(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184455
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】三次元の支持されていない構造的特徴、並びにそのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20231221BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231221BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231221BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20231221BHJP
B22F 10/22 20210101ALI20231221BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
B22F10/38
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F10/22
B22F12/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085820
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】17/843,098
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ディニッシュ、クリシュナ、クマル、ジャヤバル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を提供する。
【解決手段】方法は、三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するために印刷材料の1つ以上の液滴を吐出することであって、プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向される、吐出することと、プリントベッドに対して90度未満の角度を有するオーバーハングを形成するために、プリフォームを曲げることであって、プリフォームのいかなる部分もプリントベッドに接触しない、曲げることと、を含む。三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を実行するための印刷システムも開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法であって、
三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するために印刷材料の1つ以上の液滴を吐出することであって、前記プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向される、吐出することと、
前記プリントベッドに対して90度未満の角度を有する前記オーバーハングを形成するために、前記プリフォームを曲げることと、を含み、
前記プリフォームのいかなる部分も前記プリントベッドに接触しない、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項2】
前記プリフォーム上に1つ以上の液滴を吐出することを更に含む、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項3】
前記プリフォームを曲げることが、前記プリントベッドに対して0度の角度を形成する、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項4】
曲げることが、前記三次元印刷部品内に結合された中空の幾何学的形状を形成する、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項5】
前記プリフォームが、第2の次元においてプリントベッドに対して60以上の角度で配向される、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項6】
前記プリフォームが、延性ヒンジを備える、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項7】
曲げる前に前記延性ヒンジを加熱することを更に含む、請求項6に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項8】
前記延性ヒンジが、1つ以上のピラーを備える、請求項6に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項9】
前記1つ以上のピラーの各々が、約0.1mm~約1.0mmの直径を有する、請求項8に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項10】
前記1つ以上のピラーの各々が、0.5mm~約10.0mmの高さを有する、請求項8に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項11】
前記1つ以上のピラーの各々が、互いに離間している、請求項8に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項12】
前記1つ以上のピラーの各々が、約0.1mm~約1.0mm離間している、請求項8に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項13】
前記延性ヒンジの少なくとも1つの部分が、前記延性ヒンジの少なくとも1つの他の部分と比較して、少なくとも1つの次元においてより狭い、請求項6に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項14】
前記印刷材料が、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項15】
前記印刷材料が、アルミニウムを含む、請求項14に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項16】
三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法であって、
三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するために印刷材料の1つ以上の液滴を吐出することであって、
前記プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向され、
前記プリフォームが、1つ以上のピラーを備える延性ヒンジを備える、吐出することと、
前記プリントベッドに対して90度未満の角度を有する前記オーバーハングを形成するために、前記プリフォームを曲げることであって、前記プリフォームのいかなる部分も前記プリントベッドに接触しない、曲げることと、
を含む、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項17】
前記印刷材料が、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項18】
前記1つ以上のピラーの各々が、約0.1mm~約1.0mmの直径、及び0.5mm~約10.0mmの高さを有し、約0.1mm~約1.0mmの距離だけ互いに離間している、
請求項16に記載の三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法。
【請求項19】
印刷システムであって、
印刷材料を噴射するためのエジェクタであって、
内部空洞を画定する構造と、
前記内部空洞と接続し、かつ液体印刷材料の1つ以上の液滴を吐出するように構成されている、ノズルオリフィスと、を備える、エジェクタを備え、
前記エジェクタが、
三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するための1つ以上の液滴であって、前記プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向される、液滴を含む、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成するように構成されており、
前記プリフォームのいかなる部分も前記プリントベッドに接触しない、印刷システム。
【請求項20】
前記印刷材料が、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の印刷システム。
【請求項21】
前記印刷材料が、アルミニウムを含む、請求項20に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、ドロップオンデマンド(drop-on-demand、DOD)印刷における液体エジェクタに関し、より具体的には、DODプリンタ内で使用するための印刷オーバーハング及び他の支持されていない構造のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(three-dimensional、3D)プリンタは、通常、層上に材料層を連続的に堆積させることによって、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)モデルから3D物体を構築(例えば、印刷)する。ドロップオンデマンド(DOD)プリンタ、例えば、金属又は金属合金を印刷するものは、発射パルスが印加されたときに、液体アルミニウム合金の小さな液滴を吐出する。この技術又は様々な印刷材料を使用する他の技術を使用して、互いに結合して連続部品を形成する一連の液滴を吐出することによって、3D部品を生成することができる。例えば、第1の層が基材上に堆積され得、次いで、第2の層が第1の層上に堆積され得る。3Dプリンタの1つの特定のタイプは、結合して層上に液体金属層を噴射して3D金属物体を形成するのに好適な磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタである。磁気流体力学とは、導電性流体の磁気的特性及び挙動の研究を指す。
【0003】
更に、3D印刷技術は、機械加工、鋳造、又は射出成形など従来の方法を使用して別様に作製することができなかった複雑な3D設計の製造を可能にすることが周知である。この能力は、全ての3D印刷プロセスが共有する共通の特徴を通して可能にされ、これは、印刷方向に沿って所与の幾何学的形状を複数の二次元(two-dimensional、2D)層に分割し、一度に1つの層を印刷することである。この手法では、窪んだ幾何学的形状、中空特徴、空間制約又は到達可能性のために従来のツールでは機械加工することができない微細特徴などの複雑な特徴が複数の層に分割され、物体全体がこのようにして完成するまで、かなり単純な2D層が重ねて印刷される。この単純な手法にもかかわらず、各3D印刷プロセスは、その動作原理又は構成のために、取り組むべきそれ自体の課題を有する。そのような共通の課題の1つは、オーバーハングの形態で現れる。オーバーハングは、下にある支持構造によって支持されていない3D印刷部品の支持されていない特徴である。層ごとの印刷手法は、部品内の傾斜の1つ以上の下側を生成することができ、各後続の層は、先行する層をわずかに超えて突出しなければならない。溶融印刷材料は、固化前に依然として流動可能な液体状態にあるので、重力及び他の要因、例えば、オーバーハングの角度及び傾斜は、垂下り若しくは弛み、カール、又は所望の形状の印刷の完全な禁止をもたらす可能性がある。
【0004】
したがって、ドロップオンデマンド又は3Dプリンタにおいてオーバーハング及び他の支持されていない構造を印刷する方法及び装置は、3D印刷部品において多種多様な特徴を生成し、支持されていない構造的特徴に関する問題を回避するために必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0006】
考察された特徴、機能、及び利点は、様々な実装形態において独立して達成され得るか、又は更に他の実装形態において組み合わされ得、その更なる詳細は、以下の説明を参照して理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を例解し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。図は、以下のとおりである。
【0008】
【
図1】本開示による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一の液体金属エジェクタジェットの概略断面図を示す。
【
図2】本開示による、三次元印刷部品のいくつかの幾何学的形状の側断面図を示す。
【
図3】本開示による、三次元印刷部品のいくつかの層状幾何学的形状の側断面図を示す。
【
図4】本開示による、三次元印刷部品の層状幾何学的形状の側断面図を示す。
【
図5】本開示による、1つ以上の三次元印刷部品の「T」字形部分のためのいくつかの長方形プリフォームの側断面図を示す。
【
図6A】本開示による、ピラーを含む垂直に印刷されたプリフォームを有する長方形の三次元印刷形状の斜視図である。
【
図6B】本開示による、垂直に印刷されたプリフォームのいくつかのピラーを詳細に示す、
図6Aの拡大部分である。
【
図7A】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図7B】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図7C】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図7D】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図8A】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のための結合された中空幾何学的形状を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図8B】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のための結合された中空幾何学的形状を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図8C】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のための結合された中空幾何学的形状を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図9A】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図9B】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図9C】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図10A】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図10B】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図10C】本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。
【
図11】本開示による、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を例解するフロー図である。
【0009】
図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、本教示の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本教示の例示的な実施例を詳細に参照し、この実施例は、添付図面に例解される。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0011】
本開示の実施例は、窪んだ幾何学的形状、中空特徴、空間制約又は到達可能性などのために従来のツールでは機械加工することができない微細特徴などの複雑な特徴の印刷を可能にする印刷手法を提供する。これらの特徴は、複数の層の間で分割される構造及び特徴を印刷することによって、本開示の方法及びシステムを使用して印刷され得、物体全体が完成するまで、かなり単純な2D層が重ねて印刷され得る。
【0012】
特定の液体金属印刷プロセスは、そのアルミニウム又は他の金属製部品を形成するために金属粉末床を利用せず、したがって、本明細書に説明されるような極端なオーバーハングを印刷することは、支持構造上に架橋することによってのみ可能である。現在、支持構造層は、アルミニウム又は他の適用可能な印刷材料から構成されている、微細に離間された延在する固体支持体から作製される。部品の印刷が完了すると、これらの支持構造は除去されなければならず、これはしばしば、固化前に支持構造の微細な間隙の間に沈む溶融金属又は溶融印刷材料に起因して粗いオーバーハング側面を残す可能性があり、いくつかの残留支持構造は、支持体除去後に部品に付着したままである可能性がある。これは、より良好な表面仕上げを提供するために、印刷後の1つ以上の二次動作を含む。
【0013】
本開示は、オーバーハング領域の2D幾何学的形状に似た薄い垂直アルミニウムプリフォームを印刷することを提案し、これは、最後に印刷された水平層に対して、面一に、又は部品幾何学的形状によって必要とされる角度で平坦化され得る。この平坦化又は曲げ動作は、印刷動作の一時停止中に、又は印刷後の後の時間に実行することができる。粉末床プロセスでは、これらの追加の層を破壊することなく、上に存在する粉末の全ての層を有する前の層を伴う形成するステップに戻ることが困難であるので、そのような曲げ又は修正動作は可能ではない。残りの層は、印刷ジョブを完了するために、これらの曲げられた又は平坦化されたプリフォームの上に印刷することができる。本開示の一実施例は、3D文字「T」の印刷を伴い、薄いプリフォームは、「T」のステムの両側の2つの長方形のオーバーハング領域を平坦化した後に成形される。これらのプリフォームは、最初に垂直に印刷され、後で平坦化されて、その結果、文字の水平部分をこれらの上に印刷することができる。
【0014】
図1は、本開示による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一の液体金属エジェクタジェットの概略断面図を示す。
図1は、あるタイプのドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(3D)プリンタ100の一部分を示す。3Dプリンタ又は液体エジェクタジェットシステム100は、下部ブロックとも称される、外部エジェクタハウジング102内にエジェクタ(本体又はポンプチャンバ、若しくは「ワンピース」ポンプとも呼ばれる)104を含み得る。エジェクタ104は、132(内腔又は内部空洞とも称内容積部される)を画定し得る。印刷材料126は、エジェクタ104の内容積部132内に導入され得る。印刷材料126は、金属、ポリマーなどであり得るか、又はこれらを含み得る。本開示の実施例で使用される印刷材料の性質及び特性に応じて、本明細書で説明されるMHDとは別の代替噴射技術が必要となる場合があることに留意されたい。例えば、印刷材料126は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり得るか、又はそれを含み得、印刷材料供給部116又は印刷材料ワイヤフィード118のスプール、この場合はアルミニウムワイヤを介して導入され得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104のポンプキャップ又は上部カバー部分108内に第1の入口120を更に含み、それによって、印刷材料ワイヤフィード118がエジェクタ104の内容積部132内に導入される。エジェクタ104は、ノズル110、上部ポンプ122エリア、及び下部ポンプ124エリアを更に画定している。1つ以上の加熱要素112が、ポンプチャンバ104の周りに分配されて、高温度源を提供し、プリンタ動作中に印刷材料126を溶融状態に維持する。加熱要素112は、印刷材料ワイヤフィード118を加熱又は溶融させるように構成されており、それによって、エジェクタ104の内容積部132内で印刷材料ワイヤフィード118を固体状態から液体状態(例えば、印刷材料126)に変える。三次元3Dプリンタ100及びエジェクタ104は、ノズル110の近くに位置する空気又はアルゴンシールド114、並びにノズル及び/又はエジェクタ104の温度調節を更に可能にするための水冷却源130を更に含み得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104内部の印刷材料126の表面に向けて検出器ビーム136を方向付け、反射検出器ビーム136をレベルセンサ134の内部で読み取ることによって、エジェクタ104の内容積部132内の溶融印刷材料126のレベルを検出するように構成されたレベルセンサ134システムを更に含む。
【0015】
3Dプリンタ100はまた、本明細書に図示されていない電源、及び少なくとも部分的にエジェクタ104の周囲に巻き付けられているポンプヒータに封入された1つ以上の金属コイル106を含み得る。電源は、コイル106に結合され、コイル106に電流を提供するように構成され得る。コイル106によって引き起こされた増加する磁場が、エジェクタ104内に起電力を生じさせ得、引いては印刷材料126内に誘導電流を生じさせ得る。印刷材料126内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、半径方向内向きの力を印刷材料126に生じさせ得る。ローレンツ力は、エジェクタ104のノズル110の入口に圧力を生じさせる。この圧力は、印刷材料126を1つ以上の液滴128の形態でノズル110を通して噴射させる。
【0016】
3Dプリンタ100はまた、ノズル110に近接して(例えば、下方に)位置付けられた、本明細書に図示されていない基材を含み得る。吐出された液滴128は、基材上に着地し、固化して3D物体を生成し得る。3Dプリンタ100はまた、液滴128がノズル110を通して噴射されている間、又は液滴128がノズル110を通して噴射されている間の一時停止中に基材を移動させて、3D物体に所望の形状及びサイズを付与するように構成された基材制御モータを含み得る。基材制御モータは、基材を1つの次元(例えば、X軸に沿って)、2つの次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は3つの次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動するように構成され得る。別の実施例では、エジェクタ104及び/又はノズル110もまた、若しくはその代わりに、1つの次元、2つの次元、又は3つの次元で移動するように構成され得る。換言すれば、静止しているノズル110の下方で基材が移動され得るか、又は、静止している基材の上方でノズル110が移動され得る。更に別の実施例では、4軸又は5軸の位置制御が存在するように、ノズル110と基材との間に1つ又は2つの更なる軸を中心とした相対的な回転が存在し得る。特定の実施例では、ノズル110及び基材の両方が移動し得る。例えば、基材がX方向及びY方向に移動し、ノズル110がY方向に上下に移動し得る。
【0017】
3Dプリンタ100はまた、ガス源138であり得るか、又はこれを含み得る1つ以上のガス制御デバイスを含み得る。ガス源138は、ガスを導入するように構成され得る。ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び/又はキセノンなどの不活性ガスであり得るか、又はこれらを含み得る。別の実施例では、ガスは、窒素であり得るか、又は窒素を含み得る。ガスは、約10%未満の酸素、約5%未満の酸素、又は約1%未満の酸素を含み得る。少なくとも1つの実施例では、ガスは、ガス源138から三次元3Dプリンタ100に導入される1つ以上のガスの流れ又は流量を調整するように構成されたガス調整器140を含むガスライン142を介して導入され得る。例えば、ガスは、ノズル110及び/又は加熱要素112の上方の場所に導入され得る。これは、ガス(例えば、アルゴン)が、ノズル110、液滴128、3D物体、及び/又は基材の周囲にシュラウド/シースを形成して、空気シールド114の形態で酸化物(例えば、酸化アルミニウム)の形成を低減/防止することを可能にし得る。ガスの温度を制御することはまた、又はその代わりに、酸化物形成が起こる速度を制御する(例えば、最小化する)ことに役立ち得る。
【0018】
液体エジェクタジェットシステム100はまた、内容積部(大気とも称される)を画定しているエンクロージャ102を含み得る。ある実施例では、エンクロージャ102は、密封され得る。別の実施例では、エンクロージャ102は、密封されていなくてもよい。ある実施例では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102内に位置付けられ得る。別の実施例では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102の外側に位置付けられ得る。
図1に示す液体エジェクタジェットシステム100は、典型的な液体エジェクタジェットシステム100を表しているが、様々な特徴の位置及び特定の構成並びに/又は物理的関係は、代替の設計例において変化し得る。
【0019】
本明細書に説明されるような印刷システムは、代替的に、プラスチック又は非金属である他の延性材料などの他の印刷材料を含み得る。印刷材料は、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含み得る。印刷材料の非限定的な例としては、アルミニウムが挙げられ得る。本開示の印刷システムの例示的な実施例は、内部空洞を画定する構造、及び内部空洞と接続し、かつ液体印刷材料の1つ以上の液滴を吐出するように構成されている、ノズルオリフィスを含む、印刷材料を噴射するためのエジェクタを含み得、エジェクタは、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成するように構成されている。オーバーハングは、三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するように吐出された1つ以上の液滴を含み、プリフォームは、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向され、プリフォームのいかなる部分もプリントベッドに接触しない。
【0020】
図2は、本開示による、三次元印刷部品のいくつかの幾何学的形状の側断面図を示す。そのような3D印刷システムの特徴的な課題は、オーバーハングの形態で現れる。オーバーハングは概して、特徴と水平との間の角度が90°未満である場合に形成される。
図2に示す実施例では、第1の幾何学的形状200は、水平印刷面に対して90°の角度を有する。水平に対して第2の幾何学的形状202の右側によって形成される角度α206は90未満であるので、オーバーハングしている右側を生成する。3D印刷の観点から、第1の幾何学的形状200の層とは異なり、幾何学的形状202の層は、
図3に示すような所望の幾何学的形状を形成するために、それらの下にある2Dプロファイルからステップアウトする。
図3は、本開示による、三次元印刷部品のいくつかの層状幾何学的形状の側断面図を示す。第1の層300A、第2の層300B、第3の層300C、及び第4の層300Dを有する第1の幾何学的形状300の層状表現が示されており、これらの層は、方向306に液滴の連続層を追加することによって、連続的に構築又は層状化される。層300A、300B、300C、300Dは、水平基材304に垂直な方向36に構築される。第1の層302A、第2の層302B、第3の層302C、及び第4の層302Dを有する第2の幾何学的形状302の層状表現も示されており、これらの層は、連続層302A、302B、302C、302Dの各々のシフトによって示されるように、必ずしも水平基材304に垂直ではない方向306に液滴の連続層を追加することによって、連続的に構築又は層状化される。これは、層302Bのための第1のオーバーハング部分308A、層302Cのための第2のオーバーハング部分308B、及び層302Dのための第3のオーバーハング部分308Cをもたらす。特徴の角度が浅くなるほど、層302A、302B、302C、302Dはより遠くにステップアウトするか、又はオーバーハングと基材304との間の支持なしに空間に印刷される。各3D印刷プロセスは、層302A、302B、302C、302Dがどれだけ離れてステップアウトし得るかに対してそれ自体の限界を有するので、幾何学的形状を正常に印刷することは、オーバーハング308A、308B、308Cの厳しさに依存する。
【0021】
図4は、本開示による、三次元印刷部品の層状幾何学的形状の側断面図を示す。3D印刷部品におけるオーバーハング特徴のより極端な形態のうちのいくつかは、基材402のプリントベッドに平行なオーバーハングである。例えば、
図4において、文字「T」の3Dモデル400は、3D印刷プロセスによって、6つの層400A、400B、400C、400D、400E、400Fにおいて、示される3Dモデル400の配向で印刷され得る。第5の層400Eの場合、第5の層400Eの延在部分は、下にある第4の層400Dに対して90度の角度で急にステップアウトし、文字の水平成分を形成し始める。第4の層400Dによって支持されていない第5の層400Eの下側又はオーバーハング406部分は、プリントベッド又は基材402に平行なオーバーハング406又はオーバーハングエリアを形成する。本開示の方法及びシステムは、部品内の傾斜の1つ以上の下側を生成することができる印刷手法を含み、後続の各層は、垂下り若しくは弛み、カール、又は設計に従って所望の形状を印刷することの禁止をもたらすことなく、先行する層をわずかに超えて突出しなければならない。
【0022】
図5は、本開示による、1つ以上の三次元印刷部品の「T」字形部分のためのいくつかの長方形プリフォームの側断面図を示す。三次元印刷部品500が示されており、三次元印刷部品504の一部分、又はプリントベッド若しくは基材502上に印刷された「T」字形状のステムを含む。支持されていない空間内に印刷することによってオーバーハング部分を延在させるのではなく、オーバーハング領域の2D幾何学的形状に似たいくつかの薄い垂直プリフォーム506が、三次元印刷部品504の上部分の上縁部又は最上層上に垂直に印刷される。垂直プリフォーム506が印刷されると、それらは、プリントベッド又は基材502に向かう方向508に曲げられ、したがって、いつでも最後に印刷された水平層と面一に平坦化されることができる。例えば、印刷動作は、垂直プリフォーム506を折り畳む若しくは平坦化するために一時停止若しくは停止され得るか、又は、垂直プリフォーム506は、印刷動作が完了した後、後で平坦化され得る。このタイプの方法又は手順は、粉末の全ての層が依然として上に存在する状態で前の層に帰る又は戻ることが困難であるため、粉末床印刷プロセスでは不可能である。この段階で、三次元印刷部品500は、印刷材料が存在しない中空領域、又は三次元印刷部品504の部分の1つ以上の外壁の内側に印刷材料が部分的又は完全に充填された囲まれた固体部分のいずれかを含むことができる中央部分510を含み得る。プリフォーム506が指定された角度に平坦化されると、水平部分512を含む印刷材料の残りの層をこれらのプリフォーム506の上に印刷して、印刷ジョブ又は三次元部品500を完成させることができる。3D文字「T」である
図5に示される実施例では、薄いプリフォーム506は、「T」のステムの両側の2つの長方形のオーバーハング領域の後に成形されなければならない。これらのプリフォーム506は、最初に垂直に印刷され、後で平坦化されて、三次元印刷部品500の水平部分512、又は文字「T」が、これらの平坦化されたプリフォーム506の上に印刷され得る。
【0023】
図6Aは、本開示による、ピラーを含む垂直に印刷されたプリフォームを有する長方形の三次元印刷形状の斜視図である。
図6Bは、本開示による、垂直に印刷されたプリフォームのいくつかのピラーを詳細に示す、
図6Aの拡大部分である。明細書に説明されるような三次元印刷部品600を印刷する方法は、ドロップオンデマンドプロセスを使用して三次元印刷部品604の一部分を含む構造を印刷することを含み、コマンドに応じて、個々の液滴を発射することが可能である。プリントベッド及びプリントヘッドの精密な動作制御とともに、プリンタは、単一液滴幅のみである壁及びピラーなどの微細特徴を生成することができる。三次元印刷部品604の部分が、オーバーハングセクションが始まる構築段階に達すると、三次元印刷部品604の部分の上部分又は縁部に上縁部608が印刷される。次に、複数のピラー610が上縁部608上に印刷される。これらのピラーは、0.1mm~約1.0mmの第1の寸法又は直径、0.5mm~約5.0mm、又は約1.0mm~約10.0mmの高さを有することができ、約0.1mm~約1.0mmの距離だけ互いに離間することができる。本開示の目的のために、並びに本明細書に説明される方法及び構造に関して、直径は、ピラーの1つ以上の横方向の幅を伝えることを意味し、ピラーは、円筒形状、長方形形状、三角形形状、八角形形状、又はそれらの組み合わせを有し得る。これらのピラー又は複数のピラーは、プリフォームに寸法安定性を提供し、同時に延性も保持する断続的な構造を提供する。次に、薄い壁が微細に離間されたピラー610の列上に印刷されて、垂直プリフォーム606を形成し、これは、
図6に示されるように、薄いピラー610によって形成されるヒンジの周りで回転させるか、又は曲げることができる。ピラーを有するヒンジエリアが
図6及び本明細書の他の図に示されているが、プリフォーム606セクションと三次元印刷部品604の残りの剛性部分との間の境界のための適切なヒンジは、プリフォーム606セクションと三次元印刷部品604の残りの剛性部分とを接続する印刷材料の薄いかつ/又は可撓性のセクションを含み、その結果、ヒンジは、壊れることなく曲げられ、折り畳まれ、又は操作され得る。これらのピラーは、プリフォーム606セクションと三次元印刷部品604の残りの剛性部分との間のセクションにおける穿孔とも称され得る。他の実施例では、周囲の壁又はプリフォームよりも薄いセクションの印刷が、構造又は方法に含まれ得る。別の例示的な実施例では、プリフォーム606セクションと三次元印刷部品604の残りの剛性部分との間にヒンジ又はセクションを形成するために、1つ以上の小さな内部又は角度付き内部オーバーハングセクションを印刷することができる。垂直プリフォーム606のヒンジセクション、ピラー、又は初期セクションを形成する材料は、延性と寸法安定性とのバランスを維持することができるように、印刷材料と同じ材料であり得、鋼又はプラスチックなどの異なる材料であり得る。例示的な材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリマー、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施例では、三次元印刷部品600のヒンジ部分は、バルクで、又はプリフォームの曲げ可能領域のヒンジ又はピラー部分のみを加熱するレーザなどの標的加熱方法によって加熱され得る。ヒンジを構成することができる薄い延性材料は、印刷部品の様々な部分の延長部として、可塑的に変形することができ、横方向の力が加えられたときに、平坦化された位置、曲げられた位置、又は設定された位置に留まることができる。他の実施例では、ヒンジは、ピラーを含まない場合があるが、延性と寸法安定性とのバランスが保たれることを条件として、ヒンジの構造を形成する穿孔又はピラーを伴って、又は伴わずに、リビングヒンジが形成されるような薄い部分を含むことができる。本開示のヒンジは、ヒンジの構造の周りでいずれかの方向に曲げることによって、-90度から90度の位置まで曲げ可能であり得る。印刷の結果又は印刷後の曲げの結果のいずれかとして、プリフォーム構造の破損又は損傷なしに、広範囲のプリフォーム角度を提供することができる。
【0024】
図7A~
図7Dは、本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を示す一連の概略図である。本発明の方法及び印刷システムを利用する例示的な実施例では、「T」字形の三次元印刷部品700が上で言及される方法で印刷された。まず、三次元印刷部品704のステム部分を印刷した後、小凹部708内に2列のピラー又は複数のピラー710を印刷するか、又は三次元印刷部品704のステム部分の上縁部のステップを三次元印刷部品704のステム部分の頂部の両側に生成した。この複数のピラー710は、本明細書で先で説明されるように離間されている。これらのピラー710の上に、長方形の垂直プリフォーム706が、
図7Aに示されるように垂直方向に印刷された。これらの垂直プリフォーム706は、
図7Bに示されるように、後に手動で平坦化された。代替の実施例では、印刷システム内のプリントヘッド又は他の要素に取り付けることができ、gコードを介して動作するものなどの自動レベリング機構を実装して、垂直プリフォーム706を正確に平坦化することができる。次に、プリフォーム上に1つ以上の液滴を吐出することにより、プリフォーム上に部品の追加の固体部分が形成されるか、又は
図7Cに示すように、「T」字形の三次元印刷部品700の水平部分712が、平坦化されたプリフォーム706の上に印刷された。
図7Dにおいて、「T」字形の三次元印刷部品700のプリフォーム706によって生成されたオーバーハング特徴の下側の表面仕上げは、プリフォーム706及び「T」字形の三次元印刷部品700の残りの部分と同じであることに留意されたい。特定の実施例では、プリフォームは、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向され、
図7A~
図7Dに示すプリフォーム706は、プリントベッド表面に対して第1の次元において90度の角度で配向される。プリフォーム706を曲げることは、特定の実施例では、プリントベッドに対して90度未満の角度を形成することができる。いずれの実施例においても、プリフォーム706のいかなる部分もプリントベッドに接触せず、部品のオーバーハングとプリントベッド又は基材との間に支持構造を含まないオーバーハング又は延在部分を提供する。特定の実施例では、プリフォーム706は、プリントベッドに対して45度で印刷することができ、プリフォームは、水平に対して90度から約-45度まで曲げることができる。いくつかの実施例では、この曲げ角度は、凹状特徴の外縁部上で曲がるヒンジピラーのうちの1つ以上の存在によって制約され得る。
【0025】
本開示の追加の実施例は、プリフォームが中空空洞上で曲げられるか又は平坦化されて、架橋層を形成するように設計され、その上に追加の層を印刷して、中空の境界幾何学的形状を形成することができる場合のような、幾何学的形状の印刷を含む。
図8A~
図8Cは、本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品のための結合された中空幾何学的形状を形成する方法を示す一連の概略図である。
図8A~
図8Cは、本開示に従って印刷された中空直方体を示す。
図8Aは、この実施例では、中空直方体である三次元印刷部品800を示す。三次元印刷部品804の初期中空部分が印刷されており、これは中空である中央部分802を含む。垂直プリフォーム806は、三次元印刷部品804の上部分の上部凹部808又は縁部に形成された複数のピラー810上に印刷される。
図8Bに示すように、中央部分802は、垂直プリフォーム806を三次元印刷部品804の上部分に平坦化することによって覆われる。追加の層が、三次元印刷部品800の上面に印刷され得るか、又は三次元印刷部品800は、
図8Cに示されるように、三次元印刷部品800の不変部分、中空直方体になるように、平坦化された垂直プリフォーム806を溶接するためにアニール又は加熱され得る。プリフォームは、部品の残りの部分と実質的に同一の表面仕上げを有することが予想されるので、完成部品から除去される必要はないことに留意されたい。
【0026】
図9A~
図9Cは、本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。同様のプロセスが、背の高い直方体を印刷する間に適用され、主な違いは、プリフォーム906が、
図9A~
図9Cに示されるように、はるかに後で印刷されることである。奥部の固体層から、又は場合によってはプリントベッドから印刷される通常のピラーベースの支持体とは異なり、プリフォームは、部品の高さに関係なく、架橋層の直前に印刷することができると推測することができる。
図9Aは、三次元印刷部品900、この実施例では、背の高い中空直方体を示す。三次元印刷部品904の初期中空部分が印刷されており、これは中空である中央部分902を含む。垂直プリフォーム906は、三次元印刷部品904の上部分の上部凹部908又は縁部に形成された複数のピラー910上に印刷される。
図9Bに示されるように、中央部分902の開口部は、垂直プリフォーム906を三次元印刷部品904の上部分に平坦化することによって覆われる。追加の層が、三次元印刷部品900の上面に印刷され得るか、又は三次元印刷部品900は、
図9Cに示されるように、三次元印刷部品900の不変部分、背の高い中空直方体になるように、平坦化された垂直プリフォーム906を溶接するためにアニール又は加熱され得る。
図8A~
図8C及び
図9A~
図9Cに示す実施例は、追加の中空境界幾何学的形状を含むように拡張又は理解され得、必ずしも中空立方体に限定されない。例えば、オーバーハングによって形成される角度が60度である
図10~
図10Cに関して説明した実施例のように、プリフォーム自体のオーバーハング特徴の角度が水平から45度にわたって維持される場合、様々な幾何学的形状を印刷することができる。
【0027】
図10A~
図10Cは、本開示による、印刷プリフォームを使用して三次元印刷部品を形成する方法を示す一連の概略図である。プリフォーム1006自体は、中空特徴又は他の特徴の形状に応じてオーバーハング領域を有することができ、オーバーハング領域は架橋しなければならず、部品の設計は、本開示の印刷方法及びシステムによって可能にすることができる潜在的な設計のそのような詳細を理解すべきであることに留意されたい。
図10A~
図10Cに示す例示的な物体例では、印刷されるプリフォームは正六角形であり、六角形によって形成される角度60°は、本開示の印刷方法が快適に収容することができる自然なオーバーハング幾何学的形状である。
図10A~
図10Cに示す実施例のような特定の実施例では、プリフォーム1006は、第2の次元においてプリントベッドに対して60以上の角度で配向され、第2の次元は、第1の次元に対して垂直であり、この実施例では六角形プリフォームの下部分を指す。
図10Aは、三次元印刷部品1000、この実施例では、最初に第1の垂直方向に印刷される六角形プリフォーム1006を有する背の高い中空直方体を示す。三次元印刷部品1004の初期中空部分が印刷されており、これは中空である中央部分1012を含む。垂直プリフォーム1006は、三次元印刷部品1004の上部分の上部凹部1008又は縁部に形成された複数のピラー1010上に印刷される。
図10Bに示すように、上部凹部1008上に形成された複数のピラー1010の詳細が示されている。
図10Cは、本明細書に示される垂直プリフォーム1006の初期印刷方向に垂直な第2の次元において60°の角度を示す、三次元印刷部品1000の背面図である。特定の実施例では、部品の他の部分がそのような構造に干渉しない限り、水平に対して浅い角度のオーバーハングを形成することができる。印刷部品全体の形状又は部分を完成させるために、中央部分1002の開口部は、垂直プリフォーム1006を三次元印刷部品1004の上部分に平坦化することによって覆われ得る。先の実施例で述べたように、本明細書では図示されていないが、追加の層が、三次元印刷部品1000の上面に印刷され得るか、又は三次元印刷部品1000は、
図10Cに示されるように、三次元印刷部品1000の不変部分、六角形プリフォーム又は蓋を有する中空直方体になるように、平坦化された垂直プリフォーム1006を溶接するためにアニール又は加熱され得る。
【0028】
図11は、本開示による、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を例解するフロー図である。
図11は、三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法を例解しており、この方法は、三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するために印刷材料の1つ以上の液滴を吐出するステップであって、プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向される、吐出するステップ(1102)で始まり、続いて、プリントベッドに対して90度未満の角度を形成するために、プリフォームを曲げ(1104)、プリフォームのいかなる部分もプリントベッドに接触しない。
【0029】
三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法は、プリフォーム上に部品の追加の固体部分を形成するために、プリフォーム上に1つ以上の液滴を吐出することを含むことができる。更に、三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法は、プリフォームをプリントベッドに対して0度の角度を形成するように曲げることを含むことができる。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法は、三次元印刷部品内に結合された中空の幾何学的形状を形成するために曲げることを含むことができる。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法の特定の実施例では、プリフォームは、第2の次元においてプリントベッドに対して60以上の角度で配向され、第2の次元は、第1の次元に対して垂直である。プリフォームは、三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法の特定の実施例において延性ヒンジを含むことができ、いくつかの実施例において、曲げの前に延性ヒンジを加熱することが行われ得る。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法は、延性ヒンジが1つ以上のピラーを備え、1つ以上のピラーの各々が約0.1mm~約1.0mmの直径を有するか、又は1つ以上のピラーの各々が0.5mm~約10.0mmの高さを有する場合を含み得る。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法の特定の実施例では、1つ以上のピラーの各々は互いに離間しており、特定の実施例では、1つ以上のピラーは約0.1mm~約1.0mm離間している。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法のいくつかの実施例において、延性ヒンジの少なくとも1つの部分は、延性ヒンジの少なくとも1つの他の部分と比較して、少なくとも1つの次元においてより狭い。三次元印刷部品1100のためのオーバーハングを形成する方法のための印刷材料は、金属、金属合金、又はそれらの組み合わせを含むことができる。印刷材料は、いくつかの実施例では、アルミニウム、銅、スズ、それらの組み合わせ、又はそれらの合金を含むことができる。
【0030】
本開示の実施例は、三次元印刷部品のためのオーバーハングを形成する方法を更に含み、この方法は、三次元印刷部品の最上層上にプリフォームを生成するために印刷材料の1つ以上の液滴を吐出することであって、プリフォームが、第1の次元においてプリントベッドに対して60度以上の角度で配向され、プリフォームが、1つ以上のピラーを備える延性ヒンジを備える、吐出することと、プリントベッドに対して90度未満の角度を形成するために、プリフォームを曲げることと、を含み、プリフォームのいかなる部分もプリントベッドに接触しない。
【0031】
本開示の利点は、プリフォームを部品と同じ材料で作製ことができるので、別個の支持分配システム又は支持構造を必要とせずに3D部品を印刷することを可能にすることを含む。プリフォームが最終的な幾何学的形状の一部になるので、例えば、プリフォームの上部に印刷された特徴の厚さを補償する適切な設計パラメータを考慮すると、二次的な材料除去は必要ない。支持構造が必要とされないので、支持体が中空特徴又は入り組んだ空隙内に捕捉されるリスクが低減される。本明細書で説明されるシステム及び方法は、架橋するための支持体としての追加の長いピラーの印刷を回避するので、高さに基づく振動又は熱問題の低減もある。更に、プリフォームは、架橋層又は水平に対して0°のオーバーハングの直前に印刷されるだけであるので、支持のために利用される材料はかなり少ない。
【0032】
本教示は、1つ以上の実装態様に関して例解されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例解された実施例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、そのような行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に説明されているものとは別の他の行為若しくは事象と同時に行われ得る。また、全てのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法論を実装するために必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に示される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は段階で実行され得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上(on)」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上(over)」は、材料が、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される場合にいかなる指向性も暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって保持されるコーティング材料を説明する。「約」という用語は、変更が、例解された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「結合する」、「結合される」、「接続する」、「接続」、「接続される」、「と接続して」、及び「接続している」という用語は、「と直接接続する」又は「1つ以上の中間要素若しくは部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示的な」又は「例解的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書の検討及び本明細書における本開示の実施から、当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、単なる例示としてみなされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【外国語明細書】