(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184536
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】呼吸マスクシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20231221BHJP
A61M 16/00 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/00 305A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175326
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020534379の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,162
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】マクラーレン マーク アーヴィンド
(72)【発明者】
【氏名】ハダート ブレット ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハマー イェルーン
(72)【発明者】
【氏名】スライト マシュー ロバート ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】カペレヴィッチ ヴィタリー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス デイヴィッド モンロイ
(57)【要約】
【課題】改善された呼吸マスクを提供すること。
【解決手段】マスクアセンブリはマスクインターフェース及びヘッドギアアセンブリを含む。マスクインターフェースは、ハウジングと、使用時に使用者の鼻及び/又は口の周囲をシールするシールとを含む。ヘッドギアアセンブリは、使用時に使用者の顔面にマスクインターフェースを固定する。ヘッドギアアセンブリは、頂部ストラップ、後部セクション及びサイドアームを含むことができる。頂部ストラップは手動で調整可能であり得る。後部セクションは、マスクアセンブリの装着及び/又は取り外しを可能にするように一時的に拡張され得る。サイドアームは自動的に調整可能であり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジングに結合されたシールとを備えるマスクインターフェースであって、前記シールは使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている、マスクインターフェースと、
4つの場所で前記マスクインターフェースに結合され、少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構を備えるヘッドギアアセンブリであって、前記少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構のうちの1つが、使用時に前記使用者の顔面の各側に配置される、ヘッドギアアセンブリと、
を備える呼吸マスクアセンブリ。
【請求項2】
前記マスクインターフェースはフルフェースマスクであり、前記シールは使用時に前記使用者の鼻及び口を覆うように構成されている、請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項3】
取り外し可能なフレームをさらに備える、請求項1又は2に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項4】
前記取り外し可能なフレームは、2つの上部ヘッドギアコネクタアームと2つの下部ヘッドギアコネクタアームとを備え、前記上部アームの各々に、ヘッドギアの上部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができ、前記下部アームの各々に、前記ヘッドギアの下部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができる、請求項3に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項5】
前記フレームは、頂縁部と2つの対向する側縁部とを備え、前記頂縁部及び前記側縁部の各々は連続弧をたどる、請求項3又は4に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項6】
前記フレームは、形状が概して四辺形であり、各々が上縁部、下縁部及び側縁部を有する正面及び背面を備え、前記2つの下部ヘッドギアコネクタアームは、前記正面の前記下縁部に、前記下縁部に隣接して、又は前記下縁部から間隔を空けて、前記背面から延在している、請求項4又は5に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項7】
前記フレームは、前記フレームの前記背面の一部分によって画定される空間内に位置決めされたガス経路を備える、請求項6に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項8】
前記フレーム及び前記ガス経路は一体化されて単一構成要素を形成している、請求項7に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項9】
前記正面は湾曲し、実質的に平滑である、請求項6~8のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項10】
前記フレームはインサート凹部を備え、各インサート凹部は、前記少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構のうちの1つを収納する、請求項6~9のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項11】
各インサート凹部は前記フレームの前記正面に形成されている、請求項10に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項12】
各インサート凹部は、棚部と、口部と、チャンバと、及び非貫通端部で終端するチャネルとを備える、請求項10又は11に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項13】
各インサート凹部は、前記フレームの前記側縁部に沿って延在している、請求項10~12のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項14】
各インサート凹部は、1つの自動調整ヘッドギア機構の制御機構及び関連するフィラメントを収納する、請求項10~13のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項15】
各インサート凹部内にインサートが挿入され得る、請求項10~14のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項16】
前記インサートは、前記インサート凹部内に挿入され、少なくとも凹状部分と係合し、前記インサート凹部内に密閉空間を形成するカバーを提供する、請求項15に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項17】
使用時、前記ヘッドギアの動きと前記自動調整ヘッドギア機構の動作とによって指示されるように、前記フィラメントは前記インサート凹部内で長手方向に移動することができ、前記フィラメントの自由端部は前記インサート凹部の前記非貫通端部に向かって且つ前記非貫通端部から離れるように移動することができる、請求項14~16のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項18】
各インサートは位置合わせ特徴部を備える、請求項16又は17に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項19】
前記インサートが前記フレームと係合すると、前記位置合わせ特徴部は、前記チャンバ内に位置決めされ、前記自動調整ヘッドギア機構を動作のために正確に方向付けるように向けられる、請求項15~18のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項20】
ハウジングと前記ハウジングに結合されたシールとを備えるマスクインターフェースであって、前記シールは、使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている、マスクインターフェースと、
前記マスクインターフェースに結合されたヘッドギアアセンブリであって、
2つの上部自動調整ヘッドギア機構及び2つの下部自動調整ヘッドギア機構であって、前記上部自動調整ヘッドギア機構及び前記下部自動調整ヘッドギア機構の各々のうちの1つが使用時に前記使用者の顔面の各側に配置され、前記下部自動調整ヘッドギア機構の各々の制御機構を収納するコネクタが、使用時に前記使用者の耳のうちの一方の後方に配置されるように構成されている、上部自動調整ヘッドギア機構及び下部自動調整ヘッドギア機構、
前記マスクインターフェースから延在する2つの上部サイドストラップ、及び
弾性部分を備え前記マスクインターフェースから延在する2つの下部サイドストラップ
を備えるヘッドギアアセンブリと、
を備える呼吸マスクアセンブリ。
【請求項21】
前記上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタは、使用時に前記使用者の耳の上方に配置されるように構成されている、請求項20に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項22】
前記上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構は、ヨーク内に配置され、前記ヨークは、使用時に前記ハウジングに取り外し可能に結合されるように構成された前記ヘッドギアアセンブリの2つの上部サイドストラップに結合されている、請求項20に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項23】
使用時に前記使用者の頭部を横切って延在するように構成された前記ヘッドギアアセンブリの頂部ストラップに沿って延在する、少なくとも1つの上部格納スリーブをさらに備え、前記少なくとも1つの上部格納スリーブは、前記2つの上部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている、請求項20に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項24】
使用時に前記使用者の頭部の後部に位置決めされるように構成された前記ヘッドギアアセンブリの後部セクションに沿って延在する、少なくとも1つの下部格納スリーブをさらに備え、前記少なくとも1つの下部格納スリーブは、前記2つの下部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている、請求項20に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項25】
前記ヘッドギアアセンブリは後部セクションをさらに備え、前記後部セクションは、剛性上部セクション又はストラップと一時的に拡張可能な下部セクションとを備える、請求項20に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項26】
前記下部セクションは弾性材料を含む、請求項25に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項27】
前記下部セクションは、少なくとも1つの磁石を備える第1のセクションと、少なくとも1つの磁石を備える第2のセクションとを備え、前記第1のセクション及び前記第2のセクションの前記磁石は、互いに引き付け合って、前記第1のセクション及び前記第2のセクションを前記下部セクションの閉鎖位置で接続し、前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、前記磁石の間の磁力より大きい力を加えることにより、前記マスクアセンブリの装着及び/又は取り外しのために分離され得る、請求項25に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項28】
前記下部セクションは折り畳み式接続部を備える、請求項25に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項29】
前記下部セクションは第1のレール及び第2のレールを備え、前記第1のレール及び前記第2のレールは、互いにオーバーラップするとともにインターロックし、互いに対して摺動するように構成されており、前記第1のレール及び前記第2のレールは、前記下部セクションを一時的に長くするように、前記第1のレールと前記第2のレールとの間のオーバーラップを低減させるように互いに対して摺動するように構成されている、請求項25に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項30】
前記下部セクションは、オスコネクタを備える第1の部分と、前記オスコネクタを受け入れるように構成されたメスコネクタを備える第2の部分とを備え、前記オスコネクタは、前記下部セクションを一時的に長くするように前記メスコネクタから取り外されるように構成されている、請求項25に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項31】
呼吸マスクアセンブリ用のヘッドギアアセンブリであって、
2つのサイドストラップであって、前記2つのサイドストラップのうちの1つが使用時に使用者の顔面の各側に配置され、前記サイドストラップの各々は、上方部分及び下方部分を有する単一の連続ストラップを含み、各上方部分は前記ヘッドギアアセンブリの上部セクションに接続され、各下方部分は前記ヘッドギアアセンブリの下部セクションに接続される、サイドストラップと、
前記サイドストラップの各々の一端に結合された、自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタと、
前記サイドストラップの各々の少なくとも一部分を通って延在するフィラメントと、
を備える、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項32】
前記ヘッドギアアセンブリの前記上方部分は、使用時に前記使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップと、使用時に前記使用者の頭部の後部を横切って延在するように構成された上部後部ストラップとを備える、請求項31に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項33】
前記頂部ストラップに沿って延在する格納スリーブであって、前記フィラメントのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている格納スリーブをさらに備える、請求項32に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項34】
各コネクタは、前記頂部ストラップの端部及び前記上部後部ストラップの端部に結合されている、請求項32に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項35】
前記ヘッドギアアセンブリの前記下部セクションは、使用時に前記使用者の首の後部に沿って延在するように構成された調整可能下部後部セクションを備える、請求項31に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項36】
前記2つのサイドストラップの各々は、前記マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に結合されている、請求項31に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項37】
前記2つのサイドストラップの各々は、前記マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に形成された通路を通って延在している、請求項31に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項38】
各サイドストラップは、そのそれぞれの通路内で摺動して、前記上方部分及び前記下方部分の相対的な長さを調整するように構成されている、請求項37に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項39】
前記サイドストラップの各々に結合された閉鎖要素であって、各閉鎖要素は、前記通路内の前記サイドストラップの摺動を制限して、前記下方部分の最小長さを維持するように構成されている、閉鎖要素をさらに備える、請求項38に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項40】
前記閉鎖要素は、前記サイドストラップ内の前記フィラメントの移動を制限しない、請求項39に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項41】
ヘッドギアアセンブリであって、
上部ヘッドギアループ、
下部ヘッドギアループ、及び
使用時に使用者の顔面の各側で、前記上部ヘッドギアループ及び前記下部ヘッドギアループを結合するサイドストラップ
を備えるヘッドギアアセンブリと、
前記サイドストラップに結合されたマスクインターフェースであって、前記サイドストラップの長さに沿った前記マスクインターフェースの位置は、前記下部ヘッドギアループに対する前記上部ヘッドギアループの長さを調整するように調整されるように構成されている、マスクインターフェースと、
を備える、呼吸マスクアセンブリ。
【請求項42】
前記ヘッドギアアセンブリは、使用時に前記使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップであって、前記上部ヘッドギアループの対向する側の間に延在し且つそれらを接続する、頂部ストラップを備える、請求項41に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項43】
前記サイドストラップは弾性である、請求項41に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項44】
各サイドストラップは、前記上部ヘッドギアループ及び前記下部ヘッドギアループの一部分を形成する、請求項41に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願に対する参照による援用
本出願に関連して外国又は国内の優先権の主張がなされるあらゆる出願は、参照により本明細書に組み込まれ、本開示の一部とされる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、呼吸療法を患者に送達するための呼吸マスクシステムに関する。詳細には、本開示は、呼吸マスクシステムの様々な構成要素に関する。
【0003】
呼吸マスクは、複数の呼吸器疾患又は症状のいずれかを患っている人の気道に呼吸療法を提供するために使用される。そのような療法は、限定されるものではないが、持続気道陽圧(CPAP)療法及び非侵襲的換気(NIV)療法を含むことができる。
【0004】
CPAP療法は、睡眠中に患者の気道が断続的に塞がり、一定期間にわたって患者が呼吸できなくなる症状である閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために使用することができる。呼吸の中断、すなわち無呼吸の結果、患者は、目を覚ます。反復的且つ頻繁な無呼吸の結果、患者は、体力を回復させる十分な夜間の睡眠をごく稀にのみ実現するようになる可能性がある。
【0005】
CPAP療法は、呼吸マスクを介して患者の気道に持続陽気圧の供給を送達することを伴う。持続陽圧は、患者の気道内で添え木として作用し、患者の呼吸及び睡眠が妨げられないように気道を開放位置で固定する。
【0006】
呼吸マスクは、典型的には、患者インターフェース及びヘッドギアを含み、患者インターフェースは、患者の鼻及び/又は口内又はその周りに気密シールを形成するシール又はクッションを介して患者の気道に持続陽気圧の供給を送達するように構成される。呼吸マスクは、フルフェース、鼻、直接鼻及びオーラルマスクを含む多様な様式で入手可能であり、鼻及び/又は口との気密シールを形成する。シール又はクッションは、ヘッドギアによって患者の顔で定位置に保持される。気密シールを維持するため、ヘッドギアは、使用中に患者インターフェースが患者の顔に対して安定した位置に保持されるように、患者インターフェースへの支援を提供しなければならない。そのような呼吸マスクは、NIV及び他の療法を送達するために使用することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、
ハウジングとハウジングに結合されたシールとを備えるマスクインターフェースであって、シールは使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている、マスクインターフェースと、
4つの場所でマスクインターフェースに結合され、少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構を備えるヘッドギアアセンブリであって、少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構のうちの1つが、使用時に使用者の顔面の各側に配置される、ヘッドギアアセンブリと、
を備える呼吸マスクアセンブリに関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、
ハウジングとハウジングに結合されたシールとを備えるマスクインターフェースであって、シールは、使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている、マスクインターフェースと、
マスクインターフェースに結合されたヘッドギアアセンブリであって、
2つの上部自動調整ヘッドギア機構及び2つの下部自動調整ヘッドギア機構であって、上部自動調整ヘッドギア機構及び下部自動調整ヘッドギア機構の各々のうちの1つが使用時に使用者の顔面の各側に配置され、下部自動調整ヘッドギア機構の各々の制御機構を収納するコネクタが、使用時に使用者の耳のうちの一方の後方に配置されるように構成されている、上部自動調整ヘッドギア機構及び下部自動調整ヘッドギア機構、
マスクインターフェースから延在する2つの上部サイドストラップ、及び
弾性部分を備えマスクインターフェースから延在する2つの下部サイドストラップ
を備えるヘッドギアアセンブリと、
を備える呼吸マスクアセンブリに関する。
【0009】
別の態様では、本発明は、呼吸マスクアセンブリ用のヘッドギアアセンブリに関し、ヘッドギアアセンブリは、
2つのサイドストラップであって、2つのサイドストラップのうちの1つが使用時に使用者の顔面の各側に配置され、サイドストラップの各々は、上方部分及び下方部分を有する単一の連続ストラップを含み、各上方部分はヘッドギアアセンブリの上部セクションに接続され、各下方部分はヘッドギアアセンブリの下部セクションに接続される、サイドストラップと、
サイドストラップの各々の一端に結合された、自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタと、
サイドストラップの各々の少なくとも一部分を通って延在するフィラメントと、
を備える。
【0010】
別の態様では、本発明は、
ヘッドギアアセンブリであって、
上部ヘッドギアループ、
下部ヘッドギアループ、及び
使用時に使用者の顔面の各側で、上部ヘッドギアループ及び下部ヘッドギアループを結合するサイドストラップ
を備えるヘッドギアアセンブリと、
サイドストラップに結合されたマスクインターフェースであって、サイドストラップの長さに沿ったマスクインターフェースの位置は、下部ヘッドギアループに対する上部ヘッドギアループの長さを調整するように調整されるように構成されている、マスクインターフェースと、
を備える、呼吸マスクアセンブリに関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、マスクインターフェースはフルフェースマスクであり、シールは使用時に使用者の鼻及び口を覆うように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、取り外し可能なフレームをさらに備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、取り外し可能なフレームは、2つの上部ヘッドギアコネクタアームと2つの下部ヘッドギアコネクタアームとを備え、上部アームの各々に、ヘッドギアの上部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができ、下部アームの各々に、ヘッドギアの下部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、フレームは、頂縁部と2つの対向する側縁部とを備え、頂縁部及び側縁部の各々は連続弧をたどる。
【0015】
いくつかの実施形態では、フレームは、形状が概して四辺形であり、各々が上縁部、下縁部及び側縁部を有する正面及び背面を備え、2つの下部ヘッドギアコネクタアームは、正面の下縁部に、下縁部に隣接して、又は下縁部から間隔を空けて、背面から延在している。
【0016】
いくつかの実施形態では、フレームは、フレームの背面の一部分によって画定される空間内に位置決めされたガス経路を備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、フレーム及びガス経路は一体化されて単一構成要素を形成している。
【0018】
いくつかの実施形態では、正面は湾曲し、実質的に平滑である。
【0019】
いくつかの実施形態では、フレームはインサート凹部を備え、各インサート凹部は、2つの自動調整ヘッドギア機構のうちの1つとそれらの関連する構成要素とを収納する。
【0020】
いくつかの実施形態では、各インサート凹部はフレームの正面に形成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、各インサート凹部は、棚部分、口部、チャンバ、及び非貫通端部で終端するチャネルを備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、各インサート凹部は、フレームの側縁部に沿って延在している。
【0023】
いくつかの実施形態では、各インサート凹部は、1つの自動調整ヘッドギア機構の制御機構及び関連するフィラメントを収納する。
【0024】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリ、各インサート凹部内にインサートが挿入され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、インサートは、インサート凹部内に挿入され、少なくとも棚部と係合し、インサート凹部内に密閉空間を形成するカバーを提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、使用時、ヘッドギアの動きと自動調整ヘッドギア機構の動作とによって指示されるように、フィラメントはインサート凹部内で長手方向に移動することができ、フィラメントの自由端部はインサート凹部の非貫通端部に向かって且つ非貫通端部から離れるように移動することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、各インサートは位置合わせ特徴部を備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、インサートがフレームと係合すると、位置合わせ特徴部は、チャンバ内に位置決めされ、自動調整ヘッドギア機構を動作のために正確に方向付けるように向けられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタは、使用時に使用者の耳の上方に配置されるように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構は、ヨーク内に配置され、ヨークは、使用時にハウジングに取り外し可能に結合されるように構成されたヘッドギアアセンブリの2つの上部サイドストラップに結合されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、使用時に使用者の頭部を横切って延在するように構成されたヘッドギアアセンブリの頂部ストラップに沿って延在する、少なくとも1つの上部格納スリーブをさらに備え、少なくとも1つの上部格納スリーブは、2つの上部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、使用時に使用者の頭部の後部に位置決めされるように構成されたヘッドギアアセンブリの後部セクションに沿って延在する、少なくとも1つの下部格納スリーブをさらに備え、少なくとも1つの下部格納スリーブは、2つの下部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリは後部セクションをさらに備え、後部セクションは、剛性上部セクション又はストラップと一時的に拡張可能な下部セクションとを備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、下部セクションは弾性材料を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、下部セクションは、少なくとも1つの磁石を備える第1のセクションと、少なくとも1つの磁石を備える第2のセクションとを備え、第1のセクション及び第2のセクションの磁石は、互いに引き付け合って、第1のセクション及び第2のセクションを下部セクションの閉鎖位置で接続し、第1のセクション及び第2のセクションは、磁石の間の磁力より大きい力を加えることにより、マスクアセンブリの装着及び/又は取り外しのために分離され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、下部セクションは折り畳み式接続部を備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、下部セクションは第1のレール及び第2のレールを備え、第1のレール及び第2のレールは、互いにオーバーラップするとともにインターロックし、互いに対して摺動するように構成されており、第1のレール及び第2のレールは、下部セクションを一時的に長くするように、第1のレールと第2のレールとの間のオーバーラップを低減させるように互いに対して摺動するように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、下部セクションは、オスコネクタを備える第1の部分と、オスコネクタを受け入れるように構成されたメスコネクタを備える第2の部分とを備え、オスコネクタは、下部セクションを一時的に長くするようにメスコネクタから取り外されるように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリの上方部分は、使用時に使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップと、使用時に使用者の頭部の後部を横切って延在するように構成された上部後部ストラップとを備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリは、頂部ストラップに沿って延在する格納スリーブであって、フィラメントのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている格納スリーブをさらに備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、各コネクタは、頂部ストラップの端部及び上部後部ストラップの端部に結合されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリの下部セクションは、使用時に使用者の首の後部に沿って延在するように構成された調整可能下部後部セクションを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、2つのサイドストラップの各々は、マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に結合されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、2つのサイドストラップの各々は、マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に形成された通路を通って延在している。
【0045】
いくつかの実施形態では、各サイドストラップは、そのそれぞれの通路内で摺動して、上方部分及び下方部分の相対的な長さを調整するように構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリは、サイドストラップの各々に結合された閉鎖要素であって、各閉鎖要素は、通路内のサイドストラップの摺動を制限して、下方部分の最小長さを維持するように構成されている、閉鎖要素をさらに備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、閉鎖要素は、サイドストラップ内のフィラメントの移動は制限しない。
【0048】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアアセンブリは、使用時に使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップであって、上部ヘッドギアループの対向する側面の間に延在しそれらを接続する頂部ストラップを備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、サイドストラップは弾性である。
【0050】
いくつかの実施形態では、各サイドストラップは、上部ヘッドギアループ及び下部ヘッドギアループの一部分を形成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、マスクインターフェース及びヘッドギアアセンブリを含む。マスクインターフェースは、ハウジングとハウジングに結合されたシールとを含む。シールは、使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている。ヘッドギアアセンブリは、4つの場所でマスクインターフェースに結合されている。ヘッドギアアセンブリは、少なくとも2つの自動調整ヘッドギア機構を含み、それらのうちの1つが、使用時に使用者の顔面の各側に配置される。マスクインターフェースはフルフェースマスクであり得、シールは使用時に使用者の鼻及び口を覆うように構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、マスクインターフェース及びヘッドギアアセンブリを含む。マスクインターフェースは、ハウジングとハウジングに結合されたシールとを含む。シールは、使用時に使用者の顔面でシールするように構成されている。ヘッドギアアセンブリは、2つの上部自動調整ヘッドギア機構及び2つの下部自動調整ヘッドギア機構を含み、上部自動調整ヘッドギア機構及び下部自動調整ヘッドギア機構の各々のうちの1つが使用時に使用者の顔面の各側に配置される。下部自動調整ヘッドギア機構の各々の制御機構を収納するコネクタが、使用時に使用者の耳のうちの一方の後方に配置されるように構成され得る。2つの上部サイドストラップがマスクインターフェースから延在している。2つの下部サイドストラップが、弾性部分を含み、マスクインターフェースから延在している。
【0053】
上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタを、使用時に使用者の耳の上方に配置されるように構成することができる。別法として、上部自動調整ヘッドギア機構の制御機構をヨーク内に配置することができ、ヨークは、ヘッドギアアセンブリの2つの上部サイドストラップに結合され、マスクインターフェースハウジングに取り外し可能に結合されるように構成されている。マスクアセンブリは、使用時に使用者の頭部を横切って延在するように構成された、ヘッドギアアセンブリの頂部ストラップに沿って延在する少なくとも1つの上部格納スリーブを含むことができる。少なくとも1つの上部格納スリーブは、2つの上部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている。マスクアセンブリは、ヘッドギアアセンブリの後部セクションに沿って延在する少なくとも1つの下部格納スリーブをさらに含むことができ、格納スリーブの少なくとも一部分は、使用時に使用者の頭部の後部に位置決めされる。少なくとも1つの下部格納スリーブは、2つの下部自動調整ヘッドギア機構のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのフィラメントの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成され得る。
【0054】
ヘッドギアアセンブリは、剛性上部セクションと一時的に拡張可能な下部セクションとを備える後部セクションをさらに含むことができる。剛性上部セクションはストラップを備えることができる。下部セクションは弾性材料を含むことができる。下部セクションは、少なくとも1つの磁石を備える第1のセクションと、少なくとも1つの磁石を備える第2のセクションとを含むことができ、第1のセクション及び第2のセクションの磁石は、互いに引き付け合って、第1のセクション及び第2のセクションを下部セクションの閉鎖位置で接続し、第1のセクション及び第2のセクションは、磁石の間の磁力より大きい力を加えることにより、マスクアセンブリの装着及び/又は取り外しのために分離され得る。下部セクションは折り畳み式接続部を含むことができる。下部セクションは第1のレール及び第2のレールを含むことができ、第1のレール及び第2のレールは、互いにオーバーラップするとともにインターロックし、互いに対して摺動するように構成されており、第1のレール及び第2のレールは、下部セクションを一時的に長くするように、第1のレールと第2のレールとの間のオーバーラップを低減させるように互いに対して摺動するように構成されている。下部セクションは、オスコネクタを含む第1の部分と、オスコネクタを受け入れるように構成されたメスコネクタを含む第2の部分とを含むことができる。オスコネクタは、下部セクションを一時的に長くするようにメスコネクタから取り外されるように構成されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリ用のヘッドギアアセンブリは、2つのサイドストラップと、サイドストラップの各々の一端に結合された、自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタと、サイドストラップの各々の少なくとも一部分を通って延在するフィラメントとを含む。2つのサイドストラップのうちの1つが、使用時に使用者の顔面の各側に配置される。サイドストラップの各々は、上方部分及び下方部分を有する単一の連続ストラップを含み、各上方部分はヘッドギアアセンブリの上部セクションに接続され、各下方部分はヘッドギアアセンブリの下部セクションに接続されている。
【0056】
ヘッドギアアセンブリの上方部分は、使用時に使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップと、使用時に使用者の頭部の後部を横切って延在するように構成された上部後部ストラップとを含むことができる。ヘッドギアアセンブリは、頂部ストラップに沿って延在し、フィラメントのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成された、格納スリーブを含むことができる。各コネクタは、頂部ストラップの端部及び上部後部ストラップの端部に結合され得る。ヘッドギアアセンブリの下部セクションは、使用時に使用者の首の後部に沿って延在するように構成された調整可能下部後部セクションを含むことができる。2つのサイドストラップの各々は、マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に結合され得る。2つのサイドストラップの各々は、マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に形成された通路を通って延在することができる。各サイドストラップは、そのそれぞれの通路内で摺動して、上方部分及び下方部分の相対的な長さを調整するように構成され得る。ヘッドギアアセンブリは、サイドストラップの各々に結合された閉鎖要素を含むことができ、各閉鎖要素は、通路内のサイドストラップの摺動を制限して、下方部分の最小長さを維持するように構成されている。閉鎖要素は、サイドストラップ内のフィラメントの移動は制限することができない。
【0057】
いくつかの実施形態では、呼吸マスクアセンブリは、ヘッドギアアセンブリ及びマスクインターフェースを含む。ヘッドギアアセンブリは、上部ヘッドギアループと、下部ヘッドギアループと、使用時に使用者の顔面の各側で、上部ヘッドギアループ及び下部ヘッドギアループを結合するサイドストラップとを含む。マスクインターフェースは、サイドストラップに結合され、サイドストラップの長さに沿ったマスクインターフェースの位置は、下部ヘッドギアループに対する上部ヘッドギアループの長さを調整するように調整されるように構成されている。
【0058】
ヘッドギアアセンブリは、使用時に使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップを含むことができ、頂部ストラップは、上部ヘッドギアループの対向する側面の間に延在しそれらを接続する。サイドストラップは弾性であり得る。サイドストラップは、上部ヘッドギアループ及び下部ヘッドギアループの一部分を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】使用者の上に示されているマスクインターフェース及びヘッドギアアセンブリを含むマスクアセンブリの実施形態例の側面斜視図である。
【
図2】使用者の上に示されている
図1のマスクアセンブリの背面斜視図である。
【
図3A】閉鎖状態にあるヘッドギアアセンブリの後部セクションを示す、使用者の上に示されている磁気接続部を含むヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図3B】開放状態にある後部セクションを示す、使用者の上に示されている
図3Aのヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図4A】閉鎖状態にあるヘッドギアアセンブリの後部セクションを示す、使用者の上に示されている折り畳み式接続部を含むヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図4B】開放状態にある後部セクションを示す、使用者の上に示されている
図4Aのヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図5A】閉鎖状態にある
図4Aのヘッドギアアセンブリの腕時計留め金(watch clasp)型接続部の底面図である。
【
図5B】開放状態にある
図5Aの腕時計留め金型接続部の底面図である。
【
図6A】閉鎖状態にあるヘッドギアアセンブリの後部セクションを示す、使用者の上の弾性スリーブ内にオーバーラップしているレールを含むヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図6B】開放状態にある後部セクションを示す、使用者の上に示されている
図6Aのヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図7A】閉鎖状態にある
図6Aのヘッドギアアセンブリのオーバーラップレール及び弾性スリーブの詳細図である。
【
図7B】開放状態にある
図7Aのオーバーラップレール及び弾性スリーブを示す。
【
図7C】
図7Aのオーバーラップレール及び弾性スリーブの断面図である。
【
図8A】閉鎖状態にあるヘッドギアアセンブリの後部セクションを示す、使用者の上に示されている剥離型接続部を含むヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図8B】開放状態にある後部セクションを示す、使用者の上に示されている
図8Aのヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図9A】開放状態にある
図8Aの剥離型接続部の斜視詳細図である。
【
図9B】閉鎖状態にある
図8Aの剥離型接続部の側断面図である。
【
図9C】閉鎖状態から開放状態への移行中の
図8Aの剥離型接続部の側断面図である。
【
図9D】開放状態にある
図8Aの剥離型接続部の背面断面図である。
【
図9E】閉鎖状態にある
図8Aの剥離型接続部の背面断面図である。
【
図9F】閉鎖状態にある
図8Aの剥離型接続部の背面図である。
【
図9G】閉鎖状態から開放状態への移行中の
図8Aの剥離型接続部の背面図である。
【
図10A】閉鎖状態にあるヘッドギアアセンブリの後部セクションを示す、使用者の上に示されている2つの剥離型接続部を含むヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図10B】開放状態にある後部セクションを示す、使用者の上に示されている
図10Aのヘッドギアアセンブリの背面図である。
【
図11A】開放状態にある
図10Aの剥離型接続部のうちの一方の斜視詳細図である。
【
図11B】閉鎖状態にある
図10Aのヘッドギアアセンブリの後部セクションの上面図である。
【
図11C】開放状態にある
図10Aのヘッドギアアセンブリの後部セクションの上面図である。
【
図12】自動調整可能機構を強調している、
図1のマスクアセンブリの側面斜視図である。
【
図13A】
図1のマスクアセンブリの装着プロセスの第1の段階を示す。
【
図13B】
図1のマスクアセンブリの装着プロセスの第2の段階を示す。
【
図14】マスクアセンブリの代替形態の側面-正面斜視図であり、ヘッドギアアセンブリの上部サイドストラップ及び下部サイドストラップがマスクインターフェースに取り外し可能に接続されている。
【
図17】
図14のマスクアセンブリの装着プロセスの第1の段階を示す。
【
図18】
図14のマスクアセンブリの代替的な装着プロセスの一段階の側面図である。
【
図19】代替的なマスクアセンブリの側面-正面斜視図である。
【
図21A】ドッキング位置にある
図19のマスクアセンブリの一部分を示す。
【
図21B】ドッキング位置にある
図19のマスクアセンブリの一部分を示す。
【
図22A】マスクアセンブリのヘッドギアアセンブリの下部後部セクションが最大サイズである、
図19のマスクアセンブリの背面図である。
【
図22B】マスクアセンブリのヘッドギアアセンブリの下部後部セクションが最小サイズである、
図19のマスクアセンブリの背面図である。
【
図23A】
図19のマスクアセンブリの装着プロセスの第1の段階を示す。
【
図25A】拡張状態にある自動ヘッドギア調整機構の概略図を示す。
【
図27A】自動ヘッドギア調整機構の代替実施形態を示す。
【
図27B】ヘッドギアアセンブリに組み込まれた
図27Aの自動ヘッドギア調整機構を示す。
【
図28】本明細書に示し記載するようなマスクアセンブリによって可能となる角度調整を示す。
【
図29】本明細書に示し記載するようなマスクアセンブリによって可能となる角度調整を示す。
【
図30】本明細書に示し記載するようなマスクアセンブリによって可能となる角度調整の力ベクトルを示す。
【
図31】取り外し可能フレームを含むマスクアセンブリの代替実施形態の正面図を示す。
【
図32】
図31のフレームを通して延在する自動調整可能ヘッドギア機構のフィラメントのための経路を示す。
【
図35】取り外し可能フレームを含むマスクアセンブリの代替実施形態の正面斜視図を示す。
【
図37】
図35のマスクアセンブリのフレームの正面側面斜視図を示す。
【
図38A】
図35のフレームであって、フレームに形成されたインサート凹部を備えるフレームの斜視図を示す。
【
図38B】
図35のフレームであって、フレームに形成されたインサート凹部を備えるフレームの斜視図を示す。
【
図38C】
図35のフレームであって、フレームに形成されたインサート凹部を備えるフレームの斜視図を示す。
【
図38D】
図35のフレームであって、フレームに形成されたインサート凹部を備えるフレームの斜視図を示す。
【
図39A】インサート凹部がインサートによって密閉されている、
図38Aの図に対応するフレームの斜視図を示す。
【
図39B】インサート凹部がインサートによって密閉されている、
図38Bの図に対応するフレームの斜視図を示す。
【
図39C】インサート凹部がインサートによって密閉されている、
図38Cの図に対応するフレームの斜視図を示す。
【
図41】自動調整ヘッドギア機構のハウジングを備える
図40のインサートの斜視図を示す。
【
図42】点線ボックスが自動調整ヘッドギア機構のハウジングの位置を示している、
図38A~
図38Dの左インサート凹部に対するインサートの背面斜視図を示す。
【
図43】点線ボックスがインサート内の自動調整ヘッドギア機構のハウジングの位置を示している、
図38A~
図38Dの左インサート凹部に対するインサートの正面斜視図を示す。
【
図44A】本明細書で用いる自動調整ヘッドギア機構の実施形態を示す。
【
図44B】本明細書で用いる自動調整ヘッドギア機構の実施形態を示す。
【
図44C】本明細書で用いる自動調整ヘッドギア機構の実施形態を示す。
【
図44D】本明細書で用いる自動調整ヘッドギア機構の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
ここで、組立て及び製造のシステム、構成要素及び方法の実施形態について添付の図を参照して説明する。これらの図全体にわたり、同様の番号は、同様又は類似の要素を指す。いくつかの実施形態、例及び例示について以下に開示するが、本明細書に記載する本発明は、具体的に開示する実施形態、例及び例示の範囲を超え、本発明の他の用途及び明らかな修正形態並びにそれらの均等物を含み得ることが当業者に理解されるであろう。本明細書に提示する説明で使用される術語は、本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明とともに使用されているという理由のみで、何らかの限定的又は制限的な形態で解釈されることを意図するものではない。追加として、本発明の実施形態は、いくつかの新規な特徴を含み得、いずれの単一の特徴もその所望の属性を単独で担うものではなく、本明細書に記載する本発明を実施するために不可欠であることもない。
【0061】
「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「背部」及び「側部」などの用語は、議論の対象である構成要素又は要素について説明する本文及び関連する図面を参照することによって明らかになる、一貫しているが任意の基準系内における構成要素又は要素の部分の向き及び/又は場所を示す。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、別個の構成要素について説明するために使用することができる。そのような術語は、具体的に上述した語句、それらの派生語及び同様に重要な語句を含むことができる。
【0062】
本開示は、患者への呼吸療法の送達のための呼吸マスクシステム又はマスクアセンブリ100に関する。例えば、
図1及び2は、マスクインターフェース102と、ヘッドギアアセンブリ200とを含むマスクアセンブリ100の例示的な実施形態を示す。マスクインターフェース102は、使用中に使用者の鼻及び/又は口の周囲をシールするシール又はクッション104と、シール104を支持し、シール104をヘッドギア200及び/又はガス送達導管110に結合するフレーム又はハウジング106とを含む。図示する実施形態では、マスクインターフェース102はフルフェースマスクであり、シール104は、使用時に使用者の鼻及び口をシールする。シール104は、使用時にハウジング106に取り外し可能に結合することができる。ハウジング106は、1つ又は複数の部分又は部品を備えることができる。例えば、ハウジング106は、シール104を直接支持する第1の部品と、ヘッドギア200を直接支持する第2の部分とを有することができる。第1の部品及び第2の部品は、互いに永久的に又は取り外し可能に結合することができる。ヘッドギア200は、使用時に使用者の顔面の好適な位置でマスクインターフェース102を支持する。
【0063】
ヘッドギア200は、一対の上部サイドストラップ202と、一対の下部サイドストラップと、頂部ストラップ206と、後部セクション208とを含む。一対の上部サイドストラップ202のうちの一方と一対の下部サイドストラップ204のうちの一方とは、使用時、使用者の頭部の各側に位置し、互いの鏡像であり得る。上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の各々は、使用時、マスクインターフェース102に力ベクトルを加える。したがって、ヘッドギア200は、4点ヘッドギアとみなすことができる。使用者の頭部の各側におけるサイドストラップ202及び204は、頂部ストラップ206及び後部セクション208によって互いに結合することができる。
【0064】
ヘッドギア200はまた、ヘッドギア200の各側に少なくとも1つのコネクタも含むことができる。各コネクタは、ヘッドギアアセンブリの2つ以上のストラップ又は部分を接続する。すなわち、各コネクタは、サイドストラップ202、204のうちの一方、後部セクション208及び頂部ストラップ206のうちの2つ以上を接続する。各コネクタは、ヘッドギア200の接合体又は接合要素を形成するようにみなすことができる。
図1及び
図2のヘッドギア200は、2つの上部コネクタ302(本明細書では上部サイドストラップコネクタとも呼ぶ)と2つの下部コネクタ304(本明細書では下部サイドストラップコネクタとも呼ぶ)とを含み、各々の一方は、ヘッドギア200の各側に位置している。したがって、ヘッドギア200の各側は、上部コネクタ302及び下部コネクタ304を含む。各コネクタ302、304は、マスクインターフェース102から離れる方向に配置又は位置決めされている。各上部コネクタ302は、使用時に使用者の耳の上方に配置されるように構成されている。図示する実施形態では、各上部コネクタ302は、上部サイドストラップ202のうちの一方、頂部ストラップ206及び後部セクション208、例えば本明細書に記載するような後部セクションの上部セクション210を接続する。各下部コネクタ304は、使用時に使用者の耳の下方及び/又は後方に配置されるように構成されている。各下部コネクタ304は、下部サイドストラップ204のうちの一方及び後部セクション208、例えば本明細書に記載するような後部セクション208の下部セクション212を接続する。
【0065】
各コネクタ302、304は、本明細書に記載するような自動調整ヘッドギア機構に関連付けられる。こうした自動調整ヘッドギア機構の例については、
図44A~
図44Dに関連して後に考察する。例えば、各コネクタ302、304は、自動調整ヘッドギア機構のうちの1つの制御機構を収納する。制御機構は、本明細書に記載するように、1つ又は複数のロック機構、例えば方向ロックを含むことができる。各コネクタ302、304は、それぞれの制御機構を受け入れ且つ/又は収納する概して中空の本体を有する。この本体は、剛性材料、又はシリコンなどの軟質材料から形成され得る。本体をシリコンから形成することにより、使用時に使用者の頭部とより快適に係合させることができる。コネクタ本体は、制御機構の上に、周囲に、又は周辺に合わせてクリップ留めされ又は他の方法で結合される2つの構成要素として形成され得る。別法として、コネクタ本体は、コネクタ本体を制御機構に又はその周囲にオーバーモールドすることによって形成され得る。別法として、コネクタ本体に、制御機構が挿入される開口部が形成され得る。この開口部の上でコネクタ本体にキャップを取り付けて、制御機構を密封することができる。コネクタ本体は、コネクタ本体の第1の端部及び第2の端部にアパーチャを含み、これらアパーチャにより、自動調整ヘッドギア機構のフィラメントが、コネクタ及び/又は制御機構のいずれかの端部からコネクタ及び/又は制御機構内に且つ/又はそこを通して延在することができる。
【0066】
図示する実施形態では、各上部サイドストラップ202は、マスクインターフェース102に接続された第1の端部と、上部サイドストラップコネクタ302のうちの一方に接続された第2の端部とを有する。各下部サイドストラップ204は、マスクインターフェース102に接続された第1の端部と、下部サイドストラップコネクタ304に接続された第2の端部とを有する。上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204は、
図1及び
図2並びに
図12に示すように、マスクインターフェース102に堅く、固定して、又は永久的に接続することができる。別法として、上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204は、マスクインターフェース102に取り外し可能に接続することができる。サイドストラップ202、204は、マスクインターフェース102の外側面に結合されている。これにより、有利に、ハウジング106の上方の且つ/又はハウジング106の中心を通る比較的明確且つ遮られない視界を可能にすることができる。比較的明確且つ遮られない視界は、患者の同床者に対して、より人間性が尊重され且つ/又は審美的に満足のいく外観を提示することができる。頂部ストラップ206は、上部サイドストラップコネクタ302の間に延在し、且つそれらに接続されている。後部セクション208は、上部サイドストラップコネクタ302と下部サイドストラップコネクタ304との間に延在し、且つそれらに接続されている。本明細書においてより詳細に記載するように、後部セクション208は、上部ストラップ又はセクション210と下部ストラップ又はセクション212とを含むことができる。上部ストラップ又はセクション210は2つの端部を含むことができ、それらは各々、上部サイドストラップコネクタ302のうちの一方に接続されている。下部ストラップ又はセクション212は2つの端部を含むことができ、それらは各々、下部サイドストラップコネクタ304のうちの一方に接続されている。上部ストラップ210及び下部ストラップ212は、垂直ストラップ又はセクションなどを介して相互接続することができる。
【0067】
ヘッドギア200は、ヘッドギア200の装着及び/又は取り外しを可能にするように、且つ/又はヘッドギア200を使用者に対して適切なサイズに調整することができるように、1つ又は複数の調整可能構成要素及び/又は調整機構を含む。例えば、頂部ストラップ206は、調整可能、例えば、図示する実施形態では手動で調整可能とすることができ、上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204は、調整可能、例えば、図示する実施形態では自動的に調整可能とすることができる。いくつかの実施形態では、後部セクション208は、マスクアセンブリ100の装着及び/又は取り外し中に一時的に拡張することができる。
【0068】
図示する実施形態では、頂部ストラップ206は、2つのストラップ部分、すなわち左部分214及び右部分216を備える。左部分214及び右部分216は、互いに分離しており、自由端部及び固定端部を有する。自由端部は、調整機構218によって調整可能に接続されるように構成されている。図示する実施形態では、固定端部の各々は、上部サイドストラップ202のうちの一方と後部セクション208との間の接合部における又はその近くの場所から延在している。
【0069】
調整機構218は、頂部ストラップ206を所望の調整長さに調整して固定し、したがって、ヘッドギア200のサイズ及び/又は締付設定を調整する手段を提供するように構成されている。頂部ストラップ206の長さの調整により、使用者の耳の頂部に対する上部サイドストラップ202の使用時の位置決めを規定することができる。頂部ストラップ206の長さを短くすることにより、上部サイドストラップ202を使用者の耳の上方でより高く位置決めすることができ、したがって、上部ストラップ202と使用者の耳との接触が回避される。これにより、使用者に対する快適さを向上させることができ、それは、上部サイドストラップ202と使用者の耳の頂部との接触により、経時的に褥瘡に至る可能性がある刺激又は圧点がもたらされる可能性があるためである。
【0070】
図示する実施形態では、右部分216の自由端部は、ガイドループ220と、ストラップの長さに沿って間隔を空けて配置されている複数の孔とを含む。孔は、頂部ストラップ206の厚さを通して延在している。左部分214の自由端部は、ストラップの内面から突出する突出部又は柱を含む。他の実施形態では、右部分216が代わりに突出部又は柱を含むことができ、左部分214がガイドループ及び複数の孔を含むことができる。
【0071】
ガイドループ220は、右部分216の端部にアパーチャを形成するループ構造を備える。左部分214の自由端部は、ガイドループ220によって形成されたアパーチャを通過するように構成されている。したがって、左部分214及び右部分216のオーバーラップする距離を変更し、したがって、頂部ストラップ206の長さを変更するように、左部分214及び右部分216を互いに対して摺動させることができる。ガイドループ220はまた、調整機構218が係合していないときに左部分214と右部分216との間のリンクを維持することもできる。これにより、部分214、216の間の接続を維持することによって、使用の容易さを向上させることができる。アパーチャが少なくとも部分的にストラップの厚さから角度をなすように、内面から離れる方向にガイドループ220に角度を付けることができる。これにより、左部分214は、かなりの程度曲がるか又は変形する必要なしに、ガイドループ220を通過し、右部分216とオーバーラップすることができる。
【0072】
柱は、右部分216の孔のうちの任意のものを通過するように構成されている。孔及び柱は、少なくとも通常の又は予測される力に応じて、柱が孔を通過することができ、孔のうちの選択されたものを貫通した柱を保持するようなサイズであり、形状であり、且つ/又は他の方法でそのように構成されている。しかしながら、ヘッドギア200のサイズを変更することができるために、頂部ストラップ206の左部分214及び右部分216の分離を可能にするように、孔から柱を故意に取り外すことができる。柱による孔の通過は、柱及び孔のうちの一方又は両方の変形によって達成することができる。代替実施形態では、複数の柱があり得る。
【0073】
代替実施形態では、調整機構218は、限定されるものではないが、面ファスナ、バックル、磁気コネクタなど、頂部ストラップ206の自由端部を調整可能に接続する他の任意の好適な手段を備えることができる。別法として、左部分214及び右部分216は、例えば、必要な場合に頂部ストラップ206がある程度まで伸びて長くなるのを可能にする弾性材料のセクションを介して、接続する、例えば永久的に接続することができる。他の実施形態では、頂部ストラップ206は、一体型且つ/又は非調整可能ストラップであり得る。
【0074】
後部セクション208により、マスクアセンブリ100の装着及び/又は取り外し中の一時的な拡張を可能にすることができる。後部セクション208は、剛性又は非調整可能上部ストラップ又は部分210と、調整可能下部ストラップ又はセクション212とを有することができる。
図2に示すように、下部セクション212は弾性であり得る。例えば本明細書に示し記載するように、他の調整機構も可能である。調整可能下部セクション212により、マスクアセンブリ100を装着し且つ/又は取り外している間、下部セクション212を一時的に拡張することができる。この一時的な拡張により、下部サイドストラップ204は、患者の不快感をもたらさないように低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに、患者の耳を通過することができる。下部サイドストラップ204が耳を通過すると、下部セクション212がその標準の、デフォルトの又は非拡張サイズに戻ることができるように、下部セクション212の張力及び/又は拡張を解除することができる。下部セクション212は、使用時に使用者の頭部の上に配置されているとき、装着及び/又は取り外しのために一時的拡張を可能にするように調整可能であるが、下部セクション212は固定長を有する。下部セクション212により、装着及び/又は取り外しのための一時的拡張のみを可能とすることができ、ヘッドギアサイズ調整200は可能とすることができない。換言すれば、装着及び/又は取り外しのために一時的に拡張されていないとき、下部セクション212の固定長は、使用者によって調整することができない。
【0075】
下部セクション212は、弾性の代わりに又は弾性に加えて他の調整機構を含むことができる。例えば、下部セクション212は、
図3A及び
図3Bに示すような磁気接続部の形態のブレーク-フィット(break-fit)構成を含むことができる。ブレーク-フィット構成は、磁気接続部の構成要素の移動を合わせて誘導するのに役立つスリーブ又はテザーを含むことができる。図示する実施形態では、下部セクション212は2つの非弾性セクション222を含む。2つの非弾性セクション222は、下部セクション212の中心又は中間において又はその近くで互いに取り外し可能に接続され、非弾性セクションの各々の自由端部に又はその近くに磁石224が位置決めされている。図示する実施形態では、各非弾性セクション222は、上部磁石224及び下部磁石224を含むが、より多くの又はより少ない磁石も可能である。2つの非弾性セクション222の磁石224が互いに引き付けられるように、非弾性セクション222のうちの一方の磁石224は、他方の非弾性セクション222の磁石224の極性と反対の極性を有する。したがって、
図3Aに示すデフォルト状態では、2つの非弾性セクション222は互いに結合されている。2つの非弾性セクション222は、テザー、例えば弾性テザー226によって互いに永久的に接続されて、接続を維持し且つ/又はセクション222を互いに向かって誘導する。弾性テザー226は、非弾性セクション222双方を通して又は双方に沿って延在することができる。
【0076】
使用者は、ヘッドギア200を装着し且つ/又は取り外すために、非弾性セクション222を互いから引き離し、磁石224の間の磁気結合を切断し
図3Bに示すように2つの非弾性セクション222を互いから分離するのに十分な力を加える。これにより、下部セクション212が引き伸ばされ、下部サイドストラップ204が使用者の耳と低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしで、マスクアセンブリ100を装着し且つ/又は取り外すことができる。2つの非弾性セクション222が互いから分離する際、
図3Bに示すように、弾性テザー226は伸びる。使用者が、非弾性セクション222を引き離す張力又は力を解除すると、弾性テザー226は、その引き伸ばされていない状態に戻ろうとし、それにより、2つの非弾性セクション222を互いに向かって引き戻す。2つの非弾性セクション222の磁石224が互いに十分に近接するように近づくと、磁石224は互いに引き付け合って2つの非弾性セクション222を再度接続する。磁石は、磁石224の間の引力が使用時にブローオフ力より大きいように、設計又は選択することができる。例えば、この引力は少なくとも20Nであり得る。
【0077】
他の構成では、下部セクション212は、例えば、
図4A~
図5Bに示すようなデプロイメントバックル(deployment buckle)及び/又はデプロイメントクラスプ(deployment clasp)と同様の折り畳み式調整機構を含むことができる。下部セクション212は、第1のリンク230、第2のリンク232及び第3のリンク234を含む。第2のリンク232の第1の端部が第1のリンク230に蝶番式に結合され、第2のリンク232の反対側の第2の端部が第3のリンク234に蝶番式に結合されている。
図4A及び
図5Aに示す閉鎖状態では、第1のリンク230、第2のリンク232及び第3のリンク234が互いに積み重ねられるか又はオーバーラップし、第2のリンク232が第1のリンク230と第3のリンク234との間に挟挿されるように、第1のリンク230、第2のリンク232及び第3のリンク234は折り畳まれる。リンクは、湾曲した形状又は輪郭を有することができる。リンクは、
図4Aに示すように、閉鎖状態にあり且つ使用者の頭部に位置決めされているとき、前向き凹状であるように、湾曲させるか又は輪郭を付けることができる。こうした輪郭は、概して、使用者の頭部の後部の曲率に適応し又は従うことができる。後述するように、開放した拡張状態にあるとき、第1のリンク230及び第3のリンク234は前向き凹状となることができ、第2のリンク232は前向き凸状となることができる。
【0078】
調整機構を、
図4B及び
図5Bに示す開放した拡張状態まで移動させるために、使用者は、第1のリンク230を第3のリンク234から持ち上げ且つ/又は引き離す(例えば、第2のリンク232及び第3のリンク234とオーバーラップしている第1のリンク230の端部を持ち上げ且つ/又は引っ張る)。この移動によりまた、第2のリンク232が第1のリンク230及び第3のリンク234に対して蝶番式に動き、第1のリンク230、第2のリンク232及び第3のリンク234が広がるように、第2のリンク232の第1の端部が第3のリンク234から持ち上げられ且つ/又は引き離される。開放状態では、第2のリンク232は、第1のリンク230と第3のリンク234との間で、又は実質的にそれらの間で長手方向に配置される。第1のリンク230、第2のリンク232及び/又は第3のリンク234は剛性又は半剛性であり得、それにより、(例えば、第1のリンク230と第2のリンク232との間及び第2のリンク232と第3のリンク234との間の蝶番において)折り畳み箇所を画定することができる。いくつかの実施形態では、第1のリンク230は、第2のリンク232に接続された第1のリンク230の端部に又はその近くにタブ236を含む。タブ236は、使用者に、接続機構を開放及び/又は閉鎖するように把持する場所を提供することができる。タブ236は、患者に対して、患者が正しい場所を把持していることを知らせる触覚フィードバックを与えるように構成することができる。
【0079】
開放状態では、下部セクション212は、下部サイドストラップ204が使用者の耳と低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに、ヘッドギア200を装着し且つ/又は取り外すことができるような、拡張長さを有する。接続機構を閉鎖するために、例えば、下部サイドストラップ204が使用者の耳を通り越すと、使用者は、第2のリンク232が第1のリンク230及び第3のリンク234に対して蝶番式に動いてリンクを折り畳み、第1のリンク230と第3のリンク234との間に第2のリンク232を挟挿するように、第1のリンク230を第3のリンク234に向かって戻るように移動させる。下部セクション212は、第1のリンク230と第2のリンク232との間、第2のリンク232と第3のリンク234の間、タブ236と第2のリンク232との間、及び/又はタブ236と第3のリンク234との間の、任意の適切な手段、例えば、面ファスナ、1つ又は複数のクリップ1つ又は複数の磁石、締り嵌め等を介して、閉鎖状態で固定することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、下部セクション212は、摺動又は入れ子式アセンブリを含む。図示する構成では、下部セクション212は、
図6A~
図7Cに示すような弾性スリーブ244に収納されたオーバーラップし且つ/又はインターロックするレールを含む。下部セクション212は、下部セクション212の第1の外側面(図示する実施形態では使用者の左側)の又はその近くの第1の端部と、下部セクション212の第2の反対側の外側面に向かって延在する第2の端部とを有する内側レール240、及び、下部セクション212の第2の外側面(図示する実施形態では使用者の右側)の又はその近くの第1の端部と、第1の外側面に向かって延在する第2の端部とを有する外側レール242を含む。内側レール240及び外側レール242は、例えば
図7Cに示すように、オーバーラップし且つ/又はインターロックして、長さ方向の摺動移動を可能にし、他の(幅及び厚さ)方向の一方又は両方における分離及び/又は相対移動を阻止する。弾性スリーブ244の第1の端部が、内側レール240の第1の端部に対して固定され、弾性スリーブ244の第2の反対側の端部が、外側レール242の第1の端部に対して固定されている。
【0081】
いくつかの構成では、内側レール240は、内側レール240の第2の端部に金属又は磁気部分250を含む。外側レール242は、外側レール242の第2の端部に金属又は磁気部分252を含む。第1の磁石246が、内側レール240の第2の端部から間隔が空けられた場所において内側レール240に沿って配置されている。第2の磁石248が、外側レール242の第2の端部から間隔が空けられた場所において外側レール242に沿って配置されている。外側レール242の金属又は磁気部分252は、第1の磁石246に引き付けられ、内側レール240の金属又は磁気部分250は、第2の磁石248に引き付けられる。
図6A及び
図7Aに示す閉鎖状態では、外側レール242の磁気部分252は、第1の磁石246と当接するか又は磁気的に結合し、内側レール240の磁気部分250は、第2の磁石248と当接するか又は磁気的に結合する。それぞれの磁気部分と磁石との間の磁気引力又は結合により、下部セクション212は閉鎖状態で保持される。
【0082】
下部セクション212を開放又は拡張状態まで移動させるために、使用者は、内側レール240及び外側レール242の長手方向軸に対して平行な又は概して平行な軸に沿って長さ方向に、内側レール240及び外側レール242の第1の端部を互いから引き離す。使用者が、それぞれの磁気部分と磁石との間の磁気結合に打ち勝つか又はそれを切断するのに十分な力を加えると、内側レール240及び外側レール242は、内側レール240及び外側レール242の長手方向軸に対して平行な又は概して平行な軸に沿って、互いに対して且つ互いから離れるように摺動し、それにより、内側レール240と外側レール242との間のオーバーラップが低減する。内側レール240及び外側レール242が互いから離れるように摺動すると、下部セクション212が長くなり、弾性スリーブ244が伸びる。内側レール240及び外側レール242は、下部セクション212の最大長さで、内側レール240及び外側レール242が依然としてある程度オーバーラップして内側レール240及び外側レール242が接続されたままであることを確実にするように選択された、長さを有することができる。
【0083】
開放又は拡張状態で、下部セクション212は、下部サイドストラップ204の使用者の耳との低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに、ヘッドギア200を装着し且つ/又は取り外すことができるようにする拡張長さを有する。下部サイドストラップ204が使用者の耳を通り越すと、使用者は、下部セクション212に対する張力を解除することができる。内側レール240及び外側レール242を引き離す下部セクション212に対する張力が解除されると、弾性スリーブ244はその引き伸ばされていない状態に戻ろうとし、それにより、内側レール240及び外側レール242を互いに向かって移動させ、内側レール240及び外側レール242のオーバーラップを増大させる。磁気部分が磁石と十分近接するように近づくと、磁気部分及び磁石は互いに引き付け合って、下部セクション212を閉鎖状態に戻す。弾性スリーブ244を示すが、内側レール240及び外側レール242を閉鎖状態に向かって付勢するために、他の付勢部材又は構成を使用することができる。
【0084】
図8A~
図9Gは、クリップ留め(clip together)接続機構を含む下部セクション212の別の実施形態を示す。下部セクション212は、第1のストラップ260及び第2のストラップ262を含む。第1のストラップ260及び第2のストラップ262は、非弾性であり得る。図示する実施形態では、第1のストラップ260は使用時に使用者の左側にあり、第2のストラップは使用時に使用者の右側にあるが、第1のストラップ260及び第2のストラップ262は逆にすることができる。第1のストラップ260は、第1のストラップ260の内側端部にメスコネクタ264を含む。第2のストラップ262は、第2のストラップ262の内側端部にオスコネクタ266を含む。
図8A、
図9B、
図9E及び
図9Fに示す閉鎖状態では、オスコネクタ266は、メスコネクタ264内に受け入れられ、例えば、クリップ留めされる。オスコネクタ266及びメスコネクタ264は、締り嵌め、インターロック又はスナップフィットを介して互いに固定することができる。下部セクション212はまた、第1のストラップ260及び第2のストラップ262に結合され且つそれらを接続する弾性テザー268も含む。弾性テザー268は、使用時に患者の頭部の後部と接触することができ、それにより、コネクタと患者の頭部との間の接触を緩衝することができる。
【0085】
下部セクション212を開放又は拡張状態に移行させるために、
図8Bに示すように、オスコネクタ266はメスコネクタ264から取り外され、第1のストラップ260及び第2のストラップ262は互いから引き離される。第1のストラップ260及び第2のストラップ262が互いから引き離されると、弾性テザー268は伸長する。開放又は拡張状態では、下部セクション212は、下部サイドストラップ204の使用者の耳との低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしで、ヘッドギア200を装着し且つ/又は取り外すことができるようにする拡張長さを有する。下部サイドストラップ204が使用者の耳を通り越すと、使用者は、下部セクション212に対する張力を解除することができる。第1のストラップ260及び第2のストラップ262を引き離す下部セクション212に対する張力が解除されると、弾性テザー268はその引き伸ばされていない状態に戻ろうとし、それにより、第1のストラップ260及び第2のストラップ262を互いに向かって移動させる。第1のストラップ260及び第2のストラップ262が互いに十分に近い位置まで戻ると、メスコネクタ264内にオスコネクタ266を挿入して、下部セクション212を閉鎖状態で固定することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、メスコネクタ264は、少なくとも、変形可能材料、例えばゴムから作製された背面270を含む。
図9A及び
図9Fに示すように、背面270は、オスコネクタ266を受け入れるメスコネクタ264の開放端部から延在する裂け目272を有する。メスコネクタ264からオスコネクタ266を分離するために、使用者は、オスコネクタ266が背面270に力を加えるように、オスコネクタ266をメスコネクタ264に対して後方に偏向させ、枢動させ、且つ/又は引っ張る。この力により、
図9C及び
図9Gに示すように、裂け目272のいずれかの側における背面270の部分が、(裂け目272に対して)外向きに且つ後方に(使用時、
図9B及び
図9Cの向きでは上方に)変形及び/又は偏向し、それにより、裂け目272を広げ、オスコネクタ266が裂け目272を通過してメスコネクタ264から外れるようにする。したがって、オスコネクタ266は、メスコネクタ264から「剥離される」。こうした構成では、オスコネクタ266及びメスコネクタ264は、異なる動き又は方法を介して接続及び分離され、すなわち、オスコネクタ266及びメスコネクタ264を接続するために、オスコネクタ266はメスコネクタ264内に長手方向に挿入され、一方、オスコネクタ266をメスコネクタ264から出て後方に剥離するために、オスコネクタ266は後方に偏向させられる(挿入方向に対して垂直)。これらの異なる動きは、オスコネクタ266がメスコネクタ264から偶発的に分離される可能性を低減させるのに役立つ。オスコネクタ266は、別法として又はさらに、挿入方向とは逆方向の取り外しを可能にするように構成された解除機構を含むことができる。
【0087】
下部セクション212は、
図8A~
図9Gに関して、図示し記載するような又は図示し記載するものと同様の2つのクリップ留め機構を含むことができる。例えば、
図10A~
図11Cに示すように、下部セクション212は、第1の側方部分280、第2の側方部分282及び中心ハンドル部分284を含むことができる。第1の側方部分280及び第2の側方部分282並びに/又は中心ハンドル部分284は、非弾性であり得る。第1の側方部分280及び第2の側方部分282の各々は、その内側端部にメスコネクタ286を含む。中心ハンドル部分284の各端部は、オスコネクタ288を含む(しかしながら、この構成もまた逆にすることができる)。
図10A及び
図11Bに示す閉鎖状態では、各オスコネクタ288は、メスコネクタ286内に受け入れられ、例えばクリップ留めされる。オスコネクタ288及びメスコネクタ286は、締り嵌め、インターロック又はスナップフィットを介して互いに固定することができる。下部セクション212はまた、第1の側方部分280及び第2の側方部分282に結合され且つそれらに中心ハンドル部分284を接続する、1つ又は複数の付勢部材又は弾性テザー290も含む。図示する実施形態では、下部セクション212は、中心ハンドル部分284及び第1の側方部分280に結合され且つそれらを接続する第1の弾性テザー290と、中心ハンドル部分284及び第2の側方部分280に結合され且つそれらを接続する第2の弾性テザー290とを含む。
【0088】
下部セクション212を開放又は拡張状態に移行させるために、オスコネクタ288はメスコネクタ296から取り外され、
図11Cに示すように、中心ハンドル部分284は、第1の側方部分280及び第2の側方部分282から引き離される。メスコネクタ286は、変形可能材料、例えばゴムから作製された背面270を有することができ、
図9A~
図9Gに関して示し本明細書に記載したように、オスコネクタ288を受け入れるメスコネクタ286の端部から裂け目272が延在している。メスコネクタ286からオスコネクタ288を分離するために、使用者は、オスコネクタ288が背面270に力を加えるように、第1の側方部分280及び第2の側方部分282から中心ハンドル部分284を後方に引き離すことができる。この力により、裂け目272のいずれかの側の背面270の部分が、(裂け目272に対して)外向きに且つ後方に(使用時)変形及び/又は偏向し、それにより、裂け目272を広げ、オスコネクタ288が裂け目272を通過し、メスコネクタ286から外れるようにする。したがって、メスコネクタ286からオスコネクタ288を「剥離する」ことができる。
【0089】
中心ハンドル部分284が第1の側方部分280及び第2の側方部分282から分離された状態で、第1の側方部分280及び第2の側方部分282を長手方向に互いから引き離して、下部セクションを長くする又は拡張することができる。第1の部分280及び第2の部分282が、互いから且つ中心ハンドル部分284から引き離されると、弾性テザー290は伸びる。開放又は拡張状態では、下部セクション212は、下部サイドストラップ204の使用者の耳との低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに、ヘッドギア200を装着し且つ/又は取り外すことができるような拡張長さを有する。下部サイドストラップ204が使用者の耳を通り越すと、使用者は、下部セクション212に対する張力を解除することができる。第1の側方部分280及び第2の側方部分282を引っ張る下部セクション212に対する張力が解除されると、弾性テザー290は、それらの引き伸ばされていない状態に戻ろうとし、それにより、第1の側方部分280及び第2の側方部分282を互い及び中心ハンドル部分284に向かって移動させる。第1の側方部分280及び第2の側方部分282が、中心ハンドル部分284に十分近い位置まで戻ると、メスコネクタ286内にオスコネクタ288を挿入して、下部セクション212を閉鎖状態で固定することができる。
【0090】
本明細書に記載するように、ヘッドギア200の1つ又は複数の部分、例えば上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204は、自動的に調整可能であり得、且つ/又は、ヘッドギアが比較的低い抵抗で長さを低減させ、より大きい抵抗でヘッドギアの長さの増大に抵抗することができるようにする、1つ又は複数の方向ロックを組み込むことができる。好ましくは、方向ロックは、少なくとも、マスクアセンブリ100によって生成されるブローオフ力に抵抗するように構成され、いくつかの構成では、幾分かの量のホース引っ張り力にも抵抗することができる。いくつかの構成では、インターフェースアセンブリの装着のためにヘッドギアを長くすることができるように、方向ロックの係止力に打ち勝つことができる。
【0091】
図12に示すように、上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の各々は、それぞれ、自動調整可能ヘッドギア機構に使用されるフィラメント330(
図25A及び
図25Bに示す)のための制御機構を収納する、関連するコネクタ302、304を有する。こうした自動調整ヘッドギア機構の例は、
図44A~
図44Dに関連して後に考察する。図示する実施形態では、コネクタ302、304及び制御機構は、マスクインターフェース102の上に配置されるか又はマスクインターフェース102に接続されるのではなく、ヘッドギア200の上に配置されるか又はヘッドギア200に接続される。各上部サイドストラップ202は関連する上部コネクタ302を有し、各下部サイドストラップ204は関連する下部コネクタ304を有する。したがって、図示する実施形態は4つのコネクタを含み、各コネクタは、自動調整可能ヘッドギア機構のための制御機構を収納する。上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の各々の中に、フィラメント330が延在している。サイドストラップ202、204又はそれらのいくつかの部分は、自動ヘッドギア調整機構の、この例では編組要素332によって画定された可変長セクションを形成し又は含むことができ、フィラメント330は、
図25A及び
図25Bに示すような編組要素332内に延在することができる1つ又は複数の弾性要素334(又は他の好適な付勢構成)を設け、ヘッドギア200に保持力を加えるように構成することができ、これにより、ヘッドギア200の円周が低減し、又は編組要素332等、ヘッドギア200の位置部分の長さが低減することになる。
【0092】
コネクタ302、304における各制御機構は、1つ又は複数の方向ロックを組み込み又は含み、それらの各々が1つ又は複数のロック部材336を含むことができる。各ロック部材は、概してワッシャの形態であり、本明細書では「ロックワッシャ」又は「ワッシャ」と呼ぶものとする。すなわち、ロックワッシャは、フィラメントが通過するアパーチャを画定する比較的平坦な部材であり得る。ロックワッシャは、ヘッドギアの伸長中はフィラメントと機能的に係合するが、ヘッドギアの収縮中は摩擦が低減した又は比較的摩擦が低減した移動を可能とするように構成することができる。方向ロックは、装着若しくは取り外しを容易にするように、手の力を加えることにより克服することができ、又は、関連するヘッドギアストラップ若しくは部分の故意の伸長を他の方法で可能にすることができる。ヘッドギア又はその任意の部分は、本出願人の米国特許出願公開第2016/0082217号明細書、2015年9月16日に出願された米国特許出願第14/856,193号明細書、及び国際公開第2016/043603号に開示されている実施形態のうちの任意のものに従って構成することができ、上記出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
図12に示すように、上部サイドストラップ202のうちの一方内に延在する各フィラメントは、それぞれの上部コネクタ302を通って頂部ストラップ206内に又は頂部ストラップ206に沿って、例えば、上部サイドストラップフィラメント格納スリーブ306内に延在することができる。下部サイドストラップ204のうちの一方内に延在する各フィラメントは、それぞれの下部コネクタ304を通って後部セクション208内に又は後部セクション208に沿って、例えば、ストラップフィラメント格納スリーブ308内に延在することができる。格納スリーブ306、308は、サイドストラップの伸長を可能にするフィラメントの集積した又は余分な長さを格納する場所を提供する。換言すれば、格納スリーブ306、308は、フィラメントの張力がかけられていない端部又は自由端部に隣接するフィラメントの部分を格納することができる。これらの部分は、サイドストラップ202、204の長さの調整により長さが変化し、格納スリーブ306、308内に格納されるフィラメント余分な長さは、ストラップ202、204の長さ及び/又はヘッドギアサイズが低減すると増大する。格納スリーブ306、308はまた、フィラメントを保護し、使用時の調整中にフィラメントの詰まり又は引っ掛かりを低減させるのに役立つことができる。格納スリーブ306、308は、目立たないように、且つ最小限の追加の空間を占めるように、取り付けることができる。格納スリーブ306、308は、ヘッドギア200構造内に形成することができ、したがって、ある程度隠すことができる。図示する実施形態では、各フィラメントの第1の端部と上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の各々とは、マスクインターフェース102に又はマスクインターフェース102に対して永久的に固定されている。上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の各々の第2の反対側の端部、例えば、ストラップの各々の外側編組要素332は、そのそれぞれのコネクタ302、304に又はそのそれぞれのコネクタ302、304に対して永久的に固定されている。調整中に、フィラメントがその関連するコネクタ302、304及びその中の制御機構、格納スリーブ306、308並びに/又は編組要素332を通って摺動又は移動することができるように、各フィラメントの第2の反対側の端部はヘッドギア200に固定されていない。
【0094】
図25A及び
図25Bは、それぞれ伸長状態及び収縮状態にある自動ヘッドギア調整機構の概略図を示す。機構のさらなる詳細については、
図44A~
図44Dに関して後に考察する。フィラメント330の第2の反対側の又は「自由」端部は、付勢部材又は弾性要素334の第1の端部に接続され、例えば永久的に接続されている。例えば、フィラメント330は、
図26に示すようにクリンプ335を介して、弾性要素334に接続することができる。弾性要素334の第2の反対側の端部は、格納スリーブ306、308に又は格納スリーブ306、308に対して接続され、例えば、永久的に接続されている。ヘッドギア、例えばサイドストラップ202、204を伸長し又は長くするために、使用者は、ヘッドギア200から又はヘッドギア200に対してマスクインターフェース102を引き離すことができる。伸長中、編組要素332は、コネクタ302、304から離れるように又はコネクタ302、304に対して引き伸ばされ、
図25Aに示すように、フィラメント330を、コネクタ302、304(したがってロック部材336)及び格納スリーブ306、308を通して編組要素332に向かって(
図25A及び
図25Bの向きでは左に向かって)引っ張り、弾性要素334を引き伸ばす。ヘッドギア、例えばサイドストラップ202、204を収縮させ又は短くすることができるように、使用者は、マスクインターフェース102に対する張力を解除する。そして、弾性要素334は、弛緩し、その引き伸ばされていない状態に戻ろうとし、
図25Bに示すように、フィラメント330を、コネクタ302、304(したがってロック部材336)及び格納スリーブ306、308を通って格納スリーブ306、308に向かって且つ格納スリーブ306、308内に(
図25A及び
図25Bの向きでは右に向かって)引っ張る。自動ヘッドギア調整機構が弾性要素334を含まなかった場合、又は、付勢要素が方向ロックの反対側に(例えば、編組要素332内に)位置していなかった場合、収縮中、フィラメント330は、代わりに、コネクタ302、304、制御機構及び/又はロック部材336を通って格納スリーブ306、308内に押し込まれ、それにより、フィラメント330は、編組要素、制御機構又はコネクタ302、304内で座屈し、曲がり、且つ/又は詰まる可能性がある。図示する実施形態において弾性要素334による引っ張り運動により、座屈、曲がり及び/又は詰まりを有利に阻止し、低減させ、又は最小限にすることができる。
【0095】
図25A及び
図25Bに示すような弾性要素334の代わりに、自動ヘッドギア調整機構は、
図27A及び
図27Bに示すようなフィラメント330の一部を包囲するばね340を含むことができる。ばねは、コイルばね、反動ばね、非コイルばね、エラストマーチューブ、プラスチックらせん又は他の任意の好適なばねであり得る。ばね340の一端は、コネクタ302、304と格納スリーブ306、308との間の接合部において又はその近くでコネクタ302、304及び/又は格納スリーブ306、308に接続されている。ばね340の他端は、例えばクリンプを介して、フィラメント330に接続されている。伸張又は伸長中、フィラメント330がコネクタ302、304及び制御機構を通して編組要素332に向かって(
図27Aでは左側に向かって)且つ方向ラックの抵抗に抗して引っ張られると、ばね340は圧縮される。ばね340の最大圧縮により、伸張又は伸長の程度又は量を制限することができる。場合により、伸張中に圧縮されるばね340は、伸張中に張力がかかる弾性要素334より信頼性が高いものであり得る。フィラメント330は、ばね340内に延在し、又はばね340に平行に接続されているため、フィラメント330と連続した弾性要素334を含む実施形態と比較して、同じ長さの格納スリーブ306、308内に、より長いフィラメント330を格納することができる。
【0096】
図1~
図12のマスクアセンブリ100は、
図13A及び
図13Bに示すように、使用者が2段階プロセスで装着することができる。
図13Aに示す第1の段階では、使用者は、後部セクション208を正しい位置まで移動させながら、自身の前頭部の上にマスクインターフェース102を載せることができる。使用者は、後部セクション208の下部セクション212を一時的に伸張して、下部サイドストラップ204が使用者の耳を、耳との低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに通過することができるようにする。下部サイドストラップ204が使用者の耳を通り越すと、使用者は下部セクション212をその閉鎖状態に戻す。後部セクション208が適所にある状態で、使用者は、自身の前頭部からマスクインターフェース102を持ち上げ、鼻及び/又は口を覆うようにマスクインターフェース102を押し下げ、シール104を適所に押し込む。上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の自動調整可能ヘッドギア機構により、サイドストラップ202、204はマスクインターフェース102を自動的に所望の位置に調整し固定することができる。装着プロセス前、装着プロセス中及び/又は装着プロセス後、頂部ストラップ206は必要に応じて手動で調整することができる。したがって、装着中、頂部ストラップ206により、ヘッドギア200に対する手動によるマクロサイズ調整が可能になり、一時的に拡張可能な後部セクション208により、下部サイドストラップ204に、低減した、若しくは最小限の接触で、又は接触なしに使用者の耳の上を通過させることができ、自動調整可能なサイドストラップ202、204により、ヘッドギア200に対するマイクロサイズ調整が可能になる。
【0097】
上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204は、マスクインターフェース102に取り外し可能に接続することができる。例えば、上部サイドストラップ202及び/又は下部サイドストラップ204のうちの任意のもの又はすべてを、クリップ又はフックを介してマスクインターフェース102に取り外し可能に接続することができる。
図14~
図16は、各下部サイドストラップ204がマスクインターフェース102、例えばハウジング106に、クリップ又はフック310を介して取り外し可能に接続されているマスクアセンブリ100の変形を示す。
図14~
図16のマスクアセンブリは、上部サイドストラップ202及びマスクインターフェース102を結合するヨーク320を含む。図示するように、上部サイドストラップ202の各々の一端は、ヨーク320の一方の外側端部に接続されている。上部サイドストラップ202の各々の反対側の端部は、頂部ストラップ206と後部セクション208との間の接合部207において又はその近くで、頂部ストラップ206及び/又は後部セクション208に接続され、例えば永久的に接続されている。ヨーク320は、使用時、ハウジング106に取り外し可能に接続される。クリップ又はフック310とマスクインターフェース102との間及びヨーク320とマスクインターフェース102との間の取り外し可能な接続により、マスクインターフェースは、有利にヘッドギアアセンブリ200から完全に分離することができる。
【0098】
図示するように、ヨーク320は、ハウジング106の幅の一部又はすべてを横切って延在することができる。ヨーク320は、使用時、例えば、スナップフィット、締り嵌め又は他の任意の適切な手段を介してハウジング106に固定することができる。自動調整可能ヘッドギア機構の上部サイドストラップフィラメントは、ヨーク320内に延在し且つヨーク320内に格納することができる。集積した上部サイドストラップフィラメントがヨーク320内に格納されるため、ヘッドギア200は、上部ストラップフィラメント格納スリーブ306を省略することができる。図示する実施形態では、ヘッドギア200は上部コネクタ302を含まない。代わりに、ヨーク320が、方向ロック又はロック部材を収納する。ヨーク320は、ヨーク320の第1の外側端部における又はそれに近接する、上部サイドストラップフィラメントのうちの一方を受け入れるように構成された1つ又は複数のロック又はロック部材と、ヨーク320の第2の反対側の外側端部における又はそれに近接する、上部サイドストラップフィラメントのうちの他方を受け入れるように構成された1つ又は複数の方向ロック又はロック部材とを収納することができる。上部ストラップ202内の許容される長さ調整の大きさは、下部ストラップ204内で許容される長さ調整の大きさとは異なる(それより小さい)可能性がある。
【0099】
図14~
図16のマスクアセンブリは、
図13A及び
図13Bに示し且つそれらに関して記載したように、使用者が、2段階プロセスを介して装着することができる。
図17は、第1の段階に続くマスクアセンブリを示し、シール104は使用者の前頭部の上に載っており、下部サイドストラップ204は使用者の耳の下方に位置決めされている。別法として、
図14~
図16のマスクアセンブリは、取り外し可能に接続された下部サイドストラップ204により3段階プロセスで装着することができる。第1の段階では、
図18に示すように、下部サイドストラップ204のクリップ310がマスクインターフェース102から分離された状態で、野球帽の装着と同様に、ヘッドギア200を、頭部の頂部の上で摺動させるか又はその上に引き下ろすことができる。第2の段階では、使用者は、鼻及び/又は口を覆うようにマスクインターフェース102を引き下ろし、シール104を適所に押し込む。第3の段階では、使用者は、下部サイドストラップ204のクリップ310をマスクインターフェース102、例えば、ハウジング106に接続し、シール104を所望の位置まで移動させるために必要な任意の最終調整を行う。上部サイドストラップ202及び下部サイドストラップ204の自動調整可能ヘッドギア機構により、サイドストラップ202、204は自動的にマスクインターフェース102を所望の位置に調整し固定することができる。
【0100】
図31~
図34Bは、マスクインターフェース102及びフレーム620を含むマスクアセンブリの一実施形態を示す。フレーム620は、いくつかの態様では
図14~
図18のヨーク320と同様に機能することができる。マスクアセンブリはまた、ヘッドギア200等のヘッドギアも含む。フレーム620は、マスクインターフェース102、例えばハウジング106に取り外し可能に結合されている。フレーム620は、ヘッドギア200の1つ又は複数の構成要素をマスクインターフェース102に結合する。例えば、フレーム620は、図示するように、2つの上部ストラップ接続場所622を含むことができる。上部サイドストラップ202のうちの一方は、上部ストラップ接続場所622の各々に永久的に又は取り外し可能に結合することができる。フレーム620は、2つの下部ストラップ接続場所624もまた又は別法として下部サイドストラップ204の各々に1つ含むことができる。図示する実施形態では、下部ストラップ接続場所624の各々は、下部サイドストラップ204をフレーム620に取り外し可能に結合するように、下部サイドストラップ204のうちの一方に結合されたクリップ又はフック310を受け入れる。したがって、フレーム620により、ヘッドギア200を必要又は要求に応じてマスクインターフェース102から完全に分離することができる。
【0101】
ヨーク320と同様に、フレーム620は、上部サイドストラップの自動調整可能ヘッドギア機構に関連する制御機構、例えば方向ロックを収納し、上部サイドストラップフィラメント330を収容する。こうした自動調整ヘッドギア機構の例については、
図44A~
図44Dに関連して後に考察する。制御機構は、上部サイドストラップ接続場所622に近接して、例えば、
図31に示す制御機構ハウジング部分626内に配置される。フィラメント330は、
図35~
図42に関連して後述するような、フレーム620内に又はフレーム620の内部を通って延在するチャネル内に延在し、チャネル内に格納され、且つ/又はチャネル内を移動することができる。例えば、
図32は、フィラメント330に対するあり得る経路を示す。フレーム620内の別個のチャネル内にフィラメント330を格納することにより、フィラメント330を互いに干渉するのを防止又は阻止するように、フィラメント330を互いから隔離するのに役立つことができる。フレーム620内にフィラメント330を格納することは、少なくともある程度フィラメント330の格納が見えないようにするのに役立つことができ、マスクアセンブリの審美的魅力を向上させるのに役立つことができる。フレーム620内にフィラメント330を格納することはまた、マスクアセンブリ内の既存の空間を利用し、したがって、マスクアセンブリのサイズを低減させることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、マスクアセンブリに
図34A及び
図34Bに示すエルボ630が、フレーム620がエルボ630とハウジング106との間に位置決め又は挟挿されるように結合されている。エルボ630は、フレーム620のアパーチャを通してハウジング106に取り外し可能に結合し、これにより、フレーム620が適所に取り外し可能に固定される。使用時、マスクインターフェース102にガスを送達するように、エルボ630にガス供給導管が結合される。
【0103】
図35~
図43は、マスクインターフェース102及びフレーム620を備えるマスクアセンブリ100の一実施形態を示す。先行する実施形態に対して記載したように、マスクアセンブリは、ヘッドギア、例えば本明細書に記載したヘッドギアとともに使用することができる。フレーム620は、マスクインターフェース102、例えばハウジング106に取り外し可能に結合される。したがって、フレーム620により、必要又は要求に応じて、ヘッドギアをマスクインターフェース102から完全に分離することができる。
【0104】
フレーム620は、2つの上部ヘッドギアコネクタアーム730及び2つの下部ヘッドギアコネクタアーム740を備える。上部アーム730の各々に、ヘッドギアの上部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができ、下部アーム740の各々に、ヘッドギアの下部サイドストラップを永久的に又は取り外し可能に結合することができる。
【0105】
上部アーム730及び下部アーム740は、フレーム620と一体化され、フレーム620の中心部分から延在している。各アームは、フレーム620から間隔が空けられた先端部を備える。上部アーム730及び/又は下部アーム740は、ヘッドギアをフレーム620に結合するように、上部サイドストラップ若しくは下部サイドストラップのヘッドギアストラップ又はヘッドギアコネクタクリップ若しくはフックとそれぞれ適合し相互作用する、スロット又は孔750を備えることができる。クリップ又はフックは、任意の好適な手段により、例えば、本明細書に記載する手段のうちの任意のものにより、上部サイドストラップ及び/又は下部サイドストラップに接続することができる。いくつかの実施形態では、オーバーモールドによりストラップにクリップ又はフックを接続することができる。スロット又は孔750は、各アーム730/740の先端部に又はその近くに配置され得る。図示する実施形態では、下部アーム740は、ヘッドギアの下部サイドストラップのストラップ、コネクタクリップ又はフックと適合し相互作用するスロット又は孔750を備える。いくつかの実施形態では、スロット又は孔750は、1つ又は複数の切欠き760を備える。切欠き760は、ヘッドギアとフレーム620との間の結合を容易にすることができる。例えば、ヘッドギア又はクリップに上向きの力が加えられると、クリップは切欠き760の縁部と接触し、この縁部は、クリップの回転を停止させる「ストップバンプ」として作用する。切欠き縁部のこの作用により、いかなるさらなる回転も制限され、クリップが柱からはずれる可能性が低減され又は最小化される。
【0106】
フレーム620は、形状が概して四辺形である。フレーム620は、正面840及び背面850を備え、それらは各々、上縁部、下縁部及び側縁部を有する。背面850は、マスクインターフェース102に面し、マスクインターフェース102のための接続部が設けられている。正面840は、マスクインターフェース102から離れる方向に面し、上縁部710、側縁部720及び下縁部722を有する。上部アーム730は、上縁部710及び側縁部720によって画定されるような、フレーム620の上角部から延在している。上部アーム730は、各々、正面840と連続している少なくとも1つの前面732と、上縁部710と連続している第1の側面と、側縁部720と連続している第2の側面とを備える。下部アーム740は、フレームの背面850から延在している。下部アーム740は、フレーム620の下縁部722から上向きに間隔を空けて配置されている。
【0107】
フレーム620の上縁部710と側縁部720の各々とは、各々、連続弧をたどる。下縁部722は実質的に直線状である。「連続弧」とは、縁部が湾曲の一部を形成し、その部分が、その長さに沿って徐々に且つ連続して直線から逸れることを意味する。例えば、連続弧は、円の円周の一部を形成することができる。
【0108】
図示する実施形態では、2つの上部アーム730は2つの下部アーム740より幅が広く且つ厚い。いくつかの実施形態では、上部アーム730及び/又は下部アーム740の各々は、それらの長さに沿って湾曲することができる。いくつかの実施形態では、上部アーム730及び下部アーム740の水平厚さ及び/又は垂直幅は、それらの長さに沿って実質的に一定であり得る。別法として、上部アーム730及び/又は下部アーム740の各々は、それらの長さに沿って可変の厚さ又は幅を有することができる。例えば、各上部アーム及び/又は各下部アーム740の厚さ若しくは幅のいずれか又は幅及び厚さの両方が、それらの長さに沿って低減することにより、テーパ状となることができる。このテーパ化は、フレーム620からアームの長さに沿った距離が増大するに従い、実質的に線形であり得る。
【0109】
本明細書に記載したように、さまざまな実施形態において、ガス送達導管は、マスクインターフェース102にガスを送達する。フレーム620は、ガス経路630を組み込んでいる。ガス経路630は、ハウジング106に取り外し可能に且つ/又は永久的に取り付けることができる。ガス経路630は、窒息防止弁を備えることができる。
【0110】
フレーム620の正面840は凸状であり、背面850は凹状である。フレーム620の凹状背面850の一部によって画定された空間内に、ガス経路630が位置決めされている。ガス経路630は、フレームの背面から後方に延在している。ガス経路630は、フレーム620の背面850に取り付けられ得、又は、フレーム620の背面850に一体的に形成され得る。例えば、フレーム620及びガス経路630は、単一の構成要素を形成するように一体化され得る。図示する実施形態では、ガス経路630は、フレーム620及びガス経路630が単一の構成要素を形成するように、フレーム620の背面850に設けられている。こうした構成により、実質的に平滑な湾曲正面840を備えるフレーム620が提供される。「平滑な」とは、湾曲面が連続しており、圧痕、隆起領域又は突起がない、例えば突出したエルボがないことを意味する。
【0111】
ガス経路630は第1のカラー860及び第2のカラー870を備え、第1のカラー860/第2のカラー870の各々は、中心軸を画定するボアを備える。カラーの各々は、形状が概して環状又は卵形である。第1のカラー860は、第1のカラー860のボアによって画定される中心軸がフレーム620の背面850と直交するように向けられている。いくつかの実施形態では、第1のカラー860のボアによって画定される中心軸は、フレーム620の背面850に対して70~110度で向けられている。第2のカラー870は、第2のカラー870のボアによって画定される中心軸が、フレーム620の背面850に対して実質的に平行であるように向けられている。第2のカラーはまた、そのボアの中心軸が、第1のカラー860のボアによって画定される中心軸に対して直交する、好ましくは、第1のカラー860のボアによって画定される中心軸に対して70~110度であるようにも、向けられている。カラー860/870は、ガス経路630を形成するように流体連通している。ガス送達導管が、ガスをマスクインターフェース102に供給するために、第2のカラー870に連結する。第1のカラー860は、フレームのガス経路630がハウジングと流体連通しているように、ハウジング106に連結するように構成されている。第1のカラー860は、上部アーム730と下部アーム740との間の等距離である箇所において背面850から延在している。各下部アーム740は、カラー870に、カラー870に隣接して、又はカラー870から間隔を空けて、ガス経路630に隣接する背面850から延在している。
【0112】
フレーム620は、本明細書に記載するように、自動調整ヘッドギア機構及びそれらの関連する構成要素を収納するインサート凹部770を備えることができる。さまざまな実施形態において、各インサート凹部770は、フレーム620の正面840に形成され得る。例えば、各インサート凹部770は、1つの自動調整ヘッドギア機構の制御機構及び関連するフィラメントを収納することができる。制御機構は、本明細書に記載するように、1つ又は複数のロック機構、例えば方向ロックを含むことができる。インサート凹部770は、棚部771と、口部772と、チャンバ774と、非貫通端部778で終端するチャネル776とを備える。口部772及びチャンバ774は、上部アーム730の先端部に位置し、壁772aによって少なくとも部分的に画定されている。チャンバ774は、その下縁部に沿って開口部775を備えることができる。組み立てられると、自動調整ヘッドギア機構のフィラメントは、ヘッドギアストラップ又はクリップから、口部772を通ってインサート凹部770内に延在する。フィラメントは、チャンバ774とチャンバ774内に収納された自動調整ヘッドギア機構とを通過し、チャネル776内で終端する。使用時、フィラメントはインサート凹部770内で長手方向に移動することができ、ヘッドギアの動き及び自動調整ヘッドギア機構の動作によって指示されるように、フィラメントの自由端部は、非貫通端部778に向かって且つ非貫通端部778から離れるように移動することができる。チャネル776は、ヘッドギアの伸張を可能にするフィラメントの余分な長さを格納する場所を提供する。換言すれば、チャネル776は、本明細書に記載した格納スリーブと同様に動作し、フィラメントの張力がかかっていない部分又はフィラメントの自由端部を格納することができる。これらのフィラメント部分は、ヘッドギアストラップの長さの調整によって長さが変更され、チャネル776内に格納されるフィラメントの余分な長さは、ヘッドギアストラップの長さ及び/又はヘッドギアサイズが低減するに従って増大する。チャネル776はまた、フィラメントを保護し、使用時の調整中にフィラメントの詰まり又は引っ掛かりを低減させるのにも役立つことができる。チャネル776は、フレーム620の各側面720に沿って、フレーム620内に又はフレーム620の内部を通って延在する。各インサート凹部770は、フレーム620の側縁部に沿って延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、インサート凹部770は、側縁部から内向きに間隔を空けて配置され得る。インサート凹部770の各々は、インサート凹部770の長さに沿って変化する幅を有する。例えば、インサート凹部770の幅とフレーム620の上縁部710からの距離との間に逆関数関係があり得る。他の実施形態では、インサート凹部770の各々は、インサート凹部770の長さに沿って実質的に一定である幅を有することができる。
図36Bにおいて、チャネル776は、チャンバ774と接する場所で第1の幅を提供するようにフレア状であり、チャンバ774から間隔を空けて配置された中間点において第2の幅までテーパ状になり、その後、中間点から非貫通端部778まで一定の幅を維持する。インサート凹部770は、平坦な底面を含む、概してU字型の断面を有するが、別法として、V字型であるか又は湾曲底面を有することができる。
【0113】
棚部711は、インサート凹部770の一方の長手方向縁部若しくは両方の長手方向縁部に完全に沿って延在する、又はインサート凹部770を完全に包囲することができる、各インサート凹部770の少なくとも一部に沿って延在するか又はその少なくとも一部を包囲する棚、又は棚状突起、又は隆起部を含む。
図39A~
図39Cに示すように、各インサート凹部770内にインサート780が挿入され得、少なくとも棚部771と係合し、インサート凹部770内に密閉空間を形成するカバーを提供する。インサート凹部770及びインサート780の構成により、フレーム620は、密閉空間としてチャンバ774及びチャネル776を提供することができる。シングルショット成形プロセスで、フレーム620における密閉空間としてチャンバ774及びチャネル776を製造することは、技術的に困難である。例えば、締り嵌め、接着、オーバーモールド、溶接、又は他の方法で棚部771に若しくは棚部771中でフレーム620にインサート780を取り付けることによるなど、本技術分野において既知である技法により、製造後にインサート780を取り付けることができる。いくつかの実施形態では、インサート780は、例えば溶接により、永久的に取り付けることができる。他の実施形態では、インサート780は、取り外し可能に取り付けることができる。
【0114】
図40~
図43を参照すると、インサート780は、関連するフィラメントあり又はなしの本明細書に記載するような自動調整ヘッドギア機構1000を担持し、チャンバ774内で動作するように機構1000及び関連するフィラメントを方向付ける。インサート780は、正面900、背面910、任意選択的なオーバーモールド又はストラップ材料取り付け特徴部920、フィラメント通路930、位置合わせ特徴部940及び内側リップ960を備える。
図42及び
図43において、インサート780内における自動調整ヘッドギア機構1000のハウジングの場所は点線ボックスによって示す。背面910はフレーム620に面しており、背面910の少なくとも一部は、密閉空間が形成されるように棚部771と係合する。インサート780の正面900は、インサート凹部770から離れる方向に面する。インサート780の正面900は、フレーム620及びインサート780が組み立てられるとフレーム620の実質的に平滑な表面840を提供するように、フレーム620の輪郭をたどるように構成され得る。組み立てられると、フィラメント通路930はインサート凹部770の口部772と整列する。
【0115】
インサート780は、インサート凹部770の深さ、長さ及び/又は幅を含み、密閉空間が形成されるようにインサート凹部770を覆うのに十分である形状に実質的に対応する厚さ、長さ及び幅を含む、形状を有する。いくつかの実施形態では、インサート780の、特に正面900及び背面910の厚さ、長さ及び幅を含む形状は、棚部771の深さ、幅及び長さを含む形状及び比に対応する。
【0116】
上述したように、インサート780の背面910は、インサート凹部770に面し、実質的に平滑であり得る。こうした構成により、インサート凹部770を通るフィラメントの平滑な通過を可能にすることができる。背面910は、インサート780がフレーム620に係合すると、位置合わせ特徴部940がチャンバ774内で位置合わせされ、自動調整ヘッドギア機構1000を動作のために正しく方向付けるように向けられるような位置及び向きで、位置合わせ特徴部940を備えることができる。下部リップ950及び内側リップ960は、背面950から延在することができ、位置合わせ特徴部940とともに、インサート780内に位置決めされた自動調整ヘッドギア機構1000を支持し方向付けるように構成されている。インサート780がフレーム620上の適所に置かれると、下部リップ950は、インサート凹部770内でチャンバ774の開口部775を閉鎖するように構成されている。位置合わせ特徴部940は、空洞1010を備えた自動調整ヘッドギア機構1000のハウジングにおける対応する位置合わせ特徴部内に嵌まるような形状である、突起、出っ張り又は支台部を備えることができる。空洞1010は、背面910(位置合わせ特徴部940)の上及びチャンバ774(図示せず)内の両方の対応する位置合わせ特徴部と係合するように構成された、自動調整ヘッドギア機構1000のハウジングの一方の側又は両側に存在し得る。背面910において、位置合わせ特徴部940は、下部リップ950に隣接して配置され、フィラメント通路930及び内側リップ960から間隔を空けて配置されている。代替実施形態では、自動調整ヘッドギア機構1000のハウジングは、背面910と一体化され得る。こうした実施形態では、位置合わせ特徴部940、下部リップ950及び内側リップ960は省略される。いずれの実施形態においても、自動調整ヘッドギア機構1000のハウジングは、チャンバ774内の対応する位置合わせ特徴部(図示せず)と係合する空洞1010を備えることができる。
【0117】
インサート780は、第1の端部970及び第2の端部980を備える。第1の端部970は、ポリマーサイドストラップ、テキスタイルサイドストラップ、又はテキスタイルカバーを備えたポリマーサイドストラップなど、対応するヘッドギアの構成要素に付着するか又は取り付けられるように構成された、任意選択的なオーバーモールド又はストラップ材料取り付け特徴部920と、上述したようにフィラメントがインサートを通過し対応するヘッドギアと係合することができるようにするフィラメント通路930とを備える。インサート780の幅は、棚部771とフレーム620の側縁部720との曲率に従うようにその長さに沿ってテーパ状となり得る。例えば、図示する実施形態に示すように、インサート780は、第2の端部980より第1の端部970の方が、幅が広い。
【0118】
図44A~
図44Dは、本明細書に記載する任意の実施形態と使用することができる自動調整ヘッドギア機構1000を示す。自動調整ヘッドギア機構1000は、自動調整ヘッドギア機構1000のためのロック機構の一部として作用する1つ又は複数のロック部材1272を収納するハウジング1270を備える。フィラメント1220が、図示するようにロック部材1272のアパーチャを通って延在する。ロック部材1272は、同じであるか(
図44C及び
図44D)又は異なり得る(
図44B)。ロック部材アパーチャの軸がフィラメント1220の長手方向軸と位置合わせされるか又はより密に位置合わせされた状態で、ロック部材1272が実線で示す位置にあるとき、フィラメント220は、
図44B、
図44C又は
図44Dにおいて右から左への方向において、又は、関連するヘッドギアの円周若しくはヘッドギアの一部分若しくはストラップの長さを低減させることになる方向において、比較的低い抵抗で、ロック部材1272のアパーチャを通って移動することができる。ロック部材1272のこの位置は、ロック部材1272又は自動調整ヘッドギア機構1000の解除又はロック解除位置と呼ぶことができる。反対方向における(
図44B、
図44C若しくは
図44Dにおいて左から右、又は、関連するヘッドギアの円周若しくはヘッドギアの一部若しくはストラップの長さを増大させることになる方向における)フィラメント1220の移動に応じて、ロック部材1272は、ロック部材1272とフィラメント1220との摩擦接触の結果として、移動に対する抵抗が解除位置より比較的大きい、破線で示す位置まで又はそれに向かって、フィラメント1220とともに移動する。ロック部材1272のこの位置は、ロック部材272又は自動調整ヘッドギア機構1000のロック位置と呼ぶことができる。好ましくは、ロック位置におけるフィラメント1220の移動に対する抵抗は、ヘッドギアの全体的な構成(例えば、採用される自動調整ヘッドギア機構1000の数)を考慮して所与の療法に対してインターフェース内の加圧ガスによってもたらされるブローオフ力に抵抗するのに十分である。図示する自動調整ヘッドギア機構1000の他の変形又は他のタイプの方向ロックもまた採用することができる。こうしたロック機構の例は、国際公開第2017/158544号及び米国特許出願公開第2016/0082217号明細書に示され且つ記載されており、それら出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
図19~
図22Bは、マスクインターフェース102及びヘッドギア400を含むマスクアセンブリの別の実施形態を示す。ヘッドギア400は、一対のサイドストラップ401、頂部ストラップ406、上部後部ストラップ410及び下部後部セクション408を含む。本明細書においてより詳細に記載するように、各サイドストラップ401は上方部分402及び下方部分404を有する。各下方部分404は、接続され(例えば、永久的に接続され)、下部後部ストラップ412の一方の外側面から延在している。頂部ストラップ406は調整可能でも非調整可能でもあり得る。上部後部ストラップ410は剛性且つ/又は非調整可能であり得る。下部後部セクション408は1つ又は複数の下部後部ストラップ412を含むことができる。図示する実施形態では、下部後部セクション408は、2つの下部後部ストラップ412を含む。下部後部ストラップ412は調整可能であり得る。例えば、下部後部ストラップ412は、例えば
図1及び
図2に示す頂部ストラップ106と同じか又は同様の調整機構を含むことができる。他の調整機構も可能である。
図22Aは、最大長さ又はサイズである下部後部ストラップ412を示し、
図22Bは最小長さ又はサイズである下部後部ストラップ412を示す。
【0120】
ヘッドギア400はまた、本明細書に記載するような自動調整可能ヘッドギア機構の一部である制御機構を収納する2つのコネクタ450も含む。一方のコネクタ450は、使用時、使用者の頭部の各側で使用者の耳の上方に位置決めされる。コネクタ450は、図示するように概してY字型であり得る。サイドストラップ401のうちの一方の上方部分402に、各コネクタ450の第1の枝状部が結合され、頂部ストラップ406の一端に第2の枝状部が結合され、上部後部ストラップ410の一端に第3の枝状部が結合されている。フィラメントが、サイドストラップ401の各々内で、それぞれのコネクタ450及び関連する制御機構を通って、頂部ストラップ406内に、頂部ストラップ406に沿って且つ/又は頂部ストラップ406と平行に、例えば、頂部ストラップ406内に、頂部ストラップ406に沿って且つ/又は頂部ストラップ406と平行に延在することができるフィラメント格納スリーブ456内に、延在する。
【0121】
図19~
図22Bの実施形態では、各サイドストラップ401の上方部分402及び下方部分404は、編組要素及び編組要素内に延在するフィラメントを有する連続ストラップを形成する。マスクインターフェース102、例えばハウジング106は、例えば図示する実施形態ではチューブの形態である、2つの通路又はチャネル107を、マスクインターフェース102の各側に1つ含む。通路107は、図示するように湾曲し得る。例えば、通路107は、外向き且つ/又は後向き凹状であり得る。図示する実施形態では、各通路又はチューブ107は上部及び下部開口部を有する。上部開口部及び下部開口部は、インターフェースの顔面接触側に向かって位置している。各サイドストラップ401は、使用時、コネクタ450のうちの1つから、使用者の顔面を横切って(例えば、頬骨領域を横切って)前方に、通路107のうちの1つを通って、患者の首の後部に向かって戻るように延在して、下部後部ストラップ412に連結する。各サイドストラップ401の上方部分402は、コネクタ450と通路107(例えば、通路107の上端部)との間のサイドストラップ401の部分であり又はそれを含む。下方部分404は、通路107(たとえば、通路107の下端部)と下部後部ストラップ412との間のサイドストラップ401の部分であり又はそれを含む。
【0122】
サイドストラップ401は、通路107に対して移動する、例えば、通路107内を摺動することができる。換言すれば、通路107は、サイドストラップ401に沿って摺動することができる。したがって、上方部分402及び下方部分404の相対的なサイズを調整することができる。この相対的なサイズの調整は、使用者が、マスクアセンブリを快適に装着するのに役立つことができる。通路107は、サイドストラップ401が通路107内を摺動することができるように通路107とサイドストラップ401との間に十分低い摩擦を有するように設計され且つ製造されている。例えば、通路107の曲率半径は、通路107とサイドストラップ401との間の摩擦に影響を与える可能性がある。通路107は、好ましくは、特に、使用中に編組が引き伸ばされ又は伸張されるとき、サイドストラップ401を引っ掛ける可能性がある鋭利な又は凹凸のある縁部又はスポットがなく、又は適度にない。使用時、フィラメントは、ヘッドギア400の引っ張り力により、通路107の壁にサイドストラップ401の編組要素を押さえつける又は押し付ける。これにより、マスクインターフェース102に対して角度調整を行うことができる摩擦力がもたらされ、それは、この摩擦力により、ヘッドギア400及び/又は使用者の頭部に対するマスクインターフェース102の角度を維持することができるためである。
【0123】
例えば、図示する実施形態では編組クリップの形態である、止め具又は閉鎖要素が、各サイドストラップ401の下方部分404に取り付けられ、例えば永久的に取り付けられている。閉鎖要素458は、通路107内に入る又は通路107を通過することができないように、少なくとも1つの寸法において通路107の下部開口部より大きい。したがって、閉鎖要素458は、サイドストラップ401とマスクインターフェース102との間の相対移動の程度又は量を制限し、例えば装着及び/又は取り外し中、下方部分404の最小長さを維持する。閉鎖要素458は、フィラメントが依然として、閉鎖要素458によって制限されない編組要素内で移動することができるように、編組要素にのみ取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、フィラメントの上にクリンプが配置され、クリンプは、閉鎖要素458を通して自由に摺動することができない。したがって、クリンプは、例えば装着及び/又は取り外し中に、下方部分404におけるフィラメントの最小長さを維持するのに役立つ。
【0124】
下部後部ストラップ412は、使用時、使用者の首の後部の上に又はそれに接して位置し又は載る。下部後部ストラップ412は、ヘッドギアサイズのマクロ又は相対的に尺度の大きい調整を可能にするように調整可能である。コネクタ450内のサイドストラップ401及び制御機構の編組要素及びフィラメントを含む自動調整機構により、ヘッドギアサイズに対するマクロ、より細かい、又はより尺度の小さい調整が可能になる。自動調整機構が許容又は適応する調整の程度は、少なくとも部分的に、ヘッドギアにおいて利用可能なフィラメント格納の量と編組要素の弾性とによって決まる。
【0125】
図21A及び
図21Bに示すように、コネクタ450が輸送及び/又は保管のために通路、例えばチューブ107内に部分的に挿入される「ドッキング」位置に、マスクアセンブリを調整することができる。ドッキング位置は、有利には、ヘッドギアアセンブリ400の少なくとも一部をマスクインターフェース102に固定し、且つ/又はシール104の顔面接触部分に幾分かの保護を提供する。ドッキング位置は、マスクアセンブリをより迅速に且つ容易に装着するために好都合な開始位置を提供することができる。
【0126】
図23A~
図24Dは、
図19のマスクアセンブリの装着プロセスを示す。
図23Aに示す第1の段階では、サイドストラップ401の下方部分404がそれらの最大長さ又はサイズである(且つ、上方部分402がそれらの最小長さ又はサイズである)ように、コネクタ450がドッキング位置にある状態で、マスクアセンブリは、下部後部セクション408、サイドストラップ401及びマスクインターフェース102が使用者の首の周囲にループを形成するように、(例えば、使用者の頭部にわたってマスクアセンブリを引っ張ることにより)使用者の首の周囲に配置される。この位置で、マスクインターフェースは、「準備完了位置」で、例えば、シール104が使用者の胸部に当接している状態で、使用者の首から垂れ下がることができる。次に、使用者は、上部後部ストラップ410を把持し、例えば、野球帽を引っ張るのと同様に、使用者の頭部頂部にわたって且つ/又はその頂部の上で頂部ストラップ406を引っ張ることができる。この段階中、コネクタ450は、通路、例えばチューブ107から切り離され、シール104を鼻及び/又は口の上で位置決めすることができるように、上方部分402が長さ又はサイズを増大させるように、サイドストラップ401のたるみ又は長さの幾分かが下方部分404から取り除かれる。したがって、使用者は、マスクアセンブリを「準備完了位置」に配置し、望まれる限りこの準備完了位置のままにし、その後、就寝の準備ができると装着プロセスを継続することができる。そして、自動ヘッドギア調整機構によりさらなる調整を可能にすることができる。必要に応じて、下部後部セクション408及び/又は頂部ストラップ406を調整することができる。下部後部セクション408及び頂部ストラップ406により、相対的に尺度の大きい調整を可能にすることができ、その後、自動調整機構により、より細かい、より尺度の小さい調整を可能にすることができる。
【0127】
本明細書に記載した自動ヘッドギア調整機構により、有利に、使用時、単にマスクインターフェース102を手動で移動させるか又は調整することにより、例えばマスクインターフェース102を振り動かすことにより、ヘッドギア及び使用者の顔面に対するマスクインターフェース102の小さい且つ正確な角度調整が可能になる。マスクインターフェース102の新たな位置への移動は、本明細書に記載した自動ヘッドギア調整機構によって維持される。例えば、マスクインターフェース102の一部分(例えば、上方部分)が使用者の顔面に向かって動かされる場合、対応する部分又はストラップ(例えば、上部ストラップ202)は、付勢要素(弾性要素334又はばね340)の結果として自動的に調整され(短くされ)、その後、方向ロックが、その部分又はストラップを新たに調整された位置で維持する。したがって、使用者は、ヘッドギアの結果としての力がマスクブローオフ力に対抗し又はそれを補償するように、マスクインターフェース102及びシール104の顔面に対する角度を調整することができる。例えば、
図28は、基準面500と、基準面500に対するシール104の角度502と、ヘッドギアの結果としての力ベクトル504と、マスクブローオフ力ベクトル506とを示す。図示するように、ヘッドギアの結果としての力ベクトル504とマスクブローオフ力ベクトルとは等しく且つ反対であり、それにより、マスクのフィットを最適化するために、低減した、若しくは最小限の残留力での、又は残留力なしのバランスのとれたフィットがもたらされる。バランスのとれたフィット位置は、ヘッドギアの保持力が、療法によって誘発される力(例えば、ブローオフ力)及び/又はヘッドギアを伸長しようとする他の力(たとえば、ホース引っ張り力)とバランスをとる、ヘッドギアの位置又は長さ(サイズ)であり得る。
図29において、マスクブローオフ力ベクトル506は、自動ヘッドギア調整機構によって可能となる角度調整を介してシフトしている。角度調整により、有利に、使用者は、快適であり、且つ不要なヘッドギア引っ張り力を低減させるバランスのとれたフィットを提供する、マスクの位置を見つけることができる。使用者は、有利に、垂直軸及び水平軸の力に対して改善された制御を行うことができ、それにより、各々が小さい増分で正確に調整することが困難な、従来の調整ストラップのみを備えた従来の4点ヘッドギアと比較して、改善され又は最適化されたフィットを見つける小さい微調整が可能になる。さらに、全体としてのマスクに対する角度調整は、別個のストラップ調整の組合せによって達成され、この調整は、使用者には、所望の角度調整を達成するためにいずれのストラップをどれくらい調整すべきかを判断することが困難である可能性がある。正確な角度調整が利用可能でない場合、使用者は、典型的には、ブローオフ力に一致するように力に対してシール104の力を増大させる。こうした過度の力により、シール104が不安定であると感じられる可能性がある。
【0128】
文脈上断りを明らかに必要としない限り、説明及び特許請求の範囲全体にわたり、「含む」、「含んでいる」などの単語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。本明細書で使用される条件言語、とりわけ「~することができる」、「~することができ得る」、「~する可能性がある」、「~し得る」、「例えば」などは、概して、別途具体的な指示がない限り又は使用される文脈で他の形で理解されない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素及び/又は状態を含むが、他の実施形態を含まないことを伝えることが意図される。したがって、そのような条件言語は、概して、特徴、要素及び/又は状態が1つ又は複数の実施形態に何らかの方法で必要とされることを示唆することが意図されるものではなく、また1つ又は複数の実施形態が、著者入力又は指示の有無にかかわらず、何らかの特定の実施形態でこれらの特徴、要素及び/又は状態が含まれるかどうか又は実行すべきかどうかを決定する論理を必ず含むことを示唆することが意図されるものでもない。
【0129】
「複数」という用語は、アイテムの2つ以上を指す。数量、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙は、「約」又は「およそ」という用語が数量、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状又は他の特徴に先行する場合と同様に解釈されたい。「約」又は「およそ」という用語は、数量、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状及び他の特徴が正確である必要はなく、必要に応じて、許容公差、変換係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映して近似すること及び/又はより大きく若しくは小さくし得ることを意味する。数量、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙も、「実質的に」という用語が数量、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状又は他の特徴に先行する場合と同様に解釈されたい。「実質的に」という用語は、列挙する特徴、パラメータ又は値が正確に実現される必要はなく、その特徴が提供することが意図された影響を除外しないことを考慮して、例えば公差、測定誤差、測定精度の制限及び当業者に知られている他の要因を含む逸脱又は変動が生じ得ることを意味する。
【0130】
数値データは、本明細書では、範囲形式で表現又は提示することができる。そのような範囲形式は、利便性及び簡潔性のためにのみ使用され、したがって、その範囲の限界として明示的に列挙されている数値だけでなく、各数値及び下位範囲が明示的に列挙された場合と同様に、その範囲内に包含される個々の数値又は下位範囲のすべてを含むと柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例として、「1~5」の数値範囲は、明示的に列挙されている約1~約5の値だけでなく、記載されている範囲内の個々の値及び下位範囲も含むと解釈されたい。したがって、この数値範囲内には、2、3及び4などの個々の値並びに「1~3」、「2~4」及び「3~5」などの下位範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲(例えば、「1より大きい」)にも当てはまり、記載されている範囲又は特徴の広さにかかわらず当てはまるべきである。
【0131】
利便性のため、共通の一覧内に複数のアイテムを提示することができる。しかし、これらの一覧は、一覧の各部材が別個の固有の部材として個々に識別される場合と同様に解釈されたい。したがって、そのような一覧の個々の部材は、逆の内容が指示されない限り、共通のグループ内に存在することのみに基づいて、同じ一覧の何らかの他の部材と事実上均等であると解釈されるべきではない。さらに、「及び」及び「又は」という用語は、アイテムの一覧とともに使用される場合、列挙されたアイテムのいずれか1つ又は複数を単独で又は他の列挙されたアイテムと組み合わせて使用することができるという点で広義に解釈されたい。「代わりに」という用語は、2つ以上の代替手段の1つの選択を指し、文脈上別途明らかに指示されない限り、それらの列挙された代替手段のみ又は一度に列挙された代替手段の1つのみにこの選択を限定することを意図するものではない。
【0132】
本明細書における何らかの従来技術の参照は、その従来技術が世界のいずれかの国の努力分野で共通の一般知識の一部を形成しているという肯定でも、何らかの形態の提案でもなく、そのように解釈されるべきでもない。
【0133】
上記の説明において、その周知の均等物を有する整数又は構成要素に言及したとき、それらの整数は、個々に記載した場合と同様に本明細書に組み込まれる。
【0134】
本発明は、個別に又は集合的に、本出願の明細書において言及又は例示した部分、要素及び特徴を前記部分、要素又は特徴の2つ以上のあらゆる組合せでも含むものと広義に考えることができる。
【0135】
本明細書に記載する好ましい実施形態に対する様々な変更形態及び修正形態が当業者に明らかになることに留意されたい。そのような変更形態及び修正形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に付随する利点を減少させることなくなされ得る。例えば、必要に応じて、様々な構成要素の位置を変えることができる。したがって、そのような変更形態及び修正形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。さらに、特徴、態様及び利点のすべてが本発明を実行するのに必ずしも必要とされるとは限らない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって定義されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスクアセンブリ用のヘッドギアアセンブリであって、
2つのサイドストラップであって、前記2つのサイドストラップのうちの1つが使用時に使用者の顔面の各側に配置され、前記サイドストラップの各々は、上方部分及び下方部分を有する単一の連続ストラップを含み、各上方部分は前記ヘッドギアアセンブリの上部セクションに接続され、各下方部分は前記ヘッドギアアセンブリの下部セクションに接続される、サイドストラップと、
前記サイドストラップの各々の一端に結合された、自動調整ヘッドギア機構の制御機構を収納するコネクタと、
前記サイドストラップの各々の少なくとも一部分を通って延在するフィラメントと、
を備える、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッドギアアセンブリの前記上方部分は、使用時に前記使用者の頭部の頂部を横切って延在するように構成された頂部ストラップと、使用時に前記使用者の頭部の後部を横切って延在するように構成された上部後部ストラップとを備える、請求項1に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項3】
前記頂部ストラップに沿って延在する格納スリーブであって、前記フィラメントのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を受け入れて格納するように構成されている格納スリーブをさらに備える、請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項4】
各コネクタは、前記頂部ストラップの端部及び前記上部後部ストラップの端部に結合されている、請求項2又は請求項3に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項5】
前記ヘッドギアアセンブリの前記下部セクションは、使用時に前記使用者の首の後部に沿って延在するように構成された調整可能下部後部セクションを備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項6】
前記下部後部セクションは、1つ又は複数の下部後部ストラップを備える、請求項5に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項7】
前記2つのサイドストラップの各々は、前記マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に結合されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項8】
前記2つのサイドストラップの各々は、前記マスクアセンブリのマスクインターフェースの一方の側に形成された通路を通って延在している、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項9】
各サイドストラップは、そのそれぞれの通路内で摺動して、前記上方部分及び前記下方部分の相対的な長さを調整するように構成されている、請求項8に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項10】
前記サイドストラップの各々に結合された閉鎖要素であって、各閉鎖要素は、前記通路内の前記サイドストラップの摺動を制限して、前記下方部分の最小長さを維持するように構成されている、閉鎖要素をさらに備える、請求項9に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項11】
前記閉鎖要素は、前記サイドストラップ内の前記フィラメントの移動を制限しない、請求項10に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項12】
前記通路は、前記コネクタを部分的に挿入できるように構成されている、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項13】
前記マスクインターフェースは、使用時に前記使用者の鼻及び/又は口の周囲をシールするシールと、前記シールを支持し、前記マスクインターフェースを前記ヘッドギアアセンブリに結合するように構成されたフレームと、を備える、請求項7及び請求項7を引用する請求項8から請求項12のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項14】
前記フィラメントは、それぞれの前記コネクタ及び各サイドストラップの関連する制御機構を通って延在する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項15】
前記制御機構は、1つ又は複数の方向ロックを備える、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【外国語明細書】