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  • 特開-化粧シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184551
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20231221BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20231221BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B32B27/18 F
B32B27/04 A
E04F13/07 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175978
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2021209980の分割
【原出願日】2017-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄一
(72)【発明者】
【氏名】長島(工藤) 麻美
(72)【発明者】
【氏名】阿久津(山口) 絵理佳
(57)【要約】
【課題】耐候性、耐汚染性、耐傷性に優れると同時に光(紫外線)を必要とせず、長時間にわたって抗菌性を有する化粧シートを提供する。
【解決手段】化粧シート5の表面側に配置された表面保護層4は、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれか1種以上の硬化型樹脂を含む。表面保護層4は、金属、その金属の酸化物、その金属の配位化合物のいずれか1種以上を担持したリン酸塩化合物を含み、かつリン酸塩化合物の粒子径A(μm)と表面保護層の膜厚B(μm)との関係が、0.1<A/Bとなっている。また、リン酸塩化合物に担持した金属は、白金、金、銀、鉄、銅、パラジウム、マンガン、バナジウム、コバルト、イットリウム、ランタンおよびニッケルから選択されるいずれか1種以上である。これによって、抗菌性に優れた化粧シート5が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料として硬化型樹脂を含む表面保護層を備え、
上記表面保護層は、金属、その金属の酸化物、その金属の配位化合物のいずれか1種以上を担持したリン酸塩化合物を含み、
上記リン酸塩化合物の平均粒子径をAμm、上記表面保護層の膜厚をBμmとした場合、0.1<(A/B)の関係を有し、
上記金属は、白金、金、銀、鉄、銅、パラジウム、マンガン、バナジウム、コバルト、イットリウム、ランタンおよびニッケルから選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
上記表面保護層に配合された、上記リン酸塩化合物を構成するリン酸塩が、表面保護層の樹脂材料100質量部に対し、1×10-3質量部以上5質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載した化粧シート。
【請求項3】
上記リン酸塩化合物を構成するリン酸塩が、チタン、セリウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択される金属を1種類以上含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した化粧シート。
【請求項4】
上記表面保護層は、上記表面保護層を構成する樹脂材料100質量部に対し、上記硬化型樹脂を70質量部以上含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した化粧シート。
【請求項5】
大腸菌、及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌性を備えることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した化粧シート。
【請求項6】
上記金属は、銀であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性を有する化粧シートに係り、特に光(紫外線)を必要とせず、抗菌性を有する建装材化粧シート等の好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧シートは高機能化が進んでおり、特に、抗菌性、消臭性、揮発性有機化合物(VOC)の低減化といった技術は注目度が高くなっている。
抗菌や消臭に関しては従来から研究がなされているが、揮発性化合物に関しては、近年、建材や家具に使用される接着剤などから発生する揮発性有機化合物がシックハウス症候群を引き起こす原因物質として大きな問題となっている。
これらを解決する手段の1つとして、酸化チタンや二酸化チタンなどに代表される光触媒技術が注目されており、光触媒技術を利用した化粧シートも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-62128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キッチン、洗面所、お風呂、トイレといった生活領域は、一般住宅建造物において日当たりのよいところに配置されにくい。このため、このような生活領域では、光(波長380nm以下の紫外線)が届きにくい場合が多い。白熱灯や蛍光灯などの照明によって光触媒効果が発揮される化粧シートもあるが、白熱灯や蛍光灯などの照明器具は、ほとんどの場合は必要な時だけ照らして使用することが多い。したがって、光が照射される時間が少なく、効果が限定的である。
また、光触媒は強い分解力を有するため、バインダー樹脂や基材をも分解し傷めるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、光(紫外線)を必要とせず、長時間にわたって細菌に対して浄化機能を有する化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シートは、樹脂材料として硬化型樹脂を含む表面保護層を備え、上記表面保護層は、金属、その金属の酸化物、その金属の配位化合物のいずれか1種以上を担持したリン酸塩化合物を含み、上記リン酸塩化合物の平均粒子径をAμm、上記表面保護層の膜厚をBμmとした場合、0.1<(A/B)の関係を有し、上記金属は、白金、金、銀、鉄、銅、パラジウム、マンガン、バナジウム、コバルト、イットリウム、ランタンおよびニッケルから選択されるいずれか1種以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、表面保護層の中に酸素触媒機能を有するリン酸塩化合物を配合しているので、光の少ない場所・時間に関係なく、長時間に亘って、有機汚染物質に対する自浄性を具備する化粧シートを提供することが可能となる。
リン酸塩化合物は、たばこやペットなどが原因の悪臭を分解できるため、高い消臭性を発揮する。特に、菌に関しては、菌を死滅するだけではなく、その死骸や菌が出す毒素も
分解できるため、高い抗菌性を発揮する。さらに、揮発性有機化合物を分解しながらマイナスイオンを発生し、室内の空気清浄効果を示すため、シックハウス症候群を予防することが可能となる。
【0008】
このとき、本発明の一態様によれば、配合するリン酸塩化合物として、平均粒子径が、表面保護層の膜厚の0.1倍よりも大きいものを採用することで、表面保護層の表面側にリン酸塩化合物が配置し易くなって、リン酸塩化合物がより効果的に作用するようになる。
また、表面保護層を構成する硬化型樹脂が熱硬化型樹脂の場合には、さらに、表面撥水性に優れ、弾性のある化粧シートを提供することが可能となる。また、表面保護層を構成する硬化型樹脂が光硬化型樹脂(電子線硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂)の場合には、さらに表面強度や表面光沢に優れる化粧シートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に基づく実施形態に係る化粧シートを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図1に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の化粧シート5は、図1に示すように、シート状の基材1の上に、印刷インキ層2、透明熱可塑性樹脂層3、表面保護層4がこの順に積層されて構成されている。本実施形態の表面保護層4には、リン酸塩及び酸化還元補助化合物が配合されている。
【0011】
<基材>
基材1は、例えば樹脂シートからなる。樹脂シートを構成する樹脂には、公知の樹脂が使用可能であるが、その中でも熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイト、ポリエーテルサルファイト、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリフェニレンエーテル等が使用可能であり、これらの共重合体もしくはブレンドでもよい。特に好ましくは耐候性やコストの点でポリプロピレンが好適である。
基材1の厚さとしては30μm~200μmの範囲内が好適である。基材1は、意匠性の観点から、透明もしくは任意に着色されていてもよい。
【0012】
<印刷インキ層>
印刷インキ層2には、公知の各種有機、無機顔料が使えるが、耐候性を考慮した顔料、バインダー樹脂を選定する方が望ましい。
印刷インキのバインダー樹脂としては、公知の樹脂が使用可能であるが、好ましくはウレタン系、アクリル系樹脂が使用される。さらに、塩化ビニル系、酢酸ビニル系樹脂などの樹脂が混合されていてもよい。
特にこれらに限定されるものではないが、顔料としてはカーボンブラック、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、ジアゾ系等の有機顔料、酸化鉄、酸化チタン系無機顔料が使用可能であり、それらの材料を単体もしくは複数使用可能である。
印刷インキ層2は、周知の任意の印刷方法により、基材1の上に形成可能である。特に、調子再現性、生産コストの点でグラビア印刷法が好適である。
【0013】
<透明熱可塑性樹脂層>
透明熱可塑性樹脂層3には、公知の樹脂であればいずれも使用可能である。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイト、ポリエーテルサルファイト、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリフェニレンエーテル等が使用可能であり、これらの共重合体もしくはブレンドも使用可能である。その中でも、耐候性の点でポリプロピレンが好適である。
【0014】
透明熱可塑性樹脂層3の厚さとしては30μm~200μmの範囲内が好適である。
印刷インキ層2の上に透明熱可塑性樹脂層3を設ける際に、2液硬化型ウレタン系樹脂などの接着剤や接着助剤を使用しても良い。また、透明熱可塑性樹脂層3は、押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法など、周知の任意のラミネート方法により形成しても良く、基材1、印刷インキ層2、透明熱可塑性樹脂層3の種類により、積層方法は適宜選択される。
特に、透明熱可塑性樹脂層3の表面に、意匠性向上のために表面エンボス加工を施す場合には、押出ラミネート法が好適である。
【0015】
<表面保護層>
表面保護層4は、樹脂材料の主成分として、熱硬化型樹脂及び光硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂)の少なくとも1つが用いられる。本明細書で主成分とは、樹脂材料100質量部に対し70質量部以上、好ましくは80質量部以上含まれる樹脂材料のことを指す。
熱硬化型樹脂としては、特に限定されるものではないが、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、シリコーン系樹脂などが好ましく用いられる。これらは単体もしくは混合物として用いてもよい。
光硬化型樹脂としてはアクリル系樹脂が好ましく用いられる。
硬化型樹脂として、熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂の両方を混合して使用しても良い。
表面保護層4の厚さとしては0.1μm~20μmの範囲内が好適である。
【0016】
(リン酸塩化合物)
本実施形態の表面保護層4には、リン酸塩化合物が配合されている。
リン酸塩化合物を構成するリン酸塩は、公知のものであれば特に限定されるものではないが、チタン、セリウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択される金属を一種類以上含むものが好ましい。これらの金属は、その同位体の使用が可能である。コストの点から特に好ましいのはチタンである。
リン酸塩を製造する方法として公知の方法を用いればよい。
また、リン酸塩化合物は平均粒子径で0.1~20μmであることが好ましい。粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定機を用いて測定できる。その粒度分布より平均粒子径が算出できる。
リン酸塩は、表面保護層4の樹脂材料100質量部に対し、1×10-3質量部以上5質量部以下の範囲で配合されていることが好ましい。
【0017】
(酸化還元補助化合物)
また、本実施形態の表面保護層4には、酸化還元補助化合物が配合されている。
配合する酸化還元補助化合物は、同様な効果を有するものであれば特に限定されるものではないが、酸化還元力の大きい白金、金、銀、鉄、銅、パラジウム、マンガン、バナジウム、コバルト、イットリウム、ランタン、ニッケルから選択される金属、その酸化物、その配位化合物のうち一種類以上が用いられる。コストの点から特に好ましいのは鉄、その酸化物、その配位化合物である。
【0018】
酸化還元補助化合物は、表面保護層4の樹脂材料100質量部に対し、1×10-4質量部以上1質量部以下の範囲で用いられるのがよい。
ここで、リン酸塩化合物や酸化還元補助化合物は、表面保護層4を構成する樹脂材料に混合攪拌されて、高分散で分散されていることが好ましい。
【0019】
<作用その他>
(1)本実施形態の化粧シート5は、表面保護層4の中に酸素触媒機能を有するリン酸塩化合物を配合しているので、光の少ない場所・時間に関係なく、長時間に亘って、有機汚染物質に対する自浄性を具備する。
リン酸塩化合物は、たばこやペットなどが原因の悪臭を分解できるため、高い消臭性を発揮する。特に、菌に関しては、菌を死滅するだけではなく、その死骸や菌が出す毒素も分解できるため、高い抗菌性を発揮する。さらに、揮発性有機化合物を分解しながらマイナスイオンを発生し、室内の空気清浄効果を示すため、シックハウス症候群を予防することが可能となる。
このとき、本実施形態の化粧シート5によれば、配合するリン酸塩化合物として、平均粒子径が、表面保護層4の膜厚の0.1倍よりも大きいものを採用することで、表面保護層4の表面側にリン酸塩化合物が配置し易くなって、リン酸塩化合物がより効果的に作用するようになる。
【0020】
(2)表面保護層4を構成する硬化型樹脂が熱硬化型樹脂の場合には、さらに、表面撥水性に優れ、弾性のある化粧シートを提供することが可能となる。
また、表面保護層4を構成する硬化型樹脂が光硬化型樹脂(電子線硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂)の場合には、さらに表面強度、表面光沢に優れる化粧シートを提供することが可能となる。
【0021】
(3)表面保護層4に含有するリン酸塩化合物のリン酸塩は、チタン、セリウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択される金属を一種類以上含むことが好ましい。
この構成によれば、紫外線吸収効果によって基材の酸化劣化を低減できる化粧シートを提供することが可能となった。
【0022】
(4)表面保護層4が、さらに酸化還元補助化合物を含み、その酸化還元補助化合物が、白金、金、銀、鉄、銅、パラジウム、マンガン、バナジウム、コバルト、イットリウム、ランタンおよびニッケルから選択される金属、金属酸化物、金属配位化合物のいずれか1種以上からなることが好ましい。
この構成によれば、リン酸塩が単体で配合されたときよりも強い浄化作用を示すようになる。
【0023】
以上のように本実施形態の化粧シート5は、耐候性、耐汚染性、耐傷性を有する化粧シートに好適であり、さらには光(紫外線)を必要とせず、抗菌性を有する建装材化粧シートを提供することが可能となる。
【実施例0024】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限
されるものではない。
<実施例1>
基材1として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤0.5質量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.5質量部を添加して押出成形された厚さ70μmのポリプロピレンシートに、接着助剤としてポリエステルポリオール樹脂を10μmの厚さになるようにグラビアコーティング法により塗布した。
この上にベンゾフェノン系紫外線吸収剤0.5質量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.5質量部を添加したポリプロピレン樹脂を押出ラミネート法により厚さ90μmとなるよう設けた。
更にこの上に、抗菌剤として銀担持リン酸カルシウム(平均粒子径2.0μm)を0.2質量部添加したウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂を表面保護層として6.0μm設けることにより、実施例1の化粧シートを作製した。
【0025】
<比較例1>
実施例1における抗菌剤を銀担持リン酸カルシウム(平均粒子径0.2μm)に代替した以外は、実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを作製した。
<比較例2>
実施例1における抗菌剤を水酸化カルシウム(平均粒子径3.0μm)に代替した以外は、実施例1と同様にして比較例2の化粧シートを作製した。
【0026】
<評価>
以下に、実施例と比較例の抗菌性能評価を行った。
(抗菌性能評価)
JIS Z 2801:2010(フィルム密着法)に基づいて、抗菌性試験を実施した。具体的には、実施例1、比較例1、2の化粧シートそれぞれに、汚染物質として大腸菌、黄色ブドウ球菌を滴下し、25℃環境下、24時間暗所にて保管した。その後、生菌数をカウントし、抗菌活性値を算出した。抗菌活性値は、2.0以上で合格(抗菌性あり)となる。性能評価は、初期値、および清掃を想定した水拭き後の評価を行った。
表1に評価結果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から分かるように、同じ添加量(配合量)であっても、リン酸塩化合物の平均粒子径をA、上記表面保護層の膜厚をBとした場合、0.1<(A/B)である実施例1の場合が一番、抗菌性効果が高かったことが分かる。なお、比較例2では、水溶性の水酸化カルシウムを用いたため、水拭きにより欠落が生じ、水拭き後の抗菌性効果が著しく低下したものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の化粧シートは、光(紫外線)を必要とせず、揮発性化合物、悪臭、菌・ウィルスなどの有機物汚染に対して浄化性を有するものであるので、種々の建装材として有用である。
【符号の説明】
【0030】
1・・基材
2・・印刷インキ層
3・・透明熱可塑性樹脂層
4・・表面保護層
5・・化粧シート
図1