(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184705
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20231221BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 401
B41J2/17 203
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191257
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2022113076の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2018108347
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔貴
(72)【発明者】
【氏名】有馬 崇博
(72)【発明者】
【氏名】溝口 翔
(72)【発明者】
【氏名】岡野 守
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 明
(57)【要約】
【課題】
インクジェット記録装置周辺に洗浄液が流出することを回避し、洗浄に使用した後の洗浄液を密閉性の高い容器内に格納する印字ヘッド洗浄機能を有するインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】
印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と洗浄液が収容された洗浄液容器を有する本体と、前記インク容器に接続され加圧供給されたインクが吐出されるノズルと印字に使用されるインク粒子を帯電させる帯電電極と前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向させる偏向電極と印字に使用されないインク粒子を回収するガターを有する印字ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、洗浄液が吐出される洗浄ノズルと印字ヘッドを挿入できる挿入口とを有するヘッド洗浄ユニットを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と洗浄液が収容された洗浄液容器を有する本体と、前記インク容器に接続され加圧供給されたインクが吐出されるノズルと印字に使用されるインク粒子を帯電させる帯電電極と前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向させる偏向電極と印字に使用されないインク粒子を回収するガターを有する印字ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、
前記洗浄液が吐出される洗浄ノズルと前記印字ヘッドを挿入できる挿入口とを有するヘッド洗浄ユニットを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置であって、
前記本体と前記ヘッド洗浄ユニットは別体として設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド洗浄ユニットは、前記本体と導管で接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記洗浄液容器は、前記洗浄ノズルと洗浄経路で接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド洗浄ユニットは、洗浄に使用した前記洗浄液が収容される廃液容器を接続可能にする容器接続部を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド洗浄ユニットは、前記挿入口に前記印字ヘッドが挿入されたかどうかを検出するヘッド検出手段が設置されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載のインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド洗浄ユニットは、前記廃液容器が前記容器接続部に接続されたかどうかを検出する容器検出手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記挿入口は、前記ヘッド洗浄ユニット内部の雰囲気と外気を遮断するシール部を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド洗浄ユニットは、空気が吐出されるエアノズルを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と洗浄液が収容された洗浄液容器を有する本体と、前記インク容器に接続され加圧供給されたインクが吐出されるノズルと印字に使用されるインク粒子を帯電させる帯電電極と前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向させる偏向電極と印字に使用されないインク粒子を回収するガターを有する印字ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、
空気が吐出されるエアノズルと前記印字ヘッドを挿入できる挿入口とを有する外部ユニットを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェット記録装置であって、
前記本体と前記外部ユニットは別体として設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載のインクジェット記録装置であって、
前記外部ユニットは、前記本体と導管で接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
請求項9~12の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記エアノズルは、空気を送るためのエアポンプと接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項14】
請求項9~12の何れか1項に記載のインクジェット記録装置であって、
前記エアノズルは、空気を送るための外部空気圧縮機と接続可能である経路に接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項15】
請求項3または12に記載のインクジェット記録装置であって、
前記本体は、前記印字ヘッドとヘッド導管で接続されており、
前記導管は、前記ヘッド導管よりも長いことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項16】
請求項5に記載のインクジェット記録装置であって、
前記廃液容器は、内部の廃液を外部に排出できる配管を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置のヘッド洗浄機能に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2015-136934号公報(特許文献1)がある。特許文献1においては、インクジェット記録装置のヘッド洗浄方法として、ヘッド内部の洗浄ノズルから洗浄液をノズル吐出口に向けて噴出し洗浄を行う。そして、乾燥工程を行うことによりノズル詰まりの発生原因を除去する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、ヘッド内部の洗浄ノズルから洗浄液をノズル吐出口に向けて噴出した際、ヘッド外部に洗浄液が流出する可能性がある。
【0005】
インクジェット記録装置は、食品、飲料水、薬品、化粧品など衛生面での管理が重要な生産ラインで使用されることが多い。そのため、インクジェット記録装置の内部や周辺の設備、床などに洗浄液やインクが流出しないことが求められている。
【0006】
そこで、本発明の目的はインクジェット記録装置周辺に洗浄液が流出することを回避し、洗浄に使用した後の洗浄液を密閉性の高い容器内に格納する印字ヘッド洗浄機能を有するインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑み、その一例を挙げるならば、印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と洗浄液が収容された洗浄液容器を有する本体と、前記インク容器に接続され加圧供給されたインクが吐出されるノズルと印字に使用されるインク粒子を帯電させる帯電電極と前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向させる偏向電極と印字に使用されないインク粒子を回収するガターを有する印字ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、洗浄液が吐出される洗浄ノズルと印字ヘッドを挿入できる挿入口とを有するヘッド洗浄ユニットを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インクジェット記録装置周辺に洗浄液が流出することを回避し、ノズル詰まりの原因を除去できる印字ヘッド用のヘッド洗浄ユニットを備えたインクジェット記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1におけるインクジェット記録装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】実施例1におけるインクジェット記録装置の経路構成を示す図である。
【
図3】実施例1におけるヘッド洗浄ユニットの断面図である。
【
図4】実施例1における印字ヘッドが挿入されたヘッド洗浄ユニットの断面図である。
【
図5A】実施例1におけるヘッド洗浄ユニットと廃液容器の接続状態を示す断面図である。
【
図5B】実施例1におけるヘッド洗浄ユニットから廃液容器が外された状態を示す断面図である。
【
図6】実施例1におけるヘッド洗浄ユニットの動作のフローチャート図である。
【
図7】インクジェット記録装置の動作原理を示す斜視図である。
【
図8】実施例2におけるヘッド洗浄ユニットの断面図である。
【
図9】実施例3におけるヘッド洗浄ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例0011】
図1は、本実施例におけるインクジェット記録装置400の使用状態を示す斜視図である。
図1において、1はインクジェット記録装置本体、2は印字ヘッド、3は操作表示部、4は導管(印字ヘッド)、5は導管(ヘッド洗浄ユニット)、300はヘッド洗浄ユニット(外部ユニット)である。インクジェット記録装置400は、インクジェット記録装置本体1に操作表示部3を備え、外部に印字ヘッド2とヘッド洗浄ユニット300を備え、インクジェット記録装置本体1と印字ヘッド2はおよそ3000mmの導管4にて接続されており、インクジェット記録装置本体1とヘッド洗浄ユニット300はおよそ3500mmの導管5にて接続されている。
【0012】
また、13は数字や文字を印字される印字対象物、15は印字対象物13を搬送するベルトコンベア、16はベルトコンベア15の搬送距離を計測するロータリエンコーダ、17は印字センサ、18は印字ヘッドを任意の姿勢で固定するスタンド、19は印字ヘッド2をスタンド18に固定するための固定用冶具である。
【0013】
インクジェット記録装置400は、例えば、食品や飲料などが生産される工場内の生産ラインに据え付けられ、インクジェット記録装置本体1は使用者が操作できる位置に設置され、印字ヘッド2はベルトコンベア15などの生産ライン上を給送される印字対象物13に近接できる位置に設置される。このとき印字ヘッド2に固定用冶具19を取り付けスタンド18に固定してもよい。ベルトコンベア15などの生産ライン上には給送速度に係わらず同じ幅で印字するために、給送速度に応じた信号をインクジェット記録装置400に出力するエンコーダ16や、印字対象物13を検出してインクジェット記録装置400に印字を指示する信号を出力する印字センサ17が設置されていて、それぞれはインクジェット記録装置本体1内の図示しない制御部に接続されている。エンコーダ16や印字センサ17からの信号に応じて制御部がノズルから吐出されるインク粒子への帯電量や帯電タイミングを制御し、印字対象物13が印字ヘッド2近傍を通過する間に帯電、偏向されたインク粒子を印字対象物13へ付着させて印字を行うようになっている。
【0014】
ヘッド洗浄ユニット300は、印字ヘッド2の近くに設置される。このとき、ヘッド洗浄ユニット300の設置の自由度を持たせるために導管5は導管4よりも長くなっている。印字ヘッドを洗浄及び乾燥させる際に印字ヘッド2をヘッド洗浄ユニット300に設置する。すると、導管5を通りインクジェット記録装置本体1からヘッド洗浄ユニット300に送られた空気及び溶剤(以降、洗浄液とも言う)がヘッド洗浄ユニット内のノズルから吐出し、印字ヘッド2を洗浄及び乾燥するようになっている。
【0015】
次に、インクジェット記録装置の動作原理について
図7を用いて説明する。
図7において、20は主インク容器、7Aはインク、24はインクを加圧し、送り出すポンプ(供給用)、9は電圧を印加すると所定の周波数で振動する電歪素子、8はインクを吐出するノズル、7Bはインク柱である。10はインク粒子に帯電させる帯電電極、7Cはインク粒子で、11はグランド偏向電極、12はプラス偏向電極、13は印字される印字対象物、14は印字しないインク粒子を回収するガターである。
【0016】
主インク容器20内のインク7Aはポンプ(供給用)24に吸引、加圧されてインク柱7Bとなってノズル8から吐出される。ノズル8には、電歪素子9が備えられており、インクに所定の周波数で振動を加えてノズル8から吐出されるインク柱7Bを粒子化するようになっている。これにより生成されるインク粒子7Cの数は,電歪素子9に印加する励振電圧の周波数により決定され、その周波数と同数となる。インク粒子7Cは、印字情報に対応した大きさの電圧を帯電電極10にて印加することで電荷を与えられるようになっている。
【0017】
帯電電極10で帯電させられたインク粒子7Cは、グランド偏向電極11とプラス偏向電極12間の電界中を飛翔する。偏向電界は、1~7kVの高電圧が印加されたプラス偏向電極12と設置されたグランド偏向電極11との間に形成されており、帯電したインク粒子7Cは、その帯電量に比例した力を受けて偏向し、印字対象物13へ向かって飛翔して着弾する。
【0018】
その際、インク粒子7Cは帯電量に応じて偏向方向の着弾位置は変化し、さらに偏向方向と直交する方向に生産ラインが印字対象物13を移動させることで、偏向方向と直交した方向にも粒子を着弾させることが可能となり、複数の着弾インク粒子7Dによって文字を構成し印字を行う。印字に使用されなかったインク粒子7Cはプラス偏向電極12間を直線的に飛翔して、ガター14により捕捉された後に、ポンプ(回収用)25で吸引されて主インク容器20に回収される。
【0019】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置400のインク供給経路について説明する。
図2は、本実施例におけるインクジェット記録装置の経路構成を示す図である。
図2において、インクジェット記録装置本体1には、循環するインク7Aを保持する主インク容器20が備えられており、主インク容器20には、主インク容器20内の液体が内部に保持されるのに適正な量である基準液面レベルに達しているか否かを検知する液面センサ46が備えられている。
【0020】
主インク容器20は、主インク容器20内のインク7Aの粘度を把握するために、経路201を介して粘度測定器43に接続されている。粘度測定器43は経路202を介して経路の開閉を行う電磁弁(供給用)34に接続されており、電磁弁(供給用)34は経路203を介してインク7Aを吸引、圧送するために使用されるポンプ(供給用)24に接続されている。そして、ポンプ(供給用)24は経路204を介してインク7A中に混入している異物を除去するフィルタ(供給用)28に接続されている。
【0021】
フィルタ(供給用)28は、経路205を介してポンプ(供給用)24から圧送されたインク7Aを印字するために適正な圧力に調整する調圧弁33に接続されており、調圧弁33は経路206を介してノズル8に供給されるインク7Aの圧力を測定する圧力センサ31が備えられている。圧力センサ31は、導管4内を通る経路207を介してノズル8にインク7Aを供給するかどうかを制御するための切替弁42に接続されている。
【0022】
切替弁42は、経路209を介して、インク7Aを吐出する吐出口を備えたノズル8に接続されている。なお、切替弁42は三方型電磁弁であり、切替弁42にはインク供給用の経路207と洗浄用の経路237が接続されており、ノズル8にインクと溶剤の供給を切り替えることができる。ノズル8の吐出口の直進方向には、インク粒子7Cに所定の電荷量を付加するための帯電電極10、印字に使用するインク粒子7Cを偏向させるための偏向電極12、及び、印字に使用されないために帯電、偏向されずに直進的に飛翔するインク粒子7Cを捕捉するためのガター14が配置されている。
【0023】
次に、インク回収経路について説明する。
図2において、ガター14は、導管4内を通る経路212を介してインクジェット記録装置本体1内に配置されているインク中に混入している異物を除去するフィルタ(回収用)30と接続されており、フィルタ(回収用)29は、経路213を介して経路の開閉を行う電磁弁(回収用)35に接続されている。
【0024】
電磁弁(回収用)35は経路214を介してガター14により捕捉されたインク粒子7Cを吸引するポンプ(回収用)25と接続されている。ポンプ(回収用)25は、経路215及び経路216を介して主インク容器20と接続されている。また、主インク容器20は、排気経路217と接続されていて、排気経路217はインクジェット記録装置本体1の外部と連通した構成をとっている。
【0025】
次に、インク補給経路について説明する。
図2において、インクジェット記録装置本体1には、補充用のインクを保持する補助インク容器21が備えられており、補助インク容器21は、経路221を介して経路の開閉を行う電磁弁36に接続されている。そして、電磁弁36は経路222を介して、インク供給経路203と接続された合流経路223に接続されている。
【0026】
次に、インク循環経路について説明する。
図2において、印字ヘッド2内に備えられたノズル8には、インク供給用の経路207の他に導管4内を通る経路225を介してインクジェット記録装置本体1内に備えられ、流路の開閉を行う電磁弁37に接続されている。電磁弁37は、経路226を介してノズル8からのインクの吸引を行うポンプ(循環用)26に接続されている。そして、ポンプ(循環用)26は経路227を介して、インク回収経路215に接続された合流経路228に接続された構成となっている。
【0027】
次に、溶剤補給経路について説明する。
図2において、インクジェット記録装置本体1には、溶剤補給用の溶剤6を保持する溶剤容器22が備えられており、溶剤容器22は、経路231を介して溶剤6を吸引、圧送するために使用されるポンプ(溶剤用)27に接続されている。ポンプ(溶剤用)27は、経路232及び分岐経路235を介して流路の開閉を行うために電磁弁(溶剤補給用)38に接続されており、電磁弁(溶剤補給用)38は、経路233を介して主インク容器20と接続されている。
【0028】
次に、洗浄経路について説明する。
図2において、ポンプ(溶剤用)27は、経路232にある分岐経路235及び経路236を介して、流路の開閉を行うための電磁弁(洗浄用)39に接続されている。そして、電磁弁(洗浄用)39は、経路237を介してノズル8に洗浄のための溶剤を送るかどうかを制御するための切替弁42に接続された構成となっている。
【0029】
次に、ヘッド洗浄ユニット経路について説明する。
図2において、経路236は分岐経路238及び経路239を介して流路の開閉を行うために電磁弁(ヘッド洗浄ユニット用)40に接続されており、電磁弁(ヘッド洗浄ユニット用)40は経路240を介してインクジェット記録装置本体1内に配置されている溶剤中に混入している異物を除去するフィルタ(ヘッド洗浄ユニット用)30と接続されている。フィルタ(ヘッド洗浄ユニット用)30は経路241を介して洗浄ノズル242に接続されており、洗浄ノズル242は溶剤6を吐出する洗浄ノズル口242A及び242Bを備えた構成となっている。また、この洗浄ノズル口の数は単数の場合や多数の場合もある。
【0030】
次に、乾燥経路について説明する。
図2において、経路243は空気を供給する外部に備え付けられた空気圧縮機に接続されている。または、インクジェット記録装置本体1内部に備えられた空気を供給するポンプに接続されている。経路243は経路の開閉を行うための電磁弁(空気供給用)41に接続されており、電磁弁(空気供給用)41は経路244を介して乾燥ノズル(エアノズル)245に接続されている。乾燥ノズル245は空気を吐出する乾燥ノズル口245Aを備えている。また、この乾燥ノズル口の数は単数の場合や多数の場合もある。
【0031】
次に、廃液経路について説明する。
図2において、洗浄ノズル口242A~Bから吐出した溶剤6は容器接続部51を介し、ヘッド洗浄ユニット300内の廃液容器23に供給される。
【0032】
次に、ヘッド洗浄ユニット300の排気経路について説明する。
図2において、ヘッド洗浄ユニット内部59と連通した構成の経路246は導管5を通りインクジェット記録装置400のインクジェット記録装置本体1内にある合流経路247を介して排気経路217と接続されている。
【0033】
図3は、本実施例におけるヘッド洗浄ユニット300の断面図を示す。また、
図4は、本実施例における印字ヘッド2が挿入されたヘッド洗浄ユニット300の断面図を示し、
図5は、ヘッド洗浄ユニット300に備えられたヘッド洗浄ユニット本体50と廃液容器23の断面図である。
【0034】
図3~
図5A、5Bにおいて、50はヘッド洗浄ユニット本体、23は廃液容器、51は容器接続部、52は挿入口、53はヘッド洗浄ユニット蓋部、54はシール部、55は溶剤受け、56は接続経路、57はセンサ(印字ヘッド用)、58はセンサ(廃液容器用)、60は封止栓である。
【0035】
まず、ヘッド洗浄ユニット300の使用状態について
図3~
図5A、5Bを用いて説明する。
図3において、ヘッド洗浄ユニット300は、印字ヘッド2が挿入できる挿入口52を備えており、挿入口52は印字ヘッド2が挿入されていない場合にヘッド洗浄ユニット内部59の雰囲気と外気が混ざらないようにヘッド洗浄ユニット蓋部53によって遮断される構造になっている。すなわち、ヘッド洗浄ユニット蓋部53は、ねじりコイルバネ61のような付勢部材で挿入口52を塞ぐように付勢されている。また、溶剤受け55はヘッド洗浄ユニット内部59に供給された溶剤6が容器接続部51を通る接続経路56に供給されるような構造になっており、容器接続部51は、接続経路56に供給された溶剤6が外部に漏れることなくヘッド洗浄ユニット300内の廃液容器23に供給されるように廃液容器23と着脱可能な状態で接続されている。また、ヘッド洗浄ユニット300は、ヘッド洗浄ユニット300に印字ヘッド2が取り付けられたかどうかを検知できるヘッド検出手段であるセンサ(印字ヘッド用)57を備え、ヘッド洗浄ユニット300に廃液容器23が取り付けられたかどうかを検知できる容器検出手段であるセンサ(廃液容器用)58を備えている。なお、センサ57、58の位置は、図示した位置に限定されるものではなく、印字ヘッド2または廃液容器23が検知できる位置に配置すればよい。例えば、センサ(廃液容器用)58は、接続経路56の位置に配置してもよい。また、印字ヘッド2及び廃液容器23に備えられたセンサを使用してもよい。
【0036】
図4において、印字ヘッド2が挿入されたヘッド洗浄ユニット300は、シール部54と印字ヘッド2が密着し、接続経路56以外から洗浄液が流出することを回避し、ヘッド洗浄ユニット内部の雰囲気が外気と混ざらないようになっている。また、ヘッド洗浄ユニット蓋部53は、印字ヘッド2を挿入口52から外した際に、ヘッド洗浄ユニット内部59の雰囲気と外気が混ざらないように再び挿入口52を遮断するように付勢部材で付勢する構造になっている。また、洗浄ノズル口242A及び242Bは、印字ヘッド2に備えられたノズル8、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12、ガター14に溶剤6を接触させられるような位置や向きで備えられている。さらに、乾燥ノズル口245Aは、乾燥ノズル245から供給される空気によって、印字ヘッド2に備えられたノズル8、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12、ガター14に付着した溶剤6を乾燥できるような位置や向きで備えられている。
【0037】
ヘッド洗浄ユニット300は、導管(ヘッド洗浄ユニット)5を通った溶剤6を洗浄ノズル口242A及び242Bからヘッド洗浄ユニット内部59に供給でき、印字ヘッド2を洗浄することができる。洗浄に使用した溶剤6は溶剤受け55から接続経路56を通り廃液容器23に供給される。このとき、洗浄ノズル口242A及び242Bから吐出された溶剤6をインクジェット記録装置本体1の循環経路を使い印字ヘッド2内部のノズル8から吸引してもよい。また、ヘッド洗浄ユニット300は導管(ヘッド洗浄ユニット)5を通った空気を乾燥ノズル口245Aからヘッド洗浄ユニット内部59に供給でき、印字ヘッド2を乾燥することができる。
【0038】
図5Aは、ヘッド洗浄ユニット本体50の容器接続部51と廃液容器23が接続状態にあるヘッド洗浄ユニット300の断面図を示し、
図5Bは、容器接続部51から廃液容器23が外された状態にあるヘッド洗浄ユニット300の断面図を示す。
図5Bにおいて、廃液容器23が溶剤6を備えていた場合、廃液容器23は、廃液容器23に着脱可能な封止栓60を備えることによって、外気と廃液容器23内部の雰囲気を遮断することができ、廃液容器23から外部に溶剤6が流出することを回避できる。
【0039】
本実施例におけるヘッド洗浄ユニットの動作フローを
図6に示す。
図6において、まずステップ101において、インクジェット記録装置400に備えられた操作表示部3からヘッド洗浄ユニット300の機能の開始を指示した状態を示し、自動洗浄を開始する。
【0040】
次にステップ102は、ヘッド洗浄ユニット300に備えられたセンサ(廃液容器用)及び廃液容器23に備えられたセンサによって廃液容器23がヘッド洗浄ユニット300に備えられた容器接続部51と接続されているかどうかを判断する。廃液容器23が容器接続部51と接続されていない場合はステップ109に進み、廃液容器23が容器接続部51と接続されていた場合はステップ103に進む。
【0041】
次にステップ103は、ヘッド洗浄ユニット300に備えられたセンサ(印字ヘッド用)及び印字ヘッド2に備えられたセンサによって印字ヘッド2がヘッド洗浄ユニット300に備えられた挿入口52に挿入されているかどうかを判断する。印字ヘッド2が挿入口52に挿入されていない場合はステップ109に進み、印字ヘッド2が挿入口52に挿入されていた場合はステップ104に進む。
【0042】
ステップ104は、インクジェット記録装置400内の溶剤6や経路を使い、電磁弁、ポンプを動作させ洗浄ノズル242から溶剤6を吐出させ、印字ヘッド2を洗浄し、洗浄に使用された溶剤6は廃液容器23に供給する洗浄シーケンスを実行する。
【0043】
次にステップ105は、インクジェット記録装置400内の電磁弁、ポンプを動作させ乾燥ノズル245から空気を吐出させ、印字ヘッド2を乾燥する乾燥シーケンスを実行する。
【0044】
次にステップ106は、インクジェット記録装置400内の電磁弁、ポンプの動作を停止させ、自動洗浄の停止処理を行う。
【0045】
ステップ107は、ステップ104~106のステップが正常に行われたことを作業者に示す終了メッセージ表示処理である。
【0046】
最後にステップ108は、ヘッド洗浄ユニット300の機能を正常に終了できた状態を示し、自動洗浄を終了する。
【0047】
ステップ109はステップ102及びステップ103においてヘッド洗浄ユニット300の機能を正常に使用できる状態でないと判断された状態を示し、自動洗浄の中断処理を行なう。
【0048】
ステップ110はステップ109の状態にあることを作業者に示す処理であり、例えば、「印字ヘッドが洗浄ユニットにセットされていません。」または「廃液容器がセットされていません。」などのメッセージを出力する。ステップ111はステップ109~110の処理をし、停止した状態を示す。
【0049】
なお、ステップ104及びステップ105において、電磁弁、ポンプの動作が異なる種類のシーケンスを作業者が選択できるようにしてもよい。
【0050】
以上のように、本実施例は、インクジェット記録装置の印字ヘッドを挿入できる挿入口を有するヘッド洗浄ユニットと、インクジェット記録装置の洗浄液容器からヘッド洗浄ユニットに洗浄液を供給する経路と、ヘッド洗浄ユニットの内側に洗浄液を供給するノズルと、装置周辺に洗浄液が流出することなく洗浄液を回収する容器を備える。
【0051】
これにより、インクジェット記録装置400に備えられたヘッド洗浄ユニット300に印字ヘッド2を挿入し、内部で溶剤によって洗浄し、乾燥させることによって、ノズル詰まりの発生原因を除去することができる。また、シール部54及び封止栓60によって装置周辺に溶剤が流出することを回避できる。さらに、封止栓60によって内部が外気と遮断された廃液容器23はヘッド洗浄ユニット300から取り外し可能で別の場所に移動できるため、作業者は作業者の設備に合わせた廃液処理手順をすることができる。
【0052】
なお、以上の説明では、ヘッド洗浄ユニット300はヘッド洗浄ユニット本体50と廃液容器23を備えているとして説明したが、廃液容器23はヘッド洗浄ユニット300と別体としてヘッド洗浄ユニット300の外付けとしてもよい。また、ヘッド洗浄ユニット300は、インクジェット記録装置400やその他の設備に取り付けられるアダプタを備えていてもよい。
【0053】
また、以上の説明では、ヘッド洗浄ユニット300は洗浄ノズルと乾燥ノズルを有しているとして説明したが、洗浄ノズル用と乾燥ノズル用の別々のユニットとしてもよい。
ヘッド洗浄ユニット300は、経路71及び72を介して廃液タンク74と接続された廃液容器23を容器接続部51と取り外し可能な状態で備えている。言い換えれば、廃液容器23は、内部の廃液を外部に排出できる配管を備えている。経路71は廃液容器23と、経路72は廃液タンク74とそれぞれ取り外し可能な状態で接続されている。
ヘッド洗浄ユニット300は、廃液容器23内の溶剤6を、経路開閉コック73を開けることによって自由落下運動で経路71及び経路72を介し廃液タンク74に供給できる。
このように、本実施例によれば、インクジェット記録装置400に備えられたヘッド洗浄ユニット300は廃液容器23を容器接続部51から取り外すことなく廃液容器23内の溶剤6を廃棄することができる。また、経路71は廃液容器23と取り外しが可能なため、実施例1で述べたように容器接続部51から廃液容器23を外し、廃棄処理を行うこともできる。そのため、作業者は作業者の設備に合わせた廃液処理手順をすることができる。