(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184646
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】養子細胞療法を用いてB細胞悪性腫瘍を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/12 20150101AFI20231221BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231221BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20231221BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231221BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231221BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231221BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20231221BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231221BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231221BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231221BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20231221BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20231221BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20231221BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231221BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P35/02
A61K31/7076
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K31/675
A61P35/00
A61K31/519
A61K31/496
A61K47/65
C12N5/10 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189795
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2021199037の分割
【原出願日】2017-06-06
(31)【優先権主張番号】62/429,737
(32)【優先日】2016-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/417,292
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/346,547
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522176001
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】タートル キャメロン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マローニ デービッド
(72)【発明者】
【氏名】リデル スタンレー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート マーク
(57)【要約】
【課題】B細胞悪性腫瘍を処置するための、複数の用量の細胞の投与を伴う養子細胞療法を提供する。
【解決手段】慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法とする。CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階、および、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x105個もしくは約2x105個~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項2】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108~約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項3】
ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項1または請求項3記載の方法。
【請求項5】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、別の用量のCAR発現細胞以外の、または別の用量のCAR発現細胞とプレコンディショニング療法以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項1または請求項3記載の方法。
【請求項6】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、キナーゼ阻害剤、任意で、Btk阻害剤、任意で、イブルチニブを用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に施す段階をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法が、外来送達を介して行われる、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
ある用量の細胞が、規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
ある用量の細胞が非経口投与される、任意で静脈内投与される、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす;ならびに/あるいは
対象が、ある用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、CR、OR、またはサイズが20mm未満もしくは約20mm未満のリンパ節を示す;ならびに/あるいは
悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)および/またはCLLの指標クローンが対象の骨髄において(または該方法に従って処置された対象の50%超の骨髄において)、任意で、IGHディープシークエンシングによって評価された時に、任意で、細胞用量を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、あるいは少なくとも、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)を果たす、12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;
平均して、該方法に従って処置された対象が、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSもしくはOSの中央値を示す;および/あるいは
対象が、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x105個もしくは約2x105個~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含み、
(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項21】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項22】
ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項20または請求項22記載の方法。
【請求項24】
ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、請求項20~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に施す段階をさらに含む、請求項20~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、請求項20~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法が、外来送達を介して行われる、請求項20~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
規定された比が、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比である、請求項20~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
ある用量の細胞が非経口投与される、任意で静脈内投与される、請求項20~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
請求項20~29のいずれか一項記載の方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす、請求項20~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記方法に従って処置され、かつ完全寛解(CR)を果たした対象の少なくとも50%が、12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;
平均して、該方法に従って処置された対象が、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSまたはOSの中央値を示す;ならびに/あるいは
対象が、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す、請求項20~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、請求項20~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項20~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、請求項20~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、請求項1~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
予後予測またはステージ分類の方法であって、以下の段階を含む、方法:
B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)配列の存在または非存在を検出する段階であって、
対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階によって、細胞療法に応答した対象の予後が確かめられる、段階。
【請求項37】
悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階が、細胞療法の開始後、3~6週間以内もしくは約3~約6週間以内、または細胞療法の開始の約3~約6週間後に、任意で、細胞療法の適用を開始して4週間以内または約4週間以内に行われる、請求項36記載の方法。
【請求項38】
悪性IGH配列が検出されれば、対象が、細胞療法に応答しないか、または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示さないか、あるいは細胞療法に対して再発する可能性が高いと特定される、請求項36または請求項37記載の方法。
【請求項39】
悪性IGH配列が検出されれば、さらなる処置の候補、および/または変更された処置もしくは代替の処置を受けるための候補であると対象が特定される、請求項36~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
悪性IGH配列が検出されれば、細胞療法の適用を中断する段階、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、さらに高用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる、請求項36~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、細胞療法に応答すると特定される、および/または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示すと特定されるか、あるいは細胞療法に対して再発しない可能性が高いと特定される、請求項36または請求項37記載の方法。
【請求項42】
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、これ以上処置をしない候補であると特定される、および/またはこれ以上処置されない、任意で、細胞療法を用いて、これ以上処置されない、および/またはB細胞悪性腫瘍の代替療法を用いてこれ以上処置されない、請求項36、37、および41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
細胞療法に対する応答の永続性を予測する方法であって、以下の段階を含む、方法:
B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)配列の存在または非存在を検出する段階であって、
対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在から、細胞療法に対する応答の永続性が予測される、段階。
【請求項44】
悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階が、細胞療法の開始後、4週間以内、6週間以内、8週間以内、12週間以内、もしくは16週間以内に、または約4週間以内、約6週間以内、約8週間以内、約12週間以内、もしくは約16週間以内に、あるいは細胞療法を開始して約4週間後、約6週間後、約8週間後、約12週間後、もしくは約16週間後に行われる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、細胞療法に対して永続性のある応答を示すか、もしくは細胞療法に対して永続性のある応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが低いか、もしくは比較的低いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が高いと予測される、請求項43または請求項44記載の方法。
【請求項46】
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存を示すと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していると予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって永続性のあるCRまたはORを示すと予測される;および/あるいは
細胞療法の適用開始後に再発する可能性が低い、任意で、細胞療法の適用開始後、3ヶ月以内、6ヶ月以内、または9ヶ月以内に再発する可能性が低いと予測される、請求項43~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
悪性IGH配列が検出されれば、対象が、細胞療法に対して永続性のない応答を示すか、もしくはその応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが高いか、もしくは比較的高いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が低いと予測される、請求項43または請求項44記載の方法。
【請求項48】
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存を示さないと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していないと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって永続性のあるCRまたはORを示さないと予測される、請求項43または請求項44記載の方法。
【請求項49】
悪性IGH配列が検出されれば、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、より高い用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる、請求項43、44、および48記載の方法。
【請求項50】
悪性IGH配列の存在または非存在が、IGH配列決定、任意で、IGH標的DNAのPCR増幅を含むIGH配列決定によって確かめられる、請求項36~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
試料がB細胞を含む、請求項36~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
試料が血液または骨髄試料を含む、請求項36~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
試料が対象から得られている、請求項36~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
エクスビボで行われる、請求項36~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
B細胞悪性腫瘍ががんである、請求項36~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
B細胞悪性腫瘍が白血病であるか、白血病を含む、請求項36~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
B細胞悪性腫瘍が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33もしくはCD38、ROR1より選択される抗原を含むか、またはCD19、CD20、CD22、CD30、CD33もしくはCD38、ROR1より選択される抗原に関連する、請求項37~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
B細胞悪性腫瘍が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)より選択される、ならびに/または急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項36~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
B細胞悪性腫瘍が慢性リンパ芽球性白血病(CLL)もしくは高リスクCLLであるか、または慢性リンパ芽球性白血病(CLL)もしくは高リスクCLLを含む、請求項37~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
B細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫(NHL)であるか、または非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む、請求項37~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(低悪性度リンパ腫から新たにトランスフォームしたもの)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
組換え受容体が、疾患もしくは状態に関連する抗原、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変部の環境の細胞において発現している抗原に特異的に結合する、請求項37~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
組換え受容体がT細胞受容体または機能的非T細胞受容体である、請求項37~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項37~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
CARが、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインがCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む;および/または
任意でCD28もしくは4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、補助刺激シグナル伝達領域を、CARがさらに含む、請求項64記載の方法。
【請求項66】
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項37~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、請求項37~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、請求項37~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
操作された細胞が、T細胞、任意でCD4+および/またはCD8+を含む、請求項37~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
操作された細胞が対象の自己細胞である、請求項37~70のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
操作された細胞が対象に対して同種異系の細胞である、請求項37~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
【請求項74】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、ある用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
【請求項75】
フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書をさらに備える、請求項73記載の製造物品。
【請求項76】
細胞療法が、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、12トリソミー、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;
高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される
と説明書が指定する、請求項73または請求項75記載の製造物品。
【請求項77】
細胞療法が、
リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
キナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される
と説明書が指定する、請求項73~76のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項78】
細胞療法が、
CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される
と説明書が指定する、請求項73~77のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項79】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
【請求項80】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
【請求項81】
フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書をさらに備える、請求項79記載の製造物品。
【請求項82】
細胞療法が、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;
高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される対象に適用される;ならびに/あるいは
成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される
と説明書が指定する、請求項79または請求項81記載の製造物品。
【請求項83】
細胞療法が、
リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される
と説明書が指定する、請求項79~82のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項84】
細胞療法が、
NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される
と説明書が指定する、請求項79~83のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項85】
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;および/または
(ii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/もしくは約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、請求項73~84のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項86】
リンパ球枯渇療法が、少なくとも、細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始されることを説明書が指定する、請求項73~84のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項87】
説明書が、CD4+CAR発現細胞:CD8+細胞の規定された比で細胞療法を適用することを指定するか、またはこのような規定された比に対応する量の体積の製剤を投与することを指定するか、あるいはこのような比の細胞を有する製剤を含むか、またはCARを発現する、このような比の細胞、および/もしくはCD4+細胞:CD8+細胞のこのような比の細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、請求項73~86のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項88】
細胞療法が非経口適用用、任意で静脈内適用用であることを説明書がさらに指定する、請求項73~87のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項89】
細胞療法の適用が、
外来の場で、および/あるいは一晩または1日もしくは何日か連続して対象を病院に収容することなく、対象に適用されるか、または適用されてもよく、ならびに/あるいは1日もしくは何日かにわたって対象を病院に収容することなく対象に適用される
と説明書がさらに指定する、請求項73~88のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項90】
細胞療法が、対象から得られた初代T細胞を含む、請求項73~89のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項91】
T細胞が対象の自己T細胞である、請求項89記載の製造物品。
【請求項92】
T細胞が対象に対して同種異系のT細胞である、請求項91記載の製造物品。
【請求項93】
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項73~92のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項94】
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、請求項73~93のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項95】
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、請求項93または請求項94記載の製造物品。
【請求項96】
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、請求項69~89のいずれか一項記載の製造物品。
【請求項97】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x105個もしくは約2x105個~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項98】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項99】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、請求項97または請求項98記載の使用。
【請求項100】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項97~99のいずれか一項記載の使用。
【請求項101】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、別の用量のCAR発現細胞以外の、または別の用量のCAR発現細胞とプレコンディショニング療法以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項97~100のいずれか一項記載の使用。
【請求項102】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、キナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項97~101のいずれか一項記載の使用。
【請求項103】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項97~102のいずれか一項記載の使用。
【請求項104】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、請求項97~102のいずれか一項記載の使用。
【請求項105】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、請求項97~102のいずれか一項記載の使用。
【請求項106】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階、
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);
(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;
(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;
(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/あるいは
(e)2x105個もしくは約2x105個~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg
を含み、
(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項107】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、投与が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞または全CAR発現細胞;
(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞または全CAR発現細胞;
(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞または全CAR発現細胞;および/あるいは
(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【請求項108】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、請求項106または請求項107記載の使用。
【請求項109】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、請求項106~108のいずれか一項記載の使用。
【請求項110】
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、請求項106~109のいずれか一項記載の使用。
【請求項111】
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、請求項97~110のいずれか一項記載の使用。
【請求項112】
処置が、外来送達を介した細胞用量および/またはリンパ球枯渇療法の適用を含む、請求項97~101のいずれか一項記載の使用。
【請求項113】
細胞の組成物および/または用量が、規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、請求項97~112のいずれか一項記載の使用。
【請求項114】
細胞の組成物および/または用量が、非経口投与用、任意で静脈内投与用に製剤化されている、請求項97~113のいずれか一項記載の使用。
【請求項115】
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、請求項97~114のいずれか一項記載の使用。
【請求項116】
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項97~115のいずれか一項記載の使用。
【請求項117】
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、請求項97~116のいずれか一項記載の使用。
【請求項118】
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、請求項97~117のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利の記載
本発明は、米国立衛生研究所により与えられたCA136551の下で政府の支援によってなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2016年6月6日に出願された米国特許仮出願第62/346,547号、2016年11月3日に出願された米国特許仮出願第62/417,292号、および2016年12月3日に出願された米国特許仮出願第62/429,737号からの優先権を主張する。これらの内容は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
参照による配列表の組み入れ
本願は電子形式の配列表と一緒に出願されている。配列表は、2017年6月6日に作成された、サイズが36,277キロバイトの735042006740seqlist.txtという名称のファイルとして提供されている。電子形式の配列表の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0004】
分野
本開示は、B細胞悪性腫瘍を処置するための、複数の用量の細胞の投与を伴う養子細胞療法に関する。前記細胞は、概して、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。一部の態様では、前記方法は、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象を処置するための方法である。一部の態様では、前記方法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置するための方法である。一部の態様では、前記方法は、リンパ球枯渇(lymphodepleting)療法の事前適用、例えば、フルダラビンおよび/または別のリンパ球枯渇化学療法剤、例えばシクロホスファミドの事前投与を伴う。一部の態様では、前記方法の特徴は、提供される方法に従って処置された対象の完全寛解、全生存期間、および/または無増悪生存期間の増加を含む。
【背景技術】
【0005】
背景
疾患および状態を処置するために様々な免疫療法および/または細胞療法の方法を利用することができる。例えば、がんならびに他の疾患および障害の処置において、養子細胞療法(関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体を発現する細胞の投与を伴う養子細胞療法、ならびに他の養子免疫細胞療法および養子T細胞療法を含む)が有効な場合がある。改善された方法、例えば、このような方法の効力を高める改善された方法が必要とされる。このようなニーズを満たす方法および使用が提供される。
【発明の概要】
【0006】
概要
概して白血病もしくはリンパ腫、最も詳細には慢性リンパ性白血病(CLL)および/もしくは非ホジキンリンパ腫(NHL)であるか、またはこれらを含む疾患または状態を有する対象を処置するための方法、ならびにこのような処置のための操作された細胞(例えば、T細胞)およびその組成物の使用が提供される。一部の局面では、前記方法および使用は、ある特定の代替方法、例えば、特に、処置された対象群と比較して改善された、もしくはさらに永続性のある応答もしくは効力を提供するか、もしくは実現する、および/またはある特定の代替方法、例えば、特に、処置された対象群と比較して低い毒性リスクもしくは他の副作用リスクを提供するか、もしくは実現する。一部の態様では、前記方法は、指定された数または相対数の操作された細胞の投与、規定された比の特定のタイプの細胞の投与、特定のリンパ球枯渇療法による対象のプレコンディショニング、特定の患者集団、例えば、特定のリスクプロファイル、ステージ分類、および/もしくは前治療歴、ならびに/またはその組み合わせを有する患者集団の処置のおかげで有利である。
【0007】
一部の態様では、前記方法および使用は、養子細胞療法において、概して、白血病もしくはリンパ腫によって発現された、白血病もしくはリンパ腫に関連する、および/または白血病もしくはリンパ腫に特異的な抗原を認識するキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)である遺伝子操作された(組換え)細胞表面受容体を発現する細胞、ならびに/あるいは前記の細胞に由来する細胞タイプを対象に投与する段階を含む。前記細胞は、概して、投与のための製剤化された組成物の形で投与される。前記方法は、概して、1つまたは複数の用量の細胞を対象に投与する段階を伴い、前記用量は、前記組成物の中に、特定の数もしくは相対数の細胞もしくは操作された細胞、および/または規定された比の2種類以上のサブタイプ、例えば、CD4 T細胞対CD8 T細胞を含んでもよい。
【0008】
対象は、概して、リンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている。これにより、一部の局面では、プレコンディショニングが行われていない方法または異なるリンパ球枯渇療法を用いて行われた方法と比較して、投与後の細胞の持続性および/または効力が高まる。リンパ球枯渇療法は、概して、フルダラビン投与、典型的には、フルダラビン投与と、別の化学療法または他の薬剤、例えば、シクロホスファミドの組み合わせを含み、これらはどの順序であっても連続投与されもよく、同時投与されもよい
【0009】
一部の態様では、前記方法は、慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する段階を伴う。一部の局面では、前記方法は、CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階を含む。一部の局面では、前記用量は、(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含む。一部の局面では、投与前に、前記対象は、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている。
【0010】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法も提供される:CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、前記用量が、(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含み、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【0011】
一部の態様では、前記方法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、高悪性度NHLおよび/もしくは特定のサブタイプのNHL、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、ならびに/または他の高悪性度NHL、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ならびに/または濾胞性リンパ腫(FL)を有する対象を処置する段階を伴う。
【0012】
一部の局面では、前記方法は、NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階を含む。一部の局面では、前記用量は、(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含む。前記用量は、典型的には、規定された比の特定のサブタイプの細胞、例えば、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞をさらに含む。
【0013】
一部の局面では、投与前に、前記対象は、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている。
【0014】
任意の態様の一部の局面では、投与される前記用量の細胞は、規定された、または予め決められた、または操作された比の特定のサブタイプの細胞を含む。比は、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞および/またはCD4+細胞:CD8+細胞の比を含んでもよい。一部の局面では、CD4+細胞またはCD8+細胞は、特定のサブタイプ、例えば、セントラルメモリー細胞が濃縮されているか、あるいはこのような濃縮された集団、例えば、CD8+セントラルメモリー細胞に由来する細胞、ならびに/またはバルクT細胞もしくはバルクCD8+T細胞、またはバルクT細胞もしくはバルクCD8+T細胞に由来する細胞と比較してCD62Lおよび/もしくはCD45ROおよび/もしくはCCR7の発現が増加している細胞に由来する。一部の局面では、比は1:1であるか、または約1:1である。一部の局面では、比は1:3または約1:3~3:1または約3:1である。
【0015】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与時または投与前に、任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象は特定されるか、または特定されている;対象は、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいはNHLは、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される。
【0016】
任意の態様の一部の局面では、対象は成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0017】
一部の局面では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビン以外の別の化学療法剤、例えば、シクロホスファミドを投与する段階をさらに含む。一部の局面では、プレコンディショニング、例えば、リンパ球枯渇療法、例えば、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドを介したプレコンディショニングは、少なくとも、細胞投与の24時間前もしくは約24時間前または48時間前もしくは約48時間前の時間に、あるいは細胞投与の48時間前または約48時間前~96時間前または約96時間前の時間に開始される。一部の局面では、リンパ球枯渇療法は、30~60mg/kg対象もしくは約30~60mg/kg対象のシクロホスファミド(例えば、1日、2日、もしくは3日にわたって1日1回)の投与、および/あるいはフルダラビン、例えば、25mg/m2のフルダラビン(例えば、2日、3日、4日、もしくは5日、またはそれより長く、例えば、3~5日にわたって毎日)の投与を含む。
【0018】
任意の態様の一部の局面では、細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法は、外来送達を介して行われる。
【0019】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与時または投与前に、対象は、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常および/または他の危険因子を有すると特定されるか、または特定されている。一部の局面では、異常または因子は、高リスクまたは超高リスクの疾患、例えば、高リスクまたは超高リスクのCLLおよび/またはNHLに関連する。
【0020】
このような因子は、FISHによって検出されるか、もしくはFISHによって検出可能な因子および/またはFISHによって検出できない因子でもよい。異常は、任意でFISHによって検出されるような、複雑核型(complex karyotype)(CK)、転位置、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14を含んでもよい。一部の局面では、異常はCKおよび/またはdel17pを含む。一部の局面では、前記方法および使用によって処置される対象は、高リスクCLLもしくは超高リスクCLLを有すると特定されるか、または高リスクCLLもしくは超高リスクCLLを有すると特定されており、任意で、このような分類および/または特定の異常に基づいて処置が選択される。任意の態様の一部の局面では、対象は、前記疾患もしくは状態の転移型、高悪性度型、進行型、および/もしくは骨髄外型を有すると特定される、もしくは特定されている、および/または選択される;ならびに/あるいは対象は成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0021】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与前に、対象は、白血病もしくはリンパ腫、例えば、NHLおよび/もしくはCLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、ならびに/あるいはリンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある。一部の態様では、前記用量の細胞の投与前に、対象は、キナーゼ阻害剤、任意で、Btk阻害剤、任意で、イブルチニブ、および/または生物製剤および/または免疫療法、例えば、モノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある。一部の態様では、前記用量の細胞の投与前に、対象は、白血病またはリンパ腫に対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがあり、前記療法は、概して、リンパ球枯渇療法以外の療法、および/または任意で、異なるCARを発現する細胞以外の、前記細胞もしくは別の用量のCAR発現細胞以外の療法である。
【0022】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与時または投与直前に、対象は、このような1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはこのような1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている。
【0023】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与前に、対象は、モノクローナル抗体、例えば、CLLもしくはNHLの細胞によって発現されたか、またはCLLもしくはNHLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いて白血病またはリンパ腫(例えば、CLLまたはNHL)の処置を受けたことがある。一部の態様では、前記用量の細胞の投与時または投与直前に、対象は、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている。
【0024】
一部の態様では、前記方法は、細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に適用する段階をさらに含む。
【0025】
一部の態様では、前記用量の細胞は、規定された比の、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含む。一部の態様では、前記用量の細胞は非経口投与され、任意で静脈内投与される。
【0026】
本明細書において提供される方法の一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%は、完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす;ならびに/あるいは対象は、前記用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、CR、OR、またはサイズが20mm未満もしくは約20mm未満のリンパ節を示す;ならびに/あるいは悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)および/または前記疾患もしくは状態、例えば、CLLもしくはNHLの指標クローン(index clone)は対象の骨髄において(または前記方法に従って処置された対象の50%超の骨髄において)、任意で、IGHディープシークエンシング(deep sequencing)によって評価された時に、任意で、細胞用量を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、あるいは少なくとも、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない。
【0027】
本明細書において提供される方法の一部の態様では、前記方法に従って処置され、かつ完全寛解(CR)を果たした対象の少なくとも50%は、12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;平均して、前記方法に従って処置された対象は、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSまたはOSの中央値を示す;および/あるいは対象は、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す。
【0028】
一部の態様では、前記抗原はB細胞抗原である。一部の局面では、前記抗原はCD19である。一部の局面では、前記抗原は、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、ROR1、またはB細胞もしくはB細胞がんに関連する他のマーカーであるか、あるいはこれらを含む。
【0029】
一部の態様では、CARは、典型的に、抗原に特異的なscFvであるか、または抗原に特異的なscFvを含む結合ドメインと、膜貫通ドメインと、天然または内因性のシグナル伝達分子またはその機能的変種に由来してもよい1つまたは複数の細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域とを含有する。一部の局面では、シグナル伝達領域は、一次シグナルおよび二次シグナルをT細胞または他の免疫細胞に送ることができるドメインを含む。前記ドメインは、補助刺激分子に由来する、例えば、4-1BB、例えば、ヒト4-1BB、および/またはCD28分子、例えば、ヒトCD28に由来するドメインを含んでもよい。前記ドメインは、一次シグナル伝達ITAM含有分子、例えば、CD3ζ、例えば、ヒトCD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメインをさらに含んでもよい。一部の態様では、CARはスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有し、これらは一部の局面ではヒトIgGに由来してもよい。
【0030】
一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、または少なくとも90%もしくは約90%は、完全寛解(CR)、例えば、RECIST判断基準および/もしくはLugano判断基準、ならびに/または応答を評価するための多数の既知の判断基準のいずれかによって測定される完全寛解(CR)を果たす。一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、または少なくとも90%もしくは約90%は、全奏効(OR)、例えば、RECIST判断基準および/もしくはLugano判断基準、ならびに/または応答を評価するための多数の既知の判断基準のいずれかによって測定される全奏効(OR)を果たす。一部の態様では、前記対象、あるいは前記方法に従って処置され、かつ完全寛解(CR)を果たした対象の少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、または少なくとも90%もしくは約90%は、例えば、平均して、12ヶ月超、13ヶ月超、14ヶ月超、15ヶ月超、16ヶ月超、17ヶ月超、18ヶ月超、19ヶ月超、20ヶ月超、21ヶ月超、22ヶ月超、23ヶ月超、24ヶ月超、もしくはそれより長く、および/または6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す。一部の態様では、前記対象、あるいは前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、または少なくとも90%もしくは約90%は、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSまたはOSの中央値を示す;および/あるいは療法後、少なくとも6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくは24ヶ月間、またはそれより長く、あるいは約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくは約24ヶ月間、またはそれより長くPFSまたはOSを示す。
【0031】
一部の態様では、前記対象はグレード3以上の神経毒性を示さない、および/もしくは重度CRSを示さないか、または処置後、ある特定の期間内で、例えば、細胞を投与して1週間以内、2週間以内、もしくは1ヶ月以内にグレード3以上の神経毒性を示さない、および/もしくは重度CRSを示さない。
【0032】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法が提供される:NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、前記用量が、(i)(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含み、(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【0033】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法も提供される:NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、前記用量が、(i)(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含み、(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
【0034】
一部の態様では、前記用量の細胞の投与時または投与前に、任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象は特定されるか、または特定されている;対象は、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいはNHLは、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは対象は成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0035】
任意のこのような態様の一部において、前記用量の細胞の投与前に、対象は、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある。任意のこのような態様の一部において、前記用量の細胞の投与時または投与直前に、対象は、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている。
【0036】
任意のこのような態様の一部において、前記方法は、細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に適用する段階をさらに含む。一部の態様では、リンパ球枯渇療法は、(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む。任意のこのような態様の一部において、細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法は、外来送達を介して行われる。
【0037】
任意のこのような態様の一部において、規定された比は、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比である。一部の態様では、前記用量の細胞は非経口投与され、任意で静脈内投与される。
【0038】
任意のこのような態様の一部において、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%は完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす。前記方法の一部の態様では、前記方法に従って処置され、かつ完全寛解(CR)を果たした対象の少なくとも50%は12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;平均して、前記方法に従って処置された対象は、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSまたはOSの中央値を示す;ならびに/あるいは対象は、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す。
【0039】
任意のこのような態様の一部において、抗原はB細胞抗原、任意でCD19である。一部の態様では、CARは、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。場合によっては、CARはスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有し、それぞれが任意でヒトIgGに由来する。
【0040】
任意のこのような態様の一部において、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。または、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有し、スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは補助刺激ドメインは、SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種を含む;ならびに/あるいは一次シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含む;ならびに/あるいはscFvは、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvは、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvは、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む。
【0041】
予後予測またはステージ分類の方法であって、以下の段階を含む、方法が提供される:B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)配列の存在または非存在を検出する段階であって、対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階によって、細胞療法に応答した対象の予後が確かめられる、段階。一部の局面では、悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階は、細胞療法の開始後、3~6週間以内もしくは約3~約6週間以内に、または細胞療法の約3~約6週間後に、任意で、細胞療法の適用を開始して4週間以内または約4週間以内に行われる。
【0042】
任意のこのような態様の一部において、悪性IGH配列が検出されれば、対象は、細胞療法に応答しないか、または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示さないか、あるいは細胞療法に対して再発する可能性が高いと特定される。一部の態様では、悪性IGH配列が検出されれば、さらなる処置の候補、および/または変更された処置もしくは代替の処置を受けるための候補であると対象が特定される。一部の態様では、悪性IGH配列が検出されれば、細胞療法の適用を中断する段階、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、さらに高用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる。
【0043】
任意のこのような態様の一部において、悪性IGH配列が検出されなければ、対象は、細胞療法に応答すると特定される、および/または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示すと特定されるか、あるいは細胞療法に対して再発しない可能性が高いと特定される。一部の態様では、悪性IGH配列が検出されなければ、対象は、これ以上処置をしない候補であると特定される、および/またはこれ以上処置されない、任意で、細胞療法を用いて、これ以上処置されない、および/またはB細胞悪性腫瘍の代替療法を用いてこれ以上処置されない。
【0044】
細胞療法に対する応答の永続性(durability)を予測する方法であって、以下の段階を含む、方法が提供される:B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)配列の存在または非存在を検出する段階であって、対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在によって、細胞療法に対する応答の永続性が予測される、段階。一部の局面では、悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階は、細胞療法の開始後、4週間以内、6週間以内、8週間以内、12週間以内、もしくは16週間以内、または約4週間以内、約6週間以内、約8週間以内、約12週間以内、もしくは約16週間以内に、あるいは細胞療法を開始して約4週間後、約6週間後、約8週間後、約12週間後、もしくは約16週間後に行われる。
【0045】
任意のこのような態様の一部において、悪性IGH配列が検出されなければ、対象は、細胞療法に対して永続性のある応答を示すか、もしくは細胞療法に対して永続性のある応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが低いか、もしくは比較的低いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が高いと予測される。一部の態様では、悪性IGH配列が検出されなければ、対象は、細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存(survival without progression)を示すと予測される;および/あるいは細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していると予測される;および/あるいは細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって永続性のあるCRまたはORを示すと予測される;および/あるいは細胞療法の適用開始後に再発する可能性が低い、任意で、細胞療法の適用開始後、3ヶ月以内、6ヶ月以内、または9ヶ月以内に再発する可能性が低いと予測される。
【0046】
任意のこのような態様の一部において、悪性IGH配列が検出されれば、対象は、細胞療法に対して永続性のない応答を示すか、もしくはその応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが高いか、もしくは比較的高いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が低いと予測される。一部の態様では、悪性IGH配列が検出されなければ、対象は、細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存を示さないと予測される;および/あるいは細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していないと予測される;および/あるいは細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって、永続性のあるCRまたはORを示さないと予測される。
【0047】
任意のこのような態様の一部において、悪性IGH配列が検出されれば、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、さらに高用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる。一部の態様では、悪性IGH配列の存在または非存在は、IGH配列決定、任意で、IGH標的DNAのPCR増幅を含むIGH配列決定によって確かめられる。
【0048】
任意のこのような態様の一部において、試料はB細胞を含有する。一部の態様では、試料は血液または骨髄試料を含有する。一部の局面では、試料は対象から得られている。任意のこのような態様の一部において、前記方法はエクスビボで行われる。
【0049】
任意のこのような態様の一部において、B細胞悪性腫瘍はがんである。場合によっては、B細胞悪性腫瘍は白血病であるか、白血病を含む。一部の例では、B細胞悪性腫瘍は、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33もしくはCD38、ROR1より選択される抗原であるか、またはこのような抗原に関連する。一部の態様では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)より選択される、ならびに/または急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。一部の例では、B細胞悪性腫瘍は慢性リンパ芽球性白血病(CLL)または高リスクCLLであるか、またはこれらを含む。場合によっては、B細胞悪性腫瘍は非ホジキンリンパ腫(NHL)であるか、または非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む。一部の局面では、NHLは、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(低悪性度リンパ腫から新たにトランスフォームしたもの(de novo and transformed from indolent))、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される。
【0050】
任意のこのような態様の一部において、組換え受容体は、前記疾患もしくは状態に関連する抗原、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変部の環境の細胞において発現している抗原に特異的に結合する。一部の態様では、組換え受容体はT細胞受容体または機能的非T細胞受容体である。場合によっては、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。場合によっては、CARは、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含有し、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含み、かつ/またはCARは、補助刺激シグナル伝達領域、任意で、CD28または4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む補助刺激シグナル伝達領域をさらに含む。一部の態様では、CARは、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。一部の態様では、CARはスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有し、それぞれが任意でヒトIgGに由来する。
【0051】
任意のこのような態様の一部において、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。または、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有し、スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは補助刺激ドメインは、SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種を含む;ならびに/あるいは一次シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含む;ならびに/あるいはscFvは、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvは、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvは、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む。
【0052】
任意のこのような態様の一部において、操作された細胞はT細胞、任意で、CD4+および/またはCD8+を含有する。場合によっては、T細胞は、対象から得られた初代T細胞である。一部の態様では、操作された細胞は対象の自己細胞である。場合によっては、操作された細胞は対象に対して同種異系の細胞である。
【0053】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、説明書は、前記用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し;説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または前記指定された数の細胞に対応するかもしくは前記指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、投与しようとする細胞の指定された数が、(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品が提供される。
【0054】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、説明書は、前記用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し;説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または前記指定された数の細胞に対応するかもしくは前記指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、投与しようとする細胞の指定された数が、(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品が提供される。
【0055】
製造物品の一部の態様では、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書がさらに備えられる。場合によっては、細胞療法が、任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つもしくは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、もしくは特定されている対象に適用される;高リスクCLLを有すると特定されるか、もしくは特定されている対象に適用される;ならびに/または骨髄外疾患を有すると特定されるか、もしくは特定されている対象に適用される;ならびに/または中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、もしくは特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される、と説明書は指定する。
【0056】
一部の態様では、細胞療法が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される;ならびに/あるいはキナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいはCLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいはベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される、と説明書は指定する。
【0057】
任意のこのような態様の一部において、細胞療法が、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される、と説明書は指定する。
【0058】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、説明書は、前記用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し;説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または前記指定された数の細胞に対応するかもしくは前記指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、投与しようとする細胞の指定された数が、(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品が提供される。
【0059】
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、説明書は、前記用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し;説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または前記指定された数の細胞に対応するかもしくは前記指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、投与しようとする細胞の指定された数が、(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品が提供される。一部の態様では、製造物品は、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書をさらに備える。
【0060】
任意のこのような態様の一部において、細胞療法が、任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される対象に適用される;ならびに/あるいは成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される、と説明書は指定する。
【0061】
任意のこのような態様の一部において、説明書は、細胞療法が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される、と指定する。一部の態様では、説明書は、細胞療法が、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される、と指定する。
【0062】
任意のこのような態様の一部において、リンパ球枯渇療法は、(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;および/または(ii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む。一部の態様では、説明書は、リンパ球枯渇療法が、少なくとも、細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始されることを指定する。
【0063】
任意のこのような態様の一部において、説明書は、CD4+CAR発現細胞:CD8+細胞の規定された比で細胞療法を適用する段階を指定するか、またはこのような規定された比に対応する量の体積の製剤を投与する段階を指定するか、あるいはこのような比の細胞を有する製剤を含むか、またはCARを発現するこのような比の細胞、および/もしくはこのような比のCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比は、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である。任意のこのような態様の一部において、説明書は、細胞療法が非経口適用用、任意で静脈内適用用であることをさらに指定する。任意のこのような態様の一部において、説明書は、細胞療法の適用が、外来の場で、および/あるいは一晩または1日もしくは何日か連続して対象を病院に収容することなく対象に適用されるか、または適用されてもよく、ならびに/あるいは1日もしくは何日かにわたって対象を病院に収容することなく行われることをさらに指定する。
【0064】
任意のこのような態様の一部において、細胞療法は、対象から得られた初代T細胞を含有する。場合によっては、T細胞は対象の自己細胞である。場合によっては、T細胞は対象に対して同種異系のT細胞である。
【0065】
任意のこのような態様の一部において、CARは、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。一部の態様では、CARはスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有し、それぞれが任意でヒトIgGに由来する。一部の態様では、抗原はB細胞抗原、任意でCD19である。
【0066】
任意のこのような態様の一部において、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるか、または4-1BBシグナル伝達ドメインを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。または、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有し、スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは補助刺激ドメインは、SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種を含む;ならびに/あるいは一次シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含む;ならびに/あるいはscFvは、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvは、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvは、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む。
【0067】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が、ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階を含み、前記用量が、(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含み、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、組成物が提供される。
【0068】
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が、ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階を含み、前記用量が、(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個以下もしくは約1.5x108個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/あるいは(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含み、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、組成物が提供される。
【0069】
説明された組成物の使用の一部の態様では、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与時または投与前に、任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象は特定されるか、または特定されている;対象は高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは対象は骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは対象は中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは対象は成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0070】
任意のこのような態様の一部において、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある。任意のこのような態様の一部において、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、別の用量のCAR発現細胞以外の、または別の用量のCAR発現細胞とプレコンディショニング療法以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある。
【0071】
任意のこのような態様の一部において、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、キナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いてCLLに対する処置を受けたことがある。一部の態様では、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある。
【0072】
任意のこのような態様の一部において、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いてCLLに対する処置を受けたことがある。一部の局面では、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与時または投与直前に、対象は、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている。
【0073】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含有する組成物であって、処置が、NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階を含み、処置が、ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、前記用量が、(i)(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含み、(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階を含む、組成物が提供される。
【0074】
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含有する組成物であって、処置が、ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、前記用量が、(i)(a)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(b)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(c)1x107個以下もしくは約1x107個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;(d)1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または(e)1x107個もしくは約1x107個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x108個もしくは約1.5x108個の全細胞もしくは全CAR発現細胞を含み、(ii)規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階を含む、組成物が提供される。
【0075】
一部の態様では、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与時または投与前に、任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象は特定されるか、または特定されている;対象は、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいはNHLは、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは対象は成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0076】
任意のこのような態様の一部において、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与前に、対象は、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある。場合によっては、前記組成物は対象の処置において使用するためのものであり、前記用量の細胞の投与時または投与直前に、対象は、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている。
【0077】
任意のこのような態様の一部において、リンパ球枯渇療法は、(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤の投与をさらに含む;(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む。一部の態様では、処置は、外来送達を介した細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法を含む。
【0078】
任意のこのような態様の一部において、前記組成物および/または前記用量の細胞は、規定された比の、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含有する。任意のこのような態様の一部において、前記組成物および/または前記用量の細胞は、非経口投与用、任意で静脈内投与用に製剤化されている。
【0079】
一部の態様では、抗原はB細胞抗原、任意でCD19である。任意のこのような態様の一部において、CARは、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。場合によっては、CARはスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有し、それぞれが任意でヒトIgGに由来する。
【0080】
任意のこのような態様の一部において、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。または、CARは、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含有する。スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは補助刺激ドメインは、SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種を含む;ならびに/あるいは一次シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含む;ならびに/あるいはscFvは、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvは、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvは、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1Aは、対象の体重1キログラム(kg)あたり2x10
5個、2x10
6個、または2x10
7個のCAR発現T細胞を単回注入することによって処置した再発性または難治性(R/R)CD19
+慢性リンパ性白血病(CLL)対象の、パーセント無増悪生存(PFS)曲線を示す。完全寛解(CR)を果たした対象と、完全寛解(CR)を果たさなかった(非CR)対象について、別々の曲線を示した。注入前に、対象を、60mg/kgシクロホスファミドと25mg/m
2フルダラビン(Flu)を用いて3~5日間、毎日プレコンディショニングした。
図1Bは、対象の体重1キログラム(kg)あたり2x10
5個、2x10
6個、または2x10
7個のCAR発現T細胞を単回注入することによって処置した再発性または難治性(R/R)CD19
+慢性リンパ性白血病(CLL)対象の、パーセント全生存(OS)曲線を示す。完全寛解(CR)を果たした対象と、完全寛解を果たさなかった(非CR)対象について、別々の曲線を示した。注入前に、対象を、60mg/kgシクロホスファミドと25mg/m
2フルダラビン(Flu)を用いて3~5日間、毎日プレコンディショニングした。
【
図2】
図2Aは、対象の体重1キログラム(kg)あたり2x10
6個のCAR発現T細胞を単回注入することによって処置した非ホジキンリンパ腫(NHL)対象の、パーセント無増悪生存(PFS)曲線を示す。完全寛解(CR)を果たした対象と、完全寛解を果たさなかった(非CR)対象について、別々の曲線を示した。注入前に、対象を、60mg/kgシクロホスファミドと25mg/m
2フルダラビン(Flu)を用いて3~5日間、毎日プレコンディショニングした。
図2Bは、対象の体重1キログラム(kg)あたり2x10
6個のCAR発現T細胞を単回注入することによって処置した非ホジキンリンパ腫(NHL)対象の、パーセント全生存(OS)曲線を示す。完全寛解(CR)を果たした対象と完全寛解を果たさなかった(非CR)対象について、別々の曲線を示した。注入前に、対象を、60mg/kgシクロホスファミドと25mg/m
2フルダラビン(Flu)を用いて3~5日間、毎日プレコンディショニングした。
【
図3】対象の体重1キログラム(kg)あたり2x10
5個、2x10
6個、または2x10
7個のCAR発現T細胞を単回注入することによって処置し、30~60mg/kgシクロホスファミドと25mg/m
2フルダラビン(Flu)を用いて3~5日間、毎日プレコンディショニングした再発性または難治性(R/R)CD19
+慢性リンパ性白血病(CLL)対象の、パーセント無増悪生存(PFS)曲線を示す(n=13)。完全寛解(CR)を果たした対象と、完全寛解を果たさなかった(非CR)対象について、別々の曲線を示した。
【
図4A】Cy/Fuおよび2x10
6個のCAR-T細胞/kgを用いて処置した患者について、CAR-T細胞の増殖と、骨髄に存在する異常B細胞のパーセント(A)との相関関係を示す。
【
図4B】Cy/Fuおよび2x10
6個のCAR-T細胞/kgを用いて処置した患者について、CAR-T細胞の増殖と、腫瘍断面積(B)との相関関係を示す。
【
図4C】Cy/Fuおよび2x10
6個のCAR-T細胞/kgを用いて処置した患者について、CAR-T細胞の増殖と、血中の異常B細胞の絶対数(C)との相関関係を示す。
【
図4D】Cy/Fuおよび2x10
6個のCAR-T細胞/kgを用いて処置した患者について、CAR-T細胞の増殖と、PETイメージング時の最大SUV(D)との相関関係を示す。
【
図4E】Cy/Fuおよび2x10
6個のCAR-T細胞/kgを用いて処置した患者について、CAR-T細胞の増殖と、免疫チェックポイントバイオマーカーCD200(E)との相関関係を示す。
【
図5】本研究におけるCLL患者全員の全生存率(OS)および無増悪生存率(PFS)を示す。追跡調査期間の中央値は12.4ヶ月である。
【
図6A】Cy/Fluでリンパ球枯渇させ、2x10
5個または2x10
6個のCAR-T細胞/kgのCAR-T細胞を注入した後に、IWCLL 2008 節性(nodal)効果判断基準によって測定した時の患者における、無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を示す。
図6Aは、CR患者、PR患者、または非応答者の患者における、PFSおよびOSを示す(n=20)。
図6Aおよび
図6Bのどちらについても、CRを果たした対象と、PRを果たした対象と、非応答者の群について別々の曲線を示した。CR/PRの患者におけるPFSおよびOSの追跡調査期間の中央値は、それぞれ12.3ヶ月および12.4ヶ月である。mPFS、PFSの中央値;mOS、OSの中央値;NR、到達せず。
【
図6B】Cy/Fluでリンパ球枯渇させ、2x10
5個または2x10
6個のCAR-T細胞/kgのCAR-T細胞を注入した後に、IWCLL 2008 節性(nodal)効果判断基準によって測定した時の患者における、無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を示す。
図6Bは、CR患者、PR患者、または再ステージ分類前に死亡した
図6Aの1人の患者を除く、応答しなかった患者(SD/PD)における、PFSおよびOSを示す。
図6Aおよび
図6Bのどちらについても、CRを果たした対象と、PRを果たした対象と、非応答者の群について別々の曲線を示した。CR/PRの患者におけるPFSおよびOSの追跡調査期間の中央値は、それぞれ12.3ヶ月および12.4ヶ月である。mPFS、PFSの中央値;mOS、OSの中央値;NR、到達せず。
【
図7】検出可能な悪性IGHコピーを有する対象(IGHseq陽性)と比較した、フローサイトメトリーによって、CAR-T細胞を注入して4週間後に骨髄から完全寛解(CR)を果たし、検出可能な悪性IGHコピーがなかった(IGHseq陰性)14人の対象の、パーセント無増悪生存(PFS)曲線および全生存(OS)曲線を示す。
【
図8】完全寛解(CR)を果たし、骨髄のIGHディープシークエンシングを受けた14人の対象の、CD4
+/EGFRt
+CAR-T細胞数およびCD8
+/EGFRt
+CAR-T細胞数を示す。
【
図9】
図9Aは、高解像度フローサイトメトリーによって、骨髄から疾患を一掃した患者(はい)または骨髄から疾患を一掃しなかった患者(いいえ)に由来する血中でのピークCD4+/EGFRt+(左)CAR-T細胞数およびCD8+/EGFRt+(右)CAR-T細胞数を示す。
図9Bは、高解像度フローサイトメトリーによって骨髄から疾患を一掃し、かつ骨髄中に、検出可能な悪性IGH配列を有したか、または有さなかった患者に由来する血中でのピークCD4+/EGFRt+(左)CAR-T細胞数およびCD8+/EGFRt+(右)CAR-T細胞数を示す。
【
図10A】血中のCD4
+/EGFRt
+CAR-T細胞数またはCD8
+/EGFRt
+CAR-T細胞数に基づいて作成した、応答の推定確率曲線と、グレード3~5神経毒性を発症する推定確率曲線を示す。
【
図10B】血中のCD4
+/EGFRt
+CAR-T細胞数またはCD8
+/EGFRt
+CAR-T細胞数に基づいて作成した、骨髄応答の推定確率曲線と、IWCLL判断基準による完全寛解または部分寛解(CR/PR)の推定確率曲線と、グレード2~5サイトカイン放出症候群(CRS)を発症する推定確率曲線と、グレード2~5神経毒性(NT)を発症する推定確率曲線を示す。
【
図11】CAR-T細胞免疫療法後の高リスクCLL患者における最良応答のIWCLL(2008)イメージング判断基準による、CTでスキャンした時の6つの最大リンパ節の断面積変化のウォータフォール(waterfall)プロットを示す。腫瘍測定を可能にする高解像度イメージングを用いなかった4人の患者(CR 2人、SD 1人、死亡1人)については示さなかった。
【発明を実施するための形態】
【0082】
詳細な説明
I.遺伝子操作された細胞を用いた細胞療法の方法および使用
様々ながんおよび腫瘍を含む疾患または状態を処置するための、細胞療法において使用するための方法および組成物が提供される。前記方法は、前記の疾患または状態に関連する分子を認識し、および/またはこれに特異的に結合し、その結果として、応答、例えば、このような分子に結合した時に、このような分子に対する免疫応答を生じるように設計された組換え受容体を発現する操作された細胞を投与する段階を伴う。前記受容体には、キメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、およびトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む他のトランスジェニック抗原受容体が含まれ得る。
【0083】
一部の態様では、前記の細胞、集団、および組成物は、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法を介して処置しようとする特定の疾患または状態を有する対象に投与される。一部の態様では、前記方法は、慢性リンパ性白血病(CLL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を、ある用量の抗原受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)で処置する段階を伴う。
【0084】
一部の態様では、対象は、免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法でプレコンディショニングされている。免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法を用いて対象をプレコンディショニングすると養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。移入された細胞の応答および/または持続性の改善を含めて、細胞療法における移入された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞の効力を改善するのに、シクロスポリンとフルダラビンの組み合わせを含むリンパ球枯渇剤を用いたプレコンディショニングが有効であった。例えば、Dudley et al., 2002 Science, 298, 850-54; Rosenberg et al., Clin Cancer Res 2011, 17(13):4550-4557を参照されたい。このようなプレコンディショニングは、療法の効力を弱める可能性のある様々なアウトカムの1つまたは複数のリスクを小さくすることを目標にして実施することができる。これらは、ホメオスタシスサイトカインおよび活性化サイトカイン、例えば、IL-2、IL-7、および/またはIL-15においてT細胞、B細胞、NK細胞がTILと競合する「サイトカインシンク(cytokine sink)」として知られる現象;調節性T細胞、NK細胞、または他の免疫系細胞によるTILの抑止;腫瘍微小環境における負の制御因子の影響を含む。Muranski et al., Nat Clin Pract Oncol. 2006 December; 3(12): 668-681。
【0085】
従って、一部の態様では、前記方法は、前記用量の細胞を投与する前に、例えば、腫瘍負荷量を減らすために、化学療法剤、例えば、コンディショニング化学療法剤の投与を含む。一部の態様では、前記方法は、プレコンディショニング薬剤、例えば、リンパ球枯渇剤または化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはその組み合わせを投与する段階を含む。一部の態様では、前記方法は、フルダラビンと、任意で、フルダラビン以外の別の化学療法剤の投与を含む。一部の態様では、他の化学療法剤はシクロホスファミドである。例えば、前記用量の細胞の投与の少なくとも2日前に、例えば、少なくとも3日前、4日前、5日前、6日前、または7日前に対象にリンパ球枯渇療法が適用されてもよい。一部の態様では、前記用量の細胞の投与の少なくとも48時間前もしくは少なくとも約48時間前もしくは48時間前もしくは約48時間前または少なくとも96時間前もしくは少なくとも約96時間前にリンパ球枯渇療法が適用されるか、または開始される。一部の態様では、前記用量の細胞の投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前にリンパ球枯渇療法が適用されるか、または開始される。
【0086】
従って、一部の態様では、前記方法は、第1の用量または後の用量の前に、プレコンディショニング薬剤、例えば、リンパ球枯渇剤または化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはその組み合わせを対象に投与する段階を含む。例えば、第1の用量または後の用量の少なくとも2日前に、例えば、少なくとも3日前、4日前、5日前、6日前、または7日前に対象にプレコンディショニング薬剤が投与されてもよい。一部の態様では、第1の用量または後の用量の7日前を超えずに、例えば、6日前を超えずに、5日前を超えずに、4日前を超えずに、3日前を超えずに、または2日前を超えずに対象にプレコンディショニング薬剤が投与される。
【0087】
一部の態様では、対象は、20mg/kg~100mg/kgもしくは約20mg/kg~約100mg/kg、例えば、40mg/kg~80mg/kgもしくは約40mg/kg~約80mg/kg、または30mg/kg~60mg/kgもしくは約30mg/kg~約60mg/kgの用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の局面では、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の態様では、シクロホスファミドは単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日おきに与えられてもよい。一部の態様では、シクロホスファミドは1日または2日にわたって1日1回投与される。一部の態様では、リンパ球枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象には100mg/m2~500mg/m2もしくは約100mg/m2~約500mg/m2、例えば、200mg/m2~400mg/m2もしくは約200mg/m2~約400mg/m2、または250mg/m2~350mg/m2もしくは約250mg/m2~約350mg/m2の用量のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約300mg/m2のシクロホスファミドが投与される。一部の態様では、シクロホスファミドは単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日おきに与えられてもよい。一部の態様では、シクロホスファミドは、例えば、1~5日、例えば、3~5日にわたって毎日投与される。場合によっては、細胞療法を開始する前に、対象には約300mg/m2のシクロホスファミドが3日にわたって毎日投与される。
【0088】
一部の態様では、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象には1mg/m2~100mg/m2もしくは約1mg/m2~約100mg/m2、例えば、10mg/m2~75mg/m2もしくは約10mg/m2~約75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2もしくは約15mg/m2~約50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2もしくは約20mg/m2~約40mg/m2、20mg/m2~30mg/m2もしくは約20mg/m2~約30mg/m2、24mg/m2~35mg/m2もしくは約24mg/m2~約35mg/m2、または24mg/m2~26mg/m2もしくは約24mg/m2~約26mg/m2の用量のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には25mg/m2のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約30mg/m2のフルダラビンが投与される。一部の態様では、フルダラビンは単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日おきに与えられてもよい。一部の態様では、フルダラビンは、例えば、1~5日、例えば、3~5日にわたって毎日投与される。場合によっては、細胞療法を開始する前に、対象には約30mg/m2のフルダラビンが3日にわたって毎日投与される。
【0089】
一部の態様では、リンパ球枯渇剤は、薬剤の組み合わせ、例えば、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせを含む。従って、薬剤の組み合わせは、任意の用量または投与計画、例えば、前記の用量または投与計画のシクロホスファミドと、任意の用量または投与計画、例えば、前記の用量または投与計画のフルダラビンを含んでもよい。例えば、一部の局面では、前記用量の細胞の前に、30~60mg/kg(約1~2g/m2)のシクロホスファミドと3~5用量の25mg/m2フルダラビンが対象に投与される。一部の局面では、第1の用量または後の用量の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドと3~5用量の25mg/m2フルダラビンが対象に投与される。一部の態様では、リンパ球枯渇化学療法は、対象、例えば、複数の以前の化学療法サイクルを受けたことがある対象、同種移植を以前に受けたことがある対象、骨髄予備力(marrow reserve)が乏しい対象、および/または他の重篤な併存症を有する対象において毒性を最小限にするために、シクロホスファミドの用量を減らすか、もしくは省くことによって、またはフルダラビンと同時に投与される、さらに低い全用量のシクロホスファミドのレジメンを投与することによって変更することができる。
【0090】
一部の態様では、抗原受容体(例えば、CAR)は、前記の疾患または状態に関連する、例えば、CLLまたはNHLに関連する標的抗原に特異的に結合する。一部の態様では、前記の疾患または状態に関連する抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30より選択される。
【0091】
一部の態様では、前記方法は、前記細胞または前記細胞を含有する組成物を、対象、組織、または細胞、例えば、前記の疾患、状態、もしくは障害を有するか、前記の疾患、状態、もしくは障害のリスクがあるか、または前記の疾患、状態、もしくは障害があると疑われるものに投与する段階を含む。一部の態様では、対象は成人の対象である。一部の態様では、対象は、30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0092】
一部の態様では、提供される方法は、慢性リンパ性白血病(CLL)を処置するために、養子細胞療法の方法、例えば、CAR+T細胞を伴う。CLLは、最もよくみられる成人白血病である。場合によっては、del(17)(p13.1)、p53変異、複雑核型、または未変異の免疫グロブリン可変領域によって表される患者を含む、高リスク疾患を有する患者は早期治療を必要とする、および/または生存時間が短い(Dohner et al. (2000) N. Engl. J. Med., 343:1910-1916; Stilgenbauer et al.(2014) Blood, 123:3247-3254; Thompson et al. (2015) Cancer, 121:3612-3621)。高リスクCLLの処置の中には化学療法(Hallek et al. (2010) Lancet 376:1164-1174)が含まれるが、最近、BTK阻害剤であるイブルチニブが最初に、再発性および難治性の疾患について最近認可され、その後で第一選択治療に認可された(Burger et al. (2015) N. Engl J. Med., 373:2425-2437; Byrd et al. (2013) N. Engl. J. Med., 369:32-42)。イブルチニブに対する全奏効率(ORR)は高いが、完全奏効率(CR;または完全寛解)は場合によっては低いことがあり、イブルチニブを服用して進行する患者の生存期間は短いことがある。高リスクCLLに対する別の処置は、BCL2-阻害剤であるベネトクラクスである。示されているように、ベネトクラクスは、イブルチニブ療法に失敗した一部の患者では活性を示したが、CRはまれであり、永続性は報告されたことがない(Stilgenbauer et al. (2016) Lancet Oncol., 17:768-778)。
【0093】
T細胞に基づく療法、例えば、養子T細胞療法(関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体を発現する細胞の投与を伴う養子T細胞療法、ならびに他の養子免疫細胞療法および養子T細胞療法を含む)はがんならびに他の疾患および障害の処置において有効な場合がある。T細胞表面での組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)の操作された発現によってT細胞特異性の再誘導(redirection)が可能になる。臨床研究において、CAR-T細胞、例えば、抗CD19 CAR-T細胞は白血病患者とリンパ腫患者の両方で永続性のある完全奏功を生じた(Porter et al. (2015) Sci Transl Med., 7:303ra139; Kochenderfer (2015) J. Clin. Oncol., 33: 540-9; Lee et al. (2015) Lancet, 385:517-28; Maude et al. (2014) N Engl J Med, 371:1507-17)。
【0094】
一部の態様では、提供される方法および使用は、例えば、処置された特定の対象群において、例えば、高リスク疾患を有する患者を含む、白血病、例えば、CLLまたはNHLを有する患者において、ある特定の代替方法と比較して改善された、または永続性のある応答または効力を提供するか、または実現する。一部の態様では、前記方法は、T細胞療法、例えば、養子細胞療法用、例えば、T細胞療法用の細胞(例えば、CAR発現T細胞)を含む組成物と、リンパ球枯渇療法、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはその組み合わせを投与するおかげで有利である。一部の態様では、提供される方法は、高リスクイブルチニブ難治性CLL患者において、リンパ球枯渇とCLL標的CAR-T細胞療法、例えば、抗CD19 CAR+T細胞療法を行った後に、高率の骨髄疾患排除と分子的CRを実現できるという観察に基づいている。この結果は、一般的に管理しやすい重篤な毒性の比較的低い発生率を伴って実現した。
【0095】
一部の態様では、前記方法は、CLLのある特定の予後またはリスクを有すると選択または特定された対象に細胞を投与する段階を含む。慢性リンパ性白血病(CLL)は、一般的に、変化する疾患である。CLL対象の中には、処置なしで生存するものもいれば、すぐさま介入を必要とするものもいる。場合によっては、CLL対象は、疾患予後および/または推奨される処置戦略を特徴付け得る群に分類されることがある。場合によっては、これらの群は「低リスク」、「中間リスク」、「高リスク」、および/または「超高リスク」になることがあり、患者は、遺伝子異常および/または形態学的特徴もしくは物理的特徴を含むが、これに限定されない多数の要因に応じて、そのように分類されることがある。一部の態様では、前記方法に従って処置された対象はCLLリスクに基づいて分類または特定される。一部の態様では、対象は、高リスクCLLを有する対象である。
【0096】
場合によっては、対象を分類する方法の1つはRai分類である。一部の局面では、Rai分類は5つのステージを含む。Raiステージ0:リンパ球増加、リンパ節、脾臓、または肝臓の腫脹なし、正常に近い赤血球数および血小板数;血中のリンパ球>15000/mcL、および骨髄中のリンパ球>40%。RaiステージI:リンパ球増加+リンパ節腫脹。脾臓と肝臓は腫脹しておらず、赤血球数および血小板数は正常に近い。RaiステージII:リンパ節腫脹の有無にかかわらずリンパ球増加+脾腫(場合によっては肝腫)。赤血球数および血小板数は正常に近い。RaiステージIII:リンパ節腫脹、脾腫、または肝腫の有無にかかわらずリンパ球増加+貧血(少なすぎる赤血球)。血小板数は正常に近い。RaiステージIV:貧血、リンパ節腫脹、脾腫、または肝腫の有無にかかわらずリンパ球増加+血小板減少(少なすぎる血小板)。Raiステージは以下の通りにリスク群にさらに分類することができる。ステージ0は低リスクとみなされ、ステージIおよびIIは中間リスクとみなされ、ステージIIIおよびIVは高リスクとみなされ、いくつかのグレード分類では疾患関連貧血(ヘモグロビン濃度<11.0g/dLもしくはヘマトクリット<33%)または血小板<100,000/mcLも含む。場合によっては、対象はBinet分類に従うクラスでもよく、Binet分類に従うクラスに分類されてもよい。Binet分類は、ある場合では、患者に貧血(少なすぎる赤血球)または血小板減少(少なすぎる血小板)があるかどうかに関係なく、患部リンパ系組織群(頚部リンパ節、鼡径部リンパ節、脇の下のリンパ節、脾臓、および肝臓)の数を評価する段階を伴う。一部の局面では、Binet分類は3つのステージを含む。BinetステージA:ヘモグロビン≧10g/dL、血小板≧100,000/mm3、および<3腫脹領域;BinetステージB:ヘモグロビン≧10g/dL、血小板≧100,000/mm3、および≧3腫脹領域;ならびにBinetステージC:ヘモグロビン<10g/dL、血小板<100,000/mm3、および任意の数の腫脹領域。貧血および/または血小板減少が存在する(Rai KR, Keating HJ. Chronic lymphocytic leukemia. In: Cancer Medicine. 4th ed. Baltimore, Md: Williams and Wilkins; 1997. Vol II: 2697-728; Hallek M. et al. Guidelines for the diagnosis and treatment of chronic lymphocytic leukemia: a report from the International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia updating the National Cancer Institute-Working Group 1996 guidelines. Blood 2008. 111:5446-56.)。
【0097】
CLL対象を分類するさらなる方法は、遺伝子分析と、遺伝子異常の存在または非存在の確定を伴う。場合によっては、予後を示す遺伝子異常には細胞遺伝学的異常が含まれ、細胞遺伝学的異常には、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11q、トリソミー12、del17p、およびdel6qが含まれ得る。11q、13q、17pの欠失、およびトリソミー12は予後を示す値となることができ、CLL発病および進化の一因となる場合があり、アウトカムと治療方針を特徴付ける。異常には、FISH分析などの従来からある方法では検出できない異常も含まれる。一部の局面では、不均衡型転座を含む染色体転座および複雑核型がアウトカム不良および/または予後不良と関連付けることができる。複雑核型(CK)は、一般的に、3つ以上の染色体異常が存在することと定義され、CLL対象のおおよそ16%において検出され、未変異のIgHV状態およびCD38発現と関連付けられている。CKは、クロロデオキシアデノシン(cdA)を含むサルベージ療法で処置されたCLL対象における第一治療までの時間(time to first therapy)(TTFT)および全生存期間(OS)の短縮を予測することができる。核型異常の数は、コンディショニングに続く造血幹細胞移植(HSCT)後の短い無増悪生存期間(PFS)およびOSと関連付けることができる。対象が高リスクまたは超高リスクであることを示す可能性がある他の遺伝子組換えには、IgVH、ZAP70、および/またはCD38の変異が含まれる(Gribben, ASH Education Book; January 1, 2008, vol. 2008 no. 1, 444-449; Puiggros et al., BioMed Research International, Volume 2014 (2014), Article ID 435983)。場合によっては、高リスク患者または超高リスク患者は1つまたは複数の遺伝子異常を示すことがある。
【0098】
一部の態様では、対象は、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常、例えば、複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14の1つまたは複数を示す。一部の態様では、細胞遺伝学的異常のいずれか1つまたは複数は蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)によって検出することができる。
【0099】
一部の態様では、CLL対象はリヒター症候群(RS)を示す。RSは、CLLから進行性リンパ腫への、最も一般的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)へのトランスフォーメーションと定義される(例えば、Parikh et al. Blood 2014 123:1647-1657を参照されたい)。
【0100】
一部の態様では、CLLおよび/またはRSを有する対象は神経学的症状または神経学的合併症、例えば、中枢神経系(CNS)の症状または合併症を示す。一部の態様では、CNS(例えば、脳、脊椎)の磁気共鳴画像法(MRI)および/または腰椎穿刺と脳脊髄液(CSF)分析を用いて、CNS関連症状、例えば、CSFにおけるリンパ球のモノクローナル集団の存在を評価することができる(例えば、Mozzam et al., J. Neurooncol. 2012 106:185-200; Strati et al., Haematologica 2016 101: 458-465を参照されたい)。
【0101】
一部の態様では、前記方法は、高リスクNHLを有すると選択または特定された対象に細胞を投与する段階を含む。一部の態様では、対象は、例えば、高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を示す。一部の態様では、対象は、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)と特徴付けられるか、または確かめられた疾患または状態を有することに基づいて選択または特定される。
【0102】
一部の態様では、組換え抗原受容体を発現する細胞が投与される前に、対象は、前記の疾患または状態、例えば、CLLまたはNHLを標的とする療法または治療剤で以前に処置されたことがある。一部の態様では、治療剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤、例えば、イブルチニブである。一部の態様では、治療剤は、B細胞リンパ腫-2(Bcl-2)の阻害剤、例えば、ベネトクラクスである。一部の態様では、治療剤は、CLLまたはNHLの細胞によって発現された抗原、例えば、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30のいずれか1つまたは複数の抗原に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。一部の態様では、治療剤は、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブである。一部の態様では、治療剤は、リツキシマブを含む併用療法、例えば、フルダラビンとリツキシマブの併用療法またはアントラサイクリンとリツキシマブの併用療法である枯渇(depleting)化学療法である。一部の態様では、対象は、造血幹細胞移植(HSCT)、例えば、同種異系HSCTまたは自源性(autogenic)HSCTで以前に処置されたことがある。一部の態様では、対象は、リンパ球枯渇療法および/または前記抗原受容体を発現する前記用量の細胞以外の、NHLまたはCLLを処置するための、少なくとも1種類、2種類、3種類、もしくは4種類、または少なくとも約1種類、約2種類、約3種類、もしくは約4種類、または約1種類、約2種類、約3種類、もしくは約4種類の他の療法で処置されたことがあるか、あるいはこれを以前に受けたことがある。一部の態様では、対象は化学療法または放射線療法で以前に処置されたことがある。
【0103】
一部の局面では、対象は、他の療法または治療剤に対して難治性であるか、または応答しない。一部の態様では、対象は、持続性または再発性の疾患を有する、例えば、化学療法または放射線を含む別の療法または治療介入を用いた処置後に、持続性または再発性の疾患を有する。
【0104】
場合によっては、低リスクカテゴリーおよび中間リスクカテゴリーにいるCLL対象については、処置もしくは療法(または特定のカテゴリーの処置もしくは療法)が推奨されない場合がある。場合によっては、高リスク対象および超高リスク対象に対する処置戦略は、フルダラビン、シクロホスファミド、およびリツキシマブ(FCR)、BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)、ならびに/または同種異系幹細胞移植を含むことがある(Puiggros et al., BioMed Research International, Volume 2014 (2014), Article ID 435983)。一部の局面では、CLLに対して処置された対象は、良くない長期アウトカムを示す。例えば、場合によっては、難治性(R/R)高リスクCLL対象はイブルチニブ中断後に良くない生存率を示す(Jain et al. (2015) Blood 125(13):2062-2067)。CLLを処置する改善された方法、一部の局面では、高リスクCLLおよび/もしくは超高リスクCLL、および/または再発したか、もしくは複数の前治療に対して難治性になっている対象を処置するのに適した方法が必要とされる。
【0105】
一部の態様では、提供される方法は、がんを有する対象において使用するためのものであり、対象および/またはがんはイブルチニブによる阻害に対して耐性を示すか、または前記阻害剤による阻害に対して耐性を示す細胞集団を含む。一部の局面では、患者は、高リスク細胞遺伝学に基づいて、および/またはイブルチニブ耐性を付与する、再発前の変異の存在に基づいて、例えば、イブルチニブ耐性を付与する、再発前の変異の早期検出によって、イブルチニブに対して難治性であるか、またはイブルチニブに対して難治性になった可能性が高い、選択された患者である。一部の態様では、提供される方法は、がんを有する対象において使用するためのものであり、対象および/またはがんは、BTKをコードする核酸の変異または破壊を含み、このような変異は、前記阻害剤、例えば、イブルチニブによるBTK阻害を低減または阻止することができる。本明細書において提供される方法のいずれかの一部の局面では、BTKをコードする核酸の変異は、位置C481での置換、任意で、C481SもしくはC481Rでの置換、および/または位置T474での置換、任意で、T474IまたはT474Mでの置換を含む。一部の態様では、提供される方法は、がんを有する対象において使用するためのものであり、養子細胞療法、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)を適用する時に、および/またはリンパ球枯渇療法を適用する時に、対象は、イブルチニブを用いた処置後、寛解後に再発したか、またはイブルチニブを用いた処置に対して難治性になっている。
【0106】
養子細胞療法のために細胞を投与する方法は公知であり、提供される方法および組成物と共に用いられる場合がある。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenbergらへの米国特許出願公開第 2003/0170238号; Rosenbergへの米国特許第4,690,915号; Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0107】
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象から、またはこのような対象に由来する試料から細胞が単離される、および/または別の方法で調製される自家移入によって行われる。従って、一部の局面では、前記細胞は、対象、例えば、処置および細胞を必要とする患者に由来し、単離および処理された後に同じ対象に投与される。
【0108】
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象、または細胞療法を最終的に受ける対象、例えば、第1の対象以外の対象から細胞が単離される、および/または別の方法で調製される同種異系移入によって行われる。このような態様では、次いで、前記細胞は、同じ種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に同一である。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に似ている。一部の態様では、第2の対象は第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0109】
前記細胞は、任意の適切な手段によって、例えば、大量瞬時注入によって、注射、例えば、静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与することができる。一部の態様では、前記細胞は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、所望であれば、局所処置の場合、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。一部の態様では、ある特定の用量が前記細胞の単回大量瞬時投与によって投与される。一部の態様では、ある特定の用量が、前記細胞の複数回大量瞬時投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または前記細胞の連続注入投与によって投与される。
【0110】
疾患の予防または処置のために、適切な投与量は、治療される疾患のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、細胞が治療目的または予防目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、細胞に対応する応答、ならびに主治医の判断に左右されることがある。前記組成物および細胞は、一部の態様では、一度に、または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
【0111】
前記細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されたら、操作された細胞集団の生物学的活性は、一部の局面では、多数の公知の方法のどの方法でも測定される。評価するパラメータには、インビボでは、例えば、イメージングによる、またはエクスビボでは、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作された、もしくは天然のT細胞または他の免疫細胞と抗原との特異的結合が含まれる。ある特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、当技術分野において公知の任意の適切な方法、例えば、細胞傷害性アッセイ、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載の細胞傷害性アッセイを用いて測定することができる。ある特定の態様では、前記細胞の生物学的活性はまた、ある特定のサイトカイン、例えば、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFの発現および/または分泌をアッセイすることでも測定することができる。一部の局面では、生物学的活性は、臨床アウトカム、例えば、腫瘍負荷量または腫瘍量(tumor load)の低減を評価することによって測定される。一部の局面では、毒性アウトカム、細胞の持続性および/もしくは増殖、ならびに/または宿主免疫応答の存在もしくは非存在が評価される。
【0112】
ある特定の態様では、操作された細胞は、治療効力または予防効力が向上するように任意の数のやり方で改変される。例えば、集団によって発現される操作されたCARまたはTCRは、標的部分と直接的、またはリンカーを介して間接的に結合体化することができる。化合物、例えば、CARまたはTCRを標的部分に結合体化する手法は当技術分野において公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3: 111 (1995)および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0113】
一部の態様では、前記細胞は、組み合わせ処置の一部として、例えば、別の治療介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または薬剤、例えば、細胞傷害剤または治療剤と同時に、または任意の順番で連続して投与される。前記細胞は、一部の態様では、1種類もしくは複数種のさらなる治療剤と共に、または別の治療介入と共に同時に、または任意の順番で連続して同時投与される。ある状況では、前記細胞は、前記細胞集団が1種類もしくは複数種のさらなる治療剤の効果を強化するような十分に短い期間で別の療法と一緒に同時投与されるか、または逆もまた同じである。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の前に投与される。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の後に投与される。一部の態様では、1種類または複数種のさらなる薬剤は、例えば、持続性を強化するために、サイトカイン、例えば、IL-2を含む。
【0114】
細胞療法、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)を用いた処置後に対象の予後予測もしくはステージ分類する方法、このような細胞療法を受けた対象において応答をモニタリングする方法、および/またはこのような細胞療法に対する応答の永続性を予測する方法も本明細書において提供され、このような方法は、細胞療法を受けた対象から得られた、腫瘍細胞を含むか、または腫瘍細胞を含む可能性がある試料において免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座を配列決定することを伴う。一部の態様では、このような方法は、残存腫瘍の存在または非存在を検出するために、骨髄もしくは血液から収集された試料、例えば、白血病細胞、例えば、B細胞を含む可能性がある試料、および/またはこれらから調製された試料のIGH遺伝子座を配列決定することを伴う。
【0115】
一部の態様では、白血病またはリンパ腫、例えば、CLLを有する対象を予後予測するための、ステージ分類するための、白血病またはリンパ腫、例えば、CLLを有する対象において療法に対する奏効率をモニタリングするための代表的な方法はリンパ節サイズを測定する段階を伴う。例えば、奏効率を評価するための一般的な判断基準は、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(IWCLL)効果判断基準(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15; 111(12): 5446-5456)である。IWCLL効果判断基準は、一部の局面では、全リンパ節が≦15mmであることを必要とする。しかしながら、場合によっては、細胞療法に対する応答は迅速であり、かつ測定可能なリンパ節サイズ変化の前に成し遂げられる場合があることが見出される。従って、一部の局面では、腫瘍判断基準のみによる早期の再ステージ分類、例えば、細胞療法後、4週間以内または約4週間以内の腫瘍判断基準のみによる早期の再ステージ分類が最適な予後決定因子でない場合がある。本明細書において提供される観察に基づいて、細胞療法、例えば、T細胞療法、例えば、CAR+T細胞の投与後、4週間と早い時期に、骨髄からの高率のCLL排除がIGH配列決定によって観察されることが見出された。これらの結果から、IGH配列決定による対象の早期の再ステージ分類は、腫瘍サイズ判断基準に頼る方法と比較して効率的な、かつ早期の、応答および応答永続性の予後または予測因子となり得ることが分かる。提供される方法の一部の態様では、IGH配列決定は、細胞療法の適用を開始した後、3ヶ月以下、例えば、2ヶ月以下または1ヶ月以下で行われる。一部の態様では、IGH配列決定は、細胞療法を開始して、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、もしくは12週間後、または約2週間後、約3週間後、約4週間後、約5週間後、約6週間後、約7週間後、約8週間後、約9週間後、約10週間後、約11週間後、もしくは約12週間後、または細胞療法開始後、2週間以内、3週間以内、4週間以内、5週間以内、6週間以内、7週間以内、8週間以内、9週間以内、10週間以内、11週間以内、もしくは12週間以内に行われる。
【0116】
一部の態様では、IGH配列方法は、細胞療法で処置した後に、対象をステージ分類するための予後情報を提供するのに用いられる。一部の態様では、検出可能な悪性IGHコピーの欠如が検出または観察されれば、対象は、細胞療法に応答していると特定される、応答する可能性が高いと特定される、ならびに/または応答、例えば、CRおよび/もしくは永続性のある応答を示すか、もしくは生じる可能性が高いと特定される。一部の態様では、提供される方法による悪性IGHコピーの検出の欠如は、対象が、細胞療法に対して応答を示しているか、または細胞療法に対して応答を示す可能性が高いかどうか、例えば、細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示しているかどうか特定するのに、例えば、早期に、例えば、細胞療法の適用を開始して3~6週間以内または約3~6週間以内に、例えば、開始して4週間以内もしくは約4週間以内に特定するのに用いられる。一部の局面では、悪性IGHコピーが検出されれば、対象は、細胞療法に応答していないと特定される、および/または完全奏功を示していないと特定される、および/または予後不良を有するか、もしくはさらなる処置を必要とすると特定される。一部の態様では、提供される方法による悪性IGHコピーの検出は、対象が細胞療法に対して応答を示していないか、または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示していないかどうか特定するのに、例えば、早期に、例えば、細胞療法の適用を開始して3~6週間以内もしくは約3~6週間以内に、例えば、開始して約4週間以内に特定するのに用いられる。一部の局面では、患者は、応答および/または応答の可能性の改善を目的とした代替の治療方針またはさらなる治療方針の起こり得る適用のために特定されてもよい。一部の態様では、前記方法は、B細胞悪性腫瘍、例えば、CLLまたはNHLを処置するための細胞療法、例えば、操作されたT細胞、例えば、CAR+T細胞を含む細胞療法を与えた対象に対して行われる。一部の態様では、前記方法は、CLLを処置するための細胞療法を与えた対象に対して行われる。
【0117】
一部の態様では、IGH配列決定方法は、細胞療法、例えば、CAR+T細胞療法に対する応答の永続性を評価する、または確かめるのに用いられる。一部の態様では、検出可能な悪性IGHコピーの欠如が検出されれば、対象は、細胞療法に対して永続性のある応答を示すか、もしくは細胞療法に対して永続性のある応答を示す可能性が高いと予測される、および/あるいは再発するリスクが低いか、もしくは比較的低いか、または少なくともある特定の期間にわたって無増悪生存期間を示す可能性が高いと予測される。一部の態様では、提供される方法による悪性IGHコピーの検出の欠如は、再発するリスクが低いと予測される、および/または無増悪生存期間(PFS)もしくは永続性のある応答を、例えば、3ヶ月超、6ヶ月超、9ヶ月超、もしくはそれより長い期間にわたって生じる可能性が高いと予測される対象を特定するのに、例えば、早期に、例えば、細胞療法の適用を開始して90日以内もしくは約90日以内に、またはそれより早い時期に特定するのに用いられる。一部の局面では、悪性IGHコピーが検出されれば、対象は、細胞療法に対して永続性のある応答を示さないか、もしくは細胞療法に対して永続性のある応答を示す可能性が低いと予測される、および/あるいは再発するリスクが高いか、もしくは比較的高いか、またはある特定の期間にわたって無増悪生存期間を示す可能性が低いと予測される。一部の態様では、提供される方法による悪性IGHコピーの検出は、再発するリスクが高いと予測される、および/または無増悪生存期間(PFS)もしくは永続性のある応答を、例えば、3ヶ月未満、6ヶ月未満、9ヶ月未満、もしくはそれより短い期間にわたって生じる可能性が低いと予測される対象を特定するのに、例えば、早期に、例えば、細胞療法の適用を開始して90日以内もしくは約90日以内に、またはそれより早い時期に特定するのに用いられる。一部の局面では、患者は、応答効力および/または永続性の改善を目的とした代替の治療方針またはさらなる治療方針の起こり得る適用のために特定されてもよい。一部の態様では、前記方法は、B細胞悪性腫瘍、例えば、CLLまたはNHLを処置するための、細胞療法、例えば、操作されたT細胞、例えば、CAR+T細胞を含む細胞療法を受けた対象に対して行われる。
【0118】
A.投薬
一部の態様では、提供される方法に従って、ある用量の細胞が対象に投与される。一部の態様では、用量のサイズおよびタイミングは、対象における特定の疾患または状態の関数として決定される。提供された説明を考慮して、特定の疾患に対する用量のサイズまたはタイミングを経験的に決定することは当業者の水準内にある。
【0119】
ある特定の態様では、細胞、または細胞の個々のサブタイプ集団が、約10万~約1000億個の細胞の範囲で、および/あるいは対象の体重1キログラムあたりの細胞の量で、例えば、10万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、場合によっては約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)の量で、あるいはこれらの範囲の間にある任意の値で、および/または対象の体重1キログラムあたりの、これらの範囲の間にある任意の値で対象に投与される。投与量は、疾患もしくは障害に特有の特質、ならびに/または患者および/もしくは他の処置に応じて変化することがある。一部の態様では、このような値は、組換え受容体発現細胞の数を指す。他の態様では、このような値は、投与されるT細胞またはPBMCまたは全細胞の数を指す。
【0120】
一部の態様では、細胞療法は、少なくとも、0.1x106細胞/kg対象の体重、0.2x106細胞/kg、0.3x106細胞/kg、0.4x106細胞/kg、0.5x106細胞/kg、1x106細胞/kg、2.0x106細胞/kg、3x106細胞/kg、もしくは5x106細胞/kg、または少なくとも、約0.1x106細胞/kg対象の体重、約0.2x106細胞/kg、約0.3x106細胞/kg、約0.4x106細胞/kg、約0.5x106細胞/kg、約1x106細胞/kg、約2.0x106細胞/kg、約3x106細胞/kg、もしくは約5x106細胞/kg、あるいは0.1x106細胞/kg対象の体重、0.2x106細胞/kg、0.3x106細胞/kg、0.4x106細胞/kg、0.5x106細胞/kg、1x106細胞/kg、2.0x106細胞/kg、3x106細胞/kg、もしくは5x106細胞/kg、または約0.1x106細胞/kg対象の体重、約0.2x106細胞/kg、約0.3x106細胞/kg、約0.4x106細胞/kg、約0.5x106細胞/kg、約1x106細胞/kg、約2.0x106細胞/kg、約3x106細胞/kg、もしくは約5x106細胞/kgの数の細胞を含む用量の投与を含む。
【0121】
一部の態様では、細胞療法は、0.1x106細胞/kg対象の体重~1.0x107細胞/kgもしくは約0.1x106細胞/kg対象の体重~約1.0x107細胞/kg、0.5x106細胞/kg~5x106細胞/kgもしくは約0.5x106細胞/kg~約5x106細胞/kg、0.5x106細胞/kg~3x106細胞/kgもしくは約0.5x106細胞/kg~約3x106細胞/kg、0.5x106細胞/kg~2x106細胞/kgもしくは約0.5x106細胞/kg~約2x106細胞/kg、0.5x106細胞/kg~1x106細胞/kgもしくは約0.5x106細胞/kg~約1x106細胞/kg、1.0x106細胞/kg対象の体重~5x106細胞/kgもしくは約1.0x106細胞/kg対象の体重~約5x106細胞/kg、1.0x106細胞/kg~3x106細胞/kgもしくは約1.0x106細胞/kg~約3x106細胞/kg、1.0x106細胞/kg~2x106細胞/kgもしくは約1.0x106細胞/kg~約2x106細胞/kg、2.0x106細胞/kg対象の体重~5x106細胞/kgもしくは約2.0x106細胞/kg対象の体重~約5x106細胞/kg、2.0x106細胞/kg~3x106細胞/kgもしくは約2.0x106細胞/kg~約3x106細胞/kg、または3.0x106細胞/kg対象の体重~5x106細胞/kgもしくは約3.0x106細胞/kg対象の体重~約5x106細胞/kgの数の細胞を含む用量の投与を含む。
【0122】
一部の態様では、前記用量の細胞は、2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg、例えば、4x105もしくは約4x105個の細胞/kg~1x106もしくは約1x106個の細胞/kg、または6x105もしくは約6x105個の細胞/kg~8x105もしくは約8x105個の細胞/kgを含む。一部の態様では、前記用量の細胞は、対象の体重1キログラムにつき2x105個以下の細胞(例えば、抗原発現細胞、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、3x105細胞/kg以下もしくは約3x105細胞/kg以下、4x105細胞/kg以下もしくは約4x105細胞/kg以下、5x105細胞/kg以下もしくは約5x105細胞/kg以下、6x105細胞/kg以下もしくは約6x105細胞/kg以下、7x105細胞/kg以下もしくは約7x105細胞/kg以下、8x105細胞/kg以下もしくは約8x105細胞/kg以下、9x105細胞/kg以下もしくは約9x105細胞/kg以下、1x106細胞/kg以下もしくは約1x106細胞/kg以下、または2x106細胞/kg以下もしくは約2x106細胞/kg以下を含む。一部の態様では、前記用量の細胞は、少なくとも、対象の体重1キログラムにつき2x105個、または少なくとも、対象の体重1キログラムにつき約2x105個、または対象の体重1キログラムにつき2x105個、または対象の体重1キログラムにつき約2x105個の細胞(例えば、抗原発現細胞、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、少なくとも3x105細胞/kg、もしくは少なくとも約3x105細胞/kg、もしくは3x105細胞/kg、もしくは約3x105細胞/kg、少なくとも4x105細胞/kg、もしくは少なくとも約4x105細胞/kg、もしくは4x105細胞/kg、もしくは約4x105細胞/kg、少なくとも5x105細胞/kg、もしくは少なくとも約5x105細胞/kg、もしくは5x105細胞/kg、もしくは約5x105細胞/kg、少なくとも6x105細胞/kg、もしくは少なくとも約6x105細胞/kg、もしくは6x105細胞/kg、もしくは約6x105細胞/kg、少なくとも7x105細胞/kg、もしくは少なくとも約7x105細胞/kg、もしくは7x105細胞/kg、もしくは約7x105細胞/kg、少なくとも8x105細胞/kg、もしくは少なくとも約8x105細胞/kg、もしくは8x105細胞/kg、もしくは約8x105細胞/kg、少なくとも9x105細胞/kg、もしくは少なくとも約9x105細胞/kg、もしくは9x105細胞/kg、もしくは約9x105細胞/kg、少なくとも1x106細胞/kg、もしくは少なくとも約1x106細胞/kg、もしくは1x106細胞/kg、もしくは約1x106細胞/kg、または少なくとも2x106細胞/kg、もしくは少なくとも約2x106細胞/kg、もしくは2x106細胞/kg、もしくは約2x106細胞/kgを含む。
【0123】
一部の態様では、例えば、対象がヒトである場合、前記用量は、約1x108個より少ない、例えば、約1x106~1x108個のこのような細胞の範囲、例えば、2x106個、5x106個、1x107個、5x107個、もしくは1x108個の、もしくは全てのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲の、全ての組換え受容体(例えば、CAR)を発現する細胞、T細胞、または末梢血単核球(PBMC)を含む。一部の態様では、対象がヒトである場合、前記用量は、約1x106~3x108個、例えば、約1x107~2x108個のこのような細胞、例えば、1x107個、5x107個、1x108個、もしくは1.5x108個の全てのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲の全ての組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞を含む。一部の態様では、患者に複数の用量が投与され、前記用量はそれぞれ、または全用量は前述の値のいずれかの範囲内でもよい。一部の態様では、前記用量の細胞は、1x105~5x108個もしくは約1x105~約5x108個の全ての組換え受容体発現T細胞もしくは全T細胞、1x105~1x108個の全ての組換え受容体発現T細胞もしくは全T細胞、5x105~1x107個もしくは約5x105~約1x107個の全ての組換え受容体発現T細胞もしくは全T細胞、または1x106~1x107個もしくは約1x106~約1x107個の全ての組換え受容体発現T細胞もしくは全T細胞の投与を含む。
【0124】
養子細胞療法の状況では、ある特定の「用量」の投与は、ある特定の量または数の細胞を、単回組成物投与および/または中断されない(uninterrupted)単回投与、例えば、単回注射または連続注入として投与することを包含し、ある特定の量または数の細胞を、3日以下の指定された期間にわたって複数の個々の組成物または注入の形で提供される分割用量として投与することも包含する。従って、ある状況では、用量は、1つの時点で与えられるか、または開始する、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、ある状況では、用量は、3日以下の期間にわたって、例えば、3日もしくは2日にわたって1日1回の、複数回の注射もしくは注入の形で投与されるか、または1日にわたって複数回の注入によって投与される。
【0125】
従って、一部の局面では、前記用量の細胞は単一の薬学的組成物に入れられて投与される。一部の態様では、前記用量の細胞は複数の組成物に入れられて投与され、複数の組成物は合わさって前記用量の細胞を含有する。
【0126】
用語「分割用量」は、何日もわたって投与されるように分割された用量を指す。このタイプの投薬は本発明の方法に包含され、単一用量とみなされる。
【0127】
従って、前記用量の細胞は分割用量として投与されてもよい。例えば、一部の態様では、前記用量は2日または3日にわたって対象に投与されてもよい。分割投薬のための例示的な方法は、初日に用量の25%を投与する段階と、2日目に用量の残りの75%を投与する段階を含む。他の態様では、初日に用量の33%が投与されてもよく、2日目に残りの67%が投与されてもよい。一部の局面では、初日に用量の10%が投与され、2日目に用量の30%が投与され、3日目に用量の60%が投与される。一部の態様では、分割用量は3日を超えて広げられることはない。
【0128】
一部の態様では、前記用量の細胞は、一般的に、疾患負荷量の低減において効果を示すのに十分な大きさである。
【0129】
一部の態様では、前記細胞は、望ましい投与量で投与される。望ましい投与量は、一部の局面では、細胞もしくは細胞タイプの望ましい用量もしくは数、および/または細胞タイプの望ましい比を含む。従って、細胞の投与量は、一部の態様では、細胞の総数(または体重1kgあたりの数)および個々の集団またはサブタイプの望ましい比、例えば、CD4+とCD8+の比に基づいている。一部の態様では、細胞の投与量は、個々の集団の中にある細胞、または個々の細胞タイプの望ましい総数(または体重1kgあたりの数)に基づいている。一部の態様では、投与量は、このような特徴、例えば、全細胞の望ましい数、望ましい比、および個々の集団にある細胞の望ましい総数の組み合わせに基づいている。
【0130】
一部の態様では、細胞の集団またはサブタイプ、例えば、CD8+T細胞およびCD4+T細胞は、全細胞の望ましい用量、例えば、T細胞の望ましい用量で、または全細胞の望ましい用量、例えば、T細胞の望ましい用量の許容される差の範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい用量は、望ましい細胞数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりの望ましい細胞数、例えば、細胞/kgである。一部の局面では、望ましい用量は、細胞の最小数であるか、もしくはこの最小数より多いか、または体重の単位あたりの細胞の最小数であるか、もしくはこの最小数より多い。一部の局面では、望ましい用量で投与される全細胞の中で個々の集団またはサブタイプは、望ましい出力比(output ratio)(例えば、CD4+とCD8+の比)で、またはその近くで、例えば、このような比の、ある特定の許容される差または誤差の範囲内で存在する。
【0131】
一部の態様では、前記細胞は、細胞の個々の集団もしくはサブタイプの1つもしくは複数の望ましい用量、例えば、CD4+細胞の望ましい用量および/もしくはCD8+細胞の望ましい用量で、または細胞の個々の集団もしくはサブタイプの1つもしくは複数の望ましい用量、例えば、CD4+細胞の望ましい用量および/もしくはCD8+細胞の望ましい用量の許容される差の範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい用量は、前記サブタイプもしくは集団の細胞の望ましい数、または前記細胞が投与された対象の体重の単位あたりの、このような細胞の望ましい数、例えば、細胞/kgである。一部の局面では、望ましい用量は、前記集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるか、またはこの最小数より多いか、あるいは体重の単位あたりの前記集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるか、またはこの最小数より多い。
【0132】
従って、一部の態様では、投与量は、全細胞の望ましい決まった用量、および望ましい比に基づいている、ならびに/または個々のサブタイプもしくは部分母集団の1つまたは複数の、例えば、それぞれの望ましい決まった用量に基づいている。従って、一部の態様では、投与量は、T細胞の望ましい決まった用量または最小用量、およびCD4+細胞とCD8+細胞の望ましい比に基づいている、ならびに/またはCD4+細胞および/またはCD8+細胞の望ましい決まった用量もしくは最小用量に基づいている。
【0133】
一部の態様では、前記細胞は、複数の細胞集団またはサブタイプ、例えば、CD4+細胞およびCD8+細胞またはサブタイプの望ましい出力比で、または望ましい出力比の許容される範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい比は特定の比でもよく、比の範囲でもよい。例えば、一部の態様では、望ましい比(例えば、CD4+細胞とCD8+細胞の比)は5:1もしくは約5:1~5:1もしくは約5:1(または約1:5より大きく、かつ約5:1より小さい)であるか、または1:3もしくは約1:3~3:1もしくは約3:1(または約1:3より大きく、かつ約3:1より小さい)、例えば、2:1もしくは約2:1~1:5もしくは約1:5(または約1:5より大きく、かつ約2:1より小さい、例えば、5:1もしくは約5:1、4.5:1もしくは約4.5:1、4:1もしくは約4:1、3.5:1もしくは約3.5:1、3:1もしくは約3:1、2.5:1もしくは約2.5:1、2:1もしくは約2:1、1.9:1もしくは約1.9:1、1.8:1もしくは約1.8:1、1.7:1もしくは約1.7:1、1.6:1もしくは約1.6:1、1.5:1もしくは約1.5:1、1.4:1もしくは約1.4:1、1.3:1もしくは約1.3:1、1.2:1もしくは約1.2:1、1.1:1もしくは約1.1:1、1:1もしくは約1:1、1:1.1もしくは約1:1.1、1:1.2もしくは約1:1.2、1:1.3もしくは約1:1.3、1:1.4もしくは約1:1.4、1:1.5もしくは約1:1.5、1:1.6もしくは約1:1.6、1:1.7もしくは約1:1.7、1:1.8もしくは約1:1.8、1:1.9もしくは約1:1.9、1:2もしくは約1:2、1:2.5もしくは約1:2.5、1:3もしくは約1:3、1:3.5もしくは約1:3.5、1:4もしくは約1:4、1:4.5もしくは約1:4.5、または1:5もしくは約1:5)である。一部の局面では、許容される差は、望ましい比の約1%以内、約2%以内、約3%以内、約4%以内、約5%以内、約10%以内、約15%以内、約20%以内、約25%以内、約30%以内、約35%以内、約40%以内、約45%以内、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0134】
特定の態様では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様では、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞、または末梢血単核球(PBMC)の数または濃度を指す。
【0135】
一部の局面では、前記用量のサイズは、1つまたは複数の判断基準、例えば、前処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、嵩、サイズ、または転移の程度、度合い、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/あるいは対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する可能性または発生率、ならびに/あるいは投与されている細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0136】
一部の態様では、前記方法はまた、1つもしくは複数のさらなる用量のキメラ抗原受容体(CAR)発現細胞および/もしくはリンパ球枯渇療法を適用する段階も含む、ならびに/または前記方法の1つもしくは複数の段階が繰り返される。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量は初回用量と同じである。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量は初回用量と異なる、例えば、初回用量より多い、例えば、初回用量の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、もしくは10倍であるか、またはそれより多いか、あるいは初回用量より少ない、例えば、初回用量より多い、初回用量の1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、もしくは1/10であるか、またはそれより少ない。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量の投与は、初回処置または任意の前処置に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、嵩、サイズ、または転移の程度、度合い、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/あるいは対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する可能性または発生率、ならびに/あるいは投与されている細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0137】
B.応答、効力、および生存
一部の態様では、対象が別の療法に対して耐性があるのにもかかわらず、前記投与によって対象が効果的に処置される。一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%または少なくとも約50%、前記方法に従って処置された対象の少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、前記方法に従って処置された対象の少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、前記方法に従って処置された対象の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または前記方法に従って処置された対象の少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が完全寛解(CR)を果たす、および/または全奏効(OR)を果たす。
【0138】
一部の局面では、提供される方法に従う投与は、一般的に、対象における前記疾患または状態の増殖または負荷量を低減または阻止する。例えば、前記疾患または状態が腫瘍の場合、前記方法は、一般的には、腫瘍サイズ、嵩、転移、骨髄中にある芽細胞のパーセント、もしくは分子的に検出可能ながんを低減する、および/または予後もしくは生存または腫瘍負荷量に関連する他の症状を改善する。
【0139】
いくつかの点において、無増悪生存期間(PFS)とは、がんなどの疾患が処置されている間、および処置された後の、対象が疾患と共に生きているが、疾患が悪化しない時間の長さと説明される。一部の局面では、全奏効(OR)とは、測定可能な応答と説明される。一部の局面では、全奏効率(ORR)は、CRまたはPRを果たした患者の割合と説明される。一部の局面では、全生存期間(OS)とは、がんなどの疾患の診断日または処置開始のいずれからの、疾患と診断された対象が生存している時間の長さと説明される。一部の局面では、無再発生存期間(event-free survival)(EFS)とは、がんの処置が終了した後の、対象に、処置が阻止または遅延するように設計されている、ある特定の合併症または事象がないままの時間の長さと説明される。これらの事象は、がんの再発、またはある特定の症状、例えば、骨に広がったがんによる骨痛の発症、または死亡を含んでもよい。
【0140】
一部の態様では、前記方法は、前記疾患または状態の負荷量、例えば、腫瘍細胞の数、腫瘍のサイズ、患者の生存期間または無再発生存期間を、代替の投与計画を用いる同等の方法、例えば、対象に1種類もしくは複数種の代替の治療剤が与えられる方法および/または提供される方法に従って対象に、ある用量の細胞および/もしくはリンパ球枯渇剤が与えられない方法によって観察される低減と比較して大きく、および/または長い期間にわたって低減する。一部の態様では、対象における疾患または状態の負荷量が検出、評価、または測定される。疾患負荷量は、一部の局面では、対象にある、または対象の臓器、組織、もしくは体液、例えば、血液もしくは血清にある疾患細胞または疾患関連細胞、例えば、腫瘍細胞の総数を検出することによって検出されてもよい。一部の局面では、対象の生存、ある特定の期間内での生存、生存の程度、無再発生存もしくは無症状生存(symptom-free survival)または無再発生存(relapse-free survival)の存在もしくは期間が評価される。一部の態様では、前記疾患または状態の任意の症状が評価される。一部の態様では、疾患負荷量または状態負荷量の尺度が指定される。
【0141】
一部の態様では、対象の無再発生存率または全生存率は、他の方法、例えば、対象に1種類もしくは複数種の代替の治療剤が与えられる方法および/または提供される方法に従って対象に、ある用量の細胞および/もしくはリンパ球枯渇剤が与えられない方法と比較して、前記方法によって改善される。例えば、一部の態様では、前記方法によって処置された、投薬後、6ヶ月での対象の無再発生存の率または確率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。一部の局面では、全生存率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。一部の態様では、前記方法によって処置された対象は、無再発生存(event-free survival)、無再発生存(relapse-free survival)、あるいは少なくとも6ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、または10年までの生存を示す。一部の態様では、無増悪期間(time to progression)が改善され、例えば、無増悪期間は、6ヶ月超または約6ヶ月超、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、もしくは10年である。
【0142】
一部の態様では、前記方法による処置後、再発する確率は、他の方法、例えば、対象に1種類もしくは複数種の代替の治療剤が与えられる方法および/または提供される方法に従って対象に、ある用量の細胞および/もしくはリンパ球枯渇剤が与えられない方法と比較して低下する。例えば、一部の態様では、第1の用量後、6ヶ月での再発する確率は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0143】
疾患負荷量は、対象における、または対象の臓器、組織、もしくは体液における、例えば、腫瘍の臓器もしくは組織または別の位置、例えば、転移を示す位置における疾患の細胞の総数を包含してもよい。例えば、腫瘍細胞は、ある特定の血液腫瘍の状況では血液中または骨髄中で検出および/または定量されてもよい。疾患負荷量は、一部の態様では、腫瘍の質量、転移の数もしくは程度、および/または骨髄に存在する芽細胞のパーセントを含んでもよい。
【0144】
一部の局面では、応答評価は、臨床方法、血液学的方法、および/または分子的方法のうち任意の方法を利用する。
【0145】
1.IWCLL効果判断基準
一部の局面では、対象、例えば、CLLを有する対象における奏効率は、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia (IWCLL)効果判断基準に基づいている(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15; 111(12): 5446-5456; IWCLL 2008とも呼ばれる)。一部の局面では、これらの判断基準は以下の通りに説明される。完全寛解(CR)は、一部の局面では、免疫表現型決定によって末梢血クローンリンパ球が存在しないこと、リンパ節腫脹が存在しないこと、肝腫大または脾腫大が存在しないこと、全身症状および十分な血球数が存在しないことを必要とする。不完全な骨髄回復を伴う完全寛解(CRi)とは、一部の局面では、上記のCRであるが血球数が正常でないCRといわれる。部分寛解(PR)とは、一部の局面では、リンパ球数が≧50%低下するか、リンパ節腫脹が≧50%軽減するか、または肝臓もしくは脾臓が≧50%縮小すると共に、末梢血数が改善することといわれる。進行(progressive disease)(PD)とは、一部の局面では、リンパ球数が>5x109/Lまで≧50%増加するか、リンパ節腫脹が≧50%増大するか、肝臓もしくは脾臓の大きさが≧50%拡大するか、リッチャートランスフォーメーション(Richter’s transformation)があるか、CLLによる新たな血球減少があるといわれる。安定(stable disease)とは、一部の局面では、CR、CRi、PR、PDの判断基準を満たさないことといわれる。
【0146】
一部の態様では、前記用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、対象のリンパ節のサイズが20mm未満もしくは約20mm未満、サイズが10mm未満もしくは約10mm未満、またはサイズが10mm未満もしくは約10mm未満であれば、対象はCRまたはORを示す。
【0147】
2.骨髄または血液における疾患
一部の態様では、対象は白血病を有する。疾患負荷量の程度は、血液または骨髄における残存白血病を評価することによって確かめることができる。
【0148】
一部の態様では、対象は、例えば、光学顕微鏡によって検出された時に骨髄に5%超または5%の芽細胞があれば、例えば、骨髄に10%超もしくは10%の芽細胞、骨髄に20%超もしくは20%の芽細胞、骨髄に30%超もしくは30%の芽細胞、骨髄に40%超もしくは40%の芽細胞、または骨髄に50%超もしくは50%の芽細胞があれば形態学的疾患を示す。一部の態様では、対象は、骨髄に5%未満の芽細胞があれば完全寛解または臨床寛解を示す。
【0149】
一部の態様では、対象は完全寛解を示すことがあるが、少ない割合の、(光学顕微鏡法により)形態学的に検出不可能な残存白血病細胞が存在する。骨髄に5%未満の芽細胞を示し、かつ分子的に検出可能ながんを示せば、対象は微小残存病変(MRD)を示すといわれる。一部の態様では、分子的に検出可能ながんは、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な任意の分子的技法を用いて評価することができる。一部の局面では、このような技法には、ユニークなIg/T細胞受容体遺伝子再編成、または染色体転座によって生じた融合転写物を確かめることができるPCRアッセイが含まれる。一部の態様では、フローサイトメトリーを用いて、白血病特異的免疫表現型に基づいてがん細胞を特定することができる。一部の態様では、がんの分子的検出によって、10,000個の正常細胞の中で1個と少ない白血病細胞、または100,000個の正常細胞の中で1個の白血病細胞を検出することができる。一部の態様では、例えば、PCRまたはフローサイトメトリーによって10,000個の細胞の中で少なくとも1個もしくは1個超の白血病細胞が検出されれば、または100,000個の細胞の中で1個の白血病細胞が検出されれば、対象は、分子的に検出可能なMRDを示す。一部の態様では、場合によっては、PCRまたはフローサイトメトリー法を用いて白血病細胞が対象において検出できないように、対象の疾患負荷量は、分子的に検出不可能であるか、またはMRD-である。
【0150】
一部の態様では、対象の骨髄において(または前記方法に従って処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、もしくはそれより多くの骨髄において)白血病、例えば、CLLの指標クローンが検出されない。一部の態様では、白血病、例えば、CLLの指標クローンはIGHディープシークエンシングによって検出される。一部の態様では、指標クローンは、細胞を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、または少なくとも、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない。
【0151】
a.フローサイトメトリーによるMRDの確認
一部の局面では、MRDはフローサイトメトリーによって検出される。フローサイトメトリーは、がん細胞があるかどうか骨髄および末梢血試料をモニタリングするのに使用することができる。特定の局面では、フローサイトメトリーは、骨髄におけるがん細胞の存在を検出またはモニタリングするのに用いられる。一部の局面では、フローサイトメトリーによるマルチパラメータ免疫学的検出が、がん細胞を検出するのに用いられる(例えば、Coustan-Smith et al., (1998) Lancet 351:550-554を参照されたい)。一部の局面では、マスサイトメトリーによるマルチパラメータ免疫学的検出が、がん細胞を検出するのに用いられる。一部の例では、がん細胞を検出するのに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、または50のパラメータを使用することができる。検出に用いられる抗原は、検出されているがんに基づいて選択される(Foon and Todd (1986) Blood 68:1-31)。
【0152】
一部の例では、骨髄が骨髄吸引または骨髄生検によって収集され、分析のためにリンパ球が単離される。単離されたリンパ球上にあるエピトープ、例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)、CD3、CD10、CD11c、CD13、CD14、CD33、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD34、CD45、CD56、CD79b、IgM、および/またはKORSA3544を検出するために、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン、ペリジニンクロロフィルタンパク質、またはビオチン)に結合したモノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を使用することができる。次いで、複数のエピトープを検出するためには、標識された細胞を、フローサイトメトリー、例えば、マルチパラメータフローサイトメトリー、またはマスサイトメトリーを用いて検出することができる。
【0153】
リンパ系細胞を光散乱ドットプロットに基づいて特定およびゲーティングし、次いで二次的に、関心対象の免疫表現型特徴を発現する細胞集団を特定するようにゲーティングすることができる。例示的なエピトープを以下の表1に示した。白血病およびリンパ腫の他の免疫分類はFoon and Todd (Blood (1986) 68(1): 1-31)によって提供されている。一部の局面では、MRDのフローサイトメトリー評価は、1つまたは複数のCLL免疫表現型(例えば、弱い前方散乱光/側方散乱光;CD3neg;CD5+;CD14neg;CD19+;CD23+;CD45+;CD56neg)を有する生きているリンパ球を定量することによって実現することができる。
【0154】
(表1)例示的な免疫表現型および細胞遺伝学の特徴
+:症例の>90%で陽性
+/-:症例の50%超で陽性
-/+:症例の50%未満で陽性
-:症例の<10%で陽性
Pan-Bマーカー:例えば、CD19、CD20、CD79a
sIG:表面免疫グロブリン
cyIg:細胞質免疫グロブリン
【0155】
b.IGHディープシークエンシング
一部の局面では、収集されたB細胞の免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座のディープシークエンシングを用いて微小残存病変(MRD)を検出することができる。特定のIgG再編成のクローンが存在することは、B細胞悪性腫瘍、例えば、CLLもしくはNHLの存在、および/またはその悪性細胞の残存物の存在を検出するためのマーカーとなることができる。一部の局面では、細胞、例えば、B細胞を含む集団またはB細胞を含むと疑われる集団が血液から収集および単離される。一部の局面では、細胞は、骨髄、例えば、骨髄吸引液もしくは骨髄生検材料および/または他の生物学的試料から収集および単離される。一部の局面では、相補性決定領域3(CDR3)のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅が、前記遺伝子座のV領域内およびJ領域内にある高度に保存された配列に対するプライマーを用いて成し遂げられ、前記プライマーは、微小残存病変を評価する目的で細胞のクローン集団を特定するのに用いられ得る。特定の系列の細胞の数に関する情報を提供する、および/または特定の可変鎖、例えば、可変重鎖もしくはその結合部位を発現するもの、例えば、クローン集団を含む、クローン集団を検出するための他の方法、例えば、シングル細胞配列決定アプローチが用いられる場合がある。一部の局面では、IGH DNAは、縮重プライマー、または異なる細胞クローン間で共有される可変鎖の領域を認識するプライマー、例えば、IGH配列のコンセンサスV領域および縮重コンセンサスJ領域を認識するプライマーを用いて増幅される。V領域の例示的な配列は、
である。J領域の例示的な縮重コンセンサス配列は、
である。
【0156】
PCR産物または配列決定結果は、一部の局面では、再編成された対立遺伝子に特異的であり、MRD検出のためのクローンマーカーとして役立つ。CDR3領域のPCR増幅後に、PCR産物を配列決定して、B細胞悪性腫瘍をCAR-T細胞療法、例えば、CD19 CAR-T細胞療法で処置した後のMRDを高感度検出するための対立遺伝子特異的PCR用のプローブとして構築した患者特異的オリゴヌクレオチドを得ることができる。コンセンサスプライマーを用いてPCR産物が生成されない例では、代わりにフレームワーク領域1に対するV領域ファミリー特異的プライマーを使用することができる。
【0157】
一部の局面では、処置後の、PCRによって検出可能な腫瘍細胞、例えば、B細胞悪性腫瘍、例えば、NHLまたはCLLの細胞、例えば、悪性IGH配列またはクローンIGH配列に対応する検出可能なIGH配列の持続性は再発リスクの増加と関連付けられる。一部の局面では、処置後に悪性IGH配列が陰性の患者は(一部の局面では、進行を示すか、もしくは部分奏効を示す、例えば、リンパ節腫脹の持続しか示さない他の判断基準、またはある状況では、疾患もしくは完全奏功の欠如と関連付けられる可能性がある他の判断基準の状況でも)、持続性の悪性IGH配列をもつ患者と比較してPFSの可能性が高いか、またはCRもしくは永続性のあるCRもしくは長期の生存期間に入ると考えられ得る。一部の態様では、このような予後およびステージ分類の決定は、例えば、他の臨床症状の分析、例えば、リンパ節サイズまたは他のステージ分類判断基準と比較して、療法の適用後、短期間で悪性細胞の一掃が観察される処置にとって特に関連した重要性をもつ。例えば、このような一部の局面では、他の利用可能なステージ分類または予後アプローチと比較して、骨髄などの試料中に、検出可能なIGHまたは微小残存病変が存在しないことは、応答、または応答の可能性、またはその永続性にとって好ましい読み取り値(readout)であるかもしれない。一部の局面では、MRDからの結果、例えば、IGHディープシークエンシング情報は、さらなる介入またはその欠如を特徴付ける場合がある。例えば、前記方法および他の提供される態様は、いくかの状況では、悪性IGHが陰性だと思われる対象が、一部の局面では、提供される、ある用量の療法を用いて、これ以上処置されない場合があるか、もしくは悪性IGHが陰性だと思われる対象に、一部の局面では、提供される、ある用量の療法がこれ以上適用されないか、または前記対象に、さらに少ない用量もしくは低減した用量が投与されることを提供する。逆に、IGHディープシークエンシングを介してMRDを示した対象は、例えば、同様の用量もしくはさらに多い用量の最初に適用された療法を用いて、またはさらなる処置を用いて、さらに処置されることが提供または指定される場合がある。
【0158】
3.Lugano判断基準
いくつかの点において、応答はLugano判断基準を用いて評価される(Cheson et al., JCO September 20, 2014 vol. 32 no. 27 3059-3067; Johnson et al., (2015) Imaging for staging and response assessment in lymphoma. Radiology 2:323-338)。Lugano判断基準は、イメージングによる評価、腫瘍の嵩の測定、ならびに脾臓合併症、肝臓合併症、および骨髄合併症の評価を含む。
【0159】
一部の局面では、Lugano判断基準を用いて評価される応答は、イメージング評価のために、適宜、ポジトロン放出断層撮影法(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)および/またはCTの使用を伴う。PET-CT評価は、フルオロデオキシグルコース(FDG)-avidリンパ腫におけるFDG取り込みを評価するためにFDGの使用をさらに含んでもよい。FDG-avidリンパ腫には、ホジキンリンパ腫(HL)と、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度トランスフォーメーション(aggressive transformation)を伴う辺縁帯NHL、およびFDG-avid節性(nodal)リンパ腫を含む、ある特定の非ホジキンリンパ腫(NHL)(慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および菌状息肉腫を除く本質的に全ての組織学的タイプ)が含まれる。場合によっては、非FDG-avid組織学の場合、CTが好ましいイメージング方法である。一部の局面では、処置後スキャンは、処置を適用して、できるだけ長い期間の後に撮影される。一部の局面では、処置後スキャンは、療法の最低3週間後に、例えば、処置を適用して3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12、週間後、またはそれより後に撮影される。
【0160】
一部の局面では、FDG-avid組織学において応答を評価するのにPET-CTが用いられる場合、評価またはステージ分類のために5ポイントスケール、例えば、Deauville 5ポイントスケール(Deauville 5ps)が用いられる場合がある。Deauvilleスコアは、2つの参照臓器である縦隔(すなわち、血液プール)および肝臓と比較した、PET/CTスキャンによって視覚化した各病変部のフルオロデオキシグルコース(FDG)取り込みの読影に基づいている。処置前に評価の1つ(初回ステージ分類)が行われ、処置の間および処置後に、(参照臓器におけるFDGアップデート(update)と比較して)残存腫瘤を評価するために二回目のFDG PET/CTスキャンが用いられる。このスケールは1から5まであり、1が最も良く、5が最も悪い。それぞれのFDG-avid(または以前にFDG-avidであった)病変部は別々にランク付けされる。いくつかの点において、この5ポイントスケールは、以下の判断基準:1、バックグラウンドを上回る取り込みなし;2、≦縦隔の取り込み;3、>縦隔であるが、≦肝臓の取り込み;4、中程度、>肝臓の取り込み;5、肝臓より著しく多い取り込み(例えば、最大の標準取り込み値(standard uptake value)(SUVMAX>2x肝臓;5a)、および/またはリンパ腫と関連する可能性がある新たな病変部(応答評価時)(5b);X、リンパ腫と関連する可能性が低い新たな取り込み領域を含む。
【0161】
1または2のDeauvilleスコアは、処置の合間および処置の終了時の完全代謝奏功(complete metabolic response)(CMR)を表しているとみなされる。3のDeauvilleスコアもCMRを表しているが、スコア3の解釈は評価のタイミング、臨床状況、および処置に左右される。合間の4または5のDeauvilleスコアは部分代謝奏功を表しているとみなされる。しかしながら、処置の終了時の4または5のDeauvilleスコアは、取り込みがベースラインから減っていれば残存代謝病変(residual metabolic disease)を表しており、取り込みがベースラインから変化していなければ代謝奏功なし(no metabolic response)(NMR)を表しており、取り込みがベースラインから増加していれば、および/または新たな病変部があれば進行性代謝病変(progressive metabolic disease)(PMD)を表している。処置の合間および処置の終了時でのNMRまたはPMDは処置の失敗を示している。
【0162】
一部の局面では、Lugano判断基準を用いて説明されるような処置終了時の完全奏功は、様々な測定可能な部位での完全代謝奏功と完全放射線学的奏功(complete radiologic response)を伴う。一部の局面では、これらの部位にはリンパ節とリンパ外部位が含まれ、この場合、CRは、PET-CTを使用した時に5ポイントスケールで、残存腫瘤の有無にかかわらず1、2、または3のスコアで表される。一部の局面では、ワルダイエル輪または節外性部位では、多量の生理的取り込みにより、または(例えば、化学療法もしくは骨髄性コロニー刺激因子を用いる)脾臓内もしくは骨髄内での活性化により、取り込みが正常な縦隔および/または肝臓より多い場合がある。この状況では、最初に関与した部位の取り込みが、組織に多量の生理的取り込みがあったとしても周囲の正常組織を超えなければ、完全代謝奏功が推測され得る。一部の局面では、応答はCTを用いてリンパ節において評価され、この場合、CRは、疾患のリンパ外部位はなく、標的リンパ節/節性腫瘤は病変部の最長横径(LDi)が≦1.5cmまで退縮しなければならないと説明される。さらなる評価部位には骨髄が含まれる。この場合、PET-CTに基づく評価は、骨髄にFDG-avid疾患の証拠が無いことを示さなければならず、CTに基づく評価は正常形態を示さなければならず、これらが不確かであれば、IHC陰性でなければならない。さらなる部位には臓器腫脹の評価が含まれる場合があり、臓器腫脹は正常まで退縮しなければならない。一部の局面では、測定されなかった病変部および新たな病変部が評価され、これらは、CRの場合では存在してはならない(Cheson et al., JCO September 20, 2014 vol. 32 no. 27 3059-3067; Johnson et al., (2015) Imaging for staging and response assessment in lymphoma. Radiology 2:323-338)。
【0163】
4.固形がん効果判断基準(RECIST)
一部の局面では、腫瘍縮小効果(objective tumor response)を確かめるために、一部の局面では、固形がんにおける腫瘍縮小効果を確かめるために固形がん効果判断基準(RECIST)が用いられる(Eisenhauer et al., European Journal of Cancer 45 (2009) 228-247.)。一部の局面では、RECIST判断基準は標的病変部に対する腫瘍縮小効果を確かめるために用いられる。いくつかの点において、RECIST判断基準を用いて確かめられる完全奏功は、全ての標的病変部が消失することといわれ、(標的でも非標的でも)あらゆる病理学的リンパ節の短軸が<10mmまで短くなっていなければならない。他の局面では、RECIST判断基準を用いて確かめられる部分奏効は、ベースラインの直径の和を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも30%減少することといわれる。他の局面では、進行(PD)は、研究されている最小の和(これは、ベースラインの和が、研究されている最小の和であればベースラインの和を含む)を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも20%増加することといわれる。上記の和は20%の相対的増加に加えて、少なくとも5mmの絶対的増加も示さなければならない(一部の局面では、1つまたは複数の新たな病変部が現れることも進行だとみなされる)。他の局面では、安定(SD)は、研究されている直径の最小の和を基準として、PRの資格を得るほどには十分に縮小しておらず、PDの資格を得るほどには十分に増大していないといわれる。
【0164】
C.毒性
一部の態様では、前記方法は、毒性または毒性アウトカム、例えば、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日以上にわたる少なくとも38℃もしくは約38℃の発熱、および少なくとも20mg/dLもしくは約20mg/dLのCRPの血漿レベル、神経毒性ならびに/または神経毒性を引き起こさないか、またはその可能性を小さくする。一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%(例えば、処置された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれより多く)が毒性アウトカム(例えば、CRSまたは神経毒性)を示さず、重度の毒性アウトカム(例えば、重度CRSまたは重度神経毒性)を示さない。一部の態様では、対象はグレード3以上の神経毒性を示さない、および/もしくは重度CRSを示さないか、または処置後、ある特定の期間内で、例えば、細胞を投与して1週間以内、2週間以内、もしくは1ヶ月以内に、これらを示さない。
【0165】
養子T細胞療法の適用、例えば、キメラ抗原受容体を発現するT細胞による処置は毒性作用または毒性アウトカム、例えば、サイトカイン放出症候群および神経毒性を誘導することがある。一部の例では、このような作用またはアウトカムは、観察された毒性の根底をなし得る高レベルの循環サイトカインに対応する。
【0166】
一部の局面では、毒性アウトカムはサイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)であるか、サイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)に関連するか、またはサイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)を示す。CRS、例えば、sCRSは、場合によっては、養子T細胞療法後に、および他の生物製品が対象に投与された後に起こることがある。Davila et al., Sci Transl Med 6, 224ra25 (2014); Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 5, 177ra38 (2013); Grupp et al., N. Engl. J. Med. 368, 1509-1518 (2013);およびKochenderfer et al., Blood 119, 2709-2720 (2012); Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照されたい。
【0167】
典型的に、CRSは、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、単球、および/またはマクロファージによって媒介される悪化した全身免疫応答によって引き起こされる。このような細胞は、多量の炎症メディエーター、例えば、サイトカインおよびケモカインを放出することがある。サイトカインは急性炎症応答を誘発することがある、および/または微小血管漏出、心不全、もしくは死亡の原因となり得る内皮臓器損傷を誘導することがある。重度の、命に関わるCRSは、肺浸潤および肺損傷、腎不全、または播種性血管内凝固につながる可能性がある。他の重度の、命に関わる毒性には、心毒性、呼吸窮迫、神経毒性、および/または肝不全が含まれ得る。
【0168】
CRSは、抗炎症性療法、例えば、抗IL-6療法、例えば、抗IL-6抗体、例えば、トシリズマブ、または抗生物質を用いて処置されることがある。CRSのアウトカム、徴候、および症状は公知であり、本明細書に記載のものを含む。一部の態様では、特定の投与計画もしくは投与が、ある特定のCRS関連アウトカム、徴候、もしくは症状をもたらす場合、または特定の投与計画もしくは投与が、ある特定のCRS関連アウトカム、徴候、もしくは症状をもたらさない場合、特定のアウトカム、徴候、および症状、ならびに/またはその数量もしくは程度が指定されることがある。
【0169】
CAR発現細胞の投与の状況では、CRSは、典型的には、CARを発現する細胞を注入して6~20日後に起こる。Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照されたい。場合によっては、CRSは、CAR T細胞の注入後、6日未満または20日を超える時点で起こる。CRSの発生率およびタイミングは注入時のベースラインサイトカインレベルまたは腫瘍負荷量と関係する場合がある。一般的に、CRSは、インターフェロン(IFN)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、および/またはインターロイキン(IL)-2の血清レベルの上昇を伴う。CRSにおいて迅速に誘導され得る他のサイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIL-10である。
【0170】
例示的なCRS関連アウトカムには、発熱、硬直、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳症、ALT/ASTの上昇、腎不全、心臓障害、低酸素、神経障害、および死亡が含まれる。神経学的合併症には、せん妄、発作様活動、錯乱、喚語困難(word-finding difficulty)、失語症、および/または昏迷状態が含まれる。他のCRS関連アウトカムには、疲労、悪心、頭痛、発作、頻拍、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能低下、および腎不全が含まれる。一部の局面では、CRSは、1種類または複数種の因子、例えば、血清フェリチン、d-ダイマー、アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびトリグリセリドの増加に関連するか、または低フィブリノゲン血症もしくは肝脾腫に関連する。
【0171】
一部の態様では、CRS関連アウトカムには、持続性の発熱、例えば、2日以上、例えば、3日以上、例えば、4日以上にわたる、または少なくとも3日間連続した、指定された温度の発熱、例えば、38℃または約38℃を超える発熱;38℃または約38℃を超える発熱;サイトカインの上昇、例えば、少なくとも2種類のサイトカイン(例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/もしくは腫瘍壊死因子α(TNFα)からなる群のうちの少なくとも2つ)の処置前レベルと比較した最大倍率変化、例えば、少なくとも75もしくは約75の最大倍率変化、またはこのようなサイトカインの少なくとも1つの最大倍率変化、例えば、少なくとも250もしくは約250の最大倍率変化;ならびに/あるいは毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬(intravenous vasoactive pressor)によって測定した時);低酸素(例えば、90%未満または約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1つまたは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)の1つまたは複数が含まれる。
【0172】
例示的なCRS関連アウトカムには、サイトカインおよびケモカイン、ならびにCRSに関連する他の因子を含む1種類または複数種の因子の増大した、または高い血清レベルが含まれる。さらに、例示的なアウトカムには、このような因子の1つまたは複数の合成または分泌の増加が含まれる。このような合成または分泌は、T細胞、またはT細胞と相互作用する細胞、例えば、自然免疫細胞もしくはB細胞によるものでもよい。
【0173】
一部の態様では、CRS関連血清因子またはCRS関連アウトカムには、インターフェロンγ(IFN-γ)、TNF-a、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Ra、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、腫瘍壊死因子α(TNFα)、IL-6、およびIL-10、IL-1β、IL-8、IL-2、MIP-1、Flt-3L、フラクタルカイン、および/またはIL-5を含む、炎症性サイトカインおよび/またはケモカインが含まれる。一部の態様では、前記因子またはアウトカムにはC反応性タンパク質(CRP)が含まれる。CRPはCRSの早期に、かつ容易に測定可能な危険因子であることに加えて、細胞増殖マーカーでもある。一部の態様では、高レベル、例えば、≧15mg/dLのCRPがあると測定された対象はCRSを有する。一部の態様では、高レベルのCRPがあると測定された対象はCRSを有さない。一部の態様では、CRSの測定は、CRPおよびCRSを示す別の因子の測定を含む。
【0174】
一部の態様では、CAR処置の前、間、または後に1種類または複数種の炎症性サイトカインまたはケモカインがモニタリングされる。一部の局面では、1種類または複数種のサイトカインまたはケモカインには、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)が含まれる。一部の態様では、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6がモニタリングされる。
【0175】
どの患者が、sCRSを発症するリスクがある可能性が高いかを予測するために、CRSの発症と相関するように思われるCRS判断基準が開発されている(Davilla et al. Science translational medicine. 2014;6(224):224ra25を参照されたい)。因子には、発熱、低酸素、低血圧、神経変化、炎症性サイトカイン、例えば、処置によって誘導される上昇が処置前の腫瘍負荷量およびsCRS症状とよい相関を示すことができる7種類一組のサイトカイン(IFNγ、IL-5、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびGM-CSF)の血清レベルの上昇が含まれる。CRSの診断および管理に関する他のガイドラインは公知である(例えば、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95を参照されたい)。一部の態様では、CRSグレードを反映する判断基準は、以下の表2に詳述した判断基準である。
【0176】
【0177】
本明細書において用いられる場合、対象は、投与後に、(1)少なくとも3日にわたる少なくとも38℃の発熱;(2)(a)投与直後のレベルと比較して、以下の7種類のサイトカイン:インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のグループの少なくとも2つについて少なくとも75の最大倍率変化、ならびに/または(b)投与直後のレベルと比較して、以下の7種類のサイトカイン:インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のグループの少なくとも1つについて少なくとも250の最大倍率変化のいずれかを含むサイトカイン上昇;ならびに(c)毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば、低血圧(少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬を必要とする)または低酸素(PO2<90%)または1つもしくは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および/もしくは発作を含む)を示すのであれば、細胞療法またはその用量の細胞の投与に応答または付随して「重度CRS」(「sCRS」)を発症しているとみなされる。一部の態様では、重度CRSは、グレード3以上のCRS、例えば、表2に示したCRSを含む。
【0178】
一部の態様では、CRSは、(1)持続性の発熱(少なくとも3日にわたる少なくとも38℃の発熱)と、(2)少なくとも20mg/dLまたは約20mg/dLのCRP血清レベルの組み合わせを含む。
【0179】
一部の態様では、CRSは、2種類以上の昇圧剤の使用を必要とする低血圧、または機械的換気を必要とする呼吸不全を含む。
【0180】
様々なアウトカムを測定または検出するための方法を指定することができる。
【0181】
一部の局面では、毒性アウトカムは神経毒性であるか、または神経毒性に関連する。一部の態様では、神経毒性の臨床リスクに関連する症状には、錯乱、せん妄、表出性失語、鈍麻、ミオクローヌス、嗜眠、精神状態変化、痙攣、発作様活動、発作(任意で、脳波[EEG]によって確認される)、高レベルのβアミロイド(Aβ)、高レベルのグルタミン酸、および高レベルの酸素ラジカルが含まれる。一部の態様では、神経毒性は(例えば、グレード1~5スケールを用いて)重症度に基づいてグレード分類される(例えば、Guido Cavaletti & Paola Marmiroli Nature Reviews Neurology 6, 657-666 (December 2010); National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria version 4.03 (NCI-CTCAE v4.03)を参照されたい)。
【0182】
場合によっては、神経症状はsCRSの最初期の症状でもよい。一部の態様では、神経症状は細胞療法注入の5~7日後に始まることが認められる。一部の態様では、神経変化の持続期間は3~19日でもよい。場合によっては、sCRSの他の症状が消散した後に神経変化の回復が起こる。一部の態様では、神経変化の消散の時間または程度は、抗IL-6および/またはステロイドを用いた処置によって早まらない。
【0183】
本明細書において用いられる場合、対象は、投与後に、1)末梢運動神経の炎症または変性を含む末梢性運動ニューロパチーの症状;2)末梢感覚神経の炎症または変性を含む末梢性感覚ニューロパチーの症状、ジセステジア、例えば、異常な感覚および不快な感覚の原因となる感覚認知のゆがみ、神経痛、例えば、神経もしくは神経群に沿った激しく痛い感覚、ならびに/またはパレステジア、例えば、刺激の非存在下での刺痛、しびれ、圧力、冷感、および温感の異常な皮膚感覚の原因となる感覚ニューロンの機能障害の中から、セルフケア(例えば、入浴、衣服の着脱、食事、トイレの使用、服薬)を制限する症状を示すのであれば、細胞療法またはその用量の細胞の投与に応答または付随して「重度の神経毒性」を発症しているとみなされる。一部の態様では、重度の神経毒性は、グレードが3以上の神経毒性、例えば、表3に示した神経毒性を含む。
【0184】
【0185】
一部の態様では、前記方法は、他の方法と比較して神経毒性に関連する症状を低減する。例えば、本方法に従って処置された対象は、他の方法によって処置された対象と比較して、神経毒性の症状、例えば、四肢の脱力またはしびれ、記憶、視力、および/または知性の喪失、制御不能な強迫行動および/または強制行動、妄想、頭痛、運動制御の喪失を含む認知問題および行動問題、認知衰退、ならびに自律神経系機能不全、ならびに性機能不全を低減している可能性がある。一部の態様では、本発明の方法に従って処置された対象は、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、ジセステジア、神経痛、またはパレステジアに関連する症状を低減している可能性がある。
【0186】
一部の態様では、前記方法は、神経系および/または脳に対する損傷、例えば、ニューロン死を含む、神経毒性に関連するアウトカムを低減する。一部の局面では、前記方法は、神経毒性に関連する因子、例えば、βアミロイド(Aβ)、グルタミン酸、および酸素ラジカルのレベルを低減する。
【0187】
II.細胞によって発現される組換え抗原受容体
一部の態様では、提供される方法において使用するための細胞または提供される方法と共に投与される細胞は、操作された受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、もしくはT細胞受容体(TCR)を含むか、または操作された受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、もしくはT細胞受容体(TCR)を含むように操作されている。このような細胞の集団、このような細胞を含有する組成物、および/あるいはこのような細胞が濃縮された組成物、例えば、ある特定のタイプの細胞、例えば、T細胞またはCD8+細胞もしくはCD4+細胞が濃縮または選択されている組成物も提供される。前記組成物の中には、投与のための、例えば、養子細胞療法のための薬学的組成物および製剤がある。提供される方法に従って、前記の細胞および組成物を対象、例えば、患者に投与するための治療方法も提供される。
【0188】
一部の態様では、前記細胞は、遺伝子工学を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、このような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。一部の態様では、遺伝子移入は、最初に、細胞を刺激し、例えば、細胞を、例えば、増殖、生存、および/または活性化などの応答、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるような増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激と組み合わせることによって細胞を刺激し、その後に、活性化された細胞に形質導入し、臨床用途に十分な数まで培養で増殖させることによって成し遂げられる。
【0189】
前記細胞は、一般的に、組換え受容体、例えば、機能的非TCR抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、および他の抗原結合受容体、例えば、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む抗原受容体を発現する。前記受容体の中には他のキメラ受容体もある。
【0190】
A.キメラ抗原受容体(CAR)
提供される方法および使用の一部の態様では、キメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体は、望ましい抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)と細胞内シグナル伝達ドメインを組み合わせた1つまたは複数のドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを供給する活性化細胞内ドメイン部分、例えば、T細胞活性化ドメインである。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を促進する補助刺激シグナル伝達ドメインを含むか、または補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の態様では、キメラ受容体は遺伝子操作によって免疫細胞に導入されるとT細胞活性を調整することができ、場合によっては、T細胞分化またはホメオスタシスを調整することができ、それによって、例えば、養子細胞療法において使用するための、インビボでの寿命、生存、および/または持続性が改善された遺伝子操作された細胞が得られる。
【0191】
CARを含む例示的な抗原受容体、ならびにこのような受容体を操作するための方法およびこのような受容体を細胞に導入するための方法には、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載のもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75に記載のものが含まれる。一部の局面では、前記抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCARおよび国際特許出願公開番号WO/2014055668A1に記載のCARが含まれる。CARの例には、上述の任意の刊行物、例えば、WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013); Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701、およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)に開示されるCARが含まれる。WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0192】
キメラ受容体、例えば、CARは、一般的に、細胞外抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部、一般的に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片を含む。
【0193】
一部の態様では、前記受容体によって標的指向される抗原はポリペプチドである。一部の態様では、前記受容体によって標的指向される抗原は糖質または他の分子である。一部の態様では、前記抗原は、正常な、または標的ではない細胞もしくは組織と比較して、前記疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍細胞または病原性細胞の表面で選択的に発現しているか、または過剰発現している。他の態様では、前記抗原は正常細胞の表面で発現している、および/または操作された細胞の表面で発現している。
【0194】
前記受容体によって標的とされる抗原は、一部の態様では、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかを含む。一部の態様では、前記受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0195】
一部の態様では、scFvおよび/またはVHドメインはFMC63に由来する。FMC63は、一般的に、ヒト由来のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。FMC63抗体は、SEQ ID NO:38に示したCDRH1、およびSEQ ID NO:39に示したCDRH2、およびSEQ ID NO:40または54に示したCDRH3、ならびにSEQ ID NO:35に示したCDRL1、およびSEQ ID NO:36または55に示したCDR L2、およびSEQ ID NO:37または56に示したCDR L3配列を含む。FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の態様では、svFvは、35のCDRL1配列、36のCDRL2配列、および37のCDRL3配列を含む可変軽鎖、ならびに/または38のCDRH1配列、39のCDRH2配列、および40のCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:41に示したFMC63の可変重鎖領域、および42に示したFMC63の可変軽鎖領域を含む。一部の態様では、可変重鎖および可変軽鎖はリンカーによって接続される。一部の態様では、リンカーはSEQ ID NO:24に示される。一部の態様では、scFvは、順に、VHと、リンカーと、VLとを含む。一部の態様では、scFvは、順に、VLと、リンカーと、VHとを含む。一部の態様では、svFcは、SEQ ID NO:25に示したヌクレオチド配列、またはSEQ ID NO:25と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:43と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0196】
一部の態様においてscFvはSJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト由来のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:47-49に示したCDRH1、H2、およびH3、ならびにSEQ ID NO:44-46に示したCDRL1、L2、およびL3配列を含む。SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の態様では、svFvは、44のCDRL1配列、45のCDRL2配列、および46のCDRL3配列を含む可変軽鎖、ならびに/または47のCDRH1配列、48のCDRH2配列、および49のCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:50に示したSJ25C1の可変重鎖領域、および51に示したSJ25C1の可変軽鎖領域を含む。一部の態様では、可変重鎖および可変軽鎖はリンカーによって接続される。一部の態様では、リンカーはSEQ ID NO:52に示される。一部の態様では、scFvは、順に、VHと、リンカーと、VLとを含む。一部の態様では、scFvは、順に、VLと、リンカーと、VHとを含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:53に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:53と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0197】
一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。一部の局面では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分と、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、前記抗体または断片はscFvを含む。
【0198】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの抗体部分は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、例えば、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域をさらに含む。一部の態様では、定常領域または定常部分はヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の局面では、定常領域の一部は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間にあるスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して抗原結合後の前記細胞の応答性を高める長さのものでよい。例示的なスペーサーには、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号、または米国特許出願公開第US2014/0271635号に記載のスペーサーが含まれるが、これに限定されない。
【0199】
一部の態様では、定常領域または定常部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、配列
を有し、SEQ ID NO:2に示した配列によってコードされる。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示した配列を有する。一部の態様では、定常領域または定常部分はIgDの定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、または5のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:26-34に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:26-34のいずれかと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0200】
一部の態様では、前記抗原受容体は、細胞外ドメインに直接的または間接的に連結された細胞内ドメインを含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはITAMを含む。例えば、一部の局面では、抗原認識ドメイン(例えば、細胞外ドメイン)は、一般的に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えば、抗原受容体複合体、例えば、CARの場合はTCR複合体を介した活性化、および/または別の細胞表面受容体を介したシグナルを模倣するシグナル伝達成分に連結される。一部の態様では、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えば、scFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間で連結または融合された膜貫通ドメインを含む。従って、一部の態様では、抗原結合成分(例えば、抗体)は1つまたは複数の膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。
【0201】
一態様では、前記受容体、例えば、CARにおいて前記ドメインの1つと天然で結合している膜貫通ドメインが用いられる。場合によっては、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小にするために、このようなドメインと、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を避けるように選択されるか、またはアミノ酸置換によって改変される。
【0202】
膜貫通ドメインは一部の態様では天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然の場合、前記ドメインは、一部の局面では、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体のα鎖、β鎖、もしくはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来する膜貫通領域を含む(すなわち、少なくとも、これらの膜貫通領域を含む)。または、膜貫通ドメインは一部の態様では合成である。一部の局面では、合成膜貫通ドメインは、主に、疎水性残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の局面では、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見られる。一部の態様では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。一部の局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含有する。
【0203】
一部の態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは直接的または間接的に連結することができる。一部の態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、スペーサー、例えば、本明細書に記載の任意のスペーサーによって連結される。一部の態様では、前記受容体は、膜貫通ドメインが得られた分子の細胞外部分、例えば、CD28細胞外部分を含有する。
【0204】
細胞内シグナル伝達ドメインの中には、天然抗原受容体を介したシグナル、このような受容体と補助刺激受容体の組み合わせを介したシグナル、および/または補助刺激受容体のみを介したシグナルを模倣するか、またはこれに似せる細胞内シグナル伝達ドメインがある。一部の態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリン、例えば、グリシン-セリンダブレット(doublet)を含有するリンカーがCARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に存在し、その間に連結を形成する。
【0205】
T細胞活性化は、一部の局面では、2種類の細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存的一次活性化を開始する細胞質シグナル伝達配列(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に二次シグナルまたは補助刺激シグナルを供給するように働く細胞質シグナル伝達配列(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。一部の局面では、CARは、このようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。
【0206】
前記受容体、例えば、CARは、一般的には、少なくとも1種類の細胞内シグナル伝達成分を含む。一部の局面では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激するように働く一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフ、すなわちITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ζ鎖、FcRγ、CD3γ、CD3δ、およびCD3εに由来する一次細胞質シグナル伝達配列が含まれる。一部の態様では、CARにある細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、またはCD3ζに由来する配列を含有する。
【0207】
一部の態様では、前記受容体は、TCR複合体の細胞内成分、例えば、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ζ鎖を含む。従って、一部の局面では、抗原結合部分は1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の態様では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、前記受容体、例えば、CARは、1種類または複数種のさらなる分子、例えば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16の一部をさらに含む。例えば、一部の局面では、CARまたは他のキメラ受容体には、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25、またはCD16とのキメラ分子が含まれる。
【0208】
一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体が連結されると、前記受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、ある状況では、CARは、T細胞の機能、例えば、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えば、サイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。一部の態様では、抗原受容体成分または補助刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分が、例えば、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、インタクトな免疫賦活性鎖の代わりに用いられる。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の局面では、天然の状況では、このような受容体と協調して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように働く補助受容体の細胞質配列も含む。
【0209】
天然TCRの状況では、完全活性化には、一般的に、TCRを介したシグナル伝達だけでなく補助刺激シグナルも必要とされる。従って、一部の態様では、完全活性化を促進するには、二次シグナルまたは補助刺激シグナルを発生させるための成分もCARに含まれる。他の態様では、CARは、補助刺激シグナルを発生させるための成分を含まない。一部の局面では、さらなるCARが同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは補助刺激シグナルを発生させるための成分を提供する。
【0210】
一部の態様では、キメラ抗原受容体はT細胞補助刺激分子の細胞内ドメインを含む。一部の態様では、CARは、補助刺激受容体、例えば、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSのシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の局面では、同じCARが活性化成分と補助刺激成分を両方とも含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞補助刺激分子に由来する細胞内ドメインまたはその機能的変種を、例えば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含む。一部の局面では、T細胞補助刺激分子はCD28または41BBである。
【0211】
一部の態様では、あるCARには活性化ドメインが含まれるのに対して、別の抗原を認識する別のCARによって補助刺激成分が提供される。一部の態様では、CARは活性化CARまたは刺激CAR、補助刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上に発現される(WO2014/055668を参照されたい)。一部の局面では、前記細胞は1種類または複数種の刺激CARもしくは活性化CARおよび/または補助刺激CARを含む。一部の態様では、前記細胞は、阻害性CAR(iCAR。Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(December, 2013)を参照されたい。例えば、前記疾患もしくは状態に関連する、および/または前記疾患もしくは状態に特異的な抗原以外の抗原を認識するCAR。例えば、オフターゲット効果を小さくするために、疾患標的指向CARを通じて送達された活性化シグナルは、阻害性CARとそのリガンドが結合することによって減弱または阻害される)をさらに含む。
【0212】
ある特定の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ζ)細胞内ドメインと連結したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内ドメインと連結したキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)補助刺激ドメインを含む。
【0213】
一部の態様では、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の、補助刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを含む。例示的なCARは、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内成分を含む。
【0214】
一部の態様では、前記抗原受容体はマーカーをさらに含む、および/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、代用マーカー、例えば、前記受容体の形質導入もしくは前記受容体を発現させるための細胞の操作を確認するのに用いられ得る細胞表面マーカーをさらに含む。一部の局面では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮増殖因子受容体の全てまたは一部(例えば、切断型)、例えば、このような細胞表面受容体の切断型バージョン(例えば、tEGFR)を含む。一部の態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば、切断可能なリンカー配列、例えば、T2A、P2A、E2A、またはF2Aをコードするポリヌクレオチド、例えば、SEQ ID NO:6または19-23のいずれかに示したポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、任意で、リンカー配列は、公開された特許出願番号WO2014031687に開示されるような任意のものでよい。例えば、マーカーは、任意で、リンカー配列、例えば、T2A切断可能なリンカー配列に連結された切断型EGFR(tEGFR)でもよい。
【0215】
切断型EGFR(例えば、tEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0216】
一部の態様では、マーカーは、T細胞上に天然で見出されないか、もしくはT細胞の表面に天然で見出されない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその一部である。一部の態様では、前記分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、前記細胞が養子移入される宿主の免疫系が「自己」と認識しない分子である。
【0217】
一部の態様では、マーカーは治療機能を果たさない、および/または遺伝子操作するための、例えば、首尾良く操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用する以外の効果をもたらさない。他の態様では、マーカーは治療用分子でもよく、何らかの望ましい効果を別の方法で発揮する分子、例えば、細胞がインビボで遭遇するリガンド、例えば、養子移入時に前記細胞の応答を強める、および/または弱めるための、ならびにリガンドに遭遇するための補助刺激分子または免疫チェックポイント分子でもよい。
【0218】
場合によっては、CARは、第一世代CAR、第二世代CAR、および/または第三世代CARと呼ばれる。一部の局面では、第一世代CARは、抗原が結合した時に、CD3鎖によって誘導されるシグナルしか生じないCARである。一部の局面では、第二世代CARは、このようなシグナルと補助刺激シグナルを生じるCAR、例えば、CD28またはCD137などの補助刺激受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである。一部の局面では、第三世代CARは、異なる補助刺激受容体の複数の補助刺激ドメインを含むCARである。
【0219】
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的変種であるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、CD28のシグナル伝達部分もしくはその機能的変種およびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的変種であるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、4-1BBのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種およびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部のこのような態様では、前記受容体は、Ig分子の一部、例えば、ヒトIg分子の一部、例えば、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジを含むスペーサー、例えば、ヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0220】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの膜貫通ドメインはヒトCD28の膜貫通ドメイン(例えば、アクセッション番号P01747.1)もしくはその変種、例えば、SEQ ID NO:8に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインであるか、あるいはこれを含む。一部の態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示したアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:9と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性、またはSEQ ID NO:9と少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0221】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達成分は、ヒトCD28の細胞内補助刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変種もしくは部分、例えば、天然CD28タンパク質の位置186-187においてLL→GG置換のあるドメインを含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含んでもよい。一部の態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、(アクセッション番号Q07011.1))またはその機能的変種もしくは部分、例えば、SEQ ID NO:12に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0222】
一部の態様では、組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変種、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン(アクセッション番号:P20963.2)、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。例えば、一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0223】
一部の局面では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域しか含まず、例えば、IgG4またはIgG1のヒンジ領域しか含まず、例えば、SEQ ID NO:1に示した、ヒンジのみのスペーサーを含む。他の態様では、スペーサーは、任意で、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4由来ヒンジであるか、これを含有する。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:4に示した、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:3に示した、CH3ドメインだけに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列もしくは他の可撓性リンカー、例えば、公知の可撓性リンカーであるか、またはこれを含む。
【0224】
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、scFvを含む抗体断片と、スペーサー、例えば、免疫グロブリン分子の一部、例えば、ヒンジ領域および/または重鎖分子の1つもしくは複数の定常領域を含むスペーサー、例えば、Ig-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインの全てまたは一部を含む膜貫通ドメインと、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体または断片、例えば、scFvと、スペーサー、例えば、任意のIg-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ由来シグナル伝達ドメインを含む。
【0225】
一部の態様では、このようなCAR構築物をコードする核酸分子は、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/もしくはtEGFR配列をコードする配列を、例えば、CARをコードする配列の下流にさらに含む。一部の態様では、前記配列は、SEQ ID NO:6に示したT2Aリボソームスキップエレメント、またはSEQ ID NO:6と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする。一部の態様では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、(例えば、同じ構築物から2種類のタンパク質を発現するように、T2Aリボソームスイッチによって分けられたCARおよびEGFRtをコードする構築物を導入することによって)非免疫原性選択エピトープとして切断型EGFR(EGFRt)を発現させ、次いで、このような細胞を検出するためのマーカーとして使用できるように作製することもできる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。一部の態様では、前記配列は、SEQ ID NO:7もしくは16に示したtEGFR配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする。
【0226】
対象に投与された細胞によって発現された組換え受容体、例えば、CARは、一般的に、処置されている疾患もしくは状態またはその細胞において発現している、処置されている疾患もしくは状態またはその細胞に関連する、および/あるいは処置されている疾患もしくは状態またはその細胞に特異的な分子を認識するか、またはこれに特異的に結合する。この分子、例えば、抗原に特異的に結合すると、前記受容体は、一般的に、免疫賦活性シグナル、例えば、ITAMによって伝達されるシグナルを細胞に送達し、それによって、前記疾患または状態を標的とした免疫応答を促進する。例えば、一部の態様では、前記細胞は、前記疾患もしくは状態の細胞もしくは組織によって発現された抗原または前記疾患もしくは状態に関連する抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0227】
B.TCR
一部の態様では、遺伝子操作された抗原受容体には、組換えT細胞受容体(TCR)および/または天然T細胞からクローニングされたTCRが含まれる。一部の態様では、標的抗原(例えば、がん抗原)に対する高親和性T細胞クローンが特定され、患者から単離され、細胞に導入される。一部の態様では、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、すなわちHLA)を用いて操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原を参照されたい(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res.15: 169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい)。一部の態様では、標的抗原に対するTCRを単離するためにファージディスプレイが用いられる(例えば、Varela-Rohena et al.(2008) Nat Med. 14: 1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい)。
【0228】
一部の態様では、T細胞クローンが得られた後に、TCRα鎖およびβ鎖は単離され、遺伝子発現ベクターにクローニングされる。一部の態様では、TCRα遺伝子およびβ遺伝子は、両鎖が同時発現するようにピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを介して連結される。一部の態様では、TCRの遺伝子移入は、レトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターを介して、またはトランスポゾンを介して成し遂げられる(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13: 1050-1063; Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18: 1748-1757; an Hackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい)。
【0229】
III.遺伝子操作された細胞および細胞を作製する方法
一部の態様では、提供される方法は、疾患または状態を有する対象に、組換え抗原受容体を発現する細胞を投与する段階を伴う。遺伝子操作された成分、例えば、組換え受容体、例えば、CARまたはTCRを導入するための様々な方法が周知であり、提供される方法および組成物と共に用いられる場合がある。例示的な方法には、ウイルス形質導入、例えば、レトロウイルス形質導入またはレンチウイルス形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを介した方法を含む、前記受容体をコードする核酸を移入するための方法が含まれる。
【0230】
前記受容体を発現し、提供される方法によって投与される細胞の中には、操作された細胞がある。遺伝子工学は、一般的に、組換え成分または操作された成分をコードする核酸を、細胞を含有する組成物に、例えば、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって導入することを伴う。
【0231】
A.遺伝子工学のためのベクターおよび方法
一部の態様では、組換え核酸は、組換え感染性ウイルス粒子、例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターを用いて細胞に移入される。一部の態様では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えば、γ-レトロウイルスベクターを用いてT細胞に移入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25; Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557 を参照されたい)。
【0232】
一部の態様では、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(myeloproliferative sarcoma virus)(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターには末端反復配列(LTR)がある。ほとんどのレトロウイルスベクターはマウスレトロウイルスに由来する。一部の態様では、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞供給源または哺乳動物細胞供給源に由来するレトロウイルスが含まれる。レトロウイルスは典型的に両種指向性である。両種指向性とは、レトロウイルスが、ヒトを含む、いくつかの種の宿主細胞に感染できることを意味する。一態様では、発現させようとする遺伝子はレトロウイルスgag配列、pol配列、および/またはenv配列に取って代わる。多数の例示的なレトロウイルス系が述べられている(例えば、米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号; Miller and Rosman(1989) BioTechniques 7:980-990; Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852; Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3: 102-109)。
【0233】
レンチウイルス形質導入方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701; Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644; Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0234】
一部の態様では、組換え核酸はエレクトロポレーションを介してT細胞に移入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298、およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。一部の態様では、組換え核酸は転位を介してT細胞に移入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞において遺伝物質を導入および発現する他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソームを介したトランスフェクション;タングステン粒子によって促進されるマイクロパーティクルボンバードメント(microparticle bombardment)(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0235】
組換え産物をコードする核酸を移入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載のものである。
【0236】
一部の態様では、前記細胞、例えば、T細胞は、増殖中または増殖後に、例えば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)でトランスフェクトされてもよい。望ましい受容体の遺伝子を導入するための、このトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。次いで、遺伝子組換えされた細胞集団を初期刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放し、その後に、第2のタイプの刺激を用いて、例えば、新規に導入された受容体を介して刺激することができる。この第2のタイプの刺激は、ペプチド/MHC分子の形をとる抗原刺激、遺伝子導入された受容体のコグネイト(架橋結合)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または新たな受容体のフレームワーク内に(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)直接結合する任意のリガンド(例えば、抗体)を含んでもよい。例えば、Cheadle et al, 「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」 Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66、またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0237】
場合によっては、前記細胞、例えば、T細胞が活性化されることを必要としないベクターが用いられてもよい。一部のこのような場合では、前記細胞は活性化される前に選択および/または形質導入されてもよい。従って、前記細胞は培養される前に、または培養された後に操作されてもよく、場合によっては、培養と同じ時間で、または培養の少なくとも一部の間に操作されてもよい。
【0238】
さらなる核酸、例えば、導入用の遺伝子の中には、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)に記載のように、療法の効力を改善するための、例えば、移入された細胞の生存および/または機能を促進することによって療法の効力を改善するための遺伝子;細胞を選択および/または評価するための、例えば、インビボ生存または局在化を評価するための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;安全性を改善する、例えば、細胞をインビボで負の選択に対して感受性にすることによって安全性を改善する遺伝子がある。ドミナントポジティブ選択マーカーと負の選択マーカーとの融合から得られた二機能性の選択可能な融合遺伝子の使用について説明している、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公報も参照されたい。例えば、Riddell et al., 米国特許第6,040,177号の縦列14~17を参照されたい。
【0239】
B.遺伝子工学のための細胞および細胞の調製
一部の態様では、前記核酸は異種である、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば、別の生物または細胞から得られた試料に通常は存在せず、例えば、操作されている細胞および/またはこのような細胞が得られた生物に普通は見出されない。一部の態様では、前記核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプに由来する様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む、自然界で見出されない核酸である。
【0240】
細胞は一般的に、真核細胞、典型的には、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。一部の態様において、前記細胞は血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系臓器に由来し、免疫系の細胞、例えば、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む骨髄系細胞またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞には、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性幹細胞および多能性幹細胞が含まれる。前記細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離された、および/または対象から単離され、凍結された細胞である。一部の態様において、前記細胞には、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその部分母集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続の能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって規定されるT細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセットが含まれる。処置しようとする対象に関して、前記細胞は同種異系および/または自己由来でもよい。前記方法の中には既製の方法が含まれる。一部の局面において、例えば、既製の技術の場合、前記細胞は多能性および/または多分化能性であり、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の態様において、前記方法は、対象から細胞を単離する段階、細胞を調製、処理、培養、および/または操作する段階、ならびに凍結保存前または凍結保存後に細胞を同じ対象に再導入する段階を含む。
【0241】
T細胞ならびに/またはCD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分母集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高度に分化したエフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアント(mucosa-associated invariant)T(MAIT)細胞、天然および適応性の調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、α/βT細胞、ならびにδ/γT細胞がある。
【0242】
一部の態様において、前記細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の態様において、前記細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である
【0243】
一部の態様では、前記細胞は、遺伝子工学を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、このような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。一部の態様では、前記核酸は異種である、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば、別の生物または細胞から得られた試料に通常は存在せず、例えば、操作された細胞および/またはこのような細胞が得られた生物に普通は見出されない。一部の態様では、前記核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプに由来する様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む、自然界で見出されない核酸である。
【0244】
一部の態様では、操作された細胞の調製は1つまたは複数の培養段階および/または調製段階を含む。トランスジェニック受容体、例えば、CARをコードする核酸を導入するための細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られた試料または対象に由来する試料から単離されてもよい。一部の態様では、細胞が単離される対象は、前記疾患もしくは状態を有するか、細胞療法を必要とするか、または細胞療法が適用される対象である。対象は、一部の態様では、特定の治療介入、例えば、養子細胞療法を必要とし、このために細胞が単離、処理、および/または処理されているヒトである。
【0245】
従って、前記細胞は、一部の態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。前記試料には、対象から直接採取した組織、液体、および他の試料、ならびに1つまたは複数の処理段階、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションに起因する試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料でもよく、処理された試料でもよい。生物学的試料には、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料が、これらから得られた処理済み試料を含めて含まれるが、これに限定されない。
【0246】
一部の局面において、前記細胞が得られる、または単離される試料は血液もしくは血液由来試料であるか、アフェレーシスもしくは白血球搬出法による生成物であるか、またはこれから得られる。例示的な試料には、全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、消化管に関連するリンパ系組織、粘膜に関連するリンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の臓器、および/またはこれらに由来する細胞が含まれる。試料には、細胞療法、例えば、養子細胞療法の状況では、自己供給源および同種異系供給源に由来する試料が含まれる。
【0247】
一部の態様において、前記細胞は細胞株、例えば、T細胞株に由来する。前記細胞は、一部の態様では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0248】
一部の態様において、前記細胞の単離には、1つまたは複数の調製段階および/または親和性に基づかない細胞分離段階が含まれる。一部の例では、例えば、望ましくない成分を除去するために、望ましい成分を濃縮するために、細胞を溶解するか、または特定の試薬に対して感受性のある細胞を除去するために、1種類または複数種の試薬の存在下で細胞が洗浄、遠心分離、および/またはインキュベートされる。一部の例では、細胞は、密度、粘着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0249】
一部の例では、対象の循環血に由来する細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球搬出法によって得られる。試料は、一部の局面では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球、および/または血小板を含有し、一部の局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0250】
一部の態様において、例えば、血漿画分を除去するために、および後の処理段階のために前記細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために、対象から収集した血球は洗浄される。一部の態様において、前記細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の態様において、洗浄溶液には、カルシウムおよび/もしくはマグネシウムならびに/または多くの、もしくは全ての二価カチオンが無い。一部の局面において、洗浄段階は半自動「フロースルー」遠心機(例えば、Cobe 2991 cell processor, Baxter)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の局面において、洗浄段階はタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の態様において、洗浄後に、前記細胞は、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSで再懸濁される。ある特定の態様において、血球試料の成分は除去され、前記細胞は培養培地に直接、再懸濁される。
【0251】
一部の態様において、前記方法には、密度に基づく細胞分離方法、例えば、赤血球溶解による末梢血からの白血球の調製、およびPercoll勾配またはFicoll勾配による遠心分離が含まれる。
【0252】
一部の態様において、単離方法には、細胞における、1種類または複数種の特定の分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく様々な細胞タイプの分離が含まれる。一部の態様において、このようなマーカーに基づいて分離するための任意の公知の方法を使用することができる。一部の態様において、分離は親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、単離は、一部の局面では、例えば、このようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとインキュベートし、その後に、一般的に洗浄段階を行い、抗体または結合パートナーに結合している細胞を、抗体または結合パートナーに結合していない細胞から分離することによって、1種類または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞発現または発現レベルに基づいて細胞および細胞集団を分離することを含む。
【0253】
このような分離段階は、さらに使用するために、試薬に結合した細胞が保持される正の選択に基づいてもよく、および/または抗体または結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づいてもよい。一部の例では、さらに使用するために両画分とも保持される。一部の局面において、不均質な集団の中にある細胞タイプを特異的に特定する抗体が利用できない場合、望ましい集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最も良く行われるように、負の選択が特に有用な場合がある。
【0254】
分離によって、特定のマーカーを発現する特定の細胞集団または細胞が100%濃縮または除去される必要はない。例えば、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の正の選択または濃縮とは、このような細胞の数またはパーセントが増加することを指すが、このマーカーを発現しない細胞が完全に無くなる必要はない。同様に、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の負の選択、除去、または枯渇とは、このような細胞の数またはパーセントが減少することを指すが、このような細胞が全て完全に取り除かれる必要はない。
【0255】
一部の例では、複数回の分離段階が行われ、この場合、ある段階に由来する正に選択された画分または負に選択された画分は別の分離段階、例えば、後の正の選択または負の選択に供される。一部の例では、1回の分離段階で、例えば、それぞれが負の選択のために標的とされるマーカーに特異的な複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、同時に、複数種のマーカーを発現する細胞を枯渇することができる。同様に、様々な細胞タイプの表面に発現している複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプを同時に正に選択することができる。
【0256】
例えば、一部の局面において、特定のT細胞部分母集団、例えば、1種類もしくは複数種の表面マーカーが陽性の細胞または高レベルの1種類もしくは複数種の表面マーカーを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞が正の選択法または負の選択法によって単離される。
【0257】
例えば、CD3+、CD28+T細胞は、CD3/CD28結合磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて正に選択することができる。
【0258】
一部の態様において、単離は、特定の細胞集団を正の選択によって濃縮することによって、または特定の細胞集団を負の選択によって枯渇させることによって行われる。一部の態様において、正の選択または負の選択は、それぞれ、正に選択された細胞または負に選択された細胞の表面に発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカー+)または比較的高いレベルで発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカーhigh)に特異的に結合する1種類または複数種の抗体または他の結合剤と細胞をインキュベートすることによって成し遂げられる。
【0259】
一部の態様において、T細胞は、非T細胞、例えば、B細胞、単球、または他の白血球の表面に発現しているマーカー、例えば、CD14の負の選択によってPBMC試料から分離される。一部の局面において、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために、CD4+選択段階またはCD8+選択段階が用いられる。このようなCD4+集団およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞部分母集団の表面で発現しているか、または比較的多量に発現しているマーカーを対象にした正の選択または負の選択によって部分母集団にさらに選別することができる。
【0260】
一部の態様において、さらに、CD8+細胞は、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞について、例えば、それぞれの部分母集団に関連する表面抗原に基づいた正の選択または負の選択によって濃縮または枯渇される。一部の態様において、効力を高めるために、例えば、長期生存、増殖、および/または投与後の生着を改善するために、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮が行われる。一部の局面において、この効力は、このような部分母集団において特にロバストである。Terakura et al.(2012) Blood.1:72-82; Wang et al.(2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の態様において、TCMが濃縮されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせると効力がさらに高まる。
【0261】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば、抗CD8抗体および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+画分および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮または枯渇することができる。
【0262】
一部の態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の正の、または多量の表面発現に基づいている。一部の局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するか、または多量に発現する細胞を対象にした負の選択に基づいている。一部の局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇と、CD62Lを発現する細胞を対象にした正の選択または濃縮によって行われる。一局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の負の画分から開始して行われ、この画分は、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択と、CD62Lに基づく正の選択に供される。このような選択は一部の局面では同時に行われ、他の局面では連続して、どちらの順序でも行われる。一部の局面において、CD4に基づく分離から正の画分および負の画分が両方とも保持され、この方法の後の段階において、任意で、1つまたは複数のさらなる正の選択段階または負の選択段階の後に用いられるように、CD8+細胞集団または部分母集団の調製において用いられた同じCD4発現に基づく選択段階が、CD4+細胞集団または部分母集団を作製するのにも用いられる。
【0263】
特定の例では、PBMC試料または他の白血球試料はCD4+細胞の選択に供される。この場合、負の画分および正の画分が両方とも保持される。次いで、負の画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく負の選択と、セントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカー、例えば、CD62LまたはCCR7に基づく正の選択に供される。この場合、正の選択および負の選択はどちらの順序でも行われる。
【0264】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによってナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は標準的な方法によって得ることができる。一部の態様において、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の態様において、セントラルメモリーCD4+細胞はCD62L+およびCD45RO+である。一部の態様において、エフェクターCD4+細胞はCD62L-およびCD45RO-である。
【0265】
一例では、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために細胞の分離を可能にするために、抗体または結合パートナーは固体支持体またはマトリックス、例えば、磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、一部の態様において、前記細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気(affinitymagnetic))分離法を用いて分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol.2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説される)。
【0266】
一部の局面において、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さな、磁化可能な、または磁気に反応する材料、例えば、磁気に反応する粒子または微粒子、例えば、常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズ)とインキュベートされる。磁気に反応する材料、例えば、粒子は、一般的に、分離することが望ましい細胞または細胞集団、例えば、負に選択する、または正に選択することが望ましい細胞または細胞集団の表面に存在する分子、例えば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば、抗体に直接的または間接的に取り付けられる。
【0267】
一部の態様において、磁性粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合される、磁気に反応する材料を含む。磁気分離方法において用いられる多くの周知の磁気に反応する材料がある。適切な磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Molday,米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP452342Bに記載の磁性粒子が含まれる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owen 米国特許第4,795,698号およびLiberti et al.,米国特許第5,200,084号に記載のコロイドサイズの粒子が他の例である。
【0268】
インキュベーションは、一般的に、磁性粒子または磁気ビーズに取り付けられている、抗体または結合パートナーまたはこのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば、二次抗体もしくは他の試薬が、もし細胞表面分子が試料中の細胞の表面に存在すれば細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
【0269】
一部の局面において、試料は磁場の中に置かれ、磁気に反応する粒子または磁化可能な粒子が取り付けられている細胞は磁石に引き付けられるか、非標識細胞から分離される。正の選択の場合、磁石に引き付けられた細胞が保持される。負の選択の場合、引き付けられなかった細胞(非標識細胞)が保持される。一部の局面において、同じ選択段階の間に正の選択と負の選択の組み合わせが行われ、正の画分および負の画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離段階を受ける。
【0270】
ある特定の態様において、磁気に反応する粒子は一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、もしくはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の態様において、磁性粒子は、1種類または複数種のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に取り付けられる。ある特定の態様において、前記細胞はビーズではなく、一次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞タイプ特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が添加される。ある特定の態様において、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子が、ビオチン化した一次抗体または二次抗体と一緒に用いられる。
【0271】
一部の態様において、後でインキュベート、培養、および/または操作される細胞に、磁気に反応する粒子を取り付けたままにしておく。一部の局面において、患者に投与するために、前記粒子を細胞に取り付けたままにしておく。一部の態様において、磁化可能な粒子または磁気に反応する粒子は細胞から取り除かれる。磁化可能な粒子を細胞から取り除くための方法は公知であり、例えば、競合する非標識競合抗体、および磁化可能な粒子、または切断可能なリンカーと結合体化した抗体などの使用を含む。一部の態様において、磁化可能な粒子は生分解性である。
【0272】
一部の態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)を介した選択である。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が取り付けられている細胞を高純度で選択することができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場が印加された後に、非標的種および標的種が連続して溶出されるモードで動作する。すなわち、取り付けられなかった種が溶出される間に、磁化粒子に取り付けられた細胞は所定の位置に保たれる。次いで、この第1の溶出段階が完了した後に、磁場に閉じ込められ、溶出しないようにされていた種は、このような種が溶出および回収が可能なように何らかのやり方で遊離される。ある特定の態様において、非標的細胞は標識され、不均質な集団細胞から枯渇される。
【0273】
ある特定の態様において、単離または分離は、前記方法の単離段階、細胞調製段階、分離段階、処理段階、インキュベーション段階、培養段階、および/または製剤化段階の1つまたは複数を行うシステム、装置、または器具を用いて行われる。一部の局面において、前記システムは、例えば、誤り、使用者の操作、および/または汚染を最小限にするために、これらの各段階を閉じた、または無菌の環境において行うのに用いられる。一例では、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載のシステムである。
【0274】
一部の態様において、システムまたは器具は、統合システム型もしくは自立型システムにおいて、および/または自動的に、もしくはプログラム可能なやり方で、単離段階、処理段階、操作段階、および製剤化段階の1つまたは複数、例えば、全てを行う。一部の局面において、システムまたは器具は、使用者が、処理段階、単離段階、操作段階、および製剤化段階の様々な局面をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、および/または調整するのを可能にする、システムまたは器具と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを備える。
【0275】
一部の局面において、例えば、閉じた無菌のシステムにおいて細胞を臨床規模レベルで自動分離するために、分離段階および/または他の段階はCliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を用いて行われる。構成要素には、内蔵型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチ弁が含まれる場合がある。内蔵型コンピュータは一部の局面では機器の全構成要素を制御し、反復手順を統一された順序で行うようにシステムを命令する。磁気分離ユニットは、一部の局面では、可動性の永久磁石および選択カラム用のホルダを備える。蠕動ポンプはチューブセット全体にわたる流速を制御し、ピンチ弁と一緒に、緩衝液がシステムを制御されて流れ、細胞が絶え間なく懸濁されるのを確かなものにする。
【0276】
CliniMACSシステムは、一部の局面では、滅菌した非発熱性の溶液に溶解して供給される、抗体に結合した磁化可能な粒子を使用する。一部の態様において、細胞は磁性粒子で標識された後に、余分な粒子を除去するために洗浄される。次いで、細胞調製バッグがチューブセットに接続され、そして次にチューブセットは緩衝液含有バックおよび細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含む予め組み立てられた滅菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムが開始した後に、システムは分離カラムに細胞試料を自動的にアプライする。標識された細胞はカラム内に保持されるのに対して、標識されなかった細胞は一連の洗浄段階によって除去される。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識されず、カラム内に保持されない。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識され、カラム内に保持される。一部の態様において、磁場が取り除かれた後に、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団はカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0277】
ある特定の態様において、分離段階および/または他の段階はCliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。CliniMACS Prodigyシステムには、一部の局面では、細胞を自動洗浄し、遠心分離によって分画する細胞処理ユニット(cell processing unity)が付いている。CliniMACS Prodigyシステムはまた、内蔵カメラと、供給源の細胞産物の巨視的な層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する画像認識ソフトウェアも備えている場合がある。例えば、末梢血は赤血球、白血球、および血漿の層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、細胞培養プロトコール、例えば、細胞分化および増殖、抗原添加、ならびに長期細胞培養を行う内臓型細胞発育チャンバーも備えている場合がある。インプットポートを用いると、培地を無菌的に取り出し、補充することができる。細胞は、内臓型顕微鏡を用いてモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660, Terakuraet al.(2012) Blood.1:72-82、およびWang et al.(2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0278】
一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団はフローサイトメトリーを介して収集および濃縮(または枯渇)される。フローサイトメトリーでは、複数種の細胞表面マーカーについて染色された細胞は流体の流れに入って運ばれる。一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、分取スケール(preparative scale)(FACS)選別を介して収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出系と組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを用いることによって収集および濃縮(または枯渇)される(例えば、WO2010/033140, Cho et al.(2010) Lab Chip 10, 1567-1573;および Godin et al.(2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合でも、細胞は複数種のマーカーで標識することができ、それによって、詳細に明らかにされたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能になる。
【0279】
一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために分離を容易にするために、抗体または結合パートナーは1種類または複数種の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は蛍光標識抗体との結合に基づいてもよい。一部の例では、1種類または複数種の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、流体の流れの中で、例えば、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを備える蛍光標識細胞分取(FACS)によって、例えば、フローサイトメトリー検出系と組み合わせて行われる。このような方法を用いると、複数種のマーカーに基づいて正の選択および負の選択を同時に行うことができる。
【0280】
一部の態様において、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後に細胞を凍結、例えば、凍結保存するための段階を含む。一部の態様において、凍結段階およびその後の解凍段階によって、細胞集団の中にある顆粒球が取り除かれ、単球がある程度まで取り除かれる。一部の態様において、例えば、血漿および血小板を取り除く洗浄段階の後に、前記細胞は凍結溶液に懸濁される。様々な任意の公知の凍結溶液およびパラメータを一部の局面で使用することができる。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを伴う。次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、これを培地で1:1に希釈する。次いで、細胞は一般的に1分につき1°の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相の中で保管される。
【0281】
一部の態様において、前記細胞は遺伝子操作の前に、または遺伝子操作に関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション段階は、培養、発育、刺激、活性化、および/または増殖を含んでもよい。インキュベーションおよび/または操作は、培養容器、例えば、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、弁、バイアル、培養皿、バック、または細胞を培養もしくは発育するための他の容器の中で行われてもよい。一部の態様において、前記組成物または細胞は刺激条件または刺激薬剤の存在下でインキュベートされる。このような条件は、遺伝子操作のために、例えば、組換え抗原受容体を導入するために、集団内の細胞の増殖(proliferation)、増殖(expansion)、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または細胞を初回刺激(prime)するように設計された条件を含む。
【0282】
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば、栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された他の任意の薬剤のうち1つまたは複数を含んでもよい。
【0283】
一部の態様において、刺激条件または刺激薬剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1種類または複数種の薬剤、例えば、リガンドが含まれる。一部の局面において、この薬剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードをオンにするか、または開始する。このような薬剤は、TCRに特異的な抗体、例えば抗CD3を含み得る。一部の態様において、刺激条件は共刺激受容体、例えば抗CD28を刺激することができる1つまたは複数の薬剤、例えばリガンドを含む。一部の態様において、ビーズなどの固体支持体に結合した、このような薬剤、および/またはリガンドは、1種類もしくは複数種のサイトカインを含み得る。任意で、増殖方法は、抗CD3および/または抗CD28の抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)培養培地に添加する段階をさらに含んでもよい。一部の態様において、刺激薬剤には、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。一部の態様においては、IL-2の濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0284】
一部の局面において、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakuraet al.(2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al.(2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載の技法などの技法に従って行われる。
【0285】
一部の態様において、T細胞は、(例えば、結果として生じた細胞集団が、増殖させようとする初期集団内でTリンパ球1個につき少なくとも約5個、10個、20個、もしくは40個またはそれより多いPBMCフィーダー細胞を含有するように)フィーダー細胞、例えば、非分裂末梢血単核球(PBMC)を培養開始組成物に添加し、培養物を(例えば、T細胞の数を増やすのに十分な時間にわたって)インキュベートすることによって増殖される。一部の局面において、非分裂フィーダー細胞はγ線を照射したPBMCフィーダー細胞を含んでもよい。一部の態様において、細胞分裂を阻止するために、PBMCに約3000~3600ラドの範囲のγ線が照射される。一部の局面において、フィーダー細胞が培養培地に添加された後に、T細胞の集団が添加される。
【0286】
一部の態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般的には少なくとも約30度、および一般的には37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂性のEBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加する段階をさらに含んでもよい。LCLに、約6000~10,000ラドの範囲のγ線を照射することができる。LCLフィーダー細胞は、一部の局面では、LCLフィーダー細胞と初回Tリンパ球との比が少なくとも約10:1などの任意の適切な量で提供される。
【0287】
態様において、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的なTリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染対象からT細胞を単離し、前記細胞をインビトロで同じ抗原で刺激することによって作製することができる。
【0288】
IV.組成物および製剤
一部の態様では、組換え抗原受容体、例えば、CARまたはTCRを用いて操作された細胞を含む前記用量の細胞は、薬学的組成物または薬学的製剤などの組成物または製剤として提供される。このような組成物は、提供される方法に従って、例えば、疾患、状態、および障害の予防もしくは処置において、または検出方法、診断方法、および予後予測方法において使用することができる。
【0289】
用語「薬学的製剤」は、「薬学的製剤」に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になるような形をとり、製剤が投与される対象に対して容認できないほどの毒性がある、さらなる成分を含有しない調製物を指す。
【0290】
「薬学的に許容される担体」とは、対象に無毒な、活性成分以外の、薬学的製剤中にある成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これに限定されない。
【0291】
一部の局面では、担体の選択は、一つには、特定の細胞もしくは薬剤によって、および/または投与方法によって決定される。従って、様々な適切な製剤がある。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含有してもよい。適切な防腐剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。一部の局面では、2種類以上の防腐剤の混合物が用いられる。防腐剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般的に、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の糖質;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を含むが、これに限定されない。
【0292】
一部の局面では、緩衝剤が前記組成物に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。一部の局面では、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.001%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)において、さらに詳細に説明されている。
【0293】
前記製剤または組成物はまた、前記細胞または薬剤で予防または処置されている特定の適応症、疾患、または状態に有用な複数種の活性成分も含有してよく、この場合、それぞれの活性は互いに悪影響を及ぼさない。このような活性成分は、所期の目的に有効な量で組み合わせられて適切に存在する。従って、一部の態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどをさらに含む。一部の態様では、前記薬剤または細胞は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形で投与される。適切な薬学的に許容される酸添加塩には、鉱酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸に由来する塩、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸に由来する塩が含まれる。
【0294】
活性成分はマイクロカプセルに封入されてもよく、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)に封入されてもよく、マクロエマルジョンに封入されてもよい。ある特定の態様では、薬学的組成物は封入複合体(例えば、シクロデキストリン封入複合体)として、またはリポソームとして製剤化される。リポソームは、薬剤または宿主細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を特定の組織に標的指向するのに役立つことができる。リポソームを調製するために多くの方法、例えば、Szoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467 (1980)ならびに米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、および同第5,019,369号に記載の方法を利用することができる。
【0295】
薬学的組成物は、一部の局面では、処置しようとする部位の感作の前に、かつ処置しようとする部位の感作を引き起こすのに十分な時間をかけて組成物が送達されるように、徐放性送達系、遅延放出送達系、および持続放出送達系を使用することができる。多くのタイプの放出送達系が利用可能であり、公知である。このような系を用いると、組成物の反復投与を避け、それによって、対象および医師に対する利便性を向上させることができる。
【0296】
薬学的組成物は、一部の態様では、薬剤または細胞を、前記疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で含む。治療効力または予防効力は、一部の態様では、処置される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。状態に応じて数日またはそれより長期間にわたって反復投与するために、疾患症状の望ましい抑止が起こるまで処置は繰り返される。しかしながら、他の投与計画が有用な場合があり、確かめることができる。望ましい投与量は組成物の単回大量瞬時投与によって送達されてもよく、組成物の複数回大量瞬時投与によって送達されてもよく、組成物の連続注入投与によって送達されてもよい。
【0297】
前記の薬剤または細胞は、任意の適切な手段によって、例えば、大量瞬時注入によって、注射、例えば、静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後強膜近傍送達によって投与することができる。一部の態様では、前記の薬剤または細胞は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、所望であれば、局所処置の場合、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。一部の態様では、ある特定の用量が前記の細胞または薬剤の単回大量瞬時投与によって投与される。一部の態様では、ある特定の用量が、前記細胞または薬剤の複数回大量瞬時投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または前記細胞または薬剤の連続注入投与によって投与される。
【0298】
疾患の予防または処置のために、適切な投与量は、治療される疾患のタイプ、薬剤のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、薬剤または細胞が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、対象の病歴、ならびに薬剤または細胞に対応する応答、ならびに主治医の判断に左右されることがある。前記組成物は、一部の態様では、一度に、または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
【0299】
前記の細胞および薬剤は、標準的な投与技法、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。前記組成物を保管および投与するための製剤および装置、例えば、注射器およびバイアルが提供される。細胞について、投与は自家投与でもよく、または異種投与でもよい。例えば、ある対象から免疫応答性細胞または前駆細胞を入手し、同じ対象または異なる適合性の対象に投与することができる。末梢血に由来する免疫応答性細胞またはその子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで得られる)を、カテーテル投与を含む局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子組換えされた免疫応答性細胞、または神経毒性の症状を処置するか、もしくは回復させる薬剤を含有する薬学的組成物)が投与される時に、一般的に、注射用単位剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)の形で製剤化される。
【0300】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頬投与、舌下投与、または坐剤投与のための製剤が含まれる。一部の態様では、前記の薬剤または細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用する用語「非経口」は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、および腹腔内投与を含む。一部の態様では、前記の薬剤または細胞集団は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0301】
組成物は、一部の態様では、滅菌した液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液として提供されるか、または粘性のある組成物として提供され、これらは、一部の局面では、選択されたpHまで緩衝化されてもよい。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性のある組成物、および固体組成物より調製しやすい。さらに、液体組成物の方が、投与するのに、特に、注射によって投与するのに若干便利である。他方で、粘性のある組成物は、特定の組織との長い接触期間をもたらすように適切な粘性の範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性のある組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒でもよい担体を含んでもよい。
【0302】
滅菌注射液は、前記の薬剤または細胞を溶媒の中に取り入れて、例えば、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合して調製することができる。前記組成物は凍結乾燥することもできる。前記組成物は、望ましい投与経路および調製物に応じて、補助物質、例えば、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または粘性を高める添加物、防腐剤、着香剤、染料などを含有することができる。一部の局面では、適切な調製物を調製するために標準的な教科書が調べられる場合がある。
【0303】
抗菌性防腐剤、抗酸化物質、キレート剤、および緩衝液を含む、前記組成物の安定性および無菌性を向上させる様々な添加物を添加することができる。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって防止することができる。注射用薬学的剤形の長期吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによって引き起こすことができる。
【0304】
持続放出調製物が調製されてもよい。持続放出調製物の適切な例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成型物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形をとる。
【0305】
インビボ投与のために使用しようとする製剤は一般的に無菌である。無菌性は、容易に、例えば、滅菌濾過膜で濾過することによって成し遂げられ得る。
【0306】
V.製造物品およびキット
組換え受容体を発現する操作された細胞またはその組成物と、任意で、使用説明書、例えば、提供される方法に従って投与するための説明書とを備える製造物品およびキットも提供される。
【0307】
一部の態様では、治療的有効量の任意の本明細書に記載の操作された細胞を含む組成物と、疾患または状態を処置するために対象に投与するための説明書とを備える製造物品および/またはキットが提供される。一部の態様では、説明書は、本明細書において提供される方法の要素の一部または全てを指定することができる。一部の態様では、説明書は、細胞療法のために細胞を投与するための細かい指示、例えば、用量、タイミング、投与のための対象の選択および/または特定、ならびに投与のための状態を指定する。一部の態様では、製造物品および/またはキットは、リンパ球枯渇療法用の薬剤をさらに備え、任意で、リンパ球枯渇療法を適用するための説明書をさらに備える。一部の態様では、説明書は、投与のための組成物に付随するラベルまたは添付文書として含まれてもよい。
【0308】
一部の態様では、説明書は、療法のために対象を選択または特定するための判断基準を指定する。一部の態様では、このような判断基準は、高リスクCLLを有する対象を含む。一部の態様では、説明書は、任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;対象が高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは対象が骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは対象は成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超であることを指定する。一部の態様では、選択または特定のための判断基準は、対象が高リスクNHLを有することを含む。一部の態様では、任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象は特定されるか、または特定されている;対象は、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいはNHLは、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは対象は成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である。
【0309】
一部の態様では、説明書は、対象が、白血病、例えば、CLLまたはNHLを処置するための1種類または複数種の以前の治療または前治療を受けたことがある対象、例えば、2種類、3種類、4種類、またはそれより多い前治療を受けたことがある対象であると指定する。一部の態様では、説明書は、対象が、このような前治療の1つもしくは複数を受けた後に、このような前治療に対して難治性になっているか、もしくは難治性になっている可能性が高い、および/または再発したと特定されれば、細胞療法、例えば、CAR+T細胞を用いた処置のために選択されることを指定する。
【0310】
一部の態様では、説明書は、投与しようとする細胞の用量を指定する。例えば、一部の態様では、説明書は、前記用量が、(i)(a)対象の体重1キログラムにつき2x105個もしくは約2x105個の細胞(細胞/kg);(b)2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg;(c)2x106個以下もしくは約2x106個以下の細胞/kg;(d)2x105個以下もしくは約2x105個以下の細胞/kg;および/または(e)2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kgを含むことを指定する。一部の態様では、説明書は、細胞療法の標的を含む細胞療法の細部を指定し、例えば、細胞療法が、CD19を標的とする細胞療法であることを指定する。一部の態様では、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含む、CAR+で操作された細胞の投与を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であることを指定する。
【0311】
一部の態様では、製造物品および/またはキットは、本明細書に記載のような、療法、例えば、リンパ球枯渇療法および/または併用療法のための1種類または複数種のさらなる薬剤と、任意で、さらなる薬剤を投与するための説明書をさらに備える。一部の態様では、製造物品および/またはキットは、生物学的試料、例えば、投与の候補である対象または前記療法が適用されている対象に由来する生物学的試料をアッセイするための1種類または複数種の試薬と、任意で、試薬またはアッセイを使用するための説明書をさらに備える。一部の態様では、試薬は、診断目的で、対象を特定するために、ならびに/または処置アウトカムおよび/もしくは毒性を評価するために細胞療法の適用前に使用されてもよく、細胞療法の適用後に使用されてもよい。例えば、一部の態様では、製造物品および/またはキットは、毒性に関連する特定のバイオマーカー、例えば、サイトカインのレベルを測定するための試薬と、測定のための説明書をさらに備える。一部の態様では、試薬は、バイオマーカーを測定するインビトロアッセイ、例えば、イムノアッセイ、アプタマーに基づくアッセイ、組織学的アッセイもしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイを行うための成分を含む。一部の態様では、インビトロアッセイは、酵素結合免疫測定法(ELISA)、イムノブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学ルミネセンスアッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイより選択される。一部の局面では、試薬は、バイオマーカーに特異的に結合する結合試薬である。場合によっては、結合試薬は、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、または核酸プローブである。
【0312】
製造物品および/またはキットは、容器と、前記容器の表面にあるか、または前記容器に付けられたラベルまたは添付文書を備えてもよい。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル、注射器、IV溶液バッグなどが含まれる。前記容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。前記容器は、一部の態様では、組成物そのもの、または状態を処置、予防、および/または診断するのに有効な別の組成物と組み合わされた組成物を保持する。一部の態様では、前記容器は無菌のアクセスポートを有する。例示的な容器には、注射用に針で穴を開けることができる栓が付いたものを含む、静脈内溶液バッグ、バイアル、または経口投与される薬剤のための瓶もしくはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、前記組成物が、CLLまたはNHLなどの疾患または状態を処置するのに用いられることを示すことがある。
【0313】
製造物品は、組換え受容体を発現する操作された細胞を含む組成物が中に入れられている容器を備えてもよく、場合によっては、1種類または複数種のさらなる薬剤を含む組成物が中に入れられている1つまたは複数のさらに容器を備えてもよい。製造物品は、前記組成物が、特定の状態を処置するのに使用することができることを示す添付文書をさらに備えてもよい。代わりに、または加えて、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を収容する別の容器または同じ容器をさらに備えてもよい。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および/または注射器などの他の材料をさらに備えてもよい。
【0314】
VI.例示的態様
提供される態様は以下のとおりである。
[1]
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[2]
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、または慢性リンパ性白血病(CLL)を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
CLLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8~約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[3]
ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、態様1記載の方法。
[4]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様1または態様3記載の方法。
[5]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、別の用量のCAR発現細胞以外の、または別の用量のCAR発現細胞とプレコンディショニング療法以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様1または態様3記載の方法。
[6]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、キナーゼ阻害剤、任意で、Btk阻害剤、任意で、イブルチニブを用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様1~5のいずれか一項記載の方法。
[7]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様1~6のいずれか一項記載の方法。
[8]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様1~7のいずれか一項記載の方法。
[9]
ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、態様1~8のいずれか一項記載の方法。
[10]
細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に施す段階をさらに含む、態様1~9のいずれか一項記載の方法。
[11]
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m
2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、態様1~10のいずれか一項記載の方法。
[12]
細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法が、外来送達を介して行われる、態様1~11のいずれか一項記載の方法。
[13]
ある用量の細胞が、規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、態様1~12のいずれか一項記載の方法。
[14]
ある用量の細胞が非経口投与される、任意で静脈内投与される、態様1~13のいずれか一項記載の方法。
[15]
前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす;ならびに/あるいは
対象が、ある用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、CR、OR、またはサイズが20mm未満もしくは約20mm未満のリンパ節を示す;ならびに/あるいは
悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子(IGH)座および/またはCLLの指標クローンが対象の骨髄において(または該方法に従って処置された対象の50%超の骨髄において)、任意で、IGHディープシークエンシングによって評価された時に、任意で、細胞用量を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、あるいは少なくとも、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない、態様1~14のいずれか一項記載の方法。
[16]
前記方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)を果たす、12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;
平均して、該方法に従って処置された対象が、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSもしくはOSの中央値を示す;および/あるいは
対象が、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す、態様1~15のいずれか一項記載の方法。
[17]
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、態様1~16のいずれか一項記載の方法。
[18]
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~17のいずれか一項記載の方法。
[19]
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、態様1~18のいずれか一項記載の方法。
[20]
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含み、
(ii)規定された比の、CD4
+CAR発現細胞:CD8
+CAR発現細胞、および/またはCD4
+細胞:CD8
+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[21]
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
(ii)規定された比の、CD4
+CAR発現細胞:CD8
+CAR発現細胞、および/またはCD4
+細胞:CD8
+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[22]
ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、態様20記載の方法。
[23]
ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様20または態様22記載の方法。
[24]
ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、態様20~23のいずれか一項記載の方法。
[25]
細胞用量の投与前にリンパ球枯渇療法を対象に施す段階をさらに含む、態様20~24のいずれか一項記載の方法。
[26]
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m
2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、態様20~25のいずれか一項記載の方法。
[27]
細胞用量の投与および/またはリンパ球枯渇療法が、外来送達を介して行われる、態様20~26のいずれか一項記載の方法。
[28]
規定された比が、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞の、1:1もしくは約1:1の規定された比である、態様20~27のいずれか一項記載の方法。
[29]
ある用量の細胞が非経口投与される、任意で静脈内投与される、態様20~28のいずれか一項記載の方法。
[30]
態様20~29のいずれか一項記載の方法に従って処置された対象の少なくとも50%が、完全寛解(CR)および/または全奏効(OR)を果たす、態様20~29のいずれか一項記載の方法。
[31]
前記方法に従って処置され、かつ完全寛解(CR)を果たした対象の少なくとも50%が、12ヶ月超の無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示す;
平均して、該方法に従って処置された対象が、6ヶ月超、12ヶ月超、もしくは18ヶ月超、または約6ヶ月超、約12ヶ月超、もしくは約18ヶ月超のPFSまたはOSの中央値を示す;ならびに/あるいは
対象が、療法後に、少なくとも、6ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、もしくはそれより長く、または約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、もしくはそれより長くPFSまたはOSを示す、態様20~30のいずれか一項記載の方法。
[32]
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、態様20~31のいずれか一項記載の方法。
[33]
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様20~32のいずれか一項記載の方法。
[34]
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、態様20~33のいずれか一項記載の方法。
[35]
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、態様1~34のいずれか一項記載の方法。
[36]
予後予測の方法であって、以下の段階を含む、方法:
B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子(IGH)座配列の存在または非存在を検出する段階であって、
対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階によって、細胞療法に応答した対象の予後が確かめられる、段階。
[37]
悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階が、細胞療法の開始後、3~6週間以内もしくは約3~約6週間以内、または細胞療法の開始の約3~約6週間後に、任意で、細胞療法の適用を開始して4週間以内または約4週間以内に行われる、態様36記載の方法。
[38]
悪性IGH配列が検出されれば、対象が、細胞療法に応答しないか、または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示さないか、あるいは細胞療法に対して再発する可能性が高いと特定される、態様36または態様37記載の方法。
[39]
悪性IGH配列が検出されれば、さらなる処置の候補、および/または変更された処置もしくは代替の処置を受けるための候補であると対象が特定される、態様36~38のいずれか一項記載の方法。
[40]
悪性IGH配列が検出されれば、細胞療法の適用を中断する段階、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、さらに高用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる、態様36~38のいずれか一項記載の方法。
[41]
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、細胞療法に応答すると特定される、および/または細胞療法に対して完全奏功(CR)もしくは全奏効(OR)を示すと特定されるか、あるいは細胞療法に対して再発しない可能性が高いと特定される、態様36または態様37記載の方法。
[42]
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、これ以上処置をしない候補であると特定される、および/またはこれ以上処置されない、任意で、細胞療法を用いて、これ以上処置されない、および/またはB細胞悪性腫瘍の代替療法を用いてこれ以上処置されない、態様36、37、および41のいずれか一項記載の方法。
[43]
細胞療法に対する応答の永続性を予測する方法であって、以下の段階を含む、方法:
B細胞悪性腫瘍を有する対象に由来する試料において悪性免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IGH)配列の存在または非存在を検出する段階であって、
対象が、B細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現するある用量の遺伝子操作された細胞を含む細胞療法、またはB細胞悪性腫瘍を処置するための組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞の組成物を含む細胞療法の適用を、以前に受けたことがあり、悪性IGH配列の存在または非存在から、細胞療法に対する応答の永続性が予測される、段階。
[44]
悪性IGH配列の存在または非存在を検出する段階が、細胞療法の開始後、4週間以内、6週間以内、8週間以内、12週間以内、もしくは16週間以内に、または約4週間以内、約6週間以内、約8週間以内、約12週間以内、もしくは約16週間以内に、あるいは細胞療法を開始して約4週間後、約6週間後、約8週間後、約12週間後、もしくは約16週間後に行われる、態様43記載の方法。
[45]
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、細胞療法に対して永続性のある応答を示すか、もしくは細胞療法に対して永続性のある応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが低いか、もしくは比較的低いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が高いと予測される、態様43または態様44記載の方法。
[46]
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存を示すと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していると予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって永続性のあるCRまたはORを示すと予測される;および/あるいは
細胞療法の適用開始後に再発する可能性が低い、任意で、細胞療法の適用開始後、3ヶ月以内、6ヶ月以内、または9ヶ月以内に再発する可能性が低いと予測される、態様43~45のいずれか一項記載の方法。
[47]
悪性IGH配列が検出されれば、対象が、細胞療法に対して永続性のない応答を示すか、もしくはその応答を示す可能性が高いと予測される、および/またはある特定の期間内で再発するリスクが高いか、もしくは比較的高いと予測される、および/または少なくとも、ある特定の期間にわたって無増悪生存を示す可能性が低いと予測される、態様43または態様44記載の方法。
[48]
悪性IGH配列が検出されなければ、対象が、
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月、約6ヶ月超、約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって増悪の無い生存を示さないと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、9ヶ月超もしくは約9ヶ月超、または約12ヶ月超にわたって生存していないと予測される;および/あるいは
細胞療法の開始後、3ヶ月超もしくは約3ヶ月超、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または9ヶ月超もしくは約9ヶ月超にわたって永続性のあるCRまたはORを示さないと予測される、態様43または態様44記載の方法。
[49]
悪性IGH配列が検出されれば、さらなる用量の細胞療法を対象に適用する段階、より高い用量の細胞療法を対象に適用する段階、異なる細胞療法、任意で、異なる組換え受容体を発現する細胞療法を対象に適用する段階、および/またはB細胞悪性腫瘍を処置するための代替治療剤を対象に投与する段階が行われる、態様43、44、および48記載の方法。
[50]
悪性IGH配列の存在または非存在が、IGH配列決定、任意で、IGH標的DNAのPCR増幅を含むIGH配列決定によって確かめられる、態様36~49のいずれか一項記載の方法。
[51]
試料がB細胞を含む、態様36~38のいずれか一項記載の方法。
[52]
試料が血液または骨髄試料を含む、態様36~51のいずれか一項記載の方法。
[53]
試料が対象から得られている、態様36~52のいずれか一項記載の方法。
[54]
エクスビボで行われる、態様36~53のいずれか一項記載の方法。
[55]
B細胞悪性腫瘍ががんである、態様36~54のいずれか一項記載の方法。
[56]
B細胞悪性腫瘍が白血病であるか、白血病を含む、態様36~55のいずれか一項記載の方法。
[57]
B細胞悪性腫瘍が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33もしくはCD38、ROR1より選択される抗原を含むか、またはCD19、CD20、CD22、CD30、CD33もしくはCD38、ROR1より選択される抗原に関連する、態様37~56のいずれか一項記載の方法。
[58]
B細胞悪性腫瘍が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)より選択される、ならびに/または急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、態様36~57のいずれか一項記載の方法。
[59]
B細胞悪性腫瘍が慢性リンパ芽球性白血病(CLL)もしくは高リスクCLLであるか、または慢性リンパ芽球性白血病(CLL)もしくは高リスクCLLを含む、態様37~58のいずれか一項記載の方法。
[60]
B細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫(NHL)であるか、または非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む、態様37~58のいずれか一項記載の方法。
[61]
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(低悪性度リンパ腫から新たにトランスフォームしたもの)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される、態様60記載の方法。
[62]
組換え受容体が、疾患もしくは状態に関連する抗原、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変部の環境の細胞において発現している抗原に特異的に結合する、態様37~61のいずれか一項記載の方法。
[63]
組換え受容体がT細胞受容体または機能的非T細胞受容体である、態様37~62のいずれか一項記載の方法。
[64]
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様37~63のいずれか一項記載の方法。
[65]
CARが、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインがCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む;および/または
任意でCD28もしくは4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、補助刺激シグナル伝達領域を、CARがさらに含む、態様64記載の方法。
[66]
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様37~65のいずれか一項記載の方法。
[67]
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、態様37~66のいずれか一項記載の方法。
[68]
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、態様37~67のいずれか一項記載の方法。
[69]
操作された細胞が、T細胞、任意でCD4+および/またはCD8+を含む、態様37~68のいずれか一項記載の方法。
[70]
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様69記載の方法。
[71]
操作された細胞が対象の自己細胞である、態様37~70のいずれか一項記載の方法。
[72]
操作された細胞が対象に対して同種異系の細胞である、態様37~71のいずれか一項記載の方法。
[73]
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞/kg~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
[74]
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、ある用量の細胞が、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
[75]
フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書をさらに備える、態様73記載の製造物品。
[76]
細胞療法が、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、12トリソミー、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;
高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される
と説明書が指定する、態様73または態様75記載の製造物品。
[77]
細胞療法が、
リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
キナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される;ならびに/あるいは
ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いてCLLに対する処置を受けたことがある対象に適用される
と説明書が指定する、態様73~76のいずれか一項記載の製造物品。
[78]
細胞療法が、
CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される
と説明書が指定する、態様73~77のいずれか一項記載の製造物品。
[79]
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞/kg~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
[80]
1つまたは複数の用量の細胞療法と、細胞療法を適用するための説明書とを備える製造物品であって、各用量が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、
説明書は、該用量の細胞が、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与される、と指定し、
説明書が、ある数のCAR発現細胞もしくはある数の細胞の投与を指定するか、または該指定された数の細胞に対応するかもしくは該指定された数の細胞を含有する量もしくは体積の1つもしくは複数の製剤の投与を指定し、
投与しようとする細胞の指定された数が、
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含む用量の細胞を投与するための数を含む、製造物品。
[81]
フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と一緒に、フルダラビンを含むリンパ球枯渇療法の後に、またはフルダラビンを含むリンパ球枯渇療法と共に使用するための説明書をさらに備える、態様79記載の製造物品。
[82]
細胞療法が、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;
高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている対象に適用される;ならびに/あるいは
高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される対象に適用される;ならびに/あるいは
成人である、および/あるいは30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である対象に適用される
と説明書が指定する、態様79または態様81記載の製造物品。
[83]
細胞療法が、
リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある対象に適用される
と説明書が指定する、態様79~82のいずれか一項記載の製造物品。
[84]
細胞療法が、
NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている対象に適用される
と説明書が指定する、態様79~83のいずれか一項記載の製造物品。
[85]
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;および/または
(ii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/もしくは約25mg/m
2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、態様73~84のいずれか一項記載の製造物品。
[86]
リンパ球枯渇療法が、少なくとも、細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞療法の適用の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始されることを説明書が指定する、態様73~84のいずれか一項記載の製造物品。
[87]
説明書が、CD4
+CAR発現細胞:CD8
+細胞の規定された比で細胞療法を適用することを指定するか、またはこのような規定された比に対応する量の体積の製剤を投与することを指定するか、あるいはこのような比の細胞を有する製剤を含むか、またはCARを発現する、このような比の細胞、および/もしくはCD4
+細胞:CD8
+細胞のこのような比の細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、態様73~86のいずれか一項記載の製造物品。
[88]
細胞療法が非経口適用用、任意で静脈内適用用であることを説明書がさらに指定する、態様73~87のいずれか一項記載の製造物品。
[89]
細胞療法の適用が、
外来の場で、および/あるいは一晩または1日もしくは何日か連続して対象を病院に収容することなく、対象に適用されるか、または適用されてもよく、ならびに/あるいは1日もしくは何日かにわたって対象を病院に収容することなく対象に適用される
と説明書がさらに指定する、態様73~88のいずれか一項記載の製造物品。
[90]
細胞療法が、対象から得られた初代T細胞を含む、態様73~89のいずれか一項記載の製造物品。
[91]
T細胞が対象の自己T細胞である、態様89記載の製造物品。
[92]
T細胞が対象に対して同種異系のT細胞である、態様91記載の製造物品。
[93]
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様73~92のいずれか一項記載の製造物品。
[94]
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、態様73~93のいずれか一項記載の製造物品。
[95]
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、態様93または態様94記載の製造物品。
[96]
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、態様73~95のいずれか一項記載の製造物品。
[97]
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/または
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[98]
慢性リンパ性白血病(CLL)を有するか、またはCLLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、CLLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;および/または
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[99]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクCLLに関連する、任意で複雑核型、13番染色体の長腕の欠失(del13q)、del11、トリソミー12、del17p、del6q、およびdel13q.14より選択される、任意でFISHによって検出される、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が高リスクCLLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が骨髄外疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が中枢神経系(CNS)疾患を有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、態様97または態様98記載の使用。
[100]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様97~99のいずれか一項記載の使用。
[101]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、別の用量のCAR発現細胞以外の、または別の用量のCAR発現細胞とプレコンディショニング療法以外の、CLLに対する2種類以上の、任意で、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、もしくは9種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様97~100のいずれか一項記載の使用。
[102]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、キナーゼ阻害剤、任意でBtk阻害剤、任意でイブルチニブを用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様97~101のいずれか一項記載の使用。
[103]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、CLLの細胞によって発現された抗原またはCLLの細胞によって以前に発現された抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様97~102のいずれか一項記載の使用。
[104]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、ベネトクラクス、フルダラビンとリツキシマブを含む併用療法、放射線療法、および/または造血幹細胞移植(HSCT)を用いたCLLに対する処置を受けたことがある、態様97~102のいずれか一項記載の使用。
[105]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、CLLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはCLLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、態様97~102のいずれか一項記載の使用。
[106]
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、処置が以下の段階を含む、組成物:
NHLによって発現された標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ある用量の細胞を対象に投与する段階、
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)対象の体重1キログラムにつき2x10
5個もしくは約2x10
5個の細胞(細胞/kg);
(b)2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg;
(c)2x10
6個以下もしくは約2x10
6個以下の細胞/kg;
(d)2x10
5個以下もしくは約2x10
5個以下の細胞/kg;および/あるいは
(e)2x10
5個もしくは約2x10
5個~2x10
6個もしくは約2x10
6個の細胞/kg
を含み、
(ii)規定された比の、CD4
+CAR発現細胞:CD8
+CAR発現細胞、および/またはCD4
+細胞:CD8
+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[107]
非ホジキンリンパ腫(NHL)を有するか、またはNHLを有すると疑われる対象の処置において使用するための、NHLの標的抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物であって、投与が以下の段階を含む、組成物:
ある用量のCAR発現細胞を対象に投与する段階であって、
該用量が、
(i)
(a)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞または全CAR発現細胞;
(b)1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞または全CAR発現細胞;
(c)1x10
7個以下もしくは約1x10
7個以下の全細胞もしくは全CAR発現細胞;
(d)1.5x10
8個以下もしくは約1.5x10
8個以下の全細胞または全CAR発現細胞;および/あるいは
(e)1x10
7個もしくは約1x10
7個の全細胞もしくは全CAR発現細胞~1.5x10
8個もしくは約1.5x10
8個の全細胞もしくは全CAR発現細胞
を含み、
(ii)規定された比の、CD4
+CAR発現細胞:CD8
+CAR発現細胞、および/またはCD4
+細胞:CD8
+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、
投与前に、対象が、フルダラビン投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、段階。
[108]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与前に、
任意で高リスクNHLに関連する、1つまたは複数の細胞遺伝学的異常を有すると対象が特定されるか、または特定されている;
対象が、高リスクNHLを有すると特定されるか、または特定されている;ならびに/あるいは
NHLが、高悪性度NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)からなる群より選択される;ならびに/あるいは
対象が成人である、および/または30歳超、40歳超、50歳超、60歳超、もしくは70歳超であるか、または約30歳超、約40歳超、約50歳超、約60歳超、もしくは約70歳超である、態様106または態様107記載の使用。
[109]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与前に、対象が、リンパ球枯渇療法以外の、および/または別の用量のCAR発現細胞以外の、NHLに対する2種類以上の、任意で2種類、3種類、4種類、またはそれより多い療法で処置されたことがある、態様106~108のいずれか一項記載の使用。
[110]
組成物が、対象の処置において使用するためのものであり、ある用量の細胞の投与時または投与直前に、対象が、NHLに対する1種類もしくは複数種の前治療による処置後、寛解後に再発したか、またはNHLに対する1種類もしくは複数種の前治療に対して難治性になっている、態様106~109のいずれか一項記載の使用。
[111]
リンパ球枯渇療法が、
(i)任意でシクロホスファミドである、フルダラビン以外の別の化学療法剤を投与する段階をさらに含む;
(ii)少なくとも、細胞投与の48時間前もしくは約48時間前の時間に、または細胞投与の48時間前もしくは約48時間前~96時間前もしくは約96時間前の時間に開始される;ならびに
(iii)約30~60mg/kgの、任意で1日または2日にわたって1日1回の、シクロホスファミド、および/または約25mg/m
2の、3~5日にわたって毎日のフルダラビンの投与を含む、態様97~110のいずれか一項記載の使用。
[112]
処置が、外来送達を介した細胞用量および/またはリンパ球枯渇療法の適用を含む、態様97~101のいずれか一項記載の使用。
[113]
細胞の組成物および/または用量が、規定された比の、CD4+CAR発現細胞:CD8+CAR発現細胞、および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、比が、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、態様97~112のいずれか一項記載の使用。
[114]
細胞の組成物および/または用量が、非経口投与用、任意で静脈内投与用に製剤化されている、態様97~113のいずれか一項記載の使用。
[115]
抗原がB細胞抗原、任意でCD19である、態様97~114のいずれか一項記載の使用。
[116]
CARが、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様97~115のいずれか一項記載の使用。
[117]
CARがスペーサーおよび/またはヒンジ領域を含み、それぞれが任意でヒトIgGに由来する、態様97~116のいずれか一項記載の使用。
[118]
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含むか、または
CARが、順に、抗原に特異的なscFvと、スペーサーと、膜貫通ドメインと、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、補助刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはこれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
スペーサーが、任意で、
(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;
(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは
(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは
(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を有するか、またはそれからなるか;あるいは
(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、
ポリペプチドスペーサーである;ならびに/あるいは
補助刺激ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、その変種
を含む;ならびに/あるいは
一次シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:13または14または15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15
を含む;ならびに/あるいは
scFvが、
のCDRL1配列、
のCDRL2配列、および/もしくは
のCDRL3配列、ならびに/または
のCDRH1配列、
のCDRH2配列、および/もしくは
のCDRH3配列を含むか、あるいはscFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/もしくはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述の配列のいずれかと同じエピトープに結合するか、もしくは前述の配列のいずれかと結合において競合し、任意で、scFvが、順に、VHと、任意でSEQ ID NO:24を含む、リンカーと、VLとを含む、ならびに/あるいはscFvが、可撓性リンカーを含む、および/またはSEQ ID NO:24に示したアミノ酸配列を含む、態様97~117のいずれか一項記載の方法。
【0315】
VII.定義
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために同義に用いられ、最小の長さに限定されない。提供される受容体を含むポリペプチドと、他のポリペプチド、例えば、リンカーまたはペプチドは、天然アミノ酸残基および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含んでもよい。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化も含む。一部の局面では、ポリペプチドは、タンパク質が望ましい活性を維持する限り、自然または天然の配列に対して修飾を含有してもよい。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を介した修飾のように意図的なものでもよく、タンパク質を産生する宿主の変異またはPCR増幅によるエラーを介した修飾のように偶発的なものでもよい。
【0316】
本明細書で使用する、「対象」とは、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。一部の態様では、前記の薬剤、細胞、細胞集団、または組成物が投与される対象、例えば、患者は哺乳動物、典型的には霊長類、例えば、ヒトである。一部の態様では、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は男性または女性でもよく、乳児、年少者、青年、成人、および老人の対象を含む任意の適切な年齢でよい。一部の態様では、対象は非霊長類哺乳動物、例えば、げっ歯類である。
【0317】
本明細書で使用する「処置(treatment)」(およびその文法上の語尾変化、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」)とは、疾患もしくは状態もしくは障害、あるいはこれらに関連する症状、副作用もしくはアウトカム、または表現型の完全または部分的な回復または低減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の阻止、症状の緩和、疾患のあらゆる直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の阻止、疾患進行速度の減少、疾患状態の回復または軽減、および寛解または予後の改善が含まれるが、これに限定されない。これらの用語は、疾患の完治、あるいはあらゆる症状、または全ての症状もしくはアウトカムに及ぼす影響の完全な除去を意味しない。
【0318】
本明細書で使用する「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(例えば、がん)の発症を延ばす、邪魔する、遅くする、減速する、安定化する、抑制する、および/または延期することを意味する。この遅れは、病歴および/または処置されている個体に応じて様々な長さの時間になることがある。当業者に明らかなように、十分な、または大きな遅れは、実際には、個体が疾患を発症しない点では予防を含む。例えば、転移の発症などの末期がんを遅らせることができる。
【0319】
本明細書で使用する「予防する」は、疾患の素因がある可能性があるが、まだ疾患と診断されていない対象において、疾患の発生または再発に関する予防を提供することを含む。一部の態様では、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるのに、または疾患の進行を遅くするのに用いられる。
【0320】
本明細書で使用する、機能または活性を「抑制する」ということは、関心対象の条件もしくはパラメータ以外は同じ条件と比較した時に、または別の条件と比較した時に機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、前記細胞の非存在下での腫瘍成長の速度と比較して腫瘍成長の速度を低減する。
【0321】
投与の文脈において、薬剤、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」とは、望ましい結果、例えば、治療結果または予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量/量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。
【0322】
薬剤、例えば、薬学的製剤または細胞の「治療的有効量」とは、望ましい治療結果、例えば、疾患、状態、もしくは障害を処置するための望ましい治療結果、および/または処置の薬物動態学的効果もしくは薬力学的効果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの要因に応じて変化する場合がある。一部の態様では、提供される方法は、有効量、例えば、治療的有効量の前記細胞および/または組成物を投与する段階を伴う。
【0323】
「予防的有効量」とは、望ましい予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。典型的には、疾患の前に、または疾患の初期段階に対象において予防用量が用いられるので予防的有効量は治療的有効量より少ないが、必ず治療的有効量より少ないとは限らない。少ない腫瘍負荷量の状況では、予防的有効量は一部の局面では治療的有効量より多い。
【0324】
本明細書で使用する用語「約」は、この技術分野の当業者に容易に分かる、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」のついた値またはパラメータについての言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(およびその態様について説明している)。
【0325】
本明細書で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり示されていない限り複数の指示物を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
【0326】
本開示全体を通じて、クレームされた対象の様々な局面が範囲の形で示される。範囲の形での説明は単なる便宜および簡略のためであり、クレームされた対象の範囲に対する融通の利かない限定として解釈してはならないと理解されるはずである。従って、範囲の説明は、可能性のある全ての部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値を具体的に開示したとみなされるはずである。例えば、値の範囲が示された場合、その範囲の上限と下限との間の、間にあるそれぞれの値と、その述べられた範囲内にある他の任意の述べられた値または間にある値が、クレームされた対象に包含されると理解される。これらのさらに小さな範囲の上限および下限は、独立して、その小さな範囲に含まれてもよく、その述べられた範囲内にある、明確に除外されるあらゆる限界を条件としてクレームされた対象に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、クレームされた対象に含まれる。このことは範囲の幅に関係なく適用される。
【0327】
本明細書で使用する組成物とは、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはその任意の組み合わせでもよい。
【0328】
本明細書で使用する「濃縮する」とは、1つまたは複数の特定の細胞タイプまたは細胞集団について言及している時には、細胞タイプまたは集団の数またはパーセントを、例えば、組成物中にある、もしくは組成物の体積中にある細胞の総数と比較して、または他の細胞タイプと比べて増やすこと、例えば、前記集団もしくは細胞によって発現されたマーカーに基づく正の選択によって、または枯渇させようとする、前記細胞集団または細胞に存在しないマーカーに基づく負の選択によって増やすことを指す。この用語は、組成物から他の細胞、細胞タイプ、または集団を完全に除去することを必要とせず、このように濃縮された細胞が、濃縮された組成物中に100%もしくは100%近くで存在することを必要としない。
【0329】
本明細書で使用する、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に検出可能に存在することを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在することを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照またはFMO(Fluorescence minus one)ゲーティング対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり高いレベルで検出することができる。
【0330】
本明細書で使用する、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に実質的に検出可能に存在することが無いことを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在しないことを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照またはFMO(Fluorescence minus one)ゲーティング対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり低いレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで検出されない。
【0331】
本明細書で使用する用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造であるベクター、ならびにベクターが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、機能的に連結されている核酸の発現を起こすことができる。このようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0332】
特に定義のない限り、本明細書において用いられる専門用語、注釈、ならびに他の技術用語および科学用語または専門語は全て、クレームされた対象が属する当業者に一般的に理解するものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、理解しやすいように、および/または容易に参照できるように、一般的に理解されている意味を有する用語が本明細書において定義される。本明細書における、このような定義の記載が、必ず、当技術分野において一般的に理解されているものと、かなり大きく異なると解釈することはしてはならない。
【0333】
本願において言及された、特許文書、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は全て、それぞれ個々の刊行物が個々に参照により組み入れられるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示された定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物に示された定義と相違するか、または他の点で一致しない場合、参照により本明細書に組み入れられる定義ではなく、本明細書において示された定義が優先される。
【0334】
本明細書において用いられるセクションの見出しは、系統立ててまとめることだけを目的とし、説明された対象を限定すると解釈してはならない。
【実施例0335】
VIII. 実施例
以下の実施例は、例示を目的として含まれるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0336】
実施例1
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を用いる、再発性または難治性の(R/R)CD19
+
慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している対象の治療
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己T細胞を、再発性または難治性の(R/R)CD19+慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している成人ヒト対象13名に投与した。これらの対象の年齢は、40歳から73歳の範囲にわたり、平均年齢は61歳であった。リンパ球減少症、血中循環腫瘍、移植の既往、または試験拡大が理由で除外された対象はなかった。この対象群は、高リスクの細胞遺伝学的状態を示し(10/13(77%)がdel17p、8/13(62%)が複雑な核型);12/13(92%)が骨髄外疾患を示した。対象は全員、1種または複数種の他のCLL治療法(中央値は5種であり3~9種の範囲の、以前の治療ライン)で以前に治療されたことがあり、いずれの場合もイブルチニブが含まれた(7名(54%)は抵抗性であり、2名(15%)は不耐性であった)。治療の直前、全対象における骨髄中の異常B細胞比率の中央値は、66%(0.4%~90%の範囲)であった。
【0337】
CARは、FMC63に由来する可変領域を有する、CD19に特異的な(VL-リンカー-VHの配置の)scFv、IgGヒンジ領域、膜貫通領域、ならびにヒト41BBおよびCD3ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含んだ。この構築物は、CAR発現についての代替マーカーとして役立つ短縮型EGFR(EGFRt)をさらにコードし、EGFRtコード領域は、T2Aスキップ配列によってCAR配列から隔てられていた。細胞の投与に先立って、患者は白血球搬出を受けた;イムノアフィニティーに基づく濃縮方法によってCD4+集団およびCD8+集団を選択し、CAR構築物を含むウイルスベクターによって形質導入し、15日より長い期間、培養して増殖させた。CAR+T細胞を製造するために、CD8+中枢記憶T細胞集団を操作した。ただし、少量のCD8+中枢記憶T細胞をもたらす重度のリンパ球減少症に罹患している患者においては、全部のCD8+T細胞を操作した。CD4+T細胞から製造されたCAR+T細胞を与えられた患者と、すべてのCD8+T細胞またはCD8+中枢記憶T細胞のいずれかから製造されたCAR+T細胞を与えられた患者とで、臨床転帰の違いは認められなかった。
【0338】
CAR+T細胞注入の少なくとも48時間前(最高で96時間前)から開始して、対象は、(a)エトポシドを併用もしくは併用しないシクロホスファミド(Cy、60mg/kg)(対象13名中2名)または(b)フルダラビン(flu、毎日25mg/m2を3~5日間)と組み合わせたシクロホスファミド(Cy、60mg/kg)(cy/flu、対象13名中11名)のいずれかを用いるリンパ球枯渇化学療法を受けた。
【0339】
通常、投与用の細胞は、約1:1のCAR+CD4+T細胞とCAR+CD8+T細胞の比率で配合した。全対象に対して治療的組成物を作製することに成功した。対象13名中1名に対して、目標用量(2×106/kg CAR+)より少ない細胞を作製した。
【0340】
約1:1の比率のCD8+CAR+T細胞とCD4+CAR T細胞を有している組成物を、3つの異なる用量レベル(対象の体重1キログラム(kg)当たり2×105(N=4)、2×106(N=8)、または2×107(N=1)個のCAR+T細胞)のうちの1つのレベルで、対象に注入した。リンパ球枯渇療法およびT細胞注入は、外来患者扱いで行った。1名のCLL患者が、CAR+T細胞2×107個/kgを与えられた後にグレード4のCRSおよびグレード3の神経毒性を示した後は、最大用量としてCAR+T細胞2×106個/kgを、その後のCLL患者のために選択した。
【0341】
患者は、CAR+T細胞組成物の投与前および投与後4週目に、診断品質CTスキャンを用いる全身イメージングにかけられた。慢性リンパ性白血病に関する国際ワークショップ(IWCLL)の反応基準に基づいて、反応を測定した(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15; 111(12): 5446-5456; IWCLL (2008))。結節性腫瘍の大きさを、診断品質CTスキャンによって特定された大きい方から6つの指標リンパ節の断面積の合計として評価した。いくつかの場合において、ルガーノ基準に基づく全身PEGイメージング(Cheson et al., JCO September 20, 2014 vol. 32 No. 27 3059-3067)もまた、実施した。
【0342】
リンパ球枯渇より前に骨髄疾患を患っている者へのCAR T細胞の注入後4週目およびCAR+T細胞組成物の投与後4週目に得た骨髄穿刺液および生検に基づいて骨髄反応を評価した。細胞遺伝学的異常が確認された患者において従来の核型分析およびFISHを用いて、形態学解析および高分解能フローサイトメトリーを骨髄に対して実施した。CAR T細胞注入後4週目にフローサイトメトリーによって検出可能な骨髄疾患が認められず、リンパ球枯渇の前に同定された悪性クローン配列を有していた患者に由来する骨髄に対して、IGHディープシーケンシング(Adaptive Biotechnologies)を実施した。CAR T細胞注入後2週目、ならびに1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目、および12ヶ月目に、血液に対して高分解能フローサイトメトリーを実施した。
【0343】
米国国立がん研究所による一般毒性規準4.03版(NCI-CTCAE v4.03)を用いて、毒性のグレードを決めた。ただし、サイトカイン放出症候群は、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95で説明されているようにしてグレードを決めた。
【0344】
シクロホスファミドおよびフルダラビンの組合せ(cy/flu)で前処置された対象11名において、客観的奏効率(ORR)は91%(対象11名中10名)であり、対象11名中10名(91%)は、フローサイトメトリーによって測定した場合に骨髄中の腫瘍細胞について陰性であることが観察され、11名中5名(45%)は、ルガーノ基準によって測定した場合に完全寛解(CR)を達成することが観察された。cy/fluで前処置されなかった対象2名において、ORRは50%(対象2名中1名)であり、これらの対象2名中1名はフローサイトメトリーによって測定した場合に骨髄中の腫瘍細胞について陰性であることが観察されたが、ルガーノ基準によってCRを達成することは観察されなかった。部分寛解(PR)を達成すると評価されたこれら2名の対象において、最大17~18mmのリンパ節が観察された。CRを達成した対象のうちの4名において、処置後に骨髄のIGHディープシーケンシングを実施した。これらの対象4名中4名(100%)において、骨髄中で指標クローンは検出されなかった。
【0345】
シクロホスファミドで前処置された対象11名における無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を、CRを達成した対象群と達成しなかった対象群について示される別々の曲線を用いて
図1Aおよび
図1Bに示している。CRを達成していた対象では、PFS中央値に達することはなかった。PFSは、最初のCAR+T細胞注入から3ヶ月~19ヶ月の範囲であった。
【0346】
この研究では、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95に従って評価したところ、対象13名のうちの23%が重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を示し、23%が、グレード3またはそれより高い神経毒性を示した。
【0347】
これらの結果から、所定のCD4+/CD8+比率のCD19特異的CAR+T細胞を投与すると、高リスクの再発性/難治性CLLに罹患している対象の大部分に長続きするCRをもたらすことが実証された。
【0348】
実施例2
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を用いる、非ホジキンリンパ腫(NHL)に罹患している対象の治療
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己T細胞を、CD19+非ホジキンリンパ腫(NHL)に罹患している成人ヒト対象41名に投与した。この対象群の年齢は、28歳から70歳の範囲にわたり、平均年齢は56歳であった。リンパ球減少症、血中循環腫瘍、移植の既往、または試験拡大が理由で除外された対象はなかった。この対象群は、中悪性度NHL(対象41名中30名、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、およびバーキットリンパ腫を含む)、マントル細胞リンパ腫(MCL;対象41名中5名)、および濾胞性リンパ腫(FL;対象41名中6名)を含むいくつかの疾患タイプを示した。対象は全員、全対象における中央値が4種の先行治療および1~11種の範囲の先行治療によって以前に治療されており、27名の対象は、4種以上の先行治療法によって治療されていた。対象41名中19名は、自己および/または非自己の造血幹細胞移植(HSCT)を以前に受けていた。
【0349】
CARは、FMC63に由来する可変領域を有する(VL-リンカー-VHの配置の)抗CD19 scFv、IgGヒンジ領域、ヒトCD28に由来する膜貫通領域、ならびにヒト41BBおよびCD3ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含んだ。この構築物は、CAR発現についての代替マーカーとして役立つ短縮型EGFR(EGFRt)をさらにコードし、EGFRtコード領域は、T2Aスキップ配列によってCAR配列から隔てられていた。細胞の投与に先立って、患者は白血球搬出を受けた;イムノアフィニティーに基づく濃縮方法によってCD4+集団およびCD8+集団を選択し、CAR構築物を含むウイルスベクターによって形質導入し、15日より長い期間、培養して増殖させた。通常、投与用の細胞は、約1:1のCD4+T細胞とCD8+T細胞の比率で投与前に配合した。全対象に対して治療的組成物を作製することに成功した。
【0350】
CAR+T細胞注入の少なくとも48時間前(最高で96時間前)から開始して、39名の対象は、(a)エトポシドを併用もしくは併用しないシクロホスファミド(Cy、60mg/kg)(対象39名中12名)または(b)フルダラビン(flu、毎日25mg/m2を3~5日間)と組み合わせたシクロホスファミド(Cy、60mg/kg)(cy/flu、対象39名中27名)のいずれかを用いるリンパ球枯渇化学療法を受けた。
【0351】
約1:1の比率のCD8+CAR+T細胞とCD4+CAR T細胞を有している組成物を、3つの異なる用量レベル(対象の体重1キログラム(kg)当たり2×105(N=5)、2×106(N=27)、または2×107(N=9)個のCAR+T細胞)のうちの1つのレベルで、対象に注入した。リンパ球枯渇療法およびT細胞注入は、外来患者扱いで行った。この研究では、最大耐量は、用量レベル2(CAR+T細胞2×106個/kg)であった。
【0352】
シクロホスファミドおよびフルダラビン(cy/flu)で前処置された対象27名において、客観的奏効率(ORR)は74%(対象27名中20名)であった。27名中12名(44%)は、完全寛解(CR)を達成することが観察された。
【0353】
cy/fluで前処置された対象27名において、上記に概説したすべての疾患亜型にわたる対象20名に、用量レベル2(CAR+T細胞2×106個/kg)を投与した。これらの対象において、ORRは80%(20名中16名)であり、対象20名中10名(50%)は、CRを達成することが観察された。中悪性度リンパ腫に罹患している対象30名中16名をcy/flu治療法によって前処置し、用量レベル2を投与した。これら16名の対象において、ORRは81%(対象16名中13名)であり、8名の対象(50%)は、CRを達成した。FLに罹患している対象6名中2名をcy/fluで前処置し、用量レベル2を投与した。これら2名の対象において、ORRは50%(2名中1名)であり、1名の対象(50%)は、CRを達成した。MCLに罹患している対象5名中2名をcy/fluで前処置し、用量レベル2を投与した。これらの対象において、ORRは100%(2名中2名)であり、1名の対象(50%)は、CRを達成した。
【0354】
シクロホスファミドおよびフルダラビン(cy/flu)で前処置され、CAR+T細胞2×10
6個/kgを投与された対象20名における無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を、CRを達成した対象と達成しなかった対象について別々の曲線を用いて
図2Aおよび
図2Bに示している。CRを達成する対象では、PFS中央値に達することはなかった。PFSは、最初のCAR+T細胞注入から3ヶ月~11ヶ月の範囲であった。CRを達成しない対象において、PFS中央値は4.1ヶ月であった。
【0355】
この研究では、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95に従って評価したところ、すべての用量レベルの対象において、対象の17%が、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を示した。5%(41名中2名)がグレード5のCRSを示し、20%が、グレード3またはそれより高い神経毒性を示した。cy/fluによる前処置の後にCAR+T細胞2×106個/kgを投与された対象において(対象20名)、10%のみが、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を示し、10%のみが、グレード3またはそれより高い神経毒性を示した。
【0356】
実施例3
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を用いる、再発性または難治性の(R/R)CD19
+
CLLに罹患している対象の治療:追加患者
実施例1で記載した研究の拡大研究において、再発性または難治性の(R/R)CD19+慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している追加対象を評価した。CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己T細胞を、成人ヒト対象18名に投与し、後述するように評価した。
【0357】
これらの対象の年齢は、40歳から73歳の範囲にわたり、年齢中央値は60歳であった。12名の対象は、複雑な核型を有しており、11名の対象は、17p欠失を有していた。対象は全員、骨髄外疾患を有しており、2名は中枢神経系(CNS)疾患を有していた。対象は全員、1種または複数種の他のCLL治療法(中央値は5種であり3~9種の範囲の、以前の治療ライン)で以前に治療されたことがあり、いずれの場合もイブルチニブが含まれた(11名(61%)は抵抗性であり、3名(17%)は不耐性であった)。3名(17%)の対象は、同種幹細胞移植に以前に失敗しており、4名(22%)の対象は、ベネトクラクスに抵抗性であった。また、対象は全員、フルダラビンおよびリツキシマブを含む枯渇化学療法プログラムに対して抵抗性であるか、またはプログラムを受けた後に再発した。治療の直前、全対象における骨髄中の異常B細胞比率の中央値は、77%(0.4%~90%の範囲)であった。
【0358】
全対象に対して自己CAR T細胞を製造し、実施例1で記載したように対象に投与した。ただし、追加の対象も治療した。対象18名中16名には、CAR+CD4+T細胞とCAR+CD8+T細胞の比率が約1:1である細胞組成物を与えた。次の異なる用量レベルで、細胞組成物を対象に注入した:対象の体重1キログラム(kg)当たり2×105(N=4)、2×106(N=13)、または2×107(N=1)個のCAR+T細胞。
【0359】
CAR T細胞注入の前に、治療される対象は、(a)25mg/m2/日のフルダラビン×3日と組み合わせた30~60mg/kgシクロホスファミド×1(cy/flu、対象18名中15名)、(b)25mg/m2/日のフルダラビン×3日(flu、対象18名中2名)、または(c)60mg/kgシクロホスファミド(cy、対象18名中1名)のいずれかを用いるリンパ球枯渇化学療法を受けた。疾患が持続している対象4名は、2回目のリンパ球枯渇化学療法を受け、1回目の注入より10倍多い用量のCAR+T細胞を与えられた。
【0360】
実施例1で説明したようにして、最後のCAR+T細胞注入後4週目に対象を評価した。
【0361】
17名の対象が、反応および毒性の評価を完了した。評価した対象17名において、客観的奏効率(ORR)は76%(対象17名中13名、部分寛解(PR)8名および完全寛解(CR)5名)であった。リンパ節のサイズ基準(IWCLL 2008)に基づいてPRである対象2名は、治療法後のPETスキャンが陰性であった。イブルチニブに抵抗性または不耐性の対象13名において、ORRは77%(対象13名中10名、7名のPRおよび3名のCR)であった。4名のベネトクラクス抵抗性対象において、ORRは50%(対象4名中2名、2名のPR)であった。cy/fluの組合せで前処置されなかった対象3名において、ORRは33%(対象3名中1名)であった。
【0362】
28日目の時点で、cy/fluリンパ球枯渇を受け、2×105個/kgまたは2×106個/kgのCAR+T細胞を与えられた対象13名において、11名(85%)が、フローサイトメトリーによって骨髄疾患の完全な消失を示し;結節性疾患を有している13名中10名(77%)がPRまたはCRを示し;13名中1名(8%)は、反応が混ざっており;13名中2名(15%)は、進行(PD)を示した。
【0363】
CRを達成した対象のうちの4名において、骨髄のIGHディープシーケンシングを実施した。これらの対象4名中4名(100%)において、悪性の配列は検出されなかった。
【0364】
cy/fluリンパ球枯渇を受け、2×10
5個/kgまたは2×10
6個/kgのCAR+T細胞を与えられた対象13名における無増悪生存率(PFS)を、CRを達成した対象群と達成しなかった対象群について示される別々の曲線を用いて
図3に示している。この群の全生存率(OS)は100%であった。CRを達成した対象で、中央値8.4ヶ月の追跡検査の後に再発または死亡した者はいなかった。これらの結果から、CRを達成した対象は、より高いピーク比率の血液中CD8+ CAR+T細胞を示すが(p=0.006)、CD4+ CAR+T細胞は示さないこともまた、示された。一部の非反応者において、活発なCAR T細胞増殖が認められた。
【0365】
この結果から、所定のCD4+/CD8+比率のCD19特異的CAR+T細胞を投与すると、イブルチニブ治療に失敗した患者のような高リスクの再発性/難治性CLLに罹患している対象の大部分に、高い奏効率および長続きするCRをもたらすことがさらに実証された。
【0366】
実施例4
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を用いる、再発性または難治性の(R/R)CD19
+
CLLに罹患している対象の治療:さらなる患者
A 対象および治療
実施例1および3で記載した研究の拡大研究において、再発性または難治性の(R/R)CD19+慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している追加対象を評価した。以前に治療を受けている合計24名の成人ヒト対象に、リンパ球枯渇後、CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己T細胞を投与し、実施例1および3ならびに下記に記載するように評価した。
【0367】
表4に記載するように、これらの対象の年齢は、40歳から73歳の範囲にわたり、年齢中央値は61歳であった。16名の対象は、複雑な核型を有しており、14名の対象は、17p欠失を有していた。8名の対象は、高リスクの組織構造を有していた。23名の対象は、骨髄外疾患を有していた。対象は全員、いずれの場合もイブルチニブによる治療を含む(19名(79%)は抵抗性であり、3名(13%)は不耐性であった)中央値が5種(3~9種の範囲)である以前の治療ラインを用いて、1種または複数種の他のCLL治療法で以前に治療されたことがあった。18名のイブルチニブ抵抗性の対象のうちの9名が、BTK変異またはPLCG2変異を有していた(50%;BTK、n=7;PLCG2,n=2)。リンパ球枯渇の前に、全対象でイブルチニブを中止した。4名(17%)の対象は、同種幹細胞移植に以前に失敗しており、6名(25%)の対象は、ベネトクラクスに抵抗性であった。治療の直前、全対象における骨髄中の異常B細胞比率の中央値は、61.6%(0.0%~96%の範囲)であった。治療の直前、全対象における血液中の異常B細胞数の中央値は、1.1×103/μL(0.0~76.68×103/μLの範囲)であった。
【0368】
【0369】
全対象に対して自己CAR T細胞を製造し、実施例1および3で記載したように対象に投与した。ただし、追加の対象も治療した。対象24名中22名には、CAR+CD4+T細胞とCAR+CD8+T細胞の比率が約1:1である細胞組成物を与え、2名の患者には、目標のCD8+CAR T細胞用量より少ない量を与えた(58.5%および56.3%)。次の異なる用量レベルで、細胞組成物を対象に注入した:対象の体重1キログラム(kg)当たり2×105(N=4)、2×106(N=19)、または2×107(N=1)個のCAR+T細胞。CAR T細胞注入の前に、21名の対象は、表5に概説するリンパ球枯渇化学療法を受けた。治療される対象は、(a)25mg/m2/日のフルダラビン×3日と組み合わせた30~60mg/kg(1~2g/m2)シクロホスファミド×1(cy/flu、対象名24中18名)、(b)25mg/m2/日のフルダラビン×5日と組み合わせた60mg/kg(1~2g/m2)シクロホスファミド×1(cy/flu、対象名24中1名)、(c)25mg/m2/日のフルダラビン×3日(flu、対象24名中2名)、(d)60mg/kgシクロホスファミド(cy、対象24名中1名)、または(e)25mg/m2/日のフルダラビン×3日と組み合わせた500mg/m2×3(cy/flu、対象名24中2名)、のいずれかを与えられるリンパ球枯渇化学療法を受けた。この研究の合計15名の患者が、Cy/Fluリンパ球枯渇を受け、2×106個のCAR+T細胞を与えられた。
【0370】
(表5)高リスクCLL患者におけるリンパ球枯渇および免疫療法
*1名の患者が、再病期診断前に死亡した
【0371】
疾患が持続している対象6名は、2回目のリンパ球枯渇化学療法ならびに1回目の注入と同じ量(N=1)または10倍多い用量(N=5)のCAR+T細胞注入を受けた。
【0372】
白血球搬出とリンパ球枯渇化学療法の間の3週間の間に、6名の患者は、進行性疾患を制御するために高用量のコルチコステロイドを必要とし、他の2名は、腫瘍関連高カルシウム血症に対する治療を必要とした。
【0373】
B 治療に対する反応
実施例1で説明したようにして、最後のCAR+T細胞注入後4週目に、対象の反応を評価した。Cy/Fluリンパ球枯渇を受けた21名の対象を評価したところ、表8に示すように、注入後4週目の高リスクCLL患者の高い奏効率が実証された。対象の反応は、(a)骨髄解析、(b)PET-CT、および(c)CLLに関する国際ワークショップグループ(IWCLL)の基準に基づいて測定した。
【0374】
(表8)注入後4週目の対象の奏効率
**4週目にSD(IWCLL、PET)として報告された1名の追加患者は、追加の治療法を行わずにCAR T細胞注入後8週目にPR(IWCLL、最大16mm)およびCR(PET)を達成した。
*1名の患者が、再病期診断前に死亡した
【0375】
1 CAR T細胞の増殖および存続
CAR T細胞注入後、全患者の血液中のCAR T細胞をフローサイトメトリーによって検出して、増殖および存続を評価した。シクロホスファミド/フルダラビン(Cy/Flu)リンパ球枯渇を受け、2×10
6個のCAR T細胞を注入された対象において、それぞれ
図4A~4Cに示すように、CAR T細胞増殖の増加は、骨髄中に存在する異常B細胞の比率(r=0.67、p=0.006)、腫瘍断面積(r=0.57、p=0.025)、および血液中の異常B細胞の絶対数と正の相関があった。さらに、治療前のPEGスキャンにおいてFDG集積を示す疾患を有している対象のCAR T細胞増殖と最大SUVの間に逆の相関があった(
図4D)。評価され、その後に同種HCTを受けなかった患者全員(n=11)において、6ヶ月以上たった時点で、QPCRによって血液中にCAR T細胞が検出された。
【0376】
Cy/Fluリンパ球枯渇を受け、2×10
6個のCAR T細胞を注入された対象において、
図4Eに示すように、CAR T細胞増殖は、免疫チェックポイントバイオマーカーCD200と逆の相関があった(r=-0.25、p=0.4)。CAR T細胞増殖はまた、免疫チェックポイントバイオマーカーPDL1およびPDL2とも逆の相関があった。
【0377】
2 リンパ節奏効率
CAR T細胞注入後4週目に、23名の患者のリンパ節反応をIWCLL基準に基づいて評価した。23名の再病期診断した患者において、IWCLLリンパ節基準に基づくCAR+T細胞注入後4週目の全奏効率(ORR)は70%(16/23)であった。Cy/Fluリンパ球枯渇を受けなかった3名の患者において、1名は骨髄疾患がなくなり、1名は部分奏功(PR)を示し、全員が進行性疾患を発症した。
【0378】
IWCLL解析を完了し、Cy/Fluリンパ球枯渇およびCAR T細胞2×106個/kg以下のCD19 CAR T細胞注入を1回受けた19名の対象において、IWCLL基準に基づくリンパ節反応が、患者の74%(14/19)で観察された[95%信頼区間(CI):49~91%]:21%(4/19)CR;53%(10/19)PR。イブルチニブ抵抗性である16名の患者のみを考察した場合、同様の奏効率が観察された:69%(11/16)ORR[95%CI:41~89%];25%(4/26)CR)。
【0379】
可能であれば、CAR T細胞注入後4週目に、リンパ節反応をPETイメージングによっても評価した。PET-CT再病期診断後のイブルチニブ抵抗性患者におけるCR率は、64%(7/11)[95%CI:31-89%]であり、ドーヴィルスコアは1~2であった。PET-CTの方が、IWCLLよりも多くの患者をCRと病期診断した(64%対25%)。IWCLLによってPRを達成し、PETイメージングにかけられた患者5名のうちの4名は、CAR T細胞注入後にFDG酸疾患を有していなかった。CAR T細胞注入後4週目にPET-CTによって安定な疾患を有していた1名の追加患者は、その後、8週後の追跡検査PET-CTではCRを達成した。
【0380】
3 骨髄に由来する悪性IGH配列の評価
患者24名中22名は、治療前に骨髄疾患を患っており、21名の患者は、CAR+T細胞投与後4週目に骨髄評価を受けた。患者21名中17名(81%)において、高分解能フローサイトメトリーによって骨髄疾患が検出されなかった。Cy/Fluリンパ球枯渇、2×106個/kg以下のCAR T細胞の投与を受け、治療法より前に骨髄浸潤を有していた対象において、17名中15名(15/17)が、高分解能フローサイトメトリーによって骨髄疾患の消失を示した(88%[95%CI:64~99%]。イブルチニブ抵抗性患者サブセットにおけるフローサイトメトリー陰性骨髄の奏効率は同様であった(12/14;86%[95%CI:57~98%])。FISHおよび従来の核型分析では、フローサイトメトリーによって検出可能な疾患を有していない患者における残存CLLが確認されなかった;しかし、2名の患者が、以前の化学療法が骨髄系列に与えた影響に起因するとみなされる異常を有しており、1名は持続的な構成的転座を有していた。
【0381】
Cy/Fluおよび2×106個/kg以下のCAR T細胞注入後にフローサイトメトリーで骨髄がクリアであった12名の患者もまた、治療前に、同定された悪性IGHクローン配列をCLL細胞中に有していた。悪性IGHクローン配列を有していると同定された対象12名中7名(7/12;58%)が、CAR T細胞注入後4週目にIGHシーケンシングによって、骨髄疾患の消失を示した。
【0382】
2回目のリンパ球枯渇化学療法ならびに同じ量(n=1)または10倍多い用量(n=5)のCAR T細胞注入を受けた患者6名のうちで、2名(2/6;33%)はCRを達成し(PET-CT)、フローサイトメトリーおよびIGHシーケンシングに基づくと骨髄疾患が消失していた。患者6名中4名(4/6;67%)は、CRSになり(2名がグレード3以上)、2回目のCAR T細胞注入後、1名は可逆性の神経学的毒性(グレード3)を示した。
【0383】
4週目の最初の再病期診断時にIWCLLに基づくPRを達成した患者サブセットは、PET-CT基準に基づくFDG集積を示す疾患を有しておらず(4/5)、かつ/または骨髄中に検出可能な悪性IGH配列を有していなかった(4/6)。この観察結果は、CAR T細胞を用いて実現される反応をIWCLL基準が過小評価する可能性があるという知見と一致しており、このことは、PRまたはCRを達成した患者における同等のPFSを示す、IWCLL反応に基づいて測定された後述の生存率データ、および1名の患者での初期反応後の持続的な腫瘍縮小によってさらに裏付けられる。
【0384】
4 無増悪生存率および全生存率
全CLL患者についての無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を
図5に示す。リンパ節反応(IWCLLに基づくCR/PR)は、反応なし(SD/PD)と比べて、より長いPFSおよびOSに関連していた。IWCLLの節反応基準に基づいて測定された、Cy/Fluリンパ球枯渇を受け2×10
5個/kgまたは2×10
6個/kgのCAR T細胞を与えられた対象における無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)を
図6Aに示している。
図6Bもまた、再病期診断前に死亡した1名の患者を除く以外は
図6Aと同じ対象群におけるIWCLLに基づいて測定されたPFSおよびOSを示している。
図6Aおよび6Bの両方において、CRを達成した対象群とPRを達成した対照群と非応答者の群について別々の曲線を示しており、これらの曲線は、IWCLL基準に基づいてPRを達成した患者が、CRを達成した患者と比べてPFSおよびOSが劣っていなかったことを示している。CRまたはPRを達成した対象において、OSは100%であった。CRまたはPRを達成した対象で、最初のCAR T細胞注入から24ヶ月以内に死亡した対象はいなかった。
【0385】
フローサイトメトリーで骨髄がクリアであった患者の生存状況を、CAR T細胞注入後4週目の骨髄における悪性IGH配列の存在(検出される)または非存在(なし)について解析した。対象14名中7名の対象において、IGHディープシーケンシングによって悪性配列が検出された。PFSおよびOSを
図7に示している。PFSおよびOSは、悪性配列を有していない7名の対象と比べて、悪性配列を有している7名の対象で低下していた。したがって、IWCLL反応とは無関係に、悪性IGH配列について陰性であった患者は、持続的に悪性IGH配列を有している患者と比べてPFSが良かった。いずれの群も、OS中央値に到達しなかった。解析をIWCLL基準に基づいて反応した(CR/PR)PFS患者に限定した場合、IGHシーケンシングに基づく骨髄クリアランスが転帰に与えるプラス効果もまた、観察された(p=0.063、IGHシーケンシング陽性の場合のmPFS=8.5ヶ月、IGHシーケンシング陰性の場合はmPFSに達さない)。
【0386】
これらの結果から、所定のCD4+/CD8+比率のCD19特異的CAR+T細胞を投与すると、イブルチニブおよび/またはベネトクラクス治療に失敗した患者のような高リスクの再発性/難治性CLLに罹患している対象の大部分に、高い奏効率および長続きするCRをもたらすことがさらに実証された。さらに、これらの結果から、CAR T細胞治療法の後に骨髄のIGHディープシーケンシングによって悪性配列を検出することは、持続的反応の初期徴候を与え得ることも示された。
【0387】
C 毒性
24名の対象を、表6および表7にそれぞれ示すように、サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性の症状について評価した。
【0388】
(表6)CAR T細胞治療法後のCLL対象におけるCRS
【0389】
(表7)CAR T細胞治療法後のCLL対象における神経毒性
【0390】
トシリズマブ(4~8mg/kg静脈内投与)およびデキサメタゾン(10mg、1日2回静脈内投与)を、集中治療室 (ICU)での管理を必要とするか、またはICU治療のための評価段階にある患者に投与した。静脈内輸液および/または低用量の昇圧剤サポートに反応していないグレード2~3のサイトカイン放出症候群(Lee et al, Blood, 2014)およびグレード2~3の神経毒性を有している患者において、介入を開始した。治療された患者のうちで、1名の患者は、トシリズマブおよびデキサメタゾンに抵抗性であるグレード3~4のCRSに4日目から進行し、シルツキシマブおよびマンニトールに抵抗性である脳浮腫を9日目に発症し、CAR T細胞注入後11日目に死亡した。他の患者は、グレード2を超えるCRSを発症せず、4名の患者のみがグレード3の神経毒性を示した。患者24名中6名のみが、介入治療を必要とするに足る重度の臨床症状を示し、致死的な脳浮腫を患っている患者は例外として、これらの基準に従って治療された患者全員においてCRSおよび神経毒性はなくなった。
【0391】
実施例5
高リスクCLL患者におけるピークCAR T細胞増殖に基づく反応および/または毒性と相関関係がある因子
実施例1、3、および4で前述したような、再発性または難治性の(R/R)CD19+慢性リンパ性白血病(CLL)のためのCD19 CAR T細胞治療法に対する増殖および反応の評価に従って、再発性または難治性の(R/R)CD19+慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している対象を増殖および反応について評価した。
【0392】
注入後のピークCD4+ CAR T細胞数またはピークCD8+ CAR T細胞数の増加は、CAR T細胞注入後4週目の骨髄における悪性IGH配列の存在(検出される)または非存在(なし)に基づいて評価したところ、高リスクCLL対象におけるより良い骨髄反応と関連していた(
図8)。ピークCD4
+/EGFRt
+ CAR T細胞数およびピークCD8
+/EGFRt
+ CAR T細胞数は、骨髄からCLLを消失させられなかった患者と比べて、フローサイトメトリーで最終的に骨髄がクリアであった患者の方が多く(
図9A)、また、フローサイトメトリーに基づくCRを有しており検出可能な悪性IGH配列を有している患者と比べて、フローサイトメトリーに基づくCRを達成し、かつ骨髄中に悪性IGH配列が検出されなかった患者の方が多かった(
図9B)。
【0393】
血液中のピークCD4+/EGFRt
+ CAR T細胞数およびピークCD8
+/EGFRt
+ CAR T細胞数に関連している臨床転帰のロジスティック回帰によって推定される確率を示す確率曲線を作成し、
図10Aおよび10Bに示している。反応の推定確率曲線およびグレード3~5の神経毒性を示す推定確率を、血液中のCD4
+/EGFRt
+ CAR T細胞またはCD8
+/EGFRt
+ CAR T細胞の数に基づいて描いた(
図10A)。反応の推定確率曲線およびグレード2~5の神経毒性またはCRSを示す推定確率を、血液中のCD4
+/EGFRt
+ CAR T細胞またはCD8
+/EGFRt
+ CAR T細胞の数に基づいて描いた(
図10B)。通常、CAR T細胞の数が増加するにつれて、骨髄反応の確率は上昇し、その後頭うちになるのに対し、毒性、グレード3~5の神経毒性(
図10A)もしくはグレード2~5の神経毒性、またはCRS(
図10B)を示す確率は、上昇した。これらの曲線から、高リスクの神経毒性もCRSも伴わずに大半の患者において骨髄クリアランスが実現され得るピークCD4+/EGFRt
+ CAR T細胞数およびピークCD8
+/EGFRt
+ CAR T細胞数の治療域が明らかになる。
【0394】
IWCLLイメージング基準に基づくCTスキャンによる大きい方から6つのリンパ節の断面積の変化によって明らかにされる強い抗腫瘍活性が、リヒターの形質転換が起こっている患者を含む、リンパ節腫瘍量が多い患者サブセットで認められた(
図11)。しかし、リンパ節腫瘍の嵩が大きい患者は、全般的に見て、CAR T細胞に反応する可能性が低く(IWCLLによるCR対PR対NR、p=0.098)、以前の治療法の数が少ない患者も同様であった(IWCLLによるCR/PR対NR;5.5対4;p=0.04)。このことから、嵩高く進行性の節疾患は、CAR T細胞治療法を受け入れにくい可能性があることが示唆される。血液中のピークCAR T細胞数とリンパ節の反応確率との関係は、骨髄に関して言及したものほど強くなかったが、血液中のピークCD3
+/EGFRt
+ CAR T細胞数が多いことは、高リスクCLL患者の疾患進行および死亡のリスク低下と関連していた(HR 0.56、95%信頼区間0.34~0.93、p=0.025)。
【0395】
本発明は、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される特定の開示される態様に、範囲を限定されることはないものとする。説明される組成物および方法に対する様々な改変は、本明細書の説明および教示から明らかになるであろう。このような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施されることができ、本開示の範囲に収まるものとする。
【0396】
【0397】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Fred Hutchinson Cancer Center
Juno Therapeutics, Inc.
<120> METHODS FOR THE TREATMENT OF B CELL MALIGNANCIES USING ADOPTIVE
CELL THERAPY
<150> US 62/346,547
<151> 2016-06-06
<150> US 62/417,292
<151> 2016-11-03
<150> US 62/429,737
<151> 2016-12-03
<160> 56
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
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<223> spacer (IgG4hinge)
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1 5 10
<210> 2
<211> 36
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
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<223> spacer (IgG4hinge)
<400> 2
gaatctaagt acggaccgcc ctgcccccct tgccct 36
<210> 3
<211> 119
<212> PRT
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<220>
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<223> Hinge-CH3 spacer
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<221> misc_feature
<223> Hinge-CH2-CH3 spacer
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<221> misc_feature
<223> IgD-hinge-Fc
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1 5 10 15
Gln Pro Gln Ala Glu Gly Ser Leu Ala Lys Ala Thr Thr Ala Pro Ala
20 25 30
Thr Thr Arg Asn Thr Gly Arg Gly Gly Glu Glu Lys Lys Lys Glu Lys
35 40 45
Glu Lys Glu Glu Gln Glu Glu Arg Glu Thr Lys Thr Pro Glu Cys Pro
50 55 60
Ser His Thr Gln Pro Leu Gly Val Tyr Leu Leu Thr Pro Ala Val Gln
65 70 75 80
Asp Leu Trp Leu Arg Asp Lys Ala Thr Phe Thr Cys Phe Val Val Gly
85 90 95
Ser Asp Leu Lys Asp Ala His Leu Thr Trp Glu Val Ala Gly Lys Val
100 105 110
Pro Thr Gly Gly Val Glu Glu Gly Leu Leu Glu Arg His Ser Asn Gly
115 120 125
Ser Gln Ser Gln His Ser Arg Leu Thr Leu Pro Arg Ser Leu Trp Asn
130 135 140
Ala Gly Thr Ser Val Thr Cys Thr Leu Asn His Pro Ser Leu Pro Pro
145 150 155 160
Gln Arg Leu Met Ala Leu Arg Glu Pro Ala Ala Gln Ala Pro Val Lys
165 170 175
Leu Ser Leu Asn Leu Leu Ala Ser Ser Asp Pro Pro Glu Ala Ala Ser
180 185 190
Trp Leu Leu Cys Glu Val Ser Gly Phe Ser Pro Pro Asn Ile Leu Leu
195 200 205
Met Trp Leu Glu Asp Gln Arg Glu Val Asn Thr Ser Gly Phe Ala Pro
210 215 220
Ala Arg Pro Pro Pro Gln Pro Gly Ser Thr Thr Phe Trp Ala Trp Ser
225 230 235 240
Val Leu Arg Val Pro Ala Pro Pro Ser Pro Gln Pro Ala Thr Tyr Thr
245 250 255
Cys Val Val Ser His Glu Asp Ser Arg Thr Leu Leu Asn Ala Ser Arg
260 265 270
Ser Leu Glu Val Ser Tyr Val Thr Asp His
275 280
<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
<400> 6
Leu Glu Gly Gly Gly Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp
1 5 10 15
Val Glu Glu Asn Pro Gly Pro Arg
20
<210> 7
<211> 357
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 7
Met Leu Leu Leu Val Thr Ser Leu Leu Leu Cys Glu Leu Pro His Pro
1 5 10 15
Ala Phe Leu Leu Ile Pro Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly
20 25 30
Glu Phe Lys Asp Ser Leu Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe
35 40 45
Lys Asn Cys Thr Ser Ile Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala
50 55 60
Phe Arg Gly Asp Ser Phe Thr His Thr Pro Pro Leu Asp Pro Gln Glu
65 70 75 80
Leu Asp Ile Leu Lys Thr Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile
85 90 95
Gln Ala Trp Pro Glu Asn Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu
100 105 110
Glu Ile Ile Arg Gly Arg Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala
115 120 125
Val Val Ser Leu Asn Ile Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu
130 135 140
Ile Ser Asp Gly Asp Val Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr
145 150 155 160
Ala Asn Thr Ile Asn Trp Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys
165 170 175
Thr Lys Ile Ile Ser Asn Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly
180 185 190
Gln Val Cys His Ala Leu Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu
195 200 205
Pro Arg Asp Cys Val Ser Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys
210 215 220
Val Asp Lys Cys Asn Leu Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu
225 230 235 240
Asn Ser Glu Cys Ile Gln Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met
245 250 255
Asn Ile Thr Cys Thr Gly Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala
260 265 270
His Tyr Ile Asp Gly Pro His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val
275 280 285
Met Gly Glu Asn Asn Thr Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His
290 295 300
Val Cys His Leu Cys His Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro
305 310 315 320
Gly Leu Glu Gly Cys Pro Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala
325 330 335
Thr Gly Met Val Gly Ala Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly
340 345 350
Ile Gly Leu Phe Met
355
<210> 8
<211> 27
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD28 (amino acids 153-179 of Accession No. P10747)
<400> 8
Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu
1 5 10 15
Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
20 25
<210> 9
<211> 66
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD28 (amino acids 114-179 of Accession No. P10747)
<400> 9
Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn
1 5 10 15
Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu
20 25 30
Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly
35 40 45
Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe
50 55 60
Trp Val
65
<210> 10
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD28 (amino acids 180-220 of P10747)
<400> 10
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
<210> 11
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 11
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Gly Gly His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
<210> 12
<211> 42
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> 4-1BB (amino acids 214-255 of Q07011.1)
<400> 12
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40
<210> 13
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD3 zeta
<400> 13
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 14
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD3 zeta
<400> 14
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Glu Pro Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 15
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> CD3 zeta
<400> 15
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 16
<211> 335
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 16
Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly Glu Phe Lys Asp Ser Leu
1 5 10 15
Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe Lys Asn Cys Thr Ser Ile
20 25 30
Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala Phe Arg Gly Asp Ser Phe
35 40 45
Thr His Thr Pro Pro Leu Asp Pro Gln Glu Leu Asp Ile Leu Lys Thr
50 55 60
Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile Gln Ala Trp Pro Glu Asn
65 70 75 80
Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu Glu Ile Ile Arg Gly Arg
85 90 95
Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala Val Val Ser Leu Asn Ile
100 105 110
Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu Ile Ser Asp Gly Asp Val
115 120 125
Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr Ala Asn Thr Ile Asn Trp
130 135 140
Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys Thr Lys Ile Ile Ser Asn
145 150 155 160
Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly Gln Val Cys His Ala Leu
165 170 175
Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu Pro Arg Asp Cys Val Ser
180 185 190
Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys Val Asp Lys Cys Asn Leu
195 200 205
Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu Asn Ser Glu Cys Ile Gln
210 215 220
Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met Asn Ile Thr Cys Thr Gly
225 230 235 240
Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala His Tyr Ile Asp Gly Pro
245 250 255
His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val Met Gly Glu Asn Asn Thr
260 265 270
Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His Val Cys His Leu Cys His
275 280 285
Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro Gly Leu Glu Gly Cys Pro
290 295 300
Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala Thr Gly Met Val Gly Ala
305 310 315 320
Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly Ile Gly Leu Phe Met
325 330 335
<210> 17
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> exemplary degenerate sequence of the V region of IGH
<400> 17
acacggcctc gtgtattact gt 22
<210> 18
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> exemplary degenerate sequence of the J region of IGH
<400> 18
acctgaggag acggtgacc 19
<210> 19
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> T2A
<400> 19
Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu Glu Asn Pro
1 5 10 15
Gly Pro
<210> 20
<211> 22
<212> PRT
<213> artificial sequence
<220>
<223> P2A
<400> 20
Gly Ser Gly Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Glu Asn Pro Gly Pro
20
<210> 21
<211> 19
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 21
Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val Glu Glu Asn
1 5 10 15
Pro Gly Pro
<210> 22
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> E2A
<400> 22
Gln Cys Thr Asn Tyr Ala Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val Glu Ser
1 5 10 15
Asn Pro Gly Pro
20
<210> 23
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> F2A
<400> 23
Val Lys Gln Thr Leu Asn Phe Asp Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20
<210> 24
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 24
Gly Ser Thr Ser Gly Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr
1 5 10 15
Lys Gly
<210> 25
<211> 735
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence encoding scFv
<400> 25
gacatccaga tgacccagac cacctccagc ctgagcgcca gcctgggcga ccgggtgacc 60
atcagctgcc gggccagcca ggacatcagc aagtacctga actggtatca gcagaagccc 120
gacggcaccg tcaagctgct gatctaccac accagccggc tgcacagcgg cgtgcccagc 180
cggtttagcg gcagcggctc cggcaccgac tacagcctga ccatctccaa cctggaacag 240
gaagatatcg ccacctactt ttgccagcag ggcaacacac tgccctacac ctttggcggc 300
ggaacaaagc tggaaatcac cggcagcacc tccggcagcg gcaagcctgg cagcggcgag 360
ggcagcacca agggcgaggt gaagctgcag gaaagcggcc ctggcctggt ggcccccagc 420
cagagcctga gcgtgacctg caccgtgagc ggcgtgagcc tgcccgacta cggcgtgagc 480
tggatccggc agccccccag gaagggcctg gaatggctgg gcgtgatctg gggcagcgag 540
accacctact acaacagcgc cctgaagagc cggctgacca tcatcaagga caacagcaag 600
agccaggtgt tcctgaagat gaacagcctg cagaccgacg acaccgccat ctactactgc 660
gccaagcact actactacgg cggcagctac gccatggact actggggcca gggcaccagc 720
gtgaccgtga gcagc 735
<210> 26
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<220>
<221> VARIANT
<222> (1)..(1)
<223> X = G, C, or R
<220>
<221> VARIANT
<222> (4)..(4)
<223> X = C or T
<400> 26
Xaa Pro Pro Xaa Pro
1 5
<210> 27
<211> 15
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> Hinge
<400> 27
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10 15
<210> 28
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> Hinge
<400> 28
Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 29
<211> 61
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> Hinge
<400> 29
Glu Leu Lys Thr Pro Leu Gly Asp Thr His Thr Cys Pro Arg Cys Pro
1 5 10 15
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu
20 25 30
Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu Pro
35 40 45
Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro
50 55 60
<210> 30
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> Hinge
<400> 30
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Ser Cys Pro
1 5 10
<210> 31
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 31
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 32
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 32
Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5
<210> 33
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 33
Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 34
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 34
Glu Val Val Val Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 35
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L1
<400> 35
Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr Leu Asn
1 5 10
<210> 36
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L2
<400> 36
Ser Arg Leu His Ser Gly Val
1 5
<210> 37
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L3
<400> 37
Gly Asn Thr Leu Pro Tyr Thr Phe Gly
1 5
<210> 38
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H1
<400> 38
Asp Tyr Gly Val Ser
1 5
<210> 39
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H2
<400> 39
Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser
1 5 10 15
<210> 40
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H3
<400> 40
Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly
1 5
<210> 41
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 VH
<400> 41
Glu Val Lys Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln
1 5 10 15
Ser Leu Ser Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr
20 25 30
Gly Val Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu
35 40 45
Gly Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys
50 55 60
Ser Arg Leu Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu
65 70 75 80
Lys Met Asn Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95
Lys His Tyr Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 42
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 VL
<400> 42
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr
100 105
<210> 43
<211> 245
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 scFv
<400> 43
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr Gly Ser Thr Ser Gly
100 105 110
Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Glu Val Lys
115 120 125
Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln Ser Leu Ser
130 135 140
Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr Gly Val Ser
145 150 155 160
Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu Gly Val Ile
165 170 175
Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser Arg Leu
180 185 190
Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu Lys Met Asn
195 200 205
Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala Lys His Tyr
210 215 220
Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Ser
225 230 235 240
Val Thr Val Ser Ser
245
<210> 44
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L1
<400> 44
Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn Val Ala
1 5 10
<210> 45
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L2
<400> 45
Ser Ala Thr Tyr Arg Asn Ser
1 5
<210> 46
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L3
<400> 46
Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr Thr
1 5
<210> 47
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR H1
<400> 47
Ser Tyr Trp Met Asn
1 5
<210> 48
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR H2
<400> 48
Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe Lys
1 5 10 15
Gly
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<211> 13
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1 5