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特開2023-184459ウレア樹脂組成物、ポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体
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  • 特開-ウレア樹脂組成物、ポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184459
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ウレア樹脂組成物、ポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20231221BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20231221BHJP
   C08G 18/09 20060101ALI20231221BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
C08G18/32 025
C08G18/22
C08G18/09 020
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087192
(22)【出願日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2022097435
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉隆
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034CA14
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC08
4J034CC10
4J034CC22
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD04
4J034CD08
4J034CD13
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DF01
4J034DF11
4J034DF12
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF27
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG08
4J034DG09
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HA09
4J034HA11
4J034HA13
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB12
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KC02
4J034KC07
4J034KC08
4J034KC17
4J034KC18
4J034KC23
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD07
4J034KD08
4J034KD11
4J034KD12
4J034KD21
4J034KE02
4J034KE03
4J034MA03
4J034MA11
4J034MA12
4J034MA14
4J034MA16
4J034MA22
4J034NA07
4J034NA08
4J034QB01
4J034QB10
4J034QB14
4J034QB17
4J034QC01
4J034RA08
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】 例えば低温条件下で塗工した場合でも、優れた接着強度を有する新規なポリウレア発泡体を提供可能な技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 ポリウレア発泡体の一製造原料である組成物であって、ポリアミンと、カルボン酸金属塩と、ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と、を含有する組成物である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミンと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するポリアミン含有組成物。
【請求項2】
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、請求項1記載のポリアミン含有組成物。
【請求項3】
ポリアミンと、
樹脂化触媒と
を含有するポリアミン含有組成物であって、下記反応条件における、ポリイソシアネートと前記組成物とからポリウレアを得る際の反応時のピーク温度が40℃以上となるポリアミン含有組成物。
(反応条件)
前記組成物及び前記ポリイソシアネート(それぞれ5℃に冷却)をポリプロピレン製500mLディスポカップ(直径10cm)内で混合し、ハンドミキサーを使用して回転数3000rpmで10秒間攪拌する。攪拌後、熱電対を使用して系の温度を計測する。ポリウレアが得られるまでの最も高い温度をピーク温度とする。
【請求項4】
第1液として、請求項1又は2に記載されたポリアミン含有組成物か、或いは、第1液として、三量化触媒を更に含む、請求項3記載のポリアミン含有組成物と、
第2液として、ポリイソシアネートを含有する組成物と
を含む2液型ウレア樹脂組成物。
【請求項5】
ポリイソシアネートと、
ポリアミンと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するウレア樹脂組成物からポリウレア発泡体を製造する方法。
【請求項6】
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するポリウレア発泡体。
【請求項8】
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、請求項7記載のポリウレア発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレア樹脂組成物(例えば、ポリウレア発泡体製造用組成物)、ポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウレタン発泡体の代替素材として、ポリウレア発泡体が提案されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6876185号公報
【特許文献2】特許第6925554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば低温条件下で塗工した場合でも、優れた接着強度を有する新規なポリウレア発泡体を提供可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、
ポリアミンと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するポリアミン含有組成物である。尚、ここでの「ポリアミン含有組成物」とは、ポリウレアを調製するために必要な一原料組成物を意味する。
また、本発明の第2の態様は、
ポリアミンと、
樹脂化触媒と
を含有するポリアミン含有組成物であって、下記反応条件における、ポリイソシアネートと前記組成物とからポリウレアを得る際の反応時のピーク温度が40℃以上となるポリアミン含有組成物である。
(反応条件)
前記組成物及び前記ポリイソシアネート(それぞれ5℃に冷却)をポリプロピレン製500mLディスポカップ(直径10cm)内で混合し、ハンドミキサーを使用して回転数3000rpmで10秒間攪拌する。攪拌後、熱電対を使用して系の温度を計測する。ポリウレアが得られるまでの最も高い温度をピーク温度とする。
また、本発明の第3の態様は、
第1液として、前記第1の態様のポリアミン含有組成物か、或いは、第1液として、三量化触媒を更に含む、前記第2の態様のポリアミン含有組成物と、
第2液として、ポリイソシアネートを含有する組成物と
を含む2液型ウレア樹脂組成物である。
また、本発明の第4の態様は、
ポリイソシアネートと、
ポリアミンと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するウレア樹脂組成物からポリウレア発泡体を製造する方法である。
また、本発明の第5の態様は、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するポリウレア発泡体である。
【0006】
尚、上記課題は、以下の態様でも解決し得る。
本態様(A1)は、
ポリアミンと、
ポリイソシアネートと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有する組成物である。
本態様(A2)は、
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、前記態様(A1)の組成物である。
本態様(A3)は、
ポリアミンと、
ポリイソシアネートと、
樹脂化触媒と
を含有する組成物であって、下記反応条件における前記組成物からポリウレアを得る際の反応時のピーク温度が40℃以上となる組成物である。
(反応条件)
前記組成物を回転数3000rpmで10秒間攪拌した後、熱電対を使用して系の温度を計測する。ポリウレアが得られるまでの最も高い温度をピーク温度とする。
本態様(A4)は、
前記組成物が、
第1液として、前記ポリアミンと、前記カルボン酸金属塩と、前記ルイス塩基化合物、及び/又は、前記有機金属化合物と、を含有する組成物、或いは、第1液として、前記ポリアミンと、前記三量化触媒と、前記樹脂化触媒と、を含有する組成物と、
第2液として、前記ポリイソシアネートを含有する組成物と
を含む2液型である、前記態様(A1)~(A3)のいずれか一つの組成物である。
本態様(A5)は、
ポリイソシアネートと、
ポリアミンと、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有する組成物からポリウレア発泡体を製造する方法である。
本態様(A6)は、
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、前記態様(A5)の方法である。
本態様(A7)は、
カルボン酸金属塩と、
ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と
を含有するポリウレア発泡体である。
本態様(A8)は、
前記ルイス塩基化合物が、アミン化合物である、前記態様(A7)のポリウレア発泡体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る組成物によれば、ポリウレア発泡体の製造原料として用いた場合、例えば低温条件下で塗工した場合でも、優れた接着強度を有するポリウレア発泡体を提供できるという効果を奏する。加えて、本発明に係る組成物によれば、例えばソリッド状のポリウレアやポリウレア発泡体を製造する際、低温下にて高い反応性を有するという効果も奏する。更に、本発明に係る組成物によれば、発泡直後のフォームに対し、優れた材料強度(圧縮強度、脆性)を付与できるという効果も奏する。
【0008】
また、本発明に係るポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体によれば、例えば低温下でも優れた接着強度を有するポリウレア発泡体を提供できるという効果を奏する。更に、本発明に係るポリウレア発泡体の製造方法及びポリウレア発泡体によれば、発泡直後のフォームに対し、優れた材料強度(圧縮強度、脆性)を付与できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ポリイソシアネートとポリアミン含有組成物とからポリウレアを得る際の反応時のピーク温度の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一形態を説明する。尚、本発明は該形態に限定されるものではない。また、以下で説明する形態とは別形態として、以下で説明する形態における「カルボン酸金属塩」及び「ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物」をそれぞれ「三量化触媒」及び「樹脂化触媒(ウレア化触媒)」と読み替えたものも記載されているものとする。
【0011】
本形態に係る、ポリウレアを調製するための一原料であるポリアミン含有組成物は、ポリアミンと、カルボン酸金属塩と、ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と、を含有する。ここで、「ポリアミン含有組成物」とは、ポリウレア(ポリウレア発泡体やソリッド状のポリウレア)の一製造原料であることを意味する。実際にポリウレアを製造する際には、該ポリアミン含有組成物のみならず、ポリイソシアネートをも用いる。また、ポリウレア発泡体を製造する際には、好適には、発泡剤及び整泡剤を用いる。加えて、難燃性のポリウレア(例えば、ポリウレア発泡体)を製造する際には、好適には難燃剤を用いる。よって、以下では、難燃性のポリウレア発泡体にフォーカスし、ポリウレア発泡体の製造原料に係るウレア樹脂組成物(即ち、本形態に係るポリアミン含有組成物とポリイソシアネートと発泡剤と整泡剤と難燃剤とを含有する組成物であり、以下、「ポリウレア発泡体製造用組成物」という)について詳述する。
【0012】
1.ポリウレア発泡体製造用組成物(ウレア樹脂組成物)
本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物は、(A)ポリイソシアネートと、(B)ポリアミンと、(C)カルボン酸金属塩と、(D)ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と、を含み、好適には、(E)発泡剤と、(F)整泡剤と、(G)難燃剤と、を更に含む。ここで、(C)と(D)とを併用することで、低温条件下で塗工した場合でも、優れた接着強度を有するポリウレア発泡体を提供できる。詳細に述べると、樹脂化が優先的に進行し、反応熱が発生し易くなる。これにより、低沸点の発泡剤を気化させ樹脂を発泡させ易く、且つ、発泡体内部の温度を上昇させることができる。該温度上昇により、効率的に三量化を進行させることができる。また、木板や金属等の面材や躯体上で発泡させる場合、発泡体と面材の界面で樹脂化反応が進行することで低温でも十分な材料強度が発現し、面材や躯体との接着性が良好になる。加えて、発泡直後のフォームの脆性も抑えることができ、強固な発泡体を得ることができる。更に、本形態に係る組成物によれば、発泡直後のフォームに対し、優れた材料強度(圧縮強度、脆性)を付与することができる。
【0013】
ここで、本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物は、一剤型(一液型)でも二剤型(二液型)でもよく、好適には二剤型(システム液)である。二剤型は、ポリアミンとポリイソシアネートとが別々に含まれる組成物の組み合わせである。そして、これら(ポリアミンとポリイソシアネート)以外の成分は、好適には、ポリアミン側の組成物に含まれる。二剤型の場合、具体的には、好適には、第1液が、(B)ポリアミンと、(C)カルボン酸金属塩と、(D)ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と、(E)発泡剤と、(F)整泡剤と、(G)難燃剤と、を含有する組成物であり、第2液が、(A)ポリイソシアネートを含有するポリアミン含有組成物である。但し、(A)ポリイソシアネートと反応しない難燃剤、整泡剤、発泡剤、分散剤及び/又はその他添加剤は、(A)ポリイソシアネート側の組成物に混合してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0014】
1-1.成分/組成物
1-1-1.(A)ポリイソシアネート
本形態に係るポリイソシアネートは、イソシアナト基を複数有する限り、特に限定されない。例えば、ポリイソシアネートとしては、モノマー型ポリイソシアネートとポリマー型ポリイソシアネートとを挙げることができる。ここで、モノマー型ポリイソシアネートとは、モノマー構造の末端に複数のイソシアナト基が存在する化合物である。ポリマー型ポリイソシアネートとは、ポリマー構造の末端に複数のイソシアナト基が存在する化合物である。ポリイソシアネートは、一種又は複数種を組み合わせて用いてもよい。以下、モノマー型ポリイソシアネート及びポリマー型ポリイソシアネートを詳述する。
【0015】
<モノマー型ポリイソシアネート>
モノマー型ポリイソシアネートは、例えば、2官能のポリイソシアネートとして、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族系のもの;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式のもの;ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等のアルキレン系のものを挙げることができる。3官能以上のポリイソシアネートとして、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を挙げることができる。また、例えば、これらの変性体や誘導体であってもよい。これらの変性体や誘導体としては、例えば、ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物、ジイソシアネートのアダクト化合物、ジイソシアネートのビュレット化合物、ジイソシアネートのアロファネート化合物、ジイソシアネートのカルボジイミド変性化合物を挙げることができる。
【0016】
モノマー型ポリイソシアネートの内、芳香族イソシアネートが好ましく、MDI又はMDIの変性体若しくは誘導体がより好ましく、モノメリックMDI又はクルードMDIが更に好ましい。例えば吹付工法で該組成物を用いる場合、芳香族イソシアネートは反応性に優れるため、作業環境の安全性を担保できるからである。更に、難燃性に優れるため、クルードMDIが特に好ましい。特に、接着強度をより高くするという観点からは、モノメリックMDIとクルードMDIとの併用が最も好ましい。
【0017】
<ポリマー型ポリイソシアネート>
ポリマー型ポリイソシアネートとしては、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と過剰量のポリイソシアネートとを反応させることにより、プレポリマー化したものが挙げられる。ここで、活性水素基を2以上有する活性水素化合物としては、例えば、ポリオール及び/又はポリアミンを挙げることができる。ここで、ポリマー型ポリイソシアネートの原料であるポリイソシアネートやポリアミンは、特に限定されず、ポリイソシアネートに関しては、例えば、モノマー型ポリイソシアネートの前述例を挙げることができ、ポリアミンに関しては、例えば、後述する(B)ポリアミンの例を挙げることができる。以下、ポリマー型ポリイソシアネートの原料であるポリオールについて詳述する。
【0018】
(ポリオール)
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを挙げることができる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものを挙げることができる。ここで、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等を挙げることができる。また、多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。これらの多価アルコール及び/又は多価カルボン酸としては、それぞれ一種を用いても複数種を用いてもよい。更に、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールであってもよい。他方、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものを挙げることができる。これらの多価アルコール及び/又はオキサイドとしては、それぞれ一種を用いても複数種を用いてもよい。
【0019】
<NCO%>
ポリイソシアネートのNCO%は、特に限定されず、例えば、5~40%であり、好ましくは10~35%であり、より好ましくは15~35%である。該範囲内であると、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体を提供可能である。ここで、ポリイソシアネートのNCO%(イソシアネート含有率)は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定する。
【0020】
1-1-2.(B)ポリアミン
本形態に係るポリアミンは、2つ以上のアミノ基(第1級アミノ基や第2級アミノ基)を有する活性水素化合物である限り、特に限定されず、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン等を挙げることができる。具体的には、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、N-(3-アミノメチルベンジル)-2-フェニルエタン-1-アミン、ポリアミドアミンを挙げることができる。ポリアミンは、一種でも複数種を組み合わせて用いてもよい。尚、市販品の例としては、三菱ガス化学社製のガスカミン240、クミアイ化学工業社製のイハラキュアミンMT、イハラキュアミンM液状品、CUA-4、キュアハードMED、エラスマー250P、エラスマー1000P;ロンザジャパン社製のLonzacure M-DEA、Lonzacure M-MIPA、Lonzacure M-DIPA、Lonzacure M-CDEA;アルベマール社製のエタキュア100、エタキュア300、エタキュア410、エタキュア420;Evonik Nutrition & Care社製のVERSALINK740;Evonik社製のANCAMINE2049を挙げることができる。
【0021】
ポリアミンのアミン価は、特に限定されず、例えば、50~1000mgKOH/gであり、好ましくは200~1000mgKOH/gであり、より好ましくは450~1000mgKOH/gであり、更に好ましくは500~1000mgKOH/gである。ポリアミンのアミン価が該範囲にある場合、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体を提供可能である。ここで、ポリアミンのアミン価は、JIS K1557-7:2011「プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第7部:塩基性度の求め方(窒素含有量及び全アミン価表示)」に記載の全アミン価の測定方法によって測定することができる。
【0022】
尚、本形態に係る組成物は、ポリアミンに加え、他の活性水素化合物を含有していてもよい。他の活性水素化合物としては、例えば、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコール等のアルコール類、ポリオール化合物、チオール化合物が挙げられる。アルコール類やポリオール化合物は、ポリイソシアネートと反応してウレタン結合を形成し、ポリウレア発泡体の骨格の一部を形成することができる。尚、ポリウレア発泡体製造用組成物全体における他の活性水素化合物の含有量は、ポリアミンの含有量に対し、質量比で1/5以下であることが好適であり、1/10以下であることがより好適であり、含有しないことが更に好ましい。尚、2液型の場合には、他の活性水素化合物は、ポリアミン含有組成物に含まれる。
【0023】
1-1-3.(C)カルボン酸金属塩
本形態に係るカルボン酸金属塩は、アニオン成分及びカチオン成分としてそれぞれカルボン酸イオン及び金属イオンを含む塩である限り、特に限定されない。ここで、該カルボン酸金属塩は、イソシアネートの三量化触媒として機能し得る。即ち、ポリウレア発泡体を製造する際、ポリウレア発泡体にイソシアヌレート構造を形成することができる。以下、各成分を詳述する。
【0024】
<カルボン酸>
カルボン酸金属塩を構成するカルボン酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、オクチル酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、クロロ酢酸、グリコール酸、乳酸等の炭素数1~18の脂肪族モノカルボン酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、イソブチル安息香酸、tert-ブチル安息香酸、サリチル酸、アニス酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、イソプロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、ニトロ安息香酸、フルオロ安息香酸、レゾルシン酸、ナフタレンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸等の炭素数7~14の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の炭素数7~14の芳香族多価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、メチルマロン酸、エチルチリマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、メチルエチルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、メチルエチルコハク酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の炭素数1~18の脂肪族多価カルボン酸;シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の炭素数6~18の脂環式多価カルボン酸、が挙げられる。中でも、より高い初期接着強度を実現できる等の理由から、炭素数6~16のカルボン酸が好ましく、炭素数6~16の脂肪族モノカルボン酸がより好適である。
【0025】
<金属>
また、カルボン酸金属塩を構成する金属としては、特に限定されず、好適には、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム;アルカリ土類金属、例えば、マグネシウム、カルシウム、を挙げることができる。これらの内、カリウムが最も好適である。好適金属を採用した場合、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体を提供可能である。
【0026】
1-1-4.(D)ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物
<ルイス塩基化合物>
本形態に係るルイス塩基化合物は、共有結合に使われず且つ供与できる電子対を、少なくとも一つ有する化合物であれば特に限定されない。好適なルイス塩基化合物は、アミン化合物、例えば、環状アミン化合物、含芳香族又は脂環式アミンである(例えば、イミダゾール類や第3級アミン)。具体例としては、イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチル-4-イソプロピルイミダゾール、TEDA等の環状アミン化合物;トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン等の含芳香族、脂環式アミンを挙げることができる。このルイス酸塩基化合物は、ポリウレアの樹脂化触媒(ウレア化触媒)として機能し得る。尚、樹脂化触媒及び泡化触媒の両方の作用を有する化合物は、樹脂化触媒とする。ここで、前述のカルボン酸金属塩とルイス塩基化合物とを組み合わせることで、低温での樹脂化反応の活性を向上できる。具体的には、低温下でありながらも、アミン化合物の反応性を低下させず、反応全体を活性化できる。加えて、前述のカルボン酸金属塩とルイス塩基化合物とを組み合わせることで、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体が提供可能である。
【0027】
<構造例>
表1は、好適なアミン化合物の構造例を示したものである。尚、下記表中、R11、R12は、各々独立して、水素、又は、炭素数1~18(好ましくは炭素数1~4)の炭化水素基(例えば、メチル基やイソプロピル基)である。
【0028】
【表1】
【0029】
<有機金属化合物>
本形態に係る有機金属化合物は、金属と炭素との化学結合を含む化合物である限り特に限定されず、例えば、有機スズ化合物、有機鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機亜鉛化合物を挙げることができる。この有機金属化合物は、ポリウレアの樹脂化触媒として機能し得る。ここで、前述のカルボン酸金属塩と有機金属化合物とを組み合わせることで、低温での樹脂化反応の活性を向上できる。具体的には、低温下でありながらも、アミン化合物の反応性を低下させず、反応全体を活性化できる。加えて、前述のカルボン酸金属塩と有機金属化合物とを組み合わせることで、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体が提供可能である。
【0030】
<構造例>
表2は、好適な有機金属化合物の構造例を示したものである。例えば、好適な有機スズ化合物は、下記式において、R~Rのうち、1つが水素であり、残り3つは相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基やブチル基)又は含硫黄炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基で置換されたメルカプト基、例えば、-S-C17、-S-C1225)である化合物か;4つが相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基やブチル基)又は含硫黄炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基で置換されたメルカプト基、例えば、-S-C17、-S-C1225)である化合物である。また、好適な有機鉛化合物は、下記式において、R~Rは、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。また、好適な有機ビスマス化合物は、下記式において、R~Rは、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。また、好適な有機亜鉛化合物は、下記式において、R~Rは、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。
【0031】
【表2】
【0032】
1-1-5.(E)発泡剤
本形態に係る発泡剤は、特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、炭化水素(好適にはC4~C6)、ハイドロフルオロオレフィン、炭酸ガスを挙げることができる。具体的には、シクロペンタン、HFO(1336mzz)、HFO(1233zd)を挙げることができる。これらは、単独で又は複数を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
1-1-6.(F)整泡剤
本形態に係る整泡剤は、特に限定されない。整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0034】
1-1-7.(G)難燃剤
本形態に係る難燃剤は、特に限定されない。例えば、赤燐;リン酸エステル;リン酸塩含有難燃剤;臭素含有難燃剤;ホウ素含有難燃剤;アンチモン含有難燃剤;金属水酸化物;及び、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物;等を挙げることができる。これらは単独で又は複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、赤燐、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。特に、赤燐を含むことがより好ましい。また、赤燐に加え、リン酸エステル;リン酸塩含有難燃剤;臭素含有難燃剤;ホウ素含有難燃剤;アンチモン含有難燃剤;金属水酸化物;及び、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物;から選ばれる少なくとも一つを含む場合が更に好ましい。尚、これらの難燃剤以外のその他の難燃剤を含むことができる。以下、各成分を詳述する。リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル;トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類;2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類;等を挙げることができる。リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩;第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;等を挙げることができる。ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることができる。臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA-エポキシオリゴマー、TBBA-ポリカーボネートオリゴマー、TBBA-ビス(ジブロモプロピルエーテル)、TBBA-ビス(アリールエーテル)等のTBBA化合物;ビスフェニルペンタメタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジブロモフェノール、2,4-ジブロモフェノール等の多ベンゼン環化合物;臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等の臭素化スチレン化合物;エチレンビステトラブロモフタルイミド等のフタル酸化合物;ヘキサブロモシクロドデカン等の環状脂肪族化合物;ポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート)等のポリアクリル酸臭素化芳香族エステル化合物;等を挙げることができる。ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂;三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素;ホウ酸、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸化合物;等を挙げることができる。アンチモン含有難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。その他の難燃剤としては、公知の難燃剤を用いることができる。その他の難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン等の塩素化合物;ヒンダードアミン、メラミンシアヌレート等の窒素化合物;セルロース;等を挙げることができる。複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタイルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(TEAIC)、テトラアリルグリコルウリレート(TA-G)、アルキルジアリルイソシアヌレート(LCAIC)、フェニレンビスマレイミド(PBMI)、ビスアリルナジイミド(BANI)、ジアリルフタレート(DAP)、ジアリフイソフタレート(iso-DAP)、メタクリロイル基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー(DA-PPE)等が挙げられる。
【0035】
1-1-8.その他添加成分
本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物は、上記の添加成分に加え、更に他の添加成分を含有してもよい。他の添加成分としては、例えば、泡化触媒、バランス触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、分散剤等、添加剤として公知のものを挙げることができる。更に、本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物は、上述したカルボン酸金属塩と共に、他の三量化触媒を含んでいてもよい。他の三量化触媒としては、特に限定されず、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン等の3級アミン類;エチレンイミンの誘導体;アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類;4級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)等;が挙げられる。
【0036】
1-2.配合/組成物
1-2-1.(A)ポリイソシアネート
ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリイソシアネートの含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合、例えば、100~1000質量部である。ここで、ポリイソシアネートの少なくとも一部としてモノメリックMDIを使用する場合、モノメリックMDIの含有量は、ポリイソシアネートの全質量を基準として、好適な下限値は、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、72.5質量%、75質量%であり、好適な上限値は、100質量%、97.5質量%、95質量%、92.5質量%、90質量%、87.5質量%、85質量%、82.5質量%である。
【0037】
1-2-2.(B)ポリアミン
ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物の全量を100質量%とした場合、例えば、2.0質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは8.0質量%以上である。ポリアミンの含有量の上限は、例えば、40.0質量%以下であり、好ましくは30.0質量%以下であり、より好ましくは20.0質量%以下である。別の観点からは、ポリアミンの含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物のイソシアネートインデックスが、好ましくは200~600となるように配合し、より好ましくは200~500となる量である。ここで、イソシアネートインデックスとは、ポリウレア発泡体製造用組成物の活性水素のモル数と、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数と、の比に100を乗じた値(NCOのモル数/活性水素のモル数×100)をいう。ポリウレア発泡体製造用組成物のイソシアネートインデックスがかかる範囲にある場合には、十分なイソシアヌレート構造が形成され、イソシアヌレート化率を適度なものとすることができる。そのため、ポリウレア発泡体の難燃性を優れたものとすることができる。
【0038】
1-2-3.(C)カルボン酸金属塩
ポリウレア発泡体製造用組成物中のカルボン酸金属塩(又は三量化触媒全量)の含有量は、該組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合に、例えば、0.1~30質量部であり、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは5~20質量部であり、更に好ましくは10~20質量部である。該範囲内の場合、初期接着強度に特に優れたポリウレア発泡体を提供できる。加えて、低温下であっても、イソシアヌレート構造の形成において、特に高い反応性を有する。
【0039】
1-2-4.(D)ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物
ルイス塩基化合物と有機金属化合物との合計(又は樹脂化触媒全量)の、ポリウレア発泡体製造用組成物中の含有量は、例えば、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合に、1~50質量部であり、好ましくは5~40質量部であり、より好ましくは10~40質量部である。該範囲内の場合、初期接着強度に特に優れたポリウレア発泡体を提供できる。加えて、低温下であっても、ポリウレアの樹脂化において、特に高い反応性を有する。
【0040】
1-2-5.(Mc)/(Md)比
ここで、ルイス塩基化合物と有機金属化合物(又は樹脂化触媒)との合計質量(Md)に対する、カルボン酸金属塩(又は三量化触媒)の質量(Mc)の比{(Mc)/(Md)}の下限値は、好ましくは、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3であり、上限値は、好ましくは、5、4.5、4、3.5、3、2.5である。該範囲内の場合、初期接着強度に特に優れたポリウレア発泡体を提供できる。加えて、低温下であっても、イソシアヌレート構造の形成及びポリウレアの樹脂化において、特に高い反応性を有する。
【0041】
1-2-6.(E)発泡剤
ポリウレア発泡体製造用組成物中の発泡剤の含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合、例えば、1~80質量部であり、好適には50~80質量部である。
【0042】
1-2-7.(F)整泡剤
ポリウレア発泡体製造用組成物中の整泡剤の含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合、例えば、0.1~20質量部である。
【0043】
1-2-8.(G)難燃剤
ポリウレア発泡体製造用組成物中の難燃剤の含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合、例えば、10~300質量部であり、好ましくは50~250質量部である。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。以下、各難燃剤について言及する。まず、ポリウレア発泡体製造用組成物中の赤燐の含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合、例えば、100質量部以下であり、5~50質量部が好ましく、25~50質量部がより好ましい。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。また、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる難燃剤の合計の含有量は、ポリウレア発泡体製造用組成物中のポリアミンの全含有量を100質量部とした場合に、例えば、10~200質量部である。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。
【0044】
1-3.物性/組成物
1-3-1.ピーク温度
本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物の下記反応条件におけるピーク温度(ポリウレアを得る際の反応時のピーク温度)は、好ましく40℃以上であり、より好ましくは45℃以上であり、更に好ましくは50℃以上である。尚、上限は特に限定されず、例えば100℃である。ここで、該ピーク温度を測定する際の反応条件は下記の通りである。
(反応条件)
ポリアミン含有組成物{但し、この評価項目においては、ポリアミンと難燃剤(TCPP)と樹脂化触媒とからなる組成物}及びポリイソシアネート(それぞれ5℃に冷却)をポリプロピレン製500mLディスポカップ(直径10cm)内で混合し、ハンドミキサーを使用して回転数3000rpmで10秒間攪拌する。攪拌後、熱電対を使用して系の温度を計測する。ポリウレアが得られるまでの最も高い温度をピーク温度とする。ポリウレア発泡体製造用組成物が上述したポリアミンと樹脂化触媒とを組み合わせることで、上記反応条件におけるピーク温度を得ることができる。
【0045】
1-3-2.クリームタイム
本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物の5℃におけるクリームタイムは、例えば、1~120秒であり、好ましくは2~70秒である。ポリウレア発泡体製造用組成物の5℃におけるクリームタイムが該範囲にある場合には、液の流れ性や躯体への濡れ性・接着性を十分に得る点でより優れた効果を奏する。ここで、クリームタイムとは、ポリアミン含有組成物とポリイソシアネートとを混合した時点から、これらの混合物が発泡を開始しクリーム状の液体となり膨張を開始する直前まで、の時間を指す。肉眼で、混合物の溶液の色が白色を帯び始めた時間として測定する。より具体的に説明すると、500mLディスポカップに、ポリアミン、各種触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤を測り取る。これらを混合し、ハンドミキサーを使用して、室温下で回転数1000rpm、5分間攪拌混合を行い、ポリアミン含有組成物(第1液)を作製する。そして、上記のポリアミン含有組成物(第1液)及びポリイソシアネートからなるポリイソシアネート組成物(第2液)を、5℃に設定した冷却庫に保管して、それぞれの温度を5±2℃とする。次に、ポリアミン含有組成物(第1液)とポリイソシアネート組成物(第2液)とを混合し、ハンドミキサーを使用して、回転数3000rpmで3秒間攪拌し、発泡用木箱(170mm×170mm×170mm)に注入して発泡硬化させる。尚、5℃とは、ポリイソシアネートとポリアミン含有組成物とを、それぞれ5℃に保ち混合したことを示す。
【0046】
1-3-3.ライズタイム
本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物の5℃におけるライズタイムは、例えば、1~100秒であり、好ましくは1~50秒である。ここで、5℃におけるライズタイムとは、ポリアミン含有組成物とポリイソシアネートとを5℃で混合攪拌し、発泡を開始させてから、発泡体の発泡高さの変化が完全に停止するまでの時間を表す。より具体的に説明すると、500mLディスポカップに、ポリアミン、各種触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤を測り取る。これらを混合し、ハンドミキサーを使用して、室温下で回転数1000rpm、5分間攪拌混合を行い、ポリアミン含有組成物(第1液)を作製する。そして、上記のポリアミン含有組成物(第1液)及びポリイソシアネートからなるポリイソシアネート組成物(第2液)を、5℃に設定した冷却庫に保管して、それぞれの温度を5±2℃とする。次に、ポリアミン含有組成物(第1液)とポリイソシアネート組成物(第2液)とを混合し、ハンドミキサーを使用して、回転数3000rpmで3秒間攪拌し、発泡用木箱(170mm×170mm×170mm)に注入して発泡硬化させる。
【0047】
2.ポリウレア発泡体の製造方法
まず、本形態に係るポリウレア発泡体製造用組成物は、例えば二剤型(2液型)の場合、ポリアミンと、触媒と、発泡剤と、整泡剤と、難燃剤(例えば、赤燐、又は赤燐及びその他の難燃剤)と、必要に応じその他添加成分とを含有する第1液と、ポリイソシアネートを含有する第2液と、を混合して調製する。ポリウレア発泡体製造用組成物の混合方法は、公知の方法でよい。具体的には、容器内で、ポリイソシアネート以外の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合し(例えば、前記攪拌機を用い2000rpmで5分間攪拌する)、ポリアミン含有組成物(第1液)を調製する。続いて、ポリイソシアネート(第2液)とポリアミン含有組成物(第1液)とをそれぞれ所定の温度(例えば、10±1℃)に冷却する。その後、ポリイソシアネートとポリアミン含有組成物とを混合し(例えば、前記攪拌機を用いて2000rpmで5秒間攪拌する)、発泡及び硬化させることで、ポリウレア発泡体を得ることができる。
【0048】
尚、吹付工法に用いる場合には、予めポリイソシアネート以外の原料を混合したポリアミン含有組成物(第1液)とポリイソシアネート(第2液)とを、スプレーガンにポンプ等を用いてそれぞれ供給する(この際スプレーガンのノズルを開放する)。そして、スプレーガン内のチャンバーにおいてポリアミン含有組成物とイソシアネートとを混合し、躯体へ吹付を行うことで、ポリウレア発泡体を得ることができる。
【0049】
3.ポリウレア発泡体
3-1.含有成分
本形態に係るポリウレア発泡体は、カルボン酸金属塩と、ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物と、を含有する。尚、これらの成分については、前述の組成物の項目にて述べた通りである。
【0050】
3-2.含有量
3-2-1.カルボン酸金属塩
本形態に係るポリウレア発泡体に含まれるカルボン酸金属塩の含有量は、ポリウレア発泡体の全質量を100質量%とした場合、下限値は、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.25質量%以上、0.5質量%以上、0.75質量%以上であり、上限値は、例えば、20質量%以下、15質量%以下、12.5質量%以下、10質量%以下、7.5質量%以下、5質量%以下、2.5質量%以下である。
【0051】
3-2-2.ルイス塩基化合物、及び/又は、有機金属化合物
本形態に係るポリウレア発泡体に含まれる、ルイス塩基化合物と有機金属化合物との合計含有量は、ポリウレア発泡体の全質量を100質量%とした場合、下限値は、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.1質量%以上、0.125質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上であり、上限値は、例えば、20質量%以下、15質量%以下、12.5質量%以下、10質量%以下、7.5質量%以下、5質量%以下である。
【0052】
3-2-3.難燃剤
本形態に係るポリウレア発泡体に含まれる難燃剤の含有量は、ポリウレア発泡体の全質量を100質量%とした場合、例えば、1~60質量%であり、好適には2~45質量%である。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。また、難燃剤として赤燐を用いる場合、ポリウレア発泡体に含まれる赤燐の含有量は、ポリウレア発泡体の全質量を100質量%とした場合に、例えば、1~30質量%であり、好ましくは2~25質量%である。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。更に、難燃剤として赤燐と他の難燃剤とを組み合わせて用いる場合、ポリウレア発泡体用組成物中の赤燐の含有量(Fp)と、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる難燃剤の合計の含有量(Ft)と、の比(Fp/Ft)は、特に限定されず、例えば、0.01~1であり、好ましくは0.01~0.75であり、より好ましくは0.05~0.75であり、更に好ましくは0.1~0.5である。該範囲内の場合、ポリウレア発泡体の高い初期接着強度を維持しつつ、高い難燃性を実現できる。
【0053】
3-3.密度
ポリウレア発泡体の密度は、本形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、10~200kg/mであり、好ましくは10~100kg/mであり、より好ましくは25~75kg/mである。ポリウレア発泡体の密度がかかる範囲にある場合には、熱伝導率に優れ、難燃性に優れたポリウレア発泡体を得ることができる。ポリウレア発泡体の密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従って測定される。
【0054】
4.ポリウレア発泡体の用途
本形態に係るポリウレア発泡体の用途は、例えば、建築用途{壁、天井、屋根、床、パイプカバー(住宅配管用発泡断熱材)等};建具(窓、障子、扉戸、ふすま、欄間等);石油及びガス運搬用船舶・貯蔵用タンク;車輛(エンジン、バッテリー、天井、フロア、ドアパネル等);航空機;輸送機;薬剤運搬用保冷バッグ;冷凍・冷蔵室;プラント施設;冷蔵庫等の電化製品;土留壁の、保温材、断熱材、冷熱抵抗緩和材;地盤沈下防止工事や道路建設時の地下充填補強材;トンネルや橋梁、浮桟橋等土木用途注入補修材;不要地下室等の構造部充填材;エネルギー吸収材;防水材;止水材;浮力材;等である。また、木造や鉄筋コンクリート造の建築等では、断熱施工が容易であるため、吹付工法用のポリウレア発泡体として用いることができる。
【実施例0055】
<<ポリウレア発泡体製造用組成物の作製>>
<原料>
(ポリアミン)
・エタキュア420(アルベマール社製、アミン価:529mgKOH/g)
(ポリオール)
・フタル酸エステルポリオール(マキシモールRLK-505、川崎化成工業社製、水酸基価:250mgKOH/g)
(難燃剤)
・トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)
・赤燐
(整泡剤)
・ポリアルキレンエーテルシリコーンコポリマー
(触媒)
・オクチル酸カリウム(三量化触媒)
・1,2-ジメチルイミダゾール(樹脂化触媒)
・1-メチル-4-イソプロピルイミダゾール(樹脂化触媒)
・トリエチレンジアミン(樹脂化触媒)
・ジメチルベンジルアミン(樹脂化触媒)
・ジブチルチンジメルカプチド(R、Rは、ブチル基;R、Rは、-SC1225の構造)(樹脂化触媒)
・2-エチルヘキサン酸ビスマス(樹脂化触媒)
(発泡剤)
・ハイドロフルオロオレフィン
・水
(ポリイソシアネート)
・ミリオネートMR-200(東ソー社製、NCO%:30.9%、クルードMDI
・ルプラネートMI(BASF社製、NCO%:33.5%、モノメリックMDI)
*該クルードMDIは、モノメリックMDIを約50質量%含有する。
【0056】
<発泡体の作製>
表3及び表4に示す配合に従い、500mLディスポカップに、ポリアミン、各種触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤を測り取った。これらを混合し、ハンドミキサーを使用して、室温下で回転数1000rpm、5分間攪拌混合を行い、ポリアミン含有組成物(第1液)を作製した。そして、上記のポリアミン含有組成物(第1液)及びポリイソシアネートからなるポリイソシアネート組成物(第2液)を、5℃に設定した冷却庫に保管して、それぞれの温度を5±2℃とした。次に、ポリアミン含有組成物(第1液)とポリイソシアネート組成物(第2液)とを混合し、ハンドミキサーを使用して、回転数3000rpmで3秒間攪拌し、発泡用木箱(170mm×170mm×170mm)に注入して発泡硬化させ、発泡体を得た。
【0057】
<<評価>>
以下の評価を各実施例及び比較例について、発泡時の発泡性と、発泡体の特性と、について評価を実施した。尚、ピーク温度、クリームタイム及びライズタイムの評価法については上述したので、他の評価項目における評価法を説明する。
【0058】
<発泡体中の残存イソシアネート(NCO)含有量>
上記の製造方法で作製した発泡体から、表層部から2cmを切り落として100mm×100mm×100mmの大きさで、コア部を取り出した。コア部の中心部から、10mm×10mm×10mmの大きさで、試験体を切り出した。この試験体を厚さ2mmまで圧縮して、赤外分光光度計(日本分光、FT/IR-4200)を用いて、赤外線吸収スペクトルを測定した。測定は、ダイヤモンドプリズムを使用したATR法で行い、積算回数を50回、発泡のライズ方向に対して、上部、中心部、底部の3点で測定し、平均値とした。得られた赤外吸収スペクトルから、下記の式及び検出された各ピークの面積を導き、発泡体中の残存イソシアネート含有量を算出した。
残存イソシアネート含有量(%)=P5/(P1+P2+P3+P4)×100 (式―1)
P1: イソシアヌレート構造に由来するピーク面積(波数1410cm-1近傍のヌレート環に由来するピーク、波数が1380~1430cm-1の範囲)
P2: ウレア構造のC=Oに由来するピーク面積(波数が1595cm-1近傍のウレア結合のC=Oに由来するピークの面積、波数が1550~1640cm-1の範囲)
P3: イソシアヌレート構造のC=Oに由来するピーク面積(波数1710cm-1近傍のC=O結合のピークの面積、波数が1680~1730cm-1の範囲)
P4: ウレア構造に含まれるN-Hに由来するピーク面積 (波数1510cm-1近傍のN-Hに由来するピークの面積、波数が1470~1550cm-1の範囲のピーク面積)
P5: イソシアナト基に由来するピーク面積(波数2270cm-1近傍のイソシアナト基に由来するピーク、波数が2160~2380cm-1の範囲)
【0059】
<樹脂化反応活性>
(温度プロファイル・固化時間)
ポリアミン含有組成物{本評価では、ポリアミンと難燃剤(TCPP)と樹脂化触媒とからなる組成物}及びポリイソシアネート組成物を5℃に冷却した。ポリアミン含有組成物とポリイソシアネート組成物とをポリプロピレン製500mLディスポカップ(直径10cm)内に投入して、ハンドミキサーにて3000rpmで10秒間攪拌した。熱電対を使用して系の温度を計測し、系が固化するまでの時間をストップウォッチで計測した。
【0060】
(可溶部のGPC測定)
各実施例及び比較例で得られた固化物を、テトラヒドロフラン(THF)に、濃度0.5wt%となるように添加した。THF中23℃で24h振とう攪拌して、可溶成分を抽出した。不溶成分をろ過で除去したのち、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー、HLC-8320、東ソー社製)を使用して、可溶成分の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。測定は、移動相:テトラヒドロフラン(THF)、流速:0.35mL/min、送液圧:4.0MPa、内部標準物質:ポリスチレン、測定用カラム:ポリスチレンゲルカラム(東ソー社製、TSKgel SuperMultiporeHZ-N)、検出器: UV(波長: 254nm)、で実施した。
【0061】
<密度>
上記の製造方法で作製した発泡体から、表層部から2cmを切り落として100mm×100mm×100mmの大きさで、コア部を取り出した。コア部の体積を求めるため、縦、横、厚みをノギスで測定した。次に、電子天秤を使用して、小数点以下第2位までコア部の重量を測定した。そして、得られた体積及び重量から、密度を算出した。
【0062】
<低温接着性(5℃)>
各実施例及び比較例で作製したポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを、簡易ハンドスプレーを用いて、下記の手順で評価を行った。
1)スタティックミキサー付き2液混合用カートリッジに、ポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを充填した。
2)冷凍庫内で、表面温度が5℃となるように合板を冷却し、スプレーガンで吹付し、発泡体を形成した。
3)発泡体を、縦60mm×横10mmの大きさで切り出し、接着強度をフォースゲージ(アマノ製、500N)で測定した。
【0063】
<圧縮強度>
各実施例及び比較例で作製したポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを、簡易ハンドスプレーを用いて、下記の手順で評価を行った。
1)スタティックミキサー付き2液混合用カートリッジに、ポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを充填した。
2) 冷凍庫内で、表面温度が5℃となるようにアルミ板(幅210mm×奥行300mm×厚さ10mm)を冷却し、スプレーガンで吹付し、発泡硬化させ発泡体を得た。
3)得られた発泡体の上部表面から2cmを切り落とし、幅5cm×奥行5cm×厚さ4cmでサンプルを切り出した。
4)JIS A9526に記載の圧縮強さの測定方法に準拠して測定を行った。
【0064】
<脆性>
各実施例及び比較例で作製したポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを、簡易ハンドスプレーを用いて、下記の手順で評価を行った。
1)スタティックミキサー付き2液混合用カートリッジに、ポリアミン含有組成物とポリイソシアネート化合物とを充填した。
2)冷凍庫内で、表面温度が5℃となるようにアルミ板(幅210mm×奥行300mm×厚さ10mm)を冷却し、スプレーガンで吹付し、発泡硬化させ発泡体を得た。
3)Φ10mmの円盤上のプローブを取付けたフォースゲージで、50Nの荷重をフォーム上部のスキン層に3秒間与え、フォースゲージをフォームから離した。
4)フォースゲージを当てた部分において、フォームのスキン層が脆く、崩壊したものを「脆性有」、崩壊しないものを「脆性無」とした。
【0065】
結果を表3及び表4に示す。また、図1に、ポリイソシアネート組成物とポリアミン組成物とからポリウレアを得る際の反応時のピーク温度の結果(樹脂化反応活性の「温度プロファイル」の評価項目)を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】

図1