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特開2023-184728通信装置、通信装置の通信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184728
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の通信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20231221BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20231221BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20231221BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W84/12
H04W16/28 130
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191716
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2019036403の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 光彬
(57)【要約】
【課題】1以上の無線LAN端末に合計で8より大きい空間ストリーム数の割り当てを通知する。
【解決手段】通信装置は、プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを送信する。プリアンブルは、L-STFと、L-STFの直後に配置されるL-LTFと、L-LTFの直後に配置されるL-SIGと、L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、を含み、第2の信号フィールドは、通信装置と通信する2以上の他の通信装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、サブフィールドは6ビット以上で構成され、空間ストリーム数の合計値は8より大きい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを送信する送信手段を有する通信装置であって、
前記プリアンブルは、
Legacy Short Training Field(L-STF)と、
前記フレームにおいて前記L-STFの直後に配置されるLegacy Long Training Field(L-LTF)と、
前記フレームにおいて前記L-LTFの直後に配置されるLegacy Signal Field(L-SIG)と、
前記フレームにおいて前記L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、
前記フレームにおいて前記Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、
を含み、
前記第2の信号フィールドは、前記通信装置と通信する2以上の他の通信装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、前記サブフィールドは6ビット以上で構成され、前記空間ストリーム数の合計値は8より大きい、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記サブフィールドは連続したビットで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記2以上の他の通信装置とMulti-User Multi-Input Milti-Output(MU-MIMO)の通信を行う場合に、前記サブフィールドを含む前記フレームを送信する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記サブフィールドは、User fieldに含まれる6ビットのSpatial Configurationサブフィールドである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記他の通信装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数の最大値は4である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記サブフィールドに001001の値が設定された場合には、前記PHYフレームにより、少なくとも、第1の他の通信装置に対して4つの空間ストリームを用いてデータが送信され、第2の他の通信装置に対して4つの空間ストリームを用いてデータが送信され、第3の他の通信装置に対して1つの空間ストリームを用いてデータが送信される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記サブフィールドは、User fieldに含まれる8ビットのSpatial Configurationサブフィールドである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを受信する受信手段を有する通信装置であって、
前記プリアンブルは、
Legacy Short Training Field(L-STF)と、
前記フレームにおいて前記L-STFの直後に配置されるLegacy Long Training Field(L-LTF)と、
前記フレームにおいて前記L-LTFの直後に配置されるLegacy Signal Field(L-SIG)と、
前記フレームにおいて前記L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、
前記フレームにおいて前記Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、
を含み、
前記第2の信号フィールドは、他の装置と通信する前記通信装置を含む2以上の装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、前記サブフィールドは6ビット以上で構成され、前記空間ストリーム数の合計値は8より大きい、ことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
前記受信手段によって受信したフレームを解析することによって得た前記空間ストリーム数を示す情報に少なくとも基づいて、前記通信装置に割り当てられた空間ストリーム数を特定する特定手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記サブフィールドは連続したビットで構成されることを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項11】
前記PHYフレームは、前記他の装置が前記2以上の装置とMulti-User Multi-Input Milti-Output(MU-MIMO)の通信を行う場合に、前記サブフィールドを含む、ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
通信装置によって実行される通信方法であって、
プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを送信する送信工程を含み、
前記プリアンブルは、
Legacy Short Training Field(L-STF)と、
前記フレームにおいて前記L-STFの直後に配置されるLegacy Long Training Field(L-LTF)と、
前記フレームにおいて前記L-LTFの直後に配置されるLegacy Signal Field(L-SIG)と、
前記フレームにおいて前記L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、
前記フレームにおいて前記Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、
を含み、
前記第2の信号フィールドは、前記通信装置と通信する2以上の他の通信装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、前記サブフィールドは6ビット以上で構成され、前記空間ストリーム数の合計値は8より大きい、ことを特徴とする通信方法。
【請求項13】
通信装置によって実行される通信方法であって、
プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを受信する受信工程を含み、
前記プリアンブルは、
Legacy Short Training Field(L-STF)と、
前記フレームにおいて前記L-STFの直後に配置されるLegacy Long Training Field(L-LTF)と、
前記フレームにおいて前記L-LTFの直後に配置されるLegacy Signal Field(L-SIG)と、
前記フレームにおいて前記L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、
前記フレームにおいて前記第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、
前記フレームにおいて前記Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、
を含み、
前記第2の信号フィールドは、他の装置と通信する前記通信装置を含む2以上の装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、前記サブフィールドは6ビット以上で構成され、前記空間ストリーム数の合計値は8より大きい、ことを特徴とする通信方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか1項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANにおける通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発展とともにインターネット使用量が年々増加しており、需要の増加に応えるべく様々な通信技術の開発が進められている。中でも無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)技術は、無線LAN端末によるパケットデータ、音声、ビデオなどのインターネット通信におけるスループット向上を実現しており、現在も様々な技術開発が盛んに行われている。
【0003】
無線LAN技術の発展において、無線LAN技術の標準化機構であるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802による数多くの標準化作業が重要な役割を果たしている。無線LAN通信規格の一つとして、IEEE802.11規格が知られており、IEEE802.11n/a/b/g/acまたはIEEE802.11axなどの規格がある。例えば、IEEE802.11axではOFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access)により最大9.6ギガビット毎秒(Gbps)という高いピークスループットに加え、混雑状況下での通信速度向上を実現している(特許文献1)。
【0004】
近年、更なるスループット向上のために、IEEE802.11axの後継規格として、IEEE802.11 EHT(Extremely High Throughput)と呼ばれるStudy Groupが発足した。IEEE802.11 EHTが目指すスループット向上の方策の1つとして、MIMO(Multi-Input Milti-Output)方式の空間ストリーム数増加が挙げられる。MIMOとは、アクセスポイント(AP)と、無線LAN端末であるステーション(STA)とから構成される無線通信ネットワークにおいて、複数のアンテナを用いて複数の空間ストリームを形成して通信することにより、チャンネルリソースの利用効率を向上させる手法である。STAが単一の場合はSU-MIMO(Single-User MIMO)、複数の場合はMU-MIMO(Multi-User MIMO)と呼ばれる。MIMOは近年の次世代通信システムの技術として普及しており、IEEE802.11規格にも採用されている。例えばIEEE802.11axにおいては、最大8の空間ストリーム(Spatial Stream(SS))に対応している。IEEE802.11 EHTでは、最大空間ストリーム数を16に増加させることが検討されている。空間ストリーム数を増加することにより、さらに空間利用効率が向上し、スループット向上を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-50133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、IEEE802.11 EHTでは、最大空間ストリーム数を16とすることが想定される。しかしながら、これまでの無線LANに対する規格において、1以上のSTA(無線LAN端末)に割り当てる空間ストリーム数の合計が8より大きくなる場合に、当該空間ストリーム数の割り当てに関する情報を各STAに通知する仕組みが定義されていなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、1以上の無線LAN端末に合計で8より大きい空間ストリーム数の割り当てを通知するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による通信装置は、プリアンブルとデータフィールドとを有する物理(PHY)フレームを送信する送信手段を有する通信装置であって、前記プリアンブルは、Legacy Short Training Field(L-STF)と、前記フレームにおいて前記L-STFの直後に配置されるLegacy Long Training Field(L-LTF)と、前記フレームにおいて前記L-LTFの直後に配置されるLegacy Signal Field(L-SIG)と、前記フレームにおいて前記L-SIGの後に配置される第1の信号フィールドと、前記フレームにおいて前記第1の信号フィールドの直後に配置される第2の信号フィールドと、前記フレームにおいて前記第2の信号フィールドの直後に配置されるShort Training Fieldと、前記フレームにおいて前記Short Training Fieldの直後に配置されるLong Training Fieldと、を含み、前記第2の信号フィールドは、前記通信装置と通信する2以上の他の通信装置のそれぞれに割り当てられる空間ストリーム数を示すサブフィールドを含み、前記サブフィールドは6ビット以上で構成され、前記空間ストリーム数の合計値は8より大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1以上の無線LAN端末に合計で8より大きい空間ストリーム数の割り当てを通知するための仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ネットワーク構成例を示す図。
図2】APの機能構成例を示す図。
図3】APのハードウェア構成例を示す図。
図4】APにより実行される処理を示すフローチャート。
図5】無線通信ネットワークにおいて実行される処理を示すシーケンスチャート。
図6】実施形態において用いられるPPDUのPHYフレーム構造の例を示す図。
図7】EHT-SIG-Bフィールド内部の構成を示す図
図8】Spatial Configurationサブフィールドと各STAの空間ストリーム数の対応の例を示す図。
図9】Spatial Configurationサブフィールドと各STAの空間ストリーム数の対応の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<実施形態1>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態における無線通信ネットワークの構成例を示す。本無線通信ネットワークは、IEEE802.11 EHT(Extremely High Throughput)規格に準拠する機器(EHT機器)として、1つのアクセスポイント(AP102)と、3つのSTA(STA103、STA104、STA105)を含んで構成される。なお、EHTをExtremely High Throughputの略と解してもよい。AP102は、中継機能を有する点を除き、STA103~105と同様の機能を有するため、STAの一形態といえる。AP102が送信する信号が到達する範囲を示した円101の内部にあるSTAがAP102と通信可能である。AP102は、IEEE802.11 EHT規格の無線通信方式に従って、各STA103~105と通信する。AP102は、各STA103~105とIEEE802.11シリーズの規格に準拠した、アソシエーションプロセス等の接続処理を介して無線リンクを確立することができる。
【0013】
なお、図1に示す無線通信ネットワークの構成は説明のための例に過ぎず、例えば、更に広範な領域に多数のEHT機器およびレガシー機器(IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に従う通信装置)を含むネットワークが構成されてもよい。また、図1に示した各通信装置の配置に限定されず、様々な通信装置の位置関係に対しても、以下の議論を適用可能である。
【0014】
(APの構成)
図2は、AP102の機能構成を示すブロック図である。AP102は、その機能構成の一例として、無線LAN制御部201、フレーム生成部202、信号解析部203、およびUI(ユーザインタフェース)制御部204を有する。
【0015】
無線LAN制御部201は、他の無線LAN装置との間で無線信号(無線フレーム)の送受信を行うための1本以上のアンテナ205並びに回路、及びそれらを制御するプログラムを含んで構成され得る。無線LAN制御部201は、IEEE802.11シリーズの規格に従って、フレーム生成部202により生成されたフレームを元に無線LANの通信制御を実行する。
【0016】
フレーム生成部202は、無線LAN制御部201により受信された信号に対して、信号解析部203が行った解析の結果に基づいて、無線LAN制御部201で送信するべきフレームを生成する。フレーム生成部202は、信号解析部203による解析結果に基づかずに、フレームを作成してもよい。信号解析部203は、無線LAN制御部201により受信された信号に対する解析を行う。UI制御部204は、AP102の不図示のユーザによる入力部304(図3)に対する操作を受け付け、当該操作に対応する制御信号を、各構成要素に伝達するための制御や、出力部305(図3)に対する出力(表示等も含む)制御を行う。
【0017】
図3に、本実施形態におけるAP102のハードウェア構成を示す。AP102は、そのハードウェア構成の一例として、記憶部301、制御部302、機能部303、入力部304、出力部305、通信部306、および1本以上のアンテナ205を有する。
【0018】
記憶部301は、ROM、RAMの両方、または、いずれか一方により構成され、後述する各種動作を行うためのプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。なお、記憶部301として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体が用いられてもよい。
【0019】
制御部302は、例えば、CPUやMPU等のプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等により構成される。ここで、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの頭字語である。制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムを実行することによりAP102全体を制御する。なお、制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムとOS(Operating System)との協働によりAP102全体を制御するようにしてもよい。
【0020】
また、制御部302は、機能部303を制御して、撮像や印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部303は、AP102が所定の処理を実行するためのハードウェアである。例えば、AP102がカメラである場合、機能部303は撮像部であり、撮像処理を行う。また、例えば、AP102がプリンタである場合、機能部303は印刷部であり、印刷処理を行う。また、例えば、AP102がプロジェクタである場合、機能部303は投影部であり、投影処理を行う。機能部303が処理するデータは、記憶部301に記憶されているデータであってもよいし、後述する通信部306を介してSTAもしくは他のAPと通信したデータであってもよい。
【0021】
入力部304は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部305は、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部305による出力とは、画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力等の少なくとも1つを含む。なお、タッチパネルのように入力部304と出力部305の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。
【0022】
通信部206は、IEEE 802.11 EHT規格に準拠した無線通信の制御や、Wi-Fiに準拠した無線通信の制御や、IP(Internet Protocol)通信の制御をおこなう。また、通信部306は1本以上のアンテナ205を制御して、無線通信のための無線信号の送受信を行う。AP102は通信部306を介して、画像データや文書データ、映像データ等のコンテンツを他の通信装置と通信する。
【0023】
(STAの構成)
STA103~105の機能構成およびハードウェア構成は、上記のAP102の機能構成(図2)およびハードウェア構成(図3)とそれぞれ同様な構成とする。すなわち、STA103~105はそれぞれ、機能構成として、無線LAN制御部201、フレーム生成部202、信号解析部203、およびUI制御部204を有し、ハードウェア構成として、記憶部301、制御部302、機能部303、入力部304、出力部305、通信部306、および1本以上のアンテナ205を有して構成され得る。
【0024】
(処理の流れ)
続いて、上述のように構成されたAP102により実行される処理の流れ、および図1に示した無線通信システムにより実行される処理のシーケンスについて図4図5を参照して説明する。図4は、AP102により実行される処理を示すフローチャートを示す。図4に示すフローチャートは、AP102の制御部302が記憶部301に記憶されている制御プログラムを実行し、情報の演算および加工並びに各ハードウェアの制御を実行することにより実現され得る。また、図5は、無線通信システムにおいて実行される処理のシーケンスチャートを示す。
【0025】
AP102は、STA103~105のそれぞれに対して、IEEE802.11シリーズの規格に従う接続処理を行う(S401、F501)。すなわち、AP102とSTA103~105のそれぞれとの間でProbe Request/Response(プローブ要求/応答)、Association Request/Reponse(アソシエーション要求/応答)、Auth(認証)などのフレームを送受信することにより、無線リンクが確立される。続いて、AP102はSTA103~105のそれぞれに対する空間ストリーム数を決定する。各STAに対する空間ストリーム数は、各STAから受信したチャネル状態情報(CSI(Channel State Information))といった、受信状況に関する情報に基づいて信号解析部203において決定され得る。また、各STAに対する空間ストリーム数は、無線通信システムにおいて予め決定されてもよいし、AP102の不図示のユーザによる入力部304に対する操作により決定されてもよい。次に、AP102は、送信する無線フレームに含める、S402、F502で決定された空間ストリームに関する情報および他のパラメータ(情報/値)を含む通信パラメータを決定する(S403、F503)。続いて、AP102は、決定した通信パラメータとデータを含む無線フレームの形式で、データをSTA103~105に送信する(S404、F504)。
【0026】
(フレームの構造)
次に、S404、F504で送信されるIEEE802.11EHT規格で定められたPPDUのPHY(物理)フレーム構造の例を図6に示す。なお、PPDUは、Physical Layer Protocol Data Unitの略である。図6に示すPPDUの先頭部には、IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に対して後方互換性のある、L(Legacy)-STF(Short Training Field)601、L-LTF(Long Training Field)602、L-SIG(Signal Field)603を有する。L-STF601は、PHYフレーム信号の検出、自動利得制御(AGC:automatic gain control)やタイミング検出などに用いられる。L-STF601の直後に配置されるL-LTF602は高精度周波数・時刻同期化や伝搬チャンネル情報(CSI)取得などに用いられる。L-LTF602の直後に配置されるL-SIG603は、データ送信率やPHYフレーム長の情報を含んだ制御情報を送信するために用いられる。IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に従うレガシー機器は、上記各種レガシーフィールド(L-STF601、L-LTF602、L-SIG603)のデータを復号化することが可能である。
【0027】
PPDUは更に、L-SIG603の後に、RL-SIG604、EHT-SIG-A605、EHT-SIG-B606、EHT-STF607、EHT-LTF608、データフィールド609、Packe extention610を有する。RL-SIG604はなくてもよい。EHT-SIG-A605はL-SIG603の後に配置され、EHT-SIG-B606はEHT-SIG-A605の直後に配置され、EHT-STF607はEHT-SIG-B606の直後に配置され、EHT-LTF608はEHT-STF607の直後に配置される。なお、L-STF601、L-LTF602、L-SIG603、RL-SIG604、EHT-SIG-A605、EHT-SIG-B606、EHT-STF607、EHT-LTF608までのフィールドをプリアンブルと呼ぶ。なお、図6は、IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に対して後方互換性のあるフレーム構造を示したが、後方互換性を確保する必要がない場合には、L-STFおよびL-LTGのフィールドは省略されてもよい。その代わりに、EHT-STFがEHT-LTFが挿入されてもよい。
【0028】
EHT-SIG-B606を構成するフィールドを図7に示す。EHT-SIG-B606は、Common field701とUser specific field702から構成される。User specific field702は帯域幅20MHzの各サブバンドに対応するUser Block field703、704、705が連結したものである。User Block fieldを構成するサブフィールドとその説明を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1において、User fieldのビット数は整数Nを用いてN×21ビットである。User Block fieldがUser specific fieldの中で最後のユーザブロックフィールドである場合、かつ1ユーザのみの情報を有している場合にN=1である。その他の場合はN=2である。
【0031】
表1のUser Block fieldのうち、User fieldは、複数のユーザ(STA)に対して、MU-MIMOで送信するとき、表2に示す形式を用いる。表2は、MU-MIMOで送信する場合のUser fieldのサブフィールドの説明を示す。Spacial Configurationは、6ビット確保され、各STAに割り当てられる空間ストリーム数(空間ストリームの配列)を示す。
【0032】
【表2】
【0033】
本実施形態ではMU-MIMOの最大空間ストリーム数を16、各STAの有する空間ストリーム数(アンテナ数)の上限を4とする。Spatial Configurationサブフィールドのビット列は、特定のSTA数において各STAに割り当てた空間ストリーム数のリストを示す。一例としてSTA数が6の場合における、Spatial Configurationサブフィールドのビット列と、各STAのストリーム数の対応図の例を図8に示す。
【0034】
図8では、説明のためにSpatial Configurationサブフィールド(6ビット)の各ビットをB5…B0と表わす。また、Nsiはi番目(i=STAに付されたID)のSTAのアンテナ数を示しi>jに対して常に「NsiはNsj以上」が成り立つように空間ストリームが割り当てられるものとする。なお、当該サブフィールドを含むフレームを受信した各STAは、図8に示す対応図および当該対応図におけるSTAのIDを把握していること等により、自STAに割り当てられた空間ストリーム数を当該フレームから検出することが可能とする。図8では、すべてのNsi(i=1、2、3、4、5、6)の合計値が16以下となる場合の空間ストリームの配列をすべて列挙している。例えば、Spatial Configurationサブフィールドが「000000」であるとき、6つのSTAの空間ストリーム数はすべて1である。Spatial Configurationサブフィールドが「011001」であるとき、6つのSTAのストリーム数はそれぞれ4、4、2、2、1、1である。空間ストリーム配列は、すべてで54通り存在するが、STA数が6未満の時は54通りより少ない。つまりSTA数に関わらず、空間ストリーム配列を、6ビットで全パターンを表現できる。詳細な対応図は省略するが、STA数が6以外の時も同様の対応図を作ることができる。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、EHT-SIG-Bにおいて各STAに割り当てる空間ストリーム数を示すサブフィールドを4ビット以上確保することにより、合計の空間ストリーム数が8より大きい場合であっても、割り当て空間ストリーム数を各STAに通知することができる。また、ユーザ(STA)数を6、MU-MIMOの最大空間ストリーム数を16、各STAの有する空間ストリーム数(アンテナ数)の上限を4とする場合における空間ストリーム配列の情報を、PPDUに含める仕組みが提供される。これにより、当該空間ストリーム配列の情報をAPと各STA間で通信することが可能となる。
【0036】
<実施形態2>
本実施形態では、ユーザ(STA)数を5、MU-MIMOの最大空間ストリーム数を16、各STAの有する空間ストリーム数(アンテナ数)の上限を8とする場合について説明する。以下、実施形態1と異なる点について説明する。
【0037】
表3は、MU-MIMOで送信する場合の、EHT-SIG-B606におけるUser fieldのサブフィールドの説明を示す。Spacial Configurationは、8ビット確保され、各STAに割り当てられる空間ストリーム数(空間ストリームの配列)を示す。
【0038】
【表3】
【0039】
本実施形態ではMU-MIMOの最大空間ストリーム数を16、各STAの有する空間ストリーム数(アンテナ数)の上限を4とする。Spatial Configurationサブフィールドのビット列は、特定のSTA数において各STAに割り当てた空間ストリーム数のリストを示す。STA数が8の場合における、Spatial Configurationサブフィールドのビット列と、各STAのストリーム数の対応図を図9に示す。
【0040】
図9では、説明のためにSpatial Configurationサブフィールド(8ビット)の各ビットをB7…B0と表わす。また、Nsiはi番目のSTAのアンテナ数を示しi>jに対して常に「NsiはNsj以上」が成り立つように空間ストリームが割り当てられるものとする。図9では、すべてのNsi(i=1、2、3、4、5)の合計値が16以下となる場合の空間ストリームの配列をすべて列挙している。例えば、Spatial Configurationサブフィールドが「00000000」であるとき、5つのSTAのストリーム数はすべて1である。Spatial Configurationサブフィールドが「00110110」であるとき、5つのSTAのストリーム数は3、3、3、1、1である。空間ストリーム配列は、すべてで136通り存在するが、STA数が5未満の時は136通りより少ない。つまりSTA数に関わらず、8ビットで全パターンを表現できる。詳細な対応図は省略するが、STA数が5以外の時も同様の対応図を作ることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ(STA)数を5、MU-MIMOの最大空間ストリーム数を16、各STAの有する空間ストリーム数(アンテナ数)の上限を8とする場合における空間ストリーム配列の情報を、PPDUに含める仕組みが提供される。これにより、当該空間ストリーム配列の情報をAPと各STA間で通信することが可能となる。
【0042】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0043】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0044】
102 AP(アクセスポイント)、103~105 STA(無線LAN端末)、201 無線LAN制御部、202 フレーム生成部、203 信号解析部、204 UI制御部、205 アンテナ
図1
図2
図3
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図6
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図8
図9