態では、ピッチ円直径(Pitch Circle Diameter、PCD)ΦDには、長軸長さaと短軸長さbとの差に対して、設計パラメータXが定義され、設計パラメータXの値はピッチ円直径ΦD/(長軸長さa-短軸長さb)に等しい。テストの結果、本発明の一体型機1に組み込まれたモータ20と減速機30は、設計パラメータXが18~92の範囲の場合、より良い減速比を得ることができることが分かる。言い換えると、連結軸10が径方向に沿ってモータ20及び減速機30と同心的に套設することにより、一体型機1の薄型化を実現するほか、本発明の一体型機1は、さらに設計パラメータXの範囲を18≦X≦92に制御することにより、モータ20と減速機30の配置に高減速比の特性を維持する。
【0036】
本実施形態では、モータ20は、例えばアウターロータ・インナーステータ型である。連結軸10の第2セクション12の外面は第1ベアリング41を介して減速機30に接続され、それに対応して、連結軸10の第2セクション12の内面は第2ベアリング42を介して径方向に沿ってモータ20の中心軸23に同心的に套設される。本実施形態では、減速機出力軸31、第1ベアリング41、連結軸10の第2セクション12、第2ベアリング42、及びモータ20の中心軸23は、外側から内側に向かって径方向に配置されて、同軸構造を形成し、空間の最適化に役立つとともに、軸方向Jの長さを短くして薄型化を実現する。
【0037】
本実施形態では、モータ20の中心軸23は、連結軸10の前端101を通って外側に延在し、モータ20はサーキットボード24を備え、前記サーキットボード24は、中心軸23の外周縁に固定され、収容空間13に収容され、連結軸10の前端101に隣接する。本実施形態では、サーキットボードは、モータ引出線25を介して外部に接続され、モータ引出線25は、中心軸23の中空部を通って外部に接続される。本実施形態では、モータ20は、空間的に連結軸10の前端に対応し、連結軸10の回転速度及び角度の情報を測定するためのエンコーダ26をさらに備える。エンコーダ26は、例えば、エンドキャップ40または連結軸10の前端101に固定される。
【0038】
さらに、本実施形態では、減速機・モータ一体型機1は、連結軸10の前端101に隣接し、モータ20の中心軸23の一端に固定されたエンドキャップ40をさらに備える。本実施形態では、連結軸10の前端101は、第3ベアリング43を介してエンドキャップ40に接続される。第3ベアリング43は、例えば特殊な深さゲージベアリング(particular depth gauge bearing)である。本実施形態では、減速機30は、固定端32を介してエンドキャップ40に接続される。本実施形態では、減速機の固定端32、連結軸10の第1セクション11、モータ20の回転部材22、ステータ21、及び中心軸23は、外側から内側に向かって径方向に配置されて、同軸構造を形成し、空間の最適化に役立つとともに、軸方向Jの長さを短くして薄型化を実現する。
【0039】
本実施形態では、回転部材22は、例えば磁石またはマグネットであり、第1セクション11の内面に環状設置される。本発明は、回転部材22が第1セクション11の内面に固定される形態に限定されない。一実施形態では、回転部材22は、例えば環状の磁石またはマグネットで構成され、第1セクション11の内面に直接貼合する。一実施形態では、回転部材22は、例えば等間隔に環状設置された複数の磁石またはマグネットなどを備える。他の実施形態では、回転部材22の数、寸法、型式、及び連結軸10の第1セクション11の内面との接続・固定方法は、実際の応用要求に応じて調整できる。本発明はこれに限定されるものではなく、ここでは繰り返さない。
【0040】
なお、本実施形態では、連結軸10の内周壁103によって形成される収容空間13は、モータ20のステータ21、回転部材22、中心軸23、及びサーキットボード24を収容する。本実施形態では、減速機30と連結軸10(第1セクション11と第2セクション12を含む)の外周壁104との間に、例えば減速機30の潤滑油路として機能することができるオイルリザーバ33が形成される。オイルリザーバ33が一体型連結軸10の外部に位置し、連結軸10内部のモータ20を収容する収容空間13とは別の独立した領域に属するため、収容空間13内のモータ20のステータ21、回転部材22、中心軸23、及びサーキットボード24は、減速機30の潤滑油によって汚染されることはない。他の実施形態では、オイルリザーバ33の領域範囲及び収容空間13と隔離する方法は、実際の応用要求に応じて調整できる。本発明はこれに限定されるものではなく、ここでは繰り返さない。
【0041】
図5は本発明の第2の好ましい実施形態の減速機・モータ一体型機の断面図である。本実施形態では、減速機・モータ一体型機1aは、図1図4に示す減速機・モータ一体型機1と類似しており、同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態では、減速機・モータ一体型機1aは、減速機30aの減速機出力軸31に接続されたボールスプライン(ball spline)50をさらに備える。ボールスプライン50は、スプラインナット(spline nut)51、スプラインシャフト(spline shaft)52、及び複数のボール(ball)53を備え、スプラインシャフト52は、軸方向Jに沿ってモータ20の中心軸23を貫通し、軸方向Jに沿って延在する複数のガイド溝521を備える。前記複数のガイド溝521は、複数のボール53を部分的に収容するように、複数のボール53に空間的に対応している。さらに、スプラインナット51は、径方向に沿ってスプラインシャフト52に同心的に套設され(concentrically sleeved)、減速機の出力端31に固定され、複数のボール53を介してスプラインシャフト52に接続される。ボール53は、例えば、スプラインナット51とスプラインシャフト52との間の伝達媒体として、スプラインナット51に内包され、本発明は、ボール53がスプラインナット51とスプラインシャフト52との間に設置されることに限定されない。本実施形態では、スプラインナット51は、例えば、減速機出力軸31と一体に単一部品として形成される。他の実施形態では、スプラインナット51と減速機出力軸31の固定接続は、ねじなどのロック部品により実現することができる。本発明はこれに限定されない。なお、減速機出力軸31とスプラインナット51との接続により、減速機・モータ一体型機1aは、ボールスプライン50に直接接続し、軸方向Jに沿って回転することができ、高減速比の適用が可能であり、より優れたコストメリットでより高い伝達トルクを得ることができる。ボールスプライン50のスプラインシャフト52は、モータ20の中心軸23を貫通し、スプラインナット51は減速機の出力端31に直接固定接続され、または一体的に形成されることで、全体構造が簡素化・コンパクト化されるとともに高減速比を達成し、高い伝達トルクを得ることができる。もちろん、本発明はこれに限定されない。他の実施形態では、減速機30aの減速機出力軸31は、例えば、他のスプラインまたはスクリューに接続され、ボールスプライン50は、例えば、ロータリーボールスクリュー(Rotary Ball Screw)に置き換えることもできる。本発明の一体型機1aは、従来のプーリ伝動のスプラインまたはスクリューに比べて、ボールスプライン50またはスクリューを組み合わせることで、高減速比を達成し、伝達剛性を維持し、回転トルクを高め、空間体積利用率を効果的に向上させることに役立つ。
【0042】
上記のように、本発明は、モータと減速機の配置を統合することにより、高減速比の特性を維持しながら、従来の同軸モータ減速機では全体体積を小さくし、薄型化を実現することが困難であるという問題点を改善する、減速機・モータ一体型機を提供する。減速機とモータは、一体型連結軸により組み合わされ、連結軸は、軸方向に配置された異なる直径を有する第1セクション及び第2セクションを有し、異なる収容空間を形成し、さらに、アウターロータモータ及び減速機は径方向に沿って同心的に套設して平行軸を形成し、連結軸はアウターロータモータと減速機入力軸の径方向中間に配置されることで、空間の最適化に役立つ。また、一体に形成された連結軸は、アウターロータモータの出力軸と減速機の入力軸に相当する機能を同時に提供し、大径の第1セクションは、例えばアウターロータモータの出力軸を構成し、小径の第2セクションは、例えば減速機の入力軸を構成することで、アウターロータモータの出力軸と減速機の入力軸との接続を簡素化するのに役立つ。2組のベアリングは、連結軸の第2セクションを介して径方向に沿って同心的に套設し、軸方向の長さを短縮し、薄型化を実現するのに役立つ。また、アウターロータモータ出力軸の機能を提供する第1セクションは真円形であり、第1セクションの外径は、モータに必要な収容空間と、減速機におけるギヤ噛み合いのピッチ円直径(Pitch Circle Diameter、PCD)に応じて設計することができる。減速機入力軸の機能を提供する第2セクションは楕円カムであり、楕円カムの短軸長さが第2セクションの内径に接しておらず、第1セクションの外径を超えないという条件の下で、減速機におけるギヤ噛み合いのピッチ円直径には、楕円カムの長軸長さと短軸長さとの差に対して、特定の範囲内の設計パラメータが形成されている。本発明の一体型連結軸により組み合わされたモータと減速機は、高減速比の特性を維持する。一体型連結軸の内外に独立した空間がそれぞれ設けられているため、連結軸の外周壁と減速機との間の空間は、例えばオイルリザーバとすることができ、連結軸の内部は、モータとエンコーダを収容する独立した領域として、減速機側の潤滑油により汚染されることがない。一方、減速機・モータ一体型機は、ボールスプラインに直接接続して軸方向に沿って回転することができ、高減速比の適用が可能であり、より優れたコストメリットでより高い伝達トルクを得ることができる。ボールスプラインのスプラインシャフトはモータの中心軸を貫通でき、スプラインナットは減速機の出力端に直接固定接続して一体構造を形成することで、全体構造が簡素化・コンパクト化され、空間体積利用率を向上させるとともに、高減速比を達成し、高い伝達トルクを得ることができる。
【0043】
本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0044】
1、1a:減速機・モータ一体型機
10:連結軸
101:前端
102:後端
103:内周壁
104:外周壁
11:第1セクション
12:第2セクション
13:収容空間
20:モータ
21:ステータ
22:回転部材
23:中心軸
24:サーキットボード
25:モータ引出線
26:エンコーダ
30、30a:減速機
31:減速機出力軸
32:固定端
33:オイルリザーバ
40:エンドキャップ
41:第1ベアリング
42:第2ベアリング
43:第3ベアリング
50:ボールスプライン
51:スプラインナット
52:スプラインシャフト
521:ガイド溝
53:ボール
a:長軸長さ
b:短軸長さ
ΦA:第2セクションの内径
ΦB:第1セクションの内径
ΦC:第1セクションの外径
ΦD、PCD:ピッチ円直径
J:軸方向
X、Y、Z:軸
図1
図2
図3
図4
図5