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特開2023-184568偏心性の結節組織を採取する為のシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184568
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】偏心性の結節組織を採取する為のシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177196
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2021177469の分割
【原出願日】2017-12-06
(31)【優先権主張番号】62/431,006
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】リアーナ、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ギャリティ、ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】グエン、ティン
(57)【要約】
【課題】生検針の位置や方向を判断可能にするサンプリングシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、内視鏡分野に関する。具体的には、本発明は、体内経路内で標的組織をリアルタイムに可視化してサンプリングするためのシステム及び方法に関する。特には、本発明は、偏心性の肺結節をリアルタイムで可視化して、生検針の移動前に生検針の位置や方向を判断可能にするシステムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の作業チャネルと第2の作業チャネルとを備える搬送装置と、
第1の開口部と第2の開口部とをそれぞれ形成する第1の管腔と第2の管腔とを備えるエンドキャップと、からなるシステムであって、
前記エンドキャップの近位端は、前記第1の作業チャネルが前記第1の管腔に連続し、且つ前記第2の作業チャネルが前記第2の管腔に連続するように、前記搬送装置の遠位端に取り付けられる、システム。
【請求項2】
前記第1の管腔と前記第2の管腔とは、多様な厚みを有する内壁で分離され、前記内壁の厚みは、前記遠位端から前記近位端に向かって減少されて前記第2の管腔の内部に傾斜表面を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の作業チャネルと第1の管腔の内部に配置される、超音波トランスデューサーをさらに備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記超音波トランスデューサーは、前記エンドキャップの遠位端を超えて遠位方向に延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波トランスデューサーは、前記第1の作業チャネルと前記第1の管腔の内部に回転可能に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の作業チャネルと前記第2の管腔の内部に摺動可能に配置される、組織サンプリング要素をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記エンドキャップの近位端は、はんだ、のり、接着剤、エポキシ、又は樹脂のうちの少なくともいずれか1つで前記搬送装置の近位端に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記エンドキャップの近位端は、前記エンドキャップの近位部の外表面と前記搬送装置の遠位部の外表面との周囲に配置された熱収縮スリーブで前記搬送装置の遠位端に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記熱収縮スリーブは、前記第2の開口部を覆っていない、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記搬送装置の遠位部は、ポケットを備え、前記エンドキャップは、前記ポケットの内部に適合する、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポケットは、前記第2の開口部に一致する切削開口部を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記超音波トランスデューサーは、シースの内部に配置され、前記シースの一部は、放射線不透過性材料を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項13】
前記放射線不透過性材料は、前記シースの一定の長さに沿って延びる放射線不透過性材料のストリップである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記シースの一部は、前記超音波トランスデューサーを超えて遠位方向に延びる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記放射線不透過性材料のストリップと前記エンドキャップの外表面にある第2の開口部とは、180度の角度で偏倚されている、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡分野に関する。より詳細には、体内経路内において標的組織をリアルタイムで可視化して採取する為のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアル超音波気管支鏡(R-EBUS)は、臨床所見により肺経路内の組織生検が必要であることが示された場合に、低侵襲性の選択肢を提供する。従来のラジアル超音波気管支鏡ガイド下針生検(TBNA)には、気管支鏡の作業チャネルを介して標的気道にラジアル超音波プローブを搬送する工程と、ラジアル超音波気管支鏡で標的肺結節を可視化する工程と、アクセスシースの配置をロックする工程と、アクセスシースからラジアル超音波プローブを除去する工程と、細胞学的評価の為に細胞物を得る目的で生検針を無分別に前進させる工程とが含まれる。この無分別なサンプリングは、生検針が標的結節を完全に見失う結果となることが多い。標的結節を確実に生検する為に、医療従事者は、一般に内視鏡を回転させながら繰り返し肺組織中に生検針を穿刺する。このように繰り返し生検針を刺すことは、様々な好ましくない医学的な結果、例えば標的結節周囲の健康な組織を不要に傷つけたり、出血の減少や、偽陰性結果を招来する可能性の増加や、施術に要する時間や費用の増加に繋がる可能性がある。確実に、且つ正確に生検サンプルを採取できないことは、偏心性の肺結節(例えば、偏倚している)では、特に問題であり、これは、肺の全施術の約40%で起きている。偏心性肺結節のサンプリングでは、狭小な肺経路内でカテーテル、又は生検針のうちのいずれか一方を湾曲したり屈曲する必要がある。
【0003】
したがって、偏心性肺結節をリアルタイムで可視化するシステムによって、様々な改善が実現でき、例えば、このシステムによって、穿刺する前に生検針の位置又は向きの判断が可能になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、様々な態様において、肺の内視鏡分野等の医療分野で、偏心性肺結節をリアルタイムに可視可能にするサンプリングシステムであって、穿刺する前に、生検針の位置又は方向を判断可能にするサンプリングシステムに関する。様々な実施形態において、本発明は、偏心性肺結節組織を正確に、且つ効率的に生検可能にする、偏倚した生検針とラジアル超音波トランスデューサーとを開示する。
【0005】
一態様において、本発明は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端の間に延びて第1の開口部を形成する第1の管腔と、近位端とエンドキャプの外表面の間に延びて第2の開口部を形成する第2の管腔とからなるエンドキャップに関する。第1の管腔と第2の管腔とは、多様な厚みを有する内壁で分離されている。内壁の厚みは、第2の管腔内に傾斜表面を形成する為に、遠位端から近位端に向かって減少されている。傾斜表面は、エンドキャップの長軸に対して約5~10度の角度を有し得る。第1の管腔は、超音波トランスデューサーを受承するように構成されている。第2の管腔は、組織サンプリング要素を受承するように構成されている。限定ではないが、エンドキャップは、金属材料やセラミック材料等の多様な材料を含有し得る。
【0006】
別の態様において、本発明は、第1の作業チャネルと第2の作業チャネルとを備える搬送装置と、第1の開口部と第2の開口部とをそれぞれ形成する第1の管腔と第2の管腔とを備えるエンドキャップと、からなるシステムに関する。エンドキャップの近位端は、第1の作業チャネルが第1の管腔と連続し、且つ第2の作業チャネルが第2の管腔と連続するように、搬送装置の遠位端に取り付けられる。第1の管腔と第2の管腔とは、多様な厚みを有する内壁によって分離され、内壁の厚みは、第2の管腔内に傾斜表面を形成すべく遠位端から近位端に向かって減少されている。システムは、第1の作業チャネルと第1の管腔の内部に配置される超音波トランスデューサーをさらに備える。超音波トランスデューサーは、エンドキャップの遠位端を超えて遠位方向に延び得る。システムは、第2の作業チャネルと第2の管腔の内部に摺動可能に配置される組織サンプリング要素をさらに備え得る。エンドキャップの近位端は、エンドキャップの近位部の外表面と搬送装置の遠位部の外表面の周囲に配置される熱収縮スリーブにより搬送装置の遠位端に取り付けられる。搬送装置の遠位部は、内部にエンドキャップが結合するポケットを備える。ポケットは、第2の開口部に一致する切削開口部を備える。超音波トランスデューサーは、シースの内部に配置され、シースの一部は、放射線不透過性材料を含む。放射線不透過性材料は、例えば、シースの一定の長さに沿って延びる放射線不透過性材料からなるストリップを含む。シースの一部は、超音波トランスデューサーを超えて遠位方向に延びる。放射線不透過性材料からなるストリップとエンドキャップの外表面にある第2の開口部とは、約180度の角度で偏倚し得る。
【0007】
別の態様では、本発明は、方法に関し、体内経路を貫通して組織サンプリングシステムを前進させる工程を含み、組織サンプリングシステムは、第1の作業チャネルと第2の作業チャネルと、第1の開口部と第2の開口部とをそれぞれ形成する第1の管腔と第2の管腔とを備えるエンドキャップと、からなる搬送装置を含み、エンドキャップの近位端は、第1の作業チャネルが第1の管腔に連続し、且つ第2の作業チャネルが第2の作業チャネルに連続するように、搬送装置の遠位端に取り付けられ、体内経路内で標的組織を画像化する工程と、標的組織の一部が組織サンプリング要素の管腔内部に捕捉されるように、組織サンプリング要素をエンドキャップの第2の開口部を超えて遠位方向に標的組織の中に前進させる工程と、体内経路からシステムを除去する工程とからなる。標的組織は、超音波トランスデューサーを用いて超音波下で画像化し得る。組織サンプリング要素は、標的組織を画像化しながら標的組織の中に前進させることができる。
【0008】
本発明の非限定的な例を添付の図面を参照して説明する。図面は、概略図であって、縮尺通りに図示することを意図したものではない。図面において、同一又はほぼ同一の構成要素は、一般に単1個の数詞で表示されている。明確に図示することを目的として、図面では、当業者が本発明を理解するのに必要でない場合には、必ずしも全ての構成要素は図示されておらず、本発明の各実施形態の全ての構成要素も、必ずしも図示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルのエンドキャップを示す断面図。
図2A】本発明の一実施形態に係る、カテーテルの遠位端に取り付けられた図1のカテーテルのエンドキャップを示す図。
図2B】本発明の一実施形態に係る、カテーテルの遠位端に取り付けられた図1のカテーテルのエンドキャップを示す図。
図3A】本発明の一実施形態に係る、組織サンプリングシステムを示す図。
図3B】本発明の一実施形態に係る、組織サンプリングシステムを示す図。
図4A】本発明の一実施形態に係る、同心性肺結節を示す典型的な超音波画像。
図4B】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節を示す典型的な超音波画像。
図5A】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図5B】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図5C】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図5D】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図5E】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図5F】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図6A】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図6B】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図6C】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
図6D】本発明の一実施形態に係る、偏心性肺結節のサンプリングに含まれる工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明の一般的又は例示的な実施形態を示すことを意図したものであることに留意されたい。したがって、図面が本発明の範囲を限定すると考えてはならない。以下では、添付の図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明をさらに詳細に説明する前に、本発明は、説明する特定の実施形態に限定されず、変更可能であると理解されたい。また、この明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することを目的とし、添付の請求項の範囲を超えて限定することを意図していない。別段に定義されていない場合には、この明細書で使用する全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。最後に、本発明の実施形態は、偏心性肺結節のリアルタイム可視化とサンプリングを特に参照して説明するが、この明細書で説明するシステムと方法とは、様々な体管腔、例えば心臓、血管系、循環器系、胃腸管系、胃、食道、尿生殖器系等の体内から生検サンプルを採取する際に使用可能である。様々な実施形態において、カテーテルのエンドキャップは、生検針に加えて、様々なサンプリング器具(例えば、把持要素又は切除要素など)と共に使用することにも適する。
【0012】
この明細書で使用するように、反することを別段に明示しない場合には、「a(ひとつ)」、「an(ひとつ)」、「the(その)」などの単数形には、複数形も含まれる。「comprise(からなる)」や「comprising(からなっている)」、又は[includes(含む)]、又は「including(含んでいる)」の用語は、この明細書では、ある特徴、領域、工程の要素や構成要素が存在することを明示するが、1つ以上の別の特徴、領域、整数、工程、動作、要素、構成要素やそれらのグループが存在することや付加されることを否定していない。
【0013】
この明細書で用いるように、「遠位」は、装置を患者の体内に挿入する際に、医療従事者から最も離れた端部を指し、「近位」とは、装置を患者の体内に挿入する際に、医療従事者に対して最も近い端部を指す。
【0014】
本発明は、一般に組織のサンプリング要素とラジアル超音波トランスデューサーとを互いに隣接した状態で同時に使用することを支持する、2管腔式カテーテルエンドキャップを提供する。2つの管腔の一方が傾斜、又は斜めの構成を有することにより、組織サンプリング要素に予め湾曲を設けなくとも偏心性の結節を採取することができる。2管腔式エンドキャップは、穿刺する前に、ラジアル超音波トランスデューサーに対する生検針の配置や方向を表示しながら標的肺結節をリアルタイムで可視化する構成を有するラジアル超音波トランスデューサーとの使用に適合する。2管腔式エンドキャップとラジアル超音波トランスデューサーとは、同じ(又は異なる)結節の中に続けて穿刺する為に、標的の肺結節と生検針の位置と方向とをリアルタイムで可視化することもできる。
【0015】
図1を参照する。一実施形態において、本発明は、近位端112と遠位端114と、多様な厚みを有する内壁122で分離された第1の管腔と第2の管腔116,118とからなるカテーテルエンドキャップ110を提供する。第1の管腔116は、近位端と遠位端112,114の間に延び、第1の開口部116aを形成する。第2の管腔118は、近位端112とエンドキャップ110の外表面の間に延びて、第2の開口部118aを形成する。第1の開口部と第2の開口部116a、118aとは、円形状や楕円形状に限定されず、様々な別の形状や構成も含みうる。多様な厚みの内壁122は、第2の管腔118が傾斜表面122a(例えば、斜面、斜めにされた表面)を形成するように、遠位端114から近位端112に向かって減少されている。傾斜面122aは、エンドキャップ110の長軸(L)に対して、約5~10度の範囲において任意の角度を有し得る。エンドキャップは、当該分野で周知の様々な金属、セラミック、又は硬化プラスチック材料等により単一部材として形成される。
【0016】
一実施形態において、本発明のエンドキャップは、搬送装置(例えば、カテーテル)に取り付けられる。図2Aを参照する。搬送装置230は、エンドキャップ210を受承する凹部233a(例えば、ポケット)を形成する遠位部233を備える。エンドキャップ210の外表面220は、凹部233a内部に、エンドキャップが使用中に(例えば、患者の体内で)外れることを防止する為に十分な干渉、即ち摩擦を獲得する。追加的に又は代替的に、エンドキャップ210は、適切な溶接、はんだ、ろう、接着剤、のり、及び樹脂のうちの少なくともいずれか1つにより凹部233aの内部に固定され得る。凹部233aは、エンドキャップ210の第2の開口部218aと位置合わせされた切削開口部233bをさらに備える。図2Bを参照する。エンドキャップ210の近位端212は、エンドキャップ210の近位部212aの外表面220と搬送装置230の遠位部233の外表面の周囲に配置されるスリーブ235で搬送装置230の遠位端234に取り付けられる。スリーブ235は、第2の開口部218aの一部を覆い得る。一実施形態では、スリーブ235は、搬送装置又はエンドキャップの厚みを増加させることなく、エンドキャップ210を搬送装置230に固定する熱収縮材料を含み得る。追加的に又は代替的に、スリーブ235は、干渉結合及び適した溶接、はんだ、ろう、接着剤、のり、又は樹脂のうちの少なくともいずれか1つにより搬送装置とエンドキャップとに固定される。
【0017】
図3Aを参照する。搬送装置330は、エンドキャップ310を搬送装置に固定した際に、第1の作業チャネル336が第1の管腔316に一致して連続性の管腔を形成し、第2の作業チャネルが第2の管腔318に一致して連続性の第2の管腔を形成するように、第1の作業チャネルと第2の作業チャネル336,338とを備える。連続した第1の作業チャネル336と第1の管腔316とは、可撓性を有するシース344の内部に配置される超音波トランスデューサー340を受承し得る。シース344は、超音波トランスデューサー340を超えて遠位方向に延びて、搬送装置330を体内経路を貫通して前進させる際に、超音波トランスデューサーを保護する。シース344は、さらに、医療従事者が確実に、且つ正確に超音波エネルギーを伝達する為に、好適な流体(例えば、等張の生理食塩水)を断続的に導入する為の導管としても機能し得る。一実施形態では、シース344と超音波トランスデューサー340とは、連続する第1の作業チャネル336と第1の管腔316との内部に固定して配置される。別の実施形態では、シース344と超音波トランスデューサー340とは、連続する第1の作業チャネル336と第1の管腔316の内部に摺動可能に配置される。さらに別の実施形態では、超音波トランスデューサーは、シース344の内部に回転可能に配置されるラジアル超音波プローブを備える。連続する第2の作業チャネル338と第2の管腔318とは、組織サンプリング要素350(例えば、生検針)を摺動可能に受承し得る。図3Bを参照する。組織サンプリング要素350は、第2の開口部318aから出た際に、組織サンプリング要素350が、エンドキャップ310の長軸方向から偏倚する(例えば、湾曲する)ように、エンドキャップ310の傾斜表面322aに沿って遠位方向に前進させられる。組織サンプリング要素350が、エンドキャップ310の遠位端314を超えて移動させられた場合には、組織サンプリング要素350と超音波トランスデューサー340とは、互いに対して、約180度の角度で偏倚されている。言い換えれば、組織サンプリング要素350は、超音波トランスデューサー340の正反対側で(例えば、真上)エンドキャップ310の一定の部位において第2の開口部318aを出る。代替的には、組織サンプリング要素と超音波トランスデューサーとは、180度以下の角度(例えば、約90度、約100度、約110度、約120度、約130度、約140度、約150度、約160度、約170度等)、又は180度以上の角度(例えば、約190度、約200度、約210度、約220度、約230度、約240度、約250度、約260度、約270度等)で互いに対して偏倚されている。
【0018】
図4A~4Bに係る超音波画像は、肺経路の中央部を占める同心性肺結節(図4A)と、肺経路の側部に位置する偏心性肺結節(図4B)の間における形態上の差異を示す。
図5A~5Fを参照する。使用時において、例示であるが、気管支鏡(図示略)は、気管を貫通して標的組織部位(例えば、肺結節)の近傍の気管支経路内に前進させられる。図3Aの搬送装置330(例えば、カテーテル)は、気管支経路の超音波画像を撮影する為に、気管支鏡の作業チャネルを貫通して遠位方向に前進させられる。搬送装置が、標的組織部位に接近すると、超音波トランスデューサー340は、偏心性結節8(図5A)の超音波画像を取得し得る。図5Bに示すように、超音波トランスデューサー340が、超音波画像の中央に暗い円として視認し得るのに対比して、偏心性結節8は、超音波画像の左上の4分円内の暗い病変として視認し得る。超音波トランスデューサー340が、偏心性結節8の近傍に配置されると、医療従事者は、肺経路の壁の中にエンドキャップ310の第2の開口部318aを貫通して組織サンプリング要素350を移動する(例えば、遠位方向に前進させ得る)(図5C)。図5Dに示すように、組織サンプリング要素350は、超音波トランスデューサー340を超えて移動させられると(例えば、遠位方向に前進させられる)、超音波画像に現れる。組織サンプリング要素を前進させて組織サンプリング要素が偏心性結節を貫通しない場合には、医療従事者は、組織サンプリング要素350をエンドキャップ310の中に後退させて、組織サンプリング要素350と偏心性結節8の相対的な位置(図5C,5D)に基づいて、搬送装置330全体を回転させて第2の開口部318aの位置を偏心性結節8(図5E)に合わせた後、組織サンプリング要素350をエンドキャップ310の第2の開口部318aを貫通して偏心性の結節の中に改めて移動させる(図5F)。組織サンプリング要素350は、その後、エンドキャップ310の中に後退させられて、搬送装置330は、気管支鏡の中を近位方向に後退させられて、患者の体内から除去される。偏心性結節の生検サンプルは、その後、細胞学的な評価を行う為に、組織サンプリング要素350の管腔内部から除去される。図5Cの組織サンプリング要素350は、偏心性結節8(例えば、標的結節が「見失われている」)に入らない部位で気管支経路の壁を貫通するものとして示されているが、様々な実施形態では、組織サンプリング要素350は、組織サンプリング要素350の端部(例えば、鋭利な部分)が超音波画像に表示されるものの気管支経路の壁の中には延びないように超音波トランスデューサー340を超えて遠位方向に移動される。医療従事者は、搬送装置330全体を回転して、組織サンプリング要素350の位置を偏心性結節8に一致させた後、組織サンプリング要素350を偏心性結節8の中へ完全に、即ち全体的に移動させる。図3Aに係る搬送システムは、従来の針吸引システムよりも優れていると同時に、医療従事者にとっては、生検針が、エンドキャップや搬送装置の内部に収容されている時に(例えば、最初に前進させる前に)、標的の肺結節に対して生検針の位置と方向とを判断できる為、有用である。
【0019】
図6Aを参照する。一実施形態では、図3Aの搬送装置は、可撓性を有するシース344の内部に配置される超音波トランスデューサー340を備え、シース344は、その一部の長さに沿ってストリップ346に配置された放射線不透過性材料をさらに備える。例えば、放射線不透過性材料は、押出工程でシース344内に一体的に形成され得る。図6Bを参照する。放射性不透過性材料のストリップ346は、超音波画像で暗い部分(例えば、スライス)として視認可能な放射性不透過性マーカーを提供する。上記のように、組織サンプリング要素350は、エンドキャップ310の第2の開口部318aを出て、超音波トランスデューサー340の正反対側(例えば、真上など)に延び、シース344と放射性不透過性ストリップ346との固定位置により、医療従事者は、組織サンプリング要素を駆動する前に、組織サンプリング要素350がどこにあるのかを特定できる。
【0020】
使用時には、例示であるが、気管支鏡(図略)は、気管を貫通して、標的組織部位(例えば、肺結節)の近傍の気管支経路内に前進させられる。搬送装置330(例えば、カテーテル)は、シース344と放射性不透過性ストリップ346とを備え、気管支経路の超音波画像を撮影する為に、気管支鏡の作業チャネルの中を貫通して遠位方向に前進させられる。搬送装置が、標的組織部位に接近すると、超音波トランスデューサー340は、偏心性結節8と放射性不透過性ストリップ346の双方の超音波画像を撮影し得る(図6A,6B)。その後、搬送装置330は、放射線不透過性ストリップ346と偏心性結節8とが、超音波画像の正反対側に現れるように回転される(図6C)。その後、組織サンプリング要素350は、エンドキャップ310の第2の開口部318aを貫通して偏心性結節8の中に移動させられる(図6D)。組織サンプリング要素350は、必要とされる生検組織の量に依存して、周囲の健康な組織を気にすることなく、偏心性の結節の中へ繰り返し後退させたり前進させることが可能である。組織サンプリング要素350は、その後、エンドキャップ310内に後退させられて、搬送装置330は、気管支鏡内に近位方向に後退させられて、患者の体内から除去される。偏心性の結節の生検サンプルは、その後、細胞学上の評価を行う為に組織サンプリング要素550の管腔の内部から除去される。
【0021】
本発明の医療装置は、気管支鏡に限定されず、体内経路にアクセスするための様々な医療装置、例えばカテーテル、尿道鏡、十二指腸鏡、直腸鏡、関節鏡、嚢胞鏡、子宮鏡なども含み得る。
【0022】
最後になるが、本発明に係る実施形態は、気管支鏡と共に使用することを前提として説明したが、本発明の搬送装置は、付随する医療装置が無くとも、患者の体内に配置し得る。例えば、医療装置は、医療装置自身の作業チャネルを介して患者の体内に挿入し得る。
【0023】
この明細書や請求項に記載した装置や方法は全て、本発明に照らして必要以上の実験をすることなく製造し、且つ実施することが可能である。本発明に係る装置及び方法は、好ましい実施形態として説明したが、当業者であれば、本発明の概念、主旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した装置、及び、方法、及び方法の工程、又は工程の順序において様々な変更が可能であることを理解するであろう。したがって、当業者にとって明白な類似の置換形態、及び変更形態は全て、添付の請求項で定義する本発明の主旨、範囲、及び概念に入るものとする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の作業チャネルと第2の作業チャネルとを備える搬送装置と、
第1の開口部と第2の開口部とをそれぞれ形成する第1の管腔と第2の管腔とを備えるエンドキャップと、からなるシステムであって、
前記エンドキャップの近位端は、前記第1の作業チャネルが前記第1の管腔に連続し、且つ前記第2の作業チャネルが前記第2の管腔に連続するように、前記搬送装置の遠位端に取り付けられる、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
第1の作業チャネルと第2の作業チャネルとを備える搬送装置と、
第1の開口部と第2の開口部とをそれぞれ形成する第1の管腔と第2の管腔とを備えるエンドキャップと、からなるシステムであって、
前記エンドキャップの近位端は、前記第1の作業チャネルが前記第1の管腔に連続し、且つ前記第2の作業チャネルが前記第2の管腔に連続するように、前記搬送装置の遠位端に取り付けられる、システム。
[項目2]
前記第1の管腔と前記第2の管腔とは、多様な厚みを有する内壁で分離され、前記内壁の厚みは、前記遠位端から前記近位端に向かって減少されて前記第2の管腔の内部に傾斜表面を形成する、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記第1の作業チャネルと第1の管腔の内部に配置される、超音波トランスデューサーをさらに備える、項目1又は2に記載のシステム。
[項目4]
前記超音波トランスデューサーは、前記エンドキャップの遠位端を超えて遠位方向に延びる、項目1~3のいずれか一項に記載のシステム。
[項目5]
前記超音波トランスデューサーは、前記第1の作業チャネルと前記第1の管腔の内部に回転可能に配置される、項目1~4のいずれか一項に記載のシステム。
[項目6]
前記第2の作業チャネルと前記第2の管腔の内部に摺動可能に配置される、組織サンプリング要素をさらに備える、項目1~5のいずれか一項に記載のシステム。
[項目7]
前記エンドキャップの近位端は、はんだ、のり、接着剤、エポキシ、又は樹脂のうちの少なくともいずれか1つで前記搬送装置の近位端に取り付けられる、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[項目8]
前記エンドキャップの近位端は、前記エンドキャップの近位部の外表面と前記搬送装置の遠位部の外表面との周囲に配置された熱収縮スリーブで前記搬送装置の遠位端に取り付けられる、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[項目9]
前記熱収縮スリーブは、前記第2の開口部を覆っていない、項目8に記載のシステム。
[項目10]
前記搬送装置の遠位部は、ポケットを備え、前記エンドキャップは、前記ポケットの内部に適合する、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[項目11]
前記ポケットは、前記第2の開口部に一致する切削開口部を備える、項目10に記載のシステム。
[項目12]
前記超音波トランスデューサーは、シースの内部に配置され、前記シースの一部は、放射線不透過性材料を備える、項目3に記載のシステム。
[項目13]
前記放射線不透過性材料は、前記シースの一定の長さに沿って延びる放射線不透過性材料のストリップである、項目12に記載のシステム。
[項目14]
前記シースの一部は、前記超音波トランスデューサーを超えて遠位方向に延びる、項目12に記載のシステム。
[項目15]
前記放射線不透過性材料のストリップと前記エンドキャップの外表面にある第2の開口部とは、180度の角度で偏倚されている、項目13に記載のシステム。
最後になるが、本発明に係る実施形態は、気管支鏡と共に使用することを前提として説明したが、本発明の搬送装置は、付随する医療装置が無くとも、患者の体内に配置し得る。例えば、医療装置は、医療装置自身の作業チャネルを介して患者の体内に挿入し得る。
【外国語明細書】