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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184467
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】分級装置及びショット処理装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 11/04 20060101AFI20231221BHJP
   B07B 4/02 20060101ALI20231221BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20231221BHJP
   B24C 1/10 20060101ALI20231221BHJP
   B24C 7/00 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
B07B11/04
B07B4/02
B24C9/00 E
B24C1/10 A
B24C9/00 B
B24C7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094113
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022098059
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】見城 維佐久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 丈弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】家守 修一
(72)【発明者】
【氏名】山下 恭司
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021FA02
4D021GA12
4D021GA16
4D021GA27
4D021HA10
(57)【要約】
【課題】分級精度の低下を抑制すること。
【解決手段】分級装置40は、気流を用いて粉粒体群を選別する選別機構41と、気流を生成する集塵機44と、気流の速度に関する計測値を計測する計測器45と、計測値が制御範囲内に維持されるように、気流の速度を制御する風速制御を行う制御装置46と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を用いて粉粒体群を選別する選別機構と、
前記気流を生成する集塵機と、
前記気流の速度に関する計測値を計測する計測器と、
前記計測値が制御範囲内に維持されるように、前記気流の速度を制御する風速制御を行う制御装置と、
を備える、分級装置。
【請求項2】
前記集塵機は、前記気流の流量を調整可能なファンモータを備え、
前記制御装置は、前記ファンモータの回転速度を変更することによって前記風速制御を行う、請求項1に記載の分級装置。
【請求項3】
前記選別機構と前記集塵機との間に設けられ、前記気流が通過する導管と、
前記導管に設けられ、開度を調整可能な流量調整器と、
を更に備え、
前記制御装置は、前記開度を変更することによって前記風速制御を行う、請求項1に記載の分級装置。
【請求項4】
前記選別機構に外気を導入する導入口を更に備え、
前記計測器は、前記導入口に設けられる、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項5】
前記集塵機は、前記分級装置の外部にクリーンエアーを排出する排気口を備え、
前記計測器は、前記排気口に設けられる、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記計測値が前記制御範囲外である状態が、予め定められた検知時間の間継続したことに応じて、前記風速制御を行う、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記風速制御が終了してから予め定められた待機時間が経過するまで、前記風速制御を停止する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項8】
前記制御装置は、予め定められた作動時間を掛けて段階的に前記風速制御を行う、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項9】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の分級装置と、
加工対象物に投射材を投射することでショット処理を行う投射装置と、
前記ショット処理によって生じた粉粒体群を回収し、前記粉粒体群を前記分級装置に供給する回収装置と、
を備え、
前記分級装置は、前記粉粒体群から再利用可能な投射材を選別し、前記投射材を前記投射装置に供給する、ショット処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分級装置及びショット処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を粒子径に応じて分類する分級装置が知られている。例えば、特許文献1には、被処理製品に投射された投射材を、集塵機などの空気の流れを利用して大きめの投射材と小さめの投射材とに分離する風選式分級装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-18476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような風選式の分級装置では、稼働時間が経過するにつれて風速が変化し得る。例えば、集塵機のフィルタの目詰まりによって、風速が低下し得る。フィルタの目詰まりを解消した場合には、風速が上昇し得る。このような場合、分級精度が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、分級精度の低下を抑制可能な分級装置及びショット処理装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る分級装置は、選別機構と、集塵機と、計測器と、制御装置と、を備える。選別機構は、気流を用いて粉粒体群を選別する。集塵機は、気流を生成する。計測器は、気流の速度に関する計測値を計測する。制御装置は、計測値が制御範囲内に維持されるように、気流の速度を制御する風速制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、分級精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る分級装置を含むショット処理装置を概略的に示す構成図である。
図2図2は、図1に示される選別機構の一例を概略的に示す図である。
図3図3は、図1に示される制御装置が実施する風速制御方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示される風速制御方法を説明するための図である。
図5図5は、実施例のショット処理装置における試験結果を示す図である。
図6図6は、比較例のショット処理装置における試験結果を示す図である。
図7図7は、図1に示される選別機構の別の例を概略的に示す図である。
図8図8は、風速制御を実現するための別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の概要]
最初に、本開示の実施形態の概要を説明する。
【0010】
(条項1) 本開示の一側面に係る分級装置は、選別機構と、集塵機と、計測器と、制御装置と、を備える。選別機構は、気流を用いて粉粒体群を選別する。集塵機は、気流を生成する。計測器は、気流の速度に関する計測値を計測する。制御装置は、計測値が制御範囲内に維持されるように、気流の速度を制御する風速制御を行う。
【0011】
この分級装置では、集塵機によって生成された気流を用いて粉粒体群が選別され、気流の速度に関する計測値が制御範囲内に維持されるように、風速制御が行われる。上記計測値が制御範囲内に維持されることによって、気流の速度(風速)の変動が抑えられるので、分級精度の低下を抑制することが可能となる。
【0012】
(条項2) 上記条項1に記載の分級装置において、集塵機は、気流の流量を調整可能なファンモータを備えてもよい。制御装置は、ファンモータの回転速度を変更することによって風速制御を行ってもよい。ファンモータの回転速度が大きくなると気流の風速が上昇し、ファンモータの回転速度が小さくなると気流の風速が降下する。したがって、ファンモータの回転速度を変更することで、風速制御を実現することができる。
【0013】
(条項3) 上記条項1又は上記条項2に記載の分級装置は、選別機構と集塵機との間に設けられ、気流が通過する導管と、導管に設けられ、開度を調整可能な流量調整器と、を更に備えてもよい。制御装置は、開度を変更することによって風速制御を行ってもよい。流量調整器の開度が大きくなると気流の風速が上昇し、流量調整器の開度が小さくなると気流の風速が降下する。したがって、流量調整器の開度を変更することで、風速制御を実現することができる。
【0014】
(条項4) 上記条項1~上記条項3のいずれか1つに記載の分級装置は、選別機構に外気を導入する導入口を更に備えてもよい。計測器は、導入口に設けられてもよい。選別機構内では気流に粉粒体が混在しているので、計測器が選別機構内に設けられた場合、粉粒体によって計測器が故障するおそれがある。これに対して、外気には粉粒体が含まれていないので、粉粒体によって計測器が故障することを回避することができる。
【0015】
(条項5) 上記条項1~上記条項4のいずれか1つに記載の分級装置において、集塵機は、分級装置の外部にクリーンエアーを排出する排気口を備えてもよい。計測器は、排気口に設けられてもよい。集塵機では、粉粒体(粉塵)が除去されたクリーンエアーが排気口から排出される。したがって、クリーンエアーには粉粒体が含まれていないので、粉粒体によって計測器が故障することを回避することができる。
【0016】
(条項6) 上記条項1~上記条項5のいずれか1つに記載の分級装置において、制御装置は、計測値が制御範囲外である状態が、予め定められた検知時間の間継続したことに応じて、風速制御を行ってもよい。気流の速度は変動しやすいので、計測値が一時的に制御範囲外になることがある。このような場合に、風速制御が行われると、計測値を制御範囲内に安定的に維持することができないことがある。これに対し、上記構成では、計測値が継続的に制御範囲外である場合に風速制御が行われるので、計測値を制御範囲内に安定して維持することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0017】
(条項7) 上記条項1~上記条項6のいずれか1つに記載の分級装置において、制御装置は、風速制御が終了してから予め定められた待機時間が経過するまで、風速制御を停止してもよい。風速制御を実施してから、気流の風速が安定するまでにある程度の時間を要する。このため、風速制御を実施した直後では、依然として計測値が制御範囲外にとどまることがある。このような場合に、風速制御が行われると、計測値を制御範囲内に安定的に維持することができないことがある。これに対し、上記構成では、風速制御が終了してから気流の風速が安定するまで風速制御が停止され得るので、計測値を制御範囲内に安定して維持することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0018】
(条項8) 上記条項1~上記条項7のいずれか1つに記載の分級装置において、制御装置は、予め定められた作動時間を掛けて段階的に風速制御を行ってもよい。この場合、気流の速度が徐々に変化するので、気流の乱れを抑制することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0019】
(条項9) 本開示の別の側面に係るショット処理装置は、上記条項1~上記条項8のいずれか1つに記載の分級装置と、加工対象物に投射材を投射することでショット処理を行う投射装置と、ショット処理によって生じた粉粒体群を回収し、粉粒体群を分級装置に供給する回収装置と、を備える。分級装置は、粉粒体群から再利用可能な投射材を選別し、投射材を投射装置に供給する。
【0020】
このショット処理装置では、投射材を加工対象物に投射することによってショット処理が行われ、ショット処理によって生じた粉粒体群が分級装置に供給され、粉粒体群から再利用可能な投射材が選別されて投射装置に供給される。分級精度の低下を抑制可能な分級装置が用いられるので、粉粒体群からショット処理に寄与しない投射材を精度良く除外することができる。その結果、ショット処理の効率を向上させることが可能となる。
【0021】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0022】
図1を参照しながら、一実施形態に係る分級装置を含むショット処理装置を説明する。図1は、一実施形態に係る分級装置を含むショット処理装置を概略的に示す構成図である。図1に示されるショット処理装置1は、加工対象物(workpiece)にショット処理を施す装置である。ショット処理の例として、ショットブラスト処理及びショットピーニング処理が挙げられる。ショット処理装置1は、例えば、ショット処理により、鋳造後の鋳物部品に付着した鋳物砂(主に、珪砂及び炭化した添加物)の除去(砂落とし)、並びに、鋳物表面の研磨及び研掃を行う。ショット処理装置1は、キャビネット10と、投射装置20と、回収装置30と、分級装置40と、を含む。
【0023】
キャビネット10は、加工対象物を収容可能な筐体である。キャビネット10の内部には、加工対象物にショット処理を施すための加工室が形成されている。
【0024】
投射装置20は、加工対象物に投射材を投射することでショット処理を行う装置である。投射装置20の投射方式は、エアー式でもよく、インペラ式(遠心式)でもよい。エアー式の例としては、重力式、吸引式、直圧式(加圧式)、及びブロワ式が挙げられる。本実施形態では、インペラ式を用いて説明する。投射材の例としては、スチールショット、及びスチールグリットが挙げられる。投射材の種類は、ショット処理に応じて適宜選択され得る。投射装置20は、キャビネット10の上方に設けられる。投射装置20は、投射材タンク21と、ゲート22と、インペラ23と、を含む。
【0025】
投射材タンク21は、投射材を貯留している。ゲート22は、投射材タンク21の下部に設けられ、投射材タンク21からインペラ23に向かう経路にある開口部の面積を調整するための部材である。ゲート22は、一定量の投射材をインペラ23に供給する。インペラ23は、遠心力を利用して投射材を投射するように構成されている。インペラ23は、モータ等の駆動装置(不図示)によって高速に回転される。この回転に伴って生じる遠心力により、インペラ23のブレード(不図示)上に供給された投射材が投射される。
【0026】
回収装置30は、ショット処理によって生じた粉粒体群を回収する装置である。粉粒体群は、ショット処理に用いられた投射材、及びショット処理によって生じた加工対象物の切削粉等を含む。回収装置30は、回収した粉粒体群を分級装置40に供給する。回収装置30は、スクリューコンベア31と、ロータリースクリーン32と、バケットエレベータ33と、を含む。
【0027】
スクリューコンベア31は、ショット処理によって生じた粉粒体群を搬送する装置である。スクリューコンベア31は、キャビネット10の下方に設けられ、水平に延びている。スクリューコンベア31は、ショット処理によって生じた粉粒体群をキャビネット10から受け取り、バケットエレベータ33に向けて搬送する。スクリューコンベア31は、シャフトとシャフトの外周面にらせん状に設けられた羽根とを含む。シャフトが回転することによって、羽根により粉粒体群が搬送される。
【0028】
ロータリースクリーン32は、回転篩である。ロータリースクリーン32は、スクリューコンベア31のシャフトの一端に設けられ、スクリューコンベア31によって搬送されてきた粉粒体群から、投射材よりも大きい異物を取り除く。ロータリースクリーン32は、筒状の網状体を含む。網状体の網目は、投射材の直径よりも大きい直径を有する。
【0029】
バケットエレベータ33は、異物が取り除かれた粉粒体群をキャビネット10の上方に搬送する。バケットエレベータ33は、キャビネット10に並設されており、複数のバケットを循環させている。各バケットは、ロータリースクリーン32を通過した粉粒体群を掬い上げてキャビネット10の上方まで搬送し、分級装置40に供給する。
【0030】
分級装置40は、回収装置30から供給された粉粒体群から再利用可能な投射材を選別する装置である。分級装置40は、投射装置20の上方に設けられ、再利用可能な投射材を投射装置20に供給する。分級装置40は、選別機構41と、導管42と、導管43と、集塵機44と、計測器45と、制御装置46と、を含む。
【0031】
選別機構41は、気流F(図2参照)を用いて粉粒体群を選別する機構である。具体的には、選別機構41は、粉粒体群を再利用可能な投射材とそれ以外の粉粒体である粉塵(ショット処理によって生じた加工対象物の切削粉及び再利用不可能なサイズになった投射材等の総称)とに分離する。選別機構41の詳細な構成は、後述する。選別機構41は、導入口41aと排出口41bとを有する。導入口41aは、選別機構41に外気を導入する開口部である。排出口41bは、選別機構41から粉塵を含む気流を排出する開口部である。
【0032】
導管42は、選別機構41と集塵機44との間に設けられ、選別機構41と集塵機44との間を気流が通過可能に連結している。導管42の一端は、選別機構41の排出口41bに接続され、導管42の他端は、集塵機44に接続されている。導管43は、キャビネット10と集塵機44とを連結している。導管43の一端は、キャビネット10の側壁に接続され、導管43の他端は、導管42と合流して集塵機44に接続されている。
【0033】
集塵機44は、粉塵を収集する装置である。集塵機44は、導管42を吸引することによって、選別機構41の導入口41aから、選別機構41の内部空間、及び導管42を順に通って集塵機44に向かう気流Fを生成する。集塵機44は、筐体51と、フィルタ52と、ファンモータ53と、を含む。筐体51は、フィルタ52、ファン(不図示)、ファンモータ53、及びファンモータ53を駆動するインバータ(不図示)を収容する。なお、図1では、説明の便宜上、ファンモータ53は、筐体51の外側に図示されている。
【0034】
筐体51は、吸入口51aと、排気口51bと、を有する。吸入口51aには、導管42の他端が接続される。排気口51bは、分級装置40(筐体51)の外部にクリーンエアーを排気するための開口部である。フィルタ52は、集塵機44によって吸引された粉塵を捕捉するための部材である。ファンモータ53は、ファンを回転駆動することによって吸引力を発生させる。ファンモータ53の回転速度に応じて、気流Fの流量が変わり得る。つまり、ファンモータ53は、気流Fの流量を調整可能に構成されている。
【0035】
集塵機44の作動によって、選別機構41の内部では、質量の重い粉粒体(再利用可能な投射材)は下方に落下する。一方、質量の軽い粉粒体(粉塵)は、導管42を介して集塵機44に収集される。さらに、導管43を介して、キャビネット10において発生した粉塵が集塵機44に収集される。集塵機44によって吸引された粉塵は、フィルタ52を用いて捕捉される。粉塵を含む気流から粉塵が除去されることによって得られるクリーンエアーは、排気口51bから筐体51の外部に排出される。
【0036】
計測器45は、気流Fの速度(風速)に関する計測値を計測する機器である。計測器45は、例えば、風速計である。風速計の種類の例としては、熱式(アネモマスター)、翼車(ベーン)式、超音波式、及びピトー管式が挙げられる。計測器45は、動圧計測器でもよく、フラップ式の計測器でもよい。本実施形態では、計測器45は、選別機構41の導入口41aに設けられる。具体的には、計測器45は、選別機構41の外部に設けられ、導入口41aから選別機構41内に流入する外気の風速を計測する。選別機構41内に流入する外気の風速は、気流Fの風速と実質的に一致している。計測器45は、計測値を制御装置46に送信する。
【0037】
制御装置46は、気流の速度(風速)を制御する風速制御を行う装置(コントローラ)である。制御装置46は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリと、ネットワークカード等の通信装置と、を含むコンピュータとして構成されている。制御装置46は、PLC(Programmable Logic Controller)として構成されてもよく、リレー回路及び調整計等を用いた論理回路で構成されてもよい。制御装置46は、計測器45によって計測された計測値が制御範囲R(図4参照)内に維持されるように、風速制御を行う。本実施形態では、制御装置46は、ファンモータ53の回転速度を変更することによって風速制御を行う。風速の制御方法については、後述する。
【0038】
次に、図2を参照しながら、選別機構41の一例を説明する。図2は、図1に示される選別機構の一例を概略的に示す図である。図2に示される選別機構41は、垂直対向エアー流型のセパレータであり、供給部61と、選別部62と、連結配管63と、チャンバー64と、を含む。
【0039】
供給部61は、バケットエレベータ33から供給された粉粒体群を選別部62に供給する供給経路を画定する部分である。供給部61は、グレート61aと、ゲート61bと、振れ板61cと、分散鋼板61dと、を含む。グレート61aは、バケットエレベータ33の搬出口33aの下方に設けられ、粉粒体群から異物を除去するためのメッシュ状の板材である。グレート61aの網目(貫通孔)の大きさは、投射材が通過可能な大きさである。ゲート61bは、粉粒体群の流量を調整するための部材である。ゲート61bは、グレート61aの下方に設けられ、下方に向かうにつれて粉粒体群の供給経路を狭めるように傾斜している。
【0040】
振れ板61cは、粉粒体群の流れを均一化するための部材である。振れ板61cは、ゲート61bよりも供給経路の下流に位置する。振れ板61cは、粉粒体群が供給されていない状態では、粉粒体群の供給経路を狭め、粉粒体群が供給されている状態では、粉粒体群の供給経路を広げる。分散鋼板61dは、グレート61a、ゲート61b、及び振れ板61cを順に通過した粉粒体群を堰き止めることにより粉粒体群の落下速度を低下させた上で、選別部62に粉粒体群を供給する。
【0041】
選別部62は、気流Fによって粉粒体群を質量の差異により選別する部分である。選別部62は、容器62aと、配管部62bと、分散棒62cと、を含む。容器62aは、投射材タンク21の上方に設けられており、上下端が開放された筒状の部材である。容器62aは、下方に向かうにつれて縮径されたテーパー状の形状を有している。容器62aは、容器62aの下方に設けられた導入口41aと連通している。配管部62bは、上下方向に延びる管状部材である。配管部62bの下端は、容器62aの上端に接続されている。分散棒62cは、配管部62b内に設けられており、粉粒体群の落下速度を低減する部材である。
【0042】
連結配管63は、選別部62とチャンバー64とを連結する。連結配管63の一端は、配管部62bの上端の上方に設けられ、連結配管63の他端は、チャンバー64の上壁からチャンバー64内に延びている。チャンバー64では、連結配管63を介して流入した気流Fに含まれる粉粒体群が更に選別される。チャンバー64の底部には、排出口64aが設けられている。チャンバー64の上部には、排出口41bが設けられている。
【0043】
集塵機44が稼働することによって導入口41aから外気が吸入され、選別機構41の内部では、導入口41aから容器62a、配管部62b、連結配管63、及びチャンバー64を順に通って排出口41bから導管42に流出する気流Fが生成される。この状態で、供給部61から供給された粉粒体群が配管部62bの上端から落下すると、気流Fによって粉粒体群には上向きの力が作用する。このとき、質量の重い粉粒体(例えば、再利用可能な投射材)は、気流Fに逆らって下方に向けて落下し、容器62aを通って投射材タンク21に供給される。
【0044】
一方、質量の軽い粉粒体は、気流Fとともに上昇し、連結配管63を通ってチャンバー64に運ばれる。チャンバー64の入口では気流Fは下降しており、さらに連結配管63よりも拡幅されたチャンバー64内では気流Fの風速が低下する。このため、チャンバー64に運ばれた粉粒体群の中で、質量の比較的重い粉粒体(例えば、砂)が気流Fから離脱して排出口64aから排出される。そして、残った質量の軽い粉塵が気流Fとともに排出口41bから導管42を通って集塵機44に収集される。
【0045】
次に、図3及び図4を参照しながら、制御装置46が実施する風速制御方法の一例を説明する。図3は、図1に示される制御装置が実施する風速制御方法の一例を示すフローチャートである。図4は、図3に示される風速制御方法を説明するための図である。図3に示される風速制御方法の一連の処理は、例えば、集塵機44が稼働を開始したことに応じて、開始される。なお、計測器45は、計測値を定期的に制御装置46に送信している。
【0046】
図3に示されるように、まず、制御装置46は、計測器45から計測値を受信すると、計測値が制御範囲R内であるか否かを判定する(ステップS1)。図4に示されるように、制御範囲Rは、選別機構41における選別を適切に実施可能な気流Fが得られる計測値(ここでは、導入口41aを通って選別機構41内に流入する外気の風速の計測値)の範囲である。制御範囲Rは、上限値Vuと下限値Vlとの間の範囲である。本実施形態では、制御範囲Rは、目標値Vtを含む。上限値Vuは、目標値Vtに所定値を加算した値であり、下限値Vlは、目標値Vtから当該所定値を減算した値である。つまり、本実施形態では、上限値Vuと目標値Vtとの差分は、目標値Vtと下限値Vlとの差分と同じである。上限値Vuと目標値Vtとの差分は、目標値Vtと下限値Vlとの差分と異なっていてもよい。
【0047】
制御装置46は、例えば、計測値が制御範囲Rの上限値Vu以下であり、かつ、制御範囲Rの下限値Vl以上である場合に、計測値が制御範囲R内であると判定する。制御装置46は、例えば、計測値が上限値Vuよりも大きいか、計測値が下限値Vlよりも小さい場合に、計測値が制御範囲R外であると判定する。ステップS1において、制御装置46は、計測値が制御範囲R内であると判定した場合(ステップS1:YES)、次の計測値を用いてステップS1を再び実施する。
【0048】
一方、ステップS1において、制御装置46は、計測値が制御範囲R外であると判定した場合(ステップS1:NO)、その状態(異常状態)が検知時間Tdの間継続しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、ステップS1において計測値が上限値Vuよりも大きいと判定されてから、検知時間Tdが経過するまでの間に計測器45によって計測されたすべての計測値が上限値Vuよりも大きい状態を維持している場合に、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続していると判定する。ステップS1において計測値が上限値Vuよりも大きいと判定されてから、検知時間Tdが経過するまでの間に、計測器45によって計測されたいずれか1つの計測値が上限値Vu以下になった場合には、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続しなかったと判定する。
【0049】
同様に、ステップS1において計測値が下限値Vlよりも小さいと判定されてから、検知時間Tdが経過するまでの間に計測器45によって計測されたすべての計測値が下限値Vlよりも小さい状態を維持している場合に、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続していると判定する。ステップS1において計測値が下限値Vlよりも小さいと判定されてから、検知時間Tdが経過するまでの間に、計測器45によって計測されたいずれか1つの計測値が下限値Vl以上になった場合には、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続しなかったと判定する。ステップS2において、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続しなかったと判定した場合(ステップS2:NO)、次の計測値を用いてステップS1を再び実施する。
【0050】
一方、ステップS2において、制御装置46は、異常状態が検知時間Tdの間継続していると判定した場合(ステップS2:YES)、風速制御を行う(ステップS3)。ステップS3では、制御装置46は、計測値が制御範囲R内に維持されるように、風速制御を行う。具体的に説明すると、制御装置46は、ファンモータ53を駆動するインバータを制御してファンモータ53の回転速度を変更することによって、風速制御を行う。例えば、計測値が上限値Vuよりも大きい場合には、制御装置46は、インバータの駆動周波数を予め定められた周波数だけ減少することによって、ファンモータ53の回転速度を低下させる。計測値が下限値Vlよりも小さい場合には、制御装置46は、インバータの駆動周波数を予め定められた周波数だけ増加することによって、ファンモータ53の回転速度を上昇させる。駆動周波数の増加量と減少量とは同じでもよく、異なっていてもよい。
【0051】
続いて、制御装置46は、ステップS3の風速制御が終了してから待機時間Twが経過したか否かを判定する(ステップS4)。制御装置46は、待機時間Twが経過していないと判定した場合(ステップS4:NO)、待機時間Twが経過するまでステップS4の判定を繰り返す。一方、制御装置46は、待機時間Twが経過したと判定した場合(ステップS4:YES)、次の計測値を用いてステップS1を再び実施する。つまり、制御装置46は、風速制御が終了してから待機時間Twが経過するまで、風速制御を停止する。以降、ステップS1~S4が繰り返される。なお、上記風速制御方法は、ショット処理中(つまり、ショット処理装置1が稼働している間)、継続して行われてもよい。あるいは、上記風速制御方法は、所定のタイミングで行われてもよく、この場合、ステップS1~S4は繰り返されなくてもよい。上記タイミングの例としては、ショット処理装置1の起動時、及びショット処理装置1の稼働中の予め定められたタイミングが挙げられる。
【0052】
以下、図5及び図6を参照しながら実施例及び比較例を用いて本開示の内容を具体的に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されない。図5は、実施例のショット処理装置における試験結果を示す図である。図6は、比較例のショット処理装置における試験結果を示す図である。図5及び図6の横軸は、ショット処理装置の稼働開始時から経過した時間を示す。図5及び図6には、ファンモータを駆動するインバータの駆動周波数fd、導入口から選別機構内に流入する外気の風速Win、排気口から集塵機の外部に排出されるクリーンエアーの風速Wout、集塵機のフィルタの差圧Pdif、及び集塵機から排出される粉塵の排出量の積算値Dの経時変化が示されている。
【0053】
実施例及び比較例では、図1に示されるショット処理装置1(ショットブラスト機)が用いられた。インペラ23として、15kWの1台のインペラが用いられ、選別機構41として、図2に示される垂直対向エアー流型のセパレータが用いられた。実施例では、図3に示される風速制御方法が行われ、比較例では、風速制御方法が行われなかった。目標値Vtは、5m/秒に設定された。
【0054】
図6に示されるように、比較例では、駆動周波数fdが一定であり、ショットブラスト機の稼働開始時から時間が経過するにつれて、風速Win及び風速Woutが徐々に低下している。このため、粉塵の排出量の積算値Dの増加率は、ショットブラスト機の稼働開始時には大きいが、時間の経過とともに漸減している。これは、時間の経過とともに分級装置の分級能力が低下していることを表している。
【0055】
一方、図5に示されるように、実施例では、風速制御方法が行われることによって、駆動周波数fdが変動している。これにより、ショットブラスト機の稼働開始時から時間が経過しても、風速Win及び風速Woutは、略一定の範囲内で安定している。このため、粉塵の排出量の積算値Dの増加率は、時間が経過しても略一定である。これは、分級装置の分級能力が安定していることを表している。
【0056】
以上説明した分級装置40においては、集塵機44によって生成された気流Fを用いて粉粒体群が選別され、導入口41aを通って選別機構41内に流入する外気の風速の計測値が制御範囲R内に維持されるように、風速制御が行われる。上記計測値が制御範囲R内に維持されることによって、選別機構41内における気流Fの速度(風速)の変動が抑えられるので、分級精度の低下を抑制することが可能となる。集塵機44によって生成される気流Fを利用して粉粒体群を選別することで、集塵と同時に選別を行うことができる。
【0057】
分級装置40においては、制御装置46は、ファンモータ53の回転速度を変更することによって風速制御を行っている。ファンモータ53の回転速度が大きくなると、選別機構41内における気流Fの風速が上昇し、ファンモータ53の回転速度が小さくなると、選別機構41内における気流Fの風速が降下する。したがって、ファンモータ53の回転速度を変更することで、風速制御を実現することができる。
【0058】
選別機構41内では気流Fに粉粒体が混在しているので、仮に計測器45が選別機構41の内部に設けられたとすると、粉粒体によって計測器45が故障するおそれがある。これに対して、分級装置40においては、計測器45は、導入口41aに設けられ、導入口41aから選別機構41内に流入する外気の風速を計測する。外気には粉粒体が含まれていないので、粉粒体によって計測器45が故障することを回避することができる。
【0059】
気流Fの風速は変動しやすいので、計測値が一時的に制御範囲R外になることがある。このような場合に、風速制御が行われると、風速制御が頻繁に行われ、計測値を制御範囲R内に安定的に維持することができないことがある。これに対し、分級装置40においては、制御装置46は、計測値が制御範囲R外である状態が、検知時間Tdの間継続したことに応じて、風速制御を行う。この構成では、計測値が継続的に制御範囲R外である場合に風速制御が行われるので、風速制御が頻繁に行われる事態を回避することができ、計測値を制御範囲R内に安定して維持することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0060】
風速制御を実施してから、気流Fの風速が安定するまでにある程度の時間を要する。このため、風速制御を実施した直後では、依然として計測値が制御範囲R外にとどまることがある。このような場合に、風速制御が行われると、風速制御が頻繁に行われ、計測値を制御範囲R内に安定的に維持することができないことがある。これに対し、分級装置40においては、制御装置46は、風速制御が終了してから待機時間Twが経過するまで、風速制御を停止する。この構成では、風速制御が終了してから気流Fの風速が安定するまで風速制御が停止され得るので、風速制御が頻繁に行われる事態を回避することができ、計測値を制御範囲R内に安定して維持することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0061】
ショット処理装置1では、投射材を加工対象物に投射することによってショット処理が行われ、ショット処理によって生じた粉粒体群が分級装置40に供給され、粉粒体群から再利用可能な投射材が選別されて投射装置20に供給される。ショット処理では、加工に適した粒度分布の投射材を用いることにより、ショット処理の効率を向上させることができる。投射材が繰り返し使用されることによって、投射材には割れ、欠け、及び摩耗等が生じ得る。ショット処理装置1では、分級精度の低下を抑制可能な分級装置40が用いられるので、粉粒体群からショット処理に寄与しない投射材を精度良く除外することができる。したがって、適切な粒度分布を持つ投射材が連続的に投射装置20に供給され得る。その結果、ショット処理の効率を向上させることが可能となる。適切な粒度分布を持つ投射材が用いられることで、複数の加工対象物を同一品質で加工することが可能となる。
【0062】
なお、本開示に係る分級装置及びショット処理装置は上記実施形態に限定されない。
【0063】
例えば、砂落としでは、処理初期には鋳物から付着砂が除去されるので、ショット処理によって生じる粉粒体には、大量の付着砂が混入する。処理中期以降は鋳物表面の研磨及び研掃が主となるので、粉粒体に混入する付着砂は少なくなり、表面の切削粉及びショットの破砕物が粉粒体に混入し得る。これらの工程において、同一の制御範囲Rが用いられたとすると、初期においては、付着砂の除去が不十分なまま、投射材が循環使用され、中期以降においては、再利用可能な投射材が廃棄されるおそれがある。したがって、制御範囲Rは、ショット処理の工程ごとに、その目的に応じて設定(変更)されてもよい。操作者が制御範囲Rの設定及び変更を行ってもよく、工程ごとに予め設定された制御範囲Rが切り替えられてもよい。例えば、粉塵の発生が少ないときに、集塵機44の運転動力を抑えることができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0064】
上記実施形態では、選別機構41は垂直対向エアー流型のセパレータであるが、選別機構41は別のセパレータであってもよい。図7を参照しながら、選別機構41の別の例を説明する。図7は、図1に示される選別機構の別の例を概略的に示す図である。図7に示される選別機構41は、水平直角エアー流型のセパレータであり、供給部71と、チャンバー72と、を含む。
【0065】
供給部71は、バケットエレベータ33から供給された粉粒体群をチャンバー72に供給する供給経路を画定する部分である。供給部71の一部は、チャンバー72の内部に設けられている。供給部71は、グレート71aと、ゲート71bと、振れ板71cと、飛散防止シート71dと、を含む。
【0066】
グレート71aは、バケットエレベータ33の搬出口33aの下方に設けられ、粉粒体群から異物を除去するためのメッシュ状の板材である。グレート71aの網目(貫通孔)の大きさは、投射材が通過可能な大きさである。ゲート71bは、粉粒体群の流量を調整するための部材である。ゲート71bは、チャンバー72の内部に設けられ、グレート71aの下方に位置する。ゲート71bは、下方に向かうにつれて粉粒体群の供給経路を狭めるように傾斜している。
【0067】
振れ板71cは、粉粒体群の流れを均一化するための部材である。振れ板71cは、チャンバー72の内部に設けられ、ゲート71bよりも供給経路の下流に位置する。振れ板71cは、粉粒体群が供給されていない状態では、粉粒体群の供給経路を狭め、粉粒体群が供給されている状態では、粉粒体群の供給経路を広げる。飛散防止シート71dは、チャンバー72の内部に設けられ、チャンバー72の上壁から垂下されている。飛散防止シート71dは、グレート71a、ゲート71b、及び振れ板71cを順に通過した粉粒体群の飛散を防止するための部材である。
【0068】
チャンバー72は、チャンバー72の上部に、水平方向において互いに向かい合う側壁72aと側壁72bとを有している。側壁72aと側壁72bとの間には、チャンバー72の上壁から供給部71がチャンバー72の底部に向かって延びている。側壁72aは、下に向かうにつれてチャンバー72の内部空間を拡張するように傾斜している。側壁72aには導入口41aが設けられている。側壁72bには排出口41bが設けられている。チャンバー72の底部には、側壁72aから側壁72bに向かって、排出口72c,72d,72eがその順に設けられている。
【0069】
集塵機44が稼働することによって導入口41aから外気が吸入され、チャンバー72の内部では、導入口41aから排出口41bに向かって気流Fが生成される。気流Fの流路は、供給部71を避けるように、下方に湾曲している。この状態で、供給部71から粉粒体群が供給されると、気流Fによって粉粒体群には略水平方向の力が作用する。このとき、質量の重い粉粒体(例えば、再利用可能な投射材)は、導入口41aの近傍で落下し、排出口72cを通って投射材タンク21に供給される。質量の軽い粉粒体は、気流Fによって排出口41bに向けて運ばれる。
【0070】
気流Fは供給部71の下方を通過すると、上昇しながら排出口41bに向かう。このとき、気流Fによって運ばれた粉粒体群の中から、比較的質量の重い一部(投射材と微粉との混合物)が気流Fから離脱して排出口72dから排出され、不図示のオーバーフロータンクに供給される。オーバーフロータンクに供給された粉粒体群は、選別機構41に再度供給される。さらに残った粉粒体群の中から、比較的質量の重い一部(微粉)が気流Fから離脱して排出口72eから排出される。一方、残りの質量の軽い粉塵が気流Fとともに排出口41bから導管42を通って集塵機44に収集される。
【0071】
計測器45は、気流Fの風速の変化が反映される物理量の計測値を計測すればよく、計測器45の配置及び計測器45の種類は適宜変更され得る。制御範囲Rは、計測される物理量の種類に応じて適宜設定される。例えば、計測器45は、排気口51bに設けられてもよい。具体的には、計測器45は、集塵機44の外部に設けられ、排気口51bから排出されるクリーンエアーの風速を計測してもよい。この場合、クリーンエアーの風速の計測値が所定の制御範囲R内に維持されるように、風速制御が行われる。集塵機44には、選別機構41からの気流だけでなく、キャビネット10からの気流も流れ込む。このため、排気口51bから排出されるクリーンエアーの風速は、選別機構41内の気流Fの風速よりも大きくなるものの、クリーンエアーの風速には選別機構41内の気流Fの風速が反映される。したがって、上記計測値が制御範囲R内に維持されることによって、選別機構41内における気流Fの速度(風速)の変動が抑えられるので、分級精度の低下を抑制することが可能となる。さらに、集塵機44では、粉粒体(粉塵)が除去されたクリーンエアーが排気口51bから排出される。したがって、クリーンエアーには粉粒体が含まれていないので、粉粒体によって計測器45が故障することを回避することができる。
【0072】
計測器45は、導入口41aと排気口51bとの両方に設けられてもよい。制御装置46は、それぞれの計測値が各制御範囲R内に維持されるように、風速制御を行ってもよい。
【0073】
上記実施形態では、制御装置46は、風速制御専用の制御装置であるが、制御装置46は、ショット処理装置1を統括制御してもよい。
【0074】
制御装置46は、予め定められた作動時間を掛けて段階的に風速制御を行ってもよい。この場合、選別機構41内の気流Fの風速が徐々に変化するので、気流Fの乱れを抑制することができる。その結果、分級精度の低下を一層抑制することが可能となる。
【0075】
上記実施形態では、制御装置46は、ファンモータ53の回転速度を変更することによって風速制御を行っているが、風速制御の実現方法はこれに限られない。図8を参照しながら、風速制御の別の実現方法について説明する。図8は、風速制御を実現するための別の構成例を示す図である。図8に示される構成例では、分級装置40は、ダンパ47(流量調整器)を更に含む。ダンパ47は、集塵機44による吸引力を調整するための装置である。ダンパ47は、選別機構41と集塵機44との間の流路(導管42)に設けられている。ダンパ47は、開度を調整可能に構成されている。
【0076】
図8に示される構成例では、制御装置46は、ダンパ47の開度を変更することによって風速制御を行う。ダンパ47の開度によって、選別機構41から集塵機44に向かう気流の流量が調整される。例えば、ダンパ47の開度が大きくなると、選別機構41から集塵機44に向かう気流の流量が増加するので、気流Fの風速が上昇する。ダンパ47の開度が小さくなると、選別機構41から集塵機44に向かう気流の流量が減少するので、気流Fの風速が降下する。したがって、ダンパ47の開度を変更することで、風速制御を実現することができる。
【0077】
制御装置46は、ファンモータ53の回転速度及びダンパ47の開度の両方を変更することによって、風速制御を行ってもよい。例えば、制御装置46は、まずファンモータ53の回転速度を変更し、ファンモータ53の回転速度が上限値又は下限値に達したことに応じて、ダンパ47の開度を変更してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…ショット処理装置、20…投射装置、30…回収装置、40…分級装置、41…選別機構、41a…導入口、42…導管、44…集塵機、45…計測器、46…制御装置、47…ダンパ(流量調整器)、51b…排気口、53…ファンモータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8