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特開2023-184652位置情報処理システム、位置情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184652
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】位置情報処理システム、位置情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
G01C15/00 102C
G01C15/00 103C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189971
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2020058031の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 武弘
(57)【要約】
【課題】一実施形態においては、対象物を捜索することが容易な位置情報処理システム、位置情報処理装置と処理方法を提供する。
【解決手段】一実施形態によると、計測器本体が出射したレーザビームが照射する照射点の位置を示す照射点RTK-GNSS位置情報を得る手段と、前記照射点RTK-GNSS位置情報と予め登録している対象物の対象物RTK-GNSS位置情報を用いて、前記照射点の位置と、前記対象物の位置との差分の距離を算出する手段と、前記差分の状況を表示する手段を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器自身の位置である計測器PTK-GNSS位置情報を取得する第1の手段と、レーザビームにより照射した照射点の位置である第1の照射点PTK-GNSS位置情報を得る第2の手段と、電子機器と通信を行う第3の手段とを備えている計測器本体と、
前記電子機器は、
サーバとの通信を行う第4の手段と、
予め前記サーバに登録されている過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得して保持する第5手段と、
前記計測器本体から現在取得している前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報と前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報とを比較し、互いの位置の誤差を得る第6の手段と、
前記誤差に応じた間隔で表示器に対して前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報と前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報のアイコンを表示する第7の手段と、
を備える位置情報処理システム。
【請求項2】
前記電子機器は複数であり、それぞれが前記サーバから前記過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得する、請求項1記載の位置情報処理システム。
【請求項3】
計測器本体が、計測器自身の位置である計測器PTK-GNSS位置情報を取得し、レーザビームにより照射した照射点の位置である第1の照射点PTK-GNSS位置情報を取得し、また電子機器と通信を行うことが可能であり、
前記電子機器が、
サーバとの通信を行い、予め登録されている過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得して保持し、
前記計測器本体が現在取得している前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報を受信して、前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報と比較し、互いの位置の誤差を得、
前記誤差に応じた間隔で表示器に対して前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報と前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報のアイコンを表示する、
位置情報処理方法。
【請求項4】
前記電子機器は、前記サーバから前記過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得する、請求項3記載の位置情報処理方法。
【請求項5】
前記電子機器は複数であり、それぞれが前記サーバから前記過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得する、請求項3記載の位置情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、位置情報処理システム、位置情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路、ビル、橋、陸橋等の建築物のひび割れ、傷などを点検補修する作業が定期的に行われる。その場合、ひび割れ、傷などの発生個所を、見つける検索作業者と、ひび割れ、傷などを補修する補修作業者が異なる場合がある。
【0003】
このような場合、検索作業者が、ひび割れ、傷などの発生個所を、地図や設計図に目印をつけて補修作業者に渡し、補修作業者が数日後、或は数週間後に当該地図や設計図を頼りに現場に出向いて、ひび割れ、傷などを補修することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008-533479号公報
【特許文献2】特表2008-523371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ひび割れ、傷などの発生個所を補修作業者が探す場合、周囲の環境が変化していると(草の生い茂り、汚れの付着、降雪、砂に埋もれるなど)、当該発生個所を捜索するのに時間がかかる、見つけだすことができない等の場合がある。
【0006】
そこで一実施形態においては、対象物を捜索することが容易な位置情報処理システム、位置情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、計測器自身の位置である計測器PTK-GNSS位置情報を取得する第1の手段と、レーザビームにより照射した照射点の位置である第1の照射点PTK-GNSS位置情報を得る第2の手段と、電子機器と通信を行う第3の手段とを備えている計測器本体とを備える。ここで、前記電子機器は、
サーバとの通信を行う第4の手段と、
予め前記サーバに登録されている過去の第2の照射点PTK-GNSS位置情報を取得して保持する第5手段と、
前記計測器本体から現在取得している前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報と前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報とを比較し、互いの位置の誤差を得る第6の手段と、
前記誤差に応じた間隔で表示器に対して前記第1の照射点PTK-GNSS位置情報と前記第2の照射点PTK-GNSS位置情報のアイコンを表示する第7の手段と、
を備える位置情報処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態で用いる計測器の機能の一例を説明する図である。
図2図2は実施形態で用いる計測器が携帯端末と通信し、対象物のRTK-GNSS位置情報を該携帯端末に登録できることを説明する図である。
図3図3は対象物が降雪により埋まった場合に計測器と携帯端末を用いて対象物を捜索する際の様子を説明する図である。
図4図4は実施形態のシステムが活用されるときのシーンの一例を示す説明図である。
図5図5は実施形態のシステムが活用されるときのシーンの他の例を示す説明図である。
図6図6は実施形態の計測器とスマホ(電子機器)の主要なブロック構成を示す図である。
図7図7は実施形態において、対象物のGPS位置を登録するときのスマホの動作を説明するフローチャートである。
図8図8は実施形態において、対象物を捜索する際のスマホの動作を説明するフローチャートである。
図9図9は実施形態において、対象物を捜索する前に、対象物を登録したときの位置へまず計測器を誘導する際の説明図である。
図10図10は、さらに他の実施形態を示す図である。
図11図11は、さらにまた他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は一実施形態で使用される計測器300が、対象物P1をレーザ計測機能のビームによりポイントしている様子を示している。
【0010】
計測器300は、RTK-GNSSを利用するもので、高精度でGPS上の自身の位置情報(計測器RTK-GNSS位置情報)を認識することができる。またレーザビームを利用した距離計測機能を備え、対象物P1をレーザビームによりポイントすることで、レーザ出射位置(計測器位置)と対象物P1間の距離S1のデータを得ることができる。さらにこの時、ジャイロセンサーを備える(内蔵又は外付けする)ことにより、計測器300の現在の立ち位置P2の方向と前記対象物P1の方向とがなす角度θ1を求めることもできる。
【0011】
上記の要件が整うと、三角関数の式より、前記立ち位置P2方向のラインと、前記対象物P1を通過するラインとが直交するものとすると、前記立ち位置P2から対象物P1までの距離D1を求めることも容易であるし、また対象物P1から計測器300の方向と、対象物P1から立ち位置P2方向とが成す角度θ2も容易に求めることが可能である。
【0012】
さらにまた、距離S1と前記立ち位置P2との距離S2(高さH)も計測器300の向きを変更して、レーザ計測機能により容易に求めることができる。
【0013】
計測器300は、計測器(第1)RTK-GNSS位置情報と、距離D1がわかると、計測器(第1)RTK-GNSS位置情報の位置要素に、距離D1の分を補正データとして与えると、対象物P1のGPS上の位置情報(対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を求める(換算する)ことができる。この場合、図2で示すように、計測器(第1)RTK-GNSS位置情報をP1′の位置にいったん変換し、次に、高さ情報を考慮して、対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を求めてもよい。
【0014】
したがって、上記の計測要素の一部が揃うと、計測器300のGPS上の位置情報(計測器(第1)RTK-GNSS位置情報)から、対象物P1のGPS上の位置情報(対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を得ることが可能と言える。
【0015】
また、計測器300は、例えばBluetooth(登録商標)による通信機能を備えている。そのために、計測器300は、計測情報を例えばスマホ或はタブレットPCなどの電子機器に送信することができる。
【0016】
図2は、計測器300と例えばスマホ100とが通信状態にある様子を示している。スマホ100は、少なくとも上記した対象物P1のGPS上の位置情報(対象物RTK-GNSS位置情報)を対象物(P1)関連情報として記憶する記憶機能を備えている。この記憶機能は、先の計測器RTK-GNSS位置情報を記憶してもよい。
【0017】
上記のように計測器300は、スマホ100との間で通信を行う機能を備えている。したがって、計測器300は、上記した各種の計測データから、対象物(第2)RTK-GNSS位置情報を計算により求める機能を備えて、対象物(第2)RTK-GNSS位置情報をスマホ100に送信してもよい。或は、対象物(第2)RTK-GNSS位置情報を計算により求める機能は、スマホ100にゆだねて、計測器300は、計測したデータを逐次スマホ100に送信するだけでもよい。
【0018】
このように位置情報処理システムは、少なくとも対象物(第2)RTK-GNSS位置情報(照射点RTK-GNSS位置情報と称してもよい)を例えばスマホ100に登録することができる。
【0019】
なおスマホ100は、計測器300から受信した各種計測データをさらにサーバに送信してもよい。この場合、サーバが対象物P1のGPS上の位置情報(対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を計算してもよい。或は、スマホ100が計測器300から受信した各種計測データに基づいて、対象物P1のGPS上の位置情報(対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を計算し、この計算結果をサーバに送信し、サーバが位置情報(対象物(第2)RTK-GNSS位置情報)を管理してもよい。この場合、位置情報には、スマホ100の機器IDとともに、データ収集日時情報、天気情報、会社情報、地域名情報などの属性情報が付加されていてもよい。
【0020】
図3は、先の対象物P1が例えば降雪のために雪SWに埋もれている状態のとき、対象物P1がユーザにより捜索されるときの様子を示している。ユーザは、対象物P1が雪SWに埋設されているために、外部から目視することができない。そのためユーザは、対象物P1が位置する近辺の位置(照射点Px)に計測器300から出射されたレーザビームを照射する。すると、本システムは、照射点Pxの位置を示す照射点(第3)RTK-GNSS位置情報を得ることができる。そして、スマホ100は、先に登録してある対象物(第2)RTK-GNSS位置情報と今回取得した照射点(第3)RTK-GNSS位置情報とを比較し、その位置の差分の距離Xを求めることができる。
【0021】
またスマホ100は、対象物(第2)GPS位置と今回取得した照射点(第3)GPS位置との関係をスマホ100の画面上で視覚化して表示することができる。アイコンT1は、対象物(第2)GPS位置を表す画像であり、アイコンT2は、現在ポイントされている照射点(第3)GPS位置を表す画像である。アイコンT2は例えば矢印で表示され、照射点を変更すると、変更方向へ矢印が向くように画像処理される。これにより、ユーザはビームのポイント先を調整して対象物の位置を詳細に捜索することが可能である。計測器300の現在(第4)RTK-GNSS位置情報(GPSD4)は、計測器300が自身により常時検知している情報である。
【0022】
画像による誘導のみならず、音声により案内してもよい。例えば照射点が対象物に近づくにつれて間欠的な発音(例えばピッ、ピッ、・・・)の周期が短くなる、或は、実際の音声が「遠い」、「近い」、「より近い」、「きわめて近い」などを出力してもよい。
【0023】
上記の説明は、対象物が雪に埋もれた場合の説明であるが、本システムは、対象物が砂や火山灰に埋もれている場合に対象物を探索する場合にも利用できることは勿論である。
【0024】
図4は、上記の位置情報処理システムが実際に使用される場所であって、空港の滑走路400脇に配列された誘導灯411a-411n、421a-421nが対象物となった例を示している。誘導灯411a-411n、421a-421nは、降雪により埋もれることがある。そこで、あらかじめ各誘導灯411a-411n、421a-421nの位置を対象物RTK-GNSS位置情報としてスマホ100のメモリに格納しておく。そして、ユーザが雪に埋もれた誘導灯411a-411n、421a-421n捜索する場合には、計測器300とスマホ100を用いる。ユーザは、図3で説明したような手順にて、各誘導灯411a-411n、421a-421nを正確に探索することができ、効率的に除雪を行うことができる。
【0025】
図5は、上記の位置情報処理システムが実際に使用される場所であって、橋500の傷やひび割れ501a,501b,501cが対象物となった例を示している。これらの傷やひび割れ501a,501b,501cは、検索作業者があらかじめ図2で説明したような手順で、対象物RTK-GNSS位置情報としてスマホ100に登録される。その後、補修作業者は、図3で説明したような手順にて、各傷やひび割れ501a,501b,501c位置を正確に探索することができ、効率的に補修作業を行うことができる。即ち、汚れの付着や、草の育ちなどで、視覚的に傷やひび割れ501a,501b,501c位置がわかりにくくても、本実施形態のシステムにより各傷やひび割れ501a,501b,501c位置を正確に探索することができる。
【0026】
本実施形態のシステムは、上記の応用に限らず、例えば山や野原などで毎年芽吹く山菜、マツタケなどの位置を登録し、次の年に収穫に行く場合の捜索手段として利用可能である。
【0027】
図6は、計測器300とスマホ100の基本的な内部構成を示すブロック図である。計測器300は、電源部311、制御器312、レーザ距離計測器313、RTK-GNSS部314、通信器315、ジャイロセンサー316、高度計317を備える。これらのすべてを備える必要はなく、電源部311、制御器312、レーザ距離計測器313、RTK-GNSS部314、通信器315が装備されれば、その目的を達成することができる。
【0028】
スマホ100は、システムコントローラ111を備える。システムコントローラ111は、中央演算処理装置(CPU)112、固定プログラムや係数を記憶しているROM113、演算処理の途中データを書き込み読み出しするためのROM114を含む。メインバス115は、電源ライン、データライン、制御信号ラインなどを含む。電源130は、スマホ100内部の各ブロックに電源を供給する。アンテナ装置212は、インターネット通信用のアンテナ、近距離通信用のアンテナ(WiーFi(登録商標)、Bluetoothなど)、GPS用アンテナを含む。アンテナ装置121は、送受信装置122と接続されており、高周波信号の送受信が可能である。送受信装置122は、受信した電波を復調し、復調したデータをシステムコントローラ111に供給し、また、システムコントローラの制御の下で受け取った送信すべきデータを変調してアンテナ装置121に供給する。
【0029】
スマホ100は、表示器131と表示器131と一体化したタッチ操作部132を有する。タッチ操作部132が操作されたときの信号は操作入力処理部141でピックアップされ、システムコントローラ111で解析される。受信したモニタ画像(動画や静止画)データや内部で生成された画像データは、画像データ処理部142から表示器131に入力され、画像として表示される。
【0030】
スマホ100は、カメラ143も備えており、撮像した静止画や動画をメインメモリ146に格納することができる。またマイク144も備え、収音した音声データをメインメモリ146に格納することができる。
【0031】
さらにスマホ100は、GPS対応部145を備え、位置情報を取得することができる。そして現在位置情報を記憶している地図データ上に表示することができる。
【0032】
またスマホ100は、スピーカ147を通じて着信音を出力する、また電話機能部148を制御し、ユーザの電話応答を可能としている。
【0033】
図7は、計測器300とスマホ100の協同動作により、対象物の位置を登録するときのスマホ100の動作フローを示している。ユーザは、計測器300とスマホ100を携帯する。スマホ100は、対象物の位置を登録する登録機能を備える。ユーザは登録モードボタンを操作し、スマホ100を対象物登録モードにする。
【0034】
ユーザは、対象物に計測器300を向けてレーザを照射する(AS1)。計測器300は、対象物RTK-GNSS位置情報を計算する機能を備える場合、対象物RTK-GNSS位置情報と、計測器300自身の位置を示す計測器RTK-GNSS位置情報をスマホ100に向けて送信する。計測器300が、対象物RTK-GNSS位置情報までを計算する機能を備えない場合は、計測した各種データをスマホ100へ送信し、スマホ100が対象物RTK-GNSS位置情報を計算してもよい。この例では、スマホ100が対象物RTK-GNSS位置情報を計算するものとして説明する。
【0035】
スマホ100は、計測器300からの電波を捕らえると、データ受信を開始する(AS2)。このときスマホ100は、音声又は色付き発光によりデータ受信中であることを報知する(AS3)。スマホ100は、計測器300から計測器RTK-GNSS位置情報(GPSD1)と、距離S1、角度θ1、高さH(図2参照)のデータを受信したか否か、又は、距離S1、角度θ1、距離S2(図2参照)のデータを受信したか否かを判断する(AS4)。
【0036】
受信しているデータが十分であれば、計測器300の立ち位置P2から対象物P1までの距離D1を計算する。そして、この距離D1と、計測器RTK-GNSS位置情報(GPSD1)から、対象物P1の位置を示す対象物P1RTK-GNSS位置情報(GPSD2)を計算により求める(換算する)(AS5)。
【0037】
そして、上記対象物P1に識別データ(P1ID)を付して、この識別データ(P1ID)に先の計測器RTK-GNSS位置情報(GPSD1)、対象物P1RTK-GNSS位置情報(GPSD2)をリンクさせて、記憶部に登録する(AS6)。次の対象物を登録したい場合は、ユーザは対象物登録用の操作ボタンを操作する(AS7)。そして、ユーザは、計測器300とスマホ100を持ち、次の対象物の近くに移動し、計測器300の例えばスタートボタンを操作する(AS11)。ステップAS7において、ユーザがスマホの作業終了ボタンを操作すると、スマホ100は、今まで登録したデータをファイルとしてメモリに格納する。このときファイル名の入力をユーザに要求する。
【0038】
図8は、対象物を捜索するときのスマホ100の動作を示すフローチャートである。ユーザは計測器300とスマホ100を持ち、対象物のあるエリアに移動し、スマホ100の操作モードボタンを選択する。そしてユーザは、対象物があると考えられるエリアに計測器300を向けて、レーザを照射する(BS1)。スマホ100は、計測器300からの電波を受信するとスマホ100は、計測器300からの電波を捕らえると、データ受信を開始する(BS2)。このときスマホ100は、音声又は色付き発光によりデータ受信中であることを報知する(BS3)。スマホ100は、計測器300から計測器現在(第4)RTK-GNSS位置情報(GPSD4)と、距離S1、角度θ1、高さH(図3参照)のデータを受信したか否か、又は、距離S1、角度θ1、距離S2(図3参照)のデータを受信したか否かを判断する(BS4)。
【0039】
受信しているデータが十分であれば、計測器300の立ち位置P2から照射位置Pxまでの距離D2を計算する。そして、この距離D2と、計測器現在(第4)RTK-GNSS位置情報(GPSD4)から、照射点Pxの位置を示す照射位置(第3)RTK-GNSS位置情報(GPSD5)を計算により求める(換算する)。さらにこの照射位置(第3)RTK-GNSS位置情報(GPSD5)とあらかじめ登録していた対象物(第2)RTK-GNSS位置情報(GPSD2)との差分の距離Xを求める(BS5)。
【0040】
さらにスマホ100は、表示画面及び又は音声により図3で説明したようなガイドを行うことができる(BS6)。次の捜索すべき対象物がある場合、ユーザは、ユーザは対象物捜査用の操作ボタンを操作する(BS7)。そして、ユーザは、計測器300とスマホ100を持ち、次の対象物の近くに移動し、計測器300の例えばスタートボタンを操作する(BS11)。ステップBS7において、ユーザがスマホ100の作業終了ボタンを操作すると、終了となる(SB8)。
【0041】
上記したように、本システム及び又は装置は、計測器300本体が出射したレーザビームが照射する照射点の位置を示す照射点RTK-GNSS位置情報を得る手段有する。また前記照射点RTK-GNSS位置情報と予め登録している対象物の対象物RTK-GNSS位置情報を用いて、前記照射点の位置と、前記対象物の位置との差分の距離を算出する手段とを有する。ここで、前記照射点RTK-GNSS位置情報を得る手段は、前記計測器本体から送信されてきた複数の計測データを用いて計算することで前記照射点RTK-GNSS位置情報を得てもよい。或は、前記照射点RTK-GNSS位置情報を得る手段は、前記計測器本体から送信されてきた前記照射点RTK-GNSS位置情報を受信することで得てもよい。また前記差分の距離の状態を表示器に表示する手段を備えてもよい。さらに上記の特徴は位置情報処理方法としても有効である。
【0042】
図9は、ユーザが対象物を捜索する際、できるだけ対象物を登録した位置から捜索するように、登録エリアにユーザを案内する実施形態である。ユーザは、対象物を操作するのに先立って、スマホ100の登録位置回帰ボタンを操作する。このボタンは、例えば図8のステップBS1の次及びステップBS11で操作される。まず、スマホ100には、計測器300からの計測器現在(第4)RTK-GNSS位置情報が送信される。スマホ100は、計測器300からの現在(第4)RTK-GNSS位置情報を受け取り、この位置に最も近い事前登録されている計測器(第1)RTK-GNSS位置情報を検索し、誘導を開始する。この場合も画面上は、計測器(第1)GPS位置を示すアイコンT11と、現在(第4)GPS位置を示すアイコンT12が表示され、ユーザの移動をサポートすることができる。
【0043】
上記の機能を備えることで、捜索物の捜索位置が、捜索物の位置情報を登録したときと同じ条件となり、捜索が容易になることが期待できる。
【0044】
図10は、さらに他の実施形態を示している。基本動作は、図2及び図3の構成の場合と同じであるが、この実施形態では、対象物RTK-GNSS位置情報は、ネットワークNETを介して、サーバ600のデータファイル601に記録されるようにしたシステムである。したがって、対象物を捜索するときは、スマホ100によりデータファイル601からダウンロードして、使用することになる。しかしこのシステムであると、例えばひび割れ、傷などの発生個所を、見つける検索作業者と、ひび割れ、傷などを補修する補修作業者が異なるスマホを使用しても問題なく本システムを活用することが可能である。
【0045】
図11はさらにまた他の実施形態を示している。基本動作は、図2及び図3の構成の場合と同じであるが、この実施形態では、対象物RTK-GNSS位置情報は、ネットワークNETを介して、サーバ600のデータファイル601に記録されるようにしたシステムである。
【0046】
そして、さらに記録した対象物RTK-GNSS位置情報を利用する場合、複数のスマホ100a、・・・・100nで共有可能とした例である。例えば、橋BriやトンネルTunnの傷やひび割れの個所を補修する場合、作業者が複数人で補修する場合がある。このような場合、本システムでは、各作業者のスマホ100a、・・・・100nに対して、GPS機能に基づく地図を表示させ、かつこの地図に補修個所p11-p13、p21を合成表示することができる。この合成地図情報は、サーバ600において作成されてもよいし、スマホにおいて作成されてもよい。スマホで合成地図情報が作成される場合は、スマホは、地図情報とRTK-GNSS位置情報とをダウンロードすることになる。合成地図情報が、サーバ600において作成されている場合は、各スマホは合成地図情報をダウンロードすればよい。
【0047】
上記のように地図情報に対象物位置情報を合成することで、管理者は、作業者の効率的な配置戦略などを練ることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0049】
また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
100・・・スマホ、111・・・システムコントローラ、122・・・送受信装置、131・・・表示器、141・・・操作入力処理部、142・・・画像データ処理部、146・・・メインメモリ、148・・・電話機能部、
300・・・計測器、312・・・制御器、313・・・レーザ距離計測器、314・・・RTK-GNSS部、315・・・通信機、316・・ジャイロセンサー、317・・・高度計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11