IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2023-184539道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム
<>
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図1
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図2
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図3
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図4
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図5
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図6
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図7
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図8
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図9
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図10
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図11
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図12
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図13
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図14
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図15
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図16
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図17
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図18
  • 特開-道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184539
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20231221BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G1/01 D
G01D5/353 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175596
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020559763の分割
【原出願日】2019-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2018226684
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】依田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】青野 義明
(57)【要約】
【課題】道路における車両の走行状態を高精度に検出すること。
【解決手段】道路監視システムは、道路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、後方散乱光を受信する受信部と、後方散乱光に基づいて、道路における車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された道路における車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、道路における車両の走行状態を検出する検出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、後方散乱光を受信する受信部と、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える道路監視システム。
【請求項2】
前記検出部は、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における複数の車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態を検出する、
請求項1に記載の道路監視システム。
【請求項3】
前記検出部は、
前記検出された前記道路における複数の車両の走行状態に基づいて、前記道路の交通状態を検出する、
請求項2に記載の道路監視システム。
【請求項4】
前記検出された前記道路の交通状態の情報を、車両の運転者に配信する配信部をさらに備える、
請求項3に記載の道路監視システム。
【請求項5】
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、後方散乱光を受信する受信部と、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える道路監視装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における複数の車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態を検出する、
請求項5に記載の道路監視装置。
【請求項7】
前記検出部は、
前記検出された前記道路における複数の車両の走行状態に基づいて、前記道路の交通状態を検出する、
請求項6に記載の道路監視装置。
【請求項8】
道路監視装置による道路監視方法であって、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、後方散乱光を受信し、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する、
道路監視方法。
【請求項9】
コンピュータに、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、後方散乱光を受信する手順と、
前記後方散乱光に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じた振動パターンと学習モデルとに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、道路における車両(自動車)の走行状態を、光ファイバを用いて監視するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、道路の下に光ファイバを敷設し、光ファイバに2つのパルス(一方のパルスは、他方のパルスよりも遅延させる)を入射し、2つのパルスが特定区間の始点及び終点でそれぞれ後方散乱したパルスを検出する。このとき、特定区間に移動中の車両が存在する場合、特定区間の圧力変化によって周波数性の偏差が発生する。これを利用して、道路における車両の走行状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009-514081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術においては、特定区間において上記の偏差が発生していない場合、移動中の車両が存在しないことは検出できるが、車両が存在しないか、又は、静止した車両が存在するか、のどちらであるかを検出することが困難であるという課題がある。
【0006】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、道路における車両の走行状態を高精度に検出することができる道路監視システム、道路監視装置、道路監視方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様による道路監視システムは、
道路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える。
【0008】
一態様による道路監視装置は、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える。
【0009】
一態様による道路監視方法は、
道路監視装置による道路監視方法であって、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信し、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する。
【0010】
一態様による非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピュータに、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する手順と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様によれば、道路の異常状態を高精度に検出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る道路監視システムの構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Aで用いる、道路における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
図3】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Aで用いる、道路における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
図4】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Aで用いる、道路における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
図5】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Aで用いる、道路における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
図6】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Aで用いる、道路における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
図7】実施の形態に係る道路監視システムにおける方法Cによる機械学習の一例を示す図である。
図8】実施の形態に係る検出部により検出された異常状態に基づき実現可能なアプリケーションの一例を示す図である。
図9】実施の形態に係る道路監視装置を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図10】実施の形態に係る道路監視システムの動作フローの一例を示すフロー図である。
図11】他の実施の形態に係る道路監視システムの一例を示す図である。
図12】他の実施の形態に係る道路監視システムの他の例を示す図である。
図13】他の実施の形態に係る道路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置の一例を示す図である。
図14】他の実施の形態に係る道路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置の他の例を示す図である。
図15】他の実施の形態に係る道路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置のさらに他の例を示す図である。
図16】他の実施の形態に係る道路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置のさらに別の例を示す図である。
図17図13の道路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
図18図14の道路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
図19図16の道路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
<実施の形態>
<実施の形態の構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る道路監視システムの構成について説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態に係る道路監視システムは、道路10における車両の走行状態を検出するものであり、光ファイバケーブル20及び道路監視装置33を備えている。
【0015】
光ファイバケーブル20は、道路10に沿って敷設されている。図1では、光ファイバケーブル20は、道路10の下に敷設されているが、これには限定されず、道路10の脇等に敷設されても良い。また、このとき、道路10の特に走行状態を検出したい位置については、例えば、光ファイバケーブル20をループを形成しながら敷設する等して、光ファイバケーブル20を密に設置しても良い。これにより、道路10における車両の走行状態の検出精度の向上を図れる。
光ファイバケーブル20は、1以上の通信用光ファイバを被覆して構成されるケーブルであり、一端は通信キャリア局舎30の内部に引き回されている。
【0016】
本実施の形態に係る道路監視システムは、光ファイバをセンサとして用いる光ファイバセンシング技術を利用して、道路10における車両の走行状態を検出する。
具体的には、通信キャリア局舎30の内部では、光ファイバケーブル20に含まれる通信用光ファイバにパルス光を入射する。すると、パルス光が道路10の方向に通信用光ファイバを伝送されることに伴い、伝送距離毎に後方散乱光が発生する。この後方散乱光は、同じ通信用光ファイバを経由して通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる。
【0017】
ここで、道路10は、車両の走行により振動をしており、道路10の振動は通信用光ファイバに伝達される。また、道路10は、事故等が発生すると衝突音が発生し、音の変化も、通信用光ファイバに伝達される。そのため、通信用光ファイバにおいて、道路10の振動及び音が伝達されるパターンは、道路10における車両の走行状態(例えば、走行方向、走行速度、加減速、走行台数、走行間隔、過積載車両、事故等)に応じて異なっている。
【0018】
そのため、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光には、道路10における車両の走行状態に応じたパターンが含まれる。
【0019】
本実施の形態に係る道路監視システムは、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光に、道路10における車両の走行状態に応じたパターンが含まれることを利用して、その道路10における車両の走行状態(例えば、走行方向、走行速度、加減速、走行台数、走行間隔、過積載車両、事故等)を検出するものである。
【0020】
ここで、通信キャリア局舎30の内部においては、上述した道路監視装置33が設けられている。道路監視装置33は、本実施の形態の実現のために新規に設置された設備である。
【0021】
道路監視装置33は、光ファイバセンシング機器としての機能を備える他、道路10における車両の走行状態を検出する機能を備える装置である。具体的には、道路監視装置33は、ファイバセンシング部331及び検出部332を備えている。ファイバセンシング部331は、受信部の一例である。
【0022】
ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバにパルス光を入射する。このパルス光は、道路10の方向に伝送される。また、ファイバセンシング部331は、パルス光を入射した通信用光ファイバと同じ通信用光ファイバから、パルス光に対する後方散乱光を受信する。この後方散乱光は、道路10の方向から受信される。
【0023】
このとき、上述のように、ファイバセンシング部331により受信された後方散乱光は、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを含んでいる。また、図1の例では、ファイバセンシング部331は、道路10の様々な位置にて発生した後方散乱光を時系列的に受信する。
【0024】
そのため、ファイバセンシング部331は、後方散乱光を受信すると、まず、その後方散乱光が発生した道路10の位置を特定する。さらに、ファイバセンシング部331は、特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する。
その上で、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、道路10における車両の走行状態を検出する。
【0025】
そこで以下では、まず、ファイバセンシング部331において、後方散乱光を受信した場合に、その後方散乱光が発生した位置を特定する方法について説明する。
【0026】
本実施の形態においては、ファイバセンシング部331は、通信用光ファイバにパルス光を入射した時刻と、同じ通信用光ファイバから後方散乱光を受信した時刻と、の時間差に基づいて、その後方散乱光が発生した発生位置を特定する。このとき、ファイバセンシング部331は、上述の時間差が小さいほど、ファイバセンシング部331から近くなるように、発生位置を特定する。
【0027】
続いて以下では、検出部332において、道路10における車両の走行状態を検出する方法について説明する。
(A)方法A
まず、図2図6を参照して、道路10における車両の走行状態を検出する方法Aについて説明する。図2図6は、道路10における車両の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
ファイバセンシング部331は、通信用光ファイバから受信された後方散乱光が発生した道路10の位置を特定する処理を行う。さらに、ファイバセンシング部331は、その後方散乱光を分散型音響センサ(Distributed Acoustic Sensor)、分散型振動センサ(Distributed Vibration Sensor)、及び分散型温度センサ(Distributed Temperature Sensor)等にて検出することで、道路10の特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する処理を行う。
そのため、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。具体的には、図2図6に示されるような、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。
【0028】
以下、図2図6に示される、道路10における車両の走行状態に応じたパターンについて詳細に説明する。なお、図2図6は、パターン自体は同様である。
図2図6において、横軸は、ファイバセンシング部331からの距離、縦軸は、時間経過を示している。車両が走行し、車両の振動をファイバセンシング部331で検出すると、車両が走行していることがグラフ上に線で表される。例えば、車両が時間経過に従って走行していることは、グラフ上では斜めに1本の線で表される。以下、この線を「検出情報の線」と称す。検出情報の線に基づいて、車両の走行方向、走行速度、加減速、走行台数、走行間隔等を検出することができる。
【0029】
例えば、図2に示されるように、検出情報の線の向きに基づいて、車両の走行方向を検出することができる。図2の例では、領域Aにある車両と領域Bにある車両とで、走行方向が異なっている。
また、図3に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の数に基づいて、車両の走行数を検出することができる。
また、図4に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の傾きに基づいて、車両の走行速度を検出することができる。
また、図5に示されるように、斜めに表された複数の検出情報の線の間隔に基づいて、車両の走行間隔を検出することができる。
また、図6に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の傾きに基づいて、車両の加減速を検出することができる。
【0030】
そのため、検出部332は、道路10における車両の走行状態を検出する場合、まず、図2図6に示されるような、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、図2図6にて説明した方法で、道路10における車両の走行状態を検出する。また、検出部332は、図2図6にて説明した方法で、道路10における複数の車両の走行状態を検出しても良い。また、検出部332は、道路10における複数の車両の走行状態を検出する場合、さらに、道路10の交通状態(例えば、渋滞情報、通行止め情報等)を検出したり、道路10における危険運転や違反(例えば、急停止、あおり運転、逆走、速度超過等)の発生を検出したり、道路10で発生した事故の原因を特定したりしても良い。
【0031】
(B)方法B
続いて、道路10における車両の走行状態を検出する方法Bについて説明する。
本方法Bでは、検出部332は、対応テーブルを用いて、道路10における車両の走行状態を検出する。
検出部332は、道路10における車両の走行状態に応じたパターンと、道路10における車両の走行状態と、を対応付けた対応テーブルを保持している。車両の走行状態に応じたパターンは、例えば、上述した方法Aで説明した、図2図6に示されるようなパターンとなる。
検出部332は、道路10における車両の走行状態を検出する場合、まず、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、上述の対応テーブルを用いて、上記で取得した道路10における車両の走行状態に応じたパターンに対応する、道路10における車両の走行状態を特定する。また、対応テーブルは、上述のパターンに対し、道路10における複数の車両の走行状態を対応付けたものでも良い。また、対応テーブルは、上述のパターンに対し、道路10の交通状態や、道路10における危険運転や違反の発生や、道路10で発生した事故の原因を対応付けたものでも良い。
【0032】
(C)方法C
続いて、道路10における車両の走行状態を検出する方法Cについて説明する。
本方法Cでは、検出部332は、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを機械学習(例えば、深層学習等)し、機械学習の学習結果(初期学習モデル)を用いて、道路10における車両の走行状態を検出する。
【0033】
まず、図7を参照して、本方法Cにおける機械学習の方法について説明する。
図7に示されるように、検出部332は、道路10における車両の走行状態を示す教師データと、その道路10における車両の走行状態に応じたパターンと、を入力する(ステップS1,S2)。車両の走行状態に応じたパターンは、例えば、上述した方法Aで説明した、図2図6に示されるようなパターンとなる。
【0034】
続いて、検出部332は、両者のマッチング及び分類を行って(ステップS3)、教師あり学習を行う(ステップS4)。これにより、初期学習モデルが得られる(ステップS5)。この初期学習モデルは、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを入力すると、車両の走行状態が出力されるモデルとなる。
【0035】
続いて、本方法Cにおける、道路10における車両の走行状態を検出する方法について説明する。
検出部332は、道路10における車両の走行状態を検出する場合、まず、上述の方法Aと同様に、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、そのパターンを初期学習モデルに入力する。これにより、検出部332は、初期学習モデルの出力結果として、車両の走行状態を得る。また、この学習モデルは、上述のパターンを入力すると、道路10における複数の車両の走行状態が出力されるものでも良い。また、この学習モデルは、上述のパターンを入力すると、道路10の交通状態や、道路10における危険運転や違反の発生状態、道路10で発生した事故の原因が出力されるものでも良い。
【0036】
上述のように、本方法Cでは、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを機械学習し、機械学習の学習結果を用いて、道路10における車両の走行状態を検出する。
データから道路10における車両の走行状態を検出するための特徴を抽出することが、人間による解析では困難な場合がある。本方法Cでは、大量のパターンから学習モデルを構築することにより、人間での解析では困難であった場合でも、道路10における車両の走行状態を高精度に検出することができる。
【0037】
なお、本方法Cにおける機械学習においては、初期状態では、2つ以上の教師データに基づいて、学習モデルを生成すれば良い。また、この学習モデルには、新たに検出されたパターンを、新たに学習させても良い。その際、新たな学習モデルから、道路10における車両の走行状態を検出する詳細条件を調整しても良い。
【0038】
続いて以下では、図8を参照して、検出部332により検出された道路10における車両の走行状態に基づいて実現可能なアプリケーションについて説明する。
検出部332により検出された道路10における車両の走行状態に基づいて、例えば、以下の(a)~(b)のアプリケーションを実現することが可能である。以下、各アプリケーションについて説明する。
【0039】
(a)過積載検知
課題及び効果:
道路10を走行する車両が規定の積載重量を超えて貨物を積んでいる場合、この車両が走行することによって路面の劣化が発生する。
また、過積載は、車両の転倒等による事故の危険が伴うため、安心や安全の道路環境を守るために過積載車両の高速道路への侵入を防止したいという要求がある。
動作概要:
過積載車両が走行する際に道路10で発生する振動を、道路10の下に敷設された光ファイバケーブル20を介してモニタする。振動のパターンの特徴により過積載車両を検知する。
【0040】
(b)事故検知
課題及び効果:
道路10の全域を光ファイバケーブル20を介して監視することにより、事故発生をリアルタイムでリモートから検知することが可能となる。
動作概要:
道路10で発生した音をモニタし、モニタした音が衝突音であった場合、事故として検知する。
【0041】
続いて以下では、図9を参照して、道路監視装置33を実現するコンピュータ40のハードウェア構成について説明する。
図9に示されるように、コンピュータ40は、プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース(入出力I/F)404、及び通信インタフェース(通信I/F)405などを備える。プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース404、及び通信インタフェース405は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0042】
プロセッサ401は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ402は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ403は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ403は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0043】
ストレージ403は、道路監視装置33が備えるファイバセンシング部331及び検出部332の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ401は、これら各プログラムを実行することで、ファイバセンシング部331及び検出部332の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ401は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ402上に読み出してから実行しても良いし、メモリ402上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ402やストレージ403は、ファイバセンシング部331及び検出部332が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0044】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ40を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0045】
入出力インタフェース404は、表示装置4041や入力装置4042などと接続される。表示装置4041は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、プロセッサ401により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置4042は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサなどである。表示装置4041及び入力装置4042は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。なお、コンピュータ40は、分散型音響センサ、分散型振動センサ、及び分散型温度センサを含む不図示のセンサなども備え、このセンサを入出力インタフェース404に接続した構成であっても良い。
【0046】
通信インタフェース405は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース405は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0047】
<実施の形態の動作>
以下、本実施の形態に係る道路監視システムの動作について説明する。ここでは、図10を参照して、本実施の形態に係る道路監視システムの動作フローについて説明する。
【0048】
図10に示されるように、まず、ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバにパルス光を入射する(ステップS11)。
続いて、ファイバセンシング部331は、パルス光を入射した通信用光ファイバと同じ通信用光ファイバから後方散乱光を受信する(ステップS12)。さらに、ファイバセンシング部331は、受信された後方散乱光を発生した道路10の位置を特定する処理、道路10の特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する処理等を行う。このとき、ファイバセンシング部331は、上述した時間差に基づく方法を用いて、後方散乱光を発生した位置を特定すれば良い。
【0049】
その後、検出部332は、ステップS12で受信された後方散乱光に基づいて、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出する。より詳細には、そのパターンは、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて検出する。その上で、検出部332は、検出されたパターンに基づいて、道路10における車両の走行状態を検出する(ステップS13)。このとき、検出部332は、上述した方法A~方法Cのいずれかの方法を用いて、異常状態を検出すれば良い。
【0050】
なお、図10においては、ステップS12において、後方散乱光を受信する度に、ステップS13の処理を行っても良い。又は、ステップS12において、後方散乱光が複数受信された後、後方散乱光毎に、ステップS13の処理を行っても良い。又は、ステップS12において、後方散乱光が複数受信された後、受信された複数の後方散乱光を全て用いて、ステップS13の処理を行っても良い。
【0051】
<実施の形態の効果>
上述したように本実施の形態によれば、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから後方散乱光(光信号)を受信し、受信された後方散乱光に基づいて、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、道路10における車両の走行状態を検出する。そのため、道路10における車両の走行状態を高精度に検出することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、道路10における車両の走行状態を検出するには、既存の通信用光ファイバがあれば良い。したがって、道路10における車両の走行状態を検出するための専用構造を必要としないため、道路監視システムを安価に構築することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、光ファイバをセンサとして用いる光ファイバセンシング技術を利用する。そのため、電磁ノイズの影響を受けない、センサへの給電が不要になる、環境耐性に優れる、メンテナンスが容易になる等の利点が得られる。
【0054】
<他の実施の形態>
【0055】
なお、検出部332において、上述の方法Cにより、道路10における車両の走行状態に応じたパターンを機械学習する場合、地域によっても車両の走行状態は異なると考えられる。例えば、市街と郊外とで運転状態は異なると考えられる。そのため、検出部332は、地域毎に、その地域に応じた教師データを用いて、機械学習しても良い。
【0056】
また、上述の実施の形態では、既存の光ファイバケーブル20を用いることを想定したが、図11に示されるように、光ファイバケーブル20を新設し、新設した光ファイバケーブル20にデータ収集部34を接続しても良い。データ収集部34も、道路10のパターン(音、温度、振動等)のデータを収集し、収集したデータを検出部332に送信する。このとき、データ収集部34から検出部332へデータの送信は、光ファイバケーブル20を介して行っても良いし、別に設けた無線機を介して行っても良い。検出部332は、データ収集部34及びファイバセンシング部331が収集したデータに基づいて、道路10における車両の走行状態を検出する。そのため、検出精度の向上を図ることができる。
【0057】
また、図12に示されるように、道路監視装置33による検出結果に基づいて、道路10における車両の交通を管理する交通管制システム50を設けても良い。交通管制システム50は、配信部の一例である。交通管制システム50は、車両の運転者に対し、道路10の交通状態や違反の発生を、ハイウェイラジオ、道路10上の情報盤、インターネット、アプリケーション等を介して、配信しても良い。また、交通管制システム50は、システム管理者に対し、道路10の交通状態、道路10における危険運転や違反の発生、道路10で発生した事故の原因等を、配信しても良い。また、交通管制システム50は、通信キャリア局舎30の外部に設けているが、一部の機能(例えば、配信部の機能等)を通信キャリア局舎30の内部に設けても良い。また、交通管制システム50を通信キャリア局舎30の外部に設ける場合、複数の通信キャリア局舎30の各々に光ファイバケーブル20により接続されている道路10を、1つの交通管制システム50で集中的に監視しても良い。
【0058】
また、道路監視装置33のファイバセンシング部331及び検出部332を互いに分離して設けても良い。例えば、通信キャリア局舎30の内部には、ファイバセンシング部331のみを設け、検出部332を含む道路監視装置33を、通信キャリア局舎30の外部に設けても良い。
【0059】
また、上述の実施の形態では、ファイバセンシング部331は、1つのみ設けられ、また、光ファイバケーブル20を占有しているが、これには限定されない。ここで、図13図16を参照して、他の実施の形態に係る道路監視システムにおけるファイバセンシング部331の配置について説明する。なお、図13図16においては、検出部332の図示は省略されている。
【0060】
図13の例では、ファイバセンシング部331は、既存の通信設備31と光ファイバケーブル20を共有している。また、ファイバセンシング部331及び既存の通信設備31で光ファイバケーブル20を共有するため、信号分離のためのフィルタ32が設けられている。
【0061】
図14の例では、複数の通信キャリア局舎30(図14では、2つの通信キャリア局舎30A,30Z)の各々に、ファイバセンシング部331が1つずつ設けられている。具体的には、通信キャリア局舎30A,30Zの内部にファイバセンシング部331A,331Zがそれぞれ設けられている。なお、図14の例では、通信キャリア局舎30Aには、道路10Aが光ファイバケーブル20により接続され、通信キャリア局舎30Zには、道路10Bが光ファイバケーブル20により接続され、道路10A,10Bが光ファイバケーブル20により接続されている。通信設備31A,31Zは通信設備31に対応し、フィルタ32A,32Zはフィルタ32に対応する。
図14の例では、ファイバセンシング部331A,331Zが共に、道路10A,10Bをモニタする。
【0062】
図15の例では、図14と比較して、道路10Aの付近にデータ収集部34が設けられている。ここでは、道路10A,10Bに対して、データ収集部34が1個のみ設けられているが、データ収集部34は、所定数の道路10に対して1個、又は、道路10の所定道路長に対して1個設けることとし、1個以上設ければ良い。
【0063】
図15の例では、各データ収集部34は、対応する道路10のパターン(音、温度、振動等)のデータを収集し、検出部332は、各データ収集部34が収集したデータを集約する。このとき、各データ収集部34から検出部332へデータの送信は、光ファイバケーブル20を介して行っても良いし、別に設けた無線機を介して行っても良い。検出部332は、データ収集部34がデータを収集した道路10については、そのデータに基づいて車両の走行状態を検出する。
【0064】
そのため、1つのファイバセンシング部331のモニタ区間が短くなり、モニタ対象の道路10の数や道路長が減少する。ファイバセンシング部331のモニタ区間が短いことにより、パルス光及び後方散乱光の伝送距離が短くなるため、ファイバ損失が小さくなる。これにより、受信する後方散乱光のS/N比(signal-to-noise ratio)が改善し、モニタ精度の向上を図ることができる。また、ファイバセンシング部331のモニタ対象の道路10の数や道路長が減少することにより、モニタ周期の向上を図ることができる。
【0065】
図16の例では、1つの通信キャリア局舎30AZに、複数のファイバセンシング部331(図16では、2つのファイバセンシング部331A,331Z)が設けられている。なお、図16の例では、ファイバセンシング部331Aには、道路10Aが光ファイバケーブル20により接続され、ファイバセンシング部331Zには、道路10Bが光ファイバケーブル20により接続され、道路10A,10Bが光ファイバケーブル20により接続されている。通信設備31A,31Zは通信設備31に対応し、フィルタ32A,32Zはフィルタ32に対応する。
【0066】
図16の例では、ファイバセンシング部331A,331Zが共に、道路10A,10Bをモニタする。ただし、ファイバセンシング部331Aは、時計回りの方向にパルス光を入射して、道路10A,10Bをモニタし、ファイバセンシング部331Zは、反時計回りの方向にパルス光を入射して、道路10A,10Bをモニタする。
【0067】
なお、図14図16のように、複数のファイバセンシング部331を設ける場合、複数のファイバセンシング部331に対して、検出部332を含む道路監視装置33を1つ設けても良い。そして、複数のファイバセンシング部331の各々に光ファイバケーブル20により接続されている道路10における車両の走行状態を、1つの道路監視装置33で集中的に検出しても良い。この場合、道路監視装置33は、通信キャリア局舎30のいずれかの内部に設けても良いし、通信キャリア局舎30の外部に設けても良い。
【0068】
また、道路10に敷設されている光ファイバケーブル20は、断線する可能性がある。そこで、図17図19を参照して、他の実施の形態に係る道路監視システムにおける光ファイバケーブル20の断線時のファイバセンシング部331の動作について説明する。なお、図17図19においては、検出部332の図示は省略されている。
【0069】
図17の例は、図13の構成において、道路10の光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。これにより、通信キャリア局舎30は、断線された位置までの区間において、継続してモニタをすることが可能である。
【0070】
図18の例は、図14の構成において、道路10Aの光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331A,331Zは、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。このとき、道路10は必ず2つ以上の通信キャリア局舎30(図18では、2つの通信キャリア局舎30A,30Z)と接続されている。そのため、通信キャリア局舎30A,30Zが双方向からモニタを行うことにより、1重障害においては、全区間を継続してモニタすることができる冗長構成を構築可能である。
【0071】
図19の例は、図16の構成において、道路10Aの光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331A,331Zは、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。このとき、図19の例では、光ファイバケーブル20をリング状に接続したリング構成が構築されている。そのため、1つの通信キャリア局舎30AZからリングの双方向にモニタを行うことにより、1重障害においては、全区間を継続してモニタすることができる冗長構成を構築可能である。
【0072】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0073】
また、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
道路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える道路監視システム。
(付記2)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における複数の車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態を検出する、
付記1に記載の道路監視システム。
(付記3)
前記検出部は、
前記検出された前記道路における複数の車両の走行状態に基づいて、前記道路の交通状態を検出する、
付記2に記載の道路監視システム。
(付記4)
前記検出された前記道路の交通状態の情報を、車両の運転者に配信する配信部をさらに備える、
付記3に記載の道路監視システム。
(付記5)
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する検出部と、
を備える道路監視装置。
(付記6)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における複数の車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における複数の車両の走行状態を検出する、
付記5に記載の道路監視装置。
(付記7)
前記検出部は、
前記検出された前記道路における複数の車両の走行状態に基づいて、前記道路の交通状態を検出する、
付記6に記載の道路監視装置。
(付記8)
道路監視装置による道路監視方法であって、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信し、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する、
道路監視方法。
(付記9)
コンピュータに、
道路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する手順と、
前記光信号に基づいて、前記道路における車両の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記道路における車両の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記道路における車両の走行状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0074】
この出願は、2018年12月3日に出願された日本出願特願2018-226684を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0075】
10,10A,10B 道路
20 光ファイバケーブル
30,30A,30Z,30AZ 通信キャリア局舎
31,31A,31Z 通信設備
32,32A,32Z フィルタ
33 道路監視装置
331,331A,331Z ファイバセンシング部
332 検出部
34 データ収集部
40 コンピュータ
401 プロセッサ
402 メモリ
403 ストレージ
404 入出力インタフェース
4041 表示装置
4042 入力装置
405 通信インタフェース
50 交通管制システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19