(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184609
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】吸音材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/168 20060101AFI20231221BHJP
B32B 3/22 20060101ALI20231221BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20231221BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20231221BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20231221BHJP
B32B 27/42 20060101ALI20231221BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G10K11/168
B32B3/22
B32B5/18
B32B5/24 101
B32B27/12
B32B27/42
B32B7/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184887
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2019094752の分割
【原出願日】2019-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000243892
【氏名又は名称】名古屋油化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】小川 正則
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎
(57)【要約】
【課題】吸音性能の自由度が大きい吸音材を提供するとともに、製造に係る作業が容易な吸音材の製造方法を提供する。
【解決手段】吸音材10は、メラミンフォームからなる基材層11と、上記基材層11に積層された不織布からなる表皮層12と、を有し、上記基材層11と、上記表皮層12との間には、上記吸音材10の通気抵抗を調整するための通気調整部13が設けられており、上記通気調整部13は、ホットメルト接着剤によって斑点状に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラミンフォームからなる基材層と、上記基材層に積層された不織布からなる表皮層と、を有する吸音材であって、
上記基材層と、上記表皮層との間には、上記吸音材の通気抵抗を調整するための通気調整部が設けられており、
上記通気調整部は、ホットメルト接着剤によって斑点状に形成されていることを特徴とする吸音材。
【請求項2】
上記吸音材の通気抵抗は、0.2~2kPa・sである請求項1に記載の吸音材。
【請求項3】
上記通気調整部の面密度は、1~20g/m2である請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項4】
上記吸音材は、垂直入射法で測定された周波数3150Hzの音に対する吸音率が、70%以上である請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の吸音材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音材の製造方法であって、
ホットメルト接着剤が塗布された不織布をメラミンフォームの表面上に積層して積層体を得る第1工程と、
上記積層体を加熱する第2工程と、を備えており、
上記ホットメルト接着剤には、篩分け法による粒度が80~500μmの粉末状のものが使用されることを特徴とする吸音材の製造方法。
【請求項6】
上記第1工程における上記メラミンフォームの密度は、6~11kg/m3である請求項5に記載の吸音材の製造方法。
【請求項7】
上記第1工程における上記不織布の目付量は、15~150g/m2である請求項5又は請求項6に記載の吸音材の製造方法。
【請求項8】
上記第2工程において、加熱温度は、180~230℃である請求項5から請求項7のうち何れか一項に記載の吸音材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材で利用される吸音材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材には、外部からの騒音の進入を防止するために吸音材が利用されている。主な吸音材の材料としては、綿、ウール、麻等の天然繊維や、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン等の合成繊維や、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維、金属繊維等の無機繊維からなる編織布や不織布等といった繊維集合体、ポリウレタンフォーム、ポリエステルフォーム、ポリエチレンフォーム等の合成樹脂発泡体が挙げられる。
通常、繊維集合体や合成樹脂発泡体からなる吸音材は、厚みを増大させることで、吸音性能を向上させることができる。しかし、吸音材は、厚みを増大させると嵩と重量も増大するので、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶等への搭載や、建築物、土木構造物等への設置が難しくなる。特に、近時の自動車や建材は、軽量化を要請されることに加え、搭載や設置のためのスペースが限られてしまい、吸音材の厚みを増大させて吸音性能の向上を図ることが非常に困難になっている。
【0003】
そこで、特許文献1~3に開示されるような、厚みを増大させずに吸音性能の向上を図った吸音材が提案されている。
特許文献1に記載の接着性吸音シートは、叩解度が350~650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07~2.00kPa・s/mである繊維シート基材の片面または両面に、非通気性接着剤層を点状に散在させ、上記非通気性接着剤層の総面積比率が上記繊維シート基材の表面積の5~95%に設定されることにより、通気抵抗が0.30~2.50kPa・s/mに設定されている。
特許文献2に記載の防音用被覆材は、第一の弾性多孔質体と、開孔率が0.1~5%で開孔径が50~500μmである多孔質フィルムと、第二の弾性多孔質体とが、この順番に積層されてなることを特徴としている。
特許文献3に記載のシート状低周波吸音材は、繊維又は多孔質材からなる吸音層1及び吸音層3と、前記吸音層1と吸音層3との間に溶融性を有する薄膜層2とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/013427号公報
【特許文献2】特開2018-141432号公報
【特許文献3】特開2019-2996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の吸音材は、非通気性接着剤層や多孔質フィルムや溶融性を有する薄膜層等の層を設けて吸音性能の向上を図っているが、こうした層を設ける作業が煩雑であるという問題があった。
また、従来の吸音材は、吸音性能の向上のため、非通気性接着剤層であれば面積比率の調整に係る作業、多孔質フィルムであれば開孔率や開孔径の調整に係る作業が必要となり、こうした吸音性能の向上のための調整に係る作業が煩雑であるという問題があった。
さらに、従来の吸音材で弾性多孔質体や表皮材や吸音層に使用されている繊維集合体は、繊維の偏在による繊維密度の偏りが発生しやすく、この繊維密度の偏りが吸音性能の緻密なコントロールを極めて困難としており、上記の煩雑な作業を実行しても、製造された繊維集合体が所望とする吸音性能を有していない場合があるという問題があった。
すなわち、上記従来の吸音材は、製造に係る作業が煩雑であり、吸音性能の自由度が想定以上に小さいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、吸音性能の自由度が大きい吸音材を提供するとともに、製造に係る作業が容易な吸音材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載の吸音材の発明は、メラミンフォームからなる基材層と、上記基材層に積層された不織布からなる表皮層と、を有する吸音材であって、上記基材層と、上記表皮層との間には、上記吸音材の通気抵抗を調整するための通気調整部が設けられており、上記通気調整部は、ホットメルト接着剤によって斑点状に形成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸音材の発明において、上記吸音材の通気抵抗は、0.2~2kPa・sであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の吸音材の発明において、上記通気調整部の面密度は、1~20g/m2であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の吸音材の発明において、上記吸音材は、垂直入射法で測定された周波数3150Hzの音に対する吸音率が、70%以上であることを要旨とする。
請求項5に記載の吸音材の製造方法の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音材において、ホットメルト接着剤が塗布された不織布をメラミンフォームの表面上に積層して積層体を得る第1工程と、上記積層体を加熱する第2工程と、を備えており、上記ホットメルト接着剤には、篩分け法による粒度が80~500μmの粉末状のものが使用されることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の吸音材の製造方法の発明において、上記第1工程における上記メラミンフォームの密度は、6~11kg/m3であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の吸音材の製造方法の発明において、上記第1工程における上記不織布の目付量は、15~150g/m2であることを要旨とする。
請求項8に記載の吸音材の製造方法の発明は、請求項5から請求項7のうち何れか一項に記載の吸音材の製造方法の発明において、上記第2工程において、加熱温度は、180~230℃であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
〔作用〕
本発明の吸音材は、メラミンフォームからなる基材層と、不織布からなる表皮層と、の間に、吸音材の通気抵抗を調整するための通気調整部が設けられている。この通気調整部は、ホットメルト接着剤によって斑点状に形成されており、点状をなすホットメルト接着剤同士の間に隙間を有することによって通気性を有している。このため、吸音材は、通気調整部の通気抵抗を調整することで、基材層や表皮層に影響されることなく、通気抵抗を所望の値とすることができ、また通気調整部の通気抵抗が調整自在であることから、吸音性能の自由度が大きいものとすることができる。
なお、上記斑点状は、必ずしも点状をなすホットメルト接着剤の全てが互いに離れて散在する形状に限定されず、点状をなすホットメルト接着剤同士が部分的に繋がった形状を含むものとする。
吸音材の通気抵抗が0.2~2kPa・sである場合には、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材の中でも、特に自動車で利用される吸音材として好適なものとすることができる。
通気調整部の面密度が1~20g/m2である場合には、吸音材の通気抵抗の調整を安定的に行うことができる。
吸音材は、垂直入射法で測定された周波数3150Hzの音に対する吸音率が、70%以上である場合には、特に自動車で利用するのに良好な吸音材とすることができる。
【0009】
本発明の吸音材の製造方法は、メラミンフォームの表面にホットメルト接着剤を塗布する第1工程と、メラミンフォームの表面上に不織布を積層して積層体を得る第2工程と、積層体を加熱する第3工程と、を備えている。この第1工程でホットメルト接着剤には、篩分け法による粒度が80~500μmの粉末状のものが使用されるため、ホットメルト接着剤による通気調整部を、好適な通気性を有する斑点状のものとすることができ、吸音材の通気抵抗の調整を容易なものとすることができる。
第1工程におけるメラミンフォームの密度が6~11kg/m3である場合には、溶融したホットメルト接着剤のメラミンフォームへの染み込みを抑制しつつ、吸音性能を好適なものにすることができる。
不織布の目付量が15~150g/m2である場合には、溶融したホットメルト接着剤の不織布への染み込みを抑制しつつ、吸音性能を好適なものにすることができる。
第2工程において加熱温度が180~230℃である場合には、ホットメルト接着剤が好適に溶融することにより、メラミンフォームと不織布とを好適に接着しつつ、通気調整部を吸音材に好適な斑点状とすることができる。
【0010】
〔効果〕
本発明によれば、吸音性能の自由度が大きい吸音材を提供することができるとともに、製造に係る作業が容易な吸音材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は実施形態の吸音材を示す正断面図、(b)は通気調整部の平断面図。
【
図5】メラミンフォームを圧縮する場合を示す説明図。
【
図6】実施例で厚さ10mmのメラミンフォームの場合の吸音率を示すグラフ。
【
図7】実施例で厚さ20mmのメラミンフォームの場合の吸音率を示すグラフ。
【
図8】実施例で厚さ40mmのメラミンフォームの場合の吸音率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体化した実施形態について、図面に基づき、以下に説明する。
図1(a)に示すように、吸音材10は、基材層11と、この基材層11の片面に積層された表皮層12と、を有しており、基材層11と、表皮層12との間には、吸音材10の通気抵抗を調整するための通気調整部13が設けられている。
吸音材10において、基材層11は、メラミンフォームによって形成されている。また、表皮層12は、不織布によって形成されている。そして、通気調整部13は、ホットメルト接着剤によって形成されている。
図1(b)に示すように、通気調整部13において、ホットメルト接着剤13Aは、平面視で点状をなしており、こうした点状のホットメルト接着剤13Aを複数有することにより、通気調整部13は、平面視で斑点状に形成されている。そして、斑点状に形成された通気調整部13は、点状のホットメルト接着剤13A同士の間に、隙間13Bを有している。
【0013】
吸音材10は、基材層11及び表皮層12が通気性を有しているとともに、通気調整部13もまた、複数の点状のホットメルト接着剤13A同士の間に隙間13Bを有することで通気性を有しているため、内部を通過する騒音に対し、通気抵抗による緩衝作用を働かせることにより、吸音性能を発揮する。
吸音材10の用途は、例えば自動車や鉄道等の車両用、航空機用、船舶用、あるいは建築物や土木構造物の建材用など、特に限定されないが、本願の吸音材10は、吸音性能の自由度が大きく、基材層11に後述するメラミンフォームを使用したことで薄く、軽量であり、難燃性に優れるという観点から、好ましくは自動車用である。
【0014】
吸音材10の通気抵抗は、用途に応じて吸音対象とされる騒音の周波数に合わせて設定されるため、特に限定されない。例えば、吸音材10の用途が自動車用であれば、周波数が2000~6000Hzの音が騒音とされ、また吸音材10の用途が建材用であれば、周波数が400~2000Hzの音が騒音とされて、これら騒音の周波数に合わせて吸音材10の通気抵抗が適宜設定されている。
通常、吸音材10を特定の用途のものに限定せず、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材等に幅広く利用するという観点であれば、通気抵抗は、0.2~4.0kPa・sの範囲に設定される。
上述したように、吸音材10の用途は、好ましくは自動車用であり、この自動車用という観点であれば、周波数が2000~6000Hzの騒音に対して吸音性能を好適に発揮できるように、通気抵抗は、好ましくは0.2~2.0kPa・s、より好ましくは0.3~2.0kPa・s、さらに好ましくは0.3~1.95kPs・s/mである。
なお、吸音材10の用途が建材用であれば、周波数が400~2000Hzの騒音に対して吸音性能を好適に発揮できるように、通気抵抗は、好ましくは0.8~4.0kPa・s、より好ましくは0.8~3.8kPa・s、さらに好ましくは0.9~3.0kPs・s/mである。
また、本発明の通気抵抗(kPa・s/m)は、通気性試験機(製品名:KES-F8-AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定された値を指すものとする。
【0015】
吸音材10の吸音性能は、JIS A 1405-2に規定又は準拠の垂直入射法で測定された吸音率で表すことができる。
吸音材10の吸音率は、用途によって所望される値が異なるため、特に限定されないが、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材で利用される吸音材として好適な吸音性能を発揮するという観点から、周波数2000~2500Hzの音に対する吸音率で50%以上であれば、400~6000Hzの騒音に対して好適な吸音性能を発揮する。
特に、用途が自動車用である場合の吸音材10の吸音率は、好ましくは、周波数3150Hzの音に対する吸音率で70%以上、より好ましくは周波数4000Hzの音に対する吸音率で80%以上である。
【0016】
吸音材10は、特に用途が自動車用である場合、UL94規格による難燃性が、V-0以上であることが好ましい。
また、
図2に示すように、吸音材10は、基材層11と、基材層11の両面に積層された2つの表皮層12と、を有する構成とし、基材層11と、各表皮層12との間に、吸音材10の通気抵抗を調整するための通気調整部13を設けることができる。
なお、吸音材10の形状は、用途に応じた形状とすればよく、特に限定されない。
また、吸音材10の使用形態は、特に限定されず、単独で使用されてもよく、一般的な遮音材や他の吸音材と併用されてもよい。
【0017】
基材層11は、吸音材10の主な部分を構成しており、メラミンフォームによって形成されることにより、吸音材10を薄く、軽量なものとしている。特に、メラミンフォームは、UL94規格でV-0という優れた難燃性を有しており、自動車用の用途に使用する場合に好適である。
基材層11に使用されるメラミンフォームは、2層以上の複層のもの又は単層のものの何れかについて、特に限定されないが、複層同士の貼り合わせを省略して製造の容易化を図るという観点から、単層のものが好ましい。
【0018】
基材層11に使用されるメラミンフォームの通気抵抗は、用途に応じた吸音性能を発揮できるのであれば、特に限定されないが、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材の用途で好適な吸音性能を発揮するという観点で、好ましくは0.05~2.0kPa・s、より好ましくは0.1~1.0kPa・s、さらに好ましくは0.1~0.5kPa・sである。
特に、用途が自動車用である場合のメラミンフォームの通気抵抗は、周波数が2500~6000Hzの音に対して吸音性能を好適に発揮するという観点から、好ましくは0.05~1.0kPa・s、より好ましくは0.1~0.5kPa・s、さらに好ましくは0.1~0.3kPa・sである。
【0019】
メラミンフォームの厚さは、用途に応じた吸音性能を発揮できるのであれば、特に限定されないが、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材の用途で好適な吸音性能を発揮するという観点で、好ましくは10~60mmである。
また、メラミンフォームは、薄くなるにつれて高い周波数の音に対する吸音率が上昇し、一方、厚くなるにつれて低い周波数の音に対する吸音率が上昇する、という性質を有している。
従って、周波数が2500~6000Hzの音を騒音とする自動車用の吸音材10であれば、メラミンフォームの厚さは、薄くすることが好ましく、具体的に、好ましくは10~40mm、より好ましくは10~30mm、さらに好ましくは10~20mmである。
【0020】
メラミンフォームの密度は、上述の通気抵抗や厚さによって変わるため、特に限定されないが、自動車、鉄道等の車両、航空機、船舶、あるいは建築物や土木構造物の建材の用途で好適な吸音性能を発揮するという観点で、好ましくは6~11kg/m3である。
なお、後述するように基材層11を圧縮したメラミンフォームで形成する場合、上記のメラミンフォームの通気抵抗、厚さ及び密度は、圧縮前の値であるものとする。また、圧縮後のメラミンフォームの通気抵抗、厚さ及び密度は、後述する圧縮率によって変わるため、特に限定されない。
【0021】
基材層11は、厚さ方向に加圧して圧縮したメラミンフォームで形成することにより、吸音材10の吸音性能の向上を図ることができる。
つまり、メラミンフォームは、内部に均一で微細な多数の孔を有する連続気泡構造の発泡体であり、厚さ方向に加圧して圧縮する際、製造条件によっては、加圧力の影響が厚さ方向の上層部分と下層部分に留まり、上層部分と下層部分を局所的に圧縮することができる、という物性を有している。
このメラミンフォームの物性を利用し、単層のメラミンフォームを使用することにより、基材層11には、
図3に示すような、密度が相違する上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bを形成することができる。
【0022】
上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bの各部は、基材層11中で一体となっており、特に基材層11に単層のメラミンフォームを使用した場合、各部の境界が明確になりにくい。但し、メラミンフォームを使用した基材層11において、上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bは、内部に生じた応力の釣り合いを取ろうとすることにより、それぞれの厚さが略等しくなる。
このため、本願の吸音材10では、基材層11を厚さ方向で3等分し、表面側から順番に各部分を、上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bとする。
【0023】
単層のメラミンフォームを使用した基材層11において、上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bは、上層部14A及び下層部14Bの密度が、中間層部15の密度に比べて、高くなる。これは、メラミンフォームを厚さ方向に加圧して圧縮する際、上層部14A及び下層部14Bは、加圧力の影響が及ぶことで圧縮されて密度が局所的に高まることに対し、中間層部15は、加圧力の影響が殆ど及ばないことで圧縮を抑制されることによる。
上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bは、それぞれの密度が相違することで、それぞれの通気抵抗も相違する。このため、密度が相違する上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bが形成された基材層11は、幅広い周波数の騒音に対して、好適な吸音性能を発揮する。
なお、上述したように、本願の吸音材10では、基材層11を厚さ方向で3等分し、表面側から順番に各部分を、上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bとしている。よって、本願における上層部14A、中間層部15、及び下層部14Bの密度は、基材層11を厚さ方向で3等分した各部分のそれぞれで測定された平均密度をいうものとする。
【0024】
中間層部15の密度は、吸音材10の用途に応じたものであれば、特に限定されないが、自動車用又は建材用という観点から、圧縮前のメラミンフォームの密度の、好ましくは1.10倍以下、より好ましくは1.08倍以下、さらに好ましくは1.05倍以下である。
上層部14Aと下層部14Bの密度は、吸音材10の用途に応じたものであり、中間層部15の密度よりも高ければ、特に限定されないが、自動車用又は建材用という観点から、中間層部15の密度の1.10~1.63倍である。
また、上層部14A及び下層部14Bの密度は、後述する圧縮率を調整することにより、吸音材10の用途に応じて適宜設定することができる。用途が自動車用である場合、上層部14A及び下層部14Bの密度は、中間層部15の密度の、好ましくは1.10~1.40倍である。用途が建材用である場合、上層部14A及び下層部14Bの密度は、中間層部15の密度の、好ましくは1.35~1.63倍である。
さらに、上層部14Aと下層部14Bは、例えばメラミンフォームの圧縮時の加熱温度を、上層部14A側と下層部14B側とで適宜調整する等して、互いの密度を、略等しいものとすることができ、あるいは異なるものとすることができるが、製造の簡便さから、互いの密度を、略等しいものとすることが好ましい。
【0025】
表皮層12は、吸音材10において基材層11の表面を保護するためのものである。特に、基材層11を圧縮したメラミンフォームで形成する場合、密度が高められた上層部14Aと下層部14Bは、硬度も高まることで脆くなる可能性があるため、基材層11の少なくとも片面(上層部14A)は、表皮層12によって保護されることが好ましい。
表皮層12の材料は、基材層11の表面を保護できるのであれば、特に限定されず、編織布、不織布等のシート、合成樹脂よるフィルム等を使用することができる。これら表皮層12の材料の中でも、不織布は、入手容易性の観点と、吸音性能を発揮できるという観点から、好ましい。特に、吸音材10の用途が自動車用又は建材用である場合、表皮層12の材料に不織布を使用することにより、吸音材10の外観品質の向上を図ることができ、この吸音材10を、自動車用であれば内装材、建材用であれば内壁材等のような、人目につく部材としても利用することができる。
【0026】
不織布の繊維は、基材層11の表面を保護できるのであれば、特に限定されず、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維などが例示され、これらの中から1種または2種以上が使用される。これら繊維の中でもポリエステル繊維は、入手容易性の観点と、成形性と、難燃性との観点で、好ましい繊維である。
不織布の製法は、基材層11の表面を保護できるのであれば、特に限定されず、スパンボンド法、ニードルパンチング法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ステッチボンド法、スパンレース法等が例示される。これら製法の中でも、スパンボンド法は、製造容易性と、得られる不織布が薄くて強度が高いという観点で、好ましい製法である。
【0027】
表皮層12の通気抵抗は、通気調整部13による吸音材10の通気抵抗の調整に影響を及ぼさないのであれば、特に限定されない。この通気調整部13による吸音材10の通気抵抗の調整に影響を及ぼさないとは、つまり、表皮層12の通気抵抗が通気調整部13の通気抵抗に比べて十分に低いことを意味する。なお、表皮層12の通気抵抗が通気調整部13の通気抵抗と同じかそれよりも高い場合、吸音材10の吸音性能が表皮層12の通気抵抗によって決定されてしまう可能性が高い。
具体的に、表皮層12の通気抵抗は、基材層11の表面を保護可能な強度や耐久性を維持しつつ、吸音性能の向上を図るという観点から、好ましくは0.01~0.1kPa・s/m、より好ましくは0.015~0.08kPa・s/m、さらに好ましくは0.015~0.04kPa・s/mである。
表皮層12に不織布を使用する場合、その目付量は、表皮層12の通気抵抗を上記の範囲にするという観点から、好ましくは10g/m2~120g/m2、より好ましくは15g/m2~110g/m2、さらに好ましくは15g/m2~100g/m2である。
【0028】
表皮層12に不織布を使用する場合、基材層11の表面を保護可能な強度や耐久性を維持する、基材層11との接合に使用する、繊維の脱落を防止する、外観品質の向上を図る等の観点で、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの合成樹脂を含浸させることができる。
不織布に対する合成樹脂の含浸量は、不織布の通気抵抗が基材層11の通気抵抗に比べて低く維持できるのであれば、特に限定されない。具体的に合成樹脂の含浸量は、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは10~50g/m2である。
【0029】
不織布に含浸させる合成樹脂は、基材層11の形成時にメラミンフォームを加熱すること、用途に応じて吸音材10を加熱プレス成形することから、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が例示される。
また、熱硬化性樹脂は、取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションとしたものを使用することが好ましい。
【0030】
熱硬化性樹脂として望ましいものは、入手が容易であり、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションとしやすく、接着性を有し、難燃性を有するという観点から、フェノール系樹脂であり、より望ましいのはフェノール-アルキルレゾルシン共縮合物である。フェノール-アルキルレゾルシン共縮合物は、初期縮合物の水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる初期縮合物に比べて常温で長期間保存することが出来るという利点がある。
特に、フェノール-アルキルレゾルシン共縮合物の水溶液を不織布に含浸させ、半硬化状態(Bステージ)にすることで、安定性が向上し、長期間保存しても成形性を保持することができる。
【0031】
通気調整部13は、吸音材10の全体の通気抵抗を調整するための主たる部分である。この通気調整部13は、ホットメルト接着剤13Aが基材層11の表面で点状に散在した状態で熱溶融することにより、斑点状に形成されており、多数の隙間13Bを有している(
図1(b)参照)。
詳述すると、メラミンフォームによって形成された基材層11の表面は、例えば不織布のような繊維の密度の偏り等による凹凸がなく、メラミンフォームの気泡が非常に緻密で微細なことから該気泡による凹凸も非常に緻密で微細であるため、非常に滑らかである。よって、ホットメルト接着剤は、メラミンフォーム(基材層11)の表面において、偏って不均一に散在したり、熱溶融して該表面に染み込んだりせずに、略均一に分散された状態で熱溶融する。そして、メラミンフォームの表面で略均一に分散された状態で熱溶融したホットメルト接着剤は、少量で好適な接着力を発揮するとともに、通気調整部13を、略均一な隙間13Bを有する薄膜状としている。
略均一な隙間13Bを有する薄膜状の通気調整部13は、基材層11の音の通過を、その隙間13Bを介した場合のみ許容し、隙間13B以外の部分(点状のホットメルト接着剤13Aの部分)では阻害する。その結果、吸音材10の全体の通気抵抗は、基材層11の通気抵抗よりも高くなり、該吸音材10の吸音性能が向上する。
なお、通気調整部13は基材層11と接着されて一体化しており、通気調整部13のみの通気抵抗の測定は困難であるが、この通気調整部13によって吸音材10の全体の通気抵抗が調整されて決定されるという観点から、通気調整部13の通気抵抗は、吸音材10の通気抵抗と略等しいと考察される。
また、通気調整部13は、点状に散在した状態で熱溶融したホットメルト接着剤13Aにより、斑点状に形成されているが、点状に散在した状態で熱溶融したホットメルト接着剤13Aは、必ずしもそれら全てが互いに離れていることに限らず、部分的に繋がっていてもよい。
【0032】
ホットメルト接着剤の種類は、特に限定されず、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレン-酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、合成ゴム系等から選ばれる1種又は2種以上を例示することができる。これらの中でもポリアミド系のホットメルト接着剤は、好適な難燃性を有しており、吸音材10が特に自動車用の用途に使用する場合、好適である。
ホットメルト接着剤の形態は、粉末状、水性エマルジョン状など、特に限定されないが、使い勝手がよく、通気抵抗の調整が行い易いという観点から、粉末状が好ましい。
粉末状のホットメルト接着剤の塗布方法は、特に限定されず、静電スプレー塗布等のように粉末状のものをそのまま散布して塗布する、あるいは水等に分散させた分散液としたうえでスプレー方式、ロール方式、スピン方式、ディップ方式等により塗布する方法が例示される。これらの中でも、粉末状のホットメルト接着剤を含む分散液をスプレー方式で塗布する方法は、簡便で作業時間が短く、ホットメルト接着剤の塗布量の調整が容易であるという観点から、好ましい塗布方法である。
粉末状のホットメルト接着剤の粒度は、基材層11と表皮層12とを接着できるのであれば特に限定されないが、通気調整部13を斑点状として隙間13Bを好適に形成するという観点から、篩分け法による粒度で、好ましくは80~500μm、より好ましくは100~300μm、さらに好ましくは100~150μmである。
【0033】
通気調整部13による吸音材10の全体の通気抵抗の調整は、該通気調整部13の面密度の調整によって行うことができる。つまり、通気調整部13の面密度が高くなるにつれ、吸音材10の全体の通気抵抗が高くなり、通気調整部13の面密度が低くなるにつれ、吸音材10の全体の通気抵抗が低くなる。
通気調整部13の面密度は、吸音材10の通気抵抗を用途に応じた値に調整できるのであれば、特に限定されないが、特に自動車の用途で好適な吸音性能を発揮するという観点で、好ましくは1~20g/m2、より好ましくは5~10g/m2である。
【0034】
通気調整部13の面密度は、ホットメルト接着剤の単位面積当たりの塗布量で調整することができる。つまり、ホットメルト接着剤の単位面積当たりの塗布量が増すにつれ、通気調整部13の面密度が高まることで、吸音材10の通気抵抗が増し、単位面積当たりの塗布量が減るにつれ、通気調整部13の面密度が低くなることで、吸音材10の通気抵抗が低くなる。
具体的に、ホットメルト接着剤の単位面積当たりの塗布量は、通気調整部13の面密度と相応し、基材層11(メラミンフォーム11A)の表面又は表皮層12(不織布12A)の表面に対する単位面積当たりの塗布量で、好ましくは1~20g/m2、より好ましくは5~10g/m2である。
また、ホットメルト接着剤を塗布する対象は、メラミンフォーム又は不織布の何れでもよく、特に限定されないが、熱溶融したホットメルト接着剤がメラミンフォームの表面に染み込んで、該メラミンフォームの気泡を塞ぐことを防止するという観点で、不織布とすることが好ましい。
特に、粉末状のホットメルト接着剤を不織布に塗布する場合には、ホットメルト接着剤を上述した面密度で散布した後、加熱することで、不織布の表面にホットメルト接着剤が仮融着されるので、面密度を維持しつつ、メラミンフォーム表面へのホットメルト接着剤の染み込みを防止できるので、より好ましい。
【0035】
上述の吸音材10は、
図4に示すような装置20を使用し、ホットメルト接着剤13Aが塗布された不織布12Aを、メラミンフォーム11Aの表面上に積層して積層体10Aを得る第1工程S1と、積層体10Aを加熱する第2工程S2と、を経て製造される。
装置20において、ホットメルト接着剤13Aを所定の塗布量で塗布された不織布12Aが別工程で予め用意され、この不織布12Aが、ホットメルト接着剤13Aの塗布された面を上向きにした状態で、コンベア21上に載置されて、上流側から下流側へと搬送される。
第1工程S1では、不織布12Aのホットメルト接着剤13Aが塗布された面にメラミンフォーム11Aが積層されて、積層体10Aが得られる。
第2工程S2では、積層体10Aが基台24上に搬送されるとともに、この基台24の上方位置に配された加熱盤25が基台24上の積層体10Aを加熱することにより、吸音材10が製造される。
【0036】
第2工程S2において、加熱温度は、メラミンフォーム11Aの耐熱温度である240℃未満であれば、特に限定されないが、メラミンフォーム11Aが弾力性等によって元の密度に戻ることを抑制するという観点から、好ましくは180~230℃、より好ましくは180~220℃、さらに好ましくは200~220℃である。
第2工程S2では、加熱盤25によって積層体10Aを所定のプレス時間で加熱プレスした場合、上述したようにメラミンフォーム11Aを厚さ方向に圧縮して吸音性能の向上を図ることができる。このプレス時間は、メラミンフォーム11Aから基材層11を形成できるのであれば、特に限定されないが、後述する圧縮率の範囲内にするとともに作業効率の向上を図るという観点から、好ましくは1秒間~1分間である。
【0037】
第2工程S2では、上述したようにメラミンフォーム11Aを厚さ方向に圧縮することで、上層部14A、中間層部15及び下層部14Bを有する基材層11を形成する場合、加熱盤25による加圧力を調整する必要がある。
この加圧力の調整は、メラミンフォーム11Aの圧縮率を調整することにより、行うことができる。そして、メラミンフォーム11Aの圧縮率は、圧縮前のメラミンフォーム11Aの厚さをT
0とし(
図5参照)、圧縮後のメラミンフォーム11Aの厚さ、つまり基材層11の厚さをTとした場合に(
図5参照)、計算式:(1-T/T
0)×100で求めることができる。
メラミンフォーム11Aの圧縮率は、上層部14A、中間層部15及び下層部14Bを好適に形成するという観点から、好ましくは10~30%である。
【実施例0038】
以下、本発明をさらに具体化した実施例について説明するが、本発明は該実施例によって限定されるものではない。
〔試料の作製〕
メラミンフォームには、厚さが10mmで通気抵抗が0.11kPa・s/mのもの(サンプルNo.1)、厚さが20mmで通気抵抗が0.12kPa・s/mのもの(サンプルNo.7)、厚さが40mmで通気抵抗が0.18kPa・s/mのもの(サンプルNo.13)の、3種類を使用した。
ホットメルト接着剤には、ポリアミド共重合体からなり、篩分け法による粒度が100~150μm、軟化温度が150℃のものを使用した。
不織布には、ポリエステル繊維からなり、スパンボンド法により、目付量を20g/m2としたものを使用した。
【0039】
上記不織布の片面に、上記ホットメルト接着剤の塗布量(通気調整部の面密度)が1g/m2、5g/m2、10g/m2、20g/m2、30g/m2となるように散布した後、160℃の加熱炉で加熱し、不織布にホットメルト接着剤を仮融着させて、ホットメルト接着剤が塗布された不織布を得た。
次いで、ホットメルト接着剤が塗布された不織布を、そのホットメルト接着剤の塗布面が接触するように、サンプルNo.1,7,13のメラミンフォームの表面に積層し、積層体を得た。
そして、上記積層体を180℃で加熱し、不織布とメラミンフォームとをホットメルト接着剤で接着して、サンプルNo.2~6、8~12、14~18の試料を得た。
【0040】
〔吸音性試験〕
サンプルNo.1~18の各試料について、通気性試験機(製品名:KES-F8-AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)を使用して通気抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
また、サンプルNo.1~18の各試料について、JIS A 1405-2に準拠した垂直入射法で吸音率を測定した。その結果を、メラミンフォームの厚さが10mmのサンプルNo.1~6は
図6のグラフ、メラミンフォームの厚さが20mmのサンプルNo.7~12は
図7のグラフ、メラミンフォームの厚さが40mmのサンプルNo.13~18は
図8のグラフに示す。
【0041】
【0042】
上記吸音性試験の結果、通気調整部の面密度を1~20g/m2としたサンプルNo.2~5は、通気調整部が形成されていないサンプルNo.1に比べ、吸音率を測定した周波数のほぼ全域で吸音性能が明らかに向上しており、特に2000~5000Hzの周波数では吸音率が略80%以上であった。
同様に、通気調整部の面密度を1~20g/m2としたサンプルNo.8~11は、通気調整部が形成されていないサンプルNo.7に比べ、吸音率を測定した周波数のほぼ全域で明らかに吸音性能が向上しており、特に2000~5000Hzの周波数では吸音率が略85%以上であった。
また同様に、通気調整部の面密度を1~20g/m2としたサンプルNo.14~17は、通気調整部が形成されていないサンプルNo.13に比べ、吸音率を測定した周波数のほぼ全域で明らかに吸音性能が向上しており、特に2000~5000Hzの周波数では吸音率が略90%以上であった。
以上から、通気調整部の面密度を1~20g/m2とした場合には、特に自動車用として好ましい吸音材であることが示された。
【0043】
加えて、通気調整部の面密度を30g/m2としたサンプルNo.6は、1000~1500Hzの音に対する吸音率が、サンプルNo.1に比べ、上昇していた。
同様に、通気調整部の面密度を30g/m2としたサンプルNo.12は、1000~1500Hzの音に対する吸音率が、サンプルNo.7に比べ、上昇していた。
また同様に、通気調整部の面密度を30g/m2としたサンプルNo.18は、1000~1500Hzの音に対する吸音率が、サンプルNo.13に比べ、上昇していた。
以上から、通気調整部の面密度を30g/m2とした場合には、自動車用の用途には不向きであるが、例えば建材用の用途等といった1000~1500Hzの騒音に対する吸音性能が要求される用途に適することが示された。
本発明の吸音材及び吸音材の製造方法によれば、吸音性能の自由度が大きい吸音材を得ることができるとともに、吸音材の密度や通気抵抗等の調整が容易であるから、産業上利用可能である。