(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184495
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】極低温タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 3/08 20060101AFI20231221BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20231221BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20231221BHJP
B65D 90/02 20190101ALN20231221BHJP
【FI】
F17C3/08
F17C3/04 A
F16J12/00 P
B65D90/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098852
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】2205958
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ボイェ
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・ジュネス
(72)【発明者】
【氏名】フローラン・コルドー
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E170AB29
3E170DA01
3E170NA03
3E170VA07
3E170VA20
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB15
3E172BA04
3E172BA06
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC05
3E172BC08
3E172CA10
3E172DA03
3E172DA04
3E172EA03
3E172EB03
3J046AA01
3J046BA01
3J046BA10
3J046BD20
3J046CA01
3J046DA03
3J046DA10
3J046EA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属材料で作られた輸送可能なタンクにおいて、タンク質量を最適化する。
【解決手段】極低温流体を包含することを意図された内殻と、内殻の周囲に配置され、内殻と外殻との間の真空下の空間を区切る外殻とを備え、外殻は、長手方向(A)に延在し、長手方向に対して垂直な平面に分布する複数の補強リブ(4)を備え、補強リブは、外殻の同一壁上の変形によって、例えばナーリングによって形成される、極低温タンクにおいて、極低温タンク(1)はまた、補強リブのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を補強するための少なくとも1つの補強要素を備え、補強要素は、補強リブの基部及び両側に位置付けられた壁の2つの部分に剛性接続されたストリップを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に極低温流体、例えば液化ヘリウム又は水素を輸送するための極低温タンクであって、金属材料又は合金で作られ、前記極低温流体を包含することを意図された内殻(2)と、金属材料又は合金で作られ、前記内殻(2)の周囲に配置され、前記内殻(2)と外殻(3)との間の空間を区切る前記外殻(3)とを備え、前記空間は、真空下にあり、前記外殻(3)は、長手方向(A)に延在し、前記長手方向(A)に対して垂直な平面に分布する複数の補強リブ(4)を備え、前記補強リブ(4)は、前記外殻(3)の同一壁上の変形によって、例えばナーリングによって形成される、極低温タンクにおいて、
前記極低温タンク(1)はまた、前記補強リブ(4)のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を補強するための少なくとも1つの補強要素(5)を備え、前記補強要素(5)は、前記補強リブ(4)の基部及び両側に位置付けられた壁の2つの部分に剛性接続されたストリップ(5)を備えることを特徴とする、タンク。
【請求項2】
前記ストリップ(5)は、金属材料又は合金で作られ、前記外殻(3)に溶接されることを特徴とする、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記補強リブ(4)は、前記外殻(3)の円周の全て又は一部にわたって延在し、前記補強リブ(4)の少なくとも一部には、少なくとも1つのストリップ(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記補強リブ(4)の少なくとも一部には、前記外殻(3)の円周の一部にわたって分布する複数の個別のストリップ(5)、例えば3つのストリップ(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
前記ストリップ(5)は、前記外殻(3)の円周の40~80%、好ましくは50~70%にわたって前記長手方向(A)に対して垂直な平面に延在することを特徴とする、請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
1つ以上の前記ストリップ(5)は、前記長手方向(A)に対して平行な方向に測って、前記補強リブ(4)の幅(L4)の1~3倍の幅(L5)を有することを特徴とする、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
前記内殻(2)及び前記外殻(3)は、円形断面を有し且つ前記長手方向(A)及び円形断面に延在する、円筒形の一般的な形状を有し、長手方向軸(A)は、前記極低温タンク(1)が輸送又は使用構成にあるときに水平に方向付けられることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記補強リブ(4)は、前記外殻(3)の外面から突出することを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温タンクに関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、特に極低温流体、例えば液化ヘリウム又は水素を輸送するための極低温タンクであって、金属材料又は合金で作られ、極低温流体を包含することを意図された内殻と、金属材料又は合金で作られ、内殻の周囲に配置され、内殻と外殻との間の空間を区切る外殻とを備え、空間は、真空下にあり、外殻は、長手方向に延在し、長手方向に対して垂直な平面に分布する複数の補強リブを備え、補強リブは、外殻の同一壁上の変形によって、例えばナーリングによって形成される、タンクに関する。
【背景技術】
【0003】
極低温タンクは、従来、極低温液体を輸送するときの貯蔵の自律性を確実にするために、真空下の断熱二十殻構造を使用している。
【0004】
金属又は合金で作られるこれらの殻は、製缶作業によって製造され、従って、製缶作業の製作基準(例えば、ASME VIII)に従う。これらの殻は、真空を包含し、タンク(又はそれを格納するコンテナ)の質量に影響を与えてはならないので、外圧に耐えなければならない。
【0005】
真空下のタンクは、主に、外圧に抵抗するように寸法決めされる。この機械的抵抗は、殻リング(円筒形の殻を形成する溶接された金属板)の適切な厚さによって及び/又は補剛要素によって確実にされる。
【0006】
金属材料で作られた輸送可能なタンクの場合、質量を最適化することは、重大な課題であり、殻壁を厚くする解決策は、適切なタンク質量を得ることを可能にしない。1つの解決策は、アルミニウム合金タイプの金属材料を使用することであろうが、この材料の低いヤング率は、厚さの増大を必要とする。
【0007】
1つの既知の解決策は、従って、壁上に補剛材(リブ)を追加することから成り、それは即ち、殻リングを補剛するために、溶接されたか又は殻リングを変形させること(例えばナーリング)によって形成されたかのうちのいずれかのフープを追加することによる。
【0008】
溶接されたフープを使用して補強することは、かさばりの観点から問題を呈し得、これらのフープは、それらの有効性を保証するために、殻リングの周囲全体に存在しなければならい。これらのフープは、一般に、殻リングよりも厚く、機器に質量を追加する。
【0009】
金属板を変形させること(ナーリングプロセス)によって形成されたリブを使用して補強することは、タンクにいかなる質量も追加しないが、殻の低い軸剛性の観点から問題をもたらす(「アコーディオン」効果)。この効果は、アルミニウム殻において一層顕著である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの目的は、上記で概説した先行技術の欠点のうちの全て又はいくつかを克服することである。
【0011】
この目的のために、上記の序文で与えられたその包括的な定義に他の点では従う本発明によるタンクは、本質的に、タンクが補強リブのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を補強するための少なくとも1つの補強要素も備え、補強要素が補強リブの基部及び両側に位置付けられた壁の2つの部分に剛性接続されたストリップを備えることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を備え得る:
-ストリップは、金属材料又は合金で作られ、外殻に溶接され、
-補強リブは、外殻の円周の全て又は一部にわたって延在し、補強リブの少なくとも一部は、少なくとも1つのストリップを設けられ、
-補強リブの少なくとも一部は、外殻の円周の一部にわたって分布する複数の個別のストリップ、例えば3つのストリップを設けられ、
-ストリップは、外殻の円周の40~80%、好ましくは50~70%にわたって、長手方向に対して垂直な平面に延在し、
-1つ以上のストリップは、補強リブの幅の1~3倍の、長手方向に対して平行な方向に測定される、幅を有し、
-内殻及び外殻は、円形断面を有し且つ長手方向及び円形断面に延在する、円筒形の一般的な形状を有し、長手方向軸は、極低温タンクが輸送又は使用構成にあるときに水平に方向付けられ、
-補強リブは、外殻の外面から突出する。
【0013】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを備える任意の代替のデバイス又は方法に関し得る。
【0014】
他の際立った特徴及び利点は、図を参照して提供される以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【0015】
本発明は、単に例として、及び添付の図面を参照して与えられる、後続する説明を読むとより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるタンクの例の概略部分斜視図である。
【
図2】タンクの詳細の長手方向断面の概略部分図である。
【
図3】タンクの詳細の断面の概略部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図全体を通して、同じ参照符号は、同じ要素に関する。
【0018】
この発明を実施するための形態では、以下の実施形態は例である。説明は、1つ以上の実施形態に言及するが、これは、特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味しない。異なる実施形態の個々の特徴はまた、他の実施形態を提供するために組み合わせることができ、及び/又は交換することができる。
【0019】
例示するタンク1は、例えば極低温流体、例えば液化ヘリウム又は水素を貯蔵及び輸送するための極低温タンクである。
【0020】
このタンク1は、金属材料又は合金で作られ、極低温流体を包含することを意図された内殻2を備える。タンク1また、金属材料又は合金で作られ、内殻2の周囲に配置され、内殻2と外殻3との間の空間を区切る外殻3を備える。この空間は、真空下にあり、好ましくは、断熱材、例えば多層断熱材(MLI)を包含する。
【0021】
タンク1、特に外殻3は、長手方向Aに延在する。
【0022】
例示するように、内殻2及び外殻3は、好ましくは、長手方向Aに延在する、円形断面を有する円筒形の一般的な形状を有する。
【0023】
即ち、各殻は、金属板又は殻リングによって形成された中央円筒形部分を有し、その端部は、それぞれのドームによって閉鎖される。
【0024】
好ましくは、長手方向軸Aは、タンク1が輸送又は使用構成にあるときに水平に方向付けられる。
【0025】
外殻3は、長手方向Aに対して垂直な平面に分布する複数の補強リブ4を備える。補強リブ4は、外殻3の同一壁(中央円筒形部分)上の変形によって、例えばナーリングによって形成される。
【0026】
例示するように、これらのリブ4は、好ましくは、外殻3の外面から突出する。好ましくは、リブ4は、外殻3の円周全体にわたって形成される。例えば、リブ4は、50~200mm、例えば、約100mmの距離だけ長手方向Aに離間されるように、円筒形壁上に形成される。
【0027】
好ましくは、リブ4は、例えば、次の公式:d=L/(n+2)に従って円筒形部分(殻リング)上に長手方向Aに規則的に分布し、ここで、d=2つの隣接するリブ間の距離であり、L=殻リングの長さであり、n=リブの数である。距離dは、他の組み立て要素(例えば、タンク上の足部の位置など)に応じて変化する可能性があるが、距離dは、好ましくは、殻リングの剛性を分散させるために各リブ間で一定である。
【0028】
殻リング(構成要素の円筒形部分)は、このことから、機械的変形によって得られる複数のリブ4を備える。
【0029】
更に、リブ4のうちの少なくとも1つ、好ましくは全ては、少なくとも1つの補強要素5を備える。補強要素5は、例えば金属又は合金で作られ、リブ4の基部及び両側に位置付けられた壁の2つの部分に剛性接続(固着)されたストリップ5を備える。
【0030】
ストリップ5は、好ましくは、リブ4の両側の外殻3に溶接される。
【0031】
リブ4は、外殻3の円周の全て又は一部にわたって、長手方向Aに対して垂直な平面にストリップ5のように延在する。
【0032】
例えば、リブ4のうちの1つ又は複数又は全ては、殻3の円周にわたって分布する複数の個別のストリップ5、例えば3つのストリップ5を設けられる。ストリップは、好ましくは、タンク1の周縁にわたって均一に分布する。
【0033】
例えば、ストリップ5は、外殻3の円周の少なくとも半分にわたって、長手方向Aに対して垂直な平面に延在し、従って、殻3の円周の少なくとも半分にわたって(溶接/固着される)。
【0034】
好ましくは、1つ以上のストリップ5は、補強リブ4の幅L4の1~3倍の、長手方向Aに対して平行な方向に測定される、幅L5を有する。
【0035】
提案する解決策は、タンク1の軸剛性がアコーディオン効果を制限又は防止することによって改善されることを可能にする。これらのストリップ5は、外殻3の内面に固着され得る。
【0036】
これらのストリップ5は、タンク1の軸剛性を増大させ、更に、力伝達要素として機能する。ストリップ5は、好ましくは、補剛される殻3と同じ材料で作られる。それらは、タンク1の耐真空性が維持されることを可能にする。力が支持構造を通過する場合、ストリップは、好ましくは、支持体(タイロッド/カラー、等)と一直線に位置付けられる。
【0037】
上記で説明したように、これらのストリップ5は、殻3上のある特定の位置にのみ固着され得る(実際には、この補強材5を各リブ4の周縁全体にわたって設ける必要はない)。これは、タンク1の総質量に対する影響を制限する。
【外国語明細書】