(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184770
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】複合床材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
E04F15/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192872
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2019142277の分割
【原出願日】2019-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正和
(57)【要約】
【課題】意匠パターンの自由度が高く、かつ耐風性に優れる複合床材を提供する。
【解決手段】複合床材Aは、複数の床基材10と、その上に並べられた複数の仕上げ床材20を備えている。床基材10には複数の係合孔が互いに面内方向に分布するように形成されている。各仕上げ床材20の底面には、前記複数の係合孔のうち選択された1つと係合可能な係合突起23が形成されている。床基材10における係合孔の開孔率は、20%以上である。床基材10は縦横4つの基板部11に区画され、これら基板部11どうしが平面視で十字状をなす連接部12を介して一体に連なり、連接部11には、複数の貫通孔状の切れ目12cが、連接部12の延び方向に並んで形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の床基材と、前記床基材の上に並べられた複数の仕上げ床材と、を備え、
前記床基材には、該床基材の厚さ方向にそれぞれ貫通する複数の係合孔が、前記厚さ方向と直交する面内方向に分布して形成され、各仕上げ床材の底面には、前記複数の係合孔のうち選択された1つと係合可能な係合突起が形成されており、
前記床基材における前記係合孔の開孔率が20%以上であり、
前記床基材が縦横4つの基板部に区画され、これら基板部どうしが平面視で十字状をなす連接部を介して一体に連なり、前記連接部には、複数の貫通孔状の切れ目が、前記連接部の延び方向に並んで形成されていることを特徴とする複合床材。
【請求項2】
前記床基材における前記係合孔及び前記切れ目を含む貫通孔の開孔率が60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合床材。
【請求項3】
前記貫通孔が、前記係合孔及び前記切れ目に加えて、水抜き孔又は飾り孔又は肉抜き孔を含む請求項2に記載の複合床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床基材と仕上げ床材とが組み合わされた複合床材に関し、特にバルコニー、ベランダ、テラス、外部廊下などの屋外空間に設けられた屋外床に適した複合床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高層マンション等の建物のバルコニーその他の屋外床には、床防水材の耐久性向上や水はけを向上させるために床材が設置されることが知られている。近年では、上記性能に加え、耐風性(台風等の強風によるめくれ・浮遊・飛散の起きにくさ)や更なる意匠性も求められるようになっている。
特許文献1には、大判の1枚の床基材の上面に例えば4枚の仕上げ床材を縦横に並べて配置した複合床材が開示されている。各仕上げ床材は、係合部材を介して床基材と係合されている。
【0003】
特許文献2の複合床材においては、床基材が、仕上げ床材より幅広かつ長尺のマット状になっており、かつ多数の小孔が一定のパターンで形成されている。該床基材が、バルコニーの大きさに合わせて適宜な長さに裁断されて敷設される。床基材の幅が足りない場合は2枚以上平行に並べられる。仕上げ床材としては、サイズ違いや形状が異なるタイルが複数用意される。これらタイルが、通し目地、馬踏み目地、網代目地などの適宜な配置パターンで床基材の上に敷設される。各タイルの下面の4箇所にはピンが突設されている。各ピンが、床基材の対応する小孔に嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-199897号公報(
図1)
【特許文献2】特開平8-135147号公報(
図1~
図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の複合床材は、1枚の床基材に対して特定の数の仕上げ床材が特定の位置に配置されるようになっており、意匠パターンの自由度が低い。
特許文献2の複合床材は、仕上げ床材のサイズ、位置、数などを選択できるために特許文献1と比べ意匠パターンの自由度は高い。しかし、台風等の強風に晒されるとめくれたり飛散したりするおそれがあり、耐風性が不十分という課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑み、意匠パターンの自由度が高く、かつ耐風性に優れる複合床材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者等は鋭意検討の結果、仕上げ床材との係合孔が床基材において占める割合すなわち開孔率を調整することによって、意匠パターンの自由度及び耐風性の両方を共に向上可能であることを見い出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、1又は複数の床基材と、前記床基材の上に並べられた複数の仕上げ床材と、を備え、
前記床基材には、該床基材の厚さ方向にそれぞれ貫通する複数の係合孔が、前記厚さ方向と直交する面内方向に分布して形成され、各仕上げ床材の底面には、前記複数の係合孔のうち選択された1つと係合可能な係合突起が形成されており、
前記床基材における前記係合孔の開孔率が20%以上であることを特徴とする。
例えば、係合孔の数を増やしたり配置間隔を狭くしたりすることによって、開孔率20%以上とする。そして、仕上げ床材のサイズ、形状、数などを任意に選択して、適宜な配置パターンで床基材の上に敷設する。そうすることで、各仕上げ床材の各係合突起が、床基材のどれか1つの係合孔と対向して係合され得る。したがって、意匠パターンの自由度が高い。個々の仕上げ床材の材質を適宜設定でき、高級感ある意匠から、独自性のある意匠まで任意に構築することが出来る。
しかも、床基材が台風等による例えば30m/s以上の強風に対して浮遊したり飛散したりしないようにでき(後記実施例参照)、複合床材の耐風性が高まる。
強風時の床材の飛散は、バルコニー等に吹き込んだ風が、床面の上を通過し、床面の表裏に圧力差を発生させることによるものと考えられる。これに対し、本発明においては、床基材の開孔率を特定の範囲とすることで、床面から上方に流れる風が床基材を通過でき、複合床材の飛散防止を図れる。複合床材の重量を増加させたり、複合床材を床面と固定させたりしなくても、強風による複合床材の飛散を防止できる。
本発明に係る複合床材は、1又は複数の床基材と、前記床基材の上に並べられた複数の仕上げ床材と、を備え、
前記床基材には、該床基材の厚さ方向にそれぞれ貫通する複数の係合孔が、前記厚さ方向と直交する面内方向に分布して形成され、各仕上げ床材の底面には、前記複数の係合孔のうち選択された1つと係合可能な係合突起が形成されており、
前記床基材における前記係合孔の開孔率が20%以上であり、
前記床基材が縦横4つの基板部に区画され、これら基板部どうしが平面視で十字状をなす連接部を介して一体に連なり、前記連接部には、複数の貫通孔状の切れ目が、前記連接部の延び方向に並んで形成されていることを更なる特徴とする。
【0007】
前記床基材における前記係合孔を含む貫通孔の開孔率は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
これによって、床基材の機械的強度を維持できる。例えば、踏んでも割れないようにできる。
前記仕上げ床材の形状は、好ましくは矩形(正方形又は長方形)である。好ましくは、矩形の仕上げ床材の4つの角の近傍部にそれぞれ前記係合突起が設けられている。
好ましくは、前記床基材には、支持脚が下方へ突出するように形成されている。これによって、床基材本体(床基材における支持脚を除く部分)を床面から浮かして、水はけを良くすることができる。前記支持脚は、前記係合孔から平面視でずれていてもよく、前記係合孔と平面視で同一場所に配置されていてもよい。前記同一場所における支持脚は、筒状に形成されていて、その内部空間が前記係合孔として提供されることが好ましい。
前記更なる特徴において、前記床基材における前記係合孔及び前記切れ目を含む貫通孔の開孔率が60%以下であることが好ましい。
前記貫通孔が、前記係合孔及び前記切れ目に加えて、水抜き孔又は飾り孔又は肉抜き孔を含むことが好ましい。
【0008】
前記複数の床基材が前記面内方向に並べられ、前記複数の仕上げ床材のうち1の仕上げ床材が、隣接する床基材に跨り、前記1の仕上げ床材の複数箇所に前記係合突起がそれぞれ設けられ、各係合突起が対応する係合孔と係合されていることが好ましい。
これによって、前記1の仕上げ床材を介して前記隣接する床基材どうしが連結される。さらに、隣接する床基材どうしが、前記仕上げ床材とは別の連結手段を介して連結されて
いることが好ましい。前記連結手段は、前記隣接する床基材の一方に一体形成された雌嵌合部と、他方の床基材に一体形成された雄嵌合部とを含むことが好ましい。
【0009】
前記床基材の複数箇所に互いに別の仕上げ床材が被さり、各仕上げ床材の係合突起が、対応する箇所の係合孔と係合されていることが好ましい。
これによって、前記互いに別の仕上げ床材どうしが床基材を介して連結される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、意匠パターンの自由度が高く、かつ耐風性に優れる複合床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る複合床材の意匠パターンの一例を示す平面図である。
図1(b)は、前記複合床材の意匠パターンの他の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)のIIa-IIa線に沿う複合床材の正面図である。
図2(b)は、
図1(b)のIIb-IIb線に沿う複合床材の正面図である。
【
図3】
図3は、前記複合床材における床基材の平面図である。
【
図4】
図4(a)は、前記複合床材における仕上げ床材の係合突起を床基材の係合孔に嵌め込もうとする状態を示す断面図である。
図4(b)は、前記係合突起を前記係合孔に嵌め込んだ状態を示す、
図1(a)のIVb-IVb線に沿う断面図である。
【
図5】
図5(a)は、隣接する床基材どうしを連結しようとする状態を示す断面図である。
図5(b)は、前記隣接する床基材どうしを連結した状態を示す、
図1(a)のVb-Vb線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、例えば高層マンションなどの建物のバルコニー、ベランダ、テラス、外部廊下などの屋外床に敷設された複合床材Aを示したものである。複合床材Aは、床基材敷設体1(
図1において破線)と、仕上げ床敷設体2(同図において実線)とを備えている。
図2に示すように、前記屋外床の床面F上に床基材敷設体1が敷設され、該床基材敷設体1の上に仕上げ床敷設体2が敷設されている。床基材敷設体1ひいては複合床材Aの敷設領域は、適宜調整でき、前記屋外床の全域でもよく、前記屋外床の一部領域でもよい。
図1(a)及び
図1(b)に例示するように、仕上げ床敷設体2ひいては複合床材Aの意匠パターンは、自由に選択可能である。以下詳述する。
【0013】
床基材敷設体1は、複数の床基材10を含む。これら床基材10が、床面に沿う面内方向に並べられて敷設されている。床基材10の材質は、PVC、PP、PEなどの樹脂であるが、ゴムでもよい。
【0014】
図3に示すように、各床基材10は、床基材本体19と、複数の支持脚14を含む。床基材本体19は、正方形(矩形)の多孔板状に形成され、かつ縦横4つの基板部11に区画されている。これら基板部11どうしが平面視で十字状をなす連接部12を介して一体に連なっている。連接部12には、複数の貫通孔状の切れ目12cが、連接部12の延び方向に並んで形成されている。
連接部12を切断すれば、4つの基板部11どうしが切り離される。これによって、床基材10を分割して使用できる。例えば、
図1(b)及び
図2(b)における床基材敷設体1の右端側の部分は、半分に分割した床基材10hが用いられている。
【0015】
図3に示すように、各基板部11ひいては床基材本体19には、多数(複数)の係合孔13が形成されている。係合孔13は、床基材本体19を厚さ方向に貫通している。係合孔13の形状は四角形であるが、これに限らず、円形であってもよく、六角形等の四角形以外の多角形であってもよい。
図4(a)に示すように、係合孔13の上端部の周縁には、面取り状の案内斜面13eが形成されている。係合孔13の中間部には、係止段差13dが形成されている。
図3に示すように、複数の係合孔13が、床基材10の面内方向(前記厚さ方向と直交する方向)に一定のパターンで分布されている。
図3においては、正格子状に分布されている。
【0016】
床基材10における係合孔13の開孔率は、20%以上である。係合孔13の開孔率とは、平面視における床基材10の見かけの面積(床基材10の縦横の外形寸法の積)に対する全係合孔13の総面積(各係合孔13の開口面積×係合孔13の個数)の割合を言う。
床基材10における係合孔13及び切れ目12cを含む貫通孔の開孔率は、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。貫通孔の開孔率とは、平面視における床基材10の見かけの面積に対する全貫通孔の総面積の割合を言う。
係合孔13及び切れ目12c以外の貫通孔として、水抜き孔、飾り孔、肉抜き孔などが挙げられる。
【0017】
図3及び
図4(a)に示すように、床基材10には複数の支持脚14が形成されている。支持脚14は、床基材本体19から下方へ突出されている。各支持脚14は、床基材本体19における係合孔13からずれた位置に配置されている。好ましくは、支持脚14は、縦横の4つの係合孔13どうしの間に配置されている。複数の支持脚14が、床基材本体19の面内方向に互いに分散して配置されている。支持脚14の配置間隔は係合孔13よりも大きい。
【0018】
図5に示すように、床基材敷設体1における隣接する床基材10どうしは、連結手段30を介して連結されている。
図5(a)に示すように、連結手段30は、雌嵌合部31と、雄嵌合部32を含む。これら雌雄の嵌合部31,32は、各床基材10に一体に形成されている。
図3に示すように、雌嵌合部31は、概略環状に形成され、各床基材10の直交する2つの辺から水平かつ外側へ突出されている。複数の雌嵌合部31が、前記2つの辺に沿って互いに離れて配置されている。雄嵌合部32は、床基材10の残り2つの辺から下方へ突出され、支持脚を兼ねている。複数の雄嵌合部32が、前記残り2つの辺に沿って互いに離れて配置されている。
図5(b)に示すように、隣接する床基材10における一方の床基材10の雌嵌合部31に、他方の床基材10の対応する雄嵌合部32が嵌合されている。
【0019】
図1に示すように、仕上げ床敷設体2は、複数の仕上げ床材20を含む。これら仕上げ床材20が、床基材10上に面内方向に並べられている。
仕上げ床材20の材質は、タイルでもよく、樹脂でもよく、金属でもよい。
【0020】
仕上げ床材20としては、サイズや形状が異なる複数種の仕上げ床材20A,20B,20Cが用いられている。例えば小さい正方形の仕上げ床材20A、大きい正方形の仕上げ床材20B、長方形の仕上げ床材20Cなどが用いられている。最も大きい仕上床材20Bでも、床基材10より小さく、更には1つの基板部11より小さい。
【0021】
図1及び
図4(a)に示すように、各仕上げ床材20の底面(下面)の複数箇所には、それぞれ係合突起23が下方へ突出するように形成されている。好ましくは、係合突起23は、仕上げ床材20の4つの角の近傍部にそれぞれ設けられている。各係合突起23の
平面断面形状は、円形であるが、係合孔13に合わせた四角形であってもよい。
図4(a)に示すように、係合突起23は、円柱形状の突起基部23bと、その先端部(下端部)の大径の係止部23dとを含む。係止部23dにおける先端側部分(下側部分)には、先細のテーパ面23eが形成されている。
【0022】
図1(a)及び同図(b)に示すように、複数の仕上げ床材20(20A~20C)が、床基材敷設体1の上に適宜な配置パターンで並べられている。好ましくは、隣接する仕上げ床材20どうしはほぼ接している。
図1においては便宜上、隣接する仕上げ床材20が少し間隔を明けて図示されている。各床基材10の複数箇所に、互いに別の仕上げ床材20が被さっている。或いは、1つの仕上げ床材20が、複数の床基材10に跨っている。さらに、
図4(b)に示すように、各仕上げ床材20の係合突起23が、対応する床基材10における対応する箇所の係合孔13と係合されている。
【0023】
逆に言うと、仕上げ床材20(20A~20C)を任意の配置パターンで並べたとき、各係合突起23が、選択された1つの係合孔13と係合可能であるように、各仕上げ床材20の形状、仕上げ床材20における係合突起23の配置、及び床基材10における係合孔13の配置等が設定されている。
【0024】
係合突起23を係合孔13に嵌め込む際は、テーパ面23eが案内斜面13eに当たって案内されることで、係合突起23と係合孔13とが芯合わせされながら、係合突起23が下方へ押し込まれる。このとき、床基材10における係合孔13の周辺部分及び係合突起23が弾性変形される。
図4(b)に示すように、やがて、係止部23dが係止段差13dより下方へ移行されることによって、床基材10における係合孔13の周辺部分及び係合突起23が弾性復帰される。かつ係止部23dが係止段差13dに引っ掛かることで、仕上げ床材20が床基材10に対して固定される。
【0025】
複合床材Aによれば、床基材10における係合孔13の開孔率が20%以上になるよう、係合孔13の数、配置間隔などが設定されることによって、種々のサイズ及び形状の仕上げ床材20(20A~20C)を適宜な配置パターンで床基材10の上に敷設できる。かつ各仕上げ床材20の各係合突起23が、床基材10のどれか1つの係合孔13と対向して係合されるようにできる。
図1(a)及び同図(b)の配置パターンに限らず、多種多様な配置パターンで仕上げ床材20を配置でき、多種多様な意匠パターンの仕上げ床敷設体2を構成できる。したがって、仕上げ床敷設体2ひいては複合床材Aの意匠パターンの自由度が高い。個々の仕上げ床材20の材質を適宜設定でき、高級感ある意匠から、独自性のある意匠まで任意に構築することが出来る。
しかも、前記開孔率の設定によって、床基材10が台風等による例えば30m/s以上の強風に対して浮遊したり飛散したりされないようにでき(後記実施例参照)、床基材敷設体1ひいては複合床材Aの耐風性を高めることができる。
この結果、意匠パターンの自由度及び耐風性の両方を共に向上させることができる。
さらに、床基材10における係合孔13及び切れ目12c等を含む貫通孔の開孔率が好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下に設定されることによって、床基材10の機械的強度を確保でき、踏んでも簡単に割れないようにできる。
【0026】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、床基材10における係合孔13の形状、数、配置などは適宜設定可能である。
床基材10には、係合孔13や切れ目12c以外の貫通孔として、水抜き孔、飾り孔、肉抜き用孔などが形成されていてもよい。
支持脚14が、係合孔13と平面視で同一場所に配置されていてもよい。該同一場所に
おける支持脚14は、筒状に形成され、その内部空間が係合孔13として提供されていてもよい。
床基材敷設体1における床基材10の数は、1つだけであってもよい。
仕上げ床材20のサイズ及び形状は、実施形態のものに限られず、例えばサイズ違いの長方形の仕上げ床材を含んでいてもよく、矩形以外(三角形、五角形、六角形、円形など)の仕上げ床材を含んでいてもよい。
【実施例0027】
以下、実施例を説明する。本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
床基材単体での耐風性を調べた。
図3に示す床基材10と近似する形状の床基材を用意した。
床基材の縦横サイズは、300mm×300mmであった。
床基材全体の高さは、15.6mmであった。
床基材本体19の高さ(厚さ)は、7mmであった。
支持脚14の高さ(床基材本体19の下面から支持脚14の下面までの距離)は、8.6mmであった。
床基材の重さは、320gであった。
各係合孔13の平面視形状は四角形であり、縦横サイズは、8mm×8mmであった。
各基板部11における係合孔13の配置は縦横12個×12個であった。
床基材全体の係合孔13の数は、576個であった。
床基材における係合孔13cの総面積は、35864mm
2であった。
粘着テープによって前記576個の係合孔13の一部を選択的に塞ぐことで、床基材における係合孔の開孔率を下記(1)~(7)の7通りに調整した。なお、(1)は、粘着テープを貼らなかった場合である。
(1)40.96%
(2)10.24%
(3)20.48%
(4)27.31%
(5)30.72%
(6)28.44%
(7)34.42%
【0028】
(1)~(7)の各々について、床基材を床面上に載置したうえで、強風送風機で床面に沿って水平に強風を形成し、床基材が浮遊ないしは飛散するときの風速を計測した。
結果を、
図6に示す。同図における黒丸は、床基材の浮遊ないしは飛散が起きたときの風速を示し、白丸は、強風送風機の最大出力である風速40m/sでも床基材が浮遊しなかったことを示す。
床基材における係合孔の開孔率を20%以上とすることによって、30m/s以上の風速にも耐えられることが確認された。床面から上方に流れる風が床基材を通過でき、飛散防止性が向上したものと考えられる。