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特開2023-184670シート体験システム、車両用シートおよび車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184670
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】シート体験システム、車両用シートおよび車両
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20231221BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190474
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019139314の分割
【原出願日】2019-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(57)【要約】
【課題】シート本体上で体を動かすことによりシート体験装置を操作する。
【解決手段】シート体験システムは、シート本体S0に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサ(PS1~PS6)と、センサから測定値を取得可能にセンサと接続されたシート制御部(制御装置100)とを備えるシートSと、シート制御部と接続されたシート体験装置(スマートフォンSP)と、を備える。センサは第1のセンサと第2のセンサとを含み、シート制御部は、第1のセンサから取得した測定値が所定のしきい値を超えたと判定した場合に第1の信号をシート体験装置に送信し、第2のセンサから取得した測定値が所定のしきい値を超えたと判定した場合に第2の信号をシート体験装置に送信する。シート体験装置は、第1の信号を受信した場合と第2の信号を受信した場合とで、異なる処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、前記シート本体に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサと、前記センサから前記測定値を取得可能に前記センサと接続されたシート制御部とを備えるシートと、
前記シート制御部と接続されたシート体験装置であって、前記測定値に基づいて操作可能なシート体験装置と、を備えるシート体験システムであって、
前記センサは第1のセンサと、前記第1のセンサとは異なる位置に配置された第2のセンサとを含み、
前記シート制御部は、前記第1のセンサから取得した前記測定値が所定のしきい値を超えたと判定した場合に第1の信号を前記シート体験装置に送信し、前記第2のセンサから取得した前記測定値が所定のしきい値を超えたと判定した場合に第2の信号を前記シート体験装置に送信し、
前記シート体験装置は、前記第1の信号を受信した場合と前記第2の信号を受信した場合とで、異なる処理を実行することを特徴とするシート体験システム。
【請求項2】
前記シート制御部は、前記各センサから一定の制御サイクルごとに測定値を取得する測定値取得部を有することを特徴とする請求項1に記載のシート体験システム。
【請求項3】
前記シート制御部は、前記測定値のピークから、着座者の運動の周期を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート体験システム。
【請求項4】
前記シート制御部は、前記測定値のピーク値から、着座者の運動の強度を算出し、前記運動の強度の累積により、着座者の運動量を決定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシート体験システム。
【請求項5】
前記シート体験装置と通信可能なサーバをさらに備え、
前記シート体験装置は、前記シート体験システムの異常を検知した場合に、前記サーバおよび/または前記シート体験システムの管理者が使用する端末へ、異常を通知することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート体験システム。
【請求項6】
前記シート体験装置は、前記シート制御部から前記シート体験システムの異常の通知を受けることによって異常を検知することを特徴とする請求項5に記載のシート体験システム。
【請求項7】
前記シート制御部は、前記センサから受ける信号が所定値よりも大きい状態が所定時間続いた場合、所定値よりも小さい状態が所定時間続いた場合、または、変動が大きい状態が所定時間続いた場合に、前記センサに異常があると判定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のシート体験システム。
【請求項8】
前記シート制御部は、前記センサに異常があると判定した場合に、前記センサへの電気の供給を停止することを特徴とする請求項7に記載のシート体験システム。
【請求項9】
前記シート体験装置は、
前記シート本体上で着座者が動くことによるゲームを提供し、
前記サーバを介して他のシート体験装置と通信し、他のシート体験装置とオンラインで同時にゲームを実行することが可能に構成され、
前記サーバとの間の通信に異常がある場合には、前記他のシート体験装置と同時にゲームを実行せず、オフラインのみでゲームを実行可能とすることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のシート体験システム。
【請求項10】
前記シートは、車両に設置され、
前記シート体験装置は、
ナビゲーションシステムからナビゲーション中のルート情報、車両の位置情報および車両の速度情報を取得し、前記ルート情報、前記位置情報および前記速度情報に基づき、前記車両が所定時間以内に通信障害がおきやすい場所に入ると判定した場合、前記サーバとの通信が途絶える可能性があることを着座者に通知することを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のシート体験システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体にセンサを有するシート体験システム、車両用シートおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者のシートに圧力センサ等を搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-064131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置は、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであり、着座者の積極的な行動を促すものではない。本願の発明者等は、シートに設けたセンサの測定値を利用して、シート上の着座者により積極的な行動を促して、シートに座っている時間の価値を高めるシート体験システムを検討している。このような高度なシステムにおいては、システムの状況に応じてシステムの動作を変え、着座者が安心してシステムを楽しめるようにすることが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、着座者がシステムの状況を把握でき、安心して使用することができるシート体験システム、車両用シートおよび車両を提供することを目的とする。
【0006】
また、電力消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決する本発明は、シートと、シート体験装置と、当該シート体験装置と通信可能なサーバとを備えるシート体験システムである。
シートは、シート本体と、シート本体に設けられ、シート本体に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサと、センサから測定値を取得可能にセンサと接続されたシート制御部とを備える。
シート体験装置は、シート制御部と接続され、前記測定値に基づいて、シート体験装置または他の装置を操作可能に構成される。
そして、シート体験装置は、シート体験システムの異常を検知した場合に、着座者に異常を通知し、シート体験システムの機能の少なくとも一部を制限する。
【0008】
このような構成によれば、シート体験装置がシート体験システムの異常を検知した場合に、着座者に異常を通知し、シート体験システムの機能の少なくとも一部を制限するので、着座者はシステムの状況を把握して安心してシート体験システムを使用することができる。
【0009】
シート体験装置は、シート体験システムの異常を検知した場合に、サーバおよび/またはシート体験システムの管理者が使用する端末へ、異常を通知することが望ましい。
【0010】
このような構成によれば、シート体験システムの管理者がシステムの異常を知ることができるので、異常の復旧を迅速に行うことができる。もしくは、着座者に異常への対処方法を案内するなどして、着座者を安心させることができる。
【0011】
シート体験装置は、シート制御部からシート体験システムの異常の通知を受けることによって異常を検知してもよい。
【0012】
シート制御部は、センサから受ける信号が所定値よりも大きい状態が所定時間続いた場合、所定値よりも小さい状態が所定時間続いた場合、または、変動が大きい状態が所定時間続いた場合センサに異常があると判定する構成であってもよい。
【0013】
シート制御部は、センサに異常があると判定した場合に、センサへの電気の供給を停止することが望ましい。
【0014】
これにより、電力消費を抑制することができる。
【0015】
シート体験装置は、シート本体上で着座者が動くことによるゲームを提供し、サーバを介して他のシート体験装置と通信し、他のシート体験装置とオンラインで同時にゲームを実行することが可能に構成されていてもよい。この場合、シート体験装置は、サーバとの間の通信に異常がある場合には、他のシート体験装置と同時にゲームを実行せず、オフラインのみでゲームを実行可能としてもよい。
【0016】
このような構成によれば、シート体験装置は、サーバと通信できない場合にも、着座者にゲームを提供することができる。
【0017】
シートは、車両に設置されていてもよい。この場合、シート体験装置は、ナビゲーションシステムからナビゲーション中のルート情報、車両の位置情報および車両の速度情報を取得し、ルート情報、位置情報および速度情報に基づき、車両が所定時間以内に通信障害がおきやすい場所に入ると判定した場合、サーバとの通信が途絶える可能性があることを着座者に通知することが望ましい。
【0018】
このような構成によれば、着座者は、通信の異常の発生を事前に知ることができる。
【0019】
前記した課題を解決する本発明の車両用シートは、シート本体と、シート本体に設けられ、シート本体に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサと、センサから測定値を取得可能にセンサと接続されたシート制御部とを備える。シート制御部は、センサから受ける信号が所定値よりも大きい状態が所定時間続いた場合または所定値よりも小さい状態が所定時間続いた場合に、センサに異常があると判定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、着座者はシステムの状況を把握して安心してシート体験システムを使用することができる。
【0021】
また、シート体験システムの管理者がシステムの異常を知ることで、異常の復旧を迅速に行うことができる。もしくは、着座者に異常への対処方法を案内するなどして、着座者を安心させることができる。
【0022】
また、異常のあるセンサに電気を供給しないことで、電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係るシート体験システムの全体構成を説明する図である。
図2】各シートの構成を説明する図である。
図3】シートおよびシステムの構成を説明するブロック図である。
図4】サーバの構成を説明するブロック図である。
図5】キャリブレーション時に取得した圧力の変化を示すグラフである。
図6】オノマトペの判定条件のテーブルである。
図7】運動レベル判定テーブルである。
図8】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、ゲームの参加の処理部分である。
図9】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、キャリブレーション処理部分である。
図10】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、レース処理部分である。
図11】アプリの処理の一例を示すフローチャートである。
図12】ゲーム進行処理のキャリブレーション処理部分である。
図13】ゲーム進行処理のレース処理部分である。
図14】サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図15】制御装置の異常判定処理のフローチャートである。
図16】スマートフォンの異常判定処理のフローチャートである。
図17】開始画面の一例である。
図18】ウォーミングアップ画面の一例である。
図19】100m走ゲームのスタート画面の一例である。
図20】100m走ゲーム中の画面の一例である。
図21】100m走ゲームのゴール時の画面の一例である。
図22】100m走ゲームの結果画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、シート体験システムの一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシート体験システムSYSは、シートSと、シート体験装置の一例としてのスマートフォンSPと、サーバSVとを使ってオンラインゲームを提供する。シートSは、例えば、車両CRに設置される車両用シートとして構成される。シートSは、シート本体S0と、シート制御部の一例としての制御装置100とからなる。車両CRには、例えば、2つの前席と2つの後席の4つのシートにシートSが設けられている。制御装置100は、車両CRでは、この4つのシートSの間で情報を統合し、これらを連携して動作させるとともに、スマートフォンSPと通信を行う。また、車両CRには、ナビゲーションシステム300が設置されている。
【0025】
各スマートフォンSPは、着座者Pが使用するものである。スマートフォンSPは、インターネットINTを介してサーバSVとインターネットプロトコルによって通信する携帯端末である。スマートフォンSPは、場所によっては、Wi-Fi(登録商標)を利用した公衆無線回線を介してサーバSVと通信可能である。また、各スマートフォンSPは、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信によりナビゲーションシステム300と通信可能であり、ナビゲーションシステム300からナビゲーション中のルート情報、車両CRの位置情報および車両CRの速度情報等を取得することが可能である。
【0026】
本実施形態のシート体験システムSYSは、スマートフォンSP上で、シート本体S0を利用した100m走のゲームを提供するものとする。このゲームは、複数のプレイヤーがオンラインで同時に100m走をすることができる。スマートフォンSPはディスプレイDSP(図2参照)を含み、制御装置100は、シート本体S0上で、左右の脚を交互に上下させることで、ディスプレイDSP上に表示されたゲーム内のキャラクタを走らせる操作をする信号を出力する。
つまり、スマートフォンSPは、シート本体S0上で着座者Pが動くことによるゲームを提供し、サーバSVを介して他のスマートフォンSP(自車内のスマートフォンSPと他の車両内のスマートフォンSPを含む。)と通信し、他のスマートフォンSPとオンラインで同時にゲームを実行することが可能に構成されている。
【0027】
図2に示すように、シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に座っている着座者Pの動作を検出するための測定値を取得するセンサである。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者Pに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者Pからの圧力値を取得する。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。また、スマートフォンSPは、制御装置100と接続され、圧力センサPS1~PS6の測定値に基づいて、スマートフォンSPを操作可能に構成されている。
【0028】
各圧力センサPS1~PS6は、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、シートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者Pの臀部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、着座者Pの臀部からの圧力を測定する第1クッションセンサSC1を構成している。圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されている。なお、第1クッションセンサSC1は、圧力センサPS1および圧力センサPS2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0029】
圧力センサPS3は、着座者Pの大腿の下に位置している。圧力センサPS3は、着座者Pの大腿からの圧力値を測定する第2クッションセンサSC2を構成している。圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。
【0030】
シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者Pの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されている。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者Pの腰からの圧力を測定する第1バックセンサSB1を構成している。なお、第1バックセンサSB1は、圧力センサPS4および圧力センサPS5のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0031】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、着座者Pの背中の上部に対応して位置している。圧力センサPS6は、着座者Pの背中の上部からの圧力値を測定する第2バックセンサSB2を構成している。
【0032】
なお、以下の説明においては、圧力センサPS1~PS6で取得した圧力値を、それぞれP1~P6とし、右、左の圧力値を、それぞれ、P1、P1のように、R,Lの添え字で示す。なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。そのため、圧力値の大小は、実際には、電圧値の大小によって比較するが、本明細書においては、理解の容易のため、圧力値の大小で判定する形で説明する。
【0033】
図3に示すように、制御装置100は、測定値取得部110と、処理部120と、通信部130と、記憶部190とを有している。また、スマートフォンSPは、ゲーム処理部210と、異常処理部220と、記憶部290とを有している。制御装置100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。
【0034】
制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、通信部130および近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能であり、スマートフォンSPにインストールされたアプリと連携してスマートフォンSPに所定の画面や音声を提供するとともに、スマートフォンSPで入力されたデータを取得することができるようになっている。
【0035】
測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する機能を有する。測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から測定値を取得する際に、各圧力センサPS1~PS6に電気を供給する。測定値取得部110が取得した測定値は、記憶部190に記憶され、処理部120で利用される。なお、記憶部190は、計算、処理等に必要なデータを適宜記憶するために使用される。
【0036】
処理部120は、スマートフォンSPと通信し、スマートフォンSPで提供される100m走ゲームのアプリを操作するための信号を送信する処理を実行する。処理部120は、Yes信号出力部121と、No信号出力部122と、キャリブレーション処理部124と、ステップ信号出力部125と、センサ異常判定部126とを有する。
【0037】
処理部120は、圧力センサPS1~PS6の測定値に基づいて信号を出力する第1動作モードと、信号を出力しない第2動作モードとを有している。そして、スマートフォンSPを介して着座者Pに動作を促す通知をした後でのみ第1動作モードで動作することができる。具体的には、後述するように、スマートフォンSPから各種信号の受付信号を受けた後は、信号を出力する第1動作モードとなり、受付終了信号を受けた後は、信号を出力しない第2動作モードとなる。
【0038】
Yes信号出力部121およびNo信号出力部122は、処理部120が、スマートフォンSPから参加受付信号を受信した後に、着座者Pの動作に応じてYes信号またはNo信号をスマートフォンSPに出力する。
具体的には、Yes信号出力部121は、右の圧力センサPS6(第1圧力センサ)から得られた圧力値P6が所定のしきい値P6thを超えたことを条件として、Yes信号を出力する。また、No信号出力部122は、左の圧力センサPS6(第2圧力センサ)から得られた圧力値P6が所定のしきい値P6thを超えたことを条件として、No信号を出力する。
スマートフォンSPのゲーム処理部210においては、Yes信号に対してスマートフォンSPのゲームを開始する第1操作が割り当てられ、No信号に対してゲームを行わない選択をする第2操作が割り当てられている。
【0039】
キャリブレーション処理部124は、処理部120が、スマートフォンSPからキャリブレーション開始信号を受信した後、左右の圧力センサPS3の圧力値P3,P3を取得する。そして、そのときに座っている着座者Pの平均的な圧力であるノーマル圧力P3と、圧力値のピーク検出のためのしきい値P3thを決定するとともに、その着座者Pの平均的な脚を動かす周期であるノーマルステップ周期TSを算出してスマートフォンSPに出力する。
【0040】
具体的には、着座者Pが脚を交互に上げた場合、圧力値P3,P3は、例えば図5のように変化する。図5において、圧力が急に小さくなっている部分は、着座者Pが脚を上げたことにより、センサPS3の部分の圧力が小さくなっていることを示す。つまり、圧力が小さくなっていない140付近の圧力値が、脚を上げていないときの平均なノーマル圧力P3となる。ノーマル圧力P3を算出するには、例えば、圧力値P3,P3の前回値と今回値の差(今回値P3(n)から前回値P3(n-1)を引いた値とする。)の絶対値が所定値以下である場合(つまり、値の変化が小さいとき)の今回値を集計して平均すればよい。
【0041】
また、しきい値P3thは、脚を上げている最中であることを判定するためのしきい値であり、例えば、図5の場合であれば、100~120程度の値を用いればよい。このため、しきい値P3thは、ノーマル圧力P3に所定値を乗じた値を用いることができる。例えば、ノーマル圧力P3に0.6~0.9程度の所定値を乗じた値をしきい値P3thとすることができる。
【0042】
ノーマルステップ周期TSは、圧力値P3,P3のピーク同士の時間間隔であるステップ周期TSの平均値である。
圧力値P3,P3は、各圧力値P3,P3が、しきい値P3thより小さい(上側から下側へ超えた)という条件下で、前回値と今回値の差が負から正に変化したときにピークに達したと判定することができ、このときの前回値P3(n-1)をピーク値Pmとすることができる。
【0043】
ステップ信号出力部125は、処理部120が、スマートフォンSPからレース開始信号を受信した後に、着座者Pの動作に応じて圧力値P3,P3のピークを検出し、ピーク値Pmを算出する。ピークの検出およびピーク値Pmの算出は、キャリブレーション処理部124と同様に行うことができる。そして、脚を上げた大きさであるステップ強度F(F,F)を算出する。ステップ強度Fは、ピークの大きさ、つまり、ノーマル圧力P3から、ピーク値Pmを引いた値とすることができる。本実施形態においては、着座者Pの体格の大きさによる違いをなくすため、ノーマル圧力P3で規格化した値とする。例えば、ステップ強度Fは、
F=(P3-Pm)/P3
とする。ステップ信号出力部125は、圧力値P3,P3のピークを検出すると、ピーク値Pmおよびステップ強度FをスマートフォンSPに出力する。このように、ステップ信号出力部125は、圧力センサPS3から得られた圧力値P3の変化に基づいて信号を出力している。
【0044】
センサ異常判定部126は、各圧力センサPS1~PS6から受ける信号としての圧力値が所定値Pmaxよりも大きい状態が所定時間続いた場合に、圧力センサが故障している(異常がある)と判定する。この場合には、圧力センサがショート等により破損している可能性があるためである。センサ異常判定部126は、圧力センサPS1~PS6の少なくとも1つが故障していると判定した場合に、故障した圧力センサPS1~PS6への電気の供給を停止する。
【0045】
一方、スマートフォンSPのゲーム処理部210は、アプリが立ち上げられたときにゲームの進行処理を実行する。また、ゲーム処理部210は、アプリが立ち上げられたときに、サーバSVに、スマートフォンSPの識別情報を送信する。これにより、サーバSVは、起動中のスマートフォンSPの識別情報を登録する。なお、アプリを終了するときには、ゲーム処理部210は、アプリ終了信号をスマートフォンSPの識別情報とともにサーバSVに送信する。これにより、サーバSVは、起動中のスマートフォンSPの登録情報から終了信号を送ってきたスマートフォンSPの識別情報を削除する。
【0046】
ゲーム処理部210は、参加受付処理部211と、キャリブレーション指示部212と、キャラクタ移動処理部213と、オノマトペ判定部214と、結果出力部219とを有している。ゲーム処理部210は、制御装置100から受信した信号を、その受信時刻とともに記憶部290に記憶する。なお、記憶部290は、計算、処理等に必要なデータを適宜記憶するために使用される。また、記憶部290は、後述する第2カウントを記憶する。また、ゲーム処理部210は、算出した走行距離Lや、運動の結果などのデータを、適宜、制御装置100に送信して、他のシートSに対応したスマートフォンSPとデータを共有するように構成されている。制御装置100は、これらのデータを記憶部190に蓄積する。
【0047】
参加受付処理部211は、ディスプレイDSP上に参加を受け付ける開始画面を表示するとともに、参加受付信号を制御装置100およびサーバSVに送信し、所定時間の間、制御装置100からのYes信号またはNo信号を受け付ける。また、参加受付処理部211は、サーバSVから参加募集信号を受信した場合にも、制御装置100に参加受付信号を送信し、所定時間の間、制御装置100からのYes信号またはNo信号を受け付ける。開始画面は、例えば、図17のような画面であり、着座者Pに動作を促す通知として、「参加しますか?肩でシートを押してください」の文字と、「No 左肩 右肩 Yes」の表示をディスプレイDSPに出力する。なお、Yes、Noの表示は、ディスプレイDSPにタッチしてそれぞれYes信号またはNo信号をスマートフォンSPに入力できるボタンの機能を持たせてもよい。参加受付処理部211は、Yes信号を受信した場合には、サーバSVへ参加信号を送信するとともにゲーム進行処理に進む処理を行い、No信号を受信した場合には、ゲーム進行処理に進まずにアプリを終了させる。ゲーム処理部210は、Yes信号およびNo信号のいずれも受信せずに所定時間が経過した場合には、受付終了信号を制御装置100に送信してアプリを終了させる。
なお、スマートフォンSPは、サーバSVに参加受付信号や参加信号等を送信する場合には、スマートフォンSPの識別情報とともに送信する。
【0048】
キャリブレーション指示部212は、サーバSVからゲーム開始信号を受信した場合に、キャリブレーション画面を表示するとともに、キャリブレーション開始信号を制御装置100に送信し、所定時間の間、制御装置100からキャリブレーションに関する信号を受け付ける。所定時間が経過したら、キャリブレーション指示部212は、キャリブレーション終了信号を制御装置100に出力する。また、キャリブレーション指示部212は、キャリブレーション終了信号をサーバSVに送信する。
【0049】
キャラクタ移動処理部213は、100m走のレース中に、ステップ強度Fを受信すると、ディスプレイDSP上のキャラクタをゴールへ向けて移動させる。このときの移動量は、ステップ強度Fの大きさに応じたものである。キャラクタ移動処理部213は、例えば、F[m]分だけゴールへ向けてキャラクタを移動させる。
【0050】
オノマトペ判定部214は、100m走のレース中に、着座者Pの走っている様子を表現するオノマトペ(「よちよち」などの擬態語)を判定し、ディスプレイDSP上に出力する。オノマトペの判定は、例えば、着座者Pが脚を動かしている周期であるステップ周期TSを図6に示した判定条件と比較して行うことができる。なお、ステップ周期TSは、制御装置100から受信したステップ強度Fの周期であるが、ステップ強度Fを受信する間隔は一定ではないので、例えば、過去の20m分の平均の周期で算出することができる。
【0051】
本実施形態においては、着座者Pの個人差の影響を減らすため、ステップ周期TSをノーマルステップ周期TSで割った値をしきい値と比較してオノマトペの表現を判定する。例えば、TS/TSが1.5以上で周期が長い場合には、「ふらふら」とし、1.2以上、1.5未満の場合には「のっしのっし」、0.7以上、1.2未満の場合には「すたすた」、0.7未満の場合には「どたどた」などと決められている。
【0052】
結果出力部219は、着座者Pが100m走ゲームでゴールした後、運動の結果とアドバイスを決定してディスプレイDSP上に出力する。また、運動の結果は、制御装置100に送信する。
具体的には、結果出力部219は、運動の結果として、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定する。
【0053】
運動レベルは、100m走る間のステップ数に基づき、図7の運動レベル判定テーブルを参照して判定する。例えば、運動レベル判定テーブルは、ステップ数が60以下の場合、「ゆっくりお散歩」、61~110の場合、「日常の歩き」、111~140の場合、「ウォーキング」、141~240の場合、「ジョギング」、240以上の場合、「ダッシュ」などと設定されている。
【0054】
運動量は、例えば、100m走る間のステップ強度Fの累積値で求めることができる。
【0055】
運動強度は、METs(Metabolic equivalents)で示す。運動強度の値は、例えば、100m走る間のステップ数に、所定の係数を掛けることで決めることができる。
【0056】
アドバイスは、記憶部290に予め記憶しておいたアドバイステーブルを参照して決めることができる。アドバイステーブルは、例えば、ステップ数、100mのゴールタイム、平均のステップ周期などのパラメータと、予め決めておいたアドバイスとを対応させたものとしておく。そして、100m走のゴール後に、これらのパラメータからアドバイスを検索して決定することができる。
【0057】
そして、結果出力部219は、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定した後、ディスプレイDSP上にこれらの結果を表示する。
【0058】
異常処理部220は、常時または適宜なタイミングでシート体験システムSYSの異常があるか否かのエラーチェック処理を実行し、異常があれば、異常の種類に応じた処理を実行する。
異常処理部220は、シート体験システムSYSの異常を検知した場合に、着座者Pに異常を通知し、シート体験システムSYSの機能の少なくとも一部を制限する。
【0059】
例えば、異常処理部220は、圧力センサPS1~PS6の少なくとも1つに異常があることを検知した場合には、圧力センサエラーをディスプレイDSPに文字で表示して着座者に異常を通知し、また、シート体験システムSYSの管理者のメールアドレスへ異常通知メールを送信する。管理者の端末が異常通知メールを受信することにより、その端末へ異常が通知される。ここで、管理者とは、着座者などのユーザに対してサービスを提供している者や、シートSを開発した者などを含む。また、異常処理部220は、サーバSVにも異常を通知する。
【0060】
異常の通知は、複数の圧力センサPS1~PS6のうち、どの圧力センサに異常があるかを特定して通知する。そして、異常の有無は、スマートフォンSPの記憶部290や、サーバSVの記憶部390に記録される。シートSを使うアプリは、起動するときに、そのアプリが必要とするセンサに異常があると記録されている場合にはアプリの実行ができないように構成されているとよい。このとき、アプリが必要とするすべてのセンサに異常がある場合にアプリの実行ができないようにするか、アプリが必要とする一部のセンサに異常がある場合にアプリの実行ができないようにするかはどちらでもよい。
【0061】
そして、異常処理部220は、圧力センサPS1~PS6の少なくとも1つに異常があることを検知した場合には、ゲーム処理部210によるゲームの処理を禁止する。ゲーム処理部210は、100m走のゲームの実行を禁止するが、過去のゲームの記録の閲覧は実行可能なままとする。
なお、スマートフォンSPは、圧力センサPS1~PS6の異常については、制御装置100から異常の通知を受けることによって異常を検知する。
【0062】
また、異常処理部220は、サーバSVとの間の通信に異常がある場合、例えば、サーバSVと通信できない場合には、他のスマートフォンSPとの通信を行わず、オフラインのみでゲームを実行可能とする(「オフラインモード」という。)。
【0063】
また、異常処理部220は、ナビゲーションシステム300からナビゲーション中のルート情報、車両CRの位置情報および車両CRの速度情報等を取得し、ルート情報、位置情報および速度情報に基づき、車両CRが所定時間以内に通信障害がおきやすい場所に入るか否かを判定する。通信障害がおきやすい場所としては、例えば、トンネルなどの地下や、所定の標高以上の山間部などがある。ルート情報と現在位置と速度情報から、これから所定時間の間に通るルートが分かるので、所定時間の間に通るルートにこれらの場所が含まれるか否かを判定することで、車両CRが所定時間以内に通信障害がおきやすい場所に入るか否かを判定することができる。本実施形態においては、一例として、通信障害がおきやすい場所は、トンネルとする。そして、異常処理部220は、車両CRが所定時間以内にトンネルに入ると判定した場合には、サーバSVとの通信が途絶える可能性があることをディスプレイDSPに表示して着座者Pに通知する。
【0064】
図4に示すように、サーバSVは、スマートフォン管理部310と、参加配信部320と、ゲーム開始配信部330と、記憶部390とを有している。
【0065】
サーバSVは、スマートフォンSPがアプリを立ち上げたときに送信してきた識別情報を記憶部390に記憶させることで、アプリを起動中のスマートフォンSPを管理する。なお、識別情報には、スマートフォンSPのアドレスが含まれる。そして、スマートフォンSPからアプリ終了信号を受信した場合には、記憶部390から、当該スマートフォンSPの識別情報を削除する。
【0066】
参加配信部320は、1つのスマートフォンSPから参加受付信号を受信した場合に、記憶部390に記憶している識別情報に基づいて、他の起動中のスマートフォンSPに参加募集信号を送信する。そして、所定時間内に、スマートフォンSPから参加信号を受信したら、参加するスマートフォンSPの識別情報を記憶部390に記憶させる。
【0067】
ゲーム開始配信部330は、参加募集の所定時間が過ぎたときに、記憶部390に記憶している参加するスマートフォンSPの識別情報に基づいて、参加するスマートフォンSPへゲーム開始信号を送信する。
【0068】
記憶部390は、アプリを起動中のスマートフォンSPの識別情報、レースに参加するスマートフォンSPの識別情報の他、サーバSVの各処理に必要なデータを適宜記憶する。
【0069】
次に、ゲーム処理部210の他の処理も含めて、制御装置100、スマートフォンSPのアプリおよびサーバSVの処理の一例をフローチャートを参照して説明する。
【0070】
まず、制御装置100の処理について説明する。
図8図10および図15の処理は、繰り返し行われる。
図8に示すように、処理部120は、まず、ゲーム参加に関するステップS11~17を実行する。具体的には、まず、参加受付信号を受信したか否かを判定する(S11)。
参加受付信号を受信した場合(S11,Yes)、処理部120は、圧力値P6,P6を取得し(S12)、右の圧力値P6がしきい値P6thより大きいか判定する(S13)。P6がP6thより大きい場合(S13,Yes)、Yes信号を送信して(S14)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
P6がP6thより大きくなかった場合(S13,No)、処理部120は、左の圧力値P6がP6thより大きいか判定する(S15)。P6がP6thより大きい場合(S15,Yes)、No信号を送信して(S16)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
【0071】
P6がP6thより大きくなかった場合(S15,No)、処理部120は、受付終了信号を受信したか否か判定し(S17)、受信していない場合(S17,No)、ステップS12からの処理を繰り返し、受信した場合(S17,Yes)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
【0072】
ゲーム参加に関する処理の後、処理部120のキャリブレーション処理部124は、図9に示すように、キャリブレーション処理に関するステップS21~S26を実行する。
処理部120は、キャリブレーション開始信号を受信したか否か判定し(S21)、受信した場合(S21,Yes)、圧力値P3,P3を取得し、記憶する(S22)。そして、キャリブレーション終了信号を受信したか否かを判定し、受信するまで(S23,No)ステップS22~S23を繰り返し、受信したら(S23,Yes)、ステップS24に進む。
【0073】
ステップS24において、キャリブレーション処理部124は、所定期間取得して記憶した圧力値P3,P3に基づいてノーマル圧力P3を算出する(S24)。そして、ノーマル圧力P3からしきい値P3thを設定する(S25)。さらに、ノーマルステップ周期TSを算出し、スマートフォンSPに送信する(S26)。
ステップS21において、キャリブレーション開始信号を受信していない場合(No)、キャリブレーション処理部124は、キャリブレーション処理を行うことなくステップS30(図10参照)へ進む。
【0074】
次に、処理部120は、ステップS30~S40のレースに関する処理を行う。
図10に示すように、まず、処理部120は、スマートフォンSPからレース開始信号を受信したか否か判定する(S30)。レース開始信号を受信していない場合(S30,No)、処理部120は処理を終了する。レース開始信号を受信した場合(S30,Yes)、ステップ信号出力部125は、圧力値P3,P3を取得し、記憶する(S31)。
【0075】
そして、右の圧力値P3がしきい値P3thより小さいか判定し(S32)、小さい場合(S32,Yes)、さらに、圧力値P3の前回値と今回値からピークを検出したか判定する(S33)。ピークを検出した場合(S33,Yes)、ステップ信号出力部125は、ノーマル圧力P3と圧力値P3からステップ強度Fを算出する(S34)。そして、算出したステップ強度FをスマートフォンSPに送信する(S35)。
一方、右の圧力値P3がしきい値P3thより小さくなかった場合(S32,No)、または、ピークを検出しなかった場合(S33,No)、ステップ信号出力部125は、ステップ強度Fの算出、送信をすることなくステップS36へ進む。
【0076】
ステップS36~S39において、ステップ信号出力部125は、左の圧力値P3について、ピークの検出とステップ強度Fの算出、送信の処理を行う。これらの処理は、ステップS31~S35と同様であるので説明を省略する。
【0077】
ステップS40において、処理部120は、レース終了信号を受信したか否か判定し、受信していない場合(S40,No)、ステップS31からの処理を繰り返し、受信した場合(S40,Yes)、処理を終了する。
【0078】
次に、スマートフォンSPのアプリ(ゲーム処理部210)における処理を説明する。図11図13の処理は繰り返し行われる。
スマートフォンSPは、アプリが立ち上げられると、アプリの処理を開始する。
まず、異常処理部220は、近いうちにサーバSVと通信不良(電波状況が良くないことによる通信品質の低下または通信不能状態であり、通信の異常の1つである。)が予測されることを示すフラグFTが1か否かを判定する(S101)。フラグFTは、0の場合に通信不良が予測されておらず、1の場合に通信不良が予測されていることを示すものとする。異常処理部220は、FTが1であった場合には(S101,Yes)、通信不良予告をする(S102)。通信不良予告は、例えば、ディスプレイDSP上に、「まもなく、通信が途絶える可能性があります。ゲームを開始しますか?」などのメッセージとともに、Yes、Noのボタンを表示する。そして、Yesが選択された場合には(S103,Yes)、ステップS110以下の処理を継続し、Noが選択された場合には(S103,No)、処理を終了する。また、異常処理部220は、ステップS101においてFTが1でなかった場合にも、ステップS110以下の処理に進む。
【0079】
そして、ゲーム処理部210は、開始画面をディスプレイDSP上に表示する(S110)。開始画面は、例えば、図17に示すような画面である。開始画面においては、「参加しますか?肩でシートを押してください」の文字とともに、左肩がNo、右肩がYesであることを教える説明が表示されている。また、参加することができる残り時間が表示される。
【0080】
そして、参加受付処理部211は、制御装置100に参加受付信号を送信する(S111)。このとき、参加受付処理部211は、サーバSVにも参加受付信号を送り、他のスマートフォンSPからの参加を募るきっかけを作る。参加受付処理部211は、Yes信号を受信したか否か判定し(S112)、受信した場合(S112,Yes)、受付終了信号を制御装置100に送信する(S118)。そして、サーバSVへ参加信号を送信し(S119)、ゲーム進行処理(S200)の後、処理を終了する。ゲーム進行処理については後述する。
【0081】
参加受付処理部211は、Yes信号を受信していない場合(S112,No)、No信号を受信したか否か判定し(S113)、受信した場合(S113,Yes)、処理を終了する。
一方、No信号を受信していない場合(S113,No)、残り時間を示すカウントを表示し(S114)、カウントが0になったか判定する(S115)。カウントが0になっていない場合(S115,No)、ステップS112からの参加受付を継続し、カウントが0になった場合(S115,Yes)、受付終了信号を制御装置100に送信し(S116)、処理を終了する。
【0082】
図12に示すように、ゲーム進行処理(S200)において、スマートフォンSPがサーバSVからゲーム開始信号を受信すると(S201,Yes)、まず、キャリブレーション指示部212が、ディスプレイDSP上にキャリブレーション画面を表示する(S211)。キャリブレーション画面には、例えば、図18に示すような、「ウォーミングUP 座ったまま、脚を交互に上げてください」の文字による指示と、キャリブレーションを行う残り時間が表示されている。ディスプレイDSP上には、シート等のキャラクタCH1が走っているアニメーションを表示すると、着座者Pが何をするべきかわかりやすい。
【0083】
そして、キャリブレーション指示部212は、制御装置100にキャリブレーション開始信号を送信する(S212)。そして、残り時間のカウントを更新してディスプレイDSP上に表示し(S213)、カウントが0になったか判定する(S214)。カウントが0になっていない場合(S214,No)、ステップS213のカウントダウンの表示を継続し、カウントが0になった場合(S214,Yes)、キャリブレーション終了信号を制御装置100に送信する(S215)。また、キャリブレーション指示部212は、サーバSVにもキャリブレーション終了信号を制御装置100に送信する。
【0084】
キャリブレーションが終了すると、ゲーム処理部210は、図13に示すように、レース開始画面を表示する(S220)。レース開始画面は、例えば、図19に示すような画面であり、「位置について!ヨーイ」の文字と、スタートまでのカウントダウンの数字が表示されている。また、レース画面には100mの競争レーンと、シートのキャラクタCH2,CH3が各レーンに表示されている。
例えば、レーンは複数表示されており、同時に参加する他の参加者がいる場合、プレイヤーを示す「あなた」の文字と、他の参加者であることを示す「SEAT2」の文字が各レーンに表示される。
【0085】
ここで、サーバSVの参加受付に関する処理を図14を参照して説明する。図14の処理は所定の周期で繰り返し行われる。なお、図においては、スマートフォンを「スマホ」と省略して示す。
図14に示すように、サーバSVは、いずれかのスマートフォンSPのアプリから、参加受付信号を受信したか否かを判定し(S310)、受信するまで待つ(S310,No)。サーバSVは、参加受付信号を受信したら(S310,Yes)、アプリを起動中として記憶部390に登録されているスマートフォンSPに、参加募集信号を送信する(S320)。そして、参加募集タイマをスタートする(S321)。
【0086】
サーバSVは、スマートフォンSPから参加信号を受信したか否か判定し(S322)受信したら(S322,Yes)、レースに参加するスマートフォンSPの識別情報を記憶部390に記憶させる(S323)。
ステップ323の後、または、ステップS322でNoと判定した後、サーバSVは、参加募集タイマが終了したか否か判定し(S324)、終了していなければ(S324,No)、ステップS322に戻り、終了していれば(S324,Yes)、記憶部390に記憶されている参加するスマートフォンSPへゲーム開始信号を送信する(S325)。そして、サーバSVは、参加するすべてのスマートフォンSPからキャリブレーション終了信号を受信したか否かを判定し(S330)、受信したら(S330,Yes)、参加受付に関する処理を終了する。
【0087】
図13に戻ってスマートフォンSPのアプリの処理の続きについて説明する。レース開始画面を表示した後(S220)、カウントダウンを実行して、レースをスタートさせる。レースがスタートすると、ゲーム処理部210は、レース開始信号を制御装置100に送信する(S221)。そして、キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度F,Fを受信したか否か判定する(S222)。受信した場合(S222,Yes)、キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度F,Fの大きさに応じてキャラクタCH2を移動させる処理を行う(S223)。そして、走行距離Lを更新し、走行距離Lを制御装置100に送信する。また、キャラクタ移動処理部213は、ディスプレイDSP上に、残り距離を表示する(S224)。
【0088】
次に、オノマトペ判定部214は、ステップ周期TSおよびノーマルステップ周期TSから表示すべきオノマトペを決定し、ディスプレイDSP上に表示する(S225)。これにより、レース中は、図20に示すように、キャラクタCH2,CH3が各レーンを走っているアニメーションと、残り距離と、「すたすた」などの擬態語が表示される。また、ゲーム処理部210はスタートからの時間も表示する。
キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度F,Fを受信していない場合(S222,No)、ステップS223~S225を実行することなくステップS226へ進む。
【0089】
そして、ゲーム処理部210は、制御装置100から、他のシートの着座者PのキャラクタCH3の走行距離Lを取得し、必要に応じて他のシートのキャラクタCH3を移動させる(S226)。
【0090】
次に、キャラクタ移動処理部213は、走行距離Lが100以上か否か判定し(S227)、100未満であれば、ステップS222からのレースの処理を繰り返す。一方、走行距離Lが100以上になったら(S227,Yes)、レース終了信号を制御装置100に送信する(S228)。レース終了時は、例えば、図21のような画面を表示する。この画面では残りの距離が0mになり、ゴール時のタイムが表示される。
【0091】
そして、結果出力部219は、運動の結果として、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定し、これらをディスプレイDSP上に出力する(S229)。結果画面は、例えば、図22のような画面である。結果画面においては、今までの制御装置100に蓄積されたデータから、これまでの競技者の中での順位を表示するとよい。また、結果が良かった場合には、喜んだ顔のキャラクタCH5を表示し、良くなかった場合には、残念な顔をしたキャラクタを表示するとよい。
結果出力部219が運動の結果を表示すると、アプリの処理は終了する。
【0092】
次に、図15を参照して、制御装置100の異常判定処理について説明する。図15の処理は、ゲームのための処理とは別に、常時または適宜なタイミングで実行される。
制御装置100は、圧力センサPS1~PS6から電圧値を取得する(S410)。そして、取得した電圧値をA/D変換して(S411)、圧力値として取扱可能な値にする。そして、制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6について、ステップS420~S432のエラーチェックを実行する。
【0093】
制御装置100は、圧力値が所定値Pmaxより大きいか判定する(S420)。制御装置100は、圧力値が所定値Pmaxより大きいと判定した場合(S420,Yes)、タイマTEをカウントアップする(S421)。一方、制御装置100は、圧力値が所定値Pmaxより大きくないと判定した場合(S420,No)、タイマTEをリセットする(S422)。
【0094】
そして、制御装置100は、タイマTEが、しきい値TEthより大きいか否か判定し(S430)、大きいと判定した場合には(S430,Yes)、スマートフォンSPに圧力センサが異常であることを通知する(S431)。そして、異常と判定した圧力センサへの電気の供給を停止する(S432)。制御装置100は、タイマTEが、しきい値TEthより大きくないと判定した場合(S430,No)またはステップS432の後、異常判定処理を終了する。
【0095】
次に、図16を参照して、スマートフォンSPの異常判定処理を説明する。図16の処理は、ゲームのための処理とは別に、常時または適宜なタイミングで実行される。
【0096】
異常処理部220は、制御装置100からの異常の通知の有無に基づいて、圧力センサPS1~PS6の少なくとも1つが異常であるかを判定する(S520)。異常処理部220は、圧力センサPS1~PS6の少なくとも1つが異常であると判定した場合(S520,Yes)、ディスプレイDSPに、圧力センサのエラーを表示し、ゲーム処理部210によるゲームの処理を禁止する(S521)。そして、シート体験システムSYSの管理者のメールアドレスへ異常通知メールを送信する(S522)。
【0097】
異常処理部220は、ステップS522の後、または、ステップS520で圧力センサPS1~PS6のいずれにも異常がないと判定した場合(S520,No)、サーバSVとの通信に異常があるか否かを判定する(S530)。異常処理部220は、例えば、サーバSVに対して、通信確立されているかの確認をする特定の問合せを行い、適正な応答があったか否かにより通信の異常の有無を判定する。異常処理部220は、サーバSVとの通信に異常があると判定した場合(S530,Yes)、ディスプレイDSPに通信エラーを表示する(S531)。そして、他のスマートフォンSPと同時にゲームを実行せず、オフラインのみでゲームを実行可能とするオフラインモードに動作を切り替える(S532)。
【0098】
異常処理部220は、ステップS532の後、または、ステップS530でサーバSVとの通信に異常がないと判定した場合(S530,No)、ナビゲーションシステム300からナビゲーション中のルート情報、車両CRの位置情報および車両CRの速度情報等を取得し、ルート情報、位置情報および速度情報に基づき、車両CRが所定時間以内にトンネルに入るか否かを判定する(S540)。そして、異常処理部220は、車両CRが所定時間以内にトンネルに入ると判定した場合(S540,Yes)、フラグFTを1にする(S532)。そして、異常処理部220は、サーバSVとの通信が途絶える可能性があること(通信不良予告)をディスプレイDSPに表示し(S533)、処理を終了する。
一方、異常処理部220は、車両CRが所定時間以内にトンネルに入らないと判定した場合(S540,No)、フラグFTを0にし(S535)、処理を終了する。
【0099】
以上の図16の処理は、アプリの起動中に常時または適宜なタイミングで行うものとしたが、アプリの起動時にも実行する。そのため、アプリの起動時に異常がある場合には、着座者Pにシート体験システムSYSの異常が通知され、管理者へも異常が通知される。その上で、シート体験システムSYSを制限的に利用できる場合に、着座者Pがアプリを実行するか否かを選択することができる。
【0100】
以上のような構成により、本実施形態のシート体験システムSYSによれば、次のような効果を奏することができる。
制御装置100は、圧力センサPS1~PS6から取得された圧力値を、スマートフォンSPのゲームアプリを操作するための信号としてスマートフォンSPに出力するので、シートSに座った着座者Pは、シート本体S0上で、脚や肩を動かすことによってスマートフォンSPの操作をすることができる。
このためスマートフォンSPの操作を手で行う必要がなく、シート本体S0上で体を動かすことにより操作することが可能となる。このため、乗り物内において疲れたときなどに適度に体を動かしてリフレッシュすることができる。
【0101】
そして、スマートフォンSPがシート体験システムSYSの異常、例えば、圧力センサPS1~PS6の故障を検知した場合や、サーバSVとの通信に異常がある場合に、着座者Pに異常を通知し、シート体験システムSYSの機能の少なくとも一部を制限するので、着座者Pはシステムの状況を把握して安心してシート体験システムSYSを使用することができる。
【0102】
そして、本実施形態では、シート体験システムSYSの異常があった場合に、シート体験システムSYSの管理者がシステムの異常を知ることができるので、異常の復旧を迅速に行うことができる。もしくは、着座者Pに異常への対処方法を案内するなどして、着座者Pを安心させることができる。
【0103】
また、制御装置100は、圧力センサPS1~PS6の異常があった場合に、圧力センサPS1~PS6に電気を供給しないので、電力消費を抑制することができる。
【0104】
また、スマートフォンSPは、サーバSVと通信できない場合に、オフラインモードに切り替えて動作するので、サーバSVと通信できない場合にも、着座者Pにゲームを提供することができる。
【0105】
また、スマートフォンSPは、所定時間内にトンネルに入ることを予測して、サーバSVとの通信が途絶える可能性があることをディスプレイDSPに表示して着座者Pに通知するので、着座者Pは、通信の異常の発生を事前に知ることができる。
【0106】
このように、シート体験システムSYSは、異常の種類や重度によって異なる動作をするので、異常に応じた適切なレベルで機能を制限することができる。
【0107】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0108】
例えば、前記実施形態では、サーバSVと通信できない場合に、他のシート体験システムSYSと同時にゲームを実行しないこととしたが、車両CR内の制御装置100が、車両CR内の複数のシート体験システムSYS間において、サーバSVと同様の、複数のスマートフォンSPの間でゲームを同期させる機能を有する場合には、オフラインモードにおいて、車両CR内の複数のシートS間で同時にゲームを実行できるように構成してもよい。
【0109】
前記実施形態では、圧力センサPS1~PS6の測定値に基づいて、シート体験装置であるスマートフォンSPを操作する場合を説明したが、車両CR内の他の装置を操作するように構成してもよい。例えば、ゲームのために車両CR内に設置した物を動かすように構成してもよい。
【0110】
前記実施形態では、シート体験システムSYSに異常があった場合に、シート体験装置であるスマートフォンSPのディスプレイDSPに文字で表示したが、絵や色で表示してもよい。また、ディスプレイDSPに表示するのにあわせて、音声、振動、臭い、その他の感触の変化等で通知してもよい。また、シート体験システムSYSを使っている着座者Pに異常を通知するだけでなく、使用者の設定の選択により、同乗している他の人のスマートフォンSPに異常を通知できるように構成してもよい。本明細書において、着座者Pへ通知するというときには、これらの方法による通知を意味する。例えば、子供がシート体験システムSYSでゲームをしているときに、親のスマートフォンに異常を通知することで,親が必要な対処をすることができる。
【0111】
また、前記実施形態においては、シート体験装置がシート体験システムSYSの管理者が使用する端末とサーバSVに異常を通知したが、管理者の端末とサーバSVの一方にのみ異常を通知してもよい。
【0112】
前記実施形態においては、通信の異常として、スマートフォンSPとサーバSVの間の通信の異常を例示したが、通信の異常には、センサとシート制御部の通信、シート制御部とシート体験装置の通信など、他の通信の異常も含まれる。そして、シート体験装置は、通信の異常を検知した場合には、着座者に異常を通知するだけでなく、再度接続を試み、その状況を通知するとよい。再度接続による自動的な復旧ができなかった場合には、手動で再接続を試みることができるように、着座者Pに再接続の手順を通知するとよい。手動での処理でも通信異常が解決できない場合、サーバまたは管理者の使用する端末にその異常の内容が通知され、サーバまたは管理者による解析結果を着座者に通知するとよい。サーバには、このような解析ができるように、通信ログから通信のどの部分でどのような障害が起こっているかを見つけることができる仕組みを構築しておくとよい。
【0113】
前記した実施形態で、異常として、通信と圧力センサPS1~PS6の異常を代表例に挙げたが、その他の機器、例えば、シートに設けられたヒータやファンなどの温度調整装置の異常や、シートの一部または全部を動かすアクチュエータの異常や、シートウェイトセンサや温度センサなどの他のセンサの異常や、シートに用いられる芳香剤の容量が少ないなど、消耗品の残量や使用状況に関する異常や、シート制御部自体の異常や、外部環境の異常等を検知し通知してもよい。外部環境の異常は、例えば、アプリを実行するのに望ましくない状況であり、他の車が接近しているとか、道路状況が悪い、車速が高い、地震が発生した、目的地が近い、目的地に着いた、目的地に着くまでゲームが終わらないことが予測される、残燃料が少ない、バッテリーの残容量が少ない、車内または車外の温度や湿度が高い、等が含まれる。
【0114】
さらに、シート体験装置は、サーバやシート体験装置に不正アクセスがあったことを発見した場合、個人情報の漏洩などの被害を最小限にするために、通信を使用したサービスを即座に停止したり、アプリ自体を即座に停止したりするとよい。もしくは、不正アクセスを検知した場合には、不正アクセスをしたIPアドレスからの通信を遮断して、他の通信を継続させてもよい。
【0115】
シート体験装置は、異常が一度検知された場合に機能を制限するのでもよいし、異常が複数回検知された場合に機能を制限するのでもよい。機能の制限の仕方も、第1制限として、アプリの強制終了、第2制限として、アプリを終了するように選択させる案内、第3制限として、アプリを終了するように通知するにとどめる、など、異常の重度に応じて異なるレベルで制限するとよい。この場合、通知の仕方も、異常の重度が大きい場合には大きい文字と大きい音、重度が小さい場合には小さい文字と小さい音とする等、通知の方法・強さを重度の大きさに応じて変えてもよい。
【0116】
シート体験装置は、異常を検知した場合には、車両内、他の車両内、車外等の他の人のゲームの状況を見ることを制限してもよい。
【0117】
シート体験装置は、車両の状況に応じて、機能の制限の程度・種類を異ならせてもよい。車両の状況としては、停車中、駐車中、自動運転中等が含まれる。また、車両内のシートの位置や種類に応じて、機能を制限したり、または、機能を制限しないようにしてもよい。さらに、異常があった場合でも、車内の全員が機能の制限をしないことに同意した場合や、車外の同時にゲームをする相手も同意した場合にのみ、機能を制限せずにゲームを実行するように構成してもよい。
【0118】
スマートフォンSPが、シート体験装置のアプリを購入またはダウンロードする際に、異常があった場合の通知や、その場合の処理の流れを予め先に通知しておくのが望ましい。
【0119】
シート体験装置は、一部のセンサの異常を検知した場合に、異常が無い他のセンサを使ったゲームを着座者に選択させるように推奨してもよい。例えば、シートの左右中央部のセンサに異常がある場合なら、シートの左右の着座者側に張り出した部分のセンサを使ったゲームを実行するか着座者に問い合わせてもよい。
【0120】
前記実施形態では、シート制御部がセンサから受ける信号が所定値よりも大きい状態が所定時間続いた場合に、センサが故障していると判定したが、信号が所定値よりも小さい状態が所定時間続いた場合や、信号の変動が大きい場合が所定時間続いた場合に、センサが故障していると判定する構成であってもよい。信号の変動が大きいことは、例えば、信号の振幅が所定の閾値より大きいという条件を満たすことにより判定することができる。
【0121】
前記実施形態においては、シート体験装置は、ゲームの一例として100m走のゲームを提供したが、他のゲームやサービスを提供してもよい。また、シート体験装置は、スマートフォンに限らず、タブレットPC、パソコン、ナビゲーションシステムなどであってもよい。
【0122】
前記実施形態においては、センサとして圧力センサを例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサや、カメラ、温度センサなどであってもよい。また、圧力を測定する場合、圧力分布センサを採用することもできる。
【0123】
前記実施形態においては、無線通信によりシート制御部とシート体験装置を接続していたが、有線の通信により接続されていてもよい。
【0124】
前記実施形態においては、シートとして自動車の車両に搭載されるシートを例示したが、シートは、自動車以外の鉄道などの車両のシートであってもよいし、車両以外の船舶、航空機などの乗物用シートであってもよい。さらに、シートは、乗物以外に設置される、例えば、リハビリやトレーニング用のシートであってもよい。
【0125】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
100 制御装置
220 異常処理部
300 ナビゲーションシステム
CR 車両
PS1~PS6 圧力センサ
S シート
S0 シート本体
SP スマートフォン
SV サーバ

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