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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184522
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】通気性製品の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20231221BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B03C3/28
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147308
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2019570745の分割
【原出願日】2019-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2018019055
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 晴加
(72)【発明者】
【氏名】足立 将司
(72)【発明者】
【氏名】山岸 拓人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通気性基材の表面に露出する部分の層厚みが適切な粘着剤層を備える通気性製品を提供することができる、通気性製品の製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材(S1)を準備する工程と、一方面側の一部に形成するための粘着剤層(N)を準備すると共に、この粘着剤層(N)の一部のみが通気性基材(S1)の隙間に侵入するように粘着剤層(N)の硬度を調整する工程とを行う。硬度を調整した粘着剤層(N)を通気性基材(S1)に押圧するから、通気性基材(S1)内へ侵入する粘着剤層(N)の範囲を調節できる。これにより、粘着剤層(N)の表面に露出する部分の層厚みを適切化した通気性製品(F)を得ることができる。又、粘着剤層(N)の一部が通気性基材(S1)の隙間に侵入することにより、硬化後、両者は一体化して結合強度を増大させるから、取付対象物から引き剥がす際の糊残りを抑制できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性製品(F)の製造方法であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材(S1)を準備する基材準備工程と、
前記一方面側の一部に形成するための粘着剤層(N)を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、
前記調整された硬度の粘着剤層を前記通気性基材に押圧する押圧工程とを備えた、通気性製品の製造方法。
【請求項2】
前記硬度調整工程は、前記粘着剤層における前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含む、請求項1記載の通気性製品の製造方法。
【請求項3】
前記粘着剤層は、ホットメルト粘着剤(M)からなり、
前記硬度増大工程は、軟化状態の前記粘着剤層における前記領域を冷却する冷却工程を含む、請求項2記載の通気性製品の製造方法。
【請求項4】
前記冷却工程は、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シート(S2)を準備し、この離型シートにおける前記粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含む、請求項3記載の通気性製品の製造方法。
【請求項5】
前記離型シートを冷却する工程は、粘着剤層の温度よりも低温の金属製ロール(7)を前記離型シートに係合させる工程を含む、請求項4記載の通気性製品の製造方法。
【請求項6】
前記通気性基材は不織布からなる、請求項1から請求項5のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項7】
前記通気性製品はフィルターである、請求項1から請求項6のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項8】
前記通気性製品は静電フィルターである、請求項3から請求項5のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項9】
通気性基材(S1)の一方面の一部に粘着剤層(N)が形成された通気性製品を製造するための製造装置(P)であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段(10~14)と、
離型シート(S2)を供給するための離型シート供給手段と、
粘着剤(M)を供給するための粘着剤供給手段(1、2)と、
前記粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、前記離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段(3、4)と、
前記粘着剤塗布手段によって形成された前記粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段(7)と、
前記基材供給手段から供給される前記通気性基材を、前記調整された硬度の粘着剤層に押圧するための押圧手段(5、6)とを含む、通気性製品の製造装置。
【請求項10】
前記粘着剤がホットメルト粘着剤であり、
前記硬度調整手段は、前記粘着剤層が形成された前記離型シートに係合し、前記離型シートを冷却する金属製ロール(7)を含む、請求項9記載の通気性製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルター等の通気性製品を製造するための技術に関し、特に、通気性基材の一方面の一部に粘着剤層を備える通気性製品を製造するための製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、織布等の通気性を有する材料を用いて、通気口から埃等が室内へ侵入するのを抑制するためのフィルター等の通気性製品が製造されている。又、このようなフィルターには、通気口への取付を簡便にするため、不織布等からなる通気性基材の一方面に粘着剤層が形成されることがある。
【0003】
日本国特許第6178291号公報には、基材となる不織布の一方面に、ホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を設けたフィルターを製造する方法が記載されている。日本国特許第6178291号公報の製造方法では、あらかじめ定められた凸部パターンを有し、回転駆動される凸版ロールと、この凸版ロールに当接して回転する押さえローラーとを用意し、凸部パターン上にホットメルト粘着剤を付着させたのち、不織布を凸版ロールと押さえローラーとの間に通すことによって、凸版ロールの凸部パターン上に付着させたホットメルト粘着剤を不織布上に転写させ、引き続き、ホットメルト粘着剤を覆うように剥離紙を重ね合わせることで、基材の一方面にホットメルト粘着剤層と剥離紙を備えるフィルターを製造する方法が記載されている。
【0004】
この製造方法によれば、ホットメルト粘着剤を不織布に転写したときに、ホットメルト粘着剤の一部が、不織布を構成する繊維の隙間に侵入することによって、不織布と粘着剤層とが一体化すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許第6178291号公報
【0006】
特許文献1の製造方法では、ホットメルト粘着剤を不織布からなる基材へ転写したときに、ホットメルト粘着剤の一部が不織布の隙間に侵入する量が一定にならず、その結果、粘着剤層における基材に露出する部分の層厚みが場所により不均一になったりして不適切になるという問題があった。通気口等の取付対象物へ粘着剤層で貼り付けるフィルターの場合、粘着剤層の露出部分の層厚みが適切でないと、対象物との間に隙間が生じ易くなり、捕集性能を損なったり、対象物から取れ易くなってしまうおそれがある。
【0007】
依って本発明は、通気性基材の表面に露出する部分の層厚みが適切な粘着剤層を備える通気性製品を提供することができる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明の第1の局面における通気性製品の製造方法は、通気性製品の製造方法であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を準備する基材準備工程と、一方面側の一部に形成するための粘着剤層を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、調整された硬度の粘着剤層を通気性基材に押圧する押圧工程とを備えたものである。
【0009】
このように構成すると、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧することにより、粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入し、両者が一体化する。
【0010】
この発明の第2の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面における発明の構成において、硬度調整工程が、粘着剤層における通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含むものである。
【0011】
このように構成すると、粘着剤層における厚さ方向の硬度差が生じる。
【0012】
この発明の第3の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面における発明の構成において、粘着剤層が、ホットメルト粘着剤からなり、硬度増大工程は、軟化状態の粘着剤層における領域を冷却する冷却工程を含むものである。
【0013】
このように構成すると、粘着剤がホットメルト粘着剤なので、粘着剤層における冷却された領域の硬度が増大する。
【0014】
この発明の第4の局面における通気性製品の製造方法は、第3の局面における発明の構成において、冷却工程が、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シートを準備し、この離型シートにおける粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含むものである。
【0015】
このように構成すると、離型シートにおける粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却するから、粘着剤層における離型シートに近い領域の硬度が増大する。粘着剤層の表面は、離型シートによって成形されるから、面一且つ平滑になる。
【0016】
この発明の第5の局面における通気性製品の製造方法は、第4の局面における発明の構成において、離型シートを冷却する工程は、粘着剤層の温度よりも低温の金属製ロールを離型シートに係合させる工程を含むものである。
【0017】
このように構成すると、低温の金属製ロールを離型シートに係合させることにより、粘着剤層における離型シートの近傍領域の温度が低下し、硬度が増大する。
【0018】
この発明の第6の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第5の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性基材は不織布からなるものである。
【0019】
このように構成すると、粘着剤層を通気性基材に押圧することにより、粘着剤層の一部が通気性基材を構成する不織布の繊維間の隙間に侵入し、硬化後、通気性基材と粘着剤層とが一体化する。
【0020】
この発明の第7の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第6の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性製品がフィルターであるものである。
【0021】
このように構成すると、通気性基材の表面に露出する部分の層厚みが適切な粘着剤層を備えるフィルター製品が製造される。
【0022】
この発明の第8の局面における通気性製品の製造方法は、第3の局面から第5の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性製品が静電フィルターであるものである。
【0023】
このように構成すると、ホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を備える静電フィルターが製造される。
【0024】
この発明の第9の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の一方面の一部に粘着剤層が形成された通気性製品を製造するための製造装置であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段と、離型シートを供給するための離型シート供給手段と、粘着剤を供給するための粘着剤供給手段と、粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段と、粘着剤塗布手段によって形成された粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段と、基材供給手段から供給される通気性基材を、調整された硬度の粘着剤層に押圧するための押圧手段とを含むものである。
【0025】
このように構成すると、粘着剤塗布手段により離型シートに塗布した粘着剤層の硬度を、硬度調整手段により調整したのち、押圧手段により通気性基材を粘着剤層に押圧して、通気性基材の一方面に粘着剤層と離型シートとを積層すると共に、粘着剤層の一部を通気性基材の隙間に侵入させて一体化した構造の通気性製品を製造することができる製造装置となる。
【0026】
この発明の第10の局面における通気性製品の製造装置は、第9の局面における発明の構成において、粘着剤がホットメルト粘着剤であり、硬度調整手段は、粘着剤層が形成された離型シートに係合し、離型シートを冷却する金属製ロールを含むものである。
【0027】
このように構成すると、粘着剤層が形成された離型シートを冷却するための金属製ロールを含む製造装置となる。
【0028】
以上説明したように、この発明の第1の局面における通気性製品の製造方法は、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧するから、通気性基材内へ侵入する粘着剤層の範囲を調節できる。これにより、粘着剤層の表面に露出する部分の層厚みを適切化した通気性製品を得ることができる。又、粘着剤層の一部が通気性基材の隙間に侵入することにより、硬化後、両者は一体化して結合強度を増大させるから、取付対象物から引き剥がす際の糊残りを抑制できる。
【0029】
この発明の第2の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面における発明の効果に加えて、粘着剤層の厚さ方向の硬度差を調整することにより、粘着剤層が通気性基材に侵入する部分と通気性気基材の表面に露出する部分との比率を制御することができる。
【0030】
この発明の第3の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面における発明の効果に加えて、冷却温度、冷却時間等を制御することにより、粘着剤層における硬度を増大させる範囲を調整できる。依って、簡単な処理で、粘着剤層の露出部分の層厚みを容易に適切化できる。
【0031】
この発明の第4の局面における通気性製品の製造方法は、第3の局面における発明の効果に加えて、離型シートを介して粘着剤層を冷却するから、簡単な構成の冷却手段で冷却工程を実行できる。離型シートにより粘着剤層の表面が面一且つ平滑になるので、対象物への貼り付けが容易な通気性製品が得られる。
【0032】
この発明の第5の局面における通気性製品の製造方法は、第4の局面における発明の効果に加えて、金属製ロールは大きな熱容量と高い熱伝導率とを備えることができるから、これを離型シートに接触させることにより、粘着剤層の一部の硬度を短時間で増大させることができる。従って、粘着剤層の硬化処理を高速化できるので、通気性製品の製造効率を高めることができる。
【0033】
この発明の第6の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第5の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、粘着剤層の硬度をあらかじめ調整してから粘着剤層を通気性基材に押圧するから、粘着剤層の露出部分の層厚みが不均一になりやすい不織布であっても、この層厚みをほぼ均一にすることができる。
【0034】
この発明の第7の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第6の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、粘着剤層の露出部分の層厚みが適切であるので、通気口等の取付対象物に隙間なく貼り付けることが可能なフィルター製品を製造できる。
【0035】
この発明の第8の局面における通気性製品の製造方法は、第3の局面から第5の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、静電フィルターの粘着剤層をホットメルト粘着剤で形成するので、従来の溶剤系粘着剤で粘着剤層を形成した場合に生じていた静電機能の低下が抑制され、PM2.5等の超微粒子に対する捕集効率に優れた静電フィルター製品を製造することができる。
【0036】
この発明の第9の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の表面に露出する粘着剤層の層厚みが適切であると共に、粘着剤層の表面が離型シートによって面一且つ平滑に成形された通気性製品を製造できる製造装置を提供できる。
【0037】
この発明の第10の局面における通気性製品の製造装置は、第9の局面における発明の効果に加えて、金属製ロールは、材質及び大きさを適宜設定することで、高い熱伝導率と大きな熱容量とを備えることができるから、離型シートを冷却することにより、その近傍の粘着剤層の硬度を短時間で増大させることが可能である。又、金属製ロールの大きさと回転速度を適宜設定することで、離型シートとの接触面積及び接触時間等を制御して、粘着剤層の硬度を増大させる範囲を容易に調整できる。従って、このような金属製ロールを含むことにより、簡単な構成で、制御精度及び信頼性が高い硬度調整手段を実現することができる。又、金属製ロールにより、粘着剤層の硬度調整処理の高速化が可能であるから、粘着剤層の露出部分の層厚みが均一化な通気性製品を効率よく製造できる製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施の形態による通気性製品の一例を示す図であって、(A)は一部を省略した平面図、(B)は(A)の一部を拡大した断面図である。
図2】本発明の実施の形態による通気性製品を製造するための製造装置の一例を示す概略図である。
図3図2のA部を拡大して示す図である。
図4図3のIV-IV線における拡大断面図である。
図5図2のB部を拡大して示す図である。
図6図5のVI-VI線における拡大断面図である。
図7図2のC部を拡大して示す図である。
図8図7のVIII-VIII線における拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[通気性製品]
図1は、本発明の実施の形態による通気性製品の一例を示す図であって、(A)は一部を省略した平面図、(B)は(A)の一部を拡大した断面図である。
【0040】
同図を参照して、本発明により製造される通気性製品Fは、例えば、対象物に貼着して通過する気体をろ過するためのフィルターであり、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材S1と、通気性基材S1の一方面側の一部に形成された粘着剤層Nとを備える。又、本例では、この粘着剤層Nの表面側に配置された離型シートS2を含む。粘着剤層Nの一部は、通気性基材S1の隙間に侵入している。
【0041】
通気性基材S1には、不織布、織布、編み布、又は、これらの組み合わせが用いられる。通気性基材S1の材質としては、ポリプロピレン又はプロピレン主体の共重合体が用いられることが多い。又、難燃性付与等を目的として、上記の合成樹脂原料に、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩を適量添加したり、難燃性の繊維を混合したりすることもできる。
【0042】
通気性製品Fがフィルターの場合、通気性基材S1は、厚さが0.3~15.0mm、及び、目付けが20~200g/mの範囲とするのが好ましい。このように構成すると、空気中の粉塵を確実に捕集しつつ気体を通過させることが可能であると共に、実用的な強度を備える。厚さが0.3mm未満、又は、目付けが20~200g/m未満の場合は、実用的な強度が不足すると共に、十分な捕集機能を発揮しないおそれがある。厚さが15.0mmを超えるか、又は、目付けが200g/mを超えると、気体の流通抵抗が大きくなり、エアフィルターとしての実用性が損なわれるおそれがある。
【0043】
粘着剤層Nは、ホットメルト粘着剤、又は、エマルジョン型粘着剤等の、無溶剤型粘着剤を用いるのが好ましい。
【0044】
ホットメルト粘着剤としては、従来公知のホットメルト粘着剤を使用することができ、具体的には、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、合成ゴム系、アクリル系、ポリウレタン系等のホットメルト粘着剤が挙げられる。フィルター用としては、上記の中でも、通気口等の対象物へ貼り付けたときの保持力、糊残りのしにくさ等を考慮すると、合成ゴム系ホットメルト粘着剤を採用するのが好ましい。
【0045】
ホットメルト粘着剤として合成ゴム系ホットメルト粘着剤を使用する場合、これに含まれる合成ゴム成分としては、例えばスチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、及びこれらブロック共重合体の水添物等のスチレン系エラストマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム(イソブチレン-イソプレン共重合体、及び該重合体の変性物)、ポリブテン等のオレフィン系エラストマー、ポリクロロプレン、ニトリルゴム等が挙げられる。これらの合成ゴム成分は、エラストマーとして機能することにより、粘着剤の凝集力を向上させ、ひいては粘着力の向上をもたらすことができる。
【0046】
又、ホットメルト粘着剤には、下記に列挙する成分の1つ以上を含ませることができる。
・ロジン系樹脂、テルペン樹脂、(水添)石油樹脂、クマロン-インデン系樹脂、水素化芳香族コポリマー、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与樹脂;
・フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、その他脂肪酸エステルパラフィン、エポキシ系高分子可塑剤、リン酸エステル、亜リン酸エステル類、アクリル系オリゴマー、ポリイソプレン、プロセスオイル、ナフテン系オイル、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオール化合物等の可塑剤;
・エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等の他の重合体等
上記の成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらは粘着剤に対し粘着付与剤として作用し、通気性基材に対する粘着剤の粘着性(密着性)を向上させる機能を有する。
【0047】
上記成分のほか、更にホットメルト粘着剤に含ませ得る他の成分として、例えば、石油系炭化水素等の鉱物油(合成オイル)類、植物油類、動物油類、パラフィン類、テルペノイド類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、アルコール類、はちみつ、クロタミトン等のうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの成分はいずれも粘着剤に対し軟化剤として作用し、粘着剤の粘着力が低温時に低下するのを防止する機能を有している。
【0048】
又、上記の成分は、粘着剤の塗工適性を向上させる機能も有している。例えば、合成ゴム系ホットメルト粘着剤を構成するエラストマー成分の種類、分子量、含有量等によっては、粘着剤の塗工時に糸引き等を生じさせる場合がある。そのような場合に、粘着剤に軟化剤を添加することにより、糸引き等を好適に防止して、良好な塗工適性を発揮させることができる。更に、上記成分を粘着剤に含ませることで、本発明の静電フィルター構造体を、使用後に通気口等の対象物から引き剥がすときに、ホットメルト粘着剤の対象物に対する残渣、すなわち糊残りを抑制することができる。
【0049】
離型シートS2は、塗布される粘着剤を吸収することなく表面上に保持することができると共に、粘着剤に対する良好な剥離性も備える、厚みの薄いシート状の材料からなる。このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等のポリオレフィン系フィルム等が挙げられ、これらフィルムの表面に、剥離性を高めるためのシリコーン樹脂等の剥離剤が塗布されていてもよい。
[製造装置]
次に、本発明に係る通気性製品を製造するための製造装置について説明する。
【0050】
図2は、本発明の実施の形態による通気性製品を製造するための製造装置の一例を示す概略図である。
【0051】
同図を参照して、本発明の製造装置Pは、通気性基材S1を供給するための基材供給手段と、離型シートS2を供給するための離型シート供給手段と、粘着剤Mを供給するための粘着剤供給手段と、粘着剤供給手段から供給される粘着剤Mを、離型シート供給手段から供給される離型シートS2の一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段と、粘着剤層の一部のみが通気性基材S1の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段と、基材供給手段から供給される通気性基材S1を、調整された硬度の粘着剤層に押圧するための押圧手段とを含む。
【0052】
本例にあっては、例えば、通気性基材S1は不織布であり、離型シートS2はPETフィルムであり、粘着剤Mは常温で硬化状態であり、加熱により軟化するホットメルト粘着剤である。
【0053】
又、本例の製造装置Pでは、通気性基材S1の供給手段は、通気性基材S1の搬送速度を調節しつつ供給するための供給ロール10及び11と通気性基材S1を搬送するための搬送ロール12、13及び14とを備える。粘着剤Mの供給手段は、粘着剤Mを貯留させつつ送り出すための粘着剤供給ロール2及び補助ロール1を備える。粘着剤塗布手段は、粘着剤供給ロール2から供給される粘着剤Mを塗布して所定のパターンの粘着剤層Nを形成するための塗布ロール3及びバックアップロール4を備える。硬度調整手段は、離型シートS2における粘着剤層Nが形成された面とは反対側の面に接する金属製ロール7を備える。押圧手段は、通気性基材の供給手段から供給される通気性基材S1と、粘着剤層の硬度が調整された離型シートS2とを積層して押圧することにより両者を貼り合わせるためのニップロール5及び6を備える。尚、離型シートS2の供給手段については、公知の機構を使用することができ、図示は省略した。
【0054】
補助ロール1、粘着剤供給ロール2、塗布ロール3及びバックアップロール4は隣接して配置されると共に、連動して回転するように構成される。粘着剤供給ロール2と補助ロール1との突き合わせ部分の上部に、溶融状態の粘着剤Mが貯留される。粘着剤供給ロール2を回転させると、その表面に付着した粘着剤Mが、これに接する塗布ロール3の表面へ移行する。粘着剤Mの移行量は、粘着剤供給ロール2と補助ロール1との間隙寸法を調節することで制御することができる。
【0055】
塗布ロール3は、グラビアロールや凸版ロール等、公知の印刷用ロールを使用することができる。又、塗布ロール3の表面を金属表面とすることにより剥離性を高めて、塗布ロール3から離型シートS2への粘着剤Mの移行を円滑にしている。
【0056】
粘着剤供給ロール2から移行した粘着剤Mを表面に付着させた塗布ロール3とバックアップロール4との間に離型シートS2を通過させると、離型シートS2の一方面に粘着剤Mが塗布されて、粘着剤層Nを形成することができる。粘着剤層Nは、文字や図柄等の形態とすることもできる。
【0057】
離型シートS2における粘着剤層Nが形成された面とは反対側の面に接触させる金属製ロール7は、銅、真鍮、アルミニウム、鉄、ステンレス等の熱伝導率の高い金属で制作される。材質と外形寸法とを適宜選択することにより、熱容量を設定することができる。金属製ロール7と離型シートS2との接触面積は、金属製ロール7の直径や、離型シートS2の経路に対する金属製ロール7の位置等によって設定することができる。金属製ロール7に、適宜の放熱機構や冷却機構を備えてもよい。尚、金属製ロール7は、離型シートに張力を付与するテンサーの機能を持たせることも可能である。
[製造方法]
続いて、上記製造装置Pを用いた、本発明による通気性製品の製造方法について説明する。
【0058】
図3は、図2のA部を拡大して示す図である。図4は、図3のIV-IV線における拡大断面図である。図5は、図2のB部を拡大して示す図である。図6は、図5のVI-VI線における拡大断面図である。図7は、図2のC部を拡大して示す図である。図8は、図7のVIII-VIII線における拡大断面図である。
【0059】
これらの図を参照して、本発明の製造方法は、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材S1を準備する基材準備工程と、一方面側の一部に形成するための粘着剤層を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが通気性基材S1の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、調整された硬度の粘着剤層を通気性基材S1に押圧する押圧工程とを備えるものである。
【0060】
本例では、基材準備工程は、通気性基材S1の供給手段によって実施される。粘着剤層を準備する工程は、塗布ロール3によって粘着剤Mを離型シートS2の一方面に塗布する手順によって実施される。硬度調整工程は、粘着剤層が形成された離型シートS2の反対側の面に金属製ロール7を接触させることによって実施される。押圧工程は、離型シートS2の粘着剤層が形成された面と通気性基材S1とを向かい合わせた状態で、両者をニップロール5及び6の間を通過させることにより実施される。
【0061】
以下、本例における通気性製品Fの製造方法の詳細について述べる。
【0062】
図2を参照すると、製造装置Pにおいて、粘着剤供給ロール2を回転させることにより、粘着剤供給ロール2と補助ロール1との突き合わせ部分の上部に貯留させた溶融状態の粘着剤Mが、粘着剤供給ロール2に接する塗布ロール3の表面へ移行する。
【0063】
そして、図3に示すように、供給手段から供給される離型シートS2を、塗布ロール3とバックアップロール4との間を通過させることにより、離型シートS2の一方面に所定パターンで粘着剤Mが塗布され、図4に示すように、所定パターンの粘着剤層Nが離型シートS2上に形成される。
【0064】
次いで粘着剤層Nが形成された離型シートS2は、金属製ロール7の位置まで搬送され、図5に示すように、粘着剤層Nが形成されていない側の面を、金属製ロール7と係合させる。金属製ロール7は、粘着剤層Nの温度よりも低温であり、熱伝導率に優れると共に、十分な熱容量を備えるように構成される。従って、図6に示すように、離型シートS2上で軟化状態にある粘着剤層Nが離型シートS2を介して金属製ロール7によって冷却されるため、粘着剤層Nのうち離型シートS2の近傍領域は、温度低下により硬度を増大させた硬度増大領域N1となる。これに対し、粘着剤層Nにおける離型シートS2から離れた表面側領域は、流動性を有する軟化状態領域N2に維持される。
【0065】
離型シートS2と金属製ロール7との接触は、どの部分でもほぼ均一な状態になるから、この接触によりもたらされる粘着剤層Nの温度低下は、ほぼ均一に実行されると考えられる。従って、粘着剤層Nにおける硬度増大領域N1の層厚みは、ほぼ均一化されることになる。
【0066】
尚、図6では、説明の便宜上、硬度増大領域N1と軟化状態領域N2との2つの領域の境界を破線にて表しているが、実際は、粘着剤層Nのうち離型シートS2の近傍領域から粘着剤層Nにおける離型シートS2から離れた表面側領域にかけて硬度は連続的に変化する。
【0067】
又、粘着剤層Nの硬度増大程度及びその範囲は、金属製ロール7の温度、熱伝導率、熱容量、離型シートS2との接触面積及び接触時間等を調整することによって制御できるから、硬度増大領域N1の層厚みを容易に調整することが可能である。
【0068】
このようにして、粘着剤層Nの硬度調整工程が実施された離型シートS2は、ニップロール5、6の位置まで搬送される。他方、通気性基材S1も、供給ロール10及び11、搬送ロール12、13及び14によって、ニップロール5、6の位置まで搬送される。このとき、通気性基材S1と離型シートS2の搬送速度は、ニップロール5、6の位置で一致するように制御される。
【0069】
ニップロール5及び6に供給される通気性基材S1及び離型シートS2は、図7に示すように、離型シートS2の粘着剤層Nが形成された面に通気性基材S1を向き合わせた状態で、両者をニップロール5及び6の間を通過させる。これにより、離型シートS2上の粘着剤層Nが通気性基材S1に押圧され、両者が一体化した通気性製品Fが製造される。
【0070】
通気性基材S1に粘着剤層Nを押圧したとき、図8に示すように、粘着剤層Nの表面側に位置する軟化状態領域N2は、その流動性により通気性基材S1の空隙内に侵入する。他方、粘着剤層Nにおける離型シートS2に近い硬度増大領域N1は、流動性が低いため通気性基材S1内部の隙間に侵入せず、通気性基材S1の表面上に留まる。
【0071】
粘着剤層Nにおける通気性基材S1内に侵入した部分は、硬化後にアンカー層Rを形成して、粘着剤層Nに対する優れた結合強度を発揮する。そのため、製品を使用するに当たり、離型シートS2を剥離したとき、その表面に粘着剤層Nを残留させる糊残りを生じさせるおそれがない。
【0072】
他方、粘着剤層Nの硬度増大領域N1は、硬化後、通気性基材S1の表面に露出する露出層Qを形成する。硬度増大領域N1の層厚みがほぼ一定に調整されることにより、露出層Qの層厚みもまた適切且つほぼ均一に形成することができる。これにより、通気性製品Fを取付対象物に貼り付けたときに、対象物との間に隙間を生じさせにくくなる。尚、粘着剤層Nにおける通気性基材S1内に侵入する部分である軟化状態領域N2の粘性がかなり低かったり通気性基材S1の空隙が大きかったりする場合、軟化状態領域N2が硬化する前に通気性基材S1の空隙に想定以上に浸透して通気性基材S1の露出層Qが形成される面とは反対面にまで粘着剤層Nが浸透してしまうことがある。このような浸透が発生すると、通気性基材S1と離型シートS2とを積層して押圧することにより両者を貼り合わせるためのニップロール5及び6の間を通過させる際に通気性基材S1を浸透した粘着剤層Nがニップロール6と引っ付いて通気性基材S1と離型シートS2の積層体がニップロール6に巻き付いてきたり、ニップロール6に通気性基材S1のみが引っ付いて引っ張られることで通気性基材S1と離型シートS2の積層体が分離したり、通気性基材S1の一部がニップロール6側に引っ張られることで通気性基材S1の破れが生じたりするなどの不具合(以下、第1の不具合と言う)が生じたりすることがある。又、ニップロール5及び6の間を通過したとしても、次工程への搬送に図示しない搬送ロールを用いた場合には先ほどのニップロール6への粘着剤層Nが引っ付くのと同様に搬送ロールへ通気性基材S1が引っ付くことで不具合(以下、第2の不具合と言う)が生じたりすることがある。このような第1及び第2の不具合を防ぐためには、通気性基材S1の露出層Qが形成される面とは反対面にまで粘着剤層Nが浸透してしまう前に軟化状態領域N2を冷却して硬化すればよく、その目的のために、例えば、第1の不具合に対しては通気性基材S1に接する側のニップロール6自体に冷却機構を設けたり、第2の不具合に対してはニップロール6と次工程の搬送ロールとの間に通気性基材S1の露出層Qが形成される面とは反対面を冷却する冷却機構を設けたりすればよい。しかしこのような冷却機構を設ける場合であっても、逆に粘着剤層Nにおける通気性基材S1内に侵入を阻害して前述のアンカー層Rが形成されなくなることがないよう、冷却度合いのバランス調整を行うことが好ましい。
【0073】
上記のようにして製造された通気性製品Fは、必要に応じ所定寸法に切断されて製品化され、離型シート付きフィルター製品として販売される。使用に際しては、作業現場において、離型シートS2を剥離し、不織布等からなる通気性基材S1部分を、粘着剤層Nを使用して、対象物に貼着する。
【0074】
尚、本例では、通気性基材S1の全面に粘着剤層Nを形成することはせず、パターンコートにより、部分的に粘着剤層Nを形成する。粘着剤Mがホットメルト粘着剤である場合の好ましい塗布量は、20~50g/m、より好ましくは25~35g/mである。又、ホットメルト粘着剤の好ましい塗布面積は、通常、通気性基材S1全体の40~80%の範囲である。但し、上記の数値は、通気性製品Fの用途や大きさに応じ、適宜変更され得るものである。
[その他の実施の形態]
本発明の実施形態は、上記に限定されない。
【0075】
通気性基材には、不織布のほか、織布、編み布、又は、これらの組み合わせを用いてもよい。
【0076】
粘着剤には、ホットメルト粘着剤のほか、エマルジョン系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤等を用いることができる。
【0077】
粘着剤層の硬度の調整は、金属製ロール以外に、離型シートの搬送速度と一致するように移動するベルトを、離型シートにおける粘着剤層を形成した側とは反対側の面に接触させて行うことが考えられる。あるいは、反対側面に冷却ガスを吹き付けることによっても実行することができる。粘着剤層に紫外線硬化型粘着剤を用いた場合は、離型シートにおける粘着剤層を形成した側とは反対側の面から紫外線を照射することで、粘着剤層の硬度を調整することが考えられる。
【0078】
粘着剤供給手段は、粘着剤を流動状態で貯留するタンクを準備し、このタンクから粘着剤供給ロールへ直接粘着剤を供給することもできる。
【0079】
粘着剤塗布手段は、塗布ロールによるロールコート方式のほか、スプレーコート方式、インクジェット方式、ダイコート方式、スクリーン印刷方式等も採用可能である。
【0080】
本発明により製造される通気性製品は、取付対象物である台所や厨房のレンジフード、エアコン、空気清浄機、換気扇等の家庭用機器の他、屋内外の通気口、工業用機器における通気個所におけるエアフィルター製品や、マスク、おむつ、シーツ、衣服などの通気性を備えた衛生用品の構成材料として広く使用することができる。
【0081】
尚、本発明は、静電フィルターの製造に適用することができる。静電フィルターは、静電力を利用して、気体中の微粒子を高効率で捕集して取り除くことができるものであり、人体の呼吸器系器官に与える深刻な影響について懸念されている粒子径が2.5μm以下のPM2.5と呼ばれる超微粒子を効果的に除去することができるため、近年、使用が拡大している。
【0082】
本発明により静電フィルターを製造する場合、通気性基材には静電作用を有する不織布が用いられる。このような不織布としては、例えば、ポリエステル繊維(PET繊維)とモダクリル繊維との組み合わせに帯電加工を施したもののほか、ポリプロピレン不織布にコロナ放電処理によって帯電加工を施したもの、羊毛繊維を含む不織布に樹脂加工を施した後なめし工程を行って帯電処理を施したもの、ポリプロピレン樹脂の表面がポリエチレン樹脂で被覆された芯鞘型複合繊維に対し印加電極を用いて直流高電界を発生させることにより繊維表面を分極荷電させたもの等公知の静電フィルターを用いることができる。
【0083】
尚、本発明に基づき静電フィルターを製造する場合において、粘着剤にホットメルト粘着剤を用いることにより、従来の溶剤系粘着剤を使用した場合と比べて、PM2.5等の超微粒子に対する捕集効果が向上する。
【0084】
ホットメルト粘着剤を使用すると、従来の溶剤系粘着剤を用いた場合よりも、PM2.5に対する捕集効率が向上するメカニズムの詳細は不明である。1つの仮説として、従来の粘着剤は、例えば酢酸エチル等の溶剤で希釈して用いられるものであり、これを静電フィルターに塗布したときに、塗布時の流動によって粘着剤と静電フィルターとの界面、又は粘着剤内部で静電気が発生し、これが静電フィルターに帯電している電荷を打ち消すために、静電フィルター構造体のPM2.5に対する捕集効率を低下させるのではないかと推測される。
【0085】
従って上記推測に基づくと、ホットメルト粘着剤を使用することによってPM2.5に対する捕集効率が向上する理由は、ホットメルト粘着剤は、これを通気性基材に押圧したときの粘着剤の流動が少なく、又、溶剤を含まないために通気性基材との界面や粘着剤層内部で静電気が生じにくいためであると考えられる。
【0086】
その他、本発明は、実施の状況に合わせて、様々な応用及び適宜の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、不織布等の通気性基材に形成される粘着剤層の厚みを均一化した通気性製品を製造することができるので、取付対象物であるレンジフード、エアコン、空気清浄機、換気扇、通気口等に対し装着性が良好で糊残りの少ないエアフィルター製品や通気性を備えた衛生用品の構成材料を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明の第1の局面における通気性製品の製造方法は、通気性製品の製造方法であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を準備する基材準備工程と、一方面側の一部に形成するための粘着剤層を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、硬度調整工程の後、調整された硬度の粘着剤層を通気性基材に押圧する押圧工程とを備え、硬度調整工程は、粘着剤層における通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含み、調整された硬度の粘着剤層は、通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持されるものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
このように構成すると、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧することにより、粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入し、両者が一体化する。又、粘着剤層における厚さ方向の硬度差が生じる。更に、通気性基材に粘着剤層を押圧したときに、軟化状態領域が通気性基材の空隙内に侵入するのに対し、硬度増大領域は通気性基材内部の隙間に侵入しない。
この発明の第2の局面における通気性製品の製造方法は、通気性製品の製造方法であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を準備する基材準備工程と、一方面側の一部に形成するための粘着剤層を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、硬度調整工程の後、調整された硬度の粘着剤層を通気性基材に押圧する押圧工程とを備え、硬度調整工程は、粘着剤層における通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含み、粘着剤層は、ホットメルト粘着剤からなり、硬度増大工程は、軟化状態の粘着剤層における領域を冷却する冷却工程を含み、冷却工程は、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シートを準備し、この離型シートにおける粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含み、押圧工程は、離型シートにおける調整された硬度の粘着剤層が通気性基材に押圧され、離型シートと通気性基材を一体化する工程を含むものである。
このように構成すると、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧することにより、粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入し、両者が一体化する。又、粘着剤層における厚さ方向の硬度差が生じる。更に、粘着剤層の硬度を離型シート上であらかじめ一定の層厚みに調整した状態で離型シートと通気性基材が一体化されると共に、粘着剤層の表面が離型シートによって成形されるから、面一且つ平滑になる。
この発明の第3の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面における発明の構成において、調整された硬度の粘着剤層は、通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持されるものである。
このように構成すると、通気性基材に粘着剤層を押圧したときに、軟化状態領域が通気性基材の空隙内に侵入するのに対し、硬度増大領域は通気性基材内部の隙間に侵入しない。
この発明の第4の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面又は第3の局面における発明の構成において、調整された硬度の粘着剤層は、硬度増大領域から軟化状態領域にかけて粘着剤層の硬度が層方向に連続的に変化するものである。
このように構成すると、硬度増大領域の層厚みが均一化される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面における発明の構成において、粘着剤層が、ホットメルト粘着剤からなり、硬度増大工程は、軟化状態の粘着剤層における領域を冷却する冷却工程を含むものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面における発明の構成において、冷却工程が、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シートを準備し、この離型シートにおける粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含むものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面又は第6の局面における発明の構成において、離型シートを冷却する工程は、離型シートにおける粘着剤層の温度よりも低温の金属製ロールを離型シートに係合させる工程を含むものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性基材は不織布からなるものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性製品がフィルターであるものである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
この発明の第10の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面、第3の局面、第5の局面から第の局面のいずれかにおける発明の構成において、通気性製品が静電フィルターであるものである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
この発明の第11の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の一方面の一部に粘着剤層が形成された通気性製品を製造するための製造装置であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段と、離型シートを供給するための離型シート供給手段と、粘着剤を供給するための粘着剤供給手段と、粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段と、粘着剤塗布手段によって形成された粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段と、基材供給手段から供給される通気性基材を、硬度調整手段によって調整された硬度の粘着剤層に押圧するための押圧手段とを含み、硬度調整手段は、粘着剤層における通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大手段を含み、調整された硬度の粘着剤層は、通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持されるものである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
このように構成すると、粘着剤塗布手段により離型シートに塗布した粘着剤層の硬度を、硬度調整手段により調整したのち、押圧手段により通気性基材を粘着剤層に押圧して、通気性基材の一方面に粘着剤層と離型シートとを積層すると共に、粘着剤層の一部を通気性基材の隙間に侵入させて一体化した構造の通気性製品を製造することができる製造装置となる。
この発明の第12の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の一方面の一部に粘着剤層が形成された通気性製品を製造するための製造装置であって、少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段と、離型シートを供給するための離型シート供給手段と、粘着剤を供給するための粘着剤供給手段と、粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段と、粘着剤塗布手段によって形成された粘着剤層の一部のみが通気性基材の隙間に侵入するように粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段と、基材供給手段から供給される通気性基材を、硬度調整手段によって調整された硬度の粘着剤層に押圧すると共に、離型シートと通気性基材を一体化するための押圧手段とを含み、硬度調整手段は、粘着剤層における通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大手段を含み、粘着剤がホットメルト粘着剤であり、硬度増大手段は、離型シートにおける粘着剤層が形成された面とは反対側を冷却する冷却手段を含むものである。
このように構成すると、粘着剤塗布手段により離型シートに塗布した粘着剤層の硬度を、硬度調整手段により調整したのち、押圧手段により通気性基材を粘着剤層に押圧して、通気性基材の一方面に粘着剤層と離型シートとを積層すると共に、粘着剤層の一部を通気性基材の隙間に侵入させて一体化した構造の通気性製品を製造することができる製造装置となる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
この発明の第1の局面における通気性製品の製造装置は、第11の局面における発明の構成において、粘着剤がホットメルト粘着剤であり、硬度調整手段は、粘着剤層が形成された離型シートに係合し、離型シートを冷却する金属製ロールを含むものである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
このように構成すると、粘着剤層が形成された離型シートを冷却するための金属製ロールを含む製造装置となる。
この発明の第14の局面における通気性製品の製造装置は、第12の局面における発明の構成において、冷却手段は、粘着剤層が形成された離型シートに係合する金属製ロールを含むものである。
このように構成すると、粘着剤層が形成された離型シートを冷却するための金属製ロールを含む製造装置となる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
以上説明したように、この発明の第1の局面における通気性製品の製造方法は、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧するから、通気性基材内へ侵入する粘着剤層の範囲を調節できる。これにより、粘着剤層の表面に露出する部分の層厚みを適切化した通気性製品を得ることができる。又、粘着剤層の一部が通気性基材の隙間に侵入することにより、硬化後、両者は一体化して結合強度を増大させるから、取付対象物から引き剥がす際の糊残りを抑制できる。更に、粘着剤層の厚さ方向の硬度差を調整することにより、通気性基材に粘着剤層を押圧したときに、軟化状態領域が通気性基材の空隙内に侵入するのに対し、硬度増大領域は通気性基材内部の隙間に侵入しないので、粘着剤層が通気性基材に侵入する部分と通気性気基材の表面に露出する部分との比率を制御することができる。
この発明の第2の局面における通気性製品の製造方法は、硬度を調整した粘着剤層を通気性基材に押圧するから、通気性基材内へ侵入する粘着剤層の範囲を調節できる。これにより、粘着剤層の表面に露出する部分の層厚みを適切化した通気性製品を得ることができる。又、粘着剤層の一部が通気性基材の隙間に侵入することにより、硬化後、両者は一体化して結合強度を増大させるから、取付対象物から引き剥がす際の糊残りを抑制できる。更に、粘着剤層の硬度を離型シート上であらかじめ一定の層厚みに調整した状態で離型シートと通気性基材が一体化されると共に、粘着剤層の表面が離型シートによって成形されるから、面一且つ平滑になるので、通気性製品を取付対象物に貼り付けたときに、対象物との間に隙間を生じさせにくくなる。
この発明の第3の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面における発明の効果に加えて、粘着剤層の厚さ方向の硬度差を調整することにより、通気性基材に粘着剤層を押圧したときに、軟化状態領域が通気性基材の空隙内に侵入するのに対し、硬度増大領域は通気性基材内部の隙間に侵入しないので、粘着剤層が通気性基材に侵入する部分と通気性気基材の表面に露出する部分との比率を制御することができる。
この発明の第4の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面又は第3の局面における発明の効果に加えて、硬度増大領域の層厚みが均一化されるので、通気性製品を取付対象物に貼り付けたときに、対象物との間に隙間を生じさせにくくなる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面における発明の効果に加えて、冷却温度、冷却時間等を制御することにより、粘着剤層における硬度を増大させる範囲を調整できる。依って、簡単な処理で、粘着剤層の露出部分の層厚みを容易に適切化できる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面における発明の効果に加えて、離型シートを介して粘着剤層を冷却するから、簡単な構成の冷却手段で冷却工程を実行できる。離型シートにより粘着剤層の表面が面一且つ平滑になるので、対象物への貼り付けが容易な通気性製品が得られる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第2の局面又は第6の局面における発明の効果に加えて、金属製ロールは大きな熱容量と高い熱伝導率とを備えることができるから、これを離型シートに接触させることにより、粘着剤層の一部の硬度を短時間で増大させることができる。従って、粘着剤層の硬化処理を高速化できるので、通気性製品の製造効率を高めることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、粘着剤層の硬度をあらかじめ調整してから粘着剤層を通気性基材に押圧するから、粘着剤層の露出部分の層厚みが不均一になりやすい不織布であっても、この層厚みをほぼ均一にすることができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
この発明の第の局面における通気性製品の製造方法は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、粘着剤層の露出部分の層厚みが適切であるので、通気口等の取付対象物に隙間なく貼り付けることが可能なフィルター製品を製造できる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
この発明の第10の局面における通気性製品の製造方法は、第の局面、第3の局面、第5の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、静電フィルターの粘着剤層をホットメルト粘着剤で形成するので、従来の溶剤系粘着剤で粘着剤層を形成した場合に生じていた静電機能の低下が抑制され、PM2.5等の超微粒子に対する捕集効率に優れた静電フィルター製品を製造することができる。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
この発明の第11の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の表面に露出する粘着剤層の層厚みが適切であると共に、粘着剤層の表面が離型シートによって面一且つ平滑に成形された通気性製品を製造できる製造装置を提供できる。
この発明の第12の局面における通気性製品の製造装置は、通気性基材の表面に露出する粘着剤層の層厚みが適切であると共に、粘着剤層の表面が離型シートによって面一且つ平滑に成形された通気性製品を製造できる製造装置を提供できる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
この発明の第1の局面における通気性製品の製造装置は、第11の局面における発明の効果に加えて、金属製ロールは、材質及び大きさを適宜設定することで、高い熱伝導率と大きな熱容量とを備えることができるから、離型シートを冷却することにより、その近傍の粘着剤層の硬度を短時間で増大させることが可能である。又、金属製ロールの大きさと回転速度を適宜設定することで、離型シートとの接触面積及び接触時間等を制御して、粘着剤層の硬度を増大させる範囲を容易に調整できる。従って、このような金属製ロールを含むことにより、簡単な構成で、制御精度及び信頼性が高い硬度調整手段を実現することができる。又、金属製ロールにより、粘着剤層の硬度調整処理の高速化が可能であるから、粘着剤層の露出部分の層厚みが均一化な通気性製品を効率よく製造できる製造装置を提供できる。
この発明の第14の局面における通気性製品の製造装置は、第12の局面における発明の効果に加えて、金属製ロールは、材質及び大きさを適宜設定することで、高い熱伝導率と大きな熱容量とを備えることができるから、離型シートを冷却することにより、その近傍の粘着剤層の硬度を短時間で増大させることが可能である。又、金属製ロールの大きさと回転速度を適宜設定することで、離型シートとの接触面積及び接触時間等を制御して、粘着剤層の硬度を増大させる範囲を容易に調整できる。従って、このような金属製ロールを含むことにより、簡単な構成で、制御精度及び信頼性が高い硬度調整手段を実現することができる。又、金属製ロールにより、粘着剤層の硬度調整処理の高速化が可能であるから、粘着剤層の露出部分の層厚みが均一化な通気性製品を効率よく製造できる製造装置を提供できる。
【手続補正25】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性製品(F)の製造方法であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材(S1)を準備する基材準備工程と、
前記一方面側の一部に形成するための粘着剤層(N)を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、
前記硬度調整工程の後、前記調整された硬度の粘着剤層を前記通気性基材に押圧する押圧工程とを備え
前記硬度調整工程は、前記粘着剤層における前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含み、
前記調整された硬度の粘着剤層は、前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、前記通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持される、通気性製品の製造方法。
【請求項2】
通気性製品(F)の製造方法であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材(S1)を準備する基材準備工程と、
前記一方面側の一部に形成するための粘着剤層(N)を準備すると共に、この粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整する硬度調整工程と、
前記硬度調整工程の後、前記調整された硬度の粘着剤層を前記通気性基材に押圧する押圧工程とを備え、
前記硬度調整工程は、前記粘着剤層における前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大工程を含み、
前記粘着剤層は、ホットメルト粘着剤(M)からなり、
前記硬度増大工程は、軟化状態の前記粘着剤層における前記領域を冷却する冷却工程を含み、
前記冷却工程は、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シート(S2)を準備し、この離型シートにおける前記粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含み、
前記押圧工程は、前記離型シートにおける前記調整された硬度の粘着剤層が前記通気性基材に押圧され、前記離型シートと前記通気性基材を一体化する工程を含む、通気性製品の製造方法。
【請求項3】
前記調整された硬度の粘着剤層は、前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、前記通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持される、請求項2記載の通気性製品の製造方法。
【請求項4】
前記調整された硬度の粘着剤層は、前記硬度増大領域から前記軟化状態領域にかけて粘着剤層の硬度が層方向に連続的に変化する、請求項1又は請求項3記載の通気性製品の製造方法。
【請求項5】
前記粘着剤層は、ホットメルト粘着剤(M)からなり、
前記硬度増大工程は、軟化状態の前記粘着剤層における前記領域を冷却する冷却工程を含む、請求項記載の通気性製品の製造方法。
【請求項6】
前記冷却工程は、一方面に軟化状態のホットメルト粘着剤からなる粘着剤層を形成した離型シート(S2)を準備し、この離型シートにおける前記粘着剤層が形成された面とは反対側の面を冷却する工程を含む、請求項記載の通気性製品の製造方法。
【請求項7】
前記離型シートを冷却する工程は、前記離型シートにおける前記粘着剤層の温度よりも低温の金属製ロール(7)を前記離型シートに係合させる工程を含む、請求項2又は請求項6記載の通気性製品の製造方法。
【請求項8】
前記通気性基材は不織布からなる、請求項1から請求項のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項9】
前記通気性製品はフィルターである、請求項1から請求項のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項10】
前記通気性製品は静電フィルターである、請求項2、請求項3、請求項5から請求項7のいずれかに記載の通気性製品の製造方法。
【請求項11】
通気性基材(S1)の一方面の一部に粘着剤層(N)が形成された通気性製品を製造するための製造装置(P)であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段(10~14)と、
離型シート(S2)を供給するための離型シート供給手段と、
粘着剤(M)を供給するための粘着剤供給手段(1、2)と、
前記粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、前記離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段(3、4)と、
前記粘着剤塗布手段によって形成された前記粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段(7)と、
前記基材供給手段から供給される前記通気性基材を、前記硬度調整手段によって調整された硬度の粘着剤層に押圧するための押圧手段(5、6)とを含み、
前記硬度調整手段は、前記粘着剤層における前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大手段を含み、
前記調整された硬度の粘着剤層は、前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面に硬度増大領域が形成され、前記通気性基材に押圧される側の面の領域は軟化状態領域に維持される、通気性製品の製造装置。
【請求項12】
通気性基材(S1)の一方面の一部に粘着剤層(N)が形成された通気性製品を製造するための製造装置(P)であって、
少なくとも一方面側に隙間を有する通気性基材を供給するための基材供給手段(10~14)と、
離型シート(S2)を供給するための離型シート供給手段と、
粘着剤(M)を供給するための粘着剤供給手段(1、2)と、
前記粘着剤供給手段から供給される粘着剤を、前記離型シート供給手段から供給される離型シートの一方面の一部に塗布して粘着剤層を形成するための粘着剤塗布手段(3、4)と、
前記粘着剤塗布手段によって形成された前記粘着剤層の一部のみが前記通気性基材の前記隙間に侵入するように前記粘着剤層の硬度を調整するための硬度調整手段(7)と、
前記基材供給手段から供給される前記通気性基材を、前記硬度調整手段によって調整された硬度の粘着剤層に押圧すると共に、前記離型シートと前記通気性基材を一体化するための押圧手段(5、6)とを含み、
前記硬度調整手段は、前記粘着剤層における前記通気性基材に押圧される側の面とは反対側の面を含む領域の硬度を増大させる硬度増大手段を含み、
前記粘着剤がホットメルト粘着剤であり、
前記硬度増大手段は、前記離型シートにおける前記粘着剤層が形成された面とは反対側を冷却する冷却手段を含む、通気性製品の製造装置。
【請求項13】
前記粘着剤がホットメルト粘着剤であり、
前記硬度調整手段は、前記粘着剤層が形成された前記離型シートに係合し、前記離型シートを冷却する金属製ロール(7)を含む、請求項11記載の通気性製品の製造装置。
【請求項14】
前記冷却手段は、前記粘着剤層が形成された前記離型シートに係合する金属製ロール(7)を含む、請求項12記載の通気性製品の製造装置。