(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184585
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理装置,情報処理装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04883 20220101AFI20231221BHJP
A63F 13/2145 20140101ALI20231221BHJP
A63F 13/426 20140101ALI20231221BHJP
【FI】
G06F3/04883
A63F13/2145
A63F13/426
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182679
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2022025646の分割
【原出願日】2016-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】竹田 広平
(57)【要約】
【課題】スライド操作によりユーザが描く複数の閉図形が入れ子になっている場合に当該複数の閉図形を漏れなく検出する。
【解決手段】本発明の一態様である「情報処理装置」(例えば、ユーザ端末10)は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定手段(例えば、特定部732)と、前記特定手段により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定手段(例えば、設定部733)と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記座標情報群は座標の順序を保持しており、
前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標と前記第2位置の直後の座標とが直接に又は間接的に順序付けされた新たな座標情報群を前記処理対象として設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記座標情報は次座標情報を含んでおり、
前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の次座標情報を前記第2位置の直後の座標に書き換える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記座標情報は次座標情報を含んでおり、
前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の次座標情報を交差位置の座標に書き換えるとともに、該交差位置の座標の次座標情報を前記第2位置の直後の座標に書き換える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記座標情報群は整列済みであり、
前記設定手段が、前記特定手段により特定される座標情報を前記処理対象の座標情報群から隔離する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の座標情報と前記第2位置の直後の座標の座標情報との間に交差位置の座標情報を挿入する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定手段により特定されるいずれか2つの座標情報がそれぞれ示す2つの閉図形の内部領域が少なくとも部分的に重畳する場合に重畳領域に関連付けて発生させるエフェクトの内容を決定する決定手段をさらに備える、
請求項1から請求項6までに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決定手段が、前記2つの閉図形の内部領域のうち少なくともいずれかに対して前記重畳領域が占める割合を加味して前記エフェクトの内容を決定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決定手段が、前記重畳領域にオブジェクトが存在する場合に限り前記エフェクトの内容を決定する、
請求項7又は請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定ステップと、
を含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項11】
処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定機能と、
前記特定機能により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定機能と、
を情報処理装置のコンピュータに実現させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元以上の表示ができるディスプレイを用いた電子ゲームに関する。特に、タッチパネルに対するユーザのタッチ操作により入力される座標データを用いて進行するゲームを実装する装置並びにその制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
渦巻き状の図形の軌跡から人が意図している入力情報を取得する軌跡情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の装置は、入力された軌跡が交叉した場合に交叉開始点から交叉終了点までを結ぶ閉曲線を取得した後に当該閉曲線とこれに先行する曲線とを当該軌跡から除去し、当該交叉終了点を新たな軌跡の開始点として同様の処理を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、複数の閉図形が1つずつ形成されることを前提として、閉図形が検出される度に当該閉図形の終了点までの軌跡情報をすべて除去する。
そのため、複数の閉図形が入れ子(ネスト)になっている場合に、当該複数の閉図形の一部を検出することができない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、スライド操作によりユーザが描く複数の閉図形が入れ子になっている場合に当該複数の閉図形を漏れなく検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「情報処理装置」は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定手段と、を備える。
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「情報処理装置の制御方法」は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定ステップと、を含む。
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「制御プログラム」は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定機能と、前記特定機能により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定機能と、を情報処理装置のコンピュータに実現させる。
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「コンピュータ読取り可能な記録媒体」は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形を構成する座標情報を特定する特定機能と、前記特定機能により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定機能と、を情報処理装置のコンピュータに実現させる制御プログラムを記録する。
【0007】
本発明の「情報処理装置」には、下記の技術的限定を加えてもよい。また、同様の技術的限定を、本発明の「制御方法」及び「制御プログラム」に加えてもよい。
例えば、前記座標情報群は座標の順序を保持しており、前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標と前記第2位置の直後の座標とが直接に又は間接的に順序付けされた新たな座標情報群を前記処理対象として設定する、という技術的限定を加えてもよい。
このとき、下記いずれかの技術的限定をさらに加えてもよい。
・前記座標情報は次座標情報を含んでおり、前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の次座標情報を前記第2位置の直後の座標に書き換える。
・前記座標情報は次座標情報を含んでおり、前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の次座標情報を交差位置の座標に書き換えるとともに、該交差位置の座標の次座標情報を前記第2位置の直後の座標に書き換える、
・前記座標情報群は整列済みであり、前記設定手段が、前記特定手段により特定される座標情報を前記処理対象の座標情報群から隔離する。このとき、前記設定手段が、前記第1位置の直前の座標の座標情報と前記第2位置の直後の座標の座標情報との間に交差位置の座標情報を挿入してもよい。
【0008】
上記技術的限定を加えていない「情報処理装置」及び上記いずれかの技術的限定を加えた「情報処理装置」には、下記の技術的限定をさらに加えてもよい。また、同様の技術的限定を、「制御方法」及び「制御プログラム」に加えてもよい。
例えば、前記特定手段により特定されるいずれか2つの座標情報がそれぞれ示す2つの閉図形の内部領域が少なくとも部分的に重畳する場合に重畳領域に関連付けて発生させるエフェクトの内容を決定する決定手段をさらに備える、という技術的限定をさらに加えてもよい。このとき、前記決定手段が、前記2つの閉図形の内部領域のうち少なくともいずれかに対して前記重畳領域が占める割合を加味して前記エフェクトの内容を決定する、という技術的限定をさらに加えてもよい。これらのとき、前記決定手段が、前記重畳領域にオブジェクトが存在する場合に限り前記エフェクトの内容を決定する、という技術的限定をさらに加えてもよい。
【0009】
本発明において、「座標情報」とは、平面上の位置(座標)を特定する情報をいう。
本発明において、「座標情報群」とは、座標情報の集合をいう。座標情報群には、少なくとも1単位の座標情報が含まれる。
本発明において、「交差位置」とは、軌跡が交わる位置をいう。ある軌跡が「交差位置」で交わる場合に、時間的に先に形成された軌跡上の位置を「第1位置」といい、時間的に後に形成された軌跡上の位置を「第2位置」という。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形の座標情報を特定するとともに、特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する。
よって、本発明によれば、スライド操作によりユーザが描く複数の閉図形が入れ子になっている場合に当該複数の閉図形を漏れなく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】概要の説明図である。(実施形態及び実施例)
【
図2】概要の説明図である。(実施形態及び実施例)
【
図3】概要の説明図である。(実施形態及び実施例)
【
図4】実施例のシステムのネットワーク構成例の説明図である。(実施例)
【
図5】ユーザ装置のハードウェア構成例の説明図である。(実施例)
【
図6】サーバ装置のハードウェア構成例の説明図である。(実施例)
【
図7】ユーザ端末の機能構成例の説明図である。(実施例)
【
図8】各種パラメータの項目例の説明図である。(実施例)
【
図10】閉図形検出手順の説明図である。(実施例)
【
図11】閉図形検出手順の説明図である。(変形例2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.実施形態]
[1-1.概要]
本実施形態は、タッチパネルに対するスライド操作の軌跡が閉図形(例えば、
図1(a)の閉曲線101)を描く場合に、当該閉図形の内部の領域(例えば、
図1(b)の閉領域102)を少なくとも包含する範囲に関連付けてエフェクト(通常エフェクト)を発生させる電子ゲームに関する。
【0013】
本実施形態においてエフェクトは、下記のうち少なくともいずれかを含む。
(a)表示を変更する視覚処理
(b)音声を出力する聴覚処理
(c)ユーザやオブジェクトに関連するパラメータを変更する内部処理
【0014】
スライド操作により閉図形が形成された際に発生させるべきエフェクトは、当該スライド操作の操作対象となった第1のオブジェクトの属性や閉図形の内部の領域に存在する第2のオブジェクトの属性に応じて、定義済みエフェクトの中から選択される。
例えば、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係に応じて選択するとよい。
【0015】
また、本実施形態では、スライド操作の軌跡が複数の閉図形(例えば、
図2(a)の閉曲線103及び閉曲線104)を描く場合に、当該複数の閉図形の重畳領域(例えば、
図2(b)の閉領域105)を少なくとも包含する範囲に関連付けてエフェクト(特別エフェクト)を発生させる。
特別エフェクトは、重畳領域に第2のオブジェクトが存在する場合に限り発生させることとしてもよい。また、特別エフェクトを発生させる場合には、通常エフェクトとともに発生させてもよいし、通常エフェクトを発生させなくてもよい。
【0016】
スライド操作により複数の閉図形が形成された際に発生させるべきエフェクトは、いずれかの通常エフェクトの内容を改変(例えば、パラメータに乗じる係数の変更,追加など)したものでよい。このとき、閉領域の重畳数が多いほど係数の値が大きくなるようにするとよい。
なお、スライド操作により複数の閉図形が形成された際に発生させるべきエフェクトは、定義済みエフェクトの中から選択されてもよい。例えば、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとの関係に応じて選択するとよい。
【0017】
[1-2.情報処理装置]
本実施形態に係る情報処理装置(例えば、携帯装置)は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、該軌跡上の第1位置から該第1位置と重なる該軌跡上の第2位置までを結ぶ閉図形の座標情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が前記処理対象となるように設定する設定手段と、を備える。
【0018】
この構成により、本実施形態に係る情報処理装置は、複数の閉図形が入れ子(ネスト)になっていても(
図3(a)の閉曲線103a及び閉曲線104a,
図3(b)の閉曲線103b及び閉曲線104b)、当該複数の閉図形を漏れなく検出することができる。
その結果、複数の閉領域が重畳する重畳領域(
図3(a)の閉領域105a,
図3(b)の閉領域105b)を少なくとも包含する範囲に関連付けてエフェクトを発生させることが可能になる。
【実施例0019】
[2.実施例]
[2-1.概要]
図1から
図3までを参照して、本実施例の概要を説明する。
本実施例は、操作対象であるオブジェクト(自キャラクタ)の移動経路をタッチパネルに対するスライド操作により指定する電子ゲームである。経路指定操作が完了すると、指定された経路の開始位置(オブジェクトの現在位置)から終了位置までオブジェクトが移動し、再び経路指定操作が可能になる。
なお、攻撃の順番(ターン)が回ってきた場合に限り経路指定操作が可能となるように構成してもよい。
【0020】
本実施例では、スライド操作の軌跡が閉曲線101(閉図形の一例)を描く場合に、当該閉曲線の内部の閉領域102を少なくとも包含する範囲に関連付けて通常エフェクトを発生させる。また、本実施例では、スライド操作の軌跡が閉曲線103及び閉曲線104を描く場合に、重畳領域105を少なくとも包含する範囲に関連付けて特別エフェクトを発生させる。
例えば、スライド操作により囲われたオブジェクト(敵キャラクタ)のHP(ヒットポイント)を、囲われた回数に応じて減少させる(つまり、敵キャラクタにダメージを与える)。
【0021】
本実施例の主要な特徴は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、軌跡上の第1位置から第1位置と重なる軌跡上の第2位置までを結ぶ閉曲線の座標情報を特定するとともに、その特定される座標情報が除外された新たな座標情報群が処理対象となるように設定することで、閉曲線の検出を繰り返す点である。
座標情報群が座標の順序を保持している前提であれば、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とが直接に順序付けされた新たな座標情報群を処理対象として設定するとよい。
【0022】
この構成により、複数の閉曲線(例えば、閉曲線103aと閉曲線104a,閉曲線103bと閉曲線104b)が入れ子(ネスト)になっていても、当該複数の閉曲線を漏れなく検出することができる。
その結果、重畳領域(例えば、重畳領域105a,重畳領域105b)を少なくとも包含する範囲に関連付けて特別エフェクトを発生させることが可能になる。
【0023】
[2-2.ネットワーク構成]
図4に、実施例のシステムのネットワーク構成例を示す。
本実施例のシステムは、ユーザ端末10(「情報処理装置」の一例)と、ユーザ管理サーバ20と、データ管理サーバ30と、を含む。
ユーザ端末10とユーザ管理サーバ20とは、通信ネットワーク40を通じてそれぞれデータの授受が可能である。また、ユーザ管理サーバ20は、データ管理サーバ30を介して、記憶装置31に記憶されるデータにアクセス可能である。
通信ネットワーク40は、既存のネットワーク(例えば、インターネット(Internet),携帯電話網,無線WAN(Wireless Wide Area Network),無線LAN(Wireless Local Area Network),イーサネット(Ethernet)(登録商標)などのうち少なくともいずれか)を含んでいてよい。
【0024】
[2-2-1.ユーザ端末]
ユーザ端末10は、所定のゲームプログラムがインストールされたユーザ装置(コンピュータ)である。
本実施例のシステムでは、ユーザ装置として、ゲームプログラムをインストール可能な汎用の携帯装置(例えば、携帯電話,スマートフォン(smartphone),タブレット(tablet)端末,タブレットPC(personal computer),小型のPC,ウェアラブルデバイス(wearable device)など)や、所定のゲームプログラムが予めインストールされた専用のゲーム装置を用いることができる。
【0025】
[2-2-2.ユーザ管理サーバ]
ユーザ管理サーバ20は、Webサーバプログラム(HTTPデーモン(HyperText Transfer Protocol Daemon)ともいう。)がインストールされたサーバ装置(コンピュータ)である。
ユーザ管理サーバ20は、ユーザ端末10からの求め(リクエスト)に応じて、データ管理サーバ30を介して記憶装置31から必要なデータを読み出し、ユーザ端末10に提供(レスポンス)する。また、ユーザ管理サーバ20は、ユーザ端末10からの求め(リクエスト)に応じて、ユーザ端末10から取得したデータを、データ管理サーバ30を介して記憶装置31に書き込み、処理結果をユーザ端末10に提供(レスポンス)する。
なお、複数のサーバ装置を連携させてサーバシステムを構成し、ユーザ管理サーバ20の機能を分担させ又はユーザ管理サーバ20にかかる負荷を分散させてもよい。
【0026】
[2-2-3.データ管理サーバ]
データ管理サーバ30は、DB(Database)サーバプログラムがインストールされたサーバ装置(コンピュータ)であり、内蔵する又は外部の接続可能な記憶装置31とともにDBMS(Database Management System)を構成する。
データ管理サーバ30は、例えば、データの格納要求に応じ要求元から取得されるデータを記憶装置31に格納する機能と、データの抽出要求に応じ記憶装置31から抽出されるデータを要求元に応答する機能とを有する。
なお、複数のサーバ装置を連携させてサーバシステムを構成し、データ管理サーバ30の機能を分担させ又はデータ管理サーバ30にかかる負荷を分散させてもよい。また、複数の記憶装置にデータを分散配置することも可能である。
【0027】
[2-3.ハードウェア構成]
[2-3-1.ユーザ装置のハードウェア構成]
図5に、ユーザ装置のハードウェア構成例を示す。
典型的なユーザ装置は、制御処理部を構成するMPU(Micro-Processing Unit)511と、主記憶部を構成するRAM(Random Access Memory)521と、補助記憶部を構成するROM(Read Only Memory)522及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)523と、入力部及び表示部を構成するタッチパネルディスプレイ531と、音声出力部を構成するスピーカ532と、通信制御部を構成するNIC(Network Interface Controller)541及び無線LAN(Local Area Network)チップ542と、を少なくとも有する。
【0028】
RAM521と、ROM522と、EEPROM523と、タッチパネルディスプレイ531と、スピーカ532と、NIC541と、無線LANチップ542とは、バスラインを介してMPU511と接続される。
MPU511は、(1)ROM522又はEEPROM523に記憶されたゲームプログラムをRAM521上に読み込み、(2)ゲームプログラムの指示に従ってタッチパネルディスプレイ531とEEPROM523とNIC541と無線LANチップ542との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをゲームプログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータをEEPROM523とタッチパネルディスプレイ531とスピーカ532とNIC541と無線LANチップ542との少なくともいずれかに提供する。
【0029】
[2-3-2.サーバ装置のハードウェア構成]
図6に、サーバ装置のハードウェア構成例を示す。
典型的なサーバ装置は、MPU(Micro-Processing Unit)やROM(Read Only Memory)を含む制御処理装置610と、RAM(Random Access Memory)を含む主記憶装置620と、HDD(Hard Disc Drive)を含む補助記憶装置630と、マウスやキーボードを含む入力装置640と、ディスプレイやスピーカを含む出力装置650と、ネットワークカード(Network Interface Card)を含む通信制御装置660と、を有する。
【0030】
主記憶装置620、補助記憶装置630、入力装置640、出力装置650及び通信制御装置660は、バスラインを介して制御処理装置610とそれぞれ接続される。
制御処理装置610は、(1)補助記憶装置630に記憶されたプログラムを主記憶装置620上に読み込み、(2)プログラムの指示に従って入力装置640と補助記憶装置630と通信制御装置660との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをプログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータを補助記憶装置630と出力装置650と通信制御装置660との少なくともいずれかに提供する。
【0031】
[2-4.機能構成]
図7に、ユーザ端末の機能構成例を示す。
ユーザ端末10の機能は、ユーザ装置向けOS(Operating System)と当該OS上で動作するゲームプログラムとがユーザ装置にそれぞれインストールされることにより実現される。
【0032】
ユーザ装置にインストールされるべきゲームプログラムは、通信ネットワーク40を介し搬送波に重畳させてユーザ装置に供給されるのが一般的である。
なお、ゲームプログラムは、各種の記録媒体(例えば、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disk),MOディスク(Magneto-Optical disk),フラッシュメモリ(flash memory)など)に記録された状態で配布され当該記録媒体からユーザ装置に読み込まれてもよい。また、出荷当初からユーザ装置にインストールされていてもよい。
【0033】
図7に示すように、ユーザ端末10は、表示制御部711と、音声制御部712と、格納部721と、表示部722と、入力部723と、音声出力部724と、検知部731,特定部732と、設定部733と、決定部734と、を具備する。
このうち、格納部721はRAM521を含んで構成される。表示部722と及び入力部723はタッチパネルディスプレイ531を含んで構成される。音声出力部724はスピーカ532を含んで構成される。
【0034】
表示制御部711は、格納部721に記憶される各種のパラメータに応じ、格納部721又はEEPROM523に記憶される映像データを取捨選択して表示部722に表示させる。
音声制御部712は、格納部721に記憶される各種のパラメータに応じ、格納部721又はEEPROM523に記憶される音声データを取捨選択して音声出力部724に再生させる。
格納部721は、各種のパラメータを記憶する。
表示部722は、表示制御部711による制御の下で、映像を表示する。
入力部723は、タッチパネルに対する接触位置を示すデータを出力する。
音声出力部724は、音声制御部712による制御の下で、音声を再生する。
【0035】
検知部731は、接触位置を特定する座標情報を格納部721に書き込む。
特定部732は、処理対象の座標情報群が示す軌跡が交差する度に、軌跡上の第1位置から第1位置と重なる軌跡上の第2位置までを結ぶ閉曲線を構成する座標情報を特定する。
設定部733は、特定部732により特定される座標情報が除外された新たな座標情報群(本実施例では、第1位置の直前の座標の次の座標が第2位置の直後の座標となるように書き換えられた座標情報群)が特定部732の処理対象となるように設定する。
【0036】
決定部734は、特定部732により特定される座標情報が示す閉曲線を少なくとも包含する範囲に関連付けて発生させる通常エフェクトの内容を決定する。
また、決定部734は、特定部732により特定されるいずれか2つの座標情報がそれぞれ示す2つの閉曲線の内部領域が少なくとも部分的に重畳するとき、重畳領域にオブジェクトが存在する場合に限り、当該重複領域に関連付けて発生させるエフェクトの内容を、2つの閉図形の内部領域のうち少なくともいずれかに対して当該重畳領域が占める割合を加味して決定する。
【0037】
[2-5.パラメータ]
図8(a)に、ユーザ関連情報の項目例を示す。ユーザ関連情報は、ゲームを行うユーザに関連するパラメータである。
図8(a)に例示されるように、ユーザ関連情報は、キー項目である「ユーザID」と、当該ユーザが保持する得点の累計値を示す「累計得点」,当該ユーザが操作対象とするオブジェクトを特定する「操作対象オブジェクトID」,当該ユーザによるスライド操作の距離の上限値を特定する「スライド操作残値」と、を含む。
本実施例において、ユーザ関連情報は、初期設定時に初期値が記憶装置31に記憶されるものとする。また、ユーザ端末10においてゲームプログラムが起動される際にユーザ管理サーバ20及びデータ管理サーバ30を介して記憶装置31からダウンロードされ、ゲームプログラムが終了される際にユーザ管理サーバ20及びデータ管理サーバ30を介して記憶装置31にアップロードされるものとする。
【0038】
図8(b)に、オブジェクト関連情報の項目例を示す。オブジェクト関連情報は、ゲーム内に出てくるオブジェクト(例えば、キャラクタ,アイテム等)に関連するパラメータである。
図8(b)に例示されるように、オブジェクト関連情報は、キー項目である「オブジェクトID」と、当該オブジェクトの種類を示す「種別コード」,当該オブジェクトの表示位置を示す「現在位置」,当該オブジェクトのHP(ヒットポイント)を示す「残存HP」と、を含む。
【0039】
図8(c)に、エフェクト設定情報の項目例を示す。エフェクト設定情報は、スライド操作の軌跡が閉図形を形成する場合に発生させるエフェクトを設定(定義)するパラメータである。
図8(c)に例示されるように、エフェクト設定情報は、キー項目である「エフェクトID」と、視覚処理の特定に資する「視覚処理コード」,聴覚処理の特定に資する「聴覚処理コード」,内部処理の特定に資する「内部処理コード」,処理のレベル(例えば、攻撃・回復等の大小,影響範囲の広狭など)を特定する「処理レベル」と、を含む。
【0040】
視覚処理,聴覚処理及び内部処理の内容は、それぞれ別途詳細に定義されているものとする。
視覚処理の内容として、画面情報に表示させるべき画像データ(静止画像データ,動画像データ)のファイルパスとその表示位置が少なくとも設定される。聴覚処理の内容として、再生されるべき音声データのファイルパスが少なくとも設定される。内部処理の内容として、変更するべきパラメータとその変更量の初期値が設定される。
【0041】
図8(d)に、軌跡関連情報の項目例を示す。軌跡関連情報は、スライド操作の軌跡に関連するパラメータである。
図8(d)に例示されるように、軌跡関連情報は、キー項目である「座標情報群ID」と、軌跡上の複数(n個)の点の位置をそれぞれ示す座標情報から成る「座標情報群(座標情報1~n)」,軌跡の入力開始時点を示す「開始時刻」,軌跡の入力終了時点を示す「終了時刻」,軌跡が閉図形を形成する場合に有意とする「閉図形フラグ」,軌跡が交差した地点又はこれに近似する地点を示す「閉図形完成位置」,軌跡が交差した時点又はこれに近似する時点を示す「閉図形完成時刻」と、を含む。
【0042】
図8(e)に、座標情報の項目例を示す。座標情報は、スライド操作の軌跡上の点に関連するパラメータである。
図8(e)に例示されるように、座標情報は、キー項目である「座標情報群ID」及び「順序情報」と、軌跡上の点の位置を示す「位置情報」,軌跡上の次の点を示す「次座標情報」,位置情報が取得された時点を示す「時刻情報」と、を含む。
座標情報は、配列形式で保持するのが好適である。この場合、配列の名称が「座標情報群ID」に、配列の添字が「順序情報」に、それぞれ相当する。
【0043】
[2-6.閉図形検出手順]
図9に、閉図形検出手順を示す。
ユーザ端末10は、下記の手順により閉図形を検出する。
座標情報は検知部731により格納部721に順次書き込まれている。ユーザ端末10の特定部732及び設定部733は、処理対象とする座標情報群の座標情報を順序情報が示す順に格納部721から取得し処理を進める。
閉図形検出手順は、スライド操作が開始した後にリアルタイムで進めてもよいし、スライド操作が完了した後に進めてもよい。
【0044】
〔手順1〕座標情報を取得する(S910)。
〔手順2〕閉図形が完成したか否かを判定する(S920)。具体的には、「次座標情報」が示す順に整列させた際に互いに隣接する2つの座標を両端とする線分を生成し、最新の線分の一部が他のいずれかの線分の一部に重なる場合に閉図形が完成したものと判定する。閉図形が完成した場合(S920:Yes)、〔手順3〕に進む。このとき、閉図形が完成した位置(又はこれに近似する位置)と時刻(又はこれに近似する時刻)とを記憶する。一方、閉図形が完成してない場合(S920:No)、〔手順6〕に進む。
【0045】
〔手順3〕閉図形部分を特定する(S930)。具体的には、軌跡上の第1位置から第2位置までに包含される部分を閉図形部分とみなし、閉図形を構成する座標の座標情報を特定する(
図10(a))。
〔手順4〕閉図形を示す新たな座標情報群を生成する(S940)。具体的には、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群を定義し、座標関連情報を生成する。
〔手順5〕処理中の座標情報群を更新し(S950)、〔手順1〕に戻る。具体的には、第1位置の直前の座標の次座標情報を第2位置の直後の座標に書き換える。これにより、閉図形を構成する座標の座標情報が処理中の座標情報群から除外され、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とが直接に順序付けされた新たな座標情報群が処理対象となる(
図10(b))。以降、閉図形が完成する度に〔手順3〕-〔手順5〕が実行される(
図10(c),
図10(d),…)。
【0046】
〔手順6〕次座標が存在するか否かを判定する(S960)。次座標が存在する場合(S960:Yes)、〔手順1〕に戻る。一方、次座標が存在しない場合(S960:No)、処理を終了する。
【0047】
[2-7.エフェクト発生]
上記閉図形検出手順(
図9)を経て、閉曲線を示す座標情報群が得られるとともに、操作対象たるオブジェクトの移動経路を示す座標情報群が残る。
ユーザ端末10の決定部734は、前者(閉曲線を示す座標情報群)が示す閉曲線を少なくとも包含する範囲に関連付けて発生させる通常エフェクトの内容を決定する。
【0048】
また、ユーザ端末10の決定部734は、いずれか2つの座標情報群がそれぞれ示す2つの閉曲線の内部領域が少なくとも部分的に重畳するとき、重畳領域にオブジェクトが存在する場合に限り、当該重複領域に関連付けて発生させる特別エフェクトの内容を決定する。決定に際し、2つの閉曲線の内部領域のうち少なくともいずれかに対して当該重畳領域が占める割合を加味するとよい。
スライド操作により複数の閉曲線が形成された際に発生させるべきエフェクトは、いずれかの通常エフェクトの内容を改変(例えば、パラメータに乗じる係数の変更,追加など)したものでよい。例えば、閉曲線の重畳数に応じて、「処理レベル」(
図8(c))に乗じる係数の値を決定するとよい。
【0049】
以上によりエフェクトの内容が決定された後に、操作対象たるオブジェクトの表示位置を移動経路に沿って順次移動させるとともに、閉曲線又は重畳領域ごとに決定されたエフェクトを当該閉曲線又は当該重畳領域をそれぞれ少なくとも包含する範囲に対応付けて発生させる。
【0050】
[3.変形例]
[3-1.(変形例1)間接的に順序付ける]
実施例では、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群を定義して座標関連情報を生成するとともに第1位置の直前の座標の次座標情報を第2位置の直後の座標に書き換えることにより、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とを直接に順序付けしている(
図9のS940,S950)。
これに対し、第1位置の直前の座標の次座標情報を交差位置の座標に書き換えるとともに、交差位置の座標の次座標情報を第2位置の直後の座標に書き換えてもよい。これにより、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とが交差位置の座標を介して間接的に順序付けされる。
なお、このとき、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群の最初及び最後の座標がそれぞれ第1位置及び第2位置になるように定義してもよい。
【0051】
[3-2.閉図形部分の座標情報を隔離する]
[3-2-1.(変形例2)直接に順序付ける]
実施例では、「次座標情報」(
図8(e))を書き換えることにより、処理対象の座標情報群から閉図形部分の座標情報を除外している(
図9のS940,S950)。
これに対し、座標情報が整列済みであるならば、「次座標情報」に代えて「閉図形部分フラグ」(閉図形部分を構成する場合に有意)を記憶さておき、閉図形部分の座標情報を処理対象の座標情報から隔離することも可能である。
【0052】
図11に、閉図形検出手順の変形例を示す。
ユーザ端末10は、下記の手順により閉図形を検出する。
なお、実施例の閉図形検出手順(
図9)と同様の処理を行うステップには同一の符号が付されている。
【0053】
〔手順1〕座標情報を取得する(S910)。
〔手順2〕閉図形が完成したか否かを判定する(S1120)。具体的には、「閉図形部分フラグ」が有意である座標を除き互いに隣接する2つの座標を両端とする線分を生成し、最新の線分の一部が他のいずれかの線分の一部に重なる場合に閉図形が完成したものと判定する。閉図形が完成した場合(S1120:Yes)、〔手順3〕に進む。このとき、閉図形が完成した位置(又はこれに近似する位置)と時刻(又はこれに近似する時刻)とを記憶する。一方、閉図形が完成してない場合(S1120:No)、〔手順6〕に進む。
【0054】
〔手順3〕閉図形部分を特定する(S930)。具体的には、軌跡上の第1位置から第2位置までに包含される部分を閉図形部分とみなし、閉図形を構成する座標の座標情報を特定する(
図10(a)の太線部分)。
〔手順4〕閉図形を示す新たな座標情報群を生成する(S940)。具体的には、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群を定義し、座標関連情報を生成する。
〔手順5〕処理中の座標情報群を更新し(S1150)、〔手順1〕に戻る。具体的には、閉図形部分を構成する座標の座標情報において「閉図形部分フラグ」を有意に更新する。これにより、閉図形を構成する座標の座標情報が処理中の座標情報群から除外され(
図10(b)の破線部分)、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とが直接に順序付けされた新たな座標情報群が処理対象となる。以降、閉図形が完成する度に〔手順3〕-〔手順5〕が実行される(
図10(c)の太線部分,
図10(d)の破線部分)。
【0055】
〔手順6〕次座標が存在するか否かを判定する(S960)。次座標が存在する場合(S960:Yes)、〔手順1〕に戻る。一方、次座標が存在しない場合(S960:No)、処理を終了する。
【0056】
[3-2-2.(変形例3)間接的に順序付ける]
変形例2では、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群を定義して座標関連情報を生成するとともに閉図形部分を構成する座標の座標情報において「閉図形部分フラグ」を有意に更新することにより、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とを直接に順序付けしている(
図11のS940,S1150)。
これに対し、第1位置の直前の座標の座標情報と第2位置の直後の座標の座標情報との間に交差位置の座標情報を挿入してもよい。これにより、第1位置の直前の座標と第2位置の直後の座標とが交差位置の座標を介して間接的に順序付けされる。
なお、このとき、閉図形部分を構成する座標の座標情報を構成要素とする新たな座標情報群の最初及び最後の座標がそれぞれ第1位置及び第2位置になるように定義してもよい。