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2023-184492ジヒドロオキサジアジノン化合物及びその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184492
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ジヒドロオキサジアジノン化合物及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 273/04 20060101AFI20231221BHJP
   C07D 498/10 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 491/08 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 498/08 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 413/10 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 31/5395 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C07D273/04
C07D498/10 CSP
C07D413/12
C07D413/14
C07D413/04
C07D491/107
C07D487/04 145
C07D487/04 141
C07D491/08
C07D498/08
C07D471/04 113
C07D498/04 101
C07D471/04 106A
C07D471/04 104A
C07D471/04 108A
C07D519/00 301
C07D413/10
A61K31/5395
A61P7/02
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098437
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022097544
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】横田 正宏
(72)【発明者】
【氏名】嘉屋 徹道
(72)【発明者】
【氏名】鳥塚 誠
(72)【発明者】
【氏名】中山 泰彰
(72)【発明者】
【氏名】池ノ上 拓
(72)【発明者】
【氏名】前田 克也
(72)【発明者】
【氏名】大竹 和樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健太朗
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA03
4C050AA04
4C050BB02
4C050BB04
4C050BB05
4C050BB06
4C050CC08
4C050CC15
4C050CC16
4C050EE01
4C050EE03
4C050EE04
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063BB06
4C063BB09
4C063CC59
4C063CC72
4C063CC76
4C063CC81
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD04
4C063DD06
4C063DD07
4C063DD08
4C063DD12
4C063DD15
4C063DD22
4C063DD25
4C063DD28
4C063DD29
4C063DD34
4C063DD42
4C063DD51
4C063DD54
4C063DD58
4C063DD59
4C063EE01
4C065AA03
4C065AA05
4C065BB04
4C065BB05
4C065BB06
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK01
4C065KK08
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP12
4C065PP18
4C072AA01
4C072AA03
4C072AA04
4C072AA06
4C072BB02
4C072BB06
4C072CC01
4C072CC02
4C072CC03
4C072CC11
4C072CC12
4C072EE02
4C072EE05
4C072EE07
4C072FF07
4C072FF11
4C072FF16
4C072GG07
4C072GG09
4C072HH01
4C072HH02
4C072HH05
4C072HH07
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC72
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA54
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
【課題】本発明は、PLD阻害活性を有する化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、下記構造式等の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
(式中の各記号は明細書における定義と同義である)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[Ia]で示される化合物又はその製薬上許容される塩。
【化1】
[式中、
Aaは、CR10a又はNであり;
A2aは、CR5a又はOであり;
Cyaは、
(1)C6-10アリール、
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員のヘテロアリール、又は
(3)環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基
であり;
R1aは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【化2】
で置換されてもよい}、
(3)C1-4ハロアルキル(ここで、該ハロアルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(4)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(5)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(6)COR17a(ここで、R17aは、C1-4アルキル又はヒドロキシである)、
(7)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(8)C3-4シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、又は
(c)フェニルで置換されてもよい)、
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、
(10)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(11)フェニル(ここで、該フェニルは、1又は2個の
(a)ハロゲン、又は
(b)C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、
(12)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;
m個のR2aは、それぞれ独立して、
(1)ヒドロキシ、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、又は
(b)C3-4シクロアルキルで置換されてもよい)、
(5)C2-4アルケニル(ここで、該アルケニルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(6)C1-4ハロアルキル、
(7)C1-4アルコキシ(ここで、該アルコキシは、
(a)ヒドロキシ、及び
(b)ハロゲン
からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されてもよい)、
(8)SR23a(ここで、R23aは、C1-4アルキル又はC1-4ハロアルキルである)、
(9)COR24a(ここで、R24aは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルキル、又は
(c)C1-4アルコキシである)、
(10)CONR25aR26a(ここで、R25a及びR26aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-6アルキル、又は
(c)C3-4シクロアルキルであるか、あるいは
R25a及びR26aは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4から7員のヘテロシクロアルキルを形成する(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有し、また該ヘテロシクロアルキルは、1又は2個のハロゲンで置換されてもよい)、
(11)SO2R27(ここで、R27は、C1-6アルキルである)、
(12)C3-4シクロアルキル、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)C1-4アルキル、及び
(c)C1-4ハロアルキルからなる群から選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい)、
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル、
(15)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、又は
(16)フェニル
であり;
R3aは、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)C1-4ハロアルキル
であり;
R4aは、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)シアノ
であり;
R5aは、水素又はC1-4アルキルであり;
R6a、R7a及びR8aの組み合わせとしては、
(1)R6aは、水素又はC1-4アルキルであり、R7a及びR8aは、ともに水素である組み合わせ、
(2)R6aは、水素又はC1-4アルキルであり、R7a及びR8aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成する組み合わせ、あるいは
(3)R6a及びR7aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成し、R8aは、水素である組み合わせ
であり;
R9aは、
(1)水素、
(2)CONHR28(ここで、R28は、C3-4シクロアルキルである)、又は
(3)C1-4アルキル
であり;
R10aは、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-4アルキル、
(5)シアノ、又は
(6)C1-4アルコキシ
であり;
1又は2個のR22aは、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1-4アルキル、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-4アルコキシ、
(5)NHCOR29(ここで、R29は、C1-4アルキルである)、
(6)SO2R30(ここで、R30は、C1-4アルキルである)、
(7)シアノ、又は
(8)C3-4シクロアルキル
であり;並びに
mは、0、1、2又は3である]
【請求項2】
式[IIa]:
【化3】
[式中、
Aa、Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項3】
式[IIIa]:
【化4】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項4】
式[IVa]:
【化5】
[式中、
R1bは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【化6】
で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(4)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(5)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(8)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;並びに
Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R22a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項5】
式[Va]:
【化7】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R4a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項4の定義と同義である]
で示される、請求項4に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項6】
式[VIa]:
【化8】
[式中、
Cybは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
であり;
R1bは、請求項4の定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R4a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項4に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項7】
式[VIIa]:
【化9】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項4の定義と同義である]
で示される、請求項4に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項8】
式[VIIIa]:
【化10】
[式中、
Cya、R2a、R3a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項4の定義と同義である]
で示される、請求項4に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項9】
式[IXa]:
【化11】
[式中、
Cybは、請求項6の定義と同義であり;
R1bは、請求項4の定義と同義であり;並びに
R2a、R3a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項6に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項10】
式[Xa]:
【化12】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項11】
式[XIa]:
【化13】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項12】
式[XIIa]:
【化14】
[式中、
R1bは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【化15】
で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(4)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(5)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(8)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;並びに
Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a、R22a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項13】
式[XIIIa]:
【化16】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項12の定義と同義である]
で示される、請求項12に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項14】
式[XIVa]:
【化17】
[式中、
Cybは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
であり;
R1bは、請求項12の定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項12に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項15】
式[XVa]:
【化18】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項12の定義と同義である]
で示される、請求項12に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項16】
式[XVIa]:
【化19】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義であり;並びに
R1bは、請求項12の定義と同義である]
で示される、請求項12に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項17】
式[XVIIa]:
【化20】
[式中、
Cybは、請求項14の定義と同義であり;
R1bは、請求項12の定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R10a及びmは、請求項1の定義と同義である]
で示される、請求項14に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項18】
下記式:
【化21】
で示される化合物からなる群から選択される化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項21】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD阻害剤。
【請求項22】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD1阻害剤。
【請求項23】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD1/2阻害剤。
【請求項24】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項25】
一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項26】
治療上有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLDを阻害する方法。
【請求項27】
治療上有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLD1を阻害する方法。
【請求項28】
治療上有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLD1/2を阻害する方法。
【請求項29】
治療上有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における血栓症及びがんからなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項30】
治療上有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を、一種類以上の他の薬剤と組み合わせて哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における血栓症及びがんからなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項31】
PLD阻害剤を製造するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項32】
PLD1阻害剤を製造するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項33】
PLD1/2阻害剤を製造するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項34】
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項35】
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための、一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項36】
PLDの阻害に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項37】
PLD1の阻害に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項38】
PLD1/2の阻害に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項39】
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項40】
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホリパーゼD(以下、「PLD」と称する)阻害活性を有するジヒドロオキサジアジノン化合物又はその製薬上許容される塩、それを含む医薬組成物、及びその医薬用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓形成に重要な3要因は、血液成分の変化、血管壁の性状変化、及び血流の変化とされている。動脈の血流は、層流をなしており、中央部ではより速く、血管壁近くは遅い。この速度差により生じるずり応力は、血管壁近くを流れる血小板に強い影響を与え、血小板の凝集能を亢進させる。動脈での血栓形成は、動脈硬化性のプラークの破綻が大きな引き金となる。動脈硬化性のプラークの破綻に伴って露呈する内皮下組織のコラーゲン、又はそのコラーゲンに粘着したフォン・ヴィレブランド因子(vWF)と血小板膜受容体の反応により血小板活性化のシグナル伝達が起き、血小板が凝集することで血栓形成が始まる。このため、冠動脈や脳内の動脈でのプラーク破綻部位で開始する血小板凝集は、急激な血栓性閉塞を発生させる可能性があり、その結果、心筋梗塞や脳梗塞の発症に至る。これらの病態が成立すると考えられる粥状硬化(アテローム)狭窄部位等では、極めて高いずり応力が発生していると想定される。血流環境を組み入れたin vitroフローチャンバーを用いた最近の研究で、ずり応力の違いで血小板粘着・凝集メカニズムが異なることが明らかにされている。高ずり応力下では、従来の静止系や閉鎖撹拌実験系で構築された古典的概念とは全く異なるメカニズムで血小板粘着・凝集反応が進行する(非特許文献1、2、3、4)。
【0003】
生体内での血栓形成の本来の役割は、血液の漏出を防ぐための止血メカニズムである。止血メカニズムの第1ステップとして、まず血管壁損傷部位に血小板が粘着する(一次止血)。血小板粘着に続く次のステップが血小板凝集反応である。損傷血管壁に強固に粘着した血小板は、次々と血流にのって供給される血小板を捕獲・結合し、血小板血栓が空間的に成長する。血小板を活性化し、血小板凝集を誘発する因子は多数存在する。誘発する因子の種類によらず、最終反応はフィブリノーゲン、又はvWFが血小板膜上の活性型インテグリンαIIbβ3(糖タンパク質GPIIb/IIIa、GPIIb/IIIa)と結合することにより血小板同士が架橋することである。アスピリンやクロピドグレルに代表される既存の抗血小板薬はいずれも、血小板活性化につながるシグナルを阻害し、一次止血機能を障害する作用を有することから、抗血栓作用の延長線上に出血リスクが伴う(非特許文献5)。上述のように、アテローム狭窄部位での血栓形成は、高ずり応力による血小板粘着・凝集が主体となっている可能性があることから、高ずり応力下での血小板凝集反応のみを抑制することができる薬剤は、既存薬よりも出血リスクが低い薬剤となることが期待される。
【0004】
PLDの主要なアイソフォームとして、PLD1及びPLD2が知られている。PLD1は、同名の遺伝子にコードされ、ヒトにおいては全身でその発現が確認されている。PLD1は、生体膜構成リン脂質のホスファチジルコリン(PC)を加水分解し、ホスファチジン酸(PA)を産生するリン脂質代謝酵素である。PLD1により産生されるPAは、シグナル伝達分子として働くため、PLD1は、PAを介して様々な細胞機能を調節していると考えられている。また、細胞内でPLD1と同様にPCをPAとコリンに加水分解する酵素としてPLD2が存在する。PLD2も、同名の遺伝子にコードされ、ヒトにおいても全身でその発現が確認されている。哺乳類の細胞や組織で確認されるPLD活性は、これらPLD1及びPLD2によるものと考えられている(非特許文献6)。
【0005】
PLD1のノックアウトマウスを用いた表現型解析の結果、本マウスは、出血リスクを示さず抗血栓作用を示すことが明らかとされた。また、PLD1/2 dualノックアウトマウスを用いた表現型解析の結果、PLD1ノックアウトマウスの表現型に加えて、血小板からのα顆粒分泌の阻害作用も有することが示された。これらのマウス由来血小板を用いた解析の結果、PLD1及びPLD2の抑制が高ずり応力下での血小板凝集抑制作用を示すこと、また、既存抗血小板薬で阻害を示すsoluble agonistsによる血小板凝集には影響を及ぼさないことが示された(非特許文献7、8)。
【0006】
また、PLD1及びPLD2は、いずれも細胞増殖、生存、代謝、遊走、膜融合等の様々な現象に寄与しているとの報告がある(非特許文献9、10、11)。PLD1及びPLD2の活性化は、がん(非特許文献12、13)を含む複数の病態に寄与すると考えられており、大腸、乳房、胃、甲状腺、脳、腎臓、子宮平滑筋などにおける様々なヒトの癌で発現と活性の上昇が検出されている(非特許文献11、12、13)。また、乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、脳腫瘍など、さまざまながん種において、PLD1及びPLD2酵素が形質転換や腫瘍形成に直接関係しているという報告が数多くなされている(非特許文献11、12、13)。PLD1及びPLD2ノックアウトマウス、またそれぞれの阻害剤を用いた検討においても、腫瘍組織の増殖が抑制されることが確認されている(非特許文献13、14)。
【0007】
以上より、PLD阻害剤は、血栓症(例えば、動脈血栓症、急性冠症候群、安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、虚血性脳卒中、非心原性脳梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、潜因性脳梗塞、塞栓原不明脳塞栓症(Embolic stroke of undetermined source,ESUS)、ラクナ梗塞、一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患等)、及び血行再建術(冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈形成術、頸動脈内膜剥離術、頸動脈ステント留置術、血栓溶解療法、下肢血行再建術等)又は大動脈弁置換術(外科的大動脈弁置換術、経カテーテル的大動脈弁置換術等)に伴う周術期及び周術期以降の血栓症に対する治療剤(例えば、二次予防薬、再発防止薬、再燃防止薬等)又は予防剤になると考えられる。また、PLD阻害剤は、がん(例えば、乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、脳腫瘍等)に対する治療剤として有用となるとも考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Cell. 1996 Jan 26; 84(2): 289-297
【非特許文献2】J Thromb Haemost. 2014; 12(3): 418-420
【非特許文献3】Nat Med. 2009 Jun; 15(6): 665-673
【非特許文献4】The Journal of Japanese College of Angiology. 2011; 51(3): 275-281
【非特許文献5】Thromb Haemost. 2010 Jun; 103(6):1128-1135
【非特許文献6】Chem Rev. 2011 Oct 12;111(10):6064-119.
【非特許文献7】Sci Signal. 2010 Jan 5; 3(103): ra1
【非特許文献8】J Thromb Haemost. 2012 Nov;10(11):2361-72
【非特許文献9】J Biol Chem. 2014 Aug 15; 289(33): 22567-22574
【非特許文献10】J Biol Chem. 2014 Aug 15;289(33):22557-22566.
【非特許文献11】J Biol Chem. 2014; 289(33): 22575-22582
【非特許文献12】Pharmacol Rev. 2014 Oct; 66(4): 1033-1079
【非特許文献13】Nat Rev Drug Discov. 2017 May; 16(5):351-367
【非特許文献14】Adv Biol Regul. 2018 Jan;67:134-140.
【発明の概要】
【0009】
本発明は、PLD阻害活性を有するジヒドロオキサジアジノン化合物又はその製薬上許容される塩、それを含む医薬組成物、及びその医薬用途を提供する。すなわち、本発明は、以下に例示する態様を含む。
【0010】
[項1]
式[I]で示される化合物又はその製薬上許容される塩。
【0011】
【化1】
【0012】
[式中、
Aは、CR10又はNであり;
Cyは、
(1)C6-10アリール、
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール、又は
(3)環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基
であり;
R1は、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(5)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(6)COR17(ここで、R17は、C1-4アルキルである)、
(7)CONR18R19(ここで、R18及びR19は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル、
(c)C3-4シクロアルキル、又は
(d)C5-8架橋シクロアルキルである)、
(8)C3-4シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、又は
(c)フェニルで置換されてもよい)、
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、
(10)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(11)フェニル(ここで、該フェニルは、1又は2個のハロゲンで置換されてもよい)、
(12)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22で置換されてもよい)、又は
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)
であり;
m個のR2は、それぞれ独立して、
(1)ヒドロキシ、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、又は
(b)C3-4シクロアルキルで置換されてもよい)、
(5)C2-4アルケニル(ここで、該アルケニルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(6)C1-4ハロアルキル、
(7)C1-4アルコキシ(ここで、該アルコキシは、
(a)ヒドロキシ、及び
(b)ハロゲン
からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されてもよい)、
(8)SR23(ここで、R23は、C1-4アルキルである)、
(9)COR24(ここで、R24は、ヒドロキシ又はC1-4アルキルである)、
(10)CONR25R26(ここで、R25及びR26は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-6アルキル、又は
(c)C3-4シクロアルキルである)、
(11)SO2R27(ここで、R27は、C1-6アルキルである)、
(12)C3-4シクロアルキル、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)C1-4アルキル、及び
(c)C1-4ハロアルキルからなる群から選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい)、
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル、
(15)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、又は
(16)フェニル
であり;
R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルであり;
R7及びR8は、ともに水素であるか、又はR7及びR8は、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成し;
R9は、水素又はCONHR28(ここで、R28は、C3-4シクロアルキルである)であり;
R10は、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、又は
(3)ハロゲン
であり;
1又は2個のR22は、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1-4アルキル、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-4アルコキシ、
(5)NHCOR29(ここで、R29は、C1-4アルキルである)、又は
(6)SO2R30(ここで、R30は、C1-4アルキルである)
であり;並びに
mは、0、1、2又は3である]
【0013】
[項2]
Rが水素である、項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0014】
[項3]
AがNである、項1若しくは2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0015】
[項4]
AがCR10(ここで、R10は、項1の定義と同義である)である、項1若しくは2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0016】
[項5]
式[II]:
【0017】
【化2】
【0018】
[式中、
Cy、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びmは、項1における定義と同義である]
で示される、項4に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0019】
[項6]
R3がC1-4アルキルである、項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0020】
[項7]
項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【0021】
[項8]
項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD1阻害剤。
【0022】
[項9]
項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【0023】
[項10]
治療上有効量の項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLD1を阻害する方法。
【0024】
[項11]
治療上有効量の項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における血栓症及びがんからなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【0025】
[項12]
PLD1阻害剤を製造するための項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0026】
[項13]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0027】
[項14]
PLD1の阻害に使用するための、項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0028】
[項15]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0029】
[項1a]
式[Ia]で示される化合物又はその製薬上許容される塩。
【0030】
【化3】
【0031】
[式中、
Aaは、CR10a又はNであり;
A2aは、CR5a又はOであり;
Cyaは、
(1)C6-10アリール、
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員のヘテロアリール、又は
(3)環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基
であり;
R1aは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【0032】
【化4】
【0033】
で置換されてもよい}、
(3)C1-4ハロアルキル(ここで、該ハロアルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(4)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(5)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(6)COR17a(ここで、R17aは、C1-4アルキル又はヒドロキシである)、
(7)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(8)C3-4シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、又は
(c)フェニルで置換されてもよい)、
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、
(10)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(11)フェニル(ここで、該フェニルは、1又は2個の
(a)ハロゲン、又は
(b)C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、
(12)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;
m個のR2aは、それぞれ独立して、
(1)ヒドロキシ、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、又は
(b)C3-4シクロアルキルで置換されてもよい)、
(5)C2-4アルケニル(ここで、該アルケニルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(6)C1-4ハロアルキル、
(7)C1-4アルコキシ(ここで、該アルコキシは、
(a)ヒドロキシ、及び
(b)ハロゲン
からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されてもよい)、
(8)SR23a(ここで、R23aは、C1-4アルキル又はC1-4ハロアルキルである)、
(9)COR24a(ここで、R24aは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルキル、又は
(c)C1-4アルコキシである)、
(10)CONR25aR26a(ここで、R25a及びR26aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-6アルキル、又は
(c)C3-4シクロアルキルであるか、あるいは
R25a及びR26aは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4から7員のヘテロシクロアルキルを形成する(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有し、また該ヘテロシクロアルキルは、1又は2個のハロゲンで置換されてもよい)、
(11)SO2R27(ここで、R27は、C1-6アルキルである)、
(12)C3-4シクロアルキル、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)C1-4アルキル、及び
(c)C1-4ハロアルキルからなる群から選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい)、
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル、
(15)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、又は
(16)フェニル
であり;
R3aは、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)C1-4ハロアルキル
であり;
R4aは、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)シアノ
であり;
R5aは、水素又はC1-4アルキルであり;
R6a、R7a及びR8aの組み合わせとしては、
(1)R6aは、水素又はC1-4アルキルであり、R7a及びR8aは、ともに水素である組み合わせ、
(2)R6aは、水素又はC1-4アルキルであり、R7a及びR8aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成する組み合わせ、あるいは
(3)R6a及びR7aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成し、R8aは、水素である組み合わせ
であり;
R9aは、
(1)水素、
(2)CONHR28(ここで、R28は、C3-4シクロアルキルである)、又は
(3)C1-4アルキル
であり;
R10aは、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-4アルキル、
(5)シアノ、又は
(6)C1-4アルコキシ
であり;
1又は2個のR22aは、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1-4アルキル、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-4アルコキシ、
(5)NHCOR29(ここで、R29は、C1-4アルキルである)、
(6)SO2R30(ここで、R30は、C1-4アルキルである)、
(7)シアノ、又は
(8)C3-4シクロアルキル
であり;並びに
mは、0、1、2又は3である]
【0034】
[項2a]
式[IIa]:
【0035】
【化5】
【0036】
[式中、
Aa、Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0037】
[項3a]
式[IIIa]:
【0038】
【化6】
【0039】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0040】
[項4a]
式[IVa]:
【0041】
【化7】
【0042】
[式中、
R1bは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【0043】
【化8】
【0044】
で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(4)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(5)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(8)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;並びに
Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R22a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0045】
[項5a]
式[Va]:
【0046】
【化9】
【0047】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R4a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項4aの定義と同義である]
で示される、項4aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0048】
[項6a]
式[VIa]:
【0049】
【化10】
【0050】
[式中、
Cybは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
であり;
R1bは、項4aの定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R4a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項4aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0051】
[項7a]
式[VIIa]:
【0052】
【化11】
【0053】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項4aの定義と同義である]
で示される、項4aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0054】
[項8a]
式[VIIIa]:
【0055】
【化12】
【0056】
[式中、
Cya、R2a、R3a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項4aの定義と同義である]
で示される、項4aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0057】
[項9a]
式[IXa]:
【0058】
【化13】
【0059】
[式中、
Cybは、項6aの定義と同義であり;
R1bは、項4aの定義と同義であり;並びに
R2a、R3a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項6aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0060】
[項10a]
式[Xa]:
【0061】
【化14】
【0062】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0063】
[項11a]
式[XIa]:
【0064】
【化15】
【0065】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0066】
[項12a]
式[XIIa]:
【0067】
【化16】
【0068】
[式中、
R1bは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【0069】
【化17】
【0070】
で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(4)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(5)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい)、
(8)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
であり;並びに
Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a、R22a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項1aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0071】
[項13a]
式[XIIIa]:
【0072】
【化18】
【0073】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項12aの定義と同義である]
で示される、項12aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0074】
[項14a]
式[XIVa]:
【0075】
【化19】
【0076】
[式中、
Cybは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
であり;
R1bは、項12aの定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項12aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0077】
[項15a]
式[XVa]:
【0078】
【化20】
【0079】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項12aの定義と同義である]
で示される、項12aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0080】
[項16a]
式[XVIa]:
【0081】
【化21】
【0082】
[式中、
Cya、R2a、R3a、R10a及びmは、項1aの定義と同義であり;並びに
R1bは、項12aの定義と同義である]
で示される、項12aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0083】
[項17a]
式[XVIIa]:
【0084】
【化22】
【0085】
[式中、
Cybは、項14aの定義と同義であり;
R1bは、項12aの定義と同義であり;並びに
R2a、R3a、R10a及びmは、項1aの定義と同義である]
で示される、項14aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0086】
[項18a]
下記式:
【0087】
【化23】
【0088】
で示される化合物からなる群から選択される化合物又はその製薬上許容される塩。
【0089】
[項19a]
項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【0090】
[項20a]
一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【0091】
[項21a]
項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD阻害剤。
【0092】
[項22a]
項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD1阻害剤。
【0093】
[項23a]
項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、PLD1/2阻害剤。
【0094】
[項24a]
項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【0095】
[項25a]
一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【0096】
[項26a]
治療上有効量の項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLDを阻害する方法。
【0097】
[項27a]
治療上有効量の項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLD1を阻害する方法。
【0098】
[項28a]
治療上有効量の項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるPLD1/2を阻害する方法。
【0099】
[項29a]
治療上有効量の項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における血栓症及びがんからなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【0100】
[項30a]
治療上有効量の項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を、一種類以上の他の薬剤と組み合わせて哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における血栓症及びがんからなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【0101】
[項31a]
PLD阻害剤を製造するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0102】
[項32a]
PLD1阻害剤を製造するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0103】
[項33a]
PLD1/2阻害剤を製造するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0104】
[項34a]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0105】
[項35a]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための、一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【0106】
[項36a]
PLDの阻害に使用するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0107】
[項37a]
PLD1の阻害に使用するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0108】
[項38a]
PLD1/2の阻害に使用するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0109】
[項39a]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【0110】
[項40a]
血栓症及びがんからなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、一種類以上の他の薬剤と組み合わせた、項1aから18aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【発明の効果】
【0111】
本発明の式[I]若しくは式[Ia]で示される化合物又はその製薬上許容される塩は、PLD阻害活性を有するため、血栓症及びがんの治療又は予防に有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本明細書における用語の定義は以下の通りである。
【0113】
「ハロゲン」には、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0114】
「C1-4アルキル」とは、炭素数1から4個の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-4アルキル」には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルが含まれる。好ましい「C1-4アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
【0115】
「C1-6アルキル」とは、炭素数1から6個の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-6アルキル」には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、及び3,3-ジメチルブチルが含まれる。好ましい「C1-6アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
【0116】
「C2-4アルケニル」とは、炭素数2から4個の、炭素-炭素二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を意味する。「C2-4アルケニル」には、例えば、ビニル、アリル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、2-メチルプロパ-1-エン-イル、ブタ-3-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、及びブタ-2-エン-2-イルが含まれる。好ましい「C2-4アルケニル」としては、ビニル、プロパ-1-エン-1-イル、及び2-メチルプロパ-1-エン-イルが挙げられる。
【0117】
「C1-4ハロアルキル」とは、上記「ハロゲン」の群より独立して選択される1から5個のハロゲンで置換された上記「C1-4アルキル」を意味する。「C1-4ハロアルキル」には、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、1,1-ジフルオロエチル、1-フルオロ-1-メチルエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、及び4,4,4-トリフルオロブチルが含まれる。好ましい「C1-4ハロアルキル」としては、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、及び3,3,3-トリフルオロプロピルが挙げられる。
【0118】
「C1-4アルコキシ」とは、上記「C1-4アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。「C1-4アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが含まれる。好ましい「C1-4アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0119】
「C1-6アルコキシ」とは、上記「C1-6アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。「C1-6アルコキシ」には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、(3-メチルブタン-2-イル)オキシ、及びn-ヘキシルオキシが含まれる。好ましい「C1-6アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0120】
「C3-4シクロアルキル」とは、炭素数3又は4個の単環式飽和炭化水素基を意味する。「C3-4シクロアルキル」には、シクロプロピル、及びシクロブチルが含まれる。好ましい「C3-4シクロアルキル」としては、シクロプロピルが挙げられる。
【0121】
「C5-8架橋シクロアルキル」とは、5から8員の、架橋型の環状飽和炭化水素基を意味する。「C5-8架橋シクロアルキル」には、例えば、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、及びビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。好ましい「C5-8架橋シクロアルキル」としては、ビシクロ[1.1.1]ペンチルが挙げられる。
【0122】
「C6-10アリール」とは、炭素数6から10個の芳香族炭化水素基を意味する。「C6-10アリール」には、フェニル及びナフチルが含まれる。好ましい「C6-10アリール」としては、フェニルが挙げられる。
【0123】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子を1又は2個含有する、4から7員の飽和ヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル」には、例えば、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、モルホリニル、及びアゼパニルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル」としては、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジル、ジオキサニル、及びモルホリニルが挙げられる。
【0124】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子を1又は2個含有する、5から9員の、架橋型のヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル」には、例えば、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、3-オキサ-6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクチルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル」としては、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクチルが挙げられる。
【0125】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子を1又は2個含有する、6から11員の、スピロ型のヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル」には、例えば、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル、5-アザスピロ[2.4]ヘプチル、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクチル、2,8-ジアザスピロ[4.5]デシル、及び3-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデシルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル」としては、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル、5-アザスピロ[2.4]ヘプチル、及び4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクチルが挙げられる。
【0126】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員の、芳香族ヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール」には、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル及びピリダジニルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール」としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルが挙げられる。
【0127】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員のヘテロアリール」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員の、芳香族ヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員のヘテロアリール」には、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、インドリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル、キノリル、イソキノリル、及びキノキサリルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から10員のヘテロアリール」としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びピラゾロ[1,5-a]ピリジルが挙げられる。
【0128】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子を1から3個含有する、5から10員の芳香族ヘテロ環式基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール」には、例えば、ピロリル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、インドリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル、キノリル、イソキノリル、及びキノキサリルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール」としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イソキサゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インドリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、及びピラゾロ[1,5-a]ピリジルが挙げられる。
【0129】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基」には、例えば、ジヒドロピロリル、ジヒドロピリジル、及びジヒドロピリミジニルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基」としては、ジヒドロピリジルが挙げられる。
【0130】
「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の縮合ヘテロ環式基であって、縮合環を形成する環に少なくとも1個の飽和環が含まれる縮合環を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基」には、例えば、オクタヒドロ-2H-イソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、イソインドリル、ジヒドロイソキノリル、ジヒドロ-1,6-ナフチリジニル、ジヒドロ-1,7-ナフチリジニル、ジヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジル、ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジニル、及びジヒドロトリアゾロ[1,5-a]ピラジニルが含まれる。
【0131】
「環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基」とは、環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の縮合ヘテロ環式基であって、縮合環を形成する環に1個の飽和環が含まれる縮合環を意味する。「環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基」には、例えば、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシラニル、ジヒドロベンゾフラニル、及びベンゾ[d][1,3]ジオキソリルが含まれる。好ましい「環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有する、9又は10員の部分不飽和縮合環基」としては、ジヒドロベンゾフラニル、及びベンゾ[d][1,3]ジオキソリルが挙げられる。
【0132】
置換基αが置換基βで「置換されてもよい」とは、置換基αが無置換であるか、又は置換基αの置換可能な任意の位置において置換基βで置換される(任意の水素が置換基βと置き換わる)ことを意味する。例えば「ヒドロキシで置換されてもよいC1-6アルキル」とは、C1-6アルキルが無置換であるか、又はC1-6アルキルにおける任意の水素がヒドロキシで置換されることを意味する。
【0133】
本発明の式[I]で示される化合物(以下、本明細書において「化合物[I]」ともいう)、及び式[Ia]で示される化合物(以下、本明細書において「化合物[Ia]」ともいう)の置換基の具体的態様を以下に例示するが、化合物[I]及び化合物[Ia]の各置換基はその具体的態様に限定されるものではなく、また、化合物[I]及び化合物[Ia]は各置換基における具体的態様の任意の二以上を組み合わせた態様も含む。
まず、化合物[I]の各置換基の具体的態様を以下に例示する。
【0134】
Aは、好ましくは、CR10(ここで、R10は、水素、ヒドロキシ、又はハロゲンである)である。
【0135】
Cyは、好ましくは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリールである。
【0136】
R3は、好ましくは、C1-4アルキルである。
【0137】
R4は、好ましくは、水素である。
【0138】
R5は、好ましくは、水素である。
【0139】
R6は、好ましくは、水素である。
【0140】
R7及びR8は、好ましくは、ともに水素である。
【0141】
R9は、好ましくは、水素である。
【0142】
mは、好ましくは、1又は2である。
【0143】
化合物[I]の好ましい態様の一つは、式[II]:
【0144】
【化24】
【0145】
[式中、
Cyが、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
であり;
R1が、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(5)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(6)COR17(ここで、R17は、C1-4アルキルである)、
(7)CONR18R19(ここで、R18及びR19は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル、
(c)C3-4シクロアルキル、又は
(d)C5-8架橋シクロアルキルである)、
(8)C3-4シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、又は
(c)フェニルで置換されてもよい)、
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、
(10)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(11)フェニル(ここで、該フェニルは、1又は2個のハロゲンで置換されてもよい)、
(12)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22で置換されてもよい)、又は
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)
であり;
m個のR2が、それぞれ独立して、
(1)ヒドロキシ、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、又は
(b)C3-4シクロアルキルで置換されてもよい)、
(5)C2-4アルケニル(ここで、該アルケニルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(6)C1-4ハロアルキル、
(7)C1-4アルコキシ(ここで、該アルコキシは、
(a)ヒドロキシ、及び
(b)ハロゲン
からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されてもよい)、
(8)SR23(ここで、R23は、C1-4アルキルである)、
(9)COR24(ここで、R24は、ヒドロキシ又はC1-4アルキルである)、
(10)CONR25R26(ここで、R25及びR26は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-6アルキル、又は
(c)C3-4シクロアルキルである)、
(11)SO2R27(ここで、R27は、C1-6アルキルである)、
(12)C3-4シクロアルキル、
(13)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル(ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)C1-4アルキル、及び
(c)C1-4ハロアルキルからなる群から選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい)、
(14)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から9員の架橋ヘテロシクロアルキル、
(15)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、又は
(16)フェニル
であり;
R3が、C1-4アルキルであり;
R4、R5、R6、R7、R8及びR9が、すべて水素であり;
R10が、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、又は
(3)ハロゲン
であり;
1又は2個のR22が、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1-4アルキル、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-4アルコキシ、
(5)NHCOR29(ここで、R29は、C1-4アルキルである)、又は
(6)SO2R30(ここで、R30は、C1-4アルキルである)
であり;かつ
mが、1又は2である]
で示される化合物である。
【0146】
化合物[I]の好ましい具体的な態様としては、後述する表1-1~表1-43に記載の実施例1~339の化合物が挙げられる。
【0147】
次いで、化合物[Ia]の各置換基の具体的態様を以下に例示する。なお、化合物[Ia]には、化合物[I]が含まれる。
【0148】
Aaは、好ましくは、CR10aである。
別の態様として、Aaは、好ましくは、Nである。
A2aは、好ましくは、CR5aである。
【0149】
Cyaは、好ましくは、
(1)C6-10アリール、又は
(2)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5又は6員のヘテロアリール
である。
【0150】
R1aは、好ましくは、
(1)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)シアノ、
(c)SO2R11(ここで、R11は、C1-4アルキルである)、又は
(d)NHCOR12(ここで、R12は、C1-4アルキルである)で置換されてもよい}、
(2)C2-4アルケニル{ここで、該アルケニルは、1から3個の
(a)NR13R14(ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、
(b)ハロゲン、
(c)COR35a(ここでR35aは、ヒドロキシ又はC1-4アルコキシである)、
(d)CONR36aR37a(ここで、R36a及びR37aは、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(e)部分構造式:
【0151】
【化25】
【0152】
で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、フェニルで置換されてもよい)、
(4)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(5)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい(ここで、各R22aは上記と同義である))、
(8)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、又は
(9)環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、5から7員の部分不飽和環基(ここで、該部分不飽和環基は、オキソ基およびC1-4アルキルで置換されてもよい)
である。
【0153】
別の態様として、R1aは、好ましくは、
(1)NR15R16(ここで、R15及びR16は、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(i)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(ii)ピリジルで置換されてもよい}、
(c)C1-4アルコキシ、又は
(d)C3-4シクロアルキルである)、
(2)CONR18aR19a(ここで、R18a及びR19aは、それぞれ独立して、
(a)水素、
(b)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(c)C3-4シクロアルキル、
(d)C5-8架橋シクロアルキル、
(e)C1-4ハロアルキル、又は
(f)C1-4アルコキシである)、又は
(3)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から3個含有する、5から10員のヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1又は2個のR22aで置換されてもよい(ここで、各R22aは上記と同義である))
である。
【0154】
m個のR2aは、それぞれ独立して、好ましくは、
(1)シアノ、
(2)ハロゲン、又は
(3)C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、又は
(b)C3-4シクロアルキルで置換されてもよい)
である。
【0155】
R3aは、好ましくは、C1-4アルキルである。
別の態様として、R3aは、好ましくは、メチルである。
【0156】
R4aは、好ましくは、水素である。
【0157】
R5aは、好ましくは、水素である。
【0158】
R6a、R7a及びR8aの組み合わせとしては、好ましくは、
(1)R6aは、水素であり、R7a及びR8aは、ともに水素である組み合わせ、
(2)R6aは、水素であり、R7a及びR8aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成する組み合わせ、あるいは
(3)R6a及びR7aは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子及びスピロ炭素原子と一緒になって、シクロペンタン環を形成し、R8aは、水素である組み合わせ
である。
別の態様として、R6a、R7a及びR8aは、好ましくは、全て水素である。
【0159】
R9aは、好ましくは、水素である。
【0160】
R10aは、好ましくは、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、又は
(3)シアノ
である。
【0161】
1又は2個のR22aは、それぞれ独立して、好ましくは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-4アルキル、
(3)C1-4ハロアルキル、
(4)C1-4アルコキシ、
(5)NHCOR29(ここで、R29は、C1-4アルキルである)、
(6)シアノ、又は
(7)C3-4シクロアルキル
である。
【0162】
mは、好ましくは、1又は2である。
【0163】
化合物[Ia]の好ましい態様の一つは、式[IIa]:
【0164】
【化26】
【0165】
[式中、
Aa、Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0166】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[IIIa]:
【0167】
【化27】
【0168】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0169】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[IVa]:
【0170】
【化28】
【0171】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0172】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[Va]:
【0173】
【化29】
【0174】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R4a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0175】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[VIa]:
【0176】
【化30】
【0177】
[式中、
Cyb、R1b、R2a、R3a、R4a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0178】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[VIIa]:
【0179】
【化31】
【0180】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0181】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[VIIIa]:
【0182】
【化32】
【0183】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0184】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[IXa]:
【0185】
【化33】
【0186】
[式中、
Cyb、R1b、R2a、R3a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0187】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[Xa]:
【0188】
【化34】
【0189】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0190】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XIa]:
【0191】
【化35】
【0192】
[式中、
Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0193】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XIIa]:
【0194】
【化36】
【0195】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0196】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XIIIa]:
【0197】
【化37】
【0198】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0199】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XIVa]:
【0200】
【化38】
【0201】
[式中、
Cyb、R1b、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0202】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XVa]:
【0203】
【化39】
【0204】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0205】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XVIa]:
【0206】
【化40】
【0207】
[式中、
Cya、R1b、R2a、R3a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0208】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XVIIa]:
【0209】
【化41】
【0210】
[式中、
Cyb、R1b、R2a、R3a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0211】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XVIIIa]:
【0212】
【化42】
【0213】
[式中、
Cyb、R1b、R2a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0214】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XIXa]:
【0215】
【化43】
【0216】
[式中、
R1cは、
(1)C1-4ハロアルキル(ここで、該ハロアルキルは、ヒドロキシで置換されてもよい)、
(2)COR17a(ここで、R17aは、C1-4アルキル又はヒドロキシである)、
(3)C3-4シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、又は
(c)フェニルで置換されてもよい)、
(4)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、又は
(5)フェニル(ここで、該フェニルは、1又は2個の
(a)ハロゲン、又は
(b)C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)
であり、並びに
Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0217】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXa]:
【0218】
【化44】
【0219】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R4a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0220】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXIa]:
【0221】
【化45】
【0222】
[式中、
Cyb、R1c、R2a、R3a、R4a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0223】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXIIa]:
【0224】
【化46】
【0225】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0226】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXIIIa]:
【0227】
【化47】
【0228】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0229】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXIVa]:
【0230】
【化48】
【0231】
[式中、
Cyb、R1c、R2a、R3a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0232】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXVa]:
【0233】
【化49】
【0234】
[式中、
Cyb、R1c、R2a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0235】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXVIa-1]、式[XXVIa-2]、式[XXVIa-3]、式[XXVIa-4]、式[XXVIa-5]、式[XXVIa-6]、式[XXVIa-7]、式[XXVIa-8]、又は式[XXVIa-9]:
【0236】
【化50】
【0237】
[式中、
R1b、R2a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0238】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXVIIa-1]、式[XXVIIa-2]、式[XXVIIa-3]、式[XXVIIa-4]、式[XXVIIa-5]、式[XXVIIa-6]、式[XXVIIa-7]、式[XXVIIa-8]、式[XXVIIa-9]、式[XXVIIa-10]、又は式[XXVIIa-11]:
【0239】
【化51】
【0240】
[式中、
maは、0、1又は2であり、
R1b及びR2aは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0241】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXVIIIa]:
【0242】
【化52】
【0243】
[式中、
Cyb、R1b、R2a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0244】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXIXa]:
【0245】
【化53】
【0246】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0247】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXa]:
【0248】
【化54】
【0249】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0250】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXIa]:
【0251】
【化55】
【0252】
[式中、
Cyb、R1c、R2a、R3a、R4a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0253】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXIIa]:
【0254】
【化56】
【0255】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R5a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0256】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXIIIa]:
【0257】
【化57】
【0258】
[式中、
Cya、R1c、R2a、R3a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0259】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXIVa]:
【0260】
【化58】
【0261】
[式中、
Cyb、R1c、R2a、R3a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0262】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXVa]:
【0263】
【化59】
【0264】
[式中、
Cyb、R1c、R2a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0265】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXVIa-1]、式[XXXVIa-2]、式[XXXVIa-3]、式[XXXVIa-4]、式[XXXVIa-5]、式[XXXVIa-6]、式[XXXVIa-7]、式[XXXVIa-8]、又は式[XXXVIa-9]:
【0266】
【化60】
【0267】
[式中、
R1b、R2a、R10a及びmは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0268】
化合物[Ia]の別の好ましい態様は、式[XXXVIIa-1]、式[XXXVIIa-2]、式[XXXVIIa-3]、式[XXXVIIa-4]、式[XXXVIIa-5]、式[XXXVIIa-6]、式[XXXVIIa-7]、式[XXXVIIa-8]、式[XXXVIIa-9]、式[XXXVIIa-10]、又は式[XXXVIIa-11]:
【0269】
【化61】
【0270】
[式中、
R1b、R2a、R10a及びmaは、前記における定義と同義である]
で示される化合物である。
【0271】
化合物[Ia]の好ましい具体的な態様としては、後述する表1-1~表1-61に記載の実施例1~339及び実施例2-001~2-172の化合物が挙げられる。
【0272】
「製薬上許容される塩」とは、当技術分野で知られている、過度の毒性を伴わない塩であればいかなる塩でもよい。具体的には、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩等が挙げられる。様々な形態の製薬上許容される塩が当分野で周知であり、例えば、以下の参考文献に記載されている:
(a)Berge et al., J.Pharm.Sci., 66, p1-19 (1977);
(b)Stahl et al., "Handbook of Pharmaceutical Salt: Properties, Selection, and Use" (Wiley-VCH, Weinheim, Germany,2002);
(c)Paulekuhn et al., J. Med. Chem., 50, p6665-6672 (2007)。
自体公知の方法に従って、化合物[I]若しくは化合物[Ia]と、無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基とを反応させることにより、その製薬上許容される塩を各々得ることができる。
【0273】
無機酸との塩としては、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸又は硫酸との塩が例示される。好ましくは、塩化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸又は臭化水素酸との塩が挙げられる。
【0274】
有機酸との塩としては、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、4-アミノサリチル酸、アンヒドロメチレンクエン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸、カンファー10-スルホン酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレソルシン酸、ヒドロキシ-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-エタンスルホン酸、乳酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硫酸、メチル硝酸、メチレンビス(サリチル酸)、ガラクタル酸、ナフタレン-2-スルホン酸、2-ナフトエ酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、オレイン酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、ペクチン酸、ピクリン酸、プロピオン酸、ポリガラクツロン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル酸、チオシアン酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸との塩が例示される。好ましくは、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、グルクロン酸、オレイン酸、パモ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又は2-ヒドロキシ-1-エタンスルホン酸との塩が挙げられる。
【0275】
無機塩基との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス又はアンモニウムとの塩が例示される。好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛との塩が挙げられる。
【0276】
有機塩基との塩としては、アレコリン、ベタイン、コリン、クレミゾール、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、N-ベンジルフェネチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、アルギニン又はリジンとの塩が例示される。好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N-メチルグルカミン又はリジンとの塩が挙げられる。
【0277】
化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩は、溶媒和物として存在する場合がある。「溶媒和物」とは、例えば化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩に、溶媒の分子が配位したものである。溶媒和物は、製薬上許容される溶媒和物であればよく、化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩の水和物、酢酸和物、エタノール和物、ジメチルスルホキシド和物等が挙げられる。具体的には、化合物[I]若しくは化合物[Ia]の半水和物、1水和物、2水和物、1酢酸和物又は1エタノール和物、或いは化合物[I]若しくは化合物[Ia]のナトリウム塩の1水和物又は1塩酸塩の2/3エタノール和物等が挙げられる。これらの溶媒和物は、公知の方法に従って得ることができる。
【0278】
化合物[I]又は化合物[Ia]は、互変異性体として存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[Ia]は、個々の互変異性体または互変異性体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[Ia]は、炭素-炭素二重結合を有する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[Ia]は、E体、Z体、又はE体とZ体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[Ia]は、シス/トランス異性体として認識すべき立体異性体が存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[Ia]は、シス体、トランス体、またはシス体とトランス体の混合物として存在し得る。
【0279】
化合物[I]又は化合物[Ia]は、1又はそれ以上の不斉炭素を有する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[Ia]は、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、エナンチオマーの混合物またはジアステレオマーの混合物として存在する場合がある。
化合物[I]又は化合物[Ia]は、アトロプ異性体として存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[Ia]は、個々のアトロプ異性体またはアトロプ異性体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[Ia]は、上記の異性体を生じさせる構造上の特徴を同時に複数含むことがある。また、化合物[I]又は化合物[Ia]は、上記の異性体をあらゆる比率で含み得る。
【0280】
本明細書に立体化学を特定せずに表記した式、化学構造もしくは化合物名は、他に注釈などの言及がない限り、存在しうる上記の異性体すべてを含む。例えば、下記式:
【0281】
【化62】
【0282】
で表記した構造は、他に注釈等の言及がない限り、
(1)下記式:
【0283】
【化63】
【0284】
で示される2種類のジアステレオマー(*で示した不斉炭素の立体化学がSとR)の混合物、
(2)*で示した不斉炭素の立体化学がSのジアステレオマー、及び
(3)*で示した不斉炭素の立体化学がRのジアステレオマー
の全てを含むことを意味する。
【0285】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーや結晶化などの慣用されている方法によって、それぞれのジアステレオマーに分離することができる。また、立体化学的に単一である出発物質を用いることにより、または立体選択的な反応を用いる合成方法によりそれぞれのジアステレオマーを作ることもできる。
【0286】
エナンチオマーの混合物からのそれぞれの単一なエナンチオマーへの分離は、当分野でよく知られた方法で行うことができる。例えば、エナンチオマーの混合物と、実質的に純粋なエナンチオマーであってキラル補助剤(chiral auxiliary)として知られている化合物を反応させて形成させたジアステレオマー混合物から、分別結晶化やクロマトグラフィーのような標準的な方法で、異性体比率を高めたもしくは実質的に純粋な単一のジアステレオマーを分離することができる。分離されたジアステレオマーを、付加されたキラル補助剤を開裂で除去することにより、目的のエナンチオマーに変換することができる。また、当分野でよく知られた、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー法によって、エナンチオマーの混合物を直接分離することもできる。あるいは、どちらか一方のエナンチオマーを、実質的に純粋な光学活性出発原料を用いることにより、または、プロキラル(prochiral)な中間体に対しキラル補助剤や不斉触媒を用いた立体選択的合成(不斉誘導)を行うことによって得ることもできる。
【0287】
絶対立体配置は結晶性の生成物又は中間体のX線結晶解析により決定することができる。その際、必要によっては立体配置が既知である不斉中心を持つ試薬で誘導化された結晶性の生成物または中間体を用いてもよい。
【0288】
化合物[I]又は化合物[Ia]は、同位元素[2H(D)、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、18O、18F、35S、123I等]で標識されていてもよい。例えば、化合物[I]又は化合物[Ia]がメチルを有する場合、当該メチルは-CD3に置き換えられ得る。このような標識された化合物[I]又は化合物[Ia]も本発明に包含される。同位元素で標識された化合物[I]又は化合物[Ia]は、医薬、薬物動態試験、インビトロ及び/若しくはインビボアッセイ、並びに/又は、診断薬(陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放出コンピューター撮影(SPECT)等)に有用であり得る。同位元素で標識された化合物[I]又は化合物[Ia]は、公知の方法又は本願明細書に記載の方法に従って、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を用いて製造することができる。
【0289】
化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩は、実質的に精製された、化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩が好ましい。さらに好ましくは、80%以上の純度に精製された、化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩である。
【0290】
本明細書における医薬組成物は、製剤技術分野における公知の方法に従って、有効成分(例えば、化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩)の治療上有効量を、少なくとも1種の製薬上許容される担体等と、適宜、混合等することによって製造してもよい。該医薬組成物中の有効成分の含量は、剤形、投与量等により異なるが、例えば、組成物全体の0.1から100重量%である。
【0291】
化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩を含有する医薬組成物の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、及び外用剤、坐剤、注射剤、点眼剤、経鼻剤、経肺剤等の非経口剤が挙げられる。
【0292】
「製薬上許容される担体」としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が挙げられ、固形製剤における賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤等、及び液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等及び半固形製剤における基剤、乳化剤、湿潤剤、安定剤、安定化剤、分散剤、可塑剤、pH調節剤、吸収促進剤、ゲル化剤、防腐剤、充填剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤等が挙げられる。更に必要に応じて、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を追加してもよい。
【0293】
「賦形剤」としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、トウモロコシデンプン、デキストリン、微結晶セルロース、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム等が挙げられる。
「崩壊剤」としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース等が挙げられる。
「結合剤」としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、結晶セルロース、白糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、カルメロースナトリウム、アラビアゴム等が挙げられる。
「流動化剤」としては、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
「滑沢剤」としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
「溶剤」としては、精製水、エタノール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
「溶解補助剤」としては、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「懸濁化剤」としては、塩化ベンザルコニウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、ポビドン、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
「等張化剤」としては、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、D-マンニトール等が挙げられる。
「緩衝剤」としては、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「無痛化剤」としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
「基剤」としては、水、動植物油(オリーブ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ゴマ油、ヒマシ油等)、低級アルコール類(エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、フェノール等)、高級脂肪酸及びそのエステル、ロウ類、高級アルコール、多価アルコール、炭化水素類(白色ワセリン、流動パラフィン、パラフィン等)、親水ワセリン、精製ラノリン、吸水軟膏、加水ラノリン、親水軟膏、デンプン、プルラン、アラビアガム、トラガカントガム、ゼラチン、デキストラン、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、合成高分子(カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、プロピレングリコール、マクロゴール(マクロゴール200~600等)、及びそれらの2種以上の組合せが挙げられる。
「保存剤」としては、パラオキシ安息香酸エチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
「抗酸化剤」としては、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等が挙げられる。
「着色剤」としては、食用色素(食用赤色2号又は3号、食用黄色4号又は5号等)、β-カロテン等が挙げられる。
「甘味剤」としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム等が挙げられる。
【0294】
上記医薬組成物は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物(マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル等)に対して、経口的又は非経口的(局所、直腸、静脈内、筋肉内、皮下等)に投与することができる。投与量(以下、本明細書において「治療上有効量」ともいう)は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、疾患の重篤度、剤形等により異なるが、例えば、ヒト(成人患者)(体重60kg)に対して経口投与する場合、治療上有効量の下限値としては、例えば1日あたり約0.01mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約10mg、約20mg又は約50mgが挙げられ、治療上有効量の上限値としては、例えば1日あたり約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約500mg又は約1000mgが挙げられる。これらの量を、それぞれ1日1回、2回、3回又はそれ以上の回数に分けて投与することができる。
【0295】
「PLDを阻害する」とは、PLDの機能を阻害してその活性を消失又は減弱することを意味し、例えば、後述する試験例1及び/又は試験例2の条件に基づいて、PLDの機能を阻害することを意味する。PLDの機能の阻害又は活性の消失若しくは減弱は、好ましくはヒトの臨床的適応で行われる。
「PLDを阻害する」は、一つの態様として、「PLD1を阻害する」である。
「PLD1を阻害する」とは、PLD1の機能を阻害してその活性を消失又は減弱することを意味し、例えば、後述する試験例1の条件に基づいて、PLD1の機能を阻害することを意味する。PLD1の機能の阻害又は活性の消失若しくは減弱は、好ましくはヒトの臨床的適応で行われる。
「PLDを阻害する」は、一つの態様として、「PLD1/2を阻害する」である。
「PLD1/2を阻害する」とは、PLD1及びPLD2の機能を阻害してその活性を消失又は減弱することを意味し、例えば、後述する試験例1及び試験例2の条件に基づいて、PLD1及びPLD2の機能を阻害することを意味する。PLD1及びPLD2の機能の阻害又は活性の消失若しくは減弱は、好ましくはヒトの臨床的適応で行われる。
【0296】
「PLDを阻害する」として、好ましくは、「ヒトPLDを阻害する」である。
【0297】
「PLD阻害剤」とは、PLDに結合してPLDの機能を阻害する物質を意味する。「PLD阻害剤」として、好ましくは、「ヒトPLD阻害剤」である。
「PLD阻害剤」は、一つの態様として、「PLD1阻害剤」である。
「PLD1阻害剤」とは、PLD1に結合してPLD1の機能を阻害する物質を意味する。「PLD1阻害剤」として、好ましくは、「ヒトPLD1阻害剤」である。
「PLD阻害剤」は、一つの態様として、「PLD1/2阻害剤」である。
「PLD1/2阻害剤」とは、PLD1及びPLD2に結合してPLD1及びPLD2の機能を阻害する物質を意味する。「PLD1/2阻害剤」として、好ましくは、「ヒトPLD1/2阻害剤」である。
【0298】
化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩は、PLD阻害活性を有することから、PLD活性の調節により改善が期待され得る各種疾患又は状態の治療及び/又は予防に有用であり得る。PLD活性の調節により改善が期待される各種疾患又は状態としては、例えば、血栓症(例えば、動脈血栓症、急性冠症候群、安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、虚血性脳卒中、非心原性脳梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、潜因性脳梗塞、塞栓原不明脳塞栓症(Embolic stroke of undetermined source,ESUS)、ラクナ梗塞、一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患等)、血行再建術(冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈形成術、頸動脈内膜剥離術、頸動脈ステント留置術、血栓溶解療法、下肢血行再建術等)又は大動脈弁置換術(外科的大動脈弁置換術、経カテーテル的大動脈弁置換術等)に伴う周術期及び周術期以降の血栓症、及びがん(例えば、乳がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、脳腫瘍等)が挙げられる。
【0299】
本明細書において「治療」とは、症状の改善、重症化の防止、寛解の維持、再燃の防止、二次予防、及び再発の防止を含む。
【0300】
本明細書において「予防」とは、症状の発症を抑制することを含む。
【0301】
ある態様において、PLD阻害剤又は医薬組成物は、これを治療及び/又は予防に使用し得るか又は使用すべきであることを記載した記載物とともに含む、キット(投与、治療及び/又は予防キット等)、パッケージ(包装物等)及び薬剤セット(及び/又は容器)の形態にて提供されてもよい。このようなキット、パッケージ及び薬剤セットは、PLD阻害剤及び/又は他の薬剤又は薬物(又は成分)とが充填された1以上の容器を備えていてもよい。このようなキット、パッケージ及び薬剤セットの例としては、対象疾患の治療及び/又は予防に適切に向けられた商業用キット、商業用パッケージ及び商業用薬剤セットが挙げられる。このようなキット、パッケージ及び薬剤セットに含まれる記載物としては、医薬又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指示された形態の注意書又は添付文書であって、ヒトへの投与に関連した製品の製造、使用又は販売に関する該政府機関の承認を示す注意書又は添付文書が挙げられる。上記キット、パッケージ及び薬剤セットには、包装された製品も包含され、また、適切な投与工程(ステップ)のために構成された構造物を包含してもよいし、対象疾患の治療及び/又は予防等を含む、より好ましい医学上の治療及び/又は予防を達成できるようにして構成された構造物を包含してもよい。
【0302】
本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩は、その薬効を損なわない限り、1剤又は複数の他の薬剤(以下、本発明において「併用薬剤」ともいう)と組み合わせて使用(以下、併用ともいう)することができる。この際、投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩と併用薬剤とを組み合わせて含有する単一の製剤として投与することもできる。併用薬剤の投与形態は、特に限定されず、本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩と併用薬剤とが組み合わされていればよい。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等に応じて適宜選択することができる。
PLD阻害剤と既存の血栓症治療剤との併用により、出血リスクを助長することなく動脈血栓形成を抑制することが期待される。
【0303】
併用薬剤としては、例えば、抗血小板剤、抗凝固剤、血栓溶解剤等が挙げられる。
抗血小板剤として、例えば、アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、セラトグレル、グレンゾシマブ、ザルンフィバン、レバセプト、アンフィバチド、PZ-128、ビカグレル、チロフィバン、アブシキマブ等が挙げられる。
抗凝固剤として、例えば、ワルファリン、リバロキサバン、アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、ヘパリン、ヘパリノイド、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、テカルファリン、アベラシマブ、ミルベクシアン、アスンデキサン、BAY-2306001、TRx1、オソシマブ、AB-023、ジモレギン等が挙げられる。
血栓溶解剤としては、例えば、遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクティベータ、ウロキナーゼ等が挙げられる。
【0304】
本明細書において、本発明の化合物、方法、使用及び組成物の好ましい態様及び選択肢の提示は、これらが組み合わせ可能であって矛盾のない限り、当該好ましい態様及び選択肢の組み合わせの提示も含む。
【0305】
[一般製法]
化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩の一般製法を以下に例示する。しかしながら、化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩の製造方法は、これらの製造方法に限定されるものではない。また、一般製法における各化合物の塩は、特に言及しない限り、上記「製薬上許容される塩」から適宜選択することができる。
各工程で得られる化合物は、必要に応じて、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法で単離及び/又は精製することができるが、場合によっては、単離及び/又は精製せず次の工程に進むことができる。
本明細書において、室温とは温度を制御していない状態の温度を指し、一つの態様として1℃から40℃が挙げられる。
【0306】
使用される略号は、以下の通りである。
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
CDCl3:重水素化クロロホルム
Pt-C:白金-活性炭素
Pd-C:パラジウム-活性炭素
DMSO:ジメチルスルホキシド
LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
TBAF:フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
DBU:ジアザビシクロウンデセン
CDI:1,1'-カルボニルジイミダゾール
WSC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾール[4,5-b]ピリジニウム 3-オキサイド ヘキサフルオロホスファート
DMT-MM:4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド
HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
CPME:シクロペンチルメチルエーテル
DMA:ジメチルアセトアミド
Boc2O:二炭酸ジ-tert-ブチル
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
【0307】
製造方法A1: 化合物[I]又はその塩の製造方法
化合物[I]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A1によって製造することができる。
【0308】
【化64】
【0309】
[式中、
A、Cy、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びmは、前記における定義と同義であり、
L11は、ヒドロキシ又は脱離基(例えば、ハロゲン等)である]
【0310】
(工程A1-1)
化合物[I]又はその塩は、化合物[A1-1]又はその塩と化合物[A1-2]又はその塩を、反応させることにより製造することができる。
例えば、L11がハロゲンである場合は、化合物[I]又はその塩は、化合物[A1-1]又はその塩と化合物[A1-2]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、DMF、アセトニトリル、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、DMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
また、例えば、L11がヒドロキシである場合は、化合物[I]又はその塩は、化合物[A1-1]又はその塩と化合物[A1-2]又はその塩を、溶媒中、縮合剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することもできる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
縮合剤としては、例えば、WSC、HATU、DMT-MM等が挙げられる。好ましい縮合剤は、WSC又はHATUである。
溶媒としては、例えば、DMF、アセトニトリル、メタノール、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、DMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[A1-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよく、例えば後述の製造方法B1及びB2によって製造することもできる。
化合物[A1-2]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A1-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2に変換することができる官能基又は保護された官能基をCy上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2に変換することによって化合物[I]又はその塩を製造してもよい。
【0311】
製造方法A2: 化合物[I-2]又はその塩の製造方法
化合物[I]又はその塩における、R1がNR31R32である、化合物[I-2]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A2によって製造することができる。
【0312】
【化65】
【0313】
[式中、
A、Cy、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びmは、前記における定義と同義であり、
R31及びR32は、それぞれ独立して、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)フェニル(ここで、該フェニルは、ハロゲンで置換されてもよい)、又は
(b)ピリジルで置換されてもよい}、
(3)C1-4アルコキシ、又は
(4)C3-4シクロアルキルであるか、
あるいは、R31及びR32が、互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって、
(5)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から7員のヘテロシクロアルキル{ここで、該ヘテロシクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)NR20R21(ここで、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素又はC1-4アルキルである)、又は
(d)フェニルで置換されてもよい}、
(6)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、6から11員のスピロヘテロシクロアルキル、又は
(7)環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する、8から10員の飽和又は部分不飽和縮合環基(ここで、該縮合環基は、C1-4ハロアルキルで置換されてもよい)を形成する]
【0314】
(工程A2-1)
化合物[I-2]又はその塩は、化合物[A1-1]又はその塩と化合物[A2-1]又はその塩を、溶媒中、ウレア化剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
ウレア化剤としては、例えば、CDI、トリホスゲン等が挙げられる。好ましいウレア化剤は、CDIである。
塩基としては、例えば、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N-メチルモルホリンである。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル、DMF、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はTHFと水との混合溶媒である。
反応温度は、例えば0℃から80℃であり、好ましくは30℃から60℃である。
化合物[A2-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A1-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2に変換することができる官能基又は保護された官能基をCy上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I-2]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2に変換することによって化合物[I-2]又はその塩を製造してもよい。
【0315】
製造方法A3: 化合物[Ia]又はその塩の製造方法
化合物[Ia]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A3によって製造することができる。
【0316】
【化66】
【0317】
[式中、
Aa、A2a、Cya、R1a、R2a、R3a、R4a、R6a、R7a、R8a、R9a及びmは、前記における定義と同義であり、
L11aは、ヒドロキシ又は脱離基(例えば、ハロゲン等)である]
【0318】
(工程A3-1)
化合物[I]又はその塩は、化合物[A3-1]又はその塩と化合物[A3-2]又はその塩を、反応させることにより製造することができる。
例えば、L11aがハロゲンである場合は、化合物[Ia]又はその塩は、化合物[A3-1]又はその塩と化合物[A3-2]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、DMF、アセトニトリル、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、DMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
また、例えば、L11aがヒドロキシである場合は、化合物[Ia]又はその塩は、化合物[A3-1]又はその塩と化合物[A3-2]又はその塩を、溶媒中、縮合剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することもできる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
縮合剤としては、例えば、WSC、HATU、DMT-MM等が挙げられる。好ましい縮合剤は、WSC又はHATUである。
溶媒としては、例えば、DMF、アセトニトリル、メタノール、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、DMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[A3-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよく、例えば後述の製造方法B3及びB4によって製造することもできる。
化合物[A3-2]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A3-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2aに変換することができる官能基又は保護された官能基をCya上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[Ia]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2aに変換することによって化合物[Ia]又はその塩を製造してもよい。
【0319】
製造方法A4: 化合物[Ia-2]又はその塩の製造方法
化合物[Ia]又はその塩における、R1aがNR31R32である、化合物[Ia-2]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A4によって製造することができる。
【0320】
【化67】
【0321】
[式中、
Aa、Cya、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R31、R32及びmは、前記における定義と同義である]
(工程A4-1)
化合物[Ia-2]又はその塩は、化合物[A3-1]又はその塩と化合物[A2-1]又はその塩を、溶媒中、ウレア化剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
ウレア化剤としては、例えば、CDI、トリホスゲン等が挙げられる。好ましいウレア化剤は、CDIである。
塩基としては、例えば、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、N-メチルモルホリンである。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル、DMF、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はTHFと水との混合溶媒である。
反応温度は、例えば0℃から80℃であり、好ましくは30℃から60℃である。
化合物[A3-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2aに変換することができる官能基又は保護された官能基をCya上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[Ia-2]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2aに変換することによって化合物[Ia-2]又はその塩を製造してもよい。
【0322】
製造方法B1: 化合物[B1-7]又はその塩の製造方法
製造方法A1及びA2において用いる化合物[A1-1]又はその塩における、AがCR10であり、R9が水素である、化合物[B1-7]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法B1によって製造することができる。
【0323】
【化68】
【0324】
[式中、
Cy、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びmは、前記における定義と同義であり、
P11は、アミンの保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等)である]
【0325】
(工程B1-1)
化合物[B1-2]又はその塩は、化合物[B1-1]又はその塩とトリメチルシリルシアニドを、溶媒中、触媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、リチウムクロライド、DMAP等が挙げられる。好ましい触媒は、リチウムクロライド又はDMAPである。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒はTHFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは15℃から30℃である。
化合物[B1-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0326】
(工程B1-2)
化合物[B1-4]又はその塩は、化合物[B1-2]又はその塩と化合物[B1-3]又はその塩を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。また、工程B1-1と工程B1-2をワンポットで実施することもできる。
触媒としては、リチウムクロライド、DMAP等が挙げられる。好ましい触媒は、リチウムクロライド又はDMAPである。
塩基としては、LiHMDS、NaHMDS、LDA、n-ブチルリチウム等が挙げられる。好ましい塩基は、LiHMDS又はNaHMDSである。
溶媒としては、例えば、THF、n-ヘキサン、トルエン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はトルエンである。
反応温度は、例えば-100℃から0℃であり、好ましくは-78℃から-50℃である。
化合物[B1-3]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよく、例えば後述の製造方法C1によって製造することもできる。
【0327】
(工程B1-3)
化合物[B1-5]又はその塩は、化合物[B1-4]又はその塩を、溶媒中、脱シリル化剤及び酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
脱シリル化剤としては、TBAF、フッ化水素-ピリジン等が挙げられる。好ましい脱シリル化剤は、TBAFである。
酸としては、酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、酢酸である。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは15℃から30℃である。
【0328】
(工程B1-4)
化合物[B1-6]又はその塩は、化合物[B1-5]又はその塩を、溶媒中、塩基、CDI及びヒドラジン一水和物の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、DBU、N-メチルイミダゾール等が挙げられる。好ましい塩基は、DBUである。
溶媒としては、例えば、THF、DMF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はDMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0329】
(工程B1-5)
化合物[B1-7]又はその塩は、化合物[B1-6]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、塩酸、酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、塩酸である。
溶媒としては、例えば、THF、水、トルエン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば15℃から120℃であり、好ましくは20℃から60℃である。
化合物[B1-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2に変換することができる官能基又は保護された官能基をCy上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[B1-7]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2に変換することによって化合物[B1-7]又はその塩を製造してもよい。
【0330】
製造方法B2: 化合物[B2-8]又はその塩の製造方法
製造方法A1及びA2において用いる化合物[A1-1]又はその塩における、AがNであり、R9が水素である、化合物[B2-8]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法B2によって製造することができる。
【0331】
【化69】
【0332】
[式中、
Cy、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びmは、前記における定義と同義であり、
P12及びP13は、それぞれ独立して、アミンの保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル等)である]
【0333】
(工程B2-1)
化合物[B2-2]又はその塩は、化合物[B1-2]又はその塩と化合物[B2-1]又はその塩を、工程B1-2に従って反応させることにより製造することができる。
化合物[B2-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0334】
(工程B2-2)
化合物[B2-3]又はその塩は、化合物[B2-2]又はその塩を、工程B1-3に従って反応させることにより製造することができる。
【0335】
(工程B2-3)
化合物[B2-4]又はその塩は、化合物[B2-3]又はその塩を、工程B1-4に従って反応させることにより製造することができる。
【0336】
(工程B2-4)
化合物[B2-5]又はその塩は、化合物[B2-4]又はその塩を、工程B1-5に従って反応させることにより製造することができる。
【0337】
(工程B2-5)
化合物[B2-7]又はその塩は、化合物[B2-5]又はその塩と化合物[B2-6]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、メタノール、アセトニトリル、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、メタノールである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[B2-6]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0338】
(工程B2-6)
化合物[B2-8]又はその塩は、化合物[B2-7]又はその塩の保護基P13を脱保護反応により除去することにより製造することができる。脱保護反応は、P13の種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P13がtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[B2-8]又はその塩は、化合物[B2-7]又はその塩を溶媒中、酸と反応させることにより製造することができる。
酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、塩酸である。
溶媒としては、例えば、CPME、酢酸エチル等が挙げられる。好ましい溶媒は、CPME又は酢酸エチルである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[B1-2]又はその塩に替えて、公知の反応でR2に変換することができる官能基又は保護された官能基をCy上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[B2-8]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2に変換することによって化合物[B2-8]又はその塩を製造してもよい。
【0339】
製造方法B3: 化合物[B3-7]又はその塩の製造方法
製造方法A3及びA4において用いる化合物[A3-1]又はその塩における、AaがCR10aであり、R9aが水素である、化合物[B3-7]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法B3によって製造することができる。
【0340】
【化70】
【0341】
[式中、
A2a、Cya、R2a、R3a、R4a、R6a、R7a、R8a、R10a及びmは、前記における定義と同義であり、
P11aは、アミンの保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等)である]
【0342】
(工程B3-1)
化合物[B3-2]又はその塩は、化合物[B3-1]又はその塩とトリメチルシリルシアニドを、溶媒中、触媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、リチウムクロライド、DMAP等が挙げられる。好ましい触媒は、リチウムクロライド又はDMAPである。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒はTHFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは15℃から30℃である。
化合物[B3-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0343】
(工程B3-2)
化合物[B3-4]又はその塩は、化合物[B3-2]又はその塩と化合物[B3-3]又はその塩を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。また、工程B3-1と工程B3-2をワンポットで実施することもできる。
触媒としては、リチウムクロライド、DMAP等が挙げられる。好ましい触媒は、リチウムクロライド又はDMAPである。
塩基としては、LiHMDS、NaHMDS、LDA、n-ブチルリチウム等が挙げられる。好ましい塩基は、LiHMDS又はNaHMDSである。
溶媒としては、例えば、THF、n-ヘキサン、トルエン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はトルエンである。
反応温度は、例えば-100℃から0℃であり、好ましくは-78℃から-50℃である。
化合物[B3-3]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよく、例えば後述の製造方法C2によって製造することもできる。
【0344】
(工程B3-3)
化合物[B3-5]又はその塩は、化合物[B3-4]又はその塩を、溶媒中、脱シリル化剤及び酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
脱シリル化剤としては、TBAF、フッ化水素-ピリジン等が挙げられる。好ましい脱シリル化剤は、TBAFである。
酸としては、酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、酢酸である。
溶媒としては、例えば、THF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは15℃から30℃である。
【0345】
(工程B3-4)
化合物[B3-6]又はその塩は、化合物[B3-5]又はその塩を、溶媒中、塩基、CDI及びヒドラジン一水和物の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、DBU、N-メチルイミダゾール等が挙げられる。好ましい塩基は、DBUである。
溶媒としては、例えば、THF、DMF、アセトニトリル等が挙げられる。好ましい溶媒は、THF又はDMFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0346】
(工程B3-5)
化合物[B3-7]又はその塩は、化合物[B3-6]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、塩酸、酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、塩酸である。
溶媒としては、例えば、THF、水、トルエン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば15℃から120℃であり、好ましくは20℃から60℃である。
化合物[B3-1]又はその塩に替えて、公知の反応でR2aに変換することができる官能基又は保護された官能基をCya上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[B3-7]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2aに変換することによって化合物[B3-7]又はその塩を製造してもよい。
【0347】
製造方法B4: 化合物[B4-8]又はその塩の製造方法
製造方法A3及びA4において用いる化合物[A3-1]又はその塩における、AaがNであり、R9aが水素である、化合物[B4-8]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法B4によって製造することができる。
【0348】
【化71】
【0349】
[式中、
A2a、Cya、R2a、R3a、R4a、R6a、R7a、R8a及びmは、前記における定義と同義であり、
P12a及びP13aは、それぞれ独立して、アミンの保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等)である]
【0350】
(工程B4-1)
化合物[B4-2]又はその塩は、化合物[B3-2]又はその塩と化合物[B4-1]又はその塩を、工程B3-2に従って反応させることにより製造することができる。
化合物[B4-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0351】
(工程B4-2)
化合物[B4-3]又はその塩は、化合物[B4-2]又はその塩を、工程B3-3に従って反応させることにより製造することができる。
【0352】
(工程B4-3)
化合物[B4-4]又はその塩は、化合物[B4-3]又はその塩を、工程B3-4に従って反応させることにより製造することができる。
【0353】
(工程B4-4)
化合物[B4-5]又はその塩は、化合物[B4-4]又はその塩を、工程B3-5に従って反応させることにより製造することができる。
【0354】
(工程B4-5)
化合物[B4-7]又はその塩は、化合物[B4-5]又はその塩と化合物[B4-6]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、メタノール、アセトニトリル、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、メタノールである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[B4-6]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0355】
(工程B4-6)
化合物[B4-8]又はその塩は、化合物[B4-7]又はその塩の保護基P13aを脱保護反応により除去することにより製造することができる。脱保護反応は、P13aの種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P13aがtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[B4-8]又はその塩は、化合物[B4-7]又はその塩を溶媒中、酸と反応させることにより製造することができる。
酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。好ましい酸は、塩酸である。
溶媒としては、例えば、CPME、酢酸エチル等が挙げられる。好ましい溶媒は、CPME又は酢酸エチルである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[B3-2]又はその塩に替えて、公知の反応でR2aに変換することができる官能基又は保護された官能基をCya上に有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[B4-8]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基をR2aに変換することによって化合物[B4-8]又はその塩を製造してもよい。
【0356】
製造方法C1: 化合物[C1-9]又はその塩の製造方法
製造方法B1において用いる化合物[B1-3]又はその塩における、R10が水素である、化合物[C1-9]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法C1によって製造することができる。
【0357】
【化72】
【0358】
[式中、
R3、R4、R5、R6、R7、R8及びP11は、前記における定義と同義であり、
R33及びR34は、それぞれ独立して、C1-4アルキルであり、
P14は、アミンの保護基(例えば、ベンジル、(S)-1-フェニルエチル等)である]
【0359】
(工程C1-1)
化合物[C1-3]又はその塩は、化合物[C1-1]又はその塩と化合物[C1-2]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、DBU等が挙げられる。好ましい塩基は、ナトリウムエトキシドである。
溶媒としては、例えば、エタノール、THF、DMF等が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノールである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[C1-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[C1-2]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0360】
(工程C1-2)
化合物[C1-4]又はその塩は、化合物[C1-3]又はその塩を、溶媒中、金属触媒の存在下、接触水素化させることにより製造することができる。
金属触媒としては、Pd-C、Pt-C、水酸化パラジウム等が挙げられる。好ましい金属触媒は、Pd-C又は水酸化パラジウムである。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0361】
(工程C1-3)
化合物[C1-6]又はその塩は、化合物[C1-4]又はその塩と化合物[C1-5]又はその塩を、溶媒中、還元的アミノ化反応させることにより製造することができる。還元的アミノ化反応としては、例えば酸及び還元剤を用いた反応が挙げられる。
還元剤としては、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。好ましい還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。
酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。好ましい酸は、酢酸である。
溶媒としては、例えば、THF、クロロホルム、トルエン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[C1-5]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[C1-6]又はその塩における、R3がメチルであって、R4、R5、R6、R7及びR8が水素である、以下に示す化合物[C1-10]
【0362】
【化73】
【0363】
[式中、
P14は、前記における定義と同義である]
又はその塩は、例えば、化合物[C1-5]又はその塩として、(S)-1-フェネチルアミンを用いて工程C1-3を実施し、得られたジアステレオマー混合物又はその塩を、溶媒中、撹拌し、析出した固体をろ取することで製造することができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、THF、酢酸エチル等が挙げられる。好ましい溶媒は、酢酸エチルである。
【0364】
(工程C1-4)
化合物[C1-7]又はその塩は、化合物[C1-6]又はその塩の保護基P14を脱保護反応により除去することにより製造することができる。脱保護反応は、P14の種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P14が(S)-1-フェニルエチルの場合、化合物[C1-7]又はその塩は、化合物[C1-6]又はその塩を、工程C1-2に従って反応させることにより製造することができる。
【0365】
(工程C1-5)
化合物[C1-8]又はその塩は、化合物[C1-7]又はその塩に保護基P11を導入することにより製造することができる。保護基の導入は、P11の種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P11がtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[C1-8]又はその塩は、化合物[C1-7]又はその塩を、溶媒中、対応するカルバメート化剤と反応させることにより製造することができる。条件に応じて塩基を加えてもよい。
対応するカルバメート化剤としては、Boc2O等が挙げられる。好ましい対応するカルバメート化剤は、Boc2Oである。
塩基としては、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、THF、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFと水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0366】
(工程C1-6)
化合物[C1-9]又はその塩は、化合物[C1-8]又はその塩を、溶媒中、触媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩等が挙げられる。好ましい触媒は、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩である。
溶媒としては、例えば、THF、アセトン、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、アセトンと水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば20℃から100℃であり、好ましくは40℃から80℃である。
【0367】
製造方法C2: 化合物[C2-9]又はその塩の製造方法
製造方法B3において用いる化合物[B3-3]又はその塩における、R10aが水素であり、A2aがCR5aである、化合物[C2-9]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法C2によって製造することができる。
【0368】
【化74】
【0369】
[式中、
R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a及びP11aは、前記における定義と同義であり、
R33a及びR34aは、それぞれ独立して、C1-4アルキルであり、
P14aは、アミンの保護基(例えば、ベンジル、(S)-1-フェニルエチル等)である]
【0370】
(工程C2-1)
化合物[C2-3]又はその塩は、化合物[C2-1]又はその塩と化合物[C2-2]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、DBU等が挙げられる。好ましい塩基は、ナトリウムエトキシドである。
溶媒としては、例えば、エタノール、THF、DMF等が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノールである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[C2-1]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[C2-2]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0371】
(工程C2-2)
化合物[C2-4]又はその塩は、化合物[C2-3]又はその塩を、溶媒中、金属触媒の存在下、接触水素化させることにより製造することができる。
金属触媒としては、Pd-C、Pt-C、水酸化パラジウム等が挙げられる。好ましい金属触媒は、Pd-C又は水酸化パラジウムである。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、THF等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0372】
(工程C2-3)
化合物[C2-6]又はその塩は、化合物[C2-4]又はその塩と化合物[C2-5]又はその塩を、溶媒中、還元的アミノ化反応させることにより製造することができる。還元的アミノ化反応としては、例えば酸及び還元剤を用いた反応が挙げられる。
還元剤としては、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。好ましい還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。
酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。好ましい酸は、酢酸である。
溶媒としては、例えば、THF、クロロホルム、トルエン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFである。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
化合物[C2-5]又はその塩は、市販品であるか、又は市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[C2-6]又はその塩における、R3aがメチルであって、R4a、R5a、R6a、R7a及びR8aが水素である、以下に示す化合物[C2-10]
【0373】
【化75】
【0374】
[式中、
P14aは、前記における定義と同義である]
又はその塩は、例えば、化合物[C2-5]又はその塩として、(S)-1-フェネチルアミンを用いて工程C2-3を実施し、得られたジアステレオマー混合物又はその塩を、溶媒中、撹拌し、析出した固体をろ取することで製造することができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、THF、酢酸エチル等が挙げられる。好ましい溶媒は、酢酸エチルである。
【0375】
(工程C2-4)
化合物[C2-7]又はその塩は、化合物[C2-6]又はその塩の保護基P14aを脱保護反応により除去することにより製造することができる。脱保護反応は、P14aの種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P14aが(S)-1-フェニルエチルの場合、化合物[C2-7]又はその塩は、化合物[C2-6]又はその塩を、工程C2-2に従って反応させることにより製造することができる。
【0376】
(工程C2-5)
化合物[C2-8]又はその塩は、化合物[C2-7]又はその塩に保護基P11aを導入することにより製造することができる。保護基の導入は、P11aの種類に適した条件で実施すればよい。
例えば、P11aがtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[C2-8]又はその塩は、化合物[C2-7]又はその塩を、溶媒中、対応するカルバメート化剤と反応させることにより製造することができる。条件に応じて塩基を加えてもよい。
対応するカルバメート化剤としては、Boc2O等が挙げられる。好ましい対応するカルバメート化剤は、Boc2Oである。
塩基としては、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、THF、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、THFと水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば0℃から60℃であり、好ましくは20℃から40℃である。
【0377】
(工程C2-6)
化合物[C2-9]又はその塩は、化合物[C2-8]又はその塩を、溶媒中、触媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩等が挙げられる。好ましい触媒は、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩である。
溶媒としては、例えば、THF、アセトン、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい溶媒は、アセトンと水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば20℃から100℃であり、好ましくは40℃から80℃である。
【実施例0378】
次に、本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩の製造方法を製造例を挙げて具体的に説明する。しかしながら、本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩の製造方法は、それらに限定されるものではない。
各工程で得られる化合物は、必要に応じて、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法で単離及び/又は精製することができるが、場合によっては、単離及び/又は精製せず次の工程に進むことができる。
本明細書において、室温とは温度を制御していない状態の温度を指し、一つの態様として1℃から40℃が挙げられる。
【0379】
[製造例1]:tert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメートの合成
【0380】
【化76】
【0381】
(1)エチル 4-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)-3-オキソブタノエート
【0382】
【化77】
【0383】
アルゴン雰囲気下、2-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)酢酸(1.4kg)のTHF(6.2kg)溶液に、カルボニルジイミダゾール(1kg)のDMF(4.7kg)溶液を室温で滴下し攪拌した。DMF(0.7kg)による洗浄液を合わせ、3時間撹拌した。これにマロン酸モノエチルカリウム(1.3kg)を添加し、塩化マグネシウム(0.6kg)を分割添加した。終日攪拌し、内温5℃で水(4.2kg)、6M 塩酸(3.1kg)を加え、室温で1時間攪拌した。トルエン(6.1kg)を加え抽出し、水層にトルエン(2.4kg)を加え再抽出した。合わせた有機層を20%食塩水(7kg)で2回洗浄した。有機層を減圧濃縮し、メタノール(2.2kg)を加え共沸した。得られた残渣にメタノール(3.3kg)を加えメタノール溶液を得た。上記のメタノール溶液と、2-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)酢酸(8kg)から同様の操作で得られたメタノール溶液を合わせ、表題化合物のメタノール溶液(34kg)を得た。また、そのうち一部を濃縮することによりNMRサンプルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.44-4.31 (1H, m), 4.19 (2H, q, J = 7.1 Hz), 3.46-3.27 (1H, m), 3.40 (2H, s), 2.43 (2H, d, J = 6.3 Hz), 2.04-1.93 (2H, m), 1.88-1.69 (3H, m), 1.44 (9H, s), 1.28 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.19-0.97 (4H, m).
【0384】
(2)tert-ブチル (トランス-4-(2-オキソプロピル)シクロヘキシル)カルバメート
【0385】
【化78】
【0386】
(1)で得られたエチル 4-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)-3-オキソブタノエートのメタノール溶液(34kg)を35℃に加温し、4M 水酸化ナトリウム水溶液(20kg)を加え攪拌した。40℃で2時間攪拌し、クエン酸(8.4kg)の水(19kg)溶液を45℃で滴下した。酢酸エチル(25kg)を加え20分攪拌後、クエン酸(8.4kg)の水(19kg)溶液を滴下した。3時間攪拌後、室温に戻し酢酸エチル(25kg)を加え、分液した。有機層を10%食塩水(47kg)で洗浄し、減圧濃縮した。酢酸エチル(17kg)を加え減圧濃縮し、表題化合物(8.1kg)を収率87%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.36 (1H, br s), 3.35 (1H, br s), 2.31 (2H, d, J = 6.4 Hz), 2.12 (3H, s), 2.02-1.95 (2H, m), 1.83-1.71 (3H, m), 1.44 (9H, s), 1.18-0.95 (4H, m).
【0387】
(3)tert-ブチル (トランス-4-((S)-2―(((S)-1-フェニルエチル)アミノ)プロピル)シクロヘキシル)カルバメート 酢酸塩
【0388】
【化79】
【0389】
(2)で得られたtert-ブチル (トランス-4-(2-オキソプロピル)シクロヘキシル)カルバメート(8.1kg)のメタノール(67kg)溶液を調製し、Ar雰囲気下、(S)-1-フェネチルアミン(4.4kg)、酢酸(1.2kg)、2%Pt-C(0.42kg)の水(1.7kg)懸濁液を室温で添加し攪拌した。これを水素雰囲気下(4気圧)、40℃で20時間撹拌した。室温まで冷却後、KCフロック(登録商標)をろ過助剤として用い2%Pt-Cをろ去し、メタノール(15kg)を用い2回洗浄した。得られた溶液を減圧濃縮し、イソプロピルアルコール(20kg)を加え減圧濃縮した。同様の操作を再度行い、得られた固体にイソプロピルアルコール(43kg)を加え懸濁液を調製した。この懸濁液を70℃に加熱し、酢酸(1kg)を滴下した。2時間攪拌後、室温まで徐冷し17時間攪拌した。内温5℃でさらに2時間攪拌後、得られた固体をろ過し、氷冷したイソプロピルアルコール(20kg)で洗浄した。30℃で19時間乾燥し、表題化合物(9kg)を収率65%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.35-7.25 (4H, m), 7.21-7.15 (1H, m), 6.62 (1H, d, J = 7.5 Hz), 3.80 (1H, q, J = 6.5 Hz), 3.17-3.01 (1H, m), 2.48-2.38 (1H, m), 1.90 (3H, s), 1.77-1.59 (3H, m), 1.54-1.28 (11H, m), 1.23-0.66 (12H, m).
【0390】
(4)tert-ブチル (S)-(トランス-4-(2-アミノプロピル)シクロヘキシル)カルバメート 酢酸塩
【0391】
【化80】
【0392】
(3)で得られたtert-ブチル (トランス-4-((S)-2―(((S)-1-フェニルエチル)アミノ)プロピル)シクロヘキシル)カルバメート 酢酸塩(8.9kg)のメタノール(85kg)溶液にAr雰囲気下、5%Pd-C(PEタイプ)(0.89kg)の水(1.8kg)懸濁液を室温で添加し攪拌した。これを水素雰囲気下(4気圧)、35℃で2時間撹拌した。室温まで徐冷後、KCフロック(登録商標)をろ過助剤として用い5%Pd-Cをろ去し、メタノール(21kg)を用い洗浄した。減圧濃縮し、アセトニトリル(21kg)を加え共沸した。得られた固体にメタノール(42kg)を加え、表題化合物のメタノール溶液を得た。また、そのうち一部を濃縮することによりNMRサンプルを得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.71-6.64 (1H, m), 6.14 (3H, br s), 3.21-3.02 (1H, m), 2.99-2.86 (1H, m), 1.84-1.58 (7H, m), 1.37 (9H, s), 1.32-1.04 (5H, m), 1.03-0.96 (3H, m), 0.94-0.75 (2H, m).
【0393】
(5)ベンジル (S)-(1-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0394】
【化81】
【0395】
(4)と同様の方法で得られたtert-ブチル (S)-(トランス-4-(2-アミノプロピル)シクロヘキシル)カルバメート 酢酸塩(218g)のDMF(1080ml)溶液に室温でトリエチルアミン(100ml)を加え攪拌した。水冷下、N-カルボベンゾキシオキシスクシンイミド(179g)を加え、室温で6時間攪拌した。水冷下、水(2160ml)を加え、1時間攪拌した。得られた固体をろ過し、水(1200ml)で洗浄、室温で48時間乾燥し、表題化合物の種晶(257g)を収率97%で得た。
(4)で得られたtert-ブチル (S)-(トランス-4-(2-アミノプロピル)シクロヘキシル)カルバメート 酢酸塩のメタノール溶液に、10℃でトリエチルアミン(5.1kg)、N-カルボベンゾキシオキシスクシンイミド(5.8kg)のアセトニトリル(14kg)溶液を加え攪拌した。アセトニトリル(3.5kg)による洗浄液を合わせ、3時間攪拌した。水(8.9kg)を加え、上記と同様の方法で得られた種晶を接種し2時間攪拌した。得られた固体をろ過し、50%メタノール水溶液(24kg)で洗浄し、69時間乾燥することで表題化合物(8kg)を収率97%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.41-7.27 (5H, m), 7.06 (1H, d, J = 8.2 Hz), 6.66 (1H, d, J = 8.2 Hz), 5.03 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.98 (1H, d, J = 12.0 Hz), 3.66-3.52 (1H, m), 3.19-3.03 (1H, m), 1.80-1.51 (4H, m), 1.43-1.26 (1H, m), 1.37 (9H, s), 1.23-0.75 (6H, m), 1.01 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0396】
(6)ベンジル (S)-(1-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート p-トルエンスルホン酸塩
【0397】
【化82】
【0398】
(5)と同様の方法で得られたベンジル (S)-(1-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(257g)の酢酸エチル(2570ml)懸濁液を80℃に加熱し、p-トルエンスルホン酸一水和物(188g)を加え、3時間攪拌した。室温まで放冷後、終日静置した。得られた固体をろ過し、酢酸エチル(236ml)で洗浄した。50℃で8時間減圧乾燥後、室温で終日減圧乾燥し、表題化合物の種晶(281g)を収率92%で得た。
(5)で得られたベンジル (S)-(1-(トランス-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(8kg)の酢酸エチル(58kg)懸濁液を調製し、p-トルエンスルホン酸一水和物(5.1kg)を室温で加え攪拌した。酢酸エチル(1.4kg)による洗浄液を合わせ、1時間攪拌した。上記と同様の方法で得られた種晶を接種し1時間攪拌後、55℃まで加温し4時間攪拌した。室温まで徐冷後、14時間攪拌した。得られた固体をろ過し、酢酸エチル(22kg)で洗浄した。50℃で23時間乾燥し、表題化合物(9kg)を収率96%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.67 (3H, br s), 7.47 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.41-7.28 (5H, m), 7.14-7.06 (3H, m), 5.02 (1H, d, J = 12.7 Hz), 4.98 (1H, d, J = 12.7 Hz), 3.66-3.53 (1H, m), 2.98-2.83 (1H, m), 2.29 (3H, s), 1.95-1.60 (4H, m), 1.39-0.81 (7H, m), 1.02 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0399】
(7)ベンジル (S)-(1-トランス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0400】
【化83】
【0401】
(6)で得られたベンジル (S)-(1-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート p-トルエンスルホン酸塩(30g)の2-メチル-テトラヒドロフラン(120ml)溶液に室温で4M 水酸化ナトリウム水溶液(17ml)を加え1.5時間攪拌した。水(120ml)を加え抽出し、有機層を水(120ml)で2回、飽和食塩水(120ml)で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。メタノール(90ml)を加え減圧濃縮し、表題化合物(18g)を収率96%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.41-7.25 (5H, m), 7.05 (1H, d, J = 8.5 Hz), 5.03 (1H, d, J = 12.5 Hz), 4.97 (1H, d, J = 12.5 Hz), 3.68-3.50 (1H, m), 2.46-2.33 (1H, m), 1.81-0.71 (13H, m), 1.01 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0402】
(8)ベンジル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0403】
【化84】
【0404】
(7)で得られたベンジル (S)-(1-トランス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(18g)のメタノール(90ml)溶液に室温で3,5-ジ-tert-ブチル-1,2-ベンゾキノン(14g)を加え1.5時間攪拌した。水(18ml)、アセトン(72ml)、DOWEX(45g)を加え1.5時間攪拌した。DOWEX(9g)を追加し、30分間攪拌した。酢酸エチルを用いてろ過し、ろ液を減圧濃縮した。酢酸エチル(72ml)、水(36ml)を加え抽出し、有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。酢酸エチル(36ml)、シリカゲル(18g)を加え30分間攪拌した。酢酸エチルを用いてろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル(18ml)を加え内温48℃まで加温した。ヘプタン(72ml)を滴下し、1.5時間攪拌した。得られた固体をろ過し、ヘプタンで洗浄した。60℃で3時間、室温で終日減圧乾燥することで表題化合物(15g)を収率83%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.41-7.25 (5H, m), 7.15 (1H, d, J = 8.6 Hz), 5.03 (1H, d, J = 12.4 Hz), 4.99 (1H, d, J = 12.4 Hz), 3.70-3.55 (1H, m), 2.40-2.10 (4H, m), 2.08-1.66 (3H, m), 1.49-1.18 (4H, m), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0405】
(9)tert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0406】
【化85】
【0407】
(8)で得られたベンジル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(15g)のメタノール(145ml)溶液にアルゴン雰囲気下、室温で10%Pd-C(1.5g)、BocO(12g)を加えた。水素雰囲気下(1気圧)、4時間攪拌した。窒素置換後、セライトろ過により10%Pd-Cをろ去し、メタノールで洗浄した。減圧濃縮し、得られた残渣にアセトン(27ml)を加え室温で攪拌した。水(82ml)を加え、終日攪拌した。得られた固体をろ過し、水で洗浄した。60℃で3時間、室温で終日減圧乾燥し、表題化合物(12g)を収率88%で得た。ベンジル(S)-(1-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート p-トルエンスルホン酸塩(211g)を用いて、上記(7)-(9)と同様の操作を行い、表題化合物(60g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.65 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.63-3.46 (1H, m), 2.42-2.10 (4H, m), 2.08-1.97 (1H, m), 1.94-1.83 (1H, m), 1.80-1.66 (1H, m), 1.46-1.16 (4H, m), 1.38 (9H, s), 1.02 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0408】
[製造例2]:N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例57)の合成
【0409】
【化86】
【0410】
(1)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-4-シアノベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0411】
【化87】
【0412】
3-ブロモ-4-ホルミルベンズニトリル(2.1g)のTHF(4ml)溶液に室温でリチウムクロライド(0.043g)、トリメチルシリルシアニド(1.5ml)を加え室温で1時間攪拌した。THF(26ml)を加え-78℃に冷却し、1M NaHMDS-THF溶液(10.2ml)を加え3分間攪拌した。[製造例1]の(9)と同様の方法で得られたtert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(2g)のTHF(10ml)溶液を加え、30分間攪拌後、1時間かけ-10℃まで昇温し、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(1.2g)を収率28%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.89 (1H, s), 7.62 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.39 (1H, d, J = 8.1 Hz), 4.30-4.15 (1H, m), 3.84-3.56 (1H, m), 2.01-1.92 (2H, m), 1.86-1.70 (3H, m), 1.64-1.52 (1H, m), 1.43 (9H, s), 1.40-1.18 (5H, m), 1.11 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.04 (9H, s).
【0413】
(2)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-4-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0414】
【化88】
【0415】
(1)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-4-シアノベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメートと上記と同様の方法で得られた同化合物(合計1.4g)のTHF(2.7ml)溶液に酢酸(0.42ml)、1M TBAF-THF溶液(3.7ml)を室温で加え15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(1.1g)を収率93%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.89 (1H, s), 7.65 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.32 (1H, d, J = 7.5 Hz), 4.30-4.17 (1H, m), 3.84-3.67 (1H, m), 2.66 (1H, s), 1.93-1.74 (5H, m), 1.69-1.60 (1H, m), 1.50-1.22 (5H, m), 1.43 (9H, s), 1.10 (3H, d, J = 5.9 Hz).
【0416】
(3)4-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-3-ブロモベンゾニトリル 塩酸塩
【0417】
【化89】
【0418】
(2)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-4-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(1.1g)のTHF(11ml)溶液に室温でDBU(0.052ml)、CDI(0.55g)を加え1時間攪拌した。ヒドラジン一水和物を加え30分間攪拌後、10%クエン酸水溶液、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン、酢酸エチル/メタノール)で精製した。得られた固体に室温でTHF(6.5ml)、6M 塩酸(3.2ml)を加え終日攪拌後、50℃で5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、THF(2ml)で2回共沸することで表題化合物(0.61g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.37 (1H, s), 8.39 (1H, s), 7.99 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.90-7.72 (3H, m), 7.70 (1H, d, J = 8.1 Hz), 3.27-3.13 (1H, m), 2.23-2.10 (2H, m), 1.62-1.17 (9H, m), 1.13 (3H, d, J = 5.4 Hz).
【0419】
(4)N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0420】
【化90】
【0421】
(3)で得られた4-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-3-ブロモベンゾニトリル 塩酸塩(0.57g)のDMF(8.4ml)溶液に室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸(0.24g)、HOAt(0.33g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.0 ml)を加えた。ここにWSC(0.47g)を加え、室温で終日攪拌した。水、飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。トルエン(10ml)で2回共沸し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)、次いで逆相シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水)で精製した。得られた固体を酢酸エチル(8.4ml)/イソプロピルエーテル(8.4ml)中50℃で再結晶し、室温で終日攪拌した。得られた懸濁液をろ過し、得られた固体を氷冷した酢酸エチル:イソプロピルエーテル=1:1の混合溶媒(1ml)を用いて3回洗浄し、50℃で4時間減圧乾燥することで表題化合物(0.30g)を収率57%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.24 (1H, s), 7.97 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.68 (1H, dd, J = 7.9, 1.6 Hz), 7.44-7.39 (1H, m), 7.33 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.18-7.14 (1H, m), 4.08-4.00 (1H, m), 2.89 (3H, d, J = 5.3 Hz), 2.34-2.28 (2H, m), 1.79-1.72 (1H, m), 1.60-1.51 (2H, m), 1.50-1.31 (5H, m), 1.30-1.21 (1H, m), 1.16 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0422】
[製造例3]:(S)-N-(1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例179)の合成
【0423】
【化91】
【0424】
(1)tert-ブチル 4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0425】
【化92】
【0426】
2-ブロモ-4-フルオロベンズアルデヒド(1.2ml)とDMAP(0.015g)のアセトニトリル(20ml)溶液に室温でトリメチルシリルシアニド(1.5ml)を加え、3時間攪拌した。反応液を濃縮後、THF(18ml)を加え、-78℃に冷却した。1.1M LiHMDS-n-ヘキサン溶液(10ml)を加え、30分間攪拌した。tert-ブチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(2g)のTHF(9ml)溶液を加え、1時間攪拌した。2M 塩酸(12ml)を加え、室温で終日攪拌した。反応液を氷冷し、2M 水酸化ナトリウム水溶液(12.5ml)を加え、室温で30分間攪拌した。水、酢酸エチルを加え、抽出した。水層に酢酸エチルを加え再抽出し、合わせた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥した。硫酸マグネシウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=15/85~35/65)で精製することで、表題化合物(1.8g)を収率34%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.74 (1H, dd, J = 8.7, 2.4 Hz), 7.62 (1H, dd, J = 8.6, 6.0 Hz), 7.38 (1H, td, J = 8.6, 2.5 Hz), 3.66 (2H, dt, J = 13.9, 4.0 Hz), 3.24-3.14 (2H, m), 1.92-1.83 (2H, m), 1.82-1.75 (2H, m), 1.38 (9H, s), 0.06 (9H, s).
【0427】
(2)tert-ブチル 4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート
【0428】
【化93】
【0429】
(1)で得られたtert-ブチル 4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(1.0g)のTHF(8.8ml)溶液に室温で1M TBAF-THF溶液(1.9ml)を加え、1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=20/80~40/60)で精製することで、表題化合物(0.74g)を収率92%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.67 (1H, dd, J = 8.8, 2.5 Hz), 7.58 (1H, dd, J = 8.6, 6.0 Hz), 7.34 (1H, td, J = 8.6, 2.4 Hz), 5.70 (1H, s), 3.84-3.73 (2H, m), 3.15-2.92 (2H, m), 1.81-1.66 (4H, m), 1.40 (9H, s).
【0430】
(3)tert-ブチル 5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-カルボキシレート
【0431】
【化94】
【0432】
(2)で得られたtert-ブチル 4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(0.74g)のTHF(6.9ml)溶液に室温でDBU(0.026ml)、CDI(0.42g)を加え1時間攪拌した。ヒドラジン一水和物(0.25ml)を加え1時間攪拌後、1M 塩酸、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え再抽出し、合わせた有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣に室温でTHF(7.3ml)、6M 塩酸(3.7ml)を加え20時間攪拌した。4M 水酸化ナトリウム水溶液(6.0ml)を加え中和後、BocO(0.44ml)を加え1時間攪拌した。酢酸エチルを加え抽出後、有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=30/70~50/50)で精製することで、表題化合物(0.60g)を収率79%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.35 (1H, s), 7.76 (1H, dd, J = 8.6, 2.5 Hz), 7.57 (1H, dd, J = 8.7, 5.9 Hz), 7.36 (1H, td, J = 8.5, 2.6 Hz), 3.90-3.78 (2H, m), 3.10-2.91 (2H, m), 2.16-2.06 (2H, m), 1.59-1.46 (2H, m), 1.35 (9H, s).
【0433】
(4)5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 塩酸塩
【0434】
【化95】
【0435】
(3)で得られたtert-ブチル 5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5,5]ウンデカ-4-エン-9-カルボキシレート(0.60g)に4M 塩化水素-CPME溶液(5.6ml)を室温で加え、3時間攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮し、表題化合物 (0.53g)を収率100%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.48 (1H, s), 8.87-8.70 (1H, m), 8.56-8.40 (1H, m), 7.81 (1H, dd, J = 8.6, 2.5 Hz), 7.61 (1H, dd, J = 8.7, 5.9 Hz), 7.44 (1H, td, J = 8.5, 2.6 Hz), 3.28-3.20 (2H, m), 3.11-2.99 (2H, m), 2.36-2.26 (2H, m), 1.99-1.85 (2H, m).
【0436】
(5)tert-ブチル (S)-(1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0437】
【化96】
【0438】
(4)で得られた5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 塩酸塩(0.53g)のメタノール(5.3ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(0.89ml)、tert-ブチル (S)-4-メチル-1,2,3-オキサチアゾリジン-3-カルボキシレート 2,2-ジオキシド(0.36g)を加え5時間攪拌した。メタノールを留去し、THF(5.3ml)、水(5.3ml)、硫酸水素カリウム(0.52g)を加え室温で2日間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=67/33)で精製することで、表題化合物(0.57g)を収率84%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.24 (1H, s), 7.75 (1H, dd, J = 8.7, 2.7 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 8.6, 6.0 Hz), 7.36 (1H, td, J = 8.5, 2.6 Hz), 6.45-6.38 (1H, m), 3.64-3.51 (1H, m), 2.81-2.71 (1H, m), 2.63-2.57 (1H, m), 2.35-2.24 (1H, m), 2.24-2.01 (5H, m), 1.68-1.44 (2H, m), 1.28 (9H, s), 0.94 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0439】
(6)(S)-9-(2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 2塩酸塩
【0440】
【化97】
【0441】
(5)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.12g)に4M 塩化水素-CPME溶液(1.1ml)を室温で加え、3時間攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮し、表題化合物 (0.13g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.59-11.30 (1H, m), 10.86-10.59 (1H, m), 8.46-8.13 (2H, m), 7.79 (1H, dd, J = 8.6, 2.5 Hz), 7.58 (1H, dd, J = 8.6, 6.0 Hz), 7.41 (1H, td, J = 8.5, 2.5 Hz), 3.90-3.53 (5H, m), 3.49-3.30 (1H, m), 2.44-2.10 (4H, m), 1.68-1.42 (2H, m), 1.31-1.13 (3H, m).
【0442】
(7)(S)-N-(1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0443】
【化98】
【0444】
(6)で得られた(S)-9-(2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-1-オキサ-3,4,9-トリアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 2塩酸塩(0.04g)のアセトニトリル(0.34ml)溶液に室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸(0.014g)、HOAt(0.018g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.059ml)を加えた。ここにWSC(0.026g)を加え、室温で3時間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製することで表題化合物(0.029g)を収率87%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.25 (1H, s), 8.63 (1H, q, J = 4.7 Hz), 8.35 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.75 (1H, dd, J = 8.6, 2.5 Hz), 7.54 (1H, dd, J = 8.6, 5.8 Hz), 7.36 (1H, td, J = 8.6, 2.5 Hz), 3.96-3.89 (1H, m), 2.72-2.60 (2H, m), 2.64 (3H, d, J = 4.7 Hz), 2.42 (1H, dd, J = 12.5, 8.3 Hz), 2.33-2.19 (3H, m), 2.10-2.02 (2H, m), 1.64-1.48 (2H, m), 1.04 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0445】
[製造例4]:N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例198)の合成
【0446】
【化99】
【0447】
(1)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0448】
【化100】
【0449】
4-ブロモ-3-ホルミルベンズニトリル(54g)、リチウムクロライド(1.1g)のTHF(350ml)溶液に水冷下トリメチルシリルシアニド(34ml)を加え1時間攪拌した。-78℃に冷却し、1.1M LiHMDS-n-ヘキサン溶液(225ml)を加え2時間攪拌した。-60℃に昇温し、[製造例1]の(9)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(50g)のTHF(100ml)溶液を加え、1.5時間攪拌した。酢酸(15ml)を加え-20℃まで昇温し、水(250ml)を加えた。室温で10分間攪拌後、水(250ml)、トルエン(500ml)を加え抽出した。有機層を水(500ml)で3回、20%食塩水(500ml)で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、室温下減圧濃縮することで少量トルエンを含む、表題化合物(150g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.01-7.98 (1H, m), 7.96 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.89-7.85 (1H, m), 6.59 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.62-3.48 (1H, m), 2.01-1.91 (2H, m), 1.77-1.50 (4H, m), 1.40-1.07 (5H, m), 1.36 (9H, s), 0.99 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.00 (9H, s).
【0450】
(2)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0451】
【化101】
【0452】
(1)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(150g)に室温でTHF(310ml)、酢酸(14ml)、1M TBAF-THF溶液(230ml)を加え室温で1.5時間攪拌した。水(500ml)、トルエン(500ml)を加え抽出し、得られた有機層を5%重曹水(500ml)、水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。メタノール(150ml)を加え再度減圧濃縮した。得られた残渣にメタノール(270ml)、水(90ml)を加え二日間攪拌した。氷冷下、更に終日攪拌し、得られた固体をろ過した。氷冷したメタノール(68ml)および水(22ml)の混合溶媒で固体を洗浄した。60℃で3時間、室温で終日減圧乾燥し、表題化合物(52g)を収率58%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.92-7.88 (2H, m), 7.83-7.79 (1H, m), 6.59 (1H, d, J = 8.1 Hz), 5.28 (1H, s), 3.64-3.48 (1H, m), 1.88-1.78 (2H, m), 1.71-1.09 (9H, m), 1.38 (9H, s), 0.99 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0453】
(3)3-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル
【0454】
【化102】
【0455】
(2)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(48g)のTHF(240ml)溶液に、室温でDBU(2.4ml)、CDI(25g)を加え1時間攪拌した。ヒドラジン一水和物(10ml)を加え、30分間攪拌した。水(240ml)、酢酸エチル(240ml)を加え抽出した。得られた有機層を10%クエン酸水溶液(240ml)、水(240ml)、20%食塩水(240ml)で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル(530ml)を加え室温で1時間攪拌した。固体をろ去し、減圧濃縮した。濃縮物に室温でTHF(240ml)、6M 塩酸(120ml)を加え50℃で5時間攪拌した。室温まで徐冷し、水(242ml)、8M 水酸化ナトリウム水溶液(91ml)を加え5分間攪拌した。THF(120ml)、トルエン(240ml)を加え抽出した。水層にTHF(96ml)、トルエン(120ml)を加え再抽出した。合わせた有機層を20%食塩水(240ml)で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。酢酸エチル(144ml)を加え再度減圧濃縮した。得られた残渣に室温で酢酸エチル(54ml)を加え、終日攪拌した。得られた固体をろ過し、氷冷した酢酸エチル(36ml)で洗浄した。60℃で3時間、室温で終日減圧乾燥することで表題化合物(32g)を収率89%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.29 (1H, br s), 8.04-7.96 (2H, m), 7.91-7.84 (1H, m), 2.87-2.75 (1H, m), 2.19-2.05 (2H, m), 1.80-1.03 (11H, m), 0.92 (3H, d, J = 5.9 Hz).
【0456】
(4)N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0457】
【化103】
【0458】
(3)と同様の方法で得られた3-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル(0.02g)のDMF(0.5ml)溶液に室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸(0.008g)、HOAt(0.007g)、WSC(0.014g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.026 ml)を加え、終日攪拌した。水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え再抽出した。合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムをろ去し、減圧濃縮した。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製することで、表題化合物(0.021g)を収率87%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.29 (1H, s), 8.65-8.59 (1H, m), 8.41 (1H, d, J = 9.0 Hz), 8.00 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.98 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.86 (1H, dd, J = 8.3, 1.8 Hz), 3.98-3.85 (1H, m), 2.64 (3H, d, J = 4.9 Hz), 2.16-2.04 (2H, m), 1.69-1.59 (1H, m), 1.59-1.13 (8H, m), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0459】
(5)N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミドの結晶
【0460】
【化104】
【0461】
窒素雰囲気下、(3)と同様の方法で得られた3-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル(42g)、2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸 (13g)、WSC(24g)のDMF(210ml)溶液に室温でHOAt(7.1g)を加え、1時間攪拌した。5%重曹水(420ml)、酢酸エチル(420ml)を加え抽出した。水層に酢酸エチル(210ml)を加え再抽出し、合わせた有機層を5%重曹水(210ml)、水(210ml×2)、飽和食塩水(210ml)で洗浄した。硫酸ナトリウム、活性炭(1.3g)を加え、1.5時間攪拌後、固体をろ去した。得られた溶液を減圧濃縮し、得られたアモルファス状の固体にDMF(115ml)を加えた。得られた溶液を減圧濃縮し、酢酸エチルを留去後、取得した溶液を除塵ろ過した。DMF(139ml)で洗浄し、得られたDMF溶液に室温で水(150ml)を加えた。固体の析出を確認後、水(612ml)を滴下し、得られた懸濁液を室温で5日間攪拌した。懸濁液を50℃に加温し一晩攪拌後、室温まで冷却した。懸濁液をろ過し、水を用いて洗浄した。得られた湿晶を一晩風乾し、60℃で3時間減圧乾燥することで表題化合物(45g)を得た。
【0462】
[製造例5]:1-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-シクロプロピルウレア(実施例222)の合成
【0463】
【化105】
【0464】
(1)1-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-シクロプロピルウレア
【0465】
【化106】
【0466】
[製造例4]の(3)と同様の方法で得られた3-(シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル(0.020g)のTHF(0.4ml)溶液に室温でシクロプロピルイソシアネート(0.005ml)を加え、3時間攪拌した。水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え再抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製することで表題化合物(0.019g)を収率79%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.30 (1H, s), 8.03 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.99 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.87 (1H, dd, J = 8.4, 2.0 Hz), 5.89 (1H, d, J = 2.8 Hz), 5.46 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.72-3.61 (1H, m), 2.40-2.31 (1H, m), 2.19-2.07 (2H, m), 1.70-1.57 (1H, m), 1.56-1.06 (8H, m), 0.97 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.56-0.46 (2H, m), 0.31-0.22 (2H, m).
【0467】
[製造例6]:N-((S)-1-(シス-5-(4-クロロ-6-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例230)の合成
【0468】
【化107】
【0469】
(1)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(4-クロロ-6-メチルニコチノイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0470】
【化108】
【0471】
4-クロロ-6-メチルニコチンアルデヒド(0.55g)とリチウムクロライド(0.015g)の混合物にトリメチルシリルシアニド(0.55ml)を加え室温で10分間攪拌した。THF(7ml)を加え-78℃に冷却し、1M NaHMDS-THF溶液(1.9ml)を加え5分間攪拌した。[製造例1]の(9)と同様の方法で得られたtert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.7g)を加え、30分間攪拌後、1時間かけ0℃まで昇温し、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(1.1g)を収率83%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.58 (1H, s), 7.25 (1H, s), 4.32-4.15 (1H, m), 3.84-3.65 (1H, m), 2.57 (3H, s), 1.99-1.88 (2H, m), 1.83-1.68 (3H, m), 1.66-1.55 (1H, m), 1.43 (9H, s), 1.41-1.21 (5H, m), 1.11 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.06 (9H, s).
【0472】
(2)tert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(4-クロロ-6-メチルニコチノイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0473】
【化109】
【0474】
(1)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(4-クロロ-6-メチルニコチノイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(1.1g)のTHF(2.2ml)溶液に酢酸(0.39ml)、1M TBAF-THF溶液(3.4ml)を室温で加え15分間攪拌し、終日静置した。飽和塩化アンモニウム水溶液、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(0.80g)を収率86%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.39 (1H, s), 7.26 (1H, s), 4.29-4.16 (1H, m), 3.83-3.65 (1H, m), 2.93 (1H, s), 2.58 (3H, s), 1.87-1.73 (5H, m), 1.67-1.59 (1H, m), 1.43 (9H, s), 1.41-1.22 (5H, m), 1.10 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0475】
(3)シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(4-クロロ-6-メチルピリジン-3-イル)-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 2塩酸塩
【0476】
【化110】
【0477】
(2)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-4-(4-クロロ-6-メチルニコチノイル)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.8g)のTHF(8ml)溶液に室温でDBU(0.044ml)、CDI(0.47g)を加え1時間攪拌した。ヒドラジン一水和物(0.19ml)を加え1時間攪拌後、10%クエン酸水溶液、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製した。得られた固体に室温でTHF(9.0ml)、6M 塩酸(4.5ml)を加え終日攪拌後、50℃で6時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、THF(10ml)で2回共沸することで表題化合物(0.98g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.40 (1H, s), 8.64 (1H, s), 8.08-7.97 (3H, m), 7.81 (1H, s), 3.25-3.14 (1H, m), 2.59 (3H, s), 2.18-2.08 (2H, m), 1.62-1.19 (9H, m), 1.15 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0478】
(4)N-((S)-1-(シス-5-(4-クロロ-6-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0479】
【化111】
【0480】
(3)で得られたシス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(4-クロロ-6-メチルピリジン-3-イル)-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン 2塩酸塩(0.1g)のDMF(1.5ml)溶液に室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸 (0.045g)、HOAt(0.062g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.23ml)を加えた。ここにWSC(0.087g)を加え、室温で15分間攪拌し、終日静置した。水、飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。トルエン(5ml)で共沸し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで表題化合物(0.067g)を収率71%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.28 (1H, s), 8.62 (1H, q, J = 4.8 Hz), 8.48 (1H, s), 8.41 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.58 (1H, s), 3.98-3.83 (1H, m), 2.64 (3H, d, J = 4.8 Hz), 2.51 (3H, s), 2.15-2.02 (2H, m), 1.71-1.59 (1H, m), 1.57-1.15 (8H, m), 1.05 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0481】
[製造例7]:N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシアミド(実施例320)の合成
【0482】
【化112】
【0483】
(1)1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン-8-イル トリフルオロメタンスルホネート
【0484】
【化113】
【0485】
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(5g)のTHF(50ml)溶液を-78℃に冷却し、1.1M LiHMDS-n-ヘキサン溶液(31ml)を加え10分間攪拌した。0℃に昇温し20分間攪拌した後、-78℃に冷却し、コミンズ試薬(14g)を加えた。30分間攪拌後、0℃に昇温し更に1.5時間攪拌した。飽和重曹水、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(7.5g)を収率81%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.69-5.65 (1H, m), 4.00 (4H, t, J = 2.4 Hz), 2.54 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.41 (2H, d, J = 2.7 Hz), 1.91 (2H, t, J = 6.7 Hz).
【0486】
(2)(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル メタンスルホネート
【0487】
【化114】
【0488】
tert-ブチル (S)-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)カルバメート(10g)のTHF(100ml)溶液に室温でトリエチルアミン(16ml)を加えた。0℃に冷却し、メタンスルホン酸無水物(11g)を加え、室温で15分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(13.7g)を収率95%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.68-4.49 (1H, m), 4.28-4.19 (1H, m), 4.15 (1H, dd, J = 9.7, 4.3 Hz), 4.04-3.88 (1H, m), 3.04 (3H, s), 1.45 (9H, s), 1.24 (3H, d, J = 7.0 Hz).
【0489】
(3)tert-ブチル (S)-(1-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0490】
【化115】
【0491】
(1)で得られた1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン-8-イル トリフルオロメタンスルホネート(5g)のDMA(100ml)溶液に室温で(2)で得られた(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル メタンスルホネート(7.9g)、ヨウ化ニッケル(II)(0.093ml)、2,2’:6’,2’’-テルピリジン(0.61g)、マンガン(2.9g)、ヨウ化ナトリウム(1.3g)を加え、80℃で1.5時間攪拌した。室温にて水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(1.9g)を収率37%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.34 (1H, s), 4.40-4.21 (1H, m), 3.97 (4H, s), 3.88-3.71 (1H, m), 2.30-1.98 (6H, m), 1.75 (2H, t, J = 6.5 Hz), 1.43 (9H, s), 1.10 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0492】
(4)tert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0493】
【化116】
【0494】
(3)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-7-エン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.5g)の水(2ml)溶液に室温で酢酸(8ml)を加え15分間攪拌し、終日静置した。反応液を減圧濃縮し、トルエン(2ml)で3回共沸し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(0.37g)を収率87%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.49 (1H, s), 4.37-4.22 (1H, m), 3.91-3.76 (1H, m), 2.85 (2H, s), 2.60-2.30 (4H, m), 2.22-2.09 (2H, m), 1.42 (9H, s), 1.14 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0495】
(5)tert-ブチル ((2S)-1-(4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0496】
【化117】
【0497】
2-ブロモ-4-フルオロベンズアルデヒド(0.16g)とリチウムクロライド(0.003g)に室温でトリメチルシアニド(0.12ml)を加え、10分間攪拌した。THF(1.5ml)を加え、-78℃に冷却し、1M NaHMDS-THF溶液(0.77ml)を加え5分間攪拌した。(4)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(4-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.15g)を反応液に加え、30分間攪拌した。1時間かけて0℃まで昇温し、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(0.22g)を収率66%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.65 (0.3H, dd, J = 8.6, 6.5 Hz), 7.56 (0.7H, dd, J = 8.1, 6.5 Hz), 7.36 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.04 (1H, t, J = 8.4 Hz), 5.36 (1H, s), 4.37-4.21 (1H, m), 3.88-3.74 (1H, m), 2.81-2.67 (1H, m), 2.34-1.92 (7H, m), 1.45 (3H, s), 1.43 (6H, s), 1.14 (2.1H, d, J = 6.5 Hz), 1.12 (0.9H, d, J = 6.5 Hz), 0.01 (6.3H, s), 0.00 (2.7H, s).
【0498】
(6)tert-ブチル ((2S)-1-(4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0499】
【化118】
【0500】
(5)で得られたtert-ブチル ((2S)-1-(4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.22g)のTHF(0.41ml)溶液に室温で酢酸(0.067ml)、1M TBAF-THF溶液(0.59ml)を加え15分間攪拌し、室温で終日静置した。飽和塩化アンモニウム水溶液、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(0.17g)を収率66%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.50-7.41 (0.3H, m), 7.40-7.29 (1.7H, m), 7.12-6.96 (1H, m), 5.43-5.35 (1H, m), 4.37-4.18 (1H, m), 4.01 (0.3H, s), 3.90-3.73 (1H, m), 3.10 (0.7H, s), 2.82-2.50 (1H, m), 2.30-1.88 (7H, m), 1.39-1.38 (2.7H, s), 1.37-1.35 (6.3H, s), 1.14 (0.9H, d, J = 7.5 Hz), 1.12 (2.1H, d, J = 6.5 Hz).
【0501】
(7)tert-ブチル ((2S)-1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4,8-ジエン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0502】
【化119】
【0503】
(6)で得られたtert-ブチル ((2S)-1-(4-(2-ブロモ-4-フルオロベンゾイル)-4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.17g)のTHF(1.7ml)溶液に室温でDBU(0.009ml)、CDI(0.093g)を加え30分間攪拌した。ヒドラジン一水和物(0.037ml)を加え、室温で30分間攪拌した。10%クエン酸水溶液、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製した。得られた固体に室温でTHF(1.5ml)、6M 塩酸(0.73ml)を加え15分間攪拌し、終日静置した。50℃で1.5時間攪拌し、反応液を減圧濃縮した。THF(2ml)で2回共沸し、得られた固体に室温で飽和重曹水(0.65ml)、THF(1.3ml)、水(0.65ml)、BocO(0.19ml)を加え終日攪拌した。水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物(0.12g)を収率88%で得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.13 (1H, s), 7.44-7.39 (1H, m), 7.24-7.16 (1H, m), 7.13-7.02 (1H, m), 5.31-5.18 (1H, m), 4.40-4.14 (1H, m), 3.86-3.67 (1H, m), 2.71-2.60 (1H, m), 2.44-2.08 (4H, m), 2.07-1.91 (2H, m), 1.78-1.66 (1H, m), 1.43 (2.7H, s), 1.32 (6.3H, s), 1.12 (0.9H, d, J = 7.0 Hz), 1.07 (2.1H, d, J = 7.0 Hz).
【0504】
(8)tert-ブチル ((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(シス異性体),及びtert-ブチル ((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(トランス異性体)
【0505】
【化120】
【0506】
(7)で得られたtert-ブチル ((2S)-1-(5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4,8-ジエン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.12g)のTHF(1.8ml)溶液に室温でコバルト(II)アセチルアセトン(0.063g)、フェニルシラン(0.30ml)を加え、酸素雰囲気下終日攪拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、水、酢酸エチルを加え抽出した。水層に酢酸エチルを加え2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製することで、表題化合物のシス異性体(0.047g)を収率27%で、表題化合物のトランス異性体(0.060g)を収率30%で得た。
(シス異性体)
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.22-8.08 (1H, m), 7.43 (1H, dd, J = 8.1, 2.2 Hz), 7.27-7.22 (1H, m), 7.11 (1H, td, J = 8.1, 2.5 Hz), 4.63 (1H, d, J = 6.5 Hz), 3.81-3.67 (1H, m), 2.32-2.22 (2H, m), 2.19 (1H, s), 2.00-1.84 (3H, m), 1.84-1.48 (5H, m), 1.42 (9H, s), 1.15 (3H, d, J = 6.5 Hz).
(トランス異性体)
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.10 (1H, s), 7.40 (1H, dd, J = 8.1, 2.2 Hz), 7.28-7.22 (1H, m), 7.10 (1H, t, J = 8.6 Hz), 4.59-4.44 (1H, m), 3.99-3.81 (1H, m), 3.81-3.66 (1H, m), 2.19 (1H, s), 2.15-2.03 (1H, m), 2.03-1.89 (2H, m), 1.85-1.73 (2H, m), 1.73-1.50 (4H, m), 1.41 (9H, s), 1.17 (3H, d, J = 7.0 Hz).
【0507】
(9)シス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン
【0508】
【化121】
【0509】
(8)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.039g)のクロロホルム(0.39ml)溶液に室温でトリフルオロ酢酸(0.39ml)を加え30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(InertSep(登録商標)SCX,展開溶媒:メタノール/2M アンモニア-メタノール溶液)で精製することで、表題化合物(0.030g)を収率85%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.30-11.21 (1H, m), 7.75 (1H, dd, J = 8.6, 2.7 Hz), 7.56 (1H, dd, J = 8.9, 5.7 Hz), 7.40-7.32 (1H, m), 2.97-2.85 (1H, m), 2.10-1.97 (2H, m), 1.81-1.27 (9H, m), 1.09-0.99 (2H, m), 0.96 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0510】
(10)N-((S)-1-(シス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシアミド
【0511】
【化122】
【0512】
(9)で得られたシス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン(0.013g)のDMF(0.2ml)溶液に室温で3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸 (0.005g)、HOAt(0.006g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.017ml)を加えた。ここにWSC(0.008g)を加え、室温で15分間攪拌し、終日静置した。水、飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。水層を酢酸エチルで2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。トルエン(2ml)で2回共沸し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン),次いで逆相シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水)で精製することで表題化合物(0.004g)を収率26%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 12.81 (1H, s), 11.24 (1H, s), 7.90-7.79 (1H, m), 7.74 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.59-7.48 (1H, m), 7.39-7.26 (1H, m), 6.29 (1H, s), 4.59 (1H, s), 4.07-3.93 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.11-1.94 (2H, m), 1.78-1.28 (8H, m), 1.12 (3H, d, J = 5.9 Hz).
【0513】
[製造例8]:N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5,5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシアミド(実施例322)の合成
【0514】
【化123】
【0515】
(1)トランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-2-オン
【0516】
【化124】
【0517】
[製造例7]の(8)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5,5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.056g)のクロロホルム(0.44ml)溶液に室温でトリフルオロ酢酸(0.44ml)を加え30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(InertSep(登録商標)SCX,展開溶媒:メタノール/2M アンモニア-メタノール溶液)で精製することで、表題化合物(0.036g)を収率100%で得た。
LC-MS(M+1): 414
【0518】
(2)N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシアミド
【0519】
【化125】
【0520】
(1)で得られたトランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-9-ヒドロキシ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5,5]ウンデカ-4-エン-2-オン(0.016g)のDMF(0.24ml)溶液に室温で3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(0.006g)、HOAt(0.007g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.020ml)を加えた。ここにWSC(0.010g)を加え、室温で15分間攪拌し、終日静置した。水、飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。水層を酢酸エチルで2回再抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。トルエン(2ml)で2回共沸し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン)、次いで逆相シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水)で精製することで表題化合物(0.007g)を収率34%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 12.80 (1H, s), 11.18 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.74 (1H, dd, J = 8.6, 2.7 Hz), 7.51 (1H, dd, J = 8.6, 5.9 Hz), 7.37 (1H, ddd, J = 8.6, 8.1, 2.7 Hz), 6.31 (1H, s), 4.25-4.08 (1H, m), 4.21 (1H, s), 2.24 (3H, s), 1.97-1.82 (2H, m), 1.82-1.66 (3H, m), 1.66-1.34 (5H, m), 1.12 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0521】
[製造例9]:N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-3-フルオロフェニル)-9-シアノ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例2-153)の合成
【0522】
【化126】
【0523】
(1)tert-ブチル (S)-(1-(8-シアノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0524】
【化127】
【0525】
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボニトリル(7.5g)のTHF(75ml)溶液を-78℃に冷却し、1.11M LDA-THF/n-ヘキサン溶液(48.5ml)を加え、1時間攪拌した。tert-ブチル (S)-4-メチル-1,2,3-オキサチアゾリジン-3-カルボキシレート 2,2-ジオキサイド(12.8g)を加え、0℃に昇温し1時間攪拌した。1M 塩酸(135ml)を加え、室温で30分間攪拌した。酢酸エチル、水を加え抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=25/75~55/45)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(14.3g)を収率98%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.78 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.87 (4H, s), 3.78-3.63 (1H, m), 2.06-1.44 (10H, m), 1.37 (9H, s), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0526】
(2)tert-ブチル (S)-(1-(1-シアノ-4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0527】
【化128】
【0528】
(1)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(8-シアノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(10.9g)のTHF(54.5ml)溶液に室温で6M 塩酸(28ml)を加え、60℃で6時間攪拌した。室温で3日間静置後、10M 水酸化ナトリウム水溶液(16.8ml)とBocO(23.4ml)を加え、2時間攪拌した。酢酸エチル、水を加え抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=30/70~65/35)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(5.59g)を収率59%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.84 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.83-3.67 (1H, m), 2.55-2.39 (2H, m), 2.36-2.10 (4H, m), 1.92-1.75 (3H, m), 1.65 (1H, dd, J = 14.3, 3.5 Hz), 1.38 (9H, s), 1.09 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0529】
(3)tert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-3-フルオロベンゾイル)-1-シアノ-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0530】
【化129】
【0531】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-3-フルオロベンズアルデヒド(0.38g)、リチウムクロライド(0.008g)のTHF(0.8ml)溶液に室温でトリメチルシリルシアニド(0.27ml)を加え30分間攪拌した。THF(5.2ml)を加え-78℃に冷却し5分間攪拌後、1.13M LiHMDS-n-ヘキサン溶液(1.6ml)を加え10分間攪拌した。(2)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(1-シアノ-4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.40g)を加え、30分間攪拌した。その後、1時間かけて0℃まで昇温し、水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=3/97~30/70)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(0.62g)を収率78%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.59-7.41 (2H, m), 7.39-7.33 (1H, m), 6.84 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.82-3.67 (1H, m), 2.07-1.49 (10H, m), 1.37 (9H, s), 1.08 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.04 (9H, s).
【0532】
(4)tert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-3-フルオロベンゾイル)-1-シアノ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0533】
【化130】
【0534】
(3)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-3-フルオロベンゾイル)-1-シアノ-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.62g)のTHF(3.1ml)溶液に室温で酢酸(0.19ml)、1M TBAF-THF溶液(1.7ml)を加え、2時間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出後、有機層を硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=30/70~60/40)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(0.25g)を収率46%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.55-7.39 (2H, m), 7.32-7.27 (1H, m), 6.81 (1H, d, J = 8.6 Hz), 5.53 (1H, s), 3.83-3.69 (1H, m), 2.02-1.49 (10H, m), 1.37 (9H, s), 1.07 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0535】
(5)トランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-3-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-カルボニトリル 塩酸塩
【0536】
【化131】
【0537】
(4)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-3-フルオロベンゾイル)-1-シアノ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.25g)のTHF(2.5ml)溶液に室温でCDI(0.13g)、DBU(0.012ml)を加え30分間攪拌した。ヒドラジン一水和物(0.069ml)を加え30分間攪拌後、10%クエン酸水溶液、酢酸エチルを加え抽出した。有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=50/50~90/10)で精製し、減圧濃縮した。得られた固体にTHF(2.3ml)、6M 塩酸(1.1ml)を加え50℃で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、THFで共沸することで表題化合物(0.17g)を収率72%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.45 (1H, s), 7.93 (3H, br s), 7.62-7.50 (2H, m), 7.42-7.36 (1H, m), 3.44-3.34 (1H, m), 2.31-2.19 (2H, m), 2.03-1.81 (4H, m), 1.78-1.58 (4H, m), 1.31 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0538】
(6)N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-3-フルオロフェニル)-9-シアノ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0539】
【化132】
【0540】
(5)で得られたトランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-5-(2-ブロモ-3-フルオロフェニル)-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-カルボニトリル 塩酸塩(0.025g)のDMF(0.4ml)溶液に室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸(0.007g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.048 ml)、HATU(0.025g)を加え、1時間攪拌した。反応液を逆相シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水=5/95~70/30)で精製し、さらに薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製し、減圧濃縮することで表題化合物(0.018g)を収率65%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.39 (1H, s), 8.72 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.63-8.57 (1H, m), 7.58-7.47 (2H, m), 7.38-7.34 (1H, m), 4.17-4.04 (1H, m), 2.64 (3H, d, J = 4.8 Hz), 2.27-1.95 (4H, m), 1.81-1.53 (6H, m), 1.12 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0541】
[製造例10]:N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-9-メトキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド(実施例2-123)の合成
【0542】
【化133】
【0543】
(1)1-(8-メトキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-オン
【0544】
【化134】
【0545】
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(5.0g)のメタノール(50ml)溶液に、室温で(2-オキソプロピル)ホスホン酸ジメチル(5.9g)、28%ナトリウムメトキシド-メタノール溶液(23.5ml)を加え、終日攪拌した。水(20ml)を加え、減圧濃縮することでメタノールを留去した。酢酸エチルを加え希釈後、飽和食塩水を加え洗浄した。得られた有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=20/80~50/50)で精製し、減圧濃縮することで,表題化合物(2.1g)を収率28%で取得した。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 3.83 (4H, s), 3.15 (3H, s), 2.57 (2H, s), 2.11 (3H, s), 1.78-1.68 (2H, m), 1.66-1.41 (6H, m).
【0546】
(2)(S)-1-(8-メトキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)プロパン-2-アミン
【0547】
【化135】
【0548】
(1)で得られた1-(8-メトキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-オン(2.1g)のTHF(31ml)溶液に室温で(S)-1-フェネチルアミン(1.3ml)、酢酸(0.52ml)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.6g)を加え、3時間攪拌した。氷冷下、4M 水酸化ナトリウム水溶液(11.3ml)、水を加えた後、酢酸エチルを加え希釈した。得られた有機層に飽和食塩水を加え洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/酢酸エチル/n-ヘキサン=0/25/75~0/100/0~5/95/0)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(1.4g)を収率46%で取得した。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.36-7.23 (4H, m), 7.20-7.15 (1H, m), 3.82 (4H, s), 3.78 (1H, q, J = 6.7 Hz), 3.04 (3H, s), 2.66-2.56 (1H, m), 1.89-1.29 (11H, m), 1.24-1.10 (3H, m), 0.90 (3H, d, J = 6.6 Hz).
【0549】
(3)tert-ブチル (S)-(1-(8-メトキシ-1.4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0550】
【化136】
【0551】
(2)で得られた(S)-1-(8-メトキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)プロパン-2-アミン(1.4g)のTHF(14ml)溶液に室温で酢酸(0.48ml)、20%水酸化パラジウム-活性炭素を加え、水素雰囲気下(1気圧)終日攪拌した。反応液をセライトろ過し、THF(14ml)で洗浄した。得られたTHF溶液に、室温で水(4.8ml)、重炭酸ナトリウム(1.1g)、BocO(1.1ml)を加え2時間攪拌した。酢酸エチルを加え希釈後、飽和食塩水を加え洗浄した。得られた有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=15/85~50/50)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(1.0g)を収率76%で取得した。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.62 (1H, d, J = 8.1 Hz), 3.83 (4H, s), 3.65-3.48 (1H, m), 3.02 (3H, s), 1.79-1.27 (10H, m), 1.36 (9H, s), 1.03 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0552】
(4)tert-ブチル (S)-(1-(1-メトキシ-4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0553】
【化137】
【0554】
(3)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(8-メトキシ-1.4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(1.0g)のアセトン(10ml)、水(4.2ml)の混合溶媒の溶液に、室温でp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(0.16g)を加え、60℃で6時間攪拌した。室温にて飽和重曹水(5ml)を加え、アセトンを留去した。酢酸エチルを加え抽出後、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加え乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=20/80~55/45)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(0.77g)を収率85%で取得した。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 6.68 (1H, d, J = 8.6 Hz), 3.70-3.54 (1H, m), 3.14 (3H, s), 2.48-2.31 (2H, m), 2.11-1.92 (4H, m), 1.78-1.54 (4H, m), 1.36 (9H, s), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0555】
(5)tert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-1-メトキシ-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0556】
【化138】
【0557】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-3-ホルミルベンゾニトリル(0.24g)、リチウムクロライド(0.005g)のTHF(0.5ml)溶液に、トリメチルシリルシアニド(0.16ml)を加え、室温で30分間攪拌した。THF(3.3ml)を加え-78℃に冷却し5分間攪拌後、1.13M LiHMDS-n-ヘキサン溶液(1.0ml)を加え10分間攪拌した。(4)で得られたtert-ブチル (S)-(1-(1-メトキシ-4-オキソシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.25g)を加え30分間攪拌し、その後、1時間かけて0℃まで昇温し、水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=5/95~33/67)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(0.23g)を収率45%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.05-7.82 (3H, m), 6.69 (1H, d, J = 8.1 Hz), 3.67-3.51 (1H, m), 3.00 (3H, s), 2.01-1.31 (10H, m), 1.36 (9H, s), 1.04 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.00-0.03 (9H, m).
【0558】
(6)tert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシ-1-メトキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート
【0559】
【化139】
【0560】
(5)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-1-メトキシ-4-((トリメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.22g)のTHF(2.2ml)溶液に、室温で酢酸(0.067ml)、1M TBAF-THF溶液(0.58ml)を加え2時間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=30/70~60/40)で精製し、減圧濃縮することで、表題化合物(0.15g)を収率78%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.93-7.88 (2H, m), 7.84-7.79 (1H, m), 6.64 (1H, d, J = 8.1 Hz), 5.31 (1H, s), 3.69-3.56 (1H, m), 3.04 (3H, s), 1.97-1.31 (10H, m), 1.36 (9H, s), 1.04 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0561】
(7)3-(トランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-9-メトキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル 塩酸塩
【0562】
【化140】
【0563】
(6)で得られたtert-ブチル ((S)-1-(トランス-4-(2-ブロモ-5-シアノベンゾイル)-4-ヒドロキシ-1-メトキシシクロヘキシル)プロパン-2-イル)カルバメート(0.15g)のTHF(1.5ml)溶液に、CDI(0.073g)、DBU(0.007ml)を加え室温で30分間攪拌した。ヒドラジン一水和物(0.045ml)を加え30分間攪拌した。10%クエン酸水溶液、酢酸エチルを加え抽出後、有機層に硫酸ナトリウムを加え乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=50/50~90/10)で精製した。減圧濃縮し、得られた固体にTHF(1.6ml)、6M 塩酸(0.8ml)を加え50℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液を濃縮し、THFで共沸することにより表題化合物(0.14g)を収率96%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.38 (1H, s), 8.12-8.08 (1H, m), 8.05-8.00 (1H, m), 7.93-7.86 (1H, m), 7.71 (3H, br s), 3.68-3.49 (1H, m), 2.98 (3H, s), 2.07-1.93 (2H, m), 1.84-1.45 (8H, m), 1.22 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0564】
(8)N-((S)-1-(トランス-5-(2-ブロモ-5-シアノフェニル)-9-メトキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-9-イル)プロパン-2-イル)-N-メチルシュウ酸アミド
【0565】
【化141】
【0566】
(7)で得られた3-(トランス-9-((S)-2-アミノプロピル)-9-メトキシ-2-オキソ-1-オキサ-3,4-ジアザスピロ[5.5]ウンデカ-4-エン-5-イル)-4-ブロモベンゾニトリル 塩酸塩(0.050g)のDMF(0.75ml)溶液に、室温で2-メチルアミノ-2-オキソ酢酸(0.016g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.074 ml)、HATU(0.060g)を加え、1時間攪拌した。反応液を逆相シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水=5/95~65/35)で精製し、さらに薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=67/33)で精製し、減圧濃縮することで表題化合物(0.049g)を収率89%で得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.32 (1H, s), 8.65-8.54 (2H, m), 8.09-8.05 (1H, m), 8.03-7.98 (1H, m), 7.91-7.86 (1H, m), 4.01-3.92 (1H, m), 2.92 (3H, s), 2.67-2.63 (3H, m), 1.99-1.42 (10H, m), 1.08 (3H, d, J = 6.5 Hz).
【0567】
上記製造方法又は製造例と同様の方法により、また必要に応じて公知の方法を用いることにより、その他の実施例の化合物を得た。実施例1から339の化合物、及び2-001から2-172の構造式及び物性データを表1-1から表1-61に示す。
【0568】
【表1-1】
【0569】
【表1-2】
【0570】
【表1-3】
【0571】
【表1-4】
【0572】
【表1-5】
【0573】
【表1-6】
【0574】
【表1-7】
【0575】
【表1-8】
【0576】
【表1-9】
【0577】
【表1-10】
【0578】
【表1-11】
【0579】
【表1-12】
【0580】
【表1-13】
【0581】
【表1-14】
【0582】
【表1-15】
【0583】
【表1-16】
【0584】
【表1-17】
【0585】
【表1-18】
【0586】
【表1-19】
【0587】
【表1-20】
【0588】
【表1-21】
【0589】
【表1-22】
【0590】
【表1-23】
【0591】
【表1-24】
【0592】
【表1-25】
【0593】
【表1-26】
【0594】
【表1-27】
【0595】
【表1-28】
【0596】
【表1-29】
【0597】
【表1-30】
【0598】
【表1-31】
【0599】
【表1-32】
【0600】
【表1-33】
【0601】
【表1-34】
【0602】
【表1-35】
【0603】
【表1-36】
【0604】
【表1-37】
【0605】
【表1-38】
【0606】
【表1-39】
【0607】
【表1-40】
【0608】
【表1-41】
【0609】
【表1-42】
【0610】
【表1-43】
【0611】
【表1-44】
【0612】
【表1-45】
【0613】
【表1-46】
【0614】
【表1-47】
【0615】
【表1-48】
【0616】
【表1-49】
【0617】
【表1-50】
【0618】
【表1-51】
【0619】
【表1-52】
【0620】
【表1-53】
【0621】
【表1-54】
【0622】
【表1-55】
【0623】
【表1-56】
【0624】
【表1-57】
【0625】
【表1-58】
【0626】
【表1-59】
【0627】
【表1-60】
【0628】
【表1-61】
【0629】
試験例1:ヒトPLD1酵素阻害活性の評価
ヒトPLD1全長(1-1036アミノ酸)のN末端にFLAG-tagを付加した酵素を用いて、ヒトPLD1酵素阻害活性を測定する方法を以下に示す。
1.ヒトPLD1全長発現プラスミドの作成
PCR法により、市販のヒトPLD1遺伝子(Promega KK社製)を鋳型として、ヒトPLD1全長の5’末端側にFLAG-tag配列を付加したDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片とBamHI及びEcoRIで消化したバキュロウイルス作製用ベクターpVL1393(Pharmingen社製)をIn-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いて連結させた。得られたIn-Fusion反応産物で形質転換した大腸菌DH5α(TOYOBO社製)から、バキュロウイルス用ヒトPLD1全長発現プラスミドDNAを単離した。次に、バキュロウイルス用ヒトPLD1全長発現プラスミドDNAを鋳型として、PCR法によりヒトPLD1全長の5’末端側にFLAG-tag配列を付加したDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片と、pcDNA3.4-TOPO(Life Technologies社製)にリンカー配列を導入したDNA断片をIn-Fusion HD Cloning Kitを用いて連結させた。得られたIn-Fusion反応産物で形質転換した大腸菌DH5αから、動物細胞用ヒトPLD1全長発現プラスミドDNAを単離した。ベクターにクローニングしたヒトPLD1全長の塩基配列を、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いたDye Terminator法によって決定した。決定した配列はヒトPLD1全長(GenBank Accession Number:NM_001130081)の5’末端側にFLAG-tag配列が挿入された配列であった。
【0630】
2.Expi293F細胞発現系によるヒトPLD1全長タンパク質の生産
Expi293F細胞(Life Technologies社製)は、培地としてExpi293 Expression Medium(Life Technologies社製)を用いて37℃、8%CO存在下で振とう培養した。遺伝子導入試薬PEIは、Polyethylenimine Max(nominally MW 40,000)(Polysciences社製)をMilliQ水で溶解後、NaOHでpHを7.0に調整して1mg/mLとし、0.22μmフィルターを用いて濾過したものを使用した。動物細胞用ヒトPLD1全長発現プラスミドDNAを、PEIを用いてExpi293F細胞にトランスフェクションし、48時間振とう培養後に細胞を回収し、-80℃に保存した。
【0631】
3.ヒトPLD1全長タンパク質の精製
ヒトPLD1全長発現細胞に対し、Homogenate buffer(20mmol/L Na-phosphate pH7.5,250mmol/L NaCl,1mmol/L MgCl,1%β-OG,0.05mmol/L DTT+complete EDTA-free(Roche Diagnostics K.K.社製))を加え、Microfluidizer Processor M-110EH(みづほ工業社製)により細胞を破砕した。破砕液を4℃、10,100×gで15分間遠心後に上清を回収し、0.45μmフィルターで濾過した。遠心上清に対し、Homogenate bufferで平衡化したANTI-FLAG M2 Affinity Gel(SIGMA-Aldrich社製)レジンを添加し、4℃で1時間以上攪拌した。この混合液をポリプレップカラムに充填し、Wash Buffer(20mmol/L Na-phosphate pH7.5,150mmol/L NaCl,1mmol/L MgCl,0.02%Triton,0.05mmol/L DTT)でレジンを洗浄した。400μg/mL DYKDDDDK Peptide(株式会社スクラム社製)を含むWash Bufferを加えてレジンに結合したタンパク質を溶出させた。溶出画分をSDS-PAGE後にCBB染色することでヒトPLD1全長を含む画分を同定した。ヒトPLD1全長溶出画分をまとめ、Amicon Ultra-15 100k(Merck Millipore社製)を用いて濃縮した。濃縮画分をまとめて液体窒素で急速凍結し、-80℃に保管した。
【0632】
4.ヒトPLD1阻害活性の評価
384 well Assay Plate(Black,Polystyrene,Non-Treated,Cat No.3573,Corning)に、Assay Buffer(50mmol/L HEPES pH 7.5,80mmol/L KCl,3mmol/L EGTA,3.6mmol/L MgCl,0.01%NP-40,0.1%BSA)で希釈したDMSO又は被験物質溶液(DMSOの最終濃度5%)を5μL/ウェル添加した。Assay bufferで6nmol/Lとなるよう希釈したヒトPLD1全長酵素溶液を5μL/ウェル添加した(BlankウェルにはAssay bufferを添加した。)。Assay Bufferで6mmol/Lとなるよう希釈した1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(Avanti Polar Lipids社製)基質溶液を5μL/ウェル添加し、室温で60分間酵素反応を行った。反応停止直前に反応停止剤4μmol/L 5-フルオロ-2-インドリルデスクロロハロペミド(R&D Systems社製)を含む検出液(200μmol/L AmplexRed(Thermofisher社製),0.1U/mL Choline Oxidase(Sigma-Aldrich社製),4U/mL Horseradish peroxidase(Thermofisher社製))をAssay bufferで調製し、5μL/ウェル添加して酵素反応を停止させた。反応停止直後、及び室温で30分インキュベート後に、ARVO X5(PerkinElmer社製)にてEx:531nm/Em:590nmの蛍光値を測定した。反応停止直後、及び30分後の蛍光値の変化量を用いて阻害率を算出した。各処置をしたウェルの蛍光値の平均値からブランクウェルの蛍光値の平均値を差し引いた値をデータとした。被験物質の各濃度の阻害率は、以下の式から算出した:
【0633】
【数1】
【0634】
被験物質のIC50値(50%阻害濃度)は、被験物質各濃度の阻害率をロジスティック曲線に当てはめることで算出した。各実施例化合物の結果を以下の表2-1から表2-14に示す。なお、実施例34、186、2-047、2-099、2-101、2-150及び2-171に関しては、化合物10μMにおけるPLD1の阻害率を示し、実施例34は36%阻害、実施例186は33%阻害、実施例2-047は32%阻害、実施例2-099は21%阻害、実施例2-101は13%阻害、実施例2-150は25%阻害、実施例2-171は12%阻害であった。
【0635】
試験例2:ヒトPLD2酵素阻害活性の評価
ヒトPLD2全長(1-933アミノ酸)のN末端にFLAG-tagを付加した酵素を用いて、ヒトPLD2酵素阻害活性を測定する方法を以下に示す。
1.ヒトPLD2全長発現プラスミドの作成
PCR法により、市販のヒトPLD2遺伝子(Promega KK社製)を鋳型として、ヒトPLD2全長の5’末端側にFLAG-tag配列を付加したDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片とBamHI及びEcoRIで消化したバキュロウイルス作製用ベクターpVL1393(Pharmingen社製)をIn-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いて連結させた。得られたIn-Fusion反応産物で形質転換した大腸菌DH5α(TOYOBO社製)から、バキュロウイルス用ヒトPLD2全長発現プラスミドDNAを単離した。次に、バキュロウイルス用ヒトPLD2全長発現プラスミドDNAを鋳型として、PCR法によりヒトPLD2全長の5’末端側にFLAG-tag配列を付加したDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片と、pcDNA3.4-TOPO(Life Technologies社製)にリンカー配列を導入したDNA断片をIn-Fusion HD Cloning Kitを用いて連結させた。得られたIn-Fusion反応産物で形質転換した大腸菌DH5αから、動物細胞用ヒトPLD2全長発現プラスミドDNAを単離した。ベクターにクローニングしたヒトPLD2全長の塩基配列を、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いたDye Terminator法によって決定した。決定した配列はヒトPLD2全長(GenBank Accession Number:NM_002663)の5’末端側にFLAG-tag配列が挿入された配列であった。
【0636】
2.Expi293F細胞発現系によるヒトPLD2全長タンパク質の生産
Expi293F細胞(Life Technologies社製)は、培地としてExpi293 Expression Medium(Life Technologies社製)を用いて37℃、8%CO存在下で振とう培養した。遺伝子導入試薬PEIは、Polyethylenimine Max(nominally MW 40,000)(Polysciences社製)をMilliQ水で溶解後、NaOHでpHを7.0に調整して1mg/mLとし、0.22μmフィルターを用いて濾過したものを使用した。動物細胞用ヒトPLD2全長発現プラスミドDNAを、PEIを用いてExpi293F細胞にトランスフェクションし、48時間振とう培養後に細胞を回収し、-80℃に保存した。
【0637】
3.ヒトPLD2全長タンパク質の精製
ヒトPLD2全長発現細胞に対し、Homogenate buffer(20mmol/L Na-phosphate pH7.5,250mmol/L NaCl,1mmol/L MgCl,1%β-OG,0.05mmol/L DTT+complete EDTA-free(Roche Diagnostics K.K.社製))を加え、Microfluidizer Processor M-110EH(みづほ工業社製)により細胞を破砕した。破砕液を4℃、10,100×gで15分間遠心後に上清を回収し、0.45μmフィルターで濾過した。遠心上清に対し、Homogenate bufferで平衡化したANTI-FLAG M2 Affinity Gel(SIGMA-Aldrich社製)レジンを添加し、4℃で1時間以上攪拌した。この混合液をポリプレップカラムに充填し、Wash Buffer(20mmol/L Na-phosphate pH7.5,150mmol/L NaCl,1mmol/L MgCl,0.02%Triton,0.05mmol/L DTT)でレジンを洗浄した。400μg/mL DYKDDDDK Peptide(株式会社スクラム社製)を含むWash Bufferを加えてレジンに結合したタンパク質を溶出させた。溶出画分をSDS-PAGE後にCBB染色することでヒトPLD2全長を含む画分を同定した。ヒトPLD2全長溶出画分をまとめ、Amicon Ultra-15 100k(Merck Millipore社製)を用いて濃縮した。濃縮画分をまとめて液体窒素で急速凍結し、-80℃に保管した。
【0638】
4.ヒトPLD2阻害活性の評価
384 well Assay Plate(Black,Polystyrene,Non-Treated,Cat No.3573,Corning)に、Assay Buffer(50mmol/L HEPES pH 7.5,80mmol/L KCl,3mmol/L EGTA,3.6mmol/L MgCl,0.01%NP-40,0.1%BSA)で希釈したDMSO又は被験物質溶液(DMSOの最終濃度5%)を5μL/ウェル添加した。Assay bufferで6nmol/Lとなるよう希釈したヒトPLD2全長酵素溶液を5μL/ウェル添加した(BlankウェルにはAssay bufferを添加した。)。Assay Bufferで6mmol/Lとなるよう希釈した1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(Avanti Polar Lipids社製)基質溶液を5μL/ウェル添加し、室温で60分間酵素反応を行った。反応停止直前に反応停止剤4μmol/L 5-フルオロ-2-インドリルデスクロロハロペミド(R&D Systems社製)を含む検出液(200μmol/L AmplexRed(Thermofisher社製),0.1U/mL Choline Oxidase(Sigma-Aldrich社製),4U/mL Horseradish peroxidase(Thermofisher社製))をAssay bufferで調製し、5μL/ウェル添加して酵素反応を停止させた。反応停止直後、及び室温で30分インキュベート後に、ARVO X5(PerkinElmer社製)にてEx:531nm/Em:590nmの蛍光値を測定した。反応停止直後、及び30分後の蛍光値の変化量を用いて阻害率を算出した。各処置をしたウェルの蛍光値の平均値からブランクウェルの蛍光値の平均値を差し引いた値をデータとした。被験物質の各濃度の阻害率は、以下の式から算出した:
【0639】
【数2】
【0640】
被験物質のIC50値(50%阻害濃度)は、被験物質各濃度の阻害率をロジスティック曲線に当てはめることで算出した。各実施例化合物の結果を以下の表2-1から表2-14に示す。なお、実施例34、186、2-047、2-101、2-112、2-150及び2-171に関しては、化合物10μMにおけるPLD2の阻害率を示し、実施例34は17%阻害、実施例186は18%阻害、実施例2-047は実施例34%阻害、実施例2-101は28%阻害、実施例2-112は39%阻害、実施例2-150は30%阻害、実施例2-171は23%阻害であった。
【0641】
【表2-1】
【0642】
【表2-2】
【0643】
【表2-3】
【0644】
【表2-4】
【0645】
【表2-5】
【0646】
【表2-6】
【0647】
【表2-7】
【0648】
【表2-8】
【0649】
【表2-9】
【0650】
【表2-10】
【0651】
【表2-11】
【0652】
【表2-12】
【0653】
【表2-13】
【0654】
【表2-14】
【0655】
本発明の製剤例として、下記の製剤が挙げられる。しかし、本発明はこれら製剤例によって限定されるものではない。
【0656】
製剤例1:カプセルの製造
(1)実施例1の化合物 30mg
(2)微結晶セルロース 10mg
(3)乳糖 19mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 1mg
成分(1)、(2)、(3)及び(4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
【0657】
製剤例2:錠剤の製造
(1)実施例1の化合物 10g
(2)乳糖 50g
(3)トウモロコシデンプン 15g
(4)カルメロースカルシウム 44g
(5)ステアリン酸マグネシウム 1g
成分(1)、(2)、(3)の全量及び30gの成分(4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの成分(4)及び1gの成分(5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例1の化合物を10mg含有する錠剤1000錠を得る。
【産業上の利用可能性】
【0658】
本発明の化合物[I]若しくは化合物[Ia]又はその製薬上許容される塩は、PLD阻害活性を有するため、血栓症及びがんの治療又は予防に有用であり得る。