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特開2023-184749ブロックチェーンに登録されたデジタルアセットを分配する方法及び自律計算エージェント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184749
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ブロックチェーンに登録されたデジタルアセットを分配する方法及び自律計算エージェント
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20231221BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q20/06
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192030
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2022080896の分割
【原出願日】2017-10-24
(31)【優先権主張番号】1617951.7
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1617950.9
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】318001991
【氏名又は名称】エヌチェーン ライセンシング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ガヴィン
(57)【要約】
【課題】 本発明は、ブロックチェーンに基づく方法及びシステムに関する。
【解決手段】 本発明による方法は、トランザクションをブロックチェーンに提出するステップを含み、トランザクション(Tx)は、未使用アウトプット(UTXO)を使用するためにアンロックスクリプトのメタデータ内での通知アドレスの提供を要求するRedeemスクリプトを含む未使用アウトプット(UTXO)を含み、Redeemスクリプトは、どれだけ多くの通知アドレスがアンロックスクリプトにより提供されなければならないかを示す値を更に含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランザクションをブロックチェーンに提出するステップであって、前記トランザクション(Tx)は、未使用アウトプット(UTXO)を使用するためにアンロックスクリプトのメタデータ内での通知アドレスの提供を要求するRedeemスクリプトを含む前記未使用アウトプット(UTXO)を含む、ステップ、
を含み、前記Redeemスクリプトは、どれだけ多くの通知アドレスが前記アンロックスクリプトにより提供されなければならないかを示す値を更に含む、
方法。
【請求項2】
電子的通知を、前記アンロックスクリプト内のメタデータとして提供される前記通知アドレスへ送信するステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子的通知は、
未完了又は完了ブロックチェーントランザクション、及び/又は、
未完了ブロックチェーントランザクションの位置又は未完了ブロックチェーントランザクションにアクセスする手段に関連する情報、及び/又は、
未完了又は完了ブロックチェーントランザクションに関連する情報、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記通知アドレスは、前記ブロックチェーン上で表されるアセット若しくはリソース、又は前記ブロックチェーン上で表されるアセット若しくはリソースのコントローラに関連付けられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記トランザクション(Tx)又は更なるトランザクション(Tx)を識別するために前記ブロックチェーンをトラバースするステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記未使用アウトプット(UTXO)は、前記ブロックチェーン上で表されるか又は前記ブロックチェーンを介して参照されるトークン化アセットの所有権又は制御を転送するか、又はそれに関連する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記通知アドレスは、ネットワークアドレス、暗号鍵、URI(uniform resource locator)、電子メールアドレス、又はスクリプトのメタデータ内で表すことができ、かつ電子通信の宛先として使用することができる、任意の他のアドレス若しくは識別子である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記通知アドレスは、オフチェーン電子通信の宛先である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電子的通知は、自動計算リソース又はエージェントにより送信される、
請求項2に記載の方法。
【請求項10】
指定された又は所定のイベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答して、前記電子的通知を送信するステップと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法を実行するよう配置されて構成される、コンピュータ実装システム。
【請求項12】
当該システムは、
ブロックチェーンと、
少なくとも1つの自律計算エージェントであって、
前記ブロックチェーンをトラバースし、及び/又は、
電子的通知を生成し、かつ/又は通知アドレスに送信する、
よう構成される少なくとも1つの自律計算エージェントと、
を含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、分散型台帳及びブロックチェーン技術に関し、より詳細には、コンピュータにより実行される処理の自動制御のためのシステムを実装するための、ブロックチェーン技術の使用に関する。本発明の一実施形態は、ブロックチェーンを介する電子アセットの所有権又は制御を記録し及び制御するための、及び現在の所有権データに応答してブロックチェーントランザクションを生成し及び達成するための、ソリューションを提供する。本発明は、受信者への電子通信の送信を制御し及び有効にするための新規な且つ有利なソリューションも提供する。本発明は、受信者アドレス又は識別子の記憶を実現するためにブロックチェーン技術を利用して、プライバシ及び/又はセキュリティが拡張できるようにし、受信者がブロックチェーン上に格納された通知アドレスを指定し及び/又は変更できるようにする。本発明は、限定ではないが、ビットコインブロックチェーンと共に使用することに適する。
【発明の概要】
【0002】
本願明細書では、ブロックチェーン及びトランザクションチェーン技術、許可及び未許可台帳、共有台帳及びそれらの変形を含むがこれらに限定されない、電子的な、コンピュータに基づく分散型台帳の全ての形式を包含するために、用語「ブロックチェーン」を使用する。最も広く知られているブロックチェーン技術の用途はビットコイン台帳であるが、他のブロックチェーンの実装が提案され開発されている。ビットコインは便宜上及び説明を目的として本願明細書において言及されるが、本発明はビットコインのブロックチェーンと共に使用することに限定されず、代替のブロックチェーンの実装及びプロトコルが本発明の範囲に含まれることに留意すべきである。
【0003】
ブロックチェーンは、ブロックにより構成される、コンピュータに基づく非集中型の分散型システムとして実装される総意に基づく電子台帳である。また、ブロックはトランザクションにより構成される。各トランザクションは、少なくとも1つのインプット及び少なくとも1つのアウトプットを含む。各ブロックは前のブロックのハッシュを含み、ブロックは共にチェーンになって、その発端からブロックチェーンに書き込まれている全てのトランザクションの永久的な変更不可能なレコードを生成する。トランザクションは、そのインプット及びアウトプットに埋め込まれたスクリプトとして知られる小さなプログラムを含む。スクリプトは、トランザクションのアウトプットがどのように及び誰によりアクセス可能かを指定する。ビットコインプラットフォーム上で、これらのスクリプトは、スタックに基づくスクリプト言語を用いて記述される。
【0004】
トランザクションがブロックチェーンに書き込まれるために、「検証され」なければならない。ネットワークノード(マイナー)は、各トランザクションが有効であることを保証するために作業を実行し、無効なトランザクションはネットワークから拒否される。ノードにインストールされたソフトウェアクライアントは、自身のロック及びアンロックスクリプトを実行することにより、この検証作業を未使用トランザクション(UTXO)に対して実行する。ロック及びアンロックスクリプトの実行が真と評価した場合、トランザクションは有効であり、トランザクションはブロックチェーンに書き込まれる。したがって、トランザクションがブロックチェーンに書き込まれるためには、トランザクションは、i)トランザクションを受信した第1ノードにより検証され、トランザクションが検証された場合に、ノードは該トランザクションをネットワーク内の他のノードに中継し、ii)マイナーにより構築された新しいブロックに追加し、iii)マインされ、つまり過去のトランザクションの公開台帳に追加されなければならない。
【0005】
ブロックチェーン技術は、暗号通貨実装の使用で最も広く知られているが、デジタル起業家が、新しいシステムを実装するために、ビットコインの基づく暗号通貨セキュリティシステム、及びブロックチェーンに格納可能なデータの両方の使用を探索し始めている。ブロックチェーンが、暗号通貨の領域に限定されない自動タスク及びプロセスのために使用できれば、非常に有利である。このようなソリューションは、それらの用途において一層多様でありながら、ブロックチェーンの利点(例えば、永久的、イベントの耐タンパレコード、分散プロセス、等)を利用できる。
【0006】
現在の研究の一分野は、「スマートコントラクト(smart contracts)」の実装のためのブロックチェーンの使用である。これらは、機械可読取引又は合意の条件の実行を自動化するために設計されたコンピュータプログラムである。自然言語で記述され得る従来の取引と異なり、スマートコントラクトは、結果を生成するためにインプットを処理できるルールを含み、該結果に依存して動作を実行させることのできる、機械実行可能プログラムである。
【0007】
ブロックチェーンに関連する関心の他の分野は、ブロックチェーンを介する現実世界のエンティティの表現及び転送のための「トークン」(又は「カラードコイン」)の使用である。潜在的に機密な又は秘密のアイテムは、識別可能な意味又は値を有しないトークンにより表現できる。したがって、トークンは、現実世界のアイテムをブロックチェーンから参照できるようにする識別子として機能する。
【0008】
スマートコントラクトに関するデータは、登録され、追跡され、記録される必要がある。例えば、スマートコントラクトにより管理されるアセットの所有者に関連するデータを記録する必要がある。これは、所有権がシェアに分割される、多数のエンティティにより所有されるアセットに関連するスマートコントラクトに関して、特に重要である。このような場合には、所有権の転送は、セキュアな方法で記録される必要がある。関連コストが、アセット及び/又はそれから生じ及び支払われる収入に対して獲得されることも重要である。別の重要な検討事項は、関与する現実世界のパーティのアイデンティティを保護することが望ましい場合が多いことである。
【0009】
通常、ブロックチェーンに対してトークン化アセットを保持することは、現在のアセット保有者に割り当てられ及び該アセット保有者の現在の保有のスケールを決定するUTXO(未使用トランザクションアウトプット、unspent transaction output)が存在することを意味する。これは、アセットを転送するために必要なRedeemスクリプト内にカプセル化され、通常以下の形式であり得る。
【0010】
XOP_CHECKMULTISIG(Metadata-A Metadata-B PublicK-A)Y
しかしながら、ブロックチェーン内に保持される情報は、このスクリプトではなく、むしろスクリプトのハッシュである。これは、重要な公開鍵情報が公衆の閲覧のために利用可能でないことを意味する。
【0011】
幾つかの場合には、収入分配は、元のアセットと同じトークン化商品を介して、例えば会社内の追加株式が発行されるとき配当として、支払われる。このような場合、収入分配は単に元の発行トランザクションと同じRedeemスクリプトハッシュに支払われ得るので、公開鍵の非可用性は問題にならない。
【0012】
しかしながら、収入分配が代替アセット(例えば、シェアに対してBTC配当)として支払われるより一般的なシナリオでは、公開鍵情報のこの欠陥は、現在の技術状態によると、各発行トランザクションに関連付けられた公開鍵の別個のオフチェーンのデータベースが維持されなければならないことを意味する。このようなソリューションは明らかに実行可能であるが、アセットレジスタを維持している2つのシステム(ブロックチェーン、及びオフチェーンデータベース)が存在することを意味する。これは、ソリューションに複雑性を差し挟み、2つのデータベースが互いに同期外れになる可能性がある。これは、効率的な記憶構成も必要とする。
【0013】
したがって、少なくとも以下を行うソリューションを提供することが望ましい。
・収入がどこに支払われるべきかの自動決定を可能にすることにより、上記第2データベースの要件、したがってそれが引き起こすリスク及び非効率な記憶要件を除去する、
・現在のアセット保有者だけが、それらのファンドを請求する地位にあることを保証する方法で、収入を支払い可能である、
・(例えば、収入生成に応答して)アクション及び技術的応答を、ブロックチェーンを介して表される及び/又は参照されるアセットの現在の所有権に比例して、生成する汎用メカニズムを提供する、
・ブロックチェーントランザクションを使用して、アセットのセキュアな自動転送及び該転送及び支払のブロックチェーン上の記録を可能にし、したがって、イベント及びデータの耐タンパー記録のような利益を提供する、
・アセット所有者のような「現実世界」のアイデンティティの保護を可能にし、ソリューションは匿名性を可能にし又は実現すべきである、
・「未知」パーティへ送信される必要のある電子通信を可能にし及び制御するソリューションを提供する。
【0014】
このような改良されたソリューションが考案されている。本発明は、以上に議論された少なくとも上述の技術的効果を提供する。本発明は、添付の請求項において定められる。
【0015】
したがって、本発明によると、制御方法及び対応するシステムが提供され得る。
【0016】
本発明は、電子通信の送信を制御し得る。本発明は、2以上のパーティ間の電子通信チャネルを確立する方法であって良い。
【0017】
追加又は代替として、本発明は、未完了ブロックチェーントランザクションの完了を実現し及び/又は可能にするよう構成されて良い。したがって、本発明は、ブロックチェーンネットワーク上のブロックチェーントランザクションの有効性及び/又は伝搬を制御し又は影響を与える方法として記載されて良い。
【0018】
したがって、用語「通信」、「通知」及び「警告」は同義的に用いられ得る。
【0019】
本発明は、電子通信を制御し及び/又は生成する方法を提供して良い。追加又は代替として、本発明は、電子通信/送信の宛先を決定するソリューションを提供して良い。これはブロックチェーンにより実装されるソリューションであって良い。本発明は、匿名受信者又は準匿名受信者との(電子的、オフブロックチェーン)通信を可能にするよう構成される方法/システムであって良い。この受信者は、例えばアセット所有者又はコントローラであって良いが、本発明はこれに関して限定されない。通信は、ブロックチェーントランザクションのシーケンス内に格納された又は「埋め込まれた」情報を用いて送信されて良い。本発明は、ブロックチェーンを介して電子通信の宛先を指定する及び/又は決定する方法として記載されて良い。
【0020】
方法は、信号をアドレスへ送信するステップを含んで良い。アドレスは通知アドレスであって良い。信号は、(電子)通知又は通信と呼ばれ又はその機能を果たして良い。
【0021】
本発明は、通知のコンテキスト、目的、又はコンテンツに関して限定されない。
【0022】
通知は、ブロックチェーン上のトランザクション(Tx)のインプットに関連付けられたアンロックスクリプト内のメタデータとして提供されて良い。用語「識別子」は、「アドレス」と同義的に使用されて良い。この送信するステップは、イベントによりトリガされて良い。イベントは、スマートコントラクトにより指定され、決定され、又は影響を与えられて良い。通知の送信(送出)は、コンピュータに基づくリソースにより実行されて良い。これは、自動処理の少なくとも一部として実行されて良い。
【0023】
通知は、未完了トランザクションの完了のための要求及び/又はトリガとして機能を果たして良い。方法は、未完了トランザクションを完了するステップを含んで良い。完了は、暗号化署名の提供(provision)を含んで良い。
【0024】
アンロックスクリプトは、ブロックチェーン上の更なるトランザクション(Tx)からのアウトプットを使用するために提供されて良い。(これは、トランザクションTxのインプットがトランザクションTxのアウトプットを使用して良いという意味で、ブロックチェーン上の「先行する」トランザクションであって良い。)
したがって、本発明は、ロックスクリプトをアンロックするために、アンロックスクリプト内での通知アドレスの提供を要求するステップを含んで良い。このステップは繰り返されて良い。したがって、通知アドレスのシーケンスが要求され供給されて良い。通知アドレスは、ブロックチェーントランザクションのチェーンの中の各アウトプットを使用するために要求されて良い。これは、時間に渡り異なるアドレスの提供を可能にする。したがって、本発明は、通知のための受信者アドレスの変更を可能にし及び実現する。
【0025】
トランザクション(Tx)のインプット及び/又は更なるトランザクション(Tx)のアウトプットは、ブロックチェーン上で表される又はブロックチェーンを介して参照されるトークン化アセットに関連付けられて良い。このトークンは「カラードコイン」として参照されて良い。
【0026】
電子通知は、未完了又は完了ブロックチェーントランザクション、及び/又は、未完了又は完了ブロックチェーントランザクションに関連する情報、を含んで良い。
【0027】
これは、要求されるデータ片が不足しているという点で未完了であって良い。
【0028】
これは、完了/未完了トランザクションの位置又はそれにどのようにアクセスするかに関する情報を含んで良い。
【0029】
通知アドレスは、ブロックチェーン上で表されるアセット又はリソース、又はブロックチェーン上で表されるアセット又はリソースのコントローラに関連付けられて良い。コントローラは、アセットの実際の(「現実世界の」)所有者と同じ又は異なるエンティティであって良い。
【0030】
方法は、トランザクションTx又は更なるトランザクションTxを識別するためにブロックチェーンをトラバースするステップを更に含んで良い。当業者は、このトラバースが知られている技術としてどのように実行され得るかを理解し得る。
【0031】
方法は、トランザクションをブロックチェーンに提出するステップであって、トランザクション(Tx)は、アウトプット(UTXO)を使用するためにアンロックスクリプトのメタデータ内での通知アドレスの提供を要求するRedeemスクリプトを含む未使用アウトプット(UTXO)を含む、ステップ、を含んで良い。
【0032】
未使用アウトプット(UTXO)は、ブロックチェーン上で表される又はそれを介して参照されるトークン化アセットの所有権を転送し又はその他の場合それに関連して良い。
【0033】
通知アドレスは、トランザクション(Tx)のアンロックスクリプト内のパラメータとして提供されて良い。これは、第2パラメータとして提供されて良い。
【0034】
方法は、Redeemスクリプトを用いて、通知アドレスがアンロックスクリプト内で提供されていることを保証するステップを含んで良い。Redeemスクリプトは、どれだけ多くの通知アドレスがアンロックスクリプトにより提供されなければならないかを示す値を含んで良い。
【0035】
複数の通知アドレスは、アンロックスクリプト内で提供されて良い。
【0036】
通知アドレスは、ネットワークアドレス、暗号鍵、URI(uniform resource locator)、電子メールアドレス、又はスクリプトのメタデータ内で表され及び電子通信の宛先として使用可能な任意の他のアドレス若しくは識別子であって良い。したがって、通知アドレスは、通知/通信の受信者の識別子としての機能を果たして良い。
【0037】
方法の少なくとも1つのステップは、自動計算リソース又はエージェントにより実行されて良い。これは、「ボット」又は「オラクル」と呼ばれて良い。
【0038】
方法及び/又はシステムは、「ブロックチェーン内に埋め込まれた通知アドレス」と題された章で以下に実質的に記載された通りであり得る。
【0039】
本発明は、本願明細書に記載の方法の任意の実施形態のステップを実行するよう配置され及び構成されたコンピュータにより実装されるシステムを更に提供し得る。
【0040】
システムは、
ブロックチェーンと、
少なくとも1つの自律計算エージェントであって、
ブロックチェーンをトラバースし、及び/又は、
電子的通知を生成し及び又は送信する、
よう構成される少なくとも1つの自律計算エージェントと、を含んで良い。
【0041】
方法に関連して記載された任意の特徴は、システムにも適用可能であって良く、逆も同様である。
【0042】
本発明は、実質的に、以下の例、説明、及び図において記載される説明のための実施形態において記載される通りであって良い。本発明の上述の及び他の態様は、本願明細書に記載される実施形態から明らかであり、それらの実施形態を参照して教示される。
【0043】
本発明の実施形態は、単なる例として添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の説明のための実施形態の概要を提供する。
図2】アセットの現在の所有権を決定するために、ブロックチェーン上で反復するときに利用されるトラバースロジックの説明を提供する。
図3】本発明の一実施形態に従い必要とされるトランザクションアウトプットの説明を提供する。
図4】初期の未完了ブロックチェーントランザクションの構築の説明を提供する。
図5】アセットコントローラにより変更され及び完了された後の、図4の未完了トランザクションの説明を提供する。
図6】注意及び変更の必要な未完了トランザクションが存在することをアセットコントローラに通知するために、通知がアセットコントローラへ送信される、本発明の一実施形態の説明を提供する。
図7】本発明の一実施形態による使用例モデルの説明を示す。
図8】ブロックチェーン上で表されるアセットの中でシェアを生成するために使用され得る、以下で提供される例に関連するブロックチェーントランザクション番号100.10を提供する。
図9】受信者にアセットのシェアを発行するために使用され得る、以下で提供される例に関連するブロックチェーントランザクション番号100.120を提供する。通知アドレスはScriptSigの中で要件として指定されることに留意する。これは、後のトランザクションの中のインプットを介してシェアを「請求する」とき、受信者(つまり、アセット所有者又はコントローラ)に、通知アドレスをアンロックスクリプト内のメタデータとして提供させる。
図10】アセットの一部の所有権を受信者へ転送するために使用され得るブロックチェーントランザクション番号150.10を提供する。この場合、現在のアセットコントローラは、アセットの一部を保持し、他の部分を他のパーティに割り当て又は転送する。
図11】以下に提供する例に関連して生成され得る未完了ブロックチェーントランザクション番号400.1を提供する。
図12】アセットコントローラにより変更されるとき、図11に示す未完了トランザクションの完了バージョンであるブロックチェーントランザクション番号400.10を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、ブロックチェーントランザクションのインプット及びアウトプットを介してデジタルエンティティのセキュア転送の制御を可能にする汎用ソリューションを提供する。本願明細書で提供される例では、本発明は、基礎にある投資契約の条項に従い、例えばアセットの所有権がどのように分割されているかに直接比例して、ブロックチェーンに登録されたアセットに対する収入又は未収コストを支払う文脈で説明目的で議論される。例えば、アセットが100個のシェアに分割されている場合、支払われるべき収入はシェア毎に計算され得る。
【0046】
しかしながら、本発明はこのような使用例シナリオに限定されず、種々の用途及び状況において利益をもたらすために利用可能なより一般的な転送制御ソリューション及び通知ソリューションを提供することに留意することが重要である。
【0047】
<主な用語>
本技術的明細書は、全体を通じて主要概念及びコンポーネントを定めるために以下の用語を使用する。
【表1】
【0048】
本願明細書に示されるように、本発明は、少なくとも以下を可能にする自動のセキュア且つロバストなメカニズムを提供する。
・ブロックチェーン(例えば、ビットコインブロックチェーンのような)から、アセットの現在の所有権を決定する能力、
・アセットに関連する未知のパーティへの電子通信の送信を制御する能力、
・アセットの現在の所有権に比例してアセットにより生成された収入を支払う能力。
【0049】
後者2つでは、この処理は、アセットが別個の所有権データベースを維持する場合、又は所有権が(支払)アドレスの使用によりブロックチェーンにより隠される場合に、利益をもたらすために使用され得る。
【0050】
本発明は、少なくとも2つの有利な側面を提供する。
1)所有者がアセットに対して未知であり匿名である場合に、ブロックチェーンを介してアセットの所有者に支払を行う能力、
2)ブロックチェーントランザクションのシーケンスの中に格納された情報を用いて匿名所有者に通知する能力。この特徴は、本願の焦点である。
【0051】
<ブロックチェーン上に表されるアセットの現在の所有権の決定>
ブロックチェーン上で表されるアセットに対するコスト/収入を配分するために、該アセットの現在の所有権を決定可能である必要がある。これを達成し得る2つのメカニズムがある。
・所有権は、アセットによりオフチェーンで維持される(及び転送をアセットにより副署させることにより更新される)別個のレジスタ内で維持され得る。このメカニズムは、正式な「Know Your Customer」ルールが適用される規制された(regulated)アセットに対して理想的である。
・所有権は、現在の所有権リストを動的に生成するために、ブロックチェーン上のトランザクションをスキャンすることにより決定され得る。留意すべきことに、このアプローチは、所有権自体を決定しないが、アセットに責任のあるビットコインアドレスを識別する。これは、実際の所有者であって良く又はそうでなくて良い「アセットコントローラ」として参照されて良い。このブロックチェーントラバース技術は本発明により使用される。
【0052】
<所有権に関連するアクションの生成、例えば収入の計算及び支払>
アセットの現在の所有権に比例してアセットからの収入を支払うために、
・アセットは、現在の所有権を決定する能力を有しなければならない、
・アセットは、所与の期間の間の合計収入を記録可能でなければならない、
・アセットは、現在の所有権の間で収入を分割可能でなければならない、
・アセットは、収入からコストを相殺することが可能でなければならない、
・アセットは、前のコストが支払われていない場合、収入を保持することが可能でなければならない、
・アセットは、現在のアセット保有者への収入の支払をトリガ可能でなければならない。
【0053】
この収入は、時間期間の終わりに(例えば、6ヶ月毎に)又は生成されるときに(例えば、直ちに)到来し得る。コントラクトの特性に依存して、同じ条件が幾つかのコントラクトによる収入の比例支払を可能にして良く、ある期間の間現在の保有者への支払を可能にするだけである。
【0054】
<技術的ソリューション>
本発明により提供される技術的ソリューションは、投資又はアセットのコントローラがエージェント又はスマートコントラクトにより、そのコストの回収又は収入の支払の両方のために支払トランザクションセットを生成できるメカニズムを提供する。ソリューションは、オフチェーン条件によりトリガされる自動オラクル処理(又は基礎にあるコントラクトの構造に依存して複数のオラクル処理)に依存する。例えば、この条件は、報酬を支払う日付であって良い。このトリガ条件が作動すると、オラクルは、
・全体としてアセットの合計支払い額を計算し、
・支払ルール(例えば、比例)に基づき、アセットの現在の所有権分割に渡り、個々の支払を計算し、
・個々のアセット保有者の各々について支払トランザクションを生成する。
【0055】
図1は、技術的ソリューションが生成すべき個々の支払をどのように決定するかの基本的フローを示す。
【0056】
図1のフローチャート内のステップは、以下の章でより詳細に定められる。
【表2】
【0057】
<発行トランザクションからブロックチェーンをトラバースする>
アセット内のシェアの現在位置(所有権)を決定するために、関連オラクルは、現在のアセットのシェアが現在どこに存在するかを決定するために、最初の発行トランザクションからブロックチェーンをトラバース可能である必要がある。発行トランザクションは、図1の「アンカートランザクション」として参照される。図2は、このようなトラバース中に使用され得る例示的なトランザクションチェーンを示す。基本的に、この処理は、ブロックチェーン上でトランザクションからトランザクションへと、痕跡に従い、オラクルがアセットに関連するUTXOを見付けるまで、移動することを含む。このアウトプットが使用されていないとき、これは、アセットにおける最後のインプットを使用するアセットコントローラが依然としてコントローラであるはずだと示す。したがって、トラバース処理は、このトランザクションで停止し得る。
【0058】
各々の個々の発行又は転送トランザクションアウトプットは、関連するRedeemスクリプトを有する。トランザクションアウトプットが未使用であるという事実から、オラクルは、どのRedeemスクリプトが前のトランザクションからのアウトプットを使用するために使用されたか、したがって任意の時点でアセットのどの比率を「所有する」かを決定できる。
【0059】
<分配支払を生成する>
Redeemスクリプトを知ることにより、収入分配トランザクションは、Redeemスクリプトのコントローラが変更可能な方法でのみ、アウトプットをリダイレクトさせるために、SIGHASH_NONE能力を利用できる。この目的のために、分配トランザクションは図3に示すように構築される必要がある。
【0060】
分配トランザクションは2つのアウトプットを有する。
1)次にトラバース処理が実行されるときに、同じコントローラが現在のコントローラであると決定されるように、現在のコントローラに返送する(再発行する)アウトプット、
2)幾つかの電子ファンドをコントローラへ転送するアウトプット。
【0061】
再発行アウトプットは、それが単に前の発行/転送トランザクションからのRedeemスクリプトハッシュを再生(つまりコピー)できるので、構築され得る。
【0062】
しかしながら、要求される署名の数に基づいては、及び構築時点においてAへの収入支払のためのロックスクリプトは構築できないので、1つのステップで分配トランザクションを構築することは不可能である。
【0063】
これを解決するために分配トランザクションは、図4に示すフォーマットで始めに構築されブロードキャストされる。
【0064】
署名ハッシュをSIGHASH_NONEへのインプットに設定することにより、アウトプットのうちのいずれか1つが変更され得る。しかしながら、最後の発行トランザクションの中でロックすることにより、アセットの正当な所有者がインプットに署名することを要求される(及び彼らの関心の無い限り明らかにそうしない)ので、彼らだけが変更を行うことができる。留意すべきことに、トランザクションへの最後のアセット発行/転送において署名が供給される必要がない。図4に示すように、アセット発行者が任意の転送トランザクションの副署名者であると仮定すると、彼らが存在しない場合、このトランザクションは、単に、同じ効果を達成する分配のための収入への署名を用いて結合される。
【0065】
<分配支払をリダイレクトする>
現在のアセット所有者が未完了テンプレートトランザクションを受け取ると、彼らは、それが彼らにとって最も関心があると決定し、収入を彼ら自身に支払うよう収入支払トランザクションを変更した後に、トランザクションへの最後のアセット発行/転送インプットに署名することによりトランザクションを完了する。この変更された完了トランザクションは図5に示される。トランザクションはここで完了するので、マイン可能である。
【0066】
したがって、ブロックチェーンレコード自体に含まれたアセットの所有権シェア以外に、アセットの基本的所有者に関して知るという要件を伴わず、成果が達成される。
【0067】
<通知の必要>
上述のように、支払分配トランザクションは、最初に、未完了形式で生成される。これは、次に、何らかの方法でアセットコントローラに通信される必要があり、該アセットコントローラが該トランザクションの存在に気付き、該トランザクションを完了するために必要な変更を行い、ブロックチェーンに提出できるようにする。
【0068】
しかしながら、未完了トランザクションは、ブロックチェーン自体を介してブロードキャストできない。これは、デフォルトで、ブロックチェーン伝搬ノードがネットワークに渡り未完了トランザクションを伝搬しないためである。分配トランザクションの元のバージョンが未完了なので(署名が不足している)、コントローラ/所有者は未完了トランザクションを受け取り、ネットワークによりドロップされる前に署名を適用することができる見込みがない。これはアセットの所有権に影響しないが、関連パーティが彼らの受ける収入を支払われないことを意味する。
【0069】
これを解決するために、この未完了トランザクションを関心パーティにブロードキャストする(又は少なくとも関心パーティに未完了トランザクションの存在及び/又は位置を認識させる)ために使用可能なチャネルが存在する必要がある。
【0070】
これを解決するために、以下を含む種々の可能な方法がある。
・コントラクトは、「ブロードキャスト」チャネルをコントラクトの一部として公開し得る。該ブロードキャストチャネルで、全ての未完了トランザクションが、関心トランザクションを決定するために該チャネルをリッスンする及びそれらに反応するアセットの所有者によりブロードキャストされる。この公開/サブスクライブメカニズムは、標準的なITの特徴である。
・アセットの販売又は他の転送により、新しいアセット所有者/コントローラが、通知アドレスを販売トランザクションにロックする。これは、通信チャネルが、アセット所有者/コントローラに関する任意の他の情報が知られることなく、設定されることを可能にする。アセットは、次に、このプライベートチャネルを用いて、未完了トランザクションを現在の所有者へ送信し、又はそれらにトランザクションがアクセス可能な位置から例えばダウンロード及び後の完了のために利用可能であることを通知する。
【0071】
これらのソリューションのいずれも、アセットが依然としてブロックチェーン自体に保持される情報以外にアセット自体の所有権を認識しないという点で、上述の本発明の第1の態様に影響又は衝撃を与えない。以下の例では、トランザクションは、トランザクション通知のための第2オプションを利用する。この通知技術は、本発明の第2の新規な態様を形成し、トランザクション情報のプライバシ又は匿名性を提供する。
【0072】
<ブロックチェーンに埋め込まれた通知アドレス>
本発明のこの新規且つ有利な態様は、以上で特定された伝搬問題に対する解決策を、ブロックチェーントランザクション内に通知アドレスを埋め込む能力を可能にすることにより、提供する。通知アドレスは、したがって、後の通知のために使用可能である。
【0073】
通知は、例えば電子メールのような任意の適切な形式をとり得る。このような場合、電子メールは、前のトランザクションに埋め込まれていた電子メールアドレスへ送信され得る。しかしながら、従来知られている他の形式の電子通信も本発明の範囲内に包含される。基本的に、初期トランザクションにおいてキャプチャされた識別子は、通知が送信されるアドレス又は位置としての機能を果たす。
【0074】
この章は、このモデルがどのように動作するかを説明し、本願の焦点である。留意すべきことに、この通知技術は、それ自体で、及び広範な状況及び用途に関して、上述の本発明の第1の態様と独立に、問題に対する解決策として利益をもたらすために使用可能である。
【0075】
このソリューションは、任意の更なる情報が供給され又は知られる必要無しに、通信が受信者へ送信可能であることを意味する。本発明は、したがって、プライバシ及びセキュリティを保護し又は拡張する、拡張された警告、通知、又は通信技術を提供する。トランザクションスクリプト内で提供され及び次にトランザクションスクリプトから抽出されるアドレス以外に、受信者に関するいかなる追加情報も必要ない。これは、それ自体が、ボットのような自動プロセスにより実施されるのに役立つ。
【0076】
指定アドレスへの通知の送信は、イベントによりトリガされて良い。イベントは、スマートコントラクト内で指定され又はそれにより影響されて良い。
【0077】
通知は、単に、アドレスへ送信される信号であって良く、及び/又は所定コンテンツを含んで良い。したがって、所望の情報メッセージが送信可能である。追加又は代替として、通知の受信は、自動プロセスへの信号としての役割を果たし、したがって所定又はプログラムされた応答をトリガして、例えばトランザクションに署名を供給し又は何らかの他のアクションを実行して良い。
【0078】
本発明は、埋込アドレスに発送される通知メッセージの内容に関して限定されない。通知は、幾つかの場合には、未完了トランザクションのコピーを含んで良い。本発明の例では、しかしながら、通知アドレスの役割は、所与の目標トランザクションの作者(author)が関連する関心主体に関する他の情報を有しないとき、該関連する関心主体(人間又はコンピュータに基づくリソースであって良い)が彼らの署名を該目標トランザクションに適用するよう(及び他の変更を行うよう)通知され又は必要のあることを警告され得ることを保証することである。実際には、したがって、本発明は、将来のブロックチェーントランザクションの履行、完了を可能にする。必要な署名の提供により、部分的な無効トランザクションは、ブロックチェーンにより受付可能な実行可能な有効なトランザクションに変換される。したがって、本発明は、ブロックチェーントランザクションの有効性及びブロックチェーンネットワーク上でのその伝搬を制御し、実現し、及び/又は可能にする方法の問題を解決する。
【0079】
この目的のために、全ての後続のトランザクションの中で通知アドレスのキャプチャを強制する「シード(seed)」トランザクションが生成される必要がある。これは、通常、(標準的なトークン化トランザクションでは)発行トランザクションの前であって良い。この発行又は「ソース」トランザクションは、通知アドレスを含むアンロックスクリプト上で供給されるべき追加属性を要求する。この処理の完全なフローは、図6に示される。
【0080】
<通知Redeemスクリプト>
アンロックスクリプトの主要フォーマットは以下の通りである。
【数1】
【0081】
上記の構造から分かるように、枠内に示される要素は、標準的なスクリプトを表すが、プレフィックスが新しい。このプレフィックスは、ここに示す形式を取る。
【数2】
【0082】
この特定の例は、<Count of notification addresses(通知アドレスの数)>が1~4の範囲であり得るが、必要な場合には異なる最大値をサポートするよう構造が拡張可能であることを意味する。このスクリプトプレフィックスは、関連通知アドレスをスタックから事実上ドロップし、次に通知アドレスの数が存在すべき数と一致することを保証することをチェックする。
【0083】
<使用例モデル>
図7に提供されるモデルは、非債務貸付モデルの範囲に含まれる主要な使用例を示す。
【0084】
<[100]シェアの発行>
アセットは、自身の中で適切なアセット保有者にシェアを発行し、発行中にそのエンティティの通知アドレスをキャプチャすることを保証する。ここで1次主体はアセットである。
【0085】
<主な成功シナリオ>
このステップは、現在の保有者の通知の詳細がブロックチェーン自体に保持される場合にのみ必要である。
【表3】
【0086】
シェア生成トランザクションは、図8にトランザクション100.10として示される。
【0087】
トランザクション100.10のアウトプット1の完全なRedeemスクリプトは以下に示される。
【0088】
OP_DROP OP_CHECKSIG
シェア発行トランザクションは、図9にトランザクション100.20として示される。
【0089】
トランザクション100.20のアウトプット1の完全なRedeemスクリプトは以下に示される。
【数3】
【0090】
この例示的なRedeemスクリプトは、後の売りが所有権を最大4人の買い手に転送することを可能にする購入が4人より多くの買い手に関連する場合、複数のトランザクションが必要になり得る。留意すべきことに、明らかに、上述のスクリプトの中の「if」ブロックを繰り返す(又は削減する)ことにより、新しい購入の可能な数を拡張する(又は制限する)ことが可能である。
【0091】
<[150]シェアの売り>
アセット保有者は、自身の持分の比率を別の関心パーティに売り出す必要がある。ここで1次主体はアセット保有者である。
【0092】
主な成功シナリオ:
【表4】
【0093】
これは、基礎にある収入分配をサポートするために必須である多くの主要特徴を生成する。
・販売は、最大4人の新しい保有者だけ(例えば、4個のアウトプットトランザクションであるが、1~4の任意の数であり得る)が可能である。
・販売がシェアの一部の保留を含む場合、スロットのみが再割り当てのために現在の保有者に取り戻されるので、3人の新しい保有者だけがサポート可能である。
【0094】
<トランザクション150.10>
図10において提供される例示的なトランザクション150.10では、トランザクションは、1つの債権(stake)を保持し且つ1つの他の債権を新しい保有者に売る現在のアセット保有者による部分的販売を実施する。留意すべきことに、現実世界のシナリオでは、マイニング料金をカバーするための追加インプットが要求される可能性がある。これは、図10のテンプレートでは無視されており、トランザクション150.10は読み易さを向上している。
【0095】
トランザクション150.10(図10)のアウトプットのRedeemスクリプトは、公開鍵が以下の通りであるという点を除いて、トランザクション100.20(図9)のものと同じである。
【0096】
<PubK-SecondaryAssetHolder>及び<PubK-Asset>
トランザクション150.10(図10)のアウトプット2のためのこのRedeemスクリプトは、トランザクション100.20(図9)のものと完全に同一である。
【0097】
<[200]所有権の決定>
アセットは、現在のアセット保有者を認識していなくても、支払の収入を現在のアセット保有者にどのように割り当てるかを決定する必要がある。このアクションの1次主体はアセットである。
【0098】
主な成功シナリオ:
【表5】
【0099】
<[300]支払を計算する>
ここで、アセットは、それ自体の現在の所有者に支払われるべき収入の額を計算したいと望む。このアクションの1次主体はアセットである。
【0100】
主な成功シナリオ:
【表6】
【0101】
<[400]収入の支払>
ここで、アセットは、それらの所有権に比例して、自身の所有者に収入を支払いたいと望む。1次主体はアセットである。
【0102】
主な成功シナリオ:
【表7】
【0103】
トランザクション400.10-暫定(未完了)トランザクションは図11に示される。トランザクション400.10-最終(完了トランザクション)は図12に示される。図12では、変更が明確化のために太字で示される。
【0104】
<例示的なシナリオ:アセット株式資本>
このモデルによりサポートされる主な種類のシナリオは、会社のようなアセットのための伝統的株式資本である。会社(NewCo plc)は、収入が定期的に(毎年)支払われる、自由に取引可能な固定量のシェア(1000)を発行する。収入分配が会社の利益を表すとき、アセット保有者ベースからのコストの収集をサポートする要件は存在しない(利益は既にそれらからコストを相殺されている)。
【0105】
<本発明の主な利点は以下を含む>
本発明は、ブロックチェーンに対する自立的活動を可能にし、別個のオフチェーンの所有権データベースを維持する必要無しに(法的理由を除く)、収入/コストの支払の可能なエンティティが生成されることを可能にする。
【0106】
本発明は、通知アドレス又は識別子をトランザクション内に、具体的にはトランザクションのスクリプト内に埋め込むことを可能にする。
【0107】
したがって、本発明は、拡張されたプライバシ、セキュリティ、及び通信を提供する。これは、ブロックチェーンを介するアセット及び/又はファンドの転送の制御及び記録に関する用途において特に有利である。
【0108】
留意すべきことに、上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく、当業者は添付の請求項により定められる本発明の範囲から逸脱することなく多数の代替の実施形態を考案できる。請求項中、括弧内に記載された如何なる参照符号も、請求項を制限すると見なされるべきではない。用語「有する(comprising又はcomprises)」等は、全体としていかなる請求項中に及び明細書に列挙された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。本願明細書において、「有する(comprises)」は「含む(includes)又は構成される(consists of)」を意味し、「有する(comprising)」は「含む(including)又は構成される(including of)」を意味する。要素の単数の参照は、該要素の複数の存在を排除するものではなく、逆も同様である。本発明は、複数の別個の要素を有するハードウェアにより又は適切にプログラムされたコンピュータにより、実施され得る。複数の手段を列挙している装置の請求項では、これらの複数の手段は、1つの同一のハードウェア要素により実装することができる。特定の量が相互に異なる従属請求項に記載されるという事実は、これらの量の組合せが有利に用いることが出来ないことを示すものではない。
【0109】
更に以下の実施例を開示する。
(実施例A1)
電子通信又は通知方法であって、前記方法は、
電子的通知を、ブロックチェーン上のトランザクション(Tx1)のインプットのアンロックスクリプト内のメタデータとして提供される通知アドレスへ送信するステップ、
を含む方法。
(実施例A2)
前記アンロックスクリプトは、前記ブロックチェーン上の更なるトランザクション(Tx2)からのアウトプットを使用するために構成され及び/又は提供される、実施例A1に記載の方法。
(実施例A3)
前記トランザクション(Tx1)の前記インプット及び/又は前記更なるトランザクション(Tx2)前記のアウトプットは、前記ブロックチェーン上で表される又は前記ブロックチェーンを介して参照されるトークン化アセットに関連付けられる、実施例A1又はA2に記載の方法。
(実施例A4)
前記電子的通知は、
未完了又は完了ブロックチェーントランザクション、及び/又は、
未完了ブロックチェーントランザクションの位置、又はそれにアクセスする手段、に関連する情報、及び/又は、
未完了又は完了ブロックチェーントランザクションに関連する情報、
を含む、実施例A1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A5)
前記通知アドレスは、前記ブロックチェーン上で表されるアセット又はリソース、又は前記ブロックチェーン上で表されるアセット又はリソースのコントローラに関連付けられる、実施例A1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A6)
前記トランザクション(Tx1)又は更なるトランザクション(Tx2)を識別するために前記ブロックチェーンをトラバースするステップ、を更に含む実施例A1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A7)
トランザクションをブロックチェーンに提出するステップであって、前記トランザクション(Tx1)は、未使用アウトプット(UTXO)を使用するためにアンロックスクリプトのメタデータ内での通知アドレスの提供を要求するRedeemスクリプトを含む前記アウトプット(UTXO)を含む、ステップ、を更に含み、
望ましくは、前記未使用アウトプット(UTXO)は、前記ブロックチェーン上で表される又はそれを介して参照されるトークン化アセットの又はそれに関連する所有権又は制御を転送する、実施例A1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A8)
前記通知アドレスは、前記トランザクション(Tx1)の前記アンロックスクリプト内のパラメータとして提供される、実施例A1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A9)
Redeemスクリプトを用いて、通知アドレスが前記アンロックスクリプト内で提供されていることを保証するステップ、
を更に含む実施例A1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A10)
前記Redeemスクリプトは、どれだけ多くの通知アドレスが前記アンロックスクリプトにより提供されなければならないかを示す値を含む、実施例A9に記載の方法。
(実施例A11)
複数の通知アドレスは、前記アンロックスクリプト内で提供される、実施例A1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A12)
前記通知アドレスは、ネットワークアドレス、暗号鍵、URI(uniform resource locator)、電子メールアドレス、又はスクリプトのメタデータ内で表され及び電子通信の宛先として使用可能な任意の他のアドレス若しくは識別子である、実施例A1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A13)
実施例A1乃至12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのステップは、自動計算リソース又はエージェントにより実行される、実施例A1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A14)
指定又は所定イベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答して、前記電子的通知を送信するステップと、
を含む実施例A1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
(実施例A15)
実施例A1乃至14のいずれか一項に記載のステップを実行するよう配置され及び構成されたコンピュータにより実装されるシステム。
(実施例A16)
前記システムは、
ブロックチェーンと、
少なくとも1つの自律計算エージェントであって、
前記ブロックチェーンをトラバースし、及び/又は、
前記電子的通知を生成し及び又は送信する、
よう構成される少なくとも1つの自律計算エージェントと、
を含む実施例A15に記載のシステム。

(実施例B1)
自律計算エージェントにより実施される方法であって、前記方法は、
トランザクションを識別するためにブロックチェーンをトラバースするステップであって、前記トランザクションのアンロックスクリプト内のメタデータとして通知アドレスが提供される、ステップと、
オフブロックチェーンで、前記通知アドレスへ電子通知を送信するステップと、
を含む方法。
(実施例B2)
前記トランザクションから開始し、前記ブロックチェーン上のトランザクション履歴をトラバースして、現在の未使用アウトプット(UTXO)を決定するステップと、
前記UTXOに基づき、デジタルアセットに関連する複数の所有権の間の、所有権の比率を決定するステップと、
各UTXOについて、
前記所有権の比率に基づき、未完了トランザクションを生成するステップと、
前記未完了トランザクションをオフブロックチェーンで送信するステップと、
を更に含む実施例B1に記載の方法。
(実施例B3)
前記トランザクションから開始し、前記ブロックチェーン上のトランザクション履歴をトラバースすることは、
現在のブロックのセット、該現在のブロックのセットのアウトプットの通知アドレス、及びRedeemスクリプトが決定されるまで、トラバースすることを含む、実施例B2に記載の方法。
(実施例B4)
前記UTXOに基づき、前記デジタルアセットに関連する複数の所有権の間の、所有権の比率を決定するステップは、
どのRedeemスクリプトが前のトランザクションのアウトプットを使用するために使用されたかに基づき、前記所有権の比率を決定する、実施例B2又は3に記載の方法。
(実施例B5)
前記未完了トランザクションのインプットの署名ハッシュは、SIGHASH_NONEに設定される、実施例B2~4のいずれか一項に記載の方法。
(実施例B6)
前記未完了トランザクションをオフブロックチェーンで送信するステップは、
前記トランザクションに埋め込まれた前記通知アドレスへ、前記未完了トランザクションを送信することを含む、実施例B2~5のいずれか一項に記載の方法。
(実施例B7)
オフブロックチェーンで、前記通知アドレスへ電子通知を送信するステップは、オフチェーン条件によりトリガされ、前記オフチェーン条件は、前記デジタルアセットの分配を支払う日付である、実施例B2~6のいずれか一項に記載の方法。
(実施例B8)
前記通知アドレスは、前記ブロックチェーン上に提示されるアセット又はリソース、又は前記ブロックチェーン上に提示されるアセット又はリソースのコントローラに関連付けられる、実施例B1に記載の方法。
(実施例B9)
指定された又は所定のイベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答して、前記電子通知をオフブロックチェーンで前記通知アドレスへ送信するステップと、
を更に含む実施例B1に記載の方法。
(実施例B10)
前記通知アドレスは、ネットワークアドレス、URI(uniform resource locator)、電子メールアドレス、又はスクリプトの前記メタデータの中で提示され電子通信のためにオフブロックチェーンの宛先として使用できる任意の他のアドレス若しくは識別子、である、実施例B1に記載の方法。
(実施例B11)
実施例B1~10のいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成された自律計算エージェント。
(実施例B12)
実施例B11に記載の自律計算エージェントを含むコンピュータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】