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特開2023-184523動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184523
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セット
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/20 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A01M23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148049
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2022097130の分割
【原出願日】2022-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年12月24日 長南町鳥獣被害防止対策協議会宛 納品書 1 令和4年2月3日 茂原市役所経済環境部農政課宛 納品書 1 令和3年9月9日 房総House パンフレット 1 令和4年2月27日 毎日新聞 1 令和4年3月3日 千葉日報 1 令和4年3月6日 読売新聞 1 令和4年3月6日 出願人ホームページ 2
(71)【出願人】
【識別番号】521211262
【氏名又は名称】房総プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】酒井 直樹
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA16
2B121BA19
2B121BA42
2B121EA26
2B121FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、より少人数で設置、野生動物捕獲、野生動物輸送が可能となる動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットを提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る動物捕獲罠1、動物輸送檻2及び動物捕獲輸送セットは、床枠11、一対の側壁格子枠12、奥壁格子枠13、上部格子枠14、一対の第一のレール15、レールに沿ってスライドする落下枠16及び落下枠支持部材17を有する動物捕獲罠1と、床枠21、一対の側壁格子枠22、奥壁格子枠23、上部格子枠24、開閉扉25及び少なくとも四個配置される回転把持棒26を有する動物輸送檻2によって構成される動物捕獲輸送セットである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物侵入領域を形成する床枠と、
前記床枠に対して略垂直に立てられ、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の側壁格子枠及び奥壁格子枠と、
前記一対の側壁格子枠及び前記奥壁格子枠の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される上部格子枠と、
前記開口部を形成する前記一対の側壁格子枠に沿って配置される一対の第一のレールと、
前記一対の第一のレールに沿ってスライドし前記開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される落下枠と、
前記落下枠を開口状態で保持するとともに、所定の条件により前記落下枠の保持を解除して前記落下枠を落下させる落下枠支持部材と、を有する動物捕獲罠。
【請求項2】
前記奥壁格子枠に沿って配置される一対の第二のレール、及び、前記一対の第二のレールに沿ってスライドし、落下させることで前記奥壁格子枠を覆う遮蔽板と、を有する請求項1記載の動物捕獲罠。
【請求項3】
前記落下枠支持部材は、
前記一対の側壁格子枠、前記上部格子枠及び前記奥壁格子枠の少なくともいずれかに配置される中継部材と、
前記一対の側壁格子枠において張られ、一端が前記中継部材に接続される第一の紐部材と、
前記中継部材と前記落下枠を接続する第二の紐部材と、を有する請求項1記載の動物捕獲罠。
【請求項4】
前記床枠には、前記一対の側壁格子枠を自立させるための自立溝が形成されている請求項1記載の動物捕獲罠。
【請求項5】
前記床枠、前記一対の側壁格子枠、前記奥壁格子枠、及び、前記落下枠は互いに分離・組立可能である請求項1記載の動物捕獲罠。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットに関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年、エネルギーとして木材ではなく石油等の化石燃料の輸入が増大し、また、外国から安い木材等の輸入が増大しつつあり、日本国内の木材消費が減少しつつあることを背景に、森林の植生は回復しつつあるが同時にイノシシやシカ等の野生動物の生息数が増加しつつあり、これらが農地や住宅などの人の生活領域に出没することで、農作物の被害や野生動物と遭遇してけがを負わされるなど様々な問題が生じてきている。
【0003】
人の生活領域に近い領域では、このような問題を回避するために、これら領域に野生動物を捕獲するための罠を設置して一定数野生動物を駆除していかざるを得ないといった状況がある。
【0004】
また、上記動物を捕獲するための罠(動物捕獲罠)としては、例えば下記特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6663071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献で開示されるような動物捕獲罠は、鉄等の重量の大きな材質で行わざるを得ず、その持ち運びには多数の者の協力が必要となる。昨今の少子高齢化及び労働者不足を背景に、罠の設置やその後の処理に多人数を確保することは容易ではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、より少人数で設置、野生動物捕獲、野生動物輸送が可能となる動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一観点にかかる動物捕獲罠は、動物侵入領域を形成する床枠と、床枠に対して略垂直に立てられ、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の側壁格子枠及び奥壁格子枠と、一対の側壁格子枠及び奥壁格子枠の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される上部格子枠と、開口部を形成する一対の側壁格子枠に沿って配置される一対の第一のレールと、一対の第一のレールに沿ってスライドし開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される落下枠と、落下枠を開口状態で保持するとともに、所定の条件により落下枠の保持を解除して落下枠を落下させる落下枠支持部材と、を有するものである。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけではないが、奥壁格子枠に沿って配置される一対の第二のレール、及び、一対の第二のレールに沿ってスライドし、落下させることで奥壁格子枠を覆う遮蔽板と、を有することが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、落下枠支持部材は、一対の側壁格子枠、上部格子枠及び奥壁格子枠の少なくともいずれかに配置される中継部材と、一対の側壁格子枠において張られ、一端が中継部材に接続される第一の紐部材と、中継部材と落下枠を接続する第二の紐部材と、を有することが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、床枠には、一対の側壁格子枠を自立させるための自立溝が形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、床枠、一対の側壁格子枠、奥壁格子枠、及び、落下枠は互いに分離・組立可能であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の一観点にかかる動物輸送檻は、動物侵入領域を形成する床枠と、床枠に対して略垂直に立てられ、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の側壁格子枠及び奥壁格子枠と、一対の側壁格子枠及び奥壁格子枠の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される上部格子枠と、開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される開閉枠と、一対の側壁格子枠に少なくとも四個配置される回転把持棒と、を有するものである。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、開閉枠は、両開戸であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の一観点にかかる動物捕獲輸送セットは、動物捕獲罠と動物輸送檻とを有するものであり、動物捕獲罠は、動物侵入領域を形成する第一の床枠と、第一の床枠に対して略垂直に立てられ、第一の開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の第一の側壁格子枠及び第一の奥壁格子枠と、一対の第一の側壁格子枠及び第一の奥壁格子枠の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される第一の上部格子枠と、第一の開口部を形成する一対の第一の側壁格子枠に沿って配置される一対のレールと、一対のレールに沿ってスライドし開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される落下枠と、落下枠を開口状態で保持するとともに、所定の条件により落下枠の保持を解除して落下枠を落下させる落下枠支持部材と、を有し、動物輸送檻は、動物侵入領域を形成する第二の床枠と、第二の床枠に対して略垂直に立てられ、第二の開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の第二の側壁格子枠及び第二の奥壁格子枠と、一対の第二の側壁格子枠及び第二の奥壁格子枠の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される第二の上部格子枠と、第二の開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される開閉枠と、一対の第二の側壁格子枠に少なくとも四個配置される回転把持棒と、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
以上、より少人数で設置、野生動物捕獲、野生動物輸送が可能となる動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る動物捕獲罠の斜視概略図である。
図2】実施形態に係る動物輸送檻の斜視概略図である。
図3】実施形態に係る動物捕獲罠の床枠における自立溝の概略を示す図である。
図4】実施形態に係る動物捕獲罠の斜視概略図である。
図5】実施形態に係る動物捕獲罠の上がり防止部材の概略を示す図である。
図6】実施形態に係る動物捕獲罠の落下枠支持部材の概略を示す図である。
図7】実施形態に係る動物捕獲罠の組み立て及び分解についての概略を示す図である。
図8】実施形態に係る動物捕獲罠の餌容器を備えている場合の斜視概略図である。
図9】実施形態に係る動物輸送檻の斜視概略図である。
図10】実施形態に係る動物輸送檻の斜視概略図である。
図11】実施形態に係る動物輸送檻の回転把持棒の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0019】
図1、2は、本実施形態にかかる動物捕獲輸送セット(以下「本セット」という。)の概略を示すものである。具体的に図1は本セットの動物捕獲罠(以下「本捕獲罠」という。)1の概略を示す図であり、図2は、本セットの動物輸送檻(以下「本輸送檻」という。)2の概略を示す図である。
【0020】
図1で示すように、本捕獲罠1は、動物侵入領域を形成する床枠11と、床枠11に対して略垂直に立てられ、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の側壁格子枠12及び奥壁格子枠13と、一対の側壁格子枠12及び奥壁格子枠13の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される上部格子枠14と、開口部を形成する一対の側壁格子枠12に沿って配置される一対の第一のレール15と、一対の第一のレール15に沿ってスライドし開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される落下枠16と、落下枠16を開口状態で保持するとともに、所定の条件により落下枠16の保持を解除して落下枠を落下させる落下枠支持部材17と、を有するものである。
【0021】
本捕獲罠1において、床枠11は、上記の通り、動物侵入領域Rを形成するものである。床枠11は、地面に設置するものであり、上記及び後述の記載から明らかなように、この側辺に沿って側壁格子枠12や奥壁格子枠13が設置され、床枠11の内部の領域が動物侵入領域Rとなる。
【0022】
床枠11は、動物侵入領域Rを形成することができる限りにおいて限定されるわけではないが、細い金属の棒が組み合わされることによって構成される格子111と、この格子111を囲う金属枠112とを有して構成されていることが好ましい。金属枠112内に格子111を設けることで、動物侵入領域Rにおいて地面が見える状態となり、捕獲対象となる動物に対する警戒心を抑えることが可能となる。
【0023】
また、床枠11の格子111の材質は金属であることが好ましく、特に限定されるものではないが、ステンレスであることは好ましい一例である。アルミニウム又はアルミニウム合金であってもよいが、その強度やより地面に接する時間が長いため腐食性がより高い金属であることが好ましいためである。
【0024】
また、床枠11の金属枠112の材質についても特に限定されず、上記格子111と同様の材質を採用することができる。
【0025】
また、本床枠11の形状、具体的に金属枠112が形成する形状は、設置する場所により適宜調整可能であり限定されるわけではないが、多角形、より具体的には四角形であることが好ましい。四角形とすることで設置場所に無駄がなく、また格子枠の面の数を最低限程度に抑えることが可能となるといった利点がある。
【0026】
また、本捕獲罠1において、一対の側壁格子枠12は、上記の通り、床枠11に対して略垂直に立てられ、奥壁格子枠13とともに、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0027】
一対の側壁格子枠12は、上記のように、床枠11が多角形である場合に、側壁を形成する枠材である。さらに具体的に一対の側壁格子枠12は、それぞれ、格子121と、この格子121を囲う金属枠122を有して構成されている。これにより、格子構造を採用するとともに、組立及び固定がより容易になるといった利点がある。側壁格子枠12は、格子を用いることで、動物侵入領域Rの閉塞感を抑え、動物に与える警戒感を軽くすることが可能となるとともに、本捕獲罠1全体の重量を軽く抑えることができ、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることでこの効果がより顕著となる。
【0028】
また、本捕獲罠1において、限定されるわけではないが、床枠11には、一対の側壁格子枠12を自立させるための自立溝113が形成されていること、より具体的には金属枠112に設けておくことが好ましい。この部分的な拡大図について図3に示しておく。本図のように、床枠11に自立溝113を設けることで、組立者が一対の側壁格子枠12から手を離したとしても一対の側壁格子枠12をそのまま自立させることが可能となる。これにより、たとえ組立者が一人であっても、本捕獲罠1を組み立てることが可能となる。
【0029】
また、本捕獲罠1において、奥壁格子枠13は、上記の通り、床枠11に対して略垂直に立てられ、一対の側壁格子枠12とともに、開口部Oを形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0030】
また、本捕獲罠1の奥壁格子枠13は、上記の側壁格子枠12と同様の構造を採用することが可能である。より具体的には、格子131と、この格子131を囲う金属枠132を有して構成されている。これにより、格子構造を採用するとともに、組立及び固定がより容易になるといった利点がある。奥壁格子枠13は、格子を用いることで、動物侵入領域Rの閉塞感を抑え、動物に与える警戒感を軽くすることが可能となるとともに、本捕獲罠1全体の重量を軽く抑えることができ、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることでこの効果がより顕著となる。特に、開口部Oから見た場合に、奥壁が格子となっているためその先の見通しが可能となり、動物に対する警戒感を低減させることがより可能となる。
【0031】
また、本捕獲罠1において、上部格子枠14は、上記の通り、一対の側壁格子枠12及び奥壁格子枠13の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0032】
また、本捕獲罠1において、上部格子枠14の構造も、上記一対の側壁格子枠12や奥壁格子枠13と同様の構造を採用することができる。具体的には、格子141と、この格子141を囲う金属枠142を有して構成されている。これにより、格子構造を採用するとともに、組立及び固定がより容易になるといった利点がある。奥壁格子枠13は、格子を用いることで、動物侵入領域Rに対して光を透過させることが可能となり、動物侵入領域Rの閉塞感を抑え、動物に与える警戒感を軽くすることが可能となるとともに、本捕獲罠1全体の重量を軽く抑えることができ、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることでこの効果がより顕著となる。
【0033】
また、本捕獲罠1において、一対の第一のレール15は、上記の通り、開口部Oを形成する一対の側壁格子枠12に沿って配置されるものである。またレール15は、後述するように、落下枠16をスライドさせるためのものである。なお、ここで「第一の」とは、後述する第二のレールと部材が異なるため、これを区別するために用いる助詞であり、これ以外に特別な技術的な意味を含むものではない。
【0034】
一対の第一のレール15は、対向する一対の面側に溝が形成されており、この溝に後述の落下枠16がはめ込まれる。また一対の第一のレール15の高さは、落下枠16をスライドして落とす必要があるため、一対の側壁格子枠12の高さの1.5倍以上2.5倍以下の長さであることが好ましい。1.5倍以上とすることで、十分な高さの開口部Oを確保した状態で落下枠16を維持することが可能となり、2.5倍以下とすることで不必要な高さとせず省材料化を図ることができる。
【0035】
また、一対の第一のレール15には、上部に、接続材151を備えていることが好ましい。接続材151を設けることで一対の第一のレール15の距離を確実に確保することができるとともに、落下枠16を維持するための支持部材を保持させることができるといった利点がある。
【0036】
また、本捕獲罠1において、落下枠16は、上記の通り、一対の第一のレール15に沿ってスライドし開口部Oを開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0037】
この落下枠16は、上記のとおり、一対の第一のレール15によってスライド可能に保持され、上にあげられた状態では開口部Oを形成する一方、落下した状態では開口部Oを閉じて侵入した動物を捕獲する檻とすることが可能である。なお、落下枠16が落ちた状態は上記図1のとおりであり、落下枠16が上がった状態の図について図4に示しておく。
【0038】
また、落下枠16の構造は、上記の側壁格子枠12等と同様の構造を採用することができるが、具体的には、格子161と、この格子161を囲う金属枠162を有して構成されている。これにより、格子構造を採用するとともに、組立及び固定がより容易になるといった利点がある。落下枠16にも格子を用いることで、光を透過させることが可能となり、本捕獲罠1全体の閉塞感を抑え、動物に与える警戒感を軽くすることが可能となるとともに、本捕獲罠1全体の重量を軽く抑えることができ、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることでこの効果がより顕著となる。
【0039】
また、この場合において、落下枠16は、第一のレール15に開けられた穴にピン152を差し入れることで上げられた状態で維持するようにしておくことが好ましい。本捕獲罠1を組み立てる際にこのピン152によって上がった状態を維持することで、後述の落下枠支持部材17の設定の有無にかかわらず落下枠16を上げられた状態で維持できる。これによってより安全に一人でも安心して組み立てることが可能になる。なお、本捕獲罠1を組み立て完成させた後はこのピン152を抜いておくことで本捕獲罠1に動物が侵入した場合落下枠支持部材17の動作に応じて落下枠16を落下させることができる。
【0040】
ところで、本捕獲罠1の第一のレール15に、落下枠16が落下した場合に、再び落下枠16が上がってしまわないように上がり防止部材19を設けておくことが好ましい。この例について図5に示しておく。上がり防止部材19は、上記の通り、第一のレール15に回転可能に接続されており、落下枠16が上がっている状態では、この落下枠16に接して凭れ掛っている一方、落下枠16が落下した場合は、落下枠16の上部に自重によってその一部が回転移動し、この上部にこの一部が乗ることとなり、落下枠16を上げようとしても、この上がり防止部材19を手に取り直接回転させない限り、それ以上回転せず、落下枠16を上げることができない構造となっている。この構造については特に限定されるわけではないが、本図で示すように、少し先端が開いた略コの字状とした部材の二つある角部の一部をピンなどで第一のレール15に回転可能に接続しておくことで実現が可能である。
【0041】
また、本捕獲罠1において、落下枠支持部材17は、上記の通り、落下枠16を開口状態で保持するとともに、所定の条件により落下枠16の保持を解除して落下枠を落下させるものである。
【0042】
また、本捕獲罠1において、限定されるわけではないが、図6に落下枠支持部材17の概略を示しておく。落下枠支持部材17は、一対の側壁格子枠12、上部格子枠14及び奥壁格子枠13の少なくともいずれかに配置される中継部材171と、一対の側壁格子枠12において張られ、一端が中継部材に接続される第一の紐部材172と、中継部材と落下枠を接続する第二の紐部材173と、を有する。なお本捕獲罠1では、中継部材171は上部格子枠14に配置された例を示している。本捕獲罠1では、中継部材171を設けることで、落下枠16の支持と第一の紐部材172によって形成される仕掛部分を分離することが可能となり、その操作性が大きく向上する。
【0043】
また本捕獲罠1において落下枠支持部材17の中継部材171の構造は、第一の紐部材172が引っ張られることで第二の紐部材を開放して落下枠16を落下させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、少なくとも一方に貫通孔17111が形成された一対の基材1711と、貫通孔17111に挿入される挿入ピン1721と、挿入ピン1721に対して付随する弾性部材1713と、を有しており、この挿入ピン1721に後述の第一の紐部材172を接続させることが好ましい。このようにすることで、第一の紐部材172が引っ張られていない状態では基材1711の一方に挿入ピン1721の先端がしっかりと当たっており、隙間がなく第二の紐部材173等をしっかりと保持できる一方、第一の紐部材172を引っ張ると挿入ピン1721も引っ張られこの先端に隙間が形成され、第二の紐部材173を開放することができるようになる。
【0044】
また、本捕獲罠1の第一の紐部材172は、上記の通り、仕掛部分となる。より具体的には、一端が中継部材171に接続され、他方の端が側壁格子枠12に固定されて張られている。より具体的に第一の紐部材172は、床枠11の奥壁格子枠13側に張られ、床枠11内の奥壁格子枠13側に捕獲対象の動物が入った場合、この第一の紐部材172が引っ掛かり引っ張られるようになっている。そして、この第一の紐部材172が引っ張られた場合、中継部材171、より具体的には上記の通り挿入ピン1721に力が伝わり、第二の紐部材173を開放し、落下枠16を落下させる。
【0045】
なお、第一の紐部材172の材質は特に限定されず、様々な部材を採用することができる。例えば合成樹脂によって構成された紐であることは耐候性等の観点から好ましい。
【0046】
また、上記の記載から明らかでもあるが、第二の紐部材173は、一方の端が落下枠16に接続され、他方の端が中継部材171、より具体的には挿入ピン1721に接続されている。また第二の紐部材173の他方の端ではリング1731が設けられておりこのリング1731に上記の挿入ピン1712が貫通するように配置されている。これにより、挿入ピン1721の先端が基材1711にしっかりと当たっている場合は、リング1731はしっかりと中継部材171に固定されており、落下枠16を上げた状態で維持することができる。一方、第一の紐部材172が引っ張られると挿入ピン1721の先端と基材1711の間に間隙が形成され、リング1731が抜け、第二の紐部材173を開放し、落下枠16を落下させることができる。
【0047】
また、本捕獲罠1において、限定されるわけではないが、奥壁格子枠13に沿って配置される一対の第二のレール、及び、一対の第二のレールに沿ってスライドし、落下させることで奥壁格子枠13を覆う遮蔽板と、を有することが好ましい。
【0048】
さらに、本捕獲罠1では、さらに、第三の紐部材174を備えていることも好ましい。第三の紐部材174は、一方の端が上記第二の紐部材173のリング1731に接続されており、他方の端がピン1741となっており、上記の遮蔽板に設けられる貫通孔に挿入されている。これにより、遮蔽板はピン1741によって上がった状態とすることができる。そして、第一の紐部材が引っ張られると上記の第二の紐部材173のリング1731が解放される。この結果、これに接続される第三の紐部材174も解放されるとともに第二の紐部材173が落下枠16に引っ張られるに伴い第三の紐部材174も引っ張られ、遮蔽板からピン1741が引き抜かれ、遮蔽板を落下させる。落下枠16が上がった状態では遮蔽板も上がっており、動物は本捕獲罠1の向こう側を見通すことができ、警戒感を抑えることができる一方、動物が捕獲罠にかかった場合は遮蔽板を落とすことで視界を制限し、不必要な「暴れ」を防止することができる。
【0049】
また、本捕獲罠1において、限定されるわけではないが、床枠、一対の側壁格子枠、奥壁格子枠、及び、落下枠は互いに分離・組立可能であることが好ましい。この組み立て及び分解について図7を用いて説明する。
【0050】
まず、使用者は、床枠11を設置し、次に一対の側壁格子枠12を床枠11に対して立てて設置し、ビス等で固定する。なお、上記の通り、床枠11には一対の側壁格子枠12を自立させるための自立溝113が形成されているため、この自立溝113に側壁格子枠12を自立させることが可能である。なお、側壁格子枠12がアルミニウムで構成されている場合、非常に軽く一人でも作業可能である。
【0051】
そして、次に、一対の側壁格子枠12を設置した後、この上に上部格子枠14を設置し、ビスなどで固定する。これにより、天井を形成できる。また、この場合においても、上部格子枠14がアルミニウムで構成されている場合、非常に軽く一人でも作業可能である。
【0052】
そして次に、奥側格子枠13を設置し、ビスなどで固定する。これにより、開口部の一方をふさぐことができる。なお、この設置の後、第二のレール及び遮蔽板を設置することで、奥側の仕組みを完成させることが可能となる。また、この場合においても、奥側格子枠13がアルミニウムで構成されている場合、非常に軽く一人でも作業可能である。
【0053】
そして次に、第一のレール15及び落下枠16を一方の開口部Oに設置する。これにより落下枠16を配置することができる。なお、この場合においても、第一のレール及び落下枠がアルミニウムで構成されている場合、非常に軽く、一人でも作業が可能である。
【0054】
以上の構成により、本捕獲罠1はたとえ一人であっても分離・組立が容易になる。
【0055】
ところで、本捕獲罠1では、さらに動物を本捕獲罠1内に侵入させやすくするための餌容器18を備えていることも好ましい。このイメージを図8に示しておく。この餌容器18は、側壁格子枠12又は奥側格子枠13の格子の隙間から本捕獲罠1内に挿入できる。なおこの餌容器の構成は、限定されるわけではないが、例えば図7で示すように、基台181と、この基台上に構成される餌器182を備えていることが好ましい。また基台182には、床枠11に固定するための一対の突起183を両端に備えていることが好ましく、さらに、本捕獲罠1の側壁格子枠12及び奥壁格子枠13の外側から上記の突起184を側壁格子枠12及び奥壁格子枠13をはさんで固定することで、本捕獲罠1内に入らずとも、簡単に罠内に餌を簡単に設置することが可能となるといった利点がある。
【0056】
またところで、本捕獲罠1の餌容器18、より好ましくは餌器182には、本捕獲罠1に侵入した動物の注意を引くための錯視絵を付しておくことが好ましい。錯視絵は、静止絵でありながら、その絵が動いているように見えるため、動物が興味を持って近づく効果を得ることができる。そして近づくことで本捕獲罠1内の動物が紐部材に触れ、落下枠16を落とすことができる。
【0057】
また、図2で示すように、本輸送檻2は、動物侵入領域を形成する床枠21と、床枠21に対して略垂直に立てられ、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される一対の側壁格子枠22及び奥壁格子枠23と、一対の側壁格子枠22及び奥壁格子枠23の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される上部格子枠24と、開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成される開閉枠25と、一対の側壁格子枠22に少なくとも四個配置される回転把持棒26と、を有するものである。
【0058】
また、本輸送檻2は、上記の通り、動物侵入領域を形成する床枠21を有する。
【0059】
また、本輸送檻2における一対の側壁格子枠22は、上記の通り、床枠21に対して略垂直に立てられ、奥壁格子枠23と組み合わされて開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0060】
また、本輸送檻2における奥壁格子枠23は、上記の通り、床枠21に対して略垂直に立てられ、一対の側壁格子枠22と組み合わされて開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0061】
また、本輸送檻2における上部格子枠24は、上記の通り、一対の側壁格子枠22及び奥壁格子枠23の少なくともいずれかによって支えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0062】
また、本輸送檻2において開閉枠25は、上記の通り、開口部を開閉するアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものである。
【0063】
また、本輸送檻2において、限定されるわけではないが、開閉枠25は、両開戸であることが好ましい。本輸送檻2の閉状態における図は上記図2のとおりであるが、開状態に置ける図を図9に示しておく。両開戸とすることで、開口部の両側に開閉枠25が存在することとなるため、本捕獲罠1の開口部Oとの大きさに違いがある場合、より具体的には本捕獲罠1の開口部Oが本輸送檻2の開口部より大きい場合でも隙間を開けることがなく、捕獲した動物が逃げてしまうことを防止することが可能となる。なお、ここで開閉枠25は、片開戸であってもよい。この場合のイメージを図10に示しておく。
【0064】
また、本輸送檻2における奥壁格子枠23は、上記の通り、開口部を形成しつつ配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されるものであり、本図ではヒンジ等の部材により開閉可能に固定されているが、開閉可能とせずに常に閉じた状態となるよう固定されていてもよい。
【0065】
また、本輸送檻2において、回転把持棒26は、上記の通り、一対の側壁格子枠22に少なくとも四個配置されるものである。この回転把持棒26の部分拡大図について図11に示しておく。
【0066】
本輸送檻2において、回転把持棒26は、未使用時においては、回転把持棒26を略垂直方向に立てておき、保管時や動物捕獲罠から動物を移動させる際に邪魔にならないようにしておく一方、持ち運びの際には、回転把持棒26をその回転中心261を中心に回転させ、横に倒して把持するための棒として使用することができる。なお、この回転把持棒26を4か所としているのは、二人で持ち運びを作業する際、それぞれの者が両手で一本ずつ回転把持棒26を把持できるようにするためである。
【0067】
また、本輸送檻2においては、回転把持棒26は、本図で示されるように、下側の棒部分262を把持するように手前に回転させる一方、上側の棒部分263を奥側に倒す。一方で本輸送檻2の側壁格子枠22には回転把持棒26の上側の棒部分263を受ける受け部材264が備えられており、これが回転把持棒26の回転のストッパーとなる。これにより、使用しないときは略垂直方向に立てて邪魔にならないようにする一方、本輸送檻2を持ち上げる場合は、回転把持棒26を回転させて受け部材264によって突出させて把持しやすくする。これにより、より安全に運ぶことが可能となる。
【0068】
以上、本発明によると、より少人数で設置、野生動物捕獲、野生動物輸送が可能となる動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットを提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、動物捕獲罠、動物輸送檻及び動物捕獲輸送セットとして産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11