IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケーマイクロワークス 株式会社の特許一覧

特開2023-184450ポリエステルフィルムおよびそれを含むフォルダブルディスプレイ装置
<>
  • 特開-ポリエステルフィルムおよびそれを含むフォルダブルディスプレイ装置 図1
  • 特開-ポリエステルフィルムおよびそれを含むフォルダブルディスプレイ装置 図2
  • 特開-ポリエステルフィルムおよびそれを含むフォルダブルディスプレイ装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184450
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ポリエステルフィルムおよびそれを含むフォルダブルディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20231221BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
B32B27/36
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082547
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0073978
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、グンウク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、サンミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジンソク
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
4F071AA46
4F071AF13Y
4F071AF21Y
4F071AF25Y
4F071AF30Y
4F071AG28
4F071AH12
4F071BA01
4F071BB06
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4F100AG00A
4F100AK41B
4F100AK42
4F100AK42B
4F100AK49A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100EJ38B
4F100GB48
4F100JK02
4F100JK02B
4F100JK08
4F100JK08B
4F100JK12
4F100JK12B
4F100JK14B
4F100JK17
4F100JK17B
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN18
4F100JN18B
4F100YY00B
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明性、柔軟性、フォールディング特性などに優れるとともに、向上した表面硬度を示し得るポリエステルフィルム、それを用いた積層体およびフォルダブルディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmである、ポリエステルフィルムとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、
厚さが80μm~150μmである、ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記第1方向が長さ方向(MD)であり、前記第2方向が幅方向(TD)であり、
前記長さ方向(MD)の延伸比が2.5~3.0である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記第1方向が長さ方向(MD)であり、前記第2方向が幅方向(TD)であり、
前記幅方向(TD)の延伸比が3.5~5.5である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
厚さが90μm~120μmである、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記第1方向が長さ方向(MD)であり、前記第2方向が幅方向(TD)であり、
前記長さ方向(MD)の延伸比(D)に対する前記幅方向(TD)の延伸比(D)の比(D/D)が1.3~1.8である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記第1方向が長さ方向(MD)であり、前記第2方向が幅方向(TD)であり、
前記長さ方向(MD)の降伏伸び率(E)が2.2%~2.6%であり、
下記式(1)を満足する、請求項1に記載のポリエステルフィルム:
1.1≦E/E≦1.4 ... (1)
前記式(1)において、
は、前記長さ方向(MD)の降伏伸び率であり、
は、前記幅方向(TD)の降伏伸び率である。
【請求項7】
前記第1方向が長さ方向(MD)であり、前記第2方向が幅方向(TD)であり、
前記長さ方向(MD)の降伏伸び率(E)が2.2%~2.6%であり、
下記式(2)を満足する、請求項1に記載のポリエステルフィルム:
0.01≦D×E/T≦0.1 ... (2)
前記式(2)において、
は、前記長さ方向(MD)の延伸比であり、
は、前記長さ方向(MD)の降伏伸び率であり、
Tは、前記ポリエステルフィルムの厚さである。
【請求項8】
厚さ偏差が3μm以下であり、
伸び率(elongation)が40%以上であり、
ヘイズが2.0%以下であり、
表面硬度が120N/mm以上である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項9】
-20℃にて屈曲半径1.5mmで20万回以上の繰り返しフォールディングの際にクラックが発生しない、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項10】
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を含む、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項11】
透明基材と、
前記透明基材上に配置されるポリエステルフィルムとを含み、
前記ポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmである、積層体。
【請求項12】
前記透明基材は、ポリイミド系フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)であ
る、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
フォルダブルディスプレイパネルと、
前記フォルダブルディスプレイパネル上に配置される透明基材と、
前記透明基材上に配置されるポリエステルフィルムとを含み、
前記ポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmである、フォルダブルディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、透明性、柔軟性、フォールディング特性などに優れるとともに、向上した表面硬度を示し得るポリエステルフィルム、それを含む積層体およびフォルダブルディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、大画面と携帯性とが同時に求められるモバイル機器分野において、外力に応じて柔軟にフォールディング(folding)され得るフォルダブルディスプレイ(foldable display)装置が注目されている。このようなフォルダブルディスプレイ装置は、使用しないときは折り畳んで小さくして携帯性を高め、使用するときは広げて大画面を実現できるメリットがある。
【0003】
前記フォルダブルディスプレイ装置は、フォールディングされる方向の内側に画面が位置するインフォールディング(in-folding)タイプ(1)と、フォールディングされる方向の外側に画面が位置するアウトフォールディング(out-folding)タイプ(2)で開発されている(図3を参照)。これらフォルダブルディスプレイ装置のカバーウィンドウ(cover window)に適用される透明基材200として、初期に、前記インフォールディングタイプ(1)においてはポリイミド系フィルムが主に使用され、前記アウトフォールディングタイプ(2)においては超薄型ガラス(UTG)が主に使用されていたが、最近、超薄型ガラスの物性が改善され、ポリイミド系フィルムに比べて優れた特性を示すようになったため、前記インフォールディングタイプ(1)においても大部分超薄型ガラス(UTG)が使用されている。
【0004】
しかしながら、前記透明基材200として使用される超薄型ガラス(UTG)は、依然として外部の衝撃によってクラック(crack)などが発生する可能性が高い。これにより、透明基材200の表面に保護フィルム100を適用して、衝撃緩和、飛散防止、スクラッチ防止等を実現している。
【0005】
前記保護フィルム100としては、ポリエステルフィルムが主に用いられている。しかしながら、現在開発されているポリエステルフィルムは、保護フィルムとして有するべき表面硬度を満足するほどのレベルで示せない限界がある。つまり、表面硬度を高めるためには、ポリエステルフィルムの厚さを厚くすることが必要であるが、ポリエステルフィルムの厚さが厚くなると、繰り返しフォールディングされる部位(図3のa、b)でクラックが発生してフォールディング特性が低下するため、ポリエステルフィルムの厚さを厚くすることが難しく、それ故に、求められる表面硬度を確保するのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2021-0059629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実現例は、透明性、柔軟性、フォールディング特性などに優れるとともに、向上した表面硬度を示し得るポリエステルフィルムを提供することとする。
【0008】
また、実現例は、前記ポリエステルフィルムを用いて製造された積層体およびフォルダブルディスプレイ装置を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために実現例によると、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmであるポリエステルフィルムを提供する。
【0010】
他の実現例によると、透明基材と、前記透明基材上に配置されるポリエステルフィルムとを含み、前記ポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmである積層体を提供する。
【0011】
また他の実現例によると、フォルダブルディスプレイパネルと、前記フォルダブルディスプレイパネル上に配置される透明基材と、前記透明基材上に配置されるポリエステルフィルムとを含み、前記ポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm~150μmであるフォルダブルディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例によると、ポリエステルフィルムの降伏伸び率を特定の範囲に制御することにより、ポリエステルフィルムの厚さが比較的厚くても柔軟性およびフォールディング特性に優れ得る。これにより、ポリエステルフィルムは、向上した表面硬度を示し得る。
【0013】
したがって、実現例によるポリエステルフィルムは、フォルダブルディスプレイ装置の保護フィルムとして適用され、多数回の繰り返しフォールディングが行われても、元の特性を維持しながら、フォルダブルディスプレイ装置に加えられる衝撃の緩和や、スクラッチが生じることを効率良く防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実現例によるポリエステルフィルムの降伏伸び率を説明するための参考図である。
図2図2は、実現例によるフォルダブルディスプレイ装置を説明するための参考図(断面図)である。
図3図3は、インフォールディング(in-folding)タイプおよびアウトフォールディング(out-folding)タイプのフォルダブルディスプレイ装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実現例により発明を説明する。なお、実現例は、以下に開示される内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更されない限り、様々な形態に変形され得る。
【0016】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上/下に形成されるか、または互いに連結または結合されるという記載は、これら構成要素間で直接または他の構成要素を介して間接的に形成、連結または結合されることをすべて含む。さらに、各構成要素の上/下に対する基準は、対象を観察する方向に応じて変わり得るものと理解すべきである。
【0017】
本明細書において、「含む」という記載は、特定の特性、領域、段階、工程、要素、および/または成分を具体化するためのものであり、特に反する記載がない限り、その外の特性、領域、段階、工程、要素、および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0018】
本明細書に記載の構成成分の量、反応条件などを示すすべての数字および表現は、特に記載がない限り、全ての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解すべきである。
【0019】
本明細書において、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。
【0020】
本図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0021】
保護フィルムとして用いられるポリエステルフィルムは、衝撃緩和、スクラッチ防止等の効果を高めるために、その厚さを比較的厚くして表面硬度を高めることが必要であるが、ポリエステルフィルムの厚さが厚くなると、フォールディング特性が低下する問題がある。ここで、ポリエステルフィルムの表面硬度を高めるために、その表面にハードコート層を形成しているが、ハードコート層の成分およびコーティング厚の制限により、満足に値するレベルの表面硬度が得られていない。
【0022】
これにより、本発明者らは、ポリエステルフィルムの厚さを厚くしても、フォールディング特性が確保されるよう様々な研究を進めた結果、ポリエステルフィルムの降伏伸び率を特定の範囲に制御することにより、比較的厚い厚さでもフォールディング特性が確保されることを確認することに至った。
【0023】
以下の実現例においては、厚さが比較的厚いため高い表面硬度を示し得るとともに、フォールディング特性、柔軟性、透明性などに優れたポリエステルフィルム、それを含む積層体およびフォルダブルディスプレイ装置を説明する。
【0024】
[ポリエステルフィルム]
<ポリエステルフィルムの物性>
実現例によるポリエステルフィルムは、降伏伸び率が2.2%~2.6%であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が、2.2%~2.6%、2.21%~2.6%、2.22%~2.6%、2.25%~2.6%、2.28%~2.58%、2.29%~2.57%、または2.3%~2.55%であり得る。前記降伏伸び率が前記範囲内であるとき、フォールディング特性に優れ、表面硬度が高いとともに、求められるレベルの伸び率(elongation)を示すポリエステルフィルムを提供し得る。具体的に、ポリエステルフィルムの降伏伸び率が2.2%未満であると、フォールディング特性が低下することがあり、2.6%を超えると、伸び率が著しく低下し、ポリエステルフィルムを引っ張ったり曲げたりする過程で切れ易くなり得る。
【0025】
前記降伏伸び率は、弾性力を失い、永久変形が始まるポイントを意味する降伏点における引張変形率を意味し得る。この際、高分子材料であるポリエステルフィルムは、その降伏点が明確に区別されないため、実施例においては、0.2%オフセット(offset)降伏点における引張変形率を、ポリエステルフィルムの降伏伸び率と定義した。前記0.2%オフセット降伏点は、引張伸び率(strain)が0%から線形で増加する直線部分を、引張前の試験片標点距離(焦点距離)の0.2%のポイントに移動させて会うポイントのことを意味し得る(図1参照)。
【0026】
一方、前記第1方向は、ポリエステルフィルムの面内任意の方向であり、前記第2方向は、前記第1方向とフィルムの面内で垂直な方向を意味し得る。具体的に、前記第1方向は、ポリエステルフィルムの長さ方向(MD)または幅方向(TD)であり、前記第2方向は、それに垂直な幅方向(TD)または長さ方向(MD)であり得る。より具体的に、前記第1方向は、ポリエステルフィルムの長さ方向(MD)であり、前記第2方向は、ポリエステルフィルムの幅方向(TD)であり得る。
【0027】
実現例によると、前記降伏伸び率は、長さ方向(MD)の降伏伸び率(E)であり得る。すなわち、実現例によるポリエステルフィルムは、長さ方向(MD)の降伏伸び率(E)が、2.2%~2.6%(具体的に2.21%~2.6%、2.22%~2.6%、2.25%~2.6%、2.28%~2.58%、2.29%~2.57%、または2.3%~2.55%)であり、下記式(1)を満足するポリエステルフィルムであり得る。
【0028】
1.1≦E/E≦1.4 ... (1)
前記式(1)において、
は、前記長さ方向(MD)の降伏伸び率であり、
は、前記幅方向(TD)の降伏伸び率である。
【0029】
具体的に、前記式(1)において、E/E比は、1.14~1.39、1.15~1.37、1.18~1.35、1.18~1.33、1.19~1.30、または1.19~1.28であり得る。
【0030】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、長さ方向(MD)の降伏伸び率(E)が2.2%~2.6%(具体的に2.21%~2.6%、2.22%~2.6%、2.25%~2.6%、2.28%~2.58%、2.29%~2.57%、または2.3%~2.55%)であり、下記式(2)を満足するポリエステルフィルムであり得る。
【0031】
0.01≦D×E/T≦0.1 ... (2)
前記式(2)において、
は、前記長さ方向(MD)の延伸比であり、
は、前記長さ方向(MD)の降伏伸び率であり、
Tは、前記ポリエステルフィルムの厚さである。
【0032】
具体的に、前記式(2)において、D×E/T比((D×E)/T比)は、0.02~0.098、0.03~0.095、0.04~0.094、0.05~0.092、0.06~0.091、または0.07~0.09であり得る。
【0033】
実現例によるポリエステルフィルムが前記式(1)および/または式(2)を満足すると、フォールディング特性に優れ、表面硬度が高いとともに、求められるレベルの伸び率を示して、柔軟性を確保し得る。
【0034】
一方、実現例によるポリエステルフィルムは、厚さ偏差が3μm以下であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、厚さ偏差が2.5μm以下、2.3μm以下、2.2μm以下、2μm以下、1.8μm以下、または1.5μm以下であり得る。
【0035】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、伸び率が40%以上であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、伸び率が、40%~200%、50%~190%、60%~180%、70%~170%、80%~160%、または100%~160%であり得る。前記伸び率が前記範囲内であることにより、ポリエステルフィルムの柔軟性およびフォールディング特性に優れ得る。
【0036】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、ヘイズ(haze)が2.0%以下であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、ヘイズが、0.4%~2.0%、0.4%~1.8%、0.5%~1.5%、0.5%~1.3%、または0.6%~1.0%であり得る。前記ヘイズが前記範囲内であることにより、ポリエステルフィルムの透明性および光学特性に優れ得る。
【0037】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、表面硬度が120N/mm以上であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、表面硬度が120N/mm~180N/mm、125N/mm~175N/mm、130N/mm~170N/mm、135N/mm~170N/mm、または140N/mm~160N/mmであり得る。前記表面硬度が前記範囲内であることにより、ポリエステルフィルムを保護フィルムとして効率良く使用し得る。
【0038】
その外に、実現例によるポリエステルフィルムは、面内位相差(Ro)が4000以下、3500以下、3000m以下であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、面内位相差(Ro)が500~4000、600~3500、または700~3000であり得る。前記面内位相差(Ro)が前記範囲内であることにより、ポリエステルフィルムに発生する虹ムラを最小化し得る。
【0039】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、厚さ方向位相差(Rth)が6000以上、7000以上、または8000以上であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムの厚さ方向位相差(Rth)は、6000~14000、7000~13000、または8000~12000であり得る。前記厚さ方向位相差(Rth)が範囲内であることにより、ポリエステルフィルムに発生する虹ムラを最小化し得る。
【0040】
なお、前記面内位相差(in-plane retardation、Ro)は、フィルムの一面で直交する2つの軸の屈折率の異方性(△nxy=|nx-ny|)とフィルムの厚さ(d)との積(△nxy×d)で定義されるパラメータであり得る。
【0041】
また、前記厚さ方向位相差(thickness direction retardation、Rth)は、フィルムの厚さ方向の断面から見たときの2つの複屈折である△nxz(=|nx-nz|)および△nyz(=|ny-nz|)にそれぞれフィルムの厚さ(d)を乗じて得られる位相差の平均と定義されるパラメータであり得る。
【0042】
<ポリエステルフィルムの特性>
実現例によるポリエステルフィルムは、厚さが80μm以上であり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは厚さが、80μm~150μm、83μm~140μm、85μm~135μm、90μm~120μm、95μm~110μm、または95μm~105μmであり得る。前記厚さが前記範囲内であることにより、繰り返しフォールディングが多数回(例えば、20万回以上)行われても、フォールディング部位にクラックが発生することが最小化するとともに、高い表面硬度を示すポリエステルフィルムを提供し得る。
【0043】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、二軸延伸されたフィルムであり得る。具体的に、ポリエステルフィルムは、2.5~3.0の延伸比(D)で長さ方向(MD)延伸され、3.5~5.5の延伸比(D)で幅方向(TD)延伸されたフィルムであり得る。前記長さ方向(MD)の延伸比(D)は、具体的に、2.5~2.9、2.5~2.8、または2.5~2.7であり得る。また、前記幅方向(TD)の延伸比(D)は、具体的に、3.5~5.4、3.7~4.9、または4.3~4.8であり得る。前記長さ方向(MD)および/または前記幅方向(TD)の延伸比(D、D)が前記範囲内であることにより、ポリエステルフィルムの厚さが比較的厚くても(例えば、80μm以上)、求められるレベルに降伏伸び率が制御され、フォールディング特性に優れたポリエステルフィルムを提供し得る。
【0044】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、前記長さ方向(MD)の延伸比(D)に対する前記幅方向(TD)の延伸比(D)の比(D/D)が1.3~1.8であり得る。具体的に、前記比(D/D)は、1.3~1.75、1.3~1.65、1.33~1.6、1.35~1.55、または1.4~1.52であり得る。前記比(D/D)が前記範囲内であることにより、フォールディング特性とともに外観および光学特性に優れたポリエステルフィルムを提供し得る。
【0045】
このような実現例によるポリエステルフィルムは、常温だけでなく低温においても優れたフォールディング特性を示し得る。具体的に、実現例によるポリエステルフィルムは、-20℃にて屈曲半径1.5mmで100回以上、1000回以上、1万回以上、5万回以上、10万回以上、15万回以上、または20万回以上の繰り返しフォールディングの際にクラックが発生しなくなり得る。
【0046】
<ポリエステルフィルム組成>
実現例によるポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を含む。前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが重合(重縮合)された単一重合体樹脂または共重合体樹脂であり得る。また、前記ポリエステル樹脂は、前記単一重合体樹脂または共重合体樹脂が混合された樹脂であり得る。
【0047】
前記ジカルボン酸は、具体的に、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸、またはそれらの組み合わせであり得るが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記ジオールは、具体的に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、またはそれらの組み合わせであり得るが、これに限定されるものではない。
【0049】
具体的に、前記ポリエステル樹脂は、結晶性に優れた芳香族ポリエステル樹脂であり、より具体的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主成分とする樹脂であり得る。
【0050】
一例として、実現例によるポリエステルフィルムは、前記PET樹脂を約85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上で含み得る。また、前記ポリエステルフィルムは、前記PET樹脂の外に他のポリエステル樹脂を含み得る。具体的に、前記ポリエステルフィルムは、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂を15重量%以下で含み得る。より具体的に、前記ポリエステルフィルムは、前記PEN樹脂を0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%で含み得る。
【0051】
<ポリエステルフィルムの製造方法>
実現例によるポリエステルフィルムは、特定の延伸比条件における二軸延伸および特定の温度における熱処理を含む工程を経て製造し得る。
【0052】
具体的に、実現例によるポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステル樹脂から未延伸シートを形成する段階と、二軸延伸する段階と、熱処理する段階とを含み、これにより、厚さが80μm~150μmであり、面内で互いに垂直な第1方向および第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%である、ポリエステルフィルムを製造し得る。より具体的に、実現例においては、特定の物性を示すポリエステルフィルムを得るために、ポリエステル樹脂の押出およびキャスティング温度を調整し、延伸時の予熱温度、各方向別延伸比、延伸温度、および延伸速度等を調整し、延伸後に熱処理および弛緩を行う際の熱処理温度および弛緩率を調整する過程を経ることとなり得るが、これについて説明すると、以下の通りである。
【0053】
まず、ポリエステル樹脂を押出して未延伸シートを形成する。前記ポリエステル樹脂の押出は、230℃~300℃、240℃~290℃、または250℃~280℃にて行われ得る。
【0054】
前記形成された未延伸シートは、予熱後に二軸延伸工程を経てもよい。前記未延伸シートの予熱は、前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準に、Tg+5℃~Tg+50℃の範囲内で行われ、具体的に、70℃~100℃にて行われ得る。前記範囲内で予熱が行われると、前記未延伸シートが二軸延伸されるのに適した柔軟性を有し、二軸延伸中にシートが破断することを効率良く防止し得る。
【0055】
前記予熱された未延伸シートの二軸延伸は、同時二軸延伸法または逐次二軸延伸法によって行われ得る。具体的に、未延伸シートは、まず一方向に延伸した後、その方向の垂直方向に延伸する逐次二軸延伸法により、長さ方向(MD)および幅方向(TD)に二軸延伸され得る。
【0056】
前記延伸が行われる速度は特に限定されないが、具体的に6.5m/分~8.5m/分であり得る。また、前記延伸が行われる温度は特に限定されないが、具体的に125℃以上、130℃以上、または135℃以上(例えば、125~160℃、130~155℃、135~150℃、または135~145℃)であり得る。
【0057】
前記長さ方向(MD)の延伸比は2.5~3.0であり、具体的に、2.5~2.9、2.5~2.8、または2.5~2.7であり得る。また、前記幅方向(TD)の延伸比は3.5~5.5であり、具体的に3.5~5.4、3.7~4.9、または4.3~4.8であり得る。前記長さ方向(MD)および前記幅方向(TD)それぞれの延伸比が前記範囲内であると、厚さが均一で、かつ、最適範囲の降伏伸び率を有するポリエステルフィルムを得ることができる。
【0058】
また、前記長さ方向(MD)の延伸比(D)に対する前記幅方向(TD)の延伸比(D)の比(D/D)は1.3~1.8であり、具体的に、1.3~1.75、1.3~1.65、1.33~1.6、1.35~1.55、または1.4~1.52であり得る。前記比(D/D)が前記範囲内であると、透明性および柔軟性に優れ、最適な範囲の降伏伸び率を有するポリエステルフィルムを得ることができる。
【0059】
前記延伸工程を経て得られたフィルムは、熱処理工程を経てもよい。前記熱処理は、180℃以上、195℃以上、または195℃~230℃の温度にて0.2分~1分間、または0.4分~0.7分間行われ得る。
【0060】
前記熱処理工程を経て得られたフィルムは、長さ方向(MD)および/または幅方向(TD)に弛緩される弛緩工程を経てもよい。前記弛緩は、150℃~250℃の温度にて1秒~1分、2秒~30秒、または3秒~10秒間行われ得る。また、前記弛緩は、1%~10%、2%~7%、または3%~5%の弛緩率で行われ得る。
【0061】
その後、弛緩工程を経て得られたフィルムは冷却工程を経てもよい。前記冷却は、前記熱処理工程が行われる温度に対して50℃~150℃低い温度にて行われ得る。
【0062】
[積層体]
実現例による積層体は、透明基材およびポリエステルフィルムを含むが、これについて具体的に説明すると、以下の通りである。
【0063】
実現例による積層体に含まれる透明基材は、透明性および柔軟性を有する基材であり得る。具体的に、透明基材は、高分子フィルムまたはガラス基板であり得る。
【0064】
前記高分子フィルムは、具体的にポリイミド系フィルムであり得る。前記ポリイミド系フィルムは、ジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物からなる群より選択された1種以上を重合して得られたポリイミド系重合体を含み得る。前記ポリイミド系重合体は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物との重合に由来するイミド(imide)繰り返し単位および/またはジアミン化合物とジカルボニル化合物との重合に由来するアミド(amide)繰り返し単位を含み得る。
【0065】
前記ジアミン化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジアミン化合物であり得る。具体的に、前記ジアミン化合物は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFDB)、オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、またはそれらの組み合わせであり得るが、これに限定されない。
【0066】
前記ジアンヒドリド化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジアンヒドリド化合物、または脂環式構造を含む脂環式ジアンヒドリド化合物であり得る。具体的に、前記ジアンヒドリド化合物は、2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(6FDA)、ビフェニル-テトラカルボン酸ジアンヒドリド(BPDA)、またはそれらの組み合わせであり得るが、これに限定されるものではない。
【0067】
前記ジカルボニル化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジカルボニル化合物であり得る。具体的に、前記ジカルボニル化合物は、テレフタロイルクロリド(TPC)、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボニルジクロリド(BPDC)、イソフタロイルクロリド(IPC)、またはそれらの組み合わせであり得るが、これに限定されない。
【0068】
一例として、前記ポリイミド系重合体は、下記化学式1で表される繰り返し単位を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
[化学式1]
前記化学式1において、nは1~400の整数である。
【0070】
また、前記ポリイミド系重合体は、下記化学式2~4で表される繰り返し単位のうち1種以上を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0071】
[化学式2]
前記化学式2において、xは1~400の整数である。
【0072】
[化学式3]
前記化学式3において、yは1~400の整数である。
【0073】
[化学式4]
前記化学式4において、yは1~400の整数である。
【0074】
一方、前記ガラス基板は、具体的に超薄型ガラス(Ultra-thin glass、UTG)であり得る。
このような透明基材は、厚さが20μm~500μm、30μm~300μm、または40μm~100μmであり得る。
【0075】
また、透明基材は、HB以上の表面硬度および550nm波長にて80%以上の光透過度を有し得る。また、透明基材は、厚さ50μmを基準に黄色度が5以下であり、ヘイズが2%以下であり得る。
【0076】
実現例による積層体に含まれるポリエステルフィルムは、前記透明基材を保護する保護フィルムであり得る。このようなポリエステルフィルムは、フィルムの面内で互いに垂直な第1方向および第2方向を定義するとき、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方の降伏伸び率が2.2%~2.6%であり、厚さが80μm以上(具体的に80μm~150μm)である。具体的に、ポリエステルフィルムは、前述の実現例によるポリエステルフィルムと実質的に同一の構成および特徴を有する。
【0077】
実現例によると、前記透明基材および前記ポリエステルフィルムを含む積層体は、剥離が発生するまでの繰り返しフォールディング回数が100回以上、1000回以上、1万回以上、5万回以上、10万回以上、15万回以上、または20万回以上であり得る。前記繰り返しフォールディング回数が前記範囲内であるとき、頻繁なフォールディングにも剥離が発生しないため、フォルダブルディスプレイ装置に有利に適用し得る。
【0078】
具体的に、実現例による積層体は、透明性、柔軟性およびフォールディング特性に優れ、前述のポリエステルフィルムを含んで、向上した表面硬度を有するため、フォルダブルディスプレイ装置のカバー材料として有用に適用し得る。
【0079】
[フォルダブルディスプレイ装置]
実現例によるフォルダブルディスプレイ装置は、フォルダブルディスプレイパネル、透明基材およびポリエステルフィルムを含むが、これについて具体的に説明すると、以下の通りである。
【0080】
実現例によるフォルダブルディスプレイ装置に含まれるフォルダブルディスプレイパネルは、有機発光ディスプレイ(OLED)パネル、または量子ドット発光ディスプレイ(QLED)パネルなどであり得る。一例として、図2は、フォルダブルディスプレイパネル300を含むフォルダブルディスプレイ装置10を概略的に示したものであり、前記フォルダブルディスプレイ装置10は、前面偏光板310および有機発光ディスプレイパネル320を含み得る。
【0081】
前記前面偏光板310は、前記有機発光ディスプレイパネル320の前面上に配置され得る。具体的に、前記前面偏光板310は、前記有機発光ディスプレイパネル320において、画像が表示される面に接着され得る。
【0082】
前記有機発光ディスプレイパネル320は、ピクセル単位の自発光によって画像を表示する。このような有機発光ディスプレイパネル320は、有機発光基板と駆動基板とを含み得る。前記有機発光基板は、ピクセルにそれぞれ対応する複数の有機発光ユニットを含み得る。前記有機発光ユニットは、それぞれ、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および陽極を含む。前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動的に結合される。すなわち、前記駆動基板は、前記有機発光ユニットにそれぞれ電流を印加して、前記有機発光基板が駆動するようにし得る。
【0083】
実現例によるフォルダブルディスプレイ装置10に含まれる透明基材200は、透明カバーとして前記フォルダブルディスプレイパネル300上に配置される。このような透明基材200は、前記積層体において説明した透明基材と実質的に同一の構成および特徴を有する。
【0084】
実現例によるフォルダブルディスプレイ装置10に含まれるポリエステルフィルム100は、保護フィルムとして前記透明基材200上に配置される。このようなポリエステルフィルム100は、前述の実現例によるポリエステルフィルムと実質的に同一の構成および特徴を有する。
【0085】
実現例によるフォルダブルディスプレイ装置10は、フォールディングされる方向に応じてインフォールディングタイプまたはアウトフォールディングタイプであり得る。
【0086】
このような実現例によるフォルダブルディスプレイ装置は、保護フィルムとして前記ポリエステルフィルムが適用されるため、優れたフォールディング特性を示すとともに、長時間または多数にわたって表面に外力が加わっても(例えば、タッチペンの使用)その寿命および信頼性に優ぐれ得る。
【0087】
(実施例)
以下、実施例により本実現例をさらに具体的に説明する。但し、これらの実施例で本実現例の範囲が限定されるものではない。
【0088】
<ポリエステルフィルムの製造>
(実施例1~11)
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を、押出機により約250℃~280℃の温度で押出およびキャスティングして未延伸シートを製造した。前記未延伸シートを予熱し、長さ方向(MD)および幅方向(TD)各々の延伸比を調整しながら二軸延伸を行い、延伸シートを得た。次いで、延伸されたシートを熱固定し、3%~5%の弛緩率で3秒~10秒間弛緩した後冷却して、厚さ100μmのポリエステルフィルムを各々製造した。この際、前記予熱温度、各方向別延伸比、延伸比の比率、延伸温度、および熱固定温度を下記表1のように調整した。
【0089】
(比較例1~11)
下記表1のように予熱温度、各方向別延伸比、延伸比の比率、延伸温度、および熱固定温度を調整したことを除いては、実施例1と同様の過程を経て、厚さ100μmのポリエステルフィルムを各々製造した。
【0090】
(比較例12)
下記表1のように予熱温度、各方向別延伸比、延伸比の比率、延伸温度、および熱固定温度を調整したことを除いては、実施例1と同様の過程を経て厚さ50μmのポリエステルフィルムを製造した。
【0091】
【表1】
【0092】
(試験例1.降伏伸び率評価)
ポリエステルフィルムを幅15mm×長さ100mmに切断して試験片を用意し、Instron社の万能材料試験機を用いて長さ方向の降伏伸び率(E)および幅方向の降伏伸び率(E)をそれぞれ測定し、その結果を下記表2に示した。この際、試験片(試料)の標点距離は50mmに、引張速度は50mm/分に設定し、0.2%オフセット(降伏点)を適用した。
【0093】
(試験例2.厚さ偏差評価)
ポリエステルフィルムを長さ方向(MD)に10cm、幅方向(TD)に全幅を採取し、厚さプロファイラー(SOLVETECH社、PR2000-B-220装置)を用いて厚さ偏差を測定し、その結果を下記表2に示した。この際、試験標準はASTM D8136-7に従い、その結果により幅方向(TD)で厚さを記録した後、最大厚さおよび最小厚さの偏差を算出した。
【0094】
(試験例3.伸び率評価)
ポリエステルフィルムを、測定しようとする方向(例えば、長さ方向(MD))で100mm、それに垂直な方向(例えば、幅方向(TD))で15mmに切断して試験片を用意し、万能材料試験機(UTM、INSTRON社5566A装置)を用いて以下の条件で伸び率を測定し、その結果を下記表2に示した。
試験片焦点(標点)距離:50mm
測定温度:常温
引張速度:50mm/分
試験片が破断するまで引張を連続して破断するポイントにおける引張率を伸び率(%)として表記した。
【0095】
(試験例4.ヘイズ評価)
ポリエステルフィルムを100mm×100mmの大きさに切断して試験片を用意し、ヘイズメーター(Gardner BYK社)を用いてヘイズを測定し、その結果を下記表2に示した。この際、計10箇所からサンプルを採取して測定した値のうち、最大値および最小値を除く残りの値の平均をもってヘイズを算出した。
【0096】
(試験例5.表面硬度評価)
ポリエステルフィルムを100mm×100mmの大きさに切断して試験片を用意し、ナノ硬度測定装置(Micro Materials社、Nano Test Vantage Platform装置)を用いて表面硬度を測定し、その結果を下記表2に示した。前記ナノ硬度測定装置のチップが3μm深さまで浸透するようにし、この際測定される硬度を表面硬度値とした。
【0097】
(試験例6.フォールディング特性評価)
ポリエステルフィルムを幅50mm×長さ200mmに切断して試験片を用意した後、長さ方向(MD)で20万回フォールディング繰り返しテスト(YUASA社、U字伸縮試験装置使用)を行ってフォールディング特性を評価し、その結果を下記表2に示した。この際、屈曲半径1.5mmで毎分60回フォールディングするように設定し、常温および低温(-20℃)で20万回のフォールディングをそれぞれ行った。20万回フォールディングの終了後、フォールディング部位表面を走査電子顕微鏡(SEM)によりクラック発生の有無を確認して、クラックが発生した場合を「○」、クラックが発生しない場合を「×」で表示した。
【0098】
【表2】
【0099】
前記表2を参照すると、ポリエステルフィルムの降伏伸び率が2.2%~2.6%の範囲内である実施例1~11は、比較的厚い厚さである100μmにおいても、柔軟性、透明性およびフォールディング特性がいずれも優れていることが確認できた。
【符号の説明】
【0100】
10:フォルダブルディスプレイ装置
100:ポリエステルフィルム
200:透明基材
300:フォルダブルディスプレイパネル
310:前面偏光板
320:有機発光ディスプレイパネル
図1
図2
図3