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特開2023-184504ガス混合物のボトルの同一バッチを高い計測精度で迅速に充填するための動的方法
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  • 特開-ガス混合物のボトルの同一バッチを高い計測精度で迅速に充填するための動的方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184504
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ガス混合物のボトルの同一バッチを高い計測精度で迅速に充填するための動的方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20231221BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
F17C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023099289
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】2205967
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】エルワン ル ジャンドル
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ダビエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルネル ヴェテリンクス
(72)【発明者】
【氏名】モーリス コッホ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB03
3E172AB12
3E172AB20
3E172BA01
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA20
3E172EA30
3E172KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】迅速に、柔軟に、目標組成に従う方法で、計量的意味において非常に高いレベルの正確さで行うことを可能にする新規な動的充填方法を提供する。
【解決手段】ガス混合物は、成分のリアルタイム分析が、混合チャンバー(109)の出口で、圧縮ステージ(112)に入る前に行われ、これにより、混合チャンバーを出るガス混合物の組成に応じて、1つまたは複数の混合ガス、および1つまたは複数のベースガスのガス流量は、各成分に関連付けられたマスフローコントローラーの設定を修正することによって、修正され、これにより、混合物の各成分に対して、公称組成(「維持」と称されてもよい状況)、または濃縮された組成(「上方補正」と称されてもよい状況)もしくは枯渇された組成(「下方補正」と称されてもよい状況)で充填を継続することを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスボトル(113,114...)のバッチをガス混合物で充填するための方法であって、
前記ガス混合物は、マトリックス中の1つの成分またはマトリックス中の複数の成分からなってもよく、マトリックスは、1つまたは複数のベースガスからなり、充填設備が提供され、
前記充填設備は、
「マトリックス」ガスとも呼ばれる1つまたは複数のベースガス(113,114...)を貯蔵する1つまたは複数のリザーバーと、
「混合ガス」(105,106...)とも呼ばれる前記1つまたは複数の成分を貯蔵する1つまたは複数の高圧ボトルと、
分析システムを較正することを可能にする、1つまたは複数のいわゆる基準ガス(101,102...)を貯蔵する1つまたは複数の高圧ボトルと、
混合チャンバー(109)と、
前記混合ガスおよび前記ベースガスを前記混合チャンバーに搬送するのに適したガスライン(L2,L4,L5,L10)であって、それぞれ、1つまたは複数のマスフローコントローラー(107,108,115,116)を備えるガスライン(L2,L4,L5,L10)と、
ガス圧縮器を含む圧縮ステージ(112)と、
前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物を、前記ボトルのバッチの前記ボトルのそれぞれに前記ガス混合物を充填することができるように前記ガス混合物を加圧するのに適した前記圧縮ステージに、搬送するのに適したガスライン(L6)と、
選択された分析器(110,111...)を有する分析システムと、
このようにしてサンプリングされた前記ガス混合物のリアルタイム分析を行うことができるように、前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物の一部を前記分析システムに搬送するのに適したガスライン(L7)であって、有利には、前記混合チャンバーを前記圧縮ステージに接続する前記ガスライン(L6)上のバイパスに配置されるガスライン(L7)と、
充填されるべき前記ボトルのバッチの前記ボトルを位置決めすることを可能にし、前記ボトルのバッチの前記ボトル(113,114)のそれぞれに前記ガス混合物を分配するのに適した1つまたは複数の充填ステーションと、
前記圧縮ステージから、前記ボトルのバッチの前記ボトルで完全に満たされるかまたは前記ボトルが部分的に装着されることが可能である前記1つまたは複数の充填ステーションに、前記加圧されたガス混合物を搬送するのに適したガスライン(L8)と、
特に充填サイクル後に前記ボトルの充填後検証分析を行うことができるように、前記ボトルのバッチの前記ボトル内の前記加圧されたガス混合物の一部を、前記分析システムに搬送するのに適した1つまたは複数のガスライン(L11)と、
を有し、
前記混合チャンバーの出口における前記ガス混合物を、前記混合物の圧力を所望の設定値まで上昇させる前記圧縮ステージに搬送する手段と、
前記圧縮ステージの出口における前記ガス混合物を、前記1つまたは複数の充填ステーションに搬送し、前記ガス混合物を前記ボトルのバッチに分配して、前記バッチの前記ボトルのうちの少なくとも1つにおいて圧力設定値に達した場合に、充填を停止する手段と、
前記ガス混合物の全ての混合成分のオンラインリアルタイム分析を、前記ガス混合物が前記圧縮ステージに入る前に、前記混合チャンバー(L7)の出口で、前記分析システムによって行う手段と、
前記混合チャンバーから来る前記ガス混合物の組成の前記リアルタイム分析の結果に応じて、所与の瞬間に、前記ボトルの1つの中の前記ガス混合物の組成のリアルタイム推定
を、前記混合チャンバーを出る前記ガス混合物の組成の充填の開始からのリアルタイム積分、または前記ボトルのバッチの1つまたは複数の前記ボトルに入る前記ガス混合物のリアルタイム組成によって行う手段と、
この推定値と、前記バッチの前記ボトルのそれぞれにおいて意図される1つまたは複数の最終濃度の1つまたは複数の設定値と、の比較を行い、必要であれば、フィードバックを自動的かつリアルタイムで行って、各成分に関連付けられた前記マスフローコントローラーの設定を修正することによって、前記チャンバーに到達する前記混合物の各成分のガス流量を修正し、前記混合チャンバーを出る前記混合物の成分の特定濃度を維持および/または上方補正および/または下方補正し、これにより、公称組成、または前記混合物の成分のうちの1つもしくはいくつかに関して濃縮あるいは枯渇された組成で充填を継続できる手段と、
を実行することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記混合物を調合する準備作業は、
a)前記圧縮ステージを出る前記混合物の分析を、この混合物が1つまたは複数の前記ステーションに到着する前に行うことと、
b)この分析の結果を設定値と比較し、前記分析の結果と設定値との間の差が許容可能であると考えられる値より大きい場合、前記混合物を排出することと、
c)ステップb)の比較の結果が許容可能であると考えられる値未満である場合に、前記ボトルのバッチの充填を許可することと、
を実行することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析の分野に関し、より詳細には、較正方法のためのガス混合物の製造および梱包の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス較正ボトルは、多くの用途で使用されている。軽量および重量自動車のガス放出を監視するガス分析器の較正は、用途の一例である。
【0003】
ガス混合物の較正ボトルは、有効な国際標準に準拠しなければならない。これらの規格は、ガス混合物の成分の濃度に関する明確な不確かさを要求している(例えば、規格ISO 17025およびISO 17034を参照)。
【0004】
ガス混合物の成分の濃度に関するこの不確かさは、混合物の製造中の課題を表しており、特に充填条件の厳密な監視を要求している。
【0005】
様々な種類の充填方法、例えば重量法または動的方法(dynamic methods)が存在する。重量法による充填の場合、ボトルは、最初に調整された方法で充填され、この方法は、その後変更されないか、またはボトルの製造中に確定的に変更されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下でより詳細に見られるように、本発明は、基準ガス混合物の、それ自体が同一であるボトルの同一バッチを製造することを可能にし、それを、迅速に、柔軟に、目標組成に従う方法で、計量的意味において非常に高いレベルの正確さで行うことを可能にする新規な動的充填方法を提案する。
【0007】
ガス混合物は、マトリックス中の1つの成分(二成分混合物)またはマトリックス中の複数の成分(多成分混合物)から構成されてもよく、この場合、マトリックス自体は、複数の成分、例えば合成空気から構成されてもよい。
【0008】
本発明の目的は、特に以下の通りである。
・多数のボトル、例えば24本までのボトルにまで拡張されてもよい同一ボトルのバッチを一度に製造すること。
・完全に同一なボトルの一連の同一バッチを製造すること。
・前の作業または前の期間の間に製造されたバッチと同一である新しいボトルのバッチを製造すること。
・所与のバッチの全てのボトルに対して、または複数のボトルのバッチに対してさえ有効である同一の適合証明書を交付すること。
・(充填前に分析できるという条件で)濃度が既知または未知でさえあるボトルに基づいて、ボトルのバッチを製造すること。
・使用中に欠陥または汚染されたバッチを同じように交換することによって、新しいボトルのバッチを製造すること。
【0009】
これらの目的が達成されると、ユーザーサイトは、内部較正方法を修正する必要なく、既に使用されたものと同一であるボトルまたはボトルのバッチ、あるいは一連のボトルのバッチさえ注文できる。
【0010】
したがって、本発明は、また、ユーザーサイトのための内部基準として使用されるボトルに基づいて、ボトルまたはボトルのバッチまたは一連のボトルのバッチを製造することを(または複製さえも)可能にし、この場合、この基準ボトルは、要求された充填の前に分析され得るという条件で、任意の出所から来てもよい。
【0011】
これらの点は、ユーザーが、彼らの分析方法を調節および調整する際に費やされる変動および時間を制限または排除さえすることによって、効率および生産性を増加させるのに役立つ。特に、これは、較正ボトルを交換するときに、分析方法において較正ガスの濃度値を変更する必要がないことによって行われる。
【0012】
本発明は、また、特に以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填時間を短縮するために、中程度の流量(例えば50m/時間)または高流量(例えば100m/時間)で、ボトルのバッチを製造すること。
・高流量で、約2時間で24本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・中程度の流量で、約2時間で12本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・中程度の流量で、約30分間で3本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・異なる第1組成を有するボトルのバッチの製造後に、新たな組成を有するボトルまたはボトルのバッチの製造を非常に迅速に(典型的には30分未満)行うこと。
【0013】
これらの点は、製造プロセスを加速することを可能にし、充填設備の利用率を増加させ、その生産性を改善して、1日当たり24本のボトルの4~6バッチまでの高い生産性に到達し、これにより、注文とユーザーサイトへの製品の配送との間の所要時間を短縮する。
【0014】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填中に全ての成分を、同時にオンラインで非常に高い精度で分析すること。
・充填の終了時に各成分について得られた濃度を正確に計算すること。
・充填中に到達した濃度を正確に計算し、これにより、充填の正確な稼働を監視すること。
・フィードバックサイクルの助けを借りて同時にボトルのバッチの製造を自動的に制御すること。
・目標組成に従うように、ガス混合ボトルのバッチの製造を自動化し、同時に制御すること。
・リアルタイムで計算された濃度に基づいて得られた濃度を保証しながら、充填後にボトルのバッチを必ずしも分析する必要なく、ボトルのバッチを製造すること。
【0015】
これらの点は、異常の場合に充填プロセスを可能な限り迅速に停止すること、または、製品が充填の終了時に適合するか、または少なくとも許容可能であることを決定することを可能にする。
【0016】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・外部汚染物質および不純物を含まない混合物を製造すること。
・目標混合物の各成分に対して0.5%未満の製造誤差で、ボトルまたはボトルのバッチを製造すること。
・各成分について1%未満の拡張相対不確かさ(k=2)を有するボトルまたはボトルのバッチを製造すること。
・0.1%未満の因子「Sbb」(「Sbb」は、「Between Bottle Homogeneity」の概念のために国際的に使用される因子である)を有する内部で均質のボトルのバッチを製造すること。
・混合物の各成分に対して0.71%未満の均質性を有する一連のボトルのバッチ(ボトルの同一バッチ)を製造すること。
・規格ISO 17025およびISO 17034の要件に準拠するバッチを製造すること。
【0017】
これらの点は、高い追跡可能性および関連する不確かさの認識を有するガス混合物を製造することを可能にする。この情報は、特定のユーザーサイトおよび特定の応用分野のために必要である。特に、自動車の排出物を測定する分野では、基準混合物の追跡可能性および不確かさが厳密に制御および規制されることが知られている。
【0018】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・1つの濃度範囲の生成から他の濃度範囲(ppm.molから%.molの範囲)、ならびに、対象となるいくつかの分子から他の分子(様々なマトリックス中のCOおよび/またはCOおよび/またはOおよび/またはNOおよび/またはCOおよび/またはCHおよび/またはCなど、Nまたは合成空気など)へと容易に変更すること。
【0019】
この点は、ユーザーサイトの要求および発生するかもしれない新たな市場の要求に迅速に適応することによって、ダイナミックミキサーの使用における高い柔軟性および高い生産性を可能にする。
【0020】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填後に混合物の全ての成分を同時に分析すること。
・ボトルのバッチの製造中に、1つのボトルまたは各ボトルの充填後分析を半自動的に行うこと。
【0021】
これは、また、製造の終了時にボトルを分析すること、またはボトルのバッチの全てあるいは一部の各ボトルを連続して分析することを可能にして、
i.バッチの全てまたは一部のボトルあるいは各ボトル内のガス混合物の正確な濃度を監視する。
ii.バッチの全てまたは一部のボトルあるいは各ボトルについて、最終濃度と目標濃度との間の製造偏差を監視する。
iii.所与のバッチの全てまたは一部の各ボトル間(または製造されたボトルの複数のバッチ間)の均質性偏差を監視する。
iv.ユーザーサイトによって必要とされる全ての分析を行う。
v.国際規格によって要求される全ての分析を行う。
【0022】
さらに、本発明は、充填と同じ場所で分析を行うことを可能にし、これにより、ボトルまたはボトルのバッチの輸送時間を短縮し、ボトルの輸送に関連する取扱いリスク、ガス接続を切断および再接続するときの外部汚染のリスク、ならびにサイトの他の分析手段の利用不可能性または混雑のリスクを回避することに留意されたい。
【0023】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・同じ目標圧力で、ガス混合物を有するボトルのバッチを製造すること。
・充填動態(filling dynamics)がボトル内の混合物の加熱を引き起こし、その結果、圧力が充填中にこれによって増加するという事実を考慮して、目標圧力で充填を自動的に停止しながらボトルのバッチを製造すること。
【0024】
これらの点は、ボトルまたはボトルのバッチの製造中に最適な品質および信頼性を保証する一方で、所望の圧力を選択し、ボトルおよび/またはバッチの各ボトル内に同じ量の
材料を系統的に得る可能性をユーザーサイトに提供する。
【0025】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・圧力低下および/または短時間の供給中断などの製造インシデントを許容しながら(汚染がなく、充填サイクルの終了時にインシデントが遅すぎないという条件で)、ボトルのバッチを製造すること。
・特に目標流量を調整するときに失われるガスの量を最小限に抑えながら、ボトルのバッチを製造すること。
・例えば過度の製造偏差がある場合に、誤動作または不適合製造の再開を回避すること。
・最小数のボトルを要求しない動作原理を提供することによって、余分なボトルを充填する必要なしにボトルのバッチを製造すること(充填性能は、2本または3本のボトルから24本またはそれ以上まで保証される)。
【0026】
これらの点は、任意の電子システムに固有のランダム誤差を克服することによって、混合システムが高い信頼性を有することを可能にする。
【0027】
混合システムは、可能な限り正確に目標濃度に近づくために、ボトルまたはボトルのバッチの充填中に自動的に適合して、これらの誤差を補正する。この高い信頼性は、製造誤差を大幅に低減することによって、製造サイクルを最適化することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
次に、この分野の従来技術において利用可能な解決策およびそれらの制限について、以下で検討する。
【0029】
これらの解決策は、以下のように要約されてもよい。
【0030】
制限1:既存の混合システムは、本質的に不可欠な中間および最終分析に照らして、主導的に、有資格オペレーターの判断によって、手動でおよび条件付きで動作される多数のステップを含む。これらのタスクは、製造能力および充填速度を制限し、誤差の原因となることもあり、オペレーター間の変動性は、例えば、製造される混合物について不確かさを増加させる。
【0031】
制限2:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差は、多くの場合、重要である。この制限は、多くの場合、前のバッチとは異なる濃度で、および/または予想されるものに対して比較的大きい製造偏差で、新しいバッチがサイトに搬送されることにつながる。その結果、ユーザーサイトは、ボトルの各新しいバッチに対して較正手順全体を行わなければならない。
【0032】
制限3:濃度と不確かさとの差が大きすぎる場合、規定外のバッチを規定外の条件でユーザーサイトに提供することが依然として可能であるが、これは、議論、交渉、ならびに資力を有することおよび代替物を梱包することのための無視できない時間を要する可能性がある。
【0033】
制限4:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差を制限するためには、観察された差を低減するために余分な手動充填ステップを追加することがしばしば必要となる。(制限3で言及したように)バッチが規定外の条件で処理されなければ、開始から充填を繰り返す前に、バッチの完全なパージをたまに行ってもよい。
【0034】
制限5:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差を評価し、こ
れにより、観察される差を低減するために余分な手動充填ステップを追加する必要性を評価するためには、実験室において1つまたは複数の中間および/または最終分析段階を行う必要があり、これらは、ボトルの輸送およびかなりの物流時間を必要とする。
【0035】
制限6:既存の解決策は、柔軟性に欠ける。いったん溶液が導入されると、初期仕様の成分の範囲または濃度の範囲を変更することは、非常に困難である。
【0036】
制限7:既存の解決策は、スレービングシステム(slaving system)およびフィードバックサイクルを組み込んでいない。充填サイクルは、自動的かつ同時に管理されず、このことは、リアルタイムでの最終濃度の監視および検証を大きく制限する。最初に調整されると、この方法は、修正されないか、またはボトルのバッチの製造中に確定的かつ手動で修正される。
【0037】
制限8:既存の解決策は、スレービングシステムおよびフィードバックサイクルを組み込んでいないので、ボトルまたはボトルのバッチの製造は、充填中に測定およびフローシステムのランダム誤差を受ける。そのため、ボトルの完全な同一バッチ(典型的には、0.71%未満のバッチ間均質性を有する)を製造することは、非常に困難である。
【0038】
以下に見られるように、本発明の解決策は、これら全ての制限を克服する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明について説明する。
【0040】
「マトリックス」ガス(一般に窒素または合成空気)とも呼ばれるベースガスは、リザーバーに貯蔵される。
【0041】
「混合ガス」とも呼ばれるガス混合物を製造するために使用される純粋ガス(COおよび/またはCO2および/またはC3H8および/またはCH4および/またはNOおよび/またはO2など)は、高圧ボトルに貯蔵される。
【0042】
分析システムを較正するために使用される基準ガスは、高圧ボトルに貯蔵される。
【0043】
ベースガスおよび二成分混合物のための混合ガス、または多成分混合物のための様々な混合ガスを、マスフローコントローラーに搬送するガスラインは、慣例的に、濾過され、時には加熱され、圧力が例えば4バールに調整される。
【0044】
混合ガスおよびベースガスの部分的な流量を極めて安定して、同時に反動的に制御するために、ここでは、マスフローコントローラーが特に選択され、実装される。使用されるマスコントローラーの数は、必要に応じて容易に変更されてもよい。
【0045】
マスコントローラーで流量が調整された各ガスライン(ベースガスおよび混合ガス)は、混合チャンバーに注入される。
【0046】
様々な成分(ベースガス+混合ガス)は、インテリジェントに混合され、O(混合チャンバーの上流での注入)とプロパンなどの炭化水素(混合チャンバーの下流での注入)との組み合わされた注入の間の爆発リスクの排除、特定の幾何形状を有する混合チャンバーへのガスの注入によるガス流の形成を回避するための均質化、これにより、完全に安全な均質ガス混合物を作り出す。
【0047】
ここで提案される発明は、混合チャンバーの出口で、かつガス混合物が圧縮ステージに
入る前に(添付の図1のラインL7)、または任意選択で充填ステーションの入口で(添付の図2のラインL11)、ガス混合物の全ての成分をリアルタイムで同時に分析可能な分析システムを組み込むという点で注目に値する。
【0048】
したがって、ガス混合物の組成をバイパスでかつリアルタイムで分析するために、混合チャンバーの出口と分析システムとの間にガス接続が確立される。
【0049】
混合チャンバーの出口におけるガス混合物は、圧縮器に向けられ、圧縮器は、ガスの圧力を数バール(4~5)から所望の圧力に増加させることを可能にする。
【0050】
所望の充填圧力は、典型的には50バール~200バールであってもよい。
【0051】
次に、圧縮器の出口における高圧ガス混合物は、ガス混合物をボトルのバッチ(例えば、並列の2~24本のボトル)に均質に分配することを可能にする1つまたは複数の充填ステーションに向けられる。
【0052】
ボトルのバッチのボトルのうちの1つにおいて圧力の設定値に達すると、充填が停止されて、製造が完了したとみなされ、このようにして充填されたボトル内の混合物の組成の正確な推定が直ちに知られる。
【0053】
分析システムは、基準ガスボトルおよび0.5%未満の相対応答精度を可能にする作業を用いて予め較正されている。
【0054】
分析システムは、可能な限り短い、典型的には1分未満の分析器の応答時間、および充填時間にわたる可能な限り最小な各測定のドリフト、典型的には2時間(200バールの圧力で24本のボトルを充填するための時間にほぼ対応する持続時間)にわたる測定の0.25%未満のドリフトを得ることを可能にする分析器を備える。
【0055】
したがって、
所与の瞬間に混合チャンバーを出るガス混合物の組成に応じて、
充填の開始から混合チャンバーを出るガス混合物の組成を積分することによって、バッチのボトル内のガス混合物のリアルタイムで計算および推定された組成に応じて、
および意図される最終組成物に応じて、
システムは、必要であれば、フィードバックループを介して、リアルタイムで自動的に、混合チャンバーを出る混合物の濃度を維持および/または上方および/または下方に補正するように、各成分に関連付けられたマスフローコントローラーの設定を修正することによって、混合物の各成分、1つまたは複数の混合ガス、および1つまたは複数のベースガスのガス流量を修正するように適合され、これにより、混合物の各成分に対して、公称組成(「維持」と称されてもよい状況)、または濃縮された組成(「上方補正」と称されてもよい状況)もしくは枯渇された(depleted)組成(「下方補正」と称されてもよい状況)で充填を継続することを可能にする。
【0056】
充填全体を通して、この調整機構は、意図された組成に、効率的に、正確に、かつ確実に収束することを可能にし、充填中に起こる可能性のあるインシデントにもかかわらずそうすることを可能にする。
【0057】
様々なインシデントがあってもよく、その例は、ベースガスネットワーク(例えば窒素)の圧力低下であってもよく、これは、このベースガスの流量の低下を数十秒間またはさらには数分間もたらし、これは、混合物の他の成分のそれぞれの濃度の事実上の増加を引き起こし、これにより、これらの数十秒間に、バッチの各ボトルに注入される混合物の予
期せぬ望ましくない事実上の濃縮を引き起こす。
【0058】
「積分」の概念は、上述されており、ここでは、以下の状況が想定され得ることが理解されるべきであり、
積分は、第1設計選択である充填中に充填速度が一定であると仮定して行われてもよく、
しかしながら、充填中の充填速度の変動が想定されてもよく、その場合、積分は、流量(ミキサーにおいて利用可能である)を測定することによって加重積分により行われてもよいが、任意選択の流量(添付の図1の要素117)を測定することによって行われてもよい。
【0059】
本発明により提案される充填方法は、以下のことを可能にする。
i.事実上の濃縮を検出および測定し、これにより、充填の持続時間中ボトル内のガスの組成の推定の計算において、それを考慮に入れること。
ii.充填の終了時に所望の目標組成に戻すために、ボトル内のガスの組成を濃縮することを停止することによって、またはこのガスを再枯渇させ始めることによってさえ、混合チャンバーの出口で生成される混合物の組成を下方に補正すること(「下方補正」状況)。
iii.インシデントおよびこの過渡補正が(数分であってもよい持続時間にわたって)終わると、使用される制御および調整モードは、公称充填状態(「維持」状況)への復帰を指示してもよい。
【0060】
逆に、混合物の成分のうちの1つのボトル供給の圧力低下からなるインシデントの場合について言及することができ、これは、この成分の濃度の枯渇を引き起こし、公称充填状態(「維持」状況)に戻る時間にわたって、一時的な濃縮(「上方への補正」)によって補償されなければならない。
【0061】
したがって、本発明は、ガスボトルのバッチに同一のガス混合物で充填するための方法に関し、前記ガス混合物は、マトリックス中の1つの成分またはマトリックス中の複数の成分からなってもよく、マトリックスは、1つまたは複数のベースガスからなり、充填設備が提供され、
前記充填設備は、
「マトリックス」ガスとも呼ばれる1つまたは複数のベースガスを貯蔵する1つまたは複数のリザーバーと、
「混合ガス」とも呼ばれる前記1つまたは複数の成分を貯蔵する1つまたは複数の高圧ボトルと、
分析システムを較正することを可能にする、1つまたは複数のいわゆる基準ガスを貯蔵する1つまたは複数の高圧ボトルと、
混合チャンバーと、
前記ベースガスおよび前記混合ガスを前記混合チャンバーに搬送するのに適したガスラインであって、それぞれ、1つまたは複数のマスフローコントローラー(mass flow controllers:MFC)を備えるガスラインと、
ガス圧縮器を含む圧縮ステージと、
前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物を、前記ボトルのバッチの前記ボトルのそれぞれに前記ガス混合物を充填することができるように前記ガス混合物を加圧するのに適した前記圧縮ステージに、搬送するのに適したガスラインと、
選択された分析器を有する(前記マスフローコントローラーの制御に適した)分析システムと、
前記システムに搬送された前記ガス混合物の分析を行うことができるように、前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物の一部を前記分析システムに搬送するのに適し
たガスラインであって、有利には、前記混合チャンバーを前記圧縮ステージに接続する前記ガスライン上のバイパスに配置されるガスラインと、
充填されるべき前記ボトルのバッチの前記ボトルを位置決めすることを可能にし、前記ボトルのバッチの前記ボトルのそれぞれに前記ガス混合物を均質に分配するのに適した1つまたは複数の充填ステーションと、
前記圧縮ステージから、前記ボトルのバッチの前記ボトルによって完全にまたは部分的に占領されることが可能である前記1つまたは複数の充填ステーションに、前記加圧されたガス混合物を搬送するのに適したガスラインと、
充填サイクル後に前記ボトルの充填後検証分析を行うことができるように、前記ボトルのバッチの前記ボトル内の前記加圧されたガス混合物の一部を、前記分析システムに搬送するのに適した1つまたは複数のガスライン(この分析は、充填中にリアルタイムで前記混合物の組成を監視することも可能にする)と、
を有し、
前記混合チャンバーの出口における前記ガス混合物を、前記混合物の圧力を所望の設定値まで上昇させる前記圧縮ステージに搬送する手段と、
前記圧縮ステージの出口における前記ガス混合物を、前記1つまたは複数の充填ステーションに搬送し、前記ガス混合物を前記ボトルのバッチに均質に分配して、前記ボトルのバッチの前記ボトルのうちの少なくとも1つにおいて圧力設定値に達した場合に、充填を停止する手段と、
前記ガス混合物の全ての成分のリアルタイム分析を、前記ガス混合物が前記圧縮ステージに入る前に、前記混合チャンバーの出口で、前記分析システムによって行う手段と、
前記混合チャンバーを出る前記ガス混合物の組成の前記リアルタイム分析の結果に応じて、所与の瞬間に、前記バッチの前記ボトル中の前記ガス混合物の組成のリアルタイム推定を、前記混合チャンバーを出る前記ガス混合物の組成の充填の開始からのリアルタイム積分、または前記ボトルのバッチの1つまたは複数の前記ボトルに入る前記ガス混合物のリアルタイム組成によって行う手段と、
この推定値と、前記バッチの前記ボトルのそれぞれにおいて意図される1つまたは複数の最終濃度の1つまたは複数の設定値と、の比較を行い、必要であれば、フィードバックをリアルタイムで行って、各成分に関連付けられた前記マスフローコントローラーの設定を修正することによって、前記チャンバーに到達する前記混合物の各成分、1つまたは複数の混合ガス、および/または1つまたは複数のベースガスのガス流量を修正し、前記混合チャンバーを出る前記混合物の成分の特定濃度を維持および/または上方補正および/または下方補正し、これにより、公称組成、または前記混合物の成分のうちの1つまたは複数に関して濃縮あるいは枯渇された組成で充填を継続する手段と、
を実行することを特徴とする。
【0062】
当業者に容易に明らかであるように、本発明に従って行われるフィードバックは、推定された組成が最終的にリアルタイムで所望の目標組成に可能な限り近く収束されることを可能にする。
【0063】
本発明の有利な実施形態の1つによれば、混合は、設定値から離れた組成を有する圧縮ステージを出るガス混合物を1つまたは複数の排出口に排出することによって調合される。 ガス混合物の組成が数分間、典型的には約10分間で所望の目標組成に安定化されると、ボトルのバッチの充填が開始される。
【0064】
したがって、この有利な実施形態は、「追加」分析と呼ばれてもよい分析、すなわち、充填を開始することを可能にする分析、圧縮ステージがステーションに到着する前に圧縮ステージから出ているものの分析を提案し、ステーションでは、設定値と比較され、結果が少なくとも所与の設定値の許容限度内にない場合、出ているものは「破棄」される。
【0065】
この実施形態は、特定の状況において、特に、反応および再充填に利用できる時間が短い場合の短い充填持続時間(ボトルの数に関して小さいバッチ、低い設定値圧力、小さい容量を有するボトルなど)において、非常に特に有益であることが証明されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
添付の[図1]は、本発明を実施するのに適した設備の一例を示す。
【0067】
この図1にある要素の名称(この例では、要素ごとに2つの項目を取り上げているが、各要素の項目の数は、2より多くてもよい)は、以下のとおりである。
【0068】
101:基準ボトルNo1
102:基準ボトルNo2
103:ベースガスNo1
104:ベースガスNo2
105:混合ガスボトルNo1
106:混合ガスボトルNo2
107:マスフローコントローラーNo1
108:マスフローコントローラーNo2
109:混合チャンバー
110:分析器No1
111:分析器No2
112:圧縮器
113:充填されたボトルNo1
114:充填されたボトルNo2
115:ベースガスのマスフローコントローラーNo1
116:ベースガスのマスフローコントローラーNo2
117:圧縮ステージとボトルのバッチとの間のガス混合物の質量流量の任意の測定 (ラインL8に配置)
L1:基準ボトルと分析器との間のガスライン
L2:混合ガスボトルと混合ガスを制御するマスフローコントローラーとの間のガスライン
L3:ベースガスボトルと分析器との間のガスライン
L4:ベースガスボトルとベースガスを制御するマスフローコントローラーとの間のガスライン
L5:ベースガスを制御するマスフローコントローラーと混合チャンバーとの間のガスライン
L6:混合チャンバーの出口と圧縮器の入口との間のガスライン
L7:混合チャンバーの出口と分析器との間のガスライン
L8:圧縮器の出口とボトルのバッチとの間のガスライン
L9:分析器とマスフローコントローラーとの間のスレービングライン
L10:混合ガスを制御するマスフローコントローラーと混合チャンバーとの間のガスライン
【0069】
添付の[図2]は、ここでは「充填後」モードで表された同じ設備を、図1に与えられた表現に関連する部分概略図で示す。
【0070】
図2]に存在する参照符号の名称は、[図1]に存在するものと同一であり、さらに、製造されたボトルとガス分析器との間のガスラインを表すラインL11が存在する。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析の分野に関し、より詳細には、較正方法のためのガス混合物の製造および梱包の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス較正ボトルは、多くの用途で使用されている。軽量および重量自動車のガス放出を監視するガス分析器の較正は、用途の一例である。
【0003】
ガス混合物の較正ボトルは、有効な国際標準に準拠しなければならない。これらの規格は、ガス混合物の成分の濃度に関する明確な不確かさを要求している(例えば、規格ISO 17025およびISO 17034を参照)。
【0004】
ガス混合物の成分の濃度に関するこの不確かさは、混合物の製造中の課題を表しており、特に充填条件の厳密な監視を要求している。
【0005】
様々な種類の充填方法、例えば重量法または動的方法(dynamic methods)が存在する
。重量法による充填の場合、ボトルは、最初に調整された方法で充填され、この方法は、その後変更されないか、またはボトルの製造中に確定的に変更されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下でより詳細に見られるように、本発明は、基準ガス混合物の、それ自体が同一であるボトルの同一バッチを製造することを可能にし、それを、迅速に、柔軟に、目標組成に従う方法で、計量的意味において非常に高いレベルの正確さで行うことを可能にする新規な動的充填方法を提案する。
【0007】
ガス混合物は、マトリックス中の1つの成分(二成分混合物)またはマトリックス中の複数の成分(多成分混合物)から構成されてもよく、この場合、マトリックス自体は、複数の成分、例えば合成空気から構成されてもよい。
【0008】
本発明の目的は、特に以下の通りである。
・多数のボトル、例えば24本までのボトルにまで拡張されてもよい同一ボトルのバッチを一度に製造すること。
・完全に同一なボトルの一連の同一バッチを製造すること。
・前の作業または前の期間の間に製造されたバッチと同一である新しいボトルのバッチを製造すること。
・所与のバッチの全てのボトルに対して、または複数のボトルのバッチに対してさえ有効である同一の適合証明書を交付すること。
・(充填前に分析できるという条件で)濃度が既知または未知でさえあるボトルに基づいて、ボトルのバッチを製造すること。
・使用中に欠陥または汚染されたバッチを同じように交換することによって、新しいボトルのバッチを製造すること。
【0009】
これらの目的が達成されると、ユーザーサイトは、内部較正方法を修正する必要なく、既に使用されたものと同一であるボトルまたはボトルのバッチ、あるいは一連のボトルのバッチさえ注文できる。
【0010】
したがって、本発明は、また、ユーザーサイトのための内部基準として使用されるボトルに基づいて、ボトルまたはボトルのバッチまたは一連のボトルのバッチを製造することを(または複製さえも)可能にし、この場合、この基準ボトルは、要求された充填の前に分析され得るという条件で、任意の出所から来てもよい。
【0011】
これらの点は、ユーザーが、彼らの分析方法を調節および調整する際に費やされる変動および時間を制限または排除さえすることによって、効率および生産性を増加させるのに役立つ。特に、これは、較正ボトルを交換するときに、分析方法において較正ガスの濃度値を変更する必要がないことによって行われる。
【0012】
本発明は、また、特に以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填時間を短縮するために、中程度の流量(例えば50m/時間)または高流量(例えば100m/時間)で、ボトルのバッチを製造すること。
・高流量で、約2時間で24本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・中程度の流量で、約2時間で12本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・中程度の流量で、約30分間で3本の同一ボトルのバッチを製造すること。
・異なる第1組成を有するボトルのバッチの製造後に、新たな組成を有するボトルまたはボトルのバッチの製造を非常に迅速に(典型的には30分未満)行うこと。
【0013】
これらの点は、製造プロセスを加速することを可能にし、充填設備の利用率を増加させ、その生産性を改善して、1日当たり24本のボトルの4~6バッチまでの高い生産性に到達し、これにより、注文とユーザーサイトへの製品の配送との間の所要時間を短縮する。
【0014】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填中に全ての成分を、同時にオンラインで非常に高い精度で分析すること。
・充填の終了時に各成分について得られた濃度を正確に計算すること。
・充填中に到達した濃度を正確に計算し、これにより、充填の正確な稼働を監視すること。
・フィードバックサイクルの助けを借りて同時にボトルのバッチの製造を自動的に制御すること。
・目標組成に従うように、ガス混合ボトルのバッチの製造を自動化し、同時に制御すること。
・リアルタイムで計算された濃度に基づいて得られた濃度を保証しながら、充填後にボトルのバッチを必ずしも分析する必要なく、ボトルのバッチを製造すること。
【0015】
これらの点は、異常の場合に充填プロセスを可能な限り迅速に停止すること、または、製品が充填の終了時に適合するか、または少なくとも許容可能であることを決定することを可能にする。
【0016】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・外部汚染物質および不純物を含まない混合物を製造すること。
・目標混合物の各成分に対して0.5%未満の製造誤差で、ボトルまたはボトルのバッチを製造すること。
・各成分について1%未満の拡張相対不確かさ(k=2)を有するボトルまたはボトルのバッチを製造すること。
・0.1%未満の因子「Sbb」(「Sbb」は、「Between Bottle Homogeneity」の概念のために国際的に使用される因子である)を有する内部で均質のボトルのバッチを製造すること。
・混合物の各成分に対して0.71%未満の均質性を有する一連のボトルのバッチ(ボトルの同一バッチ)を製造すること。
・規格ISO 17025およびISO 17034の要件に準拠するバッチを製造す
ること。
【0017】
これらの点は、高い追跡可能性および関連する不確かさの認識を有するガス混合物を製造することを可能にする。この情報は、特定のユーザーサイトおよび特定の応用分野のために必要である。特に、自動車の排出物を測定する分野では、基準混合物の追跡可能性および不確かさが厳密に制御および規制されることが知られている。
【0018】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・1つの濃度範囲の生成から他の濃度範囲(ppm.molから%.molの範囲)、ならびに、対象となるいくつかの分子から他の分子(様々なマトリックス中のCOおよび/またはCOおよび/またはOおよび/またはNOおよび/またはCOおよび/またはCHおよび/またはCなど、Nまたは合成空気など)へと容易に変更すること。
【0019】
この点は、ユーザーサイトの要求および発生するかもしれない新たな市場の要求に迅速に適応することによって、ダイナミックミキサーの使用における高い柔軟性および高い生産性を可能にする。
【0020】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・充填後に混合物の全ての成分を同時に分析すること。
・ボトルのバッチの製造中に、1つのボトルまたは各ボトルの充填後分析を半自動的に行うこと。
【0021】
これは、また、製造の終了時にボトルを分析すること、またはボトルのバッチの全てあるいは一部の各ボトルを連続して分析することを可能にして、
i.バッチの全てまたは一部のボトルあるいは各ボトル内のガス混合物の正確な濃度を監視する。
ii.バッチの全てまたは一部のボトルあるいは各ボトルについて、最終濃度と目標濃度との間の製造偏差を監視する。
iii.所与のバッチの全てまたは一部の各ボトル間(または製造されたボトルの複数のバッチ間)の均質性偏差を監視する。
iv.ユーザーサイトによって必要とされる全ての分析を行う。
v.国際規格によって要求される全ての分析を行う。
【0022】
さらに、本発明は、充填と同じ場所で分析を行うことを可能にし、これにより、ボトルまたはボトルのバッチの輸送時間を短縮し、ボトルの輸送に関連する取扱いリスク、ガス接続を切断および再接続するときの外部汚染のリスク、ならびにサイトの他の分析手段の利用不可能性または混雑のリスクを回避することに留意されたい。
【0023】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・同じ目標圧力で、ガス混合物を有するボトルのバッチを製造すること。
・充填動態(filling dynamics)がボトル内の混合物の加熱を引き起こし、その結果、圧力が充填中にこれによって増加するという事実を考慮して、目標圧力で充填を自動的に停止しながらボトルのバッチを製造すること。
【0024】
これらの点は、ボトルまたはボトルのバッチの製造中に最適な品質および信頼性を保証する一方で、所望の圧力を選択し、ボトルおよび/またはバッチの各ボトル内に同じ量の材料を系統的に得る可能性をユーザーサイトに提供する。
【0025】
本発明は、また、以下のことを可能にすることを目的とする。
・圧力低下および/または短時間の供給中断などの製造インシデントを許容しながら(汚染がなく、充填サイクルの終了時にインシデントが遅すぎないという条件で)、ボトルのバッチを製造すること。
・特に目標流量を調整するときに失われるガスの量を最小限に抑えながら、ボトルのバッチを製造すること。
・例えば過度の製造偏差がある場合に、誤動作または不適合製造の再開を回避すること。
・最小数のボトルを要求しない動作原理を提供することによって、余分なボトルを充填する必要なしにボトルのバッチを製造すること(充填性能は、2本または3本のボトルから24本またはそれ以上まで保証される)。
【0026】
これらの点は、任意の電子システムに固有のランダム誤差を克服することによって、混合システムが高い信頼性を有することを可能にする。
【0027】
混合システムは、可能な限り正確に目標濃度に近づくために、ボトルまたはボトルのバッチの充填中に自動的に適合して、これらの誤差を補正する。この高い信頼性は、製造誤差を大幅に低減することによって、製造サイクルを最適化することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
次に、この分野の従来技術において利用可能な解決策およびそれらの制限について、以下で検討する。
【0029】
これらの解決策は、以下のように要約されてもよい。
【0030】
制限1:既存の混合システムは、本質的に不可欠な中間および最終分析に照らして、主導的に、有資格オペレーターの判断によって、手動でおよび条件付きで動作される多数のステップを含む。これらのタスクは、製造能力および充填速度を制限し、誤差の原因とな
ることもあり、オペレーター間の変動性は、例えば、製造される混合物について不確かさを増加させる。
【0031】
制限2:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差は、多くの場合、重要である。この制限は、多くの場合、前のバッチとは異なる濃度で、および/または予想されるものに対して比較的大きい製造偏差で、新しいバッチがサイトに搬送されることにつながる。その結果、ユーザーサイトは、ボトルの各新しいバッチに対して較正手順全体を行わなければならない。
【0032】
制限3:濃度と不確かさとの差が大きすぎる場合、規定外のバッチを規定外の条件でユーザーサイトに提供することが依然として可能であるが、これは、議論、交渉、ならびに資力を有することおよび代替物を梱包することのための無視できない時間を要する可能性がある。
【0033】
制限4:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差を制限するためには、観察された差を低減するために余分な手動充填ステップを追加することがしばしば必要となる。(制限3で言及したように)バッチが規定外の条件で処理されなければ、開始から充填を繰り返す前に、バッチの完全なパージをたまに行ってもよい。
【0034】
制限5:所与の混合物のボトルの異なるバッチ間の濃度と不確かさとの差を評価し、これにより、観察される差を低減するために余分な手動充填ステップを追加する必要性を評価するためには、実験室において1つまたは複数の中間および/または最終分析段階を行う必要があり、これらは、ボトルの輸送およびかなりの物流時間を必要とする。
【0035】
制限6:既存の解決策は、柔軟性に欠ける。いったん溶液が導入されると、初期仕様の成分の範囲または濃度の範囲を変更することは、非常に困難である。
【0036】
制限7:既存の解決策は、スレービングシステム(slaving system)およびフィードバックサイクルを組み込んでいない。充填サイクルは、自動的かつ同時に管理されず、このことは、リアルタイムでの最終濃度の監視および検証を大きく制限する。最初に調整されると、この方法は、修正されないか、またはボトルのバッチの製造中に確定的かつ手動で修正される。
【0037】
制限8:既存の解決策は、スレービングシステムおよびフィードバックサイクルを組み込んでいないので、ボトルまたはボトルのバッチの製造は、充填中に測定およびフローシステムのランダム誤差を受ける。そのため、ボトルの完全な同一バッチ(典型的には、0
.71%未満のバッチ間均質性を有する)を製造することは、非常に困難である。
【0038】
以下に見られるように、本発明の解決策は、これら全ての制限を克服する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明について説明する。
【0040】
「マトリックス」ガス(一般に窒素または合成空気)とも呼ばれるベースガスは、リザーバーに貯蔵される。
【0041】
「混合ガス」とも呼ばれるガス混合物を製造するために使用される純粋ガス(COおよび/またはCO2および/またはC3H8および/またはCH4および/またはNOおよび/またはO2など)は、高圧ボトルに貯蔵される。
【0042】
分析システムを較正するために使用される基準ガスは、高圧ボトルに貯蔵される。
【0043】
ベースガスおよび二成分混合物のための混合ガス、または多成分混合物のための様々な混合ガスを、マスフローコントローラーに搬送するガスラインは、慣例的に、濾過され、時には加熱され、圧力が例えば4バールに調整される。
【0044】
混合ガスおよびベースガスの部分的な流量を極めて安定して、同時に反動的に制御するために、ここでは、マスフローコントローラーが特に選択され、実装される。使用されるマスコントローラーの数は、必要に応じて容易に変更されてもよい。
【0045】
マスコントローラーで流量が調整された各ガスライン(ベースガスおよび混合ガス)は、混合チャンバーに注入される。
【0046】
様々な成分(ベースガス+混合ガス)は、インテリジェントに混合され、O(混合チャンバーの上流での注入)とプロパンなどの炭化水素(混合チャンバーの下流での注入)との組み合わされた注入の間の爆発リスクの排除、特定の幾何形状を有する混合チャンバーへのガスの注入によるガス流の形成を回避するための均質化、これにより、完全に安全な均質ガス混合物を作り出す。
【0047】
ここで提案される発明は、混合チャンバーの出口で、かつガス混合物が圧縮ステージに入る前に(添付の図1のFig.1のラインL7)、または任意選択で充填ステーションの入口で(添付の図1のFig.2のラインL11)、ガス混合物の全ての成分をリアルタイムで同時に分析可能な分析システムを組み込むという点で注目に値する。
【0048】
したがって、ガス混合物の組成をバイパスでかつリアルタイムで分析するために、混合チャンバーの出口と分析システムとの間にガス接続が確立される。
【0049】
混合チャンバーの出口におけるガス混合物は、圧縮器に向けられ、圧縮器は、ガスの圧力を数バール(4~5)から所望の圧力に増加させることを可能にする。
【0050】
所望の充填圧力は、典型的には50バール~200バールであってもよい。
【0051】
次に、圧縮器の出口における高圧ガス混合物は、ガス混合物をボトルのバッチ(例えば、並列の2~24本のボトル)に均質に分配することを可能にする1つまたは複数の充填ステーションに向けられる。
【0052】
ボトルのバッチのボトルのうちの1つにおいて圧力の設定値に達すると、充填が停止さ
れて、製造が完了したとみなされ、このようにして充填されたボトル内の混合物の組成の正確な推定が直ちに知られる。
【0053】
分析システムは、基準ガスボトルおよび0.5%未満の相対応答精度を可能にする作業を用いて予め較正されている。
【0054】
分析システムは、可能な限り短い、典型的には1分未満の分析器の応答時間、および充填時間にわたる可能な限り最小な各測定のドリフト、典型的には2時間(200バールの圧力で24本のボトルを充填するための時間にほぼ対応する持続時間)にわたる測定の0.25%未満のドリフトを得ることを可能にする分析器を備える。
【0055】
したがって、
所与の瞬間に混合チャンバーを出るガス混合物の組成に応じて、
充填の開始から混合チャンバーを出るガス混合物の組成を積分することによって、バッチのボトル内のガス混合物のリアルタイムで計算および推定された組成に応じて、
および意図される最終組成物に応じて、
システムは、必要であれば、フィードバックループを介して、リアルタイムで自動的に、混合チャンバーを出る混合物の濃度を維持および/または上方および/または下方に補正するように、各成分に関連付けられたマスフローコントローラーの設定を修正することによって、混合物の各成分、1つまたは複数の混合ガス、および1つまたは複数のベースガスのガス流量を修正するように適合され、これにより、混合物の各成分に対して、公称組成(「維持」と称されてもよい状況)、または濃縮された組成(「上方補正」と称されてもよい状況)もしくは枯渇された(depleted)組成(「下方補正」と称されてもよい状況)で充填を継続することを可能にする。
【0056】
充填全体を通して、この調整機構は、意図された組成に、効率的に、正確に、かつ確実に収束することを可能にし、充填中に起こる可能性のあるインシデントにもかかわらずそうすることを可能にする。
【0057】
様々なインシデントがあってもよく、その例は、ベースガスネットワーク(例えば窒素)の圧力低下であってもよく、これは、このベースガスの流量の低下を数十秒間またはさらには数分間もたらし、これは、混合物の他の成分のそれぞれの濃度の事実上の増加を引き起こし、これにより、これらの数十秒間に、バッチの各ボトルに注入される混合物の予期せぬ望ましくない事実上の濃縮を引き起こす。
【0058】
「積分」の概念は、上述されており、ここでは、以下の状況が想定され得ることが理解されるべきであり、
積分は、第1設計選択である充填中に充填速度が一定であると仮定して行われてもよく、
しかしながら、充填中の充填速度の変動が想定されてもよく、その場合、積分は、流量(ミキサーにおいて利用可能である)を測定することによって加重積分により行われてもよいが、任意選択の流量(添付の図1のFig.1の要素117)を測定することによって行われてもよい。
【0059】
本発明により提案される充填方法は、以下のことを可能にする。
i.事実上の濃縮を検出および測定し、これにより、充填の持続時間中ボトル内のガスの組成の推定の計算において、それを考慮に入れること。
ii.充填の終了時に所望の目標組成に戻すために、ボトル内のガスの組成を濃縮することを停止することによって、またはこのガスを再枯渇させ始めることによってさえ、混合チャンバーの出口で生成される混合物の組成を下方に補正すること(「下方補正」状況)。
iii.インシデントおよびこの過渡補正が(数分であってもよい持続時間にわたって)終わると、使用される制御および調整モードは、公称充填状態(「維持」状況)への復帰を指示してもよい。
【0060】
逆に、混合物の成分のうちの1つのボトル供給の圧力低下からなるインシデントの場合
について言及することができ、これは、この成分の濃度の枯渇を引き起こし、公称充填状態(「維持」状況)に戻る時間にわたって、一時的な濃縮(「上方への補正」)によって補償されなければならない。
【0061】
したがって、本発明は、ガスボトルのバッチに同一のガス混合物で充填するための方法に関し、前記ガス混合物は、マトリックス中の1つの成分またはマトリックス中の複数の成分からなってもよく、マトリックスは、1つまたは複数のベースガスからなり、充填設
備が提供され、
前記充填設備は、
「マトリックス」ガスとも呼ばれる1つまたは複数のベースガスを貯蔵する1つまたは
複数のリザーバーと、
「混合ガス」とも呼ばれる前記1つまたは複数の成分を貯蔵する1つまたは複数の高圧
ボトルと、
分析システムを較正することを可能にする、1つまたは複数のいわゆる基準ガスを貯蔵
する1つまたは複数の高圧ボトルと、
混合チャンバーと、
前記ベースガスおよび前記混合ガスを前記混合チャンバーに搬送するのに適したガスラインであって、それぞれ、1つまたは複数のマスフローコントローラー(mass flow controllers:MFC)を備えるガスラインと、
ガス圧縮器を含む圧縮ステージと、
前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物を、前記ボトルのバッチの前記ボトルのそれぞれに前記ガス混合物を充填することができるように前記ガス混合物を加圧するのに適した前記圧縮ステージに、搬送するのに適したガスラインと、
選択された分析器を有する(前記マスフローコントローラーの制御に適した)分析システムと、
前記システムに搬送された前記ガス混合物の分析を行うことができるように、前記混合チャンバー内で形成された前記ガス混合物の一部を前記分析システムに搬送するのに適したガスラインであって、有利には、前記混合チャンバーを前記圧縮ステージに接続する前記ガスライン上のバイパスに配置されるガスラインと、
充填されるべき前記ボトルのバッチの前記ボトルを位置決めすることを可能にし、前記ボトルのバッチの前記ボトルのそれぞれに前記ガス混合物を均質に分配するのに適した1つまたは複数の充填ステーションと、
前記圧縮ステージから、前記ボトルのバッチの前記ボトルによって完全にまたは部分的に占領されることが可能である前記1つまたは複数の充填ステーションに、前記加圧されたガス混合物を搬送するのに適したガスラインと、
充填サイクル後に前記ボトルの充填後検証分析を行うことができるように、前記ボトルのバッチの前記ボトル内の前記加圧されたガス混合物の一部を、前記分析システムに搬送するのに適した1つまたは複数のガスライン(この分析は、充填中にリアルタイムで前記混合物の組成を監視することも可能にする)と、
を有し、
前記混合チャンバーの出口における前記ガス混合物を、前記混合物の圧力を所望の設定値まで上昇させる前記圧縮ステージに搬送する手段と、
前記圧縮ステージの出口における前記ガス混合物を、前記1つまたは複数の充填ステーションに搬送し、前記ガス混合物を前記ボトルのバッチに均質に分配して、前記ボトルのバッチの前記ボトルのうちの少なくとも1つにおいて圧力設定値に達した場合に、充填を
停止する手段と、
前記ガス混合物の全ての成分のリアルタイム分析を、前記ガス混合物が前記圧縮ステージに入る前に、前記混合チャンバーの出口で、前記分析システムによって行う手段と、
前記混合チャンバーを出る前記ガス混合物の組成の前記リアルタイム分析の結果に応じて、所与の瞬間に、前記バッチの前記ボトル中の前記ガス混合物の組成のリアルタイム推定を、前記混合チャンバーを出る前記ガス混合物の組成の充填の開始からのリアルタイム積分、または前記ボトルのバッチの1つまたは複数の前記ボトルに入る前記ガス混合物の
リアルタイム組成によって行う手段と、
この推定値と、前記バッチの前記ボトルのそれぞれにおいて意図される1つまたは複数
の最終濃度の1つまたは複数の設定値と、の比較を行い、必要であれば、フィードバック
をリアルタイムで行って、各成分に関連付けられた前記マスフローコントローラーの設定を修正することによって、前記チャンバーに到達する前記混合物の各成分、1つまたは複
数の混合ガス、および/または1つまたは複数のベースガスのガス流量を修正し、前記混合チャンバーを出る前記混合物の成分の特定濃度を維持および/または上方補正および/または下方補正し、これにより、公称組成、または前記混合物の成分のうちの1つまたは
複数に関して濃縮あるいは枯渇された組成で充填を継続する手段と、
を実行することを特徴とする。
【0062】
当業者に容易に明らかであるように、本発明に従って行われるフィードバックは、推定された組成が最終的にリアルタイムで所望の目標組成に可能な限り近く収束されることを可能にする。
【0063】
本発明の有利な実施形態の1つによれば、混合は、設定値から離れた組成を有する圧縮
ステージを出るガス混合物を1つまたは複数の排出口に排出することによって調合される
。 ガス混合物の組成が数分間、典型的には約10分間で所望の目標組成に安定化される
と、ボトルのバッチの充填が開始される。
【0064】
したがって、この有利な実施形態は、「追加」分析と呼ばれてもよい分析、すなわち、充填を開始することを可能にする分析、圧縮ステージがステーションに到着する前に圧縮ステージから出ているものの分析を提案し、ステーションでは、設定値と比較され、結果が少なくとも所与の設定値の許容限度内にない場合、出ているものは「破棄」される。
【0065】
この実施形態は、特定の状況において、特に、反応および再充填に利用できる時間が短い場合の短い充填持続時間(ボトルの数に関して小さいバッチ、低い設定値圧力、小さい容量を有するボトルなど)において、非常に特に有益であることが証明されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1本発明を実施するのに適した設備の一例。
【0067】
添付の[図1のFig.1は、本発明を実施するのに適した設備の一例を示す。
【0068】
この図1のFig.1にある要素の名称(この例では、要素ごとに2つの項目を取り上げているが、各要素の項目の数は、2より多くてもよい)は、以下のとおりである。
【0069】
101:基準ボトルNo1
102:基準ボトルNo2
103:ベースガスNo1
104:ベースガスNo2
105:混合ガスボトルNo1
106:混合ガスボトルNo2
107:マスフローコントローラーNo1
108:マスフローコントローラーNo2
109:混合チャンバー
110:分析器No1
111:分析器No2
112:圧縮器
113:充填されたボトルNo1
114:充填されたボトルNo2
115:ベースガスのマスフローコントローラーNo1
116:ベースガスのマスフローコントローラーNo2
117:圧縮ステージとボトルのバッチとの間のガス混合物の質量流量の任意の測定
(ラインL8に配置)
L1:基準ボトルと分析器との間のガスライン
L2:混合ガスボトルと混合ガスを制御するマスフローコントローラーとの間のガスライン
L3:ベースガスボトルと分析器との間のガスライン
L4:ベースガスボトルとベースガスを制御するマスフローコントローラーとの間のガスライン
L5:ベースガスを制御するマスフローコントローラーと混合チャンバーとの間のガスライン
L6:混合チャンバーの出口と圧縮器の入口との間のガスライン
L7:混合チャンバーの出口と分析器との間のガスライン
L8:圧縮器の出口とボトルのバッチとの間のガスライン
L9:分析器とマスフローコントローラーとの間のスレービングライン
L10:混合ガスを制御するマスフローコントローラーと混合チャンバーとの間のガスライン
【0070】
添付の[図のFig.2は、ここでは「充填後」モードで表された同じ設備を、図1のFig.1に与えられた表現に関連する部分概略図で示す。
【0071】
[図のFig.2に存在する参照符号の名称は、[図1のFig.1に存在するものと同一であり、さらに、製造されたボトルとガス分析器との間のガスラインを表すラインL11が存在する。
【外国語明細書】