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特開2023-184607情報提供装置、情報提供方法及び情報提供用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184607
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及び情報提供用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20231221BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01C21/36
G06F3/16 660
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184654
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2022509298の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2020058573
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】飯野 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】和泉 将太
(72)【発明者】
【氏名】大沼 洋平
(57)【要約】
【課題】主として音声又は音による案内であっても、直感的に認識し易い態様で、必要な案内をすることが可能な情報提供装置等を提供する。
【解決手段】経路の目的地の検索に当たり、目的地との距離が既定の距離以内であるとき、目的地までの距離を示す情報を含ませた案内を音声により提供し、目的地が上記既定の距離より遠方にあるとき、当該目的地の住所を示す住所情報を含ませた案内を音声により提供する(ステップS28、S30、S17)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内情報の提供が要望される案内地を示す被提供者の音声を取得する取得手段と、
距離に関連する用語が前記音声に含まれているとき、前記被提供者の位置と前記案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供し、前記案内地の位置を特定する用語であって前記距離に関連する用語以外の用語が前記音声に含まれているとき、前記案内地の住所を示す住所情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供する提供手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報提供装置、情報提供方法及び情報提供用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、車両等の移動体の移動に関する情報を提供する情報提供装置及び情報提供方法並びに当該情報提供装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
上記移動体の移動に関する情報を提供するナビゲーション装置として、従来から、移動体搭載型のナビゲーション装置が広く一般化している。このような従来のナビゲーション装置に関する先行技術を開示した文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に開示されている先行技術では、目的地ごとの経路の概要を表示し、使用者の目的地の選択の便に供させる構成とされている。
【0003】
一方、近年、上記移動体搭載型のナビゲーション装置に加えて、例えばスマートフォン等の携帯型端末装置を活用したナビゲーションシステムに関する研究/開発が活発化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-64672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記携帯型端末装置を活用する場合、それに備えられているディスプレイの大きさの制限等に起因して、案内音声を含む音を用いた案内が重要となってくる。この点に関し、例えば特許文献1に開示されている先行技術では、地図を用いて目的地までの距離と当該目的地の住所情報等とが共に表示されており、これらを用いて目的地を確認することができた。しかしながら、主として上記音を用いた案内(換言すれば、地図を含む画像の表示を用いない案内)を考慮する場合、より直感的に認識し易い態様で、例えば目的地が案内を受ける者の所望する目的地であるか等の情報を含む必要な情報を提供することが求められる。
【0006】
そこで本願は、上記の要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、主として音声又は音による案内であっても、直感的に認識し易い態様で、必要な案内情報を提供することが可能な情報提供装置及び情報提供方法並びに当該情報提供装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、案内情報を提供すべき案内地を示す案内地情報を取得する取得手段と、前記取得された案内地情報により示される前記案内地の位置が、前記案内地情報の提供を受ける被提供者の位置から予め設定された距離以内にあるとき、当該被提供者の位置と前記案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供し、前記案内地の位置が前記予め設定された距離より遠方にあるとき、当該案内地の住所を示す住所情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供する提供手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、案内情報の提供が要望される案内地を示す被提供者の音声を取得する取得手段と、距離に関連する用語が前記音声に含まれているとき、前記被提供者の位置と前記案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供し、前記案内地の位置を特定する用語であって前記距離に関連する用語以外の用語が前記音声に含まれているとき、前記案内地の住所を示す住所情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供する提供手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、取得手段と、提供手段と、を備える情報提供装置において実行される情報提供方法であって、案内情報を提供すべき案内地を示す案内地情報を前記取得手段により取得する取得工程と、前記取得された案内地情報により示される前記案内地の位置が、前記案内地情報の提供を受ける被提供者の位置から予め設定された距離以内にあるとき、当該被提供者の位置と前記案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供し、前記案内地の位置が前記予め設定された距離より遠方にあるとき、当該案内地の住所を示す住所情報を含ませた前記案内情報を、前記提供手段により音により前記被提供者に提供する提供工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、案内情報を提供すべき案内地を示す案内地情報を取得する取得手段、及び、前記取得された案内地情報により示される前記案内地の位置が、前記案内地情報の提供を受ける被提供者の位置から予め設定された距離以内にあるとき、当該被提供者の位置と前記案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供し、前記案内地の位置が前記予め設定された距離より遠方にあるとき、当該案内地の住所を示す住所情報を含ませた前記案内情報を音により前記被提供者に提供する提供手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の情報提供装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例のナビゲーションシステムの概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例の端末装置等の概要構成を示すブロック図であり、(a)は当該端末装置の概要構成を示すブロック図であり、(b)は実施例のサーバの概要構成を示すブロック図である。
図4】実施例のナビゲーション処理の全体を示すフローチャートである。
図5】実施例のナビゲーション処理の細部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態の情報提供装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る情報提供装置Sは、取得手段1と、提供手段2と、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において、取得手段1は、案内情報を提供すべき案内地を示す案内地情報を取得する。
【0015】
そして、提供手段2は、取得手段1により取得された案内地情報により示される案内地の位置が、当該案内地情報の提供を受ける被提供者の位置から予め設定された距離以内にあるとき、当該被提供者の位置と案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた案内情報を音により被提供者に提供し、当該案内地の位置が上記予め設定された距離より遠方にあるとき、当該案内地の住所を示す住所情報を含ませた案内情報を音により被提供者に提供する。
【0016】
以上説明したように、実施形態の情報提供装置Sの動作によれば、案内地が被提供者の位置から既定の距離以内にあるとき、被提供者の位置と案内地の位置との間の距離を示す距離情報を含ませた案内情報を音により提供し、案内地の位置が当該距離より遠方にあるとき、案内地の住所を示す住所情報を含ませた案内情報を音により提供するので、音による案内情報の提供の場合であっても、直感的に認識し易い態様で、必要な案内情報を提供することができる。なお、本実施形態における「案内」には、例えば経路に沿った誘導自体(誘導中の「左折」又は「右折」等の情報提供自体)は含まれず、その誘導の目的地や経由地等となり得る地点又は施設に関する情報を案内(提供)することが含まれる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、インターネット等のネットワークを介して相互にデータの授受が可能に接続された端末装置とサーバとからなるナビゲーションシステムにおける音(音声)を用いた経路案内に本願を適用した場合の実施例である。
【0018】
また、図2は実施例のナビゲーションシステムの概要構成を示すブロック図であり、図3は実施例の端末装置等の概要構成を示すブロック図であり、図4は実施例のナビゲーション処理の全体を示すフローチャートであり、図5は当該ナビゲーション処理の細部を示すフローチャートである。このとき図3では、図1に示した実施形態に係る情報提供装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材について、当該情報提供装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
図2に示すように、実施例のナビゲーションシステムSSは、それぞれが車両の搭乗者(より具体的には、当該車両の運転者又は同乗者)により当該車両内で使用される一又は複数の端末装置T1、端末装置T2、端末装置T3、…、端末装置Tn(nは自然数)と、サーバSVと、端末装置T1、端末装置T2、端末装置T3、…、端末装置Tnと、サーバSVと、をデータの授受が可能に接続するインターネット等のネットワークNWと、により構成されている。なお以下の説明において、端末装置T1乃至端末装置Tnに共通の構成等を説明する場合、これらを纏めて「端末装置T」と称する。このとき、端末装置Tは、具体的には、例えばいわゆるスマートフォンや、タブレット型の端末装置として実現される。また、以下の説明では、端末装置Tを使用する搭乗者が移動体の一例としての車両に搭乗している場合について、実施例を説明する。
【0020】
この構成において、各端末装置Tは、それぞれ別個に、ネットワークNWを介してサーバSVとの間で種々のデータの授受を行い、各端末装置Tを使用する搭乗者に対する移動に関する情報の案内を行う。このとき授受されるデータには、車両が移動すべき経路を探索するための探索用データや、当該探索された経路を示す経路データ、及び当該経路に沿った移動を開始した後の案内を行うための案内用データが含まれる。
【0021】
ここで、端末装置Tに備えられた表示用のディスプレイの大きさの制限や処理負荷の制限、又は画面注視を避けるため等により、ナビゲーションシステムSSにおける上記経路の探索及び上記搭乗者に対する移動に関する情報の案内は、音声又は音を主として用いて行われる。このため、各端末装置TとサーバSVとの間で授受される上記探索用データには、各端末装置TからサーバSVに送信される実施例の検索要求音声データ及び実施例の目的地音声データと、サーバSVから各端末装置Tに送信される実施例の回答音声データ及び実施例の目的地確認音声データと、が含まれる。このとき、実施例の検索要求音声データは、目的地の候補となる地点等の検索を要求する旨の検索要求音声に相当する音声データである。また、実施例の目的地音声データは、端末装置Tを使用する搭乗者が発声した、上記移動の目的地として最終的に用いられる地点等を示す目的地音声に相当する音声データである。一方、実施例の回答音声データは、上記検索要求音声データによる検索要求に対応してサーバSVにおいて検索された目的地等を含む検索結果を、当該検索要求音声データを送信してきた端末装置Tを使用する搭乗者に回答するための回答音声に相当する音声データである。更に、実施例の目的地確認音声データは、上記経路の目的地として最終的に用いられる地点等を確認する旨の音声データである。
【0022】
他方、上記移動に関する情報の案内には音声又は音が主として用いられることから、サーバSVから各端末装置Tに送信される上記案内用データには、上記音声又は音による案内用の音声データが含まれている。なお以下の説明において、当該案内用の音声データを、単に「案内音声データ」と称する。
【0023】
次に、各端末装置T及びサーバSVの構成及び動作について、図3を用いて説明する。先ず、図3(a)に示すように、実施例の端末装置Tのそれぞれは、インターフェース5と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部6と、揮発性領域及び不揮発性領域を含むメモリ7と、タッチパネル及び操作ボタン等からなる操作部8と、スピーカ9と、GPS(Global Positioning System)センサ及び/又は自立センサ等からなるセンサ部10と、液晶又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等からなるディスプレイ11と、マイク12と、により構成されている。また、処理部6は、経路探索部6aと、案内音声出力制御部6bと、を備えて構成されている。このとき、経路設定部6a及び案内音声出力制御部6bは、それぞれ、処理部6を構成する上記CPU等を含むハードウェアロジック回路により実現されるものであってもよいし、後述する実施例のナビゲーション処理のうち端末装置Tとしての処理を示すフローチャートに相当するプログラムを当該CPU等が読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0024】
以上の構成おいて、インターフェース5は、処理部6の制御の下、ネットワークNWを介したサーバSVとの間のデータの授受を制御する。一方、センサ部10は、上記GPSセンサ及び/又は自立センサ等を用いて、端末装置Tの現在位置や移動速度及び移動方向等(換言すれば、端末装置Tを使用する搭乗者又は当該搭乗者が搭乗している車両の現在位置や移動速度及び移動方向等)を示すセンサデータを生成し、処理部6に出力する。マイク12は、端末装置Tを使用している搭乗者の音声及び端末装置Tが使用されている車両内の音を集音し、当該集音結果を処理部6に出力する。このとき集音される搭乗者の音声には、上記検索要求音声及び上記目的地音声が含まれる。
【0025】
他方、経路探索部6aは、処理部6の制御の下、上記検索要求音声データ(即ち、端末装置Tを使用する搭乗者が搭乗している車両が到達すべき目的地の候補となる地点等の検索を要求する検索要求音声データ)、上記目的地音声データ(即ち、当該目的地として最終的に用いられる地点等を示す目的地音声データ)及び上記センサデータを、探索用データとして、インターフェース5及びネットワークNWを介してサーバSVに送信する。なお、上記最終的な目的地を示す目的地データが操作部8から入力され、これが上記センサデータと共にサーバSVに送信されてもよい。その後経路探索部6aは、上記センサデータにより示される現在位置から上記目的地音声データ又は上記目的地データにより示される目的地に至る経路の探索結果を示す経路データを、ネットワークNW及びインターフェース5を介してサーバSVから取得する。
【0026】
その後、処理部6は、取得した経路データを用いて、サーバSVとの間で上記案内用データ(その時点での上記センサデータ及び上記案内音声データを含む)の授受を行いつつ、上記探索された経路に沿った当該車両の移動に関する情報を案内する。このとき、案内音声出力制御部6bは、ネットワークNW及びインターフェース5を介してサーバSVから取得した上記案内音声データに対応する案内用の音声を、スピーカ9を介して上記搭乗者に対して出力(放音)する。
【0027】
これらと並行して、操作部8は、上記目的地データの他、上記車両の案内に必要なデータの入力操作が当該操作部8において行われた場合に、当該入力操作に対応する操作信号を生成して処理部6に送信する。これらにより処理部6は、上記経路設定部6a及び上記案内音声出力制御部6bを制御しつつ、実施例のナビゲーション処理のうち端末装置Tとしての処理を実行する。このとき処理部6は、当該処理に必要なデータをメモリ7に一時的又は不揮発的に記憶させつつ、当該処理を実行する。また、当該処理の実行結果としての案内画像等は、ディスプレイ11上に表示される。
【0028】
一方、図3(b)に示すように、実施例のサーバSVは、インターフェース20と、CPU、RAM及びROM等を含む処理部21と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部22と、により構成されている。また、処理部21は、経路設定部1と、案内音声生成部2と、を備えて構成されている。このとき、経路設定部1及び案内音声生成部2は、それぞれ、処理部21を構成する上記CPU等を含むハードウェアロジック回路により実現されるものであってもよいし、実施例のナビゲーション処理のうちサーバSVとしての処理を示すフローチャートに相当するプログラムを当該CPU等が読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。そして、上記経路探索部1が実施形態の取得手段1の一例に相当し、上記案内音声生成部2が実施形態の提供手段2の一例に相当する。また、図3(b)において破線で示す通り、上記経路探索部1及び案内音声生成部2により、実施形態の情報提供装置Sの一例を構成している。
【0029】
以上の構成において、記録部22には、ネットワークNWを介してサーバSVに接続されている各端末装置Tそれぞれを使用する搭乗者が搭乗している各車両の移動に関する情報の案内に必要な地図データ23が、不揮発性に記録されている。このとき、地図データ23には、経路探索及び経路案内にそれぞれ用いられる道路データや施設等の地点データ、並びに交差点データ等が含まれている。
【0030】
一方、インターフェース20は、処理部21の制御の下、ネットワークNWを介した各端末装置Tとの間のデータの授受を制御する。また、経路設定部1は、処理部21の制御の下、いずれかの端末装置Tから取得された上記検索要求音声データ、上記目的地音声データ及び上記センサデータに基づき、地図データ23を用いて、当該検索要求音声データにより示される目的地の候補となる地点等の検索を行うと共に、当該目的地音声データにより示される目的地に至る上記経路を探索し、その探索結果を示す上記経路データを、上記検索要求音声データ、上記目的地音声データ及び上記センサデータを送信してきた端末装置Tに送信する。これにより、当該端末装置Tでは、上記経路データに基づいた経路の案内が行われる。
【0031】
そして、当該案内中において、案内音声生成部2は、当該経路上における案内タイミングに合わせて上記案内音声データを生成し、インターフェース20及びネットワークNWを介して、案内対象たる車両の搭乗者が使用する端末装置Tに送信する。これにより、当該案内音声データに対応する案内用の音声が、その端末措置Tのスピーカ9を介して上記搭乗者に対して出力(放音)される。
【0032】
次に、上述した構成及び機能を備える実施例のナビゲーションシステムにおいて実行される実施例のナビゲーション処理について、具体的に図3乃至図5を用いて説明する。
【0033】
実施例のナビゲーション処理は、例えば、移動に関する情報の提供の対象たる車両(以下、単に「対象車両」と称する)に搭乗している搭乗者が使用する実施例の端末装置Tの操作部8において、当該対象車両の経路に沿った移動の案内(即ち経路の誘導)をすべき旨の案内指示操作等が実行されたときに開始される。なお以下の説明において、当該端末装置Tを適宜「対象の端末装置T」と称する。そして、対応するフローチャートの全体を図4に示すように、対象の端末装置Tの操作部8において当該案内指示操作が行われると、当該端末装置Tの処理部6の経路探索部6aは、サーバSVの経路探索部1との間で上記検索要求音声データ、上記回答音声データ、上記目的地音声データ及び上記目的地確認音声データ並びに上記センサデータを含む上記探索用データ及び上記経路データの授受を行い、対象車両が移動すべき経路の探索を行う(ステップS1)。このときサーバSVの経路探索部1は、その時点でネットワークNWを介してサーバSVに接続されている端末装置Tのいずれかからの上記探索用データの送信を常に待機している。そして経路探索部1は、当該探索用データが対象の端末装置Tから送信されてきた場合、当該探索用データに含まれている検索要求音声データ及び目的地音声データ等に基づいた経路探索を行い、その探索結果としての上記経路データ及び上記目的地確認音声データを、対象の端末装置TにネットワークNWを介して送信する(ステップS10)。なお、上記ステップS1及び上記ステップS10を含む実施例の経路探索については、後ほど図5を用いて詳細に説明する。
【0034】
その後、対象の端末装置Tの操作部8における例えば移動を開始する旨の操作により経路に沿った移動の案内が開始されると、対象の端末装置Tの処理部6及びサーバSVの処理部21は、その時点での上記センサデータを含む上記案内用データのネットワークNWを介した授受を行いつつ、ステップS1及びステップS10で探索された経路に沿った案内を開始する(ステップS2、ステップS11)。
【0035】
一方、ステップS11で開始された経路の案内中(即ち、対象の端末装置Tを使用する搭乗者が搭乗している車両の移動中)において、サーバSVの案内音声生成部2は、設定された経路上において案内地点(例えば経路上で曲がるべき交差点等)があるか否かを監視している(ステップS12)。ステップS12の監視において、案内地点がない場合(ステップS12:NO)、処理部21は後述するステップS14に移行する。他方ステップS12の監視において、案内地点がある場合(ステップS12:YES)、次に案内音声生成部2は、当該案内地点についての案内を音声により行うべきタイミングで、当該案内地点について案内すべき内容(例えば「次の○○交差点左折です。」等)を有する案内音声データを生成し、当該生成された案内音声データを、ネットワークNWを介して対象の端末装置Tに送信する(ステップS13)。
【0036】
その後、処理部21は、対象車両がその目的地に到達した等の理由により、実施例のナビゲーション処理としての経路案内を終了するか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14の判定において、当該経路案内を終了しない場合(ステップS14:NO)、処理部21は、上記ステップS12に戻って引き続き経路案内を行う。一方、ステップS14の判定において、当該経路案内を終了する場合(ステップS14:YES)、処理部21はそのまま当該経路案内を終了する。
【0037】
他方、対象の端末装置Tの案内音声出力制御部6bは、上記ステップ2で案内が開始された後は、サーバSVからの上記案内音声データの送信を待機する(ステップS3)。ステップS3の待機において案内音声データが送信されてこない場合(ステップS3:NO)、対象の端末装置Tの処理部6は、後述するステップS5に移行する。
【0038】
他方、ステップS3の待機において、サーバSVからの当該案内音声データを受信した場合(ステップS3:YES)、対象の端末装置Tの案内音声出力制御部6bは、当該受信した案内音声データに相当する案内音声を、スピーカ9を介して出力(放音)する(ステップS4)。その後、対象の端末装置Tの処理部6は、例えば上記ステップS14と同様の理由により実施例のナビゲーション処理としての経路案内を終了するか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において、当該経路案内を終了しない場合(ステップS5:NO)、処理部6は上記ステップS3に戻って引き続き経路案内を行う。一方、ステップS5の判定において、当該経路案内を終了する場合(ステップS5:NO)、処理部6はそのまま当該経路案内を終了する。
【0039】
次に、対象の端末装置T及びサーバSVにより実行される、実施例の経路探索(図4ステップS1及びステップS10参照)について、より具体的に図5を用いて説明する。
【0040】
対応するフローチャートを図5に示すように、実施例の経路探索では、対象の端末装置Tにおいて、当該経路探索を行うべき旨と共に、移動の目的地の候補となる地点等の検索を要求する旨の検索要求音声が搭乗者により発声されると、その検索要求音声がマイク12により検出され、更に、当該検索用要求音声に相当する検索要求音声データが対象の端末装置Tの経路探索部6aにより生成される。その後、当該生成された検索要求音声データは、その時点に対応するセンサデータと共にネットワークNWを介してサーバSVに送信される(ステップS15)。ここで、上記検索要求音声の例としては、例えば「○○スタジアム」といった目的地の具体的な名称を含む音声である場合と、例えば「近くの××コンビニ」といった距離に関連する用語(本例の場合は「近くの」が相当する)を含んだ地点等の名称を示す音声である場合と、がある。また、図5では、上記検索要求音声データ及び上記センサデータを、纏めて「検索要求音声データ等」と示している。
【0041】
一方、サーバSVは、図4ステップS10の経路探索として、対象の端末装置Tからの上記検索要求音声データ等の送信を待機している(ステップS25、ステップS25:NO)。ステップS25の待機において、対象の端末装置Tから上記検索要求音声データ等が送信されてきた場合(ステップS25:YES)、サーバSVの経路探索部1は、地図データ23を参照して、受信した検索要求音声データにより示される目的地の候補となる地点等の検索を行う(ステップS26)。次に経路探索部1は、上記検索要求音声データに相当する検索要求音声の中に上記距離に関連する用語が含まれているか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27の判定において、当該検索要求音声の中に上記距離に関連する用語が含まれている場合(ステップS27:YES)、経路探索部1は、ステップS25で受信したセンサデータを参照して、対象の端末装置Tの現在位置から当該検索された地点等までの距離を含んで当該地点等を示す回答音声に相当する回答音声データを生成し、ネットワークNWを介して対象の端末装置Tに送信する(ステップS30)。その後サーバSVは、後述するステップS31に移行する。
【0042】
ここで、ステップS30で生成されて送信される回答音声データに相当する回答音声としては、上記検索要求音声が例えば「近くの××コンビニ」であった場合は、「現在位置から△△メートルに××コンビニがあります。」といった音声となる。このとき、当該回答音声に含まれる距離は、対象の端末装置Tの現在位置からステップS26で検索された地点等までの直線距離であってもよいし、最短の経路を経た場合の経路上の距離であってもよい。
【0043】
一方、ステップS27の判定において、当該検索要求音声の中に上記距離に関連する用語が含まれておらず、例えば目的地の詳細な名称等が具体的に含まれている場合(ステップS27:NO)、経路探索部1は、ステップS25で受信したセンサデータを参照して、対象の端末装置Tの現在位置から当該検索された地点等までの距離が予め設定された閾値距離以下であるか否かを判定する(ステップS28)。ここで、当該閾値距離は、例えば5キロメートル又は10キロメートルといった、車両で移動した場合に近距離と認識され得る距離である。なお、実施例のナビゲーション処理として、徒歩移動又は自転車により移動する者が対象の端末装置Tを使用しているときの移動に関する情報の案内を行う場合、上記閾値距離としては、例えば数百メートル又は1キロメートル程度とされる。このとき、当該徒歩移動又は自転車による移動である旨は、例えば、対象の端末装置Tを使用する者により上記検索要求音声と共に発声された音声を、上記検索要求音声データと共にサーバSVが受信することで判定でき、これにより、車両による移動か上記徒歩又は自転車による移動かを判別して閾値距離を切り換えるように構成するのが好ましい。なお、ステップS28の判定の対象となる距離(上記閾値距離を含む)も、対象の端末装置Tの現在位置からステップS26で検索された地点等までの直線距離であってもよいし、最短の経路を経た場合の経路上の距離であってもよい。また、移動手段(例えば、徒歩移動又は自転車による移動のいずれか)については、ユーザに選択させてもよいし、過去の(例えば数時間内の)移動距離や速度から自動的に判定されてもよい。
【0044】
ステップS28の判定において、対象の端末装置Tの現在位置からステップS26で検索された地点等までの距離が上記閾値距離以下である場合(ステップS28:YES)、経路探索部1は上記ステップS30に移行し、対象の端末装置Tの現在位置からの距離を含んだ回答音声に相当する回答音声データを生成し、送信する。なお、上記ステップS27の判定において、上記検索要求音声の中に上記距離に関連する用語が含まれている場合(ステップS27:YES参照)であっても、上記ステップS26で検索された地点等が上記閾値距離(ステップS28参照)以内に存在しない場合には、「近くに××コンビニがありません、一番近い××コンビニは○○キロ先になります。」といった音声に相当する回答音声データを生成し、送信するように構成してもよい。
【0045】
一方、ステップS28の判定において、ステップS26で検索された地点等が対象の端末装置Tの現在位置から上記閾値距離より遠方にある場合(ステップS28:NO)、経路探索部1は、当該検索された地点等の住所を含んで当該地点等を示す回答音声に相当する回答音声データを生成し、ネットワークNWを介して対象の端末装置Tに送信する(ステップS29)。ここで、当該住所を含む回答音声とは、例えば、「□□市○○町に××公園があります。」といった音声である。このとき、当該住所としてより詳しい住所の情報が含まれていてもよい。
【0046】
一方、上記ステップS15で検索要求音声データ等を送信した後、対象の端末装置Tの経路探索部6aは、サーバSVから上記回答音声データが送信されてきたか否かを監視する(ステップS16、ステップS16:NO)。ステップS16の監視において、上記回答音声データが送信されてきた場合(ステップS16:YES)、対象の端末装置Tの案内音声出力制御部6bは、スピーカ9を介して当該回答音声データに相当する回答音声を出力(放音)する(ステップS17)。そして、当該回答音声に対する回答する形で目的地の名称等が搭乗者により目的地音声として発声されると、その目的地音声がマイク12により検出され、更に、当該目的地音声に相当する目的地音声データが経路探索部6aにより生成される(ステップS18)。このとき検出される目的地音声には、上記回答音声に対する回答としての、より詳しい(又はより具体的な)目的地の名称等が含まれている。その後、経路探索部6aは、当該目的地音声データを、ネットワークNWを介してサーバSVに送信する(ステップS18)。
【0047】
他方、上記ステップS29又は上記ステップS30により回答音声データを生成・送信した後、サーバSVの経路探索部1は、対象の端末装置Tからの上記目的地音声データの受信を監視する(ステップS31。ステップS31:NO。)。ステップS31の監視において、上記目的地音声データが受信された場合(ステップS31:YES)、経路探索部1は、地図データ23及びステップS25で受信したセンサデータを参照して、対象の端末装置Tの現在位置から当該目的地音声データにより示される目的地までの経路を例えば従来と同様の手法により探索する(ステップS32)。そして、経路探索部1は、探索された経路を示す経路データと、当該経路の目的地として現在用いられている地点等を確認する旨の目的地確認音声データと、を生成し、ネットワークNWを介して対象の端末装置Tに送信する(ステップS33)。その後サーバSVは、図4に示すステップS11に移行する。
【0048】
一方、上記ステップS18で目的地音声データを送信した対象の端末装置Tの経路探索部6aは、当該目的地音声データに対応して上記経路データ及び上記目的地確認音声データがサーバSVから送信されてきたか否かを監視する(ステップS19。ステップS19:NO)。ステップS19の監視において、上記経路データ及び上記目的地確認音声データが送信されてきた場合(ステップS19:YES)、対象の端末装置Tの案内音声出力制御部6bは、受信した目的地確認音声データに相当する目的地確認音声を、搭乗者に対してスピーカ9を介して出力(放音)する(ステップS20)。この場合の目的地確認音声は、例えば、「近くの××コンビニに向かいます。」又は「□□市○○町に××公園に向かいます。」等の音声となる。その後対象の端末装置Tは、図4に示すステップS2に移行する。
【0049】
以上説明したように、実施例に係るナビゲーション処理によれば、目的地の候補が対象の端末装置Tの位置から既定の閾値距離以内にあるとき、対象の端末装置Tの位置と当該候補の位置との間の距離を示す情報を含ませた回答音声を出力(放音)し(図5ステップS30及びステップS17参照)、当該候補の位置が当該閾値距離より遠方にあるとき、当該候補の住所を示す情報を含ませた回答音声を出力(放音)する(図5ステップS29及びステップS17参照)。よって、音声又は音による案内の場合であっても、直感的に認識し易い態様で搭乗者に案内に関する情報を提供することができる。
【0050】
このとき、対象の端末装置Tの位置と当該候補の位置との間の距離及び上記閾値距離が対象の端末装置Tの位置からの直線距離である場合は、音声又は音による案内の場合であっても、より直感的に認識し易い態様で案内に関する情報を提供することができる。
【0051】
一方、対象の端末装置Tの位置と当該候補の位置との間の距離及び上記閾値距離が対象の端末装置Tの位置からの移動路(道路)に沿った距離である場合は、音声又は音による案内の場合であっても、実際の移動距離を用いて認識し易い態様で案内に関する情報を提供することができる。
【0052】
また、例えば「近くの」といった距離に関連する用語が検索要求音声に含まれている場合(図5ステップS27:YES参照)、上記閾値距離との関係に拘わらず、目的地の候補の位置と対象の端末装置Tの位置との間の距離を示す情報を含ませた回答音声を出力(放音)し(図5ステップS30及びステップS17参照)、上記距離に関連する用語以外の用語が音声に含まれているとき、目的地の候補の住所を示す情報を含ませた回答音声を出力(放音)する(図5ステップS29及びステップS17参照)ので、音声又は音による案内の場合であっても、直感的に認識し易い態様で、搭乗者に案内に関する情報を提供することができる。
【0053】
なお、対象の端末装置Tの現在位置からの距離を含む回答音声(図5ステップS30参照)において、当該現在位置から見た目的地の候補の方向等を、併せて音声出力するように構成してもよい。この場合には、音声又は音による案内の場合であっても、更に直感的に認識し易い態様で案内に関する情報を提供することができる。
【0054】
また、上述した実施例のナビゲーション処理では、目的地の候補の検索(図5ステップS26参照)及び回答音声データの生成(図5ステップS29又はステップS30参照)をサーバSVの処理部21において行うこととした。しかしながらこれ以外に、目的地の候補の検索及び回答音声データの生成を端末装置Tにおいて行うように構成してもよい。この場合には、上記目的地音声データに基づいた経路探索以降の処理がサーバSVにおいて実行されればよい。また、目的地の候補の検索、回答音声データの生成、経路探索、案内音声データの生成についてサーバを用いずに端末装置で行うようにしてもよいし、一部の処理について分散的にサーバを用いるようにしてもよい。
【0055】
更に、現在位置に基づく案内に関し、上述したように経路の誘導自体は必須ではなく、単に検索地点との間の位置関係を搭乗者に報知する場合に用いられてもよい。
【0056】
更にまた、地図による地点表示を行うことを除外しないが、表示が必須でないため、表示部を備えないスマートスピーカ等に実施例を適用することも可能である。
【0057】
また、図4及び図5に示した各フローチャートにそれぞれ相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部6又は処理部21として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 取得手段(経路探索部)
2 提供手段(案内音声生成部)
6、21 処理部
6a 経路探索部
6b 案内音声出力制御部
9 スピーカ
23 地図データ
S 情報提供装置
T、T1、T2、T3、Tn 端末装置
SV サーバ
SS ナビゲーションシステム
図1
図2
図3
図4
図5