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特開2023-184520撮像装置、撮像方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184520
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/00 20210101AFI20231221BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20231221BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20231221BHJP
   G03B 15/06 20210101ALI20231221BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231221BHJP
   G01J 3/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03B15/00 T
G03B15/02 P
G03B15/05
G03B15/06
H04N23/55
G01J3/28
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144138
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2022092845の分割
【原出願日】2017-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
(72)【発明者】
【氏名】加園 修
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被写体から反射した光のスペクトルと照明光のスペクトルとを同じ条件で取得する。
【解決手段】被写体に照射される照射光が被写体により反射された光を集光する光学系及び集光された光を受光する撮像素子からなる撮像部と、撮像部の撮像画角内の一の部分に映り込むように設けられ、照射光を反射又は透過する拡散板と、一の部分とは異なる他の部分に配された被写体により反射された照射光に関する反射光情報と、拡散板において反射又は透過した照射光に関する照射光情報と、を一度の撮像で取得し、反射光情報及び照射光情報に基づいて被写体の画像情報を取得する画像取得部と、光学系及び拡散板を保持する筐体と、を有し、画像取得部は拡散板において反射又は透過した照射光のスペクトル情報に基づいて被写体に照射される照射光のスペクトル情報を取得し、前記一度の撮像で取得された各スペクトル情報に基づいて、被写体の反射スペクトル情報を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に照射される照射光が前記被写体により反射された光を集光する光学系及び前記光学系によって集光された光を受光する撮像素子からなる撮像部と、
前記撮像部の撮像画角内の一の部分に映り込むように設けられ、前記照射光を反射又は透過する拡散板と、
前記撮像画角内の前記一の部分とは異なる他の部分に配された前記被写体により反射された前記照射光に関する反射光情報と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光に関する照射光情報と、を一度の撮像で取得し、当該一度の撮像で取得された前記反射光情報及び前記照射光情報に基づいて、前記被写体の画像情報を取得する画像取得部と、
前記光学系及び前記拡散板を保持する筐体と、を有し、
前記画像取得部は、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報として取得し、
前記画像取得部は、前記一度の撮像で取得された前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記拡散板は、前記撮像画角の周縁部に沿って延在する枠状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光学系からの距離が前記拡散板と略一致する位置に前記被写体を配する被写体配置領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被写体配置領域及び前記拡散板に前記照射光を照射する照明部を有することを特徴
とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記拡散板は、白色拡散板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置による撮像方法であって、
前記被写体により反射された前記照射光と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光と、を受光するステップと、
前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトルとして取得するステップと、
前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得するステップと、を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置において、コンピュータに、
前記被写体により反射された前記照射光と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光と、を受光するステップと、
前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトルとして取得するステップと、
前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得するステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録することを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を撮影する撮像装置として、被写体の反射スペクトルを測定して画像を生成する分光カメラが用いられている。このような分光カメラとして、例えば波長可変フィルタを構成する2枚の光学基板に容量電極を形成し、基板間隔に依存した容量を検出して目標間隔を維持するように制御する波長可変フィルタ制御装置を備えたカメラが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-277758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被写体の反射スペクトルは、被写体から反射した光のスペクトルを被写体に入射する光のスペクトル(照明光のスペクトル)で割ることにより得られる。被写体の位置に入射する光のスペクトルは直接測定することが出来ないため、例えば被写体の配置位置に白色の拡散板を配置して撮影を行い、拡散板からの反射光のスペクトルを照明光のスペクトルとして取得する(キャリブレーション)。
【0005】
上記した従来技術のような分光カメラでは、被写体の撮影を実際に行う本撮影とは別に、キャリブレーションのための撮影(すなわち、被写体の代わりに拡散板を配置した撮影)を行う。従って、両者の撮影間で照明光の条件が変化したり、カメラ自体のコンディションが変化したりする場合があり、正しい反射スペクトルを得ることができないという問題があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、被写体から反射した光のスペクトルと照明光のスペクトルとを同じ条件で取得することができないという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被写体に照射される照射光が前記被写体により反射された光を集光する光学系及び前記光学系によって集光された光を受光する撮像素子からなる撮像部と、前記撮像部の撮像画角内の一の部分に映り込むように設けられ、前記照射光を反射又は透過する拡散板と、前記撮像画角内の前記一の部分とは異なる他の部分に配された前記被写体により反射された前記照射光に関する反射光情報と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光に関する照射光情報と、を一度の撮像で取得し、当該一度の撮像で取得された前記反射光情報及び前記照射光情報に基づいて、前記被写体の画像情報を取得する画像取得部と、前記光学系及び前記拡散板を保持する筐体と、を有し、前記画像取得部は、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報として取得し、前記画像取得部は、前記一度の撮像で取得された前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得することを特徴とする撮像装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置による撮像方法であって、前記被写体により反射された前記照射光と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光と、を受光するステップと、前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトルとして取得するステップと、前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得するステップと、を有することを特徴とする撮像方法である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、コンピュータに、前記被写体により反射された前記照射光と、前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光と、を受光するステップと、前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記拡散板により反射された前記照射光又は前記拡散板を透過した前記照射光のスペクトル情報を前記被写体に照射される前記照射光のスペクトルとして取得するステップと、前記被写体により反射された前記照射光のスペクトル情報及び前記被写体に照射される前記照射光のスペクトル情報に基づいて、前記被写体の反射スペクトルの情報を取得するステップと、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のプログラムを記録することを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の分光カメラ10の構成を示す断面図である。
図2】白色拡散板の配置例を示す図である。
図3】反射スペクトルの取得処理を模式的に示す図である。
図4】反射スペクトルの取得処理の処理動作を示すフローチャートである。
図5】分光カメラが照明部を有する場合の構成の例を示す断面図である。
図6】白色拡散板の他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0013】
図1は、分光カメラ10の構成を示す断面図である。分光カメラ10は、例えば被写体としての物体Xに太陽光等の照明光を照射し、物体Xから反射された光又は物体Xを透過した光を受光することによって撮像を行う撮像装置である。分光カメラ10は、光学系11、鏡筒部12、拡散板13及び受光部14を有する。
【0014】
光学系11は、被写体からの光を集光する集光レンズであり、例えば凸レンズからなる第1のレンズL1及び第2のレンズL2を含む。第1のレンズL1は、例えば被写体からの光が入射する位置(すなわち、光学系11の入射側)に配置された対物レンズである。第2のレンズL2は、例えば被写体からの光が出射する位置(すなわち、光学系11の出射側)に配置された結像レンズである。
【0015】
鏡筒部12は、透明で且つ筒状の形状(例えば、台形筒状の形状)を有する。鏡筒部12の一方の底面は光学系11と隣接しており、他方の底面(先端部)には被写体を配置する領域である被写体配置領域SAと拡散板13とが配置されている。
【0016】
なお、図1は断面図であるため、拡散板13が一対の板片から構成されているかのように図示されている。しかし、実際には図2に斜視図で示すように、拡散板13は被写体配置領域SAを囲むように配置されている。
【0017】
再び図1を参照すると、被写体配置領域SA及び拡散板13は、いずれも太陽光等の照明光の照射を受ける位置であって且つ分光カメラ10の撮像範囲である画角AV(すなわち、撮像素子16の撮像画角)内で互いに重なり合わないような位置に配置されている。例えば、拡散板13は鏡筒部12の底面で且つ画角AVの周縁部となる位置に設けられ、被写体配置領域SAはそれよりも画角AVの中心部側の位置に設けられている。すなわち、画角AV内の光学系11の中心軸CAからみた角度が大きい位置に拡散板13が配置され、角度が小さい位置に被写体配置領域SAが設けられている。また、被写体配置領域SA及び拡散板13は、いずれも鏡筒部12の同じ底面に設けられており、光学系11からの距離が略一致している。拡散板13は、例えば分光反射率が対象波長域全般に亘って一定である白色拡散板から構成されている。
【0018】
受光部14は、光学系11を通過した光を受光して電子情報に変換する撮像素子15と、変換された電子情報に基づいて被写体の撮像画像を取得する画像取得部16とを有する。
【0019】
画像取得部16は、光学系11を通って撮像素子15により受光された光のうち、被写体配置領域SAに配置された被写体(物体X)で反射した光と拡散板13で反射又は透過した光とに基づいて、被写体の反射スペクトル(反射率のスペクトル)の情報を取得し、これに基づいて被写体の撮像画像を構成する。
【0020】
図3は、被写体の反射スペクトルの取得処理を模式的に示す図である。なお、本実施例の分光カメラ10では、被写体の撮像(本撮影)と照明光のスペクトルを得るための拡散板13の撮像(キャリブレーション)とを同時に行うが、ここでは説明の便宜上これらを分けて図示している。また、鏡筒部12及び被写体配置領域SAについては図示を省略している。
【0021】
被写体から反射した光のスペクトル(以下、被写体からのスペクトルと称する)は、純粋な反射スペクトルに照明光のスペクトルが重畳されたスペクトルとなっている。従って、反射スペクトルの情報を得るためには、被写体からのスペクトルの情報の他に照明光のスペクトルの情報を取得する必要がある。画像取得部16は、拡散板13を反射又は透過した光のスペクトル(以下、拡散板からのスペクトルと称する)の情報を、被写体に入射する照明光のスペクトルの情報として取得する。そして、画像取得部16は、被写体からのスペクトルと照明光のスペクトルとの比に基づいて、反射スペクトルの情報を取得する。すなわち、画像取得部16は、被写体からのスペクトルを照明光のスペクトルで割ることにより、反射スペクトルを算出する。
【0022】
次に、反射スペクトルの情報を取得する処理の処理動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
まず、拡散板13及び被写体配置領域SAに配置された被写体(物体X)に、照明光を照射する(ステップS101)。照明光は、例えば太陽光等、波長が可視域全体を満たすような光であることが望ましい。照明光は、被写体及び拡散板13で反射(又は透過)して、光学系11に入射する。
【0024】
撮像素子15は、光学系11を通過した被写体からの光及び拡散板からの光を受光すし(ステップS102)、電子情報に変換する。
【0025】
画像取得部16は、撮像素子15が取得した電子情報に基づいて、被写体からのスペクトル及び拡散板からのスペクトル(すなわち、照明光のスペクトル)のスペクトル情報を取得する(ステップS103)。
【0026】
画像取得部16は、取得した各々のスペクトル情報に基づいて、反射スペクトル(反射率のスペクトル)を算出する(ステップS104)。
【0027】
以上の処理により、被写体の反射スペクトルが得られる。本実施例の分光カメラ10では、画角内の周縁部(被写体配置領域SAの外周部分)に拡散板13が配置されているため、1回の撮影で被写体からの光のスペクトルと拡散板からの光のスペクトルとを得ることができる。従って、被写体からの光のスペクトルと照明光のスペクトルとを同じ条件で取得して、反射スペクトルを正確に算出することが可能となる。
【0028】
なお、上記説明では、太陽光等の外部の照明光により拡散13及び被写体X(すなわち被写体配置領域SA)を照射するのではなく、照明手段を分光カメラの内部に有していても良い。
【0029】
図5は、鏡筒部12の拡散板13が配置されている底面とは反対側の底面に照明部17a及び17bを有する分光カメラ10の構成を示す図である。照明部17a及び17bは、例えば白色光を照射する白色照明から構成されている。照明部17a及び17bは、被写体配置領域SAだけではなく、拡散板13の存在する領域を均一に照射する照射角を有する。
【0030】
この構成によれば、太陽光等の外部の照明光が十分に照射しない状況下においても、一度の撮影で被写体からのスペクトル及び拡散板からのスペクトルの情報を取得し、反射光のスペクトルを算出することが可能である。
【0031】
なお、本発明の実施形態は、上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、鏡筒部12の底面(先端部)に拡散板13が設けられている例について説明したが、これに限られず、拡散板13は画角AV内に映り込むように保持されていれば良い。
【0032】
例えば、図6(a)に断面図、図6(b)に斜視図を夫々示すように、ワイヤ等の保持手段からなる保持部18により拡散板13を画角AV内に保持する構成であっても良い。その際、拡散板13は、光学系11からの距離が被写体配置領域SAと光学系11との間の距離に略一致する位置に保持されることが望ましい。
【0033】
また、上記実施例では拡散板13が白色拡散板から構成される例について示したが、これに限られず、広範囲の波長域の光を反射又は透過可能な拡散反射板を拡散板13として用いることができる。
【0034】
また、上記実施例で説明した一連の処理は、例えばROMなどの記録媒体に格納されたプログラムに従ったコンピュータ処理により行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
10 分光カメラ
11 光学系
12 鏡筒部
13 拡散板
14 受光部
15 撮像素子
16 画像取得部
17a,17b 照明部
18 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6