IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アッヴィ・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184489
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】抗CD19抗体薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20231221BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231221BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20231221BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 L
A61K31/573
A61P35/02
C12N15/13
C07K16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098262
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/366,520
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/488,302
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523221348
【氏名又は名称】アッヴィ・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョーウェイ・エイ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】イーサン・ディー・エンバリー
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン・ディー・ホブソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・シー・マービン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ダブリュ・パーセル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC50
4C076EE59
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB11
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZB07
4C086ZB27
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、抗CD19抗体薬物コンジュゲート(ADC)を、そのようなADCを使用する組成物及び方法も含め、提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、
は、水素又は-P(=O)(OH)であり、
nは、1~10の整数である)
を含む、抗CD19抗体薬物コンジュゲートであって、
抗体が、
CDR-H1ドメイン、CDR-H2ドメイン及びCDR-H3ドメインを含む重鎖可変領域、並びに
CDR-L1ドメイン、CDR-L2ドメイン及びCDR-L3ドメインを含む軽鎖可変領域
を含む抗CD19抗体であり、
CDR-H1が、アミノ酸配列GFTFTTYWIN(配列番号1)を含み、
CDR-H2が、アミノ酸配列NIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号2)を含み、
CDR-H3が、アミノ酸配列EDYYGSSSYYAMDY(配列番号3)を含み、
CDR-L1が、アミノ酸配列KASQDVGTAVA(配列番号4)を含み、
CDR-L2が、アミノ酸配列WASTRHT(配列番号5)を含み、及び
CDR-L3が、アミノ酸配列QQYSTYPLT(配列番号6)を含む、抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項2】
抗体が、IgG抗体である、請求項1に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項3】
抗体が、IgG1抗体である、請求項2に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項4】
抗体が、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号8として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項5】
抗体が、配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号10として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項6】
抗体が、脱フコシル化されたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項7】
が、-P(=O)(OH)である、請求項3又は4に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項8】
が、-Hである、請求項3又は4に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項9】
脱フコシル化が、ASN-300(EU:ASN-297)位におけるものである、請求項6~8のいずれか一項に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗CD19抗体薬物コンジュゲートの集団、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
抗体が、約70%以上、80%以上、90%以上又は約99%又は約100%脱フコシル化されたものである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体薬物コンジュゲートを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項13】
CDR-H1ドメイン、CDR-H2ドメイン及びCDR-H3ドメインを含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1ドメイン、CDR-L2ドメイン及びCDR-L3ドメインを含む軽鎖可変領域を含む抗CD19抗体であって、
CDR-H1が、アミノ酸配列GFTFTTYWIN(配列番号1)を含み、
CDR-H2が、アミノ酸配列NIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号2)を含み、
CDR-H3が、アミノ酸配列EDYYGSSSYYAMDY(配列番号3)を含み、
CDR-L1が、アミノ酸配列KASQDVGTAVA(配列番号4)を含み、
CDR-L2が、アミノ酸配列WASTRHT(配列番号5)を含み、及び
CDR-L3が、アミノ酸配列QQYSTYPLT(配列番号6)を含む、抗CD19抗体。
【請求項14】
配列番号7として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号8として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項13に記載の抗CD19抗体。
【請求項15】
配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項13に記載の抗CD19抗体。
【請求項16】
脱フコシル化されたものである、請求項13~15のいずれか一項に記載の抗CD19抗体。
【請求項17】
脱フコシル化が、ASN-300(EU:ASN-297)位におけるものである、請求項16に記載の抗CD19抗体。
【請求項18】
以下の構造:
【化2】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、
は、-P(=O)(OH)であり、nは、2~8の整数である)
を含む抗CD19抗体薬物コンジュゲートであって、
抗体が、それぞれが配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列からなる2本の重鎖、及びそれぞれが配列番号10として記載されるアミノ酸配列からなる2本の軽鎖を含む抗CD19抗体であり、
抗体が、ASN-300(EU:ASN-297)位において脱フコシル化されたものである、
抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【請求項19】
nが、2、4、6又は8である、請求項18に記載の抗CD19抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、それらの開示全体があらゆる目的に関して参照により本明細書に組み込まれている、2022年6月16日に出願した米国仮特許出願第63/366,520号及び2023年3月3日に出願した米国仮特許出願第63/488,302号の利益及び優先権を主張するものである。
【0002】
2.配列表
本出願は、.xmlフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、配列表を含有する。前記.xmlコピーは、2023年3月3日に作成されたものであり、名称は350794.46710であり、サイズは20,903バイトである。
【0003】
3.技術分野
本出願は、とりわけ、新規の抗CD19抗体薬物コンジュゲート(ADC)及びそれを作出する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
4.背景
CD19は、B細胞マーカーであり、PI3Kなどの下流のタンパク質を活性化し、それにより、増殖性表現型をもたらす、B細胞受容体(BCR)複合体のコアクチベーターである。この機構に起因して、CD19は必須のB細胞抗原であり、CRISPR又はRNAiによってCD19発現を失わせると、正常なB細胞及びB細胞がん株が生存不可能になる。CD19は、B細胞悪性腫瘍(例えば、DLBCL、FL、CLL)にわたって高発現を有する、臨床的に検証された標的である。
【0005】
全身性グルココルチコイドがB細胞悪性腫瘍の治療に使用されている。これらの全身性ステロイドは、高用量において頑強な単独療法活性を有するが、慢性ステロイド関連毒性が生じる恐れがあり、投薬及び有効性の潜在性が限定されている。グルココルチコイドは、細胞内グルココルチコイド受容体(GR)に結合し、次いでそれが核に輸送され、そこでグルココルチコイド応答エレメント(GRE)に結合し、転写活性化を駆動することによって機能する。ステロイドに誘導される転写変化は、アポトーシス促進性タンパク質(例えば、BIM、BAX)のアップレギュレーション、抗アポトーシス性タンパク質(例えば、BCL2)の減少及び最終的にアポトーシス性がん細胞死をもたらすNFκB増殖シグナルの阻害を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、濾胞性リンパ腫(FL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を治療するためにグルココルチコイドモジュレーターを送達する作用剤が当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
5.要約
本発明は、グルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)アゴニストペイロードと連結した抗CD19抗体を介してB細胞を標的とする抗体薬物コンジュゲートを提供し、また、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、濾胞性リンパ腫(FL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を治療するための新規の手法を提供する。本明細書に記載の抗CD19 GRMアゴニストADCは、明確に異なる作用機構:(1)効力の高いグルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)アゴニストペイロードの標的化送達、(2)CD19シグナル伝達の阻害並びに(3)CD19抗体脱フコシル化による抗体依存性細胞傷害(antibody dependent cellular cytotoxicity)(ADCC)及び抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)などのFcエフェクター機能を有するように工学的に操作されたものである。従来の細胞傷害性ADCとは異なり、GRMペイロードは、細胞内グルココルチコイド受容体(GR)に結合し、次いでそれが核に輸送され、アポトーシス性調節因子のモジュレーションを含めた持続的なグルココルチコイド応答エレメント(GRE)関連転写事象を駆動し、それにより、ペイロードにより駆動されるアポトーシス細胞死をもたらすアゴニストである。ADCCは、B細胞悪性腫瘍における高度に有効な機構である。ある実施形態では、ADCの抗CD19抗体は、GRMアゴニストペイロードとのコンジュゲーション後にADCC活性の増大が維持されるように工学的に操作される。分子をこのように工学的に操作することにより、抗CD19 GRMアゴニストADCが、頑強な単一作用剤活性を有し、種々のB細胞悪性腫瘍に対する著しい臨床的有用性をもたらすように設計された多様式の抗体薬物コンジュゲートになる。
【0008】
ある特定の態様では、本発明は、以下の構造:
【0009】
【化1】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、
は、水素又は-P(=O)(OH)であり、
nは、1~10の整数である)
を含む抗CD19抗体薬物コンジュゲートであって、
抗体が、
CDR-H1ドメイン、CDR-H2ドメイン及びCDR-H3ドメインを含む重鎖可変領域、並びに
CDR-L1ドメイン、CDR-L2ドメイン及びCDR-L3ドメインを含む軽鎖可変領域
を含む抗CD19抗体であり、
CDR-H1が、アミノ酸配列GFTFTTYWIN(配列番号1)を含み、
CDR-H2が、アミノ酸配列NIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号2)を含み、
CDR-H3が、アミノ酸配列EDYYGSSSYYAMDY(配列番号3)を含み、 CDR-L1が、アミノ酸配列KASQDVGTAVA(配列番号4)を含み、
CDR-L2が、アミノ酸配列WASTRHT(配列番号5)を含み、及び
CDR-L3が、アミノ酸配列QQYSTYPLT(配列番号6)を含む、抗CD19抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0010】
6.図面の簡単な説明
本特許又は出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、要請し、必要な料金を支払えば、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】GRMペイロードの、承認済みの低分子ステロイド(デキサメタゾン及びプレドニゾロン)と比較したインビトロ細胞傷害性アッセイを示す図である。5日間化合物で処理した後の、ビヒクル対照と比べたRS4;11の%細胞生存率が示されている。各化合物のEC50が表に要約されている。
図2】CD19 mAbがCD19のリソソームへの内部移行を誘導することを示す写真である。RS4;11における、CD19 mAbによる処理後のCD19受容体のリソソーム区画への局在を示す免疫蛍光染色である。LAMP-1がリソソーム区画のマーカーとして使用される。
図3】ADC-1がグルココルチコイド応答エレメント(GRE)ルシフェラーゼレポーターの転写活性化を誘導することを示すグラフである。ヒトCD19を発現するK562細胞をADC-1で72時間処理した。%最大GRE活性化は、各濃度におけるGRE発光シグナルを333nMにおけるGRE発光シグナルで割ることによって算出される。
図4A】インビトロにおいてCD19 mAbがDLBCL細胞増殖及びAKT活性化を阻害することを示す図である。アイソタイプ又はCD19 mAbを用いた5日間の処理後の、ビヒクル対照と比べたSU-DHL-6の%生存率。
図4B】インビトロにおいてCD19 mAbがDLBCL細胞増殖及びAKT活性化を阻害することを示す図である。SU-DHL-6細胞をアイソタイプ又はCD19 mAbで1時間処理し、次いで、1μg/mlの抗IgMを用いて示されている時間にわたって刺激した後、細胞溶解を行った。AKTのS473のリン酸化を免疫ブロッティングによって検出し、GAPDHをローディング対照として使用する。
図5A】CD19 mAb及びADC-1が、FcγRIIIa V158及びF158アロタイプを発現するJurkatレポーター細胞におけるNFAT活性化を誘導することを示すグラフである。A及びB、Raji細胞を、用量設定した抗体又はADCで処理し、V158(A)及びF158(B)FcγRIIIaバリアントを発現するJurkat細胞と共インキュベートした。4時間(A)又は16時間(B)インキュベートした後の発光シグナルが示されている。
図5B】CD19 mAb及びADC-1が、FcγRIIIa V158及びF158アロタイプを発現するJurkatレポーター細胞におけるNFAT活性化を誘導することを示すグラフである。A及びB、Raji細胞を、用量設定した抗体又はADCで処理し、V158(A)及びF158(B)FcγRIIIaバリアントを発現するJurkat細胞と共インキュベートした。4時間(A)又は16時間(B)インキュベートした後の発光シグナルが示されている。
図6A】CD19 mAb及びADC-1がex vivoにおけるPMBC共培養ADCCアッセイにおいてB細胞悪性腫瘍細胞株に対するADCCを誘導することを示すグラフである。A~C、RS4;11(A)、Raji(B)及びKARPAS422(C)を用量設定した抗体又はADCと一緒にインキュベートし、初代PBMCとエフェクター標的比(E:T)20:1で4時間、共インキュベートする。細胞の%特異的溶解を無処理の試料に対して算出した。
図6B】CD19 mAb及びADC-1がex vivoにおけるPMBC共培養ADCCアッセイにおいてB細胞悪性腫瘍細胞株に対するADCCを誘導することを示すグラフである。A~C、RS4;11(A)、Raji(B)及びKARPAS422(C)を用量設定した抗体又はADCと一緒にインキュベートし、初代PBMCとエフェクター標的比(E:T)20:1で4時間、共インキュベートする。細胞の%特異的溶解を無処理の試料に対して算出した。
図6C】CD19 mAb及びADC-1がex vivoにおけるPMBC共培養ADCCアッセイにおいてB細胞悪性腫瘍細胞株に対するADCCを誘導することを示すグラフである。A~C、RS4;11(A)、Raji(B)及びKARPAS422(C)を用量設定した抗体又はADCと一緒にインキュベートし、初代PBMCとエフェクター標的比(E:T)20:1で4時間、共インキュベートする。細胞の%特異的溶解を無処理の試料に対して算出した。
図7A】ADC-1が、単球由来マクロファージとの共培養下のB細胞悪性腫瘍細胞株の抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を誘導することを示すグラフである。A及びB、CFSE標識されたNuDHL1細胞(A)及びRaji細胞(B)を200nMの示されている作用剤で処理し、単球由来マクロファージと3時間共培養した。CD68+を成熟マクロファージのマーカーとして使用し、ファゴサイトーシス指数は、総成熟マクロファージ(CD68+)ゲートのうちの貪食された標的細胞(CFSE+CD68+)のパーセンテージを表す。
図7B】ADC-1が、単球由来マクロファージとの共培養下のB細胞悪性腫瘍細胞株の抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を誘導することを示すグラフである。A及びB、CFSE標識されたNuDHL1細胞(A)及びRaji細胞(B)を200nMの示されている作用剤で処理し、単球由来マクロファージと3時間共培養した。CD68+を成熟マクロファージのマーカーとして使用し、ファゴサイトーシス指数は、総成熟マクロファージ(CD68+)ゲートのうちの貪食された標的細胞(CFSE+CD68+)のパーセンテージを表す。
図8AB】様々な用量のADC-1による、免疫無防備状態のマウスにおける異種移植されたびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(OCI-LY19及びSU-DHL-6)の成長阻害を示すグラフである。A及びB、ADC-1の腹腔内(IP)投与による、CB17/SCIDマウス(A)及びSU-DHL-6(B)細胞において成長させた異種移植されたOCI-LY19腫瘍の成長阻害。ランダム化及び投薬後、皮下腫瘍の体積を時間に応じてプロットした。皮下腫瘍(平均腫瘍体積117~205mm)を有するマウスにおける、SCID-beigeマウスにおいて成長させたOCI-LY19腫瘍(A)及びSU-DHL-6腫瘍(B)の、ADC-1、アイソタイプ-GRM、huCD19抗体、アイソタイプ抗体を種々の用量レベル(用量1~5、用量2は用量1の用量の3倍であり、用量3は用量1の用量の10倍であり、用量4は用量1の用量の30倍であり、用量5は用量1の用量の50倍である)で単回投薬(QD×1)として投与することによる成長阻害について試験した。GRM-SMは複数回の1日用量(QD×5)3として投与した。曲線上の各点は、7つ(SU-DHL-6)又は8つ(OCI-LY19)の腫瘍の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。
図9】様々な用量のADC-1による、異種移植された急性リンパ芽球性白血病(RS4;11)の成長阻害を示すグラフである。ADC-1の投与による、異種移植されたRS4;11腫瘍(免疫無防備状態のCB17/SCIDマウス)の成長阻害。ランダム化及び投薬後、皮下腫瘍の体積を時間に応じてプロットした。皮下腫瘍(平均腫瘍体積118mm)を有するマウスにおける、異種移植されたRS4;11細胞の、ADC-1、アイソタイプ-GRMを、様々な用量(用量1及び用量2、用量2は用量1の用量の2倍である)で単回投薬(QD×1)として投与することによる成長阻害を試験した。曲線上の各点は、5つの腫瘍の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。
図10A】ヒト化免疫適格huCD34+NSG huIL-15マウスにおける、様々な用量のADC-1による異種移植されたびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫細胞(OCI-LY19)の成長阻害を示すグラフである。A、アイソタイプmAb、CD19 mAb及びADC-1のIP投与による、異種移植されたOCI-LY19腫瘍の成長阻害。ADC-1を種々の用量レベル(用量1~3、用量2は用量1の用量の3倍であり、用量3は用量1の用量の10倍である)で単回投薬(QD×1)として投与した。曲線上の各点は、4つ又は5つの腫瘍の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。B、示されている時点で得た尾静脈採血からのヒトB細胞及びヒトNK細胞のフローサイトメトリーデータ。曲線上の各点は、4匹又は5匹の動物の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準偏差を示す。
図10B】ヒト化免疫適格huCD34+NSG huIL-15マウスにおける、様々な用量のADC-1による異種移植されたびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫細胞(OCI-LY19)の成長阻害を示すグラフである。A、アイソタイプmAb、CD19 mAb及びADC-1のIP投与による、異種移植されたOCI-LY19腫瘍の成長阻害。ADC-1を種々の用量レベル(用量1~3、用量2は用量1の用量の3倍であり、用量3は用量1の用量の10倍である)で単回投薬(QD×1)として投与した。曲線上の各点は、4つ又は5つの腫瘍の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。B、示されている時点で得た尾静脈採血からのヒトB細胞及びヒトNK細胞のフローサイトメトリーデータ。曲線上の各点は、4匹又は5匹の動物の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準偏差を示す。
図11】ADC-1が、高用量のCD19 mAb、プレドニゾロン単独及びCD19 mAbとプレドニゾロンの組合せと比較して優れた抗腫瘍活性を誘導することを示すグラフである。示されている処置の投与による、CB17/SCIDマウスにおける異種移植されたRS4;11腫瘍の成長阻害。ランダム化及び投薬後、皮下腫瘍の体積を時間に応じてプロットした。本試験ではフコシル化mAb及びADC-1を使用した。種々の用量レベルを使用した(用量1~3、用量2は用量1の用量の10倍であり、用量3は用量1の用量の33+1/3倍である)。曲線上の各点は、5つの腫瘍の平均値を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。
図12A】ADC-1が、プレドニゾロン又はアイソタイプGRM対照と比較して、B細胞悪性腫瘍の複数の異種移植モデルにおいてインビボで抗腫瘍活性を示すことを示すグラフである。A~C、DB(A)、SUPB15(B)及びRS4;11(C)異種移植モデルを示されている作用剤で処置した。様々な用量を使用した(用量1~5、用量2は用量1の用量の3+1/3倍であり、用量3は用量1の用量の6+2/3倍であり、用量4は用量1の用量の10倍であり、用量5は、用量1の用量の33+1/3倍である)。各異種移植腫瘍モデルについてのマウス系統及びCD19のインビトロ細胞表面コピー数が示されている通り列挙されている。
図12BC】ADC-1が、プレドニゾロン又はアイソタイプGRM対照と比較して、B細胞悪性腫瘍の複数の異種移植モデルにおいてインビボで抗腫瘍活性を示すことを示すグラフである。A~C、DB(A)、SUPB15(B)及びRS4;11(C)異種移植モデルを示されている作用剤で処置した。様々な用量を使用した(用量1~5、用量2は用量1用量の3+1/3であり、用量3は用量1の用量の6+2/3倍であり、用量4は用量1の用量の10倍であり、用量5は、用量1の用量の33+1/3倍である)。各異種移植腫瘍モデルについてのマウス系統及びCD19のインビトロ細胞表面コピー数が示されている通り列挙されている。
図13A】10例のDLBCL患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいて観察された抗腫瘍有効性。胚中心B細胞様(GCB)及び非GCB DLBCL患者由来のPDXモデルをNOD-SCIDマウスに埋め込み、腫瘍が約200mmに達したところでランダム化した。マウスをADC-1(用量3、I.P)の単回投薬で処置し、対照で処置したPDXと比べて腫瘍成長をモニタリングした。デルタ%TGI最大=1-(X日目の処置群の腫瘍体積-ランダム化時点での処置群の腫瘍体積)/(X日目の対照の腫瘍体積-ランダム化時点での対照の腫瘍体積)]*100として示される腫瘍成長阻害。処置群と対照群の差異が最大になった時に決定した。腫瘍退縮(応答者):>105%デルタTGI最大-応答あり/なし。
図13B】10例のDLBCL患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいて観察された抗腫瘍有効性。胚中心B細胞様(GCB)及び非GCB DLBCL患者由来のPDXモデルをNOD-SCIDマウスに埋め込み、腫瘍が約200mmに達したところでランダム化した。マウスをADC-1(用量3、I.P)の単回投薬で処置し、対照で処置したPDXと比べて腫瘍成長をモニタリングした。[(時点での腫瘍体積/ランダム化時点での腫瘍体積)-1]×100によって算出される、ビヒクル対照腫瘍が1000mmに達した時点での腫瘍体積の変化(%)。
図14A】R-CHOP再発PDXモデルにおいて観察された抗腫瘍有効性を示すグラフである。R-CHOP再発患者(4サイクルの処置を受けた)に由来するDLBCL患者由来のPDXモデルをNOD-SCIDマウスに埋め込み、腫瘍が約200mmに達したところでランダム化した。マウスを、ADC-1又はCD19抗体を用量3(I.P)で用い、単回投薬で処置し、対照で処置したPDXと比べて腫瘍成長をモニタリングした。GCB DLBCLを有し、R-CHOP治療で再発(4サイクル)し、イブルチニブでわずかな均衡状態の38歳男性に由来するPDXモデルLY-24-0207。
図14B】R-CHOP再発PDXモデルにおいて観察された抗腫瘍有効性を示すグラフである。R-CHOP再発患者(4サイクルの処置を受けた)に由来するDLBCL患者由来のPDXモデルをNOD-SCIDマウスに埋め込み、腫瘍が約200mmに達したところでランダム化した。マウスを、ADC-1又はCD19抗体を用量3(I.P)で用い、単回投薬で処置し、対照で処置したPDXと比べて腫瘍成長をモニタリングした。活性化B細胞(ABC)DLBCL、R-CHOP治療で再発(4サイクル)、イブルチニブに対して抵抗性の59歳男性に由来するPDXモデルLY-24-0016。
図15】GRM及びADC-1がDLBCL細胞株におけるアポトーシスを誘導することを示す図である。Farage細胞、SU-DHL-6細胞、OCI-LY19細胞をGRM又はADC-1で示されている時間にわたって処理した後、細胞溶解を行った。溶解物をSDS-PAGEで分離し、アポトーシス促進性調節因子BIM及びアポトーシス誘導のマーカー(切断型カスパーゼ-3、切断型PARP)に対する抗体を用いて免疫ブロッティングを行った。矢印は、アポトーシス性切断産物を示す。GAPDHをローディング対照として使用した。
図16】ADC-1が、LC-MSトータルイオン(A280)クロマトグラムを低減させることを示すグラフである。LC=軽鎖、LC+2=軽鎖+2つの遊離のチオール、DL(X)=薬物リンカー(付着数)、HC G0=G0グリカンを有する重鎖。
【発明を実施するための形態】
【0012】
7.詳細な説明
本開示は、抗CD19抗体と連結したグルココルチコイド受容体モジュレーターアゴニストを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。
7.1.CD19抗体
CD19は、DLCB、FL、CLL及びALLを含む大多数のB細胞悪性腫瘍における発現レベルが高いので、B細胞起源のがんに対する魅力的な免疫療法標的である。B細胞及びCD19陽性がん細胞の表面に発現されるCD19に特異的に結合し、それによりCD19シグナル伝達を阻害するヒト化抗CD19抗体を開発した。ある実施形態では、抗体は、2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域で構成される。各可変領域に3つのCDRが存在し、それにより抗体がCD19に結合することが可能になる。可変鎖の両方に、合計で6つの異なるCDRが存在する。さらに、抗体は、免疫グロブリンクラスG1(IgG1)のヒトFcを含むヒト重鎖定常領域を含有する。本明細書に記載の抗CD19抗体は、フコシル化されたもの又は脱フコシル化されたものであり得、インビトロ機能性、免疫安全性及び薬物様特性を示す。
【0013】
ある特定の実施形態では、本発明の脱フコシル化抗体は、免疫細胞上に発現されるある特定のFcγR受容体に対してより高い親和性を有する。例として、脱フコシル化IgG1抗体は、その抗体のフコシル化形態と比較して、NK細胞上に発現されるFcγRIIIAに対する結合性が増大し、その結果、精製されたナチュラルキラー細胞又は末梢血単核細胞(PBMC)ADCCアッセイにおける活性が増強される。抗CD19抗体のADCC活性は、当技術分野で公知のADCCバイオアッセイ技法を使用して実証され得る。例えば、ヒトFcγRIIIa V158又はF158対立遺伝子バリアントレポーター株に対するADCCレポーターバイオアッセイを使用することができる(実施例3を参照されたい)。
【0014】
種々の実施形態では、抗体は、抗体の定常領域の全部又は一部を含む。一部の実施形態では、定常領域は、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)及びIgMから選択されるアイソタイプである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD19抗体は、IgG1を含む。本明細書で使用される場合、抗体の「定常領域」は、天然の定常領域、アロタイプ又はバリアントを包含する。
【0015】
抗CD19抗体の軽鎖定常領域は、軽鎖カッパ(κ)領域又はラムダ(λ)領域であってよい。軽鎖λ領域は、公知の亜型、例えば、λ1、λ2、λ3又はλ4のうちの任意の1つであってよい。一部の実施形態では、抗CD19抗体は、軽鎖カッパ(κ)領域を含む。
【0016】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ハイブリドーマ技術によって産生された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、任意の真核生物クローンを含めた、単一のクローンに由来するものである。
【0017】
「キメラ」抗体という用語は、本明細書で使用される場合、ラット又はマウス抗体などの非ヒト免疫グロブリンに由来する可変配列及び一般にはヒト免疫グロブリン鋳型から選択されるヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体を指す。
【0018】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、少なくとも1つ、一般には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのCDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体は、一般にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含み得る。
【0019】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を包含し、また、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体、又は1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、内因性の機能的な免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体を包含する。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用したファージディスプレイ法を含めた当技術分野で公知の種々の方法によって作出され得る。
【0020】
本開示の抗CD19抗体は、全長の(インタクトな)抗体分子を包含する。
【0021】
抗CD19抗体は、その配列が、少なくとも1つの、定常領域に媒介される生物学的エフェクター機能が変更されるように改変された抗体であり得る。例えば、本明細書に記載の抗CD19抗体は、改変されていない抗体と比べて、少なくとも1つの、定常領域に媒介される生物学的エフェクター機能が獲得又は改善されるように、例えば、FcγR相互作用が増強されるように(例えば、米国特許出願第2006/0134709号、米国特許第8,642,292B2号を参照されたい)又はADCCを媒介する抗体の能力が増強されるように、改変された抗体を包含する。例えば、本開示の抗CD19抗体は、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA及び/又はFcγRIIIBに、対応する改変されていない定常領域よりも大きな親和性で結合する定常領域を有し得る。本開示の抗CD19抗体は、改変されたFc領域を有し、増強されたADCC応答を媒介するものであり得、ここで、ADCC応答は、同じ可変領域(すなわち、VH及びVL)並びに野生型IgG1 Fc領域(すなわち、野生型CL、CH1、CH2及びCH3)を有する抗体を基準として増強されたものである。ヒトCD19に対する高い親和性を有する抗CD19抗体は、治療及び診断への使用に望ましいものであり得る。したがって、本開示は、ヒトCD19に対する高い結合親和性を有する抗体を意図するものである。特定の実施形態では、抗CD19抗体は、ヒトCD19に約15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM又は0.1nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトCD19に約0.1nM~約10nMの範囲の親和性で結合する。
【0022】
一部の実施形態では、本発明は、6つの異なる相補性決定領域(CDR)2セット、2つの異なる可変領域2セット、完全な重鎖2本及び完全な軽鎖2本を含むモノクローナル抗CD19抗体を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、抗体は、ヒトCD19に結合する、組換え、脱フコシル化、ヒト化、IgG1カッパモノクローナル抗体である。
【0024】
ある実施形態では、抗体は、以下の配列を含む、6つのCDRを含む:
【0025】
【化2】
【0026】
一部の実施形態では、本開示の抗体は、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H3、配列番号4として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号5として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L2、及び配列番号6として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0027】
一部の実施形態では、本開示の抗体は、配列番号7:
【0028】
【化3】
として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8として示されるアミノ酸配列:
【0029】
【化4】
を含む軽鎖可変領域を含む。
【0030】
一部の実施形態では、本開示の抗体は、配列番号9として示されるアミノ酸配列を含む又は配列番号9として示されるアミノ酸配列からなる重鎖(定常領域は標準の文字列であり、可変重ドメインには下線が引かれており、CDRは、下線が引かれた太字のイタリック体であり(それぞれ、出現順に配列番号1~3と開示される)、N-結合型グルコシル化部位が下付き文字「g」で示されている):
【0031】
【化5】
並びに配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む又は配列番号10として示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(定常領域は標準の文字列であり、可変軽ドメインには下線が引かれており、CDRは、下線が引かれた太字のイタリック体である(それぞれ、出現順に配列番号4~6と開示されるCDR配列)):
【0032】
【化6】
を含む。
【0033】
ある実施形態では、本開示の抗体は、配列番号10による軽鎖及び配列番号11による重鎖を含む又はそれからなり、これは、C末端リシンが短縮された配列番号9のアミノ酸配列である:
【0034】
【化7】
【0035】
ある実施形態では、抗体は、配列番号9又は配列番号11に記載の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10による軽鎖アミノ酸配列を有するCD19 mAbである。
【0036】
一実施形態では、本開示の抗体重鎖は、以下のヌクレオチド配列(配列番号12として開示される全長の配列)によってコードされる。
【0037】
【化8】
【0038】
分泌シグナルペプチドがイタリック体になっており、最終的な終止コドン(TGA)を含み、定常領域が太字になっており、CDRに下線が引かれている。
【0039】
一実施形態では、本開示の抗体の軽鎖は、以下のヌクレオチド配列(配列番号13として開示される全長の配列)によってコードされる:
【0040】
【化9】
【0041】
分泌シグナルペプチドがイタリック体になっており、最終的な終止コドン(TGA)を含み、定常領域が太字になっており、CDRに下線が引かれている。
【0042】
一部の実施形態では、抗体は、ヒトCH1、ヒトヒンジ、ヒトCH2及びヒトCH3ドメインを含むヒト重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、コードされる重鎖定常領域は、Fc部分を含み、ここで、Fc部分は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はIgMアイソタイプである。ある実施形態では、FcはIgG1であり、アロタイプはz、非aである。ある実施形態では、軽鎖はカッパ軽鎖である。
【0043】
一部の実施形態では、抗体は、脱フコシル化されたIgG1 Fc定常領域を含む。脱フコシル化は、当技術分野で公知の技法によって実施され得る。例えば、Mol Cancer Ther(2020)19(5):1102-1109)及びPNAS(2013)110(14)5404~5409を参照されたい。例えば、例えばGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼの欠乏に起因してGDP-フコース形成に欠陥がある細胞株における抗体の産生;フコシルトランスフェラーゼのレベルが低下している細胞における抗体の産生;GDP-フコース輸送体のレベルが低下している細胞における抗体の産生;β-1,4-マンノシル-糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT-III)を過剰発現する細胞における抗体の産生;又は細菌GDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキスロースレダクターゼ(RMD)を発現する細胞における抗体の産生。ある実施形態では、本発明の脱フコシル化抗CD19抗体を産生させるために使用される細胞は、シュードモナス(Pseudomonas)RMDを発現するように工学的に操作されたCHO細胞である。抗体の脱フコシル化の程度は、当技術分野で公知の技法によって決定され得る。一般には、抗体は、70%以上、80%以上、90%以上又は約99%又は約100%脱フコシル化されたものである。脱フコシル化の程度は、90%以上であることが好ましい。一部の実施形態では、抗体は、ASN-300(EU:ASN-297)位において70%以上、80%以上、90%以上又は約100%脱フコシル化されたものである。脱フコシル化は、脱フコシル化の程度が断片化抗体の極性依存性分離によって決定される親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)アッセイ技法によって決定され得る。
【0044】
ある実施形態では、総脱フコシル化グリカン種は、放出されたN結合型グリカンを、蛍光検出を用いたHILICによって分析することによって決定される。グリカンをペプチドN-グリコシダーゼF(PNGaseF)を使用して放出させ、続いて、蛍光タグで標識する。蛍光標識されたN結合型グリカンを、蛍光検出を用いたHILICによって分析する。パーセント脱フコシル化グリカン種を、クロマトグラムにおける全てのグリカンピークの総ピーク面積に対する全ての脱フコシル化グリカンピークのピーク面積の合計に基づいて決定する。相対的存在量が0.5%以上の全てのピークをパーセント脱フコシル化グリカン種の決定に含める。
【0045】
本開示は、抗CD19抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子をコードするポリヌクレオチド分子、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター及び本開示の抗CD19抗体を産生することが可能な宿主細胞を包含する。
【0046】
本開示の抗CD19抗体は、宿主細胞における免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子の組換え発現によって調製され得る。抗体を組換えによって発現させるために、宿主細胞に抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖をコードするDNA断片を有する1つ以上の組換え発現ベクターをトランスフェクトし、その結果、軽鎖及び重鎖が宿主細胞において発現され、任意選択的に、宿主細胞が培養されている培地中に分泌され、その培地から抗体を回収することができる。
【0047】
そのような抗CD19抗体をコードするポリヌクレオチドを生成するために、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域をコードするDNA断片をまず得る。これらのDNAは、生殖細胞系列DNA又は軽鎖及び重鎖可変配列をコードするcDNAを、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、増幅及び改変することによって得られ得る。
【0048】
抗CD19抗体に関連するVH及びVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を全長の抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に変換するために、標準の組換えDNA技法によってさらに操作され得る。これらの操作では、VL又はVHをコードするDNA断片は、抗体定常領域又は柔軟なリンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。「作動可能に連結」という用語は、これに関連して使用される場合、2つのDNA断片が、その2つのDNA断片にコードされるアミノ酸配列がインフレームのままになるように接合していることを意味するものとする。
【0049】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3及び任意選択的にCH4)をコードする別のDNA分子と作動可能に連結することによって全長の重鎖遺伝子に変換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91~3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準のPCR増幅によって得られ得る。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域であってよいが、ある特定の実施形態では、IgG1又はIgG4である。Fab断片重鎖遺伝子に関しては、VHをコードするDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子と作動可能に連結され得る。
【0050】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子と作動可能に連結することによって全長の軽鎖遺伝子(並びにFab軽鎖遺伝子)に変換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91~3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準のPCR増幅によって得られ得る。軽鎖定常領域はカッパ定常領域であってもラムダ定常領域であってもよいが、ある特定の実施形態では、カッパ定常領域である。
【0051】
本開示の抗CD19抗体を発現させるために、上記の通り得られた部分的な又は全長の軽鎖及び重鎖をコードするDNAが、発現ベクターに、遺伝子が転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結されるように挿入される。これに関連して、「作動可能に連結」という用語は、抗体遺伝子が、ベクター内に、ベクター内の転写及び翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するそれらの意図された機能を果たすようにライゲーションされることを意味するものとする。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子は、別々のベクターに挿入されてもよいが、より一般には、両方の遺伝子が同じ発現ベクターに挿入される。
【0052】
抗体遺伝子は、発現ベクターに標準の方法(例えば、抗体遺伝子断片とベクターの相補的な制限部位のライゲーション又は制限部位が存在しない場合には平滑末端ライゲーション)によって挿入される。発現ベクターは、抗CD19抗体に関連する軽鎖又は重鎖配列の挿入前に抗体定常領域配列をすでに有していてよい。例えば、抗CD19モノクローナル抗体に関連するVH及びVL配列を全長の抗体遺伝子に変換するための1つの手法は、それらのVH及びVL配列を、それぞれ重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をすでにコードする発現ベクターに、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるように挿入することである。それに加えて又はその代わりに、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードしていてよい。抗体鎖遺伝子は、ベクターに、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端に対してインフレームに連結されるようにクローニングされ得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドであってもよく、異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってもよい。
【0053】
抗体鎖遺伝子に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を有する。「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー及び抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を制御する他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。
【0054】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、追加的な配列、例えば、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製開始点)及び選択マーカー遺伝子を有してよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にするものである。軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターが標準の技法によって宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な形態は、外因性DNAを真核生物宿主細胞に導入するために一般に使用される多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含するものとする。
【0055】
ある特定の実施形態では、抗体の発現は、適当にフォールディングされており、免疫学的に活性な抗体が最適に分泌される真核細胞、例えば哺乳動物宿主細胞において実施される。本開示の組換え抗体を発現させるための例示的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えばKaufman及びSharp、1982、Mol.Biol.159:601~621に記載されているDHFR選択マーカーと共に使用される、Urlaub及びChasin、1980、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されているDHFR-CHO細胞を含む)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入される場合、抗体は、宿主細胞を、宿主細胞における抗体の発現又は宿主細胞を成長させている培養培地中への抗体の分泌を可能にするために十分な期間にわたって培養することによって産生される。宿主細胞はまた、インタクトな抗体の一部、例えばFab断片又はscFv分子を産生させるためにも使用され得る。上記の手順の変形形態が本開示の範囲内に入ることが理解される。例えば、宿主細胞に本開示の抗CD19抗体の軽鎖又は重鎖のいずれか(両方ではなく)をコードするDNAをトランスフェクトすることが望ましい場合がある。
【0056】
組換えDNA技術は、ヒトCD19への結合に必要ではない軽鎖及び重鎖のいずれか又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するためにも使用され得る。そのような短縮されたDNA分子から発現される分子も本開示の抗体に包含される。
【0057】
本開示の抗CD19抗体の組換え発現のために、宿主細胞に、2つの本開示の発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター及び軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを同時トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、同一の選択マーカーを含有してもよく、それぞれが別々の選択マーカーを含有してもよい。あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターが使用され得る。
【0058】
7.2.グルココルチコイド受容体モジュレーターと連結した抗CD19抗体
抗CD19抗体と連結したグルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)アゴニストを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)が本発明で提供される。
【0059】
ある特定の実施形態では、(a)抗CD19抗体;及び(b)式(I):
【0060】
【化10】
(式中、Rは、水素又は-P(=O)(OH)である)、
のグルココルチコイド受容体モジュレーターのラジカル
を含む抗体薬物コンジュゲートであって、
さらに、抗体とグルココルチコイド受容体モジュレーターが、式:
(式中、Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体とリンカーとの付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、AA1及びAA2はアラニン(Ala)であり、p及びqは1である)
のリンカーによってコンジュゲートしている、
抗体薬物コンジュゲートが提供される。
【0061】
ある特定の実施形態では、式(II):
【0062】
【化11】
(式中、Aは、抗CD19抗体であり、Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体とリンカーとの付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、Rは、水素又は-P(=O)(OH)であり、nは2~10である)
の抗体薬物コンジュゲートが提供される。複数の実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。複数の実施形態では、nは、2、3、4、5、6、7又は8である。別の実施形態では、nは、1、2、3、4又は5である。別の実施形態では、nは、2、3、4又は5である。ある実施形態では、nは、2、4、6又は8である。別の実施形態では、nは、2、4又は6である。別の実施形態では、nは、1である。別の実施形態では、nは、2である。別の実施形態では、nは、3である。別の実施形態では、nは、4である。別の実施形態では、nは、5である。別の実施形態では、nは、6である。別の実施形態では、nは、7である。別の実施形態では、nは、8である。
【0063】
ある特定の実施形態では、ADCの抗CD19抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記載される相補性決定領域(CDR)を含む。ある特定の実施形態では、抗CD19抗体は、配列番号7として記載される重鎖可変領域及び配列番号8として記載される軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗CD19抗体は、配列番号9又は配列番号11として記載される重鎖及び配列番号10として記載される軽鎖を含み、nは、主に2、4及び6である。ある実施形態では、ADCはADC-1であり、抗体はCD19 mAbである。ある特定の実施形態では、抗CD19抗体重鎖は配列番号12として記載されるヌクレオチド配列によってコードされ、軽鎖は配列番号13として記載されるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0064】
7.3.組成物
本開示の抗CD19 GRMアゴニストADCは、対象への投与に適した組成物として提供され得る。一部の実施形態では、抗CD19 GRMアゴニストADC組成物は、本開示の抗CD19 GRMアゴニストADC及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0065】
ADC組成物は、構造式IIに従って、異なるn整数値を有するADCの混合物を含み得る。ADCに連結したGRMアゴニスト薬物の数は、抗体上の利用可能な付着部位の数に依存する。「薬物抗体比」又は「DAR」は、本明細書で使用される場合、ADC組成物中のGRM薬物と抗体のモル比を指す。
【0066】
複数の実施形態では、製剤は、n値が2,4及び6であり、DARが2~6である構造式IIによるADCの混合物から本質的になる。
【0067】
7.4.使用方法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、B細胞悪性腫瘍、例えば、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、濾胞性リンパ腫(FL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)などを有する患者を、CD19 GRMアゴニストADCを用いて治療することを伴う。複数の実施形態では、CD19 GRMアゴニストADCを含む組成物がそれを必要とする対象に投与される。複数の実施形態では、方法は、式IIIの化合物、式IVの化合物又は式III及びIVの両方の化合物の対象への送達をもたらすADCの投与を含む。複数の実施形態では、式IIIの化合物、式IVの化合物又は式III及びIVの両方の化合物が対象内のB細胞悪性腫瘍に送達される。
【0068】
単一の作用剤としてもたらされると、CD19-GRMアゴニストADCは、B細胞悪性腫瘍に由来するヒト腫瘍細胞株の皮下異種移植片の成長を阻害する。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL:OCI-LY19及びSU-DHL-6;図8及び10参照)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL:RS4;11;図9参照)に関する実施例を参照されたい。
【0069】
7.5.抗CD19 ADCを作製するためのプロセス
ある特定の実施形態では、抗CD19-GRMアゴニストADCを作製するためのプロセスが本明細書に記載される。特定の実施形態では、抗CD19-GRMアゴニストADCを作製するためのプロセスが本明細書に記載され、ここで、抗体は、それぞれが配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列からなる2本の重鎖及びそれぞれが配列番号10として記載されるアミノ酸配列からなる2本の軽鎖を含む抗CD19抗体であり、抗体は、ASN-300(EU:ASN-297)位において脱フコシル化されたものであり、プロセスは、抗体を過剰量の還元剤で還元するステップ、その後、抗体を過剰量の式Vの薬物リンカーとコンジュゲートするステップを含む。
【0070】
8.例示的な実施形態
種々の特定の実施形態を例示し、説明し、一部を以下に示すが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく種々の変化をなすことができることが理解されよう。
【0071】
1.以下の構造:
【0072】
【化12】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、
は、水素又は-P(=O)(OH)であり、
nは、1~10の整数である)
を含む抗CD19抗体薬物コンジュゲートであって、
抗体が、
CDR-H1ドメイン、CDR-H2ドメイン及びCDR-H3ドメインを含む重鎖可変領域、並びに
CDR-L1ドメイン、CDR-L2ドメイン及びCDR-L3ドメインを含む軽鎖可変領域
を含む抗CD19抗体であり、
CDR-H1が、アミノ酸配列GFTFTTYWIN(配列番号1)を含み、
CDR-H2が、アミノ酸配列NIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号2)を含み、
CDR-H3が、アミノ酸配列EDYYGSSSYYAMDY(配列番号3)を含み、
CDR-L1が、アミノ酸配列KASQDVGTAVA(配列番号4)を含み、
CDR-L2が、アミノ酸配列WASTRHT(配列番号5)を含み、及び
CDR-L3が、アミノ酸配列QQYSTYPLT(配列番号6)を含む、抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0073】
2.抗体が、IgG抗体である、実施形態1の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0074】
3.抗体が、IgG1抗体である、実施形態2の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0075】
4.抗体が、配列番号7として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態1の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0076】
5.抗体が、配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0077】
6.抗体が、2本の同一の重鎖及び2本の同一の軽鎖からなり、各重鎖が、配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列からなり、各軽鎖が、配列番号10として記載されるアミノ酸配列からなる、実施形態1の抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0078】
7.抗体が、脱フコシル化されたものである、実施形態1~6のいずれか1つによる抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0079】
8.抗体が、70%以上、80%以上、90%以上又は約99%又は約100%脱フコシル化されたものである、実施形態7による抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0080】
9.脱フコシル化が、ASN-300(EU:ASN-297)位におけるものである、実施形態7又は実施形態8による抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0081】
10.実施形態1~9のいずれか1つの抗CD19抗体薬物コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0082】
11.B細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、実施形態1~9のいずれか1つによる抗体薬物コンジュゲートを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
【0083】
12.nが、2、4又は6である、実施形態1~9のいずれか1つの抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0084】
13.nが2である、実施形態1~9のいずれか1つの抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0085】
14.nが4である、実施形態1~9のいずれか1つの抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0086】
15.nが6である、実施形態1~9のいずれか1つの抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0087】
16.CDR-H1ドメイン、CDR-H2ドメイン及びCDR-H3ドメインを含む重鎖可変領域、並びに
CDR-L1ドメイン、CDR-L2ドメイン及びCDR-L3ドメインを含む軽鎖可変領域
を含む抗CD19抗体であって、
CDR-H1が、アミノ酸配列GFTFTTYWIN(配列番号1)を含み、
CDR-H2が、アミノ酸配列NIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号2)を含み、
CDR-H3が、アミノ酸配列EDYYGSSSYYAMDY(配列番号3)を含み、
CDR-L1が、アミノ酸配列KASQDVGTAVA(配列番号4)を含み、
CDR-L2が、アミノ酸配列WASTRHT(配列番号5)を含み、及び
CDR-L3が、アミノ酸配列QQYSTYPLT(配列番号6)を含む、
抗CD19抗体。
【0088】
17.IgG抗体である、実施形態16に記載の抗CD19抗体。
【0089】
18.IgG1抗体である、実施形態17に記載の抗CD19抗体。
【0090】
19.配列番号7として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態16による抗CD19抗体。
【0091】
20.配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態16による抗CD19抗体。
【0092】
21.脱フコシル化されたものである、実施形態16~20のいずれか1つによる抗CD19抗体。
【0093】
22.70%以上、80%以上、90%以上又は約99%又は約100%脱フコシル化されたものである、実施形態21による抗CD19抗体。
【0094】
23.脱フコシル化が、ASN-300(EU:ASN-297)位におけるものである、実施形態21又は実施形態22による抗CD19抗体。
【0095】
24.IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体(camelized antibody)、scFv-Fc抗体、Fab、Fab’、(Fab’)、Fv又はscFvである、実施形態16又は19による抗CD19抗体。
【0096】
25.脱フコシル化されたものである、実施形態24による抗CD19抗体。
【0097】
26.70%以上、80%以上、90%以上又は約99%又は約100%脱フコシル化されたものである、実施形態25による抗CD19抗体。
【0098】
27.脱フコシル化が、ASN-300(EU:ASN-297)位におけるものである、実施形態25又は実施形態26による抗CD19抗体。
【0099】
28.以下の構造:
【0100】
【化13】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、
は、-P(=O)(OH)であり、
nは、2~8の整数である)
を含む抗CD19抗体薬物コンジュゲートであって、
抗体が、
それぞれが配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列からなる2本の重鎖及びそれぞれが配列番号10として記載されるアミノ酸配列からなる2本の軽鎖
を含む抗CD19抗体であり、
抗体が、ASN-300(EU:ASN-297)位において脱フコシル化されたものである、
抗CD19抗体薬物コンジュゲート。
【0101】
29.nが2である、実施形態28による抗CD19抗体。
【0102】
30.nが4である、実施形態28による抗CD19抗体。
【0103】
31.nが6である、実施形態28による抗CD19抗体。
【0104】
32.nが8である、実施形態28による抗CD19抗体。
【0105】
33.実施形態16による抗CD19抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチド。
【0106】
34.以下の構造:
【0107】
【化14】
(式中、
Aは、抗体であり、
Rは、抗体のシステイン残基を介した抗体の付着点であり、連結されると-S-基をもたらし、
AA1及びAA2は、アラニン(Ala)であり、Rは、-P(=O)(OH)であり、
nは、2~8の整数である)
を含む抗CD19抗体薬物コンジュゲートを作製するためのプロセスであって、
抗体が、
それぞれが配列番号9又は配列番号11として記載されるアミノ酸配列からなる2本の重鎖及びそれぞれが配列番号10として記載されるアミノ酸配列からなる2本の軽鎖を含む
抗CD19抗体であり、
抗体が、ASN-300(EU:ASN-297)位において脱フコシル化されたものであり、
プロセスが、抗体を過剰量の還元剤で還元するステップ、その後、抗体を、過剰量の、以下の構造:
【0108】
【化15】
を含む薬物リンカーとコンジュゲートするステップを含む、
プロセス。
【実施例0109】
9.実施例
本明細書に記載の抗体及び結合性断片の例示的な実施形態のある特定の特色及び特性を強調する以下の実施例は例示のために提示するものである。
【0110】
9.1
[実施例1] CD19抗体の生成
マウス抗体クローン4B12(マウス抗ヒトCD19)の相補性決定領域(CDR)からなるCD19抗体を、ハイブリドーマ技術を使用して単離した。これらのCDR配列(配列番号1~6)を、9つのマウス可変重鎖フレームワーク復帰変異及び2つのマウス可変軽鎖フレームワーク復帰変異を有するヒトIgG1重鎖及びヒトカッパ軽鎖定常領域ドメインにクローニングして、H鎖配列(配列番号9)及びL鎖配列(配列番号10)を生成した。ヒト化CD19抗体(CD19 mAb)は、親マウスハイブリドーマクローン4B12のCD19結合効力及び選択性を保持する。
【0111】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に、CD19抗体を発現するように設計された発現ベクター(pCD-CD19抗体)を電気穿孔によってトランスフェクトした。細胞を、発現ベクターからのDHFR及びCD19抗体を発現する細胞の選択を可能にする化学的限定培地中で成長させた。細胞を成長させ、クローン性増殖を抗CD19抗体発現についてスクリーニングした。スクリーニングに基づいて、安定なトランスフェクタントをさらなる開発のための親細胞株として同定した。
【0112】
次いで、この安定なトランスフェクタントに追加的なベクター(シュードモナス酵素GDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキスロースレダクターゼ(RMD)を発現するpYH9neo-RMD)を電気穿孔によってトランスフェクトした。この発現ベクターは、例えばGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼの欠乏に起因してGDP-フコース形成に欠陥がある細胞株における脱フコシル化CD19抗体(90%以上脱フコシル化されたもの)の産生を可能にするものである。クローン細胞を脱フコシル化CD19抗体の成長及び発現についてスクリーニングした。最終的なサブクローンを選択し、マスターセルバンク(Master Cell Bank)を生成した。
【0113】
9.2
[実施例2] CD19 GRMアゴニストADCであるADC-1の合成
【0114】
9.2.1.概要
CD19 GRMアゴニストADCを、実施例1の抗CD19抗体をコンジュゲートすること(Rがリン酸基の場合の式IのGRMを含有するリンカー薬物と)によって形成した。式(III):
【0115】
【化16】
のリン酸-GRMペイロードをCD19抗体とアラニン-アラニン切断可能リンカーを介してコンジュゲートする。ADCが投与されると、式IIIのリン酸-GRMペイロードが式IV:
【0116】
【化17】
のGRMに変換される。
【0117】
コンジュゲートした材料を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して処理して、コンジュゲートしたリンカー薬物を含有しない抗体及び抗体当たり8つのGRM分子を含有するADCを実質的に減少させ、その結果、主に2つ、4つ又は6つのGRM分子を含有するADCの混合物を含み、DARが2~6である最終的な薬物製品をもたらす。
【0118】
CD19 GRMアゴニストADCであるADC-1を生成するために使用した分析手順を以下に詳述する。
【0119】
9.2.2.低分子分析手順
別段の指定のない限り、H及び13C NMR(核磁気共鳴)データは全てVarian Mercury Plus 400MHz、Agilent MR 400MHz又はBruker AVIII 300MHz、400MHz、500MHz又は600MHz機器で収集した。化学シフトは百万分率(ppm)で引用される。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びLCMS分析データは実験内で又は表1に列挙されている条件を参照して詳述される。
【0120】
【表1】
【0121】
9.2.3.前駆体分子の合成
【0122】
9.2.3.1.(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(式IVのGRM)の合成
【0123】
【化18】
【0124】
ステップ1:4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒドの合成。水素化ジイソブチルアルミニウム(153mL、153mmol、トルエン中1M)をトルエン(400mL)中の4-(ブロモメチル)ベンゾニトリル(20g、102mmol)の0℃の溶液に1時間にわたって液滴添加した。2つの追加的な反応を上記の通りセットアップした。3つ全ての反応混合物を精製のために合わせた。合わせた反応混合物を、10%HCl水溶液(1.5L)を用いてクエンチし、ジクロロメタン(3×500mL)を用いて抽出し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。10:1石油エーテル/酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)溶出によって精製することによりを得た表題化合物(50g、収率82%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 10.02 (s, 1H), 7.91 - 7.82 (m, 2H), 7.56 (d, J=7.9 Hz, 2H), 4.55 - 4.45 (m, 2H).
【0125】
ステップ2:3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリンの合成。1,4-ジオキサン(480mL)中3-ブロモアニリン(40g、233mmol)の溶液に、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(94g、372mmol)、酢酸カリウム(45.6g、465mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル(8.07g、13.95mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.52g、9.30mmol)を添加した。次いで、得られた混合物を、窒素下、80℃で4時間加熱した。追加的な反応を上記の通りセットアップした。2つの反応混合物を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。10:1石油エーテル/酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)溶出によって精製することにより表題化合物を得た(60g、収率55.4%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.23 - 7.13 (m, 3H), 6.80 (d, J=7.5 Hz, 1H), 3.82 - 3.38 (m, 2H), 1.34 (s, 12H).
【0126】
ステップ3:tert-ブチル(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメートの合成。3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(30g、137mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(38.9g、178mmol)をトルエン(600mL)中、100℃で24時間にわたって混合した。別の反応を上記の通りセットアップした。2つの反応混合物を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。粗残留物を酢酸エチル(1.5L)中に溶解させ、0.1NのHCl水溶液(3×2L)、ブライン(3L)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物を得た(50g、収率57%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.63 (br m, 2H), 7.48 (d, J=7.1 Hz, 1H), 7.37 - 7.28 (m, 1H), 1.52 (s, 9H), 1.34 (s, 12H).
【0127】
ステップ4:tert-ブチル(3-(4-ホルミルベンジル)フェニル)カルバメートの合成。テトラヒドロフラン(400mL)中、4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒド(24.94g、125mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン(13.75g、18.80mmol)、tert-ブチル(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメート(20g、62.7mmol)及び炭酸カリウム(43.3g、313mmol)の混合物を12時間にわたって80℃まで加熱した。別の追加的な反応を上記の通りセットアップした。2つの反応混合物を合わせ、水(500mL)を用いて希釈し、酢酸エチル(3×500mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。10:1石油エーテル/酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)溶出によって精製することにより表題化合物を得た(15g、収率38.4%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.95 (s, 1H), 7.78 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.33 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.27 - 7.13 (m, 3H), 6.82 (d, J=7.1 Hz, 1H), 6.47 (br. s., 1H), 4.00 (s, 2H), 1.48 (s, 9H).
【0128】
ステップ5:(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11,16,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オンの合成。(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a,10,10-テトラメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(20g、44.2mmol)を40%HBF水溶液(440mL)中に懸濁させ、混合物を25℃で48時間撹拌した。反応の完了後、水2Lを添加し、濾過によって固体を収集した。固体を水(1L)、次いでメタノール(200mL)を用いて洗浄して、表題化合物を得た(11g、収率60.3%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.25 (d, J=10.1 Hz, 1H), 6.28 (d, J=10.1 Hz, 1H), 6.10 (s, 1H), 5.73 - 5.50 (m, 1H), 5.39 (br. s., 1H), 4.85 - 4.60 (m, 2H), 4.50 (d, J=19.4 Hz, 1H), 4.20 - 4.04 (m, 2H), 2.46 - 2.06 (m, 6H), 1.87 - 1.75 (m, 1H), 1.56 - 1.30 (m, 6H), 0.83 (s, 3H).
【0129】
ステップ6:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オンの合成。アセトニトリル(100mL)中(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11,16,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(4.4g、10.67mmol)及びMgSO(6.42g、53.3mmol)の懸濁液を20℃で1時間撹拌した。アセトニトリル(100mL)中tert-ブチル(3-(4-ホルミルベンジル)フェニル)カルバメート(3.65g、11.74mmol)の溶液を一度に添加した。氷浴を使用して内部の温度を室温未満に維持しながら、トリフルオロメタンスルホン酸(9.01mL、53.3mmol)を液滴添加した。添加後、混合物を20℃で2時間撹拌した。3つの追加的な反応を上記の通りセットアップした。4つ全ての反応混合物を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLCによって精製することにより表題化合物を得た(4.5g、収率14.2%)。LCMS(方法a、表1)R=2.65分;MS m/z=606.2(M+H)1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.34 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.24 (dd, J = 16.2, 9.0 Hz, 3H), 6.88 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.43 - 6.33 (m, 3H), 6.30 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.75 - 5.55 (m, 1H), 5.52 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 5.44 (s, 1H), 5.11 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.94 (s, 3H), 4.51 (dd, J = 19.6, 6.5 Hz, 1H), 4.29 - 4.07 (m, 2H), 3.73 (s, 2H), 2.76 - 2.55 (m, 1H), 2.39 - 2.13 (m, 2H), 2.10 - 1.96 (m, 1H), 1.85 - 1.61 (m, 3H), 1.61 - 1.39 (m, 4H), 0.86 (s, 3H).分取HPLC法:機器:Gilson 281半分取HPLCシステム;移動相:A:ギ酸/HO=0.01v/v%;B:アセトニトリル;カラム:Luna C18 150*25 5ミクロン;流量:25mL/分;モニタリング波長:220nm及び254nm。
【0130】
【表2】
【0131】
9.2.3.2.2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチルリン酸二水素(式IIIのリン酸-GRM)の合成
【0132】
【化19】
【0133】
ジホスホリルクロリド(6.86g、27.2mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)中、(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(3.30g、5.45mmol)及びパラ-トルエンスルホン酸(0.938g、5.45mmol)の-40℃の溶液に液滴添加した。混合物を-40℃で2時間撹拌した。3つの追加的な反応を上記の通りセットアップした。合わせた反応混合物を、-40℃で水(450mL)を用いてクエンチし、0℃まで温め、飽和NaHCO水溶液を添加することによってpHを約7に調整した。大きな液体体積でフラスコが満たされてきたので懸濁液を約6のpHで濾過した。次いで、濾液をpH7に調整し、濾過された固体を通してすすいだ。濾液を、1MのHCl水溶液(200mL)を添加することによってpH3まで酸性に戻し、それにより懸濁液がもたらされた。混合物を濾過し、合わせた固体を母液で2回すすぎ、収集した。粗製固体を真空下で乾燥させ、Nano-micro Kromasil C18 3ミクロンカラム(100×40mm)において分取HPLCによって精製した。アセトニトリル(A)及び水中1%トリフルオロ酢酸(B)のグラジエントを50mL/分の流量で使用した(0~5.0分、20%A、5.0~25.0分、リニアグラジエント20~50%A、5分間保持)。精製された画分のpHを約5に調整し、凍結乾燥させて表題化合物を白色固体として得た(3.50g、収率23%)。LCMS(方法b、表1)R=0.707分、m/z 686.2(M+H)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.35 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.26 (td, J = 7.3, 6.2, 3.1 Hz, 3H), 7.07 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.73 - 6.60 (m, 3H), 6.30 (dd, J = 10.2, 1.9 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.75 - 5.55 (m, 1H), 5.54 (s, 1H), 4.98 - 4.86 (m, 2H), 4.59 (dd, J = 18.2, 8.3 Hz, 1H), 4.25 - 4.17 (m, 1H), 3.83 (s, 2H), 2.79 - 2.56 (m, 1H), 2.37 - 2.17 (m, 2H), 2.05 (dt, J = 13.7, 3.6 Hz, 1H), 1.72 (q, J = 9.3, 8.1 Hz, 3H), 1.60 - 1.41 (m, 1H), 1.50 (s, 3H), 0.88 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -73.76, -164.99, -186.36. 31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ -1.17.
【0134】
9.2.3.3.(S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミド(式VIの薬物リンカー)の合成
【0135】
【化20】
【0136】
ステップ1:tert-ブチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートの合成。
【0137】
2,6-ルチジン(0.5mL、4.29mmol)を、テトラヒドロフラン(5.5mL)中、(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(0.505g、0.834mmol)、(S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)プロパン酸[CAS番号27317-69-7、Chem-Impex International,Inc.から購入したもの](0.217g、0.835mmol)及びHATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸)(0.481g、1.266mmol)の室温の懸濁液に添加した。16時間後、反応物をEtOAc(40mL)で希釈し、1NのHCl水溶液(2×20mL)、飽和NaHCO水溶液(20mL)、ブライン(20mL)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。0~10%MeOH/DCMのグラジエントを用いたクロマトグラフィー(シリカ、40g)溶出によって精製することにより表題化合物を類白色固体として得た(0.648g、収率92%)。LCMS(方法c、ESI、表1)R=0.89分、m/z=848.6(M+H)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.82 (s, 1H), 7.94 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 2H), 7.26 (dd, J = 10.2, 1.5 Hz, 1H), 7.26 - 7.22 (m, 2H), 7.19 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.91 (dt, J = 7.7, 1.2 Hz, 1H), 6.29 (dd, J = 10.1, 1.9 Hz, 1H), 6.14 - 6.11 (m, 1H), 5.72 - 5.56 (m, 1H), 5.53 - 5.49 (m, 1H), 5.44 (s, 1H), 5.09 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.94 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 19.4, 6.1 Hz, 1H), 4.35 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 4.23 - 4.16 (m, 2H), 3.97 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.88 (s, 2H), 2.65 (ddt, J = 28.2, 15.3, 7.9 Hz, 1H), 2.36 - 2.16 (m, 2H), 2.07 - 2.01 (m, 1H), 1.78 - 1.63 (m, 3H), 1.57 - 1.50 (m, 1H), 1.49 (s, 3H), 1.36 (s, 9H), 1.26 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.20 - 1.15 (m, 3H), 0.86 (s, 3H).
【0138】
ステップ2:(S)-2-アミノ-N-((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミドの合成
トリフルオロ酢酸(2.0mL、26.0mmol)を、tert-ブチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(0.648g、0.764mmol)の室温の溶液に添加した。反応物を開口フラスコ中で20分にわたって撹拌し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOAc(60mL)中に溶解させ、飽和NaHCO水溶液(3×20mL)、飽和NaBr水溶液(20mL)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。MTBE/ヘプタンを用いて残留物を粉砕し、溶媒を除去することにより表題化合物を得、それを、さらなる精製を行わずに次のステップに使用した。LCMS(方法c、ESI、表1)R=0.72分;m/z748.5(M+H)。
【0139】
ステップ3:(S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミドの合成。
【0140】
2,6-ルチジン(0.2mL、1.717mmol)を、ジメチルホルムアミド(4mL)中、(S)-2-アミノ-N-((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミド(0.286g、0.382mmol)及びブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.414g、1.753mmol)の室温の溶液に添加した。反応をLCMSにより20分以内に完了させた。同じサイズの第2の反応をセットアップした。両方の反応物をPhenomenex C18(2)10ミクロンカラム(250×50mm)での分取HPLCによる精製のために合わせた。アセトニトリル(A)及び水中1%トリフルオロ酢酸(B)のグラジエントを90mL/分の流量で使用した(0~5.0分、15%A、5.0~20.0分、リニアグラジエント15~95%A、5分間の保持)。生成物画分をフリーズドライして、表題化合物を白色固体として得た(0.254g、収率38%)。LCMS(方法c、ESI、表1)R=0.82分、m/z868.4、870.3(M+H)1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.82 (s, 1H), 8.45 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 2H), 7.28 - 7.19 (m, 4H), 7.19 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.91 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 6.29 (dd, J = 10.2, 1.9 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.64 (dddd, J = 48.5, 11.4, 6.8, 1.9 Hz, 1H), 5.51 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 5.45 (s, 1H), 4.94 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 19.4 Hz, 1H), 4.40 - 4.33 (m, 1H), 4.31 (p, J = 7.2 Hz, 1H), 4.23 - 4.16 (m, 2H), 3.94 - 3.87 (m, 4H), 2.71 - 2.58 (m, 1H), 2.27 (ddq, J = 31.2, 12.4, 6.3, 5.7 Hz, 1H), 2.04 (dt, J = 13.7, 3.7 Hz, 1H), 1.77 - 1.63 (m, 3H), 1.57 - 1.50 (m, 1H), 1.50 (s, 3H), 1.27 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.21 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 0.86 (s, 3H).
【0141】
9.2.3.4.2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-(2-ブロモアセトアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチルリン酸二水素(式Vの薬物リンカー)の合成
【0142】
【化21】
【0143】
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートの合成。
【0144】
2,6-ルチジン(1.2mL、10.30mmol)を、テトラヒドロフラン(15mL)中、(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-アミノベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(1.377g、2.27mmol)、(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-アラニル-L-アラニン[CAS番号87512-31-0、Chem-Impex International,Inc.から購入したもの](0.878g、2.295mmol)及びHATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸)(1.327g、3.49mmol)の室温の溶液に添加した。15時間後、混合物を、EtOAc(100mL)を用いて希釈し、1NのHCl水溶液(2×50mL)、飽和NaHCO水溶液(50mL)、ブライン(50mL)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。0~10%MeOH/DCMのグラジエントを用いたクロマトグラフィー(シリカ、120g)溶出によって精製することにより生成物を白色固体として得た(1.98g、収率90%)。LCMS(方法c、APCI、表1)R=0.98分、m/z970.6(M+H)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.83 (s, 1H), 8.06 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.91 - 7.84 (m, 2H), 7.71 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.49 - 7.13 (m, 12H), 6.91 (dt, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 6.29 (dd, J = 10.2, 1.9 Hz, 1H), 6.14 (q, J = 1.6 Hz, 1H), 5.73 - 5.54 (m, 1H), 5.52 (dd, J = 4.4, 1.8 Hz, 1H), 5.44 (s, 1H), 5.10 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.95 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 19.5, 6.2 Hz, 1H), 4.37 (p, J = 7.0 Hz, 1H), 4.30 - 4.14 (m, 5H), 4.14 - 4.02 (m, 1H), 3.86 (s, 2H), 2.74 - 2.55 (m, 1H), 2.35 - 2.18 (m, 2H), 2.08 - 1.96 (m, 1H), 1.77 - 1.61 (m, 3H), 1.60 - 1.49 (m, 1H), 1.50 (s, 3H), 1.27 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.23 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 0.86 (s, 3H).
【0145】
ステップ2:(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-8b-(2-((ジ-tert-ブトキシホスホリル)オキシ)アセチル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートの合成。
【0146】
ジ-tert-ブチルN,N-ジエチルホスホラミダイト(1.8mL、6.02mmol)を、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(1.98g、2.041mmol)及びテトラゾール(アセトニトリル中0.45M)(18mL、8.10mmol)の室温の溶液に添加した。50分後、反応物を過酸化水素(水中30%、1.2mL、11.75mmol)を用いて処理した。10分後、反応物を、1MのNaS水溶液(80mL)を用いて処理して、あらゆる未反応の過酸化水素をクエンチした[注意:発熱性]。混合物を、EtOAc(3×60ml)を用いて抽出した。合わせた有機層を、ブライン(50mL)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。0~10%MeOH/DCMのグラジエントを用いたクロマトグラフィー(シリカ、120g)溶出によって精製することにより、所望の生成物を白色泡状物として得た(1.85g、収率78%)。LCM(方法d、ESI、表1)R=1.12分、m/z1162.7(M+H)。
【0147】
ステップ3:2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチル ジ-tert-ブチルリン酸の合成。
【0148】
ピペリジン(1.0ml、10.10mmol)を、テトラヒドロフラン(16mL)中、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((3-(4-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-8b-(2-((ジ-tert-ブトキシホスホリル)オキシ)アセチル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)ベンジル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(1.854g、1.595mmol)の室温の溶液に添加した。25分後、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、トルエン(3×30mL)を用いて繰り返し処理し、それを各処理後に減圧下で除去して、確実にピペリジンを除去した。収率を100%と仮定し、粗生成物を、さらなる精製を行わずに次のステップに使用した。LCMS(方法d、ESI、表1)R=1.11分、m/z940.7(M+H)。
【0149】
ステップ4:2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-(2-ブロモアセトアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチルジ-tert-ブチルリン酸の合成。
【0150】
EEDQ(2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン)(1.630g、6.59mmol)を、ジメチルホルムアミド(4mL)中、ブロモ酢酸(0.680g、4.90mmol)の室温の溶液に添加した。カップリングのためにブロモ酢酸を活性化するために混合物を90分間撹拌した。それとは別に、2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチル ジ-tert-ブチルリン酸(1.499g、1.595mmol)をジメチルホルムアミド(8mL)中に溶解させた。この溶液を、活性化されたブロモ酢酸を含有するバイアルに移した。反応が不完全だったので、活性化されたブロモ酢酸の第2の供給量を調製した:ブロモ酢酸(0.363g、2.61mmol)を、ジメチルホルムアミド(3mL)中、EEDQ(2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン)(0.813g、3.29mmol)の溶液に添加し、70分間撹拌し、次いで、反応混合物と併せた。15分後、反応を、EtOAc(60mL)を用いて希釈し、水(2×20mL)を用いて洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。0~10%MeOH/DCMのグラジエントを用いたクロマトグラフィー(シリカ、80g)溶出によって精製することにより生成物を白色固体として得た(0.760g、収率45%)。LCMS(方法c、ESI、表1)R=1.03分、m/z1060.6、1062.1(M+H)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.83 (s, 1H), 8.47 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.49 - 7.43 (m, 1H), 7.41 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.32 - 7.23 (m, 3H), 7.19 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.91 (dt, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 6.30 (dd, J = 10.2, 1.9 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.74 - 5.55 (m, 2H), 5.56 (s, 1H), 5.03 - 4.90 (m, 2H), 4.65 (dd, J = 18.0, 9.3 Hz, 1H), 4.34 (dt, J = 15.6, 7.2 Hz, 2H), 4.26 - 4.16 (m, 1H), 3.94 - 3.86 (m, 4H), 3.31 (s, 1H), 2.75 - 2.56 (m, 1H), 2.35 - 2.17 (m, 2H), 2.07 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.72 (td, J = 13.9, 4.2 Hz, 2H), 1.67 - 1.52 (m, 1H), 1.49 (s, 3H), 1.42 (s, 9H), 1.42 (s, 9H), 1.27 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.20 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.89 (s, 3H).
【0151】
ステップ5:2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-(2-ブロモアセトアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチルリン酸二水素の合成。
【0152】
トリフルオロ酢酸(2.5mL、32.4mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中、2-((2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(3-((S)-2-((S)-2-(2-ブロモアセトアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)ベンジル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-1,2,4,6a,6b,7,8,8a,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-8bH-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-8b-イル)-2-オキソエチル ジ-tert-ブチルリン酸(0.760g、0.716mmol)の室温の溶液に添加した。開口容器中で15分間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去して泡状物を得、それを3:1アセトニトリル/水(16mL)中に溶解させ、Phenomenex C18(2)10ミクロンカラム(250×50mm)での分取HPLCによって精製した。アセトニトリル(A)及び水中1%トリフルオロ酢酸(B)のグラジエントを90mL/分の流量で使用した(0~5.0分、15%A、5.0~20.0分、リニアグラジエント15~95%A、5分間の保持)。生成物画分をフリーズドライして表題化合物を白色固体として得た(0.291g、収率43%)。LCMS(方法c、APCI、表1)R=0.84分、m/z948.4、950.4(M+H)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.83 (s, 1H), 8.46 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.46 (ddd, J = 8.2, 2.2, 1.1 Hz, 1H), 7.39 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 2H), 7.29 - 7.23 (m, 3H), 7.19 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.91 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 6.30 (dd, J = 10.1, 1.9 Hz, 1H), 6.13 (dt, J = 2.6, 1.3 Hz, 1H), 5.64 (dddd, J = 48.3, 11.1, 6.4, 1.9 Hz, 2H), 5.53 (s, 1H), 4.96 - 4.89 (m, 2H), 4.59 (dd, J = 18.1, 8.4 Hz, 1H), 4.34 (dp, J = 23.2, 7.1 Hz, 2H), 4.21 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.93 - 3.88 (m, 4H), 2.72 - 2.61 (m, 1H), 2.32 - 2.20 (m, 2H), 2.09 - 2.03 (m, 1H), 1.72 (dd, J = 12.8, 6.3 Hz, 2H), 1.68 (s, 1H), 1.57 - 1.49 (m, 1H), 1.49 (s, 3H), 1.27 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.21 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 0.88 (s, 3H).
【0153】
9.2.4.コンジュゲーション及び分析方法
【0154】
9.2.4.1.低分子分析手順
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びLCMS分析データは、実験内で又は表3に列挙されている条件を参照して詳述される。
【0155】
【表3】
【0156】
9.2.4.2.CD19リン酸化GRMアゴニストADC
約50mg/mLの濃度の実施例1のCD19抗体(CD19 mAb)170.4gを、PBE(125mMのリン酸、6mMのEDTA、pH7.3)緩衝剤を用いて1:1w/wに希釈し、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(2.6当量、0.847g、注射用水(WFI)中25mMの溶液)を用い、約4℃、窒素下で一晩、部分的に還元した。次いで、還元された抗体と、式V:
【0157】
【化22】
の薬物リンカー(6.0当量、6.92g、93.2%w/w%、ジメチルアセトアミド(DMA)650g中の溶液)のコンジュゲーションを、約4℃で添加し、20℃まで温め、完了したと判断されるまで6~8時間保持することによって行った。コンジュゲーションを、N-アセチルシステイン(20当量、3.71g、WFI中100mMの溶液)を添加することによってクエンチした。生成物の溶液を2つの部分に分割し、その後、それぞれを、WFIを用いて約13Lまで希釈し、その後、NaOHを用いてpHを約8.5に調整し、ローディング溶液とした。各ローディング溶液を精製した。
【0158】
9.2.4.3質量分析
ADC試料を完全に還元した後にMS分析を行った。使用した質量分析条件は以下の通りである:HPLCカラム=Waters BioResolve RP mAb ポリフェニル450A 2.7μm、150×2.1mm;移動相A:水中0.1%ジフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル中0.1%ジフルオロ酢酸;流量:0.4mL/分;グラジエント:20%Bで開始、0~12分、20~45%B、14~16分、45~60%B、16~18分、60~100%B、4分にわたって20%Bに再平衡化;カラム温度:80℃;MSイオン化源:ESI。
【0159】
各サブユニットの還元逆相(A280)クロマトグラフ及びデコンボリューションされた質量スペクトルを生成した。図16を参照されたい。薬物リンカー分子がゼロ又は1つ付着した軽鎖及び薬物リンカー分子がゼロ、1つ、2つ又は3つ付着した重鎖に対応するピークを分離し、同定した。
【0160】
9.2.4.4.CD19脱リン酸GRMアゴニストADC
約50mg/mLの濃度の実施例1のCD19抗体(CD19 mAb)2.82gをPBE(125mMのリン酸、6mMのEDTA、pH7.3)緩衝剤中に1:1w/wで希釈し、TCEP(2.56当量、0.0141g、WFI中4.93mMの溶液)を用い、約4℃、窒素下で一晩、部分的に還元した。次いで、還元された抗体と、式VI
【0161】
【化23】
の薬物リンカー(6.1当量、0.102g、90.2%w/w%、DMA 11g中の溶液)のコンジュゲーションを、約4℃で添加し、その後、20℃まで温め、完了したと判断されるまで6~8時間保持することによって行った。コンジュゲーションを、N-アセチルシステイン(10当量、0.031g、WFI中、100mMの溶液)を添加することによってクエンチした。生成物の溶液に0.8Mの硫酸アンモニウム、25mMのリン酸ナトリウム、pH7.1(126g)を用いて塩添加して、精製に備えてローディング溶液を調製した。ローディング溶液を精製した。
【0162】
9.3
[実施例3] 抗体及びADCの特徴付け
実施例2、セクション8.2.4.2のCD19リン酸化GRMアゴニストADC(ADC-1)及びその親脱フコシル化抗体(CD19 mAbとも称される)の結合及び細胞内活性を特徴付けた。ADC-1及びCD19 mAbは、複数のB細胞リンパ腫細胞株の表面上に内因性に発現されるCD19に結合する。ADC-1は、複数のB細胞悪性腫瘍細胞株に対する効力の高い抗増殖効果及びADCC活性を引き出した。さらに、ADC-1は、F158又はV158 FcγRIIIaバリアントを発現するNFAT ADCCレポーター細胞を同様の効力で活性化する。ADC-1は、マウス又はラットCD19に対しては無視できる結合を示したが、一方、ヒト及びカニクイザル(cyno)CD19に対しては親和性の高い結合を示し、また、ヒト又はcyno CD19を発現するGREレポーター細胞株を活性化した。
【0163】
9.3.1.材料及び方法
【0164】
9.3.1.1.抗体、タンパク質及び化合物
ヒト化抗CD19抗体(CD19 mAb)を、ProBiogen技術を用いて脱フコシル化した。ADC-1を、CD19 mAbと式Vの薬物リンカーをコンジュゲートすることによって作出した。CD19 mAb及びADC-1のGLP材料を全ての実験に使用した。試験した陰性対照には、脱フコシル化抗破傷風トキソイド抗体AB095(アイソタイプmAb)及び式Vの薬物リンカーとコンジュゲートしたAB095からなるそのADC(アイソタイプ-GRM)が含まれる。分析した化合物には、式IVのGRM、デキサメタゾン(Clinigen、cat#00641-0367-25)及びプレドニゾロン(Clinigen、cat#44523-0182-08)が含まれる。
【0165】
9.3.1.2.細胞培養
がん細胞株Raji(バーキットリンパ腫;ATCC、cat#CCL-86)、SUP-B15(急性リンパ芽球性白血病;ATCC、cat#CRL-1929)、RS4;11(急性リンパ芽球性白血病;ATCC、cat#CRL-1873)、SU-DHL-6(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫;ATCC、cat#CRL-2959)及びHCT116(結腸直腸がん;ATCC、cat#CCL-247)を、10%FBS(Thermo Fisher Scientific、cat#26140079)を補充したRPMI-1640培地(Thermo Fisher Scientific、cat#A1049101)中で培養した。がん細胞株OCI-LY19(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫;DSMZ、cat#ACC 528)を、乏血小板血漿由来の滅菌濾過された10%ヒト血清(Sigma-Aldrich、cat#P2918-100ML)を伴うIMDM培地中で培養した。293T(ATCC、cat#CRL-3216)細胞を、10%FBSを補充したDMEM中で培養した。全ての細胞を加湿チャンバー内、37℃、5%COで培養する。
【0166】
9.3.1.3.工学的に操作された細胞株の生成
ヒトCD19を発現するK562 GREルシフェラーゼレポーター細胞株をAbbVieにおいて生成した。簡単に述べると、K562細胞を、完全成長培地[L-グルタミン(Thermo Fisher Scientific、cat#11835-030)、10%FBS(Thermo Fisher Scientific Inc.、cat#26140-079)、1%ピルビン酸Na(Thermo Fisher Scientific Inc.、cat#11360-070)及び1%MEM NEAA(Thermo Fisher Scientific Inc.、cat#111140-50)を補充したRPMI 1640]2mLを伴う6ウェルディッシュ(Costar、cat#3516)に、ウェル当たり細胞500,000個で播種し、37℃、5%COで24時間置いた。翌日、pGL4.36[Luc2P/MMTV/Hygro](Promega cat#E316)1.5μg及びPLUS試薬(Thermo Fisher Scientific、cat#10964-021)3μLをOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific、cat#31985-070)244μL中に希釈し、室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、希釈したDNA溶液を、1:1Lipofectamine LTX溶液(Thermo Fisher Scientific、cat#94756)(13.2μL+Opti-MEM 256.8μL)と一緒にプレインキュベートし、室温で25分間インキュベートして、DNA-Lipofectamine LTX複合体を形成した。インキュベーション後、DNA-Lipofectamine複合体500μLを、細胞を含有するウェルに直接添加した。K562細胞へのトランスフェクションを37℃、5%COで24時間にわたって行った。インキュベーション後、細胞を、PBS 3mLを用いて洗浄し、125μg/mLのハイグロマイシンB(Thermo Fisher Scientific、cat#10687-010)を含有する完全成長培地を用い、2週間にわたって選択を行った。
【0167】
K562 pGL4.36[Luc2P/MMTV/Hygro]細胞を回収し、完全成長培地(RPMI+L-Glu、10%FBS、1%ピルビン酸Na及び1%MEM NEAA)1mLを伴う15mLの円錐管(Costar、cat#3516)にウェル当たり細胞250,000個で播種した。ヒトCD19(Origene、#RC230267)3μg及びPLUS試薬(Thermo Fisher Scientific、cat#10964-021)3μLをOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific、cat#31985-070)244μL中に希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、希釈したDNA溶液を、1:1Lipofectamine LTX溶液(Thermo Fisher Scientific、cat#94756)(11μL+Opti-MEM 239μL)と一緒にプレインキュベートし、室温で15分間インキュベートして、DNA-Lipofectamine LTX複合体を形成した。続いて、DNA-Lipofectamine複合体500μLを、細胞を含有する円錐管に直接添加した。細胞とDNA-リポフェクタミンを混合し、6ウェルディッシュ(Costar、cat#3516)に播種し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。24時間のインキュベーション後、細胞の選択を、125μg/mLのハイグロマイシンB(Thermo Fisher Scientific、cat#10687-010)及び225μg/mLのG418(Thermo Fisher Scientific、cat#10131-027)を含有する完全成長培地2mlを用いて2週間にわたって行った。
【0168】
9.3.1.4.細胞増殖アッセイ
接着細胞(293T及びHCT116)をトリプシン処理によって剥離させた。384ウェル組織培養プレート(Corning、cat#3764)、完全RPMI 1640 40μL中、ウェル当たり細胞1000~2000個をプレーティングした。接着細胞を一晩付着させた。翌日、細胞を、10μL中、示されている濃度の薬物を用いて処理し、37℃、5%COで5日間インキュベートする。終点において、CellTiter-Glo Luminescence Cell Viability Assay Reagent(Promega、cat#G7573)をウェル当たり40μLで添加した。プレートをMolecular Devices SpectraMax M5プレートリーダーにおいてLuminescenceの設定で読み取った。細胞生存率を無処理の対照に対するパーセンテージとして表した。
【0169】
9.3.1.5.免疫蛍光法
RS4;11細胞株をV底プレート(Costar Cat#3894)にウェル当たり細胞50,000個でプレーティングした。細胞を、PBS+5%正常ヒト血清(Sigma cat#H4522)及び2%FBSを用いてFcブロッキングした。細胞を洗浄し、染色緩衝剤(PBS+2%FBS)中に再懸濁した。細胞を、染色緩衝剤中5μg/mLの、Alexa Flour 647色素とコンジュゲートした抗hu-CD19抗体(CD19 mAb)を用いて染色し、氷上で1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、2%FBSを含有するPBSを用いて3回洗浄し、37℃で0.5時間、1時間、3時間及び24時間追跡して、内部移行を誘導し、T=0時点対照として氷上で染色した細胞と比較した。次いで、製造者の指示を使用して細胞を固定し、透過処理した(BD、Cat#554714)。細胞を、1%サポニン+2%マウス血清(Invitrogen Cat#3881)を含有する染色緩衝剤を用いてブロッキングし、2μg/mLの、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたLAMP1抗体(Biolegend,Cat#328610)を用いて4℃で一晩染色した。細胞を、2%FBSを含有するPBS中で3回洗浄した。細胞をイメージング培地(FluroBrite:Gibco cat#A1896701)中に再懸濁させ、ガラス底のイメージングプレート(Thermo Fisher Scientific、cat#160376)に移し、IMX Micro Confocal imagerで分析した。
【0170】
9.3.1.6.免疫ブロッティング
SU-DHL-6細胞を、アイソタイプmAb又はCD19 mAbを用いて1時間処理し、次いで、1μg/mlの抗IgMを用いて0分間、5分間、15分間又は30分間にわたって刺激した。細胞を、氷冷したPBSを用いて2回洗浄することによって回収し、次いで、1×Halt(商標)プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermo Fisher Scientific、cat#78446)を補充したRIPA溶解緩衝剤(Sigma-Aldrich、cat#R0278)中で溶解させた。溶解物のタンパク質濃度をBCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific、cat#23227)を用いて測定した。溶解物10~20μgを4~12%グラジエントゲル(Thermo Fisher Scientific、cat#NW04120BOX)で分離し、ニトロセルロースメンブレン(Thermo Fisher Scientific、cat#IB23001)に転写した。メンブレンを、製造者により提唱された濃度の一次抗体と一緒に4℃で一晩インキュベートした。この試験に使用した一次抗体には、ホスホ-AKT Ser473(Cell Signaling Technology、cat#4060)又はGAPDH(Cell Signaling Technology、cat#97166)が含まれる。メンブレンを、1×PBST(Cell Signaling Technology、cat#9809)を用いて3回洗浄し、続いて、Peroxidase AffiniPureヤギ抗マウスIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch Laboratories、cat#115-035-003)又はPeroxidase AffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch Laboratories、cat#111-035-003)と一緒に室温で1時間インキュベートした。メンブレンを、1×PBSTを用いて3回洗浄し、次いで、Pierce(商標)ECL Western Blotting Substrate(Thermo Fisher Scientific、cat#32106)と一緒にインキュベートした。次いで、メンブレンに対してAzure Image Systems C600を用いて検出を行った。
【0171】
9.3.1.7.グルココルチコイド応答エレメント(GRE)活性化アッセイ
K562親GRE細胞(pGL4.36[luc2P/MMTV/Hygro])及びK562ヒトCD19 GRE細胞(pGL4.36[luc2P/MMTV/Hygro])又はK562カニクイザルCD19 GRE細胞(pGL4.36[luc2P/MMTV/Hygro])を96ウェル組織培養処理済み白色プレート(Costar、cat#3917)に、アッセイ培地(1×RPMI+L-Glu、1%CSFBS(Thermo Fisher Scientific Inc.、cat#12676-029)、1%ピルビン酸Na及び1%MEAA)75μL中、ウェル当たり細胞50,000個でプレーティングした。GRE K562親細胞又はヒトCD19を発現する細胞及びカニクイザルCD19を発現する細胞を、アッセイ培地中に4倍段階希釈したCD19-GRM 25μLを用いて処理し、37℃、5%COで72時間インキュベートした。100nMのデキサメタゾンを陽性対照としてこれらのアッセイに加えた。72時間のインキュベーション後、細胞を、Dual-Glo Luciferase Assay System(Promega cat#E2920)100μLを用いて10分間処理し、MicroBeta(PerkinElmer)を使用して発光について分析した。用量-応答データを、非線形回帰を使用してS字状曲線に当てはめ、EC50値を、GraphPad 9.0(GraphPad Software,Inc.)を用いて算出した。
【0172】
9.3.1.8.NFAT ADCCレポーターアッセイ
ADCCレポーターバイオアッセイ(V及びFバリアント;Promega、cat#G7010及びG9790)を製造者のプロトコールに従い、軽微な改変を伴って実施した。簡単に述べると、標的細胞株Rajiを、ADCCアッセイ緩衝剤(4%低IgG血清を含有するRPMI培地)5μL中に、ウェル当たり細胞2500個でプレーティングした。抗体を、ADCCアッセイ緩衝剤中に力価設定し、示されている抗体濃度で5μLを添加した。Vバリアントキット及びFバリアントキットからのエフェクター細胞をADCCアッセイ緩衝剤中に再懸濁させ、ウェル当たり5μLで添加して、エフェクター対標的細胞比6:1を実現した。標的細胞-抗体混合物を、Vバリアントを発現するエフェクター細胞及びFバリアントを発現するエフェクター細胞と一緒に37℃でそれぞれ6時間及び24時間インキュベートした。終点において、Bio-Glo Luciferase Reagent 15μLを添加し、ルシフェラーゼ活性を、Molecular Devices SpectraMax M5プレートリーダーを用いて測定した。
【0173】
9.3.1.9.PBMC共培養ADCCアッセイ
標的細胞株(RS4;11、Raji及びKARPAS422)を、PBSを用いて洗浄し、PBS中1μMのCFSE(Thermo Fisher Scientific、cat#C34554)を用いて37℃で5分間にわたって標識を行った。次いで、標識された標的細胞を、10%FBSを含有する培地を用いて3回洗浄した。50μL中20,000個の標識された標的細胞をV形96ウェルプレートにプレーティングした。抗体及びADCを培養培地中に力価設定し、10μLを添加して、示されている最終濃度を実現した。正常なドナー(AllCells)由来のPMBCを40μL中、エフェクター対標的細胞比20:1で添加し、細胞を37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、PBSを用いて1回洗浄し、Live/Dead Fixable Violet Dead Cell Stain Kit(Thermo Fisher Scientific cat#L34955)を用いて室温で30分にわたって染色を行い、次いで、氷冷したPBS 200μLを用いて1回洗浄した。細胞を、PBS中4%パラホルムアルデヒドを用いて15分にわたって固定し、次いで、PBS 200μLを用いて1回洗浄した。固定された細胞を、PBS 100μLに再懸濁させ、Stratedigm S1000EONフローサイトメーターでの分析を行うまで4℃で保管した。Live/Dead Violet色素陽性細胞のパーセンテージを捕捉し、%特異的溶解を、各処理条件におけるLive/Dead Violet陽性細胞のパーセンテージを、エフェクター細胞及び標的細胞のみを含有する無処理の対照を用いて引き算することによって算出した。
【0174】
9.3.1.10.ADCPアッセイ
ヒト単球(STEMCELL Technologies)を、10%FBS及び50ng/mlの組換えヒトM-CSF(BioLegend)を含有するRPMI-1640中、8日間にわたってマクロファージに分化させた。十分に分化したマクロファージをフラスコから剥離して、ファゴサイトーシスアッセイにおいて標的がん細胞と共培養した。内因性CD19を発現するヒト非ホジキンリンパ腫細胞株Raji及びNuDHL1を標的細胞として選択した。PBSを用いて洗浄した後、標的がん細胞を、5μMのCFSE色素溶液(Thermo Fisher Scientific)を用いて15分間にわたって標識し、次いで、ヒトマクロファージと1:1の比で共インキュベートした。CD19 mAb又はCD19-GRMを種々の濃度で添加した。37℃で3時間共培養した後、細胞を回収し、洗浄し、マクロファージ成熟化マーカーに対する抗体、APC-Cy7標識されたCD68抗体(BioLegend)で染色し、その後、フローサイトメトリー分析を行った。ファゴサイトーシス指数を、ファゴサイトーシス性マクロファージの集団パーセンタイルを示すものである、総CD68+マクロファージの間のCFSE+CD68+2重陽性マクロファージを計数することによって算出した。
【0175】
9.3.1.11.アポトーシスアッセイ
アポトーシスを、ウエスタンブロットアッセイを使用して検出した。DLBCL細胞株であるFarage細胞、SU-DHL-6細胞、OCI-LY19細胞を、GRMペイロード(100nM)又はADC-1(1μM)を用い、示されている時間にわたって処理した後、細胞溶解を行った。細胞溶解物を、M-PER(商標)Mammalian Protein Extraction Reagent(Thermo Fisher Scientific、cat#78501)を使用して生成し、タンパク質濃度を、Pierce(商標)Detergent Compatible Bradford Assay Kit(Thermo Fisher Scientific、cat#23246)を使用して決定した。各処理条件からのタンパク質溶解物(10μg)をBolt(商標)4~12%、Bis-Trisで分離し、iBlot(商標)2 Gel Transfer Deviceを用いてPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを、5%BSAを用いてブロッキングし、次いで、目的のタンパク質に対する抗体を用いて免疫ブロッティングを行った:BIM(Cell Signaling、cat#2933)、カスパーゼ3(Cell Signaling、cat#9662)、PARP(Cell Signaling、cat#9532)及びGAPDH(Cell Signaling、cat#5174)。続いて、メンブレンを、ウサギ又はマウスIgGに対する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートした二次抗体を用いてプロービングし、SuperSignal(商標)West Pico PLUS Chemiluminescent substrate(Thermo Fisher Scientific、cat#34580)を用い、Azure Imagerで検出した。
【0176】
9.3.2.インビボ試験
9.3.2.1.マウス及び管理
雌CB17/SCID及びSCID/beigeをCharles River(Wilmington,MA)から、及びCD34ヒト化NSG IL-15をJackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から、6~8週齢で入手し、ケージ当たり最大10匹で飼育した。到着時の体重は18~20gであった。食物及び水を自由に摂取可能にした。マウスを、実験の開始前少なくとも3日間にわたって動物施設に気候順化させた。動物に対する試験を12時間の明:12時間の暗スケジュール(06:00時間に明かりをつける)明期に行った。全ての実験を、AbbVie’s Institutional Animal Care and Use Committee and the National Institutes of Health Guide for Care and Use of Laboratory Animalsガイドラインに従って行った。
【0177】
9.3.2.2.化合物
腹腔内投与経路を使用した。GRM低分子(GRM-SM)については、水中0.05%HPMC、0.02%Tween-80中に製剤化し、4℃で保管し、経口投薬を用いた。
【0178】
実施例1のCD19 mAbは、ヒト及びカニクイザルCD19に対して高い親和性を有する脱フコシル化モノクローナル抗体(IgG1、κ)である。ADC-1は、CD19 mAbをブロモアセトアミドアラニン-アラニンペプチドリンカーを用いて式VのGRM分子と連結したコンジュゲートである。アイソタイプ抗体(AB095)は、異種移植片によってもいかなるマウス組織によっても提示されない破傷風トキソイド抗原を認識する。
【0179】
9.3.2.3.有効性のパラメータ
薬物の有効性を参照するために、治療応答の大きさのパラメータ(最大腫瘍成長阻害、[TGImax])及び長続きのパラメータ(腫瘍成長遅延、TGD)を使用した。TGIは、薬物処置群の平均腫瘍体積と、薬物ビヒクル又はアイソタイプを対応させた非結合性抗体を用いて処置した対照群の平均腫瘍体積の相違を示すものであり、対照群に対する平均体積のパーセンテージとして表わされる。TGImax値は、処置群と対照群の差異が最大になった時点で決定される。TGD(n)は、薬物処置群における規定された腫瘍体積(1cm)に達するまでの時間の中央値の、ビヒクルで処置した対照群における同じ体積に達するまでの時間の中央値と比較した差異を示すものである。この差異は、対照群における指定の腫瘍体積に達するまでの時間の中央値に対するパーセンテージとして表わされる。
【0180】
9.3.2.4.側腹部皮下腫瘍の腫瘍担持マウスの生成及び腫瘍体積の決定
皮下異種移植片試験それぞれについて、0日目に生存細胞をマウスの右側腹部に接種した。注射体積は0.1mLであり、S-MEM又はHBSS(Fisher Scientific、MA)とマトリゲル(BD、Franklin Lakes,NJ)の1:1混合物で構成された。腫瘍のサイズをおよそ80~200mmで釣り合わせた。治療は、通常、必要なコホートへのランダム化及び腫瘍サイズの釣り合せを行った後、24時間以内に開始した。治療開始時のマウスの体重はおよそ20~22gであった。腫瘍体積を週に1~2回推定した。腫瘍の長さ(L)及び幅(W)の測定値を電子カリパスによって得、体積を以下の方程式に従って算出した:V=(L×W)/2。腫瘍体積が最大2,000mmに達した時、又は施設のガイドラインに従って、動物の健康が損なわれた場合に、マウスを安楽死させた。
【0181】
9.3.2.5.統計値
インビボにおける実験からのデータを、TGImax値についてはスチューデントのt検定、及びTGDについてはログランク検定(マン・ホイットニーU検定又はマンテル コックス)を使用して解析した。奏効率の差異をフィッシャーの直接検定によって評定した。
【0182】
9.3.2.6.PDX試験
患者由来異種移植片(PDX)試験を、外科的に切除された原発性患者腫瘍を起源とする、WuXiにおいて樹立されたDLBCLモデルに対して実施した。患者の治療歴を、治験審査委員会によって確立されたプロトコール及びガイドラインに従って収集した。各腫瘍検体(単一細胞浮遊液又は腫瘍断片)をマトリゲル(BD Biosciences)中に調製し、6~8週齢NOD scidマウスの側腹部に埋め込んだ。マウスの取り扱い及び飼育をIACUC/AALASプロトコール及び手順に従って行った。腫瘍を週に2回、カリパス測定値(長さ×幅)/2によって測定し、腫瘍体積がおよそ150~200mmに達したところで処置を開始した。マウスを、示されている試験物をn=5/群で用い、腹腔内に1回処置した(ビヒクル、CD19抗体、ADC-1)。処置した各DLBCL PDXモデル(6つの胚中心B細胞(GCB)及び処置が難しい非GCB活性化B細胞亜型(ABC)を含む4つの非GCB)について、ADC-1による処置後の腫瘍成長阻害を以下の通り決定した:デルタ%TGI最大=1-(X日目の処置群の腫瘍体積-ランダム化時点での処置群の腫瘍体積)/(X日目の対照の腫瘍体積-ランダム化時点での対照の腫瘍体積)]*100。デルタ%TGI最大は、処置群と対照群の差異が最大になった時に決定した。PDXモデルを、腫瘍退縮を誘導するその能力に基づいて応答者又は非応答者と決定した(応答者):>105%デルタTGI最大-応答あり/なし。[(時点での腫瘍体積/ランダム化時点での腫瘍体積)-1]×100によって算出される腫瘍体積の変化(%)も算出し、ビヒクル対照腫瘍が1000mmに達した時点に基づいてグラフにした。図13A~Bを参照されたい。
【0183】
9.3.2.7.結合活性
フローサイトメトリーを使用して、ADC-1の、CD19を内因性に発現する異なるがん細胞株及び全長ヒトCD19が形質導入された293T細胞への細胞表面結合を評定した。ADC-1は、B細胞リンパ腫細胞株Raji(バーキットリンパ腫)、SUP-B15(急性リンパ芽球性白血病)、RS4;11(急性リンパ芽球性白血病)及びOCI-LY19(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)に対して0.544~1.061nMの範囲の結合EC50を示し(表4)、全長ヒトCD19を用いて工学的に操作された293T細胞に対して1.086nMの結合EC50を示した(表4)。実施例1のコンジュゲートしていない親脱フコシル化CD19抗体(CD19 mAb)は、0.401~0.836nMの範囲のEC50で同様の結合親和性を示し(表4)、全長ヒトCD19を用いて工学的に操作された293T細胞に対しては0.977nMの結合EC50を示した(表4)。ADC-1及びCD19 mAbのどちらもCD19陰性結腸直腸がん細胞株HCT116に対しては検出可能な結合を示さなかった。
【0184】
【表4】
【0185】
9.3.2.8.グルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)ペイロードは臨床的に承認済みのグルココルチコイドよりも効力が高い
GRMペイロードの効力の臨床的に承認済みのグルココルチコイド(デキサメタゾン及びプレドニゾロン)との比較を、インビトロにおいてRS4;11細胞に対する試験を行うことによって行った。式IVのGRMペイロードは、デキサメタゾン又はプレドニゾロンのいずれと比較しても高い効力を示した(図1)。EC50は、式IVのGRMペイロード、デキサメタゾン及びプレドニゾロンについて、それぞれ0.23nM、3.28nM及び82.91nMであった。
【0186】
9.3.2.9.CD19 mAb及びADC-1は内部移行し、GRMペイロードを送達して、B細胞リンパ腫細胞増殖を阻害する
CD19 mAbの、CD19内部移行を誘導する能力を調査するために、急性リンパ芽球性リンパ腫(ALL)細胞株RS4;11を、CD19 mAbを用いて37℃で0時間、0.5時間、1時間、3時間及び24時間にわたって処理した。CD19とリソソームマーカーLAMP1の共局在によって示される通り、CD19 mAbは、0.5時間という早さでCD19内部移行を誘導し、リソソームに局在化する(図2)。同様に、ADC-1は、ヒトCD19を発現するように工学的に操作された、K562グルココルチコイド応答エレメント(GRE)レポーター細胞においてGREレポーターを用量依存的に活性化する(図3)。
【0187】
ADC-1の細胞傷害性を評価するために、CD19を異なるレベルで発現する胞株に対して増殖アッセイを実施した。ADC-1は、式IVのグルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)ペイロードに対して感受性であるCD19を発現するがん細胞株の増殖を阻害し、ADC-1のインビトロ細胞傷害性EC50は0.082~0.321nMにわたった(表5)。
【0188】
【表5】
【0189】
式IIIのGRMプロドラッグペイロードを、インビトロ/インビボで脱リン酸化して、式IVの脱リン酸化GRMペイロードにし、したがって、式IVの脱リン酸化ペイロードを本発明らの試験における対照として使用した。ADC-1は、CD19陰性結腸直腸がん細胞株HCT116に対しては活性ではなかった(表5)。特に、ADC-1は、アイソタイプ-GRMと比較して効力が高く(表5)、これにより、GRMペイロードのCD19標的依存性送達が示される。
【0190】
9.3.2.10.CD19 mAbはインビトロにおいてDLBCL細胞増殖及びAKT活性化を阻害する
CD19は、B細胞受容体の補助受容体であり、PI3K/AKT経路をトランス活性化し得る(Burgerら、Nat Rev Cancer、2018.18(3):148~167頁)。さらに、機能的ゲノムスクリーニングにより、DLBCL細胞株のサブセットが生存に関してCD19に依存することが実証された(Phelan,J.D.ら、Nature、2018.560(7718):387~391頁)。インビトロにおいて、CD19 mAb(実施例1)で処理することにより、SU-DHL-6の細胞増殖が阻害された(図4A)。CD19 mAbで予め処理することにより、1μg/mlの抗IgMを用いたBCR刺激に応答したAKTリン酸化が除かれ(図4B)、これにより、CD19 mAbがBCR媒介性AKT経路活性化を有効に遮断することが実証される。
【0191】
9.3.2.11.ADC-1は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する
CD19 mAb及びADC-1を、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を引き出すそれらの能力を増強するために脱フコシル化した。FcγRIIIaの多型(F158又はV158)は、そのIgG1、IgG3及びIgG4への結合、並びにこれらの抗体の治療有効性に影響を及ぼす(Koene,H.R.ら、Blood、1997.90(3):1109~1114頁;Cartron,G.ら、Blood、2002.99(3):754~8頁;Wu,J.ら、J Clin Invest、1997.100(5):1059~70頁)。
【0192】
インビトロにおいて、高親和性(V158)又は低親和性(F158)FcγRIIIaを発現するように工学的に操作されたNFATレポーターJurkat細胞を使用して、CD19-GRMの、FcγRIIIaに結合し、ADCCを引き出す能力を決定した。CD19-GRMは、ADCC NFATレポーター活性化が誘導され、EC50はV158バリアント及びF158バリアントに対してそれぞれ0.017nM及び0.018nMであった(図5A及びB)。同様に、コンジュゲートしていない脱フコシル化抗体CD19 mAbによっても効力の高いADCC活性が誘導され、EC50はV158バリアント及びF158バリアントに対してそれぞれ0.027nM及び0.023nMであった(図5A及びB)。
【0193】
B細胞リンパ腫細胞株と初代PBMCの共培養を実施して、ADC-1のADCC活性を機能的に評定した。これらのアッセイでは、ADC-1により、CD19特異的がん細胞溶解が引き出され、EC50は0.07~0.142nMにわたった(図6A~C)。コンジュゲートしていないCD19 mAbも同様のCD19特異的がん細胞溶解を示し、EC50は0.075~0.405nMにわたった(図6A~C)。
【0194】
9.3.2.12.ADC-1は抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を誘導する
ADC-1のADCPを誘導する能力を、B細胞リンパ腫細胞を単球由来マクロファージとインビトロで共培養することによって評価した。ADC-1による処理及びCD19 mAbによる処理のどちらによっても、NuDHL1及びRajiにおいて、アイソタイプmAb又はアイソタイプGRMによる処理と比較して著しく高いADCP誘導がもたらされた(図7A及びB)。
【0195】
9.3.2.13.GRM及びADC-1はDLBCL細胞株におけるアポトーシスを誘導する
試験した3種の細胞株全てにおいて、GRM及びADC1により、アポトーシス促進性タンパク質(BIM)のアップレギュレーション及びアポトーシスのマーカー(切断型カスパーゼ-3及び切断型PARP)の誘導によって測定される、アポトーシスが誘導された(図15参照)。
【0196】
9.3.2.14.ADC-1は、インビボにおいて、GRMに駆動される抗腫瘍活性及びADCCを引き出す
ADC-1は、CD19の細胞表面発現を有する腫瘍に対して効果的である。ADC-1は、単一の作用剤としてもたらされると、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL:OCI-LY19及びSU-DHL-6)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL:RS4;11)などの、B細胞悪性腫瘍に由来するヒト腫瘍細胞株の皮下異種移植片の成長を阻害する(図8及び9)。ヒト異種移植片を、免疫無防備状態のCB17/SCIDマウス(OCI-LY19、RS4;11:図8A及び図9)、免疫無防備状態のSCID/beigeマウス(SU-DHL-6:図8B)及びヒト化CD34+NSG-huIL-15マウスモデル(OCI-LY19:図10)を使用して試験した。ADC-1は、単回のボーラスとして腹腔内に投与され、用量依存的に効果的である。DLBCL異種移植片(図8)に対しては、全ての用量のADC-1及び式IVのグルココルチコイド受容体モジュレーター低分子(GRM-SM)により、統計的に有意な(p<0.05)、ビヒクル、アイソタイプモノクローナル抗体、ヒトCD19モノクローナル抗体及び全身性ステロイド(プレドニゾロン、毎日の投薬)よりも大きい腫瘍成長阻害が誘導された。有意な長続きする応答がDLBCL異種移植片において最高用量で観察された。AB095-GRM(アイソタイプ-GRM対照)は、2つの最高用量でいくらかの成長阻害を示し、これは同じ用量のADC-1よりも有意に低かった(p<0.05)。ALL異種移植モデルに投与されたADC-1(図9)は、高い感受性を示し、低用量で長続きする応答及び統計的に有意な(p<0.05)腫瘍成長阻害が伴った。用量2での腫瘍退縮は>100日間続いた。全ての用量が許容され、体重減少は観察されなかった。
【0197】
ADC-1は、抗体依存性細胞傷害(antibody dependent cell cytotoxicity)(ADCC)適合性マウスモデル(huCD34+NSG-huIL-15)において用量依存的に効果的である。このマウスモデルでは、免疫無防備状態のNSGマウスを、ヒトIL-15を発現するように遺伝子操作し、ヒトPBMC(CD34+)を植え付ける。ヒトIL-15は、NK細胞生存率を支持し、ADCCの試験を可能にするように機能する。このマウス系において、ADC-1により、DLBCLに由来するヒト腫瘍細胞株の皮下異種移植片の成長の阻害が誘導された(OCI-LY19:図10)。用量3で統計的に有意な(p<0.05)腫瘍成長阻害及び長続きする応答(>50日間)が観察された。ADC-1のヒト末梢血B細胞及びNK細胞に対する影響をベースライン(投薬の4日前)並びに投薬の1日後、6日後、13日後、20日後及び26日後に測定した。マウス血液1マイクロリットル当たりのヒトB細胞の数及び総ヒトCD45+細胞に対するパーセンテージの両方が、全てのADC-1用量レベルで低減した。B細胞抑制の持続時間は用量レベルと正に関連した。NK細胞数に対してはいずれの用量レベルのADC-1によっても有意な影響はなかった。
【0198】
ADC-1の有効性を、CD19 mAbと全身性プレドニゾロンの組合せともRS4;11異種移植モデルにおいて直接比較した。このモデルでは、高用量の単一作用剤としてのCD19 mAb又はプレドニゾロン([QD×5]×3)は中程度の抗腫瘍活性を示したが、両方の作用剤を組み合わせると、より持続的な腫瘍成長阻害がもたらされた(図11)。顕著に、単回の低用量ADC-1により、CD19 mAbと全身性プレドニゾロン([QD×5]×3)の組合せと比較して長続きする抗腫瘍活性が誘導された。
【0199】
ADC-1は、いくつかの異なるB細胞悪性腫瘍モデル、DB(図12A)、SUPB15(図12B)、RS4;11(図12C)における抗腫瘍有効性を示す。示されている通り免疫無防備状態のマウスにおいて成長させたDB異種移植モデル及びSUPB15異種移植モデルにおいてADC-1の抗腫瘍有効性をプレドニゾロン、[QD×5]×3又はアイソタイプ-GRM ADCと直接比較した。DB異種移植モデル及びSUPB15異種移植モデルのどちらにおいても持続的な抗腫瘍有効性が観察され、これは、全身性ステロイドプレドニゾロンよりも優れたものであり、アイソタイプ-GRM ADCよりも優れたものであり、これにより、ADC-1のCD19標的化活性が確認される。ALL腫瘍モデルSUPB15(図12B)では、単回ADC-1投薬後に50日間を超えて続く持続的な抗腫瘍活性(完全奏効)が実証される。RS4;11腫瘍(図12C)を大きなサイズ(>600mm)まで成長させ、次いで、ADC-1を単回IP投薬で用いて処置した。この単回ADC-1投与の結果、これらの大きな腫瘍の完全な腫瘍退縮がもたらされ、これは>40日間持続した。
【0200】
9.3.2.15.ADC-1はDLBCL PDXモデルにおける抗腫瘍活性を引き出す
図13Aに示されている通り、10例のDLBCL PDXモデル全てで、対照で処置した同じモデルのPDXと比べて腫瘍成長阻害が実証された。10例のモデルのうち9例で、用量3のADC-1の単回投薬を使用した場合に腫瘍退縮が示された(図13B参照)。GCB患者に由来するPDXモデル及びNon-GCB患者に由来するPDXモデルのどちらにおいても抗腫瘍有効性が認められた。1例のモデル、0232においてだけは、用量3のADC-1を用いて処置した場合に均衡状態も退縮も示されなかった。このPDSXモデルは、7サイクルのR-CHOP治療を受けた患者由来のものであった。4サイクルの処置を受けたR-CHOP再発患者由来の3例のPDXモデル、0367、0016及び0207は応答した。
【0201】
図14A及びBに示されている通り、用量3のADC-1の単回投薬により、ビヒクル対照及びCD19抗体による処置と比較して、抗腫瘍活性が実証された。図14Aにおいて、PDXモデルは、4サイクルのR-CHOP治療を受けたDLBCL、GCB患者に由来するものであった。このPDXモデルでは、イブルチニブを用いた処置でわずかな均衡状態が示された。図14Bに示されているPDX由来モデルは、4サイクルのR-CHOPを受けたDLBCL ABC患者に由来するものであった。このPDXモデルはイブルチニブ処置に対して抵抗性であった。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8AB
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12BC
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
【配列表】
2023184489000001.xml
【外国語明細書】