(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184694
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H04M9/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190985
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019081316の分割
【原出願日】2019-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚典
(72)【発明者】
【氏名】永井 奨士
(57)【要約】
【課題】来訪者の応対の態様の自由度を向上すること。
【解決手段】インターホンシステム100は、応対制御部7を備える。応対制御部7は、応対情報を制御する。応対情報は、応対者が複数の施設を有する集合施設を訪れる来訪者との通話を開始する前に、集合施設に設けられ、複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機2のうちのいずれかが応対者に通知する所定の情報の入力を促すために子機1から出力される情報である。所定の情報は、来訪者の名前又は属性を含む。子機1は、集合施設に設けられ、複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機2のうちのいずれかと通信する機器である。複数の親機2のいずれかにおいて、所定の情報を含む情報の出力と呼出音の出力とが交互に繰り返される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
応対情報を制御する応対制御部を備え、
前記応対情報は、応対者が複数の施設を有する集合施設を訪れる来訪者との通話を開始する前に、前記集合施設に設けられ、前記複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機のうちのいずれかが前記応対者に通知する所定の情報の入力を促すために子機から出力される情報であり、
前記所定の情報は、前記来訪者の名前又は属性を含み、
前記子機は、前記集合施設に設けられ、前記複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機のうちのいずれかと通信する機器であり、
前記複数の親機のいずれかにおいて、前記所定の情報を含む情報の出力と呼出音の出力とが交互に繰り返される、
インターホンシステム。
【請求項2】
前記応対情報は、
前記子機の置かれる状況に依らず不変の第1情報と、
前記子機の置かれる状況に応じて変化する第2情報と、を含む、
請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記応対情報は、前記来訪者に対して前記所定の情報の入力を促すための指示情報を含む、
請求項1又は2に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記応対制御部は、前記子機に入力された情報に基づいて、前記応対情報を変更する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記応対制御部は、前記複数の親機のうちのいずれか1つの親機に入力された情報に基づいて、前記応対情報を変更する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記応対制御部は、前記来訪者が呼出先として指定する親機への呼出情報の出力を制御する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項7】
前記応対制御部は、前記呼出先として指定された親機に入力された情報に基づいて、前記呼出情報の出力を制御する、
請求項6に記載のインターホンシステム。
【請求項8】
前記応対制御部は、前記応対情報の少なくとも一部が出力された後、前記子機が前記来訪者から取得した情報が所定の条件を満たすと、前記呼出情報の出力を制御する、
請求項6又は7に記載のインターホンシステム。
【請求項9】
前記応対制御部は、前記呼出情報の出力を制御する際に、前記子機を制御する、
請求項6~8のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【請求項10】
前記応対情報を出力する音量を設定する音量設定部を更に備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインターホンシステムに関する。より詳細には、本開示は、子機から呼出先である親機への呼出が行われるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インターホンシステムが記載されている。このインターホンシステムは、住戸の外玄関や集合住宅の共用玄関(ロビー)等に設置されるカメラ付きの子機と、住戸内に設置されてインターホン子機との間で通話を行う親機とで構成されている。
【0003】
特許文献1に記載のインターホンシステムでは、来訪者の呼出操作時に子機の撮像部で撮像した短時間の画像であるイントロ画像と、来訪者の呼出操作後に撮像部で撮像するリアルタイムの画像とを合成し、合成後の画像を親機の表示部に表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、来訪者の応対の態様の自由度を向上することのできるインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るインターホンシステムは、応対制御部を備える。前記応対制御部は、応対情報を制御する。前記応対情報は、応対者が複数の施設を有する集合施設を訪れる来訪者との会話を開始する前に、前記集合施設に設けられ、前記複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機のうちのいずれかが前記応対者に通知する所定の情報の入力を促すために子機から出力される情報である。前記所定の情報は、前記来訪者の名前又は属性を含む。前記子機は、前記集合施設に設けられ、前記複数の施設にそれぞれ設けられた複数の親機のうちのいずれかと通信する機器である。前記複数の親機のいずれかにおいて、前記所定の情報を含む情報の出力と呼出音の出力とが交互に繰り返される。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、来訪者の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上のインターホンシステムが適用される集合住宅の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、それぞれ同上のインターホンシステムにおける子機の表示部に表示される案内画像の概念図である。
【
図4】
図4A~
図4Cは、それぞれ同上のインターホンシステムにおける子機の表示部に表示される案内画像の概念図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、それぞれ同上のインターホンシステムにおける子機の表示部に表示される案内画像の概念図である。
【
図6】
図6は、同上のインターホンシステムにおける親機が呼出中にあるときの概念図である。
【
図7】
図7は、同上のインターホンシステムにおける応対制御部にて設定される応対情報の一例を示す概念図である。
【
図8】
図8は、同上のインターホンシステムにおける応対制御部にて設定される応対情報の一例を示す概念図である。
【
図9】
図9は、同上のインターホンシステムにおける応対制御部にて設定される応対情報の一例を示す概念図である。
【
図10】
図10は、同上のインターホンシステムにおける応対制御部による設定機能の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、同上のインターホンシステムにおいて、複数の集合住宅が存在する場合の応対制御部の配置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下の実施形態において説明する図面は、模式的な図であり、図面中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
本実施形態に係るインターホンシステム100は、例えばマンション等の集合住宅に適用される集合住宅用のインターホンシステムである。インターホンシステム100では、
図1に示すように、子機1と各親機2とが制御装置3を介して通信を行う。
【0011】
ここで、本実施形態に係るインターホンシステム100は、病院、学校、介護施設、又は商業ビル等、集合住宅以外の非住宅施設に適用されてもよい。つまり、インターホンシステム100は、複数の施設20を有する集合施設200(
図2参照)に適用可能である。本実施形態では、インターホンシステム100は、集合住宅(集合施設)200に適用される。つまり、本実施形態では、集合住宅200が有する複数の住戸20が、複数の施設20に相当する。
【0012】
インターホンシステム100は、応対制御部7、を備える。応対制御部7は、応対情報を制御する。応対情報は、複数の住戸(施設)20を有する集合住宅(集合施設)200を訪れる来訪者H1(
図3A参照)に応対するために子機1から出力される情報である。子機1は、集合住宅200に設けられ(
図2参照)、複数の住戸20にそれぞれ設けられた複数の親機2のうちのいずれかと通信する機器である。子機1は、例えば、ロビー等の集合住宅200の共用部201に設置される共用端末(ロビーインターホン)である。子機1は、例えば複数棟にわたって親機2との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の送信等)を行うように構成されてもよい。
【0013】
応対情報は、一例として、子機1の表示部18(後述する)に表示されることで来訪者H1に対して提示される画像、又は子機1の通話部19(後述する)に含まれるスピーカから来訪者H1に対して出力される音声メッセージを含み得る。本開示でいう「応対情報」は、子機1が単独で出力する画像又は音声メッセージ等である。したがって、応対情報には、子機1を通してリアルタイムに出力される住戸20の住人(応対者)を撮像した画像若しくは住人の音声メッセージ、又は住戸20ごとに録音された住人の音声メッセージ等は含まれない。つまり、応対情報は、住戸(施設)20ごとに住人(応対者)が来訪者H1に応対するための情報ではなく、いわば集合住宅(集合施設)200の代表者(例えば、集合住宅200の管理者)の代わりに来訪者H1に応対するための情報に相当する。
【0014】
本開示でいう「来訪者」は、集合住宅(集合施設)200のいずれかの住戸(施設)20に訪れる人であって、住戸20の住人の親族、又は友人等の住人の知り合い、第三者の他、住人自体を含み得る。つまり、来訪者H1が住人以外の人である場合、来訪者H1は、住人に対して何らかの目的をもって住戸20に訪れる人である。一方、来訪者H1が住人である場合、来訪者H1は、住戸20に帰宅するために住戸20に訪れる人である。
【0015】
そして、応対制御部7は、応対情報を設定するための設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて子機1又は集合住宅(集合施設)200を一単位として応対情報を設定する。設定入力は、例えば子機1の施工者又は管理者により行われる。ここで、「子機1を一単位として応対情報を設定する」とは、例えば複数台の子機1が存在する場合であれば、複数台の子機1ごとに互いに異なる応対情報を設定することを意味する。また、「集合住宅200を一単位として応対情報を設定する」とは、例えば複数台の子機1が存在する場合であれば、複数台の子機1のいずれも同じ応対情報を設定することを意味する。この場合、複数台の子機1のうちのいずれか1台の子機1にて応対情報を設定すれば、制御装置3を介して、この子機1から他の子機1に設定された応対情報が送信されることで、他の子機1でも同じ応対情報が設定される。
【0016】
上述のように、本実施形態では、例えば子機1の施工者又は管理者は、応対制御部7により応対情報を子機1又は集合住宅(集合施設)200を一単位として自由に設定することが可能である。したがって、本実施形態では、来訪者H1の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0017】
また、本実施形態では、応対制御部7は、設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて応対情報のうち子機1から音声として出力される音声情報の態様を設定することも可能である。本開示でいう「音声情報の態様」は、子機1から出力される音声情報(音声メッセージ)の内容ではなく、音声情報の内容に依らない音声情報の普遍の特徴を意味する。例えば、音声情報の態様が声色である場合、応対制御部7は、設定入力に基づいて、「いらっしゃいませ」等の音声メッセージを男性の声色で子機1から出力させるか、又は女性の声色で子機1から出力させるかを設定することが可能である。
【0018】
上述のように、本実施形態では、例えば子機1の施工者、管理者、又は住戸20の住人は、応対制御部7により応対情報のうち音声情報の態様を自由に設定することが可能である。したがって、本実施形態では、来訪者H1の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るインターホンシステム100について詳細に説明する。
【0020】
(2.1)全体構成
本実施形態に係るインターホンシステム100は、
図1及び
図2に示すように、複数台(
図2では2台)の子機1と、複数台(
図1では2台)の親機2と、制御装置3と、を備えている。また、インターホンシステム100は、複数台(
図1では2台)のドアホン4と、複数台(
図1では2台)の分岐器5と、を備えている。
【0021】
本実施形態では、
図2に示すように、2台の子機1のうちの一方の子機1は、集合住宅200の共用部(ロビー)201に設置される共用端末(ロビーインターホン)である。また、2台の子機1のうちの他方の子機1は、集合住宅200の裏口202又は駐車場等に設置される集合住宅200の住人用の専用端末である。以下では、特に断りのない限り、共用端末としての子機1に焦点を当てて説明する。
【0022】
親機2は、例えば
図2に示すように、集合住宅200の各住戸20内に設置される住戸端末である。各親機2は、子機1との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の受信等)を行うように構成されている。親機2は、集合住宅200の管理室及び多目的ルーム等にも設置されてもよい。多目的ルームは、例えば、集会場、ゲストルーム、キッズルーム、パーティールーム等の、集合住宅200内の共用部施設である。つまり、複数の親機2は、集合住宅200の有する複数の施設20にそれぞれ設けられていればよい。
【0023】
制御装置3は、子機1と各親機2との間において、呼出制御を行い、信号を中継するように構成されている。制御装置3は、例えば、管理室に設置されている。制御装置3は、例えば、来訪者H1が子機1を用いて親機2を呼び出したときに、子機1と親機2との間で送受信される信号を中継する。
【0024】
ドアホン4は、例えば、集合住宅200の各住戸20の外玄関に設置されている。複数台のドアホン4は、複数台の親機2と一対一に対応している。各ドアホン4は、対応する親機2との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の送信等)を行うように構成されている。なお、多目的ルーム等に設置されている親機2に対しては、ドアホン4が接続されてなくてもよい。
【0025】
子機1は、第1幹線61を介して制御装置3に接続されている。複数台の分岐器5の各々は、第2幹線62に挿入されており、第2幹線62に対して複数台の親機2を接続可能にする。本実施形態では、第2幹線62から複数の分岐線63に分岐しており、複数台の分岐器5は、第2幹線62における複数の分岐線63の分岐点にそれぞれ設けられている。これにより、各親機2は、分岐器5を介して第2幹線62に対して接続可能になる。
【0026】
各親機2は、第2幹線62、分岐線63、及び分岐器5を介して制御装置3に接続されている。各ドアホン4は、接続線64を介して対応する親機2に接続されている。第1幹線61、第2幹線62、分岐線63、及び接続線64の各々は、例えば、ツイストペアケーブルからなる。
【0027】
(2.2)子機
次に、子機1の構成について説明する。子機1は、
図1に示すように、撮像部11と、子機側伝送部12と、子機側制御部13と、子機側操作部14と、映像処理部15と、記憶部16と、センサ17と、表示部18と、を有している。さらに、子機1は、親機2との間で通話を実現するための通話部19(スピーカ及びマイクロホンを含む)等を有している。
【0028】
撮像部11は、撮像素子を有し、被写体を撮像するためのカメラである。ここでは被写体は、来訪者H1とする。本実施形態では、来訪者H1が子機1を操作する際に少なくとも来訪者H1の顔を撮像できるように、撮像部11の撮像エリア(視野)は、子機1の前方に設定されている。本実施形態では、撮像部11は動画を撮像するカメラである。さらに、本実施形態では、撮像部11はカラー画像を撮像するカメラである。
【0029】
撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセ
ンサである。撮像部11は、被写体からの光をレンズ等の光学系によって撮像素子の撮像面(受光面)上に結像させ、撮像素子にて被写体からの光を電気信号に変換する。そして、撮像部11は、撮像素子の出力信号を映像信号として映像処理部15へ出力する。
【0030】
子機側伝送部12は、親機2と通信するための通信インタフェースである。子機側伝送部12は、第1幹線61を介して制御装置3に接続されている。本実施形態では、第1幹線61は複数本の線で構成されているが、
図1では、第1幹線61を1本の線で示している。子機側伝送部12は、制御装置3の通信部32を介して、親機2との間で双方向に通信可能に構成されている。子機側伝送部12は、親機2に対して通信信号を送信するように構成されている。通信信号には、音声信号、映像信号、及び制御信号等が含まれている。また、子機側伝送部12は、通信部32を介して親機2から送信される通信信号を受信し、受信した通信信号を復調することで音声信号等を取得する。音声信号は、子機側制御部13を介して通話部19へ出力される。
【0031】
子機側操作部14は、人(来訪者H1)の操作を受け付けるように構成されている。子機側操作部14は、例えば、複数の押しボタン、及びタッチパネル等を有する入力インタフェースである。複数の押しボタンは、例えば、0~9のテンキー、アスタリスク(*)ボタン、消ボタン、及び呼出ボタン等を有している。例えば、来訪者H1が、子機1で、部屋番号(住戸番号)「1024号室」の住人を呼び出したい場合、テンキーの数字ボタンを順に押していき、部屋番号を入力する。入力された部屋番号は、数字ボタンを押すたびに順次、表示部18に映し出される(
図3B参照)。最後に、来訪者H1が、呼出ボタンを押すことで、部屋番号の入力が確定されて、部屋番号「1024」の住戸の親機2に対して呼出が実行される。
【0032】
映像処理部15は、撮像部11から出力される映像信号を受けて、信号処理により映像信号に含まれる映像を処理するように構成されている。映像処理部15は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のデバイスにて実現される。
【0033】
記憶部16は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部16は、例えばフラッシュメモリである。記憶部16は、撮像部11で撮像した映像を記憶(録画)する。本実施形態の記憶部16は、子機側制御部13の外部に設けられているが、子機側制御部13の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部16は、子機側制御部13の内蔵メモリであってもよい。なお、記憶部16は、撮像部11で撮像した映像以外にも後述する種々のデータを記憶する。
【0034】
センサ17は、例えば焦電型の赤外線センサであり、人(来訪者H1)等が動く際に生じる赤外線の変化量を検出することによって人等を検出する。センサ17は省略されていてもよい。
【0035】
表示部18は、例えば液晶ディスプレイからなる表示画面180を有している。表示部18は、子機側制御部13の制御下で、
図3A~
図5Bに示すように、基本案内画像G0、第1案内画像G1~第6案内画像G6を出力(画像表示)する。これらの案内画像G0~G6は、単なる一例であり、案内画像の種類の数、及びその表示内容は、特に限定されない。また、表示部18は、子機側制御部13の制御下で、撮像部11で撮像される来訪者H1自身の映像を表示する。表示部18は、例えば、案内画像の略中央に、撮像部11で撮像中のリアルタイムの映像を重ねて出力する(
図3A参照)。呼出先である親機2の呼出の最中、又は親機2との通話中では、来訪者H1の映像は、表示画面180に出力されず、親機2の側に出力される。
【0036】
子機側制御部13は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このコンピュータシステムでは、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、子機側制御部13の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
子機側制御部13は、撮像部11及び子機側伝送部12を制御するように構成されている。さらに、子機側制御部13は、映像処理部15及び表示部18を制御するように構成されている。
【0038】
子機側制御部13は、撮像部11を制御することによって、撮像部11に映像を撮像させる。本実施形態では、子機側制御部13は、例えば、センサ17で人(来訪者H1)を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始する。子機側制御部13は、表示部18を制御することによって、部屋番号の入力を案内する案内画像と、撮像部11で撮像中のリアルタイムの映像と、を表示画面180に出力する(
図3A参照)。なお、表示部18が表示画面180に出力する画像は、上記のリアルタイムの映像以外の画像であってもよい。例えば、上記画像は、来訪者H1が最初に子機側操作部14を操作したときの静止画等、撮像部11にて撮像されたいずれかのタイミングでの静止画であってもよいし、コマ送りの動画であってもよい。
【0039】
また、子機側制御部13は、呼出先である親機2を呼び出す前、呼出中、及び子機1と親機2との間で通信中に撮像部11で撮像した映像を、親機2に送出する。具体的には、子機側制御部13は、第1撮像期間において第1映像を撮像させる。さらに、子機側制御部13は、第2撮像期間において第2映像を撮像させる。第1撮像期間は、例えば、子機側操作部14が来訪者H1による操作を受け付けた時から呼出を開始するまでの期間である。第2撮像期間は、例えば、親機2へ第1映像の伝送を終えてから、通話の終了、又は呼出の終了までの期間である。第2映像は、いわゆるリアルタイムの映像であり、第1映像は、第2映像に対して過去の映像である。
【0040】
子機側制御部13は、子機側伝送部12を制御することによって、子機側伝送部12に親機2への通信信号を送信させ、かつ子機側伝送部12に親機2からの通信信号を受信させる。親機2への通信信号には、音声信号、映像信号、及び制御信号等が含まれている。また、親機2からの通信信号には、音声信号、及び制御信号等が含まれている。
【0041】
子機側制御部13は、映像処理部15を制御することによって、映像処理部15に撮像部11からの映像信号に含まれる映像を処理させる。映像処理部15にて処理された映像は、子機側伝送部12から親機2に送信される。
【0042】
子機側制御部13は、子機側操作部14にて受け付けられた操作入力に応じて、各種の機能を実行するように構成されている。子機側制御部13は、現在、表示部18の表示画面180で表示中の案内画像との関係性に基づき、当該案内画像と対応する機能を実行するように構成されている。例えば、子機側制御部13は、表示画面180で部屋番号の入力を催促する案内画像が表示されている最中に、数字ボタンが操作されると、入力された数字を表示画面180上に出力していく。そして、子機側制御部13は、部屋番号の入力後、呼出ボタンが操作されると、呼出先である親機2の呼出を開始する。
【0043】
子機側制御部13は、所定の期間内に第1録音を開始する第1録音機能を有している。以下、第1録音により取得した音データを「第1音データ」という。第1音データは、通話部19のマイクロホンに入力された来訪者H1の発した音声を含み得る。第1音データは、例えば、来訪者H1の個人名、又は役職名を含み得る。また、第1音データは、来訪者H1が宅配業者等であれば、来訪者H1が属する会社名、又は団体名等を含み得る。また、第1音データは、簡単なメッセージ(用件)を含み得る。
【0044】
所定の期間は、子機側操作部14で指定された部屋番号(又は管理室等)に基づいて、呼出先である親機2を呼び出している期間である。本実施形態では、所定の期間は、例えば部屋番号を確定する呼出ボタンが押されてから開始する。また、本実施形態では、所定の期間は、呼出先である親機2からの応答がなかった場合の呼出の終了タイミングで終了する。子機側制御部13は、第1録音の開始前に呼出先である親機2からの応答があれば、第1録音を実行せず、第1録音の実行中に呼出先である親機2からの応答があれば、第1録音を中止する。子機側制御部13は、第1録音を開始すると、自身の内蔵メモリ内に、一時的に第1音データを記憶し、第1音データを親機2へ伝送する。
【0045】
また、子機側制御部13は、所定の期間内に、呼出先である親機2からの応答がなかった場合、第1録音とは別の第2録音を開始する第2録音機能を有している。以下、第2録音により取得した音データを「第2音データ」という。第2音データは、第1音データと同様に、通話部19のマイクロホンに入力された来訪者H1の発した音声を含み得る。また、第2音データは、第1音データと同様に、来訪者H1の個人名、役職名、来訪者H1が属する会社名、団体名、又は簡単なメッセージ(要件)等を含み得る。
【0046】
第2録音は、来訪者H1が第2録音を行う意思を示したときのみ、開始される。具体的には、第2録音は、第2録音を行うか否かを来訪者H1に選択させるための期間にて、来訪者H1が子機側操作部14の呼出ボタンを押すことで、開始される。本実施形態では、上記期間は、後述する第5案内画像G5が表示部18の表示画面180に表示されている期間である。なお、上記期間にて、来訪者H1が子機側操作部14の消ボタンを押した場合、第2録音は実行されない。
【0047】
子機側制御部13は、第2録音が実行されると、第2録音により取得した第2音データを記憶部16に記憶させる。この場合、子機側制御部13は、第2音データを記憶部16に記憶させたタイミングで、一時的に自身の内蔵メモリに記憶していた、第1録音による第1音データを消去することが好ましい。一方、子機側制御部13は、第2録音が実行されなかった場合、一時的に内蔵メモリに記憶していた第1録音による第1音データを、記憶部16に記憶させる。
【0048】
記憶部16に記憶された音データは、いわゆる留守録データとして、所定の日数(例えば一週間)が経過するまで保存され、所定の日数が経過すると消去される。また、留守録データは、親機2へも転送されて、親機2の側でも所定の日数(例えば一週間)が経過するまで保存される。利用者(例えば住人)が親機2に対して、留守録データの消去に関する操作入力を行うことで消去される。このように、第2録音が実行されなくても、第1録音による第1音データが、記憶部16に記憶されるので、第1録音を第2録音の代わりに留守録として利用できる。
【0049】
また、子機側制御部13は、応対情報の子機1への出力を制御する応対制御部7としての機能を有している。以下、特に断りのない限り、子機側制御部13における応対制御部7としての機能を説明する場合は、子機側制御部13を主体とするのではなく、応対制御部7を主体として説明する。本実施形態では、応対制御部7は、応対情報として、基本案内画像G0、第1案内画像G1~第6案内画像G6を表示部18に出力(画像表示)する。また、応対制御部7は、応対情報として、各画像G0~G6のうちの少なくとも1つに対応する音声メッセージを通話部19のスピーカから出力する。
【0050】
基本案内画像G0は、
図3Aに示すように、部屋番号の入力を催促する案内情報(例えば、「部屋番号を押してください」等の文字列)を含む。また、基本案内画像G0には、撮像部11にて撮像された来訪者H1自身の映像が出力される。応対制御部7は、センサ17が来訪者H1を検出すると、撮像部11を起動し、基本案内画像G0を表示部18の表示画面180に表示させる。また、応対制御部7は、例えば「いらっしゃいませ。部屋番号を押してください」等の音声メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。
【0051】
第1案内画像G1は、
図3Bに示すように、基本案内画像G0にて表示した案内情報、及び来訪者H1が子機側操作部14を用いて入力した部屋番号の数字を含む。応対制御部7は、来訪者H1が基本案内画像G0に従って子機側操作部14を用いて部屋番号の入力を開始すると、第1案内画像G1を表示部18の表示画面180に表示させる。第1案内画像G1は、部屋番号の数字が入力されるたびに更新される。このとき、応対制御部7は、部屋番号の数字に相当する音声メッセージを、来訪者H1が部屋番号の数字を入力するごとに通話部19のスピーカから出力させてもよい。
【0052】
第2案内画像G2は、
図4Aに示すように、来訪者H1の名前の発声を催促する案内情報(例えば「お取次ぎしますので、お名前をお話しください」等の文字列)、及び第1録音が開始されるまでの時間を示すカウントダウン情報等を含む。
図4Aは、一例として、第1録音が開始されるまでの時間があと3秒であるときの様子を示している。応対制御部7は、来訪者H1が子機側操作部14の呼出ボタンを押すことで部屋番号の入力が完了すると、第2案内画像G2を表示部18の表示画面180に表示させる。第2案内画像G2は、カウントダウンが1秒進行するごとに更新される。また、応対制御部7は、例えば「お取次ぎしますので、お名前をお話しください」等の音声メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。
【0053】
第3案内画像G3は、
図4Bに示すように、第2案内画像G2にて表示した案内情報、及び第1録音の実行中に、第1録音を行うための残り時間を表す円形状のタイマー画像を含む。応対制御部7は、上記のカウントダウンが終了すると、第3案内画像G3を表示部18の表示画面180に表示させる。タイマー画像は、時間経過に伴って更新される。具体的には、タイマー画像においては、時間の経過に伴い円弧状の帯が少しずつ延びていき、最終的に残り時間がゼロになると略円の形が完成する。
【0054】
第4案内画像G4は、
図4Cに示すように、来訪者H1に呼出中であることを伝える案内情報(例えば、「このままお待ちください」等の文字列)、及び呼出中であることを視覚的に表すピクトグラム等を含む。応対制御部7は、第1録音の実行を終了すると、第4案内画像G4を表示部18の表示画面180に表示させる。また、応対制御部7は、例えば「このままお待ちください」等の音声メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。
【0055】
第5案内画像G5は、
図5Aに示すように、用件を残すこと(つまり、第2録音)が可能であることを伝える案内情報(例えば、「お取次ぎできませんでした、ご用件を残されますか?」等の文字列)」を含む。また、第5案内画像G5は、第2録音の時間を知らせる案内情報(例えば、「15秒間お話できます」等の文字列)、及び選択情報(例えば、「はい:呼出」及び「いいえ:消」等の文字列)を含む。応対制御部7は、呼出の終了時刻になっても呼出先の親機2からの応答がない場合に、第5案内画像G5を表示部18の表示画面180に表示させる。また、応対制御部7は、例えば「お取次ぎできませんでした、ご用件を残されますか?」等の音声メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。
【0056】
第6案内画像G6は、
図5Bに示すように、来訪者H1の名前及び用件の発声を催促する案内情報(例えば、「お名前とご用件をお話しください」等の文字列)、及び第2録音の実行中に、第2録音を行うための残り時間を表す円形状のタイマー画像を含む。応対制御部7は、第5案内画像G5の表示中に、来訪者H1が子機側操作部14の呼出ボタンを押すと、第6案内画像G6を表示部18の表示画面180に表示させる。タイマー画像は、第3案内画像G3のタイマー画像と同様に、時間経過に伴って更新される。また、応対制御部7は、例えば「お名前とご用件をお話しください」等の音声メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。
【0057】
ここで、応対制御部7は、第5案内画像の表示中に、来訪者H1が消ボタンを押すか、又は何も押し操作がされなければ、第2録音を行わずに、基本案内画像G0を表示部18の表示画面180に表示させ、待機状態に移る。また、応対制御部7は、第2録音が終了した場合も、基本案内画像G0を表示部18の表示画面180に表示させ、待機状態に移る。そして、待機状態において、センサ17が来訪者H1を検出しなくなると、応対制御部7は、撮像部11を停止させ、基本案内画像G0の表示も停止させる。
【0058】
このように、応対制御部7は、来訪者H1の応対の進行に応じて、応対情報として、各画像G0~G6及び各音声メッセージを順次出力する。なお、呼出元の子機1からの呼出に対して、呼出先である親機2の応答があった場合、応対制御部7は、第5案内画像G5及び第6案内画像G6を表示部18の表示画面180に表示させない。
【0059】
また、応対制御部7は、来訪者H1が呼出先として指定する親機2への呼出情報の出力を制御する呼出制御機能を有している。呼出情報は、一例として、親機2の通話部29(後述する)に含まれるスピーカから出力される呼出音(例えば、「ポロロン、ポロロン」等)を含み得る。また、呼出情報は、一例として、親機2の表示部22(後述する)に表示されることで住戸20の住人(応対者)に対して提示される画像、又は親機2の通話部29に含まれるスピーカから住戸20の住人に対して出力される音声を含み得る。本実施形態では、呼出情報には、呼出音と、第1録音で録音した第1音データと、が含まれる。
【0060】
本実施形態では、上述のように、来訪者H1が子機側操作部14を用いて部屋番号の入力を完了し、呼出ボタンを押すことで、部屋番号(つまり、呼出先)が確定される。したがって、応対制御部7は、部屋番号の入力が確定すると、制御装置3を介して、呼出先の部屋(ここでは、1024号室)の親機2にて、呼出を開始させる。親機2では、応対制御部7による呼出が開始されると、通知部27(後述する)から呼出音の出力が行われる。呼出中において、親機2では、例えばストリーミングにより、第1録音により録音された第1音声データがリアルタイムで再生される。要するに、応対制御部7は、親機2の側において、第1音データの再生を、呼出の最中に行わせる。第1音データを再生している期間において、呼出音の出力は、一時的に停止されることが好ましい。以下、親機2では、第1録音機能の所定の期間が終了するまで、呼出音の出力と、第1音データの再生とが交互に繰り返される。なお、第1音データは、最初に子機1から伝送を受けたときに親機2内に記憶されたデータでもよいし、子機側制御部13のメモリで記憶されたデータが繰り返し親機2へ伝送されてもよい。
【0061】
(2.3)親機の構成
次に、親機2の構成について説明する。親機2は、
図1に示すように、親機側伝送部21と、表示部22と、親機側制御部23と、親機側操作部24と、映像処理部25と、記憶部26と、通知部27と、を有している。さらに、親機2は、子機1及びドアホン4との間で通話を実現するための通話部29(スピーカ及びマイクロホンを含む)等を有している。
【0062】
親機側伝送部21は、子機1及びドアホン4と通信するための通信インタフェースである。なお、親機側伝送部21は、子機1と通信するための通信インタフェースと、ドアホン4と通信するための通信インタフェースと、の互いに異なる2つの通信インタフェースで構成されていてもよい。親機側伝送部21は、第2幹線62、分岐線63及び分岐器5を介して制御装置3に接続されている。本実施形態では、第2幹線62及び分岐線63は、それぞれ複数本の線で構成されているが、
図1では、第2幹線62及び分岐線63をそれぞれ1本の線で示している。親機側伝送部21は、制御装置3の通信部32を介して、子機1との間で双方向に通信可能に構成されている。親機側伝送部21は、子機1に対して通信信号を送信するように構成されている。通信信号には、音声信号及び制御信号等が含まれている。また、親機側伝送部21は、通信部32を介して子機1から送信される通信信号を受信し、受信した通信信号を復調することで音声信号及び映像信号等を取得する。音声信号は、親機側制御部23を介して通話部29へ出力され、映像信号は、親機側制御部23を介して表示部22へ出力される。
【0063】
表示部22は、映像処理部25からの映像(例えば子機1の撮像部11で撮像された映像)を表示するように構成されている。表示部22は、例えば液晶ディスプレイである。親機2がタッチパネルディスプレイを備えている場合には、タッチパネルディスプレイが表示部22と親機側操作部24とを兼ねてもよい。
【0064】
親機側操作部24は、人(例えば住人)の操作を受け付けるように構成されている。親機側伝送部21が住人を呼び出すための呼出信号を受信している状態で、親機側操作部24に対して所定の操作(例えば押し操作)が行われると、子機1と親機2との間で音声通話が可能な状態となる。
【0065】
映像処理部25は、親機側伝送部21にて受信した子機1からの映像信号を受けて、信号処理により映像信号に含まれる映像を処理するように構成されている。映像処理部25は、例えば、複数の映像を合成する合成処理を行うように構成されている。本実施形態では、映像処理部25は、合成処理において、過去の映像である第1映像とリアルタイムの映像である第2映像とを合成して1つの映像を作成する。映像処理部25は、例えば、DSP又はFPGA等のデバイスにて実現される。
【0066】
親機側制御部23は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このコンピュータシステムでは、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、親機側制御部23の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0067】
親機側制御部23は、親機側伝送部21及び表示部22を制御するように構成されている。さらに、親機側制御部23は、映像処理部25を制御するように構成されている。親機側制御部23は、親機側伝送部21を制御することによって、親機側伝送部21に子機1への通信信号を送信させ、かつ親機側伝送部21に子機1からの通信信号を受信させる。子機1への通信信号には、音声信号及び制御信号等が含まれている。また、子機1からの通信信号には、音声信号、映像信号及び制御信号等が含まれている。
【0068】
親機側制御部23は、表示部22を制御することによって、子機1から送られてくる映像を表示部22に表示させる。本実施形態では、過去の映像である第1映像とリアルタイムの映像である第2映像とを合成した1つの映像を表示部22に表示させる。例えば、親機側制御部23は、表示部22の表示画面において、第1映像を小さく表示させ、第2映像を大きく表示させる。
【0069】
記憶部26は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部26は、例えばフラッシュメモリである。記憶部26は、子機1から送られてきた第1映像及び第2映像を記憶する。本実施形態では、記憶部26は、親機側制御部23の外部に設けられているが、親機側制御部23の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部26は、親機側制御部23の内蔵メモリであってもよい。
【0070】
通知部27は、例えば呼出音を出力するように構成されている。親機側制御部23は、子機1からの呼び出しがあると、所定のタイミングで通知部27に呼出音を出力させる。更に、通知部27は、呼出音だけではなく、上述した子機1の側で録音された第1音データを出力するように構成されている。第1音データは、通話部29のスピーカから出力されてもよい。第1音データは、記憶部26又は内蔵メモリに記憶される。
【0071】
(2.4)制御装置の構成
次に、制御装置3の構成について説明する。制御装置3は、
図1に示すように、信号処理部31と、通信部32と、を有している。
【0072】
通信部32は、子機1及び親機2と通信するための通信インタフェースである。通信部32は、第1幹線61を介して子機1に接続されている。また、通信部32は、第2幹線62、分岐線63、及び分岐器5を介して親機2に接続されている。通信部32は、子機1の子機側伝送部12との間で双方向に通信可能に構成されている。また、通信部32は、親機2の親機側伝送部21との間で双方向に通信可能に構成されている。つまり、通信部32は、親機側伝送部21と子機側伝送部12との間の通信を中継するように構成されている。したがって、通信部32は、子機1の子機側伝送部12から送信される通信信号を中継して複数台の親機2に送信する。ここで、子機1から送信される通信信号には、送信先となる親機2を特定するための情報(例えばアドレス等)が含まれている。このため、複数台の親機2のうち自己に割り当てられたアドレスと通信信号に含まれるアドレスとが一致する親機2のみが通信信号を受信することができる。また、通信部32は、複数台の親機2の各々から送信される通信信号を中継して子機1に送信する。
【0073】
信号処理部31は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このコンピュータシステムでは、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、信号処理部31の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0074】
信号処理部31は、通信部32を制御するように構成されている。具体的には、信号処理部31は、通信部32を制御することによって、子機1から送信される通信信号を複数台の親機2に送信させ、かつ複数台の親機2の各々から送信される通信信号を子機1に送信させる。
【0075】
(2.5)応対情報の設定
本実施形態では、応対制御部7は、応対情報を設定するための設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて子機1又は集合住宅(集合施設)200を一単位として応対情報を設定する設定機能を有している。ここで、「応対情報を設定する」とは、応対情報の少なくとも一部の内容を設定することを意味する。応対情報は、一例として、表示部18の表示画面180に表示される文字列若しくは画像、通話部19のスピーカから出力される音声メッセージ、又は来訪者H1の応対の手順等を含み得る。
【0076】
本実施形態では、応対制御部7は、設定入力に基づいて、子機1を一単位として応対情報を設定する。つまり、例えば、集合住宅200の共用部201に設置される共用端末である子機1と、集合住宅200の裏口202又は駐車場等に設置される集合住宅200の住人用の専用端末である子機1とで、互いに異なる応対情報が設定され得る。ここで、応対情報を設定する場合、例えば子機1の施工者又は管理者は、設定対象の子機1にて設定を行ってもよいし、複数台の子機1のうちのいずれかの子機1にて、複数台の子機1ごとの設定を行ってもよい。
【0077】
一例として、共用端末である子機1は、主として住人以外の第三者が利用する。このため、この子機1では、来訪者H1に対する挨拶として、「いらっしゃいませ」等の文字列を表示部18の表示画面180を表示させるように、応対情報を設定するのが好ましい。また、一例として、専用端末である子機1は、主として住人が利用する。このため、この子機1では、来訪者H1に対する挨拶として、「おかえりなさい」等の文字列を表示部18の表示画面180を表示させるように、応対情報を設定するのが好ましい。
【0078】
本実施形態では、応対情報は、第1情報と、第2情報と、を含んでいる。つまり、応対制御部7は、設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて、第1情報及び第2情報を設定する。
【0079】
第1情報は、子機1の置かれる状況に依らず不変の情報である。つまり、第1情報は、時間帯、来訪者H1の属性(例えば、住人、住人の家族、友人、又は宅配業者等の業者等)、又は子機1に入力された情報等に依らない情報である。一例として、第1情報は、部屋番号の入力を催促する案内情報(例えば、「部屋番号を押してください」等の文字列)及び音声メッセージである。
【0080】
第2情報は、子機1の置かれる状況に応じて変化する情報である。つまり、第2情報は、時間帯、来訪者H1の属性、又は子機1に入力された情報等に応じて変化する情報である。一例として、第2情報は、来訪者H1に対する挨拶を表す案内情報(例えば、「こんにちは」等の文字列)及び音声メッセージである。例えば、応対制御部7は、設定入力に基づいて、応対情報(第2情報)を以下のように設定することも可能である。すなわち、午前中であれば、応対制御部7は、応対情報として「おはようございます」等の文字列を表示部18の表示画面180に表示させたり、「おはようございます」等の音声メッセージを通話部19のスピーカから出力させたりする。また、夜間であれば、応対制御部7は、「こんばんは」等の文字列を表示部18の表示画面180に表示させたり、「こんばんは」等の音声メッセージを通話部19のスピーカから出力させたりする。
【0081】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、事前用件通知機能の有効・無効を設定することが可能である。ここで、事前用件通知機能は、来訪者H1の名前、又は属性等の所定の情報を来訪者H1から受け付け、住人(応対者)が来訪者H1との通話を開始する前に受け付けた所定の情報を住人に通知する機能である。つまり、応対情報は、来訪者H1に対して所定の情報の入力を促すための指示情報を含んでいてもよい。そして、応対制御部7は、設定入力に基づいて、指示情報を応対情報に含めるか否かを設定する。
【0082】
本実施形態では、応対制御部7は、第2案内画像G2及び第3案内画像G3を表示部18の表示画面180に表示させることにより、指示情報として来訪者H1の名前の発声を促している。その他、応対制御部7は、指示情報として、例えば
図7に示すような案内画像を、第2案内画像G2及び第3案内画像G3を表示させる前に表示部18の表示画面180に表示させるように設定することも可能である。
【0083】
図7に示す案内画像は、来訪者H1の属性(用件を含む)の入力を促す案内情報(例えば、「ご用件を選択していただくか、お話しください」等の文字列)、及び選択情報(例えば、「1.友人」、「2.家族・親戚」等の文字列)を含む。来訪者H1は、案内画像に表示されている選択情報のうち自身に対応する属性を、子機側操作部14を用いて入力する、又は通話部19のマイクロホンに向けて発声する。これにより、応対制御部7は、来訪者H1により選択された属性に関する属性情報を受け付け、受け付けた属性情報を親機2へ送信する。親機2は、属性情報に対応する文字列を表示部22に表示させたり、属性情報に対応する音声メッセージを通話部29のスピーカから出力させたりすることにより、住人(応対者)に来訪者H1の属性を通知する。
【0084】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、来訪者H1の属性に応じて応対情報を変更する機能を設定することが可能である。言い換えれば、応対制御部7は、子機1に入力された情報に基づいて、応対情報を変更することが可能である。ここで、子機1に入力された情報は、子機1で撮像された来訪者H1の画像、子機側操作部14での操作により入力された情報、又は通話部19のマイクロホンにて取得した来訪者H1の音声データを含み得る。
【0085】
応対制御部7は、例えば来訪者H1を撮像した画像と、記憶部16に記憶してある来訪者リストの画像とを比較することにより、来訪者H1の属性を判定してもよい。また、応対制御部7は、例えば来訪者H1の音声データと、記憶部16に記憶してある来訪者リストの音声データとを比較することにより、来訪者H1の属性を判定してもよい。その他、応対制御部7は、例えば上述の事前用件通知機能を利用して、来訪者H1の属性情報を取得してもよい。
【0086】
例えば、応対制御部7は、設定入力に基づいて、応対情報を以下のように設定することが可能である。すなわち、応対制御部7は、来訪者H1が宅配業者等の業者であって、住人にとって既知の業者(例えば、約束済みの業者)である場合、住人及び業者の間で予め設定された暗証番号の入力を促す文字列を、表示部18の表示画面180に表示させる。また、応対制御部7は、来訪者H1が友人等であって、住人の知人である場合、歓迎の意思を表す文字列を、表示部18の表示画面180に表示させる。
【0087】
また、応対制御部7は、親機2での設定入力に基づいて、応対情報を親機2ごとに変更する機能を設定することが可能である。言い換えれば、応対制御部7は、複数の親機2のうちのいずれか1つの親機2に入力された情報に基づいて、応対情報を変更することが可能である。ここで、親機2に入力された情報は、親機2の呼出が行われていない場合に、住人の親機側操作部24での操作により入力された情報を含む。一例として、親機2に入力された情報は、留守モードの有効・無効の設定に関する情報、又は不審者撃退モードの有効・無効の設定に関する情報を含み得る。
【0088】
例えば、親機2にて留守モードに設定されている場合に、この親機2が来訪者H1により呼出先として指定された、と仮定する。この場合、応対制御部7は、例えば「ただいま留守にしております」等の文字列を表示部18の表示画面180に表示させたりすることで、住人が留守である旨を来訪者H1に知らせる。また、例えば、不審者撃退モードに設定されている場合に、この親機2が来訪者H1により呼出先として指定された、と仮定する。この場合、応対制御部7は、例えば来訪者H1を撮像した画像、第1録音機能により録音した来訪者H1の発した音声、又は事前用件通知機能により取得した来訪者H1の属性に基づいて、来訪者H1が不審者であるか否かを判定する。そして、応対制御部7は、来訪者H1が不審者であると判定した場合、例えば「お引き取り願います」等の文字列を表示部18の表示画面180に表示させたりすることで、来訪者H1を追い払う。
【0089】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、呼出制御機能を設定することが可能である。言い換えれば、応対制御部7は、来訪者H1が呼出先として指定する親機2への呼出情報の出力を制御することが可能である。例えば、応対制御部7は、設定入力に基づいて、親機2の呼出中において、呼出音の出力と第1音データの再生とを交互に繰り返す、呼出音のみを出力する、又は呼出音及び第1音データの両方を出力しない、のいずれで制御するかを設定することが可能である。また、例えば、応対制御部7は、設定入力に基づいて、第1録音機能で録音した第1音データ及び第2録音機能で録音した第2音データを、留守録データとして残すか否かを設定することが可能である。
【0090】
ここで、応対制御部7は、親機2での設定入力に基づいて、呼出制御機能を親機2ごとに設定することも可能である。言い換えれば、応対制御部7は、呼出先として指定された親機2に入力された情報に基づいて、呼出情報の出力を制御することも可能である。
【0091】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、以下のように呼出制御機能を設定することも可能である。すなわち、応対制御部7は、応対情報の少なくとも一部が出力された後、子機1が来訪者H1から取得した情報が所定の条件を満たすと、呼出情報の出力を制御する。例えば、応対制御部7は、来訪者H1を撮像した画像、第1録音機能により録音した来訪者H1の発した音声、又は事前用件通知機能により取得した来訪者H1の属性に基づいて、来訪者H1が住人に取り次ぐべき相手であるか否かを判定する。そして、応対制御部7は、来訪者H1が住人に取り次ぐべき相手であると判定した場合、呼出先として指定された親機2の呼出を開始する。一方、応対制御部7は、来訪者H1が住人に取り次ぐべき相手ではないと判定した場合、呼出先として指定された親機2の呼出を行わない。
【0092】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、以下のように呼出制御機能を設定することも可能である。すなわち、応対制御部7は、呼出情報の出力を制御する際に、子機1を制御する。例えば、応対制御部7は、上記のように来訪者H1が住人に取り次ぐべき相手ではないと判定した場合、例えば「お引き取り願います」等の文字列を表示部18の表示画面180に表示させたりすることで、来訪者H1を追い払う。
【0093】
また、応対制御部7は、設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて応対情報のうち子機1から音声として出力される音声情報の態様を設定することも可能である。本実施形態では、音声情報の態様は、言語、声色、語調、又は方言等を含み得る。言語は、日本語の他、例えば英語、中国語、又は韓国語等を含み得る。声色は、例えば男性の声色、女性の声色の他、特定の個人(例えば、芸能人又は声優等)の声色を模倣した声色等を含み得る。語調は、例えば口語的な語調、文語的な語調の他、執事が話す際の語調等を含み得る。
【0094】
一例として、子機1の施工者又は管理者が音声情報の言語を英語に設定した、と仮定する。この場合、応対制御部7は、
図8に示すように、基本案内画像G0において、部屋番号の入力を催促する英語の案内情報(例えば、「ENTER ROOM No.」等の文字列)を表示させる。また、応対制御部7は、例えば「Welcome!Enter room number.」等の英語の音声
メッセージを、通話部19のスピーカから出力させる。このように、応対制御部7は、音声情報の言語が設定されると、設定された言語にて、文字列を表示部18の表示画面180に表示させてもよい。言い換えれば、応対制御部7は、設定された音声情報の態様に基づいて、子機1が有する表示部18に表示される表示情報の態様を変更してもよい。
【0095】
また、応対制御部7は、子機1に入力された情報に基づいて、音声情報の態様を変更する機能を設定することが可能である。例えば、
図9に示すように、応対制御部7は、基本案内画像G0において、複数の言語をそれぞれ表す複数のアイコンを表示させてもよい。
図9に示す基本案内画像G0では、英語を表す文字列を含むアイコン、中国語を表す文字列を含むアイコン、及び韓国語を表す文字列を含むアイコンが表示されている。そして、例えば来訪者H1が表示部18の表示画面180に表示されたいずれかのアイコンに触れることで、いずれかのアイコンを選択する。すると、以降、応対制御部7は、選択されたアイコンに対応する言語にて、音声メッセージを通話部19のスピーカから出力させたり、文字列を表示部18の表示画面180に表示させたりする。なお、来訪者H1は、子機側操作部14において、表示部18の表示画面180に表示されたいずれかのアイコンに対応するボタンを操作することで、いずれかのアイコンを選択してもよい。
【0096】
また、応対制御部7は、設定入力に基づいて、第1録音機能の有効・無効を設定することが可能である。さらに、応対制御部7は、設定入力に基づいて、第2録音機能の有効・無効を設定することが可能である。
【0097】
以下、応対制御部7による設定機能の動作の一連の流れについて
図10を用いて説明する。まず、例えば施工者又は管理者が、子機側操作部14等を用いて、住人等が知らないセキュアレベルの高い特定の操作入力を行う(S1:Yes)。これにより、応対制御部7は、設定入力を受け付け可能な設定モードとしての動作を開始する(S2)。
【0098】
設定モードにおいては、応対制御部7は、表示部18の表示画面180に設定用の案内画像を表示させる。施工者又は管理者は、設定用の案内画像に表示されている案内情報を見ながら、設定入力を行う。設定入力は、施工者又は管理者が子機側操作部14を用いて入力することで行われてもよいし、施工者又は管理者が通話部19のマイクロホンに向けて音声を発することで行われてもよい。応対制御部7は、設定入力を受け付けると(S3:Yes)、設定入力に基づいて応対情報を設定する(S4)。ここで設定された応対情報は、記憶部16又は子機側制御部13の内蔵メモリに記憶される。
【0099】
その後、応対制御部7は、終了トリガが発生するまで(S5:No)、設定入力を待ち受ける。そして、応対制御部7は、終了トリガが発生すると(S5:Yes)、設定モードとしての動作を終了する(S6)。ここで、終了トリガは、施工者又は管理者が、設定モードを終了させるための操作入力を行うことで発生する。また、終了トリガは、設定入力を受け付けない時間が所定の時間以上継続した場合にも発生する。
【0100】
上述のように、本実施形態では、例えば子機1の施工者又は管理者は、インターホンシステム100の設置環境又は住人の要望等に応じて、応対制御部7により応対情報を子機1を一単位として自由に設定することが可能である。したがって、本実施形態では、来訪者H1の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0101】
また、子機側制御部13は、応対情報を出力する音量を設定する音量設定部8としての機能を有している。本実施形態では、音量設定部8としての機能は、上述の応対制御部7の設定モードにて発揮される。音量設定部8は、例えば施工者又は管理者による設定入力に基づいて、子機1から応対情報を出力する音量を増減する。ここで、施工者又は管理者は、音量設定部8により、例えば所定の時刻、時間帯、日、月、曜日、及び季節のうち少なくとも1以上の項目ごとに音量を設定することが可能である。一例として、施工者又は管理者は、音量設定部8により、午後7時から午前8時までの夜間及び早朝の時間帯において、他の時間帯よりも音量を小さく設定することが可能である。
【0102】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、インターホンシステム100と同様の機能は、設定方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0103】
一態様に係る設定方法は、入力ステップと、設定ステップと、を有する。入力ステップは、応対情報を設定するための設定入力を受け付けるステップである。設定ステップは、入力ステップでの設定入力に基づいて、子機1又は複数の施設20を有する集合施設200を一単位として応対情報を設定するステップである。応対情報は、集合施設200を訪れる来訪者H1に応対するために子機1から出力される情報である。子機1は、集合施設200に設けられ、複数の施設20にそれぞれ設けられた複数の親機2のうちのいずれかと通信する機器である。また、一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の設定方法を実行させる。
【0104】
一態様に係る設定方法は、入力ステップと、設定ステップと、を有する。入力ステップは、応対情報を設定するための設定入力を受け付けるステップである。設定ステップは、入力ステップでの設定入力に基づいて、応対情報のうち子機1から音声として出力される音声情報の態様を設定するステップである。応対情報は、複数の施設20を有する集合施設200を訪れる来訪者H1に応対するために子機1から出力される情報である。子機1は、集合施設200に設けられ、複数の施設20にそれぞれ設けられた複数の親機2のうちのいずれかと通信する機器である。また、一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の設定方法を実行させる。
【0105】
本開示におけるインターホンシステム100は、例えば、子機1の子機側制御部13、及び制御装置3の信号処理部31等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における子機側制御部13及び信号処理部31としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0106】
また、子機1における複数の機能が、1つの筐体に集約されていることは子機1に必須の構成ではない。子機1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、子機側制御部13等、子機1の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上述の実施形態のように、子機1の全ての機能が、1つの筐体に集約されていてもよい。制御装置3においても同様である。
【0107】
上述の実施形態において、応対制御部7は、子機側制御部13の一機能として実現される態様に限らず、子機側制御部13とは別に設けられていてもよい。また、応対制御部7は、子機1と通信可能な位置であれば、設置場所を問わない。例えば、応対制御部7は、子機1の他、制御装置3、又は管理室親機等に設置されていてもよい。音量設定部8も同様である。
【0108】
上述の実施形態において、応対制御部7は、集合住宅(集合施設)200を一単位として応対情報を設定してもよい。一例として、2棟の集合住宅200が存在する場合、一方の集合住宅200の子機1では、来訪者H1との応対時に部屋番号の入力を促し、他方の集合住宅200の子機1では、部屋番号の入力の他に用件の選択を促すように設定されてもよい。
【0109】
上述の実施形態において、集合住宅(集合施設)200は、
図11に示すように複数棟(
図11では、2棟)存在していてもよい。この場合、応対制御部7は、設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて複数の集合住宅200を一単位として応対情報を設定してもよい。ここで、「複数の集合住宅200を一単位として応対情報を設定する」とは、例えば複数の集合住宅200にそれぞれ1台ずつ子機1が存在する場合であれば、これら全ての子機1のいずれも同じ応対情報を設定することを意味する。この場合、例えば複数の集合住宅200にそれぞれ設置された複数台の制御装置3のうちいずれか1台の制御装置3に応対制御部7が設けられていればよい。そして、この応対制御部7にて応対情報を設定すれば、複数台の制御装置3を介して、全ての子機1に対して設定された応対情報が送信されることで、全ての子機1で同じ応対情報が設定される。
【0110】
上述の実施形態において、応対制御部7は、呼出中に録音された音データ及び録画された映像データを、留守録データと合成して親機2に記憶させる機能の有効・無効を設定入力に基づいて設定することが可能であってもよい。
【0111】
上述の実施形態において、応対制御部7は、子機1にて来訪者H1の応対が行われている間、呼出前に来訪者H1の存在を住人に事前に知らせる機能の有効・無効を設定入力に基づいて設定することが可能であってもよい。この機能では、応対制御部7は、親機2にLED(Light Emitting Diode)等の光源を発光させたり、通話部29のスピーカから特定音の音量をステップアップさせたりする。
【0112】
上述の実施形態において、応対制御部7は、来訪者H1に対して住人を介さずに自動的に応答する機能の有効・無効を設定入力に基づいて設定することが可能であってもよい。この機能では、応対制御部7は、親機2にて留守モードに設定されている場合に、例えば学習済みのニューラルネットワークを用いて、来訪者H1の応対を自動的に実行する。
【0113】
上述の実施形態において、応対制御部7は、子機1にて来訪者H1の応対が行われている間、子機1と親機2とで互いに異なる音声メッセージを出力させたり、互いに異なる音を出力させたりしてもよい。
【0114】
上述の実施形態において、応対制御部7は、集合住宅200の管理室に設置された管理室親機からの設定入力を受け付けるように構成されていてもよい。
【0115】
(まとめ)
以上述べたように第1の態様に係るインターホンシステム(100)は、応対制御部(7)を備える。応対制御部(7)は、応対情報を制御する。応対情報は、複数の施設(20)を有する集合施設(200)を訪れる来訪者(H1)に応対するために子機(1)から出力される情報である。子機(1)は、集合施設(200)に設けられ、複数の施設(20)にそれぞれ設けられた複数の親機(2)のうちのいずれかと通信する機器である。応対制御部(7)は、応対情報を設定するための設定入力を受け付けると、設定入力に基づいて応対情報のうち子機(1)から音声として出力される音声情報の態様を設定する。
【0116】
この態様によれば、来訪者(H1)の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0117】
第2の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1の態様において、応対制御部(7)は、設定された音声情報の態様に基づいて、子機(1)が有する表示部(18)に表示される表示情報の態様を変更する。
【0118】
この態様によれば、来訪者(H1)の応対の態様として、音声情報だけでなく表示情報も共に変更することができる、という利点がある。
【0119】
第3の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1又は第2の態様において、音声情報の態様は、言語を含む。
【0120】
この態様によれば、来訪者(H1)が理解可能な言語にて、来訪者(H1)の応対が行えるように設定することができる、という利点がある。
【0121】
第4の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、応対情報は、第1情報と、第2情報と、を含む。第1情報は、子機(1)の置かれる状況に依らず不変の情報である。第2情報は、子機(1)の置かれる状況に応じて変化する情報である。
【0122】
この態様によれば、来訪者(H1)の応対の態様の自由度を更に向上することができる、という利点がある。
【0123】
第5の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、応対情報は、来訪者(H1)に対して所定の情報の入力を促すための指示情報を含む。
【0124】
この態様によれば、呼出前において、来訪者(H1)に関する情報を事前に取得することが可能である、という利点がある。
【0125】
第6の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、応対制御部(7)は、子機(1)に入力された情報に基づいて、応対情報を変更する。
【0126】
この態様によれば、来訪者(H1)に応じて、来訪者(H1)の応対の態様を変更することができる、という利点がある。
【0127】
第7の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、応対制御部(7)は、複数の親機(2)のうちのいずれか1つの親機(2)に入力された情報に基づいて、応対情報を変更する。
【0128】
この態様によれば、親機(2)の利用者(例えば、住戸(20)の住人)ごとに、来訪者(H1)の応対の態様を変更することができる、という利点がある。
【0129】
第8の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第7のいずれかの態様において、応対制御部(7)は、来訪者(H1)が呼出先として指定する親機(2)への呼出情報の出力を制御する。
【0130】
この態様によれば、親機(2)の利用者に対する呼出の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0131】
第9の態様に係るインターホンシステム(100)では、第8の態様において、応対制御部(7)は、呼出先として指定された親機(2)に入力された情報に基づいて、呼出情報の出力を制御する。
【0132】
この態様によれば、親機(2)の利用者ごとに、呼出の態様を変更することができる、という利点がある。
【0133】
第10の態様に係るインターホンシステム(100)では、第8又は第9の態様において、応対制御部(7)は、応対情報の少なくとも一部が出力された後、子機(1)が来訪者(H1)から取得した情報が所定の条件を満たすと、呼出情報の出力を制御する。
【0134】
この態様によれば、来訪者(H1)に応じて、呼出の態様を変更することができる、という利点がある。
【0135】
第11の態様に係るインターホンシステム(100)では、第8~第10のいずれかの態様において、応対制御部(7)は、呼出情報の出力を制御する際に、子機(1)を制御する。
【0136】
この態様によれば、親機(2)の呼出時における子機(1)の動作の態様を変更することができる、という利点がある。
【0137】
第12の態様に係るインターホンシステム(100)では、第1~第11のいずれかの態様において、応対情報を出力する音量を設定する音量設定部(8)を更に備える。
【0138】
この態様によれば、子機(1)の置かれる環境に応じて、適切な音量で応対情報を出力できるように設定することが可能である、という利点がある。
【0139】
第13の態様に係る設定方法は、入力ステップと、設定ステップと、を有する。入力ステップは、応対情報を設定するための設定入力を受け付けるステップである。設定ステップは、入力ステップでの設定入力に基づいて、応対情報のうち子機(1)から音声として出力される音声情報の態様を設定するステップである。応対情報は、複数の施設(20)を有する集合施設(200)を訪れる来訪者(H1)に応対するために子機(1)から出力される情報である。子機(1)は、集合施設(200)に設けられ、複数の施設(20)にそれぞれ設けられた複数の親機(2)のうちのいずれかと通信する機器である。
【0140】
この態様によれば、来訪者(H1)の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0141】
第14の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第13の態様の設定方法を実行させる。
【0142】
この態様によれば、来訪者(H1)の応対の態様の自由度を向上することができる、という利点がある。
【0143】
第2~第12の態様に係る構成については、インターホンシステム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0144】
ところで、応対者(住人)と来訪者H1との通話中において、応対者が親機2にて特定の操作を行うことで、来訪者H1を追い払うための音声メッセージを、応対者の発する音声に重畳させて子機1から出力させてもよい。例えば、来訪者H1が応対者の望まぬ目的(宗教の勧誘、新聞の勧誘、又は訪問販売等)で訪れた人物である場合、「早く帰ってもらいなさい」、又は「俺が出て文句言おうか?」等のお引き取りを願う音声メッセージを子機1に出力する。お引き取りを願う音声メッセージの態様は、例えば男性の声色、又は来訪者H1に対する怒気を帯びた声色若しくは語調等であるのが好ましい。
【0145】
すなわち、インターホンシステム(100)は、子機(1)と、応対制御部(7)と、を備える。子機(1)は、複数の施設(20)を有する集合施設(200)に設けられ、複数の施設(20)にそれぞれ設けられた複数の親機(2)のうちのいずれかと通信する。応対制御部(7)は、集合施設(200)を訪れる来訪者(H1)に応対するための応対情報の子機(1)への出力を制御する。応対制御部(7)は、子機(1)と親機(2)との通話中において、親機(2)にて所定の入力を受け付けると、来訪者(H1)を追い払うための音声情報を、子機(1)から出力される音声に重ねて出力させる。
【符号の説明】
【0146】
1 子機
18 表示部
2 親機
7 応対制御部
8 音量設定部
20 住戸(施設)
100 インターホンシステム
200 集合住宅(集合施設)
H1 来訪者